本発明の請求項1に記載のIP電話機は、インターネットやLANなどのネットワークと接続するためのネットワーク接続部と、発呼時に着呼側の相手に聞かせたいリンガーを音声ファイル化した音声ファイル化リンガーが事前にメールにてパソコンから送信されたときに受信するメール受信部と、メールに添付されたリンガー用音声データを抽出するリンガーデータ抽出部と、抽出したリンガー用音声データを発呼時に相手側としての着呼側に聞かせるリンガー用の音として記憶する着呼者用リンガー記憶部と、着呼時に発呼側から送られてくる音声データを一時的に記憶するリンガー一時記憶部と、リンガー一時記憶部に記憶された音声データを再生する音声再生部と、全体を制御する制御部とを有し、制御部は、メール受信時にはリンガー用音声データを抽出するようにリンガーデータ抽出部に指示し、抽出したリンガー用音声データを着呼者用リンガー記憶部に書き込み、また発呼時には着呼者用リンガー記憶部に記憶したリンガー用音声データをネットワーク接続部を介して相手側としての着呼側に送信し、着呼時には発呼側から送られてくる音声データがあれば発呼側から送られてくる音声データをリンガー一時記憶部に書き込むと共に音声再生部にて音声として出力することとしたものである。
この構成により、近年広く利用されている電子メールにて音声データを自分の端末(IP電話機)に送信することによって、相手用のリンガー(つまり、自分が発呼したときに着呼側である相手端末側で鳴る呼び出し音)を記憶することができるので、非常に簡単な操作で、かつ普段使い慣れている「メールにファイルを添付して送信する」という操作により、相手端末側で鳴らすリンガーのオーバーライド設定を行なうことができ、操作マニュアルなどを読み返す必要が無いという作用を有する。
請求項2に記載のIP電話機は、請求項1に記載のIP電話機において、パスワードを記憶するパスワード記憶部と、メール内に一定の書式で書かれている文字列をパスワードとして抽出するパスワード抽出部とを備え、制御部は、メールで送られてきた音声データが正しいパスワードを伴った場合にのみ、メールに添付された音声データを抽出して発呼時に相手側としての着呼側に聞かせるリンガーとして採用することとしたものである。
この構成により、第3者のいたずらによって、望まないリンガーのオーバーライド設定が行われることを防止することができるという作用を有する。
請求項3に記載のIP電話機は、請求項1に記載のIP電話機において、認証用のメールアドレスを記憶するメールアドレス記憶部を備え、制御部は、メールアドレス記憶部に記憶された相手からメールが送られてきた場合には、メールに添付された音声データを抽出して発呼時に相手側としての着呼側に聞かせるリンガー用の音として採用することとしたものである。
この構成により、端末に事前にメールアドレスを記憶させ、そのメールアドレスからメールを受け取ったときにのみリンガーのオーバーライドを許可するようにできるので、第3者のいたずらによって、望まないリンガーのオーバーライド設定が行われることを防止することができるという作用を有する。
請求項4に記載のIP電話機は、請求項1に記載のIP電話機において、リング・バック・トーンを記憶するRBT一時記憶部を備え、制御部は、発呼時に相手側端末からリン
ガー用音声データの要求があれば、着呼者用リンガー記憶部に記憶されたリンガー用音声データをネットワーク接続部を介して転送し、RBT一時記憶部に要求があったリンガー用音声データをロードし、音声再生部によりRBTとして再生することとしたものである。
この構成により、リンガーのオーバーライドに成功した場合、発呼側はその旨がわかるようにRBTもリンガーと同じ音にオーバーライドすることができるので、自分がいまどのような音声(リンガー)で相手を呼び出しているかをRBTにて知ることができるという作用を有する。
請求項5に記載のIP電話機は、請求項4に記載のIP電話機において、制御部は、相手が話中であり、かつ、話中割り込みに応じることができ、しかも、リンガーのオーバーライドが許可されている場合に、「話中でありかつ呼び出し中」であることを示すべく、オーバーライドされているリンガー用の音を話中呼び出し音として再生することとしたものである。
この構成により、相手が話中の時でも、(NTTのキャッチホンサービスとして知られているように)相手の端末が話中着信可能であれば、相手の端末の話中割り込み音をリンガーと同じ音声にオーバーライドすることができるので、自分がいまどのような音声(話中割り込み音)で相手を呼び出しているかをRBTにて知ることができるという作用を有する。
請求項6に記載のIP電話機は、インターネットやLANなどのネットワークと接続するためのネットワーク接続部と、パソコン上の専用のアプリケーションとの間で決められた方法によってデータをやり取りすることによってパソコンの画面からユーザが指定した音声をネットワーク接続部を通して送受信するデータ送受信プロトコル処理部と、データ送受信プロトコル処理部より受け取った音声データを発呼時に相手側としての着呼側に聞かせるリンガー用の音として相手の電話番号と対応付けて記憶する着呼者別リンガー記憶部と、着呼時に発呼側から送られてくる音声データを一時的に記憶するリンガー一時記憶部と、リンガー一時記憶部に記憶された音声データを再生する音声再生部と、全体を制御する制御部とを有し、制御部は、パソコン上の専用のアプリケーションからリンガー用音声の設定要求があればリンガー用音声データを受信し電話番号と対応付けて着呼者別リンガー記憶部に書き込み、また発呼時には相手側としての着呼側からリンガー用音声データの要求があれば相手側の電話番号と対応付けて着呼者別リンガー記憶部に記憶されたリンガー用音声データをネットワーク接続部を介して相手側としての着呼側に送信し、着呼時には相手側としての発呼側の端末にリンガー用音声データを要求したときに発呼側から送られてくる音声データをリンガー一時記憶部に書き込み、音声再生部にて音声として出力するように指示することとしたものである。
この構成により、GUIによって対話的にリンガーのオーバーライド設定ができるので、メールの利用法がわからないユーザでも簡単に所望の設定を行うことができるという作用を有する。
請求項7に記載のIP電話機は、請求項6に記載のIP電話機において、パソコン上の専用のアプリケーションは、パソコン画面上においてパスワードをユーザに入力させ、IP電話機に記憶されたパスワードと認証を行なって認証された場合にのみ、指定された音声データをリンガーとして使用するようにIP電話機に指示することとしたものである。
この構成により、専用のアプリケーションによって自端末にリンガーのオーバーライド設定を行なうときにパスワードにより認証を行なうようにしたので、第3者のいたずらに
よって、望まないリンガーのオーバーライド設定が行われることを防止することができるという作用を有する。
請求項8に記載のIP電話機は、請求項6に記載のIP電話機において、どの電話番号から着呼したときにリンガーを通常のリンガーに代えて発呼者の指定した音をリンガーとして鳴らすのを許可するかを記憶するオーバーライド番号記憶部を備え、制御部は、オーバーライド番号記憶部に記憶された相手から着信した場合には、発呼者側にリンガーとして採用すべき音声データを要求し、これを受信して、リンガーとして再生することとしたものである。
この構成により、あらかじめオーバーライドを許可する電話番号を記憶させておき、着呼時に発呼者番号から、その番号が「オーバーライドを許可された番号かどうか」を判定することができるので、第3者のいたずらによって、望まないリンガーのオーバーライド設定が行われることを防止することができるという作用を有する。
請求項9に記載のIP電話機は、インターネットやLANなどのネットワークと接続するためのネットワーク接続部と、文字や画像などの情報を表示するための表示部と、パソコン上の専用のアプリケーションとの間で決められた方法によってデータをやり取りすることによってパソコンの画面からユーザが指定した文字や画像などの情報をネットワーク接続部を通して受け取るデータ送受信プロトコル処理部と、受け取った情報を発呼時に相手側としての着呼側に表示するための情報として着呼者としての発呼先の電話番号と対応付けて記憶する着呼者別着呼側表示データ記憶部と、着呼時に発呼側から送られてくる表示データを一時的に記憶する表示データ一時記憶部と、全体を制御する制御部とを有し、制御部は、発呼時には着呼者別着呼側表示データ記憶部に着呼者としての発呼先の電話番号と対応付けられている表示データをネットワーク接続部を通して相手側としての着呼側に送信し、着呼時には発呼側から送られてくる表示データがあれば表示データ一時記憶部に書き込み、表示部にて表示することとしたものである。
この構成により、発呼時に相手側端末(着呼側)に表示したい文字や図形などをメールにて自端末にあらかじめ送信しておき、発呼時に相手側端末(着呼側)の表示部に表示させることができるので、相手側(着呼側)は、電話を取る前に相手から送られてきたメッセージ(文字や図形)を受け取ることができ、表現力豊かでかつ効率的なコミュニケーションを行なうことができるという作用を有する。
請求項10に記載のIP電話機は、インターネットやLANなどのネットワークと接続するためのネットワーク接続部と、文字や画像などの情報を表示するための表示部と、パソコン上の専用のアプリケーションとの間で決められた方法によってデータをやり取りすることによってパソコンの画面からユーザが指定した文字や画像などの情報をネットワーク接続部を通して受け取るデータ送受信プロトコル処理部と、受け取った情報を着呼時に相手側としての発呼側に表示するための情報として発呼者としての発呼元の電話番号と対応付けて記憶する発呼者別発呼側表示データ記憶部と、発呼時に着呼側から送られてくる表示データを一時的に記憶する表示データ一時記憶部と、全体を制御する制御部とを有し、制御部は、着呼時には発呼者別発呼側表示データ記憶部に発呼元の電話番号と対応付けて記憶した表示データをネットワーク接続部を通して相手側としての発呼側に送信し、発呼時には着呼側から送られてくる表示データがあれば表示データ一時記憶部に書き込み、表示部にて表示することとしたものである。
この構成により、着呼時に相手側端末(発呼側)に表示したい文字や図形などをメールにて自端末にあらかじめ送信しておき、着呼時に相手側端末(発呼側)の表示部に表示させることができるので、相手側(発呼側)は、着呼側が電話を取る前に相手から送られて
きたメッセージ(文字や図形)を受け取ることができ、表現力豊かでかつ効率的なコミュニケーションを行なうことができるという作用を有する。
請求項11に記載のIP電話機は、インターネットやLANなどのネットワークと接続するためのネットワーク接続部と、発呼時に着呼側の相手にリンガーとして聞かせたい音声ファイルが存在するサーバーのアドレスが事前にメールにてパソコンからネットワークを通じて送信されたときに受信するメール受信部と、メールに記述されていたリンガー用音声データのアドレス情報を抽出するリンガーアドレス抽出部と、メールに記述されていた電話番号を抽出する電話番号抽出部と、抽出した電話番号とリンガー用音声データのアドレス情報とを対応付けて記憶する発呼者別リンガーアドレス記憶部と、発呼者別リンガーアドレス記憶部に記憶したアドレス情報から音声データをダウンロードするデータ受信プロトコル処理部と、ダウンロードした音声データを記憶するリンガー一時期億部と、音声データを再生する音声再生部と、全体を制御する制御部とを有し、制御部は、メール受信時にはメールに添付されたリンガー用音声データのアドレス情報を抽出するようにリンガーアドレス抽出部に指示し、また本文に書かれた電話番号を抽出するように電話番号抽出部に指示し、抽出した電話番号とリンガー用音声データのアドレス情報とを対応付けて発呼者別リンガーアドレス記憶部に書き込み、また着呼時には発呼側の電話番号が発呼者別リンガーアドレス記憶部に記憶した電話番号であれば対応付けられているリンガー用音声データのアドレス情報を参照して音声データをダウンロードするようにデータ受信プロトコル処理部に指示し、ダウンロードした音声データをリンガー一時記憶部に書き込み、音声再生部にて音声として出力するように指示することとしたものである。
この構成により、例えば、サーバーの音声データが定期的に更新されれば、ユーザが特に操作することなしに、リンガーを定期的に変更することができ、プロバイダーなどが付加価値サービスとしてリンガーの定期的更新を行なう環境を提供することができるという作用を有する。また、自端末あるいは相手端末ではなくサーバーに記憶するため、記憶領域に制限が無く、数多くの音声データを記憶させることができ、その一方で端末側に必要な記憶領域が小さくなるため、端末を安価に作成することができるという作用を有する。
請求項12に記載のIP電話機は、インターネットやLANなどのネットワークと接続するためのネットワーク接続部と、発呼時に着呼側の相手に聞かせたいリンガーを音声ファイル化した音声ファイル化リンガーが事前にメールにてパソコンからネットワークを通じて送信されたときに受信するメール受信部と、メールに添付されていたリンガー用音声データを抽出するリンガーデータ抽出部と、メールに記述されていた電話番号を抽出する電話番号抽出部と、抽出された電話番号とリンガー用音声データとを対応付けて抽出した電話番号からの着呼時に鳴らすリンガー用の音として記憶する発呼者別リンガー記憶部と、着呼時に発呼者別リンガー記憶部に発呼者番号と対応付けられたリンガー用音声データを一時的に記憶するリンガー一時記憶部と、リンガー一時記憶部の音声データを再生する音声再生部と、全体を制御する制御部とを有し、制御部は、メール受信時にはメール受信部より受信内容を受け取り、リンガーデータ抽出部にメールに添付されているリンガー用音声データを抽出するように指示し、電話番号抽出部に電話番号を抽出するように指示し、抽出した電話番号とリンガー用音声データとを対応付けて発呼者別リンガー記憶部に書き込み、また着呼時には発呼者番号が発呼者別リンガー記憶部に記憶した電話番号であれば対応付けられているリンガー用音声データをリンガー一時記憶部に書き込み、音声再生部にて再生することによって音声の出力を行なうように指示することとしたものである。
この構成により、メールにて音声データを相手端末に送信することにより、オーバーライド用の音声データ(自分が相手端末に発呼した場合、相手端末が鳴らすリンガー用音声データ)を相手端末が記憶することができるので、複雑な操作なしに、いつもやりなれている操作でリンガーのオーバーライド設定を行なうことができるという作用を有する。
請求項13に記載のIP電話機は、インターネットやLANなどのネットワークと接続するためのネットワーク接続部と、リンガーを音声ファイル化した音声ファイル化リンガーが事前にメールにてパソコンからネットワークを通じて送信されたときに受信するメール受信部と、メールに添付されたリンガー用音声データをメールに指定された番号の電話機に転送するためのデータ送受信プロトコル処理部と、メールに添付されたリンガー用音声データを指定された電話番号に転送した後に指定された電話番号を記憶するリンガーオーバーライド番号記憶部と、データ送受信プロトコル処理部によって受信したリンガー用音声データを相手の電話番号と対応づけて記憶する着呼者別リンガー記憶部と、着呼時に発呼者側にリンガー用音声データを要求したときに受信したリンガー用音声データを記憶するリンガー一時記憶部と、リンガー一時記憶部に記憶された内容を再生する音声再生部と、全体を制御する制御部とを有し、制御部は、発呼時には着呼側端末からリンガー用音声データの要求があればネットワーク接続部を介して転送し、また着呼時には発呼者番号がリンガーオーバーライド番号記憶部に記憶された電話番号であれば対応づけられている電話番号を参照してデータ送受信プロトコル処理部にリンガー用音声データの要求を指示し、要求を指示したリンガー用音声データをリンガー一時記憶部に格納し、音声再生部にて音声として出力するように指示することとしたものである。
この構成により、オーバーライドの設定自体(つまり、XXという番号からの着信だったら、○○の音声データをリンガーとして利用するという情報)は相手端末に記憶するが、実際の音声データは自端末側(つまり、相手端末が記憶するのは音声データ自体ではなく音声データへのリンク情報)に記憶することができるので、複数の第3者がオーバーライド要求を行なって、自端末の記憶領域が、保有者の知らないうちに消費されてしまうことを防止することができ、また、サーバーを必要としないため、プロバイダーなどにサーバー利用料を支払う必要もないという作用を有する。
