JP2005088435A - フッ素系熱可塑性エラストマーの射出成形装置および射出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 フッ素系熱可塑性エラストマーからなる成形材料mを射出成形して成形品Mを製造する装置である。成形材料mが射出されるキャビティ60を構成する一対の金型40、50と、金型40、50を支持する支持型10、20と、金型40、50と支持型10、20との間に配置され、金型との間で熱伝達して金型の温度を調整する熱伝達盤30と、熱伝達盤30に配設された熱媒体循環路32と、金型40、50に埋め込まれた温度センサ76と、熱媒体循環路32に熱媒体Fを循環させるとともに、熱媒体Fの温度を調整して温度検知手段76で検知されるキャビティ温度を制御する温度制御装置70とを備える。
【選択図】 図1
Description
熱可塑性エラストマーの1種であるフッ素系熱可塑性エラストマーは、フッ素樹脂とフッ素ゴムの特性を兼ね備えたような材料であり、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂と同様の成形性と、フッ素ゴムの優れた弾性や耐性との両方が発揮できる。従来知られている汎用の熱可塑性エラストマー、例えばポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)などに比べて、酸やアルカリあるいはプラズマなどに対しても非常に高い耐性を有し、低温から高温までの広い温度範囲で優れた弾性を発揮できることから、各種製品への利用が提案されている。
その理由について検討したところ、フッ素系熱可塑性エラストマーは、汎用の熱可塑性エラストマーに比べて、温度変化に対して極めて敏感な性質があり、温度が少しでも変化すると流動性などの特性が大きく変わることが原因として考えられた。
キャビティ内に成形材料を射出して成形材料がキャビティ内に十分に行き渡るまでは、成形材料は、良好な流動性を有している必要がある。但し、成形材料の温度が高くなり過ぎると、却って特性が損なわれることがある。成形材料の温度は、融点よりも少し高い程度が好ましいことになる。
本発明の課題は、前記した温度制御が極めて難しいフッ素系熱可塑性エラストマーの射出成形を、簡単かつ能率的に実施できるようにすることである。
熱可塑性エラストマーの構成単位として、フッ素樹脂相からなるハードセグメントと、フッ素ゴム相からなるソフトセグメントを有する。熱可塑性樹脂に近い成形性などと、フッ素ゴムに近い弾性や耐食性などとの両方を兼ね備えた特性を示す。
通常の製造方法で得られるフッ素系熱可塑性エラストマーあるいは市販のフッ素系熱可塑性エラストマー製品が使用できる。具体例として、ダイエルサーモプラスチック(商品名:ダイキン社製)が挙げられる。フッ素系熱可塑性エラストマーの融点は、約220℃である。
基本的な構造は、通常の合成樹脂やゴムの射出成形に利用される射出成形装置と同様の構造を備えたものが使用できる。
射出成形装置の基本構造としては、金型と金型を支持する支持型とからなる固定型と、同じく金型および支持型からなる可動型とを備え、可動型が固定型に近接したり離間したりすることで、型閉めおよび型開きが行われる。型閉め状態で金型間に構成される空間すなわちキャビティに成形材料を射出することで成形品が得られる。固定型には、成形材料を溶融して射出する射出シリンダを備えている。そのほか、成形品の取り出し機構など、通常の射出成形装置に備えられている機構構造を備えておくことができる。
金型のキャビティ内に、射出する成形材料とは別の部品を配置し、成形品と一体化させる同時埋め込み成形にも適用できる。
〔支持型〕
金型および熱伝達盤を支持し、射出成形装置の固定型および可動型を構成する基本部材である。基本的には、通常の射出成形装置における固定型、可動型と同様の技術が適用できる。鋼材や鋳造材などで構成される。
固定型側の支持型には、射出シリンダが連結され、射出シリンダの射出ノズルを金型のキャビティに連通させ成形材料が通過する射出路を備える。可動型側の支持型には、支持型を進退動作させるトグル機構や油圧機構などの駆動機構が連結されている。
〔金型〕
可動型側および固定型側になる一対の金型で、成形材料が射出されるキャビティを構成する。
