上述のように大規模な発電プラントにあっても、あるいは小出力の発電装置にあっても、設備コストの低減、装置の簡素化、係員による保守点検の軽減等のために発電機の本体である交流発電機以外の検出器、調整装置、制御装置、保護装置等極めて多く存在する装置や設備をできるだけ複合化して簡素化し、あるいはできれば除去することによって発電装置のスリム化を図りたいという要請がある。そしてこのスリム化の要請に沿うことは、装置の小型化につながり、季節や時期によって、例えば、水量の豊富な時期、風の強い時期に簡便に設置して発電するという、簡便に設置や収納を可能とする発電装置の提供につながる。
また、風力発電等では設置場所を厳密に選択してなるべく定常入力が得られるようにしているのが、仮に、回転駆動力に大きな変化があったとしてもその変化の影響を少なくして恒常的に発電出力が得られる発電装置を得たいという要請がある。
さらに、例えば船舶とか山小屋等に使用される単独運転用の発電装置などにおいては特別な場合であるが、他の発電装置や送配電設備との系統連系を取る場合においては、同期を採る必要があることから、従来ではインバータが別途必要となって高価なものとなり、またインバータの利用に伴う交流−直流、あるいは直流−交流変換作用にて効率が低下するという問題があった。また、系統連系を行う場合、断線等による負荷停電時でもインバータの動作による活線に伴う危険を防止すべく系統切り離しのための単独運転防止対策や負荷短絡時の防護のための高速遮断器等の連系保護装置が必要となるため、高価で構成上複雑なものとならざるを得なかった。
さらには、風力発電において、強風時に回転駆動力を発電装置から切り離すことなく、風力エネルギーを発電にできるだけ利用したいという要請もある。
この発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、調整制御装置等の設備や装置あるいは保守点検作業をできるだけ少なくしてスリムな発電装置とし、入力である回転駆動力の大小にかかわらず発電を可能とし、系統連系をする場合にはインバータ等の変換器や従来系統連系に必要な単独運転防止対策や連系保護装置等の構成をできるだけ少なくし、回転エネルギーをできるだけ有効利用するようにした発電装置を得ることを目的とする。
上述の目的を達成するため、この発明にかかる発電装置は、回転子巻線を有する回転子と固定子巻線を有する固定子とで構成され、回転子の回転により固定子巻線から発電出力を得る発電装置において、回転子巻線は所定の周期で通電される非接触のスイッチング手段を介して直流電源にて励磁されることを特徴とする。
この発明によれば、非接触のスイッチング手段にて回転子巻線に所定の周期にて励磁電流を流すことになるので、固定子巻線に磁束変化による起電力が誘起し、発電が可能となる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、固定子巻線は、交流電源に接続されて交流励磁されることを特徴とする。
この発明によれば、固定子巻線を界磁巻線として交流励磁することになるので、この交流励磁と同期する非接触のスイッチング手段のオン/オフを回転子巻線の励磁周期とすれば、系統連系が可能となる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、回転子巻線は、回転子鉄心の周方向に単位巻線を並べて形成され、全単位巻線は電気的に結合した巻線に形成したことを特徴とする。
この発明によれば、回転子巻線は、回転子鉄心に単位巻線を鼓上巻きにして単相あるいは多相の巻線を形成し、励磁電流を流すことができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、回転子巻線は、各単位巻線ごとに電気的入出力端子を有し、この電気的入出力端子に直流電源から非接触のスイッチング手段を介して通電し、各単位巻線が配置される回転子鉄心の周方向に所定の周期で回転励磁されることを特徴とする。
この発明によれば、回転子巻線は、電気的入出力端子を介して単位巻線ごとに周方向に順に励磁されるので、回転磁界を形成することができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、回転子巻線は、複数の各単位巻線を一組とし、各組ごとに電気的入出力端子を有し、この電気的入出力端子に直流電源から非接触のスイッチング手段を介して通電し、各単位巻線が配置される回転子鉄心の周方向に所定の周期で回転励磁することを特徴とする。
この発明によれば、電気的入出力端子を介して複数一組の単位巻線ごとに周方向に順に励磁することによっても、回転磁界を形成することができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、直流電源は、電圧源および電流源の双方を含むことを特徴とする。
この発明によれば、電圧源と電流源との切り換えによって、回転子巻線に流れる電流を制御することができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、直流電源は、回転子の同期速度超での回転子巻線との接続状態を回転子の同期速度未満での回転子巻線との接続状態に対して逆接続にしたことを特徴とする。
この発明によれば、回転子の同期速度超にて逆接続に伴う直流電源の充電を行うことができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、非接触のスイッチング手段は、発光素子と受光素子とを含み、受光素子は回転子と同一回転するものであることを特徴とする。
この発明によれば、非接触のスイッチング手段は光によるものとした。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、非接触のスイッチング手段は、磁界とホール素子とを含み、ホール素子は回転子と同一回転するものであることを特徴とする。
この発明によれば、非接触のスイッチング手段は磁気を利用したホール素子によるものとした。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、受光素子をスイッチング動作させる源は、発光素子であることを特徴とする。
この発明によれば、スイッチング手段は非接触の光によるものとすることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、ホール素子を動作させる源は、磁界であることを特徴とする。
この発明によれば、スイッチング手段は非接触の磁気によるものとすることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、受光素子および発光素子は、略円形にかつ略近距離に対面配置され、発光素子の発光により受光素子は能動動作または受動動作することを特徴とする。
この発明によれば、非接触の光結合が確実に得られ、確実なスイッチングが可能となる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、ホール素子および磁界は、略円形にかつ略近距離に対面配置され、磁界の磁束によりホール素子は能動動作または受動動作することを特徴とする。
この発明によれば、非接触の磁気結合が確実に得られ、確実なスイッチングが可能となり、しかも塵埃が多い等の環境であっても適用が可能である。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、発光素子は、回転子とは分離して配置され、受光素子と対面配置される円周方向に順次回転点滅移動することを特徴とする。
この発明によれば、発光素子を順次回転点滅移動させた受光素子制御によって、回転子巻線電流を順に制御することができ、ひいては回転磁界を形成させることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記発明において、磁界は、回転子と分離して配置され、ホール素子と対面配置される円周方向に順次回転励磁移動することを特徴とする。
この発明によれば、磁界を順次回転励磁移動させたホール素子制御によって、回転子巻線電流を順に制御することができ、ひいては回転磁界を形成させることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記発明において、発光素子を交流電源の周波数に同期して回転発光させ、または磁界を交流電源の周波数に同期して回転励磁させるロジック回路を有することを特徴とする。
この発明によれば、発光素子の回転発光あるいは磁界の回転励磁はロジック回路で実現することができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記発明において、回転子巻線に直流電源から供給される電流は、電気角にして略180度離れた電気的入出力端子間にて通電させることを特徴とする。
この発明によれば、回転子巻線に流れる電流に起因して回転磁界を得ることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、非接触のスイッチング手段は、回転子巻線に直流電源から供給される電流を、一の電気的入出力端子に接続される一のスイッチング手段から電気角にして略180度に位置する他の電気的入出力端子に接続される他のスイッチング手段まで、相互に逆方向に流すものであることを特徴とする。
この発明によれば、固定子巻線に起因する界磁極数に応じて容易に回転磁界を得るにあたって、スイッチング素子の逆方向接続によって回転磁界の回転時の電流切り替えを行うことができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、非接触スイッチング手段によって直流電源に接続される相互の電気角にして略180度離れた電気的入出力端子に接続された単位巻線を中心として、周方向に隣り合う単位巻線には相互に逆方向の電流を流すことを特徴とする。
この発明によれば、周方向に隣り合う単位巻線に相互に逆方向に電流を流すことで、単位巻線に流れる電流による電磁石を形成することができ、非接触スイッチング手段の回転開閉制御にて回転磁界を形成することができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、受光素子は、略円形の円周方向に物理角として360度未満の任意の角度範囲に集中して配置されることを特徴とする。
この発明によれば、回転に適した受光素子の配列状態にすることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、ホール素子は、略円形の円周方向に物理角として360度未満の任意の角度範囲に集中して配置されることを特徴とする。