請求項14に記載のIP電話機は、請求項12または請求項13に記載のIP電話機において、メールアドレス記憶部を備え、メール受信時には発信者のメールアドレスがメールアドレス記憶部に記憶されているかどうかを調べ、記憶されている場合にのみ、添付されている音声データあるいはアドレス情報が示す音声データをリンガーとして採用することとしたものである。
この構成により、端末に事前にメールアドレスを記憶させ、そのメールアドレスからメールを受け取ったときにのみリンガーのオーバーライドを許可することとしたので、第3者のいたずらによって、望まないリンガーのオーバーライド設定が行われることを防止することができるという作用を有する。
請求項15に記載のIP電話機は、請求項12または請求項13に記載のIP電話機において、制御部は、音声データが添付されたメールを受信した場合にはその旨を表示するリンガー・オーバーライド要求表示手段と、ユーザがリンガー・オーバーライド要求表示手段にてオーバーライド要求が発生していることを確認した場合にどんな音声データか聞いてみるための再生指示手段と、聞いてみて気に入らなかった場合にこれを却下するためのオーバーライド要求拒否指示手段と、聞いてみて気に入った場合にこれをリンガーとして採用することを指示するオーバーライド要求受諾手段とを有することとしたものである。
この構成により、相手からリンガーのオーバーライド要求が発生した場合に、その旨がユーザにわかるようにしたので、ユーザは、オーバーライドされようとしている音声データを試しに聞いてみて気に入った場合のみオーバーライドを許可することができ、好ましくない音声データをリンガーとして設定することを防止することができるという作用を有
する。
請求項16に記載のIP電話機は、請求項12に記載のIP電話機において、パスワードを記憶するパスワード記憶部と、メール内に一定の書式で書かれている文字列をパスワードとして抽出するパスワード抽出部とを備え、制御部は、メールで送られてきた音声データが正しいパスワードを伴った場合にのみ、メールに添付されていた音声データを抽出して発呼時に相手側としての着呼側に聞かせるリンガーとして採用することとしたものである。
この構成により、メールにより相手端末に自分の所望するリンガー音を送付する際、メール本文に、パスワードを含めることを義務づけ、相手端末側が記憶しているパスワードと照合しない場合はオーバーライドを認めないようにしたので、第3者がいたずらに好ましくない音声データをリンガーとして設定するのを防止することができるという作用を有する。
請求項17に記載のIP電話機は、請求項12に記載のIP電話機において、電話番号とRBT用音声データとを対応付けて記憶する着呼者別RBT記憶部と、メールに添付されていたRBT用音声データを抽出するRBTデータ抽出部とを備え、制御部は、メール受信時にはメールにRBTとして添付された音声データを抽出するようRBTデータ抽出部に指示し、本文に書かれた電話番号を抽出するように電話番号抽出部に指示し、抽出したRBTデータと電話番号とを対応付けて着呼者別RBT記憶部に書き込み、発呼時には相手側としての発呼先の電話番号が着呼者別RBT記憶部に記憶されているか否かを検索し、あれば対応付けられたRBTデータをRBT一時記憶部に書き込み、音声再生部によって再生し、受話器でその再生音をRBTとして聞かせることとしたものである。
この構成により、メールによって音声データを相手端末に送付することで相手が自分に対して発呼した場合に、相手が聞くRTB音を相手端末に記憶させることによって、RBTをオーバーライドするよう設定を行なうようにすることができるので、簡単な操作あるいは普段使い慣れた操作でRBTのオーバーライド設定を行なうことができるという作用を有する。
請求項18に記載のIP電話機は、請求項13に記載のIP電話機において、相手側としての発呼者の電話番号とRBT用の音声データとを対応付けて記憶する発呼者別RBT記憶部を備え、制御部は、パソコン上のアプリケーションよりRBT用音声データの設定が行なわれた場合には設定が行われたRBT用音声データを発呼者別RBT記憶部に書き込み、着呼した場合には相手側としての発呼側からRBT用音声データの要求があれば相手の発呼者番号に対応付けられて発呼者別RBT記憶部に記憶されているRBT用音声データをネットワーク接続部を介して転送し、また発呼した場合には、着呼側に対してネットワーク接続部を介してRBT用音声データを要求し、要求したRBT用音声データを受信してRBT一時記憶部に書き込むと共に音声再生部によって再生することとしたものである。
この構成により、着信側のユーザが意図したRBTを発呼側に聞かせることができるという作用を有する。
請求項19に記載のIP電話機は、請求項17に記載のIP電話機において、制御部は、RBTのオーバーライドに成功した場合にはRBT用音声データをリンガー一時記憶部に書き込み、書き込んだRBT用音声データをリンガーとして再生することとしたものである。
RBTのオーバーライドに成功した場合に、リンガーをRBTと同じ音にすることによって相手側(発呼側)が自分(着呼側)を呼び出しているときに相手がどのようなRBTを聞いているかをリンガーによって知ることができるという作用を有する。
請求項20に記載のIP電話機は、インターネットやLANなどのネットワークと接続するためのネットワーク接続部と、パソコン上の専用のアプリケーションとの間で決められた方法によってデータをやり取りすることによってパソコンの画面からユーザが指定した音声と電話番号とをネットワーク接続部を通して受け取るデータ受信プロトコル処理部と、データ受信プロトコル処理部より受け取った音声データと電話番号とを対応付けて、対応付けた電話番号からの着呼時のリンガーとして記憶する発呼者別リンガー記憶部と、発呼者別リンガー記憶部に記憶した音声データのひとつを記憶するリンガー一時記憶部と、リンガー一時記憶部に記憶された音声データを再生する音声再生部と、全体を制御する制御部とを有し、制御部は、着呼時には発呼者番号が発呼者別リンガー記憶部に記憶されているか否かを検索し、発呼者番号が記憶されている場合には対応付けられて記憶されている音声データをリンガー一時記憶部に書き込み、音声再生部にてリンガーとして再生することとしたものである。
この構成により、パソコン上の専用アプリケーションにより音声データを指定し、相手端末に記憶させることができるので、メールの操作が出来ないユーザでもGUIにより対話的にオーバーライドを設定することができるという作用を有する。
請求項21に記載のIP電話機は、請求項20に記載のIP電話機において、制御部は、音声データおよび電話番号の設定要求が発生した場合にその旨を表示するリンガー・オーバーライド要求表示手段と、ユーザがリンガー・オーバーライド要求表示手段にてオーバーライド要求が発生していることを確認した場合にどんな音声データか聞いてみるための再生指示手段と、聞いてみて気に入らなかった場合にこれを却下するためのオーバーライド要求拒否指示手段と、聞いてみて気に入った場合にこれをリンガーとして採用することを指示するオーバーライド要求受諾手段とを有することとしたものである。
この構成により、パソコン上の専用アプリケーションで音声データを相手端末にリンガーとして記憶させると、その旨が相手端末のユーザに知らされ、ユーザは、オーバーライドされようとしている音声データを試しに聞いてみて気に入った場合のみオーバーライドを許可するようにしたので、好ましくない音声データをリンガーとしてオーバーライドするのを防止することができるという作用を有する。
請求項22に記載のIP電話機は、請求項20に記載のIP電話機において、パスワードを記憶するパスワード記憶部を備え、制御部は、パソコンの専用のアプリケーションからリンガーをオーバーライドしようとした場合に、パスワードをユーザに入力させ、入力されたパスワードがパスワード記憶部の内容と一致した場合にのみオーバーライドを認めることとしたものである。
この構成により、パソコン上の専用アプリケーションで音声データを相手端末にリンガーとして記憶させる際に、パスワードを要求し、オーバーライドを受ける側の端末にあらかじめ記憶されたパスワードと照合することによってオーバーライドを許可するかどうかを決定するようにしたので、第3者がいたずらに好ましくない音声データをリンガーとしてオーバーライドするのを防止することができるという作用を有する。
請求項23に記載のIP電話機は、請求項21に記載のIP電話機において、制御部は、ユーザがオーバーライド要求が発生していることを確認し、聞いてみて気に入らず、オーバーライドを却下した場合にはその旨を相手側に知らせることとしたものである。
この構成により、パソコン上の専用アプリケーションで音声データを相手端末にリンガーとして記憶させると、その旨が相手端末のユーザに知らされ、ユーザはオーバーライドされようとしている音声データを試しに聞いてみて気に入らなかった場合、相手にその旨を通知するようにしたので、オーバーライドを要求した側のユーザは、相手がオーバーライドを許可したかどうかを知ることができるという作用を有する。
請求項24に記載のIP電話機は、インターネットやLANなどのネットワークと接続するためのネットワーク接続部と、文字や画像などの情報を表示するための表示部と、パソコン上の専用のアプリケーションとの間で決められた方法によってデータをやり取りすることによってパソコンの画面からユーザが指定した文字や画像などの情報をネットワーク接続部を通して受け取るデータ送受信プロトコル処理部と、受け取った情報を着呼時に表示するデータとして発呼者の電話番号と対応付けて記憶する発呼者別着呼側表示データ記憶部と、全体を制御する制御部とを有し、制御部は、着呼時に発呼者番号が発呼者別着呼側表示データ記憶部に記憶されているかどうかを検索し、記憶されている場合には表示するデータを表示部にて表示することとしたものである。
この構成により、発呼時に相手端末(着呼側)に表示したい文字や図形などをメールにて相手端末にあらかじめ送信しておき、発呼時に相手端末(着呼側)の表示部に表示するようにしたので、相手(着呼側)は、電話を取る前に相手から送られてきたメッセージ(文字や図形)を受け取ることができ、表現力豊かでかつ効率的なコミュニケーションを行なうことができるという作用を有する。
請求項25に記載のIP電話機は、インターネットやLANなどのネットワークと接続するためのネットワーク接続部と、文字や画像などの情報を表示するための表示部と、パソコン上の専用のアプリケーションとの間で決められた方法によってデータをやり取りすることによってパソコンの画面からユーザが指定した文字や画像などの情報をネットワーク接続部を通して受け取るデータ送受信プロトコル処理部と、受け取った情報を発呼時に表示するデータとして発呼先の電話番号と対応付けて記憶する着呼者別発呼側表示データ記憶部と、全体を制御する制御部とを有し、制御部は、発呼時に発呼者番号が着呼者別発呼側表示データ記憶部に記憶されているかどうかを検索し、記憶されている場合には表示するデータを表示部にて表示することとしたものである。
この構成により、着呼時に相手端末(発呼側)に表示したい文字や図形などをメールにて相手端末にあらかじめ送信しておき、着呼時に相手端末(発呼側)の表示部に表示するようにしたので、相手(発呼側)は、着呼側が電話を取る前に相手から送られてきたメッセージ(文字や図形)を受け取ることができ、表現力豊かでかつ効率的なコミュニケーションを行なうことができるという作用を有する。
請求項26に記載のIP電話機は、請求項20に記載のIP電話機において、経過時間を計時するための時計を備え、制御部は、発呼者別リンガー記憶部に複数の音声データとそれぞれに対する再生期間情報とを記憶し、着呼時に再生期間情報にしたがって音声データを自動的に変更することとしたものである。
この構成により、複数の音声データをリンガー用音声として用意し、時間ごとに切り替えることができるので、相手がなかなかでない場合、リンガー音を変えて、相手に注意を促したり、あるいは、時刻によって音声を切り替え、夜中の着信時には、静かな音で着信を通知することができるという作用を有する。
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図39を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるIP電話機を示すブロック図であり、リンガーのオーバーライド設定をメールによって行なうIP電話機を示す。
図1において、101は既定のリンガー用の音声データを記憶した既定リンガー記憶部、102は既定のRBT用の音声データを記憶した既定RBT記憶部、105はLANやインターネットなどのネットワークに接続するためのネットワーク接続部、106はメールを受信するためのプロトコル処理を行なうメール受信部、109は全体の制御を行なう制御部、111は本端末が発呼した場合に相手側(着呼側)に聞かせたいリンガー用音声データを記憶する着呼者用リンガー記憶部、115は電話の発呼、着呼、通話などの動作を制御する呼制御部、116は入力された音声データをエンコードし、音声パケット化すると共に音声パケットを音声データへデコードする音声コーデック部(音声CODEC部)、117は音声データをD/A変換することにより音声信号に変換する音声再生部、125はオーバーライド設定を受け入れる際に相手を確認するためのパスワードを記憶するパスワード記憶部、126はオーバーライド設定を受け入れる際に受け入れを許可する相手のメールアドレスを記憶するメールアドレス記憶部、127は着呼した場合に相手からリンガーのオーバーライド要求を受け入れるかどうかを判定するために受け入れを許可する番号を記憶するオーバーライド許可番号記憶部、161は本端末が着呼した場合に、リンガーとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するリンガー一時記憶部、162は本端末が発呼した場合に、RBTとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するRBT一時記憶部、171はメールに添付された音声ファイルとメールの本文に一定の書式で書かれたファイル名とからリンガーとして採用すべき音声データを抽出するリンガーデータ抽出部、175はメールの本文に一定の書式で書かれた文字列をパスワードとして抽出するパスワード抽出部、195は入力部としてのキーボード、196は音声入力部としてのマイク、197は音声出力部としてのスピーカーである。
以上のように構成されたIP電話機について、その動作を説明する。
まず、ユーザは、自端末がリンガーのオーバーライド設定をメールにて受け取った場合、無条件にその内容を記憶するのか、パスワードにて確認するのか、あるいは、送信者のメールアドレスによって確認するのかを設定する。これは、端末の持ち主以外の第3者による望まざるオーバーライド設定を受け入れてしまうのを防ぐためである。また、着呼時にリンガーのオーバーライドを許可する相手の電話番号を設定する。これは、着呼時にリンガーのオーバーライド要求を受け取った際に、それを受け入れるかどうかを相手側(発呼側)の電話番号で判定するのに利用する。
図2は、認証設定(オーバーライドの受付に関する設定)のためのIP電話機の画面を示す画面図である。本実施の形態では、ユーザは、キーボードを操作して図2の「認証設定画面」を呼び出す。ここでは、ユーザは、本端末がメールを受け取ったときに発信者のメールアドレスと本文中に書かれたパスワードとによって、そのメールの正当性を評価し、正当だと判定した場合のみ、オーバーライド設定を行なうように指示している。また、「番号リスト」は、着呼した場合に、相手の端末からのオーバーライド要求を受け入れるかどうかの設定を示している。これにより、特定の端末からのオーバーライドを許可したり、あるいは、特定の端末からのオーバーライドを拒絶したりすることができる。
図1のIP電話機について、その動作を図3、図4を用いて説明する。図3は、ユーザが実際にオーバーライド設定を行なう場合のIP電話機(端末)の制御部109の動作を示すフローチャートである。また図4はメール作成のための画面を示す画面図である。
まず、ユーザはパソコン上でメールを作成し、その本文にパスワードを記入し、リンガー用音声データを添付し、ユーザのIP電話機宛てに送付する。ここではIP電話機の持つメールアドレスは050−1111−1111@ip.tel.comであるとする。図4に、このときのメール作成の様子を示す。本メールではリンガー用の音声ファイルが添付してあり、本文にはパスワードとリンガー用の音声ファイルの名前とが記述してある。ユーザは本メールを自分の端末に向けて送信する。以降、端末の動作は次のようになる。
