JP2005047649A - エレベータ用情報伝送システム - Google Patents
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Abstract
【課題】エレベータ乗りかごの移動による伝送距離の変化に対しても、エレベータ用情報をワイヤレス伝送し、高品質で表示することにある。
【解決手段】乗りかご3内に監視カメラ4を設置し、この監視カメラで撮影された映像情報をかご側送信機6から昇降路上部又は昇降路下部10に固定設置される受信機7に光によるワイヤレス伝送を行うに際し、乗りかご側に加速度計9を設置し、この加速度計から出力されるかご位置情報から送信機と受信機との距離を推定し、この距離に応じて送信機の送信出力強度を最適な受信状態になるように設定し、映像情報を送信するエレベータ用情報伝送システムである。
【選択図】 図1
【解決手段】乗りかご3内に監視カメラ4を設置し、この監視カメラで撮影された映像情報をかご側送信機6から昇降路上部又は昇降路下部10に固定設置される受信機7に光によるワイヤレス伝送を行うに際し、乗りかご側に加速度計9を設置し、この加速度計から出力されるかご位置情報から送信機と受信機との距離を推定し、この距離に応じて送信機の送信出力強度を最適な受信状態になるように設定し、映像情報を送信するエレベータ用情報伝送システムである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータの乗りかごと昇降路下部のピット又は昇降路上部の機械室近傍との間で映像情報などを伝送するエレベータ用情報伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エレベータ用映像情報を伝送するシステムとして、幾つかのエレベータ用情報伝送システムが提案されている。
【0003】
その1つは、高層建物に入っているテナントの案内、エレベータ内防犯その他の目的等の観点から、乗りかご内に映像表示機とが設置され、外部からエレベータ乗りかご内に映像情報を伝送し、映像表示機に表示することにより、エレベータ利用者に必要な情報を提供している。
【0004】
この映像情報をエレベータ乗りかごに伝送する場合、エレベータ乗りかごの移動軸延長上に送信機と受信機が対向設置され、指向性のある光を利用し、ワイヤレス伝送により映像情報などを送信し、受信機を介して映像表示機に表示する構成となっている。
【0005】
このような情報伝送手段は、映像情報を光によるワイヤレス伝送により伝送することから、通常、映像情報を伝送するために使用される同軸ケーブルなどを敷設することなく、屋外や屋内の見とおしのできる2点に相対する向きで送信機及び受信機を設置するだけで簡易に映像情報などを伝達できる。
【0006】
他の1つは、エレベータ乗りかご側にブラケットを介して取り付けた送信機とこの送信機の軸延長上であるピット内又は機械室側にブラケットを介して取り付けた受信機とを対向設置するとともに、乗りかご内に監視カメラを取り付け、この監視カメラで撮影された映像情報を送信機から受信機に光信号により伝送し、この受信機で受信された映像情報を乗りかご上部の映像記録装置に記録する構成である(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−19303号公報(図1参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような情報伝送システムのうち、前者の情報伝送システムは、送信機又は受信機がエレベータ乗りかごに設置された場合、エレベータの乗りかごが移動することにより、映像情報などの伝達距離がエレベータの運行と共に変化してしまう。これは、近年益々建物の高層化が進んでおり、エレベータの昇降路の高さにより異なるものの、送信機と受信機の伝送距離という仕様から考えた場合、2mから100m或いは150mにわたる乗りかごの移動に伴う伝送距離の変化に対応しなければならない。
【0009】
しかし、実際には、受信機が2mの近距離範囲で必要以上に光電流が流れないように、送信機の送信出力を制限する方法がとられているので、乗りかごの移動に伴って映像がにじんだり、ピントがずれたり、さらに遠距離になるとノイズが発生するなど、受信機の受信感度が悪くなり、乗りかごが最上階の方向に移動するに従い、映像表示機の映像品質が極端に低下する問題がある。
【0010】
また、後者の特許文献1のシステムでは、乗りかご内の映像情報を映像記録装置に記録するものであるが、乗りかごの移動に伴って送信機と受信機との距離が大きく変化することから、前者のシステムと同様の問題が生ずる。
【0011】
さらに、前二者のシステムに共通する点は、適用可能な最大距離が短いことから、建物の高層化に十分に対応できない問題がある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、エレベータ乗りかごの移動に伴って伝送距離が変化しても、所要とするエレベータ用情報を安定に伝送し表示可能とするエレベータ用情報伝送システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記課題を解決するために、本発明は、かご呼びがないときにエレベータ乗りかごを基準階に戻して待機させるエレベータシステムに適用するエレベータ用情報伝送システムであって、乗りかごと昇降路下部又は昇降路上部とに相対するように設置され、エレベータ用情報を光情報に変換してワイヤレス伝送する送・受信機と、乗りかごの移動に伴って変化するかご位置情報を取り出す加速度計と、この加速度計から出力されるかご位置情報から送信機と受信機との伝送距離を推定し、この推定された伝送距離に応じて、受信機の所要とする受信条件を満たすように送信機の送信出力強度を制御する制御手段とを設けた構成である。
【0014】
本発明は以上のような構成とすることにより、例えば乗りかごに取り付けられる送信機とこの送信機に相対する昇降路下部又は昇降路上部に固定設置される受信機との間で光情報によるワイヤレス伝送によりエレベータ用情報を伝送する場合でも、加速度計から得られるかご位置情報を用いて送信機の送信出力強度を制御するので、エレベータ乗りかごの移動に伴って送信機と受信機との伝送距離が変化しても、受信機が最適な受信条件となるように送信機の送信出力強度を設定することが可能である。
【0015】
(2) また、本発明に係るエレベータ用情報伝送システムは、乗りかご内に取り付けられ、かご内の映像情報であるエレベータ用情報を撮影する監視カメラと、乗りかごと昇降路下部又は昇降路上部とに相対するように設置され、監視カメラで撮影されたエレベータ用情報を光情報に変換してワイヤレス伝送する送・受信機と、この受信機で受信されるエレベータ用情報を記録し、所要の個所に固定設置される映像表示機に表示する手段と、乗りかごの移動に伴って変化するかご位置情報を取り出す加速度計と、この加速度計から出力されるかご位置情報から送信機と受信機との伝送距離を推定し、この推定された伝送距離に応じて、受信機の所要の受信条件を満たすような送信機の送信出力強度のもとに前記エレベータ用情報を送信し前記映像表示機に表示可能にする制御手段とを設けた構成である。
【0016】
この発明は以上のような構成とすることにより、例えば乗りかごに取り付けられる送信機とこの送信機に相対する昇降路下部又は昇降路上部に固定設置される受信機との間で光情報によるワイヤレス伝送によりエレベータ用情報を伝送する場合でも、加速度計から得られるかご位置情報を用いて送信機の送信出力強度を制御するので、エレベータ乗りかごの移動に伴って送信機と受信機との伝送距離が変化しても、最適な受信条件のもとにエレベータ用情報を受信でき、ひいては映像表示機に安定した品質のエレベータ用情報を表示する可能となる。
【0017】
(3) さらに、本発明に係るエレベータ用情報伝送システムは、乗りかごと昇降路下部又は昇降路上部とに相対するように設置され、エレベータ用情報を光情報に変換してワイヤレス伝送する第1の送・受信機及び当該第1の送・受信機と並列的に取り付けられる第2の受・送信機と、乗りかごの移動に伴って変化するかご位置情報を取り出す加速度計と、この加速度計から出力されるかご位置情報又は当該かご位置情報から推定される送信機と受信機との伝送距離を第1の送信機から送信し、第1の受信機を経由させて前記第2の送信機に付与する手段と、この付与手段から与えられる前記かご位置情報又は前記推定される伝送距離を用いて、前記第2の送信機の送信出力強度を制御する制御手段とを設けた構成である。
