JP2005069192A - 熱量分配制御弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車両搭載性を損なうことなく簡単な構成で、所要の熱交換器に対し熱量を優先供給することができる熱量分配制御弁を提供する。
【解決手段】 熱量分配制御弁18は、エンジンを冷却する冷却水が循環される冷却回路に設けられて冷却水と車両の所定箇所に供給する空気との間で熱交換する車室ヒータの下流と接続されるヒータ側導入口21aと、冷却回路に設けられて冷却水と作動油との間で熱交換する油水熱交換器の下流と接続される熱交換器側導入口21bと、冷却回路に冷却水を循環させるウォータポンプの上流と接続される導出口21cと、ヒータ側導入口21a及び熱交換器側導入口21bの下流に配置され、ワックスエレメント23により駆動される熱交換器バルブ25とを備えている。
【選択図】 図2
【解決手段】 熱量分配制御弁18は、エンジンを冷却する冷却水が循環される冷却回路に設けられて冷却水と車両の所定箇所に供給する空気との間で熱交換する車室ヒータの下流と接続されるヒータ側導入口21aと、冷却回路に設けられて冷却水と作動油との間で熱交換する油水熱交換器の下流と接続される熱交換器側導入口21bと、冷却回路に冷却水を循環させるウォータポンプの上流と接続される導出口21cと、ヒータ側導入口21a及び熱交換器側導入口21bの下流に配置され、ワックスエレメント23により駆動される熱交換器バルブ25とを備えている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、車両冷却システムが備える熱量分配制御弁に関するものである。
自動車などの車両には、エンジン等の熱源と熱交換器との間に冷媒(冷却水)を循環させることにより熱交換を行う車両冷却システムが備えられている。従来、車両冷却システムは、エンジン等が排出する過剰な熱量を外気に放出する排熱機能が主たる機能とされていたが、近年では、排出熱量を積極的に利用することにより、車両走行性や燃費及び快適性の向上を図るようになってきている。
例えば、従来の車両冷却システムにおいて、エンジンオイルやトランスミッションオイルなどの作動油と冷却水との間で熱交換を行う温度調整用の油水熱交換器は、エンジン高負荷時の過剰昇温防止や作動油の劣化防止を主たる目的とする。また、近年では、油水熱交換器に対して、エンジン暖機とともに早期昇温を図り各作動機構の効率向上によって燃費を向上させる機能も付加されている。一方、車室内へと供給される空気と冷却水との間で熱交換を行う車室内温度調整用のヒータは、車室内環境の快適性向上を目的とする。
図11は、こうした油水熱交換器及びヒータを備える車両冷却システムとして、非特許文献1に記載されたものを概略的に示すシステム構成図である。同図に示されるように、この車両冷却システム90は、エンジン91と、ラジエータ92と、ヒータ93及び油水熱交換器としてのATFウォーマ94と、サーモスタット95とを備えている。この車両冷却システム90では、ヒータ93及びATFウォーマ94が並列配置されており、ヒータ93の上流側にはその作動に応じてバルブ流路面積が変化される制御弁(ウォータバルブ)96が設けられている。従って、制御弁96によりヒータ93を通過する冷却水の流量を変化させることで、ヒータ93へ供給される熱量が制御されている。
「本田アヴァンシア サービスマニュアル シャシ整備編」
「本田アヴァンシア サービスマニュアル シャシ整備編」
ところで、この車両冷却システム90が備える制御弁96の構造は、電磁制御アクチュエータのストロークをワイヤを介して配管中に設置された機械式弁に伝達してこれを切り替える構造となっており、高価であるとともにその搭載性に著しく制約を受けている。
また、単に、ヒータ93と並列でATFウォーマ94を追加したのでは、ヒータ93若しくはATFウォーマ94に必要な熱量が供給されない場合がある。一方、このような供給熱量の不足を補うべく、ATFウォーマ94の熱交換性能の向上を図る場合には、単品での通水抵抗が増大し、ひいては車両冷却システム全体の通水抵抗が増大する。その結果、循環ポンプ(W/P)の容量増大が必要となり、より多くのエネルギーがポンプ駆動に費やされるため、燃費が悪化するという問題がある。また、車両冷却システム90の通水抵抗が増加することにより、循環ポンプにおけるキャビテーションが誘発されやすくなるため、信頼性が低下するという問題がある。さらに、暖機過程においてサーモスタット95のメインバルブがその上下流間の差圧によって強制的に開弁され、ラジエータ92内の冷却水の流入によりエンジン91の暖機性能を悪化させるという問題もある。
本発明の目的は、車両搭載性を損なうことなく簡単な構成で、所要の熱交換器に対し熱量を優先供給することができる熱量分配制御弁を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、熱源を冷却する冷媒が循環され、該冷媒と車両の所定箇所に供給する空気との間で熱交換するための第1の熱交換器及び該冷媒と作動油との間で熱交換するための第2の熱交換器を有する冷却回路と、該冷却回路に該冷媒を循環させる循環手段とを備える車両冷却システムの熱量分配制御弁であって、前記第1及び第2の熱交換器の少なくとも一方の下流に配置され、感温部材により駆動される弁部を備えたことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の熱量分配制御弁において、前記感温部材は、前記第1及び第2の熱交換器の少なくとも一方の下流に配置されたことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の熱量分配制御弁において、前記感温部材の上流側で、該感温部材が配置される第1流路と、該感温部材を迂回する第2流路とに分岐され、前記感温部材により駆動される第2の弁部を前記第2流路に備えたことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の熱量分配制御弁において、前記感温部材の上流側で、該感温部材が配置される第1流路と、該感温部材を迂回する第2流路とに分岐され、前記感温部材により駆動される第2の弁部を前記第2流路に備えたことを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の熱量分配制御弁において、前記感温部材は、前記熱源の下流に配置されたことを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、熱源を冷却する冷媒が循環される冷却回路に設けられて該冷媒と車両の所定箇所に供給する空気との間で熱交換する第1の熱交換器の下流と接続される第1の接続部と、前記冷却回路に設けられて該冷媒と作動油との間で熱交換する第2の熱交換器の下流と接続される第2の接続部と、前記冷却回路に該冷媒を循環させる循環手段の上流と接続される接続部と、前記第1及び第2の接続部の少なくとも一方の下流に配置され、感温部材により駆動される弁部と、を備えたことを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、熱源を冷却する冷媒が循環される冷却回路に設けられて該冷媒と車両の所定箇所に供給する空気との間で熱交換する第1の熱交換器の下流と接続される第1の接続部と、前記冷却回路に設けられて該冷媒と作動油との間で熱交換する第2の熱交換器の下流と接続される第2の接続部と、前記冷却回路に該冷媒を循環させる循環手段の上流と接続される接続部と、前記第1及び第2の接続部の少なくとも一方の下流に配置され、感温部材により駆動される弁部と、を備えたことを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の熱量分配制御弁において、前記感温部材は、前記第1及び第2の熱交換器の少なくとも一方の下流に配置されたことを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の熱量分配制御弁において、前記感温部材の上流側で、該感温部材が配置される第1流路と、該感温部材を迂回する第2流路とに分岐され、前記感温部材により駆動される第2の弁部を前記第2流路に備えたことを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の熱量分配制御弁において、前記感温部材の上流側で、該感温部材が配置される第1流路と、該感温部材を迂回する第2流路とに分岐され、前記感温部材により駆動される第2の弁部を前記第2流路に備えたことを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の熱量分配制御弁において、前記熱源の下流と接続される第3の接続部を備え、前記感温部材は、前記第3の接続部に配置されたことを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱量分配制御弁において、外部信号により制御され、前記感温部材を加熱する発熱体又は該感温部材を冷却する吸熱体を備えたことを要旨とする。