JP2005046193A - 超音波診断装置及び超音波画像データ生成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】超音波診断装置100のシステム制御部70は、予め設定されている設定音速値に基づいて異なる方向(θ0及び−θ0)からの斜め走査によって得られた2枚の予備撮影用画像データを表示部60にて重畳表示しながら設定音速値を順次更新する。一方、遅延時間演算部75は、更新された設定音速値を用いて前記方向に超音波ビームを偏向するための遅延時間を算出し、送信部21及び受信部23の遅延時間を制御する。そして、設定音速値を順次更新し、表示部60に重畳表示された2枚の画像間のズレが最小となったときの設定音速値に基づいてビーム集束用の遅延時間を設定して本撮影用画像データの生成と表示を行なう。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体の音速値の不確定さに起因する超音波ビームの集束点のズレを低減することによって、超音波画像の高分解能化を可能にする超音波診断装置、及び超音波画像データ生成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された圧電振動子から発生する超音波を被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる反射信号を圧電振動子によって受信してモニタ上に表示するものである。
【0003】
この診断方法は、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの2次元画像が容易に観察できるため、心臓などの臓器の機能診断や形態診断に広く用いられている。
【0004】
従来の超音波診断装置では、方位分解能(超音波送受波方向に垂直な方向の分解能)を高めるために、送信あるいは受信の少なくとも一方において超音波ビームを集束させる方法がとられている。特に、1次元配列した圧電振動子で構成された電子走査用の超音波プローブ、あるいはリング状の圧電振動子を同心円配列したアニュラアレイ超音波プローブを使用した超音波診断装置では、多チャンネルの送受信信号に対して遅延時間制御を行う、所謂電子集束法が用いられるのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ただし、超音波ビームを集束させる電子集束法の問題点は、集束点から離れた場所(深さ)ではビームが拡散し、方位分解能が低下することである。この問題点を解決する方法として、従来よりダイナミック集束法が用いられている。ダイナミック集束法は、受信時において、時間とともに集束点が連続的に深さ方向に移動するような遅延時間制御を行なう方法であり、超音波画像データを生成するための反射信号は常に受信超音波ビームが集束された領域から得られる。そして、近年では、受信遅延回路のデジタル化の実現により、上記集束点の移動は超音波画像データの画素単位で連続的に設定することが可能となっている。
【0006】
ダイナミック集束法における受信遅延時間の設定に際し、この遅延時間の算出に必要な被検体内音速は臓器や症例によって異なる。例えば筋肉や肝臓、あるいは乳腺などの各臓器における音速は異なり、また、同じ肝臓でも正常肝、脂肪肝、肝硬変における音速は夫々異なることが従来より知られている。
【0007】
このように被検体内における音速値は、臓器や症例、更には被検体によって異なり、普遍的に定めることが不可能な量であるため、集束点も厳密に確定することができず、ダイナミック集束法を行なう上で支障となっていた。例えば、脂肪と筋肉のように音速値に5%の差異がある場合の集束点の移動は約5mmとなり、この移動量は画素の大きさを超えるものとなる。即ち、このような場合には、集束点からの受信をとらえて画像化を行なっているとは言い難く、その結果、画質劣化を招いていた。
【0008】
上述のダイナミック集束法における問題点を解決するために、例えば、装置の設定音速値を順次変更しながら超音波走査を行い、隣接した走査方向の超音波送受波によって得られる受信信号間の相互相関演算の結果に基づいて、被検体の実際の音速値に等しいと思われる設定音速値(以下では、最適設定音速値と呼ぶ)を算出する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
この方法では、上記設定音速値を順次変化させながら少なくとも2つの方向に対して超音波の送受波を行なう。そして、得られた2つの受信信号間の相互相関係数を算出し、この相互相関係数が最小となる設定音速値を用いて超音波画像データの生成を行うものである。
【0010】
【特許文献1】
特開昭49−43480号公報(第1−2頁、第1−3図)
【0011】
【特許文献2】
特開平9−224938号公報(第6−8頁、第5図−8図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献2の方法によれば、隣接する超音波走査によって得られる信号間の相互相関処理によって、最適設定音速値を自動的に設定することが可能となるが、上記受信信号にシステムノイズ等が混入した場合には相互相関係数を正確に算出することが困難となる。また、ノイズの影響を除去するために、上記隣接走査と相互相関演算を複数の部位あるいは同一部位において複数回を行ない、各々の演算結果を加算平均する方法も上記特許文献2に記載されているが、この方法は演算に要する時間が増大する問題がある。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子的なビーム制御に要求される最適設定音速値を正確かつ容易に設定することが可能な超音波診断装置及び超音波画像データ生成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の超音波診断装置は、複数の圧電振動子を備えた超音波プローブと、前記圧電振動子を選択駆動し、被検体に対して超音波の送受波を行う送受波手段と、この送受波手段における送受信信号に対し音速値に基づいて遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、この遅延時間算出手段によって算出された前記遅延時間を有する前記超音波を用い前記被検体に対して超音波走査を行う走査手段と、この走査手段によって前記送受波手段より得られる受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、前記被検体の予想音速値に基づいて算出された第1の遅延時間を有する前記超音波を用い、前記走査手段が斜め走査の方向を変更して前記被検体を複数回走査して得られる複数の前記受信信号に基づいて、前記画像データ生成手段によって生成された複数の第1の画像データを受信して当該画像データ間のズレを計測する画像ズレ計測手段と、この画像ズレ計測手段によって計測された前記画像データ間のズレに基づいて前記被検体の音速値を設定して前記遅延時間算出手段に出力する音速設定手段とを備え、前記音速設定手段からの前記被検体の音速値に基づいて前記遅延時間算出手段は第2の遅延時間を算出し、前記走査手段は前記超音波に対して前記第2の遅延時間を与えて前記被検体を走査し、その走査によって得られる受信信号に基づいて前記画像データ生成手段は第2の画像データを生成することを特徴としている。
【0015】
また、請求項2に係る本発明の超音波診断装置は、複数の圧電振動子を備えた超音波プローブと、前記圧電振動子を選択駆動し、被検体に対して超音波の送受波を行う送受波手段と、この送受波手段における送受信信号に対し音速値に基づいて遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、この遅延時間算出手段によって算出された前記遅延時間を有する前記超音波を用い、前記被検体に対して超音波走査を行う走査手段と、この走査手段によって前記送受波手段より得られる受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、この画像データ生成手段によって生成された前記超音波画像データを表示する表示手段と、前記被検体の予想音速値の設定と更新を行う音速更新手段を備え、前記音速更新手段によって設定された前記被検体の予想音速値に基づいて、前記遅延時間算出手段が算出した第1の遅延時間を有する前記超音波を用い前記走査手段は斜め走査の方向を変更して前記被検体を複数回走査し、前記表示手段はこのとき得られる複数の前記受信信号に基づいて前記画像データ生成手段において生成される複数の第1の画像データを重畳表示する。そして、前記音速更新手段は前記被検体の予想音速値の更新に伴って変化する前記第1の画像データのズレに基づいて前記被検体の予想音速値を再設定し、前記走査手段は再設定された前記被検体の予想音速値に基づいて前記遅延時間算出手段が算出した第2の遅延時間を用いて前記被検体を走査し、その走査によって得られる受信信号に基づいて前記画像データ生成手段は第2の画像データを生成することを特徴としている。
