JP2005089371A - 液晶性分子機械材料及びそれを用いた素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、従来のタイプとは異なる外部応答により分子配向が変化する液晶材料を提供する。具体的には、温度変化、光照射等により外部場を変化させることにより、液晶分子の形状が棒状、円盤状間で変化し、これに応じて液晶相間で相転移し得る液晶材料を提供する。
【解決手段】 平板状分子の周りに棒状メソーゲン基を複数配してなる液晶性化合物であって、該液晶性化合物の全体形状が外部場の変化に応じて棒状と円盤状との間で変化し、それに応じて液晶性化合物の分子配向様式(液晶相)が変化(相転移)することを特徴とする液晶性化合物等に関する。
【選択図】 なし
【解決手段】 平板状分子の周りに棒状メソーゲン基を複数配してなる液晶性化合物であって、該液晶性化合物の全体形状が外部場の変化に応じて棒状と円盤状との間で変化し、それに応じて液晶性化合物の分子配向様式(液晶相)が変化(相転移)することを特徴とする液晶性化合物等に関する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、外部場の変化により分子形状が変化しさらに液晶相が変化する液晶性化合物、該化合物からなる液晶性分子機械材料、及び該液晶性分子機械材料を用いた素子に関する。
今までの液晶材料は分子形状として棒状及び円盤状に大別されており、それによって形成される液晶相すなわち分子配向様式も異なっている。液晶相分類は、コレステリック液晶相、ネマティック液晶相、スメクティック液晶相、ディスコティック液晶相などの特有な規則的分子配列を有する分子配向様式で分類されてきている。
近年、外部場に応答して相転移する新たな機能性液晶を開発する試みが行われている。例えば、液晶分子の一部に光等の外部場に対応して形状が変化する部分を導入し、光応答性の液晶が開発されたという報告例がある(非特許文献1及び2参照)。この報告例によれば、光照射により光応答性液晶分子の形状を非液晶とすることにより、液晶相と液体間の相転移を可逆的に行わせることに成功している。
しかし、外部場の変化により液晶相間で相転移し得る液晶分子に関するもので、棒状と円盤状液晶相の間を可逆的に相転移するものこれまで知られておらず、もちろんそのような挙動を示す液晶分子を用いて液晶の相転移を制御し、異方性という液晶材料としての優れた特性を利用する試みはなされていない。
さらに、近年のナノテクノロジーの台頭に伴って、分子固有の性質をどこまで引き出せるかといった新しい研究開発のステージが到来しており、液晶材料の分野でもフォトクロミック材料の分野でも、新しいコンセプトを創出できるようなブレイクスルーが求められている。
K. Ichimura, Chemical Review, 100, p1847-1873 (2000) T. Ikeda et al, Journal of Materials Chemistry, 13, p2037-57 (2003)
K. Ichimura, Chemical Review, 100, p1847-1873 (2000) T. Ikeda et al, Journal of Materials Chemistry, 13, p2037-57 (2003)
本発明は、従来のタイプとは異なる外部応答により分子配向が変化する液晶材料を提供することを目的とする。具体的には、温度変化、光照射等により外部場を変化させることにより、液晶分子の形状が棒状、円盤状間で変化し、これに応じて液晶相間で相転移し得る液晶材料を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、該液晶材料の個々の分子が集団で外部応答して仕事を行う液晶性分子機械材料、及びそれを用いた素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、平板状分子の周りに棒状メソーゲン基が複数結合した特定の液晶性分子が、外部場の影響を受けて棒状と円盤状の形状を行き来することを見出し、さらに、その現象にともない、液晶状態の配向に対応する物性の異方性を制御し得ることを見出した。これらをさらに発展させることにより本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、平板状分子の周りに棒状メソーゲン基を複数配してなる液晶性化合物であり、該液晶性化合物の全体形状が外部場の変化に応じて棒状と円盤状との間で変化し得る液晶性化合物を提供する。さらに、該液晶性化合物の全体形状が外部場の変化に応じて棒状と円盤状との間で変化し、それに応じて該液晶性化合物の分子配向様式(液晶相)が変化(相転移)する液晶性化合物を提供する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液晶性化合物
本発明の液晶性化合物は、一定条件の下、棒状と円盤状の間で全体形状を変化することができる構造を有している。具体的には、本発明の液晶性化合物は、平板状分子の周りに棒状メソーゲン基を複数配してなり、該液晶性化合物の形状が外部場により変化することよって、分子全体が棒状と円盤状との間で変化することができる。さらにそれに伴って液晶状態の分子配向様式(液晶相)が変化(相転移)することを特徴とする。
本発明の液晶性化合物は、一定条件の下、棒状と円盤状の間で全体形状を変化することができる構造を有している。具体的には、本発明の液晶性化合物は、平板状分子の周りに棒状メソーゲン基を複数配してなり、該液晶性化合物の形状が外部場により変化することよって、分子全体が棒状と円盤状との間で変化することができる。さらにそれに伴って液晶状態の分子配向様式(液晶相)が変化(相転移)することを特徴とする。
本発明の液晶性化合物を構成する平板状分子とは、発達したπ電子共役系を有する実質的に平らな分子であり、その周辺に棒状メソーゲン基を配することができる分子であればよい。例えば、芳香族環やヘテロ方向族環等が縮環した分子が挙げられる。具体的には、下記の式(I)〜(IX)のいずれかの化学構造を基本骨格として有する分子又はその類縁
