而して、従来の燃料電池自動車には次の難点があった。
すなわち、燃料電池自動車の走行中に燃料タンク内の水素の貯蔵量が残り少なくなった場合には、燃料タンクに水素を充填するため、自動車を水素供給ステーションまで走行させなければならない。しかしながら、現在の水素供給ステーションはその数が少ないため、水素供給ステーションまでの走行距離が長く、そのため、自動車が水素供給ステーションに到達するまでの間に燃料タンク内に残存した水素を全部消費してしまい、水素供給ステーションに到達できないという問題が生じる虞があった。この問題は、燃料電池自動車の普及を妨げる要因の一つになっている。
そこで、この問題を解決するため、本発明者は、燃料電池自動車に燃料電池用の予備の燃料を貯蔵する予備燃料タンクを搭載することを考えた。しかしながら、この方法によれば、自動車に予備燃料タンクを設置するためのスペースを確保する必要があるが、そのようなスペースは既に主燃料タンクの設置スペースとして利用されているため、予備燃料タンクの設置スペースを確保するのが非常に困難であった。そのため、予備燃料タンクの設置スペースを確保すべく車体フレームのレイアウトの変更を行う必要があり、あるいはそのような変更を行うことができない場合には予備燃料タンクを車室や荷室に設置しなければならなかった。その結果、車体フレームのレイアウトに関する自由度が制限されたり、車室スペースや荷室スペースが狭くなったりするという難点があった。
この発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができ、またフレームのレイアウトについての自由度を増大させることができる燃料電池車両のフレーム及びこれを備えた燃料電池車両を提供することにある。
本発明は、以下の手段を提供する。
[1] 閉断面形状の周壁部を有し、該周壁部の内側に空洞部が形成されるとともに、前記空洞部が、燃料電池用の燃料の少なくとも一部を貯蔵する燃料貯蔵室として利用されていることを特徴とする燃料電池車両のフレーム。
[2] 前記周壁部の端部開口部に、該開口部を閉塞する蓋体が燃料漏出阻止状態に装着されている前項1記載の燃料電池車両のフレーム。
[3] 前記周壁部の内周面に、燃料による前記内周面の腐食を防止する腐食防止層が設けられている前項1又は2記載の燃料電池車両のフレーム。
[4] 前記周壁部の内周面の少なくとも一部に、燃料の漏出を防止するシーリング層が設けられている前項1〜3のいずれか1項記載の燃料電池車両のフレーム。
[5] 前記周壁部の外側に該周壁部から離間して配置された第2周壁部を有する前項1〜4のいずれか1項記載の燃料電池用のフレーム。
[6] 前記周壁部と前記第2周壁部とが連結リブ部を介して互いに連結されるとともに、前記空洞部に燃料出入り管が前記連結リブ部に設けられた燃料出入り流路を介して接続されている前項5記載の燃料電池車両のフレーム。
[7] 内側から外側へと向かう方向に間隔をおいて配設された複数層の閉断面形状の周壁部を有し、前記複数層の周壁部のうち、最も内側に配置された周壁部の内側と、隣り合う周壁部の間とにそれぞれ空洞部が形成されるとともに、前記複数個の空洞部のうち少なくとも一個の空洞部が、燃料電池用の燃料の少なくとも一部を充填流体として貯蔵する燃料貯蔵室として利用されていることを特徴とする燃料電池車両のフレーム。
[8] 前記複数個の空洞部において、最も外側に位置する空洞部から最も内側に位置する空洞部へと順に、充填圧力が高圧になるように、充填流体が各空洞部に充填されるものとなされている前項7記載の燃料電池車両のフレーム。
[9] 前記各空洞部の充填圧力を検出する圧力センサと、前記各空洞部に接続された充填流体出入り管を流通する充填流体の流量を調節する流量調節弁と、前記圧力センサの検出値に基づいて、隣り合う空洞部間の充填圧力差が所定の範囲内になるように前記流量調節弁を制御する制御手段と、を有している前項8記載の燃料電池車両のフレーム。
[10] 更に、外部圧力を検出する外部圧力用圧力センサを有し、前記制御手段は、前記圧力センサの検出値に基づいて、隣り合う空洞部間の充填圧力差及び外部圧力と最も外側に位置する空洞部の充填圧力との圧力差が所定の範囲内になるように前記流量調節弁を制御するものとなされている前項9記載の燃料電池車両のフレーム。
[11] 前記複数層の周壁部のうち少なくとも一つの周壁部の端部開口部に、該開口部を閉塞する蓋体が充填流体漏出阻止状態に装着されている前項7〜10のいずれか1項記載の燃料電池車両のフレーム。
[12] 前記複数層の周壁部のうち少なくとも一つの周壁部の内周面に、充填流体による前記内周面の腐食を防止する腐食防止層が設けられている前項7〜11のいずれか1項記載の燃料電池車両のフレーム。
[13] 前記複数層の周壁部のうち少なくとも一つの周壁部の内周面の少なくとも一部に、充填流体の漏出を防止するシーリング層が設けられている前項7〜12のいずれか1項記載の燃料電池車両のフレーム。
[14] 前記燃料貯蔵室は、燃料電池用の予備の燃料を貯蔵するものである前項1〜13のいずれか1項記載の燃料電池車両のフレーム。
[15] 閉断面又は開断面形状の周壁部を有し、該周壁部の内側に空洞部が形成されるとともに、前記空洞部内に、燃料電池用の燃料の少なくとも一部を貯蔵する燃料タンクが収容されていることを特徴とする燃料電池車両のフレーム。
[16] 前記周壁部に、前記空洞部に前記燃料タンクを入れる入口部が切欠き形成されている前項15記載の燃料電池車両のフレーム。
[17] 前記入口部に、該入口部を閉塞する蓋体が装着されている前項16記載の燃料電池車両のフレーム。
[18] 前記燃料タンクは、燃料電池用の予備の燃料を貯蔵するものである前項15〜17のいずれか1項記載の燃料電池車両のフレーム。
[19] フレームはメインフレーム又はその構成フレームである前項1〜18のいずれか1項記載の燃料電池車両のフレーム。
[20] フレームはサブフレーム又はその構成フレームである前項1〜18のいずれか1項記載の燃料電池車両のフレーム。
[21] フレームはアルミニウム又はアルミニウム合金製である前項1〜20のいずれか1項記載の燃料電池車両のフレーム。
[22] フレームは押出形材製である前項1〜21のいずれか1項記載の燃料電池車両のフレーム。
[23] 前項1〜22のいずれか1項記載のフレームを備えていることを特徴とする燃料電池車両。
次に、上記各項の発明を以下に説明する。
[1]の発明では、フレームの空洞部が燃料電池用の燃料の少なくとも一部を貯蔵する燃料貯蔵室として利用されていることにより、次の作用を奏する。
すなわち、フレームの空洞部が燃料電池用の燃料の一部を貯蔵する燃料貯蔵室として利用されている場合には、主燃料タンクのサイズを小さくすることができ、そのため、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレームのレイアウトについての自由度を増大させることができる。また、フレームの空洞部が燃料電池用の燃料の全部を貯蔵する燃料貯蔵室として利用されている場合には、燃料タンク自体を別途、車両に搭載する必要がなくなる。そのため、上の場合と同じく、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレームのレイアウトについての自由度を大幅に増大させることができる。
さらに、フレームの空洞部が燃料電池用の燃料の一部を貯蔵する燃料貯蔵室として利用されている場合には、車両の走行中に主燃料タンク内の燃料の残量が少なくなったり更にはその燃料を全部消費したときに、空洞部に貯蔵された燃料を使用することにより、車両の走行距離を伸ばすことができる。その結果、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
