JP2005052389A - 白内障手術装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧力検出用センサを患者の前房に挿入することなく、前房内圧の低下を応答よく検出して自動的にサージ現象を抑制できる白内障手術装置を提供する。
【解決手段】管状の超音波チップ2を術眼9内に挿入し、超音波チップ2の先端で水晶体を乳化しながら、超音波チップ2内に吸引して術眼外へ排出するとともに、灌水タンク6から灌水供給通路5を介して灌水を術眼内に供給するようにした白内障手術装置であって、上記灌水供給通路にインラインで設けられた灌水注入用ポンプ20と、ポンプ20と術眼9との間の灌水供給通路5に設けられ、術眼9の前房内圧と相関する圧力を検出する圧力センサ23と、圧力センサ23からの前房内圧に相関する信号を入力信号とし、ポンプ20をフィードバック制御して前房内圧が基準値以下になるのを防止する制御装置24とを備える。
【選択図】 図4
【解決手段】管状の超音波チップ2を術眼9内に挿入し、超音波チップ2の先端で水晶体を乳化しながら、超音波チップ2内に吸引して術眼外へ排出するとともに、灌水タンク6から灌水供給通路5を介して灌水を術眼内に供給するようにした白内障手術装置であって、上記灌水供給通路にインラインで設けられた灌水注入用ポンプ20と、ポンプ20と術眼9との間の灌水供給通路5に設けられ、術眼9の前房内圧と相関する圧力を検出する圧力センサ23と、圧力センサ23からの前房内圧に相関する信号を入力信号とし、ポンプ20をフィードバック制御して前房内圧が基準値以下になるのを防止する制御装置24とを備える。
【選択図】 図4
Description
本発明は超音波を用いた白内障手術装置の改良に関するものである。
白内障とは、眼の中でカメラのレンズの役割を担う水晶体が混濁する病気である。白内障は、その進行が重度であれば、混濁した水晶体を除去し、透明な人工レンズを挿入する手術が必要であり、現在この水晶体除去手術の方式として、超音波乳化吸引方式が広く採用されている。この方式では、水晶体は超音波振動によって破砕されながら細いパイプで吸引され、術眼外へ排出される。
図1は従来の白内障手術装置を模式的に示したものである。
術眼9に対し水頭H(患者によっても異なるが、一般的に大気圧に対し60mmHg)になる位置に、灌水7の液面がくるように灌水タンク6が設置され、灌水供給チューブ5を経由してハンドピース1に灌水が導入され、注入穴3から眼内に流れ込む。ハンドピース1の中心部には管状の超音波チップ2が設けられ、この超音波チップ2の先端で水晶体を乳化しながら超音波チップ2の管の内側に吸引し、眼外へ排出する。
細かく砕かれた水晶体と灌水は、超音波チップ2の管状内側を経て吸引チューブ4を通りタンク8に排出される。吸引機能は、吸引ポンプ10によって与えられる。ここでは、吸引ポンプ10の一例としてペリスタルティックポンプを図示したが、ベンチュリーポンプあるいはダイアフラグマポンプなども使用可能である。
術眼9に対し水頭H(患者によっても異なるが、一般的に大気圧に対し60mmHg)になる位置に、灌水7の液面がくるように灌水タンク6が設置され、灌水供給チューブ5を経由してハンドピース1に灌水が導入され、注入穴3から眼内に流れ込む。ハンドピース1の中心部には管状の超音波チップ2が設けられ、この超音波チップ2の先端で水晶体を乳化しながら超音波チップ2の管の内側に吸引し、眼外へ排出する。
細かく砕かれた水晶体と灌水は、超音波チップ2の管状内側を経て吸引チューブ4を通りタンク8に排出される。吸引機能は、吸引ポンプ10によって与えられる。ここでは、吸引ポンプ10の一例としてペリスタルティックポンプを図示したが、ベンチュリーポンプあるいはダイアフラグマポンプなども使用可能である。
しかし、超音波乳化吸引方式には後嚢破損という失明に至る合併症を引き起こす可能性がある。後嚢破損の主な原因は、前房内圧の急激な低下であるサージ現象であると考えられているが、このサージ現象は非常に短時間で起こる現象であり、現在の白内障手術装置ではこのサージ現象を十分に抑制することができていない。
