JP2005090312A - エンジン駆動式コンプレッサの容量制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コンプレッサ4を最小容量で運転させる条件での異音(打撃音)の発生を防止する。
【解決手段】 容量制御手段15に、エンジン1の回転速度を検出する回転速度検出手段27を設けると共に、容量制御手段15は、コンプレッサ4の圧縮容量を最小とすべき条件であり、且つ回転速度検出手段27で検出されるエンジン1の回転速度が異音発生回転速度範囲NL〜NHを含む所定の容量増加回転速度範囲にある場合には、コンプレッサ4の圧縮容量を所定容量に増加して運転する。
このトルク変動レベルが上昇して異音が発生する異音発生回転速度範囲NL〜NHを含む所定の容量増加回転速度範囲で、コンプレッサ4の容量を増加させることにより、コンプレッサ4に加わる合成トルクを上昇させてマイナストルクを発生させないようにするものである。よって、コンプレッサ4を最小容量で運転させる条件でも異音の発生を防止することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 容量制御手段15に、エンジン1の回転速度を検出する回転速度検出手段27を設けると共に、容量制御手段15は、コンプレッサ4の圧縮容量を最小とすべき条件であり、且つ回転速度検出手段27で検出されるエンジン1の回転速度が異音発生回転速度範囲NL〜NHを含む所定の容量増加回転速度範囲にある場合には、コンプレッサ4の圧縮容量を所定容量に増加して運転する。
このトルク変動レベルが上昇して異音が発生する異音発生回転速度範囲NL〜NHを含む所定の容量増加回転速度範囲で、コンプレッサ4の容量を増加させることにより、コンプレッサ4に加わる合成トルクを上昇させてマイナストルクを発生させないようにするものである。よって、コンプレッサ4を最小容量で運転させる条件でも異音の発生を防止することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、クラッチを介することなくエンジンにより駆動される可変容量型コンプレッサの容量を制御するエンジン駆動式コンプレッサの容量制御装置に関するものである。
従来、車両用空調装置には、冷媒を圧縮するコンプレッサに可変容量型のものを使用し、エンジン負荷、車室内温度により変化する冷房負荷、または蒸発器直後の空気温度により示される蒸発器のフロスト状態に応じてコンプレッサの容量を制御するようにしたものがある。
この種の装置では、コンプレッサを常時継続して駆動しているため、コンプレッサを一旦停止して再度駆動させるといったON・OFF制御を行う装置に比べ、コンプレッサの駆動力を低減することができ、冷媒を効率良く圧縮することが可能となる。そして、空調装置をOFFしている時や、容量制御運転中でもMIN運転制御時においては、燃費の向上とコンプレッサの内部潤滑のため、コンプレッサは最小容量(例えば0.5〜1%容量)として運転される。
しかしながら、上記のような構成の従来車両においては、トルク変動の大きなディーゼルエンジンや補機類の回転変動によってコンプレッサの回転にも大きな変動が生じて、各摺動部に設けてあるクリアランス部で打撃音のような異音が発生するという問題が生じている。
これに対して、近年は車両の低騒音化という要望があり、各部クリアランスの見直しなどを行って打撃音対策を実施してきたが、まだ完全には解消されていないのが実情である。本発明は、上記従来の問題に鑑みて成されたものであり、コンプレッサを最小容量で運転させる条件での異音の発生を防止することのできるエンジン駆動型コンプレッサの容量制御装置を提供することを目的としている。
本発明は上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項5に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、クラッチを介することなくエンジン(1)により駆動され、冷媒を圧縮して吐出する可変容量型コンプレッサ(4)の、圧縮容量を制御する容量制御手段(4a、15、17)を備えたエンジン駆動式コンプレッサの容量制御装置であり、エンジン(1)の回転速度を低速から高速まで可変させた時に、ある異音発生回転速度範囲(NL〜NH)にて最小容量とした可変容量型コンプレッサ(4)にて異音が生じるものにおいて、
