JP2005069133A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 吸気管内圧力から筒内充填空気量等を算出する内燃機関の制御装置において、エアクリーナが変更された場合にも容易に適合可能な内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】 下流側吸気管内圧力Pmbと筒内充填空気量等mcbとの関係を適合値A1等を用いることにより近似的に表した式を備えている内燃機関の制御装置において、上記適合値としては、スロットル弁上流側吸気管内圧力が予め定めた基準圧力である場合に上記式により下流側吸気管内圧力Pmbと筒内充填空気量等mcbとの関係が近似的に表せるように定められた適合値A1等を有していて、上記上流側吸気管内圧力が現上流側吸気管内圧力である場合における筒内充填空気量等mcが、上記適合値A1等と、上記現上流側吸気管内圧力と、上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合における上記下流側吸気管内圧力Pmとを用いて求められる、内燃機関の制御装置を提供する。
【選択図】 図4

Description

本発明は内燃機関の制御装置に関する。
近年、内燃機関の吸気系を流体力学等に基づいてモデル化し、そのモデルを用いて算出した制御パラメータに基づいて内燃機関を制御する装置が検討されている。すなわち例えば、内燃機関の吸気系について、スロットルモデル、吸気管モデル、吸気弁モデル等を構築し、これら各モデルを用いることによりスロットル弁開度、大気圧、及び大気温度等から筒内充填空気量等を算出して、これに基づいて内燃機関の制御を行うようにする。
そして、上記の吸気弁モデルの一つとして、スロットル弁下流側の吸気管内圧力(以下、「下流側吸気管内圧力」と称す)と筒内充填空気量またはその相当値(例えば、筒内吸入空気流量や筒内空気充填率等)との関係を、適合値を用いた一次式で表したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、このモデルを用いれば、下流側吸気管内圧力に基づいて筒内充填空気量またはその相当値を求めることができ、また逆に筒内充填空気量またはその相当値に基づいて下流側吸気管内圧力を求めることができる。ここで、上記適合値はその時の運転状態、すなわち例えば機関回転数や吸排気弁の開閉タイミング等に基づいて定められるものであり、事前に実験等によって求めてマップを作成しておき、実際の制御においては、そのマップに基づいて定めるようにされる。
特開2002−180877 特開2001−41095
ところで、上記適合値は、内燃機関の本体部分が同一であっても、吸気系のスロットル弁よりも上流側の部分の構成、例えばエアクリーナ等が異なると、それに伴って異なる値をとることがわかっている。これは、上記適合値が機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分で生じる圧力損失の影響を含んだ形で求められていたためであると考えられるが、その結果として、上記のような一次式を備えた内燃機関の制御装置では、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変わる毎に上記適合値を新たに求めてマップを作成し直すという適合作業が必要となる。つまり、例えばエアクリーナ等の構成が変わる毎に新たなマップを作成する必要が生じ、このような適合のための工数は膨大なものとなる。このため、従来、上記のような一次式を備えた内燃機関の制御装置では、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成、例えばエアクリーナ等の構成が変更された場合に適合が容易ではなかった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、スロットル弁下流側の吸気管内圧力と筒内充填空気量またはその相当値との関係を適合値を用いて表した式を備えていて、該式に基づいてスロットル弁下流側の吸気管内圧力から筒内充填空気量またはその相当値、あるいは筒内充填空気量またはその相当値からスロットル弁下流側の吸気管内圧力を求める内燃機関の制御装置であって、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変更された場合にも容易に適合可能な内燃機関の制御装置を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された内燃機関の制御装置を提供する。
請求項1に記載の発明は、下流側吸気管内圧力と筒内充填空気量またはその相当値との関係を、内燃機関の運転状態に応じて定まる適合値を用いることにより近似的に表した第1の式を備えている内燃機関の制御装置において、上記適合値としては、上記スロットル弁の上流側の上流側吸気管内圧力が予め定めた基準圧力である場合に上記第1の式により上記下流側吸気管内圧力と上記筒内充填空気量またはその相当値との関係が近似的に表せるように定められた適合値を有していて、上記上流側吸気管内圧力が少なくともエアクリーナの圧力損失を考慮した現上流側吸気管内圧力である場合における上記筒内充填空気量またはその相当値が、上記適合値と、上記現上流側吸気管内圧力と、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合における上記下流側吸気管内圧力とを用いて求められる、内燃機関の制御装置を提供する。