【0016】
更に、請求項11に係る本発明の超音波診断装置は、複数の圧電振動子を備えた超音波プローブと、前記圧電振動子を駆動し、被検体に対して超音波の送受波を行う送受波手段と、被検体情報を入力する入力手段と、前記入力手段によって入力された前記被検体情報に基づいて前記被検体の所望の音速値を設定する被検体音速設定手段と、前記送受波手段における送受信信号に対して前記所望の音速値に基づいて算出した遅延時間を与えて前記被検体に対して超音波走査を行う走査手段と、この走査手段によって前記被検体より得られる受信信号から超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、この画像データ生成手段によって生成された前記超音波画像データを表示する表示手段を備えたことを特徴としている。
【0017】
また、請求項13に係る本発明の超音波診断装置は、複数の圧電振動子を備えた超音波プローブと、前記圧電振動子を選択駆動し、被検体に対して超音波の送受波を行う送受波手段と、この送受波手段における送受信信号に対し音速値に基づいて遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、この遅延時間算出手段によって算出された前記遅延時間を有する前記超音波を用い前記被検体に対して超音波走査を行う走査手段と、この走査手段によって前記送受波手段より得られる受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、この画像データ生成手段によって生成された超音波画像データを表示する表示手段と、前記被検体の予想音速値に基づいて算出された第1の遅延時間を有する前記超音波を用いて前記被検体より得られた受信信号から生成され前記表示手段に表示された第1の画像データに対して所望の領域を指定する領域指定手段と、この領域指定手段によって指定された前記所望の領域に対応する前記予想音速値を更新する音速値更新手段を備え、前記遅延時間算出手段は、前記音速値更新手段によって更新された前記予想音速値に基づいて第2の遅延時間を算出し、前記走査手段は、算出された前記第2の遅延時間を有する前記超音波を用いて前記被検体を走査し、前記画像データ生成手段は、前記走査によって得られる受信信号に基づいて第2の画像データを生成することを特徴としている。
【0018】
一方、請求項15に係る本発明の超音波画像データ生成方法は、被検体の予想音速値に基づいて遅延時間を算出するステップと、この遅延時間を用いて所定方向の斜め走査を方向を変更しながら複数回行い、複数枚の第1の画像データを生成するステップと、生成された前記複数枚の第1の画像データに対して画像データ間のズレを計測するステップと、前記画像データ間のズレに基づいて前記被検体の音速値を設定するステップと、設定された前記音速値に基づいて遅延時間を算出するステップと、算出した前記遅延時間を用いて第2の画像データの生成を行うステップを有することを特徴としている。
【0019】
また、請求項16に係る本発明の超音波画像データ生成方法は、被検体情報を入力するステップと、前記被検体情報に基づいて被検体の音速値を設定するステップと、設定された前記音速値に基づいて遅延時間を算出するステップと、算出された前記遅延時間を用いて画像データの生成と表示を行うステップを有することを特徴としている。
【0020】
更に、請求項17に係る本発明の超音波画像データ生成方法は、被検体の予想音速値に基づいて遅延時間を算出するステップと、算出された前記遅延時間を用いて第1の画像データの生成と表示を行うステップと、表示された前記第1の画像データに対して所望の領域を指定するステップと、指定された前記領域に対応する前記予想音速値を更新するステップと、更新した音速値に基づいて遅延時間を算出するステップと、算出された前記遅延時間を用いて第2の画像データの生成と表示を行うステップを有することを特徴としている。
【0021】
したがって本発明によれば、電子的なビーム制御に必要な音速値情報が正確かつ容易に設定することができるため、高画質な超音波画像を得ることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下では、本発明をリニア電子走査方式に適用した第1の実施の形態について図1乃至図7を用いて説明する。尚、図1は本実施の形態における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、この超音波診断装置を構成する送受信・画像データ生成部のブロック図を示す。
【0023】
図1に示す超音波診断装置100は、被検体90に対して超音波の送受信を行う超音波プローブ10と、この超音波プローブ10に対して電気信号の送受信を行い、得られた受信超音波信号から超音波画像データを生成する送受信・画像データ生成部20と、この送受信・画像データ生成部20において得られた複数枚の超音波画像データを順次保存するとともに、保存した超音波画像データに対して画像データ間演算を行う画像データ演算記憶部30を備えている。更に、超音波診断装置100は、上記送受信・画像データ生成部20の送受信信号に与える遅延時間を算出する遅延時間演算部75と、超音波画像データを表示する表示部60と、患者情報や各種のコマンド信号を入力する入力部80と、これら各ユニットを統括して制御するシステム制御部70を備えている。
【0024】
超音波プローブ10は、被検体90の表面に対してその前面を接触させ超音波の送受信を行うものであり、1次元に配列された複数個(M個)の微小な圧電振動子をその先端部分に有している。この圧電振動子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動信号)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、また受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する機能を有している。そして、超音波画像の解像度や感度に大きな影響を与える超音波パルスの中心周波数は、この圧電振動子の厚みによってほぼ決定される。この超音波プローブ10は小型、軽量に構成されており、Mチャンネルのケーブル11を介して送受信・画像データ生成部20のマルチプレクサ22に接続されている。超音波プローブ10にはセクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等があり、これらの超音波プローブの中から診断部位に応じて任意に選択されるが、以下ではリニア走査対応の超音波プローブ10を用いた場合について述べる。
【0025】
図2に示した送受信・画像データ生成部20は、超音波プローブ10から送信超音波を発生するための駆動信号を生成する送信部21と、上記超音波プローブ10の所定の圧電振動子を選択して、送信部21からの駆動信号を供給すると共に、上記選択された圧電振動子から得られる受信信号を受信部23に供給するマルチプレクサ22を備え、更に、マルチプレクサ22からの複数チャンネルの受信信号に対して整相加算を行なう受信部23と、整相加算した受信信号に対してBモード画像データ生成のための信号処理を行うBモード処理部24と、上記受信超音波信号に対してカラードプラ画像データ、あるいは組織ドップラ画像データ生成のための信号処理を行うドプラモード処理部25を備えている。
【0026】
