JP2005092040A - 平版印刷版原版 - Google Patents

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Abstract

【課題】 赤外光に高い感光性を有し、耐キズ性及び白灯安全性に優れた赤外線レーザ対応ネガ型平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】 支持体上に、(A)光又は熱によりラジカルを発生する化合物、(B)側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体、(C)ビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマー、及び(D)赤外線吸収剤を含有するネガ型記録層と保護層とを順次設けてなることを特徴とする。保護層中には、ポリビニルアルコールを30〜90質量%含有することが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、平版印刷版原版に関し、特に、コンピューター等のディジタル信号から直接製版できるいわゆるダイレクト製版用の赤外線レーザー対応感光性組成物からなる記録層を有する平版印刷版原版に関する。
近年におけるレーザーの発展は目覚しく、特に、近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ個体レーザーや半導体レーザーでは、高出力・小型化が進んでいる。したがって、コンピューター等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザーは非常に有用である。
前述の赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザーを露光光源として使用する赤外線レーザー用ネガ型平版印刷版原版は、光又は熱により発生したラジカルを開始剤として重合反応を生起させて露光部の記録層を硬化させ画像部を形成するか、又は、赤外線吸収剤が染料の場合には、赤外線を吸収した染料からの電子移動により発生したラジカルを開始剤として重合反応を生起させて露光部の記録層を硬化させ画像部を形成する、という記録方式を利用している。
このような記録方式を用いた画像記録材料としては、レゾール樹脂、ノボラック樹脂、赤外線吸収剤及び光酸発生剤の組み合わせ(例えば、特許文献1、2参照。)や、特定の重合体と光酸発生剤と近赤外増感色素の組み合わせ(例えば、特許文献3,4参照。)が開示されている。これらの感光性組成物や平版印刷版は、光酸発生剤より発生した酸を開始剤として硬化反応を生起させて、硬化部(画像部)を形成するという機構を有している。
しかしながら、上記したような光重合開始剤あるいは光酸発生剤を用いた硬化反応により画像部を形成する感光性組成物は、近赤外領域に充分高い感光性を付与するのは難しく、特に赤外レーザー光を用いた走査露光に適用するには感光性が不足していた。
また、光重合開始剤あるいは光酸発生剤による重合は、露光のみでは十分な強度を有する硬化領域を得られない場合が多く、露光後あるいは現像処理後に加熱処理して、重合を促進完結させる必要があり、加熱処理は重要な製版工程であった。このような、加熱処理は生産効率を低下させるのみではなく、品質を不安定にする要因を含んでいる。例えば、露光部/未露光部の溶解性の差を一定に保つのは難しく、十分な加熱が行われない場合には現像液により露光部まで溶解してしまし、逆に加熱温度が高すぎる場合には未露光部が部分的に不溶化して現像が十分に行われず、非画像部に汚れが発生するといった事態を引き起こす懸念があった。
これら課題に対し、加熱処理及びオーバーコート層を必要としない、走査露光可能な感光性平版印刷版が提案されているが(例えば、特許文献5参照。)、この記録層は感度が不十分であった。
また、複数の平版印刷版原版を保存・運搬・搬送するには、該平版印刷版原版を積層させて積層体として行なわれることが多い。しかし、積層体を運搬する際、積層体をCTPセッター露光時に、オートローダにより搬送する際、積層体から各平版印刷版原版を剥離する際に、1つの平版印刷版原版の表面(記録層側の最表層)と、それと隣接する平版印刷版原版の裏面(支持体裏面)と、の間の摩擦が引き金となって、記録層の表面にキズが発生することがある。このように、記録層にキズが発生すると、その箇所から所望されない硬化反応が生起し、その結果、非画像部において汚れが発生するという問題を有していた。
従来の紫外線硬化型の感光層を有する平版印刷版原版では、保存中に蛍光灯などから放射される紫外線により開始剤の所望されない分解が起こり、非画像部に汚れを生じる問題があり、白灯下での保存、取り扱いに不適切であった。このため、安全光発光スペクトルの付近に主な吸収スペクトルを有する着色剤や吸収スペクトルのピークが400〜700nmの範囲にある化合物を保護層に含有させる技術(例えば、特許文献6、7参照。)や、特定の波長域での反射吸光度を制御した保護層を備える画像形成材料(例えば、特許文献8参照。)などが知られている。一方、赤外線レーザー露光により画像形成する平版印刷版原版では、感光層中の成分として紫外線に安定な化合物を選択することで白灯下での取り扱い性(以下、セーフライト性と称する)が良好な製品も得ることができるが、このような赤外線レーザー対応の画像形成材料において画像の視認性を向上させる目的で通常添加されている種々の着色剤のなかには、紫外域に副吸収を有する着色剤が多く、着色剤が紫外光を吸収し励起電子を発生させる場合があった。このような場合には、赤外線対応の画像形成材料においても、白灯環境下での取り扱いにより着色剤から発生した励起電子により重合開始剤が所望されない重合を開始させ、非画像部に汚れを生じるという問題があり、このような画像形成材料においても実用上、白灯下での安定性は重要な課題である。
このため、セーフライト性に優れ、白灯下で取扱うことができ、且つ、高感度で記録可能な平版印刷版原版が熱望されていた。
特開平7−20629号公報 特開平7−271029号公報 特開平11−212252号公報 特開平11−231535号公報 特開2001−290271公報 特公平7−60268号公報 特開平8−137096号公報 特開平8−248639号公報
上記の問題点を考慮した本発明の目的は、赤外光に高い感光性を有し、耐キズ性及び白灯安全性に優れた平版印刷版原版を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成を有する平版印刷版原版により基本的に達成された。
すなわち、本発明の平版印刷版原版は、 支持体上に、(A)光又は熱によりラジカルを発生する化合物、(B)側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体、(C)ビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマー、及び(D)赤外線吸収剤を含有するネガ型記録層と保護層とを順次備えてなることを特徴とする。
ここで、記録層上に配置される保護層を構成する組成物が、ポリビニルアルコールを30〜90質量%含有することが好ましく、さらに、ポリビニルアルコールよりも酸素遮断性の低い成分を含有すること、具体的には、ビニルピロリドンを含む重合体を5〜70質量%含有することが好ましい態様である。
また、この保護層には、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
なお、ここで、「順次備える」とは、支持体上にネガ型記録層と保護層とが、この順に設けられることを意味し、中間層、バックコート層など、目的に応じて設けられる上記以外の任意の層の存在を否定するものではない。
本発明の作用は明確ではないが以下のように推測される。
本発明の記録層は前記保護層を積層しない場合でも画像形成可能であるが、露光時に酸素が介在すると重合反応が阻害され感度が低下することが懸念され、このため、酸素を遮断する保護層を積層することによってさらなる高感度化が達成できたものと考えられる。同時に保護層が平版印刷版原版を積層して保存する際や、積層体から1枚ずつ搬送される際などに生じるキズの発生を防止する機能を発現し、所望されない非画像部の汚れの発生を効果的に抑制しているものと推測される。
また、本発明の好ましい態様においては、保護層に紫外線吸収剤を適量添加することで、この保護層が記録層の上部にあって紫外線フィルターの機能を有することになり、セーフライト適性の一層の向上を達成するとともに、感光層における着色剤の副吸収による弊害が効果的に抑制されるものと考えられる。保護層に添加する紫外線吸収剤の種類、含有量を調整することで、フィルター効果が向上し、白灯下でも取り扱えるレベルまでその効果を向上させることができた。また、一般的には、紫外線吸収剤の存在によりその構造によっては、記録層中に存在する重合性化合物に所望されない重合反応を生じさせる懸念があるが、本発明の如く構成成分が水溶性である保護層に紫外線吸収剤を添加しても、隣接する記録層が水不溶性であることから、記録層へこれらの成分が混入することがないため、前記のような懸念なく、使用する紫外線吸収剤の種類や添加量を任意に選択しうるという利点をも有するものである。
本発明によれば、赤外光に高い感光性を有し、耐キズ性かつ白灯安全性に優れた平版印刷版原版を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[平版印刷版原版]
