JP2005086982A - 高分子アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】 大きな出力あるいは大きな出力ストロークを発生可能な高分子アクチュエータを提供する。
【解決手段】 大径ピストン45および大径シリンダ48で区画した第1油室51と、小径ピストン49および小径シリンダ47で区画した第2油室52とを連通させ、導電性高分子材料からなる線状のアクチュエータエレメント14の伸縮により大径ピストン45および大径シリンダ48を相対移動させることで第1油室51の容積および第2油室52の容積を変化させ、第2油室52の容積変化に伴う小径ピストン49および小径シリンダ47の相対移動を出力として取り出す。アクチュエータエレメント14の本数を増加させることで出力を増加させることができ、大径ピストン45および小径ピストン49の直径差に応じて出力ストロークを増加させることができる。
【選択図】 図5
【解決手段】 大径ピストン45および大径シリンダ48で区画した第1油室51と、小径ピストン49および小径シリンダ47で区画した第2油室52とを連通させ、導電性高分子材料からなる線状のアクチュエータエレメント14の伸縮により大径ピストン45および大径シリンダ48を相対移動させることで第1油室51の容積および第2油室52の容積を変化させ、第2油室52の容積変化に伴う小径ピストン49および小径シリンダ47の相対移動を出力として取り出す。アクチュエータエレメント14の本数を増加させることで出力を増加させることができ、大径ピストン45および小径ピストン49の直径差に応じて出力ストロークを増加させることができる。
【選択図】 図5
Description
本発明は、電圧を加えることで伸縮する導電性高分子材料を用いた高分子アクチュエータに関する。
かかる高分子アクチュエータは、下記特許文献1により公知である。この特許文献1の図7の実施例に示されたものは、コイルスプリングの外周を電解質部を挟んで導電性高分子材料で覆って導電性高分子チューブを構成し、この導電性高分子チューブの導電性高分子材料および電解質部間に電圧を加えることで、導電性高分子チューブをコイルスプリングの軸線に沿う方向に伸縮させて高分子アクチュエータとしての機能を発揮させるようになっている。
特開2000−133854号公報
ところで、1本の導電性高分子チューブが発生し得る出力は小さいため、多数の導電性高分子チューブを束ねて出力を増加させることが考えられるが、束ねられる導電性高分子チューブの数には限界があるために必要とする出力が得られない場合がある。また導電性高分子チューブの伸縮率は15%程度にすぎないため、その出力ストロークが不足してアクチュエータとしての利用範囲が制限される問題がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、大きな出力あるいは大きな出力ストロークを発生可能な高分子アクチュエータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、電圧を加えることで伸縮する導電性高分子材料からなる線状のアクチュエータエレメントと、第1油室を区画すべく摺動自在に嵌合する大径ピストンおよび大径シリンダと、第1油室に連通する第2油室を区画すべく摺動自在に嵌合する小径ピストンおよび小径シリンダとを備え、アクチュエータエレメントの伸縮により大径ピストンおよび大径シリンダを相対移動させることで、第1油室の容積および第2油室の容積を変化させ、第2油室の容積変化に伴う小径ピストンおよび小径シリンダの相対移動を出力として取り出すことを特徴する高分子アクチュエータが提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、電圧を加えることで伸縮する線状の導電性高分子材料を織って構成した導電性高分子ネットと、内部に第1油室を有して導電性高分子ネットに包まれた可撓性容器と、第1油室に連通する第2油室を区画すべく摺動自在に嵌合するピストンおよびシリンダとを備え、導電性高分子ネットの伸縮により可撓性容器の第1油室の容積を変化させることで第2油室の容積を変化させ、第2油室の容積変化に伴うピストンおよびシリンダの相対移動を出力として取り出すことを特徴する高分子アクチュエータが提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、電圧を加えることで伸縮する導電性高分子材料からなる線状のアクチュエータエレメントと、一端側が固定されたアクチュエータエレメントの他端側が巻き付けられたリールナットと、リールナットにねじ機構を介して接続されたスクリューロッドとを備え、アクチュエータエレメントの伸縮によりリールナットを回転させ、リールナットの回転をねじ機構を介してスクリューロッドの往復動に変換して出力することを特徴する高分子アクチュエータが提案される。
