JP2005076183A - コンクリートボイドスラブ工法及びこれに使用する埋込体付下面板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軽量体からなりその下端部がその上側より水平断面積が小さい狭隘部2aに形成された埋込体2をセメント系平板3の上面に縦横に複数固定した埋込体付下面板4を用意し、型枠板5を施工現場の所定の位置に敷き込み、該型枠板5の上に、上記埋込体付下面板4を配列し、隣接する2つの埋込体2の間に下側スラブ筋6を配筋するとともに、埋込体2より上側に上側スラブ筋7を配筋し、両スラブ筋6、7の配筋後、コンクリート8を打設し、該コンクリート8の硬化後、上記型枠板5を外すようにする。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の鉄筋コンクリートスラブ内に軽量材からなる埋込体を埋設して軽量のスラブを形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平9−250196号には、そのような埋込体をコンクリート内に埋設したものが開示されている。
すなわち、ボイドと称される軽量材から成る埋込体を型枠板の上面に適宜配置し、その後、コンクリートを打設するものである。
これにより、コンクリート内に中空部が形成され、コンクリートスラブの軽量化や遮音性等を向上させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のコンクリートボイドスラブ工法にあっては、次のような問題があった。
【0004】
1.コンクリート打設前においてボイドの仮固定が難しく、コンクリートの打設時にボイドが浮き上がったり、移動したりしてしまう。すなわち、ボイドは軽量材、例えば、発泡スチロールなどが使われるため、コンクリート打設時に大きな浮力が掛かってしまい、ボイドをコンクリートスラブの所定の位置に埋設することは必ずしも容易なことではない。
【0005】
2.コンクリートを型枠板に直接流するため、型枠板を外しときに、型枠板にコンクリートが付着してしまい、型枠板の転用(使い回し)回数を多くすることができない。すなわち、型枠板には通常12mm〜15mmのコンパネ或いはベニヤ板等の合板が使われ、このコンパネにはコンクリートの付着防止のために薬剤を塗布することが行われているが、これに直接コンクリートを打設すると脱型後にコンクリートの付着を皆無にすることはできない。そして、この状態で型枠板として転用(使い回し)しようとしても転用(使い回し)回数は3〜4回が限度であった。さらに、脱型時に型枠板の端部がコンクリートに食い込む目違いを作ってしまうと型枠除去作業が困難になってしまう。
【0006】
3.コンクリートスラブの下面はコンクリートが剥き出しのため、クロスを貼るなどの処理が必要であり、手間がかかっていた。すなわち、コンクリートスラブの下面は下階の天井面になるが、型枠板を外した後のコンクリート面が露出してしまい、見栄えが悪くその後処理が必要であった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明は、設計通りに埋込体を定位置に位置させたコンクリートスラブを得ること、型枠板の転用(使い回し)回数を増やすこと及びコンクリートスラブの下面の後処理を不要にすることなどを目的としたコンクリートボイドスラブ工法及びこれに用いる埋込体付下面板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のコンクリートボイドスラブ工法は、軽量体からなりその下端部がその上側より水平断面積が小さい狭隘部(2a)に形成された埋込体(2)をセメント系平板(3)の上面に縦横に複数固定した埋込体付下面板(4)を用意し、型枠板(5)を施工現場の所定の位置に敷き込み、該型枠板(5)の上に、上記埋込体付下面板(4)を配列し、隣接する2つの埋込体(2)の間に下側スラブ筋(6)を配筋するとともに、埋込体(2)より上側に上側スラブ筋(7)を配筋し、両スラブ筋(6、7)の配筋後、コンクリート(8)を打設し、該コンクリート(8)の硬化後、上記型枠板(5)を外すようにした、ことを特徴とする。