この発明によれば、回転に適したホール素子の配列状態にすることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、回転子巻線を有する回転子と固定子巻線を有する固定子とで構成され、回転子の回転により固定子巻線から発電出力を得る発電装置において、回転子巻線は非接触のスイッチング手段を介して短絡されることを特徴とする。
この発明によれば、特に、回転子の同期速度以上の回転にて発電出力を得ることができ、また、回転子電流を制限することができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、回転子巻線は、各単位巻線ごとに電気的入出力端子を有し、この電気的入出力端子を非接触のスイッチング手段を介し、各単位巻線が配置される回転子鉄心の周方向に所定の周期で短絡されることを特徴とする。
この発明によれば、電気的入出力端子を介して単位巻線ごとに周方向に順に短絡されることで、回転子電流を制限することができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、回転子巻線は、複数の各単位巻線を一組とし、各組ごとに電気的入出力端子を有し、この電気的入出力端子を非接触のスイッチング手段を介し、各単位巻線が配置される回転子鉄心の周方向に所定の周期で短絡することを特徴とする。
この発明によれば、電気的入出力端子を介して複数の一組の単位巻線ごとに周方向に順に短絡することによっても、回転子電流を制限することができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、回転子巻線は、各単位巻線ごとに電気的入出力端子を有し、全ての電気的入出力端子を非接触のスイッチング手段を介し同時に短絡することを特徴とする。
この発明によれば、電気的入出力端子を介して全単位巻線を一斉に短絡することが可能となり、誘導発電機を構成する。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、回転子巻線は、複数の各単位巻線を一組とし、各組ごとに電気的入出力端子を有し、全ての電気的入出力端子を非接触のスイッチング手段を介し同時に短絡することを特徴とする。
この発明によれば、複数の各単位巻線を一組とした各組ごとの電気的入出力端子を介して全単位巻線を一斉に短絡することによっても、誘導発電機を構成することができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、受光素子および発光素子は、略円形にかつ略近距離に対面配置され、発光素子の発光により受光素子は能動動作または受動動作することを特徴とする。
この発明によれば、非接触の光結合が確実に得られ、確実なスイッチングが可能となる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、ホール素子および磁界は、略円形にかつ略近距離に対面配置され、磁界の磁束によりホール素子は能動動作または受動動作することを特徴とする。
この発明によれば、非接触の磁気結合が確実に得られ、確実なスイッチングが可能となり、しかも塵埃が多い等の環境であっても適用が可能である。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、発光素子は、回転子とは分離して配置され、受光素子と対面配置される円周方向に順次回転点滅移動または一斉点滅のいずれかの動作を行うことを特徴とする。
この発明によれば、非接触の光結合が確実に得られ、確実なスイッチングが可能となる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、磁界は、回転子と分離して配置され、ホール素子と対面配置される円周方向に順次回転励磁移動または一斉励磁/非励磁のいずれかの動作を行うことを特徴とする。
この発明によれば、非接触の磁気結合が確実に得られ、確実なスイッチングが可能となる。また、塵埃が多い等の環境であっても適用が可能である。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、発光素子を交流電源の周波数に同期させて発光させ、または磁界を交流電源の周波数に同期させて励磁させるロジック回路を有することを特徴とする。
この発明によれば、発光素子の回転発光あるいは磁界の回転励磁はロジック回路にて得ることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、ロジック回路は、PWM回路にて構成されていることを特徴とする。
この発明によれば、PWM制御によるパルス幅の制御にて電流を制御することができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、回転子巻線の短絡は、電気角にして略180度離れた電気的入出力端子間で行うことを特徴とする。
この発明によれば、電流制限を好適に行うことができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、受光素子は、略円形の円周方向に物理角として360度未満の任意の角度範囲に集中して配置されることを特徴とする。
この発明によれば、回転に適した受光素子の配列状態にすることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、ホール素子は、略円形の円周方向に物理角として360度未満の任意の角度範囲に集中して配置されることを特徴とする。
この発明によれば、回転に適したホール素子の配列状態にすることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、回転子巻線は、回転子鉄心の周方向に単位巻線を並べて形成され、全単位巻線は電気的に結合した巻線に形成したことを特徴とする。
この発明によれば、回転子巻線は、回転子鉄心に単位巻線を鼓上巻きにして単相あるいは多相の巻線を形成し、励磁電流を流すことができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、非接触のスイッチング手段は、発光素子と受光素子とを含み、受光素子は回転子と同一回転するものであることを特徴とする。
この発明によれば、非接触のスイッチング手段は光によるものとした。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、非接触のスイッチング手段は、磁界とホール素子とを含み、ホール素子は回転子と同一回転するものであることを特徴とする。
この発明によれば、非接触のスイッチング手段は磁気を利用したホール素子によるものとした。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、受光素子をスイッチング動作させる源は、発光素子であることを特徴とする。
この発明によれば、スイッチング手段は非接触の光によるものとすることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、ホール素子を動作させる源は、磁界であることを特徴とする。
この発明によれば、スイッチング手段は非接触の磁気によるものとすることができる。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、受光素子は、回転子の回転により固定子と相対位置関係が変動し、発光素子は、回転子の回転如何に関わらず固定子との相対位置関係が一定であることを特徴とする。
この発明によれば、回転子の回転速度如何に関わらず、受光素子に対し同期回転速度にて発光照射可能である。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、ホール素子は、回転子の回転により固定子と相対位置関係が変動し、磁界は、回転子の回転如何に関わらず固定子との相対位置関係が一定であることを特徴とする。
この発明によれば、回転子の回転速度如何に関わらず、ホール素子に対し同期回転速度にて磁界照射可能である。
つぎの発明にかかる発電装置は、上記の発明において、回転子は、発電装置を発電開始に至らすために、カットイン風速近傍において、風車の回転始動を支援することを特徴とする。
この発明によれば、カットイン風速近傍において、風車の回転始動が容易となる。
この発明によれば、回転子巻線は所定の周期で通電される非接触のスイッチング手段を介して直流電源にて励磁されるように構成されるので、スリムな発電装置を実現することができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、固定子巻線は、交流電源に接続されて交流励磁されるように構成されるので、系統連系が可能となるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子巻線は、回転子巻線は、回転子鉄心の周方向に単位巻線を並べて形成され、全単位巻線は電気的に結合した巻線に形成されるので、回転エネルギーの有効利用が可能になるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子巻線は、各単位巻線ごとに電気的入出力端子を有し、この電気的入出力端子に直流電源から非接触のスイッチング手段を介して通電し、各単位巻線が配置される回転子鉄心の周方向に所定の周期で回転励磁することにより、電気的入出力端子を介して単位巻線ごとに周方向に順に励磁されるので、回転駆動力の大小にかかわらず発電することができ、回転エネルギーの有効利用が可能になるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子巻線は、複数の各単位巻線を一組とし、各組ごとに電気的入出力端子を有し、この電気的入出力端子に直流電源から非接触のスイッチング手段を介して通電し、各単位巻線が配置される回転子鉄心の周方向に所定の周期で回転励磁することにより、回転駆動力の大小にかかわらず発電することができ、回転エネルギーの有効利用が可能になるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、直流電源は、電圧源および電流源の双方を含むことにより、電圧源と電流源との切り換えによって、回転子巻線に流れる電流を制御することができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、直流電源は、回転子の同期速度超での回転子巻線との接続状態を回転子の同期速度未満での回転子巻線との接続状態に対し逆接続にしたことにより、回転子の同期速度超にて逆接続に伴う直流電源の充電を行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、非接触のスイッチング手段は、発光素子と受光素子とを含み、受光素子は回転子と同一回転するものであることにより、確実なスイッチングを行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、スイッチング手段は、磁界とホール素子とを含み、ホール素子は回転子と同一回転するものであることにより、塵埃が多い等の環境であっても確実なスイッチングを行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、受光素子をスイッチング動作させる源は、発光素子であることにより、確実なスイッチングを行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、ホール素子を動作させる源は、磁界であることにより、塵埃が多い等の環境であっても確実なスイッチングを行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、受光素子および発光素子は、略円形にかつ略近距離に対面配置され、発光素子の発光により受光素子は能動/受動動作することにより、接触部分のない光結合によるスイッチングが確実に得られるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、ホール素子および磁界は、略円形にかつ略近距離に対面配置され、磁界の磁束によりホール素子は能動動作することにより、接触部分のない磁気結合によるスイッチングが確実に得られるという効果を奏する。