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、前記第1及び第2の熱交換器の少なくとも一方の下流に、感温部材により駆動される弁部が配置されている。従って、感温部材により感知される温度に応じて弁部の開弁量が制御され、第1若しくは第2の熱交換器を流れる冷媒の流量分配、即ち第1若しくは第2の熱交換器に供給される熱量の分配が調整される。特に、前記第1及び第2の熱交換器のいずれか一方への熱量供給を優先すべく当該熱交換器の冷媒の流れを開放しておき、その熱量供給に余裕があるときに第1及び第2の熱交換器のいずれか他方への熱量供給を開始するように感温部材の温度特性を設定しておく。これにより、熱量供給を優先する一方の熱交換器の性能を損なうことなく、他方の熱交換器にも熱量供給が可能となる。また、例えば複雑な制御駆動系アクチュエータを使用する場合に比べて、簡素で搭載性に優れた構成で上記熱量分配が実現される。
請求項1に記載の発明によれば、前記第1及び第2の熱交換器の少なくとも一方の下流に、感温部材により駆動される弁部が配置されている。従って、感温部材により感知される温度に応じて弁部の開弁量が制御され、第1若しくは第2の熱交換器を流れる冷媒の流量分配、即ち第1若しくは第2の熱交換器に供給される熱量の分配が調整される。特に、前記第1及び第2の熱交換器のいずれか一方への熱量供給を優先すべく当該熱交換器の冷媒の流れを開放しておき、その熱量供給に余裕があるときに第1及び第2の熱交換器のいずれか他方への熱量供給を開始するように感温部材の温度特性を設定しておく。これにより、熱量供給を優先する一方の熱交換器の性能を損なうことなく、他方の熱交換器にも熱量供給が可能となる。また、例えば複雑な制御駆動系アクチュエータを使用する場合に比べて、簡素で搭載性に優れた構成で上記熱量分配が実現される。
請求項2に記載の発明によれば、前記感温部材を前記第1及び第2の熱交換器の少なくとも一方の下流に配置する。前記感温部材をいずれか一方に、いずれか他方とは独立で配置することで、基本的に当該熱交換器を流れる冷媒の温度のみに依存する外乱の抑制された状態で前記第1及び第2の熱交換器への熱量分配が実現される。また、両方の下流に設定することで混合された冷媒の温度に応じて前記第1及び第2の熱交換器への熱量分配が実現される。
請求項3に記載の発明によれば、前記感温部材の上流側で、該感温部材が配置される第1流路と、該感温部材を迂回する第2流路とに分岐される。そして、前記感温部材により駆動される第2の弁部を前記第2流路に備えている。従って、感温部材により感知される温度に応じて第2の弁部の開弁量が制御され、前記第2流路における冷媒の流量が制御される。
請求項4に記載の発明によれば、前記感温部材を前記第1及び第2の熱交換器とは独立である熱源の下流に配置することで、基本的に熱源下流の冷媒の温度のみに依存する外乱の抑制された状態で前記第1及び第2の熱交換器への熱量分配が実現される。
請求項5に記載の発明によれば、前記第1及び第2の接続部の少なくとも一方の下流に、感温部材により駆動される弁部が配置されている。従って、感温部材により感知される温度に応じて弁部の開弁量が制御され、第1若しくは第2の熱交換器を流れる冷媒の流量分配、即ち第1若しくは第2の熱交換器に供給される熱量の分配が調整される。特に、前記第1及び第2の熱交換器のいずれか一方への熱量供給を優先すべく当該熱交換器に接続される接続部の冷媒の流れを開放しておき、その熱量供給に余裕があるときに第1及び第2の熱交換器のいずれか他方への熱量供給を開始するように感温部材の温度特性を設定しておく。これにより、熱量供給を優先する一方の熱交換器の性能を損なうことなく、他方の熱交換器にも熱量供給が可能となる。また、例えば複雑な制御駆動系アクチュエータを使用する場合に比べて、簡素で搭載性に優れた構成で上記熱量分配が実現される。
請求項6に記載の発明によれば、前記感温部材を前記第1及び第2の熱交換器の少なくとも一方の下流に配置する。前記感温部材をいずれか一方に、いずれか他方とは独立で配置することで、基本的に当該熱交換器を流れる冷媒の温度のみに依存する外乱の抑制された状態で前記第1及び第2の熱交換器への熱量分配が実現される。また、両方の下流に設定することで混合された冷媒の温度に応じて前記第1及び第2の熱交換器への熱量分配が実現される。
請求項7に記載の発明によれば、前記感温部材の上流側で、該感温部材が配置される第1流路と、該感温部材を迂回する第2流路とに分岐される。そして、前記感温部材により駆動される第2の弁部を前記第2流路に備えている。従って、感温部材により感知される温度に応じて第2の弁部の開弁量が制御され、前記第2流路における冷媒の流量が制御される。
請求項8に記載の発明によれば、前記感温部材は、前記熱源の下流と接続される第3の接続部に独立で配置される。従って、基本的に熱源の下流における冷媒の温度のみに依存する外乱の抑制された状態で前記第1及び第2の熱交換器への熱量分配が実現される。
請求項9に記載の発明によれば、外部信号により制御され、前記感温部材を加熱する発熱体又は該感温部材を冷却する吸熱体を備えている。従って、車両条件等により熱量供給を優先すべき熱交換器を変える場合には、外部信号により発熱体を制御して感温部材を加熱し、又は吸熱体を制御して感温部材を冷却し、冷媒自体の温度に関わらず熱量供給を優先すべき熱交換器への熱量分配を増加しうる。
以上詳述したように、請求項1乃至9に記載の発明では、車両搭載性を損なうことなく簡単な構成で、所要の熱交換器に対し熱量を優先供給することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明が適用される車両冷却システムの第1の実施形態を図面に従って説明する。
以下、本発明が適用される車両冷却システムの第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のシステム構成図である。同図に示すように、車両冷却システム1は、熱源としてのエンジン2と、エンジン2を冷却する冷媒としての冷却水が循環される冷却回路3と、冷却回路3に冷却水を循環させる循環手段としてのウォータポンプ(W/P)4とを備えている。尚、本実施形態のエンジン2は内燃機関であるが、燃料電池を動力源とする車両においては、燃料電池及び駆動モータが熱源となる。
ウォータポンプ4は、エンジン2に駆動される機械駆動式のウォータポンプであり、エンジン2の冷却水導入口2aの近傍に設けられている。そして、ウォータポンプ4は、冷却水をエンジン2内へ圧送することにより、冷却回路3内に冷却水を循環させる。
冷却回路3上には、熱交換器が配置されており、エンジン2内を通過する際に受熱した(即ちエンジン2を冷却した)冷却水は、エンジン出口2bから吐出され冷却回路3内を循環する。そして、冷却水は、冷却回路3内を循環し熱交換器を通過する際に冷却(放熱)等され、ウォータポンプ4にて再びエンジン2内へと圧送される。
車両冷却システム1は、ラジエータ5と、第1の熱交換器としての車室ヒータ6と、第2の熱交換器としての油水熱交換器7との3つの熱交換器を備えている。
ラジエータ5は、冷却水と空気(外気)との熱交換により冷却水に蓄熱された熱量を車外へ排熱する装置であり、冷却水は、このラジエータ5内を通過することにより冷却される。尚、ラジエータ5には、車速風が導入されるとともに、冷却ファン(図示せず)による送風が行われる。
ラジエータ5は、冷却水と空気(外気)との熱交換により冷却水に蓄熱された熱量を車外へ排熱する装置であり、冷却水は、このラジエータ5内を通過することにより冷却される。尚、ラジエータ5には、車速風が導入されるとともに、冷却ファン(図示せず)による送風が行われる。
車室ヒータ6は、車室内の暖房及びオートエアコンの送風温度(車室吹出温度)を調整するための装置であり、冷却水と空気との熱交換により冷却水に蓄熱された熱量を車室内に供給される空気に分配する。