体が挙げられる。
体が挙げられる。
(式中、Xは−O−、−NH−、−S−、又は−CH2−を示す)
なお、類縁体としては、上記(I)〜(IX)の基本骨格を有する分子が挙げられ、該基本骨格の周辺に置換基を有するものや金属(又は金属イオン)を包含するものが挙げられる。例えば、式(VIII)及び式(IX)で示される平板分子の類縁体として、窒素上の2つの水素原子に代えてPb, Cu, Ti, Co, Ni, Zn, Pt, Pd, Al, Mo, Os等の金属原子が包含されているものが挙げられ、金属の価数に限定はない。なお、上記の中で式(I)で示され
る平板状分子又はその類縁体が好ましい。
なお、類縁体としては、上記(I)〜(IX)の基本骨格を有する分子が挙げられ、該基本骨格の周辺に置換基を有するものや金属(又は金属イオン)を包含するものが挙げられる。例えば、式(VIII)及び式(IX)で示される平板分子の類縁体として、窒素上の2つの水素原子に代えてPb, Cu, Ti, Co, Ni, Zn, Pt, Pd, Al, Mo, Os等の金属原子が包含されているものが挙げられ、金属の価数に限定はない。なお、上記の中で式(I)で示され
る平板状分子又はその類縁体が好ましい。
また、本発明の液晶性化合物を構成する棒状メソーゲン基は、コンホメーション的に直線状の分子構造を取りうる比較的剛直な液晶形成要素であればよい。該棒状メソーゲン基内には立体を規制する部位(二重結合、三重結合、エステル結合、アミド結合等)を有しているのが好ましい。
本発明の液晶性化合物を構成する棒状メソーゲン基として、具体的には、一般式(X)
:
:
(式中、Yは−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N(→O)−、−N(→O)=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CONH2−又
は−NH2CO−で示される基、mは2〜5の整数、mは5〜20の整数を示す)
で表される基が挙げられる。このうち、nが3又は4、mが10〜15の整数である基が好ましい。
は−NH2CO−で示される基、mは2〜5の整数、mは5〜20の整数を示す)
で表される基が挙げられる。このうち、nが3又は4、mが10〜15の整数である基が好ましい。
上記の棒状メソーゲン基は、光感応性部位を有しているのが好ましい。ここで、光感応性部位とは、該メソーゲン基に光照射(可視光、紫外光等)することにより反応して分子の構造が変化しうる部位(フォトクロミック部位)を意味し、通常二重結合を有する部位である。光感応性部位としては、例えば−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=N−、−N=N(→O)−、−N(→O)=N−などの二重結合を有する幾何異性体を含む構造部位が例示され、光照射によりこの幾何異性体がトランス、シスの異性化を生じ、メソーゲン基の構造が直線状と屈曲状との間で変化する。この光感応性部位の光照射による構造変化が、後述する液晶性化合物全体の形状が変化しそれに伴い液晶相の相転移現象が発現する原因の一つと考えられる。
本発明の液晶性化合物を構成する光感応性部位を有するメソーゲン基として、より具体的には、一般式(X’):
(式中、nは2〜5の整数、mは5〜20の整数を示す)
で表される基が挙げられる。中でもnが3又は4、mが10〜15の整数である基が好ましい。
で表される基が挙げられる。中でもnが3又は4、mが10〜15の整数である基が好ましい。
棒状メソーゲン基は、平板状分子の周りの所定の部位に複数個結合している。平板状分子の構造にもよるが、棒状メソーゲン基が通常6〜12個程度結合していることが好ましい。例えば、平板状分子(I)、(II)、(IV)、(V)には6個、平板状分子(VIII)、(IX)には8個、平板状分子(III)には12個まで結合しうる。また、平板状分子に結
合する該メソーゲン基は、同一又は異なっていてもよいが、全て同一である方が好ましい。
合する該メソーゲン基は、同一又は異なっていてもよいが、全て同一である方が好ましい。
本発明の液晶性化合物を構成する棒状メソーゲン基と平板状分子の関係において、液晶性化合物の全体形状が棒状となった場合(図3のrod likeを意味する)、該棒状液晶性化合物の長軸の長さ(図3のLを意味する)と該棒状液晶性化合物の長軸の断面の平均直径(図3のRを意味する)の比が、好ましくは2:1から8:1程度である。
本発明の液晶性化合物として好ましい具体例としては、例えば、一般式(XI):
(式中、nは2〜5の整数、mは5〜20の整数を示す)
で表される化合物が挙げられる。中でも、nが3又は4、mが10〜15の整数である基が好ましい。
で表される化合物が挙げられる。中でも、nが3又は4、mが10〜15の整数である基が好ましい。
上記の本発明の液晶性化合物は、その形状が外部場の変化に応じて棒状と円盤状との間で変化することができ、さらにそれに応じて液晶性化合物の分子配向様式(液晶相)が変化(相転移)する。ここで外部場の変化としては、液晶性化合物がおかれる外部環境の変化、すなわち温度変化、光照射、異方的な圧力変化などが例示される。
外部場の変化が光照射による場合について説明する。上述したように、本発明の液晶性化合物は、例えば、光感応性部位を有している場合は光によってその構造が変化する。
液晶性化合物に紫外光(波長:200〜400nm程度)を照射した場合は、メソーゲン基における光感応性部位(二重結合部位)がシス配置をとり、該メソーゲン基は屈曲した構造となる(例えば、図4を参照)。そのため、液晶性化合物全体としては棒状の形状を取り
にくくなり円盤状となり、液晶相としてはディスコチックカラムナー相を形成しやすくなる。ここで、円盤状とは、平板状分子の周りに、平板状分子と同一平面上でかつ平板状分子を中心として放射状に、メソーゲン基が置換した構造を意味する(例えば、図3のdisk
likeを参照)。さらに、円盤状液晶性化合物からなるディスコチック相は、ディスコチ
ックスメクチック相、ディスコチックカラムナー相などの液晶相を形成しうる場合もある。
