JP2005097042A - 非可逆回路素子用ガーネットフェライトとそれを用いた非可逆回路素子 - Google Patents

非可逆回路素子用ガーネットフェライトとそれを用いた非可逆回路素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 4πMsの温度係数(α)の絶対値を小さくでき、しかも強磁性共鳴半値幅(ΔH)を小さくできるガーネットフェライトの提供。マイクロ波帯などの高周波帯域において損失が小さい非可逆回路素子の提供。
【解決手段】 組成式Y3−x−yGdCaFet−y−zAl12(ただし、前記DはZr、Hf、Snのうち1種又は2種以上の元素を示し、組成比を示すx、y、z、tは0≦x≦1.5、0<y≦0.3、0≦z≦1.7、4.75≦t≦5の範囲である。)で示される非可逆回路素子用ガーネットフェライト5。ガーネットフェライト5からなる本体部の上面に中心導体6A、6B、6Cが電気的絶縁状態で所定の角度で交差するように配置された磁性組立体と、磁石7と、整合用コンデンサと、ヨークを兼ねるケース2、3からなるアイソレータ1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ波帯などの高周波帯域で使用される非可逆回路素子に適用されるガーネットフェライトとそれを用いた非可逆回路素子に関するもので、特に、4πMsの温度係数(α)の絶対値を小さくでき、しかも強磁性共鳴半値幅を小さくできる技術に関するものである。
従来から、高周波用磁性材料としては、Mn-Znフェライト、Ni-Znフェライト、リチウムフェライト、YIGフェライトなどが知られている。
また、携帯電話等の無線通信機器においては、アンテナとアンプの間に設けられてアンプの安定動作並びに混変調の防止などの目的から、非可逆素子材料としての高周波用磁性材料を備えた非可逆回路素子が適用されている。
先の磁性材料の中でもYIGフェライトは、Y3Fe512からなる組成物にGdあるいはAlを一部元素置換した系で実現されており、低損失を示すものと知られている。
ところがこのYIGフェライトは、使用環境温度が変わるとアイソレーション特性が変化してしまうため、4πMsの温度係数(α)の絶対値を小さくできるYIGフェライトが要望されている。
上記αの絶対値を小さくした磁性材料としては、Feが化学量論比から0.5〜5%の範囲で少なくされてなるガーネットフェライトであって、A12 (但し、AはY又はYとGdを示し、BはFe単独あるいはFeに加えてAl、In、Mnの少なくとも1種以上の元素を示す。)なる組成式で示される非可逆回路素子用ガーネットフェライト(例えば、特許文献1参照)や、Y3−3x−zGd3xCaFe5−5y−z−5eAl5ySn12(但し、1.5<3x<2.4、0<y<0.12、0<z<0.4)なる組成式で示されるガーネットフェライト(例えば、特許文献2参照)が考えられており、アイソレーターやサーキュレーターなどの回路素子に応用可能な材料とされている。
また、このようにαの絶対値が小さくされたガーネットフェライトは、小型化された非可逆回路素子に用いられることが多い。
特開2003−137646号公報 特開昭49−8798号公報
しかしながら上記A12なる組成式又は上記Y3−3x−zGd3xCaFe5−5y−z−5eAl5ySn12なる組成式で示される従来のガーネットフェライトにおいては、Gdの添加量が増すにつれて上記αの絶対値を小さくすることができるが、強磁性共鳴半値幅(ΔH)が大きくなり、マイクロ波帯などの高周波帯域で使用されるアイソレータの挿入損失が増大するといった問題があった。例えば、上記A12なる組成のガーネットフェライトでは、Gdの添加量が組成比で1.5を超えると、−35℃における温度係数(α)を0に近い値にできるが、ΔHが10000A・m−1を超えてしまう。
