JP2005065859A - 認知時間計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 計測対象者に負荷を与えることなく、計測対象者の状況に応じた正確な認知時間を計測する。
【解決手段】 計測対象者の認知時間を算出するに際して、注視点検出部11により、計測対象者の注視点座標を示す注視点座標データを算出すると共に、瞬目状態検出部により、計測対象者の瞬目行為の有無を示す瞬目データを算出する。そして、この認知時間演算部3では、停留時間算出部により、注視点検出部により算出された複数の注視点座標データを用いて、注視点が停留している時間を示す停留時間データを算出して停留時間データ記憶部に蓄積しておく。そして、認知時間頻度分布演算部により、計測対象者の認知時間の算出に用いる停留時間データを瞬目検出部により算出された瞬目データに基づいて選別し、当該選別された停留時間データに基づいて認知時間を算出する。
【選択図】 図4
【解決手段】 計測対象者の認知時間を算出するに際して、注視点検出部11により、計測対象者の注視点座標を示す注視点座標データを算出すると共に、瞬目状態検出部により、計測対象者の瞬目行為の有無を示す瞬目データを算出する。そして、この認知時間演算部3では、停留時間算出部により、注視点検出部により算出された複数の注視点座標データを用いて、注視点が停留している時間を示す停留時間データを算出して停留時間データ記憶部に蓄積しておく。そして、認知時間頻度分布演算部により、計測対象者の認知時間の算出に用いる停留時間データを瞬目検出部により算出された瞬目データに基づいて選別し、当該選別された停留時間データに基づいて認知時間を算出する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、例えば車両を運転する運転者等により周囲の物体を認知するのに要する認知時間を計測する認知時間計測装置に関する。
従来より、車両の運転者の認知時間や応答時間を計測するための技術としては、下記の特許文献1に記載された自動車の運転者の適性検査装置が知られている。
この特許文献1に記載された自動車の運転者の適性検査装置は、アクセルペダルに相当するスイッチ、ブレーキペダルに相当するスイッチ及びカラー表示装置を備える。そして、この自動車の運転者の適性検査装置では、運転者の認知時間や応答時間を計測するに際して、前記カラー表示装置に赤,黄,青の交通信号に相当する図形をランダムな順序、ランダムな時間間隔で表示させ、黄信号を表示させた時刻からアクセルペダルに相当するスイッチが開放された時刻までの認知時間、赤信号を表示させた時刻からアクセルペダルに相当するスイッチを開放するまでの認知時間、及びアクセルペダルに相当するスイッチを開放した時刻からブレーキペダルに相当するスイッチを操作する時刻までの応答時間を計測する。
次に、この自動車の運転者の適性検査装置は、計測終了後、各認知時間、応答時間のそれぞれについて平均値、標準偏差、最大値、変動指数等を求めることにより、各認知時間や応答時間の変動傾向の大きさを示す指標を演算することにより、運転者の適性検査を行っていた。
特許第3100066号
しかしながら、上述した従来の自動車の運転者の適性検査装置では、交通信号に相当する表示を行うことにより運転操作を疑似体験させる装置を用いて、運転者の認知時間や応答時間を算出する装置である。したがって、従来の自動車の運転者の適性検査装置では、運転者の認知時間等を運転シミュレータ上で計測するのみであって、実際に道路上を運転している場合とは運転者の緊張度が異なり、計測した各認知時間や応答時間が実際の運転時の認知時間や応答時間とは異なるという問題点があった。
また、上述の従来の技術を実際の運転時に適用しようとすると、表示画面上に交通信号を提示する必要があり、運転行為中に認知時間や応答時間を計測するため交通信号を提示しなければならないという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、計測対象者に負荷を与えることなく、計測対象者の状況に応じた正確な認知時間を計測することができる認知時間計測装置を提供することを目的とする。
本発明に係る認知時間計測装置では、計測対象者の認知時間を算出するに際して、注視点座標算出手段により、計測対象者の注視点座標を示す注視点座標データを算出すると共に、瞬目行為算出手段により、計測対象者の瞬目行為の有無を示す瞬目データを算出する。そして、この認知時間計測装置では、停留時間算出手段により、注視点座標算出手段により算出された複数の注視点座標データを用いて、注視点が停留している時間を示す停留時間データを算出し、認知時間算出手段により、計測対象者の認知時間の算出に用いる停留時間算出手段により算出された停留時間データを前記瞬目行為算出手段により算出された瞬目データに基づいて選別し、当該選別された停留時間データに基づいて、計測対象者が物体を認知するのに要する認知時間を算出することで、上述の課題を解決する。
