JP2005093262A - 燃料電池用単セル及び固体電解質形燃料電池 - Google Patents

燃料電池用単セル及び固体電解質形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】スタック化の際に設計し易い薄型でしかも小型軽量の燃料電池用単セル及び固体電解質型燃料電池を提供する。
【解決手段】多数の微細な穿孔を有する金属基板2と、一対の電極層31,32間に電解質層33を挟み込んで形成されて金属基板2上に積層される電池要素3を備え、金属基板2の中央部分21の穿孔密度を縁部分の穿孔密度よりも高く設定すると共に、縁部分をフレーム部22として形成した。複数の燃料電池用単セル1又は複数の燃料電池用単セル1を同一平面上で連結して形成したセル板1Aを互いに積層して固体電解質形燃料電池とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、多数の微細な穿孔を有する金属基板、すなわち、多孔質基体の多数の開口に粉末を封入して成るガス透過性を有する金属基板に、一対の電極で固体電解質を挟持する構成の電池要素を積層して形成される燃料電池用単セル及び固体電解質型燃料電池に関するものである。
従来、上記したような燃料電池用単セルの金属基板に類似するものとしては、例えば、金網に圧力をかけて得られる基板に粉末を塗布して成る金属フィルタがある。この金属フィルタでは、塗布する粉末の粒径を変えることで微細な孔の径をコントロールするようにしており、各種油類やガス類などの液体のろ過に使用されている。
特開平8−229320号公報
しかしながら、上記した金属フィルタにおいて、基板に金網を使用しているため、ガスタイトなフレームを同時に作製することが極めて困難であり、フレームを必要とする場合には、金属フィルタの成形工程とは別にフレーム取付け工程を加えなくてはならないという問題があった。
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたものであり、金属基板にフレームを取り付ける必要がなく、スタック化の際に設計し易い薄型でしかも小型軽量の燃料電池用単セル及び固体電解質型燃料電池を提供することを目的としている。
本発明の燃料電池用単セルは、多数の微細な穿孔を有する金属基板と、一対の電極層間に電解質層を挟み込んで形成されて上記金属基板上に積層される電池要素を備えた燃料電池用単セルにおいて、上記金属基板の中央部分の穿孔密度を縁部分の穿孔密度よりも高く設定すると共に、縁部分をフレーム部として形成した構成としたことを特徴としており、この固体電解質型燃料電池の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
本発明の燃料電池用単セルでは、金属基板の中央部分の穿孔密度を縁部分の穿孔密度よりも高く設定することで、縁部分がフレームの機能を果たすようにしているので、フレームを取付ける必要がない分だけ工程数の削減が図られるのに加えて、薄型化で且つ小型軽量化が図られることとなる。
本発明の燃料電池用単セルによれば、薄型化で且つ小型軽量化を実現でき、その結果、薄型でしかも小型軽量の固体電解質型燃料電池を提供することが可能になる。
本発明の燃料電池用単セルにおいて、多数の微細な穿孔を有する金属基板は、ケミカルエッチング等の手法を用いて形成した表裏を貫通するスルーホールを有する金属基板であって、SUS、インコネル、Ni、Ag、Pt、Cu等の導電性を有する耐熱合金からなり、10〜500μm程度の金属箔である。
本来、このような金属基板上に電池要素を形成して成る薄膜セルの外周部には、スタック化の際のガスシールや形状維持や電気的接合のために、ガスタイトで且つ導電性を有する剛性の高いフレームを形成することが望ましい。この際、金属基板には集電体の機能を保持させることができるので、金属基板の外周部に加工を施して穿孔のないフレームを形成するようになすと、このフレームの剛性と多数の穿孔を有するメッシュ部分の剛性との間に差異が生じているため、上記製造過程において両者間に亀裂が生じる可能性がある。本発明では、このような不具合の発生を回避するために、金属基板の中央部分の穿孔密度を縁部分の穿孔密度よりも高く設定するようにしている。
