JP2005097275A - 微粒子テノン嚢下投与ドラッグデリバリーシステム - Google Patents

微粒子テノン嚢下投与ドラッグデリバリーシステム Download PDF

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Abstract

【課題】 頻回投与を必要とせず、且つ組織侵襲度が低い後眼部組織への持続的ドラッグデリバリーシステムであって、後眼部に選択的に薬物を移行させ、前眼部への薬物の移行による影響を少なくするドラッグデリバリーシステムを提供する。
【解決手段】 薬物を含有させた微粒子をテノン嚢下に投与することにより、後眼部組織への薬物の選択的移行および有効濃度維持が可能なドラッグデリバリーシステムを構築できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、網膜、脈絡膜、視神経等の後眼部組織へのドラッグデリバリーシステムに関するものである。
網膜、脈絡膜および視神経等の後眼部組織における疾患には難治性疾患が多く、その効果的な治療法の開発が望まれている。眼疾患に対しては、薬物を点眼投与して治療するのがもっとも一般的であるが、網膜、脈絡膜および視神経等の後眼部組織へは薬物がほとんど移行しない。また、移行しても組織中の薬物濃度を持続させるのは極めて困難である。
そこで、後眼部疾患に対する薬物の投与方法として、静脈注射、経口投与、硝子体注射が試みられている。静脈注射や経口投与では、ターゲット部位である後眼部組織への薬物の移行量は極微量であり、且つ、期待しない薬物の全身作用(副作用)が強く現れることもある。
硝子体注射は、眼内に薬物を直接注入する投与法であるので、後眼部組織への薬物移行量は静脈注射や経口投与に比べ多い。硝子体注射による後眼部へのドラッグデリバリーシステムについては総説としてまとめられている(非特許文献1参照)。しかし、硝子体注射は高度な技術を必要とする投与法であり、相当の苦痛を伴うので患者の負担も大きく、また組織侵襲性や感染症発症の問題からも複数回の投与は極めて困難な状況にある。
このような硝子体注射に比べ、テノン嚢下注射は、手技は比較的簡便で、眼組織の障害(組織侵襲性)が少なく、且つ患者への負担も少ない。テノン嚢下投与は古くから一部の臨床医の間で用いられている方法であり、最近では、テノン嚢下投与に関する技術として、眼球形状に合わせたテノン嚢下投与用の特殊なカニューレ(特許文献1参照)や、カプセルをテノン嚢下にインプラントする方法(特許文献2参照)等が開示されている。
しかし、薬物の後眼部組織中濃度を長期間持続させるのは困難で、薬物の組織中濃度を持続させるためには頻回投与が必要となり、例えテノン嚢下投与であっても、頻回投与は患者への負担が大きくなる。
一方、眼内での薬物濃度を持続させ頻回投与を回避するための製剤的な工夫もなされている。例えば、薬物−高分子結合体を静脈内投与する方法(非特許文献2参照)や、薬物を含有したマイクロスフェアーを硝子体に注入する方法(特許文献3参照)等であるが、前述のような課題を解決するには至っていない。
特表2003−511204号公報 特表2000−507854号公報 特開2000−247871号公報 Jounal of ocular pharmacology and therapeutics,(2001) 17/4 ,393-401 Invest. Ophthalmol. Visual Sci. 40(11), 2690-2696, 1999
従って、頻回投与を必要とせず、且つ組織侵襲度の低い、後眼部組織への持続的ドラッグデリバリーシステムの開発が望まれていた。同時に、後眼部疾患の治療には、後眼部に選択的に薬物を移行させ、前眼部への薬物の移行による影響を少なくするドラッグデリバリーシステムの開発が望まれていた。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、薬物を含有させた微粒子をテノン嚢下投与する手段が、後眼部組織への薬物の選択的移行および有効濃度持続が可能なドラッグデリバリーシステムとして非常に有用であることを見出した。