尚、実施例のゴムチューブ72は本発明の可撓性容器に対応し、実施例のボールねじ機構97は本発明のねじ機構に対応する。
請求項1の構成によれば、大径ピストンおよび大径シリンダで区画した第1油室と、小径ピストンおよび小径シリンダで区画した第2油室とを連通させ、導電性高分子材料からなる線状のアクチュエータエレメントの伸縮により大径ピストンおよび大径シリンダを相対移動させることで第1油室の容積および第2油室の容積を変化させ、第2油室の容積変化に伴う小径ピストンおよび小径シリンダの相対移動を出力として取り出すので、大径ピストンおよび小径ピストンの直径差に応じて出力ストロークを任意に増加させることができる。また導電性高分子材料を用いた高分子アクチュエータは従来の電気モータ、油圧シリンダ、空圧シリンダ等を用いたアクチュエータに比べて構造が簡単なためにコストおよびスペースの削減に寄与することができ、しかも低い電圧で作動可能であるために消費電力が小さく、かつ低騒音であるために静粛な作動が可能である。
請求項2の構成によれば、線状の導電性高分子材料を織って構成した導電性高分子ネットで可撓性容器を包み、可撓性容器内の第1油室に連通する第2油室をピストンおよびシリンダで区画し、導電性高分子ネットの伸縮により可撓性容器の第1油室の容積を変化させることで第2油室の容積を変化させ、第2油室の容積変化に伴うピストンおよびシリンダの相対移動を出力として取り出すので、導電性高分子ネットで第1油室に大きな油圧を発生させて大きな出力を得ることができるだけでなく、ピストンの直径を変化させることで出力ストロークを任意に増加させることができる。また導電性高分子材料を用いた高分子アクチュエータは従来の電気モータ、油圧シリンダ、空圧シリンダ等を用いたアクチュエータに比べて構造が簡単なためにコストおよびスペースの削減に寄与することができ、しかも低い電圧で作動可能であるために消費電力が小さく、かつ低騒音であるために静粛な作動が可能である。
請求項3の構成によれば、導電性高分子材料からなる線状のアクチュエータエレメントの一端側を固定して他端側をリールナットに巻き付け、アクチュエータエレメントの伸縮によるリールナットの回転をねじ機構を介してスクリューロッドの往復動に変換して出力するので、アクチュエータエレメントを長くしてリールナットの回転数を増加させ、かつねじ機構で出力を倍力することで、大きな出力および大きなストロークを両立させることができる。また導電性高分子材料を用いた高分子アクチュエータは従来の電気モータ、油圧シリンダ、空圧シリンダ等を用いたアクチュエータに比べて構造が簡単なためにコストおよびスペースの削減に寄与することができ、しかも低い電圧で作動可能であるために消費電力が小さく、かつ低騒音であるために静粛な作動が可能である。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図8は本発明の第1実施例を示すもので、図1は導電性高分子チューブの構造を示す図、図2はアクチュエータエレメントの全体図、図3は図2の3−3線拡大断面図、図4は自動車のサスペンション装置の正面図、図5は車高調整用アクチュエータの縦断面図、図6は図5の6−6線断面図、図7は図5の7部拡大図、図8は前記図5に対応する作用説明図である。
本実施例は、高分子アクチュエータを自動車のサスペンションの車高調整装置に適用したものであり、まず高分子アクチュエータに使用されるアクチュエータエレメントの構造を図1〜図3に基づいて説明する。
高分子アクチュエータに使用する導電性高分子材料は、例えばポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンおよびこれらの誘導体のうちの一種、あるいは複数種の混合物で構成される。導電性高分子材料を電解液に浸し、導電性高分子材料および電解液にそれぞれプラス電位およびマイナス電位を与えると、導電性高分子材料に電解液中のマイナスイオンが吸収されて膨張し、逆に導電性高分子材料および電解液にそれぞれマイナス電位およびプラス電位を与えると、導電性高分子材料から電解液中のマイナスイオンが放出されて収縮する性質がある。このとき、僅かに1V〜3Vの電圧を加えるだけで導電性高分子材料は15%程度の伸縮率と22MPa程度の出力を発生することができ、かつ0.2秒程度の応答時間で伸長状態および収縮状態を切り替えることができる。
