JP2005087118A - 魚介類用水槽の空気混入装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内部に水を貯留することができる水槽10と、前記水槽の水の液面より高い位置に設置され水の濾過手段を備える濾過槽12cと、水槽の水を濾過槽12cに揚水する揚水装置12aと、濾過槽12cにより濾過された水を水槽に戻す戻し装置12bとからなり、水槽10の水を濾過槽12cとの間で循環させることにより濾過させると共に、濾過槽12cから水槽10に水を戻す際に溶存酸素を供給するようになっている魚介類用水槽であって、前記戻し装置12bは、サイホン作用により水を落下させる流路構成となっており、この流路の一部に外部の空気を吸引して取り入れる空気取入路64が流路接続されている。
【選択図】 図1
Description
先ず、図15に基づいて従来の上部濾過槽型空気混入装置の構成を説明する。
水槽10には水槽蓋11が被せてあり、その水槽蓋11の上に濾過槽20が一体的に設置されている。濾過槽20は濾材室20aと浄水室20bに分かれ、両者は浄水排出口25によって通じている。濾材室20aにはウールマット等の濾材21が装填されており、一方浄水室20bでは、濾材室20aにて濾過された水(以下「浄水」という。)が貯留し落水パイプ26から落下する構成になっている。また、空気ポンプ40から導かれた空気送り管41が浄水室20b内の水槽蓋11を貫通し、水槽10の底に位置するエアストーン42に繋がっている。さらに水槽蓋11の上の、濾過槽20から離れた所には揚水ポンプ30が取り付けられている。
図15中の矢印は水の流れる方向を示している。水槽10内の水は、ストレーナ31を介して揚水ポンプ室30cを通り、送水パイプ33の吐出口から濾材室20aの中に上部から注がれる。濾材21を通過して濾過された水は、すのこ22を通った後、濾材室20aの底部に設けられた浄水排出口25を通り、浄水室20bに貯留していく。その後、落水パイプ26の上端部の水位まで達した浄水は前記落水パイプ26を通り、近くの空気を巻き込みながら水槽10に戻る。その際、水槽10中の水に空気が混入し、溶存酸素の供給が行われる。
このため、落水パイプ26による空気混入に併せて、空気ポンプ40を使用して新鮮な外気を水槽10内の水に混入させることが通常行われている。具体的には、空気ポンプ40によって取り入れられた外気が、空気送り管41を通ってエアストーン42まで送られ、水槽10中の水に混入される。エアストーン42とは、通常は細かい砂を軽石状に加工したものであり、細かい空気の泡を水中に放出する働きを有している。図15では、エアストーン42の形状は球体として描いているが、実際は円筒状など様々な形状がある。
代表例として、特許文献2の実施例を図16に示す。バルブユニット62から取り込まれた外気は気泡混入ノズル43を通り、送水パイプ33から、微細な粒径の気泡が混入した水(以下「気泡水」という。)として吐出される構成となっている。
さらに、図15に示す従来の上部濾過槽型空気混入装置の濾材21は、鉛直方向に積層されているため、目詰まりし始めると上部層の濾材が下部層の濾材を圧縮し、益々目詰まりが加速されるという問題もある。
本発明は上記した問題点を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、サイホン作用を利用して気泡水流を容易に作り出し、魚介類にとって十分な溶存酸素が供給された快適な水槽環境を提供することにある。
先ず、第1の発明に係る魚介類用水槽の空気混入装置は次の手段をとる。すなわち、内部に水を貯留することができる水槽と、前記水槽の水の液面より高い位置に設置され水の濾過手段を備える濾過槽と、水槽の水を濾過槽に揚水する揚水装置と、濾過槽により濾過された水を水槽に戻す戻し装置とからなり、水槽の水を濾過槽との間で循環させることにより濾過させると共に、濾過槽から水槽に水を戻す際に溶存酸素を供給するようになっている魚介類用水槽であって、前記戻し装置は、サイホン作用により水を落下させる流路構成となっており、この流路の一部に外部の空気を吸引して取り入れる空気取入路が流路接続されていることを特徴とする。なお、ここで「水槽」はガラス製又は樹脂製の、魚介類を水中に収容するための容器であり、魚介類の鑑賞用であればその側面は透明な材質がよい。「濾過槽」は、例えばウールマット又は活性炭フィルタのような濾材を内部に有した、水を濾過するための容器である。濾過槽の容器の材質もガラス製又は樹脂製でよいが、濾過バクテリアの活動を促すため、蓋及び側面には透光性のある材質がよい。「揚水装置」は、通常はモータの回転によって得られる圧力を利用して、水を低い位置にある吸入口から取入れて高い位置にある吐出口から排水できるポンプであり、例えば遠心ポンプで構成される揚水ポンプが該当する。「戻し装置」は濾過槽により濾過された水、すなわち浄水、を落下させて水槽に戻す装置であり、例えば浄水を吐出するための吐出口を有したポンプが該当する。