本発明は、薬物を含有させた微粒子をテノン嚢下に投与するために用いられる後眼部組織へのドラッグデリバリーシステムに関するものである。本発明はまた、薬物を含有させた微粒子を含む注射剤であって後眼部組織への薬物の移行を可能にするテノン嚢注射剤に関するものである。薬物含有微粒子をテノン嚢下に投与することにより、静脈注射や経口投与に比べて後眼部組織への移行性がよく、全身への副作用も少ない。また、硝子体注射に比べて、手技が簡便で患者への負担も少ない。さらに、薬物を微粒子に含有させることによって、ターゲット組織中の薬物濃度を長期間維持することができる。また、後眼部組織への選択性が高く、前眼部への移行を抑えることができるので、薬物の前眼部への不必要な影響を軽減することも可能となる。
本発明において、微粒子を形成する材料としては生体分解性または生体溶解性高分子が好ましく、具体例としては、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリ乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体、ポリ乳酸−ポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロック共重合体、ポリ(乳酸−グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体、ポリ(乳酸−グリコール酸)−ポリエチレングリコール−ポリ(乳酸−グリコール酸)ブロック共重合体、乳酸−カプロラクトン共重合体、ポリアンハイドライド、ポリオルソエステル、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリアクリルシアノアクリレート、ポリハイドロキシアルカノエート、ポリフォスフォエステル、ポリα-ヒドロキシ酸等の生分解性高分子;ゼラチン、デキストラン、アルブミン、キトサン等の天然高分子;メタクリル酸コポリマー、ポリN-アルキルアクリルアミド等の合成高分子が挙げられる。
これらの高分子物質の分子量については、特に制限は無く、微粒子に含有させる薬物の種類、薬物の有効治療濃度、薬物の放出期間などにより適宜選択できる。
本発明における微粒子の粒子径は、好ましくは50nm〜150μmである。粒子径50nm以下の微粒子は製造困難であり、粒子径150μm以上では粒子が大きすぎて注射剤として好ましくない。より好ましい粒子径は200nm〜80μmである。
薬物を含有させたμmオーダーの微粒子の例としてはマイクロスフェアーが、nmオーダーの微粒子の例としてはナノスフェアーが挙げられる。
本発明のドラッグデリバリーシステムは、後眼部、特に網膜、脈絡膜および視神経の疾患の治療または予防のために用いられる。具体的な疾患例としては、種々の原因による炎症、ウイルスや細菌の感染症、網膜脈絡膜の血管新生に起因する疾患、網膜の虚血に起因する疾患、緑内障に起因する視神経障害が挙げられる。さらに具体的に述べると、ぶどう膜炎、サイトメガロウイルス網膜炎、加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症、網膜剥離、網膜色素変性症、網膜中心静脈閉塞症、網膜中心動脈閉塞症等が挙げられる。
微粒子に含有させる薬物については特に制限は無く、対象疾患に適した薬物を選択することができる。具体的にはベタメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、プレドニゾロン、フルオロメトロン、ハイドロコルチゾン、フルオシノロンアセトニド等のステロイド剤またはそれらの誘導体;プロゲステロンやテストステロン等のホルモン剤またはそれらの誘導体;ブロモフェナック、ジクロフェナック等の抗炎症剤;TNF−α阻害剤、抗TNF−α抗体、PDE−IV阻害剤、ICE阻害剤等のサイトカイン抑制剤;シクロスポリン、タクロリムス等の免疫抑制剤;ガンシクロビル、アシクロビル、インターフェロンβ等の抗ウイルス剤;オフロキサシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン等の抗菌剤;フルオロウラシル、メトトレキサート、MMP阻害剤等の抗癌剤;エンドスタチン、VEGF阻害剤、抗VEGF抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、PKC阻害剤、接着因子阻害剤、血管静止性ステロイド等の血管新生阻害剤;MK−801、チモロール、クレアチン、タウリン、BDNF等の神経保護剤・神経栄養因子、アセタゾラミド等の炭酸脱水酵素阻害剤、ウロキナーゼ等の血栓溶解剤、循環改善剤、抗真菌剤等が挙げられる。より好ましい微粒子に含有させる薬物としては、ベタメタゾン、デキサメタゾンまたはフルオシノロンアセトニドが挙げられる。
