JP2005076901A - 誘導加熱式乾留炉 - Google Patents

Abstract

【課題】被乾留物を収容した炉体を不活性ガス雰囲気の炉内で誘導加熱し、被乾留物を乾留処理する誘導加熱式乾留炉において、炉内ガスを循環させる遠心式循環ファンのディスクに作用する羽根の遠心力を軽減し、乾留炉運転中の循環ファンの破損を防止する。
【解決手段】循環ファン６の羽根１２を連結板１４によりファン中心部のボス１３に連結することにより、遠心力の作用する羽根１２を中心部の剛性の高いボス１３で支え、羽根の遠心力をボスと側板１１とに分散させて側板１１の応力を低減する。
【選択図】 図１

Description

この発明は、高分子化合物を含む廃棄物を乾留処理する誘導加熱式乾留炉に関し、特に炉内ガスを強制循環させる循環ファンの構造に関する。

炉体を誘導加熱することにより、不活性ガス雰囲気の炉内で被乾留物を乾留処理するバッチ式の誘導加熱式乾留炉については、例えば特許文献１に記載されている。図３は、この種の乾留炉の概略構成を示す縦断面図である。図３において、１は炉蓋、２は断熱壁でいずれも断熱材で構成されている。断熱壁２の内側に磁性材（鉄）からなる炉体３が置かれ、炉体３内には被乾留物４（例えば飲料缶）が収容されている。断熱壁２の外側には、図示しないインバータ電源に接続された加熱コイル５が配置されている。

このような乾留炉において、炉内を窒素などで置換して不活性ガス雰囲気とし、加熱コイル５を励磁すると炉体３には誘導電流が流れ、炉体３はその抵抗損により発熱する。その結果、被乾留物４は炉体３からの輻射や熱伝導、被乾留物同士の熱伝導、炉内ガスからの熱伝達により加熱され、被乾留物４に含まれる塗料などの高分子化合物が乾留処理される。
特開平１０−４３７１４号公報

上記した通り、被乾留物４は炉体３の発熱により加熱されるが、炉内中心部の被乾留物４は炉壁からの輻射を受けないので昇温しにくい。その対策としては図示の通り、炉内に循環ファン６を設置し、炉内ガスを矢印で示すように炉内中心部と通風空間７とを通して循環させるとよい。この循環ガスは通風空間７を通過する間に炉壁と接触して加熱され、次いで通風口８を通過して炉体３内に入り、中心部を上昇しながら被乾留物７を加熱した後、低温となって通風口９から通風空間７に送入される。このような循環により、炉内中心部の被乾留物４も高温の炉内ガスで加熱され、炉内での被乾留物温度の均一化が図られる。循環ファン６は遠心式ファン（ラジアルファン）が用いられ、図示の通り中心部から軸方向に吸い込んだ炉内ガスを半径方向に吐出させる。

図４は、従来一般の循環ファンの拡大縦断面図である。図４において、循環ファン６は円盤状の主板１０とチューリップ状の側板１１とからなる２枚のディスクの間に複数枚の羽根１２が保持され、図示しないモータ軸に結合される円柱状のボス１３が主板１０に固着された構造を有している。

循環ファン６の回転時には羽根１２にそれぞれ遠心力が作用するが、この遠心力は主に側板１１により受け止められ、その反力により側板１１には図４に矢印で示す曲げ加重が作用する。そのため、側板１１には曲げ応力が発生するが、この曲げ応力がファン構成材料の引張強度を超えると循環ファン６が破損し、更には加熱炉本体も破損するという危険がある。特に、乾留炉の循環ファンは高温（例えば、約６００℃）の炉内で高回転で使用されるため破損の危険が大きく、使用中の循環ファンの損傷を可能な限り防止することが必要不可欠である。

そこで、この発明の課題は、循環ファンのディスクに作用する羽根の遠心力を軽減し、乾留炉運転中の循環ファンの破損を防止することにある。

上記課題を解決するために、この発明は、被乾留物を収容した炉体を不活性ガス雰囲気の炉内で誘導加熱し、前記被乾留物を乾留処理する誘導加熱式乾留炉において、遠心式の循環ファンを炉内に設置し、この循環ファンで炉内ガスを循環させながら乾留処理を行うこととし、かつ前記循環ファンの羽根を連結板によりファン中心部のボスに連結するものとする（請求項１）。請求項１の発明によれば、遠心力の作用する羽根を中心部の剛性の高いボスで支えることにより、羽根の遠心力をボスと側板とに分散して負担させ、側板の応力を低減することができる。

請求項１の発明において、前記羽根と前記連結板とは一体に形成することができ、これにより構造を簡単にすることができる（請求項２）。

この発明によれば、循環ファンの羽根をファン中心部のボスに連結することにより、高温高回転時の循環ファンの遠心力をボスにも負担させ、側板に作用する羽根の遠心力を軽減してその破損を防止することができる。

図１はこの発明の実施の形態を示す循環ファンの縦断面図である。なお、従来例と対応する部分には同一の符号を用いるものとする。図１において、従来構造（図４）と相違するのは、
羽根１２が連結板１４によりボス１３に連結されている点である。循環ファン６の各部は鋼材からなり、やはり鋼材（鋼板）からなる方形の連結板１４は、周縁が溶接により羽根１２、主板１０及びボス１３に接合されている。図示構成によれば、ファン回転時に羽根１２に作用する遠心力は、連結板１４を介してボス１３に分担されるため、側板１１の負担が軽減されて発生応力が減少し、炉内高温下においても側板１１が破損する危険がなくなる。

図１の実施の形態では、羽根１２と別体の連結板１４を羽根１２とボス１３との間に接合したが、羽根１２と連結板１４とを１枚の板として一体に形成することも可能であり、それにより羽根１２と連結板１４との接合が不要になり構造が簡単になる。

図２は、異なる実施の形態を示すものである。図２の実施の形態では、連結板１４に、そのガス吸い込み側端面とボス１３の側面とにまたがる三角形状の切欠１５が形成されている。このような切欠１５の形成により、図２に矢印で示すように流れるガスの吸い込みが円滑になる。

この発明の実施の形態を示す循環ファンの縦断面図である。 この発明の異なる実施の形態を示す循環ファンの縦断面図である。 従来の乾留炉の概略構成を示す縦断面図である。 図４における循環ファンの縦断面図である。

符号の説明

６ 循環ファン
１２ 羽根
１３ ボス
１４ 連結板

Claims (2)

1. 被乾留物を収容した炉体を不活性ガス雰囲気の炉内で誘導加熱し、前記被乾留物を乾留処理する誘導加熱式乾留炉において、
   遠心式の循環ファンを炉内に設置し、この循環ファンで炉内ガスを循環させながら乾留処理を行うこととし、かつ前記循環ファンの羽根を連結板によりファン中心部のボスに連結したことを特徴とする誘導加熱式乾留炉。
2. 前記連結板と前記羽根とを一体に形成したことを特徴とする請求項１記載の誘導加熱式乾留炉。
   

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