JP2005055098A - 触媒反応ヒータ - Google Patents
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Abstract
【課題】 触媒反応熱を利用する触媒反応ヒータにおいて、未反応ガスの排出時間の短縮化すなわち触媒の早期昇温による活性化の実現と、系外へ排出される未反応ガスの排出濃度の低減とを適切に両立させる。
【解決手段】 燃料と空気とが混合された混合ガスを触媒反応させ熱を発生する触媒反応部60と、燃料を触媒反応部60へ供給する燃料供給手段30と、空気を触媒反応部60へ供給する空気供給手段40と、触媒反応部60にて触媒反応した後のガスを排気するための排ガス経路80とを備え、空気供給手段40からの空気を触媒反応部60を迂回させて排ガス経路80へ合流させるバイパス経路100を備え、空気は、触媒反応部60とバイパス経路100とに分割供給できるようになっている。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料と空気とが混合された混合ガスを触媒反応させ熱を発生する触媒反応部60と、燃料を触媒反応部60へ供給する燃料供給手段30と、空気を触媒反応部60へ供給する空気供給手段40と、触媒反応部60にて触媒反応した後のガスを排気するための排ガス経路80とを備え、空気供給手段40からの空気を触媒反応部60を迂回させて排ガス経路80へ合流させるバイパス経路100を備え、空気は、触媒反応部60とバイパス経路100とに分割供給できるようになっている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、触媒反応部にて燃料と酸素を含むガスとが混合された混合ガスを触媒反応させることにより熱を発生させ、この触媒反応熱を利用する触媒反応ヒータに関する。
この種の触媒反応熱を利用するヒータは、一般に、燃料と酸素を含むガス(酸素含有ガスという)とが混合された混合ガスを触媒反応させることにより熱を発生する触媒反応部と、燃料を触媒反応部へ供給する燃料供給手段と、酸素含有ガスを触媒反応部へ供給する酸素含有ガス供給手段と、触媒反応部にて触媒反応した後のガスを排気するための排ガス経路とを備える。
ここで、燃料としては、水素やメタンガス等が用いられ、酸素含有ガスとしては空気等が一般に用いられる。
従来では、このような触媒反応ヒータを低温環境下において使用するに際しては、触媒活性の点から、300℃程度の比較的高い温度場まで触媒反応部を昇温した後に反応を開始させていた。ここで、低温環境とは、通常、常温以下のことであり、より典型的な温度としては氷点下(例えば−30℃程度)を意味する。
そのような触媒反応部を昇温させる手段を用いた触媒反応ヒータとしては、触媒によって浄化される排気ガスの温度が低い場合に、触媒に取り付けられた電気ヒータによって触媒を加熱することにより、常に、触媒がその活性を維持するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このものによれば、EHC(電気加熱式触媒の略)などによる電気加熱を用い、予備触媒担体としてメタルハニカム等を使用し、触媒反応ヒータの起動時に、この予備触媒担体に電流を通し、当該触媒担体自体を加熱することによって、触媒を活性温度まで昇温させるようにしている。
特開平5−98952号公報
しかしながら、触媒反応ヒータにおいては、省電力、部品点数の低減、早期起動性の面からもEHCを用いないEHCレスの構成にて早期の起動が行え、且つ十分な反応性を確保できるための手段が必要であった。
本発明者らは、低温環境下からの触媒反応ヒータの起動に際し、触媒の早期昇温を実現するためには、触媒反応部にて行われる触媒反応に伴う反応熱を触媒自体の加熱に有効に使うことが必要であると考えた。
その場合、単純には、触媒反応時において、触媒反応部へ供給される混合ガスにおける酸素含有ガスの過剰率(酸素含有ガス過剰率)を低くすることにより、反応用の混合ガス中の酸素含有ガスの量を相対的に少なくし、結果、酸素含有ガスへの放熱を小さくすることが考えられる。
つまり、酸素含有ガスとして従来一般に用いられている空気を用いた場合、上記のことは、触媒反応部へ供給される混合ガスの空気過剰率(燃料量に対する反応用空気量の比率)を下げることで、反応用空気の量を相対的に少なくでき、結果、空気への放熱を小さくできるということである。
これにより、触媒反応に伴う反応熱を触媒ないし触媒担体の昇温に有効に使うことが可能になり、触媒を、短時間で活性の高い温度にまで到達させることが可能となる。そして、このような触媒の早期活性化に伴い、系外に排出される未反応ガスの排出時間を短くすることができる。
しかし、このように、単純に、触媒反応部へ供給される混合ガスの空気過剰率を低くした場合においては、触媒反応部へ供給される混合ガスの燃料ガス濃度がリッチな状態となる。
そうなると、触媒反応が起動した初期の段階の温度では、触媒の活性が十分に高くないたことから、触媒反応部で反応しきれず触媒反応部を素通りして排ガス経路へ流れる燃料ガスの量が多くなる。そして、これに伴い、触媒反応部より系外へ排出される燃料ガス濃度が高くなるため、爆発下限界以上の濃度となる恐れがある。
ここで、従来より、低温環境下からの起動に際し、触媒に白金、パラジウム等の貴金属系触媒を用い、水素等の反応活性の高い燃料を用いた触媒反応ヒータがあり、このように触媒や燃料を規定した場合では、触媒活性の面からみて十分に反応する温度条件となっていた。
しかし、触媒活性の面以外に反応性を阻害する因子として、環境中に存在する水分がある。そして、この水分が低温・高湿の環境下では触媒ないし触媒担体上に吸着されることで、触媒と燃料ガスおよび触媒と反応用空気との接触、さらにはこれらガスの拡散を阻害するため、反応性が低下してしまうという懸念があったが、このことは、EHCなどによる加熱昇温を採用する従来技術では顕在化していなかった。
そこで、本発明は上記問題に鑑み、触媒反応熱を利用する触媒反応ヒータにおいて、未反応ガスの排出時間の短縮化すなわち触媒の早期昇温による活性化の実現と、系外へ排出される未反応ガスの排出濃度の低減とを適切に両立させることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、触媒反応熱を利用するヒータであって、燃料と酸素を含むガスとが混合された混合ガスを触媒反応させることにより熱を発生する触媒反応部(60)と、燃料を触媒反応部(60)へ供給する燃料供給手段(30)と、酸素を含むガスを触媒反応部(60)へ供給する酸素含有ガス供給手段(40)と、触媒反応部(60)にて触媒反応した後のガスを排気するための排ガス経路(80)とを備える触媒反応ヒータにおいて、酸素含有ガス供給手段(40)からの酸素を含むガスを触媒反応部(60)を迂回させて排ガス経路(80)へ合流させるバイパス経路(100)を備え、酸素を含むガスは、触媒反応部(60)とバイパス経路(100)とに分割されて供給できるようになっていることを特徴としている。
それによれば、燃料供給手段(30)により触媒反応部(60)に燃料を供給しながら、同時に酸素含有ガス供給手段により供給される酸素を含むガス(酸素含有ガス)を、触媒反応部(60)へつながるラインと触媒反応部(60)をバイパスして排ガス経路(80)へつながるラインとへ、それぞれ分割して供給することができる。
そうすることで、触媒反応部(60)においては酸素含有ガス過剰率の低い混合ガスによる反応が実現される。一方、排ガス経路(100)においては、排出される未反応ガスに対して触媒反応部(60)をバイパスした空気を混合することにより当該未反応ガスを希釈して、低濃度で排出することができる。
なお、ここでいう酸素含有ガス過剰率は、酸素含有ガスが空気である場合には、従来の一般的な空気過剰率と同一のものである。
本発明では、このように2つの効果を同時に可能とする構成とすることができるが、この際、酸素含有ガス供給手段(40)により供給される酸素含有ガス全体の量を変化させる必要はない。
酸素含有ガス供給手段は、具体的には空気等の酸素含有ガスを外部からファンやブロワ等を用いて供給するものであるが、一般に、供給しようとする酸素含有ガス流量の制御における応答性が低く、当該酸素含有ガス流量の正確な制御が困難である。