【0018】
この発明は以上のような構成とすることにより、第2の送信機は、外部から入力されるエレベータ用情報や前記(1)で記録されたエレベータ用情報を例えばかご内映像表示機に表示する場合でも、加速度計から出力されるかご位置情報又は当該かご位置情報から推定される伝送距離を第1の送・受信機を経由して受け取るので、前記第2の送信機の送信出力強度を最適に制御でき、ひいてはエレベータ乗りかごの移動に伴って送信機と受信機との伝送距離が変化しても、最適、かつ、な受信条件のもとにエレベータ用情報を受信でき、ひいてはばかご内映像表示機に安定した品質のエレベータ用情報を表示可能となる。
【0019】
なお、前記送信機の送信出力強度としては、乗りかごが最下階又は基準階に着床した送信機と受信機との近い伝送距離の時に受信機が最適な受信感度となるような最小送信出力強度と、乗りかごが前記送信機と前記受信機とで最も遠い伝送距離となる時に前記受信機が最適な受信感度となる最大送信出力強度とをそれぞれ設定し、これら両送信出力強度の範囲内で送信出力強度を制御すれば、送信機の送信出力強度が極端に変化しないばかりか、乗りかごが最下階又は基準階に着床したときを基準とし、加速度計から出力されるかご位置情報を取り扱うことができ、より安定に送信機の送信出力強度を制御可能である。
【0020】
また、送信機の最小送信出力強度と最大送信出力強度とが設定されている場合、第1の受信機は第1の送信機の両送信出力強度に応じた受信強度から伝送距離を推定し、第2の送信機の送信出力強度を制御することが可能であり、特に加速度計を必要とせずに第2の送信機が最適な送信出力強度でエレベータ用情報を伝送することが可能である。
【0021】
さらに、送信機としては、当該送信機から出力されるビーム光量を増減制御する絞り機構と、この絞り機構を通過するビーム光の幅を拡縮制御する進退可動可能に設けた光学レンズと、前記加速度計から得られるかご位置情報から推定される伝送距離に応じて前記絞り機構及び光学レンズを駆動し、最適なビーム光に制御する駆動制御手段とを設ければ、エレベータ乗りかごの移動に伴って送信機と受信機との伝送距離が変化しても、光学的な機構を用いて最適な条件でエレベータ用情報をワイヤレス伝送することが可能である。
【0022】
さらに、送信機の送信出力強度の制御手段としては、最も遠い伝送距離に応じて複数種類の送信出力強度を定め、加速度計から得られるかご位置情報から推定される伝送距離に応じて送信機を何れか1種類の送信出力強度となるように制御すれば、送信出力強度の制御の簡素化を図ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係るエレベータ用情報伝送システムの第1の実施の形態を示す構成図である。
【0025】
この情報伝送システムは、例えば巻上機1に巻回されるメインロープ2に吊下されているエレベータの乗りかご3に適用し、更には乗りかご3の空き状態や乗場側からかご呼びがない場合に予め定める運行制御のもとにエレベータ制御装置(図示せず)が乗りかご3を基準階に戻して待機させるエレベータシステムに適用する。なお、基準階とはエレベータ利用者が頻繁に乗りかごに乗り降りする階であって、建物の玄関に相当する階であるが、例えば建物の1階に玄関があるにも拘らず、エレベータの乗り降りが2階から始まる場合には2階が基準階となる。
【0026】
この情報伝送システムは、具体的には、防犯が必要な場所、例えば乗りかご3の天井などに取り付けられ、乗りかご内の状況を撮影する監視カメラ4と、同じく乗りかご3内に取り付けられ、監視カメラ4により撮影された映像情その他外部から入力される映像情報(後記する図3参照)を表示する映像表示機5と、監視カメラ4で撮影された映像情報を光情報に変換して送信する送信機6及びこの送信機6から送信される光情報である映像情報を受信する受信機7と、乗りかご外部の昇降路上部付近、昇降路下部のピット付近もしくは基準階付近の管理人室内に設置され、受信機7で受信される映像情報を記録する映像記録装置8と、乗りかご3の移動によるかご位置情報を取り出す乗りかご3の適宜な個所に設けられた加速度計9とにより構成されている。10は昇降路下部(ピット)、11は基準階などのエレベータホールなどに設置され、映像記録装置8に記録される監視カメラ4により撮影された映像情その他外部から入力される映像情報を表示するかご外の映像表示機、12は基準階の乗場ドアである。
【0027】
前記送信機6は、可視発光ダイオードや赤外発光ダイオード、半導体レーザーなどの固体発光デバイス、つまり発光素子などが使用され、テレビ・オーディオ関連で使用される遠隔操作器(リモコン)やネットワークのワイヤレスLANなどで使用される光無線機器であって、エレベータの場合には、乗りかご3の外側に取り付けられる。
【0028】
前記受信機8は、受光素子などが使用され、乗りかご3の移動方向軸延長上、かつ、送信機6と相対するごとく、例えば昇降路内に設けられる例えば昇降路下部10の乗りかご用ガイドレール相当位置、或いは機械室近傍の昇降路上部の乗りかご用ガイドレール相当位置に取り付けられる。
【0029】
前記加速度計9は、基準階を起点とし、エレベータ乗りかご3が移動したとき、移動変化の時間的割合、つまり速度は乗りかご3の方向(移動方向)と大きさ(相対的距離)とをもったかご位置情報を取り出すことができる。因みに、図2(a)は、乗りかご3が基準階を起点とし、乗りかご3の上昇加速時には加速度値αが負方向に変化し、等速走行時(区間イ)には加速度零値を示し、目的階に着床する上昇減速時には正方向に変化する。そして、乗りかご3が目的階に着床し利用者の乗降時(区間ロ)には零値を示す。このことは、乗りかご3の移動開始時、加速度計9の出力から正負何れの出力であるかに応じて上下移動方向が判断でき、また減速時に移行までの区間イの時間長に応じて何れの階を移動するか容易に判断でき、かつ、減速終了後の区間ロの加速度零値から利用者乗降時間が判断可能できる。この判断は、エレベータ制御装置の運行行程から加速、等速及び減速が定められているので、同等の処理機能を送信機6自体にもたせるか、送信機6がエレベータ制御装置を介してかご位置情報を取り込むことが可能である。
【0030】
一方、エレベータ乗りかご3の下降移動時、図2(b)に示すように目的階からの乗りかご下降加速時には加速度値αが正方向に変化し、等速走行時(区間イ´)には零値を示し、目的階に着床する下降減速時には負方向に変化し、さらに乗りかご3が目的階に停止し利用者の乗降時(区間ロ´)には零値を示すことになる。
【0031】
従って、送信機6は、加速度計9の出力から直接、或いは加速度計9の出力からエレベータ制御装置(図示せず)を介してエレベータ乗りかご3の移動方向及び加速度値の大きさ,つまり変化の状態から乗りかご3の位置情報,ひいては送信機6と受信機7との伝送距離を容易に推測することができる。
【0032】
また、送信機6は、乗りかご3が基準階に着床した際、エレベータ制御装置から基準階である旨の情報を受けるか、或いは図2に示す加速度値の変化から基準階を容易に判断でき、基準階と判断した際には再度前述と同様な判断のもとに乗りかごの移動方向及び加速度値の変化状態等のかご位置情報を取り出すことができる。
【0033】
次に、以上のようなシステムの動作について説明する。
【0034】
今、乗りかご3が2階に着床し、この階で乗車した利用者が最上階を行先階として選択操作したか、又は既に最上階を行先階として登録している場合、エレベータ制御装置は、乗りかご3を最上階に運行するべく巻上機1を駆動し、予め定める運行制御のもとに乗りかご3を上昇加速させる。この乗りかご3の上昇時、乗りかご3に取り付けられている送信機6は、加速度計9の出力である移動方向及び加速度値の大きさを伴う乗りかご3のかご位置情報を受けるので、このかご位置情報から受信機7までの伝送距離を推測し、受信機7からの距離に応じて送信出力強度を決定し、監視カメラ4で撮影されたかご内映像情報を光情報に変換し送信する。
【0035】
