JP2005050967A - 磁性酸化物薄膜、磁気メモリ素子、及び磁性酸化物薄膜の製造方法 - Google Patents
磁性酸化物薄膜、磁気メモリ素子、及び磁性酸化物薄膜の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】磁性酸化物薄膜2は、少なくとも層状反強磁性金属相、反強磁性電荷整列絶縁相及び強磁性金属相からなる3相が共存する。磁気メモリ素子10は、上記磁性酸化物薄膜2と電極3とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性酸化物薄膜、磁気メモリ素子、及び磁性酸化物薄膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、放送及び通信のディジタル化は著しい進展を遂げている。それに伴い高品質な動画等の広帯域かつ大容量の情報に対応可能なストレージデバイスが注目を集めており、据え置き型の商品を中心に普及が進む磁気ディスクメモリや光ディスクメモリのみならず、ノートパソコンやPDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、さらにはウエアラブルパソコンといった可搬性の高い小型商品への搭載を睨んだ大容量の固体メモリ素子(不揮発メモリ)の開発が進められている。
【0003】
例えば、非特許文献1によれば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)並の高速アクセスが可能な次世代の不揮発メモリとしてMRAM(Magnetic RAM)やRRAM(Resistance RAM)が注目を集めている。殊に、多値化によるアプローチは、微細化技術のみに頼らず、不揮発メモリ素子の大容量化が可能になるためコストの点からも重要な技術となってきている。
【0004】
多値化を実現するには、多値に対応した書き込み信号により情報が記憶され、読み出し時に各情報の判別が十分に可能なマージンが確保されることが必要である。このことは、MRAMを例にとれば、多値化を実現するには、より大きな磁気抵抗が必要であるということを意味する。
【0005】
現在、MRAMでは、磁性合金多層膜及びトンネル絶縁膜からなる多層構造によるTMR(Tunneling Magneto Resistance)素子を用いて40〜50%の磁気抵抗が得られているが、この磁気抵抗がより大きくなれば不揮発多値メモリ素子が実現されることになる。
【0006】
磁気抵抗発現の原理は、上記のTMRとは全く異なるが、数桁にも及ぶ巨大な磁気抵抗を示す材料として、例えば、特許文献1〜特許文献3に開示されているように、マンガン(Mn)を含む酸化物ペロブスカイト単結晶材料が知られている。これらマンガン(Mn)を含む酸化物ペロブスカイト単結晶材料においては、Mn3+イオンとMn4+イオンとが整列した反強磁性電荷整列絶縁相に磁場を印加することによって、反強磁性電荷整列絶縁相が崩壊し、反強磁性絶縁体(電荷整列状態)から強磁性金属へと転移するスイッチング現象(数%に及ぶ格子変化を伴う)が得られる。これが磁気抵抗発現の原理である。
【0007】
また、これらのスイッチング現象を示すマンガン(Mn)を含む酸化物ペロブスカイト単結晶材料において、反強磁性電荷整列絶縁相と強磁性金属相とからなる2相を共存させることによって、磁場の履歴に応じた抵抗や磁化の制御が可能になることも知られている。例えば、非特許文献2によれば、反強磁性電荷整列絶縁相と強磁性金属相とからなる2相共存状態が、Mnサイトにクロム(Cr)を置換することによって引き起こされる。
【0008】
その結果、多値化ばかりでなく外部から印加した磁場の大きさ及び履歴により抵抗及び磁化の値を制御できること、さらに、記憶された磁化及び抵抗が時間とともに緩和することが酸化物ペロブスカイト単結晶であるNd0.5Ca0.5Mn1−yCryO3(y=0.02)を用いて報告されている。
【0009】
また,本発明者らにより、デバイス化に必要な薄膜の形態においても、Crドープの手法を用いることによって、バルク単結晶と同様に、2相共存状態が実現し、磁場履歴に依存した抵抗変化や緩和現象が得られることが非特許文献3にて報告されている。
【0010】
上記Crドープ以外の手法により、反強磁性電荷整列絶縁相と強磁性金属相とからなる2相共存状態を実現させた例として、本発明者らによる非特許文献4がある。これによれば、多結晶薄膜に起因する欠陥や粒界のランダムフィールドによって、2相共存状態が実現し、磁場の履歴に応じた抵抗及び磁化の変化が得られている。
【0011】
