JP2005077377A - 中性子検出器及び中性子検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 良好な位置分解能及び高い時間分解能を有し、ガンマ線に対する弁別能力に優れた中性子検出器及び中性子検出方法を提供する。
【解決手段】 厚さ方向に貫通する複数の開口部12を有するとともに、これら複数の開口部12内に液体シンチレータを充填したキャピラリープレート11と、イメージング検出器12とから中性子検出器10を構成し、検出すべき中性子をキャピラリープレート11の開口部12内に導入し、前記液体シンチレータと反応させてシンチレーション光を生成させ、このシンチレーション光を計測することによって、前記中性子を検出する。
【選択図】図1
【解決手段】 厚さ方向に貫通する複数の開口部12を有するとともに、これら複数の開口部12内に液体シンチレータを充填したキャピラリープレート11と、イメージング検出器12とから中性子検出器10を構成し、検出すべき中性子をキャピラリープレート11の開口部12内に導入し、前記液体シンチレータと反応させてシンチレーション光を生成させ、このシンチレーション光を計測することによって、前記中性子を検出する。
【選択図】図1
Description
本発明は、中性子検出器及び中性子検出方法に関する。
物質の構造を解明する方法として、X線や中性子線は大きな威力を発揮する。例えばX線や中性子線を物質に照射し、その散乱X線や中性子線を2次元のイメージング検出器で測定すれば、その物質の構造が解明できる。生物の構造解析を行う場合は、生物が主に水素等の軽い元素で出来ているため、中性子は良く散乱される。しかしX線は相互作用を起こしにくい。そのため、生物分野では、中性子線の方が良く使われており、高い感度を持った中性子のイメージング検出器が求められている。
X線のイメージング検出器としては、ガスマイクロストリップ検出器等を初とする様々な良い検出器が現在存在するが、中性子のイメージング検出器に関しては、まだまだ発展の途中である。確かに現在までに中性子の検出器としてリチウムガラス(セリウムドーブ)のシンチレションファイバーや3Heのガスカウンター等が開発されており、それらは様々な良い特性を持っているが、熱中性子検出器としての全ての条件を満たしているわけではない。
リチウムガラスの場合は、ファイバーの径が数100μmのものが現在製作でき、さらに時間分解能が100nsec以下という良い値を示す。しかしながら、リチウムガラスの密度が2.5g/cm3と大きいため、中性子とガンマ線の弁別能力がそれほど高くない。一方3He検出器の場合には、位置分解能は100μm程度のものが存在し、気体であるためガンマ線にはほとんど感度が無く、中性子だけを選択的に捕まえられるという利点を持っている。しかしガスカウンターであるため時間分解能を数μsec以下にする事は非常に難しい。
この様に中性子のイメージング検出器に要求される良い位置分解能、高い時間分解能、ガンマ線のバックグランドの高いリジェクションエフィシエンシーの3つを同時に満たす検出器はまだ存在しないのである。
本発明は、良好な位置分解能及び高い時間分解能を有し、ガンマ線に対する弁別能力に優れた中性子検出器及び中性子検出方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
厚さ方向に貫通する複数の開口部を有するキャピラリープレートと、
前記キャピラリープレートの前記複数の開口部内に充填された液体シンチレータと、
を具えることを特徴とする、中性子検出器に関する。
厚さ方向に貫通する複数の開口部を有するキャピラリープレートと、
前記キャピラリープレートの前記複数の開口部内に充填された液体シンチレータと、
を具えることを特徴とする、中性子検出器に関する。
また、本発明は、
厚さ方向に貫通する複数の開口部を有するキャピラリープレートを準備する工程と、
前記キャピラリープレートの前記複数の開口部内に液体シンチレータを充填する工程と、
前記キャピラリープレートに対して中性子を導入し、前記液体シンチレータと反応させ、シンチレーション光を生成する工程と、
前記シンチレーション光を計測することにより、前記キャピラリープレートに導入された前記中性子を検出する工程と、
を具えることを特徴とする、中性子検出方法に関する。
厚さ方向に貫通する複数の開口部を有するキャピラリープレートを準備する工程と、
前記キャピラリープレートの前記複数の開口部内に液体シンチレータを充填する工程と、
前記キャピラリープレートに対して中性子を導入し、前記液体シンチレータと反応させ、シンチレーション光を生成する工程と、