術中におけるサージ現象を抑制するために、本願出願人は、前房内圧の低下を検出して自動的にサージ現象を解消できる白内障手術装置を提案した(特許文献1参照)。この装置は、術眼の前房内圧を検出する圧力センサと、灌水供給通路の途中に接続された灌水を貯留するための灌水貯留部と、灌水供給通路へ灌水を強制的に注入するよう灌水貯留部を作動させる灌水注入手段と、圧力センサからの前房内圧信号を入力信号とし、灌水注入手段を制御して前房内圧が基準値以下になるのを防止する制御手段と、を備えたものである。
この場合には、前房内圧の降下に合わせて自動的に灌水を術眼へ供給するので、医師の負担を軽減できるとともに、サージ現象による急激な前房内圧の低下を防止でき、後嚢の破損を確実に防止できるという特徴がある。
この場合には、前房内圧の降下に合わせて自動的に灌水を術眼へ供給するので、医師の負担を軽減できるとともに、サージ現象による急激な前房内圧の低下を防止でき、後嚢の破損を確実に防止できるという特徴がある。
この白内障手術装置は上記のように優れた特徴を有するが、患者の眼の前房内圧を測定しなければならないという問題がある。前房内圧を測定するためには、圧力センサを患者の前房に挿入しなければならない。しかしながら、この作業は一般の眼科医では非常に困難であるばかりか、患者への負担も大きい。
そのため、特許文献1には、超音波チップの下流側の吸引通路に、吸引圧を検出する圧力センサを設け、この圧力センサにより検出された吸引圧信号を制御手段の入力信号として用いる方法も提案されている。つまり、サージ現象のために前房内圧が低下すると、吸引通路の圧力は上昇し、吸引通路の圧力は前房内圧と逆モードの変化をすることになる。この上昇を圧力センサで検出することによって、サージ現象を検出することができる。この場合には、圧力センサを患者の前房に挿入する必要がないので、患者の負担を少なくできる。
そのため、特許文献1には、超音波チップの下流側の吸引通路に、吸引圧を検出する圧力センサを設け、この圧力センサにより検出された吸引圧信号を制御手段の入力信号として用いる方法も提案されている。つまり、サージ現象のために前房内圧が低下すると、吸引通路の圧力は上昇し、吸引通路の圧力は前房内圧と逆モードの変化をすることになる。この上昇を圧力センサで検出することによって、サージ現象を検出することができる。この場合には、圧力センサを患者の前房に挿入する必要がないので、患者の負担を少なくできる。
しかし、超音波チップの下流側の吸引通路の圧力を検出する方法では、サージ現象が生じた時刻そのものを検出することはできるが、吸引圧と前房内圧とは全く異なる圧力であるため、前房内圧を目標値へ制御するためのフィードバック信号として吸引圧を利用することができないという欠点がある。
図2の(a)はサージ現象が発生した時の眼内圧の時間変化、(b)はその時の吸引通路の圧力(吸引圧と呼ぶ)の時間変化を表す。(a)と(b)とを対照すれば明らかなように、サージ現象の発生時(約2.5sec)に吸引圧は低下から上昇に転じるが、その圧力変化は前房内圧とは全く異なることがわかる。しかも、吸引圧の極小値はサージ現象時の前房内圧に必ずしも相関していないため、サージ現象の程度によって前房内圧を制御することができない。
特開2002−153499号公報
図2の(a)はサージ現象が発生した時の眼内圧の時間変化、(b)はその時の吸引通路の圧力(吸引圧と呼ぶ)の時間変化を表す。(a)と(b)とを対照すれば明らかなように、サージ現象の発生時(約2.5sec)に吸引圧は低下から上昇に転じるが、その圧力変化は前房内圧とは全く異なることがわかる。しかも、吸引圧の極小値はサージ現象時の前房内圧に必ずしも相関していないため、サージ現象の程度によって前房内圧を制御することができない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、圧力検出用センサを患者の前房に挿入することなく、前房内圧の低下を検出して自動的にサージ現象を抑制できる白内障手術装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、管状の超音波チップを術眼内に挿入し、超音波チップの先端で水晶体を乳化しながら、超音波チップ内に吸引して術眼外へ排出するとともに、灌水タンクから灌水を水頭圧を利用して灌水供給通路を介して術眼内に供給するようにした白内障手術装置において、上記術眼内に灌水供給通路を介して強制的に灌水を注入する灌水注入手段と、上記灌水注入手段と術眼との間の灌水供給通路に設けられ、上記術眼の前房内圧と相関する圧力を検出する圧力センサと、上記圧力センサからの圧力信号を入力信号とし、上記灌水注入手段を制御して前房内圧が基準値以下になるのを防止する制御装置と、を備えたことを特徴とする白内障手術装置を提供する。