【0009】
この発明のコンクリートボイドスラブ工法によれば、
・埋込体(2)がセメント系平板(3)にあらかじめ固定されているため、コンクリート(8)を打設したときに埋込体(2)が移動することなく、定位置に埋め込むことができ、設計通りのコンクリートスラブ(1)を施工することができる。
・型枠板(5)に直接コンクリート(8)が打設しないため、型枠板(5)の転用(使い回し)回数を増やすことができる。出願人実験によれば、従来のものに比較して、2倍以上、回数にして10回以上の転用(使い回し)が可能となった。
・施工後の下階から見た天井面には、セメント系平板(3)の下面が露出するだけで、従来のように打設したコンクリート面が露出しないため、クロスを貼るなどの後処理作業を不要とする。勿論、装飾などを目的としてクロスを貼ることも可能である。
【0010】
また、別の発明の埋込体付下面板(4)は、コンクリートスラブ(1)工法に用いられる型枠板(5)の上に配列され、軽量体からなりその下端部がその上側より水平断面積が小さい狭隘部(2a)に形成された埋込体(2)をセメント系平板(3)の上面に縦横に複数固定した、ことを特徴とする。
【0011】
この別の発明の埋込体付下面板(4)によれば、コンクリートスラブ(1)の施工を簡便にするとともに、埋込体付下面板(4)がコンクリートスラブ(1)から離脱することを防止することができる。すなわち、例えば、下階の天井面に照明器具などを直接吊す場合があるが、このような場合、埋込体(2)の狭隘部(2a)に硬化したコンクリート(8)が存在し、埋込体付下面板(4)がコンクリートスラブ(1)から離脱する方向に対して引っかかり部となって、容易にセメント系平板(3)及び埋込体(2)がコンクリート(8)から離脱することはない。
【0012】
上記埋込体付下面板(4)の埋込体(2)が固定された以外の部分に小孔(15)を形成しておけば、セメント系平板(3)と打設されたコンクリート(8)との接着面が増大し、コンクリート(8)から埋込体付下面板(4)が離脱しにくくなる。
【0013】
上記埋込体付下面板(4)の埋込体(2)が固定された側の表面に凹部(16)及び/又は凸部を形成しておけば、セメント系平板(3)と打設されたコンクリート(8)との接着面が増大し、コンクリート(8)から埋込体付下面板(4)が離脱しにくくなる。
【0014】
隣接する2つの埋込体(2)の上記狭隘部(2a)間に配筋される下側スラブ筋(6)を2本にしておけば、剛性の高いコンクリートスラブ(1)を得ることができる。
【0015】
セメント系平板(3)を繊維強化セメント板又はパーライトモルタル木毛セメント板にすれば、コンクリート(8)との接着性を向上させることができ、コンクリート(8)から埋込体付下面板(4)が離脱しにくくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
この実施の形態にかかるコンクリートスラブ1工法は、軽量体からなりその下端部が上側より水平断面積が小さい狭隘部2aに形成された埋込体2をセメント系平板3の上面に縦横に複数固定した埋込体付下面板4を用意し、型枠板5を施工現場の所定の位置に敷き込み、該型枠板5の上に、上記埋込体付下面板4を配列し、隣接する2つの埋込体2の間に下側スラブ筋6を配筋するとともに、埋込体2より上側に上側スラブ筋7を配筋し、両スラブ筋6、7の配筋後、コンクリート8を打設し、該コンクリート8の硬化後、上記型枠板5を外すようにした、ことを特徴とする(図2乃至図7参照)。
【0018】
軽量体からなりその下端部が上側より水平断面積が小さい狭隘部2aに形成された埋込体2とは、キノコ状など種々の形状が考えられるが、要は、頭部が下端部よりも大きく、コンクリート8を打設したときにコンクリート8が埋込体2の狭隘部2aに回り込んで、硬化したコンクリート8から容易に埋込体2が抜け出ないようにしたものである(図8参照)。
【0019】