通常、送信機6と受信機7との距離変化は、最下位ないし基準階から最上階までの走行距離、すなわち昇降行程と一致する。従って、送信機6としては、乗りかご3が最下階ないし基準階に存在するとき、受信機7が最適な受信条件で受信可能な大きさの送信出力強度(MIN)に設定し、一方、受信機7から最も離れた最上階に乗りかご3が存在する最大距離の時に当該受信機7で前述と同様な最適な受信条件で受信可能な送信出力強度(MAX)を設定し、乗りかご3の上昇移動時に加速度計9の出力に基づいて、送信出力強度(MIN)から送信出力強度(MAX)に向けて増加するように制御し、監視カメラ4で撮影されたかご内映像情報を光情報に変換し受信機7に伝送する。なお、送信機6の送信出力強度は、受信機7から最も離れた最上階に乗りかご3が存在する最大距離の時に当該受信機7で最適な受信条件で受信可能な送信出力強度(MAX)を設定し後、受信機7から最も近い距離で前述した受信条件となるように送信出力強度(MIN)を設定してもよい。
【0036】
なお、送信機6の送信出力強度は、送信出力強度(MAX)と送信出力強度(MIN)とを越えない範囲で加速度計9の出力に基づいて送信出力強度を制御するが、この送信出力強度の制御手段としては、例えば受信機7と送信機6との伝送距離に応じて送信出力強度を4段階(4種類)に分割して制御するか、受信機5からの乗りかごまでの距離(時間)の2乗に比例するような送信出力強度を連続的に制御してもよい。例えば送信出力を4段階に制御するとは、乗りかごが100mの距離を移動するに際し、25mごとに予め設定される送信出力強度に制御することを意味し、また距離データの2乗に連続的に比例するように送信出力強度を制御するとは、もともと移動距離が加速度に対する時間の2乗に比例するためである。さらに、送信機6に設定テーブルを設け、加速度計9の出力から得られるかご距離と送信出力データとの関係を規定し、加速度計9の出力であるかご位置情報から得られる伝送距離を推測し、この推測された伝送距離に基づいてテーブルから送信出力強度を取り出し、送信機6の送信出力強度を制御してもよい。なお、映像情報を光情報に変換して送信する技術は、従来周知の各種の技術を用いて行うものとする。
【0037】
従って、以上のような実施の形態によれば、乗りかご3の移動に伴って送信機6と受信機7との伝送距離が変化した場合、受信機7で最適な受信条件で映像情報など受信可能な送信出力強度に制御し当該映像情報をワイヤレス伝送するので、受信器7から遠距離移動しても最適な受信状態で映像情報を受信でき、ひいては受信記録した映像記録装置8の映像情報を安定な品質で映像表示機11に表示することが可能となる。
【0038】
また、建物の高層化に対しても、十分に対応できるものであり、今後益々高層化する場合でも、ユーザの要求を十分に満足させることができる。
【0039】
(第2の実施の形態)
図3は本発明に係るエレベータ用情報伝送システムの第2の実施の形態を示す構成図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明は図1に譲る。
【0040】
この情報伝送システムは、第1の実施の形態で説明したように、乗りかご3内に映像表示機5を設置した場合、監視カメラ4で撮影された映像情報だけでなく、例えば監視センタ、管理人室など、或いはネットワークを介して外部から建物テナント案内及び音声,文字を含む映像情報を映像表示機5に表示する要求がある。このような要求に対して、乗りかご3の移動変化に拘らず、少なくとも映像表示機5に最適な映像情報で表示する必要がある。なお、外部からの映像情報は映像記録装置8を介して映像表示機11にも表示するものである。
【0041】
この情報伝送システムは、具体的には、外部から所要とする制御情報を含むテナント案内その他各種の所要の映像情報を送信する例えばパーソナルコンピュータなどの映像発信機21と、乗りかご3の外側に並列的に取り付けられる送信機6a及び受信機6bと、乗りかご3の移動方向軸延長上、かつ、送信機6a及び受信機6bと相対するごとく、例えば昇降路内に設けられる乗りかご用ガイドレールなどの昇降路下部10相当位置、或いは機械室近傍の昇降路上部相当位置に並列的に取り付けられ、前記送信機6aからの映像情報を受信する受信機7a及びかご側受信機6bに所要とする映像情報を送信する送信機7bとによって構成されている。
【0042】
なお、送信機6aは前述する送信機6と同様に監視カメラ4で撮影された映像情報を光情報に変換して送信する機能をもっている。受信機7aは前述する送信機7と同様に送信機6aからの映像情報を受信し、映像記録装置8に記録する機能をもっている。一方、送信機7bは、外部映像発信機21から出力される切替制御信号に基づき受信機7aの入力経路を切替え、映像記録装置8の所要とする領域に外部映像情報を記録したり、或いは送信機7bから受信機6bに外部映像情報を光情報に変換して送信するが、この送信機7bは送信機7aと異なり、加速度計9からかご移動情報を取得できない。
【0043】
そこで、送信機7aは、加速度計9からかご位置情報を受け取ると、当該かご位置情報データまたは当該かご位置情報から推定される送信機6aと受信機7aとの伝送距離データをワイヤレスで受信機7aに伝送し、この受信機7aはかご位置情報データまたは伝送距離データを受け取ると、送信機7bに与える。従って、送信機7bは、伝送距離に応じた送信出力強度のもとに外部映像情報を送信し、受信機6bを介して安定した品質で映像表示機5に表示することができる。
【0044】
また、映像記録装置8に記録されたエレベータかご内の映像情報又は外部映像情報を受信機7aを介して送信機7bから送信する場合にも同様に受信機7aで受信された送信出力強度を利用し、最適な受信条件のもとに受信機6bに受信させ、乗りかご内の映像表示機5に表示させることができる。
【0045】
なお、送信機6aから送信出力強度データを直接伝送し、受信機7aを介して送信機7bに与える構成であってもよい。
【0046】
従って、以上のような実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏する他、送信機6aから加速度計9の出力データ又は送信出力強度データを送信し、受信機7aを通して送信機7bに与えるので、送信機7bは受け取った加速度計出力又は送信出力強度データに基づいて自ら送信出力強度を決定するか、当該受け取った送信出力強度を用いて制御するので、乗りかご3の移動に伴ってかごガイドレールなどに固定される送信機7bと乗りかご3に取り付けられる受信機6bとの伝送距離が変化しても、外部映像発信機21から例えばテナント案内情報、災害予防情報、防犯予防情報その他必要な情報をかご内映像表示機5に確実、かつ安定な品質で表示することができる。しかも、外部映像発信機21は、必要なときに切替制御信号を送出し、必要な情報を映像記録装置8に格納するとか、或いは送信機7bから直接かご側受信機6bに光情報で送信するので、例えば時間帯などに従って、監視カメラ4の映像と外部映像発信機21からの映像を映像記録装置8に記憶し、映像表示機5に表示することもできる。
【0047】
図4は、第1及び第2の実施の形態に使用される図1に示す送信機6(図2に示す送信機6a、7bも含む)内部の機能構成を示す図である。
【0048】
すなわち、送信機6は、前述するように加速度計9から移動方向を含む加速度値の大きさ等のかご位置情報9aを受け取ると、送信機6と受信機7aとの伝送距離,つまり映像情報の伝送距離を推定する距離変換手段22と、この距離変換手段22に推定される伝送距離に基づいて送信出力強度を決定し、映像情報である送信データ23を、前記決定された送信出力強度に基づいて送信制御を実行する送信制御手段24と、映像情報を光情報に変換して送信する発光素子25と、送信制御手段24で決定される送信出力及び映像情報に基づいてバイアス電圧を可変し、発光素子25に流れる電流を制御する電流制御回路26とが設けられている。
【0049】
なお、予め伝送距離と送信出力強度との関係を規定する設定テーブルを設け、距離変換手段22により変換された伝送距離から送信出力強度を取り出し、送信制御手段24に与える構成であってもよい。この送信出力強度の決定に際しては、前述するように受信機7と送信機6との伝送距離に応じて送信出力強度を4段階に設定するとか、或いは細かく送信出力強度を定めてもよい。
【0050】
(第3の実施の形態)
図5は本発明に係るエレベータ用情報伝送システムの第3の実施の形態を示す構成図である。なお、同図において図1,図3と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明は図1,図3に譲る。
【0051】
この実施の形態は、加速度計9の出力である移動方向を含む加速度値の大きさ等の乗りかご位置情報9aに基づいて例えば半導体レーザなどの発光素子31から出力されるレーザビーム光を制御する送信機6(6a,7bを含む。以下同じ)の一例を示す構成図である。