本発明の特徴の1つは、圧力センサによって、術眼より上流側、つまり灌水注入手段と術眼との間の灌水供給通路の圧力を検出する点である。圧力センサを患者の前房に挿入する必要がないので、患者の負担が少ない。しかも、上流側の注入圧力は下流側の吸引圧力とは異なり、前房内圧と相似の圧力変化を示すので、フィードバック信号として利用できるとともに、サージ現象が発生してから時間の遅れがなく、前房内圧の低下を応答よく検出できる。
圧力センサの位置は、灌水注入手段と術眼との間の灌水供給通路であって、術眼の前房内圧に近い圧力を検出できる位置であればよい。例えば、超音波チップを有するハンドピースの近傍の灌水供給通路あるいはハンドピースそのもの(術眼外)に設けてもよい。
圧力センサの位置は、灌水注入手段と術眼との間の灌水供給通路であって、術眼の前房内圧に近い圧力を検出できる位置であればよい。例えば、超音波チップを有するハンドピースの近傍の灌水供給通路あるいはハンドピースそのもの(術眼外)に設けてもよい。
図3はサージ現象が発生した時の眼内圧と灌水供給通路の圧力(注入圧と呼ぶ)との時間変化を表したものである。図から明らかなように、サージ現象時(1.68sec)には注入圧(破線で示す)が眼内圧(実線で示す)と同様の圧力変化を示し、しかも両者の圧力変化に時間的な遅れがないことがわかる。そのため、注入圧の圧力信号をフィードバック信号として灌水注入手段を制御すれば、前房内圧を所望の圧力に制御できるとともに、灌水を術眼に応答よく補給でき、サージ現象を抑制できる。
請求項2のように、制御装置は、圧力センサからの圧力信号を微分する微分手段と、この微分値をフィードバック信号として灌水注入手段を制御する制御手段とを備えるのがよい。
圧力センサからの圧力信号そのものをフィードバックして灌水注入手段を制御してもよいが、前房内圧の定常値は吸引通路の閉鎖時には水頭圧に、開放時には水頭圧と吸引流量および通路の流体抵抗による吸引時定常圧にそれぞれ収束するため、圧力信号そのものをフィードバックした場合には、吸引通路が閉鎖しているか開放しているかによって目標値を非連続的に切り替えなければならない。一方、圧力変動の微分値をフィードバックした場合には、圧力変動が少ないときには灌水注入手段は動作せず、変動しているときにはその大きさにしたがって適切な注入量を加えるという2 つの動作を連続的に行なうことができ、制御上非常に望ましい。
圧力センサからの圧力信号そのものをフィードバックして灌水注入手段を制御してもよいが、前房内圧の定常値は吸引通路の閉鎖時には水頭圧に、開放時には水頭圧と吸引流量および通路の流体抵抗による吸引時定常圧にそれぞれ収束するため、圧力信号そのものをフィードバックした場合には、吸引通路が閉鎖しているか開放しているかによって目標値を非連続的に切り替えなければならない。一方、圧力変動の微分値をフィードバックした場合には、圧力変動が少ないときには灌水注入手段は動作せず、変動しているときにはその大きさにしたがって適切な注入量を加えるという2 つの動作を連続的に行なうことができ、制御上非常に望ましい。
請求項3のように、灌水注入手段として、灌水供給通路にインラインで設けられた灌水注入用ポンプを用いてもよい。
灌水注入手段としては、特許文献1に記載のように、灌水供給通路の途中に接続された灌水を貯留するための灌水貯留部と、灌水供給通路へ灌水を強制的に注入するよう灌水貯留部を作動させる作動手段とで構成することも可能であるが、構造が複雑で大型になるという問題がある。
これに対し、灌水供給通路にインラインで灌水注入用ポンプを設けた場合には、灌水貯留部が不要であり、構造が簡単でかつ小型に構成できる。しかも、ポンプは灌水供給通路にインラインで設けられているので、速やかに灌水を術眼へ供給でき、サージ現象を未然に防止できる。