前記シンチレーション光を計測することにより、前記キャピラリープレートに導入された前記中性子を検出する工程と、
を具えることを特徴とする、中性子検出方法に関する。
本発明は、厚さ方向に貫通する複数の開口部を有するキャピラリープレート内に、中性子に対して高い反応性を示す液体シンチレータを充填することにより、中性子検出器を構成している。そして、前記キャピラリープレートの前記複数の開口部内に中性子を導入し、前記中性子を前記開口部の壁面などで反射させて前記開口部内に閉じ込めるようにするとともに、前記開口部内に充填された液体シンチレータと反応させ、シンチレーション光を発するようにしている。したがって、このシンチレーション光を計測することにより、前記中性子を検出できるようになる。
中性子検出に対する位置分解能は、前記中性子検出器を構成する前記キャピラリープレートの開口部の直径などに起因する。したがって、前記開口部の直径などを十分に小さくすることにより、中性子検出において高い位置分解能を呈するようになる。また、本発明では液体シンチレータとの反応を通じて中性子を検出するようにしているので、高い時間分解能を呈する。さらに、前記液体シンチレータの種類などを適宜に選択することにより、ガンマ線を含むことなく、中性子のみを選択的に検出することができるようになる。
以下、本発明を発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の中性子検出器の一例を示す外観図であり、図2は、図1に示す中性子検出器の、キャピラリープレートを拡大して示す図であり、図3は、図2に示すキャピラリープレートの一開口部を拡大して示す図である。
図1は、本発明の中性子検出器の一例を示す外観図であり、図2は、図1に示す中性子検出器の、キャピラリープレートを拡大して示す図であり、図3は、図2に示すキャピラリープレートの一開口部を拡大して示す図である。
図1に示すように、本発明の中性子検出器10は、キャピラリープレート11と、キャピラリープレート11の裏面11B側と接触するように設けられたイメージング検出器12とを具えている。図2に示すように、キャピラリープレート11には、厚さ方向に貫通した複数の開口部12が形成されている。開口部12内には所定の液体シンチレータが充填されている。また、前記液体シンチレータは光学的セメント13で封入されている。さらに、キャピラリープレート11の、中性子入射側である主面11A上には反射材14が形成されている。
なお、前記液体シンチレータを封入するに際しては、光学的セメントの代わりに光学的フィルムを用いることもできる。
前記液シンチレータは、ガドリニウムやボロンなどをドープした新水性の液体シンチレータや、同じくガドリニウムやボロンなどをドープした疎水性のシンチレータなどから構成することができる。
イメージング検出器12は、例えば電子ボンバードCCDカメラやマイクロチャンネルプレートなどから構成することができる。
図1に示す中性子検出器10を用いた中性子検出は以下のようにして行われる。検出すべき中性子は、中性子検出器10におけるキャピラリープレート11の主面11A側に導入され、それぞれキャピラリープレート11内の開口部12内に導入される。すると、導入された前記中性子は開口部12の側壁12A及びキャピラリープレート11の主面11A側に設けられた反射材14で反射されて、開口部12内に閉じ込められるとともに、液体シンチレータと反応することによってシンチレーション光を生成するようになる。
得られたシンチレーション光は、開口部12内、すなわちキャピラリープレート11内から下方へ取り出されるが、キャピラリープレート11の裏面側にはイメージング検出器12が設けられているので、前記シンチレーション光はイメージング検出器12においてイメージングされる。すなわち、図1に示す中性子検出器10において、目的とする中性子はイメージとして検出されるようになる。
また、イメージング検出器12の代わりに光電子増倍管などを設ければ、検出した中性子をカウントできるようになる。
このように、図1に示す中性子検出器10を用いた場合、中性子検出に対する位置分解能は、中性子検出器10を構成するキャピラリープレート11の開口部12の直径などに起因する。したがって、開口部12の直径などを十分に小さくすることにより、中性子検出において高い位置分解能を呈するようになる。また、液体シンチレータとの反応を通じて中性子を検出するようにしているので、高い時間分解能を呈する。さらに、前記液体シンチレータを、上述した親水性及び疎水性の液体シンチレータから構成することにより、ガンマ線を含むことなく、中性子のみを選択的に検出することができるようになる。