送信部21は、レートパルス発生器41と、送信遅延回路42と、パルサ43を備えている。レートパルス発生器41は、被検体90に放射する超音波パルスの繰り返し周期を決定するレートパルスを送信遅延回路42に供給する。一方、送信遅延回路42は、超音波プローブ10において送信に使用される圧電振動子と同数のNチャンネルの独立な遅延回路から構成されており、送信において細いビーム幅を得るために所定の深さに超音波を収束するための集束用遅延時間と、所定の方向に超音波を送信するための偏向用遅延時間をレートパルスに与え、パルサ43に供給する。
【0027】
一方、パルサ43は、送信に使用される圧電振動子と同数のNチャンネルの独立な駆動回路を有しており、超音波プローブ10に内蔵された圧電振動子を駆動し、被検体90に対して送信超音波を放射するための駆動パルスを形成する。
【0028】
マルチプレクサ22は、超音波プローブ10のM(M>N)個の圧電振動子の中から隣接したN個の圧電振動子を選択するための電子スイッチであり、マルチプレクサ22によって選択された圧電振動子に対して、上記送信部21からのNチャンネルの駆動パルスが供給される。一方、マルチプレクサ22によって選択された上記N個の圧電振動子から供給される受信信号は、このマルチプレクサ22を介して受信部23に供給される。
【0029】
受信部23は、Nチャンネルのプリアンプ44及び受信遅延回路45と加算器46とを備えている。プリアンプ44は、圧電振動子によって電気信号に変換された微小信号を増幅し十分なS/Nを確保する。受信遅延回路45は、所定の深さからの受信超音波を集束して細い受信ビーム幅を得るための収束用遅延時間と、所定の方向に超音波ビームの受信指向性を設定するための偏向用遅延時間をプリアンプ44の出力に与えた後、加算器46に送り、加算器46において圧電振動子からの複数の受信信号は加算されて1つに纏められる。
【0030】
次に、Bモード処理部24は、対数変換器47と包絡線検波器48とA/D変換器49とを備えている。Bモード処理部24の入力信号は、対数変換器47で受信信号の振幅を対数変換し、弱い信号を相対的に強調する働きをしている。一般に被検体90からの受信信号は80dB以上の広いダイナミックレンジをもった振幅を有しており、これを20〜30dB程度のダイナミックレンジをもつ通常のテレビモニタに表示するためには弱い信号を強調する振幅圧縮が必要となる。また、包絡線検波器48は、対数変換された受信信号に対して包絡線検波を行い、超音波周波数成分を除去して振幅のみを検出する。そして、A/D変換器49は、この包絡線検波器48の出力信号をA/D変換しBモード画像データを生成する。
【0031】
一方、ドプラモード処理部25は、基準信号発生器51、π/2移相器52、ミキサ53−1及び53−2、LPF(ローパスフィルタ)54−1及び54−2を備え、更に、A/D変換器55−1及び55−2、ドプラ信号記憶回路56、FFT分析器57、演算器58を備えており、主に直交位相検波とFFT分析が行われる。
【0032】
即ち、ドプラモード処理部25の入力信号は、ミキサ53−1及び53−2の第1の入力端子に入力される。一方、この入力信号の中心周波数とほぼ等しい周波数をもった基準信号発生器51の出力は、ミキサ53−1の第2の入力端子に直接送られ、π/2移相器52を介して90度位相がシフトした出力はミキサ53−2の第2の入力端子に送られる。これらのミキサ53−1及び53−2の出力は、LPF54−1及び54−2に送られ、ドプラモード処理部25の入力信号の周波数と基準信号発生器51からの信号周波数との和の成分が除去され、差の成分のみが抽出される。
【0033】
A/D変換器55−1及び55−2は、LPF54−1及び54−2の出力、即ち直交位相検波出力をデジタル信号に変換し、FFT分析器57は、デジタル化された直交成分を一旦ドプラ信号記憶回路56に保存した後FFT分析を行う。一方、演算器58は、FFT分析器57によって得られるドプラ信号の周波数スペクトルに対して、その中心周波数や広がり(分散)などの演算を行う。
【0034】
次に、図1に戻って、画像データ演算記憶部30は、送受信・画像データ生成部20において生成された画像データを保存する画像データ記憶回路31と、この画像データに対して相互相関処理などの画像データ間演算を行う画像データ演算回路32とを備えている。この画像データ記憶回路31は、送受信・画像データ生成部20のBモード処理部24において生成されたBモード画像データ、及びドプラモード処理部25において生成されたドプラモード画像データを保存する記憶回路であり、被検体90の所定の部位に対して異なる方向から超音波送受波を行なうことによって生成される複数の第1の画像データ(以下では、予備撮影用画像データと呼ぶ)と、後述する画像データ間演算結果に基づいて算出される被検体90の最適設定音速値に基づいて生成された第2の画像データ(以下では、本撮影用画像データと呼ぶ)が保存されている。
【0035】
また、画像データ演算回路32は、図示しない高速演算器と記憶回路を有し、被検体90の所定部位に対して異なる方向から超音波送受波を行なうことによって生成された複数の予備撮影用画像データに対し、画像データ間の相互相関処理などの画像データ間演算を行なって画像データのズレを計測し、更に、この計測値に基づいて被検体90の最適設定音速値(即ち、被検体90の実際の音速値に等しいと思われる設定音速値)を算出する。
【0036】
一方、遅延時間演算部75は、図示しない高速演算器と記憶回路を有し、初期設定された音速値、あるいは上記画像データ演算記憶部30において算出された最適設定音速値に基づいて、送信部21の送信遅延回路42及び受信部23の受信遅延回路45における遅延時間を算出する。
【0037】
次に、表示部60は、表示用画像データ記憶回路61と変換回路62とカラーモニタ63を備えており、画像データ演算記憶部30の画像データ記憶回路31に保存された予備撮影用画像データ及び本撮影用画像データと入力部80から入力された各種の文字や数字などの付帯情報は上記表示用画像データ記憶回路61において合成され、更に、変換回路62においてD/A変換とテレビフォーマット変換が行われた後、CRTあるいは液晶などのカラーモニタ63に表示される。
【0038】
一方、入力部80は、操作パネル上にキーボード、トラックボール、マウス等の入力デバイスと表示パネルを備え、患者情報、画像データ収集モード、音速値の入力、画像データの収集や画像間演算に必要な指示信号などの入力を行なう。そして、システム制御部70は、入力部80からの指示信号に基づいて送受信・画像データ生成部20、画像データ演算記憶部30、表示部60、遅延時間演算部75、更には入力部80などの各ユニットの制御やシステム全体の制御を統括して行う。
【0039】
(装置の基本動作)
次に、本実施の形態における超音波診断装置100の基本動作について図1乃至図4を用いて説明する。尚、図3には、マルチプレクサ22によって行なわれる超音波プローブ10の圧電振動子12−1乃至12−Mの選択駆動方法について示す。
【0040】
被検体90に対する超音波の送受波に際して、図1のシステム制御部70は、送受信・画像データ生成部20のマルチプレクサ22に振動子選択制御信号を供給する。そして、マルチプレクサ22は、図3に示した超音波プローブ10の圧電振動子12−1乃至12−Nを選択し、これらのN個の圧電振動子12−1乃至12−Nを送受信・画像データ生成部20のNチャンネルから構成される送信部21の出力端子及び受信部23の入力端子に接続する。次いで、システム制御部70は、図2の送信部21のレートパルス発生器41に対して送信制御信号を供給し、レートパルス発生器41は、システム制御部70からの制御信号に同期して被検体90に放射する超音波パルスの繰り返し周期を決定するレートパルスを送信遅延回路42に供給する。
【0041】
送信遅延回路42は、送信において細いビーム幅を得るために所定の深さに超音波を集束するための集束用遅延時間と、所定の方向(θ)に超音波を送信するための偏向用遅延時間をレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ43に供給する。そして、パルサ43は、レートパルスの駆動によって発生する圧電振動子駆動信号を、マルチプレクサ22によって選択された超音波プローブ10の隣接したN個の圧電振動子12−1乃至12−Nに供給して駆動し、被検体90のθ方向に超音波パルスを放射する。
【0042】
被検体90に放射された超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる臓器間の境界面あるいは組織にて反射する。また、この超音波が心臓壁や血球などの動きのある反射体で反射する場合は、その超音波周波数はドプラ偏移を受ける。