また、多数の穿孔を有する金属基板の中央部分とフレーム部として機能する剛性の高い縁部分との境目には大きな応力がかかるが、本発明では、図3に示すように、金属基板2の中央部分21とフレーム部22との間に、穿孔密度が中央部分21よりも低く且つフレーム部22よりも高い応力緩和部23を設けることで、製造時に金属基板2の中央部分21の縁が破損するのを回避するようにしている。
この応力緩和部23の穿孔密度は、全体的に均一に設定したり、金属基板2の中央部分21からフレーム部22にかけて漸次減少するように設定したりすることができ、応力緩和部23の穿孔密度を均一にした場合には、穿孔密度の高い中央部分の面積を広くすることができるので、電池性能向上に寄与することが可能であり、一方、応力緩和部23の穿孔密度がフレーム部22に向けて漸次減少するようにした場合には、構造の変化が緩やかになるので、応力を分散させることが可能である。
ここで、金属基板2の中央部分21の中心からフレーム部22の外縁までの長さをL、応力緩和部23の幅をaとした場合、a/L×100が5%以下であると、フレーム部22として機能する縁部分と中心部分21の剛性差を緩和することができず、一方、a/L×100が50%であると、燃料電池の作動に必要なガスの供給量が少なくなって電池性能が低下するので、5%<a/L×100<50%とすることが望ましく、応力緩和部23内の平均穿孔密度を中心部分21の穿孔密度に対して90%以下とすることが望ましい。
さらに、燃料電池用単セルにおいて、多数の微細な穿孔に電極粉等のセラミックス粉体を充填して成る金属基板2上に電池要素を積層して還元性雰囲気で焼成するが、上記したように金属基板2にフレーム部22を形成すると、応力の緩和が十分に成されるとは言い難く、プロセス過程において熱応力による反りやクラックが生じる可能性がある。
そこで、本発明の燃料電池用単セルでは、図4に示すように、金属基板2のフレーム部22に切欠き24を設けることで、電池要素3を焼成する段階における応力を十分に緩和して反りやクラック等の不具合を阻止するようにしており、金属基板2のフレーム部22には少なくとも2個以上の切欠き24を設けることが効果的である。
上記切欠き24には、図4に示す台形状を採用することができほか、図5に示す半円形状や、図6に示す三角形状等の任意の形状を採用することができ、切欠き24が台形状を成す場合には、必要な部位だけを残すことができるので、スタックの設計が容易なものとなり、切欠き24が半円形状を成す場合には、フレーム部の反りがほとんどなくなるうえ、外力がかかった際に中央部分に亀裂が入るのを回避でき、切欠き24が三角形状を成す場合には、周縁の一部のみに設けるように成すことにより、応力を緩和しつつフレーム部の形状を維持することができる。
さらにまた、燃料電池用単セルにおいて、金属基板に接触する電池要素の電極を0.1〜10μmの焼結粒子から成るセラミックス電極とすることができ、例えば、NiO、CuO、Al、TiO、セリア固溶体、安定化ジルコニア、ランタンコバルト系酸化物、ランタンマンガン系酸化物等のセラミックス、金属−セラミックス複合粒子から成るセラミックス電極とすることができ、図1に示すように、電池要素3のセラミックス電極31が、金属基板2の電池要素積層面2b上において20μm以上の厚みtで形成されている場合には、上記金属基板2の材質とセラミックス電極31の材質との熱膨張係数の比率を2:1〜1:2とすれば、上部に形成される薄膜にダメージを与えることなく緩和層の働きをする。
つまり、金属基板2に接触する電極31を厚くすることで、電極31が緩和層の役割を果たすことから、ある程度熱膨張係数の差が大きな金属基板2も適用することができ、その結果、金属基板2の選択幅が広がり、設計の自由度が向上する。
一方、上記セラミックス電極31が、金属基板2の電池要素積層面2b上において20μmを超えない厚みtで形成されている場合には、多数の穿孔を有する金属基板2の中央部分21の影響を受け易く、積層した薄膜にクラックを生じる。この際、金属基板2の材質とセラミックス電極31の材質との熱膨張係数の比率を1.2:1〜0.8:1とすれば、上部に形成された薄膜にダメージを与えることなくセルを得ることが可能である。