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、(A)光又は熱によりラジカルを発生する化合物、(B)側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体、(C)ビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマー、及び(D)赤外線吸収剤を含有するネガ型記録層と保護層とを順次積層してなることを特徴とする。
本発明の平版印刷版原版の記録層においては、(D)赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱及び/又は光により、(A)光又は熱によりラジカルを発生する化合物からラジカルが発生する。そして、発生したラジカルを開始剤として、(C)ビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマーの重合反応が連鎖的に生起し、硬化する。また、本発明においては、バインダーポリマーとして(B)ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体を用いているため、発生したラジカルによりスチリルラジカルが生成し、スチリルラジカル同士で再結合し、効果的に架橋を行うため、形成された皮膜は疎水的な特性を有し、耐現像性に優れた表面を得られることから優れた特性の硬化皮膜を形成しうるという機能を有している。
以下、平版印刷版原版のネガ型記録層に含有される各成分について順次説明する。
〔(B)ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体〕
まず、本発明の重要な成分である(B)ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体について説明する。
本発明において、バインダーポリマーとして用いられる、ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体(以下、適宜、特定重合体と称する。)とは、ビニル基が置換したフェニル基が直接若しくは連結基を介して主鎖と結合したものである。該連結基としては、特に限定されず、任意の基、原子、又はそれらの複合した基が挙げられる。また、前記フェニル基は、当該ビニル基の他に、置換可能な基若しくは原子で置換されていてもよく、導入可能な置換基又は原子としては、具体的には、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基などが挙げられる。
さらに、前記ビニル基は、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良い。
上記した、ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体とは、さらに詳細には、下記一般式(1)で表される基を側鎖に有する重合体である。
Figure 2005092040
一般式(1)中、Z1は連結基を表し、R1、R2、及びR3は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等を表し、さらにこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。R4は置換可能な基又は原子を表す。nは0又は1を表し、m1は0〜4の整数を表し、k1は1〜4の整数を表す。
一般式(1)で表される基についてさらに詳細に説明する。Z1で表される連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R5)−、−C(O)−O−、−C(R6)=N−、−C(O)−、スルホニル基、下記に示す基、及び複素環構造等の単独若しくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR5及びR6は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。上記した連結基は、さらに、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
Figure 2005092040
1で表される連結基を構成する複素環構造としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらの複素環構造はさらに、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。
また、R4で表される置換可能な基又は原子としては、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、これらの基又は原子は、さらに、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。
下記一般式(1)で表される基の具体例(K−1)〜(K−20)を以下に示すが、これらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
上記一般式(1)で表される基の中でも、下記に示す構造を有するものが好ましい。即ち、一般式(1)におけるR1及びR2が水素原子で、R3が水素原子若しくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であるものが好ましい。さらに、Z1で表される連結基としては、複素環構造を含むものが好ましく、k1は1又は2であるものが好ましい。
本発明における特定重合体は、アルカリ性水溶液に可溶性を有することが好ましい態様である。そのため、本発明における特定重合体は、ビニル基が置換したフェニル基(より詳細には、上記一般式(1)で表される基)を有するモノマーに加え、カルボキシル基含有モノマーを共重合成分として含む共重合体であることが特に好ましい。
この場合、共重合体組成におけるビニル基が置換したフェニル基(一般式(1)で表される基)を有するモノマーの割合としては、全組成100質量%中に対して、1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、10質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがさらに好ましい。これ以下の割合では、その導入の効果が認められない場合がある。また、95質量%以上含まれる場合においては、共重合体がアルカリ水溶液に溶解しない場合がある。
さらに、共重合体中におけるカルボキシル基含有モノマーの割合は、同じく5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、これ以下の割合では共重合体がアルカリ水溶液に溶解しない場合がある。
共重合成分として用いられるカルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレンなどのモノマーのような例が挙げられる。
また、これらの特定共重合体を構成する共重合成分として、側鎖に安息香酸を含有するポリアセタール、カルボキシベンズアルデヒド変性ポリビニルアルコールなどを含むものなども好ましく挙げられる。
本発明におけるビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体は、カルボキシル基を有するモノマー以外にも共重合体中に他のモノマー成分を導入して多元共重合体としてもよい。こうした場合に、共重合体中に組み込むことができ得るモノマーとしては、例えば、
スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルボキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類;
メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはメタクリル酸アルキルアリールエステル類;
メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類;
メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基を含有するメタクリル酸エステル類;
これらのメタクリル酸エステル類に対応するアクリル酸エステル類;
ビニルホスホン酸等のリン酸基を有するモノマー類;
アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基を有するモノマー類;
ビニルスルホン酸及びその塩、アリルスルホン酸及びその塩、メタリルスルホン酸及びその塩、スチレンスルホン酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類;
4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類;
4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等の4級アンモニウム塩基を有するモノマー類;
アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド誘導体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、
メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
その他、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等の各種モノマーを、適宜、使用することができる。