【0043】
被検体90の組織にて反射した超音波反射波(受信超音波)は、超音波プローブ10の圧電振動子12−1乃至12−Nによって受信されて電気信号(受信信号)に変換され、更に、マルチプレクサ22によって選択された上記N個の圧電振動子12−1乃至12−Nの受信信号は、受信部23におけるNチャンネルの独立なプリアンプ44にて増幅されてNチャンネルの受信遅延回路45に送られる。
【0044】
受信遅延回路45は、受信において細いビーム幅を得るために所定の深さからの超音波を収束するための集束用遅延時間と、超音波ビームに対して所定の方向(θ)に強い受信指向性をもたせて受信するための偏向用遅延時間を上記受信信号に与えた後、加算器46に送る。そして、加算器46は、受信遅延回路45から出力されるNチャンネルの受信信号を加算合成し、1つの受信信号に纏めた後、Bモード処理部24とドプラモード処理部25に供給する。尚、上記受信遅延回路45は、後述するダイナミック集束を行なうために、受信集束点が時間と共に被検体90の深さ方向に連続的に移動するような遅延時間を受信信号に対して与える。
【0045】
次に、Bモード画像データを生成する場合には、加算器46の出力はBモード処理部24において、対数変換、包絡線検波、A/D変換がなされた後、図1の画像データ演算記憶部30における画像データ記憶回路31のBモード画像領域に保存される。
【0046】
一方、ドプラモード画像データの生成を行うためには、受信信号のドプラ偏移を求めるために上記手順によって同一方向(θ)に連続して複数回の超音波送受波を行い、このとき得られる受信信号に対してFFT(Fast−Fourier−Transform)分析を行う。即ち、ドプラモード処理部25は、加算器46の出力に対してミキサ53−1、53−2及びLPF54−1、54−2を用いて直交位相検波して複素信号に変換し、更に、A/D変換器55−1,55−2にてデジタル信号に変換した後、ドプラ信号記憶回路56に保存する。上記θ方向に対して複数回の超音波送受波によって得られた受信信号について同様な処理を行い、ドプラ信号記憶回路56に保存した後、FFT分析器57は、ドプラ信号記憶回路56に保存された受信信号を読み出して周波数スペクトルを求める。
【0047】
次いで、演算器58は、FFT分析器57において算出された周波数スペクトルに対して、その中心周波数(即ち、組織や血流の平均速度)や分散値などを算出し、システム制御部70は、これらの算出結果をドプラモード画像データとして図1の画像データ記憶回路31のドプラモード画像領域に保存する。但し、FFT分析器57において求まるドプラ信号の周波数スペクトラムには、心筋などの組織の運動によって生ずる組織ドプラ成分と血流の流れによって生ずる血流ドプラ成分とがあり、前者は後者より低周波成分で構成されている。従って、所望のドプラ成分に応じて最適なフィルタリング定数の設定を行う必要がある。
【0048】
尚、超音波受信信号のドプラ成分の算出において、上記のようなFFT分析を用いる方法の代わりにMTIフィルタ及び自己相関関数を使用してドプラ成分スペクトルの中心(即ち、平均速度)やパワーあるいは分散値を求めてもよい。
【0049】
送受信・画像データ生成部20のマルチプレクサ22によって圧電振動子12−1乃至12−Nを選択し、θ方向に対して第1の超音波走査を行ったならば、次に、マルチプレクサ22は、システム制御部70から供給される振動子選択制御信号に従って圧電振動子12−2乃至12−(N+1)を選択し、送受信・画像データ生成部20の送信部21の出力端子及び受信部23の入力端子に接続する。
【0050】
そして、選択された圧電振動子12−2乃至12−(N+1)を用い、上記第1の超音波走査と同様の手順によってθ方向に対して第2の超音波走査を行ない、得られたBモード画像データ及びドプラモード画像データを画像データ演算記憶部30の画像データ記憶回路31に保存する。
【0051】
以下同様にして、圧電振動子12−(M−N+1)乃至12−Mが選択されてθ方向の第(M−N+1)の超音波走査が行なわれるまで被検体90に対する超音波送受波が繰り返し行なわれる。そして、上記手順によってθ方向に走査して得られた画像データは図1の画像データ演算記憶部30における画像データ記憶回路31に保存される。
【0052】
以上述べた超音波診断装置100の基本動作により生成されたBモード画像データあるいはドプラモード画像データは、直接あるいは合成されて表示部60に表示される。即ち、システム制御部70は、画像データ演算記憶部30の画像データ記憶回路31に保存されているドプラモード画像データやBモード画像データ、更には合成画像データを読み出し、これらの画像データに対して付帯情報である数字や文字などを重畳して表示用画像データ記憶回路61に一旦保存する。そして、上記画像データを変換回路62に供給し、カラー処理、D/A変換、TVフォーマット変換などを行なってカラーモニタ63に表示する。
【0053】
(超音波の偏向角及び焦点距離と遅延時間)
ここで、選択されたN個の圧電振動子(例えば12−1乃至12−N)の駆動信号あるいは受信信号に対して与えられる遅延時間と超音波ビームの焦点距離(F)及び偏向角(θ)の関係について図4を用いて説明する。尚、図2の送信部21における送信遅延回路42、あるいは受信部23における受信遅延回路45では、集束点(F)に対する集束用遅延時間と偏向角(θ)に対する偏向用遅延時間は合成されてレートパルス発生器41の出力パルス、あるいはプリアンプ44の出力信号に与えられるが、図4では、説明を容易にするために分離して示す。
【0054】
図4(a)に示した電子的な超音波ビームの集束法(電子集束法)において、1次元に間隔dで配列された圧電振動子12から距離Fの深さに送信超音波あるいは受信超音波の集束点を設定する場合、n番目の圧電振動素子12に対応した駆動信号あるいは受信信号に供給される集束用遅延時間τf(n)は近似的に、
【数1】
となる。但し、Vは被検体90の音速値である。
【0055】
従来より、画像の高分解能化を目的として、上記の電子集束法が導入されてきたが、この電子集束法では集束点から離れた場所(深さ)ではビームが拡散し、分解能が低下する。このため、受信時には時間とともに集束点が連続的に深さ方向に移動する、所謂ダイナミック集束法が用いられている。ダイナミック集束法では、反射信号は常に受信超音波ビームが集束された領域から得られるため、深さに依らずに高分解能を有した画像データが生成される。尚、このダイナミック集束法の詳細については、特許文献2に記載されているため、ここでの説明は省略する。
【0056】
一方、図4(b)の電子的な超音波ビームの偏向法において、1次元に間隔dで配列された圧電振動子12の配列方向に垂直な方向に対して超音波ビームを角度θに偏向する場合、n番目の圧電振動素子12に対応した駆動信号あるいは受信信号に供給される偏向用遅延時間τs(n)は近似的に、
【数2】
によって示される。
【0057】
(画像データ生成の手順)
次に、図1乃至図7を用いて本発明の第1の実施の形態における画像データの生成手順について説明する。尚、図5は本実施の形態における画像データ生成の手順を示すフローチャートである。また、本実施の形態においては、リニア走査用の超音波プローブ10を使用し、被検体90に対する最適設定音速値を算出するための予備撮影用Bモード画像データの生成と、本撮影用Bモード画像データ及び本撮影用ドプラモード画像データの生成を行う。
【0058】
即ち、図1の入力部80において、使用する超音波プローブ10のプローブIDや上記画像データの収集に必要な種々の撮影条件が操作者によって入力され、これらの入力情報はシステム制御部70の図示しない記憶回路に送られ保存される(図5のステップS1)。そして、上記の初期設定が終了したならば、操作者は超音波プローブ10の先端(超音波送受信面)を被検体90の体表面上の所定位置に固定し、画像データ生成のためのコマンド信号を入力部80より入力する(図5のステップS2)。次いで、システム制御部70は、予め記憶回路に保存されている初期設定音速値(V=V0)や予備撮影における超音波ビームの偏向角(θ=θ0及び−θ0)、更には上記プローブIDの入力によって得られる圧電振動子12の素子数M及びNや配列ピッチdなどのデータを記憶回路から読み出し、遅延時間演算部75に供給する。
