JP2005046232A - 歯ブラシ及びその設計方法 - Google Patents

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Akira Suzuki
明 鈴木
Kimie Sannomiya
公江 三宮
Yuko Tamiya
優子 田宮
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Kao Corp
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Abstract

【課題】歯垢除去効果の向上に大きく寄与する複数の特徴値間の相対関係を特定して設計することにより得られた、歯垢除去効果に優れた歯ブラシを提供する。
【解決手段】複数本のブリッスルを束ねてなる毛束が植毛台に複数植設されている歯ブラシであって、前記植毛台に植設された複数本のブリッスルの先端を平坦な面に当接させて前記植毛台の背面側から300gの荷重を垂直に負荷しつつ刷掃した際に前記平坦な面に先端が接触するブリッスルである主ブリッスルについて、主ブリッスルの先端で形成されるブラシ面を歯ブラシの軸方向と平行な3mm幅の中央帯状領域とこれの両側の一対の外側領域とに区画して、ブリッスルの先端が前記中央帯状領域に位置する主ブリッスルを中央主ブリッスル、前記外側領域に位置する主ブリッスルを外側主ブリッスルとした場合に、中央帯状領域と外側領域の両方に主ブリッスルを有し、かつ下記の式(5)の条件を満たす。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯ブラシ及び歯ブラシの設計方法に関し、特に歯垢除去率を向上させることができる歯ブラシ、及びその設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯ブラシは、複数本のブリッスルを束ねてなる毛束(タフト)を、例えば植毛台に設けられた複数の植毛穴に平線を打ち込んだり熱で融着させる方法等によって植設固定することにより形成されるものである。また、歯ブラシは、歯間部、歯面部、歯頸部等の歯の部位に応じた適切な刷掃を効率良く行って歯垢等を効果的に除去できるように、毛束の配置やブリッスルの毛先の形状等に様々な工夫がなされている。
【0003】
一方、歯間部の奥までブリッスルを入り込ませると共に、効率良くブリッスルを接触させるようにして、歯間部における歯垢除去効果を向上させるようにした歯ブラシが種々開発されている(特許文献1)。特許文献1に開示の歯ブラシは、毛束を扁平形状にして、かつ毛束の先端を傾斜あるいは階段状の山形に形成したことで、歯間部における歯垢除去効果を高めるようにしたものである。
【0004】
しかし、歯ブラシの歯垢除去効果は、ブリッスルの太さ、ブリッスルの長さ、ブリッスルの本数(あるいは断面積)、ブリッスルの長さのばらつき、ブリッスルの先端形状、ブリッスルの傾斜角度、ブリッスルの分散度、植毛面積などによって影響を受けものである。これらの影響を十分に考慮せずに、特許文献1に記載のように毛束の断面形状と先端形状を変えただけでは、歯垢除去効果を効果的に向上させることが困難である。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−182627号
【非特許文献1】
鈴木ら、口腔衛生学会誌 Vol.20 No.3(1971年)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、歯垢除去効果の向上に大きく寄与する複数の歯ブラシの特徴値に基づき、歯垢除去効果における各特徴値間の相対関係を特定することにより、歯垢除去効果に優れた歯ブラシを提供すること、及び前記歯ブラシの設計が容易且つ確実にできる歯ブラシの設計方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数本のブリッスルを束ねてなる毛束が植毛台に複数植設されている歯ブラシであって、前記植毛台に植設された複数本のブリッスルの先端を平坦な面に当接させて前記植毛台の背面側から300gの荷重を垂直に負荷しつつ刷掃した際に前記平坦な面に先端が接触するブリッスルである主ブリッスルについて、主ブリッスルの先端で形成されるブラシ面を歯ブラシの軸方向と平行な3mm幅の中央帯状領域とこれの両側の一対の外側領域とに区画して、ブリッスルの先端が前記中央帯状領域に位置する主ブリッスルを中央主ブリッスル、前記外側領域に位置する主ブリッスルを外側主ブリッスルとした場合に、中央帯状領域と外側領域の両方に主ブリッスルを有し、かつ下記の式(5)の条件を満たす歯ブラシを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
【数5】
Figure 2005046232
【0009】
式(5)中、
Mi:Σ(π・(Din/2)・Ein・Din )/Σ(π・(Din/2)
すなわち、Miは、下記の式(6)で示す中央主ブリッスルのかたさ理論値Tinを求める式の分子の中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0010】
【数6】
Figure 2005046232
【0011】
Mo:Σ(π・(Dout/2)・Eout・Dout )/Σ(π・(Dout/2)
すなわち、Moは、下記式(7)で示す外側主ブリッスルのかたさ理論値Toutを求める式の分子の外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0012】
【数7】
Figure 2005046232
【0013】
Qi:Σ(π・(Din/2)/Lin )/Σ(π・(Din/2)
すなわち、Qiは、式(6)で示す中央主ブリッスルのかたさ理論値Tinを求める式の分母の中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0014】
Qo:Σ(π・(Dout/2)/Lout )/Σ(π・(Dout/2)
すなわち、Qoは、式(3)で示す外側主ブリッスルのかたさ理論値Toutを求める式の分母の外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0015】
Hi:Σ(π・(Din/2)・λin)/Σ(π・(Din/2)
(式中、λinは中央主ブリッスルを有する毛束内における中央主ブリッスル間の最大段差(mm)である。)
すなわち、Hiは、中央主ブリッスルの毛束内における長さのバラツキの大きさの中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0016】
Ho:Σ(π・(Dout/2)・λout)/Σ(π・(Dout/2)
(式中、λoutは外側主ブリッスルを有する毛束内における外側主ブリッスル間の最大段差(mm)である。)
すなわち、Hoは、外側主ブリッスルの毛束内における長さのバラツキの大きさの外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0017】
Ai:Σ(π・(Din/2)
すなわち、Aiは、中央主ブリッスル断面積の和(mm)である。
【0018】
Ao:Σ(π・(Dout/2)
すなわち、Aoは、外側主ブリッスル断面積の和(mm)である。
【0019】
Ui:1/ρin
(式中、ρinは、主ブリッスルを有する毛束の先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する複数の毛束の外周部分を連ねるようにして囲まれた植毛範囲面積(mm)のうち、中央帯状領域に含まれる植毛範囲面積である。)
すなわち、Uiは、中央帯状領域の植毛範囲面積の逆数である。
【0020】
Uo:1/ρout
(式中、ρoutは、主ブリッスルを有する毛束の先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する複数の毛束の外周部分を連ねるようにして囲まれた植毛範囲面積(mm)のうち、外側領域に含まれる植毛範囲面積である。)
すなわち、Uoは、外側領域の植毛範囲面積の逆数である。
【0021】
Bi:Σ(π・(Din/2)・εin)/Σ(π・(Din/2)
(式中、εinは、ブリッスル最先端からブリッスルの直径と同じ長さだけ根元側に近づいた部分までをブリッスル先端部とした場合に、中央主ブリッスルの直径に対する先端部最大径の比率(倍)である。なお、ブリッスルの先端が複数に分岐している場合(分岐の長さがブリッスル最先端からブリッスルの直径と同じ長さ以上)、εinは、分岐前の中央主ブリッスルの直径に対する分岐後の先端部最大径の比率(倍)とする。
すなわち、Biは、中央主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0022】
Bo:Σ(π・(Dout/2)・εout)/Σ(π・(Dout/2)
(式中、εoutは、ブリッスル最先端からブリッスルの直径と同じ長さだけ根元側に近づいた部分までをブリッスル先端部とした場合に、外側主ブリッスルの直径に対する先端部最大径の比率(倍)である。なお、ブリッスルの先端が複数に分岐している場合(分岐の長さがブリッスル最先端からブリッスルの直径と同じ長さ以上)、εinは、分岐前の外側主ブリッスルの直径に対する分岐後の先端部最大径の比率(倍)とする。
すなわち、Boは、外側主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0023】
Gi:Σ(π・(Din/2)・│θin│)/Σ(π・(Din/2)
(式中、θinは、中央主ブリッスルの傾斜角度(°)である。)
すなわち、Giは、中央主ブリッスルの傾斜角度の絶対値の大きさの中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0024】
Go:Σ(π・(Dout/2)・│θout│)/Σ(π・(Dout/2)
(式中、θoutは、外側主ブリッスルの傾斜角度(°)である。)
すなわち、Goは、外側主ブリッスルの傾斜角度の絶対値の大きさの外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0025】
Fi:Σ(π・(Din/2)・Cin)/Σ(π・(Din/2)
(式中、Cinは中央主ブリッスルを有する毛束内において最外周に位置するブリッスルの割合(%)である。ただし、隣接する毛束の最外周に位置するブリッスルとの間に0.5mm以上の間隔を有しないブリッスルは含まない。)
すなわち、Fiは、中央主ブリッスルの中で、動きの自由度が高いブリッスルの割合の中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0026】
Fo:Σ(π・(Dout/2)・Cout)/Σ(π・(Dout/2)
(式中、Coutは外側主ブリッスルを有する毛束内において最外周に位置するブリッスルの割合(%)である。ただし、隣接する毛束の最外周に位置するブリッスルとの間に0.5mm以上の間隔を有しないブリッスルは含まない。)
すなわち、Foは、外側主ブリッスルの中で、動きの自由度が高いブリッスルの割合の外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
【0027】
また、本発明は、重回帰分析による歯ブラシの設計方法であって、目的変数となる既存歯ブラシの歯垢除去率と、説明変数となる前記既存歯ブラシの物性および寸法等の特徴値により、下記の式(8)に基づき、それぞれの回帰係数を求めるステップと、特定された重回帰式に基づき、所定の歯垢除去率を超えるように設定することによって歯ブラシの特徴値を決定するステップとを含む歯ブラシの設計方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0028】
【数8】
Figure 2005046232
【0029】
ここで、本願において、「主ブリッスル」は、図2(a),(b)にモデル化して示すように、植毛台50に植設された複数本のブリッスル51の先端を平坦な面52に当接させて植毛台50の背面側から300gの荷重Pを垂直に負荷しつつ刷掃した際に、平坦な面52に先端が接触するブリッスル51aを意味するものであり、300gの荷重Pが垂直に負荷されて植毛台50が変位sだけ移動してもその先端が平坦な面52に当接しない、最も長いブリッスル51aとの毛丈の段差が変位sよりも大きいブリッスル51bを除く趣旨である。
【0030】
また、本願において、「中央主ブリッスル」は、その先端が、主ブリッスルの先端で形成されるブラシ面における歯ブラシの軸方向と平行な3mm幅の中央帯状領域に位置する主ブリッスルであって、毛束が中央帯状領域と外側領域との間の区画線に跨って位置する場合には、当該区画線で分けてブリッスル断面の中心点が中央帯状領域側に位置する主ブリッスルを中央主ブリッスルとし、外側領域側に位置する主ブリッスルを外側主ブリッスルとするものである。