図1に示すように、細い金属線をコイル状に巻いたコイル部材11を導電性高分子材料12で覆うことにより導電性高分子チューブ13を構成する。導電性高分子材料12をコイル部材11と一体化することで、その径方向の伸縮を抑制して軸方向の伸縮を促進することができる。1本の導電性高分子チューブ13が発生する出力には限界があるため、それを複数本束ねてアクチュエータエレメント14を構成する。
図2および図3に示すように、本実施例のアクチュエータエレメント14は6本の導電性高分子チューブ13…を束ね、その両端部で一体に締結したものである。即ち、アクチュエータエレメント14の端部において、金属等の硬質材料で形成した円柱状の芯材15の外周にゴム等の緩衝材16を被せ、その外周に複数本(実施例では6本)の導電性高分子チューブ13…の端部を束ねた後、それらの外周にゴム等の緩衝材17を介して金属で形成した円筒状の締結リング18を嵌合させる。そして締結リング18を隣接する導電性高分子チューブ13…の間の6カ所で、図3(B)の状態から図3(A)の状態に径方向内側にかしめることにより、芯材15と締結リング18との間に6本の導電性高分子チューブ13…を締結する。
締結リング18をかしめ加工する前に、半球状の球面ベアリング19の中心を貫通する貫通孔19aに、予め6本の導電性高分子チューブ13…を挿通しておく。また締結リング18をかしめ加工する際に、その内側に延びる1本の電極線20を何れか1本の導電性高分子チューブ13に電気的に接続しておく。6本の導電性高分子チューブ13…は相互に接触しているため、1本の電極線20を介して6本の導電性高分子チューブ13に電圧を印加することができる。
図4は自動車のサスペンション装置を示すもので、車輪31を回転自在に支持するナックル32がサスペンションアーム33を介して車体34に上下動自在に支持されており、サスペンションアーム33および車体34間にコイルスプリング35および車高調整用アクチュエータ36が同軸かつ直列に配置される。またナックル32と車体34とを接続するダンパー37は、下端をナックル32に支持されたシリンダ38と、シリンダ38から上方に突出して車体34に支持されたピストンロッド39とを備える。従って、路面から車輪31に入力された衝撃はコイルスプリング35により緩衝されてダンパー37により減衰され、かつ車高調整用アクチュエータ36の伸縮によって車高調整が行われる。
次に、図5〜図7に基づいて車高調整用アクチュエータ36の構造を説明する。
車高調整用アクチュエータ36は、車体34に固定された有底円筒状の下部ケーシング41と、下部ケーシング41の上端に伸縮自在なブーツ42を介して接続された同直径の上部ケーシング43とを備える。下部ケーシング41の底面に固定された下部ベース部材44から大径ピストン45が上向きに突出し、また上部ケーシング43の底面に固定された上部ベース部材46から同軸に形成された大径シリンダ48が下向きに突出し、この大径シリンダ48の内部に大径ピストン45が摺動自在に嵌合する。
下部ベース部材44および大径ピストン45を貫通する小径シリンダ47に摺動自在に嵌合する小径ピストン49の下端は、コイルスプリング35の上端を支持するスプリングシート40の上面に支持される。大径シリンダ48、上部ベース部材46および上部ケーシング43は、大径ピストン45および大径シリンダ48間に配置されたリターンスプリング50により、大径ピストン45、下部ベース部材44および下部ケーシング41に対して上向きに付勢される。大径ピストン45および大径シリンダ48により区画された第1油室51と、小径シリンダ47および小径ピストン49により区画された第2油室52とは相互に連通しており、第1、第2油室51,52にはオイルが充填される。
下部ベース部材44および上部ベース部材46が、円周方向に所定間隔で配置された複数本(実施例では20本)のアクチュエータエレメント14…で接続される。下部ベース部材44、下部ケーシング41、ブーツ42、上部ケーシング43、上部ベース部材46、大径ピストン45および大径シリンダ48で区画された電解液室53には電解液が充填されており、電解液室53に収納されたアクチュエータエレメント14…は電解液に接触する。
図7に詳細に示すように、上部ベース板46に各アクチュエータエレメント14を固定すべく、その上面から下面に向けて1本の環状溝46a、20個の球面状座部46b…および20個の貫通孔46c…が形成される。アクチュエータエレメント14の6本の導電性高分子チューブ13…が貫通孔46cを緩く貫通した状態で、球面ベアリング19が球面状座部46bに揺動自在に嵌合する。そして導電性高分子チューブ13…に張力を付与することで、球面ベアリング19と球面状座部46bとの間の滑りによりアクチュエータエレメント14が直線状に延びた状態で、環状溝46aに溶融した合成樹脂54を流し込んで硬化させる。