容量制御手段(15)に、エンジン(1)の回転速度を検出する回転速度検出手段(27)を設けると共に、容量制御手段(15)は、可変容量型コンプレッサ(4)の圧縮容量を最小とすべき条件であり、且つ回転速度検出手段(27)で検出されるエンジン(1)の回転速度が異音発生回転速度範囲(NL〜NH)を含む所定の容量増加回転速度範囲にある場合には、可変容量型コンプレッサ(4)の圧縮容量を所定容量に増加して運転することを特徴としている。
容量制御手段(15)に、エンジン(1)の回転速度を検出する回転速度検出手段(27)を設けると共に、容量制御手段(15)は、可変容量型コンプレッサ(4)の圧縮容量を最小とすべき条件であり、且つ回転速度検出手段(27)で検出されるエンジン(1)の回転速度が異音発生回転速度範囲(NL〜NH)を含む所定の容量増加回転速度範囲にある場合には、可変容量型コンプレッサ(4)の圧縮容量を所定容量に増加して運転することを特徴としている。
図5は、エンジン(1)の回転速度とコンプレッサ(4)に加わるトルク変動レベルとの関係の一例を表すグラフである。グラフに示すように、エンジン(1)および補機類によるトルク変動は、低速寄りのある特定の回転速度範囲にピークを持つ特性がある。そして、そのトルク変動があるレベルより大きくなる特定回転速度範囲(異音発生回転速度範囲NL〜NH)においてコンプレッサ(4)の最小容量運転を行うと異音が発生し、それ以外の回転速度範囲では問題ないことが分かる。
また、図8は、従来のコンプレッサ(4)に加わるトルク変動大時の状態を表すグラフである。グラフに示すように、エンジン(1)からコンプレッサ(4)に加えられるトルクが、エンジン(1)や補機類の回転変動によって1回転内で大きく変動するため、コンプレッサ(4)を駆動する上でのトルクと合わせた合成トルクで見ても変動が大きく、周期的にマイナストルクとなる部分(ハッチング部)が有る。このことより、コンプレッサ(4)が瞬間的に逆回しされるような状態となり、クリアランス部でバックラッシュによる打撃音が発生する原因となっていることが分かる。
これに対して、図7は、本発明でのコンプレッサ(4)に加わるトルク変動大時の状態を表すグラフである。グラフに示すように、本発明は、このトルク変動レベルが上昇して異音が発生する回転速度域(異音発生回転速度範囲NL〜NH)を含む所定の容量増加回転速度範囲で、コンプレッサ(4)の容量を増加(コンプレッサ(4)の平均トルクを増加)させることにより、コンプレッサ(4)に加わる合成トルクを上昇させてマイナストルクを発生させないようにするものである。
よって、この請求項1に記載の発明によれば、各クリアランス部の新たな管理を必要とせず、コンプレッサ(4)を最小容量で運転させる条件でも異音(打撃音)の発生を防止することができる。また、動力(燃費)の悪化を最小限とし、且つ高速回転域では蒸発器がフロストする問題も発生しない。ちなみに、容量増加回転速度範囲で設定する所定容量は、例えば1〜30%程度の範囲内で、対象となるエンジンとコンプレッサとを組み合せ、エンジンの回転速度を可変させて異音の発生を確認すると共に、異音を防止することのできる最小容量を実験的に求めて設定することとなる。
また、請求項2に記載の発明では、容量制御手段(15)は、異音発生回転速度範囲(NL〜NH)の上限回転速度(NH)以下の回転速度範囲を所定の容量増加回転速度範囲としたことを特徴としている。この請求項2に記載の発明によれば、エンジン(1)および補機類によるトルク変動が、低速寄りのある特定の回転速度範囲にピークを持つ特性があるため、その異音発生回転速度範囲(NL〜NH)の上限回転速度(NH)以下の回転速度範囲を所定の容量増加回転速度範囲とすることで簡易に異音の発生を防止することができる。
また、請求項3に記載の発明では、容量制御手段(15)は、異音発生回転速度範囲(NL〜NH)を所定の容量増加回転速度範囲としたことを特徴としている。この請求項3に記載の発明によれば、まさに異音が発生する回転速度範囲(NL〜NH)を所定の容量増加回転速度範囲とすることで確実に異音の発生を防止することができる。また、動力の悪化を必要最小限とすることができる。
また、請求項4に記載の発明では、容量制御手段(15)は、異音発生回転速度範囲(NL〜NH)の上下にそれぞれ余裕回転速度幅(ΔN)を見込んで広げた範囲(NL´〜NH´)を所定の容量増加回転速度範囲としたことを特徴としている。この請求項4に記載の発明によれば、エンジン(1)やコンプレッサ(4)の個体ばらつきや、発進時・減速時などにエンジン回転速度が急激に変動しても、確実に異音の発生を防止することができる。
