JP2005074824A - 三次元造形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する工程、及び造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように粉末材料層を結合剤により結合させる工程を順次繰り返す工程を含む三次元造形物の製造方法において、粉末材料が少なくとも2種の単量体から誘導された有機共重合体粒子であることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
【選択図】 図1
Description
また、人手での彩色では、三次元造形物の所定の位置に所望の模様などを確実に描くことが一般的に困難である。
(1)支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する工程(層形成工程)、及び造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように粉末材料層を結合剤により結合させる工程(断面形状形成工程)を順次繰り返す工程を含む三次元造形物の製造方法において、粉末材料が少なくとも2種の単量体から誘導された有機共重合体粒子であることを特徴とする三次元造形物の製造方法、
(2)屈折率n1を有する有機共重合体粒子及び屈折率がn2となる結合剤を使用し、前記屈折率n1と屈折率n2との差の絶対値が0.1以下である(1)記載の三次元造形物の製造方法、
(3)前記2種の単量体が単量体(a)及び単量体(b)であり、単量体(a)の単独重合体の屈折率が1.55〜1.75であり、単量体(b)の単独重合体の屈折率が1.35〜1.55未満である(1)又は(2)に記載の三次元造形物の製造方法、
(4)有機共重合体粒子が、芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体である(1)〜(3)いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法、
(5)有機共重合体粒子が、スチレンとメチルメタクリレートとの共重合体である(1)〜(4)いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法、
(6)結合剤として少なくとも1種の着色された結合剤、白色の結合剤、及び無色の、好ましくは無色透明の結合剤よりなる群から選ばれた2種以上の結合剤を使用する(1)〜(5)いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法、
(7)着色された結合剤が、イエロー結合剤、マゼンタ結合剤、及びシアン結合剤の少なくとも3種類の結合剤よりなる(6)記載の三次元造形物の製造方法、
(8)着色された結合剤が、イエロー結合剤、マゼンタ結合剤、シアン結合剤、及びブラック結合剤の少なくとも4つの結合剤よりなる(6)に記載の三次元造形物の製造方法、
(9)前記有機共重合体粒子の平均粒径が0.8〜50μmである(1)〜(8)いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法、
(10)結合剤が紫外線硬化性化合物を含む(1)〜(9)いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
ここで、「少なくとも2種の単量体」とは、2種以上、すなわち2種、3種又は4種以上の単量体を原料とする重合体であることを意味する。「誘導された」とは、エチレン性不飽和化合物の付加共重合、環状エーテル類の開環付加共重合等を含む意である。
本発明は、好ましくは、屈折率n1を有する有機共重合体よりなる粉末材料を支持体上に所定の厚さを有する層に形成する工程(層形成工程)、及び、造形対象物を平行な断面で切断した断面形状となるように、上記有機共重合体粒子を屈折率がn2となる結合剤により結合させる工程(断面形状形成工程)を順次繰り返す工程を含む三次元造形物の製造方法において、有機共重合体の屈折率n1と結合剤が与える屈折率n2との差の絶対値が0.1以下である、三次元造形物の製造方法に係る。また、結合剤として、少なくとも1種の着色された結合剤、白色の結合剤、及び無色透明の結合剤よりなる群から選ばれた2種以上の結合剤を使用することが好ましい。
−0.1≦(n1−n2)≦0.1 (1)
また、「屈折率がn2となる結合剤」とは、反応性の結合剤の場合、結合剤が反応した後に生成する物質の屈折率を意味する。例えば、放射線硬化性化合物を結合剤として使用する場合には、硬化性化合物が硬化して生成する重合体の屈折率を意味する。メタクリル酸メチルを含む結合剤については、反応前のモノマーの屈折率ではなく、ポリマーPMMAの屈折率がn2である。
粉末材料層の所定の厚さとしては、1スライスピッチあたり10〜500μmの厚さの層とすることが好ましく、50〜150μmの厚さとすることがより好ましい。層形成工程および着色断面形状形成工程を1回繰り返すごとに粉末材料層全体の積層厚さを前記のスライスピッチずつ増大させる。