油水熱交換器7は、例えば作動油としてのATF(Automatic Transmission Fluid)と冷却水との間の熱交換を行う装置であり、冷却水よりもATFの温度が低い場合には、冷却水に蓄熱された熱量をATFに分配する。即ち、この場合の油水熱交換器7は、ATFの昇温機能を有しており、始動時及び暖機時等のエンジン2の冷間時には、主にオートマチックトランスミッション(図示せず)の潤滑及び作動効率を向上させる目的でATFの早期昇温に用いられる。一方、油水熱交換器7は、冷却水よりもATFの温度が高い場合には、ATFに蓄熱された熱量を冷却水に排熱するオイルクーラーとして機能し、高負荷走行時等の油温上昇時には、ATFの劣化を防止するためATFの冷却に用いられる。
冷却回路3は、ラジエータ5が配置されたラジエータ流路11を有する排熱系流路12と、車室ヒータ6及び油水熱交換器7が各々配置された車室ヒータ流路13及び油水熱交換器流路14を有する利排熱系流路15とが並列に接続されるように構成されている。そして、排熱系流路12及び利排熱系流路15の下流側には、排熱系流路12を流れる冷却水と利排熱系流路15を流れる冷却水との流量配分を変化させるサーモスタット16が設けられている。
サーモスタット16は、冷却水の温度に応じて排熱系流路12の流量と利排熱系流路15の流量を分配する。本実施形態のサーモスタット16は、排熱系流路12及び利排熱系流路15から流入する冷却水の水温をそのハウジング16a内に収容された感温部材16bにて感知し、メインバルブ16cにて、排熱系流路12から流入する冷却水の流量を制御することにより排熱系流路12を流れる冷却水と利排熱系流路15及びバイパス流路17を流れる冷却水との流量配分を変化させる。
具体的には、本実施形態のサーモスタット16では、メインバルブ16cは、利排熱系流路15から流入する冷却水の水温がエンジン制御水温として設定された水温付近となるまで閉弁状態を維持し、かかる冷却水の水温がエンジン制御水温付近にまで上昇した場合に徐々に開弁するように設定されている。そして、サーモスタット16は、排熱系流路12から流入する水温の低い冷却水の流量を増加させることによりエンジン2内に導入される冷却水の水温をエンジン制御水温に維持する。
尚、本実施形態の冷却回路3は、排熱系流路12及び利排熱系流路15と並列接続されたバイパス流路17を有しており、バイパス流路17もまたサーモスタット16に接続されている。そして、サーモスタット16は、バイパスバルブ16dにて、バイパス流路17から流入する冷却水の流量を制御することにより、排熱系流路12及び利排熱系流路15を流れる冷却水と、バイパス流路17を流れる冷却水との流量配分を併せて変化させる。本実施形態のサーモスタット16では、メインバルブ16cが略最大開口状態となったときにバイパスバルブ16dが閉弁されるよう設定されている。
また、車両冷却システム1は、車室ヒータ流路13を流れる冷却水と油水熱交換器流路14を流れる冷却水との流量配分を変化させる熱量分配制御弁18を備えている。詳述すると、本実施形態の冷却回路3は、利排熱系流路15において、車室ヒータ流路13と油水熱交換器流路14とが並列に接続されるように構成されており、熱量分配制御弁18は、車室ヒータ流路13及び油水熱交換器流路14(車室ヒータ6及び油水熱交換器7)の下流側に設けられている。
図2に併せ示されるように、この熱量分配制御弁18は、そのハウジング21の互いに相反する側(図2の左側及び右側)に形成された第1の接続部としてのヒータ側導入口21a及び第2の接続部としての熱交換器側導入口21bにおいてそれぞれ車室ヒータ流路13及び油水熱交換器流路14と接続されている。また、熱量分配制御弁18は、ハウジング21のこれらヒータ側導入口21a及び熱交換器側導入口21bとは異なる側(図2の下側)に形成された接続部としての導出口21cにおいてサーモスタット16の導入口16e(図1参照)と接続されている。そして、これらヒータ側導入口21a、熱交換器側導入口21b及び導出口21cに囲まれる態様でハウジング21の収容空間Sが形成されている。
ハウジング21内には、熱交換器側導入口21bに形成された壁部21dにおいて一端が固定され、ヒータ側導入口21a側に軸線が延びるピストン22が収容されている。このピストン22には、感温部材としてのワックスエレメント23が設けられており、収容空間Sにおいてそのヒータ側導入口21a及び熱交換器側導入口21b側には、これと一体化されたヒータバルブ24及び弁部としての熱交換器バルブ25がそれぞれ設けられている。また、ハウジング21内には、ピストン22の周りに形成された壁部21e及び熱交換器バルブ25間に介装されて熱交換器側導入口21bを閉鎖する側に同熱交換器バルブ25を付勢する熱交換器メインスプリング26が設けられている。
このような構成を有する熱量分配制御弁18の動作について説明すると、車室ヒータ6からの冷却水の温度が低いときには、ワックスエレメント23内のワックスの膨張が小さいため熱交換器バルブ25は熱交換器メインスプリング26の付勢力を有して熱交換器側導入口21bを閉鎖する。このとき、ヒータバルブ24は開弁状態である。従って、この熱交換器バルブ25の閉弁状態では、冷却水は車室ヒータ流路13(車室ヒータ6)を流れるため、ワックスエレメント23は基本的に車室ヒータ6の下流の冷却水の熱量(水温)を感知している。
次に、車室ヒータ6からの冷却水の温度が上昇していくと、ワックスエレメント23内のワックスが膨張することで、同ワックスエレメント23はヒータ側導入口21a側に移動し、熱交換器バルブ25は熱交換器メインスプリング26の付勢力に抗して徐々に熱交換器側導入口21bを開放していく。従って、この熱交換器バルブ25の開弁状態では、冷却水は熱交換器バルブ25の開弁量により決定される分配比で車室ヒータ流路13(車室ヒータ6)及び油水熱交換器流路14(油水熱交換器7)を流れる。このため、ワックスエレメント23は同分配比に応じて車室ヒータ6の下流と油水熱交換器7の下流との混合された冷却水の熱量(水温)を感知している。このときワックスエレメント23の移動量に応じた熱交換器バルブ25の開弁量は、上記混合された冷却水の熱量が多いほど大きくなる。
尚、車室ヒータ6からの冷却水の水温に応じた熱量分配制御弁18(熱交換器バルブ25)の開弁条件は、車室ヒータ6の車室内への吹き出し量が最大設定されたときに暖気に必要な熱量が確保されるように設定されている。すなわち、熱量分配制御弁18は、車室ヒータ6と油水熱交換器7の上流の熱量が車室ヒータ6への供給熱量設定値以上で開弁するように設定されている。これは、車室ヒータ6による暖気、すなわち車室内の快適性を優先すべく車室ヒータ6に必要な熱量が供給されていることを前提に油水熱交換器7に熱量を供給可能にするためである。また、熱量分配制御弁18は、基本的にサーモスタット16のメインバルブ16cが閉弁状態にあるときに開き始めるように設定されている。
従って、例えばエンジン出口水温が高い場合やポンプ回転数(エンジン回転数)が高い場合など利排熱系流路15(車室ヒータ6及び油水熱交換器7)の上流に十分な熱量供給がある車両条件下であるとする。このとき、車室ヒータ6の車室内への吹き出し量が最大設定されていても、車室ヒータ6の下流の冷却水の熱量が多くなるために熱量分配制御弁18は開弁し、油水熱交換器7にも熱量が供給される。
あるいは、車室ヒータ6の車室内への吹き出し量が皆無若しくは少なく、車室ヒータ6の放熱量が少ない状態では、上記最大設定での場合に比べてやはり車室ヒータ6の下流の冷却水の熱量が多くなるために熱量分配制御弁18は開弁し、油水熱交換器7にも熱量が供給される。
以上により、エンジン2の冷間始動状態から、車室ヒータ6への熱量供給(暖気)が優先されるとともに、熱量供給に余裕があるときには熱交換器バルブ25の開弁量に応じて油水熱交換器7にも併せて熱量供給(分配)される。このような熱量分配制御弁18の動作により、車室ヒータ6及び油水熱交換器7に供給される熱量配分が最適化される。