また、請求項5に記載の発明では、所定の容量増加回転速度範囲(NH以下、NL〜NH、NL´〜NH´)以外の回転速度範囲では可変容量型コンプレッサ(4)の圧縮容量を最小とすることを特徴としている。この請求項5に記載の発明によれば、確実に異音の発生を防止することができるうえ、高速回転域ではエバポレータ1のフロストを防止することができる。また、請求項3・4に記載の発明では、出現頻度の高いアイドル運転時には最小容量運転を行うため、動力(燃費)の悪化を最小限とすることができる。尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両用空調装置100の全体システム図である。図1において、1は車両に搭載された走行駆動源である車両エンジンである。エンジン1の出力軸には、駆動プーリ2が設けられており、この駆動プーリ2は、エンジン1の駆動と連動して回転するようになっている。
3は従動プーリであり、駆動プーリ2と従動プーリ3とには、動力伝達部材であるベルト6が巻架されている。4は車両の冷凍サイクル5の構成部品である容量可変型のコンプレッサである。尚、本システムには、通常の動力断続手段としての周知の電磁クラッチはなく、エンジン1によって常時コンプレッサ4が駆動されるが、コンプレッサ4の方で入力側のエンジン回転数と出力側の冷房負荷とに応じて圧縮容量を略0〜100%まで可変するようになっている。
ここで、上記冷凍サイクル5について簡単に説明する。まず図2は、本発明の一実施形態に係る斜板型外部可変容量コンプレッサ4の断面図である。41は、コンプレッサ4の回転軸となるシャフトであり、このシャフト41の図1左端に先の従動プーリ3が接続される。そして、このコンプレッサ4は、ピストン43などの圧縮機構を斜板42の回転にて駆動し、外部から容量制御手段としての電磁式圧力制御弁4a(以下、圧力制御弁)を制御して斜板室44内の圧力を調整することにより、斜板42の傾斜角度を可変して任意の吐出容量に可変可能な斜板型外部可変容量コンプレッサ4を構成している。
冷凍サイクル5は、上記コンプレッサ4の他に、コンプレッサ4にて圧縮された冷媒を、凝縮液化させる凝縮器11、凝縮液化された冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離する受液器12、受液器12からの液相冷媒を減圧膨張させる膨張弁13、減圧された冷媒を蒸発気化させる蒸発器14とからなる周知のものである。
蒸発器14は、車両の車室内(キャビン)を空調する車両用空調装置100の冷却用熱交換器を構成するものである。車両用空調装置100は周知のものであり、簡単に説明すると、車室内への空気通路をなす空調ケース101を有し、空調ケース101内には、空調用送風ファン(ブロワ)102と、上記蒸発器14とが収納配置されている。また、蒸発器14の下流側には、エンジン冷却水を熱源とする周知のヒータコア103や、空調風の温度を調整する周知のエアミックスドア104等が設けられている。
そして、上述のコンプレッサ4は、周知のコンピュータ手段である空調制御装置(以下、ECU)15にて制御されるようになっている。ECU15は、車両の走行を可能とするスイッチ手段であるイグニッションスイッチ16がONされると、図示しない車載バッテリから電力が供給されるようになっている。ECU15には、出力端子として容量制御回路17が接続されている。そして、上記コンプレッサ4の圧力制御弁4aは、ECU15により上記容量制御回路17を通じて制御されるようになっている。そして、これらECU15・容量制御回路17・圧力制御弁4aは、本発明での容量制御手段となっている。
また、ECU15には、入力端子として車室外温度(外気温)を検出する手段である外気温センサ20、車室内温度(内気温)を検出する手段である内気温センサ21、車室内に入射する日射量を検出する手段である日射センサ22、車室内の設定温度を設定する温度設定器23が接続されている。更にECU15には、車速を検出する手段である車速センサ24、温度設定器23からの信号に基づいて車両用空調装置100を自動制御するエアコンスイッチ25、蒸発器14を通過した直後の空気温度(蒸発器後温度)を検出する温度センサ26などが接続されている。
