JP2005054057A - 装飾フィルムの貼り付け方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被貼付体に装飾フィルムを貼り付けるときに装飾フィルムに局部的な歪みが生じることを防止できる装飾フィルムの貼り付け方法を提供する。
【解決手段】被貼付体100の凸曲面101に装飾フィルム11を貼り付けるときに、アプリケーションフィルム14の外縁部15を、少なくとも3つの把持部材6で互いにほぼ等間隔の位置になるように把持し、その把持部材6で、装飾フィルム11を伸び率が全体的にほぼ均等な値となるように延伸し、被貼付体100をその装飾フィルム11に向けて移動させるとともに、把持部材6を装飾フィルム11を把持した状態で内側方向に移動させることにより、装飾フィルム11の伸び率を均等値にほぼ保持した状態で、被貼付体100に装飾フィルムを連続的に貼り付ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、装飾フィルムの貼り付け方法に関し、更に詳しくは、凸曲面を有する被貼付体のその凸曲面に装飾フィルムを貼り付けるときに、装飾フィルムに局部的な歪みが生じるのを防止することができる装飾フィルムの貼り付け方法に関する。
従来より粘着剤付き装飾フィルムを被貼付体の曲面に貼り付けるときには、スキージ等を用いて手作業で貼り付けていた。この方法では、貼り付け始めは、装飾フィルムを延伸しなくても、しわが生じることもなく問題なく貼り付けられるが、貼り付けが進むに従い、しわが生じるようになってくるため、局部的に延伸しながら貼り付ける必要があった。そのため、装飾フィルムの当該局部的に延伸された部分の形状が歪むという問題があった。また、装飾フィルムを曲面に貼り付けるときには、面積が大きくなるほど上記歪みが大きくなるため、大きな面積の装飾フィルムを使用することは困難であった。そして、この問題は、被貼付体の曲面の曲率が大きくなるほど顕著なものであった。
このような、面積の大きな装飾フィルムを使用するために、所定のフレーム治具を用いて装飾フィルムを被貼付体の曲面に貼り付ける方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、被貼付体の曲面の曲率が小さい場合には、ある程度の面積の装飾フィルムを歪みなく貼り付けることができるが、この曲率が大きくなると局部的に形状が歪むことがあった。
特開平10−298502号公報
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、曲率の大きな凸曲面を有する被貼付体のその凸曲面に装飾フィルムを貼り付けるときに、装飾フィルムに局部的な歪みが生じるのを防止することができ、バイクの燃料タンク部等や自動車のバンパー等の曲面のきつい部分を貼付するのに好適な、装飾フィルムの貼り付け方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明によって以下の装飾フィルムの貼り付け方法が提供される。
[1]凸曲面を有する被貼付体の前記凸曲面に、装飾層及び粘着層を有する装飾フィルムを前記粘着層側から貼り付ける装飾フィルムの貼り付け方法であって、前記装飾フィルムを、前記装飾層側から、前記装飾フィルムよりも表面積の大きなアプリケーションテープの表面上の、前記アプリケーションテープの外周よりも内側の領域に位置させて、前記アプリケーションテープの外縁部を露出させた状態で積層した積層体とし、前記アプリケーションテープの外縁部を、所定箇所に固定された把持部材を用いて、前記外縁部の、互いにほぼ等間隔に位置する少なくとも3箇所で把持し、前記把持部材を、前記アプリケーションテープを把持した状態で、前記アプリケーションテープのほぼ中心部分から前記外縁部に向かう方向(外側方向)に移動させることによって、前記積層体を構成する前記装飾フィルムを、前記外側方向の伸び率が全体的にほぼ均等な所定範囲内の値となるように延伸し、前記被貼付体を、延伸された前記積層体を構成する前記装飾フィルムの前記粘着層に向けて移動させるとともに、それぞれの前記把持部材を、前記アプリケーションテープを把持した状態で内側方向に移動させることによって、前記積層体を構成する前記装飾フィルムの前記外側方向の伸び率を前記均等値にほぼ保持した状態で、前記被貼付体の前記凸曲面の先端部を、前記装飾フィルムの前記粘着層の貼り付け対応部分に当接させ、次いで、前記凸曲面の、前記貼り付け対応部分に当接した前記先端部からその隣接部分に向って、前記装飾フィルムの前記粘着層を連続的に貼り付ける装飾フィルムの貼り付け方法。