【0052】
この送信機6は、半導体レーザなどの発光素子31から出力されるレーザビーム光量を増減制御する絞り機構32と、この絞り機構32を通過するレーザビーム光の幅を拡縮制御する進退可動可能に設けた移動レンズ33が備えられ、さらに送信機6の内部処理回路として、例えば監視カメラ4で撮影された映像情報に基づいて発光素子31から出力するレーザビーム光を変調し光情報に変換し送信する送信制御手段34及び加速度計9の出力又はエレベータ制御装置から得られる乗りかご移動情報9aに基づいて絞り駆動・レンズ駆動を実行する絞り・レンズ駆動制御手段35が設けられている。
【0053】
このような構成の送信機6においては、送信制御手段34が例えば監視カメラ4で撮影された映像情報に基づき、図4で説明したように電流制御回路26を介して発光素子31から出力するレーザビーム光を変調し、当該発光素子31から光情報に送信する。
【0054】
このとき、加速度計9から直接又はエレベータ制御装置から得られる乗りかご位置情報9aを受け取ると、絞り・レンズ駆動制御手段35は、受信機7と送信機6との伝送距離を推定し、当該伝送距離が短い場合には、発光素子31から出力されるレーザビーム光を拡大するためにビーム光源に近づく方向(図示点線)に移動レンズ33を移動制御し、かつ、レーザビーム光量を絞るような方向に絞り機構32を駆動制御する。一方、受信機7と送信機6との伝送距離が長い場合には、絞り・レンズ駆動制御手段35は、発光素子31から出力されるレーザビーム光の幅を縮小するためにビーム光源から離す方向(図示点線)に移動レンズ33を移動制御し、かつ、レーザビーム光量を増やす方向に絞り機構32を駆動制御する。
【0055】
従って、このような実施の形態によれば、加速度計9の出力又はエレベータ制御装置から得られる乗りかご位置情報9aに基づき、受信機7と送信機6との伝送距離を推定し、この推定距離に基づいて移動レンズ33及び絞り機構32を利用し、発光素子31から出力されるレーザビーム光を制御しながら映像情報を送信するので、乗りかご3の移動に伴う受信機7と送信機6との距離変化に対し、映像情報を光学的な手段によって最適な条件で送受信させることが可能である。
【0056】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0057】
(1) 上記実施の形態では、加速度計9からの出力情報から乗りかご位置情報ないし距離情報を取得したが、例えば乗りかご3が最下階又は基準階と最上階に着床したとき、前述するように予め送信機6の送信出力を設定し、その送信強度出力範囲で調整可能にすれば、受信機7の受信強度から乗りかご3の位置ないし距離情報を推定できるので、例えば送信機7bは受信機7aの受信強度又は距離情報を用いて、適切な送信強度のもとにかご内映像情報又は外部映像情報を送信し、かご内の映像表示機4に表示することが可能である。この例は、特にエレベータ乗りかご3が基準階に着床する回数が多いこと、着床滞在時間が長いこと等の特性を利用することにより、予め送信出力強度を設定することができ、また基準階を容易に把握できることから、比較的容易に受信機7aの受信強度又は距離情報から送信出力強度を決定することが可能である。
【0058】
(2) また、上記実施の形態では、映像記録装置8が乗りかご以外の場所に設置した例について述べたが、例えば映像記録装置8とは別に乗りかごにも映像記録装置を設置し、監視カメラ4で撮影されたかご内映像情報を記録し、映像表示機5に表示する一方、送信機6a−受信機7aを通して乗りかご以外の映像記録装置8に記録し、エレベータホール側の映像表示機11に表示する構成であってもよい。
【0059】
(3) また、映像表示機5,11は、映像情報だけでなく、エレベータシステムに関連する全ての情報、例えば文字よりなる映像情報、音声情報も同時に送受信し、映像表示機5,11から出力する場合についても従来の周知技術を用いることにより、音声情報を伴った状態で映像情報を表示することも可能である。
【0060】
さらに、各実施の形態は可能な限り組み合わせて実施することが可能であり、その場合には組み合わせによる効果が得られる。さらに、上記各実施の形態には種々の上位,下位段階の発明が含まれており、開示された複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば問題点を解決するための手段に記載される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されうることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、エレベータ乗りかごの移動に伴って情報の伝送距離が変化しても、その距離変化に応じて送信出力強度を可変するので、安定にエレベータ用情報を伝送し、鮮明にエレベータ用情報を表示できるエレベータ用情報伝送システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレベータ用情報伝送システムの一実施の形態を示す構成図。
【図2】エレベータ乗りかごの移動に伴って変化する加速度計の出力を説明する図。
【図3】本発明に係るエレベータ用情報伝送システムの他の実施の形態を示す構成図。
【図4】図1及び図3に用いられる送信機内部の一例を機能構成図。
【図5】本発明に係るエレベータ用情報伝送システムのさらに他の実施の形態を示す送信機関係の構成図。
【符号の説明】
1…巻上機、2…メインロープ、3…乗りかご、4…監視カメラ、5…映像表示機、6,6a,7b…送信機、7,7a,6b…受信機、8…映像表示機、9…加速度計、10…昇降路下部、11…映像表示機、12…基準階の乗場ドア、21…外部映像発信機、22…距離変換手段、24…送信制御手段、25,31…発光素子、26…電流制御回路、32…絞り機構、33…移動レンズ、34…送信制御手段、35…絞り・レンズ駆動制御手段。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータの乗りかごと昇降路下部のピット又は昇降路上部の機械室近傍との間で映像情報などを伝送するエレベータ用情報伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エレベータ用映像情報を伝送するシステムとして、幾つかのエレベータ用情報伝送システムが提案されている。
【0003】
その1つは、高層建物に入っているテナントの案内、エレベータ内防犯その他の目的等の観点から、乗りかご内に映像表示機とが設置され、外部からエレベータ乗りかご内に映像情報を伝送し、映像表示機に表示することにより、エレベータ利用者に必要な情報を提供している。
【0004】
この映像情報をエレベータ乗りかごに伝送する場合、エレベータ乗りかごの移動軸延長上に送信機と受信機が対向設置され、指向性のある光を利用し、ワイヤレス伝送により映像情報などを送信し、受信機を介して映像表示機に表示する構成となっている。
【0005】
このような情報伝送手段は、映像情報を光によるワイヤレス伝送により伝送することから、通常、映像情報を伝送するために使用される同軸ケーブルなどを敷設することなく、屋外や屋内の見とおしのできる2点に相対する向きで送信機及び受信機を設置するだけで簡易に映像情報などを伝達できる。
【0006】
他の1つは、エレベータ乗りかご側にブラケットを介して取り付けた送信機とこの送信機の軸延長上であるピット内又は機械室側にブラケットを介して取り付けた受信機とを対向設置するとともに、乗りかご内に監視カメラを取り付け、この監視カメラで撮影された映像情報を送信機から受信機に光信号により伝送し、この受信機で受信された映像情報を乗りかご上部の映像記録装置に記録する構成である(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−19303号公報(図1参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような情報伝送システムのうち、前者の情報伝送システムは、送信機又は受信機がエレベータ乗りかごに設置された場合、エレベータの乗りかごが移動することにより、映像情報などの伝達距離がエレベータの運行と共に変化してしまう。これは、近年益々建物の高層化が進んでおり、エレベータの昇降路の高さにより異なるものの、送信機と受信機の伝送距離という仕様から考えた場合、2mから100m或いは150mにわたる乗りかごの移動に伴う伝送距離の変化に対応しなければならない。