これらのモノマーの共重合体中に占める割合としては、先に述べた共重合体組成中における一般式(1)で表される基を有するモノマー及びカルボキシル基含有モノマーの好ましい割合が保たれている限りにおいて任意の割合で導入することができる。
上記のような重合体の分子量については好ましい範囲が存在し、重量平均分子量で1000から100万の範囲であることが好ましく、1万から30万の範囲にあることが特に好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表される基を側鎖に有する重合体の例を下記に示す。構造式中の数字は、共重合体の全組成100質量%中における各繰り返し単位の質量%を表す。
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
本発明に使用されるバインダーポリマーとしての(B)特定重合体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらバインダーポリマーは、画像部の強度(膜性、膜強度)や画像形成性の観点から、ネガ型記録層の全固形分に対し10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%の割合で添加される。
また、本発明における(B)特定重合体は、効果を損なわない範囲において、従来公知の他のバインダーポリマーと混合して用いることもできる。
〔(A)光又は熱によりラジカルを発生する化合物(ラジカル発生剤)〕
本発明に用いられる光又は熱によりラジカルを発生する化合物(以下、適宜、ラジカル発生剤と称する。)とは、光、熱あるいはその双方によるエネルギー付与によりラジカルを発生し得る化合物であれば、如何なる化合物を用いることができる。
ラジカル発生剤としては、例えば、有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換された化合物(例えば、トリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物として、s−トリアジン化合物及びオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。)、ヘキサアリールビスイミダゾール、チタノセン化合物、ケトオキシム化合物、チオ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。
これらのラジカル発生剤の中でも、特に有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換化合物が好ましく用いられ、さらに好ましい態様としては、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物を組み合わせて用いる態様が挙げられる。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式(2)で表される。
Figure 2005092040
一般式(2)中、R11、R12、R13及びR14は、各々同じであっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R11、R12、R13及びR14の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンと同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオン、オニウムイオン及びカチオン性増感色素が挙げられる。
オニウムイオンとしては、アンモニウムイオン、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオン及びホスホニウムイオンが挙げられる。
有機ホウ素塩として、有機ホウ素アニオンとアルカリ金属イオン又はオニウムイオンとの塩を用いる場合には、別に増感色素を添加することで、色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与することが行われる。本発明の平版印刷版原版は赤外線感光性の記録層を有するため、後述する(D)赤外線吸収剤が増感色素として用いられる。
また、有機ホウ素塩として、カチオン性増感色素の対アニオンを有機ホウ素アニオンとした塩を用いる場合には、該カチオン性増感色素の吸収波長に応じて感光性が付与される。しかし、後者の場合は、さらに、アルカリ金属イオン又はオニウムイオンと有機ホウ素アニオンとの塩を併せて含有するのが好ましい。
本発明に係わる好ましい様態の一つとして、有機ホウ素塩をラジカル開始剤として用い、さらにこれを増感する色素を併せて含む感光性組成物を記録層に用いる態様が挙げられる。この組み合わせで用いられる場合の有機ホウ素塩自体は、可視光から赤外光の波長領域に感光性を示さず、本発明における(D)赤外線吸収剤の如き増感色素の添加によって初めてこうした波長領域の光に感光性を示すものである。
本発明に用いられる有機ホウ素塩としては、上記一般式(2)で表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオン及びオニウムイオンが好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとオニウムイオンとの塩であり、具体的には、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。
特に好ましい有機ホウ素塩の具体例(BC−1)〜(BC−6)を下記に示す。
Figure 2005092040
Figure 2005092040
本発明における他の好ましいラジカル発生剤として、トリハロアルキル置換化合物が挙げられる。トリハロアルキル置換化合物とは、具体的には、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物として、s−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物の特に好ましい具体例(T−1)〜(T−15)、及び、トリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい具体例(BS−1)〜(BS−10)を下記に示す。他の好ましいラジカル発生剤としてトリハロアルキル置換化合物が挙げられる。
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
本発明における他の好ましいラジカル発生剤として、有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、クメンヒドロペルオキシド、第3ブチルヒドロペルオキシド、ジクロルペルオキシド、ジ第3ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、及び下記に示す構造を有する化合物等が挙げられる。
Figure 2005092040
上記(A)ラジカル発生剤の含有量は、先に述べた(B)ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体に対して、1〜100質量%の範囲で含まれることが好ましく、さらには1〜40質量%の範囲で含まれることが好ましい。
〔(C)ビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマー〕
本発明において、重合性化合物として用いられる、ビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマー(以下、特定モノマーと称する。)は、前述した(A)ラジカル発生剤より発生するラジカルにより生成するスチリルラジカル同士の再結合により効果的に架橋を行うため、高感度で加熱処理を必要としないネガ型記録層を作成することができる。
本発明における特定モノマーは、代表的には、下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2005092040
一般式(3)中、Z2は連結基を表し、R21、R22及びR23は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、さらにこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。R24は置換可能な基又は原子を表す。m2は0〜4の整数を表し、k2は2以上の整数を表す。
一般式(3)で表される化合物についてさらに詳細に説明する。Z2の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R5)−、−C(O)−O−、−C(R6)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環構造、及びベンゼン環構造等の単独若しくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR5及びR6は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。さらに、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
2で表される連結基を構成する複素環構造としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらの複素環構造はさらに、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。