なお、[1]の発明において、燃料電池車両が純水素方式のものである場合には、燃料電池用の燃料として、例えば水素(液体水素や圧縮水素等)が空洞部に貯蔵される。一方、燃料電池車両が改質方式のものである場合には、燃料電池用の燃料として、例えば、水素(液体水素や圧縮水素等)や、燃料改質装置に供給される水素源としての燃料(メタノール、ガソリン、天然ガス等)が空洞部に貯蔵される。
また、[1]の発明において、フレームは、後述するようにアルミニウム又はアルミニウム合金製であっても良いし、他の金属(例えば鋼材やマグネシウム合金)製などであっても良い。
[2]の発明では、フレームの周壁部の端部開口部に、該開口部を閉塞する蓋体が燃料漏出阻止状態に装着されているので、燃料の漏出を確実に防止することができる。
[3]の発明では、フレームの周壁部の内周面に腐食防止層が設けられているので、燃料による周壁部の内周面の腐食を防止することができる。
[4]の発明では、フレームの周壁部の内周面の少なくとも一部にシーリング層が設けられているので、燃料の漏出を更に確実に防止することができる。
[5]の発明では、フレームはその周壁部の外側に該周壁部から離間して配置された第2周壁部を有していることから、空洞部が第2周壁部で保護される。そのため、フレームに外部から衝撃が加わった場合であっても、燃料の漏出を確実に防止することができる。
なお、[5]発明では、第2周壁部は閉断面形状のものであっても良いし、開断面形状のものであっても良い。
[6]の発明では、フレームの空洞部に燃料出入り管が連結リブ部に設けられた燃料出入り流路を介して接続されていることにより、次の作用効果を奏する。
すなわち、燃料出入り管をフレームに例えば溶接によって接合連結する場合には、その溶接時に生じることのある第2周壁部の熱変形が連結リブ部によって防止される。そのため、燃料出入り管と燃料出入り流路との間の隙間についての封止を確実に行うことができる。また、燃料出入り管をフレームの空洞部に接続する際に、該燃料出入り管を第2周壁部と第1周壁部とを貫通させて空洞部に接続する必要がないので、燃料出入り管のフレームとの接合箇所を減らすことができる。そのため、燃料出入り管のフレームへの接続作業を容易に行うことができる。
[7]の発明では、フレームは複数層の周壁部を有しているので、フレームの剛性が高くなっている。そのため、フレームに外部から衝撃が加わった場合であっても、充填流体の漏出の防止を図ることができる。
[8]の発明では、複数個の空洞部において、最も外側に位置する空洞部から最も内側に位置する空洞部へと順に、充填圧力が高圧になるように、充填流体が各空洞部に充填されるものとなされているので、次のような作用効果を奏する。
すなわち、複数層の周壁部のうち、最も外側に配置された周壁部では、当該周壁部の外周面に加わる内向きの外部圧力と、当該周壁部の内周面に加わる外向きとの充填圧力とが、互いに打ち消し合うように当該周壁部に作用する。また同じく、他の周壁部では、一の周壁部の外周面に加わる内向きの充填圧力と当該周壁部の内周面に加わる外向きの充填圧力とは、互いに打ち消し合うように当該周壁部に作用する。したがって、各周壁部の内外両周面に作用する圧力差だけを主に考慮に入れて、各周壁部の耐圧強度を設定すれば良い。そのため、各周壁部の薄肉化を図ることができ、もってフレームの軽量化を図ることができる。
[9]の発明では、フレームは圧力センサと流量調節弁と制御手段を有しているので、充填流体の充填作業を容易に且つ確実に行うことができる。なお、制御手段による制御は、例えば、各圧力差が対応する周壁部の設定耐圧強度以下になるように行われるのが望ましい。
[10]の発明では、フレームは更に外部圧力用圧力センサを有しているので、外部圧力が変動する環境下でフレームが配置される場合であっても、充填流体の充填作業を容易に且つ確実に行うことができる。
[11]の発明では、周壁部の端部開口部に、該開口部を閉塞する蓋体が充填流体漏出阻止状態に装着されているので、充填流体の漏出を確実に防止することができる。
[12]の発明では、周壁部の内周面に腐食防止層が設けられているので、充填流体による周壁部の内周面の腐食を防止することができる。
[13]の発明では、周壁部の内周面の少なくとも一部にシーリング層が設けられているので、充填流体の漏出を更に確実に防止することができる。
[14]の発明では、燃料貯蔵室が燃料電池用の予備の燃料を貯蔵するもの(即ち予備燃料貯蔵室)であることにより、車両の走行中に主燃料タンク内の燃料の残量が少なくなったり更にはその燃料を全部消費したときに、空洞部に貯蔵された燃料(予備燃料)を使用することにより、車両の走行距離を伸ばすことができる。その結果、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
[15]の発明では、フレームの空洞部内に燃料電池用の燃料の少なくとも一部を貯蔵する燃料タンクが収容されていることにより、上記[1]の発明と同じく、次の作用を奏する。
すなわち、フレームの空洞部内に燃料電池用の燃料の一部を貯蔵する燃料タンクが収容されている場合には、主燃料タンクのサイズを小さくすることができ、そのため、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレームのレイアウトについての自由度を増大させることができる。また、フレームの空洞部内に燃料電池用の燃料の全部を貯蔵する燃料タンクが収容されている場合には、車両に燃料タンクを設置するスペースを別途確保する必要がない。そのため、上の場合と同じく、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレームのレイアウトについての自由度を大幅に増大させることができる。
さらに、フレームの空洞部内に燃料電池用の燃料の一部を貯蔵する燃料タンクが収容されている場合には、車両の走行中に主燃料タンク内の燃料の残量が少なくなったり更にはその燃料を全部消費したときに、この燃料タンクに貯蔵された燃料を使用することにより、車両の走行距離を伸ばすことができる。その結果、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
なお、[15]の発明において、燃料電池車両が純水素方式のものである場合には、燃料電池用の燃料として、例えば水素(液体水素や圧縮水素等)が燃料タンクに貯蔵される。一方、燃料電池車両が改質方式のものである場合には、燃料電池用の燃料として、例えば、水素(液体水素や圧縮水素等)や、燃料改質装置に供給される水素源としての燃料(メタノール、ガソリン、天然ガス等)が燃料タンクに貯蔵される。
また、[15]の発明において、フレームは、後述するようにアルミニウム又はアルミニウム合金製であっても良いし、他の金属(例えば鋼材やマグネシウム合金)製などであっても良い。
[16]の発明では、フレームの周壁部に、空洞部に燃料タンクを入れる入口部が切欠き形成されているので、燃料タンクの空洞部への収容作業を容易に行うことができる。
[17]の発明では、入口部に該入口部を閉塞する蓋体が装着されているので、空洞部にゴミや水等が入口部から侵入するのを防止することができる。更には、フレームの剛性が向上し、燃料タンクを確実に保護することができる。
[18]の発明では、燃料タンクが燃料電池用の予備の燃料を貯蔵するもの(即ち予備燃料タンク)であることにより、車両の走行中に主燃料タンク内の燃料の残量が少なくなったり更にはその燃料を全部消費したときに、空洞部内の燃料タンクに貯蔵された燃料(予備燃料)を使用することにより、車両の走行距離を伸ばすことができる。その結果、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