一方、高負荷走行時など油水熱交換器7においてエンジン2からの冷却水温度以上にATF温度が上昇する状態では、油水熱交換器7の下流の熱量は同上流の熱量よりも上昇するため、熱量分配制御弁18の開弁状態では油水熱交換器7(油水熱交換器流路14)からの熱量供給が多くなる分、熱交換器バルブ25の開弁量は大きくなる。これにより、油水熱交換器7を流れる冷却水が増量され、ATFとの間でのより多くの熱交換によりこれを冷却する。尚、高負荷走行時において冷却水温度が高くサーモスタット16のメインバルブ16cが開弁状態にあるときには、エンジン2からの冷却水はラジエータ5を介して併せて冷却されることになる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、油水熱交換器7(熱交換器側導入口21b)の下流に、ワックスエレメント23により駆動される熱交換器バルブ25が配置されている。従って、ワックスエレメント23により感知される収容空間Sの冷却水の水温に応じて熱交換器バルブ25の開弁量が制御され、車室ヒータ6若しくは油水熱交換器7を流れる冷却水の流量分配、即ち車室ヒータ6若しくは油水熱交換器7に供給される熱量の分配が好適に調整・設定される。すなわち、車室ヒータ6への熱量供給を優先すべく車室ヒータ6(ヒータ側導入口21a)の冷却水の流れを開放しておき、その熱量供給に余裕があるときに油水熱交換器7への熱量供給を開始するようにワックスエレメント23の温度特性を設定した。これにより、熱量供給を優先する車室ヒータ6の性能を損なうことなく、油水熱交換器7にも熱量供給が可能となる。そして、ATFの昇温効果の改善と油温の適正化を併せて図ることができる。また、例えば複雑な制御駆動系アクチュエータを使用する場合に比べて、簡素で搭載性に優れた構成で上記熱量分配を実現することができる。
(1)本実施形態では、油水熱交換器7(熱交換器側導入口21b)の下流に、ワックスエレメント23により駆動される熱交換器バルブ25が配置されている。従って、ワックスエレメント23により感知される収容空間Sの冷却水の水温に応じて熱交換器バルブ25の開弁量が制御され、車室ヒータ6若しくは油水熱交換器7を流れる冷却水の流量分配、即ち車室ヒータ6若しくは油水熱交換器7に供給される熱量の分配が好適に調整・設定される。すなわち、車室ヒータ6への熱量供給を優先すべく車室ヒータ6(ヒータ側導入口21a)の冷却水の流れを開放しておき、その熱量供給に余裕があるときに油水熱交換器7への熱量供給を開始するようにワックスエレメント23の温度特性を設定した。これにより、熱量供給を優先する車室ヒータ6の性能を損なうことなく、油水熱交換器7にも熱量供給が可能となる。そして、ATFの昇温効果の改善と油温の適正化を併せて図ることができる。また、例えば複雑な制御駆動系アクチュエータを使用する場合に比べて、簡素で搭載性に優れた構成で上記熱量分配を実現することができる。
(2)本実施形態では、過度の通水抵抗の上昇を回避しつつ車室ヒータ6及び油水熱交換器7に対し好適に熱量分配を行うことができる。その結果、車両燃費、走行性及び快適性を向上させることができる。
(3)本実施形態では、熱量分配制御弁18の導出口21cと、サーモスタット16の導入口16eとを接続する構成を採用した。従って、例えばこれらを直結する態様でハウジング21,16aを一体形成する場合には、部品点数を削減するとともに車両搭載性を更に向上することができる。
(4)本実施形態では、収容空間Sにワックスエレメント23、ヒータバルブ24及び熱交換器バルブ25等が配置されるサーモスタット16に準じた構造の熱量分配制御弁18を採用したことで、例えばサーモスタット16に簡易な加工を行うのみで熱量分配制御弁18として流用することができる。
(5)本実施形態では、車室ヒータ6(ヒータ側導入口21a)の下流に、ワックスエレメント23により駆動されるヒータバルブ24が配置されている。従って、ワックスエレメント23により感知される収容空間Sの冷却水の水温に応じてヒータバルブ24の開弁量が制御され、例えばヒータバルブ24を閉鎖することで車室ヒータ6の冷却水の流れが遮断される。これにより、車室ヒータ6に供給される熱量を略皆無とし、油水熱交換器7に供給しうる熱量を最大限に確保することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明が適用される車両冷却システムの第2の実施形態を図面に従って説明する。図3は、本実施形態のシステム構成図である。尚、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
以下、本発明が適用される車両冷却システムの第2の実施形態を図面に従って説明する。図3は、本実施形態のシステム構成図である。尚、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態の車両冷却システム31では、冷却回路32においてバイパス流路(17)を割愛するとともに、サーモスタット33もバイパス流路に係る周辺構造(接続部、バイパスバルブなど)を割愛している。このサーモスタット33が、排熱系流路12及び本実施形態での利排熱系流路34の下流側に設けられるのは第1の実施形態と同様である。
利排熱系流路34は、車室ヒータ流路13及び油水熱交換器流路14(車室ヒータ6及び油水熱交換器7)の下流側において、第1の実施形態とは異なる熱量分配制御弁35を備えている。図4に併せ示されるように、この熱量分配制御弁35のハウジング41には、一側方向(図4の上側から下側への方向)に伸びて更に当該方向と直交する側(図4の左側)に屈曲された第1の接続部としてのヒータ側導入口41a及び第2の接続部としての熱交換器側導入口41bが並設される態様で形成されている。熱量分配制御弁35は、これらヒータ側導入口41a及び熱交換器側導入口41bにおいてそれぞれ車室ヒータ流路13及び油水熱交換器流路14と接続されている。また、熱量分配制御弁35は、ハウジング41の一側(図4の下側)に形成された接続部としての導出口41cにおいてサーモスタット33の導入口16e(図3参照)と接続されている。そして、これらヒータ側導入口41a、熱交換器側導入口41b及び導出口41cに囲まれる態様でハウジング41の収容空間S1が形成されている。
ヒータ側導入口41a内には、冷却水の流れを許容する態様で感温部材としてのワックスエレメント42が設けられている。このワックスエレメント42は、ヒータ側導入口41aを形成する内壁面を貫通してその一部をハウジング41の外側に露出しており、当該露出部には発熱体43が取着されている。この発熱体43は、外部信号としての外部制御電圧によりその発熱量が制御されることでワックスエレメント42を所要温度に加熱する。
ハウジング41内には、一端がヒータ側導入口41a及び熱交換器側導入口41bを形成する各内壁面を貫通してワックスエレメント42に固定され、熱交換器側導入口41bに沿って軸線が延びるピストン44が収容されている。このピストン44の他端は、収容空間S1内に形成されたガイド壁部41dにより軸線方向に移動可能に支持されている。そして、収容空間S1内においてその熱交換器側導入口41b側には、これと一体化された弁部としての熱交換器バルブ45が設けられている。また、ハウジング41内には、上記ガイド壁部41d及び熱交換器バルブ45間に介装されて熱交換器側導入口41bを閉鎖する側に同熱交換器バルブ45を付勢する熱交換器メインスプリング46が設けられている。
このような構成を有する熱量分配制御弁35の動作について説明する。尚、ワックスエレメント42は車室ヒータ流路13に接続されたヒータ側導入口41aに配置されるため、熱交換器バルブ45の開閉に関わらず車室ヒータ6の下流の冷却水の熱量(水温)に限定してこれを感知している。すなわち、本実施形態では、外乱等の影響が抑制された状態でより厳密に車室ヒータ6下流の冷却水の熱量(水温)が感知されている。そして、車室ヒータ6からの冷却水の温度が低いときには、基本的にワックスエレメント42内のワックスの膨張が小さいため熱交換器バルブ45は熱交換器メインスプリング46の付勢力を有して熱交換器側導入口41bを閉鎖する。
次に、車室ヒータ6からの冷却水の温度が上昇していくと、ワックスエレメント42内のワックスが膨張することで、同ワックスエレメント42はピストン44を押し出し、熱交換器バルブ45は熱交換器メインスプリング46の付勢力に抗して徐々に熱交換器側導入口41bを開放していく。従って、この熱交換器バルブ45の開弁状態では、冷却水は熱交換器バルブ45の開弁量により決定される分配比で車室ヒータ流路13(車室ヒータ6)及び油水熱交換器流路14(油水熱交換器7)を流れる。このときワックスエレメント42によるピストン44の移動量に応じた熱交換器バルブ45の開弁量は、車室ヒータ流路13(ヒータ側導入口41a)を流れる冷却水の熱量が多いほど大きくなる。尚、車室ヒータ6からの冷却水の水温に応じた熱量分配制御弁35(熱交換器バルブ45)の開弁条件は、第1の実施形態と同様に車室ヒータ6の車室内への吹き出し量が最大設定されたときに暖気に必要な熱量が確保されるように設定されている。
従って、より厳密な冷却水の熱量(水温)感知のもと、エンジン2の冷間始動状態から、車室ヒータ6への熱量供給(暖気)が優先されるとともに、熱量供給に余裕があるときには熱交換器バルブ45の開弁量に応じて油水熱交換器7にも併せて熱量供給(分配)される。このような熱量分配制御弁35の動作により、車室ヒータ6及び油水熱交換器7に供給される熱量配分が最適化される。