ポンプとしては、60mmHg(灌水タンクから術眼までの水頭圧)程度の低圧下で、電気信号に応じて灌水を出し入れできるものであれば、如何なる形式のポンプでもよい。
灌水注入手段としては、特許文献1に記載のように、灌水供給通路の途中に接続された灌水を貯留するための灌水貯留部と、灌水供給通路へ灌水を強制的に注入するよう灌水貯留部を作動させる作動手段とで構成することも可能であるが、構造が複雑で大型になるという問題がある。
これに対し、灌水供給通路にインラインで灌水注入用ポンプを設けた場合には、灌水貯留部が不要であり、構造が簡単でかつ小型に構成できる。しかも、ポンプは灌水供給通路にインラインで設けられているので、速やかに灌水を術眼へ供給でき、サージ現象を未然に防止できる。
ポンプとしては、60mmHg(灌水タンクから術眼までの水頭圧)程度の低圧下で、電気信号に応じて灌水を出し入れできるものであれば、如何なる形式のポンプでもよい。
請求項4のように、ポンプの非作動時においても、灌水タンクから灌水が水頭圧によって術眼内に供給されるポンプの隙間あるいはバイパス通路が設けられているのがよい。
何らかの原因によりポンプが作動しなくなった場合に、灌水供給通路にインラインで設けられたポンプが通路を塞いでしまうと、灌水が供給されなくなるという問題がある。そこで、ポンプ自体に隙間を設けたり、あるいはポンプと並列にバイパス通路を設けることで、ポンプが停止しても灌水タンクから灌水が水頭圧によって術眼内に常時供給されるようにするのが、フェールセーフ上望ましい。
何らかの原因によりポンプが作動しなくなった場合に、灌水供給通路にインラインで設けられたポンプが通路を塞いでしまうと、灌水が供給されなくなるという問題がある。そこで、ポンプ自体に隙間を設けたり、あるいはポンプと並列にバイパス通路を設けることで、ポンプが停止しても灌水タンクから灌水が水頭圧によって術眼内に常時供給されるようにするのが、フェールセーフ上望ましい。
請求項5のように、ポンプとしてはモータにより回転駆動される回転式ポンプを用いるのがよい。
ポンプにはギヤポンプやベーンポンプのような回転式ポンプや、ピストンポンプのような往復式ポンプなどがあるが、往復式ポンプの場合、サージ現象時における圧力信号に即座に応答できないので、サージ現象を効果的に抑制できず、かつ圧力の脈動が大きいという欠点がある。これに対し、回転式ポンプの場合、即座に圧力を上昇させることができ、かつ圧力の脈動が小さいので、サージ現象を効果的に抑制できる。
回転式ポンプとしては、ギヤポンプやベーンポンプのような容積型ポンプ、プロペラ型や軸流ポンプのようなダイナミックポンプなどがあるが、ダイナミックポンプは、ポンプが停止していても灌水は自由に流れるので、ポンプが事故などで動かない場合でもフェールセーフ機能を発揮できる。
ポンプにはギヤポンプやベーンポンプのような回転式ポンプや、ピストンポンプのような往復式ポンプなどがあるが、往復式ポンプの場合、サージ現象時における圧力信号に即座に応答できないので、サージ現象を効果的に抑制できず、かつ圧力の脈動が大きいという欠点がある。これに対し、回転式ポンプの場合、即座に圧力を上昇させることができ、かつ圧力の脈動が小さいので、サージ現象を効果的に抑制できる。
回転式ポンプとしては、ギヤポンプやベーンポンプのような容積型ポンプ、プロペラ型や軸流ポンプのようなダイナミックポンプなどがあるが、ダイナミックポンプは、ポンプが停止していても灌水は自由に流れるので、ポンプが事故などで動かない場合でもフェールセーフ機能を発揮できる。
本発明によれば、圧力センサを術眼の前房に挿入することなく、前房の上流側である灌水供給通路の圧力変化を検出すればよいので、患者の負担を軽減できるとともに、灌水供給通路の圧力は前房内圧と近い変化を示すので、前房内圧を制御するためのフィードバック信号として利用できる。そのため、サージ現象に伴う前房内圧の低下を検出して、灌水注入手段により速やかに灌水を術眼へ供給でき、サージ現象による急激な前房内圧の低下を防止でき、後嚢の破損を確実に防止できる。
以下に、本発明の実施の形態を実施例を参照しながら説明する。