着色断面形状とは、造形対象物を平行な多数の面で切断した一切断面の形状を有し、かつ、形状に対応する彩色を伴うものを言う。断面形状は特に不透明な造形物の場合には、中空の造形物としても良く、この場合には、形状の輪郭近傍の形状を再現すれば充分である。彩色も造形物表面の色彩を再現すれば良く、形状の輪郭の色再現が重要である。
図1は、本発明の三次元造形物の製造方法の一実施態様について主要な工程を示す模式図である。
本発明の製造方法においては、有機共重合体粒子からなる粉末材料の薄層1が三次元造形部3に設けられた支持体(造形ステージ)4の上に形成される。支持体4は、垂直方向移動部5により支持されており、周囲を枠6により取り囲まれている。粉末供給部から支持体4上に供給された余分の粉末材料上を、Y方向(紙面と垂直な方向)に長く伸びたブレード7がX方向(紙面上左から右方向)に移動することにより薄層1が形成される。このように形成された薄層1の上に、結合剤付与部のインクジェットヘッド8から、断面形状データにしたがって、結合剤が粉末材料の薄層1上に供給され、結合剤付与領域2を形成する。この結合剤付与領域2は、紫外線照射部9から照射される紫外線により硬化することにより粉末材料を結合する。
引き続いて、垂直方向移動部5を1スライスピッチだけ下方に移動させ、新たな粉末材料層を形成する。
新たに形成された薄層の上に、結合剤付与部のインクジェットヘッドから、隣接する次の断面形状データにしたがって、結合剤が供給され、新たな結合剤付与領域が形成される。この領域に紫外線照射して硬化させることにより粉末材料を結合する。
粉末材料の薄層1の形成、結合剤の供給及び硬化を必要な回数順次繰り返した後、結合剤が付与されていない領域の粉末材料を分離することにより、三次元造形物10を得ることができる。
図2は、上記のような三次元造形物の製造において隣接する各層に形成された断面形状を模式的に示す斜視図である。
続いて、造形対象物を造形する際における粉末層の厚さ(断面データ作成の際のスライスピッチ)及び積層数(着色形状データのセット数)に関する情報が、コンピュータからパターン作成装置の駆動制御部に入力される。
なお、本発明において、「層形成工程及び断面形状形成工程を順次繰り返す」とは、(1)新たな層形成工程を完了した後にその新たな層全面に対して断面形状を形成する工程を実施する以外に、(2)新たな層形成工程を実施しながら、その新たな層の形成が完結する前に、新たに形成された層の領域に対して断面形状を形成することを含むものである。後者の例は、特開2002−307562に例示されている。
第2ステップで作成された形状データおよび彩色データに基づき、格子状に細分化したCMY各色のビットマップ情報に変換して、インクジェットヘッドをXY平面内に移動させる。そして、移動中に彩色データに基づいて各インクジェット吐出ノズルから紫外線(UV)硬化性結合剤の吐出を適宜に行わせる。結合剤としては、少なくとも1種の着色された結合剤、白色の結合剤、及び無色透明の結合剤よりなる群から選ばれた2種以上の結合剤を使用する。
着色された結合剤としては、減色法の3原色である、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色の組み合わせとすることが好ましい。本発明において、イエローに着色された結合剤を「イエロー結合剤」、マゼンタに着色された結合剤を「マゼンタ結合剤」、シアンに着色された結合剤を「シアン結合剤」という。M染料及びC染料は濃淡2種類に着色した結合剤としても良い。無色の結合剤は、CMYの色濃度を調節するために使用することができる。また、チタンホワイト等の白色顔料を含む結合剤(白色結合剤)や黒(ブラック)染料で着色した結合剤(ブラック結合剤)を併用して所望の効果を発現させることができる。
着色した結合剤、無色の結合剤及び白色結合剤の吐出総量は単位面積あたり一定となるようにすることが好ましい。
なお、着色した断面形状の別の形成工程例として、形状データに基づき無色のUV硬化性結合剤のみを粉末材料に吐出して紫外線照射により硬化した後に、その層の彩色データに基づき、結合剤を含まない通常のCMYインクジェットを結合した粉末材料層上に吐出する2段階の工程とすることもできる。
UV照射の雰囲気を窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気にするとラジカル重合性化合物の酸素による遅延効果を低減できる。
さらに、第3ステップ及び第4ステップを繰り返しおこなうことで、目的の三次元造形物が得られる。
なお、結合剤が塗布されない粉末材料の領域では粉末が個々に独立した状態を保持している。
第3ステップ〜第4ステップを順次繰り返すことにより、造形対象物を複数の面で切断した切断面に対応する粉末材料の着色した結合体を順次積層形成して三次元造形物を製造することができる。
屈折率n1を有する有機共重合体粒子を屈折率n2を与える結合剤により着色した断面形状に接合させること(ただし、−0.1≦(n1−n2)≦0.1である。)により、透明な3次元造形物を製造することができる。