キャピラリープレート11における開口部12の直径は特に限定されるものではないが、好ましくは6μm〜100μmに設定する。これによって、検出すべき中性子を狭小な開口部内に閉じ込めることができるようになるので、中性子検出の際の位置分解能を十分に向上させることができるようになる。
また、キャピラリープレート11における開口部12の配置密度は特に限定されるものではないが、好ましくは60個/mm2〜20000個/mm2に設定する。この場合においても、所定の検出領域において、検出すべき中性子を狭小な開口部内に閉じ込めることができるようになるので、中性子検出の際の位置分解能を十分に向上させることができるようになる。
さらに、開口部12の長さ、すなわちキャピラリープレート11の厚さTは0.8mm〜20mmであることが好ましい。これによって、開口部12内において、中性子と液体シンチレータとの反応を十分に行わせることができ、十分な強度のシンチレーション光を得ることができるようになる。
なお、図1に示す中性子検出器10において、キャピラリープレート11を構成する開口部12は、その直径がμmオーダ程度と極めて微小であるため、液体シンチレータを充填するに際して困難を伴う。しかしながら、上述したような液体シンチレータ溶液を所定の容器内に入れておき、キャピラリープレート11を前記容器内の液体シンチレータ溶液に浸漬させることにより、前記液体シンチレータ溶液は毛細管現象によって前記キャピラリープレート11の開口部12内に入り込むようになる。したがって、このような毛細管現象を利用すれば、目的とする液体シンチレータをキャピラリープレート11の開口部12内に簡易に充填できるようになる。
この場合、キャピラリープレート11の全体を前記液体シンチレータ溶液に浸漬するようにすると、キャピラリープレート11に設けられた複数の開口部12の全体に亘って均一に液体シンチレータを充填することは困難となる。しかしながら、キャピラリープレート11の主面11A及び裏面11Bのいずれか一方のみが前記液体シンチレータ溶液中に浸漬するようにすれば、複数の開口部12の全体に亘って均一に液体シンチレータを簡易に充填できるようになる。
図1に示すような中性子検出器を用いて中性子の検出を試みた。なお、以下に示す例では、イメージング検出器の代わりに光電子増倍管を用い、検出した中性子をカウントするようにした。なお、液体シンチレータとしてはガドリニウムを2mol%の割合で含有した疎水性液体シンチレータから構成した。また、キャピラリープレート11の開口部の直径は100μmとし、配置密度は60個/mm2とした。さらに、キャピラリープレート11の直径Dは2cmとし、厚さTは0.8mmとした。
図4は、中性子検出の際のバックグランドであり、図5は、キャピラリープレートの開口部内に上述した液体シンチレータを充填した場合のカウント数を示すグラフであり、図6は、キャピラリープレートの開口部内に上述した液体シンチレータを充填しない場合のカウント数を示すグラフである。
図4〜図6から明らかなように、キャピラリープレートの開口部内に所定の液体シンチレータを充填して本発明の中性子検出器を構成することにより、特に1000eV以下の低エネルギー領域で多くの中性子が検出されていることが確認された。
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
以上説明したように、本発明によれば、良好な位置分解能及び高い時間分解能を有し、ガンマ線に対する弁別能力に優れた中性子検出器及び中性子検出方法を提供することができる。
10 中性子検出器
11 キャピラリープレート
12 イメージング検出器
13 光学的セメント
14 反射材
11 キャピラリープレート
12 イメージング検出器
13 光学的セメント
14 反射材
Claims (22)
- 厚さ方向に貫通する複数の開口部を有するキャピラリープレートと、
前記キャピラリープレートの前記複数の開口部内に充填された液体シンチレータと、
を具えることを特徴とする、中性子検出器。 - 前記キャピラリープレートの、前記開口部の直径が6μm〜100μmであることを特徴とする、請求項1に記載の中性子検出器。
- 前記キャピラリープレートの、前記開口部の配置密度が60個/mm2〜20000個/mm2であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の中性子検出器。
- 前記キャピラリープレートの厚さが0.8mm〜20mmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の中性子検出器。