また、R24で表される置換可能な基又は原子としては、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、これらの基又は原子は、さらに、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。
上記一般式(3)で表される化合物の中でも、下記に示す構造を有するものが好ましい。即ち、一般式(3)におけるR21及びR22は水素原子で、R23は水素原子若しくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)で、k2は2〜10の整数である化合物が好ましい。
以下に一般式(3)で表される化合物の具体例(C−1)〜(C−11)を示すが、これらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
本発明に使用される重合性化合物としての(C)特定モノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記した特定モノマーの添加量は、前記(B)ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体(バインダーポリマー)1質量部に対して、0.01質量部から10質量部の範囲で含まれることが好ましく、さらに0.05質量部から1質量部の範囲で含まれることが特に好ましい。
また、本発明における(C)特定モノマーは、効果を損なわない範囲において、従来公知の他の重合性化合物と混合して用いることもできる。
〔(D)赤外線吸収剤〕
本発明に用いられる赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能及び励起電子を発生する機能を有している。赤外線吸収剤が光を吸収した際、前記(A)ラジカル発生剤が分解し、ラジカルを発生する。
本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
好ましく用いられる赤外線吸収剤としての染料の具体例(S−1)〜(S−14)を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
また、ここで例示した赤外線吸収剤(カチオン性増感色素)の対アニオンを、前述したように、有機ホウ素アニオンに置換した赤外線吸収剤も同様に用いることができる。
これらの染料は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
赤外線吸収剤としての染料の含有量は、ネガ型記録層1m2当たり、3〜300mg程度が適当である。好ましくは10〜200mg/m2である。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。この好ましい粒径の範囲において、ネガ型記録層塗布液中における顔料の優れた分散安定性が得られ、また、均一なネガ型記録層が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤としての顔料は、ネガ型記録層中における均一性や感光層の耐久性の観点から、ネガ型記録層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
本発明における平版印刷版原版のネガ型記録層には、以上の必須成分(A)〜(D)の他に、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましいその他の成分に関し例示する。
〔重合禁止剤〕
本発明におけるネガ型記録層においては、ネガ型記録層の製造中或いは保存中において、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、即ち、(C)特定モノマー(重合性化合物)の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程でネガ型記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
〔着色剤〕
さらに、本発明におけるネガ型記録層には、その着色を目的として染料若しくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、染料、顔料の使用が好ましい。具体例としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。着色剤としての染料及び顔料の添加量は全組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。染料の場合、対アニオンとしてハロゲンイオンを含まないものが好ましい。
〔その他の添加剤〕
上記重合性組成物はさらに目的に応じて、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト等の酸素除去剤や還元剤、退色防止剤、界面活性剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、帯電防止剤やその他種々の特性を付与する添加剤を希釈溶剤等と混合して使用してもよい。
また、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、その他可塑剤、ネガ型記録層表面のインク着肉性を向上させ得る感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、(B)特定重合体(バインダーポリマー)と(C)特定モノマーとの合計質量に対し、一般的に10質量%以下の範囲で添加することができる。
また、所望により実施される膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するために、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加を行うことができる。
さらに、重合を促進する目的で、アミンやチオール、ジスルフィド等に代表される重合促進剤や連鎖移動剤等を添加することができる。それらの具体例としては、例えば、N−フェニルグリシン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルアニリンなどが挙げられる。
本発明において、ネガ型記録層を塗設する際には、該ネガ型記録層成分を種々の有機溶剤に溶かして、後述する支持体又は中間層上に塗布される。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、ジオキサンなどがある。これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
前記ネガ型記録層の被覆量(厚さ)は、主に、ネガ型記録層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響し得るもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。
本発明の主要な目的である走査露光用平版印刷版原版としては、耐刷性、感度等の観点から、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
(ネガ型記録層の物性)
なお、本発明におけるネガ型記録層の物性としては、pH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、該アルカリ現像液の露光部における浸透速度が100nF/sec以下であることが好ましい。
なお、ここで、pH10〜13.5のアルカリ現像液による現像速度とは、ネガ型記録層の膜厚(m)を現像に要する時間(sec)で除した値であり、アルカリ現像液の浸透速度とは、導電性支持体上に前記ネガ型記録層を製膜し、現像液に浸漬した場合の静電容量(F)の変化速度を示す値である。
以下に、本発明における「アルカリ現像液に対する現像速度」及び「アルカリ現像液の浸透速度」の測定方法について詳細に説明する。
[アルカリ現像液に対する現像速度の測定]
ここで、ネガ型記録層のアルカリ現像液に対する現像速度とは、ネガ型記録層の膜厚(m)を現像に要する時間(sec)で除した値である。
本発明における現像速度の測定方法としては、図1に示すように、アルミニウム支持体上に未露光のネガ型記録層を備えたものをpH10〜13.5の範囲の一定のアルカリ現像液(30℃)中に浸漬し、ネガ型記録層の溶解挙動をDRM干渉波測定装置で調査した。図1に、ネガ型記録層の溶解挙動を測定するためのDRM干渉波測定装置の概略図を示す。本発明においては、640nmの光を用い干渉により膜厚の変化を検出した。現像挙動がネガ型記録層表面からの非膨潤的現像の場合、膜厚は現像時間に対して徐々に薄くなり、その厚みに応じた干渉波が得られる。また、膨潤的溶解(脱膜的溶解)の場合には、膜厚は現像液の浸透により変化するため、きれいな干渉波が得られない。
この条件において測定を続け、ネガ型記録層が完全に除去され、膜厚が0となるまでの時間(現像完了時間)(s)と、ネガ型記録層の膜厚(μm)より、現像速度を以下の式により求めることができる。この現像速度が大きいものほど、現像液により容易に膜が除去され、現像性が良好であると判定する。
(未露光部の)現像速度=〔ネガ型記録層厚(μm)/記録完了時間(sec)〕
[アルカリ現像液の浸透速度の測定]
また、アルカリ現像液の浸透速度とは、導電性支持体上に前記ネガ型記録層を製膜し、現像液に浸漬した場合の静電容量(F)の変化速度を示す値である。
