JP2005101220A - 圧電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】平坦な底板上に環状のシールリングを設けた構造の表面実装用パッケージを備えた圧電デバイスにおいて、更なる小型化、低背化によって、圧電振動素子を収容し難くなるという不具合を解消する。
【解決手段】パッケージ本体2が、平板状の絶縁基板10、外部電極11、該絶縁基板の上面に形成された圧電振動素子搭載用のパッド12、及び該絶縁基板上面の外周縁に沿って環状に形成されたメタライズ膜13を備えた実装基板14と、メタライズ膜上に固定される縦断面形状が矩形の金属製シールリング15と、を備えたものにおいて、シールリングの縦断面形状の高さHと幅Wとの寸法比(H/W)が、1.01以上であり、メタライズ膜上にシールリングの底面を着座させた際にシールリングよりも外側へ張り出すメタライズ膜部分とシールリング側壁との間を銀ろう16にて固定した。
【選択図】図1

Description

本発明は圧電デバイスのパッケージ構造の改良に関し、特にパッケージの外周壁をシールリングにより構成した場合に発生する不具合を解消することができる圧電デバイスに関する。
水晶振動素子等の圧電振動素子は、圧電振動子、圧電発振器、SAWフィルタ等の圧電デバイスのパッケージ内に組み込まれて使用される。圧電振動素子は、目標とする共振周波数を得る為に好適な肉厚を有した圧電基板の振動部に励振電極やリード端子等を蒸着等により形成した構成を有する。
従来の表面実装型圧電振動子のパッケージは、底部に表面実装用の外部電極を備えたセラミック製の底板の上面外周縁に、セラミック製の環状外周壁を一体的に立設し、環状外周壁の内側の凹陥部内に圧電振動素子を搭載した状態で、外周壁上面に固定された環状のシールリングを介して金属蓋を固定することにより気密封止を行う。
しかし、セラミックシートを積層、焼成することにより底板上に外周壁を形成した複雑な形状のパッケージを形成する従来方法は、製造手数が増大し、生産性が低いという欠点があった。また、底板と外周壁との接合強度を確保する必要から、セラミック製の外周壁の壁厚が厚くなり、その分だけ凹陥部内の容積が狭くなって収容する圧電振動素子の面積が狭くなる、という問題があった。圧電振動素子の面積が狭くなると、励振電極が小さくなってクリスタルインピーダンスの増大による発振不良等の不具合をもたらす。従って、必要十分なサイズの圧電振動素子を収容し得る程度に大きな容積を有した凹陥部を確保するためには、底板面積を大きくしてパッケージの全体的な平面積を大きくするしか方法がなかった。
そこで、本出願人は特開2002−26680公報において、セラミック製底板の上面周縁に沿って環状に形成したメタライズ膜上に金属シールリングを銀ろうを用いて固定することにより、シールリングにより外周壁を形成したパッケージを提案した。
図5(a)は同公報記載の圧電振動子の断面図、(b)はその要部拡大図であり、この圧電振動子は、上面に凹陥部101を有したパッケージ本体100と、パッケージ本体の凹陥部101内に配置される圧電振動素子102と、凹陥部101を気密封止する金属蓋103とを備えている。パッケージ本体100は、セラミック材料から成る底板105と、底板上面の周縁に沿って順次積層したセラミック薄膜106、及びメタライズ膜107と、メタライズ膜107上に底面を銀ろう109によって固定したシールリング108とを、備え、金属蓋103をシールリング108上面に溶接等によって導通固定している。
この技術によれば、シールリング108からなる外周壁の幅(厚さ)を狭くしてメタライズ膜107との接触面積を小さくしたとしても、銀ろう109を用いて接合することによって十分な接合強度を確保することができる。その結果、底板105を大面積化してパッケージの大型化を招くことなく、収容しようとする圧電振動素子102の面積に見合った容積の凹陥部を確保することが可能となる。
しかし、従来のシールリングは、プレス成形による打ち抜き加工によって製造されるため、成形品の高さHと幅Wの寸法比としては、1.0が限界値であった。即ち、シールリングの幅Wを狭くすることにより形成される凹陥部の容積を、所要寸法の圧電振動素子を収容し得る程度に大きく確保しようとすれば、必然的に高さHが低くなり、圧電振動素子と金属蓋が接触し易くなる等、圧電振動素子を収容するに十分な高さ寸法を確保することが困難となる。一方、シールリングの高さHを大きく確保しようとすれば、幅Wが増大して凹陥部の容積が小さくなる。
