JP2005085607A - 燃料電池用アノード電極触媒およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い耐一酸化炭素被毒性を示す燃料電池用アノード電極触媒およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 金属酸化物担体と、該金属酸化物担体に担持された貴金属粒子と、該貴金属粒子と前記金属酸化物担体との間に位置した合金相とを有することを特徴とする燃料電池用アノード電極触媒。また、金属酸化物と貴金属塩とを混合して貴金属塩担持金属酸化物を得る第一工程と、該貴金属塩担持金属酸化物に還元雰囲気下で熱処理を施す第二工程とを有することを特徴とする燃料電池用アノード電極触媒の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 金属酸化物担体と、該金属酸化物担体に担持された貴金属粒子と、該貴金属粒子と前記金属酸化物担体との間に位置した合金相とを有することを特徴とする燃料電池用アノード電極触媒。また、金属酸化物と貴金属塩とを混合して貴金属塩担持金属酸化物を得る第一工程と、該貴金属塩担持金属酸化物に還元雰囲気下で熱処理を施す第二工程とを有することを特徴とする燃料電池用アノード電極触媒の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、燃料電池用アノード電極触媒、およびその製造方法に関するものである。
固体高分子電解質膜型燃料電池(以下、PEFC)は、固体電解質型燃料電池およびリン酸型燃料電池と比較して低温で効率よく発電ができることから、車載用あるいは家庭用電源として注目されており、活発な研究が行なわれている。
この際、燃料として、コスト面で有利なガソリン、アルコール、天然ガス、灯油などを原料とする改質ガスを用いることが検討されている。また、アノード電極触媒においては、白金、パラジウム、ルテニウム等の貴金属が用いられている。
しかし、燃料として上記の改質ガスを用いる場合には、ガス中に残存している一酸化炭素によってアノード電極触媒が被毒されることにより、発電性能が著しく低下することが指摘されている。一般に、強い吸着力を有する一酸化炭素は、白金やパラジウムのような貴金属に1対1の量論比で化学吸着し、容易には脱離しないことが知られている。このように、貴金属上の活性点が一酸化炭素に占有されることが被毒であり、燃料電池用アノード触媒の性能低下、寿命短縮の主因となっている。
一方、上記の燃料から一酸化炭素をより厳密に除去するにはコストがかかる。
この際、燃料として、コスト面で有利なガソリン、アルコール、天然ガス、灯油などを原料とする改質ガスを用いることが検討されている。また、アノード電極触媒においては、白金、パラジウム、ルテニウム等の貴金属が用いられている。
しかし、燃料として上記の改質ガスを用いる場合には、ガス中に残存している一酸化炭素によってアノード電極触媒が被毒されることにより、発電性能が著しく低下することが指摘されている。一般に、強い吸着力を有する一酸化炭素は、白金やパラジウムのような貴金属に1対1の量論比で化学吸着し、容易には脱離しないことが知られている。このように、貴金属上の活性点が一酸化炭素に占有されることが被毒であり、燃料電池用アノード触媒の性能低下、寿命短縮の主因となっている。
一方、上記の燃料から一酸化炭素をより厳密に除去するにはコストがかかる。
そこで、アノード電極触媒の一酸化炭素被毒に対する耐性(以下、「耐一酸化炭素被毒性」という)を向上させる研究が盛んに行なわれている。最も活発に研究されているのは白金−ルテニウム合金触媒である。
これまでに、一酸化炭素による被毒が抑制された電極触媒として、白金とルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデンなどを合金化させた触媒が盛んに研究されている(例えば、非特許文献1、2参照)。非特許文献1の記載によれば、白金と前記金属とを合金化することで、白金の価電子帯(5d軌道)の電子密度が低下し、白金の5d軌道と一酸化炭素の2π*軌道との間のバンドギャップが拡大することにより、白金から一酸化炭素へのバックドネーションが抑制されて、白金への一酸化炭素の吸着力が弱まる。
これにより、白金に対する一酸化炭素の被覆率が減少し、白金の空サイトが増加する、すなわち、触媒の耐一酸化炭素被毒性が発現することが示されている。
この系での許容一酸化炭素濃度は、100ppm程度である。すなわち、燃料に含まれる一酸化炭素濃度が100ppm程度以下ならば、触媒は安定して活性を発揮することができる。
また、非特許文献2において、ストリッピングボルタンメトリーを利用した電気化学的な手法により、電極表面に吸着した一酸化炭素の酸化波は、単味の白金触媒の場合では+0.58Vvs.RHEにおいて検出されるが、白金−ルテニウム合金触媒の場合では+0.36Vvs.RHEへ低電位シフトすることが示されている。すなわち、白金触媒と比較して、白金−ルテニウム合金触媒では電極表面に吸着した一酸化炭素の酸化が促進されることによって耐一酸化炭素被毒性が発現されることが推測されている。
しかし、白金とルテニウムはいずれも高価な金属であるため、コストの大幅な低減は難しかった。
これまでに、一酸化炭素による被毒が抑制された電極触媒として、白金とルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデンなどを合金化させた触媒が盛んに研究されている(例えば、非特許文献1、2参照)。非特許文献1の記載によれば、白金と前記金属とを合金化することで、白金の価電子帯(5d軌道)の電子密度が低下し、白金の5d軌道と一酸化炭素の2π*軌道との間のバンドギャップが拡大することにより、白金から一酸化炭素へのバックドネーションが抑制されて、白金への一酸化炭素の吸着力が弱まる。
これにより、白金に対する一酸化炭素の被覆率が減少し、白金の空サイトが増加する、すなわち、触媒の耐一酸化炭素被毒性が発現することが示されている。
この系での許容一酸化炭素濃度は、100ppm程度である。すなわち、燃料に含まれる一酸化炭素濃度が100ppm程度以下ならば、触媒は安定して活性を発揮することができる。
また、非特許文献2において、ストリッピングボルタンメトリーを利用した電気化学的な手法により、電極表面に吸着した一酸化炭素の酸化波は、単味の白金触媒の場合では+0.58Vvs.RHEにおいて検出されるが、白金−ルテニウム合金触媒の場合では+0.36Vvs.RHEへ低電位シフトすることが示されている。すなわち、白金触媒と比較して、白金−ルテニウム合金触媒では電極表面に吸着した一酸化炭素の酸化が促進されることによって耐一酸化炭素被毒性が発現されることが推測されている。
しかし、白金とルテニウムはいずれも高価な金属であるため、コストの大幅な低減は難しかった。
そこで更に、貴金属と、より安価な金属との合金化による耐被毒性触媒も盛んに研究されており、例えば、特許文献1では、1〜60原子%のスズと、白金、パラジウムおよびルテニウムの少なくとも1種の金属との合金を含んでなる燃料電池用アノード電極触媒および該電極触媒の製造方法が記載されている。
特許文献1に記載の発明では、スズと白金との合金を含む触媒を燃料電池のアノード電極に適用したとき、一酸化炭素の含有量が100ppm程度の燃料であれば、これを供給しながら燃料電池を運転しても被毒による悪影響がほとんどないことが報告されている。
また、該スズ−白金合金触媒において耐一酸化炭素被毒性に貢献するのは合金相、具体的にはPt3Snからなる相であり、該合金相を発現させるために、以下の手法が記載されている。