本発明において使用する有機共重合体粒子は、少なくとも二種の単量体(以下、「単量体(a)」、「単量体(b)」ともいう。)の共重合体からなることが好ましい。
単量体(a)の単独重合体の屈折率は1.55〜1.75であり、かつ単量体(b)の単独重合体の屈折率は1.35〜1.55未満であることが好ましい。
置換または無置換のスチレン類としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等が例示できる。
共重合体A:スチレン/メタクリル酸メチル(モル比75/25)共重合体
共重合体B:スチレン/メタクリル酸メチル(モル比50/50)共重合体
共重合体C:スチレン/メタクリル酸ブチル(モル比50/50)共重合体
共重合体D:α−メチルスチレン/メタクリル酸メチル(モル比50/50)共重合体
粉末材料の形状としては、無定型、球形、平板状、針状、多孔質状等どのようなものでも使用可能であり、球状であることが好ましい。
粉末材料としての有機共重合体粒子を結合する結合剤の屈折率をn2とする。エチレン性不飽和モノマーを結合剤として使用する場合には、このモノマーが重合してできる接合剤の屈折率をn2とする。(n1−n2)は、その絶対値が小さいほど得られる造形物の透明性が高くなる。屈折率の差の絶対値が0.1以下で透明感が高くなり、0.06以下で透明に近い造形物が得られる。ここで、「透明に近い」とは、光路1cmあたり透過率が50%以上のことをいう。
結合剤としては、紫外線硬化性化合物を含む結合剤(以下、「UV硬化性結合剤」ともいう。)が好ましく使用できる。UV硬化性結合剤は、光重合開始剤及び少なくとも1種の重合性化合物を必須成分とし、ほぼすべての構成材料がUV光により硬化し、有機共重合体粉末材料を結着する機能を有する。各構成材料の割合としては、光重合開始剤を、重合性化合物及び光重合開始剤の総量に対して、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%含有する。モノマーの含量は、好ましくは90〜99.5重量%、より好ましくは95〜99.9重量%である。
結合剤の液粘度(25℃)は、1〜100mPa・sが好ましく、10〜50mPa・sが更に好ましい。この粘度範囲になるように、粘度の高い多官能モノマーと粘度の低い単官能モノマーとを適宜混合して使用することが好ましい。
UV硬化性結合剤に使用できる重合性化合物としては、UV光照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合又は開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が例示できる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。このような末端エチレン性不飽和化合物群は当該産業分野において広く知られるものである。本発明においては結合剤組成物をインクジェットノズルから安定に吐出できる限り、特に限定無く使用することができる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物及び多官能の重合性化合物、(すなわち2官能、3官能および4〜6官能)、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。単官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられる。多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
式(I)
CH2=C(R1)COOCH2CH(R2)OH
(ただし、R1およびR2は、HまたはCH3を示す。)
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類などに大別される。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基又はシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。単官能又は多官能の脂環式エポキシ化合物の具体例としては、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド、が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物は1種類を使用しても、2種以上の混合物を使用しても良い。
種々の脂環式エポキシ化合物が市販されており、ユニオンカーバイド日本(株)、ダイセル化学工業(株)等から入手できる。
このような通常のグリシジル化合物としては、グリシジルエーテル化合物やグリシジルエステル化合物を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用することが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリトリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物が挙げられる。グリシジルエステルとしては、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステルを挙げることができる。
