JP2005075841A - フィン用塗料組成物およびフィン材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボキシル基を有する単量体(a1)と、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)と、アミド基を有する単量体(a3)から構成される親水性樹脂(A)と、エーテル基を有する高分子(B)と、アルデヒド基を有する化合物(C)と、界面活性剤(D)とを有することを特徴とするフィン用塗料組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィン用塗料組成物およびフィン材に関するものであり、特に、耐汚染性に優れた熱交換器用アルミニウムフィン用の塗料組成物およびフィン材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ルームエアコンなどの空気調和装置、工業用熱交換器などの熱交換器のフィンとしては、軽量性、加工性、熱伝導性等の観点から、従来、アルミニウムやアルミニウム合金(以下、これらを併せて、単に「アルミニウム材」と表記する。)が広く使用されている。
【0003】
一般に、アルミニウム材は耐蝕性に優れる素材ではあるが、凝縮水がフィン表面に長期間滞留すると、酸素濃淡電池を形成したり、大気中の汚染成分が付着・濃縮されて水和反応が生じたりして腐食が促進される。
【0004】
また、このような空気調和装置等の熱交換器のフィンに空気中から凝縮した水滴が付着すると通風抵抗の増加、夏場における交換器の能力低下が生じる。
【0005】
これらを防止するため、従来よりフィンの表面に親水性を付与することが行われており、例えば、特許文献1には、界面活性剤やシリカを含有する水性塗料を塗布することが、また、特許文献2には、親水性高分子化合物と架橋剤を含有する塗料を塗布、硬化させた後、アルカリ水溶液による処理を施し、これによって表面粗さを粗くして水濡性を向上させることが、さらに特許文献3には、アミド基含有高分子、エーテル基含有高分子、および2つのアルデヒド基を含有する化合物を必須とする親水性処理剤が開示されている。
【0006】
室内機に使用されるフィンには、従来から親水性、耐蝕性、低臭気性等が求められているが、熱交換器の小型化やCOP(エネルギー消費効率)の向上等の課題に対処するため複雑な形状の成形が行われ、フィンピッチも狭くなる傾向にあることから、より優れた親水性、成形性が必要となってくる。しかしながら、上記した特許文献1および2に開示されるような技術においては、小型化やCOP向上に伴うより優れた親水性、成形性といった要求を十分に満たすことができないものであった。
【0007】
さらに、近年、エアコン冷房運転時にエアコン吹き出し口から水滴が飛散する、いわゆる、水飛び現象が問題となっている。これは、熱交換器取付け等の設計上での問題もあるが、建材や壁紙に含まれる可塑剤、脂肪酸、脂肪酸エステル等の汚染物質が、室内空間中を浮遊の末にフィン表面に付着し、親水化表面が撥水化するために起こっている。上記した特許文献1〜3に開示されるような技術においては、いずれも、このようなフィン表面への汚染物質の付着によって、親水性特性がかなり劣化するものであり、改善が望まれるところであった。
【特許文献1】
特開昭55−164264号公報
【特許文献2】
特開昭61−227877号公報
【特許文献3】
特開平9−77999号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、上記従来技術における問題点を解決してなるフィン用塗料組成物およびこれを用いてなるフィン材を提供することを課題とする。
【0009】
本発明はまた、親水性に富み、フィン材に汚染物質が付着しても、優れた親水性を維持することのできる耐汚染性に優れたフィン用塗料組成物およびこれを用いてなるフィン材を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討・研究を行った結果、カルボキシル基を有する単量体(a1)と、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)と、アミド基を有する単量体(a3)から構成される親水性樹脂(A)を有する親水化処理剤を使用することにより、フィンに汚染物質が付着しても優れた親水性を維持することを見出し本発明に至ったものである。
【0011】
すなわち、上記課題を解決する本発明は、カルボキシル基を有する単量体(a1)と、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)と、アミド基を有する単量体(a3)から構成される親水性樹脂(A)と、エーテル基を有する高分子(B)と、アルデヒド基を有する化合物(C)と、界面活性剤(D)とを有することを特徴とする塗料組成物である。
【0012】
本発明はまた、前記のカルボキシル基を有する単量体(a1)と、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)と、アミド基を有する単量体(a3)との比率が、質量比で(a1):(a2):(a3)=40〜80:5〜20:10〜40であることを特徴とする塗料組成物を示すものである。
【0013】
本発明はさらに、前記のエーテル基を有する高分子(B)が、数平均分子量2,000〜20,000のものであることを特徴とする塗料組成物を示すものである。
【0014】
本発明はさらに、前記の親水性樹脂(A)と、エーテル基を有する高分子(B)と、アルデヒド基を有する化合物(C)と、界面活性剤(D)との比率が、質量比で(A):(B):(C):(D)=10〜40:20〜50:1〜10:1〜5であることを特徴とする塗料組成物を示すものである。
【0015】