本発明では、バイパス経路(100)を設けることによって触媒反応部(60)に供給する酸素含有ガスの流量を変えることを実現しているが、このように触媒反応部(60)に供給する酸素含有ガスの流量を変えることを、酸素含有ガス供給手段の負荷を変えて流量制御することによって実現しようとしても困難である。
その点、本発明では、酸素含有ガス供給手段(40)により供給される酸素含有ガス全体の量の変化は不要であり、酸素含有ガス供給手段(40)の負荷を可変する必要ない。つまり、本発明では、酸素含有ガス供給手段(40)の負荷を変えずに、触媒反応部(60)に供給する酸素含有ガスの流量を変えることができる。
このように、本発明によれば、触媒反応部(60)への酸素含有ガス過剰率の低い混合ガス供給を実現することで、触媒反応部(60)で発生した熱の酸素含有ガスへの放熱を低減し、EHCレス構成であっても触媒の早期昇温による活性化を実現し、その結果、未反応ガス排出時間の短縮化を図ることができる。
また、同時に、本発明によれば、バイパス経路(100)から排ガス経路(80)へ酸素含有ガスを供給することによって、排出ガスにおける未反応ガス濃度の低減の実現を図ることができる。
よって、本発明によれば、触媒反応熱を利用する触媒反応ヒータにおいて、触媒の早期昇温による活性化の実現と、系外へ排出される未反応ガスの排出濃度の低減とを適切に両立することができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の触媒反応ヒータにおいて、バイパス経路(100)の開閉制御を行うバイパス経路開閉手段(110)と、触媒反応部(60)にて触媒反応した後のガスの温度を検出する温度検出手段(90)とを備えており、温度検出手段(90)からの情報に基づき、バイパス経路開閉手段(110)によるバイパス経路(100)の開閉制御を行うことを特徴としている。
それによれば、温度検出手段(90)によって触媒反応部(60)の温度が触媒活性温度であるかを判断できるとともに、バイパス経路開閉手段(110)によるバイパス経路(100)の開閉制御によって触媒反応部(60)へ送られる混合ガスの酸素含有ガス過剰率の設定を行うことができる。
つまり、本発明によれば、触媒反応部(60)の温度に応じて触媒反応部(60)へ送る混合ガスの酸素含有ガス過剰率を適切に調節することができる。
具体的には、触媒反応部(60)において触媒の活性温度まで到達した後は、触媒反応部(60)の熱耐久性を考えて設定された触媒温度とするために、バイパス経路開閉手段(110)によってバイパス経路(100)を閉じるようにする。
それにより、触媒反応部(60)が触媒の活性温度まで到達した後は、触媒反応部(60)のみに酸素含有ガスを供給できるため、酸素含有ガス過剰率を大きくすることができる。
このようにすると、酸素含有ガスによる大きな希釈効果(放熱効果)が得られ、触媒反応部(60)における燃焼温度が高くなりすぎるのを防止することができる。燃焼温度の過昇温を防止することは、触媒や触媒担体が熱で劣化することを防止することにつながる。
逆に、触媒反応部(60)の温度が低い場合には、バイパス経路開閉手段(110)によってバイパス経路(100)を開状態とすることにより、触媒反応部(60)での反応が、酸素含有ガス過剰率の低い混合ガスにて行われ、上記請求項1の発明において述べたのと同様の作用効果が得られる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の触媒反応ヒータにおいて、温度検出手段(90)は、触媒反応部(60)の下流側に設けられていることを特徴としている。温度検出手段(90)の配置位置としてはこのようなものにできる。
請求項4に記載の発明では、請求項2または請求項3に記載の触媒反応ヒータにおいて、バイパス経路開閉手段はバルブ手段(110)であることを特徴としている。バイパス経路開閉手段としてはこのようなものにできる。
請求項5に記載の発明では、請求項2または請求項3に記載の触媒反応ヒータにおいて、バイパス経路開閉手段(110)は、温度変化によって変形可能な部材であるとともに、触媒反応部(60)にて触媒反応した後のガスの熱が伝達される位置に設けられていることを特徴としている。
それによれば、触媒反応した後のガスの温度変化によってバイパス経路開閉手段(110)が変形し、この変形によってバイパス経路(100)を開閉させるようにできる。そのため、温度検出手段(90)を不要としつつ、上記請求項2の発明と同様の作用効果を発揮させることができる。
ここで、請求項5に記載の触媒反応ヒータにおいて、温度変化によって変形可能な部材としては、請求項6に記載の発明のように、バイメタルを採用したり、請求項7に記載の発明のように、形状記憶部材を採用することができる。
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータにおいて、触媒反応部(60)の温度変化に伴い、燃料供給手段(30)により燃料の供給量を増減させるように制御することを特徴としている。
それによれば、起動時における温度環境に応じて、適切な燃料供給量の調整が可能となる。
具体的には、低温環境下の起動時において、酸素含有ガス供給手段(40)による酸素含有ガスの供給量は一定とし、燃料の供給量を徐々に増加させていくようにすることができる。
それにより、起動直後の低い温度場で触媒の活性が低いときには、燃料の供給量が比較的少なく、混合ガスは高い酸素含有ガス過剰率を有するものとなり、触媒が十分な温度に到達し活性が高いときには、燃料の供給量が比較的多く、混合ガスは適正な酸素含有ガス過剰率を有するものとなる。
このようにした場合、触媒の昇温特性は、上記した請求項1や請求項2に記載の発明に比べてさほど高くすることはできないが、起動直後についていえば、燃料供給量が少ないので燃焼しやすくなり且つ上記した酸素含有ガスによる希釈効果が大きいものとなるので、排出される未反応ガス濃度はさらに低くすることができる。
ところで、「課題」の欄でも述べたように、低温高湿環境下において、環境中に存在する水分が触媒ないし触媒担体上に吸着されることで、触媒と燃料ガス、反応用空気との接触、拡散の阻害をもたし反応性を低下させるという懸念がある。このことは、詳しくいうと、次の通りである。
通常の触媒反応部は、セラミックハニカム等からなる母材の上に触媒担持面積を確保するための細孔を有する触媒担体を配設し、さらに、この触媒担体の上に触媒を配設するという構成からなるものである。
ここにおいて、低温高湿条件では、触媒が環境にさらされるにつれて、環境中に存在する水分が触媒担体の表面ないし細孔内に吸着されることにより、触媒が水分中に一部覆われたり、触媒が水分中に埋没したりするため、燃料や反応用の酸素含有ガスと触媒との接触、拡散が阻害され、反応性を阻害してしまう。
このような現象は毛管凝縮と言われており、この毛管凝縮現象が、従来の触媒反応ヒータにおいても起動前の初期状態にて発生している。
この問題に対して、本発明者らが検討を進めたところ、この毛管凝縮現象は触媒担体の細孔サイズに大きく依存しており、当該細孔サイズが微小であるほど顕著に発生することがわかった。
さらに、検討を進めた結果、触媒反応部(60)に用いられる触媒担体の細孔径が、ある範囲の大きさ以上であれば、高湿環境下においても、毛管凝縮現象が極力発生しにくいことを見出した。請求項9に記載の発明は、この知見に基づいてなされたものである。
すなわち、請求項9に記載の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータにおいて、触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)として、その平均細孔径が少なくとも10nm以上である触媒担体を用いることを特徴としている。
このように、触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)の平均細孔径を少なくとも10nm以上にすれば、低温高湿環境下における触媒ないし触媒担体上への水分吸着量を低減することで、反応性を確保することができる。
つまり、本発明によれば、上記した各手段と組み合わせることにより、さらに、高湿環境下において毛管凝縮現象を極力防止することができる。つまり、本発明では、非吸水性を確保することができるため、さらなる触媒の早期昇温による活性化の実現と系外へ排出される未反応ガスの排出濃度の低減との適切な両立を、より高レベルにて達成することができる。