【0059】
そして、遅延時間演算部75の図示しない高速演算器は、上記のデータを用い、既に示した式(1)に基づいて偏向角がθ0の場合の遅延時間を圧電振動子(n)及び焦点距離Fをパラメータに算出し(図5のステップS3)、遅延時間演算部75の図示しない記憶回路に保存するとともにシステム制御部70に供給する。次いで、システム制御部70は、算出された遅延時間に基づいて超音波ビームの偏向角θがθ0となるように送信部21の送信遅延回路42及び受信部23の受信遅延回路45の遅延時間を設定する。更に、システム制御部70は、マルチプレクサ22に対して振動子選択制御信号を供給して図3に示した圧電振動子12−1乃至12−Nを選択し、θ=θ0方向に対して第1の超音波走査を行なう。そして、得られた画像データを、図1の画像データ演算記憶部30における画像データ記憶回路31に保存する。
【0060】
次に、システム制御部70は、マルチプレクサ22に振動子選択制御信号を供給して圧電振動子12−2乃至12−(N+1)を選択し、θ=θ0方向に対して第2の超音波走査を行なう。そして、得られた画像データを画像データ演算記憶部30における画像データ記憶回路31に保存する。以下同様にして、圧電振動子12−(M−N+1)乃至12−Mが選択されて第(M−N+1)の超音波走査が行なわれるまでθ0方向の超音波送受波は繰り返される。そして、上記手順によってθ0方向に斜め走査して得られた画像データは画像データ記憶回路31に保存される。
【0061】
次に、システム制御部70は、送信部21の送信遅延回路42と受信部23の受信遅延回路45に対して−θ0方向に超音波を送受信するための遅延時間を設定する。そして、上記θ0の場合と同様にして−θ0方向に対して第1の超音波走査乃至第(M−N+1)の超音波走査を繰り返し、得られたBモード画像データを画像データ記憶回路31に保存する。
【0062】
即ち、画像データ演算記憶部30における画像データ記憶回路31には、超音波の走査方向をθ0に設定して得られた第1の予備撮影用Bモード画像データ(画像データA)と−θ0方向に設定して得られた第2の予備撮影用Bモード画像データ(画像データB)が保存される(図5のステップS4)。
【0063】
2つの異なる方向に対する斜め走査によって2枚の予備撮影用Bモード画像データの生成が終了したならば、システム制御部70は、画像データ演算記憶部30の画像データ演算回路32に画像データ間演算の指示信号を供給し、この指示信号を受信した画像データ演算回路32は、画像データ記憶回路31に保存されている画像データAと画像データBを読み出し、画像データ間の相互相関処理によって両者の画像ズレの計測を行う(図5のステップS5)。
【0064】
(画像ズレ)
次に、被検体90における実際の音速が装置の設定音速値と異なる場合に発生する画像のズレについて図6を用いて説明する。既に示した式(1)及び式(2)においても明らかなように、焦点距離Fあるいは偏向角度θは音速Vに依存し、従って、被検体90の実際の音速が設定音速値と異なる場合には画像ズレが発生する。即ち、図6(a)において、装置の設定音速値がV0、被検体90の実際の音速がV0+ΔVの場合、これらの音速と画像上の走査方向(偏向角度)θ0及び被検体90における実際の走査方向θ0+Δθは式(2)より下式(3)の関係が成立する。
【0065】
【数3】
このため、例えば、図6(a)のθ0+Δθの方向に存在する実際の反射体Bは、図1の表示部60のカラーモニタ63に表示される超音波画像上ではθ方向の反射体Cとして表示される。また、N個の圧電振動子12の中心Oと実際の反射体B及び表示された反射体Cとの距離r1及びr2は、次式(4)の関係にある。
【0066】
【数4】
従って、上記反射体Bと反射体Cの水平方向の画像ズレΔγ/2は
【数5】
によって算出される。
【0067】
同様にして超音波ビームの偏向角度が−θ0の場合には、図6(b)に示すように反対方向に位置ズレした反射体C’が表示部60のカラーモニタ63に表示される。即ち、カラーモニタ63では、偏向角θ0の超音波画像と、偏向角−θ0の超音波画像に表示される反射体C及びC’の間隔Δγは式(5)に示した関係にあり、V0、θ0及びr2は既知の値であるため、Δγが計測できれば被検体90における実際の音速値V0+ΔVを求めることが可能となる。
【0068】
(画像ズレの計測)
以下に、画像ズレΔγの計測を目的とした相互相関係数の算出方法について図7を用いて説明する。図7(a)において、θ0方向の斜め走査によって得られた画像データAの画素(p、q)における信号強度をA(p、q)、同様にして−θ0方向の斜め走査によって得られた画像データBの画素(p、q)における信号強度をB(p、q)とすれば、これらの画像データ間の相互相関係数αAB(k、s)は次式(6)によって求めることができる。
【0069】
【数6】
この計算の結果、図7(b)に示すようにk=k1においてγAB(k、s)が最大値をもつ場合には画像がp方向(水平方向)にk1だけズレていることを示す。ここで特に重要なのはp方向における画像ズレΔγであり、この画像ズレΔγは、上記ピクセル数k1に1ピクセルの大きさΔkを乗ずることによって算出される。この画像ズレΔγを式(5)に代入することによって音速差ΔV、あるいは被検体90の実際の音速V0+ΔVを算出することができる。
【0070】
再び画像生成手順の説明に戻り、図1の画像データ演算回路32によって画像データのズレから被検体90の実際の音速V0+ΔV(以下では最適設定音速値V1とする)が算出されたならば(図5のステップS6)、システム制御部70は、この音速値V1に基づいて送信部21の送信遅延回路42及び受信遅延回路45における遅延時間の再設定を行ない(図5のステップS7)、再設定された遅延時間を用いて本撮影用のBモード画像データ及びドプラモード画像データの生成と表示を行う(図5のステップS8)。但し、本撮影における超音波の送受信方向は、通常、圧電振動子12の配列方向に対して垂直な方向(θ=0)に設定される。
【0071】
以上述べた本実施の形態によれば、2つの異なる方向からの斜め走査によって得られた画像データの相互相関演算から画像ズレを計測しているため、最適設定音速値V1の算出と、この最適設定音速値V1に基づいた集束用遅延時間あるいは偏向用遅延時間の再設定を自動的に行なうことができる。このため、最適設定音速V1の算出を短時間で精度良く行うことができ、しかも操作者に与える負担が極めて少ない。
【0072】
(第1の変形例)
次に、上記第1の実施の形態の変形例について図8を用いて説明する。尚、図8に示した本変形例における画像データ生成手順のフローチャートにおいて、図5に示した上記実施の形態の収集手順と同じ部分は同一の符号をつけ、その説明は省略する。
【0073】
被検体90の最適設定音速値V1を算出する際に、上記実施の形態では、2種類の斜め走査によって得られた画像データA及び画像データBの相互相関演算から画像ズレΔγを計測し、この画像ズレΔγを、例えば式(5)に代入することによって最適設定音速値V1を算出したが、この変形例では、2種類の斜め走査によって得られた画像データA及び画像データBの所定の領域において下式(7)に基づいて相関係数βABの算出を行なう。
【0074】
【数7】
このとき、システム制御部70は、装置の設定音速値V0を順次変更しながら、2種類の斜め走査による画像データの生成と上記相関係数βABの演算を繰り返し、相関係数βABが最大値を示したときの設定音速値V0を被検体90の最適設定音速値V1に設定する(図8のステップS10)。そして、システム制御部70は、この最適設定音速値V1に基づいて送信部21の送信遅延回路42及び受信部23の受信遅延回路45における遅延時間を再設定し(図8のステップS7)、再設定された遅延時間を用いて本撮影用のBモード画像データあるいはBモード画像データとドプラモード画像データの生成と表示を行う(図8のステップS8)。
【0075】
この変形例によれば、上記第1の実施の形態と同様に、被検体90の最適設定音速値V1の算出と、この最適設定音速値V1に基づいた集束用遅延時間あるいは偏向用遅延時間の再設定を自動的に短時間で行なうことができ、従って、操作者に対する負担が軽減される。しかも、この変形例では、選択された領域における相関係数βABの算出が行なわれるため、特にS/Nに優れた領域の画像データを選択して演算することができ、より正確な最適設定音速値V1の算出が可能となる。更に、特定の部位に対して局所的な音速の算出を行なうことができるため、被検体90の音速分布が一様でない診断部位に対して有効である。