【0009】
しかし、実際には、受信機が2mの近距離範囲で必要以上に光電流が流れないように、送信機の送信出力を制限する方法がとられているので、乗りかごの移動に伴って映像がにじんだり、ピントがずれたり、さらに遠距離になるとノイズが発生するなど、受信機の受信感度が悪くなり、乗りかごが最上階の方向に移動するに従い、映像表示機の映像品質が極端に低下する問題がある。
【0010】
また、後者の特許文献1のシステムでは、乗りかご内の映像情報を映像記録装置に記録するものであるが、乗りかごの移動に伴って送信機と受信機との距離が大きく変化することから、前者のシステムと同様の問題が生ずる。
【0011】
さらに、前二者のシステムに共通する点は、適用可能な最大距離が短いことから、建物の高層化に十分に対応できない問題がある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、エレベータ乗りかごの移動に伴って伝送距離が変化しても、所要とするエレベータ用情報を安定に伝送し表示可能とするエレベータ用情報伝送システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記課題を解決するために、本発明は、かご呼びがないときにエレベータ乗りかごを基準階に戻して待機させるエレベータシステムに適用するエレベータ用情報伝送システムであって、乗りかごと昇降路下部又は昇降路上部とに相対するように設置され、エレベータ用情報を光情報に変換してワイヤレス伝送する送・受信機と、乗りかごの移動に伴って変化するかご位置情報を取り出す加速度計と、この加速度計から出力されるかご位置情報から送信機と受信機との伝送距離を推定し、この推定された伝送距離に応じて、受信機の所要とする受信条件を満たすように送信機の送信出力強度を制御する制御手段とを設けた構成である。
【0014】
本発明は以上のような構成とすることにより、例えば乗りかごに取り付けられる送信機とこの送信機に相対する昇降路下部又は昇降路上部に固定設置される受信機との間で光情報によるワイヤレス伝送によりエレベータ用情報を伝送する場合でも、加速度計から得られるかご位置情報を用いて送信機の送信出力強度を制御するので、エレベータ乗りかごの移動に伴って送信機と受信機との伝送距離が変化しても、受信機が最適な受信条件となるように送信機の送信出力強度を設定することが可能である。
【0015】
(2) また、本発明に係るエレベータ用情報伝送システムは、乗りかご内に取り付けられ、かご内の映像情報であるエレベータ用情報を撮影する監視カメラと、乗りかごと昇降路下部又は昇降路上部とに相対するように設置され、監視カメラで撮影されたエレベータ用情報を光情報に変換してワイヤレス伝送する送・受信機と、この受信機で受信されるエレベータ用情報を記録し、所要の個所に固定設置される映像表示機に表示する手段と、乗りかごの移動に伴って変化するかご位置情報を取り出す加速度計と、この加速度計から出力されるかご位置情報から送信機と受信機との伝送距離を推定し、この推定された伝送距離に応じて、受信機の所要の受信条件を満たすような送信機の送信出力強度のもとに前記エレベータ用情報を送信し前記映像表示機に表示可能にする制御手段とを設けた構成である。
【0016】
この発明は以上のような構成とすることにより、例えば乗りかごに取り付けられる送信機とこの送信機に相対する昇降路下部又は昇降路上部に固定設置される受信機との間で光情報によるワイヤレス伝送によりエレベータ用情報を伝送する場合でも、加速度計から得られるかご位置情報を用いて送信機の送信出力強度を制御するので、エレベータ乗りかごの移動に伴って送信機と受信機との伝送距離が変化しても、最適な受信条件のもとにエレベータ用情報を受信でき、ひいては映像表示機に安定した品質のエレベータ用情報を表示する可能となる。
【0017】
(3) さらに、本発明に係るエレベータ用情報伝送システムは、乗りかごと昇降路下部又は昇降路上部とに相対するように設置され、エレベータ用情報を光情報に変換してワイヤレス伝送する第1の送・受信機及び当該第1の送・受信機と並列的に取り付けられる第2の受・送信機と、乗りかごの移動に伴って変化するかご位置情報を取り出す加速度計と、この加速度計から出力されるかご位置情報又は当該かご位置情報から推定される送信機と受信機との伝送距離を第1の送信機から送信し、第1の受信機を経由させて前記第2の送信機に付与する手段と、この付与手段から与えられる前記かご位置情報又は前記推定される伝送距離を用いて、前記第2の送信機の送信出力強度を制御する制御手段とを設けた構成である。
【0018】
この発明は以上のような構成とすることにより、第2の送信機は、外部から入力されるエレベータ用情報や前記(1)で記録されたエレベータ用情報を例えばかご内映像表示機に表示する場合でも、加速度計から出力されるかご位置情報又は当該かご位置情報から推定される伝送距離を第1の送・受信機を経由して受け取るので、前記第2の送信機の送信出力強度を最適に制御でき、ひいてはエレベータ乗りかごの移動に伴って送信機と受信機との伝送距離が変化しても、最適、かつ、な受信条件のもとにエレベータ用情報を受信でき、ひいてはばかご内映像表示機に安定した品質のエレベータ用情報を表示可能となる。
【0019】
なお、前記送信機の送信出力強度としては、乗りかごが最下階又は基準階に着床した送信機と受信機との近い伝送距離の時に受信機が最適な受信感度となるような最小送信出力強度と、乗りかごが前記送信機と前記受信機とで最も遠い伝送距離となる時に前記受信機が最適な受信感度となる最大送信出力強度とをそれぞれ設定し、これら両送信出力強度の範囲内で送信出力強度を制御すれば、送信機の送信出力強度が極端に変化しないばかりか、乗りかごが最下階又は基準階に着床したときを基準とし、加速度計から出力されるかご位置情報を取り扱うことができ、より安定に送信機の送信出力強度を制御可能である。
【0020】
また、送信機の最小送信出力強度と最大送信出力強度とが設定されている場合、第1の受信機は第1の送信機の両送信出力強度に応じた受信強度から伝送距離を推定し、第2の送信機の送信出力強度を制御することが可能であり、特に加速度計を必要とせずに第2の送信機が最適な送信出力強度でエレベータ用情報を伝送することが可能である。
【0021】
さらに、送信機としては、当該送信機から出力されるビーム光量を増減制御する絞り機構と、この絞り機構を通過するビーム光の幅を拡縮制御する進退可動可能に設けた光学レンズと、前記加速度計から得られるかご位置情報から推定される伝送距離に応じて前記絞り機構及び光学レンズを駆動し、最適なビーム光に制御する駆動制御手段とを設ければ、エレベータ乗りかごの移動に伴って送信機と受信機との伝送距離が変化しても、光学的な機構を用いて最適な条件でエレベータ用情報をワイヤレス伝送することが可能である。
【0022】
さらに、送信機の送信出力強度の制御手段としては、最も遠い伝送距離に応じて複数種類の送信出力強度を定め、加速度計から得られるかご位置情報から推定される伝送距離に応じて送信機を何れか1種類の送信出力強度となるように制御すれば、送信出力強度の制御の簡素化を図ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係るエレベータ用情報伝送システムの第1の実施の形態を示す構成図である。
【0025】
この情報伝送システムは、例えば巻上機1に巻回されるメインロープ2に吊下されているエレベータの乗りかご3に適用し、更には乗りかご3の空き状態や乗場側からかご呼びがない場合に予め定める運行制御のもとにエレベータ制御装置(図示せず)が乗りかご3を基準階に戻して待機させるエレベータシステムに適用する。なお、基準階とはエレベータ利用者が頻繁に乗りかごに乗り降りする階であって、建物の玄関に相当する階であるが、例えば建物の1階に玄関があるにも拘らず、エレベータの乗り降りが2階から始まる場合には2階が基準階となる。
【0026】