端末がメールを受信する(S101)。ここで、送信者のメールアドレスはono@yahoo.ne.jpである。つまり、ネットワーク接続部105を通じてメール受信部106がメールを受信し、制御部109に通知する。制御部109は、メールアドレス記憶部126を参照し、メールアドレスが設定されているかどうかを判定する(S102)。メールアドレスが設定されていれば、メールアドレスによる認証が求められているものとして、ステップS103へ、さもなければ、メールアドレスによる認証は必要ないのでステップS104のパスワードによる認証へ進む。ステップS103では制御部109は、受け取ったメールの送信者のアドレス(ここでは、ono@yahoo.ne.jp)が、メールアドレス記憶部126に記憶されているものと一致するかどうかを判定する。一致していれば、ステップS104へ、さもなければ、認証に失敗したので、このメールを拒絶するため、ステップS107へ進む。ステップS104では制御部109は、パスワード記憶部125を参照し、パスワードが記憶されているかどうか判定する。パスワードが記憶されていれば、ステップS105へ、さもなければ、認証は必要ないので、そのままオーバーライド設定を受け入れるべく、ステップS106へ進む。ステップS105では制御部109は、パスワード抽出部175にパスワード抽出を指示する。すると、パスワード抽出部175は、メール受信部106が受信したメールの内容を参照し、メールの本文に一定の書式で記述された文字列(ここでは、「IP−TEL−FUN」)をパスワードとして抽出する。制御部109は、パスワード記憶部125に記憶されたパスワードとパスワード抽出部175が抽出したパスワードとが一致するか否かを判定する。一致すればステップS106へ、さもなければ、認証に失敗したとして、本メールによるオーバーライド設定を拒絶すべく、ステップS107へ進む。ステップS106では制御部109は、リンガーデータ抽出部171にリンガー用音声データの抽出を指示する。すると、リンガーデータ抽出部171は、メール受信部106が受信したメールの内容を参照し、添付された音声ファイル(HIPHOP.wav)を参照し、リンガー用音声データとして抽出する。制御部109は、この内容を着呼者用リンガー記憶部111に書き込む。ステップS107では制御部109は、処理を終了する。したがって、メールによるオーバーライド設定要求は拒絶されたことになる。
以上説明したように、ユーザは簡単にオーバーライド設定を行なうことができ、しかも、ユーザーが望めば、パスワードやメールの送信者のアドレスによって第3者による望まないオーバーライド設定を拒絶することができる。
次に、あるユーザX(電話番号:050−1111−1111)が別のユーザY(電話番号:050−2222−2222)に発呼する時の本実施の形態におけるIP電話機の動作について説明する。ユーザYの端末yには、ユーザXからの「オーバーライド要求」を受け入れるべく、ユーザXの端末xの電話番号050−1111−1111が「オーバーライド要求を受け入れる端末」として登録されているものとする。
ユーザXは、電話機をオフフックして、ダイヤルトーンを待ち、ダイヤルトーンを確認してから、ユーザYの電話番号050−2222−2222をキーボードより入力する。
図5は、発呼側の端末xの動作を示すフローチャートである。
図5において、まず、発呼側の端末xが着呼側の端末yに「呼の接続要求」を送信する(S161)。すなわち、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、端末yに「接続要求」を送信する。すると、端末yは、(話中でない、電源オフでないことにより)呼の受け入れが可能であるため、ACKを返信する。次に、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して「リンガー用音声データの要求」が届くかどうかを判定する。この要求が届けば、「端末yがオーバーライド要求を受け入れた」と解釈する。発呼側の端末xが着呼側の端末yから「リンガー用音声データの要求」を受け取ればステップS164へ、さもなければ、ステップS163へ進む(S162)。ステップS163では制御部109は、「相手(端末y)がリンガーのオーバーライドを拒否した」ので、RBTとして既定のRBTを採用すべく、既定RBT記憶部102を参照して、その内容をRBT一時記憶部162に書き込む。次に、ステップS166へ進む。ステップS164では制御部109は、相手(端末y)がリンガーのオーバーライド要求を受け入れたので、相手にどのようなリンガーを聞かせるかがユーザXにわかるようにRBTをリンガーと同じ音声にすべく、着呼者用リンガー記憶部111の内容を参照し、記憶されているデータをRBT一時記憶部162に書き込む。次に、制御部109は、着信者用リンガー記憶部111を参照して、端末yにその内容を転送するよう、データ送受信プロトコル処理部108に指示する(S165)。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、指定されたデータをネットワーク接続部105を介して端末yに転送する。端末yはこのデータを受け取ってリンガーとして鳴らすことになる。ステップS166では制御部109は、音声再生部117にRBT一時記憶部162の内容を再生するように指示する。すると、RBT一時記憶部162に記憶されている音声データが再生され、受話器のスピーカーからRBTとして流れる。したがって、RBT一時記憶部162に既定のRBT用音声データが記憶されていれば(すなわち、端末yがリンガーのオーバーライド要求を受け入れなかった場合)、既定のRBTが再生され、相手(端末y)に聞かせるためのリンガー用音声データが記憶されていれば、相手(端末y)で聞かれるリンガーと同じ音声がRBTとして再生される。これにより、発呼者Xは相手Yがリンガーのオーバーライドを受け入れ、相手がどのようなリンガーで呼び出されているかをRBTとして認識することができる。次に、制御部109は、呼制御部115より、接続が行なわれたかどうかの通知を受ける(S167)。すなわち、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットが届けば、接続完了と解釈し、次のステップ168へ進む。ステップS168では制御部109は、呼制御部115に呼の接続を指示する。すなわち、以降、ネットワーク接続部105を介して受け取る音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声に変換され、相手の声としてスピーカー197から出力される。また、マイク196より取り込まれた音声は音声CODEC部116に送られ、音声パケットに変換され、ネットワーク接続部105を介して相手(端末y)に送られる。このようにして、ユーザ同士の通話が行なわれる。
図6は、着呼側の端末yの動作を示すフローチャートである。
図6において、まず、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して接続要求を受信する(S181)。このとき、受信した情報には発呼者番号(050−1111−1111)も含まれている。次に、制御部109は、オーバーライド許可番号記憶部127を参照して、接続要求とともに送られてきた「発呼者番号」(ここでは、050−1111−1111)が許可されているかどうかを調べる(S182)。許可されていればステップS183へ、さもなければステップS185へ進む。ステップS183では制御部109は、発呼側端末xにリンガー用音声データを要求する。すなわち、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、「リンガー要求」パケットを送出し、データ送受信プロトコル処理部108にデータを受信するよう指示する。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、データを受信すべく待機する。次に、データ送受信プロトコル処理
部108は、ネットワーク接続部105を介して、発呼側端末xより、リンガー用音声データを受信し、制御部109に通知する(S184)。すると、制御部109は、データ送受信プロトコル処理部108が受信したデータをリンガー一時記憶部161に書き込み、ステップS186へ進む。ステップS185では制御部109は、既定リンガー記憶部101を参照し、内容をリンガー一時記憶部161に書き込む。ステップS186では制御部109は、音声再生部117にリンガー一時記憶部161の内容を再生するように指示する。すると、リンガー一時記憶部161に記憶された音声データが再生され、スピーカー197より音声がリンガーとして流れる。この例では、ユーザXが指定したリンガーをユーザYが聞くことになる。着呼側のユーザYは、リンガー音を聞き、端末が着呼していることを知る。ユーザYは、オフフックし(キーボードより応答を指示し)、制御部109は、キーボードからの「オフフック」の通知を受け取ると、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットを発呼側端末xに送出するとともに、呼制御部115に接続を指示し、次のステップS188に進む(S187)。ステップS188では、ネットワーク接続部105を介して受け取った音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声として再生され、スピーカー197に出力される。また、マイク196から入力された音声は音声CODEC部116に送られ、ネットワーク接続部105を介して音声パケットとして発呼側端末xに送られる。このようにして、ユーザXとユーザYは通話を行なう。
なお、本実施の形態ではリンガーのオーバーライドを例として説明しているが、他に、話中割り込み音を同様にオーバーライドするような機能も本発明の範囲内であり、同様の効果を奏するものである。また、本実施の形態では着呼側が発呼側にリンガー用音声データを要求しているが、発呼側がリンガー用音声データを送りつける方式でも、本発明の範囲である。さらにた、本実施の形態ではリンガーがオーバーライドされた場合に、既定のリンガーと置き換わるように説明したが、置き換わるのではなく、既定のリンガーと合成してリンガーとして鳴らすようにしてもよい。さらに、リンガーのオーバーライドに成功した場合にRBTを既定のRBTに代えてリンガーと同じ音になるようオーバーライドするように説明したが、これを既定のRBTと合成するようにしてもよい。
以上のように本実施の形態によれば、制御部109は、メール受信時にはリンガー用音声データを抽出するようにリンガーデータ抽出部171に指示し、抽出したリンガー用音声データを着呼者用リンガー記憶部111に書き込み、また発呼時には着呼者用リンガー記憶部111に記憶したリンガー用音声データをネットワーク接続部105を介して相手側としての着呼側に送信し、着呼時には発呼側から送られてくる音声データがあれば発呼側から送られてくる音声データをリンガー一時記憶部161に書き込むと共に音声再生部117にて音声として出力することにより、近年広く利用されている電子メールにて音声データを自分の端末(IP電話機)に送信することによって、相手用のリンガー(つまり、自分が発呼したときに着呼側である相手端末側で鳴る呼び出し音)を記憶することができるので、非常に簡単な操作で、かつ普段使い慣れている「メールにファイルを添付して送信する」という操作により、相手端末側で鳴らすリンガーのオーバーライド設定を行なうことができ、操作マニュアルなどを読み返す必要が無い。
また、パスワードを記憶するパスワード記憶部125と、メール内に一定の書式で書かれている文字列をパスワードとして抽出するパスワード抽出部175とを備え、制御部109は、メールで送られてきた音声データが正しいパスワードを伴った場合にのみ、メールに添付された音声データを抽出して発呼時に相手側としての着呼側に聞かせるリンガーとして採用することにより、第3者のいたずらによって、望まないリンガーのオーバーライド設定が行われることを防止することができる。
さらに、認証用のメールアドレスを記憶するメールアドレス記憶部126を備え、制御
部109は、メールアドレス記憶部126に記憶された相手からメールが送られてきた場合には、メールに添付された音声データを抽出して発呼時に相手側としての着呼側に聞かせるリンガー用の音として採用することにより、端末に事前にメールアドレスを記憶させ、そのメールアドレスからメールを受け取ったときにのみリンガーのオーバーライドを許可するようにできるので、第3者のいたずらによって、望まないリンガーのオーバーライド設定が行われることを防止することができる。
さらに、リング・バック・トーンを記憶するRBT一時記憶部162を備え、制御部109は、発呼時に相手側端末からリンガー用音声データの要求があれば、着呼者用リンガー記憶部111に記憶されたリンガー用音声データをネットワーク接続部105を介して転送し、RBT一時記憶部162に要求があったリンガー用音声データをロードし、音声再生部117によりRBTとして再生することにより、リンガーのオーバーライドに成功した場合、発呼側はその旨がわかるようにRBTもリンガーと同じ音にオーバーライドすることができるので、自分がいまどのような音声(リンガー)で相手を呼び出しているかをRBTにて知ることができる。
さらに、制御部109は、相手が話中であり、かつ、話中割り込みに応じることができ、しかも、リンガーのオーバーライドが許可されている場合に、「話中でありかつ呼び出し中」であることを示すべく、オーバーライドされているリンガー用の音を話中呼び出し音として再生することにより、相手が話中の時でも、(NTTのキャッチホンサービスとして知られているように)相手の端末が話中着信可能であれば、相手の端末の話中割り込み音をリンガーと同じ音声にオーバーライドすることができるので、自分がいまどのような音声(話中割り込み音)で相手を呼び出しているかをRBTにて知ることができる。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2によるIP電話機(端末)を示すブロック図である。
図7において、101は既定のリンガー用の音声データを記憶した既定リンガー記憶部、102は既定のRBT用の音声データを記憶した既定RBT記憶部、105はLANやインターネットなどのネットワークに接続するためのネットワーク接続部、108はパソコン上の専用アプリケーションとの間でデータを送受信するためのプロトコル処理を行なうと共に端末同士でリンガー用音声データやRBT用音声データや表示用データをやりとりするためのデータ送受信プロトコル処理部、109は全体の制御を行なう制御部、115は電話の発呼、着呼、通話などの動作を制御する呼制御部、116は入力された音声データをエンコードし、音声パケット化すると共に音声パケットを音声データへデコードする音声コーデック部(音声CODEC部)、117は音声データをD/A変換することにより音声信号に変換する音声再生部、121は本端末が発呼した場合に相手側(着呼側)に聞かせたいリンガー用音声データを相手毎(電話番号毎)に記憶する着呼者別リンガー記憶部、122は本端末が着呼した場合に相手側(発呼側)に聞かせたいRBT用音声データを相手毎(電話番号)に記憶する発呼者別RBT記憶部、123は本端末が発呼した場合に相手側(着呼側)の表示部(LCD)に表示したいデータを相手毎(電話番号毎)に記憶した着呼者別着呼側表示データ記憶部、124は本端末が着呼した場合に相手側(発呼側)の表示部(LCD)に表示したいデータを相手毎(電話番号毎)に記憶した発呼者別発呼側表示データ記憶部、125はオーバーライド設定を受け入れる際に相手を確認するためのパスワードを記憶するパスワード記憶部、161は本端末が着呼した場合にリンガーとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するリンガー一時記憶部、162は本端末が発呼した場合にRBTとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するRBT一時記憶部、163は本端末が発呼または着呼した場合に相手から送られてきた表示部(LCD)に表示するためのデータを一時的に記憶する表示データ一時記憶部、195は入力部としてのキーボード、196は音声入力部としてのマイク、197は音声出力部とし
てのスピーカー、198は表示部としてのLCDである。
以上のように構成されたIP電話機の動作について説明する。
図8は、ユーザXがパソコンを利用してユーザXの端末xに設定を行なう際のパソコン上の専用アプリケーション(以降単に、「アプリケーション」と記載する)に基づく動作を示すフローチャートである。アプリケーションでは、あらかじめ初期設定で端末xのIPアドレス(つまり、ユーザXにとって自分の端末のIPアドレス)を記憶しているものとする。