この第1の発明によれば、別途空気ポンプを使用しなくとも、サイホン作用により強制的に気泡水流を水槽内に導き、十分な溶存酸素を水槽内の水に供給することができる。
水槽の液面下の位置においては戻し孔には水槽内の水による水圧がかかっており、水槽の底面に近いほどその水圧は高くなる。この水圧は戻し孔から吐出される水流にとっては抵抗として作用するので、前記底面においてもサイホン作用による十分な気泡水流を得るには、通常であれば水槽と濾過槽との落差を大きくすればよい。しかし、サイホン作用が容易に確立できる程度に液面に近い比較的高い位置と水槽の底面に近い比較的低い位置の少なくとも2箇所に戻し孔を有していれば、前記落差を大きくする必要がなくなる。すなわち、サイホン作用により先ず前記比較的高い位置の戻し孔において気泡水流を形成するのに十分な水流が確立し、次にその水流が呼び水となって前記比較的低い位置の戻し孔においても十分な水流が確立する。
したがって、気泡水流を形成するのに十分な水流の確立が、水槽の底面近くの比較的低い位置においても容易に図ることができ、水槽の底面近くにおいても十分な空気が混入した気泡水流を導くことが可能となる。
この第3の発明によれば、空気取入孔から勢いよく吸入される空気の風切音が弱まるため、騒音の問題が回避される。
この第4の発明によれば、濾材の積層構成がいわゆる縦置き型となり、目詰まりし始めても上方にある他層の濾材の圧力が加わることがないので、濾材の圧縮が起こりにくくなる。
先ず、第1の発明によれば、濾過槽から水槽への水の流れにサイホン作用が適用されるので、モータ付きポンプのような電動機付きの戻し装置を別途使用しなくとも強制的に水槽内に水を流し戻すことができる。さらに、その水流に外部からの空気を混入させて気泡水流を水槽内に導くことができるので、本発明単独で十分な溶存酸素を水槽内の水に供給できる。
図1に示すように、本実施例の空気混入装置は水槽上部の蓋上に取り付け可能な一つの筐体12にまとめられている。筐体12は、例えばアクリル樹脂板のような樹脂製であり、板材を一体的に貼り合わせて形成されている。
揚水エリア12aの底面には揚水ポンプ30のモータ軸30bと送水パイプ33が貫通している。ストレーナ31から吸入された水は吸水パイプ32を通り揚水ポンプ室30cまで引き上げられ、送水パイプ33を通り濾過エリア12cに送られる。ここで、揚水ポンプ30は、軸方向に水を揚水し半径方向へ吐出する遠心ポンプであり、モータ軸30bを介して揚水ポンプ用モータ30aにより駆動する構成となっている。また、ストレーナ31が吸水パイプ32の吸水口に取り付けられているのは、鑑賞魚が揚水ポンプ30によって吸い込まれることを防ぐためである。なお、本実施例ではストレーナ31を吸水パイプ32の吸水口と同一の部位として扱うこととする。
空気混入エリア12bの底面にはオーバーフローパイプ70と戻しパイプ52が貫通している。オーバーフローパイプ70は、戻しパイプ52の目詰まり等の不具合により、空気混入エリア12b内の水が、戻しパイプ52から水槽10内に戻らずに空気混入エリア12b及び濾過エリア12cから溢れ出てしまう事態を避けるために設けられている。すなわち、非常用として設けられている。
図1に良く示されているように、濾過エリア12cは直方体状の容器であり、その中は長手方向かつ鉛直方向に5等分割されている。各分割部分は濾過エリア12cの底面より突出した爪状の濾材仕切板23によって仕切られており、真中の3つの分割部分が濾材室20aである。端部にある残りの2つの分割部分はそれぞれ、揚水エリア12aから伸びる送水パイプ33の吐出口直下にある分割部分が送水室24、その対称位置にある分割部分が浄水室20bである。濾材室20aには平板状の濾材21が濾材仕切板23に支持されて、いわゆるブックエンドに本が立っている状態となるように、上から挿入される。なお、濾材仕切板23は突出した爪状である必要はなく、濾材21の挿入及び支持を容易にするために、水が通過可能な網目平板状の仕切板を濾材室20aの長手方向全体に渡るように立設してもよい。
(2)図7に示すように、前記液面は上昇を続け、前記間隙を介して戻しパイプ52内に水が流れ込み、戻しパイプ52内の液面が上昇する。このとき、前記上昇した液面の落差により戻しパイプ52内に下向きの水流が生じる。なお、空気抜孔55からは、戻しパイプ52内の水が少量水槽10内に漏れ出る。
戻し孔53aからの水流と戻し孔53bからの水流は略平行して流れ、ストレーナ31に吸入される水流と相俟って、水槽10の内壁に沿って一方向に流れる均一な主水流100を形成する。一方で、水槽10の中央部においては、主水流100から分岐する分岐水流101が緩やかに流れているので、鑑賞魚にとっては、分岐水流101で休憩したり主水流100で運動をしたり、という暮らし方ができる。また、水槽10内を循環する水流を十分に形成できることから、魚介類にとっての環境悪化につながる水の澱みがなくなる。さらに、水槽10の内壁に沿って流れる主水流100により、前記内壁への水苔の付着が防止されるというメリットもある。