また、請求項2に記載の発明は、下流側吸気管内圧力と筒内充填空気量またはその相当値との関係を、内燃機関の運転状態に応じて定まる適合値を用いることにより近似的に表した第1の式を備えている内燃機関の制御装置において、上記適合値としては、上記スロットル弁の上流側の上流側吸気管内圧力が予め定めた基準圧力である場合に上記第1の式により上記下流側吸気管内圧力と上記筒内充填空気量またはその相当値との関係が近似的に表せるように定められた適合値を有していて、上記上流側吸気管内圧力が少なくともエアクリーナの圧力損失を考慮した現上流側吸気管内圧力である場合における上記下流側吸気管内圧力が、上記適合値と、上記現上流側吸気管内圧力と、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合における上記筒内充填空気量またはその相当値とを用いて求められる、内燃機関の制御装置を提供する。
請求項1または2に記載の発明では、上記第1の式の適合値として、上記上流側吸気管内圧力が上記基準圧力である場合についての適合値のみを有している。そして、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合における筒内充填空気量またはその相当値、あるいは下流側吸気管内圧力を求める場合には、上記適合値と、上記現上流側吸気管内圧力と、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合における下流側吸気管内圧力、あるいは筒内充填空気量またはその相当値とを用いて求めるようにされている。
このようにすることによって、エアクリーナ等の機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変更された場合においても、上記現上流側吸気管内圧力が求まれば、その値と、上記上流側吸気管内圧力が上記基準圧力である場合についての上記適合値とを用いて、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合の筒内充填空気量またはその相当値、あるいは下流側吸気管内圧力を求めることができる。つまり、請求項1または2に記載の発明においては、エアクリーナ等の機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変更された場合においても、上記第1の式の適合値を新たに求め直す必要がない。したがって、請求項1または2に記載の発明によれば、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変更された場合にも容易に適合可能な内燃機関の制御装置を提供することができる。
請求項3に記載の発明では請求項1または2に記載の発明において、上記上流側吸気管内圧力が上記基準圧力である場合における下流側吸気管内圧力とスロットル弁通過空気流量との関係を表す第2の式を更に有し、上記第1の式は上記下流側吸気管内圧力と筒内吸入空気流量との関係を上記適合値を用いて近似的に表した式であって、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合において上記適合値を定めた運転状態で定常運転した時の筒内吸入空気流量が、同一の下流側吸気管内圧力に対して上記第1の式で得られる筒内吸入空気流量と上記第2の式で得られるスロットル弁通過空気流量とが一致する時の上記筒内吸入空気流量と、上記現上流側吸気管内圧力とを用いて求められる。
請求項4に記載の発明では請求項1から3の何れかの発明において、上記上流側吸気管内圧力が上記基準圧力である場合における下流側吸気管内圧力とスロットル弁通過空気流量との関係を表す第2の式を有し、上記第1の式は上記下流側吸気管内圧力と筒内吸入空気流量との関係を上記適合値を用いて近似的に表した式であって、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合において上記適合値を定めた運転状態で定常運転した時の下流側吸気管内圧力が、同一の下流側吸気管内圧力に対して上記第1の式で得られる筒内吸入空気流量と上記第2の式で得られるスロットル弁通過空気流量とが一致する時の上記下流側吸気管内圧力と、上記現上流側吸気管内圧力とを用いて求められる。
定常運転をしている場合には、一般に筒内吸入空気流量とスロットル弁通過空気流量とが一致する。したがって、同一の下流側吸気管内圧力に対して上記第1の式で得られる筒内吸入空気流量と上記第2の式で得られるスロットル弁通過空気流量とが一致する時の上記筒内吸入空気流量または上記下流側吸気管内圧力は、上記上流側吸気管内圧力が上記基準圧力である場合において、上記適合値を定めた運転状態で定常運転した時の筒内吸入空気流量または上記下流側吸気管内圧力であると考えられる。請求項3または4に記載の発明では、このようにして求められた上記上流側吸気管内圧力が上記基準圧力である場合において定常運転した時の筒内吸入空気流量または上記下流側吸気管内圧力と、上記現上流側吸気管内圧力とを用いて、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合において定常運転した時の筒内吸入空気流量または上記下流側吸気管内圧力が求められるようになっている。
このようにすることによって、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合において定常運転した時の筒内吸入空気流量または上記下流側吸気管内圧力を直接的に求める場合よりも、計算負荷を軽減することが可能である。