図8において、まず、アプリケーションが起動したことをネットワークを介して端末xに通知する。ここで端末xのIPアドレスはアプリケーションの初期設定で事前に設定されている(S221)。次に、端末xがパスワードを要求しているかどうかを判定する(S222)。要求されていればステップS223へ、さもなければステップS224へ進む。ステップS223では、ユーザにパスワードの入力を促し、ネットワークを介して、入力されたパスワードを端末xに送信し、ステップS224へ移行する。ステップS224では、端末xから現状の設定内容を受け取ればステップS225へ、さもなければ不正なパスワードが入力されたものとしてアプリケーションを終了する。ステップS225では、初期画面でユーザに何を行ないたいかを入力させる。
図9は、各種設定の初期画面を示す画面図である。ここでは、ユーザが「リンガーの設定」を指示したものとして説明を続ける。アプリケーションはユーザの指示にしたがって、リンガーの設定画面を表示する。
図10は、リンガーの設定画面を示す画面図である。図10の画面において、ユーザの操作を受け付けて、表示内容に反映させる(S225)。ここでは、ユーザ操作によってあらかじめパソコンに蓄積されている音声(ファイル)をリンガーとして登録しているが、画面に示すようにユーザは録音ボタンをクリックすることによってパソコンのマイクから自分の声などを録音することによってリンガーとして登録することもできる。
次に、ユーザが図10の画面のOKボタンをクリックすればステップS227へ進む(S226)。さもなければステップS225へ戻る。ステップS227では、画面上でユーザによって入力された内容を端末xへネットワークを介して送信して、処理を終了する。
以上のように、ユーザはパソコン上で画面を見ながら対話的に設定を行なうことができる。
図11は、ユーザがアプリケーションを利用してオーバーライド設定を行なうときの端末の動作を示すフローチャートである。
図11において、まず、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、アプリケーションから「アプリケーション起動通知」を受信する(S241)。次に、制御部109は、パスワード記憶部125を参照し、パスワードが記憶されているかどうかを判定する。記憶されていればパスワードによる認証が必要であるものとしてステップS243へ、さもなければ認証は必要ないものとしてステップS246へ進む(S242)。ステップS243では制御部109は、アプリケーションに対して、「パスワードが必要である」旨をネットワーク接続部105を介して送信する。次に、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、アプリケーションにてユーザが入力したパスワードを受け取る(S244)。制御部109は、受け取ったパスワードとパスワード記憶部125に記
憶されたパスワードとが一致するかどうかを判定する(S245)。一致すればステップS246へ、さもなければ、オーバーライド設定要求を拒絶すべく、処理を終了する。ステップS246では制御部109は、着呼者別のリンガー用音声データのリストや発呼者別のRBT用音声データのリスト、発呼時に相手側に(着呼者別に)表示したいデータや着呼時に相手側に(発呼者別に)表示したいデータを端末xに送信するように、データ送受信プロトコル処理部108に指示する。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、ネットワーク接続部105を介して、端末xにこれらのデータを送信する(S246)。これにより、アプリケーションは現在の端末の設定内容をユーザに対して表示できるようになる。次に、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、アプリケーション上でユーザが入力した設定内容を受信するまで待機する(S247)。受信すれば、ステップS248へ進む。ステップS248では制御部109は、受信した設定内容を各項目ごとに内容を保存する。すなわち、着呼者別リンガー記憶部121、発呼者別RBT記憶部122、着呼者別着呼側表示データ記憶部123、発呼者別発呼側表示データ記憶部124にそれぞれ書き込み、処理を終了する。
次に、あるユーザX(電話番号:050−1111−1111)が別のユーザY(電話番号:050−2222−2222)に発呼する時の本実施の形態におけるIP電話機の動作について説明する。ユーザYの端末yには、着呼時に相手の端末xに表示すべき内容と相手の端末xで流れるべきRBTとが登録され、ユーザXの端末には、発呼時に着呼側の端末yに表示すべき内容と相手の端末yで流れるべきリンガーとが登録されているものとする。図12は、リンガーやRBT、表示すべき内容を相手先別に設定するための画面を示す画面図である。
通話に際しては、ユーザXは、IP電話機をオフフックして、ダイヤルトーンを待ち、ダイヤルトーンを確認してから、ユーザYの電話番号050−2222−2222をキーボードより入力する。
図13、図14は、あるユーザXの端末xの動作を示すフローチャートである。
図13において、まず、発呼側の端末xが着呼側の端末yに「呼の接続要求」を送信する(S261)。すなわち、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、端末yに「接続要求」を送信する。すると、端末yは、(話中でない、電源オフでないことにより)呼の受け入れが可能であるためACKを返信する。次に、制御部109は、自端末のLCD(表示部)198に表示すべきデータをネットワーク接続部105を介して要求し、データ送受信プロトコル処理部108にネットワーク接続部105を介してデータを受信するよう指示する(S262)。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、データを受信すべく待機する。次に、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して表示データを受信したかどうか判定する(S263)。受信した場合は、表示データを表示データ一時記憶部163に書き込む。受信していればステップS264へ、さもなければステップS265へ進む。
ステップS264では制御部109は、表示データ一時記憶部163の内容をLCD198に反映させる。次のステップS265では制御部109は、端末yにネットワーク接続部を介してRBT用音声データを要求し、データ送受信プロトコル処理部108にネットワーク接続部を介してデータを受信するように指示する(S265)。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、データを受信すべく待機する。次に、制御部109は、データ送受信プロトコル処理部108がRBT用音声データを受信したかどうかを判定する(S266)。受信した場合は、受信した内容をRBT一時記憶部162に書き込む。受信していればステップS268へ、さもなければステップS267へ進む。
ステップS267では制御部109は、既定RBT記憶部102の内容をRBT一時記憶部162に書き込む。次のステップS268では制御部109は、音声再生部117にRBT一時記憶部162の内容を再生するよう指示する。すると、音声再生部17は、RBT一時記憶部162の内容を再生し、スピーカー197に出力する。ステップS266でRBTを受信した場合、ユーザXはユーザYが指定したRBTを聞くことになる。
次に、制御部109は、端末yより表示データの要求をネットワーク接続部105を介して受信し(S269)、発呼者別発呼側表示データ記憶部124を参照し、発呼先番号(ここでは050−2222−2222)と対応付けられている表示データが記憶されているかどうかを判定する(S270)。記憶されていればステップS271へさもなければ、ステップS272へ進む。ステップS271では制御部109は、発呼者別発呼側表示データ記憶部124を参照して、発呼先番号(ここでは、050−2222−2222)に対応する表示データ(ここでは、「毎度お世話になります。小野商店です。」)を端末yに送信するようにデータ送受信プロトコル処理部108に指示する(S271)。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、ネットワーク接続部105を介して指定されたデータを端末yに送信して、ステップS273へ進む。
ステップS272では制御部109は、端末yにネットワーク接続部105を介して、NACKすなわち表示してほしいデータが無いことを通知する。次のステップS273では制御部109は、端末yよりネットワーク接続部105を介して、リンガー用音声データの要求を受信する(S273)。次に、制御部109は、着呼者別リンガー記憶部121を参照して、発呼先番号(ここでは050−2222−2222)が記憶されているかどうかを判定する(S274)。記憶されていればステップS275へ、さもなければステップS276へ進む。ステップS275では制御部109は、着呼者別リンガー記憶部121に発呼先番号(ここでは050−2222−2222)に対応付けられて記憶されているリンガー用音声データ(ここではringaer.wavの内容)を端末yに送信するようにデータ送受信プロトコル処理部108に指示する。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、ネットワーク接続105を介して、指定されたデータを端末yに送信し、ステップS277へ進む。ステップS276では制御部109は、端末yに対して、ネットワーク接続部105を介してNACKつまり発呼者に対応付けられたリンガー用音声データは記憶されていないという旨を送信する。
ステップS277では制御部109は、呼制御部115より、接続が行なわれたかどうかの通知を受ける。すなわち、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットが届けば、接続完了と解釈し、次のステップS278へ進む。ステップS278では制御部109は、呼制御部115に呼の接続を指示する。すなわち、以降、ネットワーク接続部105を介して受け取る音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声に変換され、相手の声としてスピーカー197から出力される。また、マイク196より取り込まれた音声は音声CODEC部116に送られ、音声パケットに変換され、ネットワーク接続部105を介して相手(端末y)に送られる。このようにして、ユーザ同士の通話が行なわれる。
図15、図16は、あるユーザYの端末yの動作を示すフローチャートである。
図15において、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して接続要求を受信する(S281)。このとき、受信した情報には発呼者番号(050−1111−1111)も含まれている。次に、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、発呼側(端末x)に表示すべき表示データの要求を受け取る(S282)。次に、制御部109は、発呼者別発呼側表示データ記憶部124を参照し、接続要求とともに送られてきた「発呼者番号」(ここでは050−1111−1111)が登録されているかどうかを調
べる(S283)。登録されていればステップS285へ、さもなければステップS284へ進む。
ステップS284では制御部109は、発呼側端末xにネットワーク接続部105を介してNACKを送信する。つまり、端末yには端末xに対して表示すべきデータが登録されていない旨を伝え、ステップS286へ進む。ステップS285では制御部109は、発呼者別発呼側表示データ記憶部124を参照して、端末xにて表示すべき、発呼者番号(ここでは050−1111−1111)に対応付けられている表示データを端末xに送信するようにデータ送受信プロトコル処理部108に指示する。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、ネットワーク接続部105を介して、端末xに指定されたデータを送信する。次のステップS286では制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、端末xからRBT用音声データの要求を受信する。次に、制御部109は、発呼者別RBT記憶部122を参照して、発呼者番号(ここでは050−1111−1111)に対応するRBT用音声データが登録されているか否かを判定する(S287)。登録されていればステップS289へ、さもなければステップS288へ進む。ステップS288では制御部109は、発呼側端末xにネットワーク接続部105を介してNACKを送信する。つまり、端末yには端末xに対してRBTが登録されていない旨を伝え、ステップS290へ進む。ステップS289では制御部109は、発呼者別RBT記憶部122を参照して、発呼者番号(ここでは050−1111−1111)に対応するRBT用音声データを発呼側端末xに対して送信するようにデータ送受信プロトコル処理部108に指示する。すると、データ送受信プロトコル処理部108はネットワーク接続部105を介して、指定されたデータを送信する。ステップS290では制御部109は、発呼側端末xに対して、自端末(端末y)のLCDに表示すべきデータの要求をネットワーク接続部105を介して送信し、データ送受信プロトコル処理部108に、端末xからデータを受信するよう指示する。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、ネットワーク接続部105を介して、端末xからデータを受信すべく待機する。
次に、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、端末xから自端末(端末y)に表示すべきデータを受信したかどうかを判定する(S291)。受信したデータは表示データ一時記憶部163に記憶される。受信していれば、ステップS292へ、さもなければ、S293へ進む。ステップS292では制御部109は、表示データ一時記憶部163を参照して、LCDに表示(ここでは、「毎度お世話になります。小野商店です。」)を行なう。ステップS293では制御部109は、端末xに対してネットワーク接続部105を介して、リンガー用音声データの要求を送信し、データ送受信プロトコル処理部108に端末xからのデータを受信するよう指示する。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、ネットワーク接続部105を介して、端末xからのデータを受信すべく待機する。
次に、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して端末xからリンガー用音声データを受信したかどうかを判定する(S294)。受信したデータはリンガー一時記憶部161に書き込まれる。受信していればステップS296へ、さもなければステップS295へ進む。ステップS295では制御部109は、既定リンガー記憶部101を参照して、内容をリンガー一時記憶部161に書き込む。ステップS296では制御部109は、音声再生部117にリンガー一時記憶部161の内容を再生するように指示する。すると、リンガー一時記憶部161に記憶された音声データが再生され、スピーカー197より音声がリンガーとして流れる。着呼側のユーザYは、リンガー音を聞き、端末が着呼していることを知る。ユーザYはオフフックし(キーボードより応答を指示し)、制御部109は、キーボードからの「オフフック」の通知を受け取ると(S297)、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットを発呼側端末xに送出するとともに、呼制御部115に接続を指示し、次のステップS298に進む。ステップS298では、ネ
ットワーク接続部105を介して受け取った音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声として再生され、スピーカー197に出力される。また、マイク196から入力された音声は音声CODEC部116に送られ、ネットワーク接続部105を介して音声パケットとして発呼側端末xに送られる。このようにして、ユーザXとユーザYは通話を行なう。