にくくなり円盤状となり、液晶相としてはディスコチックカラムナー相を形成しやすくなる。ここで、円盤状とは、平板状分子の周りに、平板状分子と同一平面上でかつ平板状分子を中心として放射状に、メソーゲン基が置換した構造を意味する(例えば、図3のdisk
likeを参照)。さらに、円盤状液晶性化合物からなるディスコチック相は、ディスコチ
ックスメクチック相、ディスコチックカラムナー相などの液晶相を形成しうる場合もある。
また、液晶性化合物に可視光(波長:400〜800nm程度)を照射した場合は、メソーゲン基における光感応性部位(二重結合部位)がトランス配置をとり、該メソーゲン基は棒状構造に近い形状となる(例えば、図4を参照)。その際、平板状分子に結合した隣接するメソーゲン基同士は、その立体的な反発から互いの基が距離を保つように配置するため液晶性化合物全体としては棒状となり(例えば、図3のrod likeを参照)、液晶相としてはスメクチック相及び/又はネマチック相を形成しやすくなる。ここで棒状とは、平板状分子の周りに、平板状分子平面にほぼ垂直な方向(すなわち、平板状分子平面の上下に)に交互に棒状メソーゲン基が配置した構造を意味する(図3)。この棒状液晶性化合物の構造は、これまで知られておらず、本発明により初めて見出されたものであり、特に上記の棒状メソーゲン基と平板状分子相互の構造及び特性に起因すると考えられる。
従って、本発明の液晶性化合物によれば、紫外光と可視光を交互に照射することにより(図4)、液晶性化合物の構造変化を伴って分子配向様式を変化させることができる(図3)。すなわち、照射する光の波長を制御することにより、液晶相の相転移を制御することができる。
特に、一般式(XI)で表される液晶性化合物については、この現象が顕著に観測され、例えば、実験例2及び図5,図6を見れば容易に理解できる。
次に、温度変化による場合について説明すると、液晶性化合物を加熱又は冷却することにより、その分子形状が変化し、高温域ではスメクチック相及び/又はネマチック相が形成されやすくなり、低温域ではディスコチック相(具体的には、ディスコチックカラムナー相)を形成しやすくなる。
特に、一般式(XI)で表される液晶性化合物については、この現象が顕著に観測され、例えば、実験例1及び図2,図3を見れば理解できる。
次に、本発明の液晶性化合物の製造方法について、化合物(XI)の製法を例として説明する。
(式中、Yはハロゲン原子を示し、他の記号は前記に同じ)
アミノカルボン酸(1)をNaNO2と反応してジアゾニウム塩とし、これに塩基性条件下
(例えば、NaOHaq)フェノールを反応させて、ジアゾ化合物(2)を得る。ジアゾ化合物(2)に、塩基存在下(例えば、K2CO3)アルキルハライド(3)を反応させて化合物(
4)を得、エステル部位を加水分解(例えば、NaOHaq)して、カルボン酸(5)を得る。カルボン酸(5)を縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド)の存在下化合物6と反応させて、本発明の化合物(VI)を得る。いずれの反応条件も公知の条件を採用することができる。
アミノカルボン酸(1)をNaNO2と反応してジアゾニウム塩とし、これに塩基性条件下
(例えば、NaOHaq)フェノールを反応させて、ジアゾ化合物(2)を得る。ジアゾ化合物(2)に、塩基存在下(例えば、K2CO3)アルキルハライド(3)を反応させて化合物(
4)を得、エステル部位を加水分解(例えば、NaOHaq)して、カルボン酸(5)を得る。カルボン酸(5)を縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド)の存在下化合物6と反応させて、本発明の化合物(VI)を得る。いずれの反応条件も公知の条件を採用することができる。
なお、平板状化合物(II)〜(IX)の基本骨格を有する液晶性化合物については、例えば、特開平9−52962号公報、特開2002−50485号公報等を参照すれば容易に製造することができる。
このように、本発明において、これまで液晶性分子を分類するために採用されてきた棒状と円盤状という形状が、1つの化合物において外部場の変化によって誘起される系を初めて見出した。これによって、性質の異なる複数の液晶相間を外部場によって行き来し、それに伴い液晶性分子の各種物性の異方的性質を制御することが可能となる。例えば、電荷移動度などの電子物性はこの変化によって液晶性分子の配向の変化に応じ90度の方向転換が実現されるほか、電気伝導度や光屈折率なども同様である。この観点から、本発明
の液晶性化合物は、外部場に応答する液晶性分子機械材料として用いられる。
の液晶性化合物は、外部場に応答する液晶性分子機械材料として用いられる。
用途
本発明の液晶性化合物は、液晶相或いはプラスチック相を有する有機低・高分子材料への波及によって、各種センシング材料、光記録材料、電子写真感光体、電界発光素子用電荷輸送材料、ディスプレー素子用発光材料などの電子、フォトニック機能材料として使用されることから、それらの機能を有する集積型デバイスに応用可能であり、特にポリマーなどの柔粘性材料をベースとした各種デバイスに適用可能である。また各種脂質、ペプチド、蛋白などバイオ系分子との組み合わせでもバイオセンシングデバイスとして機能する。
本発明の液晶性化合物は、液晶相或いはプラスチック相を有する有機低・高分子材料への波及によって、各種センシング材料、光記録材料、電子写真感光体、電界発光素子用電荷輸送材料、ディスプレー素子用発光材料などの電子、フォトニック機能材料として使用されることから、それらの機能を有する集積型デバイスに応用可能であり、特にポリマーなどの柔粘性材料をベースとした各種デバイスに適用可能である。また各種脂質、ペプチド、蛋白などバイオ系分子との組み合わせでもバイオセンシングデバイスとして機能する。
本発明の液晶性化合物は、同一分子で温度や温度変化の速度、波長選択性光照射等の外部場の変化により、その分子形状を棒状と円盤状の間を行き来することによってその分子集合体としての液晶状態が変化するものである。これにより、光等の外部場を制御することによって、液晶性化合物の異方的制御がナノスケールレベルでも可能となり、分子機械としての特徴も有している。