ところで、通常、触媒担体においては細孔径のサイズによって触媒担体の表面積が規定される。上記請求項9に記載の発明のように、触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)の平均細孔径を少なくとも10nm以上にした場合、1つ1つの細孔の径が大きく、限られた触媒担体の体積では触媒担体の表面積が小さいものとなってしまう。
そうなると、触媒担体としての特性(微小細孔数、高表面積)が低くなるため、触媒担体に担持される触媒量が制限される。たとえ過剰に触媒を担持したとしても燃料や反応用酸素含有ガスの拡散性を阻害する状態や、反応に寄与しない触媒が増えるなどによって実用的ではない。そのため触媒量が少ないことで、反応量には限界がある。
請求項10に記載の発明は、その点を考慮してなされたものであり、請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータにおいて、触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)として、その細孔径が1nmから少なくとも10nm以上の広い範囲にわたって分布する触媒担体を用いることを特徴としている。
細孔径が1nm〜10nm以上の範囲にわたって幅広く持つ触媒担体(62)を選択することによって、非吸水性と触媒担持量の確保による反応性を両立する触媒反応部(60)を実現することができる。
請求項11に記載の発明では、請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータにおいて、触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)として、平均細孔径の異なる少なくとも2種類以上の触媒担体が混在したものを用いることを特徴としている。
それによれば、触媒担持量を確保することのできる小さな平均細孔径を有する触媒担体と、非吸水性を確保することのできる大きな平均細孔径を有する触媒担体とを組み合わせたものを実現できることから、上記請求項9に記載の発明と同様に、非吸水性と触媒担持量の確保による反応性を両立する触媒反応部(60)を実現することができる。
請求項12に記載の発明では、請求項1ないし請求項11のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータにおいて、触媒反応部(60)は少なくとも2種類以上に分割されたものであり、分割された触媒反応部において、上流側に位置する触媒反応部(60a)に用いられる触媒担体の平均細孔径に対して、下流側に位置する触媒反応部(60b)に用いられる触媒担体の平均細孔径が大きくなっていることを特徴としている。
それによれば、分割された触媒反応部において、上流側に位置する触媒反応部(60a)に用いられる触媒担体では、平均細孔径を大きくすることによって非吸水性を確保することができる。
そして、この上流側の触媒反応部(60a)にて触媒反応により発生する反応熱により下流側の触媒反応部(60b)が加熱される。そのため、下流側の触媒反応部(60b)では、ここに存在する水分を乾燥除去することができることから、平均細孔径を小さくして担持触媒量を確保するようにしても、上記した毛管凝縮は極力防止され十分に使用可能な状態とすることができる。
その結果、本発明によれば、触媒反応部(60)全体としては、非吸水性と反応性を両立することができる。
請求項13に記載の発明では、請求項1ないし請求項12のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータにおいて、触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)としてセラミックからなるものを用いることを特徴としている。触媒担体(62)としては、このようなものにできる。
請求項14に記載の発明では、請求項13に記載の触媒反応ヒータにおいて、前記セラミックとしてアルミナを用いることを特徴としている。前記セラミックとしては、このようなものにできる。
特に、上記請求項9に記載の発明のように、触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)として、その平均細孔径が少なくとも10nm以上である触媒担体を用いることで、上記した毛管凝縮現象を防止するにあたっては、触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)としてのセラミックとしてアルミナを用いることが好ましい。
請求項15に記載の発明では、請求項1ないし請求項14のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータにおいて、触媒反応部(60)に用いられる触媒種として貴金属系触媒を用いることを特徴としている。触媒反応部(60)に用いられる触媒種としてはこのようなものにできる。
請求項16に記載の発明では、請求項1ないし請求項15のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータにおいて、前記燃料として水素を用いることを特徴としている。燃料としては、このようなものにできる。
請求項17に記載の発明では、請求項1ないし請求項16のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータにおいて、前記酸素を含むガスとして空気を用いることを特徴としている。前記酸素を含むガスとしては、このようなものにできる。
請求項18に記載の発明では、請求項1ないし請求項17のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータにおいて、触媒反応部(60)と排ガス経路(80)との間には、触媒反応部(60)にて発生した熱を受け、この受けた熱と熱媒体との間で熱交換させて熱媒体を加熱させる熱交換部(70)が設けられていることを特徴としている。このような構成としてもよい。
請求項19に記載の発明では、請求項1ないし請求項18のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータにおいて、触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)の表面には、撥水処理が施されていることを特徴としている。
それによれば、触媒担体(62)の表面(細孔の表面も含む)に水分が吸着するのを極力防止することができ、上記した毛管凝縮の抑制のためには好ましい。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、同一もしくは均等の部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る触媒反応ヒータS1の全体構成を示す模式的な図である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る触媒反応ヒータS1の全体構成を示す模式的な図である。
本実施形態は、例えば自動車に搭載され、燃料としての水素と酸素を含むガス(酸素含有ガス)としての空気とが混合された混合ガス(水素−空気混合ガス)を触媒反応させることにより熱を発生し、この触媒反応熱を利用するものである。
図1において、ケース10内には、燃料や酸素含有ガス、混合ガス、さらには排ガスが通過するガス通路が形成され、ガス通路の最上流部は、燃料と酸素含有ガスとしての空気とを混合するガス混合部20となっている。
このガス混合部20には、燃料供給手段30から燃料としての水素が供給されるとともに、酸素含有ガス供給手段としての空気供給手段40から空気が供給される。なお、本実施形態では、燃料として反応性に優れた水素を用いている。もちろん、燃料としてはメタン等、酸素含有ガスとしては空気以外の酸素含有ガスを用いてもよい。
ここで、ガス混合部20には、空気供給手段40からガス混合部20に導入される空気の流れを整えるための整流板50が設けられている。この整流板50は、例えば多数の貫通穴を有する板からなるものである。
空気供給手段40は、ケース10の外部からケース10内へ空気を導入するものであり、例えば、空気供給手段40としては、電動式のモータで駆動されるファンやブロワ等からなるものを採用することができる。