以上のように本実施の形態によれば、制御部109は、パソコン上の専用のアプリケーションからリンガー用音声の設定要求があればリンガー用音声データを受信し電話番号と対応付けて着呼者別リンガー記憶部121に書き込み、また発呼時には相手側としての着呼側からリンガー用音声データの要求があれば相手側の電話番号と対応付けて着呼者別リンガー記憶部121に記憶されたリンガー用音声データをネットワーク接続部105を介して相手側としての着呼側に送信し、着呼時には相手側としての発呼側の端末にリンガー用音声データを要求したときに発呼側から送られてくる音声データをリンガー一時記憶部161に書き込み、音声再生部117にて音声として出力するように指示することにより、GUIによって対話的にリンガーのオーバーライド設定ができるので、メールの利用法がわからないユーザでも簡単に所望の設定を行うことができる。
また、パソコン上の専用のアプリケーションは、パソコン画面上においてパスワードをユーザに入力させ、IP電話機に記憶されたパスワードと認証を行なって認証された場合にのみ、指定された音声データをリンガーとして使用するようにIP電話機に指示することにより、専用のアプリケーションによって自端末にリンガーのオーバーライド設定を行なうときにパスワードにより認証を行なうようにしたので、第3者のいたずらによって、望まないリンガーのオーバーライド設定が行われることを防止することができる。
さらに、制御部109は、発呼時には着呼者別着呼側表示データ記憶部123に着呼者としての発呼先の電話番号と対応付けられている表示データをネットワーク接続部を通して相手側としての着呼側に送信し、着呼時には発呼側から送られてくる表示データがあれば表示データ一時記憶部163に書き込み、表示部198にて表示することにより、発呼時に相手側端末(着呼側)に表示したい文字や図形などをメールにて自端末にあらかじめ送信しておき、発呼時に相手側端末(着呼側)の表示部に表示させることができるので、相手側(着呼側)は、電話を取る前に相手から送られてきたメッセージ(文字や図形)を受け取ることができ、表現力豊かでかつ効率的なコミュニケーションを行なうことができる。
さらに、制御部109は、着呼時には発呼者別発呼側表示データ記憶部124に発呼元の電話番号と対応付けて記憶した表示データをネットワーク接続部105を通して相手側としての発呼側に送信し、発呼時には着呼側から送られてくる表示データがあれば表示データ一時記憶部163に書き込み、表示部198にて表示することにより、着呼時に相手側端末(発呼側)に表示したい文字や図形などをメールにて自端末にあらかじめ送信しておき、着呼時に相手側端末(発呼側)の表示部に表示させることができるので、相手側(発呼側)は、着呼側が電話を取る前に相手から送られてきたメッセージ(文字や図形)を受け取ることができ、表現力豊かでかつ効率的なコミュニケーションを行なうことができる。
(実施の形態3)
図17は本発明の実施の形態3によるIP電話機を示すブロック図である。
図17において、101は既定のリンガー用の音声データを記憶した既定リンガー記憶部、102は既定のRBT用の音声データを記憶した既定RBT記憶部、105はLANやインターネットなどのネットワークに接続するためのネットワーク接続部、106はメ
ールを受信するためのプロトコル処理を行なうメール受信部、107はサーバーからデータをダウンロードするためのプロトコル処理を行なうデータ受信プロトコル処理部、109は全体の制御を行なう制御部、115は電話の発呼、着呼、通話などの動作を制御する呼制御部、116は入力された音声データをエンコードし、音声パケット化すると共に音声パケットを音声データへデコードする音声コーデック部(音声CODEC部)、117は音声データをD/A変換することにより音声信号に変換する音声再生部、141は本端末が着呼した場合に何番の相手から着呼したかによっておのおの異なるリンガーを鳴らすべくリンガー用音声データが記憶されているサーバーのアドレスを記憶する発呼者別リンガーアドレス記憶部、161は本端末が着呼した場合に、リンガーとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するリンガー一時記憶部、162は本端末が発呼した場合に、RBTとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するRBT一時記憶部、176はメールの本文に一定の書式で書かれた文字列を電話番号として抽出する電話番号抽出部、181はメールの本文に一定の書式で書かれた文字列をリンガー用の音声データが記憶されているサーバーのアドレスとして抽出するリンガーアドレス抽出部、195は入力部としてのキーボード、196は音声入力部としてのマイク、197は音声出力部としてのスピーカー、198は表示部としてのLCDである。
以上のように構成されたIP電話機について、その動作を説明する。まず図18〜図20を用いて説明する。図18はユーザYが実際にユーザXのIP電話機(端末x)にオーバーライド設定を行なう場合の端末xの動作を示すフローチャート、図19は、メール作成のための画面を示す画面図、図20はオーバーライド要求を示すLCD画面図である。
まず、ユーザYはパソコン上でメールを作成し、リンガー用の音声データを添付し、オーバーライドを行ないたい相手(ユーザX)のIP電話機(端末x)宛てに送信する。ここでは端末xの持つメールアドレスは050−1111−1111@ip.tel.comであるとする。図19に、このときのメール作成の様子を示す。本メールではリンガー用の音声ファイルが添付してあり、本文には自分(ユーザY)の電話番号(ここでは050−2222−2222)とリンガー用の音声ファイルが保存されているアドレスとが記述してある。つまり、音声ファイルはインターネットやLAN上のサーバーに保存されている。
ユーザYは本メールを相手の端末xに向けて送信する。以降、端末xの動作は次のようになる。
図18において、まず、端末xがメールを受信する(S301)。つまり、ネットワーク接続部105を通じて、メール受信部106がメールを受信し、制御部109に通知する。次に、制御部109は、リンガーデータアドレス抽出部181に、メールの本文に書かれているリンガー用音声データのアドレス(URL)を抽出するように指示する(S302)。すると、リンガーデータアドレス抽出部181は、メール受信部106の内容を参照して、リンガー用音声データのアドレス(URL)を抽出する。ここでは、http://jpops/2003/new/HIPHOP.wavが抽出される。制御部109は、抽出されたアドレスをデータ受信プロトコル処理部107に渡し、指定されたデータを受信するように指示する。すると、データ受信プロトコル処理部107は、指定されたデータをダウンロードし、結果をリンガー一時記憶部161に書き込む。次に、制御部109は、電話番号抽出部176にメールの本文に書かれている相手の電話番号を抽出するように指示する。さらに、ユーザYに、本端末に対して、電話番号抽出部176が抽出した電話番号の相手(ここでは050−2222−2222)がオーバーライド設定要求を行なっていることを知らせるべく、LCD196に表示を行なう(S303)。図20に、このときのLCDの様子を示す。次に、ユーザYはこの表示を見つけ、キーボード195を操作し、音声の再生を指示する。すると、制御部109は、これを察知して、音声
再生部117にリンガー一時記憶部161の内容(ここではhttp://jpops/2003/new/HIPHOP.wavの内容)を再生するように指示する(S304)。すると、音声再生部117は、音声を再生し、スピーカー197に出力する。次に、ユーザYは、再生された音声を聞いて気に入れば、このオーバーライド設定要求を受け入れる指示をキーボード195より行なう(S305)。気に入らない場合は、オーバーライド設定要求を拒絶すべく、キーボード195を操作する(S305)。ユーザが本音声を気に入った場合はステップS306へ、さもなければ処理を終了する。ステップS306では制御部109は、発呼者別リンガーアドレス記憶部141に、抽出された電話番号とリンガー用音声データのアドレスとを対応付けて書き込む。
以上、説明したように、ユーザは簡単にオーバーライド設定を行なうことができ、しかも、オーバーライド設定を受けるほうのユーザは実際にオーバーライドの内容を聞いてみて気に入らなければ拒絶することができる。なお、本実施の形態では、メールの送信者と本文中の電話番号とが本当に対応しているかどうか検証できないため、「なりすまし」によって悪意を持つ第3者が悪意を持ってオーバーライド設定を行なうことが可能である。この場合、メールアドレスやパスワードによって認証を行い、なりすましを防止する方法が考えられる。
次に、あるユーザX(電話番号:050−1111−1111)に別のユーザY(電話番号:050−2222−2222)が発呼する時の本実施の形態におけるIP電話機の動作について説明する。ユーザXの端末xには、ユーザYからの「オーバーライド要求」を受け入れるべく、ユーザYの端末yの電話番号050−2222−2222に対するリンガーアドレスが発呼者別リンガーアドレス記憶部141に登録されているものとする。
通話に際して、ユーザXは、電話機をオフフックして、ダイヤルトーンを待ち、ダイヤルトーンを確認してから、ユーザYの電話番号050−2222−2222をキーボードより入力する。
図21は、発呼側の端末yの動作を示すフローチャートである。
図21において、まず、発呼側の端末yが着呼側の端末xに「呼の接続要求」を送信する(S361)。すなわち、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、端末xに「接続要求」を送信する。すると、端末xは、(話中でない、電源オフでないにより)呼の受け入れが可能であるためACKを返信する。次に、制御部109は、既定RBT記憶部102の内容をRBT一時記憶部162に書き込み、音声再生部117にRBT一時記憶部162の内容を再生するように指示する(S362)。すると、音声再生部117は、記憶している内容を再生し、スピーカー197に出力する。つまり、ユーザYはRBTを聞くことになる。次に、制御部109は、呼制御部115より、接続が行なわれたかどうかの通知を受ける(S363)。すなわち、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットが届けば、接続完了と解釈し、次のステップ364へ進む。ステップS364では制御部109は、呼制御部115に呼の接続を指示する。すなわち、以降、ネットワーク接続部105を介して受け取る音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声に変換され、相手の声としてスピーカー197から出力される。また、マイク196より取り込まれた音声は音声CODEC部116に送られ、音声パケットに変換され、ネットワーク接続部105を介して相手(端末x)に送られる。このようにして、ユーザ同士の通話が行なわれる。
図22は、着呼側の端末xの動作を示すフローチャートである。
図22において、まず、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して接続要求
を受信する(S381)。次に、制御部109は、発呼者別リンガーアドレス記憶部141を参照して、接続要求とともに送られてきた「発呼者番号」(ここでは050−2222−2222)が登録されているかどうかを調べる(S382)。登録されていればステップS383へ、さもなければステップS384へ進む。ステップS383では制御部109は、発呼者別リンガーアドレス記憶部141を参照して、接続要求とともに送られてきた「発呼者番号」(ここでは050−2222−2222)に対応付けられて記憶されているリンガーアドレスをデータ受信プロトコル処理部107に渡し、指定されたアドレス(ここではhttp://jpops/2003/new/HIPHOP.wav)から音声データをダウンロードするように指示する。すると、データ受信プロトコル処理部107は、指定されたアドレスから音声データをダウンロードし、リンガー一時記憶部161に書き込み、ステップS385へ進む。ステップS384では制御部109は、既定リンガー記憶部101の内容をリンガー一時記憶部161に書き込む。ステップS385では制御部109は、音声再生部117にリンガー一時記憶部161の内容を再生するよう指示する。すると、リンガー一時記憶部161に記憶された音声データが再生され、スピーカー197より音声がリンガーとして流れる。次に、着呼側のユーザXは、リンガー音を聞き、端末が着呼していることを知る。ユーザXはオフフックし(キーボードより応答を指示し)、制御部109は、キーボードからの「オフフック」の通知を受け取ると、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットを発呼側端末yに送出するとともに、呼制御部115に接続を指示し、次のステップS387へ進む(S386)。ステップS387では、ネットワーク接続部105を介して受け取った音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声として再生され、スピーカー197に出力される。また、マイク196から入力された音声は音声CODEC部116に送られ、ネットワーク接続部105を介して音声パケットとして発呼側端末yに送られる。このようにして、ユーザXとユーザYは通話を行なう。
なお、本実施の形態では音声データとしてURLを利用しているが、サーバー上のデータが特定できるものであればURLでなくてもよい。また、悪意のある第3者からのオーバーライド設定要求を拒否すべく、実施の形態1で示したようにパスワードやメールアドレスを組み合わせた認証方法を付加してもよい。さらに、本実施の形態では、メールによってサーバー上のアドレスを設定しているが、実施の形態2で示したように専用のアプリケーションを利用して設定を行なう方法も考えられる。
以上のように本実施の形態によれば、制御部109は、メール受信時にはメールに添付されたリンガー用音声データのアドレス情報を抽出するようにリンガーアドレス抽出部181に指示し、また本文に書かれた電話番号を抽出するように電話番号抽出部176に指示し、抽出した電話番号とリンガー用音声データのアドレス情報とを対応付けて発呼者別リンガーアドレス記憶部141に書き込み、また着呼時には発呼側の電話番号が発呼者別リンガーアドレス記憶部141に記憶した電話番号であれば対応付けられているリンガー用音声データのアドレス情報を参照して音声データをダウンロードするようにデータ受信プロトコル処理部107に指示し、ダウンロードした音声データをリンガー一時記憶部161に書き込み、音声再生部117にて音声として出力するように指示することにより、例えば、サーバーの音声データが定期的に更新されれば、ユーザが特に操作することなしに、リンガーを定期的に変更することができ、プロバイダーなどが付加価値サービスとしてリンガーの定期的更新を行なう環境を提供することができる。また、自端末あるいは相手端末ではなくサーバーに記憶するため、記憶領域に制限が無く、数多くの音声データを記憶させることができ、その一方で端末側に必要な記憶領域が小さくなるため、端末を安価に作成することができる。
(実施の形態4)
図23は本発明の実施の形態4によるIP電話機を示すブロック図である。
図23において、101は既定のリンガー用の音声データを記憶した既定リンガー記憶部、102は既定のRBT用の音声データを記憶した既定RBT記憶部、105はLANやインターネットなどのネットワークに接続するためのネットワーク接続部、106はメールを受信するためのプロトコル処理を行なうメール受信部、109は全体の制御を行なう制御部、115は電話の発呼、着呼、通話などの動作を制御する呼制御部、116は入力された音声データをエンコードし、音声パケット化すると共に音声パケットを音声データへデコードする音声コーデック部(音声CODEC部)、117は音声データをD/A変換することにより音声信号に変換する音声再生部、125はオーバーライド設定を受け入れる際に相手を確認するためのパスワードを記憶するパスワード記憶部、126はオーバーライド設定を受け入れる際に受け入れを許可する相手のメールアドレスを記憶するメールアドレス記憶部、131は本端末が着呼した場合に何番の相手から着呼したかによっておのおの異なるリンガーを鳴らすべくリンガー用音声データを記憶する発呼者別リンガー記憶部、132は本端末が発呼した場合に何番の相手に発呼したかによっておのおの異なるRBTを鳴らすべくRBT用音声データを記憶した着呼者別RBT記憶部、161は本端末が着呼した場合に、リンガーとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するリンガー一時記憶部、162は本端末が発呼した場合に、RBTとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するRBT一時記憶部、171はメールに添付された音声ファイルとメールの本文に一定の書式で書かれたファイル名とからリンガーとして採用すべき音声データを抽出するリンガーデータ抽出部、172はメールに添付された音声ファイルとメールの本文に一定の書式で書かれたファイル名からRBTとして採用すべき音声データを抽出するRBTデータ抽出部、175はメールの本文に一定の書式で書かれた文字列をパスワードとして抽出するパスワード抽出部、176はメールの本文に一定の書式で書かれた文字列を電話番号として抽出する電話番号抽出部、195は入力部としてのキーボード、196は音声入力部としてのマイク、197は音声出力部としてのスピーカーである。