【0076】
尚、上記装置の設定音速V0は、操作者が入力部80においてマニュアルで順次変更してもよい。この場合、設定音速値V0と相関係数βABの数値は、例えば表示部60のカラーモニタ63、あるいは入力部80の表示パネルに表示され、操作者は、表示された相関係数βABが最大値を示したときの設定音速値V0を検出し、この設定音速値V0を被検体90の最適設定音速値V1として入力部80において入力した後、本撮影用の画像データの生成と表示を行う。
【0077】
(第2の変形例)
次に、本実施の形態における第2の変形例について図9を用いて説明する。この変形例の特徴は、角度の異なる斜め走査によって得られた2枚の画像データを重畳表示し、被検体90の同一反射体の画像が重なるように設定音速値を制御することにある。
【0078】
図9は、上記重畳表示を模式的に示した図であり、被検体90の最適設定音速値V1が装置の設定音速V0と異なる場合、被検体90の反射体Bは、図9(a)に示したθ0方向の斜め走査によって得られる画像ではCに、又、図9(b)の−θ方向の斜め走査によって得られる画像ではC’に表示され、これらを重畳表示した図9(c)では、上記CとC’はΔγだけ離れて表示される。
【0079】
即ち、操作者は、入力部80において設定音速値V0を入力し、システム制御部70は、入力された設定音速値V0に基づいて遅延時間演算部75において演算される遅延時間を送信部21の送信遅延回路42及び受信部23の受信遅延回路45に対して設定する、そして、上記第1の実施の形態と同様の手順によって超音波の走査方向をθ0に設定して得られる第1の予備撮影用Bモード画像データ(画像データA)と−θ0方向に設定して得られる第2の予備撮影用Bモード画像データ(画像データB)を生成し、これらの画像データを表示部60のカラーモニタ63に重畳表示する。この場合、画像データAと画像データBを色別した半透明表示法にて表示することが好適である。
【0080】
次いで、操作者は、表示部60のカラーモニタ63に重畳表示された超音波画像(図9(c))を観察しながら、入力部80より設定音速値V0を順次更新し、システム制御部70は、更新された設定音速値V0に基づいて遅延時間演算部75にて算出された遅延時間を用い、新たに画像データA及び画像データBを生成して表示部60に重畳表示する。そして、重畳表示された画像において分離して表示されている被検体90の反射体画像C及びC’が順次移動し、Bの位置に最も接近したときの設定音速V0を被検体90の最適設定音速値V1に設定する。
【0081】
そして、操作者が、入力部80において最適設定音速値V1の入力と本撮影の開始コマンドを入力したならば、システム制御部70は、この最適設定音速値V1に基づいて遅延時間演算部75にて算出された遅延時間を用いて、第1の実施の形態と同様の手順によって本撮影における超音波画像データの収集と表示を行なう。
【0082】
この第2の変形例によれば、複雑な相関処理演算を必要としないため、画像データの全領域においてノイズの混入が多い場合には有効な手段となる。
【0083】
尚、上記実施の形態及び変形例ではリニア走査方式を例に説明したがコンベックス走査方式であってもよい。また本撮影をセクタ走査方式で行う場合には、リニア走査用、あるいはコンベックス走査用の超音波プローブ10を用いた予備撮影において最適設定音速値V1を求め、次いで、セクタ走査用の超音波プローブ10と交換した後、上記最適設定音速値V1に基づいて本撮影を行なってもよい。
【0084】
更に、上記実施の形態と変形例においては、斜め走査の偏向角を左右対称(即ち、θ0及び−θ0)に設定したが、これに限定されるものではない。
【0085】
また、上記実施の形態と第1の変形例においては、予備撮影用の画像データによる最適設定音速値が算出されたならば、この最適設定音速値に基づいた本撮影用の画像データの生成と表示が自動的に行われる場合について述べたが、本撮影は操作者が入力する本撮影開始コマンドに従って開始されてもよい。
【0086】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について図10及び図11を用いて説明する。この第2の実施の形態の特徴は、操作者によって入力部80より入力される被検体90の診断部位等の情報に基づいて被検体90の最適設定音速値V1が設定されることにある。本実施の形態における超音波診断装置の構成では、図1に示した第1の実施の形態の超音波診断装置100の画像演算部32は必ずしも必要としないが、その他の構成は同様であるため、図1のブロック図と図10のフローチャートを用いて本実施の形態の画像データ生成手順について説明する。
【0087】
既に述べたように、被検体90の音速値は、診断部位や症例、あるいは肥満度に依存することが多くの基礎研究から明らかになりつつある。本実施の形態では、システム制御部70の記憶回路には、予め診断部位別、症例別、肥満度別など分類された平均的な音速値が保存されている。この平均的な音速値(ここでは最適設定音速値と呼ぶ。)は一般に公開されている研究論文の値を用いてもよいが、例えば、第1の実施の形態に示した方法などを用いて蓄積された実際の臨床データであってもよい。
【0088】
撮影に先立ち、操作者は、入力部80にて超音波走査方式や使用する超音波プローブ10、更には画像データ収集モードなどの設定とともに被検体90の「診断部位」や「症例」あるいは「肥満度」などの被検体(患者)情報を入力する(図10のステップS11)。図11は、システム制御部70の記憶回路に予め保存されている音速データを模式的に示したものであり、例えば、「肝臓」g1、「甲状腺」g2、「乳腺」g3、「前立腺」g4・・・などの診断部位によって分類され、更に、各診断部位において症例別(例えば正常肝、脂肪肝、肝硬変・・・)の最適設定音速値V11、V12,V13・・・が設定されている。
【0089】
従って、操作者は、入力部80の表示パネルに表示されている各種「診断部位」の中から「肝臓」g1を選択し、更に症例として「肝硬変」を選択することによって被検体90の最適設定音速値としてV13が選択される(図10のステップS12)。次いで、システム制御部70は、入力部80からの撮影開始コマンドを受信したならば(図10のステップS13)、上記最適設定音速値V13を遅延時間演算部75に供給し、遅延時間演算部75の図示しない高速演算器は、既に示した式(1)のVにV13を代入することによって圧電振動子(n)及び焦点距離Fをパラメータに遅延時間を算出して遅延時間演算部75の図示しない記憶回路に保存する(図10のステップS14)。
【0090】
上記の初期設定と遅延時間演算が終了したならば、操作者は超音波プローブ10の先端(超音波送受信面)を被検体90の体表面上の所定位置に固定し、本撮影用の超音波画像データの収集を開始する(図10のステップS15)。但し、上記本撮影の手順は第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0091】
この第2の実施の形態によれば、予め疾患名が明らかな被検体90に対する超音波検査においては、簡単な操作によって比較的良質な画像データを収集することができる。また、画像を用いた計測を行う必要がないため、画像データに多くのノイズが混入している場合には有効な手段となる。
【0092】
尚、上記の「診断部位」や「症例」あるいは「肥満度」などは、操作者が入力部80より入力してもよいが、撮影に先立って、超音波診断装置100をネットワークを介して同じ院内のHIS(病院情報システム)などと接続し、このHISに既に保存されている被検体(患者)情報を読み出してシステム制御部70に入力してもよい。
【0093】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について図12乃至図13を用いて説明する。この第3の実施の形態の特徴は、予め表示された予備撮影用の画像において所望の位置あるいは所望の領域を指定し、指定された領域の画像の解像度が最良になるように装置の設定音速値を局所的に制御することにある。
【0094】
