JP2005048760A - クランクシャフト - Google Patents
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Abstract
【課題】クランクジャーナル部に第1潤滑油路が設けられ、クランクジャーナル部、クランクアーム部およびクランクピン部には、コネクティングロッドの大端部およびクランクピン部間に潤滑油を導くための第2潤滑油路が設けられるクランクシャフトにおいて、クランクジャーナル部およびクランクアーム部の連設部と、第2潤滑油路の中間部との間の距離を比較的大きく設定することを可能として、圧縮残留応力を付与する加工に伴う引っ張り残留応力による疲労強度低下を回避する。
【解決手段】上死点位置に在るクランクピン部6bの軸線およびクランクジャーナル部6aの軸線を含む第1平面PL1に直交してクランクジャーナル部6aの軸線を含む第2平面PL2からクランクシャフト6の回転方向24とは反対側に90度以下の角度βをなす位置に軸線を配置するようにして第1潤滑油路21がクランクジャーナル部6aに設けられる。
【選択図】 図4
【解決手段】上死点位置に在るクランクピン部6bの軸線およびクランクジャーナル部6aの軸線を含む第1平面PL1に直交してクランクジャーナル部6aの軸線を含む第2平面PL2からクランクシャフト6の回転方向24とは反対側に90度以下の角度βをなす位置に軸線を配置するようにして第1潤滑油路21がクランクジャーナル部6aに設けられる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、クランクシャフトに関し、特に、クランクシャフトに設けられる潤滑油路の構造に関する。
クランクジャーナル部およびクランクケース間の潤滑部からオイルが供給されるようにして両端がクランクジャーナル部の外周に開口した第1潤滑油路がクランクジャーナル部にその一直径線に沿うようにして設けられ、クランクジャーナル部、クランクアーム部およびクランクピン部には、コネクティングロッドの大端部およびクランクピン部間に潤滑油を導くための第2潤滑油路が設けられるようにしたクランクシャフトが、たとえば特許文献1等で既に知られている。
特開平6−55319号公報
ところで、一端を第1潤滑油路に連通せしめた第2潤滑油路の他端は、コネクティングロッドからの圧縮荷重が作用する位置を避けてクランクピン部の外周に開口するものであり、第1潤滑油路はクランクジャーナル部の軸方向中央部に設けられるので、クランクピン部およびクランクアーム部の連結部を通るように第2潤滑油路を配置するために、第2潤滑油路は、クランクジャーナル部およびクランクピン部の軸線を通る平面と斜めに交差するとともに、その平面への投影図上ではクランクジャーナル部およびクランクピン部の軸線と斜めに交差するように配置されることになる。
しかるに上記従来のものでは、第1潤滑油路が前記平面と直交する軸線を有してクランクジャーナル部に設けられており、クランクジャーナル部およびクランクピン部の軸線を通る平面への投影図上で第2潤滑油路は比較的緩やかに傾斜しており、クランクジャーナル部およびクランクアーム部の連設彎曲部に第2潤滑油路の中間部が比較的近い位置に配置されることになり、前記連設彎曲部および第2潤滑油路の中間部間での肉厚が比較的薄くなってしまう。特に、強度向上を図るために表面に高周波焼き入れ等を施して、圧縮残留応力を付与したときには、表面から内部に向かうにつれて残留応力が圧縮から引っ張りに転じるので、前記連設彎曲部および第2潤滑油路の中間部間での肉厚が薄いと、第2潤滑油路の中間部内面に引っ張り応力が作用して材料の耐力を超えてしまう可能性がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、クランクジャーナル部およびクランクアーム部の連設部と、第2潤滑油路の中間部との間の距離を比較的大きく設定することを可能として、圧縮残留応力を付与する加工に伴う引っ張り残留応力による疲労強度低下を回避し得るようにしたクランクシャフトを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、クランクケースで回転自在に支承されるとともに前記クランクケース側から供給される潤滑油を受け入れ可能として両端を開放した第1潤滑油路が一直径線に沿って設けられるクランクジャーナル部と、コネクティングロッドの大端部が回動可能に連結されるクランクピン部と、前記クランクジャーナル部および前記クランクピン部間を結ぶクランクアーム部とを一体に有するとともに、一端を第1潤滑油路に連通させるとともに他端を前記クランクピン部の外周に開口して直線状に延びる第2潤滑油路が、前記クランクジャーナル部、前記クランクアーム部および前記クランクピン部に設けられ、前記クランクジャーナル部および前記クランクピン部の外周面と、前記クランクジャーナル部および前記クランクアーム部の連結部外表面とには圧縮残留応力を付与する加工が施されるクランクシャフトにおいて、上死点位置に在る前記クランクピン部の軸線および前記クランクジャーナル部の軸線を含む第1平面に直交して前記クランクジャーナル部の軸線を含む第2平面からクランクシャフトの回転方向とは反対側に90度以下の角度をなす位置に軸線を配置するようにして第1潤滑油路がクランクジャーナル部に設けられることを特徴とする。