軽量体からなる埋込体2の大きさは、スラブ厚さ、配筋量及び主筋のコンクリート8の被り厚の規定等から決定されるが、およそ100×100×100H mm〜500×500×250H mmの範囲が妥当と思われ、好ましくは125×125×125H mm〜200×200×200H mmの範囲である(図8参照)。また、埋込体2の平面形状は正方形に限らず、長方形であっても良く、或いは多角形、円形などであっても良い。
【0020】
埋込体2は、例えば、プラスチック発泡体、無機発泡体、プラスチック中空成形体、耐水段ボール及び薄肉金属板の中空加工品等が挙げられ、コンクリート8の比重に対し十分小さいものが用いられる。かかる材料の選定は、コンクリートスラブ1の軽量化、断面性能等の目的の達成度、加工性、取扱性等の汎用性、及びコスト等を比較考慮してなされるが、特にプラスチック発泡体、無機発泡体、若しくはプラスチック中空成形体が望ましい。
【0021】
セメント系平板3には、例えば、繊維強化セメント板やパーライトモルタル木毛セメント板などが考えられるが、これに限らず、打設するコンクリート8との接着性がよい材質の物であればよい。
【0022】
セメント系平板3の表面(埋込体が固定された側の面)に、セメント系平板3に小孔15を形成したり(図10(b)(c)参照)、或いは凹部16及び/又は凸部を形成すること(図10(b)(d)参照)が好ましい。これは、コンクリート8を打設した後、硬化したコンクリート8と埋込体付下面板4との接着性を強固にするためである。
【0023】
所定の位置に型枠板5を敷き込むとは、例えば、サポート柱9を下階の床部に立てて、該サポート柱9で支えるようにして型枠板5を配置する。なお、図2においては省略したが、型枠板5とサポート柱9との間には根太及び大引が介在される。型枠板5は通常10mm〜15mmのコンパネ又はベニヤ板が用いられるが、これに限らず、後述するセメント系平板3をその上に配列できる強度を有するものであればよい。
【0024】
セメント系平板3の大きさとは、その取り扱い性を考慮すると、例えば、900mm×900mmや1000mm×1000mmなど正方形が好ましいが、これに限らず、1800mm×900mmなどのような長方形であっても良い。
【0025】
埋込体2の1つのセメント系平板3に対する数は、埋込体2自体の平面形状やセメント系平板3の形状にもよるが、例えば、埋込体2の平面形状が正方形の場合で900mm×900mmのセメント系平板3にあっては9つが妥当と考えられる(図1参照)。また、セメント系平板3が1800mm×900mmの場合には18個が妥当な数と考えられる。
【0026】
型枠板5の上に上記埋込体付下面板4を配列するには、ほぼ隙間がないように敷き込むことが一般的であるが、上記隙間をわずかに形成することもでき、この場合、コンクリート8が上記隙間に入り込み、下階から天井面を見たときに「目地」のような模様を醸し出すことができる。
【0027】
上記下側スラブ筋6の配筋は、通常、縦横に伸びるように各埋込体2間に1本ずつ配筋するが、これに限らず、2本のスラブ筋5を埋込体2間に配筋しても良いし、また、2本のスラブ筋5と1本のスラブ筋5とを交互に配筋する、或いは2本のスラブ筋5を2つ置き、3つ置き等のように配筋しても良い。
【0028】
また、上側スラブ筋7の配筋は、埋込体2の上方及び埋込体2と埋込体2との間の上方にそれぞれ1本ずつ配筋して碁盤の目状に配筋することが一般的であるが、これに限らず、互いの間隔(配筋ピッチ)を異ならせることもできる。また、上側スラブ筋7の配筋ピッチは、150mmくらいにすることが好ましい。これは、作業者が上側スラブ筋7の上を歩行することがあるため、上側スラブ筋7の間に足を踏み外してしまわないようにするためである。
【0029】
両スラブ筋6、7の配筋後、コンクリート8を打設するには、既知の方法により行う。
【0030】
コンクリート8の硬化後、上記型枠板5を外すには、コンクリート8を十分に養生した後行う。
【0031】
この実施の形態によれば、複数の埋込体2をセメント系平板に固定した埋込体付下面板4を型枠板5に置くだけで容易に埋込体2をコンクリートスラブ1内の定位置に埋設することができる。