燃料供給手段30は、ガス混合部20内へ水素を供給するものであり、例えば、電動式のインジェクタ等からなるものを採用することができる。本実施形態では、この燃料供給手段30は、燃料(水素)の圧力や噴射時間等を変えることで燃料供給量を可変にできるものである。
そして、ケース10内においてガス混合部20の下流には、触媒反応部60が設けられている。この触媒反応部60は、燃料供給手段30から供給された燃料(水素)と空気供給手段40から整流板50を通過して供給された空気(酸素含有ガス)とが混合された混合ガスを触媒反応させることにより熱を発生するものである。
この触媒反応部60は、母材(基材)を有し、この母材の上に触媒担持面積を確保するための細孔を有する触媒担体を配設し、さらに、この触媒担体の上に触媒種を担持させるという構成からなるものである。
ここで、触媒反応部60に用いられる母材としては、セラミック等からなるハニカム体等を採用することができる。本例では、母材は、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO)、シリカ(SiO2)の混合体であるコージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)からなるモノリスを採用している。
触媒反応部60に用いられる触媒担体としては、セラミックや活性炭等からなる触媒担体を採用することができる。本例では、触媒担体は、多数の細孔を有するアルミナからなるものとしている。
また、触媒反応部60に用いられる触媒種としては、貴金属系触媒や金属酸化物を用いることができる。本例では、触媒種としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などの貴金属系触媒を採用している。
そして、本実施形態では、ケース10内のガス通路において、触媒反応部60の下流には、触媒反応部60にて発生した熱を受け、この受けた熱と熱媒体との間で熱交換させて熱媒体を加熱させる熱交換部70が設けられている。
この熱交換部70は、特に限定するものではないが、本例では、積層した多数のチューブ間にフィンを配置したフィンチューブ型熱交換器を用いており、触媒反応部60にて反応したガスが当該チューブ間を通過し、当該チューブ内を熱媒体としての冷却水が通過するようになっている。
そして、触媒反応部60にて発生した熱が冷却水との間で熱交換することにより、熱交換部70における熱交換がなされるようになっている。なお、本例では、熱交換部70には冷却水経路72が接続されており、この冷却水経路72には上記冷却水を循環させるための図示しない循環ポンプが設けられている。
また、ケース10内のガス通路において、熱交換部70の下流側は、触媒反応部60にて触媒反応した後のガスを排気するための排ガス経路80として構成されている。本例では、排ガス経路80には、触媒反応60から熱交換部70を通過して冷却されたガスが排出されるようになっている。
また、ケース10内のガス通路には、触媒反応部60にて触媒反応した後のガスの温度を検出する温度検出手段90が設けられている。この温度検出手段90により作動中における触媒反応部60の温度を求めることが可能となっている。ここでは、温度検出手段90は、触媒反応部60の下流において、触媒反応部60と熱交換部70との間に設けられている。
この温度検出手段90は、サーミスタ式、熱電対式、光学式等の任意の温度センサ等を採用することができる。なお、温度検出手段90は、触媒反応部60にて触媒反応した後のガスの温度を検出することができれば、配設する位置は限定されない。例えば、触媒反応部60内に設けられていてもよい。
また、本実施形態において、燃料供給手段30における燃料供給量を可変にする等の作動制御、空気供給手段40の作動制御、熱交換部70における上記循環ポンプの作動制御、さらには温度検出手段90の作動や検出信号の処理等は、図示しない制御回路(例えば、自動車のECU等)により行われるようになっている。
このように、本実施形態の触媒反応ヒータS1では、燃料と酸素含有ガスとが混合された混合ガスを触媒反応させることにより熱を発生する触媒反応部60と、燃料(水素)を触媒反応部60へ供給する燃料供給手段30と、酸素含有ガス(空気)を触媒反応部60へ供給する空気供給手段(酸素含有ガス供給手段)40と、触媒反応部60にて触媒反応した後のガスを排気するための排ガス経路80とを備える構成としている。
そして、本触媒反応ヒータS1においては、空気供給手段(酸素含有ガス供給手段)40からの空気(酸素含有ガス)を触媒反応部60を迂回させて排ガス経路80へ合流させるバイパス経路100が備えられており、空気供給手段40からの空気は、触媒反応部60とバイパス経路100とに分割されて供給できるようになっている。
具体的に本例では、バイパス経路100は、ケース10内のガス通路とは独立した配管によって形成され、ケース10内における空気供給手段40と整流板50との間に入口を有し、排ガス経路80内へ出口を有するものとなっている。
次に、上記構成になる触媒反応ヒータS1の作動を説明する。本触媒反応ヒータS1は、基本的には、燃料(水素)の触媒反応(酸化反応)により発生する反応熱を熱交換部70により冷却水に伝熱し、冷却水を加熱するものである。
まず、触媒反応ヒータS1の起動時には、上記図示しない制御回路からの制御信号に基づいて、燃料供給手段30、空気供給手段40、熱交換部70における上記循環ポンプ、さらには温度検出手段90が作動を開始する。
燃料供給手段30および空気供給手段40から水素(燃料)および空気(酸素含有ガス)がガス混合部20に供給され、水素と空気とはガス混合部20にて混合される。ガス混合部20にて混合された混合ガスは、触媒反応部60において触媒反応を生じて高温のガスとなる。
ここで、水素を燃料、空気を酸素含有ガスとして用いている本例では、次の化学式1に示されるような化学反応が生じる。
(化1)
H2 + O2/2 → H2O
この反応に示されるように、理論的には燃料である水素1モル(mol)に対して、酸素が1/2モルが反応する。ここで、空気においては酸素は約20%含有され、残部のほとんどは窒素である。このような空気の組成を考慮して空気過剰率が決められる。もちろん、水素以外の燃料、例えばメタン(CH4)を用いた場合には、必要な空気過剰率は異なってくる。
H2 + O2/2 → H2O
この反応に示されるように、理論的には燃料である水素1モル(mol)に対して、酸素が1/2モルが反応する。ここで、空気においては酸素は約20%含有され、残部のほとんどは窒素である。このような空気の組成を考慮して空気過剰率が決められる。もちろん、水素以外の燃料、例えばメタン(CH4)を用いた場合には、必要な空気過剰率は異なってくる。
そして、上記化学式1に示される反応において、本例では、定常運転時において触媒反応部60で触媒反応した直後の高温のガス温度(燃焼温度)が、600℃程度となるように水素と空気の比率を調整している。この場合、空気過剰率(酸素含有ガス過剰率)は5程度である。
なお、この種の触媒反応ヒータの分野においては、周知のことではあるが、空気過剰率が大きいほど、上記の燃焼温度は低く、空気過剰率が小さいほど、上記の燃焼温度は高くなる。
そして、触媒反応部60にて触媒反応した後の高温のガスは、熱交換部70に流入し、熱交換部70にて冷却水との間で熱交換して冷却される。つまり、熱交換部70は、触媒反応部60にて発生した熱を受け、この受けた熱と熱媒体としての冷却水との間で熱交換が行われる。
そして、熱交換部70にて冷却されたガスは、排ガス経路80に流入し、系外すなわち触媒反応ヒータS1の外部へ排出される。この熱交換部70にて加熱された冷却水は、自動車の適所を加熱することに用いられる。このようにして、触媒反応ヒータS1においては触媒反応熱が利用されようになっている。
ここにおいて、本実施形態では、触媒反応ヒータS1の起動初期において、燃料供給手段30により触媒反応部60に水素(燃料)を供給しながら、同時に空気供給手段40により供給される空気(酸素含有ガス)を、触媒反応部60へつながるラインと触媒反応部60をバイパスして排ガス経路100へつながるラインとへ、それぞれ分割して供給することができる。
