JP2005087096A - 病害抵抗性植物の効率的な選抜方法 - Google Patents

病害抵抗性植物の効率的な選抜方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 病害抵抗性植物育種に必要な病害に抵抗性の植物を選抜するための病害抵抗性植物の効率的な選抜方法を確立すること。
【解決手段】 本発明は、除草剤耐性を指標として試験植物を選抜することによる、病害抵抗性植物を選抜する方法を提供する。本発明により、例えば、除草剤耐性として、パラコート耐性を指標とすることで、アブラナ科植物について、青枯れ病抵抗性植物を選抜することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、病害抵抗性植物の選抜方法の技術分野に属する。
作物の栽培が成功するか否かを決める大きな要因の1つが、その作物が病害に合うか否かである。植物病害を起こす病原としては、ウイルス、細菌、糸状菌と種々存在しており、例えば、ウイルス病では、イネ縞枯病、イネ萎縮病、キュウリモザイク病、大豆モザイク病等が、細菌病としては、イネ白葉枯病、キュウリ斑点細菌病、トマト潰瘍病、キャベツ黒腐れ病等が、糸状菌病としては、イネいもち病、小麦赤錆病等が知られている。
従来は、病害対策のために、植物保護剤(農薬)が多量に使用されてきたが、近年環境保護の視点の高まり、更に、特に食用農産物における健康への影響の観点から、農薬を避けることが望まれている。そのため、抵抗性品種の開発に期待が寄せられている。
他方、病害は、特定条件下で、作物(宿主)と病害との相互作用の結果として現れるもので、病害に対する感受性・抵抗性は、物理的・化学的、生物的な環境条件に影響を受けやすい。作物の品種抵抗性は、種々の事例を積み重ね、特定条件下での、病状・発病の有無を比較して推定されてきたものである。
病害に対する抵抗性品種(病害耐性品種又は耐病性品種とも言う)の育種においては、適切なスクリーニング方法(選抜手段)の開発が欠かせない(非特許文献1)。通常は、病害抵抗性(病害耐性ともいう)植物の選抜(スクリーニングとも言う)は、植物体に病原菌を接種し、その病徴により、病害抵抗性植物を取得するのが一般的である。
しかしながら、例えば、大豆の黒根腐れ病は、北海道を除く全国各地で発生し、水田作の大豆の収量に大きく影響しているにもかかわらず、圃場における発病が一定せず、選抜法、抵抗性検定法に問題があり、抵抗性品種を育種が困難となっている(非特許文献2)。
櫛渕欽也他著「新しい植物育種技術」(1991)第210−286頁養賢堂 農林水産研究解題No.27大豆自給率向上に向けた技術開発、http://rms2.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/kaidai/daizuNo27/27-1-3-4_h.html
従来の病害抵抗性植物のスクリーニングでは、多数の個体を扱う上、病原菌の準備、植物体への病原菌の接種、及び植物体の病徴の観察には時間を要していた。
例えば、青枯病の抵抗性検定方法としては、大きく分けて、根に接種する方法と、茎葉に接種する方法がある。根に接種する方法の場合では、苗を一旦掘り上げて、接種菌液に浸漬し、植え込むか、鉢などに植えられた苗をそのままの状態で、包丁や移植ごて等で断根し、そこで菌液を灌注する方法があり、接種後土壌の湿度と温度が高く保たれ、そのための装置も考案されている。茎葉に接種する場合は、例えばトマトについては、トマトが20cmに育ったときに、刃に青枯防菌を塗布したモアを用いて、切断することにより切除することにより接種する(新しい植物育種技術、養賢堂 p255、(1991))。
いずれにせよ、植物がある程度成長してはじめて病原菌を接種できるものであり、しかも接種には、労力を要するものである。青枯病は、導管病であり、羅病植物の茎の地際部を切断すると、維管束から乳白色の病原細菌が宿主の液汁とともに流れ出るので、試験管などに水を中程まで入れ、羅病茎を水面に差し入れ、光の当たる角度を変えてすかしてみることにより、白い条状になって流れるかどうかどうかで確認できる(植物病理学事典 養賢堂p.163(1995))が、検定が繁雑である。そこで、病原菌の検出には、病原菌特異的モノクローナル抗体、PCR法などの確認する方法が現在開発中であるが、より、簡易なスクリーニング方法が求められている。