【0031】
なお、主ブリッスルの先端で形成されるブラシ面を中央帯状領域と外側領域に区画した理由は次のとおりである。すなわち、既存品歯ブラシのモデル歯垢除去率を目的変数とし、M,Q,H,A,U,B,G,Fの8個の特徴値を説明変数として回帰分析した場合と、各特徴値を中央帯状領域と外側領域に分けた16個の特徴値を説明変数として回帰分析した場合とで分析結果を比較した場合に、表1に示すように、中央帯状領域と外側領域に分けて回帰分析した方が、重相関係数Rが大きく、つまり、より信頼できる重回帰式が得られるためである。
【0032】
【表1】
Figure 2005046232
【0033】
また、本願において、説明変数である上記M,Qの特徴値は、主ブリッスルのかたさ理論値Tを求める式である下記の式(9)に基づいて得らたものである。
【0034】
【数9】
Figure 2005046232
【0035】
すなわち、Mは、上記の式(9)で示す主ブリッスルのかたさ理論値Tを求める式の分子を主ブリッスル断面積で加重平均した値であり、
M=Σ(π・(D/2)・E・D)/Σ(π・(D/2)
で表される特徴値である。
【0036】
Qは、上記の式(9)で示す主ブリッスルのかたさ理論値Tを求める式の分母を主ブリッスル断面積で加重平均した値であり、
Q=Σ(π・(D/2)/L)/Σ(π・(D/2)
で表される特徴値である。
【0037】
Hは、主ブリッスルの毛束内における長さのバラツキの大きさを主ブリッスル断面積で加重平均した値であり、
H=Σ(π・(D/2)・λ)/Σ(π・(D/2)
で表される特徴値である。
(式中、λは主ブリッスルを有する毛束内における主ブリッスル間の最大段差(mm)である。)
【0038】
Aは主ブリッスル断面積の和(mm)であり、
A=Σ(π・(D/2)
で表される特徴値である。
【0039】
Uは、植毛範囲面積の逆数であり、
U=1/ρ
で表される特徴値である。
(式中、ρは、主ブリッスルを有する毛束の先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する複数の毛束の外周部分を連ねるようにして囲まれた植毛範囲面積(mm)である。)
【0040】
Bは、主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率を主ブリッスル断面積で加重平均した値であり、
B=Σ(π・(D/2)・ε)/Σ(π・(D/2)
で表される特徴値である。
(式中、εは、ブリッスル最先端からブリッスルの直径と同じ長さだけ根元側に近づいた部分までをブリッスル先端部とした場合に、主ブリッスルの直径に対する先端部最大径の比率(倍)である。なお、ブリッスルの先端が複数に分岐している場合(分岐の長さがブリッスル最先端からブリッスルの直径と同じ長さ以上)、εinは、分岐前の主ブリッスルの直径に対する分岐後の先端部最大径の比率(倍)とする。
【0041】
Gは、主ブリッスルの傾斜角度の絶対値の大きさを主ブリッスル断面積で加重平均した値であり、
G=Σ(π・(D/2)・│θ│)/Σ(π・(D/2)
で表される特徴値である。
(式中、θは、主ブリッスルの傾斜角度(°)である。)
【0042】
Fは、主ブリッスルの中で、動きの自由度が高いブリッスルの割合を主ブリッスルの断面積加重平均した値であり、
F=Σ(π・(D/2)・C)/Σ(π・(D/2)
で表される特徴値である。
(式中、Cは主ブリッスルを有する毛束内において最外周に位置するブリッスルの割合(%)である。ただし、隣接する毛束の最外周に位置するブリッスルとの間に0.5mm以上の間隔を有しないブリッスルは含まない。)
【0043】
また、中央帯状領域の幅を3mmとしたのは、中央帯状領域の幅を2mmに設定した場合と、3mmに設定した場合と、4mmに設定した場合で、既存歯ブラシの特徴値を算定し、モデル歯垢除去率(Y)を目的変数として回帰分析を行ったところ、表2に示すように、3mmで回帰統計の重相関係数Rが最大値となったことによるものである。
【0044】
【表2】
Figure 2005046232
【0045】
さらに、本願において、「主ブリッスルのかたさ理論値(T)を求める上記の式(9)」は、図3に示す梁の撓み式に関する模式図において、梁を円形断面のものとして下記の式(10)によって得られた撓み(v)の逆数(1/v)として求められる式であって、下記の式(11)によって表されるものである。
【0046】
【数10】
Figure 2005046232
【0047】
【数11】
Figure 2005046232
【0048】
本願において、「歯ブラシの歯垢除去率」とは、非特許文献1に記載の臨床試験方法によって求められた歯垢除去率のみならず、他の臨床試験方法で求められた歯垢除去率や、歯垢除去率のモデル評価によって得られたモデル歯垢除去率も含む。臨床−モデル間の歯垢除去率の相関を確認する方法としては、植毛パターンやブリッスル仕様の異なる(なるべく仕様のかけ離れた)5種類以上の歯ブラシについて、臨床試験とモデル評価を行い、臨床−モデル間で歯垢除去率の単相関係数を求める方法があるが、臨床試験の歯垢除去率は被験者数10名以上の平均値で、臨床−モデル間の歯垢除去率の単相関係数Rは0.8以上であることが望ましい。
【0049】
本願において、「歯ブラシの特徴値」とは、歯ブラシの各構成要素によって定まる値を言う。例えば、ブリッスルの太さに由来した値、ブリッスルの長さに由来した値、ブリッスルの本数(あるいは断面積)に由来した値、ブリッスルの先端形状に由来した値、ブリッスルの傾斜角度に由来した値、植毛面積に由来した値などが挙げられる。各特徴値は実測値をそのまま用いる場合もあるが、特徴値の性質によって、ブリッスル1本1本の実測値を累乗したり、逆数にしたり、絶対値にしたり、寸法比にしたり、占有率にするなどの加工を行った後、ブリッスル全体の和、平均値、加重平均値などの形で表現することもできる。
【0050】
本願において、「所定の歯垢除去率」とは、例えば、既存の歯ブラシの物性および寸法等の特徴値に基づき、重回帰式(式8)に従って算出した値を超えるように設定した目標値である。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の歯ブラシの好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
図1(a),(b),(c)は、本発明の歯ブラシの設計方法の、回帰式の回帰係数を求めるステップにおいて、目的変数となる歯垢除去率と、説明変数となる特徴値の測定に用いた既存歯ブラシの一例である。
【0053】
図1(a),(b),(c)の歯ブラシ20は、把持部(図示せず)と植毛台21とこれらを連結する首部22とからなる歯ブラシ本体の植毛台21に形成した複数の植毛穴23a〜23kに、ブリッスル25a〜25kを複数本束ねてなる毛束(タフト)24a〜24kを各々植毛(植設)することによって構成されている。
【0054】
また、歯ブラシ20の本体はポリプロピレンからなり、その植毛台21には、これの略全域に亘って、大小のトラック円形状の植毛穴23a〜23kが33箇所に形成されており、このうち歯ブラシ20の軸方向Zと平行な短軸が0.8mm、これと垂直な長軸が1.5mmの植毛穴(23a,23b,23d,23e,23f)は7箇所に、軸方向Zと平行な長軸が1.5mm、これと垂直な短軸が0.8mmの植毛穴(23g)は2箇所に、軸方向Zと平行な短軸が0.8mm、これと垂直な長軸が2.2mmの植毛穴(23c)は2箇所に、軸方向Zと平行な短軸が0.8mm、これと垂直な長軸が3.0mmの植毛穴(23h)は6箇所に、軸方向Zと平行な長軸が2.2mm、これと垂直な短軸が0.8mmの植毛穴(23i,23j,23k)は16箇所に形成されている。
【0055】
そして、23a〜23gおよび23iの13箇所の植毛穴に植毛された毛束24a〜24gおよび24iは、植毛台21の先端方向αに5度傾斜して植毛され、6箇所の植毛穴23hに植毛された毛束24hは、植毛台21の先端方向αに10度傾斜して植毛され、23j,23kの14箇所の植毛穴に植毛された毛束24j,24kは、植毛台21に垂直に植毛されている。
【0056】
また、毛束24aの先端は、毛束の長さが植毛台先端側で11.3mm、植毛台後端側で11.7mm(平均11.5mm)の斜面、毛束24bの先端は、毛束の長さが植毛台先端側で12.1mm、植毛台後端側で11.9mm(平均12.0mm)の斜面、毛束24cの先端は、毛束の長さが植毛台先端側で11.6mm、植毛台後端側で11.4mm(平均11.5mm)の斜面、毛束24d,24eの先端は、毛束の長さが植毛台先端側で11.1mm、植毛台後端側で10.9mm(平均11.0mm)の斜面となるように形成される。毛束24fの先端は、毛束の長さが植毛台先端側で10.6mm、植毛台後端側で10.4mm(平均10.5mm)の斜面、毛束24gの先端は、毛束の長さが植毛台先端側で10.7mm、植毛台後端側で10.3mm(平均10.5mm)の斜面になるように形成され、毛束24a〜24gで、図1(c)の側面図に示すように、毛束24bの植毛台先端側をピークとした山形になるように形成されている。
【0057】
また、毛束24hの先端は、毛束の長さが全て11.5mmの平面になるように形成されている。
【0058】
また、毛束24i,24jの先端は、毛束の長さが植毛台先端側で9.0mmで、植毛台後端側に向かって凹面を形成しながら徐々に長くなり、11.5mmに達したところでフラット面になるように形成され、毛束24kの先端は、毛束の長さが植毛台先端側で11.5mmのフラット面で、途中、植毛台後端側に向かって凹面を形成しながら徐々に短くなり、9.0mmで最短になるように形成されている。
【0059】
さらに、毛束24a〜24hを構成するブリッスル25a〜25hは、ナイロン6−12からなる0.229mmの太さを有するフィラメント材であって、このうち、毛束24a,24b,24d〜24gは、ブリッスル25a,25b,25d〜25gを19本束ねることによって形成され、毛束24cは、ブリッスル25cを29本束ねることによって形成され、毛束24hは、ブリッスル25hを40本束ねることによって形成されている。
【0060】
また、毛束24i〜24kを構成するブリッスル25i〜25kは、ナイロン6−12からなる0.178mmの太さを有するフィラメント材であって、46本束ねることによって各毛束24i〜24kが形成されている。
【0061】
また、植毛台21の植毛面を歯ブラシ20の軸方向Zと平行な一対の区画線28によって3mm幅の中央帯状領域26とこれの両側の一対の外側領域27とに区画した際に(図1(b)参照)、中央帯状領域26には、毛束24a,24e,24f,24hの全てのブリッスルと、毛束24bの75%のブリッスル(14本/毛束)と、毛束24cの55%のブリッスル(16本/毛束)が位置し、外側領域27には、毛束24d,24g,24i,24j,24kの全てのブリッスルと、毛束24bの25%のブリッスル(5本/毛束)と、毛束24cの45%のブリッスル(13本/毛束)が位置している。なお、毛束24d,24gは区画線28を僅かに跨いでいるが、ブリッスル断面の中心点は全て外側領域27に寄っている。
【0062】
さらに、歯ブラシ20に植毛された多数のブリッスルのうちで最も長い、毛束24bの植毛台先端側に位置する12.1mmのブリッスルを平坦な面52に当接させて植毛台50の背面側から300gの荷重Pを垂直に負荷しつつ刷掃すると(図2(a),(b)参照)、植毛台21の垂直方向の変位は1.2mmとなる。よって、歯ブラシ20において、平坦な面52に先端が接触しているブリッスル(主ブリッスル)は、毛の長さが10.9mm以上のブリッスルということになる。
【0063】
したがって、歯ブラシ20の中央主ブリッスルは、毛束24a,24e,24hの全てのブリッスルと、毛束24bの75%のブリッスル(14本/毛束)と、毛束24cの55%のブリッスル(16本/毛束)であり、外側主ブリッスルは、毛束24dの全てのブリッスルと、毛束24bの25%のブリッスル(5本/毛束)と、毛束24cの45%のブリッスル(13本/毛束)と、毛束24i,24j,24kの先端でフラット面を形成するブリッスル(8本/毛束)である。
【0064】
また、歯ブラシ20の主ブリッスルが存在する各毛束の最外周に位置するブリッスルの割合は、毛束24a,24b,24d,24eが68.7%、毛束24cが64.7%、毛束24hが62.6%、毛束24i,24j,24kが52.1%である(図1(b),(c)参照)。
【0065】