上記構成によれば、第1潤滑油路の軸線が、上死点位置に在るクランクピン部の軸線およびクランクジャーナル部の軸線を含む第1平面に直交してクランクジャーナル部の軸線を含む第2平面からクランクシャフトの回転方向とは反対側に90度以下の角度をなす位置に配置されるので、第2潤滑油路の傾斜角度を比較的大きく設定することが可能となり、クランクジャーナル部およびクランクアーム部の連設彎曲部と第2潤滑油路の中間部との間での肉厚を比較的厚く設定し得るようにして、高周波焼き入れに伴う引っ張り残留応力に起因した疲労強度低下が第2潤滑油路の中間部で生じることを回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1〜図5は本発明の一実施例を示すものであり、図1はクランクケースの一部の縦断面図であって図2の1−1線に沿う断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図1の要部拡大図、図4は図1からクランクケースを省略した状態でのクランクシャフトの断面図、図5は図4の5−5線断面図である。
先ず図1および図2において、多気筒のディーゼルエンジンのクランクケース5には、クランクシャフト6の軸方向に間隔をあけて複数のジャーナル壁5a,5a…が設けられており、各ジャーナル壁5a,5a…と、それらのジャーナル壁5a,5a…に一対ずつのボルト8,8…でそれぞれ締結されるベアリングキャップ7,7…とで、クランクシャフト6のクランクジャーナル部6a…が回転自在に支承される。
クランクシャフト6は、複数のクランクジャーナル部6a…と、複数のクランクピン部6b…と、各クランクピン部6b…の両端およびクランクジャーナル部6a…間を結ぶ一対ずつ複数組のクランクアーム部6c,6d…とを一体に備えるものであり、各クランクジャーナル部6a…および各クランクピン部6b…の外周面と、前記クランクジャーナル部6a…および前記クランクアーム部6c,6d…の連結部外表面とには、強度向上のための高周波焼き入れが施される。
図3を併せて参照して、ジャーナル壁5aには半円状の上部軸受半部9が設けられ、ベアリングキャップ7には、前記上部軸受半部9と協働して円形の軸受孔11を形成する半円状の下部軸受半部10が設けられる。上部軸受半部9の周方向中間部には、円弧状に凹んだ凹部12が設けられており、クランクケース5に設けられたメインギャラリー13からの潤滑油を前記凹部12に導く連通油路14がジャーナル壁5aに設けられる。
クランクシャフト6のクランクジャーナル部6aおよび上部軸受半部9間には、半円状の上部軸受メタル15が介装され、前記クランクジャーナル部6aおよび下部軸受半部10間には、上部軸受メタル15に連なってリング状をなすようにして半円状に形成される下部軸受メタル16が介装される。しかも上部軸受メタル15の内周にはその周方向全長にわたる油溝17が設けられており、油溝17および前記凹部12間を連通する連通孔18が上部軸受メタル15に設けられる。
ところで、エンジンの爆発行程で下部軸受メタル16には比較的大きな圧縮荷重が作用するものであり、特にディーゼルエンジンでは大きな圧縮荷重が作用するので、下部軸受メタル16の内周には、面圧を低く抑えるための油溝は設けられていない。
而して上部および下部軸受メタル15,16と、クランクジャーナル部6aとの間には、クランクシャフト6の回転に応じて、前記油溝17から潤滑油が供給されることになる。
クランクシャフト6のクランクピン部6bには、リング状の軸受メタル19を介してコネクティンロッド20の大端部20aが回動可能に連結され、軸受メタル19およびクランクピン部6b間には、前記油溝17からの潤滑油がクランクシャフト6に設けられる第1および第2潤滑油路21,22を介して供給される。
図4を併せて参照して、第1潤滑油路21は、クランクケース5のメインギャラリー13から連通油路14、凹部12、連通孔18および油溝17を経て供給される潤滑油を、回転位置にかかわらず両端の少なくとも一方から受け入れることを可能として、両端をクランクジャーナル部6aの外周に開放しつつクランクジャーナル部6aの軸方向中間部で一直径線に沿って延びるようにしてクランクジャーナル部6aに設けられる。
また第2潤滑油路22は、第1潤滑油路21からの潤滑油を、クランクピン部6bおよび軸受メタル19間に供給すべく、クランクジャーナル部6a、両クランクアーム部6c,6dの一方6cおよび前記クランクピン部6bに一直線状に延びるようにして設けられるものであり、第2潤滑油路22の一端は第1潤滑油路21に連通され、第2潤滑油路22の他端はクランクピン部6bの外周に開口される。
しかも第2潤滑油路22の一端は、高周波焼き入れによるクランクジャーナル部6aの有効硬化層23(図3において点描で示す部分)よりも内方で第1潤滑油路21に連通される。また第2潤滑油路22の他端は、コネクティングロッド20からの圧縮荷重が作用する位置を避けてクランクピン部6bの外周に開口するものであり、図4で示すように、上死点位置にあるクランクピン部6bの軸線およびクランクジャーナル部6aの軸線を含む第1平面P1からクランクシャフト6の回転方向24に沿って90度以下の角度αをなす位置でクランクピン部6bの外周に開口される。
また第1潤滑油路21は、前記第1平面PL1に直交してクランクジャーナル部6aの軸線を含む第2平面PL2からクランクシャフト6の回転方向とは反対側に90度以下の角度βをなす位置に軸線を配置するようにしてクランクジャーナル部6aに設けられている。