以上のように構成されたIP電話機について、その動作を説明する。
まず、ユーザは、自端末がリンガーのオーバーライド設定をメールにて受け取った場合、無条件にその内容を記憶するのか、パスワードにて確認するのか、あるいは、送信者のメールアドレスによって確認するのかを設定する。これは、第3者による望まざるオーバーライド設定を受け入れてしまうのを防ぐためである。
図24は、認証設定のための画面を示す画面図である。
本実施の形態では、ユーザはキーボードを操作し、「認証設定画面」(図24)を呼び出す。ここでは、ユーザは、本端末がメールを受け取ったときに発信者のメールアドレスと本文中に書かれたパスワードとによって、そのメールの正当性を評価し、正当だと判定した場合のみ、オーバーライド設定を行なうように指示している。
図25は、ユーザが実際にオーバーライド設定を行なう場合についての端末の動作を示すフローチャートである。ここでは、2人のユーザ(ユーザX、ユーザY)の間で、ユーザXがユーザYの端末yに対してオーバーライド設定を行なう場合、ユーザXがユーザYに対して発呼した場合のユーザXの端末x、ユーザYの端末yの動作について順に説明する。
まず、ユーザはパソコン上でメールを作成し、その本文にパスワードを記入し、リンガー用の音声データやRBT用の音声データを添付し、オーバーライドしたい相手のユーザのIP電話機宛てに送付する。ここではIP電話機の持つメールアドレスは050−2222−2222@ip.tel.comであるとする。
図26はメール作成のための画面を示す画面図である。
本メールではリンガー用の音声ファイルとRBT用の音声ファイルとが添付されており、本文には自端末の電話番号、パスワードとリンガー用の音声ファイルおよびRBT用の音声ファイルの名前が記述してある。ユーザXは本メールをオーバーライド設定を行ないたい相手の端末yに向けて送信する。以降、端末yの動作は次のようになる。
図25において、端末yがメールを受信する(S401)。ここでは、受け取ったメールの送信者のアドレスはono@yahoo.ne.jpである。つまり、ネットワーク接続部105を通じて、メール受信部106がメールを受信し、制御部109に通知する。次に、制御部109は、メールアドレス記憶部126を参照し、「メールアドレスによる認証が必要」の設定がなされているかどうかを判定する(S402)。設定がなされていれば、メールアドレスによる認証が求められているものとしてステップS403へ、さもなければ、メールアドレスによる認証は必要ないので、ステップS404のパスワードによる認証へ進む。ステップS403では制御部109は、受け取ったメールの送信者のアドレスono@yahoo.ne.jpが、メールアドレス記憶部126に記憶されていてかつオーバーライド設定が許可されているかどうかを判定する。許可されていればステップS404へ、さもなければ認証に失敗したのでこのメールを拒絶するため、この処理を終了する。ステップS404では制御部109は、パスワード記憶部125を参照し、パスワードが記憶されているかどうか判定する。パスワードが記憶されていればステップS405へ、さもなければ、認証は必要ないので、そのままオーバーライド設定を受け入れるべく、ステップS406へ進む。ステップS405では制御部109は、パスワード抽出部175にパスワード抽出を指示する。すると、パスワード抽出部175はメール受信部106が受信したメールの内容を参照し、メールの本文に一定の書式で記述された文字列をパスワードとして抽出する。制御部109は、パスワード記憶部125に記憶されたパスワードとパスワード抽出部175が抽出したパスワードとが一致するかを判定する。一致すれば、ステップS406へ、さもなければ、認証に失敗したとして、本メールによるオーバーライド設定を拒絶すべく、処理を終了する。ステップS406では制御部109は、電話番号抽出部176に電話番号の抽出を指示する。すると、電話番号抽出部176は、メール受信部106が受信したメールの内容を参照して、電話番号(ここでは050−1111−1111)を抽出する。次に、リンガーデータ抽出部171にリンガー用音声データの抽出を指示する。すると、リンガーデータ抽出部171は、メール受信部106が受信したメールの内容を参照し、添付された音声ファイル(HIPPOP.wav)を参照し、リンガー用音声データとして抽出する。制御部109は、この内容を先に抽出した電話番号(050−1111−1111)と対応付けて発呼者別リンガー記憶部131に書き込む。さらに、制御部109は、RBTデータ抽出部172にRBT用音声データの抽出を指示する。すると、RBTデータ抽出部172は、メール受信部106が受信したメールの内容を参照し、添付された音声ファイル(stream.wav)を参照し、RBT用音声データとして抽出する。制御部109は、この内容を先に抽出した電話番号(050−1111−1111)と対応付けて着呼者別RBT記憶部132に書き込む。
以上でオーバーライド設定処理を終了する。
以上説明したように、ユーザは簡単にオーバーライド設定を行なうことができ、しかも、ユーザーが望めば、パスワードやメールの送信者のアドレスによって第3者による望まないオーバーライド設定を拒絶することができる。なお、本実施の形態ではメールにてオーバーライド設定要求を行なう方法を示したが、実施の形態2のように専用のアプリケーションを利用する方法でもよい。
次に、ユーザX(電話番号:050−1111−1111)がユーザY(電話番号:050−2222−2222)に発呼する時の本実施の形態におけるIP電話機の動作について説明する。ユーザYの端末yにはユーザXからの「オーバーライド要求」を受け入れるべく、ユーザXの端末xの電話番号050−1111−1111に対してリンガー用音声データが発呼者別リンガー記憶部131に登録されているものとする。また、ユーザXの端末xには、ユーザYからの「オーバーライド要求」を受け入れるべく、ユーザYの端末yの電話番号050−2222−2222に対してRBT用音声データが着呼者別RBT記憶部132に登録されているものとする。
通話に際しては、ユーザXは、電話機をオフフックして、ダイヤルトーンを待ち、ダイヤルトーンを確認してから、ユーザYの電話番号050−2222−2222をキーボードより入力する。
図27は、発呼側の端末xの動作を示すフローチャートである。
図27において、まず、発呼側の端末xが着呼側の端末yに「呼の接続要求」を送信する(S461)。すなわち、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、端末yに「接続要求」を送信する。すると、端末yは、(話中でない、電源オフでないことにより)呼の受け入れが可能であるためACKを返信する。次に、制御部109は、着呼者別RBT記憶部132を参照して、発呼先の番号(ここでは050−2222−2222)が登録されているかどうか判定する(S462)。登録されていればステップS463へ、さもなければステップS464へ進む。ステップS463では制御部109は、着呼者別RBT記憶部132を参照して、発呼先の番号(ここでは050−2222−2222)に対応付けられて記憶されているRBT用音声データをRBT一時記憶部162に書き込み、ステップS465へ進む。ステップS464では制御部109は、既定RBT記憶部102を参照して、その内容をRBT一時記憶部162に書き込む。次のステップS465では制御部109は、音声再生部117にRBT一時記憶部162の内容を再生するように指示する。すると、音声再生部117は、RBT一時記憶部162の内容を再生し、スピーカー197に出力する。この例では、ユーザXはユーザYが指定したRBTを聞くことになる。次に制御部109は、呼制御部115より、接続が行なわれたかどうかの通知を受ける(S466)。すなわち、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットが届けば、接続完了と解釈し、次のステップS467へ進む。ステップS467では制御部109は、呼制御部115に呼の接続を指示する。すなわち、以降、ネットワーク接続部105を介して受け取る音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声に変換され、相手の声としてスピーカー197から出力される。また、マイク196より取り込まれた音声は音声CODEC部116に送られ、音声パケットに変換され、ネットワーク接続部105を介して相手(端末y)に送られる。このようにして、ユーザ同士の通話が行なわれる。
図28は着呼側の端末yの動作を示すフローチャートである。
図28において、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して接続要求を受信する(S481)。次に制御部109は、発呼者別リンガー記憶部131を参照して、接続要求とともに送られてきた「発呼者番号」(ここでは050−1111−1111)が登録されているかどうかを調べる(S482)。登録されていればステップS483へ、さもなければステップS484へ進む。ステップS483では制御部109は、発呼者別リンガー記憶部131を参照して、接続要求とともに送られてきた「発呼者番号」(ここでは050−1111−1111)に対応付けられて記憶されているリンガー用音声データをリンガー一時記憶部161に書き込み、ステップS485へ進む。ステップS484
では制御部109は、既定リンガー記憶部101の内容をリンガー一時記憶部161に書き込む。次のステップS485では制御部109は、音声再生部117にリンガー一時記憶部161の内容を再生するように指示する。すると、リンガー一時記憶部161に記憶された音声データが再生され、スピーカー197より音声がリンガーとして流れる。次に、着呼側のユーザYは、リンガー音を聞き、端末が着呼していることを知る。ユーザYはオフフックし(キーボードより応答を指示し)、制御部109は、キーボードからの「オフフック」の通知を受け取ると、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットを発呼側端末xに送出するとともに、呼制御部115に接続を指示し、次のステップS487へ進む(S486)。ステップS487では、ネットワーク接続部105を介して受け取った音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声として再生され、スピーカー197に出力される。また、マイク196から入力された音声は音声CODEC部116に送られ、ネットワーク接続部105を介して音声パケットとして発呼側端末xに送られる。このようにして、ユーザXとユーザYは通話を行なう。
なお、本実施の形態ではリンガーとRBTとのオーバーライドのみを示したが、実施の形態2に示したようなLCDへの表示内容も同様に本方法で実現できることは言うまでも無い。
以上のように本実施の形態によれば、制御部109は、メール受信時にはメール受信部106より受信内容を受け取り、リンガーデータ抽出部171にメールに添付されているリンガー用音声データを抽出するように指示し、電話番号抽出部176に電話番号を抽出するように指示し、抽出した電話番号とリンガー用音声データとを対応付けて発呼者別リンガー記憶部131に書き込み、また着呼時には発呼者番号が発呼者別リンガー記憶部131に記憶した電話番号であれば対応付けられているリンガー用音声データをリンガー一時記憶部161に書き込み、音声再生部117にて再生することによって音声の出力を行なうように指示することにより、メールにて音声データを相手端末に送信することにより、オーバーライド用の音声データ(相手端末に自分が発呼した場合に、相手に聞かせたいリンガー音)を相手端末が記憶することができるので、複雑な操作なしに、いつもやりなれている操作でリンガーのオーバーライド設定を行なうことができる。
また、メールアドレス記憶部126を備え、メール受信時には発信者のメールアドレスがメールアドレス記憶部126に記憶されているかどうかを調べ、記憶されている場合にのみ、添付されている音声データあるいはアドレス情報が示す音声データをリンガーとして採用することにより、端末に事前にメールアドレスを記憶させ、そのメールアドレスからメールを受け取ったときにのみリンガーのオーバーライドを許可することとしたので、第3者のいたずらによって、望まないリンガーのオーバーライド設定が行われることを防止することができる。
さらに、制御部109は、音声データが添付されたメールを受信した場合にはその旨を表示するリンガー・オーバーライド要求表示手段と、ユーザがリンガー・オーバーライド要求表示手段にてオーバーライド要求が発生していることを確認した場合にどんな音声データか聞いてみるための再生指示手段と、聞いてみて気に入らなかった場合にこれを却下するためのオーバーライド要求拒否指示手段と、聞いてみて気に入った場合にこれをリンガーとして採用することを指示するオーバーライド要求受諾手段とを有することにより、相手からリンガーのオーバーライド要求が発生した場合に、その旨がユーザにわかるようにしたので、ユーザは、オーバーライドされようとしている音声データを試しに聞いてみて気に入った場合のみオーバーライドを許可することができ、好ましくない音声データをリンガーとして設定することを防止することができる。
さらに、パスワードを記憶するパスワード記憶部125と、メール内に一定の書式で書
かれている文字列をパスワードとして抽出するパスワード抽出部175とを備え、制御部109は、メールで送られてきた音声データが正しいパスワードを伴った場合にのみ、メールに添付されていた音声データを抽出して発呼時に相手側としての着呼側に聞かせるリンガーとして採用することニより、メールにより相手端末に自分の所望するリンガー音を送付する際、メール本文に、パスワードを含めることを義務づけ、相手端末側が記憶しているパスワードと照合しない場合はオーバーライドを認めないようにしたので、第3者がいたずらに好ましくない音声データをリンガーとして設定するのを防止することができる。
さらに、電話番号とRBT用音声データとを対応付けて記憶する着呼者別RBT記憶部132と、メールに添付されていたRBT用音声データを抽出するRBTデータ抽出部172とを備え、制御部109は、メール受信時にはメールにRBTとして添付された音声データを抽出するようRBTデータ抽出部172に指示し、本文に書かれた電話番号を抽出するように電話番号抽出部176に指示し、抽出したRBTデータと電話番号とを対応付けて着呼者別RBT記憶部132に書き込み、発呼時には、発呼先の電話番号が着呼者別RBT記憶部132に記憶されているか否かを検索し、あれば対応付けられたRBTデータをRBT一時記憶部162に書き込み、音声再生部117によって再生し、受話器でその再生音をRBTとして聞かせることにより、相手端末に音声データを記憶する。このことによってメールという簡単な操作あるいは普段使い慣れた操作で、RBTのオーバーライド設定という複雑な処理を簡単に行なうことができる。
さらに、制御部109は、RBTのオーバーライドに成功した場合にはRBT用音声データをリンガー一時記憶部161に書き込み、書き込んだRBT用音声データをリンガーとして再生することにより、RBTのオーバーライドに成功した場合に、リンガーをRBTと同じ音にすることによって相手側(発呼側)が自分(着呼側)を呼び出しているときに相手がどのようなRBTを聞いているかをリンガーによって知ることができる。
さらに、制御部109は、着呼時には発呼者番号が発呼者別リンガー記憶部131に記憶されているか否かを検索し、発呼者番号が記憶されている場合には対応付けられて記憶されている音声データをリンガー一時記憶部161に書き込み、音声再生部117にてリンガーとして再生することにより、パソコン上の専用アプリケーションにより音声データを指定し、相手端末に記憶させることができるので、メールの操作が出来ないユーザでもGUIにより対話的にオーバーライドを設定することができる。