本発明に係る認知時間計測装置によれば、注視点座標データと瞬目データから、計測対象者が物体を認識するための認知時間を算出するので、計測対象者に対して非接触での認知時間の計測を可能とし、計測時の計測対象者への負荷が軽減できる。したがって、この認知時間計測装置によれば、計測対象者が周囲の単一物体を認識するときの眼状態の特性を利用して、計測対象者に負荷を与えることなく正確に認知時間を計測することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[認知時間を計測するための原理]
先ず、本発明を適用した認知時間計測装置の構成を説明する前に、計測対象者が物体を認知する認知時間を計測するための原理について説明する。ここで、計測対象者の瞬目行為は、3種類ある。すなわち、瞬目行為は、被験者の意志の関与が明確なときの瞬目であって意識的に目を閉じたり合図に合わせて閉じる瞬目随意性瞬目、外的反射誘発刺激が明確なときの瞬目であってゴミなどの異物が目に入らないように防御したり、急な物音や光などによって驚いたときに反射的に眼瞼を閉じる瞬目である反射性瞬目、随意的でもなく外的反射誘発刺激を特定できない瞬目であって計測対象者の認知や心理の状態と深く関わっている自発性瞬目がある。
先ず、本発明を適用した認知時間計測装置の構成を説明する前に、計測対象者が物体を認知する認知時間を計測するための原理について説明する。ここで、計測対象者の瞬目行為は、3種類ある。すなわち、瞬目行為は、被験者の意志の関与が明確なときの瞬目であって意識的に目を閉じたり合図に合わせて閉じる瞬目随意性瞬目、外的反射誘発刺激が明確なときの瞬目であってゴミなどの異物が目に入らないように防御したり、急な物音や光などによって驚いたときに反射的に眼瞼を閉じる瞬目である反射性瞬目、随意的でもなく外的反射誘発刺激を特定できない瞬目であって計測対象者の認知や心理の状態と深く関わっている自発性瞬目がある。
これに対し、本発明を適用した認知時間計測装置では、3種類の瞬目行為のうち、認知や心理の状態が反映される自発性瞬目に着目したものである。
この自発性瞬目の特徴としては、(1)視覚情報に注意・関心が向けられているときの瞬目率低下、(2)思考活動に意識が向けられているときの瞬目率増加、(3)認知判断終了時の瞬目、(4)疲労時の群発瞬目発生率の増加がある。
すなわち、本発明は、図1に示すように、計測対象者の視線移動行為と瞬目行為との関係に着目して認知時間を計測する認知時間計測装置に適用される。そして、この認知時間計測装置は、計測対象者が物体を注視した後の瞬目行為の有無と、計測対象者が物体を注視した後の視線移動行為の有無との関係により、視線移動行為を行う直前の注視状態を区分している。
図1によれば、物体注視後の瞬目行為が有る場合であって注視後の視線移動行為が有る場合には、当該注視行為が物体自体を認識するためのものであって、例えば道路標識を読んだり、他車又は人等を認識するための注視行為である。これは、上述の自発性瞬目のうち(3)であり、注視対象を認識した後の瞬目行為に相当する。
また、物体注視後の瞬目行為が有る場合であって注視後の視線移動行為が無い場合には、単位時間当たりの瞬目行為の頻度が高く、計測対象者の思考負荷が高い状態である。これは、上述の自発性瞬目のうち(2)に相当する。
更に、物体注視後の瞬目行為が無い場合であって注視後の視線移動行為が無い場合には、単位時間当たりの瞬目行為の頻度が低く、注視対象物に対する注意や関心が高い状態である。これは、上述の自発性瞬目のうち(1)に相当する。
更にまた、物体注視後の瞬目行為が無い場合であって注視後の視線移動行為が有る場合には、当該注視行為が物体の位置関係(空間全体)を認識するためのものである。これは、上述の自発性瞬目のうち(3)であり、空間全体の認識途中の視線移動で、空間全体の認識が終了していない状態に相当する。
この自発性瞬目のうち(3)の特徴は、認知判断終了時に瞬目が生じる特性を含む。すなわち、計測対象者が、ある一つの対象物を認識終了と同時に瞬目が生じる確率が著しく増加する。例えば、運転中に道路標識の内容を認識したり、路肩を歩いている人の特徴を認識したりした後、瞬目生起率が高い。これはひとつの対象を認識した後、別の対象を認識するために視覚情報をリセットするためと考えられている。