薬物含有微粒子としては、微粒子内に均一に分散させたマトリックス型、あるいは薬物をコアとして微粒子でカプセル化したカプセル型が好ましい。
微粒子に含有する薬物量は、薬物の種類、有効治療濃度、薬物の放出期間、症状等に応じて適宜増減すればよい。薬物の含有量は微粒子の0.01〜95重量%、好ましくは、0.1〜20重量%である。
本発明における微粒子は公知のミルを用いた粉砕法、相分離法(コアセルベーション法)、スプレードライング法、超臨界流体法、界面沈着法、界面反応法を用いて製造することができるが、これらに限定されるものではない。より具体的には、界面沈着法である液中乾燥法(J. Control. Release,2,343-352,(1985))、界面反応法である界面重合法(Int.J.Pharm., 28,125-132 (1986))、自己乳化溶媒拡散法(J.Control. Release,25,89-98(1993))等が挙げられる。これらの製造法から、微粒子の粒子径や含有する薬物の種類、性質や含有量などを考慮し、適当な製造法を適宜選択すればよい。
微粒子の具体的な製造例として、薬物として抗炎症剤であるベタメタゾンを含有し、微粒子の材料としてポリ乳酸、またはポリ(乳酸−グリコール酸)を用いた、薬物含有微粒子の製造例を後述の実施例に示す。
本発明のドラッグデリバリーシステムにおける微粒子はテノン嚢下へ投与される。テノン嚢下への投与方法は、通常行われているテノン嚢下注射を用いればよい。薬物を後眼部組織へより効率よく送達させるためには後部テノン嚢下に投与することが望ましい。後部テノン嚢下への投与にはテノン嚢下麻酔針を用いるとよい。
本発明のドラッグデリバリーシステムに使用する微粒子は、テノン嚢下に投与されるため、投与剤型としては注射剤が好ましい。注射剤は汎用されている注射剤の製剤化技術を用いて調製できる。例えば、塩化ナトリウム等の浸透圧調整剤、リン酸ナトリウム等の緩衝剤、ポリソルベート80等の界面活性剤、メチルセルロース等の増粘剤等の通常用いられる添加剤および微粒子を注射用蒸留水に加えて製剤を調製すればよい。また、針を用いない高圧式注射器を用いれば、注射剤とせずに微粒子をそのまま投与することが可能である。
薬物の投与量は、薬物の種類により異なるが、通常1回に1μg〜100mg程度であり(回数は1日に1ないし数回〜数月に1回でよい)、患者の年齢、症状などに応じて増減できる。
後述する実施例の項で詳細に説明するが、in vitro薬物放出試験において、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルオシノロンアセトニドそれぞれを含有させた微粒子を用いれば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルオシノロンアセトニドそれぞれの粉末を用いた場合よりも、薬物がより持続的に放出される。そして、網脈絡膜組織内薬物濃度測定試験を実施して、ベタメタゾンを含有させた微粒子をテノン嚢下に投与すれば、ベタメタゾン粉末をテノン嚢下に投与した場合よりも、長期に渡って網脈絡膜組織内に薬物(ベタメタゾン)が有効濃度で存在することを確認した。さらに、房水内薬物濃度測定試験を実施して、テノン嚢下投与と結膜下投与による房水内の薬物濃度を比較したところ、テノン嚢下投与の方がターゲットである後部網脈絡膜組織への移行性に優れ、且つ前眼部組織への移行性が低く、副作用も少ないことが明かとなった。以上のことから、薬物を含有する微粒子をテノン嚢下に投与することを特徴とする本発明は、網膜、脈絡膜、視神経等の後眼部組織への優れたドラッグデリバリーシステムを提供するものである。