さらに、制御部109は、音声データおよび電話番号の設定要求が発生した場合にその旨を表示するリンガー・オーバーライド要求表示手段と、ユーザがリンガー・オーバーライド要求表示手段にてオーバーライド要求が発生していることを確認した場合にどんな音声データか聞いてみるための再生指示手段と、聞いてみて気に入らなかった場合にこれを却下するためのオーバーライド要求拒否指示手段と、聞いてみて気に入った場合にこれをリンガーとして採用することを指示するオーバーライド要求受諾手段とを有することにより、パソコン上の専用アプリケーションで音声データを相手端末にリンガーとして記憶させると、その旨が相手端末のユーザに知らされ、ユーザは、オーバーライドされようとしている音声データを試しに聞いてみて気に入った場合のみオーバーライドを許可するようにしたので、好ましくない音声データをリンガーとしてオーバーライドするのを防止することができる。
さらに、パスワードを記憶するパスワード記憶部125を備え、制御部109は、パソコンの専用のアプリケーションからリンガーをオーバーライドしようとした場合に、パスワードをユーザに入力させ、入力されたパスワードがパスワード記憶部の内容と一致した場合にのみオーバーライドを認めることにより、パソコン上の専用アプリケーションで音
声データを相手端末にリンガーとして記憶させる際に、パスワードを要求し、オーバーライドを受ける側の端末にあらかじめ記憶されたパスワードと照合することによってオーバーライドを許可するかどうかを決定するようにしたので、第3者がいたずらに好ましくない音声データをリンガーとしてオーバーライドするのを防止することができる。
さらに、制御部109は、ユーザがオーバーライド要求が発生していることを確認し、聞いてみて気に入らず、オーバーライドを却下した場合にはその旨を相手側に知らせることにより、パソコン上の専用アプリケーションで音声データを相手端末にリンガーとして記憶させると、その旨が相手端末のユーザに知らされ、ユーザはオーバーライドされようとしている音声データを試しに聞いてみて気に入らなかった場合、相手にその旨を通知するようにしたので、オーバーライドを要求した側のユーザは、相手がオーバーライドを許可したかどうかを知ることができる。
(実施の形態5)
図29は本発明の実施の形態5によるIP電話機を示すブロック図である。
図29において、101は既定のリンガー用の音声データを記憶した既定リンガー記憶部、102は既定のRBT用の音声データを記憶した既定RBT記憶部、105はLANやインターネットなどのネットワークに接続するためのネットワーク接続部、106はメールを受信するためのプロトコル処理を行なうメール受信部、108はパソコン上の専用アプリケーションとの間でデータを送受信するためのプロトコル処理を行なうと共に端末同士でリンガー用音声データやRBT用音声データや表示用データをやりとりするためのデータ送受信プロトコル処理部、109は全体の制御を行なう制御部、115は電話の発呼、着呼、通話などの動作を制御する呼制御部、116は入力された音声データをエンコードし、8ック部(音声CODEC部)、117は音声データをD/A変換することにより音声信号に変換する音声再生部、121は本端末が発呼した場合に相手側(着呼側)に聞かせたいリンガー用音声データを相手毎(電話番号毎)に記憶する着呼者別リンガー記憶部、122は本端末が着呼した場合に相手側(発呼側)に聞かせたいRBT用音声データを相手毎(電話番号毎)に記憶する発呼者別RBT記憶部、125はオーバーライド設定を受け入れる際に、相手を確認するためのパスワードを記憶するパスワード記憶部、126はオーバーライド設定を受け入れる際に受け入れを許可する相手のメールアドレスを記憶するメールアドレス記憶部、151は本端末が着呼した場合に、何番の相手からの着呼かによって相手側(発呼側)にオーバーライドすべきリンガー用音声データを要求するかどうかを決定するための相手番号を記憶するリンガーオーバーライド番号記憶部、152は本端末が発呼した場合に、何番の相手への発呼かによって相手側(着呼側)にオーバーライドすべきRBT用音声データ−を要求するかどうかを決定するための相手番号を記憶するRBTオーバーライド番号記憶部、161は本端末が着呼した場合に、リンガーとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するリンガー一時記憶部、162は本端末が発呼した場合に、RBTとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するRBT一時記憶部、171はメールに添付された音声ファイルとメールの本文に一定の書式で書かれたファイル名とからリンガーとして採用すべき音声データを抽出するリンガーデータ抽出部、172はメールに添付された音声ファイルとメールの本文に一定の書式で書かれたファイル名とからRBTとして採用すべき音声データを抽出するRBTデータ抽出部、175はメールの本文に一定の書式で書かれた文字列をパスワードとして抽出するパスワード抽出部、176はメールの本文に一定の書式で書かれた文字列を電話番号として抽出する電話番号抽出部、195は入力部としてのキーボード、196は音声入力部としてのマイク、197は音声出力部としてのスピーカーである。
以上のように構成されたIP電話機について、その動作を図30を用いて説明する。図30は本発明の実施の形態5によるIP電話機の動作を示すフローチャートである。
まず、ユーザは、自端末がリンガーのオーバーライド設定をメールにて受け取った場合、無条件にその内容を記憶するのか、パスワードにて確認するのか、あるいは、送信者のメールアドレスによって確認するのかを設定する。これは、第3者による望まざるオーバーライド設定を受け入れてしまうのを防ぐためである。
図24に、このときのIP電話機の画面の様子を示す。本実施の形態では、ユーザはキーボードを操作し、「認証設定画面」(図24)を呼び出す。ここでは、ユーザは、本端末がメールを受け取ったときに発信者のメールアドレスと本文中に書かれたパスワードとによって、そのメールの正当性を評価し、正当だと判定した場合のみ、オーバーライド設定を行なうよう指示している。
次に、ユーザが実際にオーバーライド設定を行なう場合についての端末の動作を図30のフローチャートを用いて説明する。ここでは、2人のユーザ(ユーザX、ユーザY)の間で、ユーザXがユーザYの端末yに対してオーバーライド設定を行なう場合で、ユーザYがユーザXに対して発呼した場合のユーザYの端末y、ユーザXの端末xの動作について順に説明する。
まず、ユーザXはパソコン上でメールを作成し、その本文にパスワードを記入し、リンガー用の音声データやRBT用の音声データを添付し、ユーザYのIP電話機(端末y)宛てに送付する。ここではIP電話機の持つメールアドレスは050−2222−2222@ip.tel.comであるとする。図26に、このときのメール作成の様子を示す。本メールではリンガー用の音声ファイルとRBT用の音声ファイルとが添付してあり、本文には自端末の電話番号、パスワードとリンガー用の音声ファイルおよびRBT用の音声ファイルの名前が記述してある。ユーザXは本メールをオーバーライド設定を行ないたい相手の端末yに向けて送信する。以降、端末yの動作は次のようになる。
図30において、まず、端末yがメールを受信する(S501)。つまり、ネットワーク接続部105を通じて、メール受信部106がメールを受信し、制御部109に通知する。ここで受け取ったメールの発信者のアドレスはono@yahoo.ne.jpである。次に、制御部109は、メールアドレス記憶部126を参照し、「メールアドレスによる認証が必要」の設定がなされているかどうかを判定する(S502)。設定がなされていれば、メールアドレスによる認証が求められているものとしてステップS503へ、さもなければ、メールアドレスによる認証は必要ないので、ステップS504のパスワードによる認証へ進む。ステップS503では制御部109は、受け取ったメールの送信者のアドレス(ono@yahoo.ne.jp)が、メールアドレス記憶部126に記憶されていて、かつ、オーバーライド設定が許可されているかどうかを判定する。許可されていればステップS504へ、さもなければ、認証に失敗したのでこのメールを拒絶するため、この処理を終了する。ステップS504では制御部109は、パスワード記憶部125を参照し、パスワードが記憶されているかどうか判定する。パスワードが記憶されていればステップS505へ、さもなければ、認証は必要ないので、そのままオーバーライド設定を受け入れるべく、ステップS506へ進む。ステップS505では制御部109は、パスワード抽出部175にパスワード抽出を指示する。すると、パスワード抽出部はメール受信部106が受信したメールの内容を参照し、メールの本文に一定の書式で記述された文字列(ここでは、「IP−TEL−FUN」)をパスワードとして抽出する。制御部109は、パスワード記憶部125に記憶されたパスワードとパスワード抽出部175が抽出したパスワード「IP−TEL−FUN」とが一致するかどうかを判定する。一致すればステップS506へ、さもなければ、認証に失敗したとして、本メールによるオーバーライド設定を拒絶すべく、処理を終了する。ステップS506では制御部109は、電話番号抽出部176に電話番号の抽出を指示する。すると、電話番号抽出部176は
、メール受信部106が受信したメールの内容を参照して、電話番号(050−1111−1111)を抽出する。次に、リンガーデータ抽出部171にリンガー用音声データの抽出を指示する。すると、リンガーデータ抽出部171は、メール受信部106が受信したメールの内容を参照し、添付された音声ファイル(HIPPOP.wav)を参照し、リンガー用音声データとして抽出する。制御部109は、この内容をリンガー一時記憶部161に書き込む。そして、制御部109は、抽出された電話番号をリンガーオーバーライド番号記憶部151に書き込む。さらに、制御部109は、RBTデータ抽出部172にRBT用音声データの抽出を指示する。すると、RBTデータ抽出部172は、メール受信部106が受信したメールの内容を参照し、添付された音声ファイル(stream.wav)を参照し、RBT用音声データとして抽出する。制御部109は、この内容をRBT一時記憶部162に書き込み、抽出された電話番号(050−1111−1111)をRBTオーバーライド番号記憶部152に書き込む(S506)。ステップS507では制御部109は、電話番号抽出部176が抽出した電話番号(050−1111−1111)に対して、リンガー一時記憶部161の内容とRBT一時記憶部162の内容とを本端末の電話番号(050−2222−2222)と対応付けて、ネットワーク接続部105を介して転送するようにデータ送受信プロトコル処理部108に指示する。すると、データは端末yから端末xへネットワークを通じて転送され、端末xは、同様にデータ送受信プロトコル処理部により処理を行い、このデータを受け取り、それぞれ着呼者別リンガー記憶部131、発呼者別RBT記憶部132に電話番号(ここでは050−2222−2222)と対応付けて保存する。
以上でオーバーライド設定処理を終了する。
以上、説明したように、ユーザは簡単にオーバーライド設定を行なうことができ、しかも、ユーザーが望めば、パスワードやメールの送信者のアドレスによって第3者による望まないオーバーライド設定を拒絶することができる。また、音声データ自身は、相手の端末ではなく、自分の端末に記憶されるため、他人の端末の記憶装置を圧迫して、相手に迷惑をかけることも無い。
次に、ユーザX(電話番号:050−1111−1111)にユーザY(電話番号:050−2222−2222)が発呼する時の本実施の形態におけるIP電話機の動作について説明する。ユーザYの端末yには、ユーザXからの「オーバーライド要求」を受け入れるべく、ユーザXの端末xの電話番号050−1111−1111がRBTオーバーライド番号記憶部152に登録されているものとする。ユーザYは、電話機をオフフックして、ダイヤルトーンを待ち、ダイヤルトーンを確認してから、ユーザXの電話番号050−1111−1111をキーボードより入力する。
図31は、発呼側の端末yの動作を示すフローチャートである。
図31において、まず、発呼側の端末yが着呼側の端末xに「呼の接続要求」を送信する(S561)。すなわち、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、端末xに「接続要求」を送信する。すると、端末xは、(話中でない、電源オフでないことにより)呼の受け入れが可能であるためACKを返信する。次に、制御部109は、端末xからのリンガー要求が発生しているかどうかを判定する(S562)。すなわち、ネットワーク接続部105を介して、リンガー要求を受信すればステップS563へ、さもなければステップS565へ進む。ステップS563では制御部109は、着呼者別リンガー記憶部131を参照して、発呼先の番号(ここでは050−1111−1111)に対応付けられて記憶されているリンガー用音声データを端末xに転送するようにデータ送受信プロトコル処理部108に指示する。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、ネットワーク接続部105を介して、指定されたデータを端末yへ転送する。次に、制御
部109は、着呼者別リンガー記憶部131を参照して、発呼先の電話番号(ここでは050−1111−1111)と対応付けられて記憶されている内容をRBT一時記憶部162に書き込み、ステップS566へ進む。ステップS565では制御部109は、既定RBT記憶部102を参照して、その内容をRBT一時記憶部162に書き込む。ステップS566では制御部109は、RBTオーバーライド番号記憶部152を参照して、発呼先の番号(ここでは050−1111−1111)が登録されているかどうかを判定する。登録されていればステップS567へ、さもなければステップS569へ進む。ステップS567では制御部109は、端末xに対して、RBTを要求する。すなわち、ネットワーク接続部105を介して、RBT用音声データを要求し、データ送受信プロトコル処理部108にデータを受信するように指示する。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、ネットワーク接続部105を介して指定されたデータを受信すべく待機する。次に、データ送受信プロトコル処理部108は、端末xからネットワーク接続部105を介して、RBT用音声データを受け取り、制御部109に受け取ったことを通知する(S568)。すると、制御部109は、結果をRBT一時記憶部162に書き込み、ステップ570へ進む。ステップS569では制御部109は、端末xに対して「RBTなし」をネットワーク接続部105を介して送信する。次のステップS570では制御部109は、音声再生部117にRBT一時記憶部162の内容を再生するように指示する。すると、音声再生部117は、RBT一時記憶部162の内容を再生し、スピーカー197に出力する。この例では、ユーザYはユーザXが指定したRBTを聞くことになる。次に、制御部109は、呼制御部115より、接続が行なわれたかどうかの通知を受ける(S571)。すなわち、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットが届けば、接続完了と解釈し、次のステップS572へ進む。ステップS572では制御部109は、呼制御部115に呼の接続を指示する。すなわち、以降、ネットワーク接続部105を介して受け取る音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声に変換され、相手の声としてスピーカー197から出力される。また、マイク196より取り込まれた音声は音声CODEC部116に送られ、音声パケットに変換され、ネットワーク接続部105を介して相手(端末y)に送られる。このようにして、ユーザ同士の通話が行なわれる。
図32は、着呼側の端末xの動作を示すフローチャートである。