この情報伝送システムは、具体的には、防犯が必要な場所、例えば乗りかご3の天井などに取り付けられ、乗りかご内の状況を撮影する監視カメラ4と、同じく乗りかご3内に取り付けられ、監視カメラ4により撮影された映像情その他外部から入力される映像情報(後記する図3参照)を表示する映像表示機5と、監視カメラ4で撮影された映像情報を光情報に変換して送信する送信機6及びこの送信機6から送信される光情報である映像情報を受信する受信機7と、乗りかご外部の昇降路上部付近、昇降路下部のピット付近もしくは基準階付近の管理人室内に設置され、受信機7で受信される映像情報を記録する映像記録装置8と、乗りかご3の移動によるかご位置情報を取り出す乗りかご3の適宜な個所に設けられた加速度計9とにより構成されている。10は昇降路下部(ピット)、11は基準階などのエレベータホールなどに設置され、映像記録装置8に記録される監視カメラ4により撮影された映像情その他外部から入力される映像情報を表示するかご外の映像表示機、12は基準階の乗場ドアである。
【0027】
前記送信機6は、可視発光ダイオードや赤外発光ダイオード、半導体レーザーなどの固体発光デバイス、つまり発光素子などが使用され、テレビ・オーディオ関連で使用される遠隔操作器(リモコン)やネットワークのワイヤレスLANなどで使用される光無線機器であって、エレベータの場合には、乗りかご3の外側に取り付けられる。
【0028】
前記受信機8は、受光素子などが使用され、乗りかご3の移動方向軸延長上、かつ、送信機6と相対するごとく、例えば昇降路内に設けられる例えば昇降路下部10の乗りかご用ガイドレール相当位置、或いは機械室近傍の昇降路上部の乗りかご用ガイドレール相当位置に取り付けられる。
【0029】
前記加速度計9は、基準階を起点とし、エレベータ乗りかご3が移動したとき、移動変化の時間的割合、つまり速度は乗りかご3の方向(移動方向)と大きさ(相対的距離)とをもったかご位置情報を取り出すことができる。因みに、図2(a)は、乗りかご3が基準階を起点とし、乗りかご3の上昇加速時には加速度値αが負方向に変化し、等速走行時(区間イ)には加速度零値を示し、目的階に着床する上昇減速時には正方向に変化する。そして、乗りかご3が目的階に着床し利用者の乗降時(区間ロ)には零値を示す。このことは、乗りかご3の移動開始時、加速度計9の出力から正負何れの出力であるかに応じて上下移動方向が判断でき、また減速時に移行までの区間イの時間長に応じて何れの階を移動するか容易に判断でき、かつ、減速終了後の区間ロの加速度零値から利用者乗降時間が判断可能できる。この判断は、エレベータ制御装置の運行行程から加速、等速及び減速が定められているので、同等の処理機能を送信機6自体にもたせるか、送信機6がエレベータ制御装置を介してかご位置情報を取り込むことが可能である。
【0030】
一方、エレベータ乗りかご3の下降移動時、図2(b)に示すように目的階からの乗りかご下降加速時には加速度値αが正方向に変化し、等速走行時(区間イ´)には零値を示し、目的階に着床する下降減速時には負方向に変化し、さらに乗りかご3が目的階に停止し利用者の乗降時(区間ロ´)には零値を示すことになる。
【0031】
従って、送信機6は、加速度計9の出力から直接、或いは加速度計9の出力からエレベータ制御装置(図示せず)を介してエレベータ乗りかご3の移動方向及び加速度値の大きさ,つまり変化の状態から乗りかご3の位置情報,ひいては送信機6と受信機7との伝送距離を容易に推測することができる。
【0032】
また、送信機6は、乗りかご3が基準階に着床した際、エレベータ制御装置から基準階である旨の情報を受けるか、或いは図2に示す加速度値の変化から基準階を容易に判断でき、基準階と判断した際には再度前述と同様な判断のもとに乗りかごの移動方向及び加速度値の変化状態等のかご位置情報を取り出すことができる。
【0033】
次に、以上のようなシステムの動作について説明する。
【0034】
今、乗りかご3が2階に着床し、この階で乗車した利用者が最上階を行先階として選択操作したか、又は既に最上階を行先階として登録している場合、エレベータ制御装置は、乗りかご3を最上階に運行するべく巻上機1を駆動し、予め定める運行制御のもとに乗りかご3を上昇加速させる。この乗りかご3の上昇時、乗りかご3に取り付けられている送信機6は、加速度計9の出力である移動方向及び加速度値の大きさを伴う乗りかご3のかご位置情報を受けるので、このかご位置情報から受信機7までの伝送距離を推測し、受信機7からの距離に応じて送信出力強度を決定し、監視カメラ4で撮影されたかご内映像情報を光情報に変換し送信する。
【0035】
通常、送信機6と受信機7との距離変化は、最下位ないし基準階から最上階までの走行距離、すなわち昇降行程と一致する。従って、送信機6としては、乗りかご3が最下階ないし基準階に存在するとき、受信機7が最適な受信条件で受信可能な大きさの送信出力強度(MIN)に設定し、一方、受信機7から最も離れた最上階に乗りかご3が存在する最大距離の時に当該受信機7で前述と同様な最適な受信条件で受信可能な送信出力強度(MAX)を設定し、乗りかご3の上昇移動時に加速度計9の出力に基づいて、送信出力強度(MIN)から送信出力強度(MAX)に向けて増加するように制御し、監視カメラ4で撮影されたかご内映像情報を光情報に変換し受信機7に伝送する。なお、送信機6の送信出力強度は、受信機7から最も離れた最上階に乗りかご3が存在する最大距離の時に当該受信機7で最適な受信条件で受信可能な送信出力強度(MAX)を設定し後、受信機7から最も近い距離で前述した受信条件となるように送信出力強度(MIN)を設定してもよい。
【0036】
なお、送信機6の送信出力強度は、送信出力強度(MAX)と送信出力強度(MIN)とを越えない範囲で加速度計9の出力に基づいて送信出力強度を制御するが、この送信出力強度の制御手段としては、例えば受信機7と送信機6との伝送距離に応じて送信出力強度を4段階(4種類)に分割して制御するか、受信機5からの乗りかごまでの距離(時間)の2乗に比例するような送信出力強度を連続的に制御してもよい。例えば送信出力を4段階に制御するとは、乗りかごが100mの距離を移動するに際し、25mごとに予め設定される送信出力強度に制御することを意味し、また距離データの2乗に連続的に比例するように送信出力強度を制御するとは、もともと移動距離が加速度に対する時間の2乗に比例するためである。さらに、送信機6に設定テーブルを設け、加速度計9の出力から得られるかご距離と送信出力データとの関係を規定し、加速度計9の出力であるかご位置情報から得られる伝送距離を推測し、この推測された伝送距離に基づいてテーブルから送信出力強度を取り出し、送信機6の送信出力強度を制御してもよい。なお、映像情報を光情報に変換して送信する技術は、従来周知の各種の技術を用いて行うものとする。
【0037】
従って、以上のような実施の形態によれば、乗りかご3の移動に伴って送信機6と受信機7との伝送距離が変化した場合、受信機7で最適な受信条件で映像情報など受信可能な送信出力強度に制御し当該映像情報をワイヤレス伝送するので、受信器7から遠距離移動しても最適な受信状態で映像情報を受信でき、ひいては受信記録した映像記録装置8の映像情報を安定な品質で映像表示機11に表示することが可能となる。
【0038】
また、建物の高層化に対しても、十分に対応できるものであり、今後益々高層化する場合でも、ユーザの要求を十分に満足させることができる。
【0039】
(第2の実施の形態)
図3は本発明に係るエレベータ用情報伝送システムの第2の実施の形態を示す構成図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明は図1に譲る。
【0040】
この情報伝送システムは、第1の実施の形態で説明したように、乗りかご3内に映像表示機5を設置した場合、監視カメラ4で撮影された映像情報だけでなく、例えば監視センタ、管理人室など、或いはネットワークを介して外部から建物テナント案内及び音声,文字を含む映像情報を映像表示機5に表示する要求がある。このような要求に対して、乗りかご3の移動変化に拘らず、少なくとも映像表示機5に最適な映像情報で表示する必要がある。なお、外部からの映像情報は映像記録装置8を介して映像表示機11にも表示するものである。
【0041】
この情報伝送システムは、具体的には、外部から所要とする制御情報を含むテナント案内その他各種の所要の映像情報を送信する例えばパーソナルコンピュータなどの映像発信機21と、乗りかご3の外側に並列的に取り付けられる送信機6a及び受信機6bと、乗りかご3の移動方向軸延長上、かつ、送信機6a及び受信機6bと相対するごとく、例えば昇降路内に設けられる乗りかご用ガイドレールなどの昇降路下部10相当位置、或いは機械室近傍の昇降路上部相当位置に並列的に取り付けられ、前記送信機6aからの映像情報を受信する受信機7a及びかご側受信機6bに所要とする映像情報を送信する送信機7bとによって構成されている。