以下に、微粒子の製造例、in vitro薬物放出試験、網脈絡膜組織内薬物濃度測定試験、房水内薬物濃度測定試験および製剤例を示す。
1.薬物含有微粒子の製造
製造例1
ベタメタゾン(0.05g)および重量平均分子量約20000(分散度約2.0)のポリ乳酸(0.25g)をジクロロメタン(0.5mL)およびベンジルアルコール(3.0mL)に溶解し、得られた溶液を薬物/ポリマー溶液とした。0.2%(w/v)ポリビニルアルコール水溶液(400mL)をホモジナイザーにてホモジナイズし(10000rpm)、そこに薬物/ポリマー溶液を滴下した。この混合物を滴下終了後から10分間ホモジナイズし、O/Wエマルジョンを調製した。このO/Wエマルジョンを、撹拌機を用いて3時間撹拌(200rpm)した。撹拌終了後、得られた懸濁液を遠心分離し、上澄みを除去した。沈殿物を洗浄するため、超純水(30mL)を加えて沈殿を分散させ、生じた分散液を再度遠心分離し上澄みを除去した。この操作をもう一度行った。洗浄した沈殿物を篩に掛けることにより粒子を得た。得られた粒子を凍結乾燥することにより、粒子径2μm〜70μm、ベタメタゾン含量約12%のベタメタゾン含有マイクロスフェアーを得た。
製造例2
製造例1の「ベタメタゾン(0.05g)」に代えて「デキサメタゾン(0.05g)」を用いる以外は製造例1と同様の操作を行って、粒子径1μm〜80μm、デキサメタゾン含量約12%のデキサメタゾン含有マイクロスフェアーを得た。
製造例3
製造例1の「ベタメタゾン(0.05g)」に代えて「フルオシノロンアセトニド(0.05g)」を用い、「ジクロロメタン(0.5mL)およびベンジルアルコール(3.0mL)」に代えて「ジクロロメタン(3.0mL)」を用い、また0.2%(w/v)ポリビニルアルコール水溶液に代えて2.0%(w/v)ポリビニルアルコール水溶液を用いる以外は製造例1と同様の操作を行って、粒子径3μm〜70μm、フルオシノロンアセトニド含量約1%のフルオシノロンアセトニド含有マイクロスフェアーを得た。
製造例4
製造例1の「重量平均分子量約20000(分散度約2.0)のポリ乳酸(0.25g)」に代えて「重量平均分子量約20000で乳酸/グリコール酸比率75/25のポリ(乳酸−グリコール酸)(0.25g)」を用い、また0.2%(w/v)ポリビニルアルコール水溶液に代えて2.0%(w/v)ポリビニルアルコール水溶液を用いる以外は製造例1と同様の操作を行って、粒子径500nm〜70μmのベタメタゾン含量約12%のベタメタゾン含有マイクロスフェアーを得た。
2. In vitro薬物放出試験
1)In vitro薬物放出試験用チャンバー(内容量1.5mLのフナコシ社製のスピンバイオダイアライザーに、日本ミリポア社製の孔径0.45μmのフィルターを装着させたもの)に製造例1〜3で得た各マイクロスフェアを投入し、0.1 Mリン酸緩衝液(pH7.4)を1.5 mL加えた。この混合物をガラス容器に入れ、98.5 mLの0.1 Mリン酸緩衝液(pH7.4)を加えた。全体を37 ℃の水浴内で振とうし、in vitro薬物放出試験を開始した。ベタメタゾン含有マイクロスフェアの量は薬物が2.5mgになるように、デキサメタゾン含有マイクロスフェアの量は薬物が3.0 mgになるように、フルオシノロンアセトニド含有マイクロスフェアの量は薬物が0.5 mgとなるように、それぞれ決めた。対照として、同量の各薬物の粉末を上記チャンバーに投入し、同様の放出試験を行った。
2)開始から1、2、6、14、29日目に、緩衝液すべてをサンプリングし、高速液体クロマトグラフを用いて分析した。また、サンプリング後は新たに0.1 Mリン酸緩衝液(pH7.4)を98.5 mL加え、放出試験を継続した。表1に、in vitro 薬物放出試験の結果を示す。
Figure 2005097275
表1から明らかなように、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルオシノロンアセトニドを含有するマイクロスフェア(微粒子)はいずれも、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルオシノロンアセトニドの粉末よりも長期に渡って薬物放出を持続している。