[19]の発明では、フレームがメインフレーム又はその構成フレームであることにより、本発明の上述した作用効果を確実に奏し得る。
[20]の発明では、フレームがサブフレーム又はその構成フレームであることにより、本発明の上述した作用効果を確実に奏し得る。
[21]の発明では、フレームがアルミニウム又はアルミニウム合金製であることにより、フレームの軽量化を図ることができる。さらに、一般にアルミニウム又はアルミニウム合金は鉄よりも熱伝導率が高いことから、夏場などの高温下で車両が走行される場合であっても、燃料の熱膨張に伴う圧力増加を少なくすることができる。
[22]の発明では、フレームが押出形材製であることにより、フレームを能率的に且つコスト的に有利に製作することができる。
[23]の発明では、燃料電池車両において、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレームのレイアウトについての自由度を増大させることができる。
さらに、フレームの空洞部が燃料電池用の燃料の一部を貯蔵する燃料貯蔵室として利用されている場合や、フレームの空洞部内に燃料電池用の燃料の一部を貯蔵する燃料タンクが収容されている場合には、車両の走行中に主燃料タンク内の燃料の残量が少なくなったり更にはその燃料を全部消費したときに、燃料貯蔵室又は空洞部内の燃料タンクに貯蔵された燃料を使用することにより、車両の走行距離を伸ばすことができる。その結果、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
本発明は次の効果を奏する。
[1]の発明によれば、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレームのレイアウトについての自由度を増大させることができる。
さらに、フレームの空洞部が燃料電池用の燃料の一部を貯蔵する燃料貯蔵室として利用されている場合には、車両の走行中に主燃料タンク内の燃料の残量が少なくなったり更にはその燃料を全部消費したときに、空洞部に貯蔵された燃料を使用することにより、車両の走行距離を伸ばすことができる。その結果、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
[2]の発明によれば、燃料の漏出を確実に防止することができる。
[3]の発明によれば、燃料による周壁部の内周面の腐食を防止することができる。
[4]の発明によれば、燃料の漏出を確実に防止することができる。
[5]の発明によれば、燃料貯蔵室としての空洞部を第2周壁部で保護することができ、そのため、フレームに外部から衝撃が加わった場合であっても、燃料の漏出を確実に防止することができる。
[6]の発明によれば、燃料出入り管と燃料出入り流路との間の隙間についての封止を確実に行うことができる。さらに、燃料出入り管のフレームとの接合箇所を減らすことができて、燃料出入り管のフレームへの接続作業を容易に行うことができる。
[7]の発明によれば、フレームは複数層の周壁部を有しているので、フレームの剛性が高くなっている。そのため、フレームに外部から衝撃が加わった場合であっても、充填流体の漏出の防止を図ることができる。
[8]の発明によれば、フレームの各周壁部の薄肉化を図ることができ、もってフレームの軽量化を図ることができる。
[9]の発明によれば、充填流体の充填作業を容易に且つ確実に行うことができる。
[10]の発明によれば、外部圧力が変動する環境下でフレームが配置される場合であっても、充填流体の充填作業を容易に且つ確実に行うことができる。
[11]の発明によれば、充填流体の漏出を確実に防止することができる。
[12]の発明によれば、充填流体による周壁部の内周面の腐食を防止することができる。
[13]の発明によれば、充填流体の漏出を更に確実に防止することができる。
[14]の発明によれば、車両の走行中に主燃料タンク内の燃料の残量が少なくなったり更にはその燃料を全部消費したときに、空洞部に貯蔵された燃料を使用することにより、車両の走行距離を伸ばすことができる。その結果、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
[15]の発明のよれば、上記[1]の発明と同様の効果を奏する。すなわち、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレームのレイアウトについての自由度を増大させることができる。
さらに、フレームの空洞部内に燃料電池用の燃料の一部を貯蔵する燃料タンクが収容されている場合には、車両の走行中に主燃料タンク内の燃料の残量が少なくなったり更にはその燃料を全部消費したときに、空洞部に貯蔵された燃料を使用することにより、車両の走行距離を伸ばすことができる。その結果、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
[16]の発明によれば、燃料タンクの空洞部への収容作業を容易に行うことができる。
[17]の発明によれば、空洞部にゴミや水等が入口部から侵入するのを防止することができる。更には、フレームの剛性が向上し、燃料タンクを確実に保護することができる。
[18]の発明によれば、車両の走行中に主燃料タンク内の燃料の残量が少なくなったり更にはその燃料を全部消費したときに、空洞部内の燃料タンクに貯蔵された燃料(予備燃料)を使用することにより、車両の走行距離を伸ばすことができる。その結果、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
[19]の発明によれば、上述した効果を確実に奏し得る。
[20]の発明によれば、上述した効果を確実に奏し得る。
[21]の発明によれば、フレームの軽量化を図ることができるし、夏場などの高温下で車両が走行される場合であっても、燃料の熱膨張に伴う圧力増加を少なくすることができる。
[22]の発明によれば、フレームを能率的に且つコスト的に有利に製作することができる。
[23]の発明によれば、燃料電池車両において、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレームのレイアウトについての自由度を増大させることができる。
さらに、フレームの空洞部が燃料電池用の燃料の一部を貯蔵する燃料貯蔵室として利用されている場合や、フレームの空洞部内に燃料電池用の燃料の一部を貯蔵する燃料タンクが収容されている場合には、車両の走行中に主燃料タンク内の燃料の残量が少なくなったり更にはその燃料を全部消費したときに、燃料貯蔵室又は空洞部内の燃料タンクに貯蔵された燃料を使用することにより、車両の走行距離を伸ばすことができる。その結果、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
次に、この発明の好ましい幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1において、(10)は、本発明の第1実施形態に係るフレームである。本第1実施形態では、このフレーム(10)は、後述するようにサブフレーム(2)のサイドメンバである。また、(1)は、このフレーム(10)を備えた燃料電池車両としての燃料電池自動車である。
この燃料電池自動車(1)は、同図に示すように、フレームとして、車体の左右方向に互いに離間して配置され車体の前後方向に延びる2個のメインフレーム(3)(3)と、車体の後部に配置されたサブフレーム(2)とを備えている。さらに、この燃料電池自動車(1)は、燃料電池(4)(詳述すると燃料電池スタック)と、該燃料電池(4)用の燃料を貯蔵する主燃料タンク(図示せず)とを搭載している。この燃料電池(4)は、自動車(1)のフロア下に配置されている。なお、(5)は車輪である。