また、上記Y3−3x−zGd3xCaFe5−5y−z−5eAl5ySn12なる組成のガーネットフェライトでは、Gdを組成比で1.5〜2.4添加したときの温度係数(α)は正(+)の値であり、特に2.0以上となるとαが0.5%/℃を超えてしまう。一方、アイソレータ等の非可逆回路素子に使用する永久磁石の表面磁束の温度係数は負(−)であることが多いため、ガーネットフェライトと永久磁石の温度特性の傾きが逆であり、非可逆回路素子の特性が温度変化により大きく変化してしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、本発明は以上の背景に基づいてなされたもので、4πMsの温度係数(α)の絶対値を小さくでき、しかも強磁性共鳴半値幅(ΔH)を小さくできるガーネットフェライトを提供することを目的の1つとする。
更に本発明は、上記のようなガーネットフェライトを備えることにより、マイクロ波帯などの高周波帯域において損失が小さい非可逆回路素子の提供を目的の1つとする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の非可逆回路素子用ガーネットフェライトは、非可逆回路素子に使用されるガーネットフェライトであって、組成式Y3−x−yGdCaFet−y−zAl12(ただし、前記DはZr、Hf、Snのうち1種又は2種以上の元素を示し、組成比を示すx、y、z、tは0≦x≦1.5、0<y≦0.3、0≦z≦1.7、4.75≦t≦5の範囲である。)で示されることを特徴とする。
この非可逆回路素子用ガーネットフェライトでは、Caと上記Dをそれぞれ上記範囲で添加したことにより、Gdを添加しない場合や、Gdを単独添加する場合(Y‐Gd‐Fe‐Al‐Oなる組成の場合)に比べて強磁性共鳴半値幅(ΔH)を小さくすることができる。また、Gdを上記範囲で添加したことにより、4πMsの温度係数(α)の絶対値を低減できる。また、Alの添加量を上記の範囲内で変更することにより、4πMsの値を調整することができる。また、FeとDとAlの合計量を上記範囲で調整することにより、異相が析出することなく、ガーネット単相にすることができ、ΔHを小さくすることができる。
本発明の非可逆回路素子用ガーネットフェライトは、4πMsの温度係数(α)の絶対値を小さくでき、しかも強磁性共鳴半値幅(ΔH)を小さくできる。また、本発明のガーネットフェライトは、従来のガーネットフェライトとαが同じ値でもΔHについては従来のものよりも低くすることができる。
従って、本発明のガーネットフェライトによれば、非可逆回路素子の低損失化寄与することができる。
本発明の非可逆回路素子用ガーネットフェライトにおいて、上記組成式中の組成比を示すx、y、z、tは0≦x≦1.3、0.01≦y≦0.3、0≦z≦1.0、4.75≦t≦4.9の範囲であることが好ましい。
また、本発明の非可逆回路素子は、上記のいずれかの構成の本発明の非可逆回路素子用ガーネットフェライトからなる本体部上に複数の中心導体が電気的絶縁状態で交差するように配置された磁性組立体を備えたことを特徴とする。上記の構成の磁性組立体を用いれば、アイソレータ等の非可逆回路素子が完成される。
また、本発明の非可逆回路素子は、上記のいずれかの構成の非可逆回路素子用ガーネットフェライトからなる本体部の上面に複数の中心導体が電気的絶縁状態で所定の角度で交差するように配置された磁性組立体を有し、この磁性組立体に直流磁界を印加するための磁石と、整合用コンデンサと、これらを包むヨークが少なくとも具備されてなることを特徴とする。上記の構成の磁性組立体と磁石と整合用コンデンサとヨークを備えることで、アイソレータ等の非可逆回路素子が完成される。
かかる構成の非可逆回路素子によれば、4πMsの温度係数(α)の絶対値を小さくでき、しかも強磁性共鳴半値幅(ΔH)を小さくできるガーネットフェライトからなる本体部を有する磁性組立体が備えられたことにより、マイクロ波帯などの高周波帯域において損失が小さく、特性の温度変化が小さい非可逆回路素子を提供できる。