グリシジルエーテル類は油化シェルエポキシ(株)等から市販品を入手することができる。
R2の炭化水素基としては、フェニル基やベンジル基も採りうるが、炭素数6ないし8のアルキル基が好ましく、2−エチルへキシル基等の分岐アルキル基が特に好ましい。R2がフェニル基であるオキセタン化合物の例は、特開平11−140279号公報に記載されている。R2が置換されていても良い、ベンジル基であるオキセタン化合物の例は、特開平6−16804号公報に記載されている。
Zは酸素原子が好ましく、R3はエチル基が好ましく、mは2が好ましく、R4としては、炭素数が1ないし16の線形又は分岐アルキレン基、線形又は分岐ポリ(アルキレンオキシ)基が好ましく、R3、R4、Z、及びmに対する好ましい例の内から任意の2つ以上を組み合わせた化合物は更に好ましい。
硬化後の揮発成分を低減するために、3次元造形物を製造した後に、残存モノマーをUV光照射または加熱により後重合させることができる。
粘度調整用重合性化合物としては、低粘度かつ重合性化合物と共重合可能な化合物が用いられる。例えば、アクリレート、メタアクリレート、アクリルアミド類が挙げられる。具体的には、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ジ(メタ)アクリロイルオキシヘキサン等、好ましくは、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ジ(メタ)アクリロイルオキシヘキサン等が挙げられる。
開環重合性の環状エーテル類においても、2官能以上の環状エーテル類は反応性が高いが粘度が高い。単官能の環状エーテル類を低粘度にするために併用することができる。
本発明で使用する硬化性結合剤は、熱重合開始剤により硬化させることもできるが、光重合開始剤を用いて硬化させることが好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤とは、活性エネルギー線により活性なラジカル種又はカチオン種を発生し、結合剤の重合反応を開始、促進する化合物を示す。活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。この中でも紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。
上記で挙げたように通常、光カチオン発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども紫外線照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを単独で用いてもよい。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン誘導体等が含まれる。
芳香族スルフォニウム塩及び芳香族ヨードニウム塩をオニウム塩光反応開始剤として使用する場合、その対アニオンとしては、BF4 -、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、PF6 -、B(C6F5)4 -などが挙げられる。開始剤としては、芳香族スルフォニウムのPF6塩又はSbF6塩が、溶解性と適度の重合活性を有するために好ましく使用できる。又、溶解性を改良するために、芳香族基ヨードニウム塩又は芳香族スルフォニウム塩の芳香族基、通常はフェニル基に、1ないし10の炭素を有する、アルキル基又はアルコキシ基を1つ以上導入した化学構造が好ましい。
芳香族スルフォニウム塩のPF6塩又はSbF6塩は、ユニオンカーバイド日本(株)等から市販されている。旭電化工業(株)からも、アデカオプトマーSPシリーズの商品名で芳香族スルフォニウムのPF6塩が市販されている。
芳香族スルフォニウム塩は約360nmまでに吸収を有し、芳香族ヨードニウム塩は約320nmまでに吸収を有するので、硬化させるには、この領域の分光エネルギーを含む紫外線を照射することが好ましい。
本発明の製造方法において使用できる着色剤は染料と顔料に大別され、染料を好ましく使用することができる。
染料としては、減色法の3原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の染料を使用することにより広い範囲の色相を異なる彩度で再現することができる。本発明において、カラー写真のカラープリントに利用される染料を使用することが好ましい。以下に詳しく述べる。
(Y−1)
なかでも特開2002−121414号公報に記載の一般式(III)で表されるピラゾロトリアゾールアゾメチン化合物が好ましく用いられ、以下に示すM−1が例示できる。
特開2002−121414号公報に記載の一般式(IV−1a)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物ならびに一般式(C−II−1)及び(C−II−2)で表されるフタロシアニン化合物が好ましく用いられ、以下に示すC−1及びC−101が例示できる。