また、塵埃が多い等の環境であっても確実なスイッチングを行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、発光素子は、回転子とは分離して配置され、受光素子と対面配置される円周方向に順次回転点滅移動することにより、発光素子を順次回転点滅移動させ受光素子制御を行うことで、回転磁界を形成するとともに、回転子巻線電流を制御できるので、スリムな発電装置を実現することができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、磁界は、回転子と分離して配置され、ホール素子と対面配置される円周方向に順次回転励磁移動することにより、磁界を順次回転励磁移動させホール素子制御を行うことで、回転磁界を形成するとともに、回転子巻線電流を制御できるので、スリムな発電装置を実現することができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、発光素子を交流電源の周波数に同期して回転発光させ、または磁界を交流電源の周波数に同期して回転励磁させるロジック回路を有することにより、発光素子の回転発光あるいは磁界の回転励磁はロジック回路にて容易に得ることができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子巻線に直流電源から供給される電流は、電気角にして略180度離れた電気的入出力端子間にて通電させることにより、固定子巻線に起因する界磁極数に応じて容易に回転磁界を得ることができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、非接触のスイッチング手段は、回転子巻線に直流電源から供給される電流を、一の電気的入出力端子に接続される一のスイッチング手段から電気角にして略180度に位置する他の電気的入出力端子に接続される他のスイッチング手段まで、相互に逆方向に流すものであることにより、固定子巻線に起因する界磁極数に応じて容易に回転磁界を得るにあたって、スイッチング素子の逆方向接続によって回転磁界の回転時の電流切り替えを円滑に行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、非接触スイッチング手段によって直流電源に接続される相互の電気角にして略180度離れた電気的入出力端子に接続された単位巻線を中心として、周方向に隣り合う単位巻線には相互に逆方向の電流を流すことにより、周方向に隣り合う単位巻線に相互に逆方向に電流を流すことで回転磁界を形成することができ、回転エネルギーの有効利用が可能になるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、受光素子は、略円形の円周方向に物理角として360度未満の任意の角度範囲に集中して配置されることにより、回転に適した受光素子の配列状態にすることができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、ホール素子は、略円形の円周方向に物理角として360度未満の任意の角度範囲に集中して配置されることにより、回転に適したホール素子の配列状態にすることができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子巻線を有する回転子と固定子巻線を有する固定子とで構成され、回転子の回転により固定子巻線から発電出力を得る発電装置において、回転子巻線はスイッチング手段を介して短絡することにより、特に回転子の同期速度以上の回転にて発電出力を得ることができ、回転子電流を制限することができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子巻線は、各単位巻線ごとに電気的入出力端子を有し、この電気的入出力端子を非接触のスイッチング手段を介し、各単位巻線が配置される回転子鉄心の周方向に所定の周期で短絡することにより、電気的入出力端子を介して単位巻線ごとに周方向に順に短絡することが可能となり、回転子電流を制限することができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子巻線は、複数の各単位巻線を一組とし、各組ごとに電気的入出力端子を有し、この電気的入出力端子を非接触のスイッチング手段を介し、各単位巻線が配置される回転子鉄心の周方向に所定の周期で短絡することにより、電気的入出力端子を介して単位巻線の組ごとに周方向に順に短絡することが可能となり、回転子電流を制限することができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子巻線は、各単位巻線ごとに電気的入出力端子を有し、全ての電気的入出力端子を非接触のスイッチング手段を介し同時に短絡することにより、電気的入出力端子を介して全単位巻線を一斉に短絡することが可能となり、誘導発電機を構成することができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子巻線は、複数の各単位巻線を一組として各組ごとに電気的入出力端子を有し、全ての電気的入出力端子を非接触のスイッチング手段を介し同時に短絡することにより、電気的入出力端子を介して全単位巻線を一斉に短絡することが可能となり、誘導発電機を構成することができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、受光素子および発光素子は、略円形にかつ略近距離に対面配置され、発光素子の発光により受光素子は能動/受動動作することにより、非接触の光結合が確実に得られ、確実なスイッチングが可能となるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、ホール素子および磁界は、略円形にかつ略近距離に対面配置され、磁界の磁束によりホール素子は電圧を出力することにより、非接触の磁気結合が確実に得られ、確実なスイッチングが可能となり、しかも塵埃が多い等の環境であっても適用が可能となるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、発光素子は、回転子とは分離して配置され、受光素子と対面配置される円周方向に順次回転点滅移動または一斉に点滅のいずれかをすることにより、非接触の光結合が確実に得られ、確実なスイッチングが可能となるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、磁界は、回転子と分離して配置され、ホール素子と対面配置される円周方向に順次回転励磁移動または一斉に励磁・非励磁のいずれかをすることにより、非接触の磁気結合が確実に得られ、確実なスイッチングが可能となり、しかも塵埃が多い等の環境であっても適用が可能となるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、発光素子を交流電源の周波数に同期させて発光させ、または磁界を交流電源の周波数に同期させて励磁させるロジック回路を有することにより、発光素子の回転発光あるいは磁界の回転励磁はロジック回路にて容易に得ることができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、ロジック回路は、PWM回路にて構成されていることにより、PWM制御によりパルス幅の制御にて電流を容易に制御することができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子巻線の短絡は、電気角にして略180度離れた電気的入出力端子間で行うことにより、誘導発電機を構成するととともに電流制限を好適に行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、受光素子は、略円形の円周方向に物理角として360度未満の任意の角度範囲に集中して配置されることにより、回転に適した受光素子の配列状態にすることができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、ホール素子は、略円形の円周方向に物理角として360度未満の任意の角度範囲に集中して配置されることにより、回転に適したホール素子の配列状態にすることができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子巻線は、回転子鉄心の周方向に単位巻線を並べて形成され、全単位巻線は電気的に結合した巻線に形成されるので、回転エネルギーの有効利用が可能になるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、非接触のスイッチング手段は、発光素子と受光素子とを含み、受光素子は回転子と同一回転するものであることにより、確実なスイッチングを行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、スイッチング手段は、磁界とホール素子とを含み、ホール素子は回転子と同一回転するものであることにより、塵埃が多い等の環境であっても確実なスイッチングを行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、受光素子をスイッチング動作させる源は、発光素子であることにより、確実なスイッチングを行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、ホール素子を動作させる源は、磁界であることにより、塵埃が多い等の環境であっても確実なスイッチングを行うことができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、発光素子は固定されているので、回転子の回転速度如何に関わらず、常に、受光素子に対し同期スイッチング可能であり、このため、常に回転子巻線に同期回転磁界を発生させることができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、磁界は固定されているので、回転子の回転速度如何に関わらず、常に、ホール素子に対し同期スイッチング可能であり、このため、常に回転子巻線に同期回転磁界を発生させることができるという効果を奏する。