以上、詳述したように本発明によれば、4πMsの温度係数(α)の絶対値を小さくでき、しかも強磁性共鳴半値幅(ΔH)を小さくできるガーネットフェライトを提供できる。
また、本発明の非可逆回路素子は、4πMsの温度係数(α)の絶対値を小さくでき、しかも強磁性共鳴半値幅(ΔH)を小さくできる本発明のガーネットフェライトを用いた磁性組立体と、磁石と、整合用コンデンサと、ヨークを備えることにより、マイクロ波帯などの高周波帯域において損失が小さく、特性の温度変化が小さい非可逆回路素子を提供できる。
以下、図面により本発明の実施形態について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法比率などは適宜異ならせて示してある。
図1は本発明に係る非可逆回路素子用ガーネットフェライトを備えたアイソレータ(非可逆回路素子)の一例を示す分解斜視図であり、この形態のアイソレータ1は、上部ケース2と下部ケース3との間に、下部ケース3側から順に基板4と円板状のガーネットフェライト素子5と中心導体6A、6B、6C(これらはガーネットフェライト素子5の下部側で共通電極部により電気的に接続されている。)と磁石7とを設けて構成されている。
先の上部ケース2と下部ケース3は側面コ字型の磁性体製のケースであり、上部ケース2と下部ケース3を一体化することで箱型の収納体が構成される。これら上部ケース2と下部ケース3はヨークを兼ねるものである。先の基板4は、中央部に丸型の透孔4aが形成された樹脂製の基台4Aを有し、その一面周縁部3カ所にパターン電極(整合用コンデンサ)4bが形成され、残り1つの縁部にアース電極4cが形成され、更にアース電極4cと先のパターン電極4bの1つに電気的に接続された抵抗素子4dが設けられたものである。
前記ガーネットフェライト素子(非可逆回路素子用ガーネットフェライト)5は、後述するガーネットフェライトからなる円盤状のものであり、ガーネットフェライト素子5の外周部には帯状の金属片からなる中心導体6A、6B、6Cが円板状のガーネットフェライト素子5の中心部を起点に周回りに60゜間隔で巻き付けられ、ガーネットフェライト素子5は基板4の透孔4aに挿入されて各中心導体6A、6B、6Cの各一端部が各パターン電極4bに電気的に接続され、各中心導体6A、6B、6Cの各他端部は図示しない共通電極部に一体的に接続されている。そして、中心導体6A、6B、6C上にガーネットフェライト素子5の上下方向にバイアス磁界を印加する円盤型の磁石7が積み重ねられ、この状態でこれらが上ケース2と下ケース3との間に収納されてアイソレータ1が構成されている。
前記ガーネットフェライト素子5は、Y3−x−yGdCaFet−y−zAl12 (ただし、前記DはZr、Hf、Snのうち1種又は2種以上の元素を示し、組成比を示すx、y、z、tは0≦x≦1.5、0<y≦0.3、0≦z≦1.7、4.75≦t≦5の範囲である。)なる組成式で示されるガーネットフェライトから構成されている。
また、上記組成式中の組成比を示すx、y、z、tは、0≦x≦1.3、0.01≦y≦0.3、0≦z≦1.0、4.75≦t≦4.9の範囲であることが好ましい。
YとGdとCaの組成比の合計は、3である。
上記Yの組成比は0.7以上3未満である。
上記Gdの組成比を0以上1.5以下とすることにより、4πMsの温度係数(α)の絶対値を低減できる。また、アイソレータ1に使用する磁石7の表面磁束の温度係数はマイナスであることが多いため、Gdの組成比を0以上1.5以下とすることが室温付近の温度係数を負もしくはほぼゼロにできる。また、Gdの組成比が1.3以下であればガーネットフェライト素子5のαを全温度範囲でマイナスにでき、磁石7の表面磁束の温度係数と傾きを合わせることができ、アイソレータ1の安定性を高めることができる点で好ましい。