以上、各アクチュエータエレメント14の上端を上部ベース部材46に固定する構造を説明したが、その下端を下部ベース部材44に固定する構造も同一である。但し、アクチュエータエレメント14の下端には電極線20が設けられていない点が異なっている。
上部ベース板46の上面に環状の第1電極板55および環状の第2電極板56が同心状に固定される。径方向外側に配置された第1電極板55には、20本のアクチュエータエレメント14…から上方に延びる20本の電極線20…が接続される。また径方向内側に配置された第2電極板56から、90°間隔で配置された4本の白金製の電極棒57…が電解液室53内に延びており、それらの下端は大径シリンダ48の外周に固定した支持部材58に支持される。
次に、上記構成を備えた第1実施例の作用を説明する。
アクチュエータエレメント14…の導電性高分子チューブ13…に電極線20…を介して接続された第1電極板55をバッテリのマイナス極に接続し、電解液室53内の電解液に浸された電極棒57…に連なる第2電極板56をバッテリのプラス極に接続すると、導電性高分子チューブ13…に吸収されていたマイナスイオンが電解液中に排出されることで、導電性高分子チューブ13…が軸方向に収縮する。すると、図8に示すように、アクチュエータエレメント14…が軸方向に収縮して下部ベース部材44に対して上部ベース部材46が引き下げられるため、大径ピストン45に対して大径シリンダ48が相対的に下降して第1油室51のオイルを第2油室52に押し出すことで、大径ピストン45よりも小径の小径ピストン49が大きなストロークで下部ベース部材44から下方に突出し、上部ベース部材46の上面から小径ピストン49の下端までの距離が増加する。その結果、車体34に対してサスペンションアーム33が押し下げられることで、車高が増加方向に調整される。
また各アクチュエータエレメント14が収縮するとき、その収縮荷重が締結リング18から球面ベアリング19を介して下部ベース部材44および上部ベース部材46に伝達されるので、前記収縮荷重を高い信頼性で効率よく伝達することができる。
逆に、第1電極板55をバッテリのプラス極に接続し、第2電極板56をバッテリのマイナス極に接続すると、電解液中のマイナスイオンが導電性高分子チューブ13…に吸収されることで、導電性高分子チューブ13…、即ちアクチュエータエレメント14…が軸方向に伸長する。
尚、下部ベース部材44に対して上部ベース部材46が昇降すると電解液室53の容積が増減するが、下部ケーシング41および上部ケーシング43を接続するブーツ42が弾性変形することで前記容積の増減を吸収することができる。
このように、本実施例では応答性の高い高分子アクチュエータを車高調整用アクチュエータ36に適用したことで、従来の油圧や空圧を採用した車高調整用アクチュエータ36に比べて速やかな車高調整が可能になるだけでなく、油圧ポンプ、エアーコンプレッサ、アキュムレータ等の大がかりが設備が不要になってコストおよびスペースの削減に寄与することができる。また高分子アクチュエータは1V〜3Vの極めて低い電圧で作動可能であるために消費電力が小さく、しかも騒音を発生しないので静粛な車高調整が可能である。
またアクチュエータエレメント14自体も以下のような優れた特性を有している。即ち、6本の導電性高分子チューブ13…の端部を束ねる際に、硬質の芯材15の周囲を囲むように配置した導電性高分子チューブ13…の外周を環状の締結リング18をかしめることで一体に締結するので、6本の導電性高分子チューブ13…を整然とした形状に束ねて下部ベース部材44および上部ベース部材46に精度良く固定できる。しかも締結部における導電性高分子チューブ13…の捩れや曲がりが防止されるので、その出力を下部ベース部材44および上部ベース部材46に効果的に伝達することができる。また前記締結部を合成樹脂54で固めることにより、導電性高分子チューブ13…の緩みや抜けを防止して信頼性を一層高めることができるだけでなく、電極線20…を前記合成樹脂54の内部に埋設したことで、電極線20…の断線、短絡、接触不良等の発生を防止して信頼性をより一層高めることができる。
更に、各アクチュエータエレメント14を下部ベース部材44および上部ベース部材46に固定する際に、球面ベアリング19および球面状座部44b,46b間の滑りによりアクチュエータエレメント14の両端部を正しく軸線方向に整列させ、アクチュエータエレメント14が端部付近で屈曲して充分な出力を下部ベース部材44および上部ベース部材46に伝達できなくなる不具合を解消することができる。