また、歯ブラシ20のブリッスル先端はラウンド処理が施されているが、ブリッスル最先端からブリッスルの直径と同じ長さだけ根元側に近づいた部分であるブリッスル先端部31の最大径32は、ブリッスルの直径と同じ太さである。
【0066】
また、歯ブラシ20の植毛範囲面積(図1(b)の一点鎖線による環状の線分29によって囲まれる部分の面積)は156mmであり、このうち中央帯状領域26の植毛範囲面積は66mm、外側領域27の植毛範囲面積は90mmである。
【0067】
そして、歯ブラシ20によれば、上述の構成を備えていることにより、16個の特徴値Mi,Mo,Qi,Qo,Hi,Ho,Ai,Ao,Ui,Uo,Bi,Bo,Gi,Go,Fi,Foは、上述の各式によって、以下のように算定される。
【0068】
すなわち、先端が中央帯状領域26に位置する主ブリッスルである中央主ブリッスルのかたさ理論式の分子の断面積加重平均値(Mi)は4.92×10−1、先端が外側領域27に位置する主ブリッスルである外側主ブリッスルのかたさ理論式の分子の断面積加重平均値(Mo)は3.03×10−1、中央主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qi)は6.55×10−4、外側主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qo)は6.74×10−4となる。
【0069】
また、中央主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Hi)は7.85×10−2、外側主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Ho)は9.77×10−2、中央主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bi)は1.00、外側主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bo)は1.00となる。
【0070】
さらに、中央主ブリッスル断面積の和(Ai)は1.22×10、外側主ブリッスル断面積の和(Ao)は6.21、中央帯状領域の植毛範囲面積の逆数(Ui)は1.52×10−2、外側帯状領域の植毛範囲面積の逆数(Uo)は1.11×10−2となる。
【0071】
さらにまた、中央主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Gi)は8.36、外側主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Go)は2.44、毛束内最外周に位置する中央主ブリッスルの割合の断面積加重平均値(Fi)は6.42×10、毛束内最外周に位置する外側主ブリッスルの割合の断面積加重平均値(Fo)は5.50×10となる。
【0072】
また、目的変数となる歯垢除去率を求めるために、臨床試験に代わって、より簡便で再現性の良いモデル評価を採用することを前提に、臨床試験結果とモデル評価結果の相関性について検証する。
【0073】
検証に用いた評価歯ブラシは、上記構成の歯ブラシ20、旧チェックレギュラー(商品名、「チェック〔ふつう〕」、花王社製、2000年〜2002年)、旧Doクリア(商品名、「Doクリア〔ふつう〕」、サンスター社製、〜2002年)、ビトイーンC(商品名、「ビトイーンライオンコンパクト〔ふつう〕」、ライオン社製)、フロスプラス(商品名、「クリアクリーンフロスプラス〔ふつう〕」、花王社製)、システマC(商品名、「デンターシステマライオンコンパクト〔ふつう〕」、ライオン社製)の6本である。
【0074】
臨床歯垢除去率(Y)の測定は、表3に示す歯磨き行動の被験者10名を対象に、約24時間の歯磨き停止後、歯垢染色剤で歯垢を染色し、非特許文献1記載の方法を用いて、中切歯、第1小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯の各舌側と各頬側における歯間部の初期歯垢付着量(J)を測定する。その後、評価歯ブラシでふだん通り歯磨きし、再度、鈴木らの方法を用いて歯間部の歯垢残存量(J)を測定する。これを、1週間以上の間隔をあけて計6回(1回につき、評価歯ブラシ1本)行なう。測定箇所を歯間部に限定する理由は、歯間部がう蝕の好発部位であり、後述のモデル評価方法が歯間部における評価を想定しているからである。なお、臨床歯垢除去率測定における歯間部とは、舌側あるいは頬側の歯面を、歯が生えている方向に対して平行に均等5分割した時の両側5分の1ずつのことである。
【0075】
【表3】
Figure 2005046232
【0076】
そして、下記に示す式(12)によって、歯磨きの前後で減少した歯間部の歯垢量を計算し、これを臨床歯垢除去率(Y)(%)とする。
【0077】
【数12】
Figure 2005046232
【0078】
上述の方法で求められる各被験者の歯ブラシごとの臨床歯垢除去率(Y)(%)、および被験者10名を平均した歯ブラシごとの臨床歯垢除去率(Y)(%)を表4に示す。
【0079】
【表4】
Figure 2005046232
【0080】
また、モデル歯垢除去率(Y)の測定は、図4(a)に示す手順で行う。まず、R4の曲面同士を向き合わせたアルミブロックによる歯間部モデル40を作成し、この歯間部モデル40の表面に歯垢モデルとしてビデオテープ磁性層41を取り付ける。ビデオテープとしては、西友プライベートブランドの「S‘RIBBON」スタンダードタイプ(120分、型番3T−120SR)」を使用する。作成した歯間部モデル40に対して、図4(b)に示す構成のブラッシングマシーン43を用いて歯ブラシによる刷掃を行う。
【0081】
刷掃条件は、荷重300g、速度60rpm、振幅30mm、回数75回とし、ハミガキとして研磨促進剤であるアパガードMプラス(商品名、サンギ社製)を使用する。2πR×幅5mmの領域を歯間部の評価領域42とし、刷掃後にビデオテープ磁性層41を展開して、デジタルカメラで撮影すると共に画像解析する。画像解析ソフトは、WinROOFを使用し、グレー画像化後、評価領域42において磁性層が剥がれて白くなった部分(しきい値75以下)の面積の比率(%)を計算し、これをモデル歯垢除去率(Y)(%)とする。
【0082】
上述の方法で求められる6本の評価歯ブラシのモデル歯垢除去率(Y)を、表5に示す。また、モデル歯垢除去率(Y)と臨床歯垢除去率(Y)(臨床被験者10名の平均)の単相関係数を表5に示す。これによれば、単相関係数は0.964となって、モデル歯垢除去率(Y)と臨床歯垢除去率(Y)は強い相関を示すことになる。したがって、上述のモデル評価方法を用いて歯ブラシのモデル歯垢除去率を測定すれば、各歯ブラシの臨床歯垢除去率の高低を反映したモデル歯垢除去率が、精度良く且つ容易に求められる。
【0083】
【表5】
Figure 2005046232
【0084】
仮に、被験者の歯磨き行動に偏りが生じる場合を考慮して、被験者10名の臨床歯垢除去率を、刷掃速度の速い人(5名)遅い人(5名)、刷掃幅の大きい人(5名)小さい人(5名)、刷掃圧の高い人(5名)低い人(5名)、刷掃時間の長い人(5名)短い人(5名)に分けた場合の臨床歯垢除去率(Y)とモデル歯垢除去率(Y)の単相関係数を表6に示す。これによれば、単相関係数は最低0.832〜最高0.977となって、モデル歯垢除去率(Y)と臨床歯垢除去率(Y)は依然として強い相関を示すことになる。したがって、被験者の歯磨き行動に偏りが生じて、各歯ブラシの臨床歯垢除去率が多少変動しても、上述のモデル評価方法で評価すれば問題ないと言える。
【0085】
【表6】
Figure 2005046232
【0086】
臨床試験結果とモデル評価結果の相関性の高さが明らかになったところで、6本の評価歯ブラシ以外の他の29本の既存の歯ブラシについても、上述のモデル評価方法でモデル歯垢除去率(Y)を測定する。表7に測定結果を示す。
【0087】
【表7】
Figure 2005046232
【0088】
また、歯ブラシ20以外の34本の既存の歯ブラシについても、歯ブラシ20と同様に、Mi,Mo,Qi,Qo,Hi,Ho,Ai,Ao,Ui,Uo,Bi,Bo,Gi,Go,Fi,Foの16個の特徴値を算定する。算定した値を、表7に示す。
【0089】
得られた各サンプルの16個の特徴値及びモデル歯垢除去率(Y)を下記の式(13)の重回帰式にあてはめ、最小二乗法で重回帰分析を行うことにより、17個の回帰係数aおよびb〜b16を求める。
【0090】
【数13】
Figure 2005046232
【0091】
上述の分析結果を表8に示す。表8の分析結果によれば、重回帰式の切片a=−2.05×10、Miの係数b=5.46×10、Moの係数係数b=−1.28×10、Qiの係数b=−5.41×10、Qoの係数b=4.77×10、Hiの係数b=−1.34×10、Hoの係数b=1.05×10、Aiの係数b=−7.37×10−1、Aoの係数b=3.86×10−2、Uiの係数b=1.06×10、Uoの係数b10=5.85×10、Biの係数b11=−2.40×10、Boの係数b12=4.87×10、Giの係数b13=−2.31×10−1、Goの係数b14=8.88×10−1、Fiの係数b15=2.69×10−1、Foの係数b16=−2.03×10−2であることから、式(14)に示す、歯間部におけるモデル歯垢除去率の予測値(Y)に関する重回帰式が導き出されることになる。
【0092】
【表8】
Figure 2005046232
【0093】
【数14】
Figure 2005046232
【0094】
また、式(14)によって求められる、各サンプルの歯ブラシについての、歯間部におけるモデル歯垢除去率の予測値(Y)を表7に示す。
【0095】
そして、表7に示される、各サンプルの歯ブラシに関する歯間部におけるモデル歯垢除去率の予測値(Y)とモデル歯垢除去率の実測値(Y)との相関関係を分析すると、図5に示すような回帰直線が得られると共に、重相関係数R=0.893となって、これらのモデル歯垢除去率は強い相関を示すことになる。したがって、本実施例によれば、式(14)の重回帰式から歯間部におけるモデル歯垢除去率の予測値(Y)を求めることにより、実際のモデル歯垢除去率に相当する歯垢除去率が、精度良く且つ容易に求められることが判明する。
【0096】
また、表7に示す歯間部におけるモデル歯垢除去率の予測値(Y)によれば、35本の既存品歯ブラシのうち、モデル歯垢除去率の予測値(Y)の最も高い歯ブラシは、サンプルNo.20の歯ブラシ(商品名「PCクリニカ歯根ケア〔ふつう〕」ライオン社製)であり、そのモデル歯垢除去率の予測値(Y)は、37.6%である。したがって、下記の式(15)で求められる標準誤差(4.3)を鑑みて、歯間部におけるモデル歯垢除去率の予測値(Y)が、Y>(37.6+4.3)=41.9(%)の条件を満たすように歯ブラシを設計することにより、従来の市販の歯ブラシと比較して、歯間部における歯垢除去率が確実に向上した歯ブラシを容易に設計することが可能になると共に、このように設計された歯ブラシは、歯間部における歯垢除去効果に一層優れていることになる。
【0097】
【数15】
Figure 2005046232
【0098】
【実施例】
上述の式(14)において、Y>(37.6+4.3)=41.9(%)の条件を満たすように、Mi,Mo,Qi,Qo,Hi,Ho,Ai,Ao,Ui,Uo,Bi,Bo,Gi,Go,Fi,Foの16個の各特徴値間の相対関係を特定することにより得られた、本発明の歯ブラシの具体例を、実施例1〜20の歯ブラシとして以下に記載するが、本発明はこれらの実施例1〜20の歯ブラシに限定されるものではない。
【0099】
〔実施例1〕
図6の植毛穴配置図に示す実施例1の歯ブラシ60によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束64aが5箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束64bが各3箇所、合計6箇所に設けられている。各中央毛束64aは、径0.203mm、長さ11.0mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束64bは、径0.203mm、長さ9.75〜10.25(平均10.0)mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。
【0100】