さらに、この液晶性化合物は、電子、フォトニック機能材料等として用いることができその適用範囲は極めて広範にわたる。
次に、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
トリフェニレンの周囲に6個の液晶性アゾベンゼンを導入した新規化合物2,3,6,7,10,11−ヘキサキス[4−{4−(4−ドデシルオキシフェニルジアゼニル)フェニル}ブチリルオキシ]トリフェニレン(以下、「12-Azo-TP」とも表記する)を合成
した(図1)。合成実施例を以下に示す。
(a)4−[4−(4−ヒドロキシフェニルジアゼニル)フェニル]ブチリック アシッ
ドの合成
トリフェニレンの周囲に6個の液晶性アゾベンゼンを導入した新規化合物2,3,6,7,10,11−ヘキサキス[4−{4−(4−ドデシルオキシフェニルジアゼニル)フェニル}ブチリルオキシ]トリフェニレン(以下、「12-Azo-TP」とも表記する)を合成
した(図1)。合成実施例を以下に示す。
(a)4−[4−(4−ヒドロキシフェニルジアゼニル)フェニル]ブチリック アシッ
ドの合成
反応容器に 2 L ビーカーを用い、溶媒として 0.1 N HCl 600 ml を注ぎ、塩を加えた
氷水浴で5 ℃ まで冷却し、4-(4-アミノフェニル)ブチリックアシッド 4.00 g (22.3 mmol) を砕いて加え、NaNO2 1.54 g (22.3 mmol)を加えた。5 ℃で完全に溶解するまで撹拌
した後、NH4SO3NH2 2.54 g (22.3 mmol)を加え、phenol 2.30 g (22.3×1.1 mmol) を 0.1 N NaOH 1000 ml に溶かした溶液を注ぎ、5 ℃で20分間攪拌した。2N HCl を加えてpH=3にした。遠心分離(3500 rpm, 10 min)をして、結晶を吸引濾過(桐山濾紙, No.5C, φ=40 mm)して、水で洗浄した。結晶をシャーレに移し、デシケーター内に入れて、3日間減圧
乾燥することにより、標記化合物の橙色の結晶を得た。
収量 5.53 g (19.5 mmol) 収率 87.4%
IR (KBr) 1718(C=O), 3124 (O-H) cm-1
m.p. 164.7-166.9 ℃
(b)ドデシル 4−[4−(4−ドデシルオキシフェニルジアゼニル)フェニル]ブチ
レートの合成
氷水浴で5 ℃ まで冷却し、4-(4-アミノフェニル)ブチリックアシッド 4.00 g (22.3 mmol) を砕いて加え、NaNO2 1.54 g (22.3 mmol)を加えた。5 ℃で完全に溶解するまで撹拌
した後、NH4SO3NH2 2.54 g (22.3 mmol)を加え、phenol 2.30 g (22.3×1.1 mmol) を 0.1 N NaOH 1000 ml に溶かした溶液を注ぎ、5 ℃で20分間攪拌した。2N HCl を加えてpH=3にした。遠心分離(3500 rpm, 10 min)をして、結晶を吸引濾過(桐山濾紙, No.5C, φ=40 mm)して、水で洗浄した。結晶をシャーレに移し、デシケーター内に入れて、3日間減圧
乾燥することにより、標記化合物の橙色の結晶を得た。
収量 5.53 g (19.5 mmol) 収率 87.4%
IR (KBr) 1718(C=O), 3124 (O-H) cm-1
m.p. 164.7-166.9 ℃
(b)ドデシル 4−[4−(4−ドデシルオキシフェニルジアゼニル)フェニル]ブチ
レートの合成
アルゴン雰囲気下で、反応容器に乾燥した 1 L 三口フラスコを用い、上記(a)で得られた化合物 4.20 g (14.8 mmol) を加え、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF) 500 mL を滴下した。K2CO3 20.42 g (148 mmol) を加え、1-ブロモドデカン 7.36 g (29.6 mmol) を加えた。80 ℃ で6時間攪拌し、反応混合液を2 L ビーカーに移し、氷水浴で5 ℃ に冷却しながら、冷やしたエーテル300 mL を注ぎ、氷 200 g を加え、氷水 300 mL
を注ぎ、エーテル (200 mL×3回)で抽出した。有機層をまとめ、無水硫酸マグネシウム
を加え1時間乾燥させ、K2CO3をろ別後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。
ショートカラム(関東化学 Silica gel 60N (spherical neutral), 展開溶媒:クロロホル
ム, h = 10 cm φ= 4.5 cm)に通じ、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学 Silicagel 60N (spherical newtral), 展開
溶媒:クロロホルム, h = 10 cm φ= 4.5 cm)で分離精製し、標記化合物の橙色の結晶を得た。
収量7.22 g (11.6 mmol), 収率 78.4%
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 0.88 (brt, J = 6.6 Hz, 6H, PhO(CH2)8 CH 3 , COO(CH2)8 CH 3 ), 1.12-1.64 (m, 26H, PhOCH2CH2 (CH 2 ) 6 , COOCH2 (CH 2 ) 7 ), 1.81 (tt, J = 6.5, 6.5 Hz, 2H, PhOCH2 CH 2 ), 2.02 (tt, J = 7.5, 7.5 Hz, 2H, PhCH2 CH 2 ), 2.35 (t, J = 7.5 Hz, 2H, PhCH2CH2 CH 2 ), 2.73 (t, J = 7.5 Hz, 2H, PhCH 2 ), 4.04 (t, J = 6.5 Hz, 2, PhOCH 2 ), 4.07 (t, J = 6.6 Hz, 2H, COOCH 2 ), 6.99 (d, J = 8.9 Hz, 2H, 3',5'-H ar), 7.30 (d, J = 8.3 Hz, 2H, 2,6-H ar), 7.80 (d, J = 8.3 Hz, 2H, 3,5-H ar), 7.89 ppm