また、上記CaとDの組成比をそれぞれ0を超えて0.3以下とすることにより、上記αの絶対値が増大することなく、強磁性共鳴半値幅(ΔH)を小さくすることができる。また、上記CaとDの組成比をそれぞれ0.01以上0.3以下とすることが、確実にΔH低減効果を得られる点で好ましい。上記CaとDの組成比がそれぞれ0.3を超えるとΔHをこれ以上下げることができず、逆にαの絶対値が増大してしまう。また、上記CaとDを組成比でそれぞれ0.05以上0.2以下とすることが、低いαとΔHのバランスが取れる点で好ましい。
また、Alの組成比を0以上1.7以下とすることにより、4πMsの値を調整することができる。Alの組成比が1.7を超えると、4πMsがゼロになってしまう。また、Gdを添加する場合はAlの組成比の上限は1.0とすることが実用的な大きさの4πMs値が得られる点で好ましい。
上記FeとDとAlの組成比の合計はtである。
上記組成比tを4.75以上5以下とすることにより、異相が析出することなく、ガーネット単相にすることができ、ΔHを小さくすることができる。組成比tが4.75未満になると、ガーネットフェライト素子がガーネット単相にならず、異相が析出してΔHが急激に大きくなってしまい、5を超えると上記と同様の異相が析出してΔHが急激に大きくなってしまう。また、上記組成比tを4.75以上4.9以下とすることが、ΔHをより効果的に低減できる点で好ましい。
上記FeとDとAlの組成比合計の範囲は組成比で4.75以上5未満であり、好ましくは4.75以上4.9未満とされる。Feの組成比を5未満にするとΔHが低下し始め、4.75未満にするとΔHの値が明らかに悪化する。
上記組成のガーネットフェライト素子5によれば、αの絶対値を小さくでき、しかもΔHを6000A・m−1以下にすることができる。また、ガーネットフェライト素子5は、従来のガーネットフェライトとαが同じ値でもΔHについては従来のものよりも低くするすることができる。また、Alの量の調整により、4πMsの値を調整できるので、高周波領域用として好適な値に設定することができる。また、上記Gdの量の調整により、永久磁石7と組み合わせてアイソレータ1として使用する場合に磁石7の温度特性を補償することができる。
次に、このガーネットフェライト素子5の製造方法の一例について説明する。
先のガーネットフェライト素子5を製造するには、まず、目的とする組成の構
成元素の酸化物粉末を用意し、目的の元素組成比となるように混合する。
例えば、Y−Ca‐Fe-D(Sn)‐Al-O系のガーネットフェライトを製造するためには、原料として、Y23、CaCO、Fe23、SnO、Al23の各粉末を用意する。また、Y-Gd-Fe-D(Zr)‐Al-O系のガーネットフェライトを製造するためには、原料として、Y23、CaCO、Gd23、Fe23、ZrO、Al23の各粉末等を用意する。
ここで目的の組成比のガーネットフェライト素子とは、上記組成式Y3−x−yGdCaFet−y−zAl12(ただし、前記DはZr、Hf、Snのうち1種又は2種以上の元素を示し、組成比を示すx、y、z、tは0≦x≦1.5、0<y≦0.3、0≦z≦1.7、4.75≦t≦5の範囲である。)である。
これらの原料としてはこれらの粉末を用いることが好ましく、各粉末を目的の組成比になるように秤量する。なお、粉末状ではない粒状あるいは固体状の原料を用いる場合は、これらの原料を混合し、ボールミル、あるいはアトライタ等の粉砕混合装置により原料を粉砕混合する処理を必要時間、例えば数分〜数10時間行う。ここでの粉砕混合工程において、ボールミル、遊星ミル等の粉砕刃やボールや内壁に鉄分を含んでいると、あるいは、アトライタで使用する混合粉砕用のボールや内壁に鉄分を含んでいると、これらの鉄分が混合粉末側に移行するおそれがあるので、ミルやアトライタにおいて混合粉末と接触する部分に鉄分を含まないものを用いることが好ましい。