キャビティの形状構造は、目的とする成形品の形状に合わせて設定される。成形品の形状部分に成形材料を供給するランナー形状やゲート形状も設けられる。複数の成形品を同時に成形する場合は、個々の成形品に対応するキャビティ形状がランナー形状でつながれる。
金型には、キャビティ内を排気する真空吸引孔を設け、真空吸引装置と接続しておくことができる。成形品を押し出す押し出しピンを備えておくこともできる。その他、通常の射出成形用金型に採用される各種の機構構造を備えておくことができる。
<温度検知手段>
金型には、キャビティに近接する個所に、温度検知手段が埋め込まれる。温度検知手段は、射出成形の温度環境に適した特性を有していれば、検知機構や構造は限定されない。熱電対や半導体素子などを用いた各種の温度センサが利用できる。
温度検知手段の設置場所は、キャビティ温度を適切に検知できる場所が好ましい。温度検知手段は、一つのキャビティに対して1個所だけに設けておいてもよいし、複数個所に設けておくこともできる。一対の金型のうち、固定型側および可動型側の何れか一方あるいは両方に備えることができる。
〔熱伝達盤〕
金型と支持型との間に配置される。金型の背面に当接し金型との間で熱伝達して金型の温度を調整する。
熱伝達盤の材料は、熱媒体循環路の熱媒体から金型への熱伝達が効率的に行われる良熱伝導性材料が好ましい。熱媒体循環路の形成が容易であることや、金型の支持が確実に行える強度や剛性を備えていることも必要である。具体的には、前記金型材料と同様の炭素鋼や銅が挙げられる。
熱伝達盤の寸法は、支持型および金型の大きさに合わせて設定できる。金型の背面形状よりも少し大きく、支持型の前面形状よりは少し小さな平面形状が採用できる。熱伝達盤の厚みは、熱媒体循環路が配置できる厚みが必要である。射出成形装置の容量によっても異なるが、通常は、5〜40mmの厚さに設定できる。
熱伝達盤の内部には、熱媒体循環路が配設される。
熱媒体循環路は、熱媒体がスムーズに流通し、熱媒体から熱伝達盤を介して金型への熱伝達が効率的に行えるような形状および配置で設けられる。熱伝達盤の平面形状で全体に均等に配置しておくことができる。金型のキャビティに対応する領域に高い密度で配置することもできる。例えば、蛇行線状に配置しておくことができる。渦巻き線状や放射線状などのパターンを組み合わせることもできる。枝分かれ個所や合流個所を設けることもできる。一つの金型には、通常、1本の熱媒体循環路を設けておけばよいが、複数本の熱媒体循環路を設けることもできる。
熱媒体循環路は、熱伝達盤の前面で金型に近接する位置に設けることで、金型への熱伝達が良好に行われる。
熱媒体循環路は、熱伝達盤の外周端で温度制御装置に連結される熱媒体配管に接続される。熱媒体配管との連結個所には、配管継手を設けておくことができる。
<熱媒体>
熱媒体循環路を循環して、熱エネルギーを供給する。熱容量が大きく流動性の高い液系流体が好ましい。射出成形時に必要な加熱温度に耐える耐熱性の高い流体が好ましい。耐熱温度がフッ素系熱可塑性エラストマーの融点を超えるものが望ましい。具体的には、耐熱温度200℃以上のものが好ましい。また、射出成形時の最低温度環境でも、流動性が低下しない流体が好ましい。熱媒体の具体例として、商品名バーレルサーモ400(松村石油社製)などの合成系有機熱媒体油が挙げられる。
熱媒体循環路に熱媒体を循環させるポンプ機能を有する。また、熱媒体の温度を調整して温度検知手段で検知されるキャビティ温度を制御する熱交換機能も有する。
基本的には、通常の熱媒体の加熱冷却装置と同様の技術が適用できる。
温度制御装置には、熱媒体を貯留するタンクや、熱媒体を圧送するポンプ、熱媒体を加熱あるいは冷却する熱交換器などを備えておくことができる。温度制御装置から送出する熱媒体あるいは送り返されてきた熱媒体の温度を検知する温度センサや、熱媒体の流量を検知する流量センサ、熱媒体の圧力を検知する圧力センサなどを備えておくこともできる。
温度制御装置には、金型に備えた温度検知手段の検知情報が入力される。これによって得られたキャビティ温度の情報をもとにして、熱媒体の温度を適切に制御することができる。
〔射出成形方法〕
基本的には、通常の射出成形方法と同様の工程および処理条件が適用される。射出成形装置は、前記した構造を備えたものが使用される。
成形材料として、フッ素系熱可塑性エラストマーが使用される。成形材料は、射出シリンダで加熱溶融された状態にされる。通常、200〜250℃に加熱しておく。