(d, J = 8.9 Hz, H, 2',6'-H ar)
IR (KBr) 1738 (C=O) cm-1
FAB-MS m/z 620 (M+, 20)
m.p. 65.9-67.0 ℃
(c)4−[4−(4−ドデシルオキシフェニルジアゼニル)フェニル]ブチリック ア
シッドの合成
を注ぎ、エーテル (200 mL×3回)で抽出した。有機層をまとめ、無水硫酸マグネシウム
を加え1時間乾燥させ、K2CO3をろ別後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。
ショートカラム(関東化学 Silica gel 60N (spherical neutral), 展開溶媒:クロロホル
ム, h = 10 cm φ= 4.5 cm)に通じ、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学 Silicagel 60N (spherical newtral), 展開
溶媒:クロロホルム, h = 10 cm φ= 4.5 cm)で分離精製し、標記化合物の橙色の結晶を得た。
収量7.22 g (11.6 mmol), 収率 78.4%
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 0.88 (brt, J = 6.6 Hz, 6H, PhO(CH2)8 CH 3 , COO(CH2)8 CH 3 ), 1.12-1.64 (m, 26H, PhOCH2CH2 (CH 2 ) 6 , COOCH2 (CH 2 ) 7 ), 1.81 (tt, J = 6.5, 6.5 Hz, 2H, PhOCH2 CH 2 ), 2.02 (tt, J = 7.5, 7.5 Hz, 2H, PhCH2 CH 2 ), 2.35 (t, J = 7.5 Hz, 2H, PhCH2CH2 CH 2 ), 2.73 (t, J = 7.5 Hz, 2H, PhCH 2 ), 4.04 (t, J = 6.5 Hz, 2, PhOCH 2 ), 4.07 (t, J = 6.6 Hz, 2H, COOCH 2 ), 6.99 (d, J = 8.9 Hz, 2H, 3',5'-H ar), 7.30 (d, J = 8.3 Hz, 2H, 2,6-H ar), 7.80 (d, J = 8.3 Hz, 2H, 3,5-H ar), 7.89 ppm
(d, J = 8.9 Hz, H, 2',6'-H ar)
IR (KBr) 1738 (C=O) cm-1
FAB-MS m/z 620 (M+, 20)
m.p. 65.9-67.0 ℃
(c)4−[4−(4−ドデシルオキシフェニルジアゼニル)フェニル]ブチリック ア
シッドの合成
反応容器に1 L 三口フラスコを用い、上記(b)で得られた化合物 1.43 g (2.53 mmol)
を加え、溶媒としてエタノール600 mL を注ぎ、続いて40 ℃まで加熱して完全に溶解さ
せた。10 wt% NaOH 50 mL を注ぎ、水 50 mL を注ぎ、40 ℃ で1.5時間攪拌した。反応混合液を 2 L ビーカーに移し、氷水浴で 5 ℃ に冷却しながら、酢酸エチル 200 mL を注
ぎ、氷水 200 mL を注ぎ、ヘキサン 100 mL を注ぎ、ヘキサン(100 mL×1回)で抽出した。水層をまとめ、クロロホルム 300 mL を注ぎ、2 N HCl を加えてpH = 3 にした。クロ
ロホルム(100 mL×1回)で抽出し、有機層をまとめ、ロータリーエバポレーターで溶媒を
留去した。得られた結晶を水とヘキサンで洗浄(桐山ろ紙, No.5C, φ= 40 mm)し、結晶をシャーレに移し、デシケーター内で減圧乾燥をし、標記化合物の橙色の結晶を得た。
収量 1.00 g (2.35 mmol), 収率 93.0%
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 0.88 (t, J = 6.6 Hz, 3H, PhO(CH2)8 CH 3 ), 1.12-1.64 (m, 12H, PhOCH2CH2 (CH 2 ) 6 ), 1.82 (tt, J = 6.5, 6.5 Hz, 2H, PhOCH2 CH 2 ), 2.02 (tt, J = 7.5, 7.5 Hz, 2H, PhCH2 CH 2 ), 2.35 (t, J = 7.5 Hz, 2H, PhCH2CH2 CH 2 ), 2.73 (t, J = 7.5 Hz, 2H, PhCH 2 ), 4.04 (t, J = 6.5 Hz, 2, PhOCH 2 ), 4.07 (t, J = 6.6 Hz, 2H, COOCH 2 ), 6.99 (d, J = 8.9 Hz, 2H, 3',5'-H ar), 7.30 (d, J = 8.3 Hz, 2H, 2,6-H
ar), 7.80 (d, J = 8.3 Hz, 2H, 3,5-H ar), 7.89 ppm (d, J = 8.9 Hz, H, 2',6'-H ar)
IR (KBr) 1688 (C=O), 2916 (O-H) cm-1
FAB-MS m/z 452 (M+, 10)
m.p. 107.4-108.9 ℃
(d)2,3,6,7,10,11−ヘキサキス[4−{4−(4−ドデシルオキシフェ
ニルジアゼニル)フェニル}ブチリルオキシ]トリフェニレン(12-Azo-TP)の合成
を加え、溶媒としてエタノール600 mL を注ぎ、続いて40 ℃まで加熱して完全に溶解さ
せた。10 wt% NaOH 50 mL を注ぎ、水 50 mL を注ぎ、40 ℃ で1.5時間攪拌した。反応混合液を 2 L ビーカーに移し、氷水浴で 5 ℃ に冷却しながら、酢酸エチル 200 mL を注
ぎ、氷水 200 mL を注ぎ、ヘキサン 100 mL を注ぎ、ヘキサン(100 mL×1回)で抽出した。水層をまとめ、クロロホルム 300 mL を注ぎ、2 N HCl を加えてpH = 3 にした。クロ