本発明における浸透性の目安となる静電容量の測定方法としては、図2に示すように、pH10〜13.5の範囲の一定のアルカリ現像液(28℃)中にアルミニウム支持体上に所定の露光量にて露光を行ない、硬化したネガ型記録層を備えたものを一方の電極として浸漬し、アルミニウム支持体に導線をつなぎ、他方に通常の電極を用いて電圧を印加する方法が挙げられる。電圧を印加後、浸漬時間の経過に従って現像液が支持体とネガ型記録層との界面に浸透し、静電容量が変化する。
この静電容量が変化するまでにかかる時間(s)と、ネガ型記録層の膜厚(μm)より以下の式により求めることができる。この浸透速度が小さいものほど、現像液の浸透性が低いと判定する。
(露光部の)現像液浸透速度=
〔ネガ型記録層厚(μm)/静電容量変化が一定になるまでに要する時間(s)〕
本発明におけるネガ型記録層の好ましい物性としては、上記測定によるpH10〜13.5のアルカリ現像液による未露光部の現像速度が、好ましくは80〜400nm/secであり、同様のアルカリ現像液のネガ型記録層に対する浸透速度は90nF/sec以下であることが好ましい。また、上記測定によるpH10〜13.5のアルカリ現像液による未露光部の現像速度が、さらに好ましくは90〜200nm/secであり、同様のアルカリ現像液のネガ型記録層に対する浸透速度は80nF/sec以下であることが好ましい。現像速度の上限値、或いは、浸透速度の下限値には、特に制限はないが、両者のバランスを考慮するに、未露光部の現像速度は90〜200nm/secの範囲であることがより好ましく、アルカリ現像液のネガ型記録層に対する浸透速度は80nF/sec以下であることが好ましい。
ネガ型記録層の未露光部の現像速度や硬化後のネガ型記録層に対するアルカリ現像液の浸透速度の制御は、常法により行うことができるが、代表的なものとしては、未露光部の現像速度の向上には、親水性の化合物の添加が有用であり、露光部への現像液浸透抑制には、疎水性の化合物の添加する手段が有用である。
上述の本発明に係るネガ型記録層を構成する各成分の含有量などを調整することで、ネガ型記録層の現像速度、現像液の浸透速度を容易に上記の好ましい範囲に制御することができ、また、この物性値の範囲とすることが好ましい。
〔保護層〕
本発明の平版印刷版原版においては、前記記録層上に保護層を設けることを必須とする。
ここで、本発明に用いられる保護層について説明する。
この保護層は、感度及び白灯下での取り扱い性の観点から、ポリビニルアルコール(PVA)を重量比で30質量%〜90質量%の範囲内で含有することを特徴とする。ポリビニルアルコールは、酸素遮断性が著しく高く、かつ水溶性であるために塗設や除去が容易であるという非常に優れた性能を持っているため、本発明に係る保護層のほぼ100%近い割合で使用されている。
このような保護層のもつ特性と本発明の平版印刷版原版のネガ型記録層に与える作用機構は必ずしも明確ではないが、白色光照射で生じる微量のラジカルを、保護層を透過して記録層へ進入した大気中の酸素が効果的にクエンチするため、カブリ(光照射による所望されない非画像部における硬化反応による現像残り)を防ぎ、記録層を安定化することによるものと推定される。つまり、保護層の酸素遮断性が高すぎると白色光照射で生じる微量のラジカルが生き残って非画像部の残膜をまねき、逆に、保護層の酸素遮断性が低すぎると記録層へ進入した酸素が必要なラジカルをもクエンチしてしまい、画像における光重合反応の進行を妨げる事態をまねく懸念がある。
そこで、本発明に係る保護層においては、微量のラジカルをクエンチする程度に、保護層からの酸素の進入量を制御している。即ち、保護層を構成する組成物の主たる成分として酸素遮断性の高いポリビニルアルコールを用い、さらに、ポリビニルアルコールより酸素遮断性の低い樹脂を併用して制御を行うことが好ましい。このような観点からは、保護層を構成する組成物中におけるポリビニルアルコールの含有量は30〜90質量%の範囲であることが好ましい。併用しうる他の樹脂としては、実際的には、現在日常的に使用されている樹脂の中では、ポリビニルアルコールが最も酸素遮断性が高いので、これに併用される樹脂は公知のものがいずれも用いることができるが、併用しうる樹脂については後に詳細に説明する。
本発明の保護層に用いられるポリビニルアルコールは、その種類は特に限定されないが、鹸化度としては60mol%〜100mol%のものが好ましく、さらに好ましくは鹸化度が70mol%〜100mol%、特に好ましくは鹸化度が80mol%〜100mol%のものである。
具体的には、例えばNK−05、KP−06,KP−08,KL−05,KM−11,KH−17、KH−20、GL−03,GL−05,GM−14,GH−17,GH−20、GH−23,AL−06、AH−17、AH−26,NL−05,NM−11,NM−14、N−300,NH−20、NH−26(いずれも商品名、日本合成化学工業株式会社製)等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコールは変性体であってもよく、例えば、カルボキシル基変性タイプ、カチオン変性タイプ、アセトアセチル変性タイプ、スルホン酸変性タイプ等も本発明に係るポリビニルアルコールに包含される。
具体例としては、T−330H、T−330ST,T−350,T−230,T−215、K−210,Z−200,Z−200H,Z−210,Z−100、F−78(いずれも日本合成化学工業株式会社製)等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコールの全保護層中に占める割合は、30質量%以上〜90質量%の範囲内であることが特に好ましく、さらに好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは45質量%以上である。また、好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは75質量%以下である。
保護層を構成する組成物に含まれるポリビニルアルコール以外の樹脂成分としては、例えば、セルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体などの水溶性高分子、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリアミド、シリコーン等の非水溶性高分子化合物などがあげられる。保護層は、画像形成時に水で除去されることが通常であるので、保護層全体として水溶性となることが好ましく、そのため、ポリビニルアルコールと併用される樹脂も水溶性高分子を含むことが好ましい。さらに好ましくは保護層のポリビニルアルコール以外の樹脂成分のうち50質量%以上が水溶性高分子を含む場合である。
また、さらに、保護層と隣接して設けられるネガ型記録層との接着性は高い方が耐刷性の点で有利であるが、接着性の観点からは、ポリビニルアルコールと併用する樹脂として、ビニルピロリドンを全部もしくはその一部の繰り返し単位構造として含有する水溶性高分子が好ましく、ポリビニルピロリドンやビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体等がその例として挙げられる。
ポリビニルピロリドンを構造単位として含有する水溶性高分子を保護層中に用いる場合、ビニルピロリドン単位構造の総量の全保護層組成物中に占める重量比は特に限定されないが、通常5質量%〜70質量%であり、好ましは10質量%〜65質量%、さらに好ましくは15質量%〜60質量%である。
また、本発明に係る保護層には、さらに紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤とは極大吸収波長が紫外線領域にある化合物が好ましく、300〜420nmに吸収極大を有する化合物がより好ましく、さらに好ましくは、露光に用いる光の透過を実質阻害しない化合物であり、この点では、波長840〜1200nmの範囲には吸収を有さないものが好ましい。本発明における好ましい紫外線吸収剤は350〜400nmに吸収極大を有する染料である。具体例としては、特開昭62−210458号、同63−104046号、同63−103235号、特願昭62−43704号、同62−218648号、特開昭63−306436号、同63−314535号などに記載されている紫外線吸収染料を挙げることができる。
本発明に好ましく用いられる300〜400nmに吸収極大を有する化合物としては、例えばアリール基で置換されたベンゾトリアゾール化合物、4−チアゾリドン化合物、ベンゾフェノン化合物、桂皮酸エステル化合物、ブタジエン化合物、ベンゾオキサゾール化合物さらに紫外線吸収ポリマーを用いることができる。
また、紫外線吸収剤として特に好ましく用いられる紫外線吸収染料としては、下記一般式〔1−a〕、〔1−b〕、〔1−c〕又は〔1−d〕で表される化合物で吸収極大が300〜420nmである化合物が挙げられる。
Figure 2005092040
式〔1−a〕中、R1aは−OX又は−N(X)(Y)で表される原子団であって、X及びYは水素原子、アルキル基、シアノアルキル基、カルボキシアルキル基、スルホアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基又は置換されていてもよいアルキル基或いはそのナトリウム・カリウム塩を表し、R2aとR33aは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、又は前記の−OX基と同様の基を表し、Qは少なくとも一つのハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、又はスルホアルキル基或いはそのナトリウム・カリウム塩で置換されたフェニル基又はスルホアルキル基、スルホアルコキシアルキル基、スルホアルキルチオアルキル基を、またLは置換されていてもよいメチン基を表す。R4aはアルキル基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基或いはアシル置換、非置換のアミノ基を表す。mは整数1又は2を、nは整数0又は1をそれぞれ示す。