まず、従来の方法で調製されたカーボン担持白金触媒を塩化スズ溶液中に懸濁させてpH調整を行ない、水酸化スズにより被覆された白金触媒を調製する。その後、溶液を加熱することで水酸化スズを酸化スズへと変換し、酸化スズ被覆白金触媒とする。これをろ過などにより分離後、水素を含む還元雰囲気中で加熱還元処理を行なうと、酸化スズにより被覆されPt3Sn合金相を含むカーボン担持白金触媒が調製される。
特開平7−246336号公報
「エレクトロケミストリー(Electrochemistry)」、2000年、第68巻、第4号、p.244
「キャットテック(CATTECH)」、(オランダ)、1999年、第3巻、第2号、p.106
特許文献1に記載の発明では、スズと白金との合金を含む触媒を燃料電池のアノード電極に適用したとき、一酸化炭素の含有量が100ppm程度の燃料であれば、これを供給しながら燃料電池を運転しても被毒による悪影響がほとんどないことが報告されている。
また、該スズ−白金合金触媒において耐一酸化炭素被毒性に貢献するのは合金相、具体的にはPt3Snからなる相であり、該合金相を発現させるために、以下の手法が記載されている。
まず、従来の方法で調製されたカーボン担持白金触媒を塩化スズ溶液中に懸濁させてpH調整を行ない、水酸化スズにより被覆された白金触媒を調製する。その後、溶液を加熱することで水酸化スズを酸化スズへと変換し、酸化スズ被覆白金触媒とする。これをろ過などにより分離後、水素を含む還元雰囲気中で加熱還元処理を行なうと、酸化スズにより被覆されPt3Sn合金相を含むカーボン担持白金触媒が調製される。
しかしながら、特許文献1に記載の発明において許容される燃料中の一酸化炭素濃度もまた100ppm程度であり、これは白金−ルテニウム合金触媒を用いた場合と同等である。
すなわち、特許文献1に記載の白金とスズとの合金触媒を用いることによって、許容される一酸化炭素濃度の上限の拡大が達成されたわけではなく、一酸化炭素による被毒の解消には至っていない。
このように、一酸化炭素に対する耐被毒性電極触媒にはより高い耐被毒性が求められているのに対し、許容される燃料中一酸化炭素上限濃度が拡大された、被毒の影響をほとんど受けない電極触媒は提供されていなかった。
また、特許文献1に記載の発明では、塩化スズの加水分解と加熱処理によりカーボン担持白金触媒上の白金に酸化スズ被膜を形成させており、この方法では調製法が煩雑な上、塩化スズ由来の塩化物イオンが触媒中に残りやすく、残存塩素による触媒性能の低下も懸念される。
すなわち、特許文献1に記載の白金とスズとの合金触媒を用いることによって、許容される一酸化炭素濃度の上限の拡大が達成されたわけではなく、一酸化炭素による被毒の解消には至っていない。
このように、一酸化炭素に対する耐被毒性電極触媒にはより高い耐被毒性が求められているのに対し、許容される燃料中一酸化炭素上限濃度が拡大された、被毒の影響をほとんど受けない電極触媒は提供されていなかった。
また、特許文献1に記載の発明では、塩化スズの加水分解と加熱処理によりカーボン担持白金触媒上の白金に酸化スズ被膜を形成させており、この方法では調製法が煩雑な上、塩化スズ由来の塩化物イオンが触媒中に残りやすく、残存塩素による触媒性能の低下も懸念される。
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、高い耐一酸化炭素被毒性を示す燃料電池用アノード電極触媒およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池用アノード電極触媒は、金属酸化物担体と、該金属酸化物担体に担持された貴金属粒子と、該貴金属粒子と前記金属酸化物担体との間に位置した合金相とを有することを特徴とする。
前記金属酸化物担体は、酸化第二スズ、三酸化二バナジウム、二酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属酸化物からなり、前記貴金属粒子は、白金、パラジウム、ルテニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの貴金属からなることが好ましい。ここで、前記金属酸化物担体は酸化第二スズからなり、前記貴金属粒子は白金またはパラジウムからなることがさらに好ましい。
前記合金相は、還元雰囲気下での熱処理により形成されていることが好ましい。
前記貴金属粒子1gあたりの一酸化炭素吸着量は、0〜0.1mmolであることが好ましい。
前記貴金属粒子の前記金属酸化物担体への担持率は、0.5〜60質量%であることが好ましい。
前記金属酸化物担体の比表面積は、0.5〜100m2/gであることが好ましい。
前記貴金属粒子の粒子径は、2〜15nmであることが好ましい。
本発明のカーボン担持触媒は、本発明の燃料電池用アノード電極触媒と、カーボン系導電性担体との混合物からなることを特徴とする。
前記金属酸化物担体は、酸化第二スズ、三酸化二バナジウム、二酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属酸化物からなり、前記貴金属粒子は、白金、パラジウム、ルテニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの貴金属からなることが好ましい。ここで、前記金属酸化物担体は酸化第二スズからなり、前記貴金属粒子は白金またはパラジウムからなることがさらに好ましい。
前記合金相は、還元雰囲気下での熱処理により形成されていることが好ましい。
前記貴金属粒子1gあたりの一酸化炭素吸着量は、0〜0.1mmolであることが好ましい。
前記貴金属粒子の前記金属酸化物担体への担持率は、0.5〜60質量%であることが好ましい。
前記金属酸化物担体の比表面積は、0.5〜100m2/gであることが好ましい。
前記貴金属粒子の粒子径は、2〜15nmであることが好ましい。
本発明のカーボン担持触媒は、本発明の燃料電池用アノード電極触媒と、カーボン系導電性担体との混合物からなることを特徴とする。
本発明の燃料電池用アノード電極触媒の製造方法は、金属酸化物と貴金属塩とを混合して貴金属塩担持金属酸化物を得る第一工程と、該貴金属塩担持金属酸化物に還元雰囲気下で熱処理を施す第二工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、非常に高い耐一酸化炭素被毒性を有する燃料電池用アノード電極触媒およびその製造方法を提供することができる。
さらに、本発明の製造方法によれば、非常に高い耐一酸化炭素被毒性を有する燃料電池用アノード電極触媒を簡便に得ることができる。
さらに、本発明の製造方法によれば、非常に高い耐一酸化炭素被毒性を有する燃料電池用アノード電極触媒を簡便に得ることができる。
<燃料電池用アノード電極触媒>
本発明の燃料電池用アノード電極触媒(以下、「アノード電極触媒」という)は、金属酸化物担体と、該金属酸化物担体に担持された貴金属粒子と、該貴金属粒子と前記金属酸化物担体との間に位置した合金相とを有することを特徴とする。
前記金属酸化物担体としては、金属酸化物からなり、後述する貴金属粒子を担持することができるものであればよい。
前記金属酸化物担体を成す金属酸化物としては、例えば、酸化第二スズ、三酸化二バナジウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム等が挙げられる。