ロホルム(100 mL×1回)で抽出し、有機層をまとめ、ロータリーエバポレーターで溶媒を
留去した。得られた結晶を水とヘキサンで洗浄(桐山ろ紙, No.5C, φ= 40 mm)し、結晶をシャーレに移し、デシケーター内で減圧乾燥をし、標記化合物の橙色の結晶を得た。
収量 1.00 g (2.35 mmol), 収率 93.0%
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 0.88 (t, J = 6.6 Hz, 3H, PhO(CH2)8 CH 3 ), 1.12-1.64 (m, 12H, PhOCH2CH2 (CH 2 ) 6 ), 1.82 (tt, J = 6.5, 6.5 Hz, 2H, PhOCH2 CH 2 ), 2.02 (tt, J = 7.5, 7.5 Hz, 2H, PhCH2 CH 2 ), 2.35 (t, J = 7.5 Hz, 2H, PhCH2CH2 CH 2 ), 2.73 (t, J = 7.5 Hz, 2H, PhCH 2 ), 4.04 (t, J = 6.5 Hz, 2, PhOCH 2 ), 4.07 (t, J = 6.6 Hz, 2H, COOCH 2 ), 6.99 (d, J = 8.9 Hz, 2H, 3',5'-H ar), 7.30 (d, J = 8.3 Hz, 2H, 2,6-H
ar), 7.80 (d, J = 8.3 Hz, 2H, 3,5-H ar), 7.89 ppm (d, J = 8.9 Hz, H, 2',6'-H ar)
IR (KBr) 1688 (C=O), 2916 (O-H) cm-1
FAB-MS m/z 452 (M+, 10)
m.p. 107.4-108.9 ℃
(d)2,3,6,7,10,11−ヘキサキス[4−{4−(4−ドデシルオキシフェ
ニルジアゼニル)フェニル}ブチリルオキシ]トリフェニレン(12-Azo-TP)の合成
アルゴン雰囲気下で、反応容器に1 L 三口フラスコを用い、上記(c)で得られた化合
物 1.5000 g (3.32 mmol) を加え、溶媒として脱水ジクロロメタン 400 mL を滴下し、2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン 0.1535 g (0.474 mmol) を加え、氷水浴
で5 ℃ に冷却しながらジシクロヘキシルカルボジイミド (DCC) 0.7512 g (3.65 mmol)
を脱水ジクロロメタン (25 mL) に溶かした溶液をゆっくりと加え、4-ジメチルアミノピ
リジン 0.0405 g (0.332 mmol) を脱水ジクロロメタン (15 mL) に溶かした溶液をゆっくりと加えた。室温で4日間激しく攪拌した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Silicagel 60N (spherical neutral), 展開溶媒:クロロホルム, φ= 4.5 cm, h = 10 cm, Rf = 0.82)で分離精製し、標記化合物(12-Azo-TP) の橙色の粉を得た。トルエンで再結晶し、得られた結晶をクロロホルムで再結晶して茶色の結晶を得た。
粗収量 0.6839 g (0.233 mmol), 粗収率 49.1%
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 0.88 (t, J = 6.5 Hz, 18H, PhO(CH2)11 CH 3 ), 1.12-1.6
4 (m, 108H, PhOCH2CH2 (CH 2 ) 9 ), 1.82 (tt, J = 6.5, 6.5 Hz, 12H, PhOCH2 CH 2 ), 2.02 (tt, J = 7.5, 7.5 Hz, 12H, PhCH2 CH 2 ), 2.35 (t, J = 7.5 Hz, 12H, PhCH2CH2 CH 2 ), 2.73 (t, J = 7.5 Hz, 12H, PhCH 2 ), 4.04 (t, J = 6.5 Hz, 12H, PhOCH 2 ), 6.99 (d, J = 8.9 Hz, 12H, azobenzene3',5'-H ar), 7.30 (d, J = 8.3 Hz, 12H, azobenzene2,6-H ar), 7.80 (d, J = 8.3 Hz, 12H, azobenzene3,5-H ar), 7.89 (d, J = 8.9 Hz, 12H, azobenzene2',6'-H ar), 8.25 ppm (s, 6H, triphenylene1,4,5,8,9,12-H ar)
IR (KBr) 1763 (C=O) cm-1
FAB-MS 2932 (M+ 5)
m.p. 203.2-204.6 ℃
実験例1(温度変化による相転移の検証実験)
化合物(12-Azo-TP)(図1)について、加熱ステージ付き偏光顕微鏡による相転移時の
組織変化(図2)を観測した。偏光顕微鏡による観察では、液体からの降温時にスメクチック相に特有のバトネ組織の形成が認められるが、さらに降温した場合は典型的なカラムナー相の組織形成が認められた(図2)。カラムナー相はX線回折測定の結果ヘキサゴナルカラムナー相と決定された。バトネ組織の形成相は既知のスメクチックA相を示す液晶化合物との混和性試験の結果、スメクチックA相と同定された。
物 1.5000 g (3.32 mmol) を加え、溶媒として脱水ジクロロメタン 400 mL を滴下し、2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン 0.1535 g (0.474 mmol) を加え、氷水浴
で5 ℃ に冷却しながらジシクロヘキシルカルボジイミド (DCC) 0.7512 g (3.65 mmol)
を脱水ジクロロメタン (25 mL) に溶かした溶液をゆっくりと加え、4-ジメチルアミノピ