また、計測対象者により認識する対象が、個別の単体の物体ではなく、相対的な位置把握(空間構成や空間構造)である場合、各物体の位置関係を認識するために視線移動が行われるが、位置関係が把握されたときに瞬目が生じる。別の見方をすると、位置関係を把握するまで瞬目が生じる確率は低くなる。例えば、前方の道路形状を把握するための視線移動や、路肩にいる人の位置を把握している行為中において、計測対象者は、視線移動が行われるものの連続性のある一つの対象として認識しようとしているため、瞬目の生起率は低い。
上述したように、あるひとつの視認対象を認識した後に認知判断終了の瞬目が生じる確率が高くなる。したがって、注視点の停留状態から瞬目を伴う飛越眼球運動が生じたときには、道路標識等の停留した物体を視認対象として認識している確率が高くなるため、飛越眼球運動が行われる直前の停留時間が認知のために用いられた時間であると考えられる。しかしながら、瞬目の生起はあくまでも確率的な要素が含まれる。このため、認知時間計測装置では、停留時間を統計的に処理し、最も瞬目行為が生起する頻度の高い停留時間を認知時間として抽出する。
したがって、この認知時間計測装置では、認知時間を計測するために、物体注視後の瞬目行為が有る場合であって注視後の視線移動行為が有る場合、すなわち上述の自発性瞬目のうち(3)の特徴を利用する。ここで、認知時間計測装置では、図2に示すように、瞬目生起頻度と、瞬目を伴う飛越眼球運動直前の注視点停留時間との関係を計測する。これにより、認知時間計測装置では、計測対象者が物体を注視する時間に対する瞬目行為が発生する頻度を計測する。そして、この認知時間計測装置では、注視後に瞬目行為が発生し、且つ瞬目行為に伴って視線移動行為が発生した場合を複数回に亘って計測し、瞬目行為が発生する前の注視時間の最も頻度が高い注視時間を、計測対象者が車両を運転している時の認知時間の代表値として計測することになる。
[認知時間計測装置の構成]
つぎに、上述したような認知時間を計測するための原理に基づいて、計測対象者が車両を運転している時の認知時間を計測して、計測対象者が視認する情報表示位置の制御に反映させる認知時間計測装置について説明する。
つぎに、上述したような認知時間を計測するための原理に基づいて、計測対象者が車両を運転している時の認知時間を計測して、計測対象者が視認する情報表示位置の制御に反映させる認知時間計測装置について説明する。
この認知時間計測装置は、図3に示すように、計測対象者の眼球部分を撮像可能な位置に設けられた眼状態計測部1、車両駆動部分に接続された車速センサ2、例えば車両のインストルメントパネル内に設けられた認知時間演算部3及び表示内容演算部4、計測対象者から視認可能な位置に設けられた表示装置5を備えて構成されている。
眼状態計測部1は、計測対象者である運転者の注視点位置及び瞬目状態を計測する。この眼状態計測部1は、赤外線角膜反射や、画像処理を行って注視点位置及び瞬目状態を計測する。
これにより、眼状態計測部1は、時間軸に従った注視点座標データ及び瞬目データを作成して、認知時間演算部3に送る。なお、眼状態計測部1は、注視点座標データと瞬目データと個別に計測処理しても良く、視線移動信号のみを計測して当該視線移動信号が所定の値になったときに瞬目状態であると判断して瞬目データを抽出しても良い。
また、車速センサ2は、自車両が走行しているか否かを示す車速データを作成して、認知時間演算部3に送る。
認知時間演算部3は、眼状態計測部1からの注視点座標データ及び瞬目データ、車速センサ2からの車速データを用いて、計測対象者の運転時の認知時間を演算する。なお、この認知時間演算部3の処理内容については後述する。
表示内容演算部4は、表示装置5に各種情報を表示させるに際して、認知時間演算部3によって演算された認知時間に基づいて、表示内容を演算する。具体的には、計測対象者の認知時間が長い場合には、表示内容を容易に視認させるために、表示文字等のサイズや情報量を制限する。このとき、表示内容演算部4では、認知時間の変化に対する表示サイズの変化及び情報量の変化を記述したマップデータを予め用意しておき、認知時間演算部3から認知時間が送られることに応じて、マップデータを参照して表示サイズ及び情報量を変化させる。
また、この認知時間計測装置では、車両の外界の物体を認識するときの認知時間を計測するため、計測対象者の認知時間が予め設定した所定値よりも長い場合には、表示内容演算部4により、外界に関する情報を車室内の表示装置5に表示させても良い。このとき、認知時間計測装置では、例えば図示しないナビゲーションシステムに記憶された情報を使用して外界に関する情報を表示装置5に表示させても良く、センサにより車両周辺に存在する物体に関する情報を検出して外界に関する情報を表示装置5に表示させても良い。