[2]前記アプリケーションテープの外縁部を、前記把持部材を用いて、前記外縁部の、互いにほぼ等間隔に位置する8箇所で把持する[1]に記載の装飾フィルムの貼り付け方法。
[3]前記積層体を構成する前記装飾フィルムの前記外側方向の伸び率を3〜30%の値となるように延伸する[1]又は[2]に記載の装飾フィルムの貼り付け方法。
[4]前記被貼付体を、前記装飾フィルムの前記粘着層に向けて所定距離移動させ、その後、前記積層体を構成する装飾フィルムの前記外側方向の伸び率を前記所定範囲内の値にほぼ保持するように、それぞれの前記把持部材を前記アプリケーションテープの外縁部を把持した状態で内側方向に所定距離移動させる操作を繰り返す[1]〜[3]のいずれかに記載の装飾フィルムの貼り付け方法。
このように、本発明の装飾フィルムの貼り付け方法によれば、被貼付体の凸曲面に、装飾層及び粘着層を有する装飾フィルムを貼り付けるときに、装飾フィルムの外縁部を、少なくとも3つの把持部材で互いにほぼ等間隔の位置になるように把持し、その把持部材で、装飾フィルムを外側方向の伸び率が全体的にほぼ均等な所定範囲内の値となるように延伸し、被貼付体を延伸された装飾フィルムの粘着層に向けて移動させるとともに、それぞれの把持部材を装飾フィルムを把持した状態で内側方向に移動させることによって、装飾フィルムの外側方向の伸び率を均等値にほぼ保持した状態で、被貼付体の凸曲面に、装飾フィルムの粘着層を連続的に貼り付けるようにしたため、曲率の大きい凸曲面に面積の大きな装飾フィルムを貼り付けるときにも、装飾フィルムに局部的な歪みや、しわが生じるのを防止することができる。これにより、バイクの燃料タンク部等や自動車のバンパー等の、曲面のきつい部分を貼付するのに好適に使用することができる。
次に本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
図1(a)、図1(b)は、本発明の装飾フィルムの貼り付け方法の一の実施の形態に使用する貼付装置1を模式的に示し、図1(a)は平面図、図1(b)は正面図である。
貼付装置1は、図1(a)、図1(b)に示すように、長さの等しい8本の角材を繋ぎ合わせて形成された正八角形の外枠部2と、外枠部2の各辺(角材)に取り付けられ、外枠部2の八角形の中心方向及びその逆方向に移動可能な把持部3と、外枠部2により形成される正八角形の一方の面側(図1(b)において、昇降部5を配置している側)に伸びるように外枠2に配設された脚部4と、被貼付体100を上下動させるための昇降部5とを備えている。
そして、本実施の形態の装飾フィルムの貼り付け方法は、例えば、このような貼付装置1を使用して、凸曲面101を有する被貼付体100の凸曲面101に、装飾層12(図2(b)参照)及び粘着層13(図2(b)参照)を有する装飾フィルム11を、粘着層13(図2(b)参照)側から貼り付けるものである。ここで、図2(a)、図2(b)は、本発明の装飾フィルムの貼り付け方法の一の実施の形態に使用する積層体を模式的に示し、図2(a)は平面図、図2(b)は正面図である。