つぎの発明によれば、回転子には、発電装置が発電する方向に風車を回転させる動力を発生させることが可飽であるため、風車の回転始動が容易となるという効果を奏する。
以下に図面を参照して、この発明にかかる好適な発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[第1の実施形態]
図1は、この発明の第1の実施形態にかかる発電装置の簡略構成図である。この発電装置は、単独運転の発電装置としても系統連系の発電装置としても機能させることができるが、この実施形態は、単独運転の発電装置として機能させる場合の構成を示すものである。なお、同図に示す構成図では、発電装置の構成をわかりやすく説明するために多少の変形を加え、あるいは模式的な構成として表示している。例えば、実際の発電装置では、回転子6が磁極片22の内部に挿入される形で構成されるが、同図では、回転子6の概略構造を明確にするため磁極片22と重ならないように表示している。
図1において、界磁巻線1が巻かれた固定子鉄心2を有する固定子3に対して、回転子巻線4が巻かれた回転子鉄心5を有する回転子6が原動機である風車7を駆動源として回転自在に配置される。回転子6には、回転子巻線4と結線されている複数のSW受光素子8(例えば、フォトダイオード)が回転子6と一体に回転可能に配置され、SW受光素子8に対向するように複数の発光素子9(例えば、発光ダイオード(LED))が配置されている。なお、図1では、図示の都合上、2つの受光素子のみを示しているが、実際は、回転軸に固定された円板の周方向に沿って複数の受光素子が略均一に配列される。
界磁巻線1が巻回された固定子鉄心2のヨーク21の端は、磁極片22をそれぞれ有する2極の界磁極を構成する。この場合、界磁極としては、2極の構成だけでなく2の倍数の極数とすることもできる。また、界磁巻線1は、三相交流電源にも接続することができるが、界磁極として3極もしくは3の倍数の極数に構成することもできる。なお、図1の固定子鉄心2の形状は、実際に即した形状ではなく、説明の都合上、固定子鉄心2のヨーク21の端を形成しているものとして示している。また、磁極片(界磁極)22は、回転子6に合わせた形状とし、ヨーク21は、磁極片22を連結して界磁巻線1が巻回された構造として簡略図示している。
回転子6は、その外周の周方向に等しく配置して形成され軸方向に直線状に形成されたスロット内にコイル辺41を挿入した複数の型巻コイルからなる回転子巻線4を有している。また、オン/オフ機能を有する複数のSW受光素子8の一端は、各型巻コイルのそれぞれの巻線端の引き出し線端(電気的入出力端子)にそれぞれ接続され、一方、複数のSW受光素子8の他端は、スリップリング10a,10bのいずれかに接続されるように構成される。
図2は、回転子巻線4とSW受光素子8との原理的結線状態を簡略的に示す図である。同図において、回転子巻線4の型巻コイル(単位巻線)の一つ一つの引き出し線にそれぞれ2つの受光MOS素子8a11,8b11,8a12,8b12が接続される。ここで、受光MOS素子8a11は、直流電源11のプラス側に接続されるスリップリング10aに結線され、受光MOS素子8b11は、直流電源11のマイナス側に接続されるスリップリング10bに結線される。一方、受光MOS素子8a12は、直流電源11のマイナス側に接続されるスリップリング10bに結線され、受光MOS素子8b12は、直流電源11のプラス側に接続されるスリップリング10aに結線される。
これらの受光素子8a11,8b11,8a12,8b12は、つぎのように制御される。例えば、受光MOS素子8a11がオンとなるとき、電気角で略180度離れた受光MOS素子8a12がオンとなる。このとき、回転子巻線4と受光MOS素子8a11,8a12とによる閉回路が形成され、回転子巻線4には、直流電源11からの直流電流が、スリップリング10a→受光MOS素子8a11→回転子巻線4→受光MOS素子8a12→スリップリング10bの向きの直流電流が流れる。
一方、受光MOS素子8b11がオンとなるとき、電気角で略180度離れた受光MOS素子8b12がオンとなる。このとき、回転子巻線4と受光MOS素子8b11,8b12とによる閉回路が形成され、回転子巻線4には、直流電源11からの電流で上記とは逆向きの直流電流、すなわち、スリップリング10a→受光MOS素子8b12→回転子巻線4→受光MOS素子8b11→スリップリング10bの向きの直流電流が流れる。
図2では、2組の受光MOS素子8a11,8b11,8a12,8b12だけを示しているが、各型巻コイルである単位巻線に接続される2つの受光MOS素子8an1,8bn1(添字nは、回転子巻線の極数の対に対応する番号を示す)と、この単位巻線と電気角にて略180度離れた単位巻線に接続される2つの受光MOS素子8an2,8bn2(上記と同じく、添字nは、回転子巻線の極数の対に対応する番号を示す)との間でも、受光MOS素子8an1,8an2あるいは受光MOS素子8bn1,8bn2をそれぞれ対として、直流電源11と回転子巻線4とがそれぞれ結線される。
なお、これらの受光MOS素子8an1,8bn1,8an2,8bn2は、後述するように回転子巻線4に直流電源11からの電流を導き、かつ、この電流を切り替えて回転磁界を作るためのものである。このため、単位巻線の全てに受光MOS素子を備えることなく、複数の各単位巻線を一組とし、各組ごとに電気入出力端子を用意し、、受光MOS素子8an1,8bn1を接続し、、また、この単位巻線と電気角にて略180度離れた別グループの単位巻線に受光MOS素子8an2,8bn2を接続するようにしてもよい。
図1に戻って、回転子巻線4に接続されたSW受光素子8は、回転子6と一体に回転するため、回転軸に固定された円板の周方向に沿って略均一に配列される構成を有し、遠心力や振動に耐えるように強固に取り付けられている。一方、直流電源11は、回転部分との間でスリップリング10a,10bやブラシを介して接続されることになり、固定状態に置かれる。そのため、直流電源11を回転軸に搭載した一体回転する構造とするときには、スリップリング10a,10bやこのブラシは不要となる。
また、図1において、複数のSW受光素子8に対向して配置された複数の発光素子9は、商用電源電力に接続された発光素子駆動部12に接続される。ここで、発光素子9は、SW受光素子8をオンまたはオフする必要があるためにSW受光素子8と対向して配置される。
図3は、SW受光素子8および発光素子9の配置とこれらの位置関係とを説明するための図である。同図において、円板81には、SW受光素子8が周方向に配列されている。円板81と対峙して配置される板91には、発光素子9がSW受光素子8と対向するように配列されている。この場合、円板81は回転軸と一体で回転する回転体であるのに対し、板91は回転することなく置かれる固定物であるため、板91の形状や発光素子9の取り付け強度も受光側とは異なっていてもよい。
なお、SW受光素子8は、回転体に搭載されるため、図3に示すように円周上に均等に配列されるのが一般的であり、発光素子9は、これらのSW受光素子8に対向するように配列されていればよい。また、SW受光素子8および発光素子9の両者の配置は、360度の円周上に均等に配列することが一般的であるが、この配列に限定されるものではなく、両者ともに360度未満の任意の角度範囲に集中して配列しても構わない。
肝要な点は、回転子巻線4に商用電源の周波数に同期した回転磁界を作ることができればよいのであって、そのためには、所望の時点において、SW受光素子8と対向する発光素子9を確実に発光させるように制御できればよい。より具体的には、回転磁界を生成するために飛び飛びにオンさせたいSW受光素子8に対して、このSW受光素子8に対向する発光素子9を発光させるようにすればよい。あるいは、複数の連続した単位巻線を一組とし、電気角にて略180度離れた単位巻線の組の単位として発光素子9を円周方向に順に組ごとに点滅させ、SW受光素子8を円周方向に順に組ごとに切り替えるようにするなど、その他、種々の変形が可能である。なお、これらの発光制御は、発光素子駆動部12によって容易に実現することができる。
図1に戻って、発光素子9が接続される発光素子駆動部12は、内部にロジック回路を有し、このロジック回路からの制御信号(点滅信号)によって、例えば、50Hzあるいは60Hzの商用電源周波数に同期させ、発光素子9を順に点滅させる機能を有する。いま、ある発光素子が発光した後、つぎの発光素子が発光するまでの単位時間(ミリ秒:ms)あたりの変位量(角度:deg)を発光素子回転角速度(deg/ms)と定義すれば、この発光素子回転角速度は、界磁の磁極数によって変化する。例えば、発光素子9が円周方向に均等に配置され、界磁の磁極数が2極で、商用電源周波数が60Hzの場合では、発光素子回転角速度は、21.6(deg/ms)となる。また、界磁の磁極数が4極、8極、16極、・・・と増加するにつれて電気角360°に相当する物理的な回転角が180°、90°、45°、・・・と減少するので、発光素子回転角速度も、1/2、1/4、1/8、・・・、すなわち、10.8(deg/ms)、5.4(deg/ms)、2.7(deg/ms)・・・と減少していくことになる。
さて、図1に示す構造を有するこの発電装置にあっては、発光素子9側から見ると、前述のように、商用電源に接続された発光素子駆動部12内のロジック回路からの制御信号(点滅信号)によって発光素子9は、電源周波数に同期して点滅する。この点滅の移動によってSW受光素子8のオン/オフの状態が次々と移り変わって回転子巻線4に流れる電流方向が変化することになる。
図4は、この回転子巻線4に流れる電流方向の変化を説明するための図であり、12個の単位巻線(型巻コイル)からなる回転子巻線4と回転子巻線4が接続される整流子13とを有する交流整流子機を平面的に展開した状態を示している。ここで、一般的な交流整流子機に備えられた回転子巻線の構造は、本願発明の発電装置に備えられる回転子巻線4の構造と基本的な点において同一であるため、この交流整流子機を例にとって上述の電流方向の変化の説明を行うことにする。