具体的には、例えばシールリングの幅Wが0.25mmの時にはその高さHも0.25mmとなる。一般的なシールリングの高さHは0.15〜0.20mmの範囲であり、高さと幅の寸法比は0.60〜0.80が最適とされてきた。
縦又は横の寸法が4.0mm以上のパッケージに採用するシールリングは、プレス時に変形するため、シールリングの高さと幅の寸法比が1.01以上のものは製造が困難であった。
しかし、最近では、圧電デバイスに対しては、占有面積の小型化に加えて低背化が求められてきているため、例えば上記公報記載のパッケージ内に低周波数の共振周波数を有する厚肉の圧電振動素子102を搭載するためには、周波数に応じてシールリング108の高さを大きく確保する必要が生じる。即ち、低周波数の圧電振動素子102を搭載するためにシールリング108の高さを0.25mmに設定すると、その幅としては0.25mm以上が必要となり、底板105の面積を一定にする限りは凹陥部101の容積が小さくなって所望サイズの圧電振動素子102を搭載できなくなる、という問題を生じる。
また、凹陥部101の容積を十分に大きく確保するために、シールリング108の外形寸法を大きくすると、底板上面に印刷するメタライズ膜107の外周縁とシールリング108の外周縁とが近接し過ぎ、或いは一致した状態となって、銀ろう109のメニスカスを形成する余地がなくなり、パッケージの製造が不可能となっていた。
特開2002−26680公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、平坦な底板上に環状のシールリングを直接立設固定した構造の表面実装用パッケージを備えた圧電デバイスにおいて、圧電デバイスの更なる小型化、低背化によって、圧電振動素子を収容する凹陥部の容積が狭くなって、圧電振動素子を収容し難くなるという不具合を解消することができる圧電デバイスを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、上面に凹陥部を備えたパッケージ本体と、該凹陥部内に配置される圧電振動素子と、該凹陥部を気密封止する金属蓋と、を備えた圧電デバイスであって、前記パッケージ本体は、平板状の絶縁基板、該絶縁基板の底部に形成された表面実装用の外部電極、該絶縁基板の上面に形成された圧電振動素子搭載用のパッド、及び該絶縁基板上面の外周縁に沿って環状に形成されたメタライズ膜を備えた実装基板と、前記メタライズ膜上に固定されて前記凹陥部の外壁を形成する縦断面形状が矩形の金属製シールリングと、を備えたものにおいて、前記シールリングの縦断面形状の高さHと幅Wとの寸法比(H/W)が、1.01以上であり、前記メタライズ膜上にシールリングの底面を着座させた際にシールリングよりも外側へ張り出すメタライズ膜部分とシールリング側壁との間を銀ろうにて固定したことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、上記凹陥部内底面に露出した電極パッド上に前記圧電振動素子を固定し、該電極パッドは底板内の内部導体を介して底板底部の外部電極と導通接続されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記メタライズ膜は、セラミック膜を介して前記底板上面に形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3において、前記パッケージ本体の縦横寸法は夫々4.0mm以下であることを特徴とする。
断面形状の高さと幅の比を1.01以上としたシールリングを用いたパッケージを実現することにより、同じ平面寸法の従来のパッケージでは実現できなかった圧電振動素子を搭載することが可能となった。このため、搭載する圧電振動素子の設計自由度が増し、電気的特性の優れた圧電デバイスを製造することが可能となった。また、圧電デバイスの小型化に対応することが可能となり、製造歩留まりを向上させることができる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る圧電デバイスの一例としてのSAWフィルタの縦断面図であり、図2(a)(b)(c)及び(d)はパッケージ本体の平面図、正面半断面図、側部半断面図、及び底面図である。