他にも、非特許文献5によれば、Nd0.51Sr0.49MnO3単結晶では反強磁性電荷整列絶縁相と強磁性金属相とが2相共存し、Nd0.49Sr0.51MnO3単結晶では反強磁性電荷整列絶縁相と層状反強磁性金属相とが2相共存していると報告されている。
【0012】
このように、反強磁性電荷整列絶縁相と強磁性金属相とからなる2相共存状態を利用することによって、抵抗や磁化の多値化を利用した不揮発多値の磁気メモリ素子や緩和現象を利用した学習・記憶機能又は連想記憶機能を備えた磁気メモリ素子の実現が期待される。
【0013】
【特許文献1】
特許第2685721号(1997年12月3日発行)
【0014】
【特許文献2】
特許第2812913号(1998年10月22日発行)
【0015】
【特許文献3】
特許第2812915号(1998年10月22日発行)
【0016】
【非特許文献1】
日経マイクロデバイス2003年1月号pp.72−83
【0017】
【非特許文献2】
Phys. Rev. Lett. vol.83, p.3940 (1999)
【0018】
【非特許文献3】
Appl. Phys. Lett. Vol.78, p.3505 (2001)
【0019】
【非特許文献4】
春季第48回応用物理学関係連合講演会予稿集30a−V−11(2001)
【0020】
【非特許文献5】
Phys. Rev. B vol.60, p.9506(1999)
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、抵抗を出力として利用する磁気メモリ素子を実現するに際して、従来のような反強磁性電荷整列絶縁相と強磁性金属相とからなる2相共存状態を用いた場合、巨大な抵抗変化が得られる温度範囲におけるゼロ磁場での抵抗が高く(> 1 Ωcm)、メモリ動作における発熱やインピーダンスが高くなることに由来する動作速度のボトルネックになるといった問題を引き起こす。
【0022】
一方、Nd0.51Sr0.49MnO3単結晶に見られるように、強磁性金属相の比率が多い(〜0.8μB/Mn)場合には、抵抗値が低くなるものの、抵抗変化が得られる上限温度が低下し動作温度範囲が狭まるといった問題がある。
【0023】
すなわち、抵抗変化が得られる温度範囲を広く保つ条件と巨大な抵抗変化をメモリ動作に適した低い抵抗値で得る条件とはトレードオフの関係にある。
【0024】
また、磁化を出力として利用する磁気メモリ素子を実現するに際しては、履歴依存特性を示す磁化変化を得るために、磁束密度として数テスラ(T)もの大きな磁場が必要になるといった問題がある。
【0025】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、デバイス化に必要な薄膜の形態において、動作温度範囲を狭めることなく巨大な抵抗変化及び履歴依存特性を低抵抗で実現し、かつ低磁場で磁化の履歴依存特性を実現し得る磁性酸化物薄膜、磁気メモリ素子、及び磁性酸化物薄膜の製造方法を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、共存する相の磁気構造及び電気的性質に着目し、薄膜形態での相共存状態を深く検討した結果、以下に示す磁性酸化物薄膜、磁気メモリ素子、及び磁性酸化物薄膜の製造方法の発明に至った。
【0027】
すなわち、本発明の磁性酸化物薄膜は、上記課題を解決するために、少なくとも層状反強磁性金属相、反強磁性電荷整列絶縁相及び強磁性金属相からなる3相が共存することを特徴としている。
【0028】
また、本発明の磁性酸化物薄膜の製造方法は、反強磁性電荷整列絶縁相及び強磁性金属相に層状反強磁性金属相を加えて3相を共存させることを特徴としている。
【0029】
上記の発明によれば、デバイス化に必要な薄膜の形態において、動作温度範囲を狭めることなく巨大な抵抗変化及び履歴依存特性を低抵抗にて実現し、かつ低磁場において磁化の履歴依存特性を実現し得る磁性酸化物薄膜及び磁性酸化物薄膜の製造方法を提供することができる。
【0030】
また、本発明の磁性酸化物薄膜は、上記記載の磁性酸化物薄膜において、前記強磁性金属相は、多結晶薄膜中の欠陥及び粒界による乱雑性により誘起されることを特徴としている。
【0031】
上記の発明によれば、欠陥がピン止めの役割を果たし、抵抗及び低磁場での磁化の履歴依存特性がより効果的に得られる。
【0032】
また、本発明の磁性酸化物薄膜は、上記記載の磁性酸化物薄膜において、前記層状反強磁性金属相が主相であることを特徴としている。
【0033】
上記の発明によれば、低抵抗で、かつ、より広い温度範囲でほぼ一定の抵抗変化を得ることができる。
【0034】
また、本発明の磁性酸化物薄膜は、上記記載の磁性酸化物薄膜において、前記反強磁性電荷整列絶縁相が主相であることを特徴としている。
【0035】
上記の発明によれば、低抵抗で、かつ、より抵抗変化を向上することが可能になる。