「認知時間演算部3の機能的な構成」
このような認知時間計測装置において、認知時間演算部3は、図4に示すような機能的な構成を有している。
このような認知時間計測装置において、認知時間演算部3は、図4に示すような機能的な構成を有している。
ここで、眼状態計測部1は、例えばアイトラッカシステムによって構成されることにより、注視点座標データを作成する注視点検出部11と瞬目データを作成する瞬目状態検出部12とを有している。
認知時間演算部3は、図示しないROM(Read Only Memory)等に認知時間を演算するためのプログラムデータを記憶しておき、当該プログラムデータをCPU(Central Processing Unit)により実行することにより、図4に示す各部を有する。すなわち、認知時間演算部3は、注視点検出部11と接続された注視点移動量算出部21、注視点停留状態判断部22、瞬目状態検出部12と接続された瞬目有無判断部23、停留時間算出部24、車速センサ2と接続された停留時間データ選別部25、停留時間データ記憶部26、表示内容演算部4と接続された停留時間データ頻度分布演算部27を有する。
注視点移動量算出部21は、注視点検出部11から時間的に前後する複数の注視点座標データが送られると、各注視点の移動量を示すデータを算出して、注視点停留状態判断部22に送る。この各注視点の移動量を示すデータは、各注視点座標データ間の単位時間当たりの移動距離を示す。
注視点停留状態判断部22は、注視点移動量算出部21から各注視点の移動量を示すデータが送られると、各注視点間における停留状態を判断する。このとき、注視点停留状態判断部22では、通常、計測対象者が視認対象を認識するに際して、各注視点が微小な動きをするため、単位時間当たりの動きが所定値以下の場合には停留していると判断する。これにより、注視点停留状態判断部22は、各注視点座標データごとに停留状態での注視点であるか否かを判断する。そして、注視点停留状態判断部22は、注視点座標データ及び停留判断結果を瞬目有無判断部23及び停留時間算出部24に送る。
瞬目有無判断部23は、瞬目状態検出部12から時間的に前後する複数の瞬目データが送られ、注視点停留状態判断部22から注視点座標データが送られると、注視点が移動するときに瞬目行為が発生していたか否かを判断する。これにより、瞬目有無判断部23は、瞬目行為が発生したときに検出された注視点座標データを抽出する。そして、瞬目有無判断部23は、瞬目行為発生時の注視点座標データ、瞬目行為を伴わない視線移動による注視点座標データを瞬目判断結果として停留時間データ選別部25に送る。
停留時間算出部24は、注視点停留状態判断部22から停留判定結果が送られると、例えば所定のサンプリング周期ごとに停留時間をカウントアップする。これにより、停留時間算出部24は、注視点が停留していた停留時間データを作成して、停留時間データ選別部25に送る。
停留時間データ選別部25は、瞬目有無判断部23からの瞬目判定結果を用いて、注視点が停留した後に瞬目行為を伴った視線移動行為が行われたか否かを、停留時間算出部24から送られた停留時間データについて判定する。これにより、停留時間データ選別部25では、注視点の停留行為についての停留時間データのうち、停留行為が終了した後に瞬目が行われなかった停留時間データを除外して、停留行為が終了した後に瞬目が行われた停留時間データのみを選別する。そして、停留時間データ選別部25では、選別した停留時間データを停留時間データ記憶部26に記憶させる。
停留時間データ頻度分布演算部27は、停留時間データ記憶部26に蓄積された停留時間データを用いて、停留時間の頻度分布を演算する。そして、停留時間データ頻度分布演算部27は、停留時間の頻度が最も高い停留時間を代表値とし、計測対象者の認知時間として表示内容演算部4に送る。
[認知時間計測装置による認知時間演算処理]
つぎに、上述したように構成された認知時間計測装置により、計測対象者の運転時の認知時間を演算する処理手順について図5のフローチャートを参照して説明する。
つぎに、上述したように構成された認知時間計測装置により、計測対象者の運転時の認知時間を演算する処理手順について図5のフローチャートを参照して説明する。
先ず、認知時間演算部3では、例えば車両のIGNスイッチが操作されて起動した後に、ステップS1において、注視点が停留しているか否かを示す停留フラグの値、及び瞬目が発生しているか否かを示す瞬目フラグの値を、例えばともに「0」とすることにより初期化する。