金属酸化物は、各金属の塩化物、硝酸塩あるいはアルコキシドなどを加水分解することにより調製することもできるし、市販の金属酸化物に適当な熱処理をして用いても差し支えない。加水分解により調製する場合には、塩化物や硝酸根などの残存不純物をできるだけ除去することが好ましい。
本発明の燃料電池用アノード電極触媒(以下、「アノード電極触媒」という)は、金属酸化物担体と、該金属酸化物担体に担持された貴金属粒子と、該貴金属粒子と前記金属酸化物担体との間に位置した合金相とを有することを特徴とする。
前記金属酸化物担体としては、金属酸化物からなり、後述する貴金属粒子を担持することができるものであればよい。
前記金属酸化物担体を成す金属酸化物としては、例えば、酸化第二スズ、三酸化二バナジウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム等が挙げられる。
金属酸化物は、各金属の塩化物、硝酸塩あるいはアルコキシドなどを加水分解することにより調製することもできるし、市販の金属酸化物に適当な熱処理をして用いても差し支えない。加水分解により調製する場合には、塩化物や硝酸根などの残存不純物をできるだけ除去することが好ましい。
金属酸化物担体の比表面積は、0.5〜100m2/gであることが好ましい。1〜80m2/gであることがさらに好ましく、3〜60m2/gであることが特に好ましい。
金属酸化物担体の比表面積が大きいことには差し支えはないが、調製の容易さの面で100m2/g以下であることが望ましい。0.5m2/g未満であると、このような金属酸化物担体に担持された貴金属粒子の凝集と粒子成長により、触媒の活性低下を招く場合がある。
ここで、金属酸化物担体の比表面積は、材料である金属酸化物において定容真空計装置((株)島津製作所製、「Gemini2375」)を用いた窒素ガス吸着法に準拠して測定したBET表面積として求められる。
金属酸化物担体の比表面積が大きいことには差し支えはないが、調製の容易さの面で100m2/g以下であることが望ましい。0.5m2/g未満であると、このような金属酸化物担体に担持された貴金属粒子の凝集と粒子成長により、触媒の活性低下を招く場合がある。
ここで、金属酸化物担体の比表面積は、材料である金属酸化物において定容真空計装置((株)島津製作所製、「Gemini2375」)を用いた窒素ガス吸着法に準拠して測定したBET表面積として求められる。
前記貴金属粒子は、水素の水素イオンへの酸化を促進する触媒活性を有し、燃料電池においてアノード電極触媒として公知の貴金属からなるものであればよく、このような貴金属の合金からなるものであってもよい。
前記貴金属粒子を成す貴金属としては、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、白金−ルテニウム合金等が挙げられる。
前記貴金属粒子を成す貴金属としては、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、白金−ルテニウム合金等が挙げられる。
本発明のアノード電極触媒は、前記金属酸化物担体と前記貴金属粒子との間に位置した合金相を有する。
ここで、合金相は、前記金属酸化物担体を成す金属酸化物の金属成分、例えば酸化第二スズにおけるスズと、前記貴金属粒子を成す貴金属との合金からなるものである。
なお、前記金属酸化物担体と前記貴金属粒子とを有し、これらの間に前記合金相が位置する構造は、昇温還元法(TPR)またはX線回折装置(XRD)を用いて確認することができる。
ここで、合金相は、前記金属酸化物担体を成す金属酸化物の金属成分、例えば酸化第二スズにおけるスズと、前記貴金属粒子を成す貴金属との合金からなるものである。
なお、前記金属酸化物担体と前記貴金属粒子とを有し、これらの間に前記合金相が位置する構造は、昇温還元法(TPR)またはX線回折装置(XRD)を用いて確認することができる。
本発明のアノード電極触媒においては、上記の合金相が存在することにより、高い耐一酸化炭素被毒性が発現する。
ここで、耐一酸化炭素被毒性は、パルス法による一酸化炭素の吸着実験により評価することができる。一酸化炭素の吸着実験における一酸化炭素吸着量が少ないことが、耐一酸化炭素被毒性が高いことを示す。
パルス法による一酸化炭素の吸着実験は、熱伝導度検出器を備えたガスクロマトグラフを接続した常圧流通装置を用い、パルス導入した一酸化炭素の触媒への化学吸着量を求める方法によって実施することができる。
さらに、ストリッピングボルタンメトリーを利用した電気化学的な手法により、アノード電極触媒を適用したアノード電極について、水素あるいは一酸化炭素の酸化特性を検討することにより、アノード電極触媒への水素あるいは一酸化炭素の吸着を評価することができる。具体的には、ボルタモグラムにおいて一酸化炭素の酸化波が観測されることが、一酸化炭素が電極触媒に吸着していることを示す。
本発明のアノード電極触媒については、これを用いたアノード電極において水素の酸化波は観測されるが、一酸化炭素の酸化波は観測されない。このことにより、一酸化炭素がアノード電極触媒の表面に吸着していないことが示される。したがって、従来の技術、例えば白金−ルテニウム合金触媒においては一酸化炭素の酸化促進により耐一酸化炭素被毒性が発現していたのに対し、本発明のアノード電極触媒における耐一酸化炭素被毒性の発現は、合金相の形成により、貴金属粒子と金属酸化物担体との間に相互作用が発現し、一酸化炭素の貴金属粒子表面への吸着が抑制されることに起因していると推測される。
ここで、耐一酸化炭素被毒性は、パルス法による一酸化炭素の吸着実験により評価することができる。一酸化炭素の吸着実験における一酸化炭素吸着量が少ないことが、耐一酸化炭素被毒性が高いことを示す。
パルス法による一酸化炭素の吸着実験は、熱伝導度検出器を備えたガスクロマトグラフを接続した常圧流通装置を用い、パルス導入した一酸化炭素の触媒への化学吸着量を求める方法によって実施することができる。
さらに、ストリッピングボルタンメトリーを利用した電気化学的な手法により、アノード電極触媒を適用したアノード電極について、水素あるいは一酸化炭素の酸化特性を検討することにより、アノード電極触媒への水素あるいは一酸化炭素の吸着を評価することができる。具体的には、ボルタモグラムにおいて一酸化炭素の酸化波が観測されることが、一酸化炭素が電極触媒に吸着していることを示す。
本発明のアノード電極触媒については、これを用いたアノード電極において水素の酸化波は観測されるが、一酸化炭素の酸化波は観測されない。このことにより、一酸化炭素がアノード電極触媒の表面に吸着していないことが示される。したがって、従来の技術、例えば白金−ルテニウム合金触媒においては一酸化炭素の酸化促進により耐一酸化炭素被毒性が発現していたのに対し、本発明のアノード電極触媒における耐一酸化炭素被毒性の発現は、合金相の形成により、貴金属粒子と金属酸化物担体との間に相互作用が発現し、一酸化炭素の貴金属粒子表面への吸着が抑制されることに起因していると推測される。
本発明において、前記金属酸化物担体は、酸化第二スズ、三酸化二バナジウム、二酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属酸化物からなり、前記貴金属粒子は、白金、パラジウム、ルテニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの貴金属からなることが好ましい。
前記金属酸化物担体を成す金属酸化物として上記のものを用い、かつ、前記貴金属粒子を成す貴金属として上記のものを用いることで、合金相が、上記の金属酸化物の金属成分と、上記の貴金属との合金からなるものとなる。例えば、合金相が、化学式PtSn2で示される合金からなるものとなる。このような合金相により、さらに安定して耐一酸化炭素被毒性が発現する、すなわち一酸化炭素が吸着しなくなる。