Figure 2005092040
式〔1−b〕中R1b、R2b,R3b,R4b及びR5bは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、カルボキシル基又はスルホン基或いはそのナトリウム・カリウム塩を表し、Rはアルキル基又はカルボキシル基を表す。
Figure 2005092040
式〔1−c〕中、R1c及びR2cはアルキル基、置換アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基又はカルボキシル基を表し、R3c及びR4cはスルホン酸基もしくはカルボキシル基で置換されたアルキル基又はスルホン酸基もしくはカルボキシル基又はスルホン酸基で置換されたアリール基或いはそのナトリウム・カリウム塩を表し、Lは置換もしくは未置換のメチン鎖を表す。Mはナトリウム、カリウム又は水素原子を表し、lは0又は1を表す。
Figure 2005092040
式〔1−d〕中、R1d,R2d,R3d,R4dはアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アルキルシアノ基、アルコキシ基及びスルホアルキル基を表す。R5d及びR6dはスルホン酸基、アルキルスルホン酸基を表す。
以下に本発明で好ましく用いられる紫外線吸収染料の具体的化合物例(化合物1−1〜化合物1−27)を示すが本発明がこれに限定されるものではない。
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
Figure 2005092040
これらの染料は保護層に添加するが、保護層が水溶性であることから、用いる紫外線吸収剤もまた、水溶性の化合物であることが好ましい。また、感光層は水不溶性であることから、紫外線吸収剤が隣接する感光層に混入することはなく、紫外線吸収剤により感光層に所望されない影響を与える懸念はない。
このような染料は、紫外線吸収硬化と保護層の膜強度の両立といった観点から、保護層塗布液中に、固形分で5〜40質量%程度添加されることが好ましい。
保護層は、通常、感光層表面におけるキズなどの発生を抑制し、表面を物理的に保護するために設けられているが、本発明の如くラジカル重合性の画像形成機構を有する感光層に適用する場合には酸素遮断層としての役割を持ち、高照度の赤外レーザで露光する場合はアブレーション防止層としての機能を果たす。本発明では、さらにここに紫外線吸収能を付加することで、保存性、白灯下での取扱い性が飛躍的に向上した。
また、保護層に望まれる特性としては、上記以外に、さらに、感光層との密着性に優れる点、露光後の現像工程で容易に除去できる点などが挙げられる。この様な保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層の成分(ポリビニルアルコールの種類や添加量の選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(酸素遮断層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程、酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。
従って、25℃、1気圧下における酸素透過性Aが0.2≦A≦20(ml/m2・day)であることが好ましい。
上記ポリビニルアルコール(PVA)等の(共)重合体の分子量は、2000〜1000万の範囲のものが使用でき、好ましくは2万〜300万範囲のものが適当である。
保護層の他の組成物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を(共)重合体に対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を(共)重合体に対して数質量%添加することができる。
保護層の膜厚は、0.5〜5μmが適当であり、特に0.5〜2μmが好適である。
また、画像部との密着性や耐傷性も、版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を新油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これらの2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、重合層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。
[支持体]
本発明における平版印刷版原版の支持体としては、従来公知の、平版印刷版原版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上等の目的で、適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板はさらに好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
アルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができるが、0.25mm〜0.55mmが好ましい。厚みが0.25mm未満であると取扱い性、特に人手で持ち運びする際に折れが生じる場合があり好ましくない。また、0.55mmを超えるとCTP版の質量が大きくなりCTP露光装置内でジャミングする頻度が高くなり好ましくない。
アルミニウム支持体には適宜必要に応じて後述の支持体表面処理が施されてもよい。もちろん施されなくてもよい。
(粗面化処理)
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。さらに塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。
その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。さらに具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度10A/dm2〜50A/dm2の条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の中心線平均粗さRaが0.2〜0.7μmであれば、特に方法条件は限定しない。
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理され酸化物層を形成したアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされる。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。さらには第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件は、処理によって作製される陽極酸化皮膜量が0.5〜10.0g/m2、より好ましくは1.0〜5.0g/m2の範囲であり、通常電解液の主成分となる酸の濃度は30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度1〜40A/m2の範囲で直流又は交流電解によって処理されることが好ましい。
前記支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2〜40mg/m2、より好ましくは4〜30mg/m2で形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、又はポリビニルホスホン酸が1〜30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
前記親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、さらに好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水化処理を組合せた表面処理も有用である。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に前記ネガ型記録層と保護層を備えることを要するが、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて他の任意の層、例えば、中間層、バックコート層などを設けることができる。
[中間層(下塗り層)]
本発明における平版印刷版原版には、ネガ型記録層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層(下塗り層)を設けてもよい。このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特願平8−225335号、特願平8−270098号、特願平9−195863号、特願平9−195864号、特願平9−89646号、特願平9−106068号、特願平9−183834号、特願平9−264311号、特願平9−127232号、特願平9−245419号、特願平10−127602号、特願平10−170202号、特願平11−36377号、特願平11−165861号、特願平11−284091号、特願2000−14697号等に記載のものを挙げることができる。