サブフレーム(2)は、リヤサブフレームとして用いられるものである。なお、本発明では、サブフレーム(2)は、車体の前部に配置されるフロントサブフレームとして用いられるものであっても良い。このサブフレーム(2)によってサスペンション装置、ディファレンシャル装置、ステアリング装置(いずれも図示せず)等が支持されている。
このサブフレーム(2)は、図1及び図2に示すように、車体の左右方向に互いに離間して配置され車体の前後方向に延びる一対のサイドメンバ(10)(10)と、該サイドメンバ(10)(10)同士を相互に連結した、車体の左右方向に延びる1個以上(同図では3個)のクロスメンバ(30)とから構成されている。なお、図2において、(31)は接続用ブラケット部である。
サブフレーム(2)のサイドメンバ(10)は、該サブフレーム(2)の構成フレームの一つであり、所定長さを有する棒状に形成されている。さらに、このサイドメンバ(10)の両端部には、図3に示すように、他の部材(図示せず)と連結される継手部材(20)が設けられている。本実施形態では、継手部材(20)はブッシュ装着用筒状ブラケット部(21)を有している。このブラケット部(21)はブッシュ装着孔(21a)を有している。このブッシュ装着孔(21a)内には、ゴム弾性部を有するブッシュ(図示せず)が装着される。継手部材(20)は、ブラケット部(21)のブッシュ装着孔(21a)内に装着されたブッシュを介して、他の部材(例えばメインフレーム(3))と連結される。
サイドメンバ(10)は、アルミニウム又はアルミニウム合金押出形材製の棒状中空材から形成されたものである。このサイドメンバ(10)は、図3及び図4に示すように、内側から外側に向かって間隔をおいて配設された複数層の周壁部(11)(12)を有している。本第1実施形態では、サイドメンバ(10)の周壁部(11)(12)の層数は2層である。説明の便宜上、この2層の周壁部(11)(12)のうち、内側の周壁部(11)を「第1周壁部」、外側の周壁部(12)を「第2周壁部」とそれぞれ呼ぶ。したがって、このサイドメンバ(10)は、第1周壁部(11)と、該第1周壁部(11)の外側に該第1周壁部(11)から離間して配置された第2周壁部(12)とを有している。なお本発明では、周壁部の層数は2層に限定されるものではなく、1層であっても良いし、3層以上であっても良い。
このサイドメンバ(10)の第1周壁部(11)は、角箱型の閉断面形状のものであり、そのため、第1周壁部(11)の内側には、該第1周壁部(11)で全周に亘って包囲された空洞部(13)が形成されている。この空洞部(13)は、燃料電池(4)用の燃料の少なくとも一部を貯蔵する燃料貯蔵室(6)となされている。本第1実施形態では、この空洞部(13)は、燃料電池(4)用の燃料の一部として予備の燃料を貯蔵する燃料貯蔵室(6)となされており、すなわちこの空洞部(13)は予備燃料貯蔵室となっている。この燃料貯蔵室(6)に貯蔵される燃料(予備燃料)は、例えば主燃料タンクに貯蔵された燃料の残量が不足したときに使用されるものである。
また、このサイドメンバ(10)の第2周壁部(12)も角箱型の閉断面形状のものであり、そのため、第2周壁部(12)は第1周壁部(11)を全周に亘って包囲している。なお本発明では、第2周壁部(12)は開断面形状のものであっても良い。
また、第1周壁部(11)と第2周壁部(12)とは、長さ方向に延びた複数個(本実施形態では4個)の連結リブ部(14)によって互いに連結されている。さらに、図3及び図5に示すように、サイドメンバ(10)の第1周壁部(11)及び連結リブ部(14)の両端部はともに切り除かれており、そのため、該サイドメンバ(10)の両端部は第2周壁部(12)だけで形成されている。
また、このサイドメンバ(10)において、図3及び図4に示すように、連結リブ部(14)には空洞部(13)に連通した燃料出入り流路(15)が設けられている。詳述すると、この燃料出入り流路(15)は、連結リブ部(14)をその連結方向に貫通した態様で、連結リブ部(14)に設けられている。さらに、燃料出入り管(16)がこの燃料出入り流路(15)を介して空洞部(13)に接続されている。本実施形態では、燃料出入り管(16)は燃料出入り流路(15)内に挿入されるとともに、その先端部が空洞部(13)に到達している。さらに、この挿入状態で、燃料出入り管(16)が第2周壁部(12)に溶接(例えばMIG溶接)によって燃料漏出阻止状態に接合(その接合部W)されて連結されている。一方、この燃料出入り管(16)の他端部は、燃料電池(4)又は燃料改質装置(図示せず)の燃料供給管に接続されている。
さらに、このサイドメンバ(10)の第1周壁部(11)の両端部の開口部には、図3に示すように、それぞれ該開口部を閉塞するアルミニウム又はアルミニウム合金製蓋体(17)が環状シール材(18)を介して燃料漏出阻止状態に装着されるとともに、この装着状態で、蓋体(17)が第1周壁部(11)に溶接(例えばMIG溶接)によって全周に亘って接合(その接合部W)されている。
さらに、このサイドメンバ(10)の第2周壁部(12)の両端には、それぞれ継手部材(20)が溶接(例えばMIG溶接)によって接合(その接合部W)されて連結されている。
而して、上記燃料電池自動車(1)は、上述したように主燃料タンクを搭載しており、この主燃料タンクに燃料電池(4)用の燃料が貯蔵される。また同じく、サブフレーム(2)のサイドメンバ(10)の空洞部(13)には、燃料電池(4)用の燃料の一部として、主燃料タンクに貯蔵された燃料の残量が不足したとき等に使用される予備の燃料が貯蔵される。本発明では、燃料の空洞部(13)への充填圧力は限定されるものではないが、サイドメンバ(10)の第1周壁部(11)がアルミニウム又はアルミニウム合金製である場合には、充填圧力は例えば5〜10MPaの範囲に設定されるのが望ましい。
ここで、燃料電池自動車(1)が純水素方式のものである場合には、燃料として、水素(液体水素や圧縮水素等)が主燃料タンク及び空洞部(13)にそれぞれ貯蔵される。この水素は、自動車(1)の走行時には、空気(酸素)とともに燃料電池(4)に供給される。一方、燃料電池自動車(1)が改質方式のものである場合には、燃料として、燃料改質装置(図示せず)に供給される水素源としての燃料(メタノール、高品位ガソリン、天然ガス等)が主燃料タンク及び空洞部(13)にそれぞれ貯蔵される。この水素源としての燃料は、自動車(1)の走行時には、燃料改質装置を介して空気(酸素)とともに燃料電池(4)に供給される。すなわち、水素源としての燃料は、燃料改質装置を介することにより、水素主体の改質ガスとなり、この改質ガスが空気(酸素)とともに燃料電池(4)に供給されることとなる。
この燃料電池自動車(1)において、主燃料タンク内の燃料が空気(酸素)とともに燃料電池(4)に供給されると、該燃料電池(4)により電気が発生する。この電気によって自動車(1)の動力源であるモータ(図示せず)が駆動し、自動車(1)が走行可能となる。また、この電気は自動車(1)の運転状況に応じて電気ストレージ(図示せず)に蓄電される。一方、主燃料タンク内の燃料は、燃料電池自動車(1)の走行に伴い消費される。