各請求項に記載の発明によれば、スロットル弁下流側の吸気管内圧力と筒内充填空気量またはその相当値との関係を適合値を用いて表した式を備えていて、該式に基づいてスロットル弁下流側の吸気管内圧力から筒内充填空気量またはその相当値、あるいは筒内充填空気量またはその相当値からスロットル弁下流側の吸気管内圧力を求める内燃機関の制御装置であって、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変更された場合にも容易に適合可能な内燃機関の制御装置が提供される。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面において、同一または類似の構成要素には共通の参照番号を付す。
図1は本発明の内燃機関の制御装置を筒内噴射型火花点火式内燃機関に適用した場合の一例を示す概略図である。なお、本発明は別の火花点火式内燃機関や圧縮自着火式内燃機関に適用してもよい。
図1に示したように、機関本体1はシリンダブロック2と、シリンダブロック2内で往復動するピストン3と、シリンダブロック2上に固定されたシリンダヘッド4とを具備する。ピストン3とシリンダヘッド4との間には燃焼室5が形成される。シリンダヘッド4には各気筒毎に吸気弁6と、吸気ポート7と、排気弁8と、排気ポート9とが配置される。更に、図1に示したようにシリンダヘッド4の内壁面の中央部には点火プラグ10が配置され、シリンダヘッド4内壁面周辺部には燃料噴射弁11が配置される。またピストン3の頂面には燃料噴射弁11の下方から点火プラグ10の下方まで延びるキャビティ12が形成されている。
各気筒の吸気ポート7は下流側の吸気管13を介してサージタンク14に連結され、サージタンク14は上流側の吸気管15を介してエアクリーナ16に連結される。上記吸気管15内にはステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置される。一方、各気筒の排気ポート9は排気管19に連結され、この排気管19は排気浄化装置20に連結される。
電子制御ユニット(ECU)31はディジタルコンピュータからなり、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36及び出力ポート37を具備する。上記吸気管13には、スロットル弁18よりも下流側の吸気管内の圧力を検出するための吸気管内圧力センサ40が設けられており、吸気管内圧力センサ40は吸気管内圧力に比例した出力電圧を発生し、この出力電圧が対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、上記吸気管15のエアクリーナ16の直下流側には、エアクリーナ16を通過する空気の流量を計測するためのエアフローメータ23が設けられており、その出力電圧についても対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
更に、スロットル弁18の開度を検出するためのスロットル開度センサ43と、内燃機関の周囲の大気の圧力、または吸気管15に吸入される空気の圧力(吸気圧)を検出するための大気圧センサ44と、内燃機関の周囲の大気の温度、または吸気管15に吸入される空気の温度(吸気温)を検出するための大気温センサ45とが設けられ、これらセンサの出力電圧も対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
また、アクセルペダル46にはアクセルペダル46の踏込み量(以下、「アクセル踏込み量」と称す)に比例した出力電圧を発生する負荷センサ47が接続され、負荷センサ47の出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。クランク角センサ48は例えばクランクシャフトが30度回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート36に入力される。CPU35ではこのクランク角センサ48の出力パルスから機関回転数が計算される。一方、出力ポート37は対応する駆動回路39を介して点火プラグ10、燃料噴射弁11及びステップモータ17等に接続される。
ところで、近年、内燃機関の吸気系を流体力学等に基づいてモデル化し、そのモデルを用いて算出した制御パラメータに基づいて内燃機関の制御を行う内燃機関の制御装置が検討されている。すなわち例えば、内燃機関の吸気系について、スロットルモデル、吸気管モデル、吸気弁モデル等を構築し、これら各モデルを用いることにより各種の制御に必要なパラメータを算出して、これらに基づいて内燃機関の制御を行うようにする。
そして本実施形態においても、図1に示したような構成において、モデルを用いた内燃機関の制御が実施されるのであるが、本実施形態では、制御に用いるモデルのうち、特に吸気弁をモデル化した吸気弁モデルについて、以下で説明するような従来とは異なる考え方を採用している。そしてその結果、例えばエアクリーナ等の機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変更された場合にも適合が容易にできるようになっている。
ここでは、まず、本実施形態の吸気弁モデルの考え方の前提となる一般的な吸気弁モデルについて説明する。すなわち、一般に吸気弁6が閉じた時に燃焼室5内に充填されている空気の量である筒内充填空気量Mc(g)は、吸気弁6が閉弁する時(吸気弁閉弁時)に確定し、吸気弁閉弁時の燃焼室5内の圧力に比例する。また、吸気弁閉弁時の燃焼室5内の圧力は吸気弁上流の気体の圧力、すなわち下流側吸気管内圧力Pm(kPa)と等しいとみなすことができる。したがって、筒内充填空気量Mcは、下流側吸気管内圧力Pmに比例すると近似することができる。