また、毛束64a,64bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は51mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は75mmとなっている。さらに、中央毛束64a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束64b内のブリッスルの長さのバラツキは0.5mmとなっており、中央毛束64aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束64bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束64a及び外側毛束64bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0101】
〔実施例2〕
図7の植毛穴配置図に示す実施例2の歯ブラシ67によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束68aが7箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束68bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束68aは、径0.203mm、長さ11.0mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束68bは、径0.203mm、長さ10.0mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、歯ブラシ67の後端方向に10度傾斜して植毛されている。
【0102】
また、毛束68a,68bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は51mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は75mmとなっている。さらに、中央毛束68a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束68b内のブリッスルの長さのバラツキは0mmとなっており、中央毛束68aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束68bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束68a及び外側毛束68bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0103】
なお、図7の植毛穴配置図において、歯ブラシ67の後端側に位置する2箇所の外側毛束68bは、その一部が環状の線分66の外側にはみ出るように描かれているが、毛束68a,68bの配置は、当該毛束68a,68bの植毛穴に近接する根元部における配置として描かれているのに対し、環状の線分66は、毛束68a、68bの先端で形成されるブラシ面における領域として描かれていることから、外側毛束68bの傾斜によって、当該外側毛束68bの先端は、環状の線分66の内側に配置されることになる。
【0104】
〔実施例3〕
図8の植毛穴配置図に示す実施例3の歯ブラシ69によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.30mmの中央毛束70aが14箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束70bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束70aは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを22本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束70bは、径0.203mm、長さ10.25〜10.75(平均10.5)mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、歯ブラシ69の後端方向に10度傾斜して植毛されている。
【0105】
また、毛束70a,70bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は51mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は75mmとなっている。さらに、中央毛束70a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束70b内のブリッスルの長さのバラツキは0.5mmとなっており、中央毛束70aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束70bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束70a及び外側毛束70bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0106】
なお、図8の植毛穴配置図において、歯ブラシ69の後端側に位置する2箇所の外側毛束70bは、その一部が環状の線分66の外側にはみ出るように描かれているが、毛束70a,70bの配置は、当該毛束70a,70bの植毛穴に近接する根元部における配置として描かれているのに対し、環状の線分66は、毛束70a、70bの先端で形成されるブラシ面における領域として描かれていることから、外側毛束70bの傾斜によって、当該外側毛束70bの先端は、環状の線分66の内側に配置されることになる。
【0107】
〔実施例4〕
図9の植毛穴配置図に示す実施例4の歯ブラシ71によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.30mmの中央毛束72aが10箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束72bが各3箇所、合計6箇所に設けられている。各中央毛束72aは、径0.203mm、長さ11.0mmのブリッスルを22本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束72bは、径0.203mm、長さ9.75〜10.25(平均10.0)mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。
【0108】
また、毛束72a,72bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は85mmとなっている。さらに、中央毛束72a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束70b内のブリッスルの長さのバラツキは0.5mmとなっており、中央毛束72aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束72bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束72a及び外側毛束72bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0109】
〔実施例5〕
図10の植毛穴配置図に示す実施例5の歯ブラシ73によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.30mmの中央毛束74aが10箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束74bが各3箇所、合計6箇所に設けられている。各中央毛束74aは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを22本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束74bは、径0.203mm、長さ10.0〜11.0(平均10.5)mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、歯ブラシ73の後端方向に10度傾斜して植毛されている。
【0110】
また、毛束74a,74bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は85mmとなっている。さらに、中央毛束74a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束74b内のブリッスルの長さのバラツキは1.0mmとなっており、中央毛束74aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束74bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束74a及び外側毛束74bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0111】
〔実施例6〕
図11の植毛穴配置図に示す実施例6の歯ブラシ75によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.30mmの中央毛束76aが14箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束76bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束76aは、径0.203mm、長さ11.0mmのブリッスルを22本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束76bは、径0.203mm、長さ10.0mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。
【0112】
また、毛束76a,76bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は51mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は75mmとなっている。さらに、中央毛束76a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束76b内のブリッスルの長さのバラツキは0mmとなっており、中央毛束76aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束76bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束76a及び外側毛束76bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0113】
〔実施例7〕
図12の植毛穴配置図に示す実施例7の歯ブラシ77によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束78aが5箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束78bが各3箇所、合計6箇所に設けられている。各中央毛束78aは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束78bは、径0.203mm、長さ10.0〜11.0(平均10.5)mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、歯ブラシ77の後端方向に10度傾斜して植毛されている。
【0114】
また、毛束78a,78bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は51mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は75mmとなっている。さらに、中央毛束78a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束78b内のブリッスルの長さのバラツキは1.0mmとなっており、中央毛束78aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束78bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束78a及び外側毛束78bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0115】
なお、図12の植毛穴配置図において、歯ブラシ77の後端側に位置する2箇所の外側毛束78bは、環状の線分66の外側にはみ出るように描かれているが、毛束78a,78bの配置は、当該毛束78a,78bの植毛穴に近接する根元部における配置として描かれているのに対し、環状の線分66は、毛束78a、78bの先端で形成されるブラシ面における領域として描かれていることから、外側毛束78bの傾斜によって、当該外側毛束78bの先端は、環状の線分66の内側に配置されることになる。