また、車内外環境・車両条件に基づき、油水熱交換器7への熱量供給を優先させたい場合には、外部制御電圧により発熱体43を制御することでワックスエレメント42を加熱する。このとき、冷却水の温度に関わらずワックスエレメント42内のワックスが膨張することで、上記と同様にして熱交換器側導入口41bが開放されていく。これにより、油水熱交換器7を流れる冷却水が増量され、同油水熱交換器7への熱量分配が増加される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)〜(3)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ワックスエレメント42を車室ヒータ6の下流(ヒータ側導入口41a)に、油水熱交換器7とは独立で配置することで、基本的に車室ヒータ6を流れる冷却水の水温のみに依存する外乱の抑制された状態で車室ヒータ6及び油水熱交換器7への熱量分配を実現することができる。
(1)本実施形態では、ワックスエレメント42を車室ヒータ6の下流(ヒータ側導入口41a)に、油水熱交換器7とは独立で配置することで、基本的に車室ヒータ6を流れる冷却水の水温のみに依存する外乱の抑制された状態で車室ヒータ6及び油水熱交換器7への熱量分配を実現することができる。
(2)本実施形態では、外部制御電圧により制御され、ワックスエレメント42を加熱する発熱体43を備えている。従って、車両条件等により熱量供給を優先すべき熱交換器を車室ヒータ6から油水熱交換器7へと変える場合には、外部制御電圧により発熱体43を制御してワックスエレメント42を加熱し、冷却水自体の温度に関わらず油水熱交換器7への熱量分配を増加することができる。
例えば夏場の冷間始動時等のようにヒータ供給熱量要求が皆無若しくは少ない場合等には、油水熱交換器7への熱量分配を増加させることでATFの昇温を促進し、燃費向上が達成される。
(第3の実施形態)
以下、本発明が適用される車両冷却システムの第3の実施形態を図面に従って説明する。図5は、本実施形態のシステム構成図である。尚、説明の便宜上、第1及び第2の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略し、これら実施形態と異なる部分を中心に説明する。
以下、本発明が適用される車両冷却システムの第3の実施形態を図面に従って説明する。図5は、本実施形態のシステム構成図である。尚、説明の便宜上、第1及び第2の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略し、これら実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態の車両冷却システム51では、冷却回路52においてエンジン出口2bの下流にバイパス流路53が設けられるとともに、車室ヒータ流路13、油水熱交換器流路14(車室ヒータ6及び油水熱交換器7)及びバイパス流路53の下流側に第1及び第2の実施形態とは異なる熱量分配制御弁54が設けられている。尚、本実施形態のバイパス流路53は、車室ヒータ流路13及び油水熱交換器流路14と同様に熱量分配制御弁54を介して第2の実施形態と同様のサーモスタット33と接続されている。換言すれば、本実施形態の利排熱系流路55は、車室ヒータ流路13及び油水熱交換器流路14に併せてバイパス流路53を有している。
図6に併せ示されるように、本実施形態の熱量分配制御弁54は、そのハウジング61の一側(図6の左側)に形成された第1の接続部としてのヒータ側導入口61aにおいて車室ヒータ流路13と接続されている。また、この熱量分配制御弁54のハウジング61には、一側方向(図6の上側から下側への方向)に伸びて更に当該方向と直交する側(図6の左側)に屈曲された第2の接続部としての熱交換器側導入口61b及び第3の接続部としてのバイパス流路側導入口61cが並設される態様で形成されている。熱量分配制御弁54は、これら熱交換器側導入口61b及びバイパス流路側導入口61cにおいてそれぞれ油水熱交換器流路14及びバイパス流路53と接続されている。また、熱量分配制御弁54は、ハウジング61の他側(図6の下側)に形成された接続部としての導出口61dにおいてサーモスタット33の導入口16e(図5参照)と接続されている。そして、これらヒータ側導入口61a、熱交換器側導入口61b、バイパス流路側導入口61c及び導出口61dに囲まれる態様でハウジング61の収容空間S2が形成されている。
バイパス流路側導入口61c内には、冷却水の流れを許容する態様で感温部材としてのワックスエレメント62が設けられている。このワックスエレメント62は、バイパス流路側導入口61cを形成する内壁面を貫通してその一部をハウジング61の外側に露出しており、当該露出部には発熱体63が取着されている。この発熱体63は、外部制御電圧によりその発熱量が制御されることでワックスエレメント62を所要温度に加熱する。
ハウジング61内には、一端が熱交換器側導入口61b及びバイパス流路側導入口61cを形成する各内壁面を貫通してワックスエレメント62に固定され、熱交換器側導入口61bに沿って軸線が延びるピストン64が収容されている。このピストン64の他端は、収容空間S2内に形成されたガイド壁部61eにより軸線方向に移動可能に支持されている。そして、収容空間S2内においてその熱交換器側導入口61b側には、これと一体化された弁部としての熱交換器バルブ65が設けられている。また、ハウジング61内には、上記ガイド壁部61e及び熱交換器バルブ65間に介装されて熱交換器側導入口61bを閉鎖する側に同熱交換器バルブ65を付勢する熱交換器メインスプリング66が設けられている。
さらに、ピストン64の他端において、ガイド壁部61eを貫通したヒータ側導入口61a側の先端部には、収容空間S2内においてピストン64の軸線方向に対し相対移動可能なヒータバルブ67が設けられている。そして、ハウジング61内には、一端がピストン64に固定されるとともに他端がヒータバルブ67に固定されてヒータ側導入口61a側に同ヒータバルブ67を付勢するヒータバルブスプリング68が設けられている。
このような構成を有する熱量分配制御弁54の動作について説明する。尚、ワックスエレメント62はバイパス流路53に接続されたバイパス流路側導入口61cに配置されるため、熱交換器バルブ65(及びヒータバルブ67)の開閉に関わらずバイパス流路53(即ちエンジン出口2b)の冷却水の熱量(水温)に限定してこれを感知している。すなわち、本実施形態では、外乱等の影響が抑制された状態でより厳密に冷却水の熱量(水温)が感知されている。そして、バイパス流路53からの冷却水の温度が低いときには、基本的にワックスエレメント62内のワックスの膨張が小さいため熱交換器バルブ65は熱交換器メインスプリング66の付勢力を有して熱交換器側導入口61bを閉鎖する。
次に、エンジン出口2bからの冷却水の温度が上昇していくと、ワックスエレメント62内のワックスが膨張することで、同ワックスエレメント62はピストン64を押し出し、熱交換器バルブ65は熱交換器メインスプリング66の付勢力に抗して徐々に熱交換器側導入口61bを開放していく。従って、この熱交換器バルブ65の開弁状態では、冷却水は熱交換器バルブ65の開弁量及びヒータバルブ67の開弁量により決定される分配比で車室ヒータ流路13(車室ヒータ6)及び油水熱交換器流路14(油水熱交換器7)を流れる。このときワックスエレメント62によるピストン64の移動量に応じた熱交換器バルブ65の開弁量は、バイパス流路53を流れる冷却水の熱量が多いほど大きくなる。尚、エンジン出口2bからの冷却水の水温に応じた熱量分配制御弁54(熱交換器バルブ65)の開弁条件は、第1の実施形態と同様に車室ヒータ6の車室内への吹き出し量が最大設定されたときに暖気に必要な熱量が確保されるように設定されている。
従って、より厳密な冷却水の熱量(水温)感知のもと、エンジン2の冷間始動状態から、車室ヒータ6への熱量供給(暖気)が優先されるとともに、熱量供給に余裕があるときには熱交換器バルブ65の開弁量に応じて油水熱交換器7にも併せて熱量供給(分配)される。このような熱量分配制御弁54の動作により、車室ヒータ6及び油水熱交換器7に供給される熱量配分が最適化される。