前記金属酸化物担体を成す金属酸化物として上記のものを用い、かつ、前記貴金属粒子を成す貴金属として上記のものを用いることで、合金相が、上記の金属酸化物の金属成分と、上記の貴金属との合金からなるものとなる。例えば、合金相が、化学式PtSn2で示される合金からなるものとなる。このような合金相により、さらに安定して耐一酸化炭素被毒性が発現する、すなわち一酸化炭素が吸着しなくなる。
本発明においては、前記金属酸化物担体は酸化第二スズからなり、前記貴金属粒子は白金またはパラジウムからなることがさらに好ましい。
このことによれば、前記合金相が、酸化第二スズ−白金合金または酸化第二スズ−パラジウム合金からなるものとなる。具体的には、化学式PtSn2、PtSn4、PdSn2、PdSn4等で示される合金からなるものとなる。このような合金相が存在すると、さらに高度の耐一酸化炭素被毒性が発現する。
このことによれば、前記合金相が、酸化第二スズ−白金合金または酸化第二スズ−パラジウム合金からなるものとなる。具体的には、化学式PtSn2、PtSn4、PdSn2、PdSn4等で示される合金からなるものとなる。このような合金相が存在すると、さらに高度の耐一酸化炭素被毒性が発現する。
前記合金相は、還元雰囲気下での熱処理により形成されていることが好ましい。還元雰囲気下での熱処理によって形成された合金相は、安定して貴金属微粒子と金属酸化物担体との間に位置したものとなっている。
本発明のアノード電極触媒においては、前記貴金属粒子の前記金属酸化物担体への担持率は、0.5〜60質量%であることが好ましい。すなわち、前記金属酸化物担体100質量%に対し、前記貴金属粒子0.5〜60質量%が担持されていることが好ましい。
上記の担持率が0.5質量%未満であると十分な触媒活性が得られない場合があり、60質量%を超えると耐一酸化炭素被毒性が低下する場合がある。
担持率は、触媒活性と耐一酸化炭素被毒性とのバランスの面で、さらに好ましくは1〜55質量%、さらにより好ましくは3〜50質量%である。
なお、上記の担持率は、ICP分析法を用いて求めることができる。
上記の担持率が0.5質量%未満であると十分な触媒活性が得られない場合があり、60質量%を超えると耐一酸化炭素被毒性が低下する場合がある。
担持率は、触媒活性と耐一酸化炭素被毒性とのバランスの面で、さらに好ましくは1〜55質量%、さらにより好ましくは3〜50質量%である。
なお、上記の担持率は、ICP分析法を用いて求めることができる。
前記貴金属粒子の粒子径は、2〜15nmであることが好ましい。さらに好ましくは2.5〜12nm、さらにより好ましくは3〜10nmである。貴金属粒子の粒子径が小さいことには差し支えはないが、2nm以上であれば容易に入手することができる。15nmを超えると触媒活性の低下を招く場合がある。
なお、前記貴金属粒子の粒子径は、定容真空計装置((株)島津製作所製、「Gemini2375」)にて測定した前記貴金属粒子のBET表面積を用いて、(貴金属粒子の粒子径)=6×(貴金属粒子体積)/(貴金属粒子表面積)の関係より算出することができる。
なお、前記貴金属粒子の粒子径は、定容真空計装置((株)島津製作所製、「Gemini2375」)にて測定した前記貴金属粒子のBET表面積を用いて、(貴金属粒子の粒子径)=6×(貴金属粒子体積)/(貴金属粒子表面積)の関係より算出することができる。
本発明のアノード電極触媒は、前記貴金属粒子1gあたりの一酸化炭素吸着量が0〜0.1mmolであることが好ましい。一酸化炭素吸着量が上記の範囲であれば、改質メタノール等の燃料を用いて、充分な安定性と寿命をもって作動する燃料電池を構成することができる。
前記貴金属粒子1gあたりの一酸化炭素吸着量は、さらに好ましくは0〜0.07mmolであり、さらにより好ましくは0〜0.05mmolである。
前記貴金属粒子1gあたりの一酸化炭素吸着量は、さらに好ましくは0〜0.07mmolであり、さらにより好ましくは0〜0.05mmolである。
本発明のアノード電極触媒は、高度の耐一酸化炭素被毒性を有する。このようなアノード電極触媒は、一酸化炭素を含有する燃料に接触した際に、一酸化炭素によって触媒の活性部位が被覆されることがなく、触媒活性を良好に保持する。
本発明のアノード電極触媒を燃料電池に適用する際、アノード電極触媒とカーボン系導電性担体とを混合して、カーボン担持触媒と成して用いることができる。カーボン担持触媒と成すことにより、集電性を向上させることができる。
カーボン系導電性担体としては、燃料電池における触媒担持用カーボンとして公知のものを用いることができ、特に限定されない。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、活性炭およびこれらの混合物等を用いることができる。
上記のカーボン担持触媒をガス拡散電極に保持させてアノード電極と成し、さらにカソード電極、固体高分子電解質、セパレータ等と組み合わせて固体高分子型燃料電池を構成することができる。なお、本発明のアノード電極触媒をガス拡散電極に保持させた後、上記のカーボン系導電性担体の分散液を塗布することによって、カーボン担持触媒と成してもよい。
このような燃料電池は、改質メタノール等の、一酸化炭素を含むガスを燃料としても高い発電能力を発揮する。したがって、充分な発電能力を有し、運転コストの低い燃料電池を実現することができる。
本発明のアノード電極触媒を燃料電池に適用する際、アノード電極触媒とカーボン系導電性担体とを混合して、カーボン担持触媒と成して用いることができる。カーボン担持触媒と成すことにより、集電性を向上させることができる。
カーボン系導電性担体としては、燃料電池における触媒担持用カーボンとして公知のものを用いることができ、特に限定されない。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、活性炭およびこれらの混合物等を用いることができる。
上記のカーボン担持触媒をガス拡散電極に保持させてアノード電極と成し、さらにカソード電極、固体高分子電解質、セパレータ等と組み合わせて固体高分子型燃料電池を構成することができる。なお、本発明のアノード電極触媒をガス拡散電極に保持させた後、上記のカーボン系導電性担体の分散液を塗布することによって、カーボン担持触媒と成してもよい。
このような燃料電池は、改質メタノール等の、一酸化炭素を含むガスを燃料としても高い発電能力を発揮する。したがって、充分な発電能力を有し、運転コストの低い燃料電池を実現することができる。
<燃料電池用アノード電極触媒の製造方法>
本発明の燃料電池用アノード電極触媒の製造方法は、金属酸化物と貴金属塩とを混合して貴金属塩担持金属酸化物を得る第一工程と、該貴金属塩担持金属酸化物に還元雰囲気下で熱処理を施す第二工程とを有することを特徴とする。
以下、本発明の製造方法を詳細に説明する。
本発明の燃料電池用アノード電極触媒の製造方法は、金属酸化物と貴金属塩とを混合して貴金属塩担持金属酸化物を得る第一工程と、該貴金属塩担持金属酸化物に還元雰囲気下で熱処理を施す第二工程とを有することを特徴とする。
以下、本発明の製造方法を詳細に説明する。
まず、金属酸化物と貴金属塩とを混合して貴金属塩担持金属酸化物を得る第一工程を行う。