次にこの実施例の作用について説明すると、第1潤滑油路21の軸線が、上死点位置に在るクランクピン部6bの軸線およびクランクジャーナル部6aの軸線を含む第1平面PL1に直交してクランクジャーナル部6aの軸線を含む第2平面PL2からクランクシャフト6の回転方向24とは反対側に90度以下の角度βをなす位置に配置される。このため図4および図5で示すように、第2潤滑油路22の傾斜角度を比較的大きく設定することが可能となり、クランクジャーナル部6aおよびクランクアーム部6cの連設彎曲部と、第2潤滑油路22の中間部との間での肉厚を比較的厚く設定し得るようにして、高周波焼き入れに伴う引っ張り残留応力に起因した疲労強度低下が第2潤滑油路22の中間部で生じることを回避することができる。
それに対し、従来のように、第1潤滑油路21が第1平面PL1と直交する軸線を有してクランクジャーナル部6aに設けられている場合には、第1潤滑油路21への第2潤滑油路22への連通部およびクランクジャーナル部6aの外周間の距離を同一としたときには、図5の鎖線で示すように、第2潤滑油路22の傾斜角度が比較的緩やかとなり、クランクジャーナル部6aおよびクランクアーム部6cの連設彎曲部と、第2潤滑油路22の中間部との間での肉厚が、本発明に従うものよりも薄くなってしまう。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえば圧縮残留応力を付与する加工がロール加工であってもよい。
5・・・クランクケース
6・・・クランクシャフト
6a・・・クランクジャーナル部
6b・・・クランクピン部
6c・・・クランクアーム部
20・・・コネクティングロッド
20a・・・コネクティングロッドの大端部
21・・・第1潤滑油路
22・・・第2潤滑油路
24・・・回転方向
PL1・・・第1平面
PL2・・・第2平面
β・・・角度
6・・・クランクシャフト
6a・・・クランクジャーナル部
6b・・・クランクピン部
6c・・・クランクアーム部
20・・・コネクティングロッド
20a・・・コネクティングロッドの大端部
21・・・第1潤滑油路
22・・・第2潤滑油路
24・・・回転方向
PL1・・・第1平面
PL2・・・第2平面
β・・・角度
Claims (1)
- クランクケース(5)で回転自在に支承されるとともに前記クランクケース(5)側から供給される潤滑油を受け入れ可能として両端を開放した第1潤滑油路(21)が一直径線に沿って設けられるクランクジャーナル部(6a)と、コネクティングロッド(20)の大端部(20a)が回動可能に連結されるクランクピン部(6b)と、前記クランクジャーナル部(6a)および前記クランクピン部(6b)間を結ぶクランクアーム部(6c)とを一体に有するとともに、一端を第1潤滑油路(21)に連通させるとともに他端を前記クランクピン部(6b)の外周に開口して直線状に延びる第2潤滑油路(22)が、前記クランクジャーナル部(6a)、前記クランクアーム部(6c)および前記クランクピン部(6b)に設けられ、前記クランクジャーナル部(6a)および前記クランクピン部(6b)の外周面と、前記クランクジャーナル部(6a)および前記クランクアーム部(6c)の連結部外表面とには圧縮残留応力を付与する加工が施されるクランクシャフトにおいて、上死点位置に在る前記クランクピン部(6b)の軸線および前記クランクジャーナル部(6a)の軸線を含む第1平面(PL1)に直交して前記クランクジャーナル部(6a)の軸線を含む第2平面(PL2)からクランクシャフト(6)の回転方向(24)とは反対側に90度以下の角度(β)をなす位置に軸線を配置するようにして第1潤滑油路(21)がクランクジャーナル部(6a)に設けられることを特徴とするクランクシャフト。
Priority Applications (1)
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JP2003349578A JP2005048760A (ja) | 2003-07-14 | 2003-10-08 | クランクシャフト |
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JP2005048760A true JP2005048760A (ja) | 2005-02-24 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003349578A Pending JP2005048760A (ja) | 2003-07-14 | 2003-10-08 | クランクシャフト |
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-
2003
- 2003-10-08 JP JP2003349578A patent/JP2005048760A/ja active Pending
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A977 | Report on retrieval |
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A02 | Decision of refusal |
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