凸曲面101に装飾フィルム11を貼り付ける方法としては、図1(a)に示すように、まず、装飾フィルム11を配設したアプリケーションテープ14の外縁部15を、外枠部2に取り付けられて固定された把持部3を構成する把持部材6を用いて、外縁部15の、互いにほぼ等間隔に位置する8箇所で把持する。装飾フィルム11は、アプリケーションテープ14に配設させて積層体10として使用される。そして、把持部材6を、装飾フィルム11を配設したアプリケーションテープ14の外縁部15を把持した状態で、アプリケーションテープ14(積層体10)のほぼ中心部分から外縁部15に向かう方向(外側方向)Pに移動させることによって、積層体10及び装飾フィルム11を、外側方向Pの伸び率が全体的にほぼ均等な所定範囲内の値となるように延伸する。次に、被貼付体100を、アプリケーションテープ14とともに延伸された装飾フィルム11の粘着層13(図2(b)参照)に向けて移動させるとともに、8個のそれぞれの把持部材6を、装飾フィルム11を配設したアプリケーションテープ14を把持した状態で内側方向Qに移動させる。これにより、装飾フィルム11(積層体10)の外側方向Pの伸び率を上記所定範囲の均等値にほぼ保持した状態で、被貼付体100の凸曲面101の先端部を、装飾フィルム11の粘着層13(図2(b)参照)の貼り付け対応部分16(図2(b)参照)に当接させ、次いで、凸曲面101の、貼り付け対応部分16(図2(b)参照)に当接した先端部からその隣接部分に向って、装飾フィルム11の粘着層13(図2(b)参照)を連続的に貼り付けることができる。そして、アプリケーションテープ14から把持部材6を取り外し、装飾フィルム11からアプリケーションテープ14を剥がすことにより、被貼付体100に装飾フィルム11を貼り付ける操作が完了する。ここで、装飾フィルムの外側方向の伸び率とは、「延伸する前の装飾フィルムの外側方向上の2点間の距離」と「延伸した後の装飾フィルムの外側方向上の2点間の距離」の差の絶対値を、「延伸する前の装飾フィルムの外側方向上の2点間の距離」で除して100倍した値である。
このように、本発明の装飾フィルムの貼り付け方法は、被貼付体の凸曲面に、装飾層及び粘着層を有する装飾フィルムを貼り付けるときに、装飾フィルムの外縁部を、少なくとも3つの把持部材で互いにほぼ等間隔の位置になるように把持し、その把持部材で、装飾フィルムを外側方向の伸び率が全体的にほぼ均等な所定範囲内の値となるように延伸し、被貼付体を延伸された装飾フィルムの粘着層に向けて移動させるとともに、それぞれの把持部材を装飾フィルムを把持した状態で内側方向に移動させることによって、装飾フィルムの外側方向の伸び率を均等値にほぼ保持した状態で、被貼付体の凸曲面に、装飾フィルムの粘着層を連続的に貼り付けるようにしたため、曲率の大きい凸曲面に面積の大きな装飾フィルムを貼り付けるときにも、装飾フィルムに局部的な歪みや、しわが生じるのを防止することができる。そして、これにより、本発明の装飾フィルムの貼り付け方法は、バイクの燃料タンク部等や自動車のバンパー等の曲面のきつい部分を貼付するのに好適に使用することができる。
本実施の形態の装飾フィルムの貼り付け方法では、円形の装飾フィルム11を、図2(a)、(b)に示すように、その装飾層12側から、装飾フィルム11よりも表面積の大きな円形のアプリケーションテープ14の表面上の、アプリケーションテープ14の外周17よりも内側の領域に位置させて、アプリケーションテープ14の外縁部15を露出した状態で積層した積層体10としている。装飾フィルム11の形状は、必要に応じた形状とすることができる。アプリケーションフィルム14の形状は、円形が好ましいが、把持部材6で把持したときに、伸び率を全体に渡ってほぼ均等にすることができれば、円形に限られるものではない。例えば、四角形等の多角形、楕円形、その他不定形とすることができる。このときには、把持部材6により把持する位置はアプリケーションフィルム14の外縁である必要はない。そして、被貼付体100(図1(b)参照)を装飾フィルム11に貼り付けるときには、図1(a)に示すように、把持部材6を用いてアプリケーションテープ14の外縁部15を把持して、積層体10を構成する装飾フィルム11の伸び率が全体的にほぼ均等な所定範囲内の値となるように積層体10(装飾フィルム11)を延伸する。これにより、装飾フィルム11を伸び率が全体的にほぼ均等な所定範囲内の値となるように被貼付体100に貼り付けることができる。