【0116】
〔実施例8〕
図13の植毛穴配置図に示す実施例8の歯ブラシ79によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.30mmの中央毛束80aが10箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束80bが各3箇所、合計6箇所に設けられている。各中央毛束80aは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを22本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束80bは、径0.203mm、長さ10.0〜11.0(平均10.5)mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。
【0117】
また、毛束80a,80bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は51mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は75mmとなっている。さらに、中央毛束80a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束80b内のブリッスルの長さのバラツキは1.0mmとなっており、中央毛束80aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束80bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束80a及び外側毛束80bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0118】
〔実施例9〕
図14の植毛穴配置図に示す実施例9の歯ブラシ81によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束82aが5箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束82bが各3箇所、合計6箇所に設けられている。各中央毛束82aは、径0.203mm、長さ11.0mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束82bは、径0.203mm、長さ10.0mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、歯ブラシ81の後端方向に10度傾斜して植毛されている。
【0119】
また、毛束82a,82bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は85mmとなっている。さらに、中央毛束82a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束82b内のブリッスルの長さのバラツキは0mmとなっており、中央毛束82aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束82bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束82a及び外側毛束82bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0120】
〔実施例10〕
図15の植毛穴配置図に示す実施例10の歯ブラシ83によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.30mmの中央毛束84aが14箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束84bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束84aは、径0.203mm、長さ11.0mmのブリッスルを22本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束84bは、径0.203mm、長さ10.0mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、歯ブラシ83の後端方向に10度傾斜して植毛されている。
【0121】
また、毛束84a,84bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は85mmとなっている。さらに、中央毛束84a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束84b内のブリッスルの長さのバラツキは0mmとなっており、中央毛束84aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束84bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束84a及び外側毛束84bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0122】
そして、上述の構成を有する実施例1〜10の歯ブラシについて算定した、中央主ブリッスルのかたさ理論式の分子の断面積加重平均値(Mi)、外側主ブリッスルのかたさ理論式の分子の断面積加重平均値(Mo)、中央主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qi)、外側主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qo)、中央主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Hi)、外側主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Ho)、中央主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bi)、外側主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bo)、中央主ブリッスル断面積の和(Ai)、外側主ブリッスル断面積の和(Ao)、中央帯状領域の植毛範囲面積の逆数(Ui)、外側帯状領域の植毛範囲面積の逆数(Uo)、中央主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Gi)、外側主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Go)、毛束内最外周に位置する中央主ブリッスルの割合の断面積加重平均値(Fi)、及び毛束内最外周に位置する外側主ブリッスルの割合の断面積加重平均値(Fo)の16個の特徴値の値を表9に示す。
【0123】
また、これらの特徴値から、上述の式(14)によって求められた、実施例1〜10の歯ブラシについての歯間部におけるモデル歯垢除去率の予測値(Y)を表9に示す。
【0124】
【表9】
Figure 2005046232
【0125】
表9に示す算出結果によれば、本発明に係る実施例1〜10の歯ブラシは、Y>(37.6+4.3)=41.9(%)の条件を満たしており、従来の既存の歯ブラシでは得られない、優れた歯垢除去効果を発揮できることが判明する。
また、本発明の歯ブラシの設計方法によれば、歯垢除去効果に優れた歯ブラシを容易に設計できることが判明する。
【0126】
〔実施例11〕
図16の植毛穴配置図に示す実施例11の歯ブラシ85によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束86aが8箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束86bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束86aは、径0.203mm、長さ13.0mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束86bは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。
【0127】
また、毛束86a,86bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は80mmとなっている。さらに、中央毛束86a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束86b内のブリッスルの長さのバラツキは0mmとなっており、中央毛束86aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束86bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束86a及び外側毛束86bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0128】
〔実施例12〕
図17の植毛穴配置図に示す実施例12の歯ブラシ87によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束88aが8箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束88bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束88aは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束88bは、径0.203mm、長さ9.0mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。
【0129】
また、毛束88a,88bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は80mmとなっている。さらに、中央毛束88a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束88b内のブリッスルの長さのバラツキは0mmとなっており、中央毛束88aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束88bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束88a及び外側毛束88bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0130】
〔実施例13〕
図18の植毛穴配置図に示す実施例13の歯ブラシ89によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束90aが8箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束90bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束90aは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束90bは、径0.203mm、長さ9.5〜11.5(平均10.5)mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。
【0131】
また、毛束90a,90bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は80mmとなっている。さらに、中央毛束90a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束90b内のブリッスルの長さのバラツキは2mmとなっており、中央毛束90aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束90bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束90a及び外側毛束90bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0132】
〔実施例14〕