図4において、整流子13の整流子片13aにブラシ13bが接触した状態が、図2に示す受光MOS素子8a11および受光MOS素子8a12が同時にオンとなった状態に該当する。すなわち、図2における受光MOS素子8a11と受光MOS素子8a12とがオン状態のときが、図4でのニ、ニ位置において整流子片13aとブラシ13bとが接触しているときと等価である。このとき、直流電源11による電流は、同図中、左側のニの位置から右側のニの位置に向って回転子巻線4内を右方向と左方向の2方向に分流することになる。ついで、隣接するSW受光素子8がオン状態になることは、例えば、整流子片13aにブラシ13bが接触した状態が、ホ、ホ位置に移ることであり、この場合では、左側のホの位置から右側のホの位置に向って回転子巻線4内を右方向と左方向の2方向に分流することになる。
このように発光素子9を商用電源周波数に同期して順に点滅させることは、SW受光素子8を商用電源周波数に同期して順にオンさせることであり、図4に示すようにブラシ13bの接触位置が順にシフトし、このシフトにより回転子巻線4内を流れる直流電源11からの電流が順に隣の単位巻線に変移していくことになる。これは、直流電源11から回転子巻線4内に流れる電流によって生じた図中破線で示す電磁石Mが、電流の変移によって商用電源周波数に同期して回転する回転磁界を発生させることになる。換言すれば、発光素子9を順に点滅させ、SW受光素子8を順にオンさせることは、直流電源11からの電流を回転子巻線4内にて順に変移させることにつながり、この変移電流により回転子6に回転磁界を生起させることになる。
図5は、回転子の回転磁界によって界磁巻線に生ずる磁界の変化を説明するための図である。回転子6において、SW受光素子8が順にオンすることによって、直流電源11からスリップリング10a(図中黒丸で示す)を介して流れ込む電流が回転子巻線4を流れスリップリング10b(図中白丸で示す)を抜けて直流電源11に戻る。この回転子巻線4を流れる電流によって、回転子6には同図に示すような回転磁界が生ずる。この回転磁界は、磁極片22での磁界の変化をもたらし、界磁巻線1に誘導起電力を生じさせる。
図5では、界磁巻線1に生ずる磁界の強度変化を、図中N、Sの文字の大きさによって示している。この磁界の変化は、界磁巻線に鎖交する磁束量が変化することによって引き起こされる。1の状態では、同図左側の磁極片では回転磁界のN極と逆極性のS極が生じ、同図右側の磁極片では回転磁界のS極と逆極性のN極が生ずる。これに対して、5の状態では、同図左側の磁極片では回転磁界のS極と逆極性のN極が生じ、同図右側の磁極片では回転磁界のN極と逆極性のS極が生ずる。このように、回転磁界の回転によって界磁巻線に生ずる磁界の強さが1〜5のように変化する。一方、界磁巻線に生ずる起電力は磁束量の変化、つまり磁界の変化量に比例するので、同図に示すように、3の状態ときに最大となり、1および5の状態のときには略0となる。
これまでの説明では、特に断りを入れることなく、風車7は停止している状態にあり、回転子6は物理的に回転していないものとして取り扱ってきた。そこで、つぎに、風車7の回転によって回転子6が物理的に回転している場合について説明する。
まず、回転磁界の周期について考える。回転磁界の変化は、上述したようにSW受光素子8を順にオンさせることによってのみ生ずる。すなわち、回転磁界の変化は、図5に示すように、1〜5の間で半周期の回転磁界が形成され、この周期は起電力の周期と同一である。一方、この起電力の周期は、SW受光素子8の点滅周期とも同一である。したがって、回転磁界の周期は、SW受光素子8の点滅周期と同一であり、回転子6の回転速度には依存しない。このことから、図1において、界磁巻線1から出力される交流出力の周波数は、回転子6の回転速度に依存することなく、発光素子駆動部12によって制御することができる。例えば、発光素子駆動部12が商用電源の周波数に同期して発光素子9を回転点滅させ、SW受光素子8を制御することで、商用電源と同一周波数の交流出力を取り出すことができる。その一方で、商用電源とは異なる周波数の交流出力を取り出すことも可能であり、例えば、商用電源の周波数が50Hzのときに60Hzの交流出力を取り出すこともでき、周波数変換装置としても機能させることができる。
つぎに、界磁巻線1に生ずる起電力の大きさについて考える。界磁巻線1に生ずる起電力の大きさが界磁巻線1を鎖交する磁束の変化量に比例するという事実は、上述したとおりである。つまり、界磁巻線1に生ずる起電力の大きさは、単位時間あたりに界磁巻線1を鎖交する磁束量に比例することになる。一方、風車7が物理的に回転し、回転速度が増加するにつれて、界磁巻線1を横切る回転子巻線4の単位巻線の数が増加する。これは、単位時間当たりに界磁巻線1を通過する磁束量が増大することであり、したがって、回転子6の回転速度が増加すると、界磁巻線1に生ずる起電力が増大することになり、この関係を示したものが図6である。
図6は、第1の実施の形態の発電装置における回転子6の回転速度と界磁巻線1に生ずる起電力(電圧)との関係を示す図である。同図に示す2本のカーブは、それぞれ異なる作用によって生ずる起電力を示しており、一方は、トランス結合作用による起電力(T)であり、他方は、回転による起電力(R)である。なお、これらの2つの起電力の定義(意味)については、後述する。
つぎに、図1に示すこの実施の形態の発電装置において、風車7の動きを加味したときの動作について、図1または図6を用いて説明する。
具体的には、
1 回転子6が停止している場合
また、風車7の回転により生ずる回転駆動力によって、
2 回転子6が同期速度未満で回転している場合
3 同期速度で回転している場合
4 同期速度を超える速度で回転している場合、
の各状態にわたって、界磁巻線1での発生電圧などについて説明する。
(回転子6が停止している場合)
図1において、発光素子9が同期速度で点滅することによりSW受光素子8の導通切り替わりが同期速度に同期して生じる。このとき、回転子巻線4には、図4を用いて上述したように、ブラシ13bの移動によって直流電源11から流れる直流電流の切り替わりが生じる。この直流電流が同期速度で切り替わることにより、回転子6には同期回転磁界が生じ、この回転磁界によって界磁巻線1には、直流電流の切り替わりに同期した誘導起電力が生じる。ここで、この界磁巻線1に生ずる起電力は、界磁巻線1と回転子巻線4との磁気結合に基づいて発生し、また、このとき発生する起電力の大きさは、両者の巻線比等に依存するので、この起電力をトランス結合作用による起電力と呼称する。
図6にも示すように、風車7の停止状態において、このトランス結合作用による起電力が生じている。このように、風車7が停止して回転駆動力がなく回転子6が停止している状態でも、回転子巻線4が界磁極での磁束変化を受けるので、誘導起電力が生ずる。
(回転子6が同期速度未満の速度で回転しているとき)
界磁巻線1に生ずる誘導起電力に関し、風車7が停止している状態から回転し始め、回転子6が同期速度未満の速度で回転している場合はつぎのようになる。風車7の回転駆動力により回転子6が回転し始め物理的回転が増大するにつれて、回転子6の回転と回転磁界の同期回転との間の速度差が次第に小さくなっていく。この状態は、発光素子9の同期速度での点滅に対してSW受光素子8の導通切り替わり速度が相対的に遅くなっていくことを意味する。
すなわち、回転子6が停止しているときと比べ、回転子6の回転速度が同期速度に近づくこととなって、回転子6が停止している際に生じたトランス結合作用のみによる起電力が、回転子6の回転に伴って減少する。一方、回転子6には、受光素子のスイッチングにより直流励磁された巻線が存在するので、この電磁石の回転により発生する起電力が次第に増大する。なお、この起電力を、上記の「トランス結合作用による起電力」と区別するために、「回転による起電力」と呼称する。
また、図6にも示すように、回転子6が同期速度未満で回転している場合、発電装置全体としては、回転子6の物理的回転に基づかないトランス結合作用による起電力(T)が減少する反面、回転子6の回転に基づいて発生する回転による起電力(R)が増大する。回転子6の回転速度が増大するにつれ、SW受光素子8の導通切り替わり速度が相対的に遅くなって、回転子巻線4のリアクタンスが減少し、回転子巻線4のインピーダンスが減少する。この結果、回転磁界を生じさせる電流が増大して磁界が強くなり、界磁巻線1での誘導起電力も大きくなる。
(回転子6が同期速度で回転しているとき)
風車7の回転駆動力によって回転子6の物理的回転とSW受光素子8の導通切り替わりによる回転磁界とが同一の同期速度になった場合については、回転子6の回転速度そのものが、発光素子9の周方向の回転点滅速度と一致するので、SW受光素子8の導通切り替わりがなくなって同一のSW受光素子8のみが導通し続けることになる。このため、偶然に選択された回転子巻線4の入出力端子のみが導通して直流電源11からの直流電流に基づく直流磁界によって生じた電磁石(回転子巻線4の切り替わりによらない)の同期回転によって、界磁巻線1には起電力が生ずる。なお、この起電力は、界磁巻線1を電磁石の磁束が横切ることによって生ずるので、前述した回転による起電力のみが生じ、回転子巻線4には直流電源のみが流れるためトランス結合作用は消滅し、この作用による起電力は略0となる(図6参照)。
(回転子6が同期速度を超えて回転しているとき)
風車7の高速回転によって回転子6の回転が同期速度を超える速度(同期速度超という)で回転する場合は、回転子6が同期回転して回転子巻線4の電磁石が同期回転する場合よりもさらに高速に回転することとなる。つまり、界磁巻線1および回転子巻線4に流れる電流による回転磁界は、回転子6の回転よりも遅れて回転することとなる。したがって、界磁巻線1の磁束変化や回転磁界の回転の元となる発光素子9の点滅による回転が生じない瞬間でも、回転子6自体は物理的に回転していることになる。その結果、回転子巻線4の電磁石の同期回転によって界磁巻線1に生ずる回転による起電力に対し、さらに同期速度を超える分だけの回転子6の回転に起因する磁束変化に基づいた起電力が界磁巻線1に加わる。また、トランス結合作用による界磁巻線1に生じる電圧は、回転子6の回転が同期速度を超過することにより、回転子巻線4の電流の切り替わりが生じ、再び発生する。なお、この電圧は、同期速度未満の場合と同相で、回転子6の回転の増大に伴い、増大する(図6参照)。
上述した動作(作用)を纏めると、界磁巻線1に発生する電圧は、つぎのようになる。
1 回転子6が停止状態のときは、トランス結合作用による起電力のみが生じ、