上記課題を解決する本発明はまた、カルボキシル基を有する単量体(a1)と、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)と、アミド基を有する単量体(a3)から構成される親水性樹脂(A)と、エーテル基を有する高分子(B)と、アルデヒド基を有する化合物(C)と、界面活性剤(D)とを有することを特徴とする塗料組成物を含有する塗料で形成した塗膜をアルミニウムまたはアルミニウム合金表面に有することを特徴とするフィン材である。
【0016】
本発明はまた、前記塗料組成物におけるカルボキシル基を有する単量体(a1)と、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)と、アミド基を有する単量体(a3)との比率が、質量比で(a1):(a2):(a3)=40〜80:5〜20:10〜40であることを特徴とするフィン材を示すものである。
【0017】
本発明はさらに、前記塗料組成物におけるエーテル基を有する高分子(B)が、数平均分子量2,000〜20,000のものであることを特徴とするフィン材を示すものである。
【0018】
本発明はさらに、前記塗料組成物における親水性樹脂(A)と、エーテル基を有する高分子(B)と、アルデヒド基を有する化合物(C)と、界面活性剤(D)との比率が、質量比で(A):(B):(C):(D)=10〜40:20〜50:1〜10:1〜5であることを特徴とするフィン材を示すものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に基づき、詳細に説明する。
【0020】
本発明に係る塗料組成物は、親水性樹脂(A)と、エーテル基を有する高分子(B)と、アルデヒド基を有する化合物(C)と、界面活性剤(D)とを有する塗料組成物である。
【0021】
▲1▼親水性樹脂(A)
本発明において用いられる親水性樹脂(A)は、カルボキシル基を有する単量体(a1)と、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)と、アミド基を有する単量体(a3)から構成されるものであり、好ましくは、その比率が、質量比で(a1):(a2):(a3)=40〜80:5〜20:10〜40、より好ましくは、50〜70:10〜15:20〜30であることが望ましい。なお、親水性樹脂(A)における上記各単量体(a1)、(a2)、(a3)の比率としては、上記範囲内であって、かつ、(a1)が(a2)、(a3)よりも多く、かつ(a2)は(a3)より少ないかあるいは等しいものであるものが望ましい。
【0022】
親水性樹脂(A)の組成比としては、上記範囲に特に限定されるわけではないが、各成分の量がこの範囲をはずれると、いずれの場合でも一般に形成される皮膜の親水性が低下し、また汚染物質が付着した時の親水性も低下する。
【0023】
カルボキシル基を有する単量体(a1)は、後述するエーテル基を有する高分子(B)中のエーテル結合と水素結合による会合体を形成し、水に非溶出性の親水耐久性に優れた皮膜を形成することに寄与する。このようなカルボキシル基を有する単量体(a1)としては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸およびマレイン酸などのカルボン酸、並びにイタコン酸、マレイン酸の炭素数1〜6の飽和の直鎖あるいは側鎖を有するアルキルアルコールのハーフエステル等が挙げられる。これらのうち、特に、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びマレイン酸の炭素数1〜2の飽和アルキルアルコールのハーフエステルなどである。
【0024】
またヒドロキシル基を有する単量体(a2)は、後述するエーテル基を有する高分子(B)と反応し、架橋反応を起こすことにより、アルミニウム合金に対する密着性、機械的強度(強靭性)、可撓性などの特性に優れた塗膜を構成することに寄与する。このようなヒドロキシ基を有する重合性単量体(a2)としては、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシ(メタ)アクリル酸エステル類、および2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキプロピルビニルエーテルまたは4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル等が挙げられる。これらのうち、特に、好ましくはアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル及び2−ヒドロキシエチルビニルエーテルなどである。
【0025】
また、アミド基を有する単量体(a3)は、後述するアルデヒド基を有する化合物(C)と架橋反応し、親水性でかつ汚染物質付着時の親水性維持性が優れる塗膜を形成することに寄与する。また、この架橋反応物は、エーテル基を有する高分子(B)との共存系では高い凝結力を示し、焼付表面に該架橋反応物が独立して、或いは互いに接触あるいは連結して多数の粒状突起物を形成し、皮膜の表面積拡大に寄与する。
【0026】
このようなアミド基を有する単量体(a3)としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。このうち特に好ましくは、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどである。
【0027】
親水性樹脂(A)は、上記したような、カルボキシル基を有する単量体(a1)と、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)と、アミド基を有する単量体(a3)とを前記所定の比率において用い、付加重合反応、例えば水性媒体中での通常の重合反応を行うことにより調製することが可能である。
【0028】
重合反応時に用いられる重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、ビニル系単量体の重合反応に使用され得るものを用いることが出来るが、例えば、水溶性の過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピンアミジン等が好ましい。尚、このような重合開始剤は上記の単量体の合計量100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、特に0.5〜6質量部の範囲であることが望ましい。重合反応の温度としては、特に限定されるものではないが、例えば、60〜65℃で行われる。