すなわち、電池要素3を積層するに際して、金属基板2の材料の熱膨張係数を合わせることで、さらなる薄膜化を実現でき、その結果、軽量で且つ小型コンパクト化が可能になる。
そして、本発明において、上記燃料電池用単セルを互いに積層する場合、すなわち、図2に示すように、複数の燃料電池用単セル1をスタック化したり、複数の燃料電池用単セル1を同一平面上に設置して成るセル板1Aをスタック化したりする場合、あらかじめフレーム部22を形成したガス透過性の金属基板2を用いているので、接合部分の構造が簡略化されて、部品の軽量化が図られ、薄型でしかも軽量な固体電解質型燃料電池を製造し得ることとなる。
図1は本発明の一実施例を示している。
図1に示すように、この燃料電池用単セル1は、貫通孔2aを有していると共に多数の微細な穿孔を有する円板状を成す電気伝導性金属基板2及び一対の電極層31、32間に電解質層33を挟み込んで形成した電池要素3を備えていて、この電池要素3を電気伝導性金属基板2の貫通孔2a上に積層して成っており、電気伝導性金属基板2の中央部分21の穿孔密度を縁部分の穿孔密度よりも高く設定していると共に、縁部分をフレーム部22として形成している。
この実施例において、電気伝導性金属基板2をフォトエッチングにより製造された板厚0.1mmのSUS430から成るエッチングボードとし、電池要素3を構成する燃料極層(セラミックス電極)31をスクリーン印刷により製造された層厚0.12mmのNiO+SDC(Sm添加セリア)、電解質層33をスクリーン印刷により製造された層厚10umの10ScSZ(Sc添加安定化ジルコニア)、空気極層32をスクリーン印刷により製造された層厚20umのSSC(Sm、Sr添加コバルト酸化物)とし、シール材4を低融点ガラスから成るガラスシールとしている。
具体的に説明すると、電池要素3の燃料極層31は、ペーストを塗布した後に、H還元雰囲気中において1100℃で焼成して成り、電解質層33は、ペーストを塗布した後に、H還元雰囲気中において1200℃で焼成して成り、空気極層32は、ペーストを塗布した後に、H還元雰囲気中において850℃で焼成して成っている。
この燃料電池用単セル1では、電気伝導性金属基板2の中央部分21の穿孔密度を縁部分の穿孔密度よりも高く設定することで、縁部分がフレーム部22としての機能を果たすようにしていることから、フレームを取付ける必要がない分だけ工程数の削減が図られるのに加えて、薄型化で且つ小型軽量化が図られることとなる。
上記燃料電池用単セル1において、図3に示すように、金属基板2の中央部分21とフレーム部22との間に、穿孔密度が中央部分21よりも低く且つフレーム部22よりも高い応力緩和部23を設けることが望ましく、このように応力緩和部23を設けることで、製造時に金属基板2の中央部分21の縁が破損するのを回避することができる。
この際、金属基板2の中央部分21の中心からフレーム部22の外縁までの長さをL、応力緩和部23の幅をaとした場合、5%<a/L×100<50%とすることが望ましく、応力緩和部23内の平均穿孔密度を中心部分21の穿孔密度に対して90%以下とすることが望ましい。
また、上記燃料電池用単セル1において、図4に示すように、金属基板2のフレーム部22に切欠き24を設けて、フレーム部22に反りやクラック等の不具合が生じるのを阻止することが望ましい。なお、切欠き24は、金属基板2のフレーム部22に少なくとも2個以上設けることが望ましく、切欠き24の形状を図5に示す半円形状としたり、図6に示す三角形状としたりすることが可能である。
さらに、上記燃料電池用単セル1では、電池要素3の燃料極層31を金属基板2の電池要素積層面2b上において20μm以上の厚みtで形成した場合、上記金属基板2の材質と燃料極層31の材質との熱膨張係数の比率を2:1〜1:2とすることで、燃料極層31に緩和層の機能を保持させることができる。つまり、ある程度熱膨張係数の差が大きな金属基板2も用いることができ、その結果、金属基板2の選択幅が広がって設計の自由度が向上する。
一方、上記電池要素3の燃料極層31を金属基板2の電池要素積層面2b上において20μmを超えない厚みtで形成した場合、金属基板2の材質と燃料極層31の材質との熱膨張係数の比率を1.2:1〜0.8:1とすることで、上部に形成された薄膜にダメージを与えることなくセルを得ることが可能であり、したがって、電池要素3を積層するに際して、金属基板2の材料の熱膨張係数を合わせることで、さらなる薄膜化を実現でき、その結果、軽量で且つ小型コンパクト化が可能になる。