(1)本実施例の空気量調整バルブユニット62’は3方に開口部を持つ、T字形状に一体成形されたバルブユニットであり、T字形状の線対称位置にある2箇所の開口部が空気取入孔61aである。前記2つの空気取入孔61aにはそれぞれ空気量調整用のコック62dが設けてあり、そこから取入れられた外気が、T字形状の中心線下端位置にある開口部に繋げられたジョイントパイプ63を介して空気排出パイプ64を通り、空気排出孔65から排出される。
本実施例では実施例1における空気混入エリア12bを濾過エリア12cの中に設置した構造を持つ。空気混入エリア12bは、濾過エリア12c内の浄水室20bの中に収まるように円筒形状に形成されており、その下端部が浄水室20bの底面に一体的に接着されている。一方、その上端部は浄水室20bに貯留した浄水が、図13中の矢印で示したように空気混入エリア12b内に流入できる高さとなっている。なお、本実施例では、オーバーフローパイプ70は、設置スペースが空気混入エリア12b内には得られないので、浄水室20b内の空気混入エリア12b外の箇所に設置する必要がある。また、オーバーフローパイプ70の上端は、既に実施例1で述べたその機能上、空気混入エリア12bの上端よりも高い位置になっている。
また、空気量調整バルブユニット62は、濾過エリア12c内の濾材室20a及び浄水室20bを覆う空気量調整バルブユニット支持蓋66によって支持される構成としている。
本実施例は実施例1におけるサイホンキャップ51と戻しパイプ52から構成される水の流路を逆U字形状のサイホン管67で代替したものである。サイホン管67の頂点には空気排出パイプ64が貫通しており、サイホン管67を通過する水が空気排出孔65から空気を巻き込む構成となっている。本実施例においては、空気排出孔65の位置の微調整は空気排出パイプ64をサイホン管67から引抜き、あるいはサイホン管67へ押込むことによって行う。
11 水槽蓋
12 筐体
12a 揚水エリア
12b 空気混入エリア
12c 濾過エリア
12d、12e 仕切板
20 濾過槽
20a 濾材室
20b 浄水室
21 濾材
23 濾材仕切板
24 送水室
25 浄水排出口
26 落水パイプ
30 揚水ポンプ
30a 揚水ポンプ用モータ
30b モータ軸
30c 揚水ポンプ室
30d 揚水ポンプ用電源コード
31 ストレーナ
32 吸水パイプ
33 送水パイプ
40 空気ポンプ
40a 空気ポンプ用電源コード
41 空気送り管
42 エアストーン
43 気泡混入ノズル
51 サイホンキャップ
52 戻しパイプ
52a 上部開放端
53 戻し孔
54 取付ネジ
55 空気抜孔
56 スタンド
56a 円環台座
56b ストッパ
61 空気取入キャップ
61a 空気取入孔
62 空気量調整バルブユニット
62a バルブ入口
62b バルブ出口
62d コック
62c バルブ
62、62’ 空気量調整バルブユニット
63 ジョイントパイプ
64 空気排出パイプ
65 空気排出孔
66 空気量調整バルブユニット支持蓋
67 サイホン管
70 オーバーフローパイプ
100 主水流
101 分岐水流
Claims (4)
- 内部に水を貯留することができる水槽と、前記水槽の水の液面より高い位置に設置され水の濾過手段を備える濾過槽と、水槽の水を濾過槽に揚水する揚水装置と、濾過槽により濾過された水を水槽に戻す戻し装置とからなり、水槽の水を濾過槽との間で循環させることにより濾過させると共に、濾過槽から水槽に水を戻す際に溶存酸素を供給するようになっている魚介類用水槽であって、
前記戻し装置は、サイホン作用により水を落下させる流路構成となっており、この流路の一部に外部の空気を吸引して取り入れる空気取入路が流路接続されていることを特徴とする魚介類用水槽の空気混入装置。 - 請求項1に記載の魚介類用水槽の空気混入装置であって、
前記戻し装置の流路構成がパイプで形成されており、前記パイプには水槽の水の液面下の位置において液面に近い比較的高い位置と水槽の底面に近い比較的低い位置の少なくとも2箇所に戻し孔が形成されていることを特徴とする魚介類用水槽の空気混入装置。 - 請求項1又は2に記載の魚介類用水槽の空気混入装置であって、
前記空気取入路は端部が閉鎖された管形状で形成されており、前記管形状の端部の円周上に空気取入孔が形成され、前記管形状に空気が取入れられる際の吸入音を弱めたことを特徴とする魚介類用水槽の空気混入装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の魚介類用水槽の空気混入装置であって、
前記濾過槽が、平板状の濾材をその厚さ方向が水平方向に一致するように複数並列させる構造であり、かつ前記複数並列された濾材を水が略水平に横切りながら濾過される流路構成であることを特徴とする魚介類用水槽の空気混入装置。
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