[バックコート層]
本発明における平版印刷版原版には、支持体の裏面に、必要に応じて、バックコート層が設けられてもよい。かかるバックコート層としては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
これらの被覆層のうち、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから与られる金属酸化物の被覆層が耐現像性に優れており特に好ましい。
<製版>
本発明における平版印刷版原版を製版するために、少なくとも、露光及び現像のプロセスが行われる。
本発明における平版印刷版原版を露光する光源としては、赤外線レーザーが好適なものとして挙げられ、また、紫外線ランプやサーマルヘッドによる熱的な記録も可能である。
中でも、本発明においては、波長750nmから1400nmの赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーにより画像露光されることが好ましい。レーザーの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。平版印刷版原版に照射されるエネルギーは10〜300mJ/cm2であることが好ましい。露光のエネルギーが低すぎるとネガ型記録層の硬化が十分に進行しない。また、露光のエネルギーが高すぎるとネガ型記録層がレーザーアブレーションされ、画像が損傷することがある。
本発明における露光は光源の光ビームをオーバーラップさせて露光することができる。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が0.1以上であることが好ましい。
本発明に使用する露光装置の光源の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
本発明における平版印刷版原版においては、現像工程の前に、保護層を除去するプレ水洗を行ってもよい。プレ水洗は、例えば、平版印刷版原版の保護層表面にスプレーパイプから水が吐出され、かかる保護層が湿潤した後、ブラシローラによって除去されるという方法で行なわれる。プレ水洗には、例えば、水道水が用いられる。また、現像工程が自動現像機により行なわれる場合には、該自動現像機内においてプレ水洗工程が行なわれてもよい。
本発明における平版印刷版原版は、露光された後、そのまま、又は、プレ水洗工程を経た後、現像処理される。かかる現像処理に使用される現像液としては、pH14以下のアルカリ水溶液が特に好ましく、より好ましくはアニオン系界面活性剤を含有するpH8〜12のアルカリ水溶液が使用される。例えば、第三リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は、単独若しくは2種以上を組み合わせて用いられる。
また、本発明における平版印刷版原版の現像処理においては、現像液中にアニオン界面活性剤1〜20質量%加えるが、より好ましくは、3〜10質量%で使用される。少なすぎると現像性が悪化し、多すぎると画像の耐摩耗性などの強度が劣化するなどの弊害が出る。アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコールサルフェートのナトリウム塩、ラウリルアルコールサルフェートのアンモニウム塩、オクチルアルコールサルフェートのナトリウム塩、例えば、イソプロピルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、イソブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、ポリオキシエチレングリコールモノナフチルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、メタニトロベンゼンスルホン酸のナトリウム塩などのようなアルキルアリールスルホン酸塩、第2ナトリウムアルキルサルフェートなどの炭素数8〜22の高級アルコール硫酸エステル類、セチルアルコールリン酸エステルのナトリウム塩などの様な脂肪族アルコールリン酸エステル塩類、例えば、C1733CON(CH3)CH2CH2SO3Naなどのようなアルキルアミドのスルホン酸塩類、例えば、ナトリウムスルホコハク酸ジオクチルエステル、ナトリウムスルホコハク酸ジヘキシルエステルなどの二塩基性脂肪族エステルのスルホン酸塩類などが含まれる。
また、必要に応じてベンジルアルコール等の水と混合するような有機溶媒を現像液に加えてもよい。有機溶媒としては、水に対する溶解度が約10質量%以下のものが適しており、好ましくは5質量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニルプロパノール、1,4−フェニルブタノール、2,2−フェニルブタノール、1,2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール及び3−メチルシクロヘキサノール等を挙げることができる。有機溶媒の含有量は、使用時の現像液の総質量に対して1〜5質量%が好適である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶媒の量が増すにつれ、アニオン界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これはアニオン界面活性剤の量が少ない状態で、有機溶媒の量を多く用いると有機溶媒が溶解せず、従って良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
また、さらに必要に応じ、消泡剤及び硬水軟化剤のような添加剤を含有させることもできる。硬水軟化剤としては、例えば、Na227、Na533、Na339、Na24P(NaO3P)PO3Na2、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、アミノポリカルボン酸類(例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩)、他のポリカルボン酸類(例えば、2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2一ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩など)、有機ホスホン酸類(例えば、1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリメチレンホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩など)を挙げることができる。このような硬水軟化剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させられる。
さらに、自動現像機を用いて、平版印刷版原版を現像する場合には、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。この場合、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も好ましい。
このようにして現像処理された平版印刷版原版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理されてもよい。本発明における平版印刷版原版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
本発明における平版印刷版原版の製版においては、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱、若しくは、全面露光を行うことが有効である。
現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができるが、十分な画像強化作用が得られ、且つ、支持体や画像部における熱による損傷を抑制するといった観点から、通常は加熱温度が200〜500℃の範囲で実施される。
以上の処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
なお、本発明の平版印刷版原版より得られた平版印刷版においては、連続的な印刷工程の途上において、版上の汚れを除去する目的でプレートクリーナーによる清拭を行うことができる。ここで使用するプレートクリーナーとしては、従来公知のPS版用プレートクリーナーを使用することができ、具体的には、例えば、CL−1,CL−2,CP,CN−4,CN,CG−1,PC−1,SR,IC(いずれも、富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
以下、本発明を以下の実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
まず、本発明に用いられる(B)ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体、及び、(C)ビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマーの代表的な化合物の合成例を以下に示す。
[合成例1:(B)特定重合体(P−1)の合成例]