図32において、まず、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して接続要求を受信する(S581)。次に、制御部109は、リンガーオーバーライド番号記憶部151を参照して、接続要求とともに送られてきた「発呼者番号」(ここでは050−2222−2222)が登録されているかどうかを調べる(S582)。登録されていればステップS583へ、さもなければステップS585へ進む。ステップS583では制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、端末yにリンガー用音声データを要求し、データ送受信プロトコル処理部108にリンガー用音声データを受信するように指示する。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、ネットワーク接続部105を介して、指定されたデータを受信すべく待機する。次のステップS584では、データ送受信プロトコル処理部108は、ネットワーク接続部105を介して、端末yよりリンガー用音声データを受信し、その旨を制御部109に通知する。すると、制御部109は、結果をリンガー一時記憶部161に書き込み、ステップS586へ進む。ステップS585では制御部109は、ネットワーク接続部105を介して端末yに「リンガーなし」を送信する。(即ち、リンガーが登録されていない場合、その旨を端末yに通知する。)次に、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、端末yから「RBT要求」が届いているかどうかを判定する(S586)。届いていればS587へ、さもなければステップS588へ進む。ステップS587では制御部109は、発呼者別RBT記憶部132を参照して、発呼者番号(ここでは050−2222−2222)と対応付けられて記憶しているRBT用音声データを端末yへ送信するようにデータ送受信プロトコル処理部1
08に指示する。すると、データ送受信プロトコル処理部108は、指定されたデータをネットワーク接続部105を介して端末yに送信する。ステップS588では制御部109は、リンガー一時記憶部161を参照し、リンガーが設定されているかどうかを判定する。さらに、ネットワーク接続部105を介して、RBT要求が届いていないかもあわせて判定する。リンガーが設定されていなく、かつ、RBT要求が届いていない場合はステップS590へ、さもなければステップS589へ進む。ステップS589では制御部109は、発呼者別RBT記憶部132を参照して、発呼者番号(ここでは050−2222−2222)と対応付けられて記憶しているRBT用音声データをリンガー一時記憶部161に書き込み、ステップ591へ進む。ステップS590では制御部109は、既定リンガー記憶部101を参照して、内容をリンガー一時記憶部161に書き込む。ステップS591では制御部109は、音声再生部117にリンガー一時記憶部161の内容を再生するように指示する。すると、リンガー一時記憶部161に記憶された音声データが再生され、スピーカー197より音声がリンガーとして流れる。この実施の形態では、ユーザXがユーザYに対して指定したRBTと同じ音をユーザXはリンガーとして聞くこととなる。次に、着呼側のユーザXは、リンガー音を聞き、端末が着呼していることを知る。ユーザXはオフフックし(キーボードより応答を指示し)、制御部109は、キーボードからの「オフフック」の通知を受け取る(S592)。制御部109は、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットを発呼側端末yに送出するとともに、呼制御部115に接続を指示する(S593)。次に、ネットワーク接続部105を介して受け取った音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声として再生され、スピーカー197に出力される。また、マイク196から入力された音声は音声CODEC部116に送られ、ネットワーク接続部105を介して音声パケットとして発呼側端末yに送られる。このようにして、ユーザXとユーザYは通話を行なう。
なお本実施の形態ではメールでオーバーライド設定要求を行なっているが実施の形態2で示したように専用アプリケーションを用いてもよい。また、本実施の形態ではRBTがオーバーライドされると、既定のRBTと置き換わるが、既定のRBTと合成してもよい。さらに、RBTのオーバーライドに成功した場合、リンガーがRBTと同じ音に置き換わるが、これも、既定のリンガーと合成するようにしてもよい。
以上のように本実施の形態によれば、制御部109は、発呼時には着呼側端末からリンガー用音声データの要求があればネットワーク接続部105を介して転送し、また着呼時には発呼者番号がリンガーオーバーライド番号記憶部151に記憶された電話番号であれば対応づけられている電話番号を参照してデータ送受信プロトコル処理部にリンガー用音声データの要求を指示し、要求を指示したリンガー用音声データをリンガー一時記憶部161に格納し、音声再生部117にて音声として出力するように指示することにより、オーバーライドの設定自体(つまり、XXという番号からの着信だったら、○○の音声データをリンガーとして利用するという情報)は相手端末に記憶するが、実際の音声データは自端末側(つまり、相手端末が記憶するのは音声データ自体ではなく音声データへのリンク情報)に記憶することができるので、複数の第3者がオーバーライド要求を行なって、自端末の記憶領域が、保有者の知らないうちに消費されてしまうことを防止することができ、また、サーバーを必要としないため、プロバイダーなどにサーバー利用料を支払う必要もない。
また、メールアドレス記憶部126を備え、メール受信時には発信者のメールアドレスがメールアドレス記憶部126に記憶されているかどうかを調べ、記憶されている場合にのみ、添付されている音声データあるいはアドレス情報が示す音声データをリンガーとして採用することにより、端末に事前にメールアドレスを記憶させ、そのメールアドレスからメールを受け取ったときにのみリンガーのオーバーライドを許可することとしたので、第3者のいたずらによって、望まないリンガーのオーバーライド設定が行われることを防
止することができる。
さらに、制御部109は、音声データが添付されたメールを受信した場合にはその旨を表示するリンガー・オーバーライド要求表示手段と、ユーザがリンガー・オーバーライド要求表示手段にてオーバーライド要求が発生していることを確認した場合にどんな音声データか聞いてみるための再生指示手段と、聞いてみて気に入らなかった場合にこれを却下するためのオーバーライド要求拒否指示手段と、聞いてみて気に入った場合にこれをリンガーとして採用することを指示するオーバーライド要求受諾手段とを有することにより、相手からリンガーのオーバーライド要求が発生した場合に、その旨がユーザにわかるようにしたので、ユーザは、オーバーライドされようとしている音声データを試しに聞いてみて気に入った場合のみオーバーライドを許可することができ、好ましくない音声データをリンガーとして設定することを防止することができる。
さらに、パスワードを記憶するパスワード記憶部125と、メール内に一定の書式で書かれている文字列をパスワードとして抽出するパスワード抽出部175とを備え、制御部109は、メールで送られてきた音声データが正しいパスワードを伴った場合にのみ、メールに添付されていた音声データを抽出して発呼時に相手側としての着呼側に聞かせるリンガーとして採用することニより、メールにより相手端末に自分の所望するリンガー音を送付する際、メール本文に、パスワードを含めることを義務づけ、相手端末側が記憶しているパスワードと照合しない場合はオーバーライドを認めないようにしたので、第3者がいたずらに好ましくない音声データをリンガーとして設定するのを防止することができる。
さらに、相手側としての発呼者の電話番号とRBT用の音声データとを対応付けて記憶する発呼者別RBT記憶部122を備え、制御部109は、パソコン上のアプリケーションよりRBT用音声データの設定が行なわれた場合には設定が行われたRBT用音声データを発呼者別RBT記憶部122に書き込み、着呼した場合には相手側としての発呼側からRBT用音声データの要求があれば相手の発呼者番号に対応付けられて発呼者別RBT記憶部122に記憶されているRBT用音声データをネットワーク接続部105を介して転送し、また発呼した場合には着呼側に対して、RBT用音声データをネットワーク接続部105を介して要求し、要求したRBT用音声データを受信してRBT一時記憶部162に書き込むと共に音声再生部によって再生することにより、着信側のユーザが意図したRBTを発呼側に聞かせることができる。
(実施の形態6)
図33は本発明の実施の形態5によるIP電話機を示すブロック図である。
図33において、101は既定のリンガー用の音声データを記憶した既定リンガー記憶部、102は既定のRBT用の音声データを記憶した既定RBT記憶部、105はLANやインターネットなどのネットワークに接続するためのネットワーク接続部、108はパソコン上の専用アプリケーションとの間でデータを送受信するためのプロトコル処理を行なうと共に端末同士でリンガー用音声データやRBT用音声データや表示用データをやりとりするためのデータ送受信プロトコル処理部、109は全体の制御を行なう制御部、115は電話の発呼、着呼、通話などの動作を制御する呼制御部、116は入力された音声データをエンコードし、音声パケット化すると共に音声パケットを音声データへデコードする音声コーデック部(音声CODEC部)、117は音声データをD/A変換することにより音声信号に変換する音声再生部、125はオーバーライド設定を受け入れる際に、相手を確認するためのパスワードを記憶するパスワード記憶部、131は本端末が着呼した場合に、何番の相手から着呼したかによっておのおの異なるリンガーを鳴らすべくリンガー用音声データを記憶する発呼者別リンガー記憶部、132は本端末が発呼した場合に
、何番の相手に発呼したかによっておのおの異なるRBTを鳴らすべくRBT用音声データを記憶した着呼者別RBT記憶部、153は本端末が着呼した場合、何番の相手からの着呼かによって相手側(発呼側)の表示手段(LCD)に、相手毎(電話番号毎)に異なる表示を行なうためのデータを記憶する発呼者別着呼側表示データ記憶部、154は本端末が発呼した場合、何番の相手への発呼かによって相手側(着呼側)の表示手段(LCD)に相手毎(電話番号毎)に異なる表示を行なうためのデータを記憶する着呼者別発呼側表示データ記憶部、161は本端末が着呼した場合に、リンガーとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するリンガー一時記憶部、162は本端末が発呼した場合に、RBTとして鳴らすための音声データを一時的に記憶するRBT一時記憶部、195は入力部としてのキーボード、196は音声入力部としてのマイク、197は音声出力部としてのスピーカー、198は表示部としてのLCD、199は時計である。
以上のように構成されたIP電話機について、その動作を説明する。
図34は、ユーザYがパソコンを利用してユーザXの端末xに設定を行なう際のパソコン上の専用アプリケーション(以降、単に「アプリケーション」と記載する)に基づく動作を示すフローチャートである。ここでは、アプリケーションを起動するときに、ユーザが「どの端末に対してオーバーライド設定を行ないたいか(ここでは端末xに対して行いたい)」を指示したものとする。
図34において、まず、アプリケーションが起動したことをネットワークを介して端末xに通知する(S621)。端末xのIPアドレスは、アプリケーションを起動するときにユーザが指定した電話番号(050−1111−1111)をディレクトリ・サーバーで検索することによって得られるものとする。次に、端末xがパスワードを要求しているかどうかを判定する(S622)。要求されていればステップS623へ、さもなければステップS624へ進む。ステップS623では、ユーザにパスワードの入力を促し、ネットワークを介して、入力されたパスワードを端末xに送信する。ステップS624では、端末xから現状の設定内容を受け取ればステップS625へ、さもなければ不正なパスワードが入力されたものとして、この処理を終了する。ステップS625では、受け取った設定内容を画面に表示する。ここで、ユーザの指示を受け取り、結果を表示に反映させる。
図35はアプリケーション画面を示す画面図である。
ユーザは、画面を見ながらリンガー、RBT、発呼時の相手側LCD表示内容、着呼時の相手側のLCD表示内容を設定することができる。特に、リンガーに対しては、鳴動時間を指定して、2つのリンガーを指定することができる。次に、ユーザが画面の終了ボタンをクリックすればステップS627へ進み、さもなければステップS625へ戻る(S626)。ステップS627では、画面上でユーザによって入力された内容を端末xへネットワークを介して送信して、処理を終了する。
以上のように、ユーザはパソコン上で画面を見ながら対話的に設定を行なうことができる。
図36は、ユーザがアプリケーションを利用してオーバーライド設定を行なうときの端末xの動作を示すフローチャートである。
図36において、まず、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、アプリケーションから「アプリケーション起動通知」とともに相手の電話番号(ここでは050−2222−2222)を受信する(S641)。次に、制御部109は、パスワード記
憶部125を参照し、パスワードが記憶されているかどうかを判定する(S642)。記憶されていればパスワードによる認証が必要であるものとしてステップS643へ進み、さもなければ認証は必要ないものとしてステップS646へ進む。ステップS643では制御部109は、アプリケーションに対して、「パスワードが必要である」旨をネットワーク接続部105を介して送信する。次に、制御部109は、ットワーク接続部105を介して、アプリケーションにてユーザが入力したパスワードを受け取り(S644)、受け取ったパスワードとパスワード記憶部125に記憶されたパスワードとが一致するかどうかを判定する(S645)。一致すればステップS646へ、さもなければ、この処理を終了する。ステップS646では制御部109は、ステップS641で受け取った電話番号に対応付けられたデータを、発呼者別リンガー記憶部131、着呼者別RBT記憶部132、発呼者別着呼側表示データ記憶部153、着呼者別発呼側表示データ記憶部154を参照して見つけ出し、見つかったデータをパソコンへネットワーク制御部105を介して転送する。これにより、アプリケーションは現在の端末の設定内容をユーザに対して表示できるようになる。次に、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、アプリケーション上でユーザが入力した設定内容を受信するまで待機する(S647)。受信すればステップS648へ進む。ステップS648では制御部109は、LCD(表示部198)に、オーバーライド設定を受け取ったことを表示する。ユーザはこれを見て、キーボード195を操作し、受け取った内容を確認することができる。例えば、リンガーのオーバーライド設定を受け取った場合は、このリンガーを聞いてみることができ、気に入らなければ、これを拒絶することができる。図20に、このときの画面の様子を示す。気に入った場合はステップS649へ、さもなければステップS650へ進む。ステップS649では制御部109は、受け取った内容をそれぞれ、発呼者別リンガー記憶部131、着呼者別RBT記憶部132、発呼者別着呼側表示データ記憶部153、着呼者別発呼側表示データ記憶部154に書き込み、処理を終了する。ステップS650では、制御部109は、ステップS641で受信した電話番号に対して、端末xのユーザがパソコンからのオーバーライド設定要求を拒絶した旨を送信する。すると、端末yはこれを受信してLCD198にその内容を表示する。
図37は拒絶通知を示す画面図である。拒絶通知後、この処理を終了する。
次に、あるユーザX(電話番号:050−1111−1111)が別のユーザY(電話番号:050−2222−2222)に発呼する時の本実施の形態におけるIP電話機の動作について説明する。ユーザYの端末yには、着呼時に相手の端末xに表示すべき内容と相手の端末xで流れるべきRBTが登録され、ユーザXの端末には、発呼時に着呼側の端末yに表示すべき内容と相手の端末yで流れるべきリンガーが登録されているものとする。ユーザXは、電話機をオフフックして、ダイヤルトーンを待ち、ダイヤルトーンを確認してから、ユーザYの電話番号050−2222−2222をキーボードより入力する。
図38は端末xの動作を示すフローチャートである。
図38において、まず、発呼側の端末xが着呼側の端末yに「呼の接続要求」を送信する(S661)。すなわち、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して、端末yに「接続要求」を送信する。すると、端末yは、(話中でない、電源オフでないことにより)呼の受け入れが可能であるためACKを返信する。次に、制御部109は、着呼者別RBT記憶部132を参照し、発呼先の電話番号(ここでは050−2222−2222)が登録されていないかどうかを判定する(S662)。登録されていればステップS663へ、さもなければステップS664へ進む。ステップS663では制御部