【0029】
このようにして調製される親水性樹脂(A)は、特に限定されるものではないが、例えば、その数平均分子量が1,000〜50,000、特に2,000〜35,000程度であることが好ましい。
【0030】
また、この親水性樹脂(A)は、アニオン系の親水性を有しているが、これをアルカリ金属の水酸化物により部分中和することは、親水性樹脂(A)の親水性を一層高めることとなるため望ましい。このような部分中和に用いることのできるアルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとが好ましく、このいずれかを単独で使用しても、両者を混合して使用してもよい。
【0031】
▲2▼エーテル基を有する高分子(B)
上述したように、本発明における組成物において、エーテル基を有する高分子(B)は、そのエーテル結合において、前記カルボキシル基を有する単量体(a1)のエーテル結合と水素結合による会合体を形成することで、皮膜に親水耐久性を付与し、また、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)と架橋反応を起こすことにより、アルミニウム合金に対する密着性、機械的強度(強靭性)、可撓性などを皮膜に付与する。
【0032】
本発明において用いられ得るエーテル基を有する高分子(B)としては、数平均分子量2,000〜20,000、より好ましくは6,000〜10,000程度であるものが望ましい。分子量が2,000未満であると親水性樹脂(A)との架橋反応が不十分となり、得られる皮膜の密着性が劣るものとなるおそれがある。一方分子量が20,000を越えるものであると、粘度が高すぎることにより塗工作業性が劣るものとなるおそれがある。
【0033】
エーテル基を有する高分子(B)としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、ポリフェニレングリコール類などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、エーテル基を有する各種の高分子を用いることができる。
【0034】
▲3▼アルデヒド基を有する化合物(C)
上述したように、本発明における組成物において、アルデヒド基を有する化合物(C)は、親水性高分子(A)のアミド基を有する単量体(a3)と架橋反応し、親水性でかつ汚染物質付着時の親水性維持性が優れる塗膜を形成することに寄与する。
【0035】
本発明において用いられ得るアルデヒド基を有する化合物(C)としては、例えばグリオキサザール、アセトアルデヒド、琥珀酸ジアルデヒド等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、アルデヒド基を有する化合物(C)としては、好ましくは、分子内にアルデヒド基を2つ以上有するものであることが好ましい。
【0036】
▲4▼界面活性剤
界面活性剤(D)は、塗工時のアルミニウム材に対する濡れ性を高める上で有効に作用するものである。また、形成された皮膜中に存在する界面活性剤は、皮膜表面に凝集した水とともに溶出するが、その際に皮膜表面に付着した汚染物質を洗浄するため、親水性の維持にも有効に作用する。
【0037】
本発明において界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいは両性のいずれの界面活性剤を使用することもできる。具体的には、例えば、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アルキルメチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルジメチルエチルアンモニウムブロミドなどのカチオン界面活性剤、例えば、脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステルなどのノニオン界面活性剤、ならびに、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタインなどの両面界面活性剤などを、ごく一例として例示することができるが、もちろんこれらに何ら限定されるものではない。このうち好ましくは、アニオン系のものとしてドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどが、カチオン系のものとしてアルキルメチルトリメチルアンモニウムなどが、また両性のものとしてアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。
【0038】
本発明に係る塗料組成物は、上記したような前記の親水性樹脂(A)と、エーテル基を有する高分子(B)と、アルデヒド基を有する化合物(C)と、界面活性剤(D)との含むものであるが、その配合比率としては、質量比で(A):(B):(C):(D)=10〜40:20〜50:1〜10:1〜5であることが好ましく、さらに、20〜30:30〜40:3〜7:2〜4であることがより好ましい。
【0039】
なお、本発明に係る塗料組成物中には、上記した成分のほか必要に応じて、着色剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、抗菌剤、防黴剤等各種公知の添加剤を配合することができる。
【0040】
上記のごとき成分を配合してなる本発明に係る塗料組成物は、例えば水等の媒体に溶解ないしは均一分散させて、塗工に適度な粘度に調整して、アルミニウム材からなるフィンの表面に塗布されて塗膜が構成される。アルミニウム材への塗布は、フィン形状への加工前に行っても、加工後に行ってもよい。この塗膜の厚さは0.2〜2μm、望ましくは0.3〜1μmであることが好ましい。塗布手段としては、ハケ塗り、浸漬、スプレー、静電塗装、ロールコーター等の適宜な手段を用いることが出来る。乾燥は公知な手段を用いることが出来るが、180〜280℃の温度下に10〜90秒維持することが良い。