しかるに、燃料電池自動車(1)の走行中に主燃料タンク内の燃料の貯蔵量(充填量)が残り少なくなったり更にはその燃料を全部消費した場合には、燃料出入り管(16)に設けられた開閉弁(図示せず)を開けることにより、サブフレーム(2)のサイドメンバ(10)の空洞部(13)に貯蔵された燃料(予備燃料)を、空気(酸素)とともに燃料電池(4)に供給する。なお、燃料電池自動車(1)が改質方式のものである場合には、この燃料は、燃料改質装置を介して空気(酸素)とともに燃料電池(4)に供給されることになる。
このように空洞部(13)に貯蔵された燃料を燃料電池(4)に供給することにより、燃料電池自動車(1)の走行距離を伸ばすことができる。したがって、この燃料電池自動車(1)によれば、走行中に主燃料タンク内の燃料の貯蔵量が残り少なくなったり更にはその燃料を全部消費した場合であっても、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
さらに、この燃料電池自動車(1)では、サブフレーム(2)のサイドメンバ(10)の空洞部(13)が燃料貯蔵室(6)となされているから、主燃料タンクのサイズを小さくすることができ、そのため、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレーム(サブフレーム(2)、メインフレーム(3)等)のレイアウトについての自由度を増大させることができる。
なお、空洞部(13)が燃料電池(4)用の燃料の全部を貯蔵する燃料貯蔵室となされている場合には、燃料タンク自体を別途、自動車(1)に搭載する必要がなくなる。そのため、上の場合と同じく、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレームのレイアウトについての自由度を大幅に増大させることができる。
さらに、サイドメンバ(10)の第1周壁部(11)の両端部の開口部に、それぞれ該開口部を閉塞する蓋体(17)が燃料漏出阻止状態に装着されているので、燃料の漏出を確実に防止することができる。
その上、サイドメンバ(10)は、第1周壁部(11)の外側に該第1周壁部(11)から離間して配置された第2周壁部(12)を有していることから、空洞部(13)は第2周壁部(12)で保護されている。そのため、自動車(1)が障害物に衝突するなどしてサイドメンバ(10)に外部から衝撃が加わった場合であっても、燃料の漏出を確実に防止することができる。
さらに、サイドメンバ(10)の空洞部(13)に燃料出入り管(16)が連結リブ部(14)に設けられた燃料出入り流路(15)を介して接続されていることから、燃料出入り管(16)を第2周壁部(12)に溶接によって接合連結する場合には、その溶接時に生じることのある第2周壁部(12)の熱変形が連結リブ部(14)によって防止されるようになる。そのため、燃料出入り管(16)と燃料出入り流路(15)との間の隙間についての封止を確実に行うことができる。また、燃料出入り管(16)を第2周壁部(12)と第1周壁部(11)とを貫通させて空洞部(13)に接続する必要がないので、燃料出入り管(16)のサイドメンバ(10)との接合箇所を減らすことができる。そのため、燃料出入り管(16)のサイドメンバ(10)への接続作業を容易に行うことができる。
しかも、サイドメンバ(10)がアルミニウム又はアルミニウム合金製であるから、サブフレーム(2)の軽量化を図ることができる。さらに、一般にアルミニウム又はアルミニウム合金は鉄よりも熱伝導率が高いことから、夏場などの高温下で自動車(1)が走行される場合であっても、燃料の熱膨張に伴う圧力増加を少なくすることができる。
その上、サイドメンバ(10)は押出形材製であることから、サイドメンバ(10)を能率的に且つコスト的に有利に製作することができる。
図6及び図7において、(10)は、本発明の第2実施形態に係るフレームである。本第1実施形態では、このフレーム(10)は、上記第1実施形態と同じく、サブフレーム(2)のサイドメンバである。
このサイドメンバ(10)では、周壁部(11)の層数は1層である。この周壁部(11)は角箱型の閉断面形状のものであり、そのため、周壁部(11)の内側には、該周壁部(11)で全周に亘って包囲された空洞部(13)が形成されている。この空洞部(13)が燃料電池(4)用の燃料の少なくとも一部を貯蔵する燃料貯蔵室(6)となされている。本第2実施形態では、この空洞部(13)は、上記第1実施形態と同じく、燃料電池(4)用の燃料の一部として予備の燃料を貯蔵する燃料貯蔵室(6)となされており、すなわちこの空洞部(13)は予備燃料貯蔵室となっている。
このサイドメンバ(10)の周壁部(11)の両端部の開口部には、ぞれぞれ該開口部を閉塞する蓋体(17)として継手部材(20)が燃料漏出阻止状態に装着されるとともに、この装着状態で、継手部材(20)が周壁部(11)に溶接(例えばMIG溶接)によって全周に亘って接合(その接合部W)されている。すなわち、本第2実施形態では、継手部材(20)は周壁部(11)の対応する端部開口部を閉塞する蓋体(17)としても作用している。
また、サイドメンバ(10)の周壁部(11)には燃料出入り流路(15)が貫通状に設けられている。そして、燃料出入り管(16)がこの燃料出入り流路(15)を介して空洞部(13)に接続されている。本第2実施形態では、燃料出入り管(16)は燃料出入り流路(15)内に挿入されるとともに、その先端部が空洞部(13)に到達している。そして、この挿入状態で、燃料出入り管(16)が周壁部(11)に燃料漏出阻止状態に接合(その接合部W)されて連結されている。
また、このサイドメンバ(10)の周壁部(11)の内周面の全面及び継手部材(20)の蓋面の全面には、燃料による前記内周面及び前記蓋面の腐食を防止する樹脂系の腐食防止層(23)が積層されている。
この腐食防止層(23)は、燃料出入り流路(15)又は燃料出入り管(16)から液状の腐食防止剤が空洞部(13)内に注入されて、周壁部(11)の内周面及び継手部材(20)の蓋面上で積層状態に固化されることにより、形成されたものである。
本第2実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)によれば、周壁部(11)の内周面に腐食防止層(23)が積層されているので、燃料による周壁部(11)の内周面の腐食を防止することができる。
本第2実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)の他の構成は、上記第1実施形態と同じである。
図8及び図9において、(10)は、本発明の第3実施形態に係るフレームである。本実施形態では、このフレーム(10)は、上記第1実施形態と同じく、サブフレーム(2)のサイドメンバである。
このサイドメンバ(10)では、周壁部(11)の層数は1層である。この周壁部(11)は丸箱型の閉断面形状のものであり、そのため、周壁部(11)の内側には、該周壁部(11)で全周に亘って包囲された空洞部(13)が形成されている。この空洞部(13)が、燃料電池(4)用の燃料の少なくとも一部を貯蔵する燃料貯蔵室(6)となされている。本第3実施形態では、この空洞部(13)は、上記第1実施形態と同じく、燃料電池(4)用の燃料の一部として予備の燃料を貯蔵する燃料貯蔵室(6)となされており、すなわちこの空洞部(13)は予備燃料貯蔵室となっている。
各継手部材(20)は、サイドメンバ(10)の周壁部(11)の対応する端部開口部に嵌合される嵌合凸部(22)を有している。
そして、サイドメンバ(10)の周壁部(11)の両端部の開口部には、それぞれ継手部材(20)の嵌合凸部(22)が嵌合装着され、これにより該開口部が嵌合凸部(22)で閉塞されている。そして、この嵌合状態で、継手部材(20)が周壁部(11)の端部に摩擦撹拌接合によって全周に亘って燃料漏出阻止状態に接合(その接合部W)されて連結されている。すなわち、本第3実施形態では、継手部材(20)は周壁部(11)の対応する端部開口部を閉塞する蓋体(17)としても作用している。