【0036】
また、本発明の磁性酸化物薄膜は、上記記載の磁性酸化物薄膜において、略反強磁性転移温度において強磁性相又は常磁性相から反強磁性相へ転移する際に、層状反強磁性金属相が反強磁性電荷整列相よりも先に相転移することを特徴としている。
【0037】
上記の発明によれば、部分的に緩和した多結晶薄膜において格子変化があってもスイッチングが可能になる。
【0038】
また、本発明の磁気メモリ素子は、上記課題を解決するために、上記記載の磁性酸化物薄膜と抵抗検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0039】
上記の発明によれば、抵抗を出力とする不揮発多値の磁気メモリ素子や緩和現象を利用した学習・記憶機能又は連想記憶機能を備えた磁気メモリ素子が実現される。
【0040】
また、本発明の磁気メモリ素子は、上記課題を解決するために、上記記載の磁性酸化物薄膜と磁化検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0041】
上記の発明によれば、磁化を出力とする不揮発多値の磁気メモリ素子や緩和現象を利用した学習・記憶機能又は連想記憶機能を備えた磁気メモリ素子が実現される。
【0042】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態によって本発明の趣旨が何ら制限を受けるものではない。
【0043】
本実施の形態の磁性酸化物薄膜は、層状反強磁性金属相(A−type AFM Metal)と反強磁性電荷整列絶縁相(CE−type AFM COI)及び強磁性金属相(FM Metal)からなる3相共存状態を利用することにより、動作温度範囲を狭めることなく巨大な抵抗変化及び履歴依存特性を低抵抗で実現し、加えて低磁場で磁化の履歴依存特性を実現し得るようになっている。
【0044】
最初に、上記作用効果を実現するための原理を、3種類の2相共存を場合分けして各相が共存状態で果たす役割を明らかにしながら説明する。次いで、実際のNd0.49Sr0.51MnO3薄膜による例を示す。
(a) 反強磁性電荷整列絶縁相及び強磁性金属相の場合
従来技術にも記載したように、反強磁性電荷整列絶縁相及び強磁性金属相からなる2相共存状態では、巨大な抵抗変化及び履歴依存性が得られるが、外部から磁場を印加しない場合の抵抗は高くなる。これは反強磁性電荷整列絶縁相の抵抗が高いことによる。
【0045】
強磁性金属相の割合を増やせば反強磁性秩序が弱くなり抵抗は下がるものの、抵抗変化が得られる温度、すなわち反強磁性転移温度「TN」を低下させ、抵抗変化の得られる温度範囲を狭めることになる。
【0046】
一方、磁気的には反強磁性相及び強磁性相が共存するため、磁化の履歴依存特性が得られるが、反強磁性相が強磁性相へと完全に転移した場合には、強磁性相のみになるため、スピンフラストレーションはなくなる。なお、高磁場での磁化の履歴依存特性は、強磁性相と反強磁性相との割合が変化することにより得られると考えられるが、低磁場での磁化の履歴依存特性は、強磁性相と反強磁性相との境界でのスピンフラストレーションにより実現されると考えられる。これは、スピングラス(Spin Glass)又はクラスターグラス(Cluster Glass)と呼ばれる現象である。なお、スピンフラストレーションとは、スピン秩序、すなわち、強磁性と反強磁性等との相互作用が互いに競合する状況を示す。
(b) 層状反強磁性金属相及び反強磁性電荷整列絶縁相の場合
層状反強磁性金属相は、2次元面内のスピンが強磁性的に揃い、面間では、反強磁性的に揃った状態であり、面内方向では金属的伝導を示して抵抗が低く、面間方向ではスピンが反強磁性的になっているために、抵抗が高くなるという特徴を示す。
【0047】
したがって、外部から磁場を印加しない場合においても、層状反強磁性金属相の存在により抵抗は低くなる。強磁性金属相と異なる点は、反強磁性であるため全体の反強磁性転移温度(TN)を低下させることなく抵抗を低くできる点である。
【0048】
低磁場を印加した場合、層状反強磁性金属相のスピンは強磁性的に揃い始めるが、元々、面内の輸送特性は金属的であるので、大きな抵抗変化は生じない。磁場を強くすることにより、反強磁性電荷整列絶縁相が強磁性相へと転移すると、低抵抗で大きな抵抗変化が得られるが、履歴依存は得られないと考えられる。
【0049】
一方、磁気的には磁気構造は異なるものの、反強磁性相のみが存在することからスピンフラストレーションは殆どない。反強磁性電荷整列絶縁相を強磁性相へと転移させる程度に高い磁場を加えた場合には、強磁性相が発現するため反強磁性相及び強磁性相の共存によるスピンフラストレーションが得られる。しかし、低磁場では、このようなスイッチングが発生しないために、スピンフラストレーションは得られないと考えられる。