本実施の形態において、積層体10を構成する装飾フィルム11の伸び率の所定の範囲は、3〜30%であることが好ましい。3%より小さいと、装飾フィルム11を被貼付体100に貼り付けたときに、装飾フィルム11の外周付近にしわが発生したり、無理にそのしわを伸ばすと、局所的に装飾フィルム11が伸びて歪むことがある。30%より大きいと、装飾フィルム11を伸ばし過ぎるため、全体的に薄くなり強度的に弱くなることがある。また、装飾フィルルム11が全体的に均等に延伸されていることの確認は、目視により、たるみや変形がないことを確認することにより行われる。
装飾フィルム11としては、従来から使用されている装飾フィルムを使用することができ、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー樹脂等を使用することができる。装飾フィルム11の厚さは特に限定されるものではないが、30〜70μmが好ましい。装飾フィルム11の粘着剤としては、アクリル系粘着剤等を使用することができる。粘着剤の厚さは特に限定されるものではないが、15〜30μmが好ましい。粘着層13に粘着剤を配設したときには、その粘着剤の表面にほこり等が粘着剤に付着しないように保護用のライナーを配設することが好ましい。装飾フィルム11を被貼付体100に貼り付けるときには、このライナーは取り外して使用される。また、装飾フィルム11の装飾層12(図2(b)参照)には、通常、インク等により目的に応じた模様、文字等が記載されており、その表面には上記模様、文字等を保護するために、透明な保護フィルムが配設されている。
アプリケーションテープ14としては、従来から使用されているものを使用することができる。アプリケーションテープの伸長性は、厳しい三次元曲面へのマーキングの適用が可能になるように、大きいことが好ましく、例えば、JIS Z0237法で測定して、150〜400%の破断点伸び率を有することが好ましい。アプリケーションテープとして使用できる材料は、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)/PP(ポリプロピレン)、ウレタンゴム、アクリル樹脂、アイオノマー樹脂等である。アプリケーションテープ14の一の表面には、装飾フィルム11に配設するために粘着剤が配設されていることが好ましい。この粘着剤は装飾フィルムに配設するものより粘着力が弱いものが好ましい。例えば、アクリル粘着剤、合成ゴム系粘着剤等を使用することができる。
本実施の形態に使用する貼付装置1においては、図1(a)、図1(b)に示すように、外枠部2は、角材によりほぼ正八角形に形成されているが、八角形に限られるものではなく、円形、楕円形、正三角形等の多角形、その他不定形であってもよい。多角形の場合、各辺の長さが等しいことが好ましいが、異なっていてもよい。また、角材は、四角柱であってもよいが、円柱、楕円柱、四角柱以外の多角柱、その他不定形であってもよい。長さ方向に垂直な平面で切断した断面がH型やその他特殊な形状であってもよい。また、角材は、中実であってもよいが中空であってもよい。
本実施の形態に使用する貼付装置1においては、把持部3は、把持部材6に回転自在に軸7が取り付けられ、さらに軸7と一体となるようにハンドル8が取り付けられている。つまり、ハンドル8を回転させると、軸7は一体となって回転するが、軸7が回転しても軸7が空回りして把持部材6は回転しないように形成されている。そして、把持部3を外枠部2に取り付ける方法としては、外枠部2の所定の位置に外枠部2を貫通するようにネジ穴を形成し、把持部3の軸7に、そのネジ穴に対応するネジ山を形成し、軸7を外枠部2に形成したネジ穴にはめ込むことにより取り付けている。そして、把持部材6を外枠部2に外側方向Pや内側方向Qに移動させるときには、ハンドル8を回転させることにより軸7を回転させ、ネジにより回転した分だけ移動させる。このとき、把持部材6と軸7とは上述のように回転自在に取り付けられているため、軸7が回転しても把持部材6は回転せずに装飾フィルム又はアプリケーションテープを把持した状態で移動することができる。