【0042】
なお、送信機6aは前述する送信機6と同様に監視カメラ4で撮影された映像情報を光情報に変換して送信する機能をもっている。受信機7aは前述する送信機7と同様に送信機6aからの映像情報を受信し、映像記録装置8に記録する機能をもっている。一方、送信機7bは、外部映像発信機21から出力される切替制御信号に基づき受信機7aの入力経路を切替え、映像記録装置8の所要とする領域に外部映像情報を記録したり、或いは送信機7bから受信機6bに外部映像情報を光情報に変換して送信するが、この送信機7bは送信機7aと異なり、加速度計9からかご移動情報を取得できない。
【0043】
そこで、送信機7aは、加速度計9からかご位置情報を受け取ると、当該かご位置情報データまたは当該かご位置情報から推定される送信機6aと受信機7aとの伝送距離データをワイヤレスで受信機7aに伝送し、この受信機7aはかご位置情報データまたは伝送距離データを受け取ると、送信機7bに与える。従って、送信機7bは、伝送距離に応じた送信出力強度のもとに外部映像情報を送信し、受信機6bを介して安定した品質で映像表示機5に表示することができる。
【0044】
また、映像記録装置8に記録されたエレベータかご内の映像情報又は外部映像情報を受信機7aを介して送信機7bから送信する場合にも同様に受信機7aで受信された送信出力強度を利用し、最適な受信条件のもとに受信機6bに受信させ、乗りかご内の映像表示機5に表示させることができる。
【0045】
なお、送信機6aから送信出力強度データを直接伝送し、受信機7aを介して送信機7bに与える構成であってもよい。
【0046】
従って、以上のような実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏する他、送信機6aから加速度計9の出力データ又は送信出力強度データを送信し、受信機7aを通して送信機7bに与えるので、送信機7bは受け取った加速度計出力又は送信出力強度データに基づいて自ら送信出力強度を決定するか、当該受け取った送信出力強度を用いて制御するので、乗りかご3の移動に伴ってかごガイドレールなどに固定される送信機7bと乗りかご3に取り付けられる受信機6bとの伝送距離が変化しても、外部映像発信機21から例えばテナント案内情報、災害予防情報、防犯予防情報その他必要な情報をかご内映像表示機5に確実、かつ安定な品質で表示することができる。しかも、外部映像発信機21は、必要なときに切替制御信号を送出し、必要な情報を映像記録装置8に格納するとか、或いは送信機7bから直接かご側受信機6bに光情報で送信するので、例えば時間帯などに従って、監視カメラ4の映像と外部映像発信機21からの映像を映像記録装置8に記憶し、映像表示機5に表示することもできる。
【0047】
図4は、第1及び第2の実施の形態に使用される図1に示す送信機6(図2に示す送信機6a、7bも含む)内部の機能構成を示す図である。
【0048】
すなわち、送信機6は、前述するように加速度計9から移動方向を含む加速度値の大きさ等のかご位置情報9aを受け取ると、送信機6と受信機7aとの伝送距離,つまり映像情報の伝送距離を推定する距離変換手段22と、この距離変換手段22に推定される伝送距離に基づいて送信出力強度を決定し、映像情報である送信データ23を、前記決定された送信出力強度に基づいて送信制御を実行する送信制御手段24と、映像情報を光情報に変換して送信する発光素子25と、送信制御手段24で決定される送信出力及び映像情報に基づいてバイアス電圧を可変し、発光素子25に流れる電流を制御する電流制御回路26とが設けられている。
【0049】
なお、予め伝送距離と送信出力強度との関係を規定する設定テーブルを設け、距離変換手段22により変換された伝送距離から送信出力強度を取り出し、送信制御手段24に与える構成であってもよい。この送信出力強度の決定に際しては、前述するように受信機7と送信機6との伝送距離に応じて送信出力強度を4段階に設定するとか、或いは細かく送信出力強度を定めてもよい。
【0050】
(第3の実施の形態)
図5は本発明に係るエレベータ用情報伝送システムの第3の実施の形態を示す構成図である。なお、同図において図1,図3と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明は図1,図3に譲る。
【0051】
この実施の形態は、加速度計9の出力である移動方向を含む加速度値の大きさ等の乗りかご位置情報9aに基づいて例えば半導体レーザなどの発光素子31から出力されるレーザビーム光を制御する送信機6(6a,7bを含む。以下同じ)の一例を示す構成図である。
【0052】
この送信機6は、半導体レーザなどの発光素子31から出力されるレーザビーム光量を増減制御する絞り機構32と、この絞り機構32を通過するレーザビーム光の幅を拡縮制御する進退可動可能に設けた移動レンズ33が備えられ、さらに送信機6の内部処理回路として、例えば監視カメラ4で撮影された映像情報に基づいて発光素子31から出力するレーザビーム光を変調し光情報に変換し送信する送信制御手段34及び加速度計9の出力又はエレベータ制御装置から得られる乗りかご移動情報9aに基づいて絞り駆動・レンズ駆動を実行する絞り・レンズ駆動制御手段35が設けられている。
【0053】
このような構成の送信機6においては、送信制御手段34が例えば監視カメラ4で撮影された映像情報に基づき、図4で説明したように電流制御回路26を介して発光素子31から出力するレーザビーム光を変調し、当該発光素子31から光情報に送信する。
【0054】
このとき、加速度計9から直接又はエレベータ制御装置から得られる乗りかご位置情報9aを受け取ると、絞り・レンズ駆動制御手段35は、受信機7と送信機6との伝送距離を推定し、当該伝送距離が短い場合には、発光素子31から出力されるレーザビーム光を拡大するためにビーム光源に近づく方向(図示点線)に移動レンズ33を移動制御し、かつ、レーザビーム光量を絞るような方向に絞り機構32を駆動制御する。一方、受信機7と送信機6との伝送距離が長い場合には、絞り・レンズ駆動制御手段35は、発光素子31から出力されるレーザビーム光の幅を縮小するためにビーム光源から離す方向(図示点線)に移動レンズ33を移動制御し、かつ、レーザビーム光量を増やす方向に絞り機構32を駆動制御する。
【0055】
従って、このような実施の形態によれば、加速度計9の出力又はエレベータ制御装置から得られる乗りかご位置情報9aに基づき、受信機7と送信機6との伝送距離を推定し、この推定距離に基づいて移動レンズ33及び絞り機構32を利用し、発光素子31から出力されるレーザビーム光を制御しながら映像情報を送信するので、乗りかご3の移動に伴う受信機7と送信機6との距離変化に対し、映像情報を光学的な手段によって最適な条件で送受信させることが可能である。
【0056】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0057】
(1) 上記実施の形態では、加速度計9からの出力情報から乗りかご位置情報ないし距離情報を取得したが、例えば乗りかご3が最下階又は基準階と最上階に着床したとき、前述するように予め送信機6の送信出力を設定し、その送信強度出力範囲で調整可能にすれば、受信機7の受信強度から乗りかご3の位置ないし距離情報を推定できるので、例えば送信機7bは受信機7aの受信強度又は距離情報を用いて、適切な送信強度のもとにかご内映像情報又は外部映像情報を送信し、かご内の映像表示機4に表示することが可能である。この例は、特にエレベータ乗りかご3が基準階に着床する回数が多いこと、着床滞在時間が長いこと等の特性を利用することにより、予め送信出力強度を設定することができ、また基準階を容易に把握できることから、比較的容易に受信機7aの受信強度又は距離情報から送信出力強度を決定することが可能である。
【0058】
(2) また、上記実施の形態では、映像記録装置8が乗りかご以外の場所に設置した例について述べたが、例えば映像記録装置8とは別に乗りかごにも映像記録装置を設置し、監視カメラ4で撮影されたかご内映像情報を記録し、映像表示機5に表示する一方、送信機6a−受信機7aを通して乗りかご以外の映像記録装置8に記録し、エレベータホール側の映像表示機11に表示する構成であってもよい。
【0059】