(c) 層状反強磁性金属相及び強磁性金属相の場合
層状反強磁性金属相及び強磁性金属相は、いずれも金属伝導を示すことから抵抗は低いが、電荷整列相が存在しないことから磁場による絶縁体金属転移が得られず、抵抗変化は小さい。一方、磁気的には強磁性相及び反強磁性相が共存するため、スピンフラストレーションは低磁場で得られると考えられる。
【0050】
以上、(a)(b)(c)に場合分けして説明したように、2相共存の場合においては、動作温度範囲、低抵抗での巨大な抵抗変化とその履歴依存特性、及び低磁場での磁化の履歴依存特性を全て同時に実現することはできない。
【0051】
しかしながら、3相共存状態を実現することにより、動作温度範囲を狭めることなく、低抵抗での巨大な抵抗変化とその履歴依存特性、及び低磁場での磁化履歴依存特性を同時に実現できる。なぜならば、上記のように、強磁性金属相が層状反強磁性金属相及び反強磁性電荷整列絶縁相からなる2相共存に加わることにより、抵抗の履歴依存特性、及び磁場印加の有無を問わず、強磁性相と反強磁性相とによるスピンフラストレーションが実現されるからである。
【0052】
また、層状反強磁性金属相を主相にする(3相共存中での層状反強磁性金属相の割合を増やすことを意味する)ことによって、広い温度範囲で一定の抵抗変化が得られるようになる。さらに、反強磁性電荷整列絶縁相を主相にすることによって、抵抗変化を大きくすることが可能になる。
【0053】
このように、3相の割合を変えることによって、出力の動作温度依存性を平坦化する、又は多値のマージンを拡大する、といった調整が可能になる。
(d) Nd0.49Sr0.51MnO3多結晶薄膜での結果
上記の原理を検証するために、層状反強磁性金属相及び反強磁性電荷整列絶縁相が2相共存するNd0.49Sr0.51MnO3多結晶膜を作製し、多結晶膜の欠陥及び粒界により誘起された強磁性金属相によって3相共存を実現し、メモリ動作の基となる抵抗及び磁気特性について調べた結果について説明する。
【0054】
抵抗検出手段を備えた磁気メモリ素子として、図1に示した概略構成を持った磁気メモリ素子10を作製した。この磁気メモリ素子10は、単結晶基板1上に磁性酸化物薄膜2が形成され、その上に、抵抗検出手段となる電極3が形成されている。
【0055】
四端子法を用いて、外側の一対の電極3a・3aに0.1mAの電流を供給し、内側の一対の電極3b・3b間に生じる電圧を測定し抵抗率を求めている。なお、電極3は、金とパラジウムとの合金をスパッタ法により形成しているが、オーミック接触がとれるならばこの材料に限るものではない。なお、オーミック接触とは、オームの法則[V(電圧)=I(電流)×R(抵抗)]を満たす2つの物質間の電気的な接触のことをいう。すなわち、ショットキーコンタクトのように整流作用等はなく、どちら向きにも電流が同じように流れることを保証するものである。
【0056】
擬立方晶で格子定数が0.379nmのLaAlO3(001)単結晶基板1上に、膜厚300nmのNd0.49Sr0.51MnO3膜を、レーザーアブレーション法により作製した。Nd0.49Sr0.51MnO3の単結晶における平均の格子定数は0.384nmであり、格子不整合は−1.3%となり、圧縮歪が作用する。
【0057】
次いで、磁性酸化物薄膜2の作製プロセスを説明する。
【0058】
ターゲットは固相反応法で作製した多結晶材料を20mmφの円筒形に成形したものを用いており、組成はストイキオメトリックである。単結晶基板1を真空チャンバー内に取り付けた後、1×10−8Torr以下に真空排気した後に、高純度の酸素ガスを1mTorr導入し、830℃に単結晶基板1を加熱する。波長248nmのKrFエキシマレーザを用い、チャンバーのレーザー光導入ポートにて100mJのパワーで4Hzの周期にてターゲットに照射し、薄膜を作製する。
【0059】
その後、一気圧の酸素ガスをチャンバー内に導入し、単結晶基板1の温度を550℃で30分間保ち、アニールした後、30分間かけて室温まで冷却する。
【0060】
X線回折の結果、膜は、単結晶基板1から圧縮歪を受けて、単結晶基板1にコヒーレントに成長した、すなわち、面内の格子定数が単結晶基板1の格子定数と一致した単結晶部分と、単結晶基板1による圧縮歪を不完全に緩和し配向した多結晶部分と、完全に緩和した多結晶部分とからなることがわかった。すなわち、単結晶部分を除いては、単結晶基板1の歪みも部分的に存在し、かつ多結晶膜に起因する欠陥や粒界が存在する。なお、単結晶膜では、面内格子定数aは基板の格子定数である3.79Åと一致し、面間の格子定数cは単結晶基板1から圧縮歪を受け弾性変形により3.93Åと伸びており(c/a比は約1.04)、160K以下で反強磁性転移を示すことからC−typeと呼ばれる反強磁性絶縁体になっていることを確認している。