本実施の形態における超音波診断装置の構成は、図1に示した第1の実施の形態の画像演算部32が不要となるが、その他の構成と装置の基本動作は第1の実施の形態と同様であるため、図1のブロック図と図12に示したフローチャートを用いて本実施の形態の画像データ生成手順について説明する。尚、本実施の形態における入力部80には、表示部60のカラーモニタ63に表示される超音波画像の任意の位置を指定すると共に、この位置を集束点として行なわれる超音波送受波の遅延時間の算出における装置設定音速を更新する機能を有している。
【0095】
操作者は、入力部80にて超音波走査方式や使用する超音波プローブ10のIDの選択、画像データ収集モードなどの撮影条件の設定、更には、被検体情報の入力を行う。(図12のステップS21)。そして、入力部80より撮影開始コマンドが入力されたならば(図12のステップS22)、遅延時間演算部75は、システム制御部70の記憶回路に予め保存されている設定音速値V0と、上記プローブIDに対応したプローブ仕様をシステム制御部70から受信し、走査方向θ=0に対する超音波送受波の遅延時間を算出する(図12のステップS23)。
【0096】
次いで、システム制御部70は、算出された遅延時間に基づいた遅延時間制御信号を送信部21の送信遅延回路42及び受信部23の受信遅延回路45に供給する。そして、超音波の走査方向をθ=0に設定して第1の実施の形態と同様の動作によって予備撮影用のBモード画像データを生成し、この画像データを表示部60のカラーモニタ63に表示する(図12のステップS24)。
【0097】
次に、操作者は、表示部60のカラーモニタ63に表示された超音波画像を観察し、この画像上において、病変部など特に詳細な観測をしたい部位(解像度改善部位)を入力部80の入力デバイスを用いて指定し(図12のステップS25)、更に、設定音速値V0を更新する(図12のステップS26)。システム制御部70は、指定された画像上の位置を認識し、この位置を集束点として既に設定されている遅延時間の再設定を行なう。即ち、入力部80において更新された設定音速値V0に基づいて、遅延時間演算部75は、上記集束点に対応する遅延時間を算出し(図12のステップS27)、システム制御部70は、この遅延時間を用いて画像データの生成と表示を行う(図12のステップS28)。
【0098】
図13(a)及び図13(b)は、水平方向が圧電振動子12の配列方向、垂直方向が超音波送受信方向に対応した超音波画像上に設定されている複数の集束点を示しており、操作者によって、例えば集束点hが指定され、更に新たな設定音速値V0sが入力された場合、システム制御部70は、集束点hの設定音速値をV0sに更新すると共に、この集束点hから離れるに従ってV0sから初期の設定音速値V0になるように周囲の設定音速値を更新する。次いで、更新されたこれらの設定音速値に基づいて遅延時間演算部75が算出する遅延時間を用い、Bモード画像データを生成して表示部60に表示する。
【0099】
操作者は、表示された新たな画像に対して更なる解像度を望む場合は、再度設定音速値V0sの更新を行ない(図12のステップS29)、システム制御部70は、更新された設定音速値V0sに基づいて新たな画像データを生成して表示部60に表示する。そして、最も解像度の優れた画像が得られる場合の設定音速値(最適設定音速値)V1sを検出し、この最適設定音速値V1sを用いて本撮影を行なう(図12のステップS30)。
【0100】
一方、図13(b)に示すように、表示部60に表示される画像上において複数個の集束点(例えば、集束点h1乃至集束点h4)の位置を指定し、これらの集束点における設定音速値(例えば、V0s1乃至V0s4)を順次更新しながら上記と同様の手順によって集束点h1乃至集束点h4に対応する最適設定音速値を求めることも可能である。尚、図13(a)及び図13(b)の下段には上段の集束点分布図のA−A’及びB−B’における設定音速値の分布図を示す。この場合、選択されていない集束点に対する設定音速値は、上記設定音速値V0s1乃至V0s4に基づいた内挿近似、あるいは外挿近似によって設定される。
【0101】
以上述べた第3の実施の形態によれば、設定音速値を局所的に更新することが可能なため、特に被検体90の実際の音速分布が不均一な場合においても所望の部位における解像度の改善を行うことができる。また、この実施の形態における予備撮影は、本撮影時と同様の走査方式によって行うことができるためリニア走査方式のみならずセクタ走査方式、あるいはコンベックス走査方式のいずれにおいても超音波プローブ10の交換を行うことなく予備撮影と本撮影を行うことができる。
【0102】
以上、本発明の実施の形態について述べてきたが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものでは無く、変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態の説明では、圧電振動子12が1次元に配列された場合について述べたが、2次元配列された圧電振動子12による2次元画像データあるいは3次元画像データの生成においても本発明は有効である。また、送受波・画像データ生成部20は、アナログ方式の回路構成としたが、デジタル方式であっても構わない。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、電子的なビーム制御に要求される被検体の最適設定音速値を正確かつ容易に設定することが可能なため、高分解能な超音波画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態における送受信・画像データ生成部の構成を示す図。
【図3】同実施の形態における圧電振動子の選択駆動方法を示す図。
【図4】同実施の形態における遅延時間と超音波ビームの偏向角及び焦点距離の関係を説明するための図。
【図5】同実施の形態における画像データ生成手順を示すフローチャート。
【図6】同実施の形態における画像ズレを示す図。
【図7】同実施の形態における画像ズレの計測を目的とした相互相関係数の算出方法を示す図。
【図8】同実施の形態の第1の変形例における画像データ生成手順を示すフローチャート。
【図9】同実施の形態の第2の変形例における重畳表示を模式的に示す図。
【図10】本発明の第2の実施の形態における画像データ生成手順を示すフローチャート。
【図11】同実施の形態における診断部位及び症例に対する最適設定音速値を模式的に示す図。
【図12】本発明の第3の実施の形態における画像データ生成手順を示すフローチャート。
【図13】同実施の形態における局所的な最適設定音速値の設定方法を示す図。
【符号の説明】
10…超音波プローブ
11…ケーブル
20…送受信・画像データ生成部
21…送信部
22…マルチプレクサ
23…受信部
24…Bモード処理部
25…ドプラモード処理部
30…画像データ演算記憶部
31…画像データ記憶回路
32…画像データ演算回路
60…表示部
61…表示用画像データ記憶回路
62…変換回路
63…カラーモニタ
70…システム制御部
75…遅延時間演算部
80…入力部
100…超音波診断装置
Claims (17)
- 複数の圧電振動子を備えた超音波プローブと、
前記圧電振動子を選択駆動し、被検体に対して超音波の送受波を行う送受波手段と、
この送受波手段における送受信信号に対し音速値に基づいて遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
この遅延時間算出手段によって算出された前記遅延時間を有する前記超音波を用い前記被検体に対して超音波走査を行う走査手段と、
この走査手段によって前記送受波手段より得られる受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記被検体の予想音速値に基づいて算出された第1の遅延時間を有する前記超音波を用い、前記走査手段が斜め走査の方向を変更して前記被検体を複数回走査して得られる複数の前記受信信号に基づいて、前記画像データ生成手段によって生成された複数の第1の画像データを受信して当該画像データ間のズレを計測する画像ズレ計測手段と、
この画像ズレ計測手段によって計測された前記画像データ間のズレに基づいて前記被検体の音速値を設定して前記遅延時間算出手段に出力する音速設定手段とを備え、