ここで、単位時間当たりにスロットル弁から吸気弁までの吸気管等の部分(以下、「吸気管部分」と称す)13´から流出する全空気の量を平均化したもの、または単位時間当たりに吸気管部分13´から全ての燃焼室5に吸入される空気の量を一つの気筒の吸気行程に亘って平均化したものを筒内吸入空気流量mc(g/s)とすると、筒内充填空気量Mcが下流側吸気管内圧力Pmに比例することから、筒内吸入空気流量mcも下流側吸気管内圧力Pmに比例すると考えられる。このことから、理論及び経験則に基づいて、下記数1が得られる。
Figure 2005069133
ここで、数1におけるa、bは、内燃機関の運転状態、例えば機関回転数等に応じて定まる適合値である。なお、上記適合値a、bは、吸気弁または排気弁の位相角(バルブ開閉タイミング)および作用角等を変更できる可変動弁機構を備えた内燃機関の場合にはこれら位相角、作用角の値にも対応させて定める必要がある。
更に、上記適合値a、bについて、内燃機関の運転状態が同じであっても下流側吸気管内圧力Pmがある所定圧力Pmk以上の場合(Pm≧Pmk)とそれ未満の場合(Pm<Pmk)とでそれぞれ異なる二つの値(例えば、a1、b1及びa2、b2)をとるようにすることによって、筒内吸入空気流量mcをより正確に求めることが可能な場合があることがわかっている。すなわち、上記数1を下記数2のようにすることによって筒内吸入空気流量mcをより正確に求めることが可能となる。なお、この場合、これら二つの式で表される直線は、Pm=Pmkの点において接続される。図2は、数2を図示したものである。
Figure 2005069133
上記数2のようにすることによって、筒内吸入空気流量mcをより正確に求めることが可能となるのは、特に吸気弁6と排気弁7とが共に開いている期間(すなわち、バルブオーバーラップ)がある場合等において既燃ガスが吸気ポート7に逆流することに関連するものと考えられる。すなわち、バルブオーバーラップがある場合において、下流側吸気管内圧力Pmが上記所定圧力Pmk以上である時には、下流側吸気管内圧力Pmが高いほど既燃ガスの逆流が顕著に減少するために、上記所定圧力Pmk未満である時に比較して、aの値は大きくなると共にbの値は小さくなるのである。
ここで、上記筒内吸入空気流量mcについて、図3を参照して内燃機関が4気筒である場合を例にとって説明しておく。図3は横軸がクランクシャフトの回転角度、縦軸が単位時間当たりに上記吸気管部分13´から燃焼室5に実際に流入する空気の量である。図3に示したように、4気筒の内燃機関では、吸気弁6が例えば1番気筒、3番気筒、4番気筒、2番気筒の順に開弁し、各気筒に対応する吸気弁6の開弁量に応じて吸気管部分13´から各気筒の燃焼室5内へ空気が流入する。吸気管部分13´から各気筒の燃焼室5内に流入する空気の流量の変位は図3に破線で示した通りであり、これらを総合した吸気管部分13´から全気筒の燃焼室5に流入する空気の流量は図3に実線で示した通りである。また、例えば1番気筒への筒内充填空気量Mcは図3に斜線で示した部分に相当する。
これに対して、実線で示した吸気管部分13´から全ての気筒の燃焼室5に流入する空気の量を平均化したものが筒内吸入空気流量mcであり、図中に一点鎖線で示されている。そして、この一点鎖線で示した筒内吸入空気流量mcに、4気筒の場合にはクランクシャフトが180°(すなわち、4ストローク式内燃機関において1サイクル中にクランクシャフトが回転する角度720°を気筒数で割った角度)回転するのにかかる時間ΔT180°を乗算したものが筒内充填空気量Mcとなる。したがって、上記数1または2で算出された筒内吸入空気流量mcにΔT180°を乗算することで、筒内充填空気量Mcを算出することができる(Mc=mc・ΔT180°)。更に、この筒内充填空気量Mcを、1気圧、25℃の状態において一気筒当たりの排気量に相当する容積を占める空気の質量で除算することによって筒内空気充填率Klを算出することができる。このように筒内充填空気量Mc、筒内吸入空気流量mc、筒内空気充填率Klは互いに比例関係にあり、何れか一つの値を求めれば他の値を求めることができる。この意味で筒内吸入空気流量mc及び筒内空気充填率Klは筒内充填空気量Mcの相当値であると言える。なお、以上の説明からも明らかなように、上記数1及び数2と同様の式が適合値を適切に換算することで上記筒内充填空気量Mc及び上記筒内空気充填率Klについても成立つが、本明細書では主に、上記数1または数2をもとにして、すなわち筒内吸入空気流量mcに基づいて説明を行うこととする。
ところで、以上で説明した一般的な吸気弁モデルの式、すなわち上記数1または数2を備えた内燃機関の制御装置においては、上記適合値a、bまたはa1、b1及びa2、b2(以下、「適合値a、b等」と称す)は、通常、予め作成しておいたマップから求められる。すなわち、予め実験等によって運転状態毎の適合値a、b等を実測してマップを作成しておき、必要に応じてマップを検索して求めるようにする。
しかしながら、このように実測によって求められた上記適合値a、b等は、内燃機関の本体部分が同一であっても、吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成、例えばエアクリーナ等が異なると、それに伴って異なる値をとることがわかっている。これは、上記適合値a、b等が実測によって求められる際、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分で生じる圧力損失の影響を含んだ形で求められるためであると考えられるが、その結果として、上記数1または数2のような適合値a、b等を含む吸気弁モデルの式を備えた内燃機関の制御装置では、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変わる毎に上記適合値a、b等を新たに求めてマップを作成し直すという適合作業が必要となる。つまり、例えばエアクリーナ等の構成が変わる毎に新たなマップを作成する必要が生じ、このような適合のための工数は膨大なものとなる。このため、従来、上記数1または数2のような吸気弁モデルの式を備えた内燃機関の制御装置では、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成、例えばエアクリーナ等の構成が変更された場合に適合が容易ではなかった。