【0061】
これら多結晶膜に起因する欠陥や粒界は、ランダムフィールドとして作用すると考えられる。強磁性相においては、スピンの秩序を乱し、キャリアを散乱し、かつ強磁性金属相を弱める働きをする。
【0062】
一方、Mn3+イオン及びMn4+イオンからなる電荷整列相においては、電荷整列が乱される結果、反強磁性電荷整列絶縁相を母体とする結晶中の強磁性金属相ドメインとして存在することになる。このようにして、3相共存における強磁性相が誘起されると考えられる。さらに、ピン止めの役割を果たし、抵抗及び低磁場での磁化の履歴依存特性を助長すると考えられる。
【0063】
また、不完全に緩和していることから、単結晶基板1からの歪みの影響を受ける。既に述べたように、反強磁性電荷整列絶縁相が崩壊し、反強磁性絶縁体(電荷整列状態)から強磁性金属へと転移するスイッチング現象には数%に及ぶ格子変化を伴うため、薄膜においては、単結晶基板1からの歪みにより格子変化が抑制されると、このような転移が得られない。これは、格子変化と電荷整列相とが発現する温度とが同一であるために、避けられない問題である。
【0064】
しかしながら、Nd0.49Sr0.51MnO3は、常磁性相から強磁性相へおよそ240Kで転移し、さらに、およそ160Kで反強磁性へと転移するが、格子変化が起きる温度は、層状反強磁性金属相が発達し始める200Kである。すなわち、格子変化温度と反強磁性−強磁性転移や金属絶縁体転移の起きる温度とが異なる。これは、層状反強磁性金属相が反強磁性電荷整列絶縁相よりも先に反強磁性に相転移することによるものと考えられる。
【0065】
さらに、層状反強磁性金属相への相転移は、結晶中の3d電子の軌道であるx2−y2軌道が整列することによって得られるものであり、反強磁性電荷整列絶縁相は3d電子の軌道である3x2−r2軌道と3y2−r2軌道とが整列していることから、x2−y2軌道が先に整列することが格子変化温度と磁気及び電気的転移温度とが異なる原因であると考えられる。
【0066】
そして、格子変化温度と磁気及び抵抗の転移温度とが異なることは、単結晶基板1からの歪みが薄膜に作用している場合においても、磁気及び抵抗の転移が得やすい可能性を示している。このような効果が、Nd0.49Sr0.51MnO3多結晶においては期待される。
【0067】
図2に、印加磁場を、磁束密度0T、1T、2T、3T、4T、5T、7T、9Tと変えて測定したNd0.49Sr0.51MnO3薄膜の抵抗率の温度依存性を示す。
【0068】
磁場を300Kで印加した後、5Kまで冷却しながら測定し(図中太線)、再び300Kまで昇温させながら測定している(図中細線)。
【0069】
図2に示すように、ゼロ磁場では160K付近で折れ曲がりを示すが、抵抗は温度を下げるとともに増加する。そして、最も高い値でも0.1Ωcm以下であり、抵抗率は低い値が実現されている。さらに、磁場を増やすにつれて、300Kから160Kへの輸送特性は金属的になり、さらに温度を下げると、一次転移による明瞭なヒステリシスを伴う抵抗増加を示す。
【0070】
バルク単結晶と異なる点は、ゼロ磁場では明瞭な一次転移が見られず、磁場を加えることによって、一次転移がクリアになる点である。これは、上記の欠陥、又は単結晶基板1からの歪みが原因していると考えられるが、このようなランダムフィールドや格子変化を抑制する作用があっても、一次転移が得られることを薄膜で示した初めての例である。
【0071】
この結果、転移温度よりも高い300K〜160Kの範囲でも抵抗変化が得られており、抵抗変化の得られる温度範囲を拡大するというバルクでは得られない効果を示している。また、5Kでのゼロ磁場と5Kでの磁束密度9Tの磁場との抵抗変化は、図2から読み取れば2200%を越えており、巨大な抵抗変化を低い抵抗値で得ることに成功している。
【0072】
さらに、1000%を越える巨大な抵抗変化はおよそ150Kまで広い範囲で得られており、100以上の抵抗変化は、転移温度である160Kを越えておよそ230Kまで得られている。
【0073】
次に、磁場履歴による抵抗変化を調べた結果を、図3に示す。図3は5Kでの抵抗率の磁場履歴依存性を示すものであり、磁場を300Kで印加した後、5Kまで冷却して磁場を+側から−側に掃引しながら抵抗を測定し、再び+側に掃引しながら測定している。
【0074】
300Kで印加した磁場の強さに応じて、磁場をゼロにした場合での抵抗値が変わり、多値が実現されていることがわかる。さらに、図3により、磁場が磁束密度2T、3T、4T、5T、7Tの場合に、ヒステリシスが閉じていないことがわかる。これは、測定時間において抵抗値が緩和していることを示すものである。すなわち、磁場履歴依存により、多値や緩和特性が実現されることが示されている。