【0032】
また、型枠板5に直接コンクリート8が打設しないため、型枠板5の転用(使い回し)回数を増やすことができる。
【0033】
施工後の下階から見た天井面には、セメント系平板3の下面が露出するだけで、従来のように打設したコンクリート面が露出しないため、クロスを貼るなどの後処理作業を不要とする。勿論、装飾などを目的としてクロスを貼ることも可能である。
【0034】
【実施例】
次に、上記実施の形態にかかる具体的な実施例を説明する。この実施例は、コンクリートスラブ1の厚さが300mmの場合で、縦横に配筋された下側スラブ筋6のうち縦方向に配筋された下側スラブ筋6が隣接する2つの埋込体2の間に2本配筋したものに適用したものである。
【0035】
先ず、図1は、埋込体付下面板4を示す斜視図である。
【0036】
埋込体付下面板4は、1枚のセメント系平板3に複数の埋込体2が接着により固定されている。
セメント系平板3は、繊維強化セメント板で構成されており、これにより、後述するように打設したコンクリート8との接着性が良好となり、セメント系平板3とコンクリート8とが離脱しにくくなる。
セメント系平板3の大きさは、900mm×900mmの正方形で厚さが5mmに形成されており、可搬性等の取扱性など優れる。すなわち、作業員が人手で持ち狭い建設現場で取廻すことが可能であり、かつ、複数枚を持ち上げ揚重機などで高所階へ荷揚げする作業も可能である。
【0037】
埋込体2は、プラスチック発泡体で構成されており、コンクリート8の比重に対し十分小さいものが用いられる。
プラスチック発泡体としては、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン(共重合体を含む)、ポリエチレン/ポリスチレン複合樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル/スチレン共重合体、ポリウレタン等の発泡体が挙げられ、型内発泡成形品でも押出板状発泡体から切り出して所定の形状に仕上げたものでもよく、更には中実体でも中空体であってもよい。特に、吸湿性が小さい独立気泡のポリスチレン発泡体が好ましい。尚、発泡体の原料として各種発泡体のリサイクル品を有効に用いることもできる。
【0038】
埋込体2の大きさは、200×200×200H mmで下端部の狭隘部2aは水平断面形状が170mm×170mmの正方形で高さが65mmに形成されている。
【0039】
そして、1枚のセメント系平板3に対しては、9個の埋込体2が縦横に配列され、接着剤により固定されている。
なお、埋込体のセメント系平板に対する固定手段としては、接着の他、ボルトとナットであってもよい。
【0040】
図8はコンクリートスラブ1の1枚のセメント系平板分の断面図であり、本図から分かるように、埋込体2はセメント系平板3の四辺から50mm内側に寄った位置に配置され、隣接する埋込体2は300mmのピッチで配置されている。これにより、隣接する埋込体2と埋込体2との間の間隔が100mmで、それぞれの狭隘部2aと狭隘部2aとの間の間隔が130mmになっている。
【0041】
次に、コンクリートスラブ1の施工を順を追って説明する。
1)型枠板5を支持する支保工10を構築する(図2参照)。
支保工10は、先ず下階の床面(図示は省略する。)から複数のサポート柱9を所定間隔で立設する。サポート柱9は例えば1350mmのピッチで配置される。
【0042】
2)サポート柱9の上端部間を掛け渡すように大引11を配置する(図3参照)。
各大引11は互いに平行で、かつ、水平なるように上記サポート柱9の高さを調整する。
複数の大引11の上にこれらと直交する方向に伸びるように互いに平行に複数の根太12を配置する。これにより根太12も水平にされる。根太12の配列ピッチは450mmに形成される。
大引11及び根太12はともに四角筒体の鋼管が用いられているが、これに限られず、丸鋼管や端太角であっても良い。但し、支保工10としてコンクリートスラブ1を十分に支えられるものでなければならない。
【0043】