以上のように、大径ピストン45および大径シリンダ48で区画した第1油室51と、小径ピストン49および小径シリンダ47で区画した第2油室52とを相互に連通させ、複数本のアクチュエータエレメント14…の伸縮により大径ピストン45および大径シリンダ48を相対移動させることで第1油室51の容積および第2油室52の容積を変化させ、第2油室52の容積変化に伴う小径ピストン49および小径シリンダ47の相対移動を出力として取り出すので、大径ピストン45および小径ピストン49の直径比を変化させることで車高調整用アクチュエータ36に出力ストロークを任意に増加させることができる。
図9〜図11は本発明の第2実施例を示すもので、図9は車高調整用アクチュエータの縦断面図、図10は図9の10−10線断面図、図11は前記図9に対応する作用説明図である。
第2実施例の車高調整用アクチュエータ36は、相互に摺動自在かつ非液密に嵌合する上部ケーシング61および下部ケーシング62を備えており、上部ケーシング61の下端と下部ケーシング62の下端とが伸縮自在なベローズ63によって接続される。下部ケーシング62の下端内周に下端外周を固定されたシリンダ64が上方に延びており、このシリンダ64に摺動自在に嵌合する中空のピストン65の上部が上部ケーシング61に固定される。シリンダ64の底壁にナット66で固定されたロッド状のスプリングガイド67がシリンダ64およびピストン65の内部を上方に立ち上がっており、スプリングガイド67の上端のスプリングシート67aと、ピストン65の下部にクリップ68で係止したスプリングシート69との間にリターンスプリング70を配置することで、第2油室76に常に内圧を発生させている。ピストン65の下降端は、シリンダ64の内周に固定したクリップ71により規制される。
上端および下端に開口部72a,72bが形成されたゴムチューブ72がシリンダ64およびピストン65の外周を覆っており、上端の開口部72aはピストン65の外周に嵌合して固定リング73で固定され、下端の開口部72bはシリンダ64の外周に嵌合して固定リング74で固定される。ゴムチューブ72の横断面は、それが径方向に伸縮し易いように90°間隔で4本の溝部72c…を有している。シリンダ64およびピストン65とゴムチューブ72との間には第1油室75が区画されており、この第1油室75はシリンダ64およびピストン65の内部に区画された第2油室76に、シリンダ64およびピストン65を貫通する複数の連通孔64a…,65a…を介して連通する。
図1に示す導電性高分子チューブ13を網目状に織って全体として筒状に形成した導電性高分子ネット77がゴムチューブ72の外周面を覆っており、その上端は前記固定リング73でゴムチューブ72の上端の開口部72aの外周に共締めされ、その下端は前記固定リング74でゴムチューブ72の下端の開口部72bの外周に共締めされる。
電解液が充填された電解液室78が上部ケーシング61、下部ケーシング62、ベローズ63およびゴムチューブ72によって区画されており、導電性高分子ネット77は電解液室78の内部に位置して電解液に浸っている。そして導電性高分子ネット77に電気的に接触する固定リング73に連なる電極線79と、電解液室78の内部に配置された円筒状の電極板80とに図示せぬバッテリが接続される。
次に、上記構成を備えた第2実施例の作用を説明する。
導電性高分子ネット77をバッテリのマイナス極に接続して電極板80をバッテリのプラス極に接続すると、導電性高分子ネット77を構成する導電性高分子チューブ13…の1本1本が軸方向に収縮するため、導電性高分子ネット77全体が径方向に収縮してゴムチューブ72を図9の状態から図11の状態へと押し潰す。すると、導電性高分子ネット77内の第1油室75のオイルが連通孔64a…,65a…を介してシリンダ64およびピストン65内の第2油室76に供給されることで、シリンダ64に対してピストン65が上方に移動して車高を増加させる。
このピストン65の上方への移動に伴って、ピストン65の上端に固定されたゴムチューブ72は更に細く変形するため、第1油室75から第2油室76へのオイルの供給が一層促進される。またピストン65に固定された上部ケーシング61が下部ケーシング62に対して上方に移動することで電解液室78の容積が拡大するが、上部ケーシング61,下部ケーシング61,62を接続するベローズ63の内部空間がリザーバとして機能するので支障はない。
逆に、導電性高分子ネット77をバッテリのプラス極に接続して電極板80をバッテリのマイナス極に接続すると、導電性高分子ネット77を構成する導電性高分子チューブ13…の1本1本が軸方向に伸長するため、導電性高分子ネット77の径方向の収縮力が消滅する。すると、リターンスプリング70の弾発力でピストン65が押し下げられて第2油室76の容積が減少することで、第2油室76のオイルが連通孔64a…,65a…を介して第1油室75に供給されることで、ゴムチューブ72および導電性高分子ネット77が図9の状態に再び膨張する。そして前記ピストン65の下降によって車高を減少させることができる。