そうすることで、触媒反応部60においては空気過剰率の低い混合ガスによる反応が実現される。具体的には、上記したように混合ガス全体の空気過剰率が5である場合、触媒反応部60へ送られる混合ガスの空気過剰率は3程度にすることができる。
一方、排ガス経路80においては、排出される未反応ガスに対して、触媒反応部60をバイパスしてバイパス経路100から送られてくる空気が混合される。具体的には、上記したように混合ガス全体の空気過剰率が5である場合、当該空気過剰率5のうちの2の分に相当する空気がバイパスされて排ガス経路80へ送られる。
それにより、排ガス経路80では、未反応ガス(本例では未反応の水素)が空気によって希釈され、未反応ガスの濃度が低くなった状態のガスが排出されることになる。そして、この際、空気供給手段(酸素含有ガス供給手段)40により供給される空気(酸素含有ガス)全体の量を変化させる必要はない。
空気供給手段40は、上記したように、具体的には空気を外部からファンやブロワ等を用いて供給するものであるが、このようなものでは、一般に、供給しようとする酸素含有ガス流量の制御における応答性が低く、当該空気流量の正確な制御が困難である。
本実施形態では、バイパス経路100を設けることによって触媒反応部60に供給する空気の流量を変えることを実現しているが、このように触媒反応部60に供給する空気の流量を変えることを、空気供給手段40の負荷を変えて流量制御することによって実現しようとしても困難である。
その点、本実施形態では、空気供給手段40により供給される空気全体の量の変化は不要であり、空気供給手段40の負荷を可変する必要ない。つまり、本実施形態では、空気供給手段40の負荷を変えずに、触媒反応部60に供給する空気の流量を変えることができるのである。
このように、本実施形態によれば、触媒反応部60への空気過剰率の低い混合ガス供給を実現することで、触媒反応部60で発生した熱の空気への放熱を低減し、EHCレス構成であっても触媒の早期昇温による活性化を実現し、その結果、未反応ガス排出時間の短縮化を図ることができる。
また、同時に、本実施形態によれば、バイパス経路100から排ガス経路80へ空気を供給することによって、排出ガスにおける未反応ガス濃度の低減の実現を図ることができる。
よって、本実施形態によれば、触媒反応熱を利用する触媒反応ヒータにおいて、触媒の早期昇温による活性化の実現と、系外へ排出される未反応ガスの排出濃度の低減とを適切に両立することができる。
また、本実施形態では、燃料供給手段30は、燃料(水素)の圧力や噴射時間等を変えることで燃料供給量を可変にできるものである。ここにおいて、触媒反応部60の温度変化に伴い、燃料供給手段30により燃料の供給量を増減させるように制御してもよい。それによれば、起動時における温度環境に応じて、適切な燃料供給量の調整を可能とすることができる。
具体的には、温度検出手段90によって触媒反応部60にて触媒反応した後のガスの温度を検出することによって、触媒反応部60の温度を求め、この求められた触媒反応部60の温度情報に基づき、燃料供給手段30を制御して燃料の供給量を増減させるようにすればよい。
また、この場合の具体的な制御方法としては、次のような一例が挙げられる。温度検出手段90により、触媒の活性が十分高い温度(例えば300℃程度)まで到達した後は、燃料供給手段30を制御して燃料供給量を少なくしてやる。
それにより、触媒反応部60に供給される混合ガスは、より高い空気過剰率(例えば空気過剰率=7)になり、触媒反応部60における燃焼温度の上がりすぎを抑制することができ、触媒の熱耐久性を考慮した温度に設定することができる。
これは、上述したように、触媒反応ヒータの分野において、空気過剰率が大きいほど燃焼温度は低く、空気過剰率が小さいほど燃焼温度は高くなることによる。このように、燃焼温度の過昇温を防止することは、触媒反応部60における触媒や触媒担体が熱によって劣化するのを防止することにつながる。
また、触媒反応部60の温度情報に基づき燃料供給手段30を制御して燃料の供給量を増減させる場合の制御方法としては、次のような例を採用することもできる。
低温環境下の起動時において、空気供給手段(酸素含有ガス供給手段)40による空気(酸素含有ガス)の供給量は一定とし、燃料(本例では水素)の供給量を徐々に増加させていくようにする。
それにより、起動直後の低い温度場(例えば氷点下)で触媒の活性が低いときには、燃料の供給量が比較的少なく、混合ガスは高い空気過剰率(例えば空気過剰率=7)を有するものとなり、触媒が十分な温度(例えば300℃)に到達し活性が高いときには、燃料の供給量が比較的多く、混合ガスは適正な酸素含有ガス過剰率(例えば空気過剰率=5)を有するものとなる。
この例のように燃料の供給量を制御した場合、触媒の昇温特性は、さほど高くすることはできないが、起動直後についていえば、燃料供給量が少ないので燃焼しやすくなり且つ上記した空気による希釈効果が大きいものとなるので、排出される未反応ガス濃度はさらに低くすることができる。
[毛管凝縮抑止構成]
ここで、本実施形態では、触媒反応部60は、セラミックハニカム等からなる母材の上に触媒担持面積を確保するための細孔を有する触媒担体を配設し、さらに、この触媒担体の上に触媒を担持するという構成からなる。
ここで、本実施形態では、触媒反応部60は、セラミックハニカム等からなる母材の上に触媒担持面積を確保するための細孔を有する触媒担体を配設し、さらに、この触媒担体の上に触媒を担持するという構成からなる。
ここにおいて、本実施形態では、毛管凝縮現象を抑制するために、触媒反応部60において、次のような種々の毛管凝縮抑止構成を採用することが好ましい。
なお、「毛管凝縮現象」とは、上述したように、低温・高湿の条件では、触媒が環境にさらされるにつれて、環境中に存在する水分が触媒担体の表面ないし細孔内に吸着されることにより、触媒が水分中に一部覆われたり、触媒が水分中に埋没したりするため、水素(燃料)や反応用空気と触媒との接触、拡散が阻害され、反応性を阻害してしまうことである。
[第1の構成]:触媒反応部60に用いられる触媒担体として、その平均細孔径が少なくとも10nm以上である触媒担体を用いること。
この毛管凝縮抑止構成の第1の構成については、本発明者らが行った検討によるものである。本検討によれば、毛管凝縮現象は触媒担体の細孔サイズに大きく依存しており、当該細孔サイズが微小であるほど顕著に発生することがわかった。
図2は、触媒反応部60に用いられる触媒ないし触媒担体に吸着された水分の状態を示す模式的な図である。
コージェライトからなる母材61の上にγ−アルミナからなる触媒担体62が配設され、この触媒担体62の表面および細孔64に白金、パラジウム等からなる触媒66が担持されている。
図2中の右側の細孔64においては、この細孔64に吸着している水分Wは気体であり、この水分Wによっては触媒66は埋もれておらず、燃料ガスGや反応用の空気Aに接触し、触媒反応を生じさせることができる。
しかし、図2中の左側の細孔64では、細孔64内にて水分W’が液体となって凝縮している。つまり、毛管凝縮が生じている。この凝縮した水分W’の中に埋没した触媒66は、燃料ガスGや反応用の空気Aに接触することができず、触媒反応を生じさせることができない。
図3は、この毛管凝縮の具体的な発生の様子を模式的に示す図である。上述したように、毛管凝縮現象は触媒担体62の細孔サイズに大きく依存しており、当該細孔サイズが微小であるほど顕著に発生する。
図3(a)では、触媒担体62の細孔64の径が大きいため、吸着した水分Wがなかなか凝縮しにくく、細孔64に気体の状態で付着している。一方、図3(b)では、触媒担体62の細孔64の径が小さいため、吸着した水分Wが表面張力等によって凝縮しやすく、凝縮が始まると一気に水分が液体となって急増していく。
このような毛管凝縮の発生条件、並びに発生開始条件は、次の数式1に示されるケルビン(Kelvin)の関係式によって規定される。
(数1)
ln(p/p0)=2Vm・γ・cosθ/(r・R・T)
ここで、上記数式1中、p/p0は相対湿度であり、Vmは水の分子容積であり、γは水の表面張力であり、θは水と触媒担体との接触角であり、rは細孔64の半径であり、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である。
ln(p/p0)=2Vm・γ・cosθ/(r・R・T)