また、サイドメンバ(10)の周壁部(11)には燃料出入り流路(15)が貫通状に設けられている。そして、燃料出入り管(16)がこの燃料出入り流路(15)を介して空洞部(13)に接続されている。本第3実施形態では、燃料出入り管(16)は燃料出入り流路(15)内に挿入されるとともに、その先端部が空洞部(13)に到達している。そして、この挿入状態で、燃料出入り管(16)が周壁部(11)に燃料漏出阻止状態に接合(その接合部W)されて連結されている。
また、このサイドメンバ(10)の周壁部(11)の内周面の全面及び継手部材(20)の嵌合凸部(22)の先端面の全面には、燃料の漏出を防止するシーリング層(24)が積層されている。
このシーリング層(24)は、燃料出入り流路(15)又は燃料出入り管(16)から液状のシーリング剤が空洞部(13)内に注入されて、周壁部(11)の内周面及び継手部材(20)の嵌合凸部(22)の先端面上で積層状態に固化されることにより、形成されたものである。
なお本発明では、シーリング層(24)は、周壁部(11)の内周面の一部にのみ設けられていても良い。
本第3実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)によれば、周壁部(11)の内周面にシーリング層(24)が積層されているので、燃料の漏出を更に確実に防止することができる。
さらに、サイドメンバ(10)の周壁部(11)の両端部の開口部に継手部材(20)の嵌合凸部(22)が嵌合された状態で、継手部材(20)が周壁部(11)の端部に接合されているので、シール性が高く、燃料の漏出をより一層確実に防止することができる。
本第3実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)の他の構成は、上記第1実施形態と同じである。
なお本発明では、上記第1実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)において、第1周壁部(11)の内周面に前記腐食防止層(23)及び/又は前記シーリング層(24)が設けられていても良い。また、上記第1〜第3実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)において、空洞部(13)内に、燃料電池(4)用の燃料(例えば水素)を吸蔵する燃料吸蔵合金(例えば水素吸蔵合金)(図示せず)が収容されていても良い。また、上記第1〜第3実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)において、燃料貯蔵室(6)は燃料電池(4)用の燃料の全部を貯蔵するものであっても良い。
図10及び図11において、(10)は、本発明の第4実施形態に係るフレームである。本第4実施形態では、このフレーム(10)は、上記第1実施形態と同じく、サブフレーム(2)のサイドメンバである。
このサイドメンバ(10)では、周壁部(11)の層数は1層である。この周壁部(11)は角箱型の閉断面形状のものであり、そのため、周壁部(11)の内側には、該周壁部(11)で全周に亘って包囲された空洞部(13)が形成されている。
さらに、サイドメンバ(10)の空洞部(13)内には、燃料タンク(27)が収容されるとともに、該燃料タンク(27)が周壁部(11)の内周面に固定治具(28)によって固定されている。この燃料タンク(27)は燃料電池(4)用の燃料の少なくとも一部を貯蔵するものであり、その内部に燃料貯蔵室(6)を有している。本第4実施形態では、この燃料ランク(27)は、燃料電池(4)用の燃料の一部として予備の燃料を貯蔵するものであり、すなわちこの燃料タンク(27)は予備燃料タンクとなっている。この燃料タンク(27)に貯蔵される燃料(予備燃料)は、例えば主燃料タンクに貯蔵された燃料の残量が不足したときに使用されるものである。
また、この燃料タンク(27)の口金部には燃料出入り管(16)が接続されている。
また、サイドメンバ(10)の周壁部(11)の一部には、空洞部(13)に燃料タンク(27)を入れる入口部(26)が切欠き形成されている。燃料タンク(27)はこの入口部(26)から空洞部(13)内に入れられる。そして、この入口部(26)には該入口部(26)を閉塞する板状の蓋体(29)が装着されるとともに、この状態で、蓋体(29)が周壁部(11)に溶接(例えばMIG溶接)によって接合(その接合部W)されている。
また、この蓋体(29)には燃料出入り管(16)用の挿通孔(29a)が設けられており、燃料出入り管(16)はこの挿通孔(29a)を通って外部へ導出されて、その他端部が燃料電池(4)又は燃料改質装置の燃料供給管に接続されている。
本第4実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)によれば、空洞部(13)内に燃料タンク(27)が収容されているから、上記第1実施形態と同じく、燃料電池自動車(1)の走行中に主燃料タンク内の燃料の残量が少なくなったり更には燃料を全部消費した場合には、燃料タンク(27)に貯蔵された燃料を使用することにより、自動車(1)の走行距離を伸ばすことができる。その結果、水素供給ステーション等の燃料供給ステーションまでの走行が可能となる。
さらに、このサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)によれば、空洞部(13)内に燃料タンク(27)が収容されているので、主燃料タンクのサイズを小さくすることができ、そのため、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレームのレイアウトについての自由度を増大させることができる。
なお、空洞部(13)内に燃料電池用の燃料の全部を貯蔵する燃料タンクが収容されている場合には、自動車(1)に燃料タンクを設置するスペースを別途確保する必要がなくなる。そのため、上の場合と同じく、広い車室スペースや荷室スペースを確保することができるし、フレームのレイアウトについての自由度を大幅に増大させることができる。
さらに、このサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)によれば、周壁部(11)に、空洞部(13)に燃料タンク(27)を入れる入口部(26)が切欠き形成されているので、燃料タンク(27)の空洞部(13)への収容作業や設置作業を容易に行うことができる。
しかも、入口部(26)に該入口部(26)を閉塞する蓋体(29)が装着されているので、空洞部(13)にゴミや水等が入口部(26)から侵入するのを防止することができる。更には、サイドメンバ(10)の剛性が向上し、燃料タンク(27)を確実に保護することができる。
本第4実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)の他の構造は、上記第1実施形態と同じである。
図12において、(10)は、本発明の第5実施形態に係るフレームである。本第5実施形態では、このフレーム(10)は、上記第1実施形態と同じく、サブフレーム(2)のサイドメンバである。
このサイドメンバ(10)では、周壁部(11)の層数は1層である。この周壁部(11)は、角箱型の閉断面形状のものであり、詳述すると、いわゆる最中構造のものである。すなわち、2個の断面略コ字状のチャンネル材の開口部同士が互いに合わされた状態で、対応する側縁部同士がMIG溶接、TIG溶接、スポット溶接、摩擦撹拌接合等によって接合(その接合部W)されることにより、両チャンネル材が一体化され、これにより、周壁部(11)が形成されている。そのため、周壁部(11)の内側には、該周壁部(11)で全周に亘って包囲された空洞部(13)が形成されている。