リジン 0.0405 g (0.332 mmol) を脱水ジクロロメタン (15 mL) に溶かした溶液をゆっくりと加えた。室温で4日間激しく攪拌した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Silicagel 60N (spherical neutral), 展開溶媒:クロロホルム, φ= 4.5 cm, h = 10 cm, Rf = 0.82)で分離精製し、標記化合物(12-Azo-TP) の橙色の粉を得た。トルエンで再結晶し、得られた結晶をクロロホルムで再結晶して茶色の結晶を得た。
粗収量 0.6839 g (0.233 mmol), 粗収率 49.1%
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 0.88 (t, J = 6.5 Hz, 18H, PhO(CH2)11 CH 3 ), 1.12-1.6
4 (m, 108H, PhOCH2CH2 (CH 2 ) 9 ), 1.82 (tt, J = 6.5, 6.5 Hz, 12H, PhOCH2 CH 2 ), 2.02 (tt, J = 7.5, 7.5 Hz, 12H, PhCH2 CH 2 ), 2.35 (t, J = 7.5 Hz, 12H, PhCH2CH2 CH 2 ), 2.73 (t, J = 7.5 Hz, 12H, PhCH 2 ), 4.04 (t, J = 6.5 Hz, 12H, PhOCH 2 ), 6.99 (d, J = 8.9 Hz, 12H, azobenzene3',5'-H ar), 7.30 (d, J = 8.3 Hz, 12H, azobenzene2,6-H ar), 7.80 (d, J = 8.3 Hz, 12H, azobenzene3,5-H ar), 7.89 (d, J = 8.9 Hz, 12H, azobenzene2',6'-H ar), 8.25 ppm (s, 6H, triphenylene1,4,5,8,9,12-H ar)
IR (KBr) 1763 (C=O) cm-1
FAB-MS 2932 (M+ 5)
m.p. 203.2-204.6 ℃
実験例1(温度変化による相転移の検証実験)
化合物(12-Azo-TP)(図1)について、加熱ステージ付き偏光顕微鏡による相転移時の
組織変化(図2)を観測した。偏光顕微鏡による観察では、液体からの降温時にスメクチック相に特有のバトネ組織の形成が認められるが、さらに降温した場合は典型的なカラムナー相の組織形成が認められた(図2)。カラムナー相はX線回折測定の結果ヘキサゴナルカラムナー相と決定された。バトネ組織の形成相は既知のスメクチックA相を示す液晶化合物との混和性試験の結果、スメクチックA相と同定された。
これにより、化合物(12-Azo-TP)は、温度条件によりスメクチック相とディスコチック
カラムナー相を持つことが判った。このことは図3に示すような分子形状変化に伴って相転移が起こる、または相転移が起こるために分子形状が変化したことを意味する。即ち一つの液晶性化合物に異なる分子形状に由来する2つのタイプの液晶相を形成することが初めて見出された。
実験例2(光照射による相転移の検証実験)
化合物(12-Azo-TP)は、紫外線照射により図4のような光異性化を起こすアゾベンゼ
ン部位を持つ。その結果、光吸収特性が変化するフォトクロミック性を示す。化合物(12-Azo-TP)のクロロホルム溶液に紫外線を照射したところ、吸収スペクトルが変化したこ
とからこれを確認できた(図5)。これは、化合物(12-Azo-TP)に紫外線を照射すると
、一部の分子は光異性化を起こし、アゾベンゼン部分の棒状形状が屈曲し棒状ではなくなることから、スメクチック相の光破壊を誘起するためと考えられた。
カラムナー相を持つことが判った。このことは図3に示すような分子形状変化に伴って相転移が起こる、または相転移が起こるために分子形状が変化したことを意味する。即ち一つの液晶性化合物に異なる分子形状に由来する2つのタイプの液晶相を形成することが初めて見出された。
実験例2(光照射による相転移の検証実験)
化合物(12-Azo-TP)は、紫外線照射により図4のような光異性化を起こすアゾベンゼ
ン部位を持つ。その結果、光吸収特性が変化するフォトクロミック性を示す。化合物(12-Azo-TP)のクロロホルム溶液に紫外線を照射したところ、吸収スペクトルが変化したこ
とからこれを確認できた(図5)。これは、化合物(12-Azo-TP)に紫外線を照射すると
、一部の分子は光異性化を起こし、アゾベンゼン部分の棒状形状が屈曲し棒状ではなくなることから、スメクチック相の光破壊を誘起するためと考えられた。
実際、化合物(12-Azo-TP)に、温度203℃で紫外線(波長365nm)を照射(出力250mW/cm2)したところ、図6に示すような組織変化が観測された。即ち、スメクチックA相の温度領域で紫外線を照射するとスメクチック相の組織が壊れ、次第にディスコチックカラムナー相の組織へと変化することが確認された。光照射を止め、その温度で放置すると元のスメクチック相の組織に戻って行くことも確認された。
Claims (12)
- 平板状分子の周りに棒状メソーゲン基を複数配してなる液晶性化合物であって、該液晶性化合物の全体形状が外部場の変化に応じて棒状と円盤状との間で変化し得ることを特徴とする液晶性化合物。
- 平板状分子の周りに棒状メソーゲン基を複数配してなる液晶性化合物であって、該液晶性化合物の全体形状が外部場の変化に応じて棒状と円盤状との間で変化し、それに応じて該液晶性化合物の分子配向様式(液晶相)が変化(相転移)することを特徴とする請求項1に記載の液晶性化合物。
- 平板状分子の周りに棒状メソーゲン基を複数配してなる液晶性化合物であって、該液晶性化合物の全体形状が外部場の変化に応じて棒状と円盤状との間で変化し、それに応じて該液晶性化合物の液晶相がスメクチック相又はネマチック相とカラムナー相の間で変化(相転移)することを特徴とする請求項2に記載の液晶性化合物。
- 前記の棒状メソーゲン基が、光感応性部位を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶性化合物。