また、上述のように、大豆の黒根腐れ病は、圃場における発病が一定せず、スクリーニング方法が確立していない。更に、土壌伝染性の病害や媒介動物が介在する病害、また、開花期に感染するムギ類アカカビ病など、特的時期しか感染しない病害では、病害の検定方法の確立は容易でないいう問題がある(植物育種学 裳華房(1993)160頁)。
以上のように、病害抵抗性植物育種に必要な病害抵抗性植物の選抜について、(1)病原菌を使用する以上、そのスクリーニング施設は、隔離施設が必要であり、管理が欠かせず、(2)対象病原菌を均一に発病させるためには、接種時期・接種方法、病気の感染の有無の判定手法など、スクリーニングの各工程で、それぞれの病気について、個別に検討する必要、確立する必要がある、(3)病害によってはそもそも、適切な検定手段が存在しない等の問題がある。
そこで、病害抵抗性植物の効率的な選抜方法を確立することが望まれていた。
本件発明者らは、除草剤耐性植物が病害抵抗性を有することを見出した。そこで、病原菌を接種する選抜方法に代え、除草剤耐性を指標に病害抵抗性植物を選抜する方法を開発した。
本件発明では、病原菌を使用することなく、耐病性植物をスクリーニングすることができるので、スクリーニング施設の隔離条件が不要となり、更に、病原菌の均一な塗布の条件を決定することも不要となる。また、パラコート耐性等の除草剤耐性は簡便に検出でき、しかも結果に擬陽性が出ることは少なく、病気ごとに感染確認手段を開発することも不要である。
更に、パラコート耐性試験をはじめ、除草剤耐性試験は、幼少植物など、成長前に試験することも可能であり、更に本法で選抜された耐病性植物を次の選抜試験の供試植物として用いることで、耐病性植物の育種期間を大幅に短縮することができる。
[除草剤耐性]
本発明者らは、除草剤、特に、パラコート耐性を有する植物が、病害抵抗性をも兼ね備えることを実験的にはじめて確認し、除草剤耐性、特にパラコート耐性を指標として、植物の病害抵抗性を検定する方法を確立したものである。
除草剤としては、種々の除草剤が知られているが、特に光要求性除草剤が好適で、例えば、パラコートが上げられる。パラコートは、メチルビオローゲンとも呼ばれ、1,1-dimethyl-4,4-bipyridiniumu dichlorideのことで、1電子受容体で、除草剤の1種である。パラコートは、光照射下で除草剤活性を示す、光要求性除草剤である。パラコートは、葉緑体中で、光合成電子伝達系1電子をうけとり、還元され、パラコートフリーラジカルとなる。パラコートフリーラジカルは、酸素を還元し、パラコートが再生されるともに、スーパーオキシドが生じる。生じたスーパーオキシドが過酸化水素となり、さらに、毒性の強いヒドロキシラジカルとなることで、電子伝達系をはじめとする細胞内構成因子に障害を与える。パラコートは再生を繰り返すため、連鎖的に障害は拡大し、葉は短時間で退色し枯死する。
ところで、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ、グルタチオン還元酵素等の活性酸素消去系の作用がパラコートに耐性となるといわれている(「活性酸素―生物での生成・消去・作用の分子機構」 中野稔、浅田浩二、大柳善彦編 共立出版、1998年)。他方、植物が病原菌に遭遇すると、NADPHオキシダーゼやペルオキシダーゼ等によって活性酸素が産生されることが知られている。近年、活性酸素は病原菌に直接作用するだけでなく、植物側の病害抵抗性反応を引き起こすためのシグナルとして機能していることが明らかになってきた。そのため、植物病原菌にとっては、ペルオキシダーゼの活性化や活性酸素種の発生は好ましくなく、その際発生するラジカルの消去が感染成立には重要になる(植物の化学調節 Vol.33.No.2, P.145)と考えられていた。つまり、ラジカルを消去する、パラコート耐性を与えるような形質は、感染成立を容易にすると示唆されていたものといえる。
ところが、パラコートなど除草剤耐性の植物が、病原菌に対し耐性を示すかどうか、検討したところ、意外にも病原菌に対しても、耐性を示すことが確認でき、更にこの耐性を基準に病害抵抗性を検定できることを見出したことにより、本件発明を完成させたものである。