【0075】
図4に、印加磁場を磁束密度0.5T、1T、2T、3T、4T、5Tと変えて測定したNd0.49Sr0.51MnO3薄膜の磁化の温度依存性を示す。磁場は、5Kで印加した後、300Kまで昇温しながら測定し、再び5Kまで冷却しながら測定している。なお、単結晶基板1からの反磁性の影響は差し引き補正している。
【0076】
図4から明らかなように、磁場を増すにつれて160Kから300Kでの強磁性相はクリアになり、160Kでの強磁性−反強磁性転移がクリアになる。また、全体に磁化の値が嵩上げされる。これは、反強磁性相と強磁性相とが共存していることを示している。
【0077】
次に、磁場履歴による磁化変化を調べた結果を、図5〜図11に示す。図5は印加磁場を磁束密度1T、3T、5Tと変えて測定した磁気ヒステリシス曲線を示す。
【0078】
磁場を300Kで印加した後、5Kまで冷却して磁場を+側から−側に掃引しながら磁化を測定し、再び+側に掃引しながら測定している。
【0079】
図5に示すように、印加磁場の大きさに応じて磁化の値が変化していることがわかる。さらに、ヒステリシス曲線が閉じていないことがわかるが、これは、図3で見られた抵抗の緩和と一致する。
【0080】
図6は図5の拡大図である。ゼロ磁場での磁化の値は印加磁場の大きさに応じて変わっており、多値化が実現されている。さらに、ヒステリシス曲線はゼロ磁場付近でくびれた形状を示しており、これは3相共存中のスピンフラストレーションによるものと考えられる。
【0081】
続いて、低磁場でのスピンフラストレーションによる磁化の磁場履歴依存特性を測定した結果を説明する。図7に、印加磁場を、100 Oe、200 Oe、500 Oe、1000 Oe、2000 Oe、5000 Oe(10000 Oe=1T)と変えて測定した磁化の温度依存性を示す。
【0082】
磁場は5Kで印加した後、250Kまで昇温しながら測定し、再び5Kまで冷却しながら測定している。1kOe以下の低磁場において、昇温時と冷却時との磁化の値が変化していることがわかる。すなわち、昇温時よりも冷却時の磁化は増加している。この磁化の分岐温度は、磁場が強くなるにつれて低下する。例えば、100 Oeの磁場では、磁化の分岐温度は240Kであり、強磁性相が発現する温度までになるが、1kOeの磁場ではほぼ100K付近まで低下する。
【0083】
この結果は、より低磁場での磁化の多値化及び磁場履歴特性を実現するものと考えられる。
【0084】
さらに、低磁場での磁気ヒステリシスを調べた結果を、図8及び図9に示す。
【0085】
磁場を300Kで印加した後、5Kまで冷却してからヒステリシスを測定したものと、ゼロ磁場中で5Kまで冷却してからヒステリシスを測定したものとの磁場履歴を変えた2種類の測定を行っている。図8は磁場を2kOeとした場合でのヒステリシス曲線、図9は磁場を1kOeとした場合でのヒステリシス曲線である。
【0086】
図8、9に示すように、磁場中冷却を行った場合には、ヒステリシス曲線が縦軸方向にシフトするといった現象を発見した。さらに、図8と図9とを比較すると明らかなように、このシフトは低磁場になるほど顕著になる。また、ゼロ磁場中で冷却したヒステリシス曲線から得られる残留磁化と比べると、大きくシフトしており、磁化の多値化及び履歴依存性が実現されていることがわかる。
【0087】
最後に、磁化の緩和特性を調べた結果を、図10及び図11に示す。図10は5K、図11は140Kでの緩和特性を示す。横軸は時間であり対数スケールとなっている。縦軸は磁化であり、これは基板補正をしていないが、その変化分だけを考えればよい。なお、測定はゼロ磁場中で測定温度である5K、140Kまで室温から冷却した後、200 Oeの磁場を加えて行った。
【0088】
磁化の変化幅は、温度により様々ではあるものの、どちらも共に、時間に対して対数的な変化が得られていることがわかる。これにより、磁化の緩和特性が実現されていることがわかる。
【0089】
以上説明したように、層状反強磁性金属相と、反強磁性電荷整列絶縁相及び強磁性金属相とからなる3相が共存する状態を利用することにより、動作温度範囲を狭めることなく巨大な抵抗変化及び履歴依存特性を低抵抗で実現し、並びに低磁場で磁化の履歴依存特性を示す磁性酸化物薄膜が実現できることを示した。
【0090】
これにより、抵抗を出力とする不揮発多値の磁気メモリ素子や緩和現象を利用した学習・記憶機能或いは連想記憶機能を備えた磁気メモリ素子が実現される。
【0091】