これに対し、本実施形態では、以下で説明するような方法で上記適合値への上記圧力損失の影響を排除し、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変更された場合にも容易に適合できるようにしている。
すなわち、上記適合値への上記圧力損失の影響を排除するために、スロットル弁18の上流側の吸気管内圧力(以下、「上流側吸気管内圧力」と称す)が基準圧力Pab(例えば、標準大気圧Pas)である場合の下流側吸気管内圧力Pmb(kPa)と筒内吸入空気流量mcb(g/s)との関係を考えると、上記数2と同様にして、以下の数3のように表すことができる。
Figure 2005069133
ここで、A1、B1及びA2、B2は、上記数2の適合値a1、b1及びa2、b2と同様、内燃機関の運転状態に応じて定まる適合値であるが、上記上流側吸気管内圧力が基準圧力Pabであるとした場合に、上記数3によって下流側吸気管内圧力Pmbと筒内吸入空気流量mcbとの関係を近似的に表せるように定められた適合値である。これらは、例えば以下のようにして求められる。
すなわち、まず上記数2における適合値a1、b1及びa2、b2を求めるのと同様に、適合値を求めるべき運転状態において、下流側吸気管内圧力Pmの所定間隔毎に筒内吸入空気流量mcを測定していく。これにより、Pm−mc座標上にプロットが得られる。これらのプロットに基づいて適合値を求めると上記適合値a1、b1及びa2、b2が得られる。すなわち、この時に得られる下流側吸気管内圧力Pmと筒内吸入空気流量mcとの関係は、その測定に用いた内燃機関の吸気系のスロットル弁よりも上流側部分で生じる圧力損失の影響を含んだものである。
一方、上記の測定と同時に各測定時における上記上流側吸気管内圧力を求めておく。この上流側吸気管内圧力は、少なくともエアクリーナ16の圧力損失を考慮して求められるものであり、以下、現上流側吸気管内圧力Pacと称する。この現上流側吸気管内圧力Pacは、スロットル弁18の直上流に圧力センサを設けて検出するようにしてもよいが、圧力センサを使用しないで算出することも可能である。すなわち、大気圧Paと現上流側吸気管内圧力Pacとの差は、ベルヌーイの定理により、下記数4のように表すことができる。
Figure 2005069133
ここで、ρは大気密度であり、vはエアクリーナ16を通過する空気の流速であり、Gaはエアクリーナ16を通過する空気の流量であり、kはvとGaの比例係数である。標準大気密度ρ0と、標準大気密度ρ0を現在の大気密度ρへ変換するための圧力補正係数ekpa及び温度補正係数ekthaとを使用すれば、数4は下記数5のように書き換えることができる。更に、数5は、流量Gaだけを変数とする関数f(Ga)を使用して下記数6のように書き換えることができる。
Figure 2005069133
Figure 2005069133
数6は、現上流側吸気管内圧力Pacを表す下記数7のように変形することができる。数7において、流量Gaは、エアクリーナ16の直下流側に設けられたエアフローメータ23により検出することができる。また、圧力補正係数ekpaは、検出される大気圧Paにより設定可能であり、温度補正係数ekthaは、検出される大気温度Taにより設定可能である。
Figure 2005069133
次いで、このようにして測定または算出された現上流側吸気管内圧力Pacを用いて、上記の筒内吸入空気流量mcの測定で得られたPm−mc座標上の各プロットの座標(Pm,mc)を補正していく。具体的には、各プロットを表す座標(Pm,mc)の値に、基準圧力Pab/現上流側吸気管内圧力Pacを乗ずるようにする。つまり、下記数8のようにする。
Figure 2005069133
そして、このように補正された座標(Pmb,mcb)で表されるプロットに基づいて適合値を求めると上記適合値A1、B1及びA2、B2が得られる。なお、以上の説明から明らかであるが、上記数3における所定圧力Pmkbは上記数2における所定圧力Pmkを用いて表せば、下記数9のようになる。また、上記数2と上記数3を、上記補正前後のプロットと共に図示すると、例えば図4のようになる。
Figure 2005069133
そして、本実施形態においては、吸気弁モデルの式に用いる適合値として、上記のようにして求めた適合値A1、B1及びA2、B2のみをマップとして有している。これらの適合値A1、B1及びA2、B2は、以上で説明したようにして求めることにより、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分で生じる圧力損失の影響が排除されている。つまり、これらの適合値A1、B1及びA2、B2は、数2における適合値a1、b1及びa2、b2等とは異なり、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変更された場合に再適合する必要が無い。
しかしながら、これらの適合値A1、B1及びA2、B2は、上述したように上記上流側吸気管内圧力が基準圧力Pabであるとした場合の適合値であるため、これらの適合値A1、B1及びA2、B2を直接上記数2に適用して、実際の制御に用いることはできない。これは、実際の制御の場面では、エアクリーナ16等の圧力損失があるために、上記上記上流側吸気管内圧力は基準圧力Pabではなく、上記現上流側吸気管内圧力Pacとなっているためである。