ここで、上記数式1中、p/p0は相対湿度であり、Vmは水の分子容積であり、γは水の表面張力であり、θは水と触媒担体との接触角であり、rは細孔64の半径であり、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である。
このケルビンの関係式を用い、触媒担体62としてγ−アルミナを用いて、相対湿度(単位:RH%)と触媒担体62の細孔径(単位:nm)との関係において毛管凝縮が発生する細孔径を調べた結果を、図4に示す。
図4では、横軸に相対湿度、縦軸に毛管凝縮が発生する細孔径(図中には「毛管凝縮の細孔径」と図示)を示してある。また、図4中のグラフ曲線の下側領域には、斜線ハッチングが施してあるが、この領域は毛管凝縮が発生する領域を表している。
そして、図4から、環境が高湿であればるほど、あるいは触媒担体62の細孔64のサイズが大きければ大きいほど、触媒担体62において毛管凝縮が発生しやすいということが示されている。
例えば、図4では、相対湿度が60RH%である場合において、細孔径が約4nm以下であるとき毛管凝縮が発生し、細孔径が約4nm以上であれば毛管凝縮が発生しないことが示されている。
この図4から、高湿の環境として例えば相対湿度が80%前後の環境を想定した場合、細孔径を10nm以上に大きくすれば、毛管現象が非常に起こりにくくできることがわかる。
このような検討結果から、本実施形態では、毛管凝縮抑止構成の第1の構成として、触媒反応部60に用いられる触媒担体62として、その平均細孔径が少なくとも10nm以上である触媒担体を用いることが好ましい。そのような平均細孔径の大きな触媒担体62としてはαアルミナ等が挙げられる。
このように、触媒反応部60に用いられる触媒担体62の平均細孔径を少なくとも10nm以上にすれば、低温高湿環境下における触媒66ないし触媒担体62上への水分吸着量を低減することで、反応性を確保することができる。
よって、本実施形態において、この第1の構成を採用すれば、さらに、高湿環境下において毛管凝縮現象を極力防止することができる。つまり、触媒担体62において非吸水性を確保することができる。そのため、さらなる触媒の早期昇温による活性化の実現と系外へ排出される未反応ガスの排出濃度の低減との適切な両立を、より高レベルにて達成することができる。
ところで、通常、触媒担体においては細孔径のサイズによって触媒担体の表面積が規定されるが、上記第1の構成のように、触媒担体62の平均細孔径を少なくとも10nm以上にした場合、1つ1つの細孔の径が大きく、限られた触媒担体の体積では触媒担体の表面積が小さいものとなってしまう。
そうなると、触媒担体としての特性(微小細孔数、高表面積)が低くなるため、触媒担体に担持される触媒量が制限される。たとえ過剰に触媒を担持したとしても燃料や反応用酸素含有ガスの拡散性を阻害する状態や、反応に寄与しない触媒が増えるなどによって実用的ではない。そのため、触媒量が少ないことによって、触媒の反応量に限界が生じてしまう。
その点を考慮したものが、次に示される毛管凝縮抑止構成の第2の構成である。
[第2の構成]:触媒反応部60に用いられる触媒担体62として、その細孔径が1nmから少なくとも10nm以上の広い範囲にわたって分布する触媒担体62を用いること。
このように、細孔径が1nm〜10nm以上の範囲にわたって幅広く持つ触媒担体62を選択することによって、非吸水性と触媒担持量の確保による反応性を両立する触媒反応部60を実現することができる。
さらにいうならば、この第2の構成では、細孔径の小さい(例えば10nm未満)触媒担体62表面上の領域では担持触媒量を第1の構成に比べて増やすことができ、細孔径の大きな(例えば10nm以上)領域では、非吸水性を確保する機能を有することで、細孔径の大きな非吸水領域で発生した反応熱によって、細孔径の小さい領域の水分を乾燥除去することが効率的に行える。
そのため、本実施形態において、この第2の構成を採用すれば、第1の構成に対し、触媒の担持量を多くすることでさらに反応性を向上させた非吸水性の触媒反応部60を実現することができる。
また、次に述べる毛管凝縮抑止構成の第3の構成は、上記第2の構成と同様の考えに基づくものである。
[第3の構成]:触媒反応部60に用いられる触媒担体62として、平均細孔径の異なる少なくとも2種類以上の触媒担体が混在したものを用いること。
それによれば、触媒担持量を確保することのできる小さな平均細孔径を有する触媒担体と、非吸水性を確保することのできる大きな平均細孔径を有する触媒担体とを組み合わせたものを実現することができる。
このことから、本実施形態において、この第3の構成を採用すれば、上記第2の構成と同じように、非吸水性と触媒担持量の確保による反応性とを両立する触媒反応部60を実現することができる。
この第3の構成において、小さな平均細孔径を有する触媒担体としては、例えば活性炭やγアルミナ等が挙げられ、大きな平均細孔径を有する触媒担体としては、例えばαアルミナ等が挙げられる。
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る触媒反応ヒータS2の全体構成を示す模式的な図である。本実施形態の触媒反応ヒータS2も、触媒反応部60と、燃料供給手段30と、空気供給手段(酸素含有ガス供給手段)40と、排ガス経路80とを備える構成において、バイパス経路100を備え、空気供給手段40からの空気を、触媒反応部60とバイパス経路100とに分割されて供給できるようにしている。以下、主として上記実施形態と相違するところについて述べる。
図5は、本発明の第2実施形態に係る触媒反応ヒータS2の全体構成を示す模式的な図である。本実施形態の触媒反応ヒータS2も、触媒反応部60と、燃料供給手段30と、空気供給手段(酸素含有ガス供給手段)40と、排ガス経路80とを備える構成において、バイパス経路100を備え、空気供給手段40からの空気を、触媒反応部60とバイパス経路100とに分割されて供給できるようにしている。以下、主として上記実施形態と相違するところについて述べる。
本実施形態では、バイパス経路100の開閉制御を行うバイパス経路開閉手段110が設けられている。図5では、バイパス経路開閉手段110は、バルブ手段としてのシャットバルブ110である。
このシャットバルブ110は、電動式のモータ等により駆動されるもので、上記実施形態に述べられた制御回路により、その駆動が制御されるようになっている。図5に示される例では、シャットバルブ110は、バイパス経路100の出口近くに設けられているが、シャットバルブ110の位置は限定されるものではない。
また、本実施形態においても、上記実施形態と同様に、触媒反応部60にて触媒反応した後のガスの温度を検出する温度検出手段90が設けられている。
そして、本実施形態では、この温度検出手段90からの情報に基づき、シャットバルブ(バイパス経路開閉手段)110によるバイパス経路100の開閉制御が行われるようになっている。このような制御も上記制御回路により行われる。
それによれば、温度検出手段90によって触媒反応部60の温度が触媒活性温度であるかを判断できるとともに、シャットバルブ110によるバイパス経路100の開閉制御によって触媒反応部60へ送られる混合ガスの空気過剰率の設定を行うことができる。つまり、触媒反応部60の温度に応じて触媒反応部60へ送る混合ガスの空気過剰率を適切に調節することができる。
具体的には、触媒反応部60において触媒の活性温度まで到達した後は、触媒反応部60の熱耐久性を考えて設定された触媒温度とするために、シャットバルブ110によってバイパス経路100を閉じるようにする。
それにより、触媒反応部60が触媒の活性温度まで到達した後は、触媒反応部60のみに空気を供給できるため、空気過剰率を大きくすることができる。このようにすると、空気による大きな希釈効果(放熱効果)が得られ、触媒反応部60における燃焼温度が高くなりすぎるのを防止することができる。燃焼温度の過昇温を防止することは、触媒や触媒担体が熱で劣化するのを防止することにつながる。
逆に、触媒反応部60の温度が低い場合には、シャットバルブ110によってバイパス経路100を開状態とすることにより、触媒反応部60での反応が、空気過剰率の低い混合ガスにて行われる。
それにより、上記した第1実施形態において述べたのと同様の作用効果、すなわち、触媒の早期昇温による活性化の実現と、系外へ排出される未反応ガスの排出濃度の低減との適切な両立が実現される。