[対象植物]
病害抵抗性育種をする対象とする植物は、いずれの植物でも良いが、例えば、ナス科、アブラナ科、イネ科、マメ科、ウリ科、ヒルガオ科、ユリ科、シソ科、キク科、バラ科、ミカン科、シソ科、フトモモ科、ヤナギ科、アカザ科、リンドウ科及びナデシコ科等に属する植物が挙げられる。更に具体的には、ナス科:タバコ(Nicotiana tabacum L.)、ナス(Solanum melongena L.)、トマト(Lycopersicon esculentum Mill)、ピーマン(Capsicum annuum L.var.grossum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum L.)、ペチュニア(Petunia hybrida Vilm.)、アブラナ科:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana) 、アブラナ(Brassica campestris L.)、キャベツ(Brassica oleracea L.var.capitata L.)、ブロッコリー(Brassica oleracea L.var.botrytis L.)、白菜(Brassica campestris L.var.amplexicaulis)、ワサビ(Eutrema wasabi)、イネ科:イネ(Oryza sativa L.)、トウモロコシ(Zea mays L.) 、小麦(Triticum aestivum L.)、大麦(Hordeum vulgare L.)、マメ科:ダイズ(Glycine max L.) 、アズキ(Vigna angularis Willd.)、ササゲ(Vigna unguiculata)、ミヤコグサ(Lotus corniculatus L.var.japonicus Regel)、アカシア(Acacia mangium Willd.)、ウリ科:キュウリ(Cucumis sativus L.)、メロン (Cucumis melo L.)、ヒルガオ科:サツマイモ(Ipomoea batatas)、ユリ科:ネギ(Allium fistulosum L.)、セリ科:ニンジン(Daucus carota L.)、キク科:キク(Chrysanthemum morifolium)、レタス(Lactuca sativa L.)、バラ科:バラ(Rose hybrida Hort.)、モモ(Prunus persica)、リンゴ(Malus pumila Mill)、ミカン科:ミカン(Citras unshiu)、シソ科:シソ(Perilla frutescens Britt.var.crispa)、フトモモ科:ユーカリ(Eucalyptus globulus Labill)、ヤナギ科:ポプラ(Populas nigra L.var.italica Koehne)、アカザ科:ホウレンソウ(Spinacia oleracea L.)、リンドウ科:リンドウ(Gentiana scabra Bunge var.buergeri Maxim.)、ナデシコ科:カーネーション(Dianthus caryophyllus L.)がある。
本発明の選抜対象となる試料植物には、種々の方法で育種した植物が挙げられる。
[病害抵抗性植物候補育種]
(1)交配による育種:交配親として選んだ2つの純系を交配して後代の選抜を行う。病害抵抗性を持たせるためには、まず、耐病性に優れた品種と、収量性、良品質、難穂発芽性、早生などの優良形質を集積するように親を組み合わせて交配する。
そして、選抜を行い(系統育種法)、又は行うことなく(集団育種法:固定世代選抜法)、経代する。又、優良品種(若しくは系統)に、病害抵抗性(耐病性)の優れた品種・近縁種を交配後、戻し交雑することにより、耐病性以外の形質を、元の優良品種の形質のなるように育種することもできる。染色体数が異なる近縁種との交配するときは、染色体対合の乱れによる減数分裂の進行阻害を防ぐために、培養途上の雑種杯又は成長した雑種個体の成長点にコルヒチン処理をし、稔性のある個体を得ることもできる。
経代により、目的外の形質を持った個体を淘汰する。そして、生産力予備試験を行い、収量性、農業特性、品質をチェックして選抜する。
(2)突然変異法による育種