この他にECU15には、本発明に関係する入力端子として、エンジン1の回転速度を検知する回転速度検出手段としての回転数センサ27が接続されている。そして、本実施形態では、上記エアコンスイッチ25がONされている時に、始めて上記コンプレッサ4、上記空調送風ファン102、上記エアミックスドア104などが自動的に駆動制御されるようになっている。
次に、このECU15が実行するメイン制御について、図3に示すフローチャートに沿って説明する。空調装置100の自動制御処理を開始すると、まずステップS1で記憶している数値の初期化の処理を行う。次にステップS2で、車両乗員が温度設定器23でセットした設定温度と、外気温センサ20、内気温センサ21、日射センサ22、温度センサ26、図示しない水温センサ等の各種センサにて検出された温度等を読み込み、補正等の処理を行う。
ステップS3では、ステップS2で入力された温度条件から車室内を設定温度にしてゆく上で必要な吹出風の温度(必要吹出温度)TAOを数式から演算する。ステップS4では、算出された必要吹出温度TAOとブロワ風量(電圧)との関係に基づき、ブロワ102を駆動するモータコントローラの電圧が制御される。
ステップS5では、ステップS3で算出された必要吹出温度TAOと、ステップS2で読み込んだ温度センサ26、図示しない水温センサ等の各熱交換器の状態に基づき、必要吹出温度TAOとするために必要なエアミックスドア104の開度が数式に従って決定され図示しないサーボモータが制御される。
ステップS6では、必要吹出温度TAOと車室内へ吹き出す空気流の吹出モードとの関係を表わす吹出モードパターンデータに基づき、ステップS3で算出された必要吹出温度TAOから吹出モードをフェイスモード、バイレベルモード、フットモードのいずれかに決定され図示しないサーボモータが制御される。ステップS7では、後述するコンプレッサの稼動に関し、圧力制御弁4aが制御される。以上説明したような、図3のフローチャートに示すサイクルを約0.25秒毎に1回の周期で繰り返すことにより空調制御を行っている。
次に、本発明に関する作動について説明する。図4は、本発明の一実施形態における制御内容を表すフローチャートである。イグニッションスイッチ16がONされてエンジン1およびECU15がONされると、上述したメイン制御と併せて本プログラムも実行される。まず、ステップS11では、先のエアコンスイッチ25がONしているか否かを判定する。その判定結果がYESで、エアコンスイッチ25がON、つまりエアコンが起動している場合にはステップS12へと進む。
ステップS12では、冷房負荷などに応じてコンプレッサ4の圧縮容量を最小とする条件であるか否かを判定する。その判定結果がNOで、コンプレッサ4をある圧縮容量で運転しなければならない条件である場合にはステップS13へと進み、通常の容量制御運転を行うものである。
また、ステップS11での判定結果がNOでエアコンスイッチ25がOFF、つまりエアコンが停止している場合、およびステップS12での判定結果がYES、つまりコンプレッサ4の圧縮容量を最小とする条件である場合にはステップS14へと進む。ステップS14では、先の回転数センサ27で検出されるエンジン1の回転速度が、所定の容量増加回転速度範囲にあるか否かを判定する。その判定結果がYES、つまり異音が発生する可能性のある回転速度範囲である場合にはステップS15へと進み、異音防止のためにコンプレッサ4を所定の圧縮容量で運転するものである。また、ステップS14での判定結果がNO、つまり異音が発生する可能性のない回転速度範囲である場合にはステップS16へと進み、動力の悪化を最小限とするために、コンプレッサ4を最小の圧縮容量で運転するものである。
次に、本実施形態での特徴を説明する。まず、クラッチを介することなくエンジン1により駆動され、冷媒を圧縮して吐出する可変容量型コンプレッサ4の、圧縮容量を制御する容量制御手段としてのECU15・容量制御回路17・圧力制御弁4aを備えたエンジン駆動式コンプレッサの容量制御装置であり、エンジン1の回転速度を低速から高速まで可変させた時に、ある異音発生回転速度範囲NL〜NHにて最小容量としたコンプレッサ4にて異音が生じるものにおいて(図5参照)、ECU15に、エンジン1の回転速度を検出する回転数センサ27を設けている。