2 回転子6が同期速度未満の速度で回転しているときは、トランス結合作用による起電力が減少する反面、回転による起電力が増大し、
3 回転子6が同期速度で回転しているときは、回転による起電力のみが生じ、トランス結合作用による起電力は略0となり、
4 回転子6が同期速度を超えて回転しているときは、回転による起電力は増加し、トランス結合作用による起電力は同期速度を境に再び上昇する。
このように、回転子6が停止状態から同期速度を超えて回転する領域の全域にわたって、同期速度で回転している回転子巻線4が発生する回転磁界の周期に同期した同期周波数の発電出力を得ることができる。なお、図6にも示すように、回転子6が同期速度未満で回転している領域では、同期発電機としての振る舞いを呈し、回転子6が同期速度を超えて回転している領域では、誘導発電機としての振る舞いを呈することになる。
なお、回転子6の回転速度が増大すると回転子巻線4に流れる電流が増加するが、回転子巻線4のリアクタンスが大きくなり、回転子巻線4に流れる電流は制限される。したがって、図6に示すように、回転による起電力も徐々に飽和するようになる。一方、回転子巻線4に流す電流を小さくすれば界磁巻線1の起電力を抑制することもできる。つまり、回転子6の回転速度の増大によって増加する回転子電流を積極的に制御することにより、回転速度の変動に応じて、所望のレベルの交流出力を得ることができる。
以上説明したように、この実施の形態の発電装置によれば、回転子巻線を有する回転子と固定子巻線を有する固定子とを備え、回転子巻線が所定の周期で通電される非接触のスイッチング手段を介して直流電源にて励磁されるようにしているので、回転子の回転速度に比例した交流出力を取り出すことができる。また、発光素子駆動部のロジック回路の制御によって、商用電源の周波数に同期させた交流出力や、任意の周波数の交流出力を取り出すことができる。
なお、発光素子9としては、LEDなどの発光素子の他に電磁石に置き換えることも可能である。この場合、SW受光素子8は、フォトトランジスタに代えてホール素子およびトランジスタ8aに置換することができる。なお、この置換については、後述する。
[第2の実施形態]
図7は、この発明の第2の実施形態にかかる発電装置の簡略構成図である。この実施形態は、系統連携の発電装置として機能させる場合の構成を示すものである。同図に示す発電装置は、図1に示す発電装置の界磁巻線1を商用電源に接続し、発電装置の発電出力を商用電源(系統)側に出力させて系統連携できるように構成している。なお、その他の構成については、図1に示す第1の実施の形態の構成と同一または同等であり、これらの構成部については、同一符号を付して示している。
つぎに、図7に示すこの実施の形態の発電装置の動作について説明する。なお、図8−1は、第2の実施の形態の発電装置における回転子6の回転速度と回転子巻線4に生ずる起電力(電圧)との関係を示す図であり、図8−2は、第2の実施の形態の発電装置における回転子6の回転速度と界磁巻線1に生ずる起電力(電圧)との関係を示す図である。
図7において、第1の実施の形態のところで説明したように、発光素子9が同期速度で回転点滅することによりSW受光素子8の導通切り替わりが同期速度に同期して生ずる。このとき、界磁巻線1には、ブラシ13bの移動によって直流電源11から流れる直流電流の切り替わりにて回転子6の回転子巻線4に生じた同期回転磁界によって、上記で定義したトランス結合作用による起電力が生じる。なお、この起電力が回転子6が停止している状態でも生ずることは、第1の実施の形態のときと同様である。
一方、この実施の形態の発電装置では、第1の実施の形態の発電装置と異なり、界磁巻線1の界磁電流による磁束の変化によって回転子巻線4に交流起電力電圧が、発生していることである。これに、発光素子9の発光によって選択された2つのSW受光素子8の間に印加される直流電源11の端子電圧が、印加されることになる。このとき、回転子巻線4には、界磁磁束による誘導起電力と直流電源11による印加電圧とが互いに逆方向に印加されることとなる。この逆向きに印加されるという事象は、同期速度未満の場合であり、後述する。したがって、回転子巻線4に回転磁界を生起させるためには、直流電源11による端子電圧が界磁巻線1と回転子巻線4との巻数比によって決定される誘導起電力電圧より高く設定することが必要である。
すなわち、回転子巻線に発生する電圧に着目すれば、回転子巻線に発生する電圧をE2とし、直流電源電圧をE1とするとき、E1=E2となる回転子6の回転速度P1が存在し、回転子6の回転速度がこのP1を超える領域が発電領域となる(図8−1参照)。一方、界磁巻線に発生する電圧で見れば、回転による起電力(R)は、P1の点からスタートして直線的に増加するカーブとなり、トランス結合作用による起電力(T)は、第1の実施の形態のときと同様に界磁巻線1と回転子巻線4との巻数比によって決定される所定の電圧からスタートして直線的に減少し、回転子6の回転が同期速度で0となり、同期速度を超えて再び上昇する(図8−2参照)。
上述したことから明らかなように、この実施の形態の発電装置では、回転子6がP1の点から同期速度を超えて回転する領域の全域にわたって、同期速度で回転している回転磁界の周期に同期した同期周波数の発電出力を得ることができる。なお、図8−1,8−2に示すように、回転子6の回転速度がP1から同期速度未満の領域では、同期発電機としての振る舞いを呈し、回転子6が同期速度を超えて回転している領域では、誘導発電機としての振る舞いを呈することになる。
一方、上記の領域以外、すなわち、回転子6の回転速度がP1以下の領域での動作について考察するとつぎのようになる。すなわち、この領域では、図8−1に示すように、直流電源11による回転子巻線4への印加電圧(E1)が界磁巻線1による回転子巻線4に発生する起電力(E2)より低くなり、直流電源11側に電流が流れ込むことになる。したがって、この領域では、誘導電動機としての振る舞いを呈することになる。このとき、カットイン風速近傍のブレードの回転始動を支援できる(図8−2参照)。
また、直流電源11の電圧(E1)を界磁巻線1による回転子巻線4に発生する起電力(E2)と同等、あるいは若干高めに設定しておけば、直流電源11の電圧が低下したとしても、上記充電電流によって直流電源11の電圧が復旧した後は、誘導電動機として振る舞うことはないので、この発電装置が系統負荷とならない状態を維持することができる。
図9は、直流電源11を視点とした第2の実施の形態の発電装置の特性を図8−1に示す回転子巻線4に発生する電圧のグラフ上に示した説明図である。以下、同図を用いて、この発電装置の特性を説明する。なお、同図に示すように、回転子6の回転速度に基づいた3つの領域、すなわち、
1 停止状態から回転速度P1までの領域
2 回転速度P1を超え同期速度までの領域
3 同期速度を超える領域
の各領域ごとに、それぞれ説明する。
(停止状態から回転速度P1までの領域)
この領域では、上述したように、直流電源11側に電流が流れ込む領域である。また、この電流は、直流電源11を充電する方向に流れるので、直流電源が二次電池であれば充電することができる。また、この領域は、上述したように、誘導電動機としての振る舞いを呈する領域でもあり、風車7のブレードの回転始動を支援できる領域でもある。
(回転速度P1を超え同期速度までの領域)
この領域は、直流電源11により発電可能な領域である。図10に示すように、直流電源電圧(E1)と回転子巻線4に発生する電圧(E2)との差電圧ΔV1に基づいて回転子巻線4が励磁されるので、回転速度の増大に伴って発電電圧が増加することになる。
(同期速度を超える領域)
同期速度を超える領域では、回転子巻線4に発生する電圧E2は、図9に示すように極性が反転する。したがって、この領域では、直流電源電圧(E1)と回転子巻線4に発生する電圧(E2)との差電圧ΔV3に基づいて回転子巻線4が励磁されることになり、より大きな発電電圧が出力されることが理解できる。なお、ΔV2は、直流電源電圧を0Vにした場合の差電圧を示しており、直流電源電圧がない場合でも発電が可能であることを示している。
また、上述した内容から、この領域では、二次電池である直流電源の極性を反転することによって、発電を可能としつつ、この二次電池を充電することもできることを示している。
つぎに、ΔV1、ΔV2、ΔV3による発電の根拠となる直流電源電圧E1及び回転子巻線4に発生する電圧E2について、図9及び図12により説明する。図12は、回転子巻線4の励磁回路を示している。中心のコイルが回転子巻線4を示している。図中○印中のプラス、マイナスは直流電源電圧E1の電極である。直流電源電圧E1を印加していない場合の図中、トランジスタ8c(上)、8d(下)の両コレタタ間に発生する電圧の実効値が、図9の回転子巻線4に発生する電圧E2である。図9において、回転子の回転速度が、0〜同期回転速度未満では、図12おける、回転子巻線4に発生する電圧の極性は、トランジスタ8c(上)のコレタタ側にプラス、トランジスタ8d(下)のコレクタ側がマイナスとなる。これは、回転子巻線4内を下から上に流す電流となる。この場合、上記電極を導通すると誘導電動機として作用し、発電しない。
したがって、直涜電源電圧E1(E1>E2)を上記電極に印加し、回転子巻線4内を上から下に流す電流を発生させる。これにより、発電機として作用させる電流を作りだすことができる。図9では、ΔV1=E1−E2である。図9で、E2>E1(P1より回転子の回転速度が小なる区間)では、回転予巻線4内を上から下に流す電流を作れず、下から上に流れる電流が発生する。しかし、この区間を利用して回転子6の回転始動支援状態を作れる。
図9において、回転子6の回転が同期回転速度を超えたとき、図12で、回転子巻線4に発生する電圧の極性は、トランジスタ8c(上)のコレタタ側にマイナス、トランジスタ8d(下)のコレクタ側がプラスとなる。この場合、回転子巻線4内を上から下に流す電流が発生し誘導発電機として作用する。図9において、回転子巻線4に発生する電圧E2が同期速度を境に極性反転しているのはこのためである。ΔV2は、回転子6が同期回転速度を超えているため、直流電源電圧E1が0Vでも発電可能であることを示している。ΔV3は、更に、直流電源電圧E1を印加し発電を強力にできることを示している。また、回転子6が同期回転速度を超えている場合、直流電源電圧E1<回転子巻線4に発生する電圧E2となるよう、直流電源電圧E1を設定すれば、直流電源電圧E1が二次電池の場合、この電極の極性を反転することにより充電可能であることがわかる。
上述した動作(作用)を纏めると、界磁巻線1に発生する電圧は、つぎのようになる。
1 回転子6の停止状態から回転速度P1までの領域では、トランス結合作用による起電力のみが生じ、
2 回転子6が回転速度P1を超え同期速度未満の領域では、トランス結合作用による起電力が減少する反面、回転による起電力が増大し、