なお、本実施形態においても、触媒反応部60の温度変化に伴い、燃料供給手段30により燃料の供給量を増減させるように制御することを行ってもよい。それによれば、上記実施形態と同様に、起動時における温度環境に応じて、適切な燃料供給量の調整が可能となる。
この場合の本実施形態における具体的な制御方法としては、次のような一例を挙げることができる。例えば氷点下程度の低温環境下の起動時において、空気供給手段(酸素含有ガス供給手段)40による空気(酸素含有ガス)の供給量は一定とし、且つ本実施形態ではシャットバルブ(バイパス経路開閉手段)110は閉状態とする。
そうすることで、空気供給手段40からの全空気量を、触媒反応部60に供給する。この際、燃料供給手段30を制御して燃料(本例では水素)の供給量を徐々に増加させていく。
つまり、起動直後の低い温度場で触媒の活性が低いときには、燃料の供給量が比較的少なく、混合ガスは高い空気過剰率(例えば空気過剰率=7)を有するものとなり、触媒が十分な温度に到達し活性が高いときには、燃料の供給量が比較的多く、混合ガスは適正な空気過剰率(例えば空気過剰率=5)を有するものとなる。
この例のように燃料の供給量を制御した場合、触媒の昇温特性は、上記実施形態に比べてさほど高くできないが、起動直後についていえば、燃料供給量が少ないので燃焼しやすくなり且つ上記した空気による希釈効果が大きいものとなるので、排出される未反応ガス(水素)濃度はさらに低くすることができる。
なお、この例の場合のように、低温環境下の起動時において、シャットバルブ110を閉状態として触媒反応部60に全空気量を供給した場合、その後は、バイパス経路100を開状態とすることで、上記したバイパス経路100による効果が得られることは、言うまでもない。
[バイパス経路開閉手段の変形例]
本実施形態におけるバイパス経路開閉手段110としては、温度変化によって変形可能な部材であってもよい。
本実施形態におけるバイパス経路開閉手段110としては、温度変化によって変形可能な部材であってもよい。
そのような温度変化によって変形可能な部材としては、バイメタルを用いることができる。バイメタルとは、周知のものであるが、線膨張係数の異なる2種類の金属板を貼り合わせたもので、温度の変化とともに、反り、湾曲といった変形が生じるものである。
また、バイメタル以外に、温度変化によって変形可能な部材としては、形状記憶合金や形状記憶樹脂等の形状記憶部材を用いることができる。
これらの形状記憶部材も、周知のものであるが、形状記憶合金とは、可逆的なマルテンサイト変態を行う合金を利用したものであり、例えば、(CuNi)3Al、AuCd、In−Tl、CuAuZn、CuZn、TiNi、NiAl、AgCd、Fe3Pt等が挙げられる。
また、形状記憶樹脂とは、プラスチック材をガラス転移点(Tg)以上の温度で変形させ、このまま急冷すると変形は一次永久変形として残留するが、これを再びガラス転移点以上にもっていくともとの形に戻るものである。
そして、このような温度変化によって変形可能な部材をバイパス経路開閉手段110として用いた場合、バイパス経路開閉手段110は、触媒反応した後のガスの熱が伝達される位置に設けることが好ましい。
そのような位置としては、上記図5に示されるバイパス経路開閉手段110の位置、すなわちバイパス経路100の出口近くが好ましい。つまり、上記図5に示されるシャットバルブ110を温度変化によって変形可能な部材からなるバイパス経路開閉手段110に置き換えたものとしてよい。
バイパス経路100の出口近くにバイパス経路開閉手段110を設ければ、バイパス経路開閉手段110に対して、バイパス経路100の配管を介して熱伝導が行われたり、排ガスの対流によって熱が伝わる。
このような温度変化によって変形可能な部材をバイパス経路開閉手段110として用いた場合、触媒反応した後のガスの温度変化によってバイパス経路開閉手段110が変形し、この変形によってバイパス経路100を開閉させるようにできる。
例えば、そのようなバイパス経路開閉手段110としては、ダイアフラム式のアクチュエータ(バルブ)とすることができる。この場合、触媒反応の起動初期では、低い空気過剰率に伴い排出される高温の排ガスの熱量を当該バルブに与えることで、ダイアフラム式のバルブが閉となる構成をとることができる。
そのため、温度変化によって変形可能な部材をバイパス経路開閉手段110として用いた場合にも、上記したシャットバルブ110の場合と同様の作用効果を発揮することができる。また、この場合には、上記した温度検出手段90やバイパス経路開閉手段110における駆動部(例えばモータ等)を不要とすることができる。
また、本実施形態においても、毛管凝縮現象を抑制するために、触媒反応部60において、上記実施形態に示した種々の毛管凝縮抑止構成を採用することが好ましい。
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態に係る触媒反応ヒータS3の全体構成を示す模式的な図である。本実施形態の触媒反応ヒータS3も、触媒反応部60と、燃料供給手段30と、空気供給手段(酸素含有ガス供給手段)40と、排ガス経路80とを備える構成において、バイパス経路100を備え、空気供給手段40からの空気を、触媒反応部60とバイパス経路100とに分割されて供給できるようにしている。以下、主として上記実施形態と相違するところについて述べる。
図6は、本発明の第3実施形態に係る触媒反応ヒータS3の全体構成を示す模式的な図である。本実施形態の触媒反応ヒータS3も、触媒反応部60と、燃料供給手段30と、空気供給手段(酸素含有ガス供給手段)40と、排ガス経路80とを備える構成において、バイパス経路100を備え、空気供給手段40からの空気を、触媒反応部60とバイパス経路100とに分割されて供給できるようにしている。以下、主として上記実施形態と相違するところについて述べる。
本実施形態では、触媒反応部60は少なくとも2種類以上に分割されたものであり、分割された触媒反応部において、上流側に位置する触媒反応部60aに用いられる触媒担体に対して、下流側に位置する触媒反応部60bに用いられる触媒担体の平均細孔径が大きくなっている。
図6に示される例では、触媒反応部60は、上流側触媒反応部60aとその下流側に位置する下流側触媒反応部60bとの2つに分割され、両者は直列に配置されている。なお、本実施形態では、触媒反応部60は3つ以上に分割され直列に配置されたものであってもよい。この場合、上流側から順に平均細孔径が小さくなっていくものである。
ここで、小さな平均細孔径を有する下流側触媒反応部60bに用いられる触媒担体としては、例えば活性炭やγアルミナ等を採用することができ、大きな平均細孔径を有する上流側触媒反応部60aに用いられる触媒担体としては、例えばαアルミナ等を採用することができる。
このような触媒反応部60の構成とした本実施形態によれば、分割された触媒反応部において、上流側に位置する上流側触媒反応部60aに用いられる触媒担体では、平均細孔径を大きくすることによって非吸水性を確保することができる。
そして、この上流側触媒反応部60aにて触媒反応により発生する反応熱により下流側触媒反応部60bが加熱されるため、下流側触媒反応部60bでは、ここに存在する水分を乾燥除去することができる。
このことから、下流側触媒反応部60bでは、平均細孔径を小さくして担持触媒量を確保するようにしても、上記した毛管凝縮は極力防止され十分に使用可能な状態とすることができる。
このように、本実施形態の触媒反応ヒータS3によれば、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、触媒反応部60全体としては、非吸水性と反応性を両立することができる。
なお、本実施形態においても、触媒反応部60の温度変化に伴い、燃料供給手段30により燃料の供給量を増減させるように制御することを行ってもよい。それによれば、上記実施形態と同様に、起動時における温度環境に応じて、適切な燃料供給量の調整が可能となる。
また、本実施形態においても、毛管凝縮現象を抑制するために、触媒反応部60において、上記実施形態に示した種々の毛管凝縮抑止構成を採用することが好ましい。
また、本実施形態においても、上記したシャットバルブや温度変化によって変形可能な部材からなるバイパス経路開閉手段を設けたものとしてもよい。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態において、触媒反応部60に用いられる触媒担体の表面に、撥水処理が施されていてもよい。