次に、認知時間演算部3は、ステップS2において、所定のサンプリング周期を計時するタイマのカウントアップを開始し、ステップS3において、注視点検出部11により取得した注視点座標(n)の注視点座標データ、瞬目状態検出部12により取得した瞬目データを読み込む。なお、この認知時間演算処理は、予め設定した所定のサンプリング周期内でステップS2〜ステップS24の処理を実行することにより、所定のサンプリング周期でタイマのカウントアップを実行することになる。
次のステップS4においては、瞬目有無判断部23により、ステップS3にて読み込んだ瞬目データに基づいて時刻nにおける瞬目行為が発生したか否かを判定する。ここで、瞬目有無判断部23は、瞬目行為が発生したと判定した場合にはステップS12に処理を進め、瞬目行為が発生していないと判定した場合にはステップS5に処理を進める。
ステップS5においては、注視点移動量算出部21により、前回(時刻n−1)に取得した注視点座標データの注視点座標(n−1)と、今回(時刻n)のステップS3にて取得した注視点座標データの注視点座標(n)との移動距離を演算して、注視点の移動速度を演算する。
次のステップS6においては、注視点停留状態判断部22により、ステップS5にて演算した注視点の移動速度が所定値以下か否かを判定することにより、注視点が停留しているか否かを判定する。ここで、注視点停留状態判断部22では、所定のサンプリング周期での注視点の移動量が少なく移動速度が所定値以下であるか否かを判定することにより、注視点が停留状態にあるか、跳躍性の眼球運動であるかの判定を行う。そして、注視点停留状態判断部22は、注視点が停留していないと判定した場合には、計測対象者の視認対象が他の物体に移行したと判定してステップS14に処理を進め、注視点が停留していると判定した場合にはステップS7に処理を進める。換言すれば、注視点停留状態判断部22では、注視点の移動が、所定の座標範囲内での移動か否かを判定する。
ステップS7においては、注視点停留状態判断部22により、ステップS6にて注視点が停留していると判定したことに応じて、時刻nにおける停留フラグ(n)の値を「1」に設定して停留時間算出部24に送る。
次に、停留時間算出部24は、ステップS8において時間的に異なる複数の注視点座標データを識別するための注視点座標データ番号をカウントアップし、ステップS9においてステップS8にて記憶した注視点座標データのうち、停留最中の注視点座標データのデータ数のカウントアップをする。
次のステップS10においては、停留時間データ頻度分布演算部27により、ステップS2にてカウントアップをした計時時間が、予め設定した認知時間を求めるための設定時間の倍数であるか否かを判定することにより、認知時間を演算する所定の時間間隔か否かを判定する。そして、停留時間データ頻度分布演算部27では、認知時間を演算するための所定の時間間隔ではないと判定した場合にはステップS2に処理を戻し、認知時間を演算するための所定の時間間隔であると判定した場合にはステップS11に処理を進める。
ステップS11においては、停留時間データ頻度分布演算部27により、ステップS10にて判定対象となった所定の時間間隔内に停留時間データ記憶部26に蓄積しておいた停留時間データを読み出し、停留時間データが示す停留時間の頻度分布を求めて、代表値となる停留時間を演算して表示内容演算部4に送る。
一方、ステップS4にて瞬目行為が発生したと判定した後のステップS12においては、瞬目有無判断部23により、時刻nにおけるN番目の停留点座標算出中に生じた瞬目行為であることを示す瞬目フラグ(N)の値を「1」に設定して停留時間データ選別部25に送り、ステップS13においては、停留時間データ選別部25により、時刻n−1における停留フラグ(n−1)の値が「1」か否かを判定することにより、ステップS4にて判定した瞬目行為が、注視点が停留した直後の瞬目行為か否かを判定する。
そして、停留時間データ選別部25は、注視点が停留した直後の瞬目行為であると判定した場合には、停留時間データを求めるためのステップS16以降に処理を進め、注視点が停留した直後の瞬目行為でないと判定した場合にはステップS10に処理を進める。
また、ステップS6にて注視点の移動速度が所定値以下でないと判定した後のステップS14においては、注視点停留状態判断部22により、時刻nにおける停留フラグ(n)の値を「0」に設定し、ステップS15においては時刻n−1における停留フラグ(n−1)の値が「1」か否かを判定することにより、ステップS6にて判定した視線移動行為が、注視点が停留した直後の視線移動行為か否かを判定する。そして、注視点停留状態判断部22は、注視点が停留した直後の視線移動行為であると判定した場合にはステップS16に処理を進め、注視点が停留した直後の視線移動行為でないと判定した場合にはステップS10に処理を進める。