それと共にECU15は、コンプレッサ4の圧縮容量を最小とすべき条件であり、且つ回転数センサ27で検出されるエンジン1の回転速度が、異音発生回転速度範囲NL〜NHを含む所定の容量増加回転速度範囲にある場合には、コンプレッサ4の圧縮容量を所定容量に増加して運転している。
図5は、エンジン1の回転速度とコンプレッサ4に加わるトルク変動レベルとの関係の一例を表すグラフである。グラフに示すように、エンジン1および補機類によるトルク変動は、低速寄りのある特定の回転速度範囲にピークを持つ特性がある。そして、そのトルク変動があるレベルより大きくなる特定回転速度範囲(異音発生回転速度範囲NL〜NH)においてコンプレッサ4の最小容量運転を行うと異音が発生し、それ以外の回転速度範囲では問題ないことが分かる。
また、図8は、従来のコンプレッサ4に加わるトルク変動大時の状態を表すグラフである。グラフに示すように、エンジン1からコンプレッサ4に加えられるトルクが、エンジン1や補機類の回転変動によって1回転内で大きく変動するため、コンプレッサ4を駆動する上でのトルクと合わせた合成トルクで見ても変動が大きく、周期的にマイナストルクとなる部分(ハッチング部)が有る。このことより、コンプレッサ4が瞬間的に逆回しされるような状態となり、クリアランス部でバックラッシュによる打撃音が発生する原因となっていることが分かる。
これに対して、図7は、本発明でのコンプレッサ4に加わるトルク変動大時の状態を表すグラフである。グラフに示すように、本発明は、このトルク変動レベルが上昇して異音が発生する回転速度域(異音発生回転速度範囲NL〜NH)を含む所定の容量増加回転速度範囲で、コンプレッサ4の容量を増加(コンプレッサ4の平均トルクを増加)させることにより、コンプレッサ4に加わる合成トルクを上昇させてマイナストルクを発生させないようにするものである。
よって、これによれば、各クリアランス部の新たな管理を必要とせず、コンプレッサ4を最小容量で運転させる条件でも異音(打撃音)の発生を防止することができる。また、動力の悪化を最小限とし、且つ蒸発器がフロストする問題も発生しない。ちなみに、容量増加回転速度範囲で設定する所定容量は、例えば1〜30%程度の範囲内で、対象となるエンジンとコンプレッサとを組み合せ、コンプレッサの容量最小状態でエンジンの回転速度を可変させて異音の発生を確認すると共に、異音を防止することのできる最小容量を実験的に求めて設定することとなる。
図6は、図5の関係において、本発明でのエンジンの回転速度に対するコンプレッサ容量の増加範囲のバリエーションを説明する表である。第1案では、ECU15は、異音発生回転速度範囲NL〜NHの上限回転速度NH以下の回転速度範囲を所定の容量増加回転速度範囲としている。これによれば、エンジン1および補機類によるトルク変動が、低速寄りのある特定の回転速度範囲にピークを持つ特性があるため、その異音発生回転速度範囲NL〜NHの上限回転速度NH以下の回転速度範囲を所定の容量増加回転速度範囲とすることで簡易に異音の発生を防止することができる。
また、第2案では、ECU15は、異音発生回転速度範囲NL〜NHを所定の容量増加回転速度範囲としている。これによれば、まさに異音が発生する回転速度範囲NL〜NHを所定の容量増加回転速度範囲とすることで確実に異音の発生を防止することができる。また、動力の悪化を必要最小限とすることができる。
また、第3案では、ECU15は、異音発生回転速度範囲NL〜NHの上下にそれぞれ余裕回転速度幅ΔNを見込んで広げた範囲NL´〜NH´(図5参照)を所定の容量増加回転速度範囲としている。これによれば、エンジン1やコンプレッサ4の個体ばらつきや、発進時・減速時などにエンジン回転速度が急激に変動しても、確実に異音の発生を防止することができる。
また、各案とも、所定の容量増加回転速度範囲(NH以下、NL〜NH、NL´〜NH´)以外の回転速度範囲では可変容量型コンプレッサ4の圧縮容量を最小としている。これによれば、確実に異音の発生を防止することができるうえ、高速回転域ではエバポレータ1のフロストを防止することができる。また、第2・3案では、出現頻度の高いアイドル運転時には最小容量運転を行うため、動力(燃費)の悪化を最小限とすることができる。
尚、冬場のアイドル放置運転によるフロスト防止を考慮すると、アイドル運転時最小容量運転をする第2・3案の方が望ましい。