そこで、本実施形態では、実際の制御において、すなわち、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力Pacである場合において、実際の下流側吸気管内圧力Pmから筒内吸入空気流量mcを求める場合、あるいは、実際の筒内吸入空気流量mcから下流側吸気管内圧力Pmを求める場合には、実際の下流側吸気管内圧力Pmあるいは筒内吸入空気流量mcについて、まず上記数8で表される処理を行って、その値を上記数3に代入するようにする。そして、得られたmcbあるいはPmbを再度上記数8に代入して、求めるべき筒内吸入空気流量mcあるいは下流側吸気管内圧力Pmを求めるようにする。
言い換えれば、上記数3に上記数8を代入して得られる下記数10を用いて、実際の下流側吸気管内圧力Pmから筒内吸入空気流量mcを、あるいは、実際の筒内吸入空気流量mcから下流側吸気管内圧力Pmを求めるようにする。
Figure 2005069133
上記数10からも明らかなように、本実施形態においては、上記適合値A1、B1及びA2、B2と、上記現上流側吸気管内圧力Pacと、下流側吸気管内圧力Pmとを用いて筒内吸入空気流量mcを求めることができる。また逆に、上記適合値A1、B1及びA2、B2と、上記現上流側吸気管内圧力Pacと、筒内吸入空気流量mcとを用いて下流側吸気管内圧力Pmを求めることができる。
そして、上述したように、上記適合値A1、B1及びA2、B2は、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変更された場合に再適合する必要が無いので、例えばエアクリーナが変更された場合にも、現上流側吸気管内圧力Pacさえ求められれば、すなわちエアクリーナを含めた機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分で生じる圧力損失さえ求められれば、適合値を再適合しなくても、筒内吸入空気流量mcや下流側吸気管内圧力Pmを精度良く求めることができる。このように、本実施形態の内燃機関の制御装置は、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分の構成が変更された場合にも容易に適合が可能である。
ところで、本実施形態の内燃機関の制御装置は更に、スロットル弁をモデル化したスロットルモデルの式として、下記数11を備えている。数11は上記上流側吸気管内圧力が基準圧力Pabである場合の下流側吸気管内圧力Pmb(kPa)とスロットル弁通過空気流量mtb(g/s)との関係について表したものである。すなわち、数11についても、上記数3の場合と同様、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分で生じる圧力損失の影響が排除されている。
ここで、Ta(K)は大気温度、Rは気体定数である。また、μはスロットル弁における流量係数で、スロットル弁開度θtの関数であり、図5に示したようなマップから定まる。また、At(m2)はスロットル弁の開口断面積(以下、「スロットル開口面積」と称す)を示し、スロットル弁開度θtの関数である。なお、これら流量係数μ及びスロットル開口面積Atをまとめたμ・Atをスロットル弁開度θtだけを変数とする関数F(θt)とすると、数11は数12のように書き換えることができる。
Figure 2005069133
Figure 2005069133
Φ(Pmb/Pab)は下記数13に示した関数であり、この数13におけるκは比熱比(κ=Cp(等圧比熱)/Cv(等容比熱)であり、一定値とする)である。この関数Φ(Pmb/Pab)は図6に示したようなグラフに表すことができるので、このようなグラフをマップとしてECUのROMに保存し、実際には数13を用いて計算するのではなくマップからΦ(Pmb/Pab)の値を求めるようにしてもよい。
Figure 2005069133
スロットルモデルの上記数11から数13(以下、「数11等」と称す)は、モデル化したスロットル弁18に対して、上記上流側吸気管内圧力を上記基準圧力Pab、スロットル弁18上流の気体の温度を大気温度Ta、スロットル弁18を通過する気体の圧力を下流側吸気管内圧力Pmbとして、質量保存則、エネルギ保存則及び運動量保存則を適用し、更に気体の状態方程式、比熱比の定義式、及びマイヤーの関係式を利用することによって得られる。
なお、これまでの説明から明らかであると思われるが、機関吸気系のスロットル弁よりも上流側部分で生じる圧力損失の影響を含めた場合、すなわち上記上流側吸気管内圧力が少なくともエアクリーナ16の圧力損失を考慮して求められる現上流側吸気管内圧力Pacである場合における下流側吸気管内圧力Pmとスロットル弁通過空気流量mtとの関係を表す式については、上記Pmbと上記Pmとの関係及び上記mtbと上記mtとの関係が下記数14のように表せることから、上記数11に基づいて下記数15のようになる。また、同様に上記数12及び数13に対応する式は、下記数16及び数17のようになる。これら数15から数17(以下、「数15等」と称す)は、実際の下流側吸気管内圧力Pmとスロットル弁通過空気流量mtとの関係を表す式であると言え、本実施形態の内燃機関の制御装置が上記数11等と共に上記数15等を備えていてもよい。
Figure 2005069133
Figure 2005069133
Figure 2005069133
Figure 2005069133