例えば、有機合成化学協会編「染料便覧」丸善株式会社(1970年刊)、安部田貞治、今田邦彦「解説 染料化学」(株)色染社(1988年刊)、大河原信編「色素ハンドブック」(株)講談社(1986年刊)、インクジェットプリンタ用ケミカルス−材料の開発動向・展望調査−」(株)シーエムシー(1997年刊)、前記の甘利武司「インクジェットプリンタ−技術と材料」等に記載の染料類が挙げられる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、または顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いる事ができる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
UV硬化性結合剤を硬化させるためのUV露光に関しては、一般に用いられる高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、DeepUVランプ、ハロゲンランプ等が使用可能であり、露光波長は450〜250nm、好ましくは、400〜300nmとすることができる。露光エネルギーは500mJ/cm2以下が好ましく、10〜400mJ/cm2がより好ましい。UV光源からUV透過性の光ファイバーを用いて有機共重合体粉末材料面にUV光を導くことができる。
DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、社内合成品)
トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA ダイセル・ユーシービー製)
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(チバスペシャリティケミカルズ(チバS.C.)製)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバS.C.製)
トリルオキシエチルアクリレート(tolyloxyethylacrylate 総研化学工業製)
酸化チタン(チタン工業社製KRONOS KA−15;粒径0.4μm)
(UV硬化性結合剤「無色透明結合剤」の作成)
重合性化合物:DPHA 2.5g
重合性化合物:トリメチロールプロパントリメタクリレート 17.5g
光重合開始剤:2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 0.6g
以上の成分を撹拌混合し、無色透明な結合剤を得た。
重合性化合物:DPHA 2.5g
重合性化合物:トリメチロールプロパントリメタクリレート 17.5g
光重合開始剤:2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 0.6g
白色顔料:酸化チタン 3g
以上の成分を3本ロールミルで混練し、白色結合剤を得た。
重合性化合物:DPHA 2.5g
重合性化合物:トリメチロールプロパントリメタクリレート 17.5g
光重合開始剤:2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 0.6g
着色剤:Y−1 0.8g
上記Y−1、下記M−1および下記C−1は詳細な説明に記載したとおりである。
以上の成分を撹拌混合し、イエロー結合剤を得た。
重合性化合物:DPHA 2.5g
重合性化合物:トリメチロールプロパントリメタクリレート 17.5g
光重合開始剤:2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 0.6g
着色剤:M−1 0.8g
以上の成分を撹拌混合し、マゼンタ結合剤を得た。
重合性化合物:DPHA 10g
光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン 0.5g
粘度調整重合性化合物:トリルオキシエチルアクリレート 10g
着色剤:C−1 0.8g
以上の成分を撹拌混合し、シアン結合剤を得た。
重合性化合物:DPHA 2.5g
重合性化合物:トリメチロールプロパントリメタクリレート 17.5g
光重合開始剤:2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 0.6g
着色剤:Y−1 0.3g
M−1 0.2g
C−1 0.4g
以上の成分を撹拌混合し、ブラック結合剤を得た。
有機共重合体粉末材料としてメタクリル酸メチルとスチレンの共重合体A(屈折率1.515、メタクリル酸メチル/スチレン=25/75(モル比)、平均粒子径 12μm)を約100μmの厚さになるようロッドで1層分の有機共重合体粉末材料層を敷設した後、彩色データにもとづいて各インクジェット吐出ノズルからイエロー結合剤、マゼンタ結合剤、シアン結合剤、ブラック結合剤、白色結合剤及び無色透明結合剤の吐出を適宜に行わせる。