この表面実装型のSAWフィルタ1は、上面に凹陥部3を備えたパッケージ本体2と、パッケージ本体の凹陥部3内に配置されるSAWチップ(圧電振動素子)4と、凹陥部3を気密封止するために外周壁上面に溶接等によって固定される金属蓋5と、を備えている。
SAWチップ4は、水晶基板等の圧電基板上にSAW電極や入出力端子、グランド端子をパターン配線した構成を備えている。
パッケージ本体2は、平板状の絶縁基板10、絶縁基板10の底部に形成された表面実装用の外部電極11、絶縁基板の上面に形成されたSAWチップ搭載用の電極パッド12(入力、出力、及びグラウンド用)、及び絶縁基板上面の外周縁に沿って環状に形成されたメタライズ膜13を備えた実装基板14と、メタライズ膜13上に固定されて凹陥部3の外壁を形成する縦断面形状が矩形の金属製シールリング15と、を備えている。
メタライズ膜13は、タングステン粉を有機溶剤中に混ぜてペースト状にしたものを、実装基板14の上面にスクリーン印刷した上で、焼き固めることによって形成される。なお、メタライズ膜13の下層に、アルミナを硬化させたセラミック膜を配置しても良い。
シールリング15は、例えばコバールからなり、プレス加工によって製造される。
シールリング15の固定は、メタライズ膜13上にシールリングの底面を着座させた際にシールリングよりも外側へ張り出すメタライズ膜部分とシールリング側壁との間を銀ろう16にて固定することにより行われる。
凹陥部3の内底面に露出した電極パッド12上に圧電振動素子4を固定する。電極パッド12は絶縁基板10内の内部導体10aを介して底板底部の外部電極11と導通接続されている。
本発明の特徴的な構造は、断面が矩形となるようにプレス成形されたシールリング15の縦断面形状の高さHと幅Wとの比(H/W)を、1.01以上とした点にある。
従来はプレス加工時の変形によって高さと幅との比を1.0以上にすることは困難であったが、昨今の技術改良によって上記の比を1.01以上とすることが可能となったため、このような高さと幅との比を備えたシールリング15を使用することができる。
本発明のSAWフィルタ1は、パッケージ本体2の縦横寸法が夫々4.0mm以下であっても、凹陥部3の容積を十分に確保することができる。従って、十分に大きな面積を有したSAWチップ4を収容することができ、しかもSAWチップの直上に位置する金属蓋5との間のギャップも十分に確保することができる。
この実施形態のSAWフィルタ1では、パッケージ本体2の外形寸法(横×縦×高さ)が2.50×2.00×0.49mmである。一方、シールリング15の縦断面形状の高さHが0.20mmで、幅Wが0.15mmであり、高さと幅の比(H/W)は1.33である。
このパッケージ本体2内に共振周波数が16MHzのSAWチップ4(水晶基板の厚さは0.10mm)を搭載する場合、パッケージ本体側の電極パッド12にシリコン系の導電性接着剤を塗布し、マウンターを用いてSAWチップ4を搭載してから接着剤を硬化させる。その後、必要な熱処理を加えてから、Fe−Ni−Co合金にNiメッキを施した金属蓋5をシーム溶接によりシールリング15上に固定して凹陥部を気密封止する。
ここで、パッケージ本体2に形成された電極パッド12の厚さ(0.015mm)、硬化後の接着剤の厚さ(0.03mm)、SAWチップ4の厚さ(0.10mm)を合計すると、0.145mmとなる。
これに対してシールリング15の高さは0.20mmなので、仮に製造工程中に高さ方向のばらつきが発生したとしても、従来のようにSAWチップ4が金属蓋5に接触する虞は皆無となる。
因みに、図3(a)及び(b)は縦横高さが0.25×2.00×0.38mmの従来のパッケージ本体20の平面図、及び側面図であり、このパッケージ本体を構成するシールリング21の断面形状の高さは0.15mm、幅は0.23mmである。このパッケージ本体20に上記寸法のSAWチップ4を搭載して金属蓋にて封止した場合、電極パッドと接着剤とSAWチップの合計厚さである0.145mmは、シールリング21の高さである0.15mmとほぼ同等となり、SAWチップが金属蓋に接触して電気的特性を満足しないSAWフィルタが製造される危険がある。
また、図3に示した従来のパッケージと、図2に示した本発明のパッケージでは、シールリングの外形寸法が同一であるため、本発明のシールリング15の幅が狭くなった分(片側で0.08,両側で0.16mm)だけ、凹陥部の寸法が大きくなり、接着剤の塗布作業やSAWチップの実装工程での作業性が向上することが明らかである。