以上のように、アクチュエータエレメント14…を網目状に織って構成した導電性高分子ネット77でゴムチューブ72を包み、ゴムチューブ72内の第1油室75に連通する第2油室76をピストン65およびシリンダ64で区画し、導電性高分子ネット77の伸縮によりゴムチューブ72の第1油室75の容積を変化させることで第2油室76の容積を変化させ、第2油室76の容積変化に伴うピストン65およびシリンダ64の相対移動を出力として取り出すので、導電性高分子ネット77の強い収縮力で第1油室75に大きな油圧を発生させて大きな出力を得ることができるだけでなく、ピストン65の直径を変化させることで出力ストロークを任意に増加させることができる。
図12および図13は本発明の第3実施例を示すもので、図12は車高調整用アクチュエータの縦断面図、図13は前記図12に対応する作用説明図である。
第3実施例の車高調整用アクチュエータ36は、有底円筒状のケーシング91と、その上端開口部を閉塞する環状のカバー92とを備えており、ケーシング91の内部に上下一対のボールベアリング93,94を介して概略円筒状のリールナット95が回転自在に支持される。リールナット95の外周面には1本の螺旋溝95aが形成されており、この螺旋溝95aに図2に示す1本のアクチュエータエレメント14が巻き付けられる。アクチュエータエレメント14の一端に設けた球面ベアリング19は、第1実施例と同じ構造によってケーシング91に固定され、アクチュエータエレメント14の他端は適宜の構造で螺旋溝95aに固定される。
リールナット95の下端内周面とケーシング91の底壁との間にゼンマイ96が配置されており、リールナット95が回転したときにゼンマイ96が巻き上げられて逆方向の回転力が発生するようになっている。またリールナット95の内周面にボールねじ機構97を介してスクリューロッド98が支持されており、リールナット95の回転によりボールねじ機構97を介してスクリューロッド98が上下動する。このとき、リールナット95の回転に引きずられてスクリューロッド98が回転しないように、その外周面に軸方向に形成したガイドリブ98aがカバー92に形成したガイド溝92aに係合する。
ケーシング91およびリールナット95間に電解液が充填された電解液室99が区画されており、アクチュエータエレメント14は電解液に浸されている。またアクチュエータエレメント14に接続された電極線100と、球面ベアリング19を固定する合成樹脂54を貫通して電解液室99の内部に延びる白金製の電極棒101とがバッテリに接続される。
次に、上記構成を備えた第3実施例の作用を説明する。
アクチュエータエレメント14をバッテリのマイナス極に接続して電極棒101をバッテリのプラス極に接続すると、6本の導電性高分子チューブ13…が軸方向に収縮することでアクチュエータエレメント14も軸方向に収縮する。その結果、ゼンマイ96を巻き上げながらリールナット95が回転し、ボールねじ97を介してスクリューロッド98が上昇することで車高を増加させる。
逆に、アクチュエータエレメント14をバッテリのプラス極に接続して電極棒101をバッテリのマイナス極に接続するとアクチュエータエレメント14が軸方向に伸長し、ゼンマイ96の弾性復元力でリールナット95が逆方向に回転することで、スクリューロッド98が下降して車高を減少させる。
以上のように、1本のアクチュエータエレメント14の一端側を固定して他端側をリールナット95に巻き付け、アクチュエータエレメント14の伸縮によるリールナット95の回転をボールねじ機構97を介してスクリューロッド98の往復動に変換して出力するので、アクチュエータエレメント14を長くしてリールナット95の回転数を増加させ、かつボールねじ機構97で出力を倍力することで、大きな出力および大きなストロークを両立させることができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施例では高分子アクチュエータを車高調整用アクチュエータ36に適用しているが、本発明の高分子アクチュエータは他の任意の用途に適用することができる。
12 導電性高分子材料
14 アクチュエータエレメント
45 大径ピストン
47 小径シリンダ
48 大径シリンダ
49 小径ピストン
51 第1油室
52 第2油室
64 シリンダ
65 ピストン
72 ゴムチューブ(可撓性容器)
75 第1油室
76 第2油室
77 導電性高分子ネット
95 リールナット
97 ボールねじ機構(ねじ機構)
98 スクリューロッド
14 アクチュエータエレメント