複数の根太12を配列した後、根太12の上には型枠板5を敷き込む。型枠板5の大きさは1800mm×900mm、厚さ12mmの合板で、上記支保工10の上にほぼ隙間なく敷き込む。これにより、複数枚敷き込められた埋込体付下面板4の埋込体2の配列ピッチはすべて300mmとなる。
【0044】
3)型枠板5の敷き込み完了後、下側スラブ筋6を縦横に配筋する(図4、図9参照)。
縦横に配筋する下側スラブ筋6はともに、隣接する埋込体2間であって、上記狭隘部2aと狭隘部2aとの間に配筋する。また、縦横に配筋する下側スラブ筋6のうち、縦方向に配筋する下側スラブ筋6は2本配筋する。縦方向に配筋する2本の下側スラブ筋6の配列ピッチは50mmにされ、セメント系平板3からほぼ30mm離間した位置に配筋する。2本のスラブ筋6を狭隘部2aと狭隘部2aとの間に配筋することにより、両スラブ筋6はともに埋込体2からの距離を30mm以上の間隔に保つことができ、建築基準法に適合する。換言すれば、埋込体2に狭隘部2aを形成したので、2本の下側スラブ筋6を配筋することができ、コンクリートスラブ1の剛性を増強しつつ、軽量化を図ることができる。
【0045】
4)上側スラブ筋7を縦横に配筋する(図5、図9参照)。
上側スラブ筋7は埋込体2の上面からほぼ40mm上方へ変位した位置に配筋し、縦方向及び横方向ともに、その配列ピッチは150mmとする。これにより、一方の上側スラブ筋7は埋込体2の平面から見た中心点を通り、他方の上側スラブ筋7は隣接する2つの埋込体2の間の中心を通る。上側スラブ筋7の配列ピッチを150mmとしたのは、上側スラブ筋7の上を作業者が上側スラブ筋7の上を歩行することがあるため、上側スラブ筋7の間に足を踏み外してしまわないようにするためである。
【0046】
5)コンクリート8を打設する(図6参照)。
コンクリート8の打設は、既知の方法により行う。コンクリート8を打設するとき、埋込体2はコンクリート8の流れを受けるが、セメント系平板3に接着されているため移動することなく、また、浮力が生じてもセメント系平板3から離脱することもない。従って、コンクリート8を打設したときに埋込体2が移動することなく、定位置に埋め込むことができ、設計通りのコンクリートスラブ1を施工することができる。また、コンクリート8を打設したときに、コンクリート8はセメント系平板3上に接触し、型枠板5とは接触しない。このため、後述するように、型枠板5にはコンクリート8が付着しない。
【0047】
6)支保工10を撤去する(図7参照)。
コンクリート8の養成後、型枠板5を除去すべく、支保工10を撤去する。支保工10を撤去し、型枠板5を外すと型枠板5にはコンクリート8が付着されておらず、従って、型枠板5は支保工10を構築したときのものとほぼ同じ状態で除去することができ、これを転用(使い回し)することができる。
【0048】
また、型枠板5を除去した状態で、コンクリートスラブ1の下面、すなわち、下階の天井面は埋込体付下面板4の下面が露出するため、見栄えをよくすることができる。勿論、このセメント系平板3の下面(下階の天井面)に装飾を目的としたをクロス等を貼ることは可能である。また、セメント系平板3が下階の天井面とされるため、コンクリート8の同じ補修や仕上げを行うこともできる。
【0049】
なお、上記実施例において、縦横に配列した下側スラブ筋6のうち、縦方向に配筋した下側スラブ筋6を2本としたが、本発明はこれに限らず、1本であっても良いし、或いは、縦方向及び横方向に配筋した下側スラブ筋6の両方とも2本としても良い。
【0050】
図10は、上記実施例における埋込体付下面板4の変形例であり、図10(a)は断面図、図10(b)の左側半分及び図10(c)が第1の変形例、図10(b)の右側半分及び図10(d)が第2の変形例を示す。
【0051】
第1の変形例にかかる埋込体付下面板4Aは、そのセメント系平板3Aの埋込体2が固定されていない部分に小孔15を多数形成したものである。
この第1の変形例にかかる埋込体付下面板4Aにあっては、コンクリート8を打設したときに、コンクリート8が小孔15にも流れ込む。これにより、コンクリート8と埋込体付下面板4Aとの接触面積が増大し、接着力が増大して、両者の接着性を強固にすることができる。