図2に示すように、この実施例における固体電解質型燃料電池は、複数のセル板1Aと、インコネルからなる導電性基板に流路を形成した複数のセパレータ6とを交互に積層して成っている。セル板1Aは、円板状を成すセル支持体15の複数の開口15aのそれぞれに実施例1の燃料電池用単セル1を配置して、開口15aの周縁部と燃料電池用単セル1の電気伝導性金属基板2とをシール材4を介して接合して成っている、すなわち、複数の燃料電池用単セル1を同一平面上に設置して成っている。
この固体電解質型燃料電池では、接合部分の構造が簡略化されるので、部品の軽量化が図られ、薄型でしかも軽量な固体電解質型燃料電池を製造し得ることとなる。
なお、図2における符号7は多孔性導電体を示し、符号8は燃料流、符号9は空気流をそれぞれ示している。
上記した燃料電池用単セル1では、電気伝導性金属基板2が円板状を成している場合を示したが、これに限定されるものではなく、図7に示すように、金属基板2が矩形状を成していてもよい。
本発明の燃料電池用単セルの一実施例を示す断面説明図(a)及び燃料極層付き金属基板の平面説明図(b)である。(実施例1) 本発明の固体電解質型燃料電池の一実施例を示す断面説明図である。(実施例2) 応力緩和部を有する燃料電池用単セルの金属基板の平面説明図である。 切欠きを有する燃料電池用単セルの金属基板の製造過程における平面説明図である。 他の形態の切欠きを有する燃料電池用単セルの金属基板の平面説明図である。 さらに他の形態の切欠きを有する燃料電池用単セルの金属基板の平面説明図である。 応力緩和部を有する他の構成例における燃料電池用単セルの金属基板の平面説明図である。
符号の説明
1 燃料電池用単セル
1A セル板
2 電気伝導性金属基板
2b 電池要素積層面
3 電池要素
21 中央部分
22 フレーム部(縁部分)
23 応力緩和部
24 切欠き
31 燃料極層(電極層)
32 空気極層(電極層)
33 電解質層

Claims (7)

  1. 多数の微細な穿孔を有する金属基板と、一対の電極層間に電解質層を挟み込んで形成されて上記金属基板上に積層される電池要素を備えた燃料電池用単セルにおいて、
    上記金属基板の中央部分の穿孔密度を縁部分の穿孔密度よりも高く設定すると共に、縁部分をフレーム部として形成したことを特徴とする燃料電池用単セル。
  2. 金属基板の中央部分と縁部分との間に、穿孔密度が中央部分よりも低く且つ縁部分よりも高い応力緩和部を設けた請求項1に記載の燃料電池用単セル。
  3. 金属基板の中央部分の中心から縁部分の外縁までの長さをL、応力緩和部の幅をaとした場合、5%<a/L×100<50%を満たす請求項2に記載の燃料電池用単セル。
  4. 金属基板の縁部分に切欠きを設けた請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の燃料電池用単セル。
  5. 金属基板に接触する電池要素の電極をセラミックス電極とし、このセラミックス電極は、金属基板の電池要素積層面上において20μm以上の厚みで形成され、上記金属基板の材質とセラミックス電極の材質との熱膨張係数の比率を2:1〜1:2とした請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の燃料電池用単セル。
  6. 金属基板に接触する電池要素の電極をセラミックス電極とし、このセラミックス電極は、金属基板の電池要素積層面上において20μmを超えない厚みで形成され、上記金属基板の材質とセラミックス電極の材質との熱膨張係数の比率を1.2:1〜0.8:1とした請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の燃料電池用単セル。
  7. 複数の燃料電池用単セル又は複数の燃料電池用単セルを同一平面上で連結して形成したセル板を互いに積層して成ることを特徴とする固体電解質形燃料電池。
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