可動型を固定型のほうに移動させて型閉めを行い、射出シリンダから金型のキャビティに成形材料を射出し、射出された成形材料が硬化してから型開きを行って成形品を取り出すのは、通常の射出成形と同じである。
(a)キャビティから成形品が取り出されたあとで、キャビティ温度の昇温を開始させる。
前の成形サイクルが終了して成形品をキャビティから取り出してから、次の成形サイクルにおける適切なキャビティ温度を目指して昇温を開始させる。具体的には、温度制御装置で熱媒体を加熱し、加熱された熱媒体を熱伝達盤の熱媒体循環路に循環させる。熱媒体から熱伝達盤を介して金型に熱が伝達されて、キャビティ温度が上昇する。この段階では、型開きされているので、閉ざされたキャビティ空間は存在しない。キャビティ温度とは、金型のキャビティ表面の温度を意味する。
(b)キャビティを構成する一対の金型を型閉めする段階を経て、型閉めされたキャビティに成形材料を射出する段階まで、前記キャビティ温度の昇温を継続させる。
キャビティ温度の昇温は、次の成形サイクルが始まって、型閉めを終え、キャビティに成形材料を射出する段階までつづける。溶融状態の成形材料が射出されると、その熱容量で金型が加熱されるので、金型およびキャビティは、熱媒体と成形材料の両方で加熱昇温されることになる。成形材料の熱が加わるようになれば、熱媒体による加熱は必要がなくなる。
射出開始時温度T1は、成形材料の融点が基準となる。融点よりも少し高い温度になっても、成形材料の特性に悪影響がない程度であれば構わない。射出時温度T1が高過ぎるのは、熱エネルギーの無駄になる。成形材料の融点よりも少し低い温度であっても、成形材料の流動性や成形性能への悪影響が少なければ構わない。射出開始時温度T1の具体的数値としては、T1=200〜220℃である。
(d)前記射出段階の途中で、キャビティ温度の降温を開始させる。
(e)前記射出段階の途中から、射出成形された成形品をキャビティから取り出す段階まで、キャビティ温度の降温を継続させる。
射出段階で、成形材料がキャビティの全体に十分に行き渡り十分な射出圧力が印加されるまでは、キャビティ温度が過度に下がらないようにしておく。
キャビティ内の成形品が十分に冷却硬化すれば、型開きを行い、成形品を取り出す。型開きによって熱が放出されることで、キャビティ温度の降温が促進される。成形品と取り出せば、金型表面が露出して、さらにキャビティ温度の降温が促進される。このような自然の降温に加えて、熱伝達盤の熱媒体による冷却作用が加わるので、キャビティ温度は迅速に降温される。
成形品の取り出し後。金型のキャビティ内面を清掃したり、離型剤を塗工したりする作業を行う。このような作業の実行が可能な程度まで、キャビティ温度を降温させておく。
最低温度T2は、成形品の取り出しが可能な温度よりも低く、フッ素系熱可塑性エラストマーの融点よりも十分に低い温度になる。但し、最低温度T2を低くし過ぎると、次の成形サイクルで昇温させるときに、余分の熱エネルギーと時間がかかる。そこで、最低温度T2は、成形品の取り出しが可能で、離型剤の塗工作業などが可能な限り、できるだけ高い温度に設定しておくことが望ましい。具体的には、最低温度T2=180〜190℃に設定する。
〔成形品〕
本発明の射出成形装置あるいは射出成形方法で製造される成形品としては、従来も射出成形技術によって製造されていた各種の製品が該当する。特に、フッ素系熱可塑性エラストマーの特性を生かすことのできる用途の成形品が好ましい。
例えば、Oリングなどの封止リングが挙げられる。半導体装置用の封止リングは、腐食性ガスやプラズマなどの腐食性かつ高温の環境で使用されることが多いので、フッ素系熱可塑性エラストマーからなる成形品が有用である。
特に、熱媒体による熱伝達盤から金型への熱伝達は、熱媒体の温度変化が直ちに金型に伝達され、成形サイクルの各段階における最適なキャビティ温度を正確に設定することができる。成形品の取出しに適した低い温度から、成形材料の射出に適した高い温度へと、極めて短い時間で切り換えることができ、型開きから次の成形サイクルでの型閉めまでの昇温時間を大幅に削減することができる。成形サイクルの各作業段階でキャビティ温度を変化させる外部要因が発生しても、熱容量の大きな熱媒体を迅速に循環させることで、所望の温度に正確に維持したり、所望の温度まで急速に変化させたりすることができる。