なお、上記各実施形態において、触媒反応部60に用いられる触媒担体の表面に、撥水処理が施されていてもよい。
このような撥水処理としては、例えばアルミナからなる触媒担体の表面にテフロン(登録商標)やフッ素系樹脂等の撥水性樹脂をディッピング法等によりコーティングする方法などが挙げられる。Pt、Pd等の触媒は、このコーティングされた触媒担体に対して公知の手法を用いて担持させることができる。
このように触媒担体に撥水処理を施すことにより、触媒担体の表面(細孔の表面も含む)に水分が吸着するのを極力防止することができ、上記した毛管凝縮を抑制するためには好ましい。
なお、上記各実施形態では、触媒反応部60と排ガス経路80との間に熱交換部70が設けられていたが、この熱交換部70はないものであってもよい。また、熱交換部70は複数個設けられていてもよい。
また、上記各実施形態では、EHC(電気加熱式触媒)を採用しないものであり、EHCレスの構成であっても、系外へ排出される未反応ガスの排出濃度の低減とを適切に両立させるという効果を奏するものであったが、上記各実施形態の触媒反応ヒータにおいても、触媒を加熱昇温させるための電気ヒータを設けてもかまわない。
また、本発明は、触媒反応熱を利用する触媒反応ヒータにおいて、バイパス経路を設け酸素含有ガスを触媒反応部とバイパス経路とに分割して供給すること、および、バイパス経路開閉手段を設けたこと、さらには、触媒反応部における細孔径を規定したことを主たる特徴点とするものであり、他の部分については、適宜、設計変更することは可能である。
また、本発明の触媒反応ヒータは、自動車用のものに限定されるものではないことはもちろんである。
10…ケース、20…ガス混合部、30…燃料供給手段、
40…酸素含有ガス供給手段としての空気供給手段、
50…整流板、60…触媒反応部、60a…上流側触媒反応部、
60b…下流側触媒反応部、62…触媒担体、
64…触媒担体における細孔、66…触媒、70…熱交換部、
80…排ガス経路、90…温度検出手段、100…バイパス経路、
110…バイパス経路開閉手段(シャットバルブ)。
40…酸素含有ガス供給手段としての空気供給手段、
50…整流板、60…触媒反応部、60a…上流側触媒反応部、
60b…下流側触媒反応部、62…触媒担体、
64…触媒担体における細孔、66…触媒、70…熱交換部、
80…排ガス経路、90…温度検出手段、100…バイパス経路、
110…バイパス経路開閉手段(シャットバルブ)。
Claims (19)
- 触媒反応熱を利用するヒータであって、
燃料と酸素を含むガスとが混合された混合ガスを触媒反応させることにより熱を発生する触媒反応部(60)と、
前記燃料を前記触媒反応部(60)へ供給する燃料供給手段(30)と、
前記酸素を含むガスを前記触媒反応部(60)へ供給する酸素含有ガス供給手段(40)と、
前記触媒反応部(60)にて触媒反応した後のガスを排気するための排ガス経路(80)とを備える触媒反応ヒータにおいて、
前記酸素含有ガス供給手段(40)からの前記酸素を含むガスを前記触媒反応部(60)を迂回させて前記排ガス経路(80)へ合流させるバイパス経路(100)を備え、
前記酸素を含むガスは、前記触媒反応部(60)と前記バイパス経路(100)とに分割されて供給できるようになっていることを特徴とする触媒反応ヒータ。 - 前記バイパス経路(100)の開閉制御を行うバイパス経路開閉手段(110)と、
前記触媒反応部(60)にて触媒反応した後のガスの温度を検出する温度検出手段(90)とを備えており、
前記温度検出手段(90)からの情報に基づき、前記バイパス経路開閉手段(110)による前記バイパス経路(100)の開閉制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の触媒反応ヒータ。 - 前記温度検出手段(90)は、前記触媒反応部(60)の下流側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の触媒反応ヒータ。
- 前記バイパス経路開閉手段はバルブ手段(110)であることを特徴とする請求項2または3に記載の触媒反応ヒータ。
- 前記バイパス経路開閉手段(110)は、温度変化によって変形可能な部材であるとともに、前記触媒反応した後のガスの熱が伝達される位置に設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の触媒反応ヒータ。
- 前記温度変化によって変形可能な部材はバイメタルであることを特徴とする請求項5に記載の触媒反応ヒータ。
- 前記温度変化によって変形可能な部材は形状記憶部材であることを特徴とする請求項5に記載の触媒反応ヒータ。
- 前記触媒反応部(60)の温度変化に伴い、前記燃料供給手段(30)により前記燃料の供給量を増減させるように制御することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータ。
- 前記触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)として、その平均細孔径が少なくとも10nm以上である触媒担体を用いることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータ。
- 前記触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)として、その細孔径が1nmから少なくとも10nm以上の広い範囲にわたって分布する触媒担体を用いることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータ。
- 前記触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)として、平均細孔径の異なる少なくとも2種類以上の触媒担体が混在したものを用いることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータ。
- 前記触媒反応部(60)は少なくとも2種類以上に分割されたものであり、
前記分割された触媒反応部において、上流側に位置する触媒反応部(60a)に用いられる触媒担体の平均細孔径に対して、下流側に位置する触媒反応部(60b)に用いられる触媒担体の平均細孔径が大きくなっていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータ。 - 前記触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)としてセラミックからなるものを用いることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータ。
- 前記セラミックとしてアルミナを用いることを特徴とする請求項13に記載の触媒反応ヒータ。
- 前記触媒反応部(60)に用いられる触媒種として貴金属系触媒を用いることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータ。
- 前記燃料として水素を用いることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータ。
- 前記酸素を含むガスとして空気を用いることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータ。
- 前記触媒反応部(60)と前記排ガス経路(80)との間には、前記触媒反応部(60)にて発生した熱を受け、この受けた熱と熱媒体との間で熱交換させて前記熱媒体を加熱させる熱交換部(70)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし17のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータ。
- 前記触媒反応部(60)に用いられる触媒担体(62)の表面には、撥水処理が施されていることを特徴とする請求項1ないし18のいずれか1つに記載の触媒反応ヒータ。
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