また、この第1の変形例にかかる埋込体付下面板4Aにあっては、セメント系平板3Aを貫通する小孔15を形成するため、下階の天井面を見たときに、当該小孔15を視認される。そこで、下階から天井面を見たときに小孔15で所定の「模様」を醸し出すことができる。
【0052】
第2の変形例にかかる埋込体付下面板4Bは、そのセメント系平板3Bの埋込体2が固定されていない部分に凹部16を多数形成したものである。
この第2の変形例にかかる埋込体付下面板4Bにあっては、コンクリート8を打設したときに、コンクリート8が凹部16にも流れ込む。これにより、コンクリート8と埋込体付下面板4Bとの接触面積が増大し、接着力が増大して、両者の接着性を強固にすることができる。
【0053】
なお図示は省略したが、埋込体付下面板4に凸部を多数形成することでも、コンクリート8との接着性の強固を図ることができる。
さらには、上記小孔15、上記凹部16或いは上記凸部を、適宜組み合わせても良いことは勿論である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のコンクリートボイドスラブ工法によれば、以下の効果を奏する。
・埋込体がセメント系平板にあらかじめ固定されているため、コンクリートを打設したときに埋込体が移動することなく、定位置に埋め込むことができ、設計通りのコンクリートスラブを施工することができる。
・型枠板に直接コンクリートが打設しないため、型枠板の転用(使い回し)回数を増やすことができる。
・施工後の下階から見た天井面には、セメント系平板の下面が露出するだけで、従来のように打設したコンクリート面が露出しないため、クロスを貼るなどの後処理作業を不要とする。勿論、装飾などを目的としてクロスを貼ることも可能である。
【0055】
また、別の発明の埋込体付下面板によれば、コンクリートスラブの施工を簡便にするとともに、埋込体付下面板がコンクリートスラブから離脱することを防止することができる。すなわち、例えば、下階の天井面に照明器具などを直接吊す場合があるが、このような場合、埋込体の狭隘部に硬化したコンクリートが存在し、埋込体付下面板がコンクリートスラブから離脱する方向に対して引っかかり部となって、容易にセメント系平板及び埋込体がコンクリートから離脱することはない。
【0056】
上記埋込体付下面板の埋込体が固定された以外の部分に小孔を形成しておけば、セメント系平板と打設されたコンクリートとの接着面が増大し、コンクリートから埋込体付下面板が離脱しにくくなる。
【0057】
上記埋込体付下面板の埋込体が固定された側の表面に凹部及び/又は凸部を形成しておけば、セメント系平板と打設されたコンクリートとの接着面が増大し、コンクリートから埋込体付下面板が離脱しにくくなる。
【0058】
隣接する2つの埋込体の上記狭隘部間に配筋される下側スラブ筋を2本にしておけば、剛性の高いコンクリートスラブを得ることができる。
【0059】
セメント系平板を繊維強化セメント板又はパーライトモルタル木毛セメント板にすれば、コンクリートとの接着性を向上させることができ、コンクリートから埋込体付下面板が離脱しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】埋込体付下面板を示す斜視図である。
【図2】図3乃至図7とともに、コンクリートスラブの施工を順を追って説明するもので、本図は型枠板を支持する支保工を構築する様子を示す要部断面図である。
【図3】サポート柱の上端部間を掛け渡すように大引を配置する様子を示す要部断面図である。
【図4】型枠板の敷き込み完了後、下側スラブ筋を縦横に配筋する様子を示す要部断面図である。
【図5】上側スラブ筋を縦横に配筋する様子を示す要部断面図である。
【図6】コンクリートを打設する様子を示す要部断面図である。
【図7】支保工を撤去する様子を示す要部断面図である。
【図8】コンクリートスラブの1枚のセメント系平板分の断面図である。
【図9】コンクリートスラブの一部を切り欠いて示す要部の斜視図である。