さらに、このサイドメンバ(10)の空洞部(13)内には、燃料タンク(27)が収容されるとともに、該燃料タンク(27)が周壁部(11)の内周面に固定治具(28)によって固定されている。この燃料タンク(27)は、燃料電池(4)用の燃料の少なくとも一部を貯蔵するものであり、その内部に燃料貯蔵室(6)を有している。本第5実施形態では、この燃料タンク(27)は、燃料電池(4)用の燃料の一部として予備の燃料を貯蔵するものであり、すなわちこの燃料タンク(27)は予備燃料タンクとなっている。
この燃料タンク(27)は、上述した2個のチャンネル材を接合一体化する前に、空洞部(13)内に収容されて固定されたものである。燃料タンク(27)の口金部には燃料出入り管(16)が接続されている。
また、このサイドメンバ(10)の周壁部(11)には燃料出入り管(16)用の挿通孔(29a)が設けられており、燃料出入り管(16)はこの挿通孔(29a)を通って外部へ導出されて、その他端部が燃料電池(4)又は燃料改質装置の燃料供給管に接続されている。
本第5実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)の他の構造は、上記第1実施形態と同じである。
図13において、(10)は、本発明の第6実施形態に係るフレームである。本第5実施形態では、このフレーム(10)は、上記第1実施形態と同じく、サブフレーム(2)のサイドメンバである。
このサイドメンバ(10)の周壁部(11)は、一側面が開口した略コ字型の開断面形状のものである。そのため、この周壁部(11)の内側には空洞部(13)が形成されている。(11a)は、周壁部(11)の一側面の開口部を示している。
さらに、このサイドメンバ(10)の空洞部(13)内には、燃料タンク(27)が収容されるとともに、該燃料タンク(27)が周壁部(11)の内周面に固定治具(28)によって固定されている。この燃料タンク(27)は周壁部(11)の外径範囲内に配置されている。この燃料タンク(27)は、周壁部(11)の一側面開口部(11a)から空洞部(13)内に収容されて固定されたものである。燃料タンク(27)の口金部には燃料出入り管(16)が接続されいる。そして、この燃料出入り管(16)は周壁部(11)の一側面開口部(11a)を通って外部へ導出されて、その他端部が燃料電池(4)又は燃料改質装置の燃料供給管に接続されている。
本第6実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)の他の構造は、上記第1実施形態と同じである。
なお本発明では、上記第4〜第6実施形態のサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)において、燃料タンク(27)は燃料電池(4)用の燃料の全部を貯蔵するものであっても良い。
而して、本発明では、サブフレーム(2)の形状は図2に示したものに限定されるものではない。例えば、サブフレーム(2)は、平面視略井桁状のものであっても良いし、図14に示すように、棒状中空材を平面視略コ字状に屈曲してなるコ字枠部(40)と、該コ字枠部(40)の両端部を連結したクロスメンバ(30)とを有するものであっても良い。図14に示したサブフレーム(2)では、コ字枠部(40)の周壁部の内側の空洞部が燃料貯蔵室(6)として利用されるか、あるいは該空洞部内に燃料タンクが収容されている。なお同図において、(16)は燃料出入り管である。
さらに、本発明では、サブフレーム(2)の形状は、図2及び図14に示したものに限定されるものではない。例えば、サブフレーム(2)は、図15に示すように、2個のサイドメンバ(10)(10)同士が2個のクロスメンバ(30)(30)を介して互いに連結されたものであっても良いし、図16に示すように、2個のサイドメンバ(10)(10)同士が2個のクロスメンバ(30)(30)を介して互いに連結され、且つ前記2個のクロスメンバ(30)(30)同士が補強用中間メンバ(32)を介して互いに連結されたものであっても良い。
さらに、本発明では、サブフレーム(2)とメインフレーム(3)との相互位置関係は、図1、図15及び図16に示したものに限定されるものではなく、様々に設定変更可能である。
また、上記第1〜第6実施形態に係るフレームは、いずれもサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)であるが、本発明に係るフレームは、サブフレーム(2)のサイドメンバ(10)に限定されるものではない。例えば、本発明に係るフレームは、サブフレーム(2)のクロスメンバ(30)であっても良い。この場合には、上記第1〜第6実施形態に係るサブフレーム(2)のサイドメンバ(
10)についての説明において、サブフレーム(2)のサイドメンバ(10)を「クロスメンバ(30)」と読み替えることにより、その構成が容易に理解されるであろう。さらに、本発明に係るフレームは、サブフレーム(2)のサイドメンバ(10)とクロスメンバ(30)の両方(即ちサブフレーム(2))であっても良い。さらに、本発明に係るフレームは、メインフレーム(3)又はその構成フレームであっても良い。この場合には、上記第1〜第6実施形態に係るサブフレーム(2)のサイドメンバ(10)についての説明において、サブフレーム(2)のサイドメンバ(10)を「メインフレーム(3)」又は「メインフレーム(3)の構成フレーム」と読み替えることにより、その構成が容易に理解されるであろう。
さらに、本発明に係るフレームは、空洞部(13)内に、電気ストレージ、電磁弁(図示せず)等のデバイス類や配線(図示せず)等が収容されていても良い。
さらに、本発明に係る燃料電池車両は、燃料電池自動車に限定されるものではなく、例えば燃料電池鉄道車両や燃料電池自動二輪車であっても良い。
図17は、上記第1実施形態に係るサブフレームのサイドメンバの一変形例を示す縦断面図である。同図に示したサイドメンバ(10)について上記第1実施形態のサイドメンバとの相異点を中心に以下に説明する。
このサイドメンバ(10)は、内側から外側へと向かう方向に間隔をおいて配設された複数層の閉断面形状の周壁部(11)(12)を有している。本実施形態では、周壁部(11)(12)の層数は2層である。なお本発明では、周壁部の層数は2層に限定されるものではなく、例えば、3層であっても良いし、4層以上であっても良い。
なお本実施形態では、説明の便宜上、これら2層の周壁部(11)(12)のうち、内側の周壁部(11)を「第1周壁部(11)」、外側の周壁部(12)を「第2周壁部(12)」とそれぞれ呼ぶ。また、第1周壁部(11)の内側に形成された空洞部(13-1)を「第1空洞部(13-1)」、第1周壁部(11)と第2周壁部(12)との間に形成された空洞部(13-2)を「第2空洞部(13-2)」とそれぞれ呼ぶ。また本実施形態では、各空洞部(13-1)(13-2)に燃料電池用のガス状燃料が充填流体として充填(貯蔵)されるサイドメンバ(10)を例として説明する。すなわち、本実施形態では「燃料電池用のガス状燃料」が「充填流体」に対応している。
このサイドメンバ(10)において、第2周壁部(12)の両端部の開口部には、それぞれ該開口部を閉塞する蓋体としての継手部材(20)が燃料漏出阻止状態に装着されるとともに、この装着状態で継手部材(20)が第2周壁部(12)に溶接(例えばMIG溶接)によって全周に亘って接合(その接合部W)されている。