尚、冬場のアイドル放置運転によるフロスト防止を考慮すると、アイドル運転時最小容量運転をする第2・3案の方が望ましい。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、エンジン1の回転速度が異音発生回転速度範囲NL〜NHを含む所定の容量増加回転速度範囲にある場合には、コンプレッサ4の圧縮容量を所定容量に増加して運転するようになっているが、本発明は、これだけに限定されるものではなく、例えば、エンジン1の回転速度によって変化するトルク変動レベルの大きさや外気温度に対応させてコンプレッサ4の圧縮容量を可変するようにしても良い。また、余裕回転速度幅ΔNも、エンジン回転速度の変化度合いによって可変するようにしても良い。
上述の実施形態では、エンジン1の回転速度が異音発生回転速度範囲NL〜NHを含む所定の容量増加回転速度範囲にある場合には、コンプレッサ4の圧縮容量を所定容量に増加して運転するようになっているが、本発明は、これだけに限定されるものではなく、例えば、エンジン1の回転速度によって変化するトルク変動レベルの大きさや外気温度に対応させてコンプレッサ4の圧縮容量を可変するようにしても良い。また、余裕回転速度幅ΔNも、エンジン回転速度の変化度合いによって可変するようにしても良い。
1…車両エンジン(エンジン)
4…可変容量型コンプレッサ
4a…電磁式圧力制御弁(容量制御手段)
15…空調制御装置、ECU(容量制御手段)
17…容量制御回路(容量制御手段)
27…回転速度検出センサ(回転速度検出手段)
NH…上限回転速度
NL〜NH…異音発生回転速度範囲、所定の容量増加回転速度範囲
NL´〜NH´…所定の容量増加回転速度範囲
ΔN…余裕回転速度幅
4…可変容量型コンプレッサ
4a…電磁式圧力制御弁(容量制御手段)
15…空調制御装置、ECU(容量制御手段)
17…容量制御回路(容量制御手段)
27…回転速度検出センサ(回転速度検出手段)
NH…上限回転速度
NL〜NH…異音発生回転速度範囲、所定の容量増加回転速度範囲
NL´〜NH´…所定の容量増加回転速度範囲
ΔN…余裕回転速度幅
Claims (5)
- クラッチを介することなくエンジン(1)により駆動され、冷媒を圧縮して吐出する可変容量型コンプレッサ(4)の、圧縮容量を制御する容量制御手段(4a、15、17)を備えたエンジン駆動式コンプレッサの容量制御装置であり、
前記エンジン(1)の回転速度を低速から高速まで可変させた時に、ある異音発生回転速度範囲(NL〜NH)にて最小容量とした前記可変容量型コンプレッサ(4)にて異音が生じるものにおいて、
前記容量制御手段(15)に、前記エンジン(1)の回転速度を検出する回転速度検出手段(27)を設けると共に、
前記容量制御手段(15)は、前記可変容量型コンプレッサ(4)の圧縮容量を最小とすべき条件であり、且つ前記回転速度検出手段(27)で検出される前記エンジン(1)の回転速度が前記異音発生回転速度範囲(NL〜NH)を含む所定の容量増加回転速度範囲にある場合には、前記可変容量型コンプレッサ(4)の圧縮容量を所定容量に増加して運転することを特徴とするエンジン駆動式コンプレッサの容量制御装置。 - 前記容量制御手段(15)は、前記異音発生回転速度範囲(NL〜NH)の上限回転速度(NH)以下の回転速度範囲を前記所定の容量増加回転速度範囲としたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン駆動式コンプレッサの容量制御装置。
- 前記容量制御手段(15)は、前記異音発生回転速度範囲(NL〜NH)を前記所定の容量増加回転速度範囲としたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン駆動式コンプレッサの容量制御装置。
- 前記容量制御手段(15)は、前記異音発生回転速度範囲(NL〜NH)の上下にそれぞれ余裕回転速度(ΔN)を見込んで広げた範囲(NL´〜NH´)を前記所定の容量増加回転速度範囲としたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン駆動式コンプレッサの容量制御装置。
- 前記所定の容量増加回転速度範囲(NH以下、NL〜NH、NL´〜NH´)以外の回転速度範囲では前記可変容量型コンプレッサ(4)の圧縮容量を最小とすることを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載のエンジン駆動式コンプレッサの容量制御装置。
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