ビスムチオール(2,5−ジメルカプト−1,3−4−チアジアゾール)150gを600mlのメタノール中に懸濁させ、冷却しながらトリエチルアミン101gを徐々に添加し、均一な溶液を得た。室温下に保ちながらp−クロロメチルスチレン(セイミケミカル製、CMS−14)を10分に亘り滴下し、さらに3時間攪拌を続けた。反応生成物が次第に析出し、攪拌後に氷浴に移し内温を10℃まで冷却した後、吸引濾過により生成物を分離した。メタノールにより洗浄を行い、真空乾燥器内で1昼夜乾燥することで収率75%で下記に示す化合物(モノマー)を得た。
Figure 2005092040
上記のモノマー40gを、攪拌機、窒素導入管、温度計、還流冷却管を備えた1リッター4ツ口フラスコ内にとり、メタクリル酸70g及びエタノール200ml、蒸留水50mlを加え、攪拌しながら水浴上でトリエチルアミン110gを添加した。窒素雰囲気下で内温を70℃になるよう加熱し、この温度でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1g添加し、重合を開始した。6時間加熱攪拌を行い、その後重合系を室温まで冷却した。一部(を取り出し、希塩酸を加えてpHを3程度に調整し、これを水中にあけることで下記に示す構造の重合体(ポリマー)を得た。
Figure 2005092040
上記の重合体の一部を取り出した残りの重合体溶液中に、1,4−ジオキサン100g及びp−クロロメチルスチレンを23g加え、室温でさらに15時間攪拌を続けた。その後、濃塩酸(35〜37%水溶液)80〜90gを加え、系のpHが4以下になったことを確認後、3リッターの蒸留水中に全体を移した。析出した重合体を濾過により分離し、蒸留水にて洗浄を繰り返した後、真空乾燥器内で1昼夜乾燥した。これにより、収率90%で目的とする(B)特定重合体(P−1)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定により、重量平均分子量9万(ポリスチレン換算)の重合体であり、さらに、プロトンNMRによる解析により(B)特定重合体(P−1)の構造を支持するものであった。
[合成例2:(C)特定モノマー(C−5)の合成例]
チオシアヌル酸89gをメタノール1.5リッターに懸濁し、冷却しながら水酸化カリウム84gを溶解した30%水溶液を徐々に加え、均一な溶液を得た。これに、室温下でp−クロロメチルスチレン230gを内温が40℃を越えないよう徐々に滴下した。添加後まもなく生成物が析出してくるが攪拌を続け、3時間攪拌を行った後に吸引濾過により生成物を分離した。メタノールにより洗浄を行い、真空乾燥器内で一昼夜乾燥を行った後、90%の収率で(C)特定モノマー(C−5)を得た。
(実施例1〜9)
[支持体の作成]
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、以下に示す表面処理を行った。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26wt%、アルミニウムイオン濃度6.5wt%、温度70℃でエッチング処理を行い、アルミニウム板を5g/m2溶解した。その後水洗を行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)、温度30℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で250C/cm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後水洗を行った。
(d)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26wt%、アルミニウムイオン濃度6.5wt%でスプレーによるエッチング処理を35℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後水洗した。
(e)温度60℃の硫酸濃度25wt%水溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(f)硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)、温度33℃、電流密度が5(A/dm2)で、50秒間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。この時の陽極酸化皮膜質量が2.7g/m2であった。
このようにして得られたアルミニウム支持体の表面粗さRaは、Ra=0.27(測定機器;東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径2ミクロンメーター)であった。
[ネガ型記録層の形成]
次に、下記記録層塗布液を調整し、上記の表面処理を施したアルミニウム支持体に、乾燥後の厚みが1.4μmになるように塗布し、70℃の乾燥器内で5分間乾燥を行い、記録層を形成した。
<記録層塗布液>
・特定重合体(P−1) 〔(B)成分〕 10重量部
・光ラジカル発生剤(BC−6)〔(A)成分〕 3重量部
・光ラジカル発生剤(T−4)〔(A)成分〕 1重量部
・特定モノマー(C−5)〔(C)成分〕 3.5重量部
・増感色素(S−34)〔(D)成分〕 0.5重量部
・エチルバイオレットのクロライド塩 0.3重量部
・ジオキサン 70重量部
・シクロヘキサノン 20重量部
[保護層]
上記の記録層表面に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500)、ポリビニルピロリドン(BASF社製、ルビスコールK−30)及び表1に示す紫外線吸収剤の混合水溶液をワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて125℃75秒間で乾燥させ、保護層を形成して実施例の平版印刷版原版[CTP−1]〜[CTP−9]を得た。なお、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンの合計塗布量(乾燥後の被覆量)は2.3g/m2であった。用いた紫外線吸収剤の種類と添加量は表1に示す通りである。
(比較例1)
実施例1で用いた支持体上に、同様にネガ型記録層を形成した後、保護層を形成しないものを比較例1の平版印刷版原版とした。
[評価]
(感度)
上記のようにして作製した実施例及び比較例の平版印刷版原版[CTP]を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter3244VXにて、解像度175lpiの50%平網画像を外面ドラム回転数120rpm、出力0〜8Wの範囲でlogEで0.15ずつ変化させて露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。
露光後、メタケイ酸ソーダを6質量%溶解した現像液で30℃15秒の現像を行った。現像して得られた平版印刷版の平網画像が50%を示す最小露光エネルギーを感度とし、結果を表1に示した。この数値が小さいほど高感度である。
(セーフライト安全性:白灯安全性)
未露光サンプルを25℃35%RH、白色蛍光灯(三菱電機社製FLR40SW)400Luxの環境で曝光し、感度評価と同条件で現像処理した時、残膜が発生する曝光時間を評価した。この時間が長いほどセーフライト安全性に優れると評価する。
(耐キズ性)
平版印刷版原版[CTP]を、1メートルの高さに積み、10分間振動させたのち、現像を行ない、その際のキズの発生状態を目視にて評価した。評価尺度としては、下記の判定基準が用いられる。なお、露光時の出力を60Wに固定した他は、露光及び現像の条件は上記の通りである。結果を表1に示す。
○:キズが見られない
△:かすかにキズが見られる
×:十分にキズがわかる
Figure 2005092040
表1から明らかなように、実施例1〜9の平版印刷版原版はいずれも、感度、白灯安全性及び耐キズ性の全てにおいて優れていることがわかった。なかでも、保護層中のポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンの含有量が好ましい範囲にあるもの、保護層中に紫外線吸収剤を含有するものが特に優れていることがわかる。これに対し、保護層を有しない比較例1の平版印刷版原版は感度が低く、耐キズ性においては実用上問題があるレベルであることがわかった。
感光層の溶解挙動を測定するためのDRM干渉波測定装置の一例を示す概略構成図である。 現像液の感光層への浸透性を評価するのに用いられる静電容量の測定方法の一例を示す概略構成図である。

Claims (4)

  1. 支持体上に、(A)光又は熱によりラジカルを発生する化合物、(B)側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体、(C)ビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマー、及び(D)赤外線吸収剤を含有するネガ型記録層と保護層とを順次備えてなる平版印刷版原版。
  2. 前記保護層が、ポリビニルアルコールを30〜90質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記保護層が、ビニルピロリドンを含む重合体を5〜70質量%含有することを特徴とする請求項2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記保護層が、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
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