更に、電極パッド12とシールリング15までのギャップが広くなり、接着剤の過剰塗布が発生した場合にも電気的短絡の発生を防止できる。
なお、シールリング15の幅Wが狭くなることによるデメリットとして考えられる封止性の低下という問題について評価したところ、図3に示した従来のパッケージと同一の金属蓋を用いた封止が可能であり、しかも低レベルの封止条件であっても十分な気密封止を行い得ることが判明した。シールリングの断面形状の幅寸法が格段に薄くなっているにも拘わらず、低レベルの条件で封止することができたのは、シールリング15をメタライズ膜13上にろう付けする際に使用する銀ろう(銀と銅との合金)の量が支配的であり、従来パッケージよりも多い量の銀ろうを使用できたことに起因するものと推定される。即ち、図4に示すように本発明ではシールリングが薄くなった分だけ、シールリングの外周縁よりも外側に張り出したメタライズ膜13の面積を広く確保できるため、この張出し部分を利用して多くの銀ろうを使用できるからである。
なお、上記実施形態では、圧電デバイスの一例としてSAWフィルタを例示したが、本発明は圧電振動子、圧電発振器等の圧電デバイス一般に適用することができる。
本発明の一実施形態に係る圧電デバイスの一例としてのSAWフィルタの縦断面図。 (a)(b)(c)及び(d)はパッケージ本体の平面図、正面半断面図、側部半断面図、及び底面図。 (a)及び(b)は従来例のパッケージ本体の平面図、及び側部断面図。 本発明の要部構成図。 (a)及び(b)は従来例の説明図。
符号の説明
1 SAWフィルタ(圧電デバイス)、2 パッケージ本体、3 凹陥部、4 SAWチップ(圧電振動素子)、5 金属蓋、10 絶縁基板、11 外部電極、12 電極パッド、13 メタライズ膜、14 実装基板、15 シールリング、16 銀ろう、20 パッケージ本体、21 シールリング。

Claims (4)

  1. 上面に凹陥部を備えたパッケージ本体と、該凹陥部内に配置される圧電振動素子と、該凹陥部を気密封止する金属蓋と、を備えた圧電デバイスであって、
    前記パッケージ本体は、平板状の絶縁基板、該絶縁基板の底部に形成された表面実装用の外部電極、該絶縁基板の上面に形成された圧電振動素子搭載用のパッド、及び該絶縁基板上面の外周縁に沿って環状に形成されたメタライズ膜を備えた実装基板と、
    前記メタライズ膜上に固定されて前記凹陥部の外壁を形成する縦断面形状が矩形の金属製シールリングと、を備えたものにおいて、
    前記シールリングの縦断面形状の高さHと幅Wとの寸法比(H/W)が、1.01以上であり、
    前記メタライズ膜上にシールリングの底面を着座させた際にシールリングよりも外側へ張り出すメタライズ膜部分とシールリング側壁との間を銀ろうにて固定したことを特徴とする圧電デバイス。
  2. 上記凹陥部内底面に露出した電極パッド上に前記圧電振動素子を固定し、該電極パッドは底板内の内部導体を介して底板底部の外部電極と導通接続されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
  3. 前記メタライズ膜は、セラミック膜を介して前記底板上面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電デバイス。
  4. 前記パッケージ本体の縦横寸法は夫々4.0mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の圧電デバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010011372A (ja) * 2008-06-30 2010-01-14 Kyocera Kinseki Corp 電子部品用の蓋体及び圧電振動子並びに圧電発振器
JP2010011373A (ja) * 2008-06-30 2010-01-14 Kyocera Kinseki Corp 電子部品用の蓋体及び圧電振動子並びに圧電発振器
JP2015039133A (ja) * 2013-08-19 2015-02-26 日本特殊陶業株式会社 パッケージ

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