【0041】
なお、本発明に係る塗料組成物を含む塗料の塗工に先立ち、アルミニウム材には、クロメート処理や、リン酸亜鉛処理、あるいはクロム化合物ないしリン酸塩化合物を含有する有機コーティング組成物の被覆処理等の処理を施すことも可能である。
【0042】
このようにして、本発明に係る塗料組成物を含む塗料が塗布されてなるアルミニウム材からなるフィンが構成される。得られたフィン表面に形成されている塗膜は親水性、水濡性に優れ、殊に、フィンに汚染物質が付着した場合であっても優れた親水性を維持できるものである。
【0043】
しかも、アルミニウム合金材及び潤滑性を有する塗膜の形成は1回の塗布で済むものであり、極めて簡単なものであるから、フィンの製造コストは低廉である。
【0044】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
【0045】
合成例1〜8 親水性樹脂(A)の製造
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、表1に記載のカルボキシ基を有する単量体(a1)としてのアクリル酸(AA)と、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)としてのメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)と、アミド基を有する単量体(a3)としてのアクリルアミド(AAm)と、固形分(モノマー)濃度が10容量%になるようにイオン交換水(Aq)及び重合開始剤 過硫酸カリウム0.6gを仕込み、攪拌させながら窒素雰囲気下に、重合温度60〜65℃で8時間反応させて親水性樹脂(A1〜A8)を得た。
【0046】
【表1】
実施例1〜6および比較例1〜2
上記合成例1〜8で得られた親水性樹脂(A1〜A8)に対し、エーテル基を有する高分子(B)としてのB1:ポリエチレングリコール#6000M(ライオン株式会社製)、アルデヒド基を有する高分子(C)としてのC1:グリオキザール(日本合成化学株式会社製)、および界面活性剤としてのD1:ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(三洋化成工業株式会社製、サンデッドBL)を、表2に示す割合で配合して、親水化処理剤(固形分5質量%)を調製した。
【0047】
【表2】
そして、得られた各処理剤を、予めリン酸クロメート処理されたアルミニウム材の表面に塗布し、200〜250℃の温度で焼付け処理して、親水性被膜を形成した。なお、親水性被膜量は、0.3〜0.5g/m2とした。
【0048】
作製した試料(フィン表面)について、以下に述べる方法により、初期親水性、耐汚染試験(加熱暴露法・ステアリン酸)を行い、特性を評価した。得られた結果を表3に示す。
【0049】
評価方法
(1)初期親水性
試料を揮発性プレス油AF−2C(出光興産株式会社製)に浸漬の後、180℃で5分間乾燥させた後の水滴接触角を接触角計(協和界面科学株式会社製、接触角計CA−D型)を用いて測定した。なお評価は、次の3段階の基準により行った。
○:30°未満
△:30°以上〜40°未満
×:40°以上
(2)耐汚染試験
▲1▼先ず試料を揮発性プレス油AF−2Cに浸漬後、180℃で5分間乾燥させた後、さらに72時間水道水浸漬を行う。
▲2▼15リットル容量のガラス容器の底にステアリン酸9gを入れたシャーレを置く。
▲3▼試験片をガラス容器中に吊るし、ラップで容器を密閉する。
▲4▼以上のセットを行った状態で、100℃のオーブン中に24時間放置後の水滴接触角を測定した。なお評価は、次の3段階の基準により行った。
○:30°未満
△:30°以上〜40°未満
×:40°以上
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】
本発明に係る組成物からなる塗料により形成された被膜は、親水性に富み、フィンに水滴が付着しても、この水滴は横に拡がるため、水飛び現象が起こることもなく、また、通風抵抗も小さいものとなるため、熱交換器における熱交換効率を低下させることもない。さらに、長期間の使用により、フィン表面に汚染物質が付着しても、フィン表面が撥水性となることなく、長期間にわたって優れた親水性が維持されるため、経時的な性能低下も見られないものである。
Claims (4)
- カルボキシル基を有する単量体(a1)と、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)と、アミド基を有する単量体(a3)から構成される親水性樹脂(A)と、エーテル基を有する高分子(B)と、アルデヒド基を有する化合物(C)と、界面活性剤(D)とを有することを特徴とするフィン用塗料組成物。
- カルボキシル基を有する単量体(a1)と、ヒドロキシル基を有する単量体(a2)と、アミド基を有する単量体(a3)との比率が、質量比で(a1):(a2):(a3)=40〜80:5〜20:10〜40であることを特徴とする請求項1に記載のフィン用塗料組成物。
- 親水性樹脂(A)と、エーテル基を有する高分子(B)と、アルデヒド基を有する化合物(C)と、界面活性剤(D)との比率が、質量比で(A):(B):(C):(D)=10〜40:20〜50:1〜10:1〜5であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィン用塗料組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載の塗料組成物を含有する塗料で形成した塗膜をアルミニウムまたはアルミニウム合金表面に有することを特徴とするフィン材。
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