- 前記外部場の変化が、温度変化、光照射又は異方的な圧力変化である請求項2又は3に記載の液晶性化合物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の液晶性化合物からなる外部場の変化に応答する液晶性分子機械材料。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の液晶性化合物を含む液晶性分子機械材料を用いた素子。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の液晶性化合物を光照射することにより、該液晶性化合物の分子配向様式を変化(相転移)させる方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003325196A JP2005089371A (ja) | 2003-09-17 | 2003-09-17 | 液晶性分子機械材料及びそれを用いた素子 |
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JP2003325196A JP2005089371A (ja) | 2003-09-17 | 2003-09-17 | 液晶性分子機械材料及びそれを用いた素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005089371A true JP2005089371A (ja) | 2005-04-07 |
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ID=34455721
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---|---|---|---|
JP2003325196A Pending JP2005089371A (ja) | 2003-09-17 | 2003-09-17 | 液晶性分子機械材料及びそれを用いた素子 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005089371A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008019177A (ja) * | 2006-07-11 | 2008-01-31 | Nitto Denko Corp | 多官能化合物、光記録材料、光記録媒体、光記録再生装置、光導波路材料、および光配向膜材料 |
JP2008303209A (ja) * | 2007-05-08 | 2008-12-18 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 糖アルコールエステル又はエーテル、コレステリック液晶添加剤、液晶組成物及び表示素子 |
JP2009298885A (ja) * | 2008-06-11 | 2009-12-24 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 光応答性液晶材料 |
WO2011142124A1 (ja) * | 2010-05-10 | 2011-11-17 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 光応答性液晶化合物およびその応用 |
-
2003
- 2003-09-17 JP JP2003325196A patent/JP2005089371A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008019177A (ja) * | 2006-07-11 | 2008-01-31 | Nitto Denko Corp | 多官能化合物、光記録材料、光記録媒体、光記録再生装置、光導波路材料、および光配向膜材料 |
US8168764B2 (en) | 2006-07-11 | 2012-05-01 | Nitto Denko Corporation | Polyfunctional compound, optical recording material, optical recording medium, optical recording/reproducing apparatus, optical waveguide material, and photo-alignment film material |
JP2008303209A (ja) * | 2007-05-08 | 2008-12-18 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 糖アルコールエステル又はエーテル、コレステリック液晶添加剤、液晶組成物及び表示素子 |
JP2009298885A (ja) * | 2008-06-11 | 2009-12-24 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 光応答性液晶材料 |
WO2011142124A1 (ja) * | 2010-05-10 | 2011-11-17 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 光応答性液晶化合物およびその応用 |
JP2011256155A (ja) * | 2010-05-10 | 2011-12-22 | National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology | 光応答性液晶化合物およびその応用 |
US8933208B2 (en) | 2010-05-10 | 2015-01-13 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | Photo-responsive liquid crystalline compound and its applications |
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