さらに、射出成形装置の構造が簡単で装置コストも安価になる。金型に直接にヒータなどを埋め込み設置した場合は、形状の異なる成形品毎に用意される全ての金型に対して、ヒータ埋め込みなどの加工が必要であり、金型製造に手間がかかり製造コストが増大する。金型交換後に、ヒータの内蔵設置や結線接続などの余分な作業も必要になる。しかし、熱媒体が循環する熱伝達盤は、金型とは別部材であるから、成形品毎に金型を交換するだけで、熱伝達盤についてはそのまま使用することができる。金型交換に要する作業時間および金型コストが格段に削減される。
図1,2に示す射出成形装置は、Oリングの成形製造に用いられる。
射出成形装置は、一対の金型40、50と、それぞれの金型40、50を支持する支持型10、20とを備え、金型40、50と支持型10、20との間には、熱伝達盤30、30が配置されている。
金型40、50および支持型10、20は、通常の射出成形装置における金型およびそれを支持する支持型と共通する構造を備えている。
図1の表示は、左右に金型40、50が配置された横型の成形装置を示しているが、上下に金型40、50が配置される竪型の成形装置でも、基本的な構造は同じになる。
支持型10は固定型であり、支持型20は支持型10に対して近接離間する方向に移動する可動型である。図示を省略したが、可動支持型20は、背後に設けられた可動軸22の進退動作によって進退する。固定支持型10の背面には、射出シリンダ12が設けられている。射出シリンダ12からは溶融状態の成形材料Fが圧送されてくる。
<金型>
金型40、50の合わせ面には、成形品MであるOリングの形状、すなわち、断面円形で円環状をなすキャビティ60が形成されている。円環状のキャビティ60は、図1の上下に一対および紙面の前後に一対の合計4個所に同形状で配置されている。
可動支持型20に支持された金型50は、可動支持型20とともに進退動作して、金型40に対して型開きおよび型閉めの動作を行う。
図示を省略しているが、金型40、50の合わせ面には、真空吸引孔が開口しており、射出成形装置の外部に設置された真空吸引源に真空ホースなどで接続されている。合わせ面には、キャビティ60の外周を囲んで封止パッキンが装着されている。
一方の金型50で、キャビティ60に近接したところには、温度センサ76が埋め込まれており、キャビティ温度を検知できるようになっている。
一対の熱伝達盤30は、基本的に同じ構造を有している。熱伝導性に優れたS50C(JIS規格)などの鋼材からなり、厚さ5〜40cmである。金型40、50よりも一回り大きな平面形を有し、金型40、50の背面に密着して配置されている。金型40、50と熱伝達盤30、30とは、ボルト締結で緊密に接合されている。熱伝達盤30、30は支持盤10、20にボルト締結で固定されている。したがって、支持盤10、20および熱伝達盤30、30を取り外さなくても、金型40、50だけを容易に着脱することができる。
<温度制御装置>
それぞれの熱伝達盤30に接続された2本の熱媒体配管72は、射出成形装置の本体部分とは別に設置された温度制御装置70に連結されている。
温度制御装置70は、熱媒体Fである合成系有機オイルなどを、それぞれの熱伝達盤30の熱媒体循環路32へ循環させるポンプを内蔵している。また、熱媒体Fを加熱および冷却する熱交換器を内蔵している。さらに、熱交換器の作動を制御する機能を果たす自動制御機構やコンピュータも内蔵している。温度センサ76で検知されたキャビティ温度の情報を入力する情報線が接続され、入力情報をコンピュータなどで演算処理して、熱交換器の駆動を制御する。あらかじめ設定された射出成形の各段階における温度条件データを記憶しておく記録装置も備えている。
熱容量の大きな熱媒体Fを急速に循環させることで、金型40、50の温度を迅速に変化させることができる。
〔射出成形方法〕
基本的には、通常のゴム材料や樹脂材料の射出成形と同様の工程を経て、Oリングの成形が行われる。
図3に、経時的な工程の移り変わりとキャビティ温度の変化を示している。
<型閉めから射出>
図1に示すように、左右の金型40、50を合わせて型閉めした状態にする。前の成形サイクルの終了段階から、温度制御装置70による熱媒体F、熱伝達盤30を介しての金型40、50の昇温が行われているので、型閉め開始段階で、キャビティ温度は約204℃になっている。