外枠部2の材質としては特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス等を使用することができる。
本実施の形態で使用する貼付装置1では、外枠部2にネジ穴を形成しているが、外枠部2に、例えば、外枠部2に使用されるものと同様の金属やフッ素樹脂等からなる角柱状のガイド部(図示せず)を取り付け、そこにネジ穴を形成してもよい。
外枠部2に把持部3を取り付けるときの、外枠部2における位置は、隣接する把持部3の間の距離が等しくなるようにすることが好ましい。これにより、把持部材6を外側方向Pや内側方向Qに移動させたときに、装飾フィルムの伸び率を所定の範囲に保つことがより容易になる。
把持部材6で装飾フィルム11又はアプリケーションテープ14を把持するときには、各把持部材6が、外枠部2の八角形の中心を中心とした円周上に配置されることが好ましい。これにより、各把持部材6を外側方向Pや内側方向Qに移動させるときに、容易に同心円を形成させながら移動させることができるため、装飾フィルムの伸び率を所定の範囲に保つことがより容易になる。さらに、各把持部材6が上記円周上に配置されたときに、その円周上において把持部材6により把持される領域(円周上において把持部材6が存在する比率)は、合計で30%以上であることが好ましい。30%より小さいと、装飾フィルムの伸び率を全体的に均一にすることが容易でなくなることがある。さらに、把持部材6の上記円周方向の長さは、全てがほぼ同一であることが好ましい。
把持部材6で装飾フィルム11又はアプリケーションテープ14を把持するときには、把持部材6を3以上使用する。2以下では、積層体10を構成する装飾フィルム11が特定方向だけに延伸され、全体に均一に延伸されない。使用する把持部材6の数は、6以上が好ましい。6より少ないと、延伸の状態が均一になり難いことがある。
把持部材6の形状は、バネの力によりアプリケーションテープの両面から挟み込むクリップ状のものや、アプリケーションテープの両面に一枚ずつのゴム状の板を配置させ、その二枚の板をボルト締め等することによりアプリケーションテープを把持するものとすることができる。上記ゴム状の板を使用するときには、さらに二枚の金属又は合成樹脂の板を、上記二枚のゴム状の板をその外側から挟むようにして配置させ、全体をボルト締め等により締め付けて把持してもよい。この場合、ゴム上の板は一枚であってもよい。上記ゴム状の板は板である必要はなく、棒状のものや、フィルム状のものであってもよい。ゴム状の板を使用することにより、アプリケーションテープを強く把持することができ、さらに傷つけたり、破ったりしないため好ましい。
軸7及びハンドル8の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、フッ素樹脂等を使用することができる。
本実施の形態に使用する貼付装置1においては、図1(a)、図1(b)に示すように、外枠部2には、外枠部2を形成している角材から形成される脚部4が4本配設されている。これにより、外枠部2が地面から所定の高さに位置するようにし、その下に、被貼付体100を配置させることができる。また、被貼付体100は、昇降部5の上に配置させる。図1(b)に示す昇降部5は、手動で上下するジャッキであるが、自動(電動等)で上下する昇降機であってもよい。
本実施の形態の装飾フィルムの貼り付け方法について、図3(a)〜図3(c)によって、さらに詳細に説明する。図3(a)〜図3(c)は、装飾フィルムを被貼付体に貼り付ける過程を示した模式図であり、積層体のアプリケーションテープを把持部材で把持し、被貼付体を昇降部により上昇させる様子を示した正面図である。貼付装置としては、上述した図1(a)、図1(b)に示すものを使用し、積層体としては、上述した図2(a)、図2(b)に示すものを使用した。
図3(a)は、積層体10のアプリケーションフィルム14を把持部材6で把持し、被貼付体100を昇降部5の上に配置して、被貼付体100の凸曲面101を装飾フィルム11の貼り付け対応部分に当接させた状態を示す。