第一工程においては、含浸法、共沈法等の、通常の貴金属担持触媒調製に用いられる公知の方法を用いることができるが、含浸法を用いると、得られるアノード電極触媒において、より高度の耐被毒効果を発現させることができるため好ましい。このことは、含浸法の方が、貴金属塩の成分である貴金属と、金属酸化物との間に特異的な相互作用が発現しやすいことによると推定される。
第一工程においては、含浸法、共沈法等の、通常の貴金属担持触媒調製に用いられる公知の方法を用いることができるが、含浸法を用いると、得られるアノード電極触媒において、より高度の耐被毒効果を発現させることができるため好ましい。このことは、含浸法の方が、貴金属塩の成分である貴金属と、金属酸化物との間に特異的な相互作用が発現しやすいことによると推定される。
含浸法を用いる場合、含浸の手法は、吸着法、ポアフィリング法、インシピエントウェットネス法、蒸発乾固法およびスプレー法などを用いることができ、特に限定はされない。
蒸発乾固法を用いた含浸法による場合、以下の方法で第一工程を行うことができる。
すなわち、貴金属塩の溶液(以下、「貴金属塩溶液」という)に金属酸化物を混合して混合液を調製し、この混合液を攪拌しながら加熱し、溶媒を蒸発乾固することにより、粉末状の貴金属塩担持金属酸化物、すなわち貴金属塩を担持した金属酸化物を得る。
ここで、貴金属塩溶液は、貴金属塩を水、アルコール等の溶媒に分散させて調製することができる。
蒸発乾固法を用いた含浸法による場合、以下の方法で第一工程を行うことができる。
すなわち、貴金属塩の溶液(以下、「貴金属塩溶液」という)に金属酸化物を混合して混合液を調製し、この混合液を攪拌しながら加熱し、溶媒を蒸発乾固することにより、粉末状の貴金属塩担持金属酸化物、すなわち貴金属塩を担持した金属酸化物を得る。
ここで、貴金属塩溶液は、貴金属塩を水、アルコール等の溶媒に分散させて調製することができる。
ついで、得られた貴金属塩担持金属酸化物に還元雰囲気下で熱処理を施す第二工程を行う。
例えば、上記で得られた粉末状の貴金属塩担持金属酸化物に、水素を含有するガスの流通下において、通常100〜750℃、好ましくは150〜700℃、より好ましくは200〜650℃の温度で、0.2時間以上、好ましくは、0.3時間以上、より好ましくは0.5時間以上の熱処理を施す。
このような第二工程を行うことにより、前記貴金属塩の塩分解が起こり、前記金属酸化物からなる金属酸化物担体と、前記貴金属塩の貴金属成分からなり、金属酸化物担体に担持された貴金属粒子と、該貴金属粒子と前記金属酸化物担体との間に位置した合金相とを有するアノード電極触媒が得られる。
ここで、合金相は、前記金属酸化物の金属成分と、前記貴金属塩の貴金属成分との合金からなる。
例えば、貴金属塩として白金塩を、金属酸化物として酸化第二スズを用い、5%の水素を含む窒素ガス気流下で400℃、0.5時間の熱処理を行った場合、PtSn2およびPtSn4からなる合金相の形成がTPRまたはXRDにより確認される。
例えば、上記で得られた粉末状の貴金属塩担持金属酸化物に、水素を含有するガスの流通下において、通常100〜750℃、好ましくは150〜700℃、より好ましくは200〜650℃の温度で、0.2時間以上、好ましくは、0.3時間以上、より好ましくは0.5時間以上の熱処理を施す。
このような第二工程を行うことにより、前記貴金属塩の塩分解が起こり、前記金属酸化物からなる金属酸化物担体と、前記貴金属塩の貴金属成分からなり、金属酸化物担体に担持された貴金属粒子と、該貴金属粒子と前記金属酸化物担体との間に位置した合金相とを有するアノード電極触媒が得られる。
ここで、合金相は、前記金属酸化物の金属成分と、前記貴金属塩の貴金属成分との合金からなる。
例えば、貴金属塩として白金塩を、金属酸化物として酸化第二スズを用い、5%の水素を含む窒素ガス気流下で400℃、0.5時間の熱処理を行った場合、PtSn2およびPtSn4からなる合金相の形成がTPRまたはXRDにより確認される。
貴金属塩としては、アノード電極触媒として公知の貴金属の塩であって、前記第一工程に供された結果、貴金属に変換されうるものであれば特に制限はなく、各貴金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩、アンミン錯体およびアセチルアセトナート錯体などを用いることができ、金属酸化物担体への吸着性や熱処理などによる塩分解の容易さなどを考慮し、適宜選択することができる。
例えば、白金に変換されうる貴金属塩としては、塩化白金酸、塩化白金酸ナトリウム、塩化白金酸アンモニウム、ジニトロジアンミン白金、テトラアンミン白金ジクロライド、ビスアセチルアセトナート白金などが挙げられる。
本発明の製造方法における金属酸化物、および貴金属塩の貴金属成分の好適な例は、上記<燃料電池用アノード電極触媒>における、金属酸化物担体を成す金属酸化物、および貴金属粒子を成す貴金属の例示とそれぞれ同様である。
例えば、白金に変換されうる貴金属塩としては、塩化白金酸、塩化白金酸ナトリウム、塩化白金酸アンモニウム、ジニトロジアンミン白金、テトラアンミン白金ジクロライド、ビスアセチルアセトナート白金などが挙げられる。
本発明の製造方法における金属酸化物、および貴金属塩の貴金属成分の好適な例は、上記<燃料電池用アノード電極触媒>における、金属酸化物担体を成す金属酸化物、および貴金属粒子を成す貴金属の例示とそれぞれ同様である。
なお、第一工程と第二工程との間に、空気雰囲気下での熱処理を行なっても差し支えない。
第一、第二工程を完了して得られたアノード電極触媒をカーボン系導電性担体と混合し分散することで、カーボン担持触媒となすことができ、これを用いて燃料電池を構成することができる。
第一、第二工程を完了して得られたアノード電極触媒をカーボン系導電性担体と混合し分散することで、カーボン担持触媒となすことができ、これを用いて燃料電池を構成することができる。
以上本発明の製造方法で製造されたアノード電極触媒は、金属酸化物担体と、該金属酸化物担体に担持された貴金属粒子と、該貴金属粒子と前記金属酸化物担体との間に位置した合金相とを有するので、高度の耐一酸化炭素被毒性を有する。
このように本発明では、簡便な調製法で、一酸化炭素に対する耐被毒性が格段に向上したアノード電極触媒を製造することができる。さらに、塩化スズ等を用いないので、残存塩化物イオン等に活性が影響されない。
このように本発明では、簡便な調製法で、一酸化炭素に対する耐被毒性が格段に向上したアノード電極触媒を製造することができる。さらに、塩化スズ等を用いないので、残存塩化物イオン等に活性が影響されない。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例において、貴金属粒子の粒子径は、定容真空計装置((株)島津製作所、「Gemini2375」)にて測定した貴金属粒子のBET表面積を用いて算出した。
触媒が吸着する一酸化炭素の量(一酸化炭素吸着量)は、パルス法による吸着実験においてガスクロマトグラフィー(ガスクロマトグラフ:「島津GC−4AIT」、流速:40ml/min、前処理条件:400℃にて90%窒素/10%ヘリウムガス流通下で30分間、パルス吸着測定温度:25℃)を用いて測定した。
実施例において、貴金属粒子の粒子径は、定容真空計装置((株)島津製作所、「Gemini2375」)にて測定した貴金属粒子のBET表面積を用いて算出した。
触媒が吸着する一酸化炭素の量(一酸化炭素吸着量)は、パルス法による吸着実験においてガスクロマトグラフィー(ガスクロマトグラフ:「島津GC−4AIT」、流速:40ml/min、前処理条件:400℃にて90%窒素/10%ヘリウムガス流通下で30分間、パルス吸着測定温度:25℃)を用いて測定した。