ところで、内燃機関の制御を行う場合、特にモデルを用いて内燃機関の制御を行う場合には、制御に関連するパラメータを算出するために、定常運転時におけるスロットル弁下流側の吸気管内圧力Pmtaや筒内吸入空気流量mcta(もしくはそれから算出され得る定常運転時における筒内充填空気量Mctaや筒内空気充填率Klta)が必要となる場合がある。ここで定常運転時における値(上記Pmtaやmcta等)とは、内燃機関をある状態で定常運転した場合に最終的にとる値、すなわち収束値と考えられる値のことである。
これらの値は内燃機関の制御において、主に、複雑な計算を回避したり計算量を低減したりする等して制御負荷を軽減するためや、算出されるパラメータの精度を向上するために用いられる。そして従来、これらの値はマップを用いて求められていたが、マップの作成には多大な時間を要していた。
これに対し、本実施形態では上記Pmtaやmcta(またはKlta等)を必要とする場合、以下で説明するような方法で計算によって求めるようにする。
すなわち、本実施形態の内燃機関の制御装置は、上述したように、上記上流側吸気管内圧力が基準圧力Pabであるとした場合の下流側吸気管内圧力Pmbと筒内吸入空気流量mcbとの関係を表す式(すなわち、上記数3)と、上記上流側吸気管内圧力が基準圧力Pabであるとした場合の上記下流側吸気管内圧力Pmbとスロットル弁通過空気流量mtbとの関係を表す式(すなわち、上記数11等)とを備えている。
そして内燃機関が定常運転されている時にはスロットル弁通過空気流量mtbと筒内吸入空気流量mcbとは一致する。したがって、上記数11等から求められるスロットル弁通過空気流量mtbと上記数3から求められる筒内吸入空気流量mcbとが一致する時の下流側吸気管内圧力Pmbを求めれば、その時の運転条件で定常運転した時の下流側吸気管内圧力Pmtabを求められることになる。また同様に、上記数11等から求められるスロットル弁通過空気流量mtbと上記数3から求められる筒内吸入空気流量mcbとが一致する時の筒内吸入空気流量mcbを求めることで、その時の運転条件で定常運転した時の筒内吸入空気流量mctabを求めることができる(そして、この値から定常運転時における筒内空気充填率Kltab等も求めることができる)。
そして、以上のようにして上記Pmtab及びmctabを求めることは、図7に例示したように上記数11等によって表される曲線mtbと上記数3によって表される直線mcbとの交点EPbを求めることと同義である。ここで、上記交点EPbを求める場合、曲線mtbを表す式である数11等をそのまま用いて上記交点EPbを求めようとすると計算が非常に複雑になる。そこで、計算を簡単にするために、上記数11等を複数の下流側吸気管内圧力Pmbの一次式で近似するようにしてもよい。すなわち、上記曲線mtbを複数の直線で近似するようにする。具体的には、例えば下流側吸気管内圧力Pmbの一定間隔毎に上記数11等に基づいてスロットル弁通過空気流量mtbを算出して下流側吸気管内圧力Pmbの一定間隔毎の上記曲線mtb上の点を求め、これらの隣り合う2点を結ぶ各直線を上記曲線mtbの近似直線として求めるようにする。そして、これらの各近似直線を表す一次式が上記数11等の近似一次式となる。
ところで、上記数11等の一次式への近似は、上記交点EPbを容易に求めるためであるので、ここで必要となるのは上記交点EPbの近傍における上記数11等の近似一次式である。したがって、この近似一次式のみを求めるようにしてもよい。この場合、下流側吸気管内圧力Pmbの一定間隔毎に上記数3に基づいて筒内吸入空気流量mcbも求めておき、スロットル弁通過空気流量mtbと筒内吸入空気流量mcbとの大きさが逆転するところを求めることで上記交点EPbの位置が特定できる。
すなわち、上記交点EPb近傍(すなわち、スロットル弁通過空気流量mtbと筒内吸入空気流量mcbとの大きさが逆転する部分)における近似一次式は、例えば上記数11等で表される曲線mtb上の2点であってスロットル弁通過空気流量mtbと筒内吸入空気流量mcbとの大きさが逆転する前後の2点を結んだ直線を表す一次式とされる。
ところで、上記交点EPbを求めることで得られる定常運転した時の下流側吸気管内圧力Pmtabと、筒内吸入空気流量mctabとは、何れも上記上流側吸気管内圧力が上記基準圧力Pabであるとした場合の値である。したがって、実際の値、すなわち上記上流側吸気管内圧力が少なくともエアクリーナ16の圧力損失を考慮して求められる上記現上流側吸気管内圧力Pacである場合において定常運転した時の下流側吸気管内圧力Pmtaと、筒内吸入空気流量mctaを得るためには、上述したようにして求められた上記Pmtabと上記mctabを現上流側吸気管内圧力Pacを用いて補正する必要がある。そしてこの補正は、下記数18のようにして行うことができる。この数18によって得られた定常運転時の下流側吸気管内圧力Pmta及び筒内吸入空気流量mctaが実際の制御で用いられる値となる。
Figure 2005069133
なお、上記数18により得られる定常運転時の下流側吸気管内圧力Pmta及び筒内吸入空気流量mctaは、図7において点線で示されている上記数2を表す直線mcと上記数15等を表す曲線mtとの交点EPの座標である。したがって、これらPmta及びmctaを求める方法として、上記直線mcと上記曲線mtとの交点EPを直接求める方法も考えられる。しかしながら、そのようにすると、上記交点EPを求める過程において上記現上流側吸気管内圧力Pacを用いた補正を頻繁に行う必要が生じ、計算負荷が増大してしまう。このため、上記定常運転時の下流側吸気管内圧力Pmta及び筒内吸入空気流量mctaを求める場合には、先に説明したような方法、すなわち、まず交点EPbを求め、最後にその座標(Pmtab,mctab)の値を上記現上流側吸気管内圧力Pacを用いて補正する方法をとることが好ましい。