前記音速設定手段からの前記被検体の音速値に基づいて前記遅延時間算出手段は第2の遅延時間を算出し、前記走査手段は前記超音波に対して前記第2の遅延時間を与えて前記被検体を走査し、その走査によって得られる受信信号に基づいて前記画像データ生成手段は第2の画像データを生成することを特徴とする超音波診断装置。 - 複数の圧電振動子を備えた超音波プローブと、
前記圧電振動子を選択駆動し、被検体に対して超音波の送受波を行う送受波手段と、
この送受波手段における送受信信号に対し音速値に基づいて遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
この遅延時間算出手段によって算出された前記遅延時間を有する前記超音波を用い、前記被検体に対して超音波走査を行う走査手段と、
この走査手段によって前記送受波手段より得られる受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、
この画像データ生成手段によって生成された前記超音波画像データを表示する表示手段と、
前記被検体の予想音速値の設定と更新を行う音速更新手段を備え、
前記音速更新手段によって設定された前記被検体の予想音速値に基づいて、前記遅延時間算出手段が算出した第1の遅延時間を有する前記超音波を用い前記走査手段は斜め走査の方向を変更して前記被検体を複数回走査し、前記表示手段はこのとき得られる複数の前記受信信号に基づいて前記画像データ生成手段において生成される複数の第1の画像データを重畳表示する。そして、前記音速更新手段は前記被検体の予想音速値の更新に伴って変化する前記第1の画像データのズレに基づいて前記被検体の予想音速値を再設定し、前記走査手段は再設定された前記被検体の予想音速値に基づいて前記遅延時間算出手段が算出した第2の遅延時間を用いて前記被検体を走査し、その走査によって得られる受信信号に基づいて前記画像データ生成手段は第2の画像データを生成することを特徴とする超音波診断装置。 - 前記走査手段は、リニア走査方式の超音波走査を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置。
- 前記超音波プローブの圧電振動子は、1次元又は2次元に配列されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置。
- 前記走査手段は、前記圧電振動子配列の法線方向に対して対称な2つの方向に対して2種類の斜め走査を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置。
- 前記画像ズレ計測手段は、前記斜め走査によって得られた少なくとも2枚の前記第1の画像データに対して相互相関演算を行なうことによって画像データ間のズレを計測することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
- 前記表示手段は、前記2種類の斜め走査によって得られた2枚の前記第1の画像データを半透明表示することを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
- 前記表示手段は、前記2種類の斜め走査によって得られた2枚の前記第1の画像データを色別表示することを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
- 領域指定手段を更に設け、前記画像ズレ計測手段は、前記複数枚の第1の画像データに対し前記領域指定手段が指定する領域において前記相互相関演算を行うことを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
- 前記画像データ生成手段は、前記第1の画像データとしてBモード画像データの生成を行うことを特徴とする請求項9記載の超音波診断装置。
- 複数の圧電振動子を備えた超音波プローブと、
前記圧電振動子を駆動し、被検体に対して超音波の送受波を行う送受波手段と、被検体情報を入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された前記被検体情報に基づいて前記被検体の所望の音速値を設定する被検体音速設定手段と、
前記送受波手段における送受信信号に対して前記所望の音速値に基づいて算出した遅延時間を与えて前記被検体に対して超音波走査を行う走査手段と、
この走査手段によって前記被検体より得られる受信信号から超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、
この画像データ生成手段によって生成された前記超音波画像データを表示する表示手段を
備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 前記被検体音速設定手段は、前記入力手段から入力される「診断部位」又は「症例」又は「肥満度」の少なくともいずれかの情報に基づいて前記所望の音速値を設定することを特徴とする請求項11記載の超音波診断装置。
- 複数の圧電振動子を備えた超音波プローブと、
前記圧電振動子を選択駆動し、被検体に対して超音波の送受波を行う送受波手段と、
この送受波手段における送受信信号に対し音速値に基づいて遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
この遅延時間算出手段によって算出された前記遅延時間を有する前記超音波を用い前記被検体に対して超音波走査を行う走査手段と、
この走査手段によって前記送受波手段より得られる受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、
この画像データ生成手段によって生成された超音波画像データを表示する表示手段と、
前記被検体の予想音速値に基づいて算出された第1の遅延時間を有する前記超音波を用いて前記被検体より得られた受信信号から生成され前記表示手段に表示された第1の画像データに対して所望の領域を指定する領域指定手段と、
この領域指定手段によって指定された前記所望の領域に対応する前記予想音速値を更新する音速値更新手段を備え、
前記遅延時間算出手段は、前記音速値更新手段によって更新された前記予想音速値に基づいて第2の遅延時間を算出し、前記走査手段は、算出された前記第2の遅延時間を有する前記超音波を用いて前記被検体を走査し、前記画像データ生成手段は、前記走査によって得られる受信信号に基づいて第2の画像データを生成することを特徴とする超音波診断装置。 - 前記走査手段が算出する前記遅延時間には少なくとも集束用遅延時間が含まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項11又は請求項13のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 被検体の予想音速値に基づいて遅延時間を算出するステップと、
この遅延時間を用いて所定方向の斜め走査を方向を変更しながら複数回行い、複数枚の第1の画像データを生成するステップと、
生成された前記複数枚の第1の画像データに対して画像データ間のズレを計測するステップと、
前記画像データ間のズレに基づいて前記被検体の音速値を設定するステップと、設定された前記音速値に基づいて遅延時間を算出するステップと、
算出した前記遅延時間を用いて第2の画像データの生成を行うステップを
有することを特徴とする超音波画像データ生成方法。 - 被検体情報を入力するステップと、
前記被検体情報に基づいて被検体の音速値を設定するステップと、
設定された前記音速値に基づいて遅延時間を算出するステップと、
算出された前記遅延時間を用いて画像データの生成と表示を行うステップを
有することを特徴とする超音波画像データ生成方法。 - 被検体の予想音速値に基づいて遅延時間を算出するステップと、
算出された前記遅延時間を用いて第1の画像データの生成と表示を行うステップと、
表示された前記第1の画像データに対して所望の領域を指定するステップと、
指定された前記領域に対応する前記予想音速値を更新するステップと、
更新した音速値に基づいて遅延時間を算出するステップと、
算出された前記遅延時間を用いて第2の画像データの生成と表示を行うステップを
有することを特徴とする超音波画像データ生成方法。
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