3.網脈絡膜組織内薬物濃度測定試験
製造例1で得たベタメタゾン含有マイクロスフェアーを溶媒(5%(w/v)マンニトール/0.1%(w/v) ポリソルベート80/0.5%(w/v)カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液)に懸濁させ、16.7%(w/v)のベタメタゾン含有マイクロスフェアー注射剤を調製した。対照としてベタメタゾン懸濁剤を調製した。なお、ベタメタゾン懸濁剤は、ベタメタゾン濃度が2%(w/v)になるように、ベタメタゾンを溶媒(5%(w/v)マンニトール/0.1%(w/v) ポリソルベート80/0.5%(w/v)カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液)に懸濁させたものである。
下記の方法に従ってベタメタゾン含有マイクロスフェアー注射剤を投与した動物群(マイクロスフェアー投与群)、およびベタメタゾン懸濁剤を投与した動物群(懸濁剤投与群)におけるベタメタゾンの網脈絡膜組織内濃度を測定した。
1)日本白色ウサギに全身麻酔を施した後、両眼に塩酸オキシブプロカイン(0.5%(w/v))点眼液を点眼し眼表面を麻酔した。
2)球結膜を切開しテノン嚢を露出させ、24Gテノン嚢下麻酔針を用い、16.7%(w/v)のベタメタゾン含有マイクロスフェアー注射剤をテノン嚢下に一眼当たり200μL投与した。マイクロスフェアー中のベタメタゾン含有率は約12%(w/v)であるので、ベタメタゾンの投与量は約4000μgとなる。懸濁剤投与群には、2%(w/v)ベタメタゾン懸濁剤を一眼当たり200μL投与した。
3)ウサギを投与後2時間、1、7、14、28、42、70日目に屠殺し、それぞれ眼球摘出後、網脈絡膜組織を回収し、網脈絡膜組織内のベタメタゾン濃度を高速液体クロマトグラフで測定した。
表2に網脈絡膜組織内薬物濃度測定試験の結果を示す。なお、表中、網脈絡膜組織内のベタメタゾン濃度は、各6眼の平均値を示す。
Figure 2005097275
表2から明らかなように、懸濁剤投与群では、網脈絡膜組織内ベタメタゾン濃度は14日後には約0.3μg/g組織であったが、28日後には検出限界以下となった。これに対し、マイクロスフェアー投与群では網脈絡膜組織内ベタメタゾン濃度は42日後でも約1.6μg/g組織であり、網脈絡膜組織内薬物濃度が維持されていた。このように、薬物を微粒子に含有させることによって網脈絡膜組織内の薬物濃度を維持できることがわかった。
4.網脈絡膜組織内薬物濃度測定試験
製造例4で得たベタメタゾン含有マイクロスフェアーを溶媒(0.4%(w/v) ポリソルベート80/2.6%(w/v)グリセリン水溶液)に懸濁させ、10%(w/v)のベタメタゾン含有マイクロスフェアー注射剤を調製した。このベタメタゾン含有マイクロスフェアー注射剤を用い、下記の方法に従って後部テノン嚢下投与後のベタメタゾンの前部および後部網脈絡膜組織内濃度を測定した。対照として、上記ベタメタゾン含有マイクロスフェアー注射剤を用いて結膜下投与後の濃度測定を行い、ベタメタゾンの網脈絡膜組織内濃度を後部テノン嚢下投与群と結膜下投与群で比較した。
1)日本白色ウサギに全身麻酔を施した後、両眼に塩酸オキシブプロカイン(0.5%(w/v))点眼液を点眼し眼表面を麻酔した。
2)球結膜を切開しテノン嚢を露出させ、24Gテノン嚢下麻酔針を用い、ベタメタゾン含有マイクロスフェアー注射剤をテノン嚢下に一眼当たり100μL投与した。マイクロスフェアー中のベタメタゾン含有率は約12%(w/v)であるので、ベタメタゾンの投与量は約1200μgとなる。対照群には、27G針の注射器を用い、10%(w/v)ベタメタゾン含有マイクロスフェアー注射剤を上部結膜下に一眼当たり100μL投与した。
3)ウサギを投与後7日目に屠殺し、それぞれ眼球摘出後、前部および後部網脈絡膜組織を回収し、前部および後部網脈絡膜組織内のベタメタゾン濃度を高速液体クロマトグラフで測定した。
表3に網脈絡膜組織内における薬物濃度測定結果を示す。なお、表中、網脈絡膜組織中のベタメタゾン濃度は、3または4眼の平均値を示す。