また、車外環境・車両条件に基づき、油水熱交換器7への熱量供給の必要性が生じた場合には、外部制御電圧により発熱体63を制御することでワックスエレメント62を加熱する。このとき、冷却水の温度に関わらずワックスエレメント62内のワックスが膨張することで、上記と同様にして熱交換器側導入口61bが開放されていく。これにより、油水熱交換器7を流れる冷却水が増量され、同油水熱交換器7への熱量分配が増加される。特に、熱交換器バルブ65が略最大開口状態のとき、ヒータバルブ67はヒータバルブスプリング68の付勢力を有してヒータ側導入口61aの開口端に圧接され、その閉鎖によって車室ヒータ6への熱量供給を遮断しうるようになっている。
例えば夏場の冷間始動時等のようにヒータ供給熱量要求が皆無若しくは少ない場合等には、油水熱交換器7への熱量分配を増加させることでATFの昇温を促進し、燃費向上が達成される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)〜(3),(5)、前記第2の実施形態における(2)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ワックスエレメント62を車室ヒータ6及び油水熱交換器7とは独立であるエンジン2の下流(バイパス流路側導入口61c)に配置することで、基本的にエンジン2の下流の冷却水の水温のみに依存する外乱の抑制された状態で車室ヒータ6及び油水熱交換器7への熱量分配を実現することができる。
(第4の実施形態)
以下、本発明が適用される車両冷却システムの第4の実施形態を図面に従って説明する。図7は、本実施形態のシステム構成図である。尚、説明の便宜上、第1〜第3の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
以下、本発明が適用される車両冷却システムの第4の実施形態を図面に従って説明する。図7は、本実施形態のシステム構成図である。尚、説明の便宜上、第1〜第3の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の車両冷却システムでは、第1の実施形態において車室ヒータ6に接続される車室ヒータ流路13の下流の温度を独立で感温しうるように感温部材(ワックスエレメント)を配置したことが第1の実施形態と大きく異なる。すなわち、本実施形態の熱量分配制御弁70が備えるハウジング71には、前記車室ヒータ流路13に接続されるヒータ側導入口71aと、ヒータ側導入口71aの下流側で分岐し互いに相反する側(図7の左側及び右側)に伸びて折り返された第1ヒータ側分岐路71b及び第2ヒータ側分岐路71cとが設けられている。これらヒータ側導入口71a、第1及び第2ヒータ側分岐路71b,71cによって第1の接続部が構成されている。また、ハウジング71には、第2ヒータ側分岐路71cに並設される態様で、前記油水熱交換器流路14に接続される第2の接続部としての熱交換器側導入口71dが設けられている。また、熱量分配制御弁70は、ハウジング71の一側(図7の下側)に形成された接続部としての導出口71eにおいてサーモスタット16の導入口16e(図1参照)と接続されている。そして、これら第1ヒータ側分岐路71b、第2ヒータ側分岐路71c、熱交換器側導入口71d及び導出口71eに囲まれる態様でハウジング71の収容空間S3が形成されている。
第2ヒータ側分岐路71c内には、冷却水の流れを許容する態様で感温部材としてのワックスエレメント72が設けられている。すなわち、ヒータ側導入口71aの下流側は、ワックスエレメント72が配置される第2ヒータ側分岐路71cと、同ワックスエレメント72を迂回する第1ヒータ側分岐路71bとに分岐している。このワックスエレメント72は、第2ヒータ側分岐路71cを形成する内壁面を貫通してその一部をハウジング71の外側に露出しており、当該露出部には発熱体73が取着されている。この発熱体73は、外部制御電圧によりその発熱量が制御されることでワックスエレメント72を所要温度に加熱する。
ハウジング71内には、一端が熱交換器側導入口71d及び第2ヒータ側分岐路71cを形成する各内壁面を貫通してワックスエレメント72に固定され、熱交換器側導入口71dに沿って軸線が延びるピストン74が収容されている。このピストン74の他端は、収容空間S3内に形成されたガイド壁部71fにより軸線方向に移動可能に支持されている。そして、収容空間S3内においてピストン74の熱交換器側導入口71d側には、これと一体化された弁部としての熱交換器バルブ75が設けられている。また、ハウジング71内には、上記ガイド壁部71f及び熱交換器バルブ75間に介装されて熱交換器側導入口71dを閉鎖する側に同熱交換器バルブ75を付勢する熱交換器メインスプリング76が設けられている。
さらに、ピストン74の他端において、ガイド壁部71fを貫通した第1ヒータ側分岐路71b側の先端部には、収容空間S3内においてピストン74の軸線方向に対し相対移動可能な第2の弁部としてのヒータバルブ77が設けられている。そして、ハウジング71内には、一端がピストン74に固定されるとともに他端がヒータバルブ77に固定されて第1ヒータ側分岐路71b側に同ヒータバルブ77を付勢するヒータバルブスプリング78が設けられている。
このような構成を有する熱量分配制御弁70の動作について説明する。尚、ワックスエレメント72は車室ヒータ流路13に接続された第1ヒータ側分岐路71bとは独立した第2ヒータ側分岐路71cに配置されるため、熱交換器バルブ75(及びヒータバルブ77)の開閉に関わらず車室ヒータ流路13の下流側の冷却水の熱量(水温)に限定してこれを感知している。すなわち、本実施形態では、外乱等の影響が抑制された状態でより厳密に冷却水の熱量(水温)が感知されている。そして、車室ヒータ6からの冷却水の温度が低いときには、基本的にワックスエレメント72内のワックスの膨張が小さいため熱交換器バルブ75は熱交換器メインスプリング76の付勢力を有して熱交換器側導入口71dを閉鎖する。
次に、車室ヒータ6からの冷却水の温度が上昇していくと、ワックスエレメント72内のワックスが膨張することで、同ワックスエレメント72はピストン74を押し出し、熱交換器バルブ75は熱交換器メインスプリング76の付勢力に抗して徐々に熱交換器側導入口71dを開放していく。従って、この熱交換器バルブ75の開弁状態では、冷却水は熱交換器バルブ75の開弁量により決定される分配比で車室ヒータ流路13(車室ヒータ6)及び油水熱交換器流路14(油水熱交換器7)を流れる。このときワックスエレメント72によるピストン74の移動量に応じた熱交換器バルブ75の開弁量は、第2ヒータ側分岐路71cを流れる冷却水の熱量が多いほど大きくなる。尚、車室ヒータ6からの冷却水の水温に応じた熱量分配制御弁70(熱交換器バルブ75)の開弁条件は、第1の実施形態と同様に車室ヒータ6の車室内への吹き出し量が最大設定されたときに暖気に必要な熱量が確保されるように設定されている。
従って、より厳密な冷却水の熱量(水温)感知のもと、エンジン2の冷間始動状態から、車室ヒータ6への熱量供給(暖気)が優先されるとともに、熱量供給に余裕があるときには熱交換器バルブ75の開弁量に応じて油水熱交換器7にも併せて熱量供給(分配)される。このような熱量分配制御弁70の動作により、車室ヒータ6及び油水熱交換器7に供給される熱量配分が最適化される。
また、車外環境・車両条件に基づき、油水熱交換器7への熱量供給の必要性が生じた場合には、外部制御電圧により発熱体73を制御することでワックスエレメント72を加熱する。このとき、冷却水の温度に関わらずワックスエレメント72内のワックスが膨張することで、上記と同様にして熱交換器側導入口71dが開放されていく。これにより、油水熱交換器7を流れる冷却水が増量され、同油水熱交換器7への熱量分配が増加される。特に、熱交換器バルブ75が略最大開口状態のとき、ヒータバルブ77はヒータバルブスプリング78の付勢力を有して第1ヒータ側分岐路71bの開口端に圧接され、その閉鎖によって車室ヒータ6への熱量供給を第2ヒータ側分岐路71cのみに制御し、すなわち大幅に低減できる。