このサイドメンバ(10)において、各空洞部(13-1)(13-2)には充填流体出入り管である燃料出入り管(16-1)(16-2)が接続されている。
各燃料出入り管(16-1)(16-2)には、圧力センサ(R1)(R2)と、遠隔制御可能な流量調節弁(V1)(V2)とが設けられている。
各圧力センサ(R1)(R2)は、対応する空洞部(13-1)(13-2)の燃料充填圧力を検出するためのものである。
更に、このサイドメンバ(10)の外側近傍には、外部圧力を検出する外部圧力用圧力センサ(R0)が設けられている。この圧力センサ(R0)は、本実施形態のサイドメンバ(10)を設置する場所の外部圧力として大気圧を検出するためのものである。
各流量調節弁(V1)(V2)は、対応する燃料出入り管(16-1)(16-2)を流通する燃料の流量を調節するためのものである。各流量調節弁(V1)(V2)は例えば電磁弁からなる。
ここで、説明の便宜上、第1空洞部(13-1)の燃料充填圧力、第2空洞部(13-2)の燃料充填圧力及び大気圧を、それぞれP1、P2及びP0とする。また、第1空洞部(13-1)の燃料充填圧力P1と第2空洞部(13-2)の燃料充填圧力P2との圧力差をΔP1(即ちΔP1=P1−P2)、及び第2空洞部(13-2)の燃料充填圧力P2と大気圧P0との圧力差をΔP2(即ちΔP2=P2−P0)とする。
而して、このサイドメンバ(10)は、2個の空洞部(13-1)(13-2)のうち、最も外側に位置する空洞部(即ち第2空洞部(13-2))から最も内側に位置する空洞部(即ち第1空洞部(13-1))へと順に、燃料の充填圧力が高圧になるように、燃料が各空洞部(13-1)(13-2)に充填(貯蔵)されるように構成されている。すなわち、P0<P2<P1の関係を満たすように燃料が各空洞部(13-1)(13-2)に充填されるものとなされている。
同図において、(50)は制御手段である。この制御手段(50)は、各圧力センサ(R1)(R2)の検出値に基づいて、第1空洞部(13-1)の燃料充填圧力P1と第2空洞部(13-2)の燃料充填圧力P2との圧力差ΔP1、及び第2空洞部(13-2)の燃料充填圧力P2と大気圧P0との圧力差ΔP2がそれぞれ所定の範囲内になるように、各流量調節弁(V1)(V2)を制御するためのものである。本実施形態では、この制御手段(50)は、各圧力差(ΔP1)(ΔP2)が対応する周壁部(11)(12)の設定耐圧強度以下になるように、各流量調節弁(V1)(V2)を制御するものとなされている。
次に、このサイドメンバ(10)の動作及び使用方法について以下に説明する。
まず、このサイドメンバ(10)に燃料を充填(貯蔵)する場合には、制御手段(50)に接続された燃料充填開始スイッチ(図示せず)を「オン」にすることにより、該制御手段(50)によって2個の流量調節弁(V1)(V2)が閉状態から開状態へと作動される。これにより、燃料が各燃料出入り管(16-1)(16-2)を流通して対応する空洞部(13-1)(13-2)に充填される。
大気圧(P0)及び各空洞部(13-1)(13-2)の燃料充填圧力(P1)(P2)は、対応する圧力センサ(R0)(R1)(R2)により検出され、その検出値(検出信号)が制御手段(50)に伝達される。
そして、制御手段(50)では、これらの検出値に基づいて、第1空洞部(13-1)の燃料充填圧力P1と第2空洞部(13-2)の燃料充填圧力P2との圧力差ΔP1、及び第2空洞部(13-2)の燃料充填圧力P2と大気圧P0との圧力差ΔP2がそれぞれ算出される。
そして、各圧力差(ΔP1)(ΔP2)が予め記憶された基準設定範囲と比較され、各圧力差(ΔP1)(ΔP2)が基準設定範囲内になるように対応する流量調節弁(R1)(R2)が作動されてその弁開度が変化する。これにより、対応する燃料出入り管(16-1)(16-2)を流通する燃料の流量が調節される。このように燃料の流量を調節することにより、各圧力差(ΔP1)(ΔP2)を基準設定範囲内に維持しながら、各空洞部(13-1)(13-2)の燃料充填圧力を上昇させる。
なお本実施形態では、基準設定範囲の上限値は、隣り合う空洞部(13-1)(13-2)間に配置された周壁部(11)の設定耐圧強度以下の値に設定される。詳述すると、例えば周壁部(11)の疲労強度以下の値に設定される。
そして、各空洞部(13-1)(13-2)の燃料充填圧力(P1)(P2)が、予め記憶された最高燃料充填圧力基準設定値と比較され、各燃料充填圧力がこれと等しいと判断されると、対応する流量調節弁(R1)(R2)が開状態から閉状態へと作動される。これにより、対応する空洞部(13-1)(13-2)への燃料の流入が遮断され、該空洞部(13-1)(13-2)に燃料が封入され、もって燃料の充填が終了する。
一方、このサイドメンバ(10)から燃料を放出する場合には、上述した燃料の充填動作と逆の動作が行われる。すなわち、制御手段(50)に接続された燃料放出開始スイッチ(図示せず)を「オン」にすることにより、該制御手段(50)によって2個の流量調節弁(R1)(R2)が閉状態から開状態へと作動される。これにより、各空洞部(13-1)(13-2)に充填されていた燃料が対応する燃料出入り管(16-1)(16-2)を流通して放出される。放出された燃料は自動車の燃料電池に供給される。
而して、上記実施形態のサイドメンバ(10)では、各空洞部(13-1)(13-2)に燃料が充填された状態において、2個の周壁部(11)(12)のうち、第1周壁部(11)には、第1空洞部(13-1)の燃料充填圧力P1と第2空洞部(13-2)の燃料充填圧力P2との圧力差ΔP1だけが実質的に作用しているので、この圧力差ΔP1だけを主に考慮に入れて第1周壁部(11)の耐圧強度を設定すれば良い。そのため、第1周壁部(11)の薄肉化を図ることができる。また同じく、第2周壁部(12)には、第2空洞部(13-2)の燃料充填圧力P2と大気圧P0との圧力差ΔP2だけが実質的に作用しているので、この圧力差ΔP2だけを主に考慮に入れて第2周壁部(12)の耐圧強度を設定すれば良い。そのため、第2周壁部(12)についても薄肉化を図ることができる。したがって、本実施形態では、圧力容器を兼ねたサイドメンバ(10)の軽量化を図ることができ、更に、このサイドメンバ(10)を自動車に搭載することにより、自動車の燃費を向上させることができる。
さらに、このサイドメンバ(10)は、2個の周壁部(11)(12)を有しているので、フレーム(10)の剛性が高くなっている。そのため、このサイドメンバ(10)に外部から衝撃が加わった場合であっても、燃料の漏出の防止を図ることができる。
さらに、このサイドメンバ(10)は、圧力センサ(R1)(R2)と流量調節弁(V1)(V2)と制御手段(50)を有しているので、燃料の充填作業を容易に且つ確実に行うことができる。
さらに、このサイドメンバ(10)は、外部圧力用圧力センサ(R0)を有しているので、外部圧力P0が変動する環境下でサイドメンバ(10)が配置される場合であっても、燃料の充填作業を容易に且つ確実に行うことができる。
本実施形態のサイドメンバ(10)の他の構造は、上記第1実施形態と同じである。
本実施形態では、各空洞部(13-1)(13-2)に燃料が充填流体として充填されるとして説明したが、本発明では各空洞部に別々の充填流体を充填することもできる。例えば、第1空洞部(13-1)に燃料を充填し、第2空洞部(13-2)に不活性ガスを充填することができる。このように本発明では他種類の燃料を充填することができる。
以上で、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に示したものに限定されるものではないことは言うまでもない。