図19の植毛穴配置図に示す実施例14の歯ブラシ91によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束92aが8箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束92bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束92aは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束92bは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。
【0133】
また、毛束92a,92bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は80mmとなっている。さらに、中央毛束92a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束92b内のブリッスルの長さのバラツキは0mmとなっており、中央毛束92aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は0.2、外側毛束92bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束92a及び外側毛束92bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0134】
〔実施例15〕
図20の植毛穴配置図に示す実施例15の歯ブラシ93によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束94aが8箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束94bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束94aは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束94bは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、歯ブラシ93の先端方向に25度傾斜して植毛されている。
【0135】
また、毛束94a,94bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は80mmとなっている。さらに、中央毛束94a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束94b内のブリッスルの長さのバラツキは0mmとなっており、中央毛束94aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束94bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束94a及び外側毛束94bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0136】
なお、図20の植毛穴配置図において、歯ブラシ93の後端側に位置する4箇所の外側毛束94bは、環状の線分66の外側にはみ出るように描かれているが、毛束94a,94bの配置は、当該毛束94a,94bの植毛穴に近接する根元部における配置として描かれているのに対し、環状の線分66は、毛束94a、94bの先端で形成されるブラシ面における領域として描かれていることから、外側毛束94bの傾斜によって、当該外側毛束94bの先端は、環状の線分66の内側に配置されることになる。
【0137】
〔実施例16〕
図21の植毛穴配置図に示す実施例16の歯ブラシ95によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束96aが8箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束96bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束96aは、径0.203mm、長さ11.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束96bは、径0.203mm、長さ10.25〜10.75(平均10.5)mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。
【0138】
また、毛束96a,96bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は80mmとなっている。さらに、中央毛束96a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束96b内のブリッスルの長さのバラツキは0.5mmとなっており、中央毛束96aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は0.8、外側毛束96bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束96a及び外側毛束96bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0139】
〔実施例17〕
図22の植毛穴配置図に示す実施例17の歯ブラシ97によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束98aが8箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束98bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束98aは、径0.203mm、長さ11.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束98bは、径0.203mm、長さ10.25〜10.75(平均10.5)mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、歯ブラシ97の先端方向に5度傾斜して植毛されている。
【0140】
また、毛束98a,98bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は80mmとなっている。さらに、中央毛束98a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束98b内のブリッスルの長さのバラツキは0.5mmとなっており、中央毛束98aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束98bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束98a及び外側毛束98bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0141】
なお、図22の植毛穴配置図において、歯ブラシ97の後端側に位置する2箇所の外側毛束98bは、環状の線分66の外側にはみ出るように描かれているが、毛束98a,98bの配置は、当該毛束98a,98bの植毛穴に近接する根元部における配置として描かれているのに対し、環状の線分66は、毛束98a、98bの先端で形成されるブラシ面における領域として描かれていることから、外側毛束98bの傾斜によって、当該外側毛束98bの先端は、環状の線分66の内側に配置されることになる。
【0142】
〔実施例18〕
図23の植毛穴配置図に示す実施例18の歯ブラシ99によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束100aが8箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束100bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束100aは、径0.203mm、長さ11.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束100bは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、歯ブラシ99の先端方向に5度傾斜して植毛されている。
【0143】
また、毛束100a,100bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は80mmとなっている。さらに、中央毛束100a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束100b内のブリッスルの長さのバラツキは0mmとなっており、中央毛束100aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は0.8、外側毛束100bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束100a及び外側毛束100bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0144】
なお、図23の植毛穴配置図において、歯ブラシ99の後端側に位置する2箇所の外側毛束100bは、環状の線分66の外側にはみ出るように描かれているが、毛束100a,100bの配置は、当該毛束100a,100bの植毛穴に近接する根元部における配置として描かれているのに対し、環状の線分66は、毛束100a、100bの先端で形成されるブラシ面における領域として描かれていることから、外側毛束100bの傾斜によって、当該外側毛束100bの先端は、環状の線分66の内側に配置されることになる。
【0145】
〔実施例19〕
図24の植毛穴配置図に示す実施例19の歯ブラシ101によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.75mmの中央毛束102aが8箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束102bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束102aは、径0.178mm、長さ10.5mmのブリッスルを58本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束102bは、径0.203mm、長さ9.0mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。
【0146】
また、毛束102a,102bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は80mmとなっている。さらに、中央毛束102a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束102b内のブリッスルの長さのバラツキは0mmとなっており、中央毛束102aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束102bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束102a及び外側毛束102bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている。
【0147】
〔実施例20〕
図25の植毛穴配置図に示す実施例20の歯ブラシ103によれば、植毛台61の植毛面において一対の区画線62によって区画される3mm幅の中央帯状領域63には、毛束径1.30mmの中央毛束104aが16箇所に設けられており、中央帯状領域63の両側の一対の外側領域65には、毛束径1.75mmの外側毛束104bが各5箇所、合計10箇所に設けられている。各中央毛束104aは、径0.203mm、長さ10.5mmのブリッスルを22本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。各外側毛束104bは、径0.203mm、長さ9.0mmのブリッスルを44本束ねて形成されており、傾斜することなく植毛面に対して垂直に植毛されている。
【0148】
また、毛束104a,104bの先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する毛束の外周部分を連ねる環状の線分66によって囲まれる植毛範囲面積のうち、中央帯状領域63の植毛範囲面積は63mmとなっており、一対の外側領域65の合計の植毛範囲面積は80mmとなっている。さらに、中央毛束104a内のブリッスルの長さのバラツキは0mm、外側毛束104b内のブリッスルの長さのバラツキは0mmとなっており、中央毛束104aのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0、外側毛束104bのブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率は1.0となっている。さらにまた、中央毛束104a及び外側毛束104bを構成するブリッスルの先端には、ラウンド加工が施されている