図4に本発明にかかる白内障手術装置の一実施例を示す。この実施例において、図1に示された従前の白内障手術装置と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
供給チューブ5の途中に、灌水注入用ポンプ20がインラインで設けられ、このポンプ20を駆動するモータ21が設けられている。この実施例のポンプ20はギヤポンプであるが、ベーンポンプや他の容量型ポンプでもよいし、プロペラ型、ターボ型などのダイナミックポンプでもよい。さらには、摺動部を有しないダイヤフラム式ポンプであってもよく、ダイヤフラムを圧電素子で駆動する公知の圧電式ポンプを使用することもできる。
なお、ポンプ20が何らかの原因により作動しなくなった場合に、ポンプ20が灌水通路を塞いでしまうと、灌水が術眼9へ供給されなくなるという問題が発生する。ポンプ20自体に隙間を有する場合には問題ないが、隙間を有しないポンプの場合には、破線で示すようにポンプ20と並列にバイパス通路22を設けてもよい。これにより、ポンプ停止時でも灌水タンク6から灌水が水頭圧によって術眼9内に供給されるので、フェールセーフ上望ましい。
供給チューブ5の途中に、灌水注入用ポンプ20がインラインで設けられ、このポンプ20を駆動するモータ21が設けられている。この実施例のポンプ20はギヤポンプであるが、ベーンポンプや他の容量型ポンプでもよいし、プロペラ型、ターボ型などのダイナミックポンプでもよい。さらには、摺動部を有しないダイヤフラム式ポンプであってもよく、ダイヤフラムを圧電素子で駆動する公知の圧電式ポンプを使用することもできる。
なお、ポンプ20が何らかの原因により作動しなくなった場合に、ポンプ20が灌水通路を塞いでしまうと、灌水が術眼9へ供給されなくなるという問題が発生する。ポンプ20自体に隙間を有する場合には問題ないが、隙間を有しないポンプの場合には、破線で示すようにポンプ20と並列にバイパス通路22を設けてもよい。これにより、ポンプ停止時でも灌水タンク6から灌水が水頭圧によって術眼9内に供給されるので、フェールセーフ上望ましい。
ポンプ20と術眼9との間の供給チューブ5の途中、つまりハンドピース1の上流側には圧力センサ23が設けられている。この圧力センサ23は、図3に既に示したように、前房内圧とほぼ相関する圧力を検出できる。圧力センサ23による検出信号はコントローラ24に送られ、コントローラ24は圧力センサ23からの信号を入力信号とし、モータ21をフィードバック制御して前房内圧が基準値以下になるのを防止する。具体的には、コントローラ24は圧力センサ23によって検出された圧力を微分してフィードバック信号とし、これを零にするように制御を行なう。
図5は本発明にかかる制御系の一例を示す。
制御対象25は、ポンプ20、ハンドピース1、患者の術眼9などで構成される。この実施例のコントローラ24は、制御の応答性を高めるため、圧力センサ23で検出された圧力信号そのものをフィードバック信号とするのではなく、圧力信号を微分回路26で微分し、その微分値をフィードバック信号として利用している。なお、目標値は0とすればよい。圧力信号の微分値を制御量とすることで、ポンプ20は圧力が過渡的に変動した時のみ動作し、それ以外の時には停止させることができる。
コントローラ24のフィードバック制御方式としては、PID制御、適応制御、LQI制御あるいはH無限大制御に代表される現代制御など、いかなる制御方法を用いてもよい。
制御対象25は、ポンプ20、ハンドピース1、患者の術眼9などで構成される。この実施例のコントローラ24は、制御の応答性を高めるため、圧力センサ23で検出された圧力信号そのものをフィードバック信号とするのではなく、圧力信号を微分回路26で微分し、その微分値をフィードバック信号として利用している。なお、目標値は0とすればよい。圧力信号の微分値を制御量とすることで、ポンプ20は圧力が過渡的に変動した時のみ動作し、それ以外の時には停止させることができる。
コントローラ24のフィードバック制御方式としては、PID制御、適応制御、LQI制御あるいはH無限大制御に代表される現代制御など、いかなる制御方法を用いてもよい。
図6は吸引ポンプを駆動せずに、モータ21に電気信号を印加した時の前房内圧とハンドピース上流圧力の応答を示す図である。