ストリッピングボルタンメトリーは、電解質溶液として0.5mol/L硫酸水溶液を用い、作用極として触媒を塗布したグラッシーカーボン電極(BAS社製)、対極として白金線電極、参照電極として銀/塩化銀電極をそれぞれ用いた3極式セルにより、室温にて測定した。
0.5mol/L硫酸水溶液に窒素ガスを15分間バブリングさせて溶存酸素を除去した後、電極を浸し、水素ガスあるいは一酸化炭素ガスを1時間バブリングさせることにより、これらを作用電極上に吸着させた。
その後、窒素ガスを15分間バブリングすることで、溶液中に残存している水素および一酸化炭素を除去した。引き続き、電位掃引を行ない、表面吸着種の酸化挙動を確認することにより、作用極への水素または一酸化炭素の吸着を評価した。ここで、表面吸着種の酸化電流が検出されれば、該当する吸着種が電極に吸着していることを示す。
電位の掃引は、触媒調製において貴金属塩として白金塩を用いた場合には、参照電極の電位に対して作用極の電位が、一酸化炭素吸着の評価では−0.2〜+1.2V(vs.Ag/AgCl)、水素吸着の評価では−0.2〜+0.5V(vs.Ag/AgCl)または−0.2〜+1.0V(vs.Ag/AgCl)の範囲で行った。貴金属塩としてパラジウム塩を用いた場合には、一酸化炭素吸着、水素吸着ともに0〜+1.0V(vs.Ag/AgCl)の範囲で行った。
0.5mol/L硫酸水溶液に窒素ガスを15分間バブリングさせて溶存酸素を除去した後、電極を浸し、水素ガスあるいは一酸化炭素ガスを1時間バブリングさせることにより、これらを作用電極上に吸着させた。
その後、窒素ガスを15分間バブリングすることで、溶液中に残存している水素および一酸化炭素を除去した。引き続き、電位掃引を行ない、表面吸着種の酸化挙動を確認することにより、作用極への水素または一酸化炭素の吸着を評価した。ここで、表面吸着種の酸化電流が検出されれば、該当する吸着種が電極に吸着していることを示す。
電位の掃引は、触媒調製において貴金属塩として白金塩を用いた場合には、参照電極の電位に対して作用極の電位が、一酸化炭素吸着の評価では−0.2〜+1.2V(vs.Ag/AgCl)、水素吸着の評価では−0.2〜+0.5V(vs.Ag/AgCl)または−0.2〜+1.0V(vs.Ag/AgCl)の範囲で行った。貴金属塩としてパラジウム塩を用いた場合には、一酸化炭素吸着、水素吸着ともに0〜+1.0V(vs.Ag/AgCl)の範囲で行った。
[実施例1]
(触媒調製)
貴金属塩として白金塩を用い、金属酸化物として酸化第二スズを用いて、アノード電極触媒を調製した。
まず、第一工程として、4.5質量%ジニトロジアンミン白金(田中貴金属製)溶液4.4gに酸化第二スズ(和光純薬製、BET表面積=5.0m2/g)0.8gを添加して混合液と成し、この混合液を80℃のスチーム上で加熱攪拌して溶媒を乾固した後、100℃で乾燥して貴金属塩担持金属酸化物の粉末を得た。
ついで、熱処理として、得られた粉末を400℃の空気気流下で0.5時間焼成した。
その後、400℃の10%水素含有窒素ガス気流下で0.5時間熱処理を施すことにより、第二工程を行った。これにより、アノード電極触媒(以下、「触媒」という。)を得た。
得られた触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、酸化第二スズからなる金属酸化物担体と、該金属酸化物担体に担持され、白金からなる貴金属粒子と、該貴金属粒子と金属酸化物担体との間に位置しPtSn2およびPtSn4からなる合金相とが確認された。
得られた触媒において、白金からなる貴金属粒子の担持率は、金属酸化物担体100質量%に対し20質量%であった。
(触媒調製)
貴金属塩として白金塩を用い、金属酸化物として酸化第二スズを用いて、アノード電極触媒を調製した。
まず、第一工程として、4.5質量%ジニトロジアンミン白金(田中貴金属製)溶液4.4gに酸化第二スズ(和光純薬製、BET表面積=5.0m2/g)0.8gを添加して混合液と成し、この混合液を80℃のスチーム上で加熱攪拌して溶媒を乾固した後、100℃で乾燥して貴金属塩担持金属酸化物の粉末を得た。
ついで、熱処理として、得られた粉末を400℃の空気気流下で0.5時間焼成した。
その後、400℃の10%水素含有窒素ガス気流下で0.5時間熱処理を施すことにより、第二工程を行った。これにより、アノード電極触媒(以下、「触媒」という。)を得た。
得られた触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、酸化第二スズからなる金属酸化物担体と、該金属酸化物担体に担持され、白金からなる貴金属粒子と、該貴金属粒子と金属酸化物担体との間に位置しPtSn2およびPtSn4からなる合金相とが確認された。
得られた触媒において、白金からなる貴金属粒子の担持率は、金属酸化物担体100質量%に対し20質量%であった。
(触媒物性評価)
貴金属粒子の粒子径は、3.4nmであった。
得られた触媒の一酸化炭素吸着量は、白金1gあたり0mmol(以下、「0mmol/gPt」のように表記する。)であった。
(ストリッピングボルタンメトリー)
上記で得られた触媒10mgをエタノール5mlに分散した溶液を調製し、塗布量が0.057mg/cm2となるようにグラッシーカーボン電極(表面積0.07cm2)上に滴下して乾燥させた。
その後、カーボンブラック(Cabot製「VulcanXC−72R」)からなるカーボン系導電性担体を10mg/mlの割合で含んだ1質量%イオン導電性樹脂(Aldrich製「Nafion」)溶液2.5μlを滴下して乾燥し、触媒を固定化した。
この電極を作用極とし、水素および一酸化炭素のストリッピングボルタンメトリーを測定した。水素については定常的に酸化波が観測されたが、一酸化炭素については酸化波が観測されなかった。すなわち、上記の電極に水素は吸着したが、一酸化炭素は吸着しなかった。
実施例1のストリッピングボルタンメトリーで得られたボルタモグラムを図1に示す。ただし、水素については電位+0.5V(vs.Ag/AgCl)までの範囲で測定を行った。
貴金属粒子の粒子径は、3.4nmであった。
得られた触媒の一酸化炭素吸着量は、白金1gあたり0mmol(以下、「0mmol/gPt」のように表記する。)であった。
(ストリッピングボルタンメトリー)
上記で得られた触媒10mgをエタノール5mlに分散した溶液を調製し、塗布量が0.057mg/cm2となるようにグラッシーカーボン電極(表面積0.07cm2)上に滴下して乾燥させた。
その後、カーボンブラック(Cabot製「VulcanXC−72R」)からなるカーボン系導電性担体を10mg/mlの割合で含んだ1質量%イオン導電性樹脂(Aldrich製「Nafion」)溶液2.5μlを滴下して乾燥し、触媒を固定化した。
この電極を作用極とし、水素および一酸化炭素のストリッピングボルタンメトリーを測定した。水素については定常的に酸化波が観測されたが、一酸化炭素については酸化波が観測されなかった。すなわち、上記の電極に水素は吸着したが、一酸化炭素は吸着しなかった。
実施例1のストリッピングボルタンメトリーで得られたボルタモグラムを図1に示す。ただし、水素については電位+0.5V(vs.Ag/AgCl)までの範囲で測定を行った。
[実施例2]
貴金属塩および金属酸化物の配合量を調整することにより白金の担持率を10質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒調製および評価を行った。得られた触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、実施例1と同様の構造が確認された。