一般に、植物の変異を誘発する方法は、(i)突然変異誘導剤(アルキル化剤、核酸塩基アナログ)など化学物質処理 (ii)植物組織培養技術による体細胞変異 (iii)放射線、粒子線(ガンマー線・中性子線等)、電磁波(X線、紫外線)などのエネルギー線照射などの方法がある。
突然変異の発生頻度は、10−3〜10−2程度と低く、しかもその中から有用な形質を与えるものはごく僅かである。通常、処理個体から、子孫を育て、その中から、目的、つまり耐病性に優れたもの(本発明によれば除草剤耐性を有するもの)を選抜することとなる。
(3)外来遺伝子導入:目的とする遺伝子、好適には、耐病性遺伝子又はパラコートに耐性を与える遺伝子を植物に導入し、形質転換植物を育種することができる。(i)目的とする遺伝子は、コードするタンパク質が単離されているのであれば、そのタンパク質のN末側配列を決定し、それを元に、プローブを作成し、cDNAライブラリー又はゲノムライブラリーより標的遺伝子をつるしあげることができる。また、特定形質の発現のみに差がある系統又は組織がある場合には、その特定形質に関与する遺伝子の同定には、サブストラクション法を用いることができる。トランスポゾンや、T-DNAをゲノムに挿入することで、機能しなくなった遺伝子については、トランスポゾンやT-DNAをプローブとして発現しなくなった遺伝子を同定できる。(ii)同定された遺伝子は適宜のベクター、発現ベクター、バイナリーベクタ等、例えば、pBR322,pUC18,pUC19,pTP5などに組み換えることができる。(iii)組み換えベクターは、周知の遺伝子導入手段、例えば、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、湿潤法により、植物体に導入することができる。
なお、本発明のパラコート耐性など除草剤耐性を指標とする、病害耐性植物のスクリーニング方法は、上記に掲げた病害抵抗性植物の候補から、病害抵抗性植物をスクリーニングするときに用いることができるだけでなく、病害抵抗性植物を育種する際又は育種途中における、経代ごとの選抜手段として用いることもできる。
[病害原因菌]
本発明の選抜方法は、種々の植物病害に対する抵抗性植物の選抜に用いることができるが、対照となる病害としては、例えば、青枯病、うどん粉病、サビ病、いもち病、ムギ類アカカビ病、イネ白葉枯病、大麦縞萎縮病、リンゴ黒星病、根こぶ病、斑点細菌病、白絹病、萎凋病、ベト病、軟腐病、黒根腐病、落葉病、茎疫病、コムギ黄斑病、オオムギ角斑病、オオムギ堅黒穂病、オオムギ褐斑病、オオムギ褐紋病、麦類株腐病等を挙げることができ、好適には、青枯病、特に好適には、アブラナ科の青枯病の選抜に用いることができる。
[除草剤耐性植物の選抜(スクリーニング)]
病害抵抗性育種により、育種された試験対象植物は、本件の除草剤耐性により、選抜することができる。
除草剤耐性は、次のような条件により、確認することができる。
(1)試験材料:試験植物の、葉、茎、種子など、適宜の部分を試験材料として用いることができるが、好適には、種子を試験の対象として用いることができる。
(2)使用除草剤:試験に用いる除草剤としては、光合成阻害除草剤、好適には、光要求性除草剤、特に好適には、パラコートを用いることができる。
(3)除草剤処理:試験材料は、除草剤含有培地に浸漬することにより処理される。除草剤の濃度、処理時間としては、0.1μM〜10mM、1時間から30日の範囲で用いることができ、好適には、1μM〜1mM、1日から30日の範囲で用いることができる。除草剤としてパラコートを用いる場合は、濃度、処理時間としては、1μM〜3μM、5日から10日の範囲で用いることができ、好適には、3μM、8日を用いることができる。
(4)除草剤耐性の指標:除草剤耐性の指標としては、例えば、(2)で規定される除草剤を、(3)で規定される所定の濃度・時間処理し、又は培養した場合、コントロールと野生株の生長率を比較し、例えば、生長率が2倍以上のもの、好適には5倍以上、更に好適には10倍以上のものを選択することを、指標とすることができる。
具体的には、次のように試験することができる。