例えば夏場の冷間始動時等のようにヒータ供給熱量要求が皆無若しくは少ない場合等には、油水熱交換器7への熱量分配を増加させることでATFの昇温を促進し、燃費向上が達成される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)〜(3)、前記第2の実施形態における(2)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ワックスエレメント72を車室ヒータ6の下流(第2ヒータ側分岐路71c)に、油水熱交換器7とは独立で配置することで、基本的に車室ヒータ6を流れる冷却水の水温のみに依存する外乱の抑制された状態で車室ヒータ6及び油水熱交換器7への熱量分配を実現することができる。また、ワックスエレメント72の上流側で、ワックスエレメント72が配置される第2ヒータ側分岐路71cと、ワックスエレメント72を迂回する第1ヒータ側分岐路71bとに分岐され、第1ヒータ側分岐路71bの下流にワックスエレメント72により駆動されるヒータバルブ77が配置されている。従って、ワックスエレメント72により感知される冷却水の水温に応じてヒータバルブ77の開弁量が制御され、例えばヒータバルブ77を閉鎖することで第1ヒータ側分岐路71bにおける冷却水の流れが遮断される。この第1ヒータ側分岐路71bの遮断によって車室ヒータ6に供給される熱量が最小限に抑制され、油水熱交換器7に供給しうる熱量を最大限に確保することができる。すなわち、これら車室ヒータ6及び油水熱交換器7間の流量分配比率を大きくすることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・熱量分配制御弁としては、図8に示した構成を採用してもよい。この熱量分配制御弁80は、第1の実施形態と同様に車室ヒータ6に接続される車室ヒータ流路13及び油水熱交換器7に接続される油水熱交換器流路14の下流の温度を感温しうるように感温部材(ワックスエレメント)を配置している。ただし、サーモスタット16に接続される下流側を分岐させたことが第1の実施形態と大きく異なる。すなわち、この熱量分配制御弁80が備えるハウジング81には、前記車室ヒータ流路13に接続される第1の接続部としてのヒータ側導入口81aと、前記油水熱交換器流路14に接続される第2の接続部としての熱交換器側導入口81b.とが設けられている。また、ハウジング81には、下流側で分岐する第1流路としての第1分岐路81c及び第2流路としての第2分岐路81dが設けられている。熱量分配制御弁80は、これら第1分岐路81c及び第2分岐路81dにおいてサーモスタット16の導入口16e(図1参照)と接続されている。そして、これらヒータ側導入口81a、熱交換器側導入口81b、第1分岐路81c及び第2分岐路81dに囲まれる態様でハウジング81の収容空間S4が形成されている。
・熱量分配制御弁としては、図8に示した構成を採用してもよい。この熱量分配制御弁80は、第1の実施形態と同様に車室ヒータ6に接続される車室ヒータ流路13及び油水熱交換器7に接続される油水熱交換器流路14の下流の温度を感温しうるように感温部材(ワックスエレメント)を配置している。ただし、サーモスタット16に接続される下流側を分岐させたことが第1の実施形態と大きく異なる。すなわち、この熱量分配制御弁80が備えるハウジング81には、前記車室ヒータ流路13に接続される第1の接続部としてのヒータ側導入口81aと、前記油水熱交換器流路14に接続される第2の接続部としての熱交換器側導入口81b.とが設けられている。また、ハウジング81には、下流側で分岐する第1流路としての第1分岐路81c及び第2流路としての第2分岐路81dが設けられている。熱量分配制御弁80は、これら第1分岐路81c及び第2分岐路81dにおいてサーモスタット16の導入口16e(図1参照)と接続されている。そして、これらヒータ側導入口81a、熱交換器側導入口81b、第1分岐路81c及び第2分岐路81dに囲まれる態様でハウジング81の収容空間S4が形成されている。
第2分岐路81d内には、冷却水の流れを許容する態様で感温部材としてのワックスエレメント82が設けられている。すなわち、ワックスエレメント82の上流側は、ワックスエレメント82が配置される第2分岐路81dと、同ワックスエレメント82を迂回する第1分岐路81cとに分岐している。
ハウジング81内には、一端が熱交換器側導入口81b及び第2分岐路81dを形成する各内壁面を貫通してワックスエレメント82に固定され、熱交換器側導入口81bに沿って軸線が延びるピストン83が収容されている。このピストン83は、収容空間S4内において軸線方向に移動可能に支持されている。そして、収容空間S4内においてピストン83の熱交換器側導入口81b側には、これと一体化された弁部としての熱交換器バルブ84が設けられている。この熱交換器バルブ84は、図示しない付勢部材により熱交換器側導入口81bを閉鎖する側に付勢されている。
さらに、収容空間S4内においてピストン83の第1分岐路81c側には、これと一体化された第2の弁部としてのバルブ85が設けられている。
このような構成を有する熱量分配制御弁80の動作について説明すると、車室ヒータ6からの冷却水の温度が低いときには、ワックスエレメント82内のワックスの膨張が小さいため熱交換器バルブ84は熱交換器側導入口81bを閉鎖する。この熱交換器バルブ84の閉弁状態では、冷却水は車室ヒータ流路13(車室ヒータ6)を流れるため、ワックスエレメント82は基本的に車室ヒータ6の下流の冷却水の熱量(水温)を感知している。またこのとき、バルブ85は開弁状態にあり、同バルブ85によって冷却水の流れが規制されることはない。
このような構成を有する熱量分配制御弁80の動作について説明すると、車室ヒータ6からの冷却水の温度が低いときには、ワックスエレメント82内のワックスの膨張が小さいため熱交換器バルブ84は熱交換器側導入口81bを閉鎖する。この熱交換器バルブ84の閉弁状態では、冷却水は車室ヒータ流路13(車室ヒータ6)を流れるため、ワックスエレメント82は基本的に車室ヒータ6の下流の冷却水の熱量(水温)を感知している。またこのとき、バルブ85は開弁状態にあり、同バルブ85によって冷却水の流れが規制されることはない。
次に、車室ヒータ6からの冷却水の温度が上昇していくと、ワックスエレメント82内のワックスが膨張することで、同ワックスエレメント82はピストン83を押し出し、熱交換器バルブ84は徐々に熱交換器側導入口81bを開放していく。従って、この熱交換器バルブ84の開弁状態では、冷却水は熱交換器バルブ84の開弁量により決定される分配比で車室ヒータ流路13(車室ヒータ6)及び油水熱交換器流路14(油水熱交換器7)を流れる。このため、ワックスエレメント82は同分配比に応じて車室ヒータ6の下流と油水熱交換器7の下流との混合された冷却水の熱量(水温)を感知している。このときピストン83の押し出し量に応じた熱交換器バルブ25の開弁量は、上記混合された冷却水の熱量が多いほど大きくなる。
また、ワックスエレメント82がピストン83を押し出すことで、バルブ85は徐々に第1分岐路81cを閉鎖していく。このとき、冷却水はバルブ85の開弁量(閉弁量)に応じた流量でサーモスタット16へと流れる。ここでは、熱交換器バルブ84が略最大開口状態となったときにバルブ85が閉弁されるよう設定されている。このような流量制御は、利排熱系流路15を流れる冷却水を最小限に抑制して排熱系流路12(ラジエータ5)に優先的に冷却水を流すためである。尚、車室ヒータ6からの冷却水の水温に応じた熱量分配制御弁80(熱交換器バルブ84)の開弁条件は、第1の実施形態と同様に車室ヒータ6の車室内への吹き出し量が最大設定されたときに暖気に必要な熱量が確保されるように設定されている。
従って、エンジン2の冷間始動状態から、車室ヒータ6への熱量供給(暖気)が優先されるとともに、熱量供給に余裕があるときには熱交換器バルブ84の開弁量に応じて油水熱交換器7にも併せて熱量供給(分配)される。このような熱量分配制御弁80の動作により、車室ヒータ6及び油水熱交換器7に供給される熱量配分が最適化される。
・前記第1の実施形態において、図2に示すヒータバルブ24及び熱交換器バルブ25を各々の熱交換器下流の流路に独立配置してもよい。詳しくは、図9のシステム構成図に示すように車室ヒータ流路13上に配置される熱量分配制御弁86を採用してもよい。すなわち、この熱量分配制御弁86は、上流側が車室ヒータ6と接続されており、下流側が油水熱交換器流路14と合流してサーモスタット16の導入口16eと接続されている。そして、この熱量分配制御弁86は、車室ヒータ6から流入する冷却水の流量を制御する弁部としてのヒータバルブ86aと、同ヒータバルブ86aの下流側において車室ヒータ6から流入する冷却水の水温を感知する感温部材としてのワックスエレメント86bとを備えている。ヒータバルブ86aは、図示しない付勢部材にて車室ヒータ流路13を開放する側に付勢されている。そして、ワックスエレメント86bは、車室ヒータ6からの冷却水の温度が設定値以上において、同温度の上昇に伴いヒータバルブ86aを徐々に閉鎖していくようになっている。なお、熱量分配制御弁86には、ヒータバルブ86aの上下流間を連通するオリフィス(図示略)が設けられており、これによりヒータバルブ86aの開閉の如何に関わらずワックスエレメント86bによる上記冷却水の水温の感知が常時可能となっている。