【図10】埋込体付下面板4の変形例を示すものであり、(a)は断面図、(b)の左側半分及び(c)が第1の変形例を、(b)の右側半分及び(d)が第2の変形例を示す。
【符号の説明】
1 コンクリートスラブ
2 埋込体
2a 狭隘部
3 セメント系平板
4 埋込体付下面板
5 型枠板
6 下側スラブ筋
7 上側スラブ筋
8 コンクリート
9 サポート柱
10 支保工
11 大引
12 根太
15 小孔
16 凹部
Claims (9)
- 軽量体からなりその下端部がその上側より水平断面積が小さい狭隘部(2a)に形成された埋込体(2)をセメント系平板(3)の上面に縦横に複数固定した埋込体付下面板(4)を用意し、
型枠板(5)を施工現場の所定の位置に敷き込み、
該型枠板(5)の上に、上記埋込体付下面板(4)を配列し、
隣接する2つの埋込体(2)の間に下側スラブ筋(6)を配筋するとともに、埋込体(2)より上側に上側スラブ筋(7)を配筋し、
両スラブ筋(6、7)の配筋後、コンクリート(8)を打設し、
該コンクリート(8)の硬化後、上記型枠板(5)を外すようにした、ことを特徴とするコンクリートボイドスラブ工法。 - 上記埋込体付下面板(4)の埋込体(2)が固定された以外の部分に小孔(15)を形成した、ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリートボイドスラブ工法。
- 上記埋込体付下面板(4)の埋込体(2)が固定された側の表面に凹部(16)及び/又は凸部を形成した、ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリートボイドスラブ工法。
- 隣接する2つの埋込体(2)の上記狭隘部(2a)間に配筋される下側スラブ筋(6)が2本である、ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のコンクリートボイドスラブ工法。
- セメント系平板(3)が繊維強化セメント板又はパーライトモルタル木毛セメント板である、ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載のコンクリートボイドスラブ工法。
- コンクリートスラブ(1)工法に用いられる型枠板(5)の上に配列され、軽量体からなりその下端部がその上側より水平断面積が小さい狭隘部(2a)に形成された埋込体(2)をセメント系平板(3)の上面に縦横に複数固定した、ことを特徴とする埋込体付下面板(4)。
- セメント系平板(3)の埋込体(2)が固定された以外の部分に小孔(15)を形成した、ことを特徴とする請求項6に記載の埋込体付下面板(4)。
- セメント系平板(3)の埋込体(2)が固定された側の表面に凹部(16)及び/又は凸部を形成した、ことを特徴とする請求項6に記載の埋込体付下面板(4)。
- セメント系平板(3)が繊維強化セメント板又はパーライトモルタル木毛セメント板である、ことを特徴とする請求項6、請求項7又は請求項8に記載の埋込体付下面板(4)。
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JP2012154124A (ja) * | 2011-01-27 | 2012-08-16 | Ihi Infrastructure Systems Co Ltd | 合成床版の製造方法 |
WO2019050476A1 (en) * | 2017-09-08 | 2019-03-14 | Dragages Singapore Pte Ltd | APPARATUS FOR MOVING A CONCRETE VOLUME INTO A CONCRETE SLAB |
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2003
- 2003-08-29 JP JP2003209765A patent/JP2005076183A/ja active Pending
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