ステップS16においては、停留時間データ選別部25により、ステップS9にて停留最中の注視点座標データとしてカウントされたデータ数を呼び出す。
次のステップS17においては、停留時間データ選別部25により、ステップS3にて取得した注視点座標データ(n)と同じ所定の座標範囲内の注視点座標データを用いて座標平均を取ることにより停留点座標データを演算して停留点座標データのデータ番号Nをカウントアップする。
次のステップS18においては、停留時間データ選別部25により、ステップS16にて読み出した停留最中に取得した注視点座標データのデータ数に、ステップS2でカウントアップする所定のサンプリング周期を乗算することにより停留時間(N)を示す停留時間データを演算して、一時記憶しておく。
次のステップS19においては、停留時間データ選別部25により、瞬目フラグ(N)の値を「0」に設定することによりリセットし、ステップS20においは、ステップS18にて停留時間データの演算に使用した注視点座標データのデータ数を示すデータをクリアする。
次のステップS21においては、停留時間データ選別部25により、車速センサ2により検出している車速を読み込むことにより、現在車両が走行中か否かを判定する。そして、停留時間データ選別部25では、現在車両が走行中でないと判定した場合にはステップS10に処理を進め、現在車両が走行中であると判定した場合にはステップS22に処理を進める。
ステップS22においては、停留時間データ選別部25により、以前に停留時間データ記憶部26に記憶した時刻n−1での停留時間(N−1)を読み出し、ステップS23においては、時刻n−1での瞬目フラグの値が「1」であったか否かを判定する。そして、停留時間データ選別部25では、瞬目フラグ(N−1)の値が「1」であると判定した場合にはステップS24にて停留時間(N−1)を停留時間データとして停留時間データ記憶部26に記憶させ、瞬目フラグ(N−1)の値が「1」でないと判定した場合には停留時間データ記憶部26に停留時間データを記憶させずにステップS10に処理を進める。
これにより、停留時間データ選別部25では、停留時間データ記憶部26に、瞬目行為が行われた直後に視線移動行為が行われた直前の停留時間を示す停留時間データのみを蓄積する。
このような認知時間演算処理を行う認知時間計測装置では、ステップS4,ステップS6、ステップS12〜ステップS15の処理を行うことにより、注視点の停留した直後の瞬目及び注視点の停留した直後の視線移動を検出すると共に、ステップS23にて直前に瞬目が発生していた場合にのみ停留時間データを停留時間データ記憶部26に蓄積するようにしたので、注視点が停留した後に、瞬目と共に視線移動が行われた停留時間データを蓄積して、図2に示したように停留時間の頻度分布を停留時間データ頻度分布演算部27により求めることができる。
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した認知時間計測装置によれば、注視点座標データと瞬目データから、単一の物体を認識するための認知時間を算出するので、計測対象者に対して非接触での認知時間の計測を可能とし、計測時の計測対象者への負荷が軽減できる。したがって、この認知時間計測装置によれば、計測対象者が周囲の単一物体を認識するときの眼状態の特性を利用して、計測対象者に負荷を与えることなく正確に認知時間を計測することができる。
以上詳細に説明したように、本発明を適用した認知時間計測装置によれば、注視点座標データと瞬目データから、単一の物体を認識するための認知時間を算出するので、計測対象者に対して非接触での認知時間の計測を可能とし、計測時の計測対象者への負荷が軽減できる。したがって、この認知時間計測装置によれば、計測対象者が周囲の単一物体を認識するときの眼状態の特性を利用して、計測対象者に負荷を与えることなく正確に認知時間を計測することができる。
また、この認知時間計測装置によれば、計測対象者に負荷をかけることなく運転中の認知時間が計測可能となり、計測対象者の認知時間が影響する表示サイズや情報量等を制御することにより、表示内容を視認する負荷を低減し、運転性を向上することができる。特に、この認知時間計測装置によれば、高齢ドライバのように認知時間が若年者よりも長くなりがちな運転者の場合、認識しやすく且つ適切な情報量で表示内容を調整することができる。
また、この認知時間計測装置によれば、視線移動速度が所定値以下の場合に同一注視点であると判定して注視点での停留時間を演算し、その演算結果に基づいて認知時間を算出するので、計測対象者の注視対象が徐々に移動する状態、例えば運転中のように景色が流れる状態であっても、正確に認知時間を計測することが可能になる。