具体的に、ボールミルでは刃先あるいは混合粉末を収納する部分として鉄系以外の材料からなるものを用いてボールミルを構成すれば良く、アトライタにおいては粉砕混合用のボールとしてアルミナ製のもの、ジルコニアボール、メタル芯にチタン酸カルシウムのコーティングを施したもの等を用いることで混合粉末に対する鉄分の移行を無くすることができる。なお、ミルやアトライタの内壁はナイロン等の樹脂などのFe系以外の材料からなる壁部で構成すれば良い。
即ち、ボールミル等の装置では、ナイロン樹脂等で形成された外径180mm(内径135mm)の円筒状の容器に仮焼き粉とジルコニア製のボールをいれ、容器の開口部に同じくナイロン樹脂等で形成された蓋をする。この蓋をした容器を2本の水平軸(円筒容器の直径よりも若干短い間隔で離間して水平支持された2本の回転軸)で形成された架台に載せ、これらの回転軸に周回りに回転駆動力を与えて80〜100rpmで16〜20時間程度上記の容器とともに回転させる。この回転により上記ジルコニア製のボールとともに仮焼き粉末を撹拌し、仮焼き粉末を粉砕する。
なお、原料として粉末状のものを用いる場合に、前記の粉砕混合工程を略しても良い。
先の混合物を乾燥した後、1000℃〜1200℃程度の温度で大気中もしくは酸素雰囲気中において必要時間、例えば数時間仮焼し、仮焼粉末(仮焼物)を得る。
続いてこの仮焼粉末(仮焼物)を再度先のボールミルあるいはアトライタによって粉砕して粉末化する。ここで用いる粉砕装置においてもFeの混入を防止する目的で先の条件を満足する装置を用いることが好ましい。
得られた仮焼後の粉末の粒径を揃えた後、バインダーとともに目的の形状となるように成型し、1t/cm2程度の圧力を加えて目的の円盤状あるいは板状あるいは角柱状などの形状に成型し、次いでこの成型体を1350℃〜1500℃程度の温度に加熱して焼結すると、目的とする円板状のガーネットフェライト素子5が得られる。
なおここで、目的の形状に近い形に成型しておき、焼結後に得られた成型体から目的の形状のガーネットフェライト素子を切り出すようにして製造することもできる。
以上のように得られた円板状のガーネットフェライト素子5に対し、図1に示すように中心導体6A、6B、6Cを装着して取り付け、図1に示すように基板4の透孔4aにガーネットフェライト素子5を嵌め込み、磁石7とともにケース2、3の内部に配することでアイソレータ1を構成することができる。
以上の如く得られたガーネットフェライト素子5においては、アイソレータとして用いた場合の500MHz以上の高周波域、例えば10GHz帯域での挿入損失が小さく、ΔHの小さなものが得られる。
ここでアイソレータ1に用いられるガーネットフェライト素子5において把握される強磁性共鳴半値幅の値として知られているΔHとは、透磁率の虚数部μ''のピークの半値幅として知られている値であり、通常の磁性体の透磁率を測定する場合は磁場をかけた方向と同じ方向に基づいて透磁率を測定するものであるのに対し、静磁場で飽和させた状態で静磁場の方向と直角方向に高周波磁界を印加した時の透磁率を測定し、その虚数部の測定値から求められる値である。この値が小さいほど損失としては小さいことを意味する。
また、磁化温度係数α(−35)及びα(85)は、次のように計算される。
α(−35)=[{4πMs(25℃)−4πMs(−35℃)}/4πMs(25℃)]×(100/60) [%・℃−1]
α(85)=[{4πMs(85℃)−4πMs(25℃)}/4πMs(25℃)]×(100/60) [%・℃−1]
なお、上記式中、4πMs(−35℃)、4πMs(25℃)、4πMs(85℃)は、それぞれ−35℃、25℃、85℃におけるガーネットフェライトの4πMs(飽和磁化)の値である。
本実施形態のアイソレータ1は、ガーネットフェライト素子5からなる本体部の上面に中心導体6A、6B、6Cが電気的絶縁状態で所定の角度で交差するように配置された磁性組立体を有し、この磁性組立体に直流磁界を印加するための磁石7と、整合用コンデンサ4bと、これらを包むヨーク2、3が備えられてなるものであるので、マイクロ波帯などの高周波帯域において損失が小さく、また使用環境温度の変化しても安定したアイソレーション特性を有することができる。