該UV硬化性結合剤をインクとしたインクジェット方式により、強度の要する部分などでは必要に応じてインク量を調節しながら、600dpiの解像度(約42μmのドット間隔)で、各ドットが連続した線になるように液滴を吐出した。次いで、1スライスピッチに相当する厚さ分厚くした有機共重合体粉末形成層を形成して、その断面に該当する断面形状に対応する結合剤を供給することを繰り返すことにより三次元造形物を作成した。
実施例1の
重合性化合物:DPHA 2.5g
重合性化合物:トリメチロールプロパントリメタクリレート 17.5g
の替わりに
重合性化合物:DPHA 10g
重合性化合物:トリルオキシエチルアクリレート 10g
を用い、
粉体材料としてメタクリル酸メチルとスチレンの共重合体A(屈折率1.515、メタクリル酸メチル/スチレン=25/75(モル比)、平均粒子径 12μm)の替わりに、メタクリル酸メチルとスチレンの共重合体B(屈折率1.540、メタクリル酸メチル/スチレン=50/50(モル比)、平均粒子径 5μm)を用い、実施例1と同様に三次元造形物を作成した。
粉末材料としてポリメチルメタクリレート(平均粒子径12μm、屈折率1.49)を使用した他は実施例1と同様の製造方法に従って三次元造形物を作成した。
<比較例1−2>
粉末材料としてポリスチレン(平均粒子径12μm、屈折率1.59)を使用した他は実施例1と同様の製造方法に従って三次元造形物を作成した。
<比較例2−1>
粉末材料としてポリメチルメタクリレート(平均粒子径5μm、屈折率1.49)を使用した他は実施例2と同様の製造方法に従って三次元造形物を作成した。
<比較例2−2>
粉末材料としてポリスチレン(平均粒子径6μm、屈折率1.59)を使用した他は実施例2と同様の製造方法に従って三次元造形物を作成した。
実施例1〜2及び比較例1−1〜2−2で作成した3次元造形物(厚さ3mm)の透明部の透明性をヘーズメーター(スガ試験器製 HGM−2DP型)の全光線透過率で評価した。
以上の結果を下表1にまとめた。
2 結合剤付与領域
3 三次元造形部
4 支持体(造形ステージ)
5 垂直方向移動部
6 枠
7 ブレード
8 インクジェットヘッド
9 紫外線照射部
10 三次元造形物
Claims (9)
- 支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する工程、及び造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように粉末材料層を結合剤により結合させる工程を順次繰り返す工程を含む三次元造形物の製造方法において、粉末材料が少なくとも2種の単量体から誘導された有機共重合体粒子であることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
- 屈折率n1を有する有機共重合体粒子及び屈折率がn2となる結合剤を使用し、前記屈折率n1と屈折率n2との差の絶対値が0.1以下である請求項1記載の三次元造形物の製造方法。
- 前記2種の単量体が単量体(a)及び単量体(b)であり、
単量体(a)の単独重合体の屈折率が1.55〜1.75であり、
単量体(b)の単独重合体の屈折率が1.35〜1.55未満である
請求項1又は2に記載の三次元造形物の製造方法。 - 有機共重合体粒子が、芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体である請求項1〜3いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
- 結合剤として少なくとも1種の着色された結合剤、白色の結合剤、及び無色の結合剤よりなる群から選ばれた2種以上の結合剤を使用する請求項1〜4いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
- 着色された結合剤が、イエロー結合剤、マゼンタ結合剤、及びシアン結合剤の少なくとも3種類の結合剤よりなる請求項5記載の三次元造形物の製造方法。
- 着色された結合剤が、イエロー結合剤、マゼンタ結合剤、シアン結合剤、及びブラック結合剤の少なくとも4つの結合剤よりなる請求項5に記載の三次元造形物の製造方法。
- 前記有機共重合体粒子の平均粒径が0.8〜50μmである請求項1〜7いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
- 結合剤が紫外線硬化性化合物を含む請求項1〜8いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
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JP2010515605A (ja) * | 2007-01-10 | 2010-05-13 | ズィー コーポレイション | 改良された色、物品性能及び使用の容易さ、を持つ3次元印刷材料システム |
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