45 大径ピストン
47 小径シリンダ
48 大径シリンダ
49 小径ピストン
51 第1油室
52 第2油室
64 シリンダ
65 ピストン
72 ゴムチューブ(可撓性容器)
75 第1油室
76 第2油室
77 導電性高分子ネット
95 リールナット
97 ボールねじ機構(ねじ機構)
98 スクリューロッド
Claims (3)
- 電圧を加えることで伸縮する導電性高分子材料(12)からなる線状のアクチュエータエレメント(14)と、第1油室(51)を区画すべく摺動自在に嵌合する大径ピストン(45)および大径シリンダ(48)と、第1油室(51)に連通する第2油室(52)を区画すべく摺動自在に嵌合する小径ピストン(49)および小径シリンダ(47)とを備え、
アクチュエータエレメント(14)の伸縮により大径ピストン(45)および大径シリンダ(48)を相対移動させることで第1油室(51)の容積および第2油室(52)の容積を変化させ、第2油室(52)の容積変化に伴う小径ピストン(49)および小径シリンダ(47)の相対移動を出力として取り出すことを特徴する高分子アクチュエータ。 - 電圧を加えることで伸縮する線状の導電性高分子材料(12)を織って構成した導電性高分子ネット(77)と、内部に第1油室(75)を有して導電性高分子ネット(77)に包まれた可撓性容器(72)と、第1油室(75)に連通する第2油室(76)を区画すべく摺動自在に嵌合するピストン(65)およびシリンダ(64)とを備え、
導電性高分子ネット(77)の伸縮により可撓性容器(72)の第1油室(75)の容積を変化させることで第2油室(76)の容積を変化させ、第2油室(76)の容積変化に伴うピストン(65)およびシリンダ(64)の相対移動を出力として取り出すことを特徴する高分子アクチュエータ。 - 電圧を加えることで伸縮する導電性高分子材料(12)からなる線状のアクチュエータエレメント(14)と、一端側が固定されたアクチュエータエレメント(14)の他端側が巻き付けられたリールナット(95)と、リールナット(95)にねじ機構(97)を介して接続されたスクリューロッド(98)とを備え、
アクチュエータエレメント(14)の伸縮によりリールナット(95)を回転させ、リールナット(95)の回転をねじ機構(97)を介してスクリューロッド(98)の往復動に変換して出力することを特徴する高分子アクチュエータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003319864A JP2005086982A (ja) | 2003-09-11 | 2003-09-11 | 高分子アクチュエータ |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=34418681
Family Applications (1)
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JP2003319864A Pending JP2005086982A (ja) | 2003-09-11 | 2003-09-11 | 高分子アクチュエータ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005086982A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007148572A1 (ja) * | 2006-06-20 | 2007-12-27 | Panasonic Corporation | 高分子アクチュエータ |
WO2010113744A1 (ja) | 2009-03-30 | 2010-10-07 | 東レ株式会社 | 導電膜除去剤および導電膜除去方法 |
-
2003
- 2003-09-11 JP JP2003319864A patent/JP2005086982A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007148572A1 (ja) * | 2006-06-20 | 2007-12-27 | Panasonic Corporation | 高分子アクチュエータ |
US7804226B2 (en) | 2006-06-20 | 2010-09-28 | Panasonic Corporation | Polymer actuator |
WO2010113744A1 (ja) | 2009-03-30 | 2010-10-07 | 東レ株式会社 | 導電膜除去剤および導電膜除去方法 |
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