(3) また、映像表示機5,11は、映像情報だけでなく、エレベータシステムに関連する全ての情報、例えば文字よりなる映像情報、音声情報も同時に送受信し、映像表示機5,11から出力する場合についても従来の周知技術を用いることにより、音声情報を伴った状態で映像情報を表示することも可能である。
【0060】
さらに、各実施の形態は可能な限り組み合わせて実施することが可能であり、その場合には組み合わせによる効果が得られる。さらに、上記各実施の形態には種々の上位,下位段階の発明が含まれており、開示された複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば問題点を解決するための手段に記載される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されうることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、エレベータ乗りかごの移動に伴って情報の伝送距離が変化しても、その距離変化に応じて送信出力強度を可変するので、安定にエレベータ用情報を伝送し、鮮明にエレベータ用情報を表示できるエレベータ用情報伝送システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレベータ用情報伝送システムの一実施の形態を示す構成図。
【図2】エレベータ乗りかごの移動に伴って変化する加速度計の出力を説明する図。
【図3】本発明に係るエレベータ用情報伝送システムの他の実施の形態を示す構成図。
【図4】図1及び図3に用いられる送信機内部の一例を機能構成図。
【図5】本発明に係るエレベータ用情報伝送システムのさらに他の実施の形態を示す送信機関係の構成図。
【符号の説明】
1…巻上機、2…メインロープ、3…乗りかご、4…監視カメラ、5…映像表示機、6,6a,7b…送信機、7,7a,6b…受信機、8…映像表示機、9…加速度計、10…昇降路下部、11…映像表示機、12…基準階の乗場ドア、21…外部映像発信機、22…距離変換手段、24…送信制御手段、25,31…発光素子、26…電流制御回路、32…絞り機構、33…移動レンズ、34…送信制御手段、35…絞り・レンズ駆動制御手段。
Claims (8)
- かご呼びがない場合にエレベータ乗りかごを基準階に戻して待機させるエレベータシステムにおいて、
前記乗りかごと昇降路下部又は昇降路上部とに相対するように設置され、エレベータ用情報を光情報に変換してワイヤレス伝送する送・受信機と、
前記乗りかごの移動に伴って変化するかご位置情報を取り出す加速度計と、
この加速度計から出力されるかご位置情報から前記送信機と受信機との伝送距離を推定し、この推定された伝送距離に応じて、前記受信機の所要とする受信条件を満たすように前記送信機の送信出力強度を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするエレベータ用情報伝送システム。 - かご呼びがない場合にエレベータ乗りかごは基準階に戻して待機させるエレベータシステムにおいて、
乗りかご内に取り付けられ、かご内の映像情報であるエレベータ用情報を撮影する監視カメラと、
前記乗りかごと昇降路下部又は昇降路上部とに相対するように設置され、前記監視カメラで撮影されたエレベータ用情報を光情報に変換してワイヤレス伝送する送・受信機と、
この受信機で受信されるエレベータ用情報を記録し、所要の個所に固定設置される映像表示機に表示する手段と、
前記乗りかごの移動に伴って変化するかご位置情報を取り出す加速度計と、
この加速度計から出力されるかご位置情報から前記送信機と受信機との伝送距離を推定し、この推定された伝送距離に応じて、前記受信機の所要の受信条件を満たすような前記送信機の送信出力強度のもとに前記エレベータ用情報を送信する制御手段とを備えたことを特徴とするエレベータ用情報伝送システム。 - かご呼びがないときにエレベータの乗りかごを基準階に戻して待機させるエレベータシステムにおいて、
前記乗りかごと昇降路下部又は昇降路上部とに相対するように設置され、エレベータ用情報を光情報に変換してワイヤレス伝送する第1の送・受信機及び当該第1の送・受信機と並列的に取り付けられる第2の受・送信機と、
前記乗りかごの移動に伴って変化するかご位置情報を取り出す加速度計と、
この加速度計から出力されるかご位置情報又は当該かご位置情報から推定される前記送信機と受信機との伝送距離を前記第1の送信機から送信し、前記第1の受信機を経由させて前記第2の送信機に付与する手段と、
この付与手段から与えられる前記かご位置情報又は前記推定される伝送距離を用いて、前記第2の送信機の送信出力強度を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするエレベータ用情報伝送システム。 - かご呼びがないときにエレベータの乗りかごを基準階に戻して待機させるエレベータシステムにおいて、
乗りかご内の映像情報である第1のエレベータ用情報を撮影する監視カメラ及びエレベータ用情報を表示するかご内表示機と、
外部から第2のエレベータ用情報を発信する情報発信機と、
前記乗りかごと昇降路下部又は昇降路上部とに相対するように設置され、前記第1のエレベータ用情報を光情報に変換してワイヤレス伝送する第1の送・受信機及び当該第1の送・受信機と並列的に取り付けられ前記情報発信機から出力される第2のエレベータ用情報を送受信する第2の受・送信機と、
前記第1の受信機で受信されるる第1のエレベータ用情報を記録し、乗りかご外の所要の個所に固定設置されるかご外表示機に表示する手段と、
前記乗りかごの移動に伴って変化するかご位置情報を取り出す加速度計と、
この加速度計から出力されるかご位置情報又は当該かご位置情報から推定される前記送信機と受信機との伝送距離を前記第1の送信機から送信し、前記第1の受信機を経由させて前記第2の送信機に付与する手段と、
この付与手段から与えられる前記かご位置情報又は前記推定される伝送距離を用いて、前記第2の送信機の送信出力強度を制御し、前記第2のエレベータ用情報を送信し、前記第2の受信機を経由して前記かご内表示機に表示する手段とを備えたことを特徴とするエレベータ用情報伝送システム。 - 請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載のエレベータ用情報伝送システムにおいて、
前記送信機の送信出力強度は、前記乗りかごが最下階又は基準階に着床した当該送信機と前記受信機との近い伝送距離の時に当該受信機が最適な受信感度となるような最小送信出力強度と、前記乗りかごが前記送信機と前記受信機とで最も遠い伝送距離となる時に前記受信機が最適な受信感度となる最大送信出力強度とをそれぞれ設定し、これら両送信出力強度の範囲内で前記送信出力強度を制御することを特徴とするエレベータ用情報伝送システム。 - 請求項5に記載のエレベータ用情報伝送システムにおいて、送信機の最小送信出力強度と最大送信出力強度とが設定されている場合、前記第1の受信機は前記第1の送信機の前記両送信出力強度に応じた受信強度から前記伝送距離を推定し、前記第2の送信機の送信出力強度を制御することを特徴とするエレベータ用情報伝送システム。
- 請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載のエレベータ用情報伝送システムにおいて、
前記送信機は、当該送信機から出力されるビーム光量を増減制御する絞り機構と、この絞り機構を通過するビーム光の幅を拡縮制御する進退可動可能に設けた光学レンズと、前記加速度計から得られるかご位置情報から推定される伝送距離に応じて前記絞り機構及び光学レンズを駆動し、最適なビーム光に制御する駆動制御手段とを設けたことを特徴とするエレベータ用情報伝送システム。 - 請求項1ないし請求項4、請求項7の何れか一項に記載のエレベータ用情報伝送システムにおいて、
前記送信機の送信出力強度の制御手段は、最も遠い伝送距離に応じて複数種類の送信出力強度を定め、前記加速度計から得られるかご位置情報から推定される伝送距離に応じて前記送信機を何れか1種類の送信出力強度となるように制御することを特徴とするエレベータ用情報伝送システム。
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2003
- 2003-07-31 JP JP2003204325A patent/JP2005047649A/ja active Pending
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