この状態から、図1(a)に示すハンドル8を手で回転させ、全ての把持部材6を一つずつ順番に外側方向Pにほぼ同じ距離だけ移動させ、積層体10の外側方向Pの伸び率が全体的にほぼ均等な所定範囲内の値となるようにする。そして、図3(a)に示すように、被貼付体100の凸曲面101の先端部を装飾フィルム11の粘着層13の貼り付け対応部分16に当接させる。把持部材6を外側方向Pに移動させるときには、全ての把持部材6を同時に移動させてもよい。
次に、図3(b)に示すように、昇降部5の上に配置させた被貼付体100を、昇降部5を手動で所定高さ上昇させることにより、所定高さだけ上昇させ、粘着層13に向かって所定距離移動させる。その後、積層体10を構成する装飾フィルム11の上記外側方向Pの伸び率を上記所定範囲内の値にほぼ保持するように、それぞれの把持部材6でアプリケーションテープ14の外縁部15を把持した状態で、把持部3のハンドル8を手で回転させることにより、把持部材6を内側方向Qに所定距離移動させる。これにより、上記凸曲面101の貼り付け対応部分16に当接した先端部からその隣接部分に向かって、装飾フィルム11の粘着層13が連続的に貼り付く。そして、上記、昇降部5を所定高さだけ上昇させ、把持部材6を内側方向Qに所定距離移動させるという操作を繰り返すことにより、図3(c)に示すように、積層体10に配設された装飾フィルム11の全体が凸曲面101に貼り付く。そして、アプリケーションテープ14から把持部材6を取り外し、装飾フィルム11からアプリケーションテープ14を剥がすことにより、被貼付体100に装飾フィルム11を貼り付けることができる。
本実施の形態の装飾フィルムの貼り付け方法は、図1(a)、図1(b)に示す貼付装置1を使用して、手動で把持部と昇降部とを交互に動かすことにより、装飾フィルムを被貼付体に貼り付けたが、複数の人間により、手動で把持部の移動と昇降部の動作を同時に行うことが好ましい。これにより、さらに装飾フィルムに局部的な歪み、しわ等が生じるのを防止することができる。さらに、把持部の移動と昇降部の動作を、コンピュータ等の制御により、自動(電動等)で行うことがさらに好ましい。これにより、さらに装飾フィルムに局部的な歪みが生じるのを防止することができる。
(実施例1〜3、比較例1)
図1(a)、図1(b)に示す貼付装置1を作成した。外枠部2及び脚部4はアルミニウム製の断面正方形(一辺略3cm)の角材を使用して、ボルト締めにより組み立てた。外枠部2は対向する二辺間の距離が40cmの略正八角形に形成した。外枠部2の各辺の中央部には、フッ素樹脂を板状に形成したガイド部(図示せず)をボルト締めにより装着した。ガイド部(図示せず)はその半分が脚部4が装着されている側に対して反対側に突出させるように装着した。ガイド部(図示せず)の上記突出させた部分には、外枠部2の正八角形の中心を向くようにガイド部(図示せず)を貫通するネジ穴を形成した。次に、ガイド部(図示せず)のネジ穴に、把持部3を装着し、把持部材6が外枠部2の外側方向Pと内側方向Qにそれぞれ移動できるようにした。図1(a)、図1(b)では、外枠部2にネジ穴を形成して、そこに把持部3を装着しているが、本実施例においては、ガイド部(図示せず)にネジ穴を形成して、そこに把持部3を装着した。把持部3のハンドル8はフッ素樹脂で作製し、軸7はステンレスで作製した。軸7は、ガイド部(図示せず)のネジ穴に対応するネジ山が形成された円柱とし、このネジに沿って軸7が回転することにより、把持部材6が移動するようにした。そして、把持部3の把持部材6は、半径15cmの円周に沿うように湾曲させたフッ素樹脂製の板を使用し、上下からアプリケーションフィルム14を挟みボルト締めすることにより把持するものとした。把持部材6のアプリケーションフィルム14と接触する部分には板状のゴムを配設した。把持部材6の上記円周方向の長さを11cmとし、八個の把持部材6の上記円周方向の長さの合計が、88cmとなるようにした。昇降部5としては、実験室での実験に使用する手動のジャッキを使用した。