よって先のガーネットフェライト素子5を備えたアイソレータ1においては、送信機等において、アンプとアンテナとの間に挿入されて好適に用いられ、アンテナからの雑音がアンプ側に戻るのを抑制する2端子素子としての優れた機能を発揮する。
(実施例1〜41)
以下の表1〜2に示す各試料の組成となるようにY23粉末とCaCO粉末とFe23粉末とAl3粉末と、ZrO粉末又はHfO粉末又はSnO粉末と、必要に応じてGd3粉末をボールミル(鋼球の周囲をセラミックコーティング処理してなるボールを使用)で混合し、この混合物を乾燥した後、1200℃で4時間仮焼きし、仮焼物を得た。次にこの仮焼物を有機バインダーとともに先のものと同等のボールミルに投入し、20時間湿式粉砕した。この粉砕物を大気中もしくは酸素雰囲気中において1350℃〜1500℃で本焼成してY3−x−yGdCaFet−y−zAl12なる組成のガーネットフェライト試料(実施例1〜41)を得た。
実施例1〜41のガーネットフェライト試料の4πMsと、−35℃〜+25℃での磁化温度係数α(−35)と、+25℃〜+85℃での磁化温度係数α(85)と、使用周波数10GHzのときのガーネットフェライト試料の強磁性共鳴半値幅(各試料における透磁率の虚数部μ''のピークの半値幅)ΔHを調べた結果を表1〜2に示す。また、先のガーネットフェライト試料の透磁率の測定については、静磁場でバイアスをかけて磁気的に飽和させた状態においてその直角方向に測定用の高周波磁界をかけた時の静磁場と直角方向での透磁率を測定した結果である。また、このようにして測定した透磁率の虚数部μ''のピークの半値幅がΔHに相当する。
また、実施例1〜41のガーネットフェライト試料のα(−35)とΔHとの関係を図2、α(85)とΔHの関係を図3に示した。
Figure 2005097042
Figure 2005097042
表1〜表2に示すx、y、z、tは組成式Y3−x−yGdCaFet−y−zAl12中の組成比であり、Dは上記組成式中のDであり、Zr、Hf、Snのいずれかである。
(比較例1〜7)
以下の表3に示す各試料の組成となるようにY23粉末とFe23粉末とAl23粉末と、ZrO粉末又はHfO粉末又はSnO粉末と、Gd23粉末を用いた以外は上記実施例と同様にしてY3−x−yGdCaFet−y−zAl12なる組成のガーネットフェライト試料(比較例1〜7)を得た。比較例1〜7のガーネットフェライト試料の4πMsと、α(−35)と、α(85)と、ΔHを調べた結果を表3に示す。
また、比較例1〜7のガーネットフェライト試料のα(−35)とΔHとの関係を図2、α(85)とΔHの関係を図3に示した。
Figure 2005097042
表3に示すx、y、z、tは組成式Y3−x−yGdCaFet−y−zAl12中の組成比であり、Dは上記組成式中のDであり、Snである。
(従来例1〜7)
以下の表4に示す各試料の組成となるようにY23粉末とFe23粉末とAl23粉末と必要によりGd23粉末を用いた以外は上記実施例と同様にしてY3−xGdFe4.883−zAl12なる組成のガーネットフェライト試料(従来例1〜7)を得た。従来例1〜7のガーネットフェライト試料の4πMsと、α(−35)と、α(85)と、ΔHを調べた結果を表4に示す。
また、従来例1〜7のガーネットフェライト試料のα(−35)とΔHとの関係を図2、α(85)とΔHの関係を図3に示した。
Figure 2005097042
表4に示すx、zは組成式Y3−xGdFe4.883−zAl12中の組成比である。
表1〜表4及び図2〜図3に示す結果から実施例の試料は、従来例の試料とαの値が同じ大きさであっても、ΔHは小さいことがわかる。
また、従来例ではGdの組成比が0のときの場合(従来例1)にΔHが最も小さい1750A・m−1を示している。