更に、この認知時間計測装置によれば、車両外の物体に対する認知時間が長い計測対象者に対して外界に存在する物体に関する情報を表示装置5に表示させることにより、運転者の車両周辺に存在する物体に対する認識を高めることができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
1 眼状態計測部
2 車速センサ
3 認知時間演算部
4 表示内容演算部
5 表示装置
11 注視点検出部
12 瞬目状態検出部
21 注視点移動量算出部
22 注視点停留状態判断部
23 瞬目有無判断部
24 停留時間算出部
25 停留時間データ選別部
26 停留時間データ記憶部
27 停留時間データ頻度分布演算部
2 車速センサ
3 認知時間演算部
4 表示内容演算部
5 表示装置
11 注視点検出部
12 瞬目状態検出部
21 注視点移動量算出部
22 注視点停留状態判断部
23 瞬目有無判断部
24 停留時間算出部
25 停留時間データ選別部
26 停留時間データ記憶部
27 停留時間データ頻度分布演算部
Claims (7)
- 計測対象者の注視点座標を示す注視点座標データを算出する注視点座標算出手段と、
計測対象者の瞬目行為の有無を示す瞬目データを算出する瞬目行為算出手段と、
前記注視点座標算出手段により算出された複数の注視点座標データを用いて、注視点が停留している時間を示す停留時間データを算出する停留時間算出手段と、
計測対象者の認知時間の算出に用いる前記停留時間算出手段により算出された停留時間データを前記瞬目行為算出手段により算出された瞬目データに基づいて選別し、当該選別された停留時間データに基づいて、計測対象者が物体を認知するのに要する認知時間を算出する認知時間算出手段と
を備えることを特徴とする認知時間計測装置。 - 前記認知時間算出手段は、前記停留時間データが示す停留時間の頻度分布を演算し、頻度が最も高い停留時間を認知時間の代表値として算出することを特徴とする請求項1に記載の認知時間計測装置。
- 前記認知時間算出手段は、前記停留時間算出手段により算出された停留時間データのうち、注視点が停留している状態から移動するときに瞬目行為が発生した場合の停留時間データを用いて認知時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の認知時間計測装置。
- 前記停留時間算出手段は、前記注視点座標算出手段により算出された注視点座標の変化から注視点の移動速度を算出して、当該注視点の移動速度が所定値以下である場合に同一の注視点に停留していると判断して停留時間データを算出することを特徴とする請求項1に記載の認知時間計測装置。
- 車両が走行しているか否かを判定する車両走行状態判定手段を更に備え、
前記認知時間算出手段は、前記車両走行状態判定手段により車両が走行していると判定された場合に認知時間を算出することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の認知時間計測装置。 - 前記認知時間算出手段により算出された認知時間に基づいて、情報を表示する表示サイズ又は表示情報量を制御する表示制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の認知時間計測装置。
- 前記認知時間算出手段により算出された認知時間に基づいて、計測対象者に対する外界に関する情報を表示させる表示制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の認知時間計測装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003297801A JP2005065859A (ja) | 2003-08-21 | 2003-08-21 | 認知時間計測装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010273800A (ja) * | 2009-05-27 | 2010-12-09 | Hamamatsu Photonics Kk | 瞬目計測装置及び瞬目計測方法 |
CN104385984A (zh) * | 2013-06-08 | 2015-03-04 | 王芳 | 汽车驾驶员疲劳状态预判系统 |
-
2003
- 2003-08-21 JP JP2003297801A patent/JP2005065859A/ja active Pending
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