Figure 2005097275
表3から明らかなように、結膜下投与では投与7日後の前部網脈絡膜組織内ベタメタゾン濃度は約0.6μg/g組織、後部網脈絡膜組織内ベタメタゾン濃度は約1.2μg/g組織であった。これに対し、後部テノン嚢下投与では、投与7日後は前部網脈絡膜組織内ベタメタゾン濃度は検出限界以下であったが、後部網脈絡膜組織内ベタメタゾン濃度は約1.6μg/g組織であり、後部網脈絡膜組織へ選択的にベタメタゾンが移行していた。このように、結膜下投与に比べテノン嚢下投与は、脈絡膜の中でも特にターゲットとなる後部網脈絡膜組織に薬物が効率よく移行することが分かった。
5.房水内薬物濃度測定試験
製造例4で得たベタメタゾン含有マイクロスフェアーを溶媒(0.4%(w/v) ポリソルベート80/2.6%(w/v)グリセリン水溶液)に懸濁させ、10%(w/v)ベタメタゾン含有マイクロスフェアー注射剤を調製した。このベタメタゾン含有マイクロスフェアー注射剤を用い、上記の方法と同様に後部テノン嚢下投与を行い、投与後のベタメタゾンの房水内濃度を測定した。対照として、上記ベタメタゾン含有マイクロスフェアー注射剤を用いて結膜下投与後の濃度測定を行い、ベタメタゾンの房水内濃度を後部テノン嚢下投与群と結膜下投与群で比較した。ウサギは投与後1、2、4時間目に屠殺し、それぞれ房水を回収し、房水内のベタメタゾン濃度を高速液体クロマトグラフで測定した。
表4に房水内薬物濃度測定試験の結果を示す。なお、表中、房水内のベタメタゾン濃度は4眼の平均値を示す。
Figure 2005097275
表4から明らかなように、結膜下投与では投与1、2、および4時間後に約0.05、0.10、および0.21μg/mLであった。これに対し、後部テノン嚢下投与では、1〜4時間後まで検出限界以下であり、ベタメタゾンの前眼部移行性は結膜下投与よりも低かった。従って、テノン嚢下投与では、結膜下投与に比べ、眼圧上昇等の副作用が低減できる。
6.製剤例
注射剤1(100ml)
ベタメタゾン含有マイクロスフェアー 16.7g
マンニトール 5g
ポリソルベート80 0.1g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.5g
滅菌精製水 適量
100ml
注射剤2(100ml)
ベタメタゾン含有マイクロスフェアー 10.0g
濃グリセリン 2.6g
ポリソルベート80 0.4g
滅菌精製水 適量
100ml



Claims (9)

  1. 薬物を含有する微粒子をテノン嚢下に投与することを特徴とする後眼部組織へのドラッグデリバリーシステム。
  2. 薬物を含有させた微粒子を含む注射剤であって、後眼部組織への薬物の選択的移行および有効濃度持続を可能にするテノン嚢下注射剤。
  3. 微粒子の平均粒子径が50nm〜150μmである請求項1記載のドラッグデリバリーシステムまたは請求項2記載のテノン嚢下注射剤。
  4. 微粒子が生体分解性または生体溶解性高分子で形成された請求項1記載のドラッグデリバリーシステムまたは請求項2記載のテノン嚢下注射剤。
  5. 後眼部組織が網膜、脈絡膜または視神経である請求項1記載のドラッグデリバリーシステムまたは請求項2記載のテノン嚢下注射剤。
  6. 薬物が網膜、脈絡膜または視神経疾患の治療または予防のためのものである請求項1記載のドラッグデリバリーシステムまたは請求項2記載のテノン嚢下注射剤。
  7. 薬物が抗炎症剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、血管新生抑制剤、抗血栓剤、視神経保護剤、循環改善剤、抗菌剤または抗真菌剤である請求項1記載のドラッグデリバリーシステムまたは請求項2記載のテノン嚢下注射剤。
  8. 薬物がステロイドである請求項1記載のドラッグデリバリーシステムまたは請求項2記載のテノン嚢下注射剤。
  9. 薬物がベタメタゾン、デキサメタゾンまたはフルオシノロンアセトニドである請求項1記載のドラッグデリバリーシステムまたは請求項2記載のテノン嚢下注射剤。



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