また、反強磁性転移温度において、強磁性相又は常磁性相から反強磁性相へ転移する際に、層状反強磁性金属相が反強磁性電荷整列相よりも先に反強磁性に発現することにより、単結晶基板1からの歪みが作用している場合でも、一次転移である反強磁性−強磁性転移やヒステリシスを伴う抵抗変化が薄膜で実現されることを示した。
【0092】
さらに、低磁場でのスピンフラストレーションによる磁気ヒステリシスの磁化軸方向へのシフト現象を発見した。これは、本発明者らの知る限り全く新しい履歴依存特性であり、低磁場でもより大きな磁化変化を得ることを可能にするものである。
【0093】
なお、最も簡単な記録・消去方法としては、例えば以下のような方法がある。
【0094】
記録は、転移温度以上に昇温し、磁場の大きさを変えて印加し、動作温度へ冷却することによって行う。また、消去は、ゼロ磁場中で転移温度以上へ昇温することによって行われる。なお、再生によっても記憶内容は変化しないので非破壊読み出しが可能である。昇温手段としては、抵抗体を用いた発熱素子や光照射などを用いてもよい。
【0095】
また、薄膜材料、膜厚、基板、作製法なども本実施例に示したものに限られるものではない。さらに、抵抗変化を得るに必要な磁場の低減はバイアス電流あるいはバイアス電圧などを用いることにより可能と考えられる。さらに、動作温度の向上には転移温度の高い材料を用いることによって、解決されると考えられる。
【0096】
例えばYBaMn2O6、HoBaMn2O6、DyBaMn2O6、TbBaMn2O6、又はBi0.5Sr0.5MnO3を薄膜にして用いれば室温での動作は可能になると考えられる。
【0097】
また、本実施の形態では、磁性酸化物薄膜2は、層状反強磁性金属相と、反強磁性電荷整列絶縁相及び強磁性金属相とからなる3相が共存する状態について説明したが、最終的に、磁性酸化物薄膜2は、層状反強磁性金属相と、反強磁性電荷整列絶縁相と、強磁性金属相とからなる3相が共存していれば良い。
【0098】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の一形態について、図12に基づいて以下の通り説明する。なお、本実施例の形態によって本発明の趣旨が何ら制限を受けるものではない。
【0099】
磁化検出手段を備えた磁気メモリ素子として、図12に示した概略構成を持った磁気メモリ素子20を作製した。
【0100】
実施の形態1で用いたものと同様に、単結晶基板1上に磁性酸化物薄膜2が形成されている。磁性酸化物薄膜2には、実施の形態1で説明したNd0.49Sr0.51MnO3膜を用いればよい。さらに、磁気メモリ素子20は、磁化検出手段として磁気力顕微鏡に用いられる磁化検出手段としての磁性探針4と磁場発生手段5とを備えている。
【0101】
記録・消去方法としては、実施の形態1と同様な方法が使用できる。すなわち記録は、転移温度以上に昇温し、磁場の大きさを変えて印加し、動作温度へ冷却することにより行う。また、消去は、ゼロ磁場中で転移温度以上へ昇温することにより行われる。なお、再生は、磁性探針4により磁化を検出することによって行う。昇温手段としては、抵抗体を用いた発熱素子や光照射などを用いてもよい。
【0102】
また、磁場発生手段としては、単結晶基板1上に磁場発生用の導線を設け、それを利用してもよい。これにより、磁化を出力とする不揮発多値の磁気メモリ素子や緩和現象を利用した学習・記憶機能又は連想記憶機能を備えた磁気メモリ素子が実現される。
【0103】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0104】
【発明の効果】
本発明の磁性酸化物薄膜は、以上のように、少なくとも層状反強磁性金属相、反強磁性電荷整列絶縁相及び強磁性金属相からなる3相が共存するものである。
【0105】
また、本発明の磁性酸化物薄膜の製造方法は、反強磁性電荷整列絶縁相及び強磁性金属相に層状反強磁性金属相を加えて3相を共存させる方法である。
【0106】
それゆえ、デバイス化に必要な薄膜の形態において、動作温度範囲を狭めることなく巨大な抵抗変化及び履歴依存特性を低抵抗にて実現し、かつ低磁場において磁化の履歴依存特性を実現し得る磁性酸化物薄膜及び磁性酸化物薄膜の製造方法を提供することができるという効果を奏する。
【0107】
また、本発明の磁性酸化物薄膜は、上記記載の磁性酸化物薄膜において、前記強磁性金属相は、多結晶薄膜中の欠陥及び粒界による乱雑性により誘起されるものである。
【0108】
それゆえ、欠陥がピン止めの役割を果たし、抵抗及び低磁場での磁化の履歴依存特性がより効果的に得られるという効果を奏する。
【0109】
また、本発明の磁性酸化物薄膜は、上記記載の磁性酸化物薄膜において、前記層状反強磁性金属相が主相であるものである。
【0110】
それゆえ、低抵抗で、かつ、より広い温度範囲でほぼ一定の抵抗変化を得ることができるという効果を奏する。