【0149】
そして、上述の構成を有する実施例11〜20の歯ブラシについて算定した、中央主ブリッスルのかたさ理論式の分子の断面積加重平均値(Mi)、外側主ブリッスルのかたさ理論式の分子の断面積加重平均値(Mo)、中央主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qi)、外側主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qo)、中央主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Hi)、外側主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Ho)、中央主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bi)、外側主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bo)、中央主ブリッスル断面積の和(Ai)、外側主ブリッスル断面積の和(Ao)、中央帯状領域の植毛範囲面積の逆数(Ui)、外側帯状領域の植毛範囲面積の逆数(Uo)、中央主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Gi)、外側主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Go)、毛束内最外周に位置する中央主ブリッスルの割合の断面積加重平均値(Fi)、及び毛束内最外周に位置する外側主ブリッスルの割合の断面積加重平均値(Fo)の16個の特徴値の値を表10に示す。
【0150】
【表10】
Figure 2005046232
【0151】
また、これらの特徴値から、上述の式(14)によって求められた、実施例11〜20の歯ブラシについての歯間部におけるモデル歯垢除去率の予測値(Y)を表10に示す。
【0152】
表10に示す算出結果によれば、本発明に係る実施例11〜20の歯ブラシは、Y>(37.6+4.3)=41.9(%)の条件を満たしており、従来の既存の歯ブラシでは得られない、優れた歯垢除去効果を発揮できることが判明する。また、本発明の歯ブラシの設計方法によれば、歯垢除去効果に優れた歯ブラシを容易に設計できることが判明する。
【0153】
本発明の歯ブラシの設計方法をより具体的に説明すると、実施例11の歯ブラシ85は、中央主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qi)が4.55×10−4で、表11に示す既存歯ブラシ35種の平均値8.57×10−4から標準偏差2.32×10−4を引いた値6.25×10−4よりも小さい値を選択する。且つ中央主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qi)と外側主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qo)の差(Qo−Qi)が4.09×10−4で、表12に示す既存歯ブラシの最大値1.87×10−4(チェックいたわりソフト)を大きく上回るようにする。これによって、Y>41.9(%)の条件を達成したものである。
【0154】
【表11】
Figure 2005046232
【0155】
【表12】
Figure 2005046232
【0156】
また、実施例12の歯ブラシ87は、外側主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qo)が1.37×10−3で、表11に示す既存歯ブラシ35種の平均値8.62×10−4に標準偏差2.12×10−4を足した値1.07×10−3よりも大きい値を選択する。且つ中央主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qi)と外側主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qo)の差(Qo−Qi)が5.06×10−4で、表12に示す既存歯ブラシの最大値1.87×10−4(チェックいたわりソフト)を大きく上回るようにする。これによって、Y>41.9(%)の条件を達成したものである。
【0157】
また、実施例13の歯ブラシ89は、外側主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Ho)が2.00(mm)で、表11に示す既存歯ブラシ35種の平均値0.38に標準偏差0.43を足した値0.81よりも大きい値を選択する。且つ中央主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Hi)と外側主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Ho)の差(Ho−Hi)が2.00で、表12に示す既存歯ブラシの最大値6.67×10−1(ドゥーパワー)を大きく上回るようにする。これによって、Y>41.9(%)の条件を達成したものである。
【0158】
また、実施例14の歯ブラシ91は、中央主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bi)が0.2で、表11に示す既存歯ブラシ35種の平均値0.8から標準偏差0.3を引いた値0.5よりも小さい値を選択する。且つ中央主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bi)と外側主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bo)の差(Bo−Bi)が0.8で、表12に示す既存歯ブラシの最大値0.2(GUM#407)を大きく上回るようにする。これによって、Y>41.9(%)の条件を達成したものである。
【0159】
また、実施例15の歯ブラシ93は、外側主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Go)が25.0(°)で、表11に示す既存歯ブラシ35種の平均値1.3に標準偏差3.2を足した値4.5よりも大きい値を選択する。
且つ中央主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Gi)と外側主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Go)の差(Go−Gi)が25.0で、表12に示す既存歯ブラシの最大値7.54(TOTAL)を大きく上回るようにする。これによって、Y>41.9(%)の条件を達成したものである。
【0160】
また、実施例16の歯ブラシ95は、中央主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qi)と外側主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qo)の差(Qo−Qi)が2.06×10−4で、表12に示す既存歯ブラシ35種の平均値5.01×10−6に標準偏差7.00×10−5を足した値7.50×10−5よりも大きい値を選択する。且つ中央主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Hi)と外側主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Ho)の差(Ho−Hi)が0.50で、表12に示す既存歯ブラシ35種の平均値0.01に標準偏差0.26を足した値0.27よりも大きい値を選択する。且つ中央主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bi)と外側主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bo)の差(Bo−Bi)が0.20で、表12に示す既存歯ブラシ35種の平均値0.00に標準偏差0.05を足した値0.05よりも大きい値を選択する。これによって、Y>41.9(%)の条件を達成したものである。
【0161】
また、実施例17の歯ブラシ97は、中央主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qi)と外側主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qo)の差(Qo−Qi)が2.06×10−4で、表12に示す既存歯ブラシ35種の平均値5.01×10−6に標準偏差7.00×10−5を足した値7.50×10−5よりも大きい値を選択する。且つ中央主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Hi)と外側主ブリッスルの長さのバラツキの断面積加重平均値(Ho)の差(Ho−Hi)が0.50で、表12に示す既存歯ブラシ35種の平均値0.01に標準偏差0.26を足した値0.27よりも大きい値を選択する。且つ中央主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Gi)と外側主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Go)の差(Go−Gi)が5.0で、表12に示す既存歯ブラシ35種の平均値−0.6に標準偏差2.4を足した値1.8よりも大きい値を選択する。これによって、Y>41.9(%)の条件を達成したものである。
【0162】
また、実施例18の歯ブラシ99は、中央主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qi)と外側主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qo)の差(Qo−Qi)が2.06×10−4で、表12に示す既存歯ブラシ35種の平均値5.01×10−6に標準偏差7.00×10−5を足した値7.50×10−5よりも大きい値を選択する。且つ中央主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bi)と外側主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の断面積加重平均値(Bo)の差(Bo−Bi)が0.20で、表12に示す既存歯ブラシ35種の平均値0.00に標準偏差0.05を足した値0.05よりも大きい値を選択する。且つ中央主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Gi)と外側主ブリッスルの傾斜角度絶対値の断面積加重平均値(Go)の差(Go−Gi)が5.0で、表12に示す既存歯ブラシ35種の平均値−0.6に標準偏差2.4を足した値1.8よりも大きい値を選択する。これによって、Y>41.9(%)の条件を達成したものである。
【0163】
また、実施例19の歯ブラシ101は、中央主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qi)と外側主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qo)の差(Qo−Qi)が5.06×10−4で、表12に示す既存歯ブラシの最大値1.87×10−4(チェックいたわりソフト)を大きく上回るようにする。且つ中央主ブリッスルのかたさ理論式の分子の断面積加重平均値(Mi)と外側主ブリッスルのかたさ理論式の分子の断面積加重平均値(Mo)の差(Mi−Mo)が−0.127で、表12に示す既存歯ブラシの平均値0.016から標準偏差0.072を引いた値−0.056よりも小さい値を選択する。これによって、Y>41.9(%)の条件を達成したものである。
【0164】
また、実施例20の歯ブラシ103は、中央主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qi)と外側主ブリッスルのかたさ理論式の分母の断面積加重平均値(Qo)の差(Qo−Qi)が5.06×10−4で、表12に示す既存歯ブラシの最大値1.87×10−4(チェックいたわりソフト)を大きく上回るようにする。且つ毛束内最外周に位置する中央主ブリッスルの割合の断面積加重平均値(Fi)と毛束内最外周に位置する外側主ブリッスルの割合の断面積加重平均値(Fo)の差(Fi−Fo)14.7で、表12に示す既存歯ブラシの平均値−0.9に標準偏差4.6を足した値3.7よりも大きい値を選択する。これによって、Y>41.9(%)の条件を達成したものである。