なお、以上の説明では主に筒内吸入空気流量mc(またはmcb)に基づいて説明を行ったが、上述したように、筒内充填空気量Mc、筒内吸入空気流量mc、筒内空気充填率Klは互いに比例関係にあり、適切な係数により互いに換算可能であるので、上述の各方法とほぼ同様の方法によって、上記上流側吸気管内圧力が現上流側吸気管内圧力Pacである場合の筒内充填空気量Mc及び筒内空気充填率Kl、並びに、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力Pacである場合において定常運転した時の筒内充填空気量Mcta及び筒内空気充填率Kltaを求めることが可能である。
図1は、本発明の内燃機関の制御装置を筒内噴射型火花点火式内燃機関に適用した場合の一例を示す概略図である。 図2は、下流側吸気管内圧力Pmと筒内充填空気流量mcとの関係の一例を示す図である。 図3は、筒内充填空気量Mc及び筒内吸入空気流量mcの定義に関する図である。 図4は、上流側吸気管内圧力が基準圧力であるとした場合の下流側吸気管内圧力Pmbと筒内吸入空気流量mcbとの関係と、上流側吸気管内圧力が現上流側吸気管内圧力である場合の下流側吸気管内圧力Pmと筒内吸入空気流量mcとの関係を示した図である。
図5は、スロットル弁開度と流量係数との関係を示す図である。 図6は、関数Φ(Pmb/Pab)を示す図である。 図7は、下流側吸気管内圧力と、スロットル弁通過空気流量及び筒内吸入空気流量との関係を示した図であって、上流側吸気管内圧力が現上流側吸気管内圧力である場合の定常運転時の下流側吸気管内圧力Pmta及び筒内吸入空気流量mctaを求める方法について説明するための図である。
符号の説明
1…機関本体
5…燃焼室
6…吸気弁
7…吸気ポート
8…排気弁
9…排気ポート
11…燃料噴射弁
13…吸気管
18…スロットル弁
23…エアフローメータ

Claims (4)

  1. 下流側吸気管内圧力と筒内充填空気量またはその相当値との関係を、内燃機関の運転状態に応じて定まる適合値を用いることにより近似的に表した第1の式を備えている内燃機関の制御装置において、
    上記適合値としては、上記スロットル弁の上流側の上流側吸気管内圧力が予め定めた基準圧力である場合に上記第1の式により上記下流側吸気管内圧力と上記筒内充填空気量またはその相当値との関係が近似的に表せるように定められた適合値を有していて、
    上記上流側吸気管内圧力が少なくともエアクリーナの圧力損失を考慮した現上流側吸気管内圧力である場合における上記筒内充填空気量またはその相当値が、上記適合値と、上記現上流側吸気管内圧力と、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合における上記下流側吸気管内圧力とを用いて求められる、内燃機関の制御装置。
  2. 下流側吸気管内圧力と筒内充填空気量またはその相当値との関係を、内燃機関の運転状態に応じて定まる適合値を用いることにより近似的に表した第1の式を備えている内燃機関の制御装置において、
    上記適合値としては、上記スロットル弁の上流側の上流側吸気管内圧力が予め定めた基準圧力である場合に上記第1の式により上記下流側吸気管内圧力と上記筒内充填空気量またはその相当値との関係が近似的に表せるように定められた適合値を有していて、
    上記上流側吸気管内圧力が少なくともエアクリーナの圧力損失を考慮した現上流側吸気管内圧力である場合における上記下流側吸気管内圧力が、上記適合値と、上記現上流側吸気管内圧力と、上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合における上記筒内充填空気量またはその相当値とを用いて求められる、内燃機関の制御装置。
  3. 上記上流側吸気管内圧力が上記基準圧力である場合における下流側吸気管内圧力とスロットル弁通過空気流量との関係を表す第2の式を更に有し、
    上記第1の式は上記下流側吸気管内圧力と筒内吸入空気流量との関係を上記適合値を用いて近似的に表した式であって、
    上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合において上記適合値を定めた運転状態で定常運転した時の筒内吸入空気流量が、同一の下流側吸気管内圧力に対して上記第1の式で得られる筒内吸入空気流量と上記第2の式で得られるスロットル弁通過空気流量とが一致する時の上記筒内吸入空気流量と、上記現上流側吸気管内圧力とを用いて求められる、請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 上記上流側吸気管内圧力が上記基準圧力である場合における下流側吸気管内圧力とスロットル弁通過空気流量との関係を表す第2の式を有し、
    上記第1の式は上記下流側吸気管内圧力と筒内吸入空気流量との関係を上記適合値を用いて近似的に表した式であって、
    上記上流側吸気管内圧力が上記現上流側吸気管内圧力である場合において上記適合値を定めた運転状態で定常運転した時の下流側吸気管内圧力が、同一の下流側吸気管内圧力に対して上記第1の式で得られる筒内吸入空気流量と上記第2の式で得られるスロットル弁通過空気流量とが一致する時の上記下流側吸気管内圧力と、上記現上流側吸気管内圧力とを用いて求められる、請求項1から3の何れか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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