パラコート耐性試験をする系統のシロイヌナズナ植物の種子と、野生型植物体(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia(Col-0)及びLandsberg erecta)の種子を3μMパラコート(METHYL VIOLOGEN:SIGMA社製)を含む1/2MS寒天(1%)培地(ムラシゲ・スクーグ培地用混合塩類(Murashige and Skoog Plant Salt Mixture)2.3g/l:和光純薬工業社製、チアミン塩酸塩1.5mg/l、ニコチン酸2.5mg/l、ピリドキシン塩酸塩0.25mg/l、ショ糖濃度1.5%)に無菌播種し、22℃、60μmol /m2/s 照明下(16時間明期/8時間暗期のサイクル)で8日間培養した後、野生型植物体と比較し生存・成長した系統を、パラコート耐性で病害耐性の植物として選抜する。
パラコート耐性植物が、病害抵抗性であることの確認試験
(1) パラコート耐性植物及び対照植物
パラコート耐性植物として、Nottingham Arabidopsis Stock Center(http://nasc.nott.ac.uk/)より入手したthe late-flowering mutant gigantea(gi-3 )(株番号N51)を用いた(The Plant journal, 14, 759-764, 1998)。
対照の野生株としては、野生型植物体(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia(Col-0)及びLandsberg erecta)を用いた。
(2)青枯病細菌(Ralstonia solanacearum)のルシフェラーゼ標識菌株準備
(作製)
アラビドプシスに罹病性を示す青枯病細菌BK1002株(ナリジキシン酸抵抗性)にルシフェラーゼ遺伝子(lux)導入する為、プラスミドpLUX408を用いた。
pLUX408(Plant Ce11 Rep.,21,353-358,2002)を保持する大腸菌株S17-1をBK1002株に接合させた後、pLUX408上のプロモーターレスluxオペロンを運ぶトランスポゾンmini-Tn5(カナマイシン抵抗性)がBK1002株のゲノム中に転移した株を、ナリジキシン酸とカナマイシンによる選択で単離した。
青枯病細菌のゲノム上で発現しているプロモーター下流にトランスポゾンが転移すると、luxオペロンが発現し、青枯病細菌は生物発光する。ARGUS 50システム(浜松ホトニクス社製)を用いてトランスポゾン転移株の中から強い生物発光能を示す菌株を選抜し、BK1006株を得た(Plant Ce11 Rep.,21,353-358,2002)。BK1006株が栄養要求性を示さないこと、宿主植物に対する病原性が親株のBK1002株と同等であることを確認した。
(培養)
青枯病細菌の培養は、BG培地(ポリペプトン1.0%、酵母エキス0.1%、カザミノ酸0.1%、グルコース0.5%)(J.Gen.Microbiol.,131,2449-2457,1985)を用い、28℃で行った。
(3)ルシフェラーゼ標識青枯病細菌をシロイヌナズナ変異株(gi-3)に接種
(シロイヌナズナ栽培)
Nottingham Arabidopsis Stock Centerから入手した変異体シロイヌナズナ(gi-3)および野生型植物体(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia(Col-0)及びLandsberg erecta)の種子を、培養土としてバーミキュライト(旭化学工業社製):呉羽培土(呉羽化学社製):バーミキュライトが、2(下層):1(中層):1(上層)の割合になる様に入れたポット(40 x 50mm程度)に、5個/ポットの割合で播種し、100μE/m2の強さの光で16時間明期/8時間暗期の日長条件のもと23℃で生育させた。
(接種方法)
(2)で示した方法によりルシフェラーゼ標識青枯病細菌を培養後、OD600=0.5となる様に懸濁した菌液に解剖バサミを浸漬し、吸水後21日間生育させた3〜5個体/ポットのシロイヌナズナ植物体のロゼット葉上部に、切り込みを入れることにより菌を接種した。
(4)ルシフェラーゼ標識青枯病細菌の移動を評価
ルシフェラーゼ標識青枯病細菌接種後、シロイヌナズナは9日間、100μE/m2/sの強さの光で16時間明期/8時間暗期の日長条件のもと23℃で生育させた。