図6の(a)は、モータ21にステップ状の電圧(図6の(b)に示す)を加えた時の応答波形であり、破線が上流側の圧力波形、実線が前房内圧の波形である。上流側の圧力はギヤポンプ20の直近で測定したため、ギヤポンプの歯数に応じた脈動が見られるが、大凡のところは両者のダイナミックスには差がないとみなすことができる。また、ステップ状の入力信号に対する応答波形の無駄時間は、上流側で5msec、前房内圧で20msecであり、上流側の無駄時間が短い。本発明では、圧力信号をフィードバック信号として閉ループ制御を行うので、無駄時間が短い上流側の圧力信号をフィードバック信号として採用する方が、前房内圧をフィードバック信号とした場合よりも優れた制御系を構成できる。
図6の(a)は、モータ21にステップ状の電圧(図6の(b)に示す)を加えた時の応答波形であり、破線が上流側の圧力波形、実線が前房内圧の波形である。上流側の圧力はギヤポンプ20の直近で測定したため、ギヤポンプの歯数に応じた脈動が見られるが、大凡のところは両者のダイナミックスには差がないとみなすことができる。また、ステップ状の入力信号に対する応答波形の無駄時間は、上流側で5msec、前房内圧で20msecであり、上流側の無駄時間が短い。本発明では、圧力信号をフィードバック信号として閉ループ制御を行うので、無駄時間が短い上流側の圧力信号をフィードバック信号として採用する方が、前房内圧をフィードバック信号とした場合よりも優れた制御系を構成できる。
図7の(a)は上記白内障手術装置を用いてサージ現象の模擬実験を行った時の前房内圧の変化を示し、破線は制御を行わなかった場合、実線は本発明制御を行った場合である。また、図7の(b)は制御を行った場合のモータ電圧の変化を示す。
約0.4secの時点で吸引通路の閉鎖を、約1.9secの時点で開放を行った。制御を行わなかった場合には、吸引通路の開放から最低圧までの時間はおおよそ150msec、最低圧は10mmHgである。サージ現象抑制の目安となる圧力は20mmHg以下であり、実際のサージ現象での最低圧までの時間はおよそ200msecであるから、上記の模擬実験は実際の手術とほぼ対応している。
図7から明らかなように、サージ現象の発生時でも、前房内圧を危険とされている20mmHgより高い圧力に維持できており、前房内圧の急激な変化を抑制できたことがわかる。
約0.4secの時点で吸引通路の閉鎖を、約1.9secの時点で開放を行った。制御を行わなかった場合には、吸引通路の開放から最低圧までの時間はおおよそ150msec、最低圧は10mmHgである。サージ現象抑制の目安となる圧力は20mmHg以下であり、実際のサージ現象での最低圧までの時間はおよそ200msecであるから、上記の模擬実験は実際の手術とほぼ対応している。
図7から明らかなように、サージ現象の発生時でも、前房内圧を危険とされている20mmHgより高い圧力に維持できており、前房内圧の急激な変化を抑制できたことがわかる。
図8の(a)は上記白内障手術装置を用いて吸引通路をランダムに開閉し、前房内圧にランダム外乱を与えた時の応答を示す。破線は制御を行わなかった場合、実線は本発明制御を行った場合である。また、図8の(b)は制御を行った場合のモータ電圧の変化を示す。
図から明らかなように、本発明制御を実施すると、制御の無い場合に比較して、大きな圧力変化の抑制効果を発揮できたことがわかる。特に、制御の無い場合には、定常圧よりも大きく圧力が落ち込んでいたにも拘わらず、制御を実施することによって、圧力の落ち込みを無視できる程度に抑制できた。
図から明らかなように、本発明制御を実施すると、制御の無い場合に比較して、大きな圧力変化の抑制効果を発揮できたことがわかる。特に、制御の無い場合には、定常圧よりも大きく圧力が落ち込んでいたにも拘わらず、制御を実施することによって、圧力の落ち込みを無視できる程度に抑制できた。
上記実施例では、灌水注入手段としてポンプを灌水供給通路にインラインで設けた例を示したが、特許文献1に記載のように、灌水供給通路の途中に接続された灌水を貯留するための灌水貯留部と、灌水供給通路へ灌水を強制的に注入するよう灌水貯留部を作動させる作動手段とで構成することもできる。