成形材料mは、射出路62からキャビティ60に圧送される。キャビティ60を成形材料mが満たしたあとも、射出シリンダ12から圧力を加えて、キャビティ60の成形材料mを加圧しておくことができる。
<冷却から型開き、製品取出し>
成形材料mすなわち成形品Mの温度が十分に下がるまで冷却が行われる。冷却開始は、射出開始から約20秒後に行う。成形品Mが取出し可能な状態になれば、型開きが行われる。型開きは、冷却開始から約140秒後に行う。型開き開始時のキャビティ温度は、約198℃である。型開き動作には約20秒かかる。
成形品Mは、4個のOリングがランナーでつながった状態になっているので、個々のOリングを切り離したり、切断個所の整形したりするなど、必要な後処理を経て、Oリング製品が得られる。
この作業段階では、キャビティ温度は少し上下に変動することもあるが、全体としては温度が下がっていく。
成形品の取り出しのあとで、キャビティ60の内面に離型剤を塗布する作業を行う。離型剤の塗布作業は、キャビティ60が十分に降温している必要がある。
成形品Mの取出しが完了したころに、温度制御装置70から供給する熱媒体Fの温度を上昇させて、キャビティ温度を上昇させる。但し、熱媒体Fを昇温させてから少し遅れてキャビティ温度の昇温が始まる。キャビティ温度は、最低温度T2=193℃まで下がっている。型開き終了から昇温開始まで、約145秒かかる。キャビティ温度は、最低温度T2から急激に上昇する。
図3の右端における昇温工程までを1サイクルの成形作業とする。次の成形サイクルでも、図3の左端における型閉め工程から開始される。昇温工程の開始から次の成形サイクルでの型閉め開始まで約95秒である。
12 射出シリンダ
30 熱伝達盤
32 熱媒体循環路
40、50 金型
62 射出路
70 温度制御装置
72 熱媒体配管
76 温度センサ
F 熱媒体
m 成形材料
M 成形品
Claims (5)
- フッ素系熱可塑性エラストマーからなる成形材料を射出成形して成形品を製造する装置であって、
前記成形材料が射出されるキャビティを構成する一対の金型と、
それぞれの金型を支持する支持型と、
前記金型と前記支持型との間に配置され、金型の背面に当接し金型との間で熱伝達して金型の温度を調整する熱伝達盤と、
前記熱伝達盤の内部に配設された熱媒体循環路と、
前記金型のキャビティに近接して金型に設置された温度検知手段と、
前記熱媒体循環路に熱媒体を循環させるとともに、熱媒体の温度を調整して前記温度検知手段で検知されるキャビティ温度を制御する温度制御装置と
を備えるフッ素系熱可塑性エラストマーの射出成形装置。 - 前記熱伝達盤が、炭素鋼、銅から選ばれる良熱伝導性材料からなる
請求項1に記載のフッ素系熱可塑性エラストマーの射出成形装置。 - 前記熱媒体が、合成系有機熱媒体油から選ばれる耐熱温度200℃以上の熱媒体である
請求項1または2に記載のフッ素系熱可塑性エラストマーの射出成形装置。 - 請求項1に記載の射出成形装置を用いて、フッ素系熱可塑性エラストマーからなる成形材料を射出成形して成形品を製造する方法であって、
前記温度制御装置における熱媒体の温度調整によるキャビティ温度の制御が、下記の(a)〜(f)を繰り返す射出成形方法。
(a)キャビティから成形品が取り出されたあとで、キャビティ温度の昇温を開始させる。
(b)キャビティを構成する一対の金型を型閉めする段階を経て、型閉めされたキャビティに成形材料を射出する段階まで、前記キャビティ温度の昇温を継続させる。
(c)前記射出段階の開始時点で、キャビティ温度を、成形材料であるフッ素系熱可塑性エラストマーの融点付近である温度T1に到達させる。
(d)前記射出段階の途中で、キャビティ温度の降温を開始させる。
(e)前記射出段階の途中から、射出成形された成形品をキャビティから取り出す段階まで、キャビティ温度の降温を継続させる。
(f)前記成形品を取り出し、フッ素系熱可塑性エラストマーの融点よりも十分に低い最低温度T2に到達させた後、前記(a)状態に戻る。 - 前記段階(c)における射出開始時温度T1が200〜220℃であり、
前記段階(f)における成形品取り出し後の最低温度T2が180〜190℃である
請求項4に記載の射出成形方法。
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