- 前記液体シンチレータは、前記キャピラリープレートの前記複数の開口部内に毛細管現象を利用して充填したことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の中性子検出器。
- 前記液体シンチレータは、前記キャピラリープレートの、いずれか一方の主面のみを液体シンチレータ溶液中に浸漬させ、前記キャピラリープレートの前記複数の開口部内に充填したことを特徴とする、請求項5に記載の中性子検出器。
- 前記液体シンチレータは、光学的セメントで封入されたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の中性子検出器。
- 前記液体シンチレータは、光学的フィルムで封入されたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の中性子検出器。
- 前記キャピラリープレートの、中性子入射側の主面に反射材を設けたことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の中性子検出器。
- 前記キャピラリープレートの、前記中性子入射側と反対側の主面と接触するようにして、イメージング検出器を具えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の中性子検出器。
- 前記キャピラリープレートの、前記中性子入射側と反対側の主面と接触するようにして、光電子増倍管を具えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の中性子検出器。
- 厚さ方向に貫通する複数の開口部を有するキャピラリープレートを準備する工程と、
前記キャピラリープレートの前記複数の開口部内に液体シンチレータを充填する工程と、
前記キャピラリープレートに対して中性子を導入し、前記液体シンチレータと反応させ、シンチレーション光を生成する工程と、
前記シンチレーション光を計測することにより、前記キャピラリープレートに導入された前記中性子を検出する工程と、
を具えることを特徴とする、中性子検出方法。 - 前記キャピラリープレートの、前記開口部の直径が6μm〜100μmであることを特徴とする、請求項12に記載の中性子検出方法。
- 前記キャピラリープレートの、前記開口部の配置密度が60個/mm2〜20000個/mm2であることを特徴とする、請求項12又は13に記載の中性子検出方法。
- 前記キャピラリープレートの厚さが0.8mm〜20mmであることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一に記載の中性子検出方法。
- 前記液体シンチレータは、前記キャピラリープレートの前記複数の開口部内に毛細管現象を利用して充填することを特徴とする、請求項12〜15のいずれか一に記載の中性子検出方法。
- 前記液体シンチレータは、前記キャピラリープレートの、いずれか一方の主面のみを液体シンチレータ溶液中に浸漬させ、前記キャピラリープレートの前記複数の開口部内に充填することを特徴とする、請求項16に記載の中性子検出方法。
- 前記液体シンチレータは、光学的セメントで封入することを特徴とする、請求項12〜17のいずれか一に記載の中性子検出方法。
- 前記液体シンチレータは、光学的フィルムで封入することを特徴とする、請求項12〜17のいずれか一に記載の中性子検出方法。
- 前記キャピラリープレートの、中性子入射側の主面に反射材を設ける工程を具えることを特徴とする、請求項12〜19のいずれか一に記載の中性子検出方法。
- 前記シンチレーション光は、前記キャピラリープレートの、前記中性子入射側と反対側の主面と接触するようにして設けた、イメージング検出器によって検出することを特徴とする、請求項12〜20のいずれか一に記載の中性子検出方法。
- 前記シンチレーション光は、前記キャピラリープレートの、前記中性子入射側と反対側の主面と接触するようにして設けた、光電子増倍管を通じて、その数をカウントすることを特徴とする、請求項12〜20のいずれか一に記載の中性子検出方法。
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JP2003311731A JP2005077377A (ja) | 2003-09-03 | 2003-09-03 | 中性子検出器及び中性子検出方法 |
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