その他、灌水注入手段としては術眼内に灌水供給通路を介して強制的に灌水を注入できるものであれば、如何なる手段でもよい。
その他、灌水注入手段としては術眼内に灌水供給通路を介して強制的に灌水を注入できるものであれば、如何なる手段でもよい。
1 ハンドピース
2 超音波チップ
4 吸引チューブ(吸引通路)
5 供給チューブ(灌水供給通路)
6 灌水タンク
7 灌水
9 術眼
10 吸引ポンプ
20 灌水注入用ポンプ
21 モータ
23 圧力センサ
24 コントローラ
26 微分回路
2 超音波チップ
4 吸引チューブ(吸引通路)
5 供給チューブ(灌水供給通路)
6 灌水タンク
7 灌水
9 術眼
10 吸引ポンプ
20 灌水注入用ポンプ
21 モータ
23 圧力センサ
24 コントローラ
26 微分回路
Claims (5)
- 管状の超音波チップを術眼内に挿入し、超音波チップの先端で水晶体を乳化しながら、超音波チップ内に吸引して術眼外へ排出するとともに、灌水タンクから灌水を水頭圧を利用して灌水供給通路を介して術眼内に供給するようにした白内障手術装置において、
上記術眼内に灌水供給通路を介して強制的に灌水を注入する灌水注入手段と、
上記灌水注入手段と術眼との間の灌水供給通路に設けられ、上記術眼の前房内圧と相関する圧力を検出する圧力センサと、
上記圧力センサからの圧力信号を入力信号とし、上記灌水注入手段を制御して前房内圧が基準値以下になるのを防止する制御装置と、を備えたことを特徴とする白内障手術装置。 - 上記制御装置は、上記圧力センサからの圧力信号を微分する微分手段と、この微分値をフィードバック信号として上記灌水注入手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の白内障手術装置。
- 上記灌水注入手段は、上記灌水供給通路にインラインで設けられた灌水注入用ポンプであることを特徴とする請求項1または2に記載の白内障手術装置。
- 上記ポンプの非作動時においても、上記灌水タンクから灌水が水頭圧によって術眼内に供給されるポンプの隙間あるいはバイパス通路が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の白内障手術装置。
- 上記ポンプはモータにより回転駆動される回転式ポンプであることを特徴とする請求項3または4に記載の白内障手術装置。
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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JP (1) | JP2005052389A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2022544872A (ja) * | 2019-10-29 | 2022-10-21 | カール・ツアイス・メディテック・アーゲー | 眼科手術制御モジュール装置 |
-
2003
- 2003-08-05 JP JP2003286463A patent/JP2005052389A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017064165A (ja) * | 2015-09-30 | 2017-04-06 | 株式会社ニデック | 眼科手術装置 |
JP2022544872A (ja) * | 2019-10-29 | 2022-10-21 | カール・ツアイス・メディテック・アーゲー | 眼科手術制御モジュール装置 |
JP7233612B2 (ja) | 2019-10-29 | 2023-03-06 | カール・ツアイス・メディテック・アーゲー | 眼科手術制御モジュール装置 |
CN114099132A (zh) * | 2021-10-11 | 2022-03-01 | 上海市第十人民医院 | 一种前房穿刺装置 |
CN114099132B (zh) * | 2021-10-11 | 2024-02-23 | 上海市第十人民医院 | 一种前房穿刺装置 |
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