【0111】
また、本発明の磁性酸化物薄膜は、上記記載の磁性酸化物薄膜において、前記反強磁性電荷整列絶縁相が主相であるものである。
【0112】
それゆえ、低抵抗で、かつ、より抵抗変化を向上することが可能になるという効果を奏する。
【0113】
また、本発明の磁性酸化物薄膜は、上記記載の磁性酸化物薄膜において、略反強磁性転移温度において強磁性相又は常磁性相から反強磁性相へ転移する際に、層状反強磁性金属相が反強磁性電荷整列相よりも先に相転移するものである。
【0114】
それゆえ、部分的に緩和した多結晶薄膜において格子変化があってもスイッチングが可能になるという効果を奏する。
【0115】
また、本発明の磁気メモリ素子は、以上のように、上記記載の磁性酸化物薄膜と抵抗検出手段とを備えているものである。
【0116】
それゆえ、抵抗を出力とする不揮発多値の磁気メモリ素子や緩和現象を利用した学習・記憶機能又は連想記憶機能を備えた磁気メモリ素子が実現されるという効果を奏する。
【0117】
また、本発明の磁気メモリ素子は、以上のように、上記記載の磁性酸化物薄膜と磁化検出手段とを備えているものである。
【0118】
それゆえ、磁化を出力とする不揮発多値の磁気メモリ素子や緩和現象を利用した学習・記憶機能又は連想記憶機能を備えた磁気メモリ素子が実現されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における抵抗検出手段を備えた磁気メモリ素子の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】上記磁気メモリ素子において、印加磁場を磁束密度0T、1T、2T、3T、4T、5T、7T、9Tと変えて測定した抵抗率の温度依存性を示すグラフである。
【図3】上記磁気メモリ素子において、温度5Kにて測定した抵抗率の磁場履歴依存性を示すグラフである。
【図4】上記磁気メモリ素子において、印加磁場を磁束密度0.5T、1T、2T、3T、4T、5Tと変えて測定した磁化の温度依存性を示すグラフである。
【図5】上記磁気メモリ素子において、印加磁場を磁束密度1T、3T、5Tと変えて5Kにて測定した磁気ヒステリシス曲線を示すグラフである。
【図6】図5の拡大図である。
【図7】上記磁気メモリ素子において、印加磁場を100 Oe、200 Oe、500Oe、1000 Oe、2000 Oe、5000 Oeと変えて測定した磁化の温度依存性を示すグラフである。
【図8】上記磁気メモリ素子において、印加磁場2kOeで温度5Kにて測定したヒステリシス曲線を示すグラフである。
【図9】上記磁気メモリ素子において、印加磁場1kOeで温度5Kにて測定したヒステリシス曲線を示すグラフである。
【図10】上記磁気メモリ素子において、温度5Kでの磁化の緩和特性を示すグラフである。
【図11】上記磁気メモリ素子において、温度140Kでの磁化の緩和特性を示すグラフである。
【図12】本発明における磁気メモリ素子の他の実施の形態を示すものであり、磁化検出手段を備えた磁気メモリ素子を示す断面図である。
【符号の説明】
1 単結晶基板
2 磁性酸化物薄膜
3 電極(抵抗検出手段)
3a 電極(抵抗検出手段)
3b 電極(抵抗検出手段)
4 磁性探針(磁化検出手段)
5 磁場発生手段(磁化検出手段)
10 磁気メモリ素子
20 磁気メモリ素子
Claims (8)
- 少なくとも層状反強磁性金属相、反強磁性電荷整列絶縁相及び強磁性金属相からなる3相が共存することを特徴とする磁性酸化物薄膜。
- 前記強磁性金属相は、多結晶薄膜中の欠陥及び粒界による乱雑性により誘起されることを特徴とする請求項1記載の磁性酸化物薄膜。
- 前記層状反強磁性金属相が主相であることを特徴とする請求項1又は2記載の磁性酸化物薄膜。
- 前記反強磁性電荷整列絶縁相が主相であることを特徴とする請求項1又は2記載の磁性酸化物薄膜。
- 略反強磁性転移温度において強磁性相又は常磁性相から反強磁性相へ転移する際に、層状反強磁性金属相が反強磁性電荷整列相よりも先に相転移することを特徴とする請求項1記載の磁性酸化物薄膜。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁性酸化物薄膜と抵抗検出手段とを備えていることを特徴とする磁気メモリ素子。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁性酸化物薄膜と磁化検出手段とを備えていることを特徴とする磁気メモリ素子。
- 反強磁性電荷整列絶縁相及び強磁性金属相に層状反強磁性金属相を加えて3相を共存させることを特徴とする磁性酸化物薄膜の製造方法。
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