装飾フィルム11は、アプリケーションフィルム14に配設させて積層体10として使用した。装飾フィルム11としては、厚さ50μmのポリ塩化ビニルフィルムにアクリル系粘着剤を30μm積層したものを使用した。また、アプリケーションフィルム14としては、半径16cmの円形の厚さ100μmのポリ塩化ビニルフィルムにアクリル系粘着剤を15μm積層したフィルムを使用し、その中心部分に半径8cmの装飾フィルム11の装飾層を貼り付けた。
被貼付体100は半径10cmのアクリルメラミン樹脂を塗装した鋼鉄製の球体を使用した。
上述の貼付装置1に積層体10をセットし(アプリケーションテープ14の外縁部15を把持部材6で把持し)、昇降部5に被貼付体100を配置し、装飾フィルム11の貼り付け方法についての試験(装飾フィルムの貼り付け試験)を行った。
装飾フィルムの貼り付け試験の操作としては、まず、ハンドル8を手で回転させ、把持部材6を外側方向Pに移動させ、積層体10を構成する装飾フィルム11の外側方向Pの伸び率が全体的にほぼ均等な所定範囲内の値となるようにする。そして、被貼付体100の凸曲面101の先端部を装飾フィルム11の粘着層の貼り付け対応部分16に当接させる。
次に、昇降部5の上に配置させた被貼付体100を、昇降部5を手動で所定高さ上昇させることにより、所定高さだけ上昇させ、粘着層に向かって所定距離移動させる。その後、積層体10を構成する装飾フィルム11の上記外側方向の伸び率を上記所定範囲内の値にほぼ保持するように、それぞれの把持部材6でアプリケーションテープ14の外縁部15を把持した状態で、把持部3のハンドル8を手で回転させることにより、把持部材6を内側方向に所定距離移動させる。これにより、上記凸曲面101の貼り付け対応部分に当接した先端部からその隣接部分に向かって、装飾フィルム11の粘着層が連続的に貼り付く。ここで、積層体10と装飾フィルム11の伸び率は同一となる。そして、この操作を繰り返すことにより、積層体10に配設された装飾フィルム11の全体が凸曲面101に貼り付く。そして、アプリケーションテープ14から把持部材6を取り外し、装飾フィルム11からアプリケーションテープ14を剥がすことにより、被貼付体100に装飾フィルム11を貼り付けた状態となる。
装飾フィルムの貼り付け試験としては、アプリケーションテープ14の外縁部15を把持部材6で把持し、外枠部2の外側方向に移動させたときの伸び率を、0%、3%、30%及び40%(比較例1、実施例1、実施例2、実施例3)と変化させ、そのときの、貼付体100に貼り付いた装飾フィルム11の、歪み及びしわを目視で確認した。ここで、伸び率とは、「積層体を把持部材で把持する前の装飾フィルムの直径」と「積層体を外枠部の外側方向に延伸させたときの装飾フィルムの直径」の差の絶対値を、「積層体を把持部材で把持する前の装飾フィルムの直径」で除して100倍した値である。結果を表1に示す。表1において、歪み、しわのそれぞれが全くない場合を○、歪み、しわのそれぞれが僅かにあるが、ほぼ良好な貼り付け状態である場合を△、歪み、しわのそれぞれが大きい場合を×とした。
(実施例4、比較例2)
把持部材の上記円周方向の長さを3cmとした以外は、上記実施例1の装飾フィルムの貼り付け方法の試験に使用した貼付装置と同様の貼付装置を作製した。
装飾フィルムの貼り付け試験としては、上記実施例1で使用した積層体10と同様の積層体を使用し、上記実施例1と同様の方法で試験を行った。試験の条件としては、アプリケーションテープ14の外縁部15を把持部材6で把持し、外枠部2の外側方向に移動させたときの伸び率を、0%、3%(比較例2、実施例4)と変化させ、そのときの、貼付体100に貼り付いた装飾フィルム11の、歪み及びしわを目視で確認した。結果を表1に示す。
Figure 2005054057