得られた触媒の白金粒子径は3.2nmであり、一酸化炭素吸着量は0mmol/gPtであった。
また、得られた触媒のストリッピングボルタンメトリーでは、水素については定常的に酸化波が観測されたが、一酸化炭素については吸着が起こらず酸化波も観測されなかった。
[実施例3]
白金の担持率を40質量%とし、熱処理を、400℃の空気気流下に代わって200℃において10%水素含有窒素ガス中で行なったこと以外は、実施例1と同様にして、触媒調製および評価を行った。
得られた触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、実施例1と同様の構造が確認された。
得られた触媒の白金粒子径は6.0nmであり、一酸化炭素吸着量は0mmol/gPtであった。
また、得られた触媒のストリッピングボルタンメトリーでは、水素については定常的に酸化波が観測されたが、一酸化炭素については吸着が起こらず酸化波も観測されなかった。
[実施例4]
貴金属塩の溶液として4.6質量%のジニトロジアンミンパラジウム(田中貴金属製)水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、触媒調製および評価を行った。パラジウムの担持率は20質量%であった。得られた触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、貴金属粒子がパラジウムからなり、合金相がPdSn2、PdSn4からなるものであった以外は実施例1と同様の構造が確認された。
得られた触媒において、パラジウムからなる貴金属粒子の粒子径は10.6nmであり、一酸化炭素吸着量は0mmol/gPdであった。
また、得られた触媒のストリッピングボルタンメトリーでは、水素については定常的に酸化波が観測されたが、一酸化炭素については吸着が起こらず酸化波も観測されなかった。
貴金属塩および金属酸化物の配合量を調整することにより白金の担持率を10質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒調製および評価を行った。得られた触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、実施例1と同様の構造が確認された。
得られた触媒の白金粒子径は3.2nmであり、一酸化炭素吸着量は0mmol/gPtであった。
また、得られた触媒のストリッピングボルタンメトリーでは、水素については定常的に酸化波が観測されたが、一酸化炭素については吸着が起こらず酸化波も観測されなかった。
[実施例3]
白金の担持率を40質量%とし、熱処理を、400℃の空気気流下に代わって200℃において10%水素含有窒素ガス中で行なったこと以外は、実施例1と同様にして、触媒調製および評価を行った。
得られた触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、実施例1と同様の構造が確認された。
得られた触媒の白金粒子径は6.0nmであり、一酸化炭素吸着量は0mmol/gPtであった。
また、得られた触媒のストリッピングボルタンメトリーでは、水素については定常的に酸化波が観測されたが、一酸化炭素については吸着が起こらず酸化波も観測されなかった。
[実施例4]
貴金属塩の溶液として4.6質量%のジニトロジアンミンパラジウム(田中貴金属製)水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、触媒調製および評価を行った。パラジウムの担持率は20質量%であった。得られた触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、貴金属粒子がパラジウムからなり、合金相がPdSn2、PdSn4からなるものであった以外は実施例1と同様の構造が確認された。
得られた触媒において、パラジウムからなる貴金属粒子の粒子径は10.6nmであり、一酸化炭素吸着量は0mmol/gPdであった。
また、得られた触媒のストリッピングボルタンメトリーでは、水素については定常的に酸化波が観測されたが、一酸化炭素については吸着が起こらず酸化波も観測されなかった。
[比較例1]
評価用の触媒として、200℃の10%水素含有窒素ガス気流下で0.5時間熱処理した市販の20質量%白金担持カーボン触媒(Johnson Matthey社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、触媒の評価を行った。
この触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、白金結晶に特有の構造が確認された。
該触媒の白金粒子径は2.5nmであり、一酸化炭素吸着量は2.1mmol/gPtであった。
また、該触媒のストリッピングボルタンメトリーでは、水素については定常的に酸化波が観測され、一酸化炭素についても+0.61V(vs.Ag/AgCl)において吸着一酸化炭素に由来する酸化波が観測された。
比較例2で得られたボルタモグラムを図2に示す。ただし、水素については電位+1.0V(vs.Ag/AgCl)までの範囲で測定を行った。
[比較例2]
評価用の触媒として、200℃の10%水素含有窒素ガス気流下で0.5時間熱処理した市販の50質量%白金担持カーボン触媒(田中貴金属製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、触媒の評価を行った。
この触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、比較例1と同様の構造が確認された。
該触媒の白金粒子径は2.9nmであり、一酸化炭素吸着量は1.9mmol/gPtであった。
[比較例3]
酸化第二スズ(和光純薬製)からなる金属酸化物のみを用いて貴金属粒子を用いず、第二工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして、触媒調製および評価を行った。該触媒の一酸化炭素吸着量は、触媒1gあたり0mmolであった。
得られた触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、酸化第二スズに特有の構造が確認された。
得られたストリッピングボルタンメトリーでは、水素および一酸化炭素のいずれの場合にも吸着種の酸化波は観測されなかった。
[比較例4]
触媒の熱処理を400℃における空気気流下のみで行い、第二工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、触媒調製および評価を行った。該触媒の白金粒子径は3.4nmであった。パルス法では、一酸化炭素の触媒への吸着が観測された。しかしながら、吸着された一酸化炭素は触媒表面の酸素により二酸化炭素に変換されてしまったため、一酸化炭素吸着量を求めることはできなかった。
得られた触媒をXRDにより分析したところ、白金と酸化第二スズとの間に位置する合金相は観測されず、酸化第二スズに特有の構造が確認された。TPR分析を行うと、400℃付近に、TPRにおいて白金と酸化第二スズとの合金が形成されたことに由来する水素消費が観測された。
得られた触媒のストリッピングボルタンメトリーでは、水素については定常的に酸化波が観測され、一酸化炭素についても+0.55V(vs.Ag/AgCl)において吸着一酸化炭素に由来する酸化波が観測された。