3 回転子6が同期速度で回転しているときは、回転による起電力のみが生じ、トランス結合作用による起電力は略0となり、
4 回転子6が同期速度を超えて回転しているときは、回転による起電力は増加し、トランス結合作用による起電力は同期速度を境として再び上昇する。
また、発電装置としての振る舞いは、つぎのようになる。
1 回転子6の停止状態から回転速度P1までの領域では、誘導電動機として振る舞い、
2 回転子6が回転速度P1を超え同期速度までの領域では、同期発電機として振る舞い、
3 回転子6が同期速度を超えて回転しているときは、誘導発電機として振る舞うことになる。
また、直流電源11を視点とする発電装置の特性は、つぎのようになる。
1 回転子6の停止状態から回転速度P1までの領域は、充電可能な領域であるとともに、風車7のブレードを回転始動支援できる領域であり、
2 回転子6が回転速度P1を超え同期速度までの領域は、直流電源により発電可能な領域であり、
3 回転子6が同期速度を超えて回転しているときは、直流電源11の充電と発電装置の発電との両者を同時に実現可能な領域である。
つぎに、試作機による実験例について説明する。図10は、実際に製作した試作機の構成を示す図である。同図に使用する符号は、図7に示す構成と同一部分については同一符号を付して示している。図10において、商用交流電源14の電圧を降圧する変圧器15が備えられ、変圧器15の出力を交流電源として発電機の界磁巻線1によって界磁回路が形成されている。発光素子駆動部12は、LED9を商用周波数にて順に発光させる。回転子6は、増速機16を介して、例えば手動にて回転できるように構成されている。また、図示を省略した回転子巻線の引き出し線を直流電源11に接続するためのスリップリング10a、10bは、回転子6に一体的に取り付けられ、また、受光素子8は、円形に配列された円板81に一体的に回転子6に取り付けられている。受光素子8は、スリップリング10a、10bに接続された直流電源11と回転子巻線とを接続するためのものである。なお、回転子巻線4と直流電源11および受光素子8との接続状態は後述する。また、図10においては、界磁電流および界磁電圧(系統電圧)を計測するための測定器(例えば、オシロスコープ17)を備え、直流電源回路、LED回路を開閉する回路スイッチ19、18を備えている。
図11は、直流電源11の回路構成の一例を示す図である。同図に示す直流電源11は、電圧源と電流源の両者の機能を兼ね備え、二次電池であるバッテリ110の出力を電圧源として出力させるためのスイッチ111と、スイッチ111を開いたときに電流源と機能させるための抵抗体112、トランジスタ113、ツェナーダイオード114およびバイアス抵抗器115とを備えている。同図において、スイッチ111が投入されるときには、図示を省略しているスリップリング10a、10bにはバッテリ110の電圧が直接加わって電圧源として機能することになる。一方、スイッチ111を開いた場合には、抵抗体112の電流がツェナーダイオード114によって逆バイアスに調整されるので、トランジスタ113の通電電流が一定に制御され、電流源として機能させることができる。
図12は、図10に示す回路にあって、スイッチ素子である受光素子8a、8bと、トランジスタ8c〜8fとダイオードにより、回転子巻線4を接続した状態を示した回路図である。図2では、受光素子8として受光MOS素子8a11、8a12、8b11、8b12を示したが、同図に示す回路は、これらの受光MOS素子としてフォトトランジスタ8a、8bを用い、これらのフォトトランジスタ8a、8bによって制御されるトランジスタ8c、8d、8e、8fを用いた実際の回路構成である。
図12において、フォトトランジスタ8aは、そのコレクタおよびエミッタがそれぞれトランジスタ8c、8dのベースに接続され、トランジスタ8c、8dのコレクタ間に回転子巻線4が接続される。また、フォトトランジスタ8bはそのコレクタおよびエミッタがそれぞれトランジスタ8e、8fのベースに接続され、トランジスタ8e、8fのコレクタ間に回転子巻線4が接続される。フォトトランジスタ8aとトランジスタ8c、8dとは、直流電源からの電流を回転子巻線4の一方向(上から下方向)に流すためのスイッチング手段であり、フォトトランジスタ8bと、トランジスタ8e、8fとは、直流電源11の電流を回転子巻線4の他方向(下から上方向)に流すためのスイッチング手段である。
つぎに、図12を用いて、この回路の動作について説明する。図示を省略したLED9からの発射光がフォトトランジスタ8aのベースに入射するとき、フォトトランジスタ8aのベース電流が、トランジスタ8c、8dのベース電流として流れて、8c、8dがオンとなり、回転子巻線4を一方向(図中上から下方向)に通電させる状態が生成されるため、直流電源のプラス極から回転子巻線4を介して直流電源のマイナス極に向かって電流が流れる。
一方、図示を省略したLED9からの発射光がフォトトランジスタ8bのベースに入射するとき、フォトトランジスタ8bのベース電流が増幅され、トランジスタ8e、8fのベース電流として流れて8e,8fがオンとなり、回転子巻線4を他方向(図中下から上方向)に通電させる状態が生成されるため、直流電源のプラス極から回転子巻線4を介して直流電源のマイナス極に電流が流れる。
なお、上述したように、フォトトランジスタ8a,8bのいずれか一つにLED9からの発射光が入射され、トランジスタ8c,8dまたはトランジスタ8e,8fのいずれか一方がオンとなる。なお、図2では、8a11と8a12の2個の受光素子を同時にオンする必要があったが、図12では、8aまたは8bのように、1個の受光素子をオンすることで足りる。
また、各トランジスタのコレクタエミッタ間に接続されているダイオードは、トランジスタ保護用としてのダイオードである。また、フォトトランジスタ8a,8bについて、それぞれ別々の回路を設けているのは、回転子6が回転しても、回転子巻線4に流れる電流方向を常に一定にするためである(図5の1の状態と図5の5の状態とを参照)。これは、回転子6の回転により、回転子巻線4が電気角にして180°回転した場合、回転子巻線4に流れる電流方向を逆転しないと、界磁極22側から見ると、回転子巻線4に流れる電流方向が逆転するからであり、これを防止するためである。すなわち、界磁極22(界磁巻線1)に対し、回転子巻線4が発生する磁界の極性を常に一定に保つためである。
このようにして、図10に示す回路構成にあって、界磁巻線1および発光素子駆動部12に商用交流電源を接続することによって、界磁巻線1にて交番磁界あるいは回転磁界が生ずるとともにLED9が順に点滅し、フォトトランジスタ8a、8bが同期速度にて順に導通する。この時点で、界磁巻線1による交番磁界あるいは回転磁界に基づく回転子巻線4への誘導起電力より、直流電源(電圧源)電圧を高く設定することにより、回転子巻線4には直流電源11からの電流が流れ込み発電に寄与する回転磁界を生ずる。
図12について、これまでに説明した事象は、フォトトランジスタ8aが受光し、トランジスタ8c、8dがオンとなった場合である。つぎに、回転子巻線4が電気角180°回転し、フォトトランジスタ8bが受光した場合について説明する。このとき、上記のフォトトランジスタ8aが受光した場合と比較し、回転子巻線4に発生する誘導電圧E2の位相が反転しているため、回転子巻線4に流れる電流は上記の説明とは全て逆方向となる。したがって、トランジスタ8e、8fにより、直流電源電圧E1の極性も反転して、回転子巻線4に印加される。この、直流電源電圧E1の極性反転については更に後述する。
以上、回転子巻線4に発生する電圧は交流であるが、回転子巻線4の両端に現れる瞬間の電圧は、直流電源電圧E1に対し直流電源のように振舞う。
前述の、図9及び図12の説明は、フォトトランジスタ8aが受光し、トランジスタ8c、8dがオンとなった場合を代表して説明している。上記全体の説明に対し、回転子6が停止している場合と、同期速度で回転している場合について説明を加える。回転子6が停止している場合、フォトトランジスタ8aとフォトトランジスタ8bが交互に受光し、電気角180°移相する。回転子6が同期速度で回転している場合は、フォトトランジスタ8aまたはフォトトランジスタ8bのいずれか一方が受光し続ける。このとき、回転子巻線4発生する誘導電圧E2は0となり、直流電源電圧E1が供給する電流が回転子巻線4に流れる。
図13〜図15は、図10に示す回路にあって、オシロスコープ17による電圧および電流波形、すなわち界磁電圧Vおよび界磁電流波形Iを示すグラフである。図13は、図10において、直流電源11の回路スイッチ19を開放し、発光素子駆動部12の回路スイッチ18を開放して、回転子巻線電流を流さないで、かつLED9も点滅させない状態での界磁回路の電圧Vおよび電流Iの波形を示している。同図に示すように、電圧Vに対して電流Iが界磁巻線1のインダクタンス成分によって位相遅れが生じている。なお、この電流Iにより発生する交番磁界あるいは回転磁界に基づき回転子巻線4に誘導起電力(図示しない)が発生する。
図14は、図10に示す回路スイッチ18、19を投入し、発光素子駆動部12を駆動してフォトトランジスタ8a、8bを導通させ、直流電源(電圧源)をスリップリング10a、10bを介して回転子巻線4に接続したときの界磁電圧Vおよび界磁電流波形Iを示すグラフである。このときの計測条件は、直流電源の電圧は20Vであり、変圧器15の二次電圧Vとして交流8Vを印加している。
この状態では、界磁巻線1の電流Iによる磁束変化と回転子巻線数とに依存して回転子巻線4に発生する誘導起電力は、直流電源電圧より低いので回転子巻線4には、フォトトランジスタ8a、8bの導通による励磁電流が流れて回転磁界が生じる。この結果、界磁巻線1には、回転子巻線4の回転磁界と同一周期の起電力が生ずる。この結果、図14に示すように、界磁電圧Vに対してほぼ逆相の界磁電流Iが流れ、発電機から系統側に電力が送られることになる。すなわち、直流電源11による励磁電流にて形成された回転磁界が界磁巻線1の磁束を変化させることで、界磁巻線1に起電力を誘導したことになる。なお、このときの界磁電流Iは、界磁電圧Vに対し位相ずれが少ない逆相であり、また直流電源11による励磁電流は15mA程度であり、励磁電流は極めて少ない。
図15は、図14に示す波形の回路状態において、原動機(例えば手動)により増速機16を介して回転子6を回転させた波形を示すグラフである。ここでは図示のとおり界磁電流Iの波形は、図14の波形と比べても位相の変化は無く、波高値が原動機の回転に応じて大きくなる。すなわち原動機の出力エネルギーが発電電流に変換され、大きな振幅の界磁電流Iが得られている。なお、回転子6の回転速度如何に関わらず、界磁電流の周波数、位相は一定である。