【0165】
【発明の効果】
本発明の歯ブラシによれば、歯垢除去効果の向上に大きく寄与する複数の歯ブラシの特徴値に基づき、歯垢除去効果における各特徴値間の相対関係を特定して設計されることにより、優れた歯垢除去効果を発揮することになる。また本発明の歯ブラシの設計方法によれば、歯垢除去効果に優れた歯ブラシを容易且つ確実に設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯ブラシの設計方法において目的変数となる歯垢除去率と説明変数となる特徴値の測定に用いた、既存歯ブラシの構成を説明する(a),(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図2】(a),(b)は、植毛台の後側から300gの荷重Pを垂直に負荷しつつ刷掃した際に、平坦な面に先端が接触する主ブリッスルの説明図である。
【図3】ブリッスルのかたさ理論値Tを求める際の梁の撓み式を説明する模式図である。
【図4】(a),(b)は歯垢除去率のモデル試験の説明図である。
【図5】モデル歯垢除去率の予測値(Y)とモデル歯垢除去率の実測値(Y)との相関関係を分析して得られた回帰直線を示すチャートである。
【図6】実施例1の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図7】実施例2の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図8】実施例3の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図9】実施例4の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図10】実施例5の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図11】実施例6の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図12】実施例7の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図13】実施例8の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図14】実施例9の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図15】実施例10の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図16】実施例11の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図17】実施例12の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図18】実施例13の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図19】実施例14の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図20】実施例15の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図21】実施例16の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図22】実施例17の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図23】実施例18の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図24】実施例19の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【図25】実施例20の歯ブラシの植毛穴配置を説明する平面図である。
【符号の説明】
20 歯ブラシ
21 植毛台
22 首部
23a〜23k 植毛穴
24a〜24k 毛束
25a〜25k ブリッスル
26 中央帯状領域
27 外側領域
28 区画線
29 環状の線分
30 主ブリッスルの境目となる垂直方向の区画線
31 ブリッスル先端部
32 ブリッスル先端部の最大径
α 植毛台の先端方向
β 植毛台の後端方向

Claims (2)

  1. 複数本のブリッスルを束ねてなる毛束が植毛台に複数植設されている歯ブラシであって、
    前記植毛台に植設された複数本のブリッスルの先端を平坦な面に当接させて前記植毛台の背面側から300gの荷重を垂直に負荷しつつ刷掃した際に前記平坦な面に先端が接触するブリッスルである主ブリッスルについて、主ブリッスルの先端で形成されるブラシ面を歯ブラシの軸方向と平行な3mm幅の中央帯状領域とこれの両側の一対の外側領域とに区画して、ブリッスルの先端が前記中央帯状領域に位置する主ブリッスルを中央主ブリッスル、前記外側領域に位置する主ブリッスルを外側主ブリッスルとした場合に、中央帯状領域と外側領域の両方に主ブリッスルを有し、かつ下記の式(1)の条件を満たす歯ブラシ。
    Figure 2005046232
    式(1)中、
    Mi:Σ(π・(Din/2)・Ein・Din )/Σ(π・(Din/2)
    すなわち、Miは、下記の式(2)で示す中央主ブリッスルのかたさ理論値Tinを求める式の分子の中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
    Figure 2005046232
    Mo:Σ(π・(Dout/2)・Eout・Dout )/Σ(π・(Dout/2)
    すなわち、Moは、下記式(3)で示す外側主ブリッスルのかたさ理論値Toutを求める式の分子の外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
    Figure 2005046232
    Qi:Σ(π・(Din/2)/Lin )/Σ(π・(Din/2)
    すなわち、Qiは、式(2)で示す中央主ブリッスルのかたさ理論値Tinを求める式の分母の中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
    Qo:Σ(π・(Dout/2)/Lout )/Σ(π・(Dout/2)
    すなわち、Qoは、式(3)で示す外側主ブリッスルのかたさ理論値Toutを求める式の分母の外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
    Hi:Σ(π・(Din/2)・λin)/Σ(π・(Din/2)
    (式中、λinは中央主ブリッスルを有する毛束内における中央主ブリッスル間の最大段差(mm)である。)
    すなわち、Hiは、中央主ブリッスルの毛束内における長さのバラツキの大きさの中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
    Ho:Σ(π・(Dout/2)・λout)/Σ(π・(Dout/2)
    (式中、λoutは外側主ブリッスルを有する毛束内における外側主ブリッスル間の最大段差(mm)である。)
    すなわち、Hoは、外側主ブリッスルの毛束内における長さのバラツキの大きさの外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
    Ai:Σ(π・(Din/2)
    すなわち、Aiは、中央主ブリッスル断面積の和(mm)である。
    Ao:Σ(π・(Dout/2)
    すなわち、Aoは、外側主ブリッスル断面積の和(mm)である。
    Ui:1/ρin
    (式中、ρinは、主ブリッスルを有する毛束の先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する複数の毛束の外周部分を連ねるようにして囲まれた植毛範囲面積(mm)のうち、中央帯状領域に含まれる植毛範囲面積である。)
    すなわち、Uiは、中央帯状領域の植毛範囲面積の逆数である。
    Uo:1/ρout
    (式中、ρoutは、主ブリッスルを有する毛束の先端で形成されるブラシ面の、最外周に位置する複数の毛束の外周部分を連ねるようにして囲まれた植毛範囲面積(mm)のうち、外側領域に含まれる植毛範囲面積である。)
    すなわち、Uoは、外側領域の植毛範囲面積の逆数である。
    Bi:Σ(π・(Din/2)・εin)/Σ(π・(Din/2)
    (式中、εinは、ブリッスル最先端からブリッスルの直径と同じ長さだけ根元側に近づいた部分までをブリッスル先端部とした場合に、中央主ブリッスルの直径に対する先端部最大径の比率(倍)である。なお、ブリッスルの先端が複数に分岐している場合(分岐の長さがブリッスル最先端からブリッスルの直径と同じ長さ以上)、εinは、分岐前の中央主ブリッスルの直径に対する分岐後の先端部最大径の比率(倍)とする。
    すなわち、Biは、中央主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
    Bo:Σ(π・(Dout/2)・εout)/Σ(π・(Dout/2)
    (式中、εoutは、ブリッスル最先端からブリッスルの直径と同じ長さだけ根元側に近づいた部分までをブリッスル先端部とした場合に、外側主ブリッスルの直径に対する先端部最大径の比率(倍)である。なお、ブリッスルの先端が複数に分岐している場合(分岐の長さがブリッスル最先端からブリッスルの直径と同じ長さ以上)、εinは、分岐前の外側主ブリッスルの直径に対する分岐後の先端部最大径の比率(倍)とする。
    すなわち、Boは、外側主ブリッスルの根元に対する先端部の太さの比率の外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
    Gi:Σ(π・(Din/2)・│θin│)/Σ(π・(Din/2)
    (式中、θinは、中央主ブリッスルの傾斜角度(°)である。)
    すなわち、Giは、中央主ブリッスルの傾斜角度の絶対値の大きさの中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
    Go:Σ(π・(Dout/2)・│θout│)/Σ(π・(Dout/2)
    (式中、θoutは、外側主ブリッスルの傾斜角度(°)である。)
    すなわち、Goは、外側主ブリッスルの傾斜角度の絶対値の大きさの外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
    Fi:Σ(π・(Din/2)・Cin)/Σ(π・(Din/2)
    (式中、Cinは中央主ブリッスルを有する毛束内において最外周に位置するブリッスルの割合(%)である。ただし、隣接する毛束の最外周に位置するブリッスルとの間に0.5mm以上の間隔を有しないブリッスルは含まない。)
    すなわち、Fiは、中央主ブリッスルの中で、動きの自由度が高いブリッスルの割合の中央主ブリッスル断面積による加重平均値である。
    Fo:Σ(π・(Dout/2)・Cout)/Σ(π・(Dout/2)
    (式中、Coutは外側主ブリッスルを有する毛束内において最外周に位置するブリッスルの割合(%)である。ただし、隣接する毛束の最外周に位置するブリッスルとの間に0.5mm以上の間隔を有しないブリッスルは含まない。)
    すなわち、Foは、外側主ブリッスルの中で、動きの自由度が高いブリッスルの割合の外側主ブリッスル断面積による加重平均値である。
  2. 重回帰分析による歯ブラシの設計方法であって、
    目的変数となる既存歯ブラシの歯垢除去率と、説明変数となる前記既存歯ブラシの物性および寸法等の特徴値により、下記の式(4)に基づき、それぞれの回帰係数を求めるステップと、
    特定された重回帰式に基づき、所定の歯垢除去率を超えるように設定することによって歯ブラシの特徴値を決定するステップとを含む歯ブラシの設計方法。
    Figure 2005046232
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KR101786155B1 (ko) * 2010-08-06 2017-10-17 라이온 가부시키가이샤 칫솔

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