表1より、装飾フィルムを所定の伸び率で延伸させた状態を保ちながら貼付体に貼り付けた、実施例1〜4は、歪み及びしわが発生し難く、延伸させずに装飾フィルムを貼付体に貼り付けた比較例1,2は、歪みが発生し易いことが分かる。比較例1,2でしわが発生していないのは、しわになる部分を無理に延伸してしわを無くしたところ、無理な延伸により歪みが生じた結果と考えられる。また、実施例3より、しわを全くない状態にするためには、伸び率を大きくし過ぎないほうがよいことがわかる。また、実施例1と実施例4との比較により、把持部材でアプリケーションフィルムを把持するときの幅(円周方向の長さ)は、長いほうが歪みが発生し難いことがわかる。
本発明の装飾フィルムの貼り付け方法は、バイクの燃料タンク部等や自動車のバンパー等の、曲率の大きな凸曲面を有する被貼付体のその凸曲面に装飾フィルムを貼り付けるときに利用することができ、これにより本装飾フィルムに局部的な歪みが生じるのを防止することができる。
本発明の装飾フィルムの貼り付け方法の一の実施の形態に使用する貼付装置1を模式的に示し、図1(a)は平面図、図1(b)は正面図である。 本発明の装飾フィルムの貼り付け方法の一の実施の形態に使用する積層体を模式的に示し、図2(a)は平面図、図2(b)は正面図である。 図3(a)〜図3(c)は、本発明の装飾フィルムの貼り付け方法の一の実施の形態において、装飾フィルムを被貼付体に貼り付ける過程を示した模式図である。
符号の説明
1…貼付装置、2…外枠部、3…把持部、4…脚部、5…昇降部、6…把持部材、7…軸、8…ハンドル、10…積層体、11…装飾フィルム、12…装飾層、13…粘着層、14…アプリケーションテープ、15…外縁部、16…貼り付け対応部分、17…外周、100…被貼付体、101…凸曲面、P…外側方向、Q…内側方向。

Claims (4)

  1. 凸曲面を有する被貼付体の前記凸曲面に、装飾層及び粘着層を有する装飾フィルムを前記粘着層側から貼り付ける装飾フィルムの貼り付け方法であって、
    前記装飾フィルムを、前記装飾層側から、前記装飾フィルムよりも表面積の大きなアプリケーションテープの表面上の、前記アプリケーションテープの外周よりも内側の領域に位置させて、前記アプリケーションテープの外縁部を露出させた状態で積層した積層体とし、
    前記アプリケーションテープの外縁部を、所定箇所に固定された把持部材を用いて、前記外縁部の、互いにほぼ等間隔に位置する少なくとも3箇所で把持し、
    前記把持部材を、前記アプリケーションテープを把持した状態で、前記アプリケーションテープのほぼ中心部分から前記外縁部に向かう方向(外側方向)に移動させることによって、前記積層体を構成する前記装飾フィルムを、前記外側方向の伸び率が全体的にほぼ均等な所定範囲内の値となるように延伸し、
    前記被貼付体を、延伸された前記積層体を構成する前記装飾フィルムの前記粘着層に向けて移動させるとともに、それぞれの前記把持部材を、前記アプリケーションテープを把持した状態で内側方向に移動させることによって、前記積層体を構成する前記装飾フィルムの前記外側方向の伸び率を前記均等値にほぼ保持した状態で、前記被貼付体の前記凸曲面の先端部を、前記装飾フィルムの前記粘着層の貼り付け対応部分に当接させ、次いで、前記凸曲面の、前記貼り付け対応部分に当接した前記先端部からその隣接部分に向って、前記装飾フィルムの前記粘着層を連続的に貼り付ける装飾フィルムの貼り付け方法。
  2. 前記アプリケーションテープの外縁部を、前記把持部材を用いて、前記外縁部の、互いにほぼ等間隔に位置する8箇所で把持する請求項1に記載の装飾フィルムの貼り付け方法。
  3. 前記積層体を構成する前記装飾フィルムの前記外側方向の伸び率を3〜30%の値となるように延伸する請求項1又は2に記載の装飾フィルムの貼り付け方法。
  4. 前記被貼付体を、前記装飾フィルムの前記粘着層に向けて所定距離移動させ、その後、前記積層体を構成する装飾フィルムの前記外側方向の伸び率を前記所定範囲内の値にほぼ保持するように、それぞれの前記把持部材を前記アプリケーションテープの外縁部を把持した状態で内側方向に所定距離移動させる操作を繰り返す請求項1〜3のいずれかに記載の装飾フィルムの貼り付け方法。
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