このように、この第2の実施形態の発電装置では、広範囲な回転駆動力の変化があっても恒常的な発電電力が得られ、系統連系を行う場合において、インバータ等の機器が不要となる利点を有している。また、一定周波数の出力を得ることが容易にでき、また、その一方で、前述した電流源、電圧源としての直流電源装置を用いることで、周波数等調整のための調整装置や、出力制御のための制御装置、保護装置等を簡素化することができ、設備コストの低減や、保守点検の軽減を図ることができる。
[第3の実施形態]
図16は、この発明の第3の実施形態にかかる発電装置の簡略構成図である。この実施形態は、第2の実施の形態の発電装置において直流電源を必要としないように構成されている点が大きく相違する。また、直流電源を必要としない構成のため、スリップリング10a,10bも不用となっている。なお、その他の構成については、図7に示す第2の実施の形態の発電装置の構成と同一または同等であり、これらの構成部については、同一符号を付して示している。
また、図17は、回転子巻線4の一端と他端とを接続する一対の受光MOS素子8a、8bの接続を示す図である。同図に示すように、一対の受光MOS素子8a、8bを逆極性にて直列接続し、一方の受光MOS素子8aを一単位巻線に接続し、他方の受光MOS素子8bを一単位巻線とは電気角で略180度離れた別の単位巻線に接続して、これらを同時に受光させることによって受光MOS素子8aと受光MOS素子8bの両者をオンすることができる構成としている。このとき、前述の一の型巻コイルと他の型巻コイルとの間には閉回路が形成され、電流が流れる状態が形成されることになる。
つぎに、図16,図17を用いて、この実施の形態の発電装置の動作について説明する。これらの図において、発光素子駆動部12によって発光素子9が順に点滅され、受光MOS素子8a、8bが同時に順に導通していく状態は、回転子巻線4の短絡された一対の単位巻線が順番に位置を変えて移動する状態となる。ここで、例えば、原動機(風車)7が回転せず回転子6が停止状態か、あるいは、回転子6の回転速度が同期速度未満の場合に、界磁巻線1に流れる励磁電流による磁束変化によって回転子巻線4に誘導起電力が生じ、また、このときに流れる回転子巻線4の電流によって、回転子6にはトルクが発生し、風車7を回転させることになる。
この実施形態は、風車7による回転駆動力によって回転子6が同期速度を超えた回転をしている場合に発電機となる。すなわち、風車7による回転駆動力によって回転子6が同期速度を越える速度になったとき、受光MOS素子8a、8bの点灯に伴って回転子巻線4が部分的に短絡され、いわゆる負のすべりが生じて誘導発電機を構成する。回転子6が同期速度を超えて回転する場合、回転子巻線4に流れる電流は、同期速度未満で回転し、誘導電動機として振る舞う場合に流れる回転子巻線4の電流とは逆方向に流れる。したがって、この逆方向の回転子巻線4の電流の増大によって、界磁巻線1には発電電流が流れることになる。
なお、発光素子駆動部12によって発光素子9が順に点滅され、受光MOS素子8a、8bが同時に順に導通していく状態では、回転子巻線4が順に位置を変えて単位巻線ごとに移動して短絡され、回転子巻線4が順に短絡され切り替わっていく状態になるので、回転子6の回転速度が増加するにつれて、回転子巻線4のリアクタンスが大きくなって、回転子巻線4の過電流が制限される。
また、図18は、太陽電池の受光部8xの導通にてSW受光素子8a、8bをオンする接続構成を示す図である。同図(c)において、受光素子8aのドレイン端子が端に接続され、受光素子8bのドレイン端子が単位巻線の他端に接続されている。また、これらの受光素子8a,8bのソース端子が共通に接続され、同様に共通に接続されたゲート端子との間に、太陽電池8xが配置されている。このような構成であっても、発光素子9からの出力光を太陽電池8xの受光部に照射して太陽電池8xを通電させることで、受光素子8a,8bを導通させることができ、回転子巻線4を短絡状態に設定することができる。
図19−1は、第3の実施形態において界磁巻線1に発生する電圧を示す図であり、図19−2は、第3の実施形態において回転子巻線4に発生する電圧を示す図である。この実施の形態の発電装置は、第2の実施の形態の発電装置において、直流電源電圧(E1)が0Vのときと等価である。つまり、図8−1および図8−2に示すP1が同期速度に一致し、発電開始点が同期速度のポイントに移動することになり、図19−1に示すカーブと一致する。なお、図19−2に示す回転子巻線4に発生する電圧は、界磁巻線1から誘導される起電力であり、図8−1に示す電圧と何ら変わることなく、同様な特性となる。
このように、第3の実施形態の発電装置では、同期速度超の回転速度で一定周波数の発電電力を得ることができる。特に、直流電源を必要とせず、さらに簡易な構成とすることができるので、設備コストの低減や、保守点検の軽減を図ることができる。
[第4の実施形態]
図20は、この発明の第4の実施形態にかかる発電装置の簡略構成図である。この実施形態は、第3の実施の形態の発電装置を前提とし、界磁電流の電流を検出する電流検出器31と、回転子6の回転速度を検出する速度検出器32と、同期周期で発光素子を点滅するPWM方式の発光素子駆動部12をさらに備え、界磁電流と回転速度とに基づいたPWM制御を行って回転子巻線に流れる電流を制御する点に特徴がある。なお、その他の構成については、図16に示す第3の実施の形態の構成と同一または同等であり、これらの構成部については、同一符号を付して示している。
図20において、速度検出器32は、回転子6の回転速度を検出して発光素子駆動部30を制御する。すなわち、回転子6が同期回転速度を超えたとき、発光素子駆動部12の動作を開始し、同期速度未満の場合、発光素子は発光しない。また、電流検出器31は、界磁巻線に流れる界磁電流を検出して発光素子駆動部30を制御する。発光素子駆動部12は、界磁巻線での発電電流が大きい場合に、電流検出器31からの検出信号に基づいて全発光素子9の一斉点灯時間幅をPWM制御によって短く変更する。この制御によって、回転子巻線の過大電流が制限され、界磁巻線1の焼損を防止することができる。
図21は、太陽電池の受光部8xの導通にてSW受光素子8をオンする接続構成を示す図である。第3の実施形態のときと同様に、単位巻線にドレイン端子が接続されている受光素子8の全てのソース端子を共通接続し、このソース端子と全てのゲートを共通接続した端子との間に接続された太陽電池8xを配置することで、全ての回転子巻線4を短絡させることができる。
図22−1は、第4の実施形態において界磁巻線1に発生する電圧を示す図であり、図22−2は、第4の実施形態において回転子巻線4に発生する電圧を示す図である。この実施の形態の発電装置は、誘導発電機の構造と等価であり、誘導発電機の特性を示すことになる。したがって、図22−1、図22−2に示すように、第3の実施の形態の発電装置と同様な特性が得られる。なお、誘導発電機としての回転子電流は、回転数の増大とともに大きくなるのが一般的であるが、この実施の形態の発電装置では、高速回転時には光結合の切り替わりが高速になることで、等価的にリアクタンス成分が増大するので、誘導発電機と比較して電流の増加は、第3の実施形態の発電装置のときと同様に、比較的緩やかな特性を呈するようになる。
このように、第4の実施形態の発電装置では、同期速度超の回転速度で一定周波数の発電電力を得ることができる。特に、直流電源を必要とせず、さらに簡易な構成とすることができるので、設備コストの低減や、保守点検の軽減を図ることができる。また、PWM制御によって回転子巻線に流れる電流制御を行うようにしているので、出力電圧レベルの詳細な制御を行うことができる。さらに、回転子巻線の過大電流が制限されるので、界磁巻線1の焼損を確実に防止することができる。
なお、上述の第2〜4の実施形態において、発光素子9および受光素子8として、図3に示す構造を例示しているが、この構造に限定されるものではなく、これらの発光素子9や受光素子8の変形例には、多くのものがある。例えば、前述したように、板81や91に間隔をあけて素子を配列したり、図3の例示のように、隙間なく密に配列することも可能である。また、長い円弧状の発光素子9や受光素子8を設けたり、さらには、同時に数個の発光素子9や受光素子8を発光あるいは受光させ、あるいは、図23に示すように回転数が大きくなるにしたがって、支点82を中心として錘83に働く遠心力により、スプリング84に抗して受光素子8が回動し、発光素子の光の受光を減少させる構造も考えられる。
図24は、図12の変形例を示す図である。同図において、図12と同一あるいは同等な部分には、同一符号を付している。同図に示す回路は、図12の回路と大略相違することはないが、図12のフォトトランジスタの代わりにホール素子8kとトランジスタ8a,8c,8dとの組み合わせて回路が構成されている。なお、図24においても、図12と同様に、回転子巻線4を他方向(図中下から上方向)に通電するための回路も存在するが、ここでの図示は省略している。
図24に示す回路は、ホール素子8kに電圧を印加すると磁束密度の大きさに比例した電圧を出力するという特性を利用している。具体的には、図示を省略した発光素子9側に電磁石8jを配置し、SW受光素子8側にホール素子8kを配置することで、順に励磁された電磁石8jの磁界がホール素子8kに作用することでホール素子8kが電圧を出力する。この電圧によってベース電流が流れ、トランジスタ8aが導通する。また、トランジスタ8aの導通によって、トランジスタ8c、8dにベース電流が流れるので、直流電源のプラス極から回転子巻線4を介して直流電源のマイナス極に電流が流れる。このようにして、電磁石8jとホール素子8kとをそれぞれ対峙して周方向に配列し、電磁石8jの励磁を順に切り替えることによってホール素子8kに順に起電力が生じさせることができ、トランジスタ8aを順に導通させることができる。
この結果、図24の回路は、図12のLED9を電磁石8j、図12のフォトトランジスタ8aをホール素子8kとトランジスタ8aに置き換えることで、図12と全く同じ動作をする。一方、図12の回路動作は、LED9からの放射光による受光検出によるものであるのに対し、図24では、ホール素子8kによる磁束検出によって行われるので、放射光がフォトトランジスタに届きにくいような環境、例えば、塵埃が多い環境では、ホール素子8kを用いることで、発電装置の動作の信頼性が高くなるという効果がある。
なお、図7による第2の実施形態の発電装置のところで、同期速度を超える回転速度の場合等に、直流電源11を充電することができることについて触れたが、直流電源11の代わりに、あるいは直流電源11とともに抵抗器を挿入することで過大電流を消費するような回路構成としてもよい。また、第1〜第4の実施形態においての共通事項であるが、過電流対策として回転子巻線4に可変抵抗を挿入する構造としてもよい。