生育させたシロイヌナズナからの青枯病細菌の発光は、ARGUS 50システム(浜松ホトニクス社製)を用いて観察した。図1に示す様に、変異体シロイヌナズナ(gi-3:A)は、ルシフェラーゼの発光が観察されず、青枯病細菌が増植していないことが判明した。また野性種のシロイヌナズナ(Landsberg:C Columbia:B)では、ルシフェラーゼの発光が観察され、青枯病細菌が増殖していることが判明した。
(5)パラコート耐性試験
3μMパラコート(METHYL VIOLOGEN:SIGMA社製)を含む1/2MS寒天(1%)培地(ムラシゲ・スクーグ培地用混合塩類(Murashige and Skoog Plant Salt Mixture)2.3g/l:和光純薬工業社製、チアミン塩酸塩1.5mg/l、ニコチン酸2.5mg/l、ピリドキシン塩酸塩0.25mg/l、ショ糖濃度1.5%)に、上記シロイヌナズナ変異体(the late-flowering mutant gigantea(gi-3))及び野生株(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia(Col-0)及びLandsberg erecta)の種を無菌播種し、22℃、60μmol /m2/s 照明下(16時間明期/8時間暗期のサイクル)で8日間培養後、発芽した個体の生育を評価した。
対照として、パラコートを含有しないこと以外は同一条件で、個体の条件を評価した。
その結果、パラコートを添加した培地では、野生型の成長は著しく阻害されたのに対し、gi-3は生育することが示された。又パラコートを添加しない培地では、変異体と、野生株両者とも同様の成長をした(図2)。
以上から、パラコート耐性を指標とするスクリーニングで、青枯病耐性のgi-3を選抜できることが確認できた。
本件発明は、植物育種の技術分野で利用することができる。
シロイヌナズナに対するルシフェラーゼ標識青枯病細菌の増殖試験。 A:パラコート耐性シロイヌナズナ(gi-3) ルシフェラーゼの発光なし (青枯病細菌の増殖なし) B: 野性種のシロイヌナズナ(Co1umbia) →ルシフェラーゼの発光あり (青枯病細菌の増殖あり) C: 野性種のシロイヌナズナ(Landsberg) →ルシフェラーゼの発光あり (青枯病細菌の増殖あり) 図2Aは、図2B又はCにおけるシロイヌナズナ変異体(the late-flowering mutant gigantea(gi-3))及び野生株(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia(Col-0)及びLandsberg erecta)の位置を示す概略図である。 図2Bは、パラコート非含有1/2MS培地におけるシロイヌナズナ変異体(the late-flowering mutant gigantea(gi-3))及び野生株(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia(Col-0)及びLandsberg erecta)の生育を示す写真である。 図2Cは、パラコートを含む1/2MS培地におけるシロイヌナズナ変異体(the late-flowering mutant gigantea(gi-3))及び野生株(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia(Col-0)及びLandsberg erecta)の生育を示す写真である。

Claims (8)

  1. 除草剤耐性を指標として試験植物を選抜する、病害抵抗性植物を選抜する方法。
  2. 除草剤が光要求性除草剤である請求項1項記載の方法。
  3. 除草剤がパラコートである請求項1又は2記載の方法。
  4. 病害抵抗性植物がアブラナ科植物である請求項1〜3項いずれか1項記載の方法。
  5. 病害が青枯病である請求項1〜4いずれか1項記載の方法。
  6. 除草剤を含む培地で種子を培養後、種子の成長度を除草剤耐性の指標とする請求項1〜6項いずれか1項記載の方法。
  7. 除草剤がパラコートで、病害が青枯病、植物がアブラナ科植物である請求項1項記載の方法。
  8. パラコートを3μM含む培地を用いて選抜する請求項7項記載の方法。
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