これにに対して実施例では、Gdの組成比が0でも、CaとSnの組成比がそれぞれ0.05〜0.10の場合(実施例7〜9)や、Gdの組成比が0.2〜0.6で、CaとSnの組成比がそれぞれ0.10の場合(実施例10〜12)は、ΔHが1210A・m−1以下であり、従来例のものより大幅に小さくできることがわかる。
また、Gdの組成比が2.1の比較例1の試料は、ΔHが16000A・m−1と大きく、また、Gdの組成比が2.0の比較例7の試料はΔHが13300A・m−1となる。これに対しGdの組成比が1.5の実施例32の試料は、ΔHが6500A・m−1と良好な値が得られていることから、Gdの組成比の上限は1.5とした。
また、CaとDとしてのSnの組成比がそれぞれ0.35以上の比較例2、3の試料は、α(−35)が−0.2%・℃−1付近やα(85)が−0.3%・℃−1付近であるが、ΔHが4500〜4800A・m−1と比較的大きい。これに対して実施例の試料は、α(−35)が−0.2%・℃−1付近以下や、α(85)が−0.3%・℃−1付近以下のものでも、ΔHが1500A・m−1より小さくできるこことがわかる。このことからCaとDのそれぞれの組成比の上限は、0.3とした。
また、Gdを含む場合に、Alの組成比が1.1の比較例4の試料は、4πMsが殆ど0Tに近い値になってしまう。このことからGdを添加する場合は、A1の組成比の上限は1.0とした。
また、組成比tが5.035である比較例5や、tが4.740である比較例6の試料は、α(−35)、α(85)が小さくても、ΔHが6400A・m−1以上と大きくなってしまう。このことから組成比tの範囲は、4.75〜5とした。
本発明のガーネットフェライトは、αの絶対値を小さくでき、しかもΔHを小さくできるので、500MHz以上の高周波域で使用される小型のアイソレータに好適に用いることができ、その場合に低損失で、かつ特性の温度係数を小さくすることができる。
図1は本発明に係るガーネットフェライトを備えたアイソレータの一例を示す分解斜視図。 図2は実施例と比較例と従来例のガーネットフェライト試料のα(−35)とΔHとの関係を示す図。 図3は実施例と比較例と従来例のガーネットフェライト試料のα(85)とΔHの関係を示す図。
符号の説明
1・・・アイソレータ(非可逆回路素子)、2・・・上部ケース、3・・・下部ケース、4・・・基板、4a・・・透孔、4A・・・基台、4b・・・パターン電極、4c・・・アース電極、4d・・・抵抗素子、5・・・ガーネットフェライト素子(非可逆回路素子用ガーネットフェライト)、6A、6B、6C・・・中心導体、7・・・磁石。

Claims (4)

  1. 非可逆回路素子に使用されるガーネットフェライトであって、
    組成式Y3−x−yGdCaFet−y−zAl12(ただし、前記DはZr、Hf、Snのうち1種又は2種以上の元素を示し、組成比を示すx、y、z、tは0≦x≦1.5、0<y≦0.3、0≦z≦1.7、4.75≦t≦5の範囲である。)で示されることを特徴とする非可逆回路素子用ガーネットフェライト。
  2. 前記組成式中の組成比を示すx、y、z、tは0≦x≦1.3、0.01≦y≦0.3、0≦z≦1.0、4.75≦t≦4.9の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の非可逆回路素子用ガーネットフェライト。
  3. 請求項1又は2に記載の非可逆回路素子用ガーネットフェライトからなる本体部上に複数の中心導体が電気的絶縁状態で交差するように配置された磁性組立体を備えたことを特徴とする非可逆回路素子。
  4. 請求項1又は2に記載の非可逆回路素子用ガーネットフェライトからなる本体部の上面に複数の中心導体が電気的絶縁状態で所定の角度で交差するように配置された磁性組立体を有し、この磁性組立体に直流磁界を印加するための磁石と、整合用コンデンサと、これらを包むヨークが少なくとも具備されてなることを特徴とする低損失非可逆回路素子。
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