評価用の触媒として、200℃の10%水素含有窒素ガス気流下で0.5時間熱処理した市販の20質量%白金担持カーボン触媒(Johnson Matthey社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、触媒の評価を行った。
この触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、白金結晶に特有の構造が確認された。
該触媒の白金粒子径は2.5nmであり、一酸化炭素吸着量は2.1mmol/gPtであった。
また、該触媒のストリッピングボルタンメトリーでは、水素については定常的に酸化波が観測され、一酸化炭素についても+0.61V(vs.Ag/AgCl)において吸着一酸化炭素に由来する酸化波が観測された。
比較例2で得られたボルタモグラムを図2に示す。ただし、水素については電位+1.0V(vs.Ag/AgCl)までの範囲で測定を行った。
[比較例2]
評価用の触媒として、200℃の10%水素含有窒素ガス気流下で0.5時間熱処理した市販の50質量%白金担持カーボン触媒(田中貴金属製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、触媒の評価を行った。
この触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、比較例1と同様の構造が確認された。
該触媒の白金粒子径は2.9nmであり、一酸化炭素吸着量は1.9mmol/gPtであった。
[比較例3]
酸化第二スズ(和光純薬製)からなる金属酸化物のみを用いて貴金属粒子を用いず、第二工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして、触媒調製および評価を行った。該触媒の一酸化炭素吸着量は、触媒1gあたり0mmolであった。
得られた触媒をTPR及びXRDにより分析したところ、酸化第二スズに特有の構造が確認された。
得られたストリッピングボルタンメトリーでは、水素および一酸化炭素のいずれの場合にも吸着種の酸化波は観測されなかった。
[比較例4]
触媒の熱処理を400℃における空気気流下のみで行い、第二工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、触媒調製および評価を行った。該触媒の白金粒子径は3.4nmであった。パルス法では、一酸化炭素の触媒への吸着が観測された。しかしながら、吸着された一酸化炭素は触媒表面の酸素により二酸化炭素に変換されてしまったため、一酸化炭素吸着量を求めることはできなかった。
得られた触媒をXRDにより分析したところ、白金と酸化第二スズとの間に位置する合金相は観測されず、酸化第二スズに特有の構造が確認された。TPR分析を行うと、400℃付近に、TPRにおいて白金と酸化第二スズとの合金が形成されたことに由来する水素消費が観測された。
得られた触媒のストリッピングボルタンメトリーでは、水素については定常的に酸化波が観測され、一酸化炭素についても+0.55V(vs.Ag/AgCl)において吸着一酸化炭素に由来する酸化波が観測された。
図1に示されるように、実施例1の燃料電池用アノード電極触媒は、一酸化炭素についての酸化波が観測されなかったことから、一酸化炭素の吸着が起こりにくく、非常に高い耐一酸化炭素被毒性を発現していることが明らかになった。
しかし、金属酸化物担体と、該金属酸化物担体に担持された貴金属粒子と、該貴金属粒子と金属酸化物担体との間に位置する合金相とを有する構造が確認されなかった比較例1では、図2に示されるように、一酸化炭素の酸化波が観測されたことから、一酸化炭素の作用極への吸着が発生していることが明らかになった。
また、実施例1、2によれば、非常に高い耐一酸化炭素被毒性を有する燃料電池用アノード電極触媒を調製することができたのに対し、金属酸化物と貴金属塩とを材料として用いなかった比較例1、2、および第二工程を行わなかった比較例3、4では、一酸化炭素の作用極への吸着が発生した。
しかし、金属酸化物担体と、該金属酸化物担体に担持された貴金属粒子と、該貴金属粒子と金属酸化物担体との間に位置する合金相とを有する構造が確認されなかった比較例1では、図2に示されるように、一酸化炭素の酸化波が観測されたことから、一酸化炭素の作用極への吸着が発生していることが明らかになった。
また、実施例1、2によれば、非常に高い耐一酸化炭素被毒性を有する燃料電池用アノード電極触媒を調製することができたのに対し、金属酸化物と貴金属塩とを材料として用いなかった比較例1、2、および第二工程を行わなかった比較例3、4では、一酸化炭素の作用極への吸着が発生した。
本発明の燃料電池用アノード電極触媒を有する燃料電池は、燃料として、ガソリン改質ガス、アルコール改質ガス、灯油改質ガス等を特別の処置を施さずに用いて、安定かつ高寿命に作動させることができるので、燃料選択肢の拡幅、改質プロセスのコストダウンなどの観点から、より実用的な燃料電池として好適である。
Claims (10)
- 金属酸化物担体と、該金属酸化物担体に担持された貴金属粒子と、該貴金属粒子と前記金属酸化物担体との間に位置した合金相とを有することを特徴とする燃料電池用アノード電極触媒。
- 前記金属酸化物担体は、酸化第二スズ、三酸化二バナジウム、二酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属酸化物からなり、前記貴金属粒子は、白金、パラジウム、ルテニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの貴金属からなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用アノード電極触媒。
- 前記金属酸化物担体は酸化第二スズからなり、前記貴金属粒子は白金またはパラジウムからなることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池用アノード電極触媒。
- 前記合金相は、還元雰囲気下での熱処理により形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極触媒。
- 前記貴金属粒子1gあたりの一酸化炭素吸着量は、0〜0.1mmolであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極触媒。
- 前記貴金属粒子の前記金属酸化物担体への担持率は、0.5〜60質量%であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極触媒。
- 前記金属酸化物担体の比表面積は、0.5〜100m2/gであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極触媒。
- 前記貴金属粒子の粒子径は、2〜15nmであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極触媒。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極触媒と、カーボン系導電性担体との混合物からなることを特徴とするカーボン担持触媒。
- 金属酸化物と貴金属塩とを混合して貴金属塩担持金属酸化物を得る第一工程と、該貴金属塩担持金属酸化物に還元雰囲気下で熱処理を施す第二工程とを有することを特徴とする燃料電池用アノード電極触媒の製造方法。
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