また、図10のシステム構成図に示すように油水熱交換器流路14上に配置される熱量分配制御弁87を採用してもよい。この場合、弁部としての熱交換器バルブ87aは、図示しない付勢部材にて油水熱交換器流路14を閉鎖する側に付勢されている。そして、感温部材としてのワックスエレメント87bは、油水熱交換器7からの冷却水の温度が設定値以上において、同温度の上昇に伴い熱交換器バルブ87aを徐々に開放していくようになっている。
・前記第1の実施形態において、バイパス流路17及びその周辺構造を割愛してもよい。
・前記第2及び第3の実施形態において、第1の実施形態に準じたバイパス流路及びその周辺構造を追加してもよい。
・前記第2及び第3の実施形態において、第1の実施形態に準じたバイパス流路及びその周辺構造を追加してもよい。
・前記第2〜第4の実施形態においては、外部制御電圧により発熱体を制御してワックスエレメント42,62,72を加熱する場合を説明した。これに対して、外部信号により吸熱体を制御してワックスエレメントを冷却するようにしてもよい。
・前記第2〜第4の実施形態において、車両条件等に応じて外部制御電圧を制御する場合について説明した。こうした外部制御電圧による制御態様の選択にあたっては、外気温、車室温設定値及び現在値、空調作動状態、車両走行条件(車速、エンジン負荷、駆動系負荷等)及び作動油温度・圧力等の各検出値を参照し、燃費、排気浄化性、車室内の快適性等を考慮すればよい。また、吸熱体の制御によりワックスエレメントを冷却する場合についても同様である。
・前記各実施形態においては、基本的に車室ヒータ6への熱量供給を優先する構成を採用したが、油水熱交換器7への熱量供給を優先する構成を採用してもよい。
・前記各実施形態においては、感温部材としてワックスエレメントを採用したが、例えばバイメタルや感温スプリング等を採用してもよい。
・前記各実施形態においては、感温部材としてワックスエレメントを採用したが、例えばバイメタルや感温スプリング等を採用してもよい。
・前記各実施形態においては、第2の熱交換器としてATFとの熱交換を行う油水熱交換器7を採用したが、これに代えて、若しくはこれに加えて、例えば作動油としてエンジンオイルとの熱交換を行う油水熱交換器を採用してもよい。また、複数の油水熱交換器を備える場合には、上記に準じた弁機構を設けて感温部材により弁部を駆動し、その熱量分配を制御させるようにしてもよい。
・前記各実施形態においては、弁構造としてポペット弁構造を採用したが、これに代えてボール弁構造、バタフライ弁構造等を採用してもよい。
1,31,51…車両冷却システム、2…熱源としてのエンジン、3,32,52…冷却回路、4…循環手段としてのウォータポンプ、6…第1の熱交換器を構成する車室ヒータ、7…第2の熱交換器を構成する油水熱交換器、18,35,54,70,80,86…熱量分配制御弁、21a,41a,61a,81a…第1の接続部としてのヒータ側導入口、21b,41b,61b,71d,81b…第2の接続部としての熱交換器側導入口、21c,41c,61d,71e…接続部としての導出口、23,42,62,72,82,86b,87b…感温部材としてのワックスエレメント、25,45,65,75,84,87a…弁部としての熱交換器バルブ、43,63,73…発熱体、61c…第3の接続部としてのバイパス流路側導入口、71a…第1の接続部を構成するヒータ側導入口、71b…第1の接続部を構成する第2流路としての第1ヒータ側分岐路、71c…第1の接続部を構成する第1流路としての第2ヒータ側分岐路、77…第2の弁部としてのヒータバルブ、81c…接続部を構成する第2流路としての第1分岐路、81d…接続部を構成する第1流路としての第2分岐路、85…第2の弁部としてのバルブ、86a…弁部としてのヒータバルブ。
Claims (9)
- 熱源を冷却する冷媒が循環され、該冷媒と車両の所定箇所に供給する空気との間で熱交換するための第1の熱交換器及び該冷媒と作動油との間で熱交換するための第2の熱交換器を有する冷却回路と、該冷却回路に該冷媒を循環させる循環手段とを備える車両冷却システムの熱量分配制御弁であって、
前記第1及び第2の熱交換器の少なくとも一方の下流に配置され、感温部材により駆動される弁部を備えたことを特徴とする熱量分配制御弁。 - 請求項1に記載の熱量分配制御弁において、
前記感温部材は、前記第1及び第2の熱交換器の少なくとも一方の下流に配置されたことを特徴とする熱量分配制御弁。 - 請求項2に記載の熱量分配制御弁において、
前記感温部材の上流側で、該感温部材が配置される第1流路と、該感温部材を迂回する第2流路とに分岐され、
前記感温部材により駆動される第2の弁部を前記第2流路に備えたことを特徴とする熱量分配制御弁。 - 請求項1に記載の熱量分配制御弁において、
前記感温部材は、前記熱源の下流に配置されたことを特徴とする熱量分配制御弁。 - 熱源を冷却する冷媒が循環される冷却回路に設けられて該冷媒と車両の所定箇所に供給する空気との間で熱交換する第1の熱交換器の下流と接続される第1の接続部と、
前記冷却回路に設けられて該冷媒と作動油との間で熱交換する第2の熱交換器の下流と接続される第2の接続部と、
前記冷却回路に該冷媒を循環させる循環手段の上流と接続される接続部と、
前記第1及び第2の接続部の少なくとも一方の下流に配置され、感温部材により駆動される弁部と、を備えたことを特徴とする熱量分配制御弁。 - 請求項5に記載の熱量分配制御弁において、
前記感温部材は、前記第1及び第2の熱交換器の少なくとも一方の下流に配置されたことを特徴とする熱量分配制御弁。 - 請求項6に記載の熱量分配制御弁において、
前記感温部材の上流側で、該感温部材が配置される第1流路と、該感温部材を迂回する第2流路とに分岐され、
前記感温部材により駆動される第2の弁部を前記第2流路に備えたことを特徴とする熱量分配制御弁。 - 請求項5に記載の熱量分配制御弁において、
前記熱源の下流と接続される第3の接続部を備え、
前記感温部材は、前記第3の接続部に配置されたことを特徴とする熱量分配制御弁。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱量分配制御弁において、
外部信号により制御され、前記感温部材を加熱する発熱体又は該感温部材を冷却する吸熱体を備えたことを特徴とする熱量分配制御弁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003303502A JP2005069192A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | 熱量分配制御弁 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003303502A JP2005069192A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | 熱量分配制御弁 |
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Family Applications (1)
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JP2003303502A Pending JP2005069192A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | 熱量分配制御弁 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007120380A (ja) * | 2005-10-27 | 2007-05-17 | Aisin Seiki Co Ltd | エンジン冷却装置 |
KR101618347B1 (ko) | 2015-02-17 | 2016-05-04 | (주) 선두솔루션 | 압력사이클시험이 가능한 냉각수 열량계측장치 |
CN111794847A (zh) * | 2020-06-30 | 2020-10-20 | 东风富士汤姆森调温器有限公司 | 用于内燃机电加热式调温器 |
-
2003
- 2003-08-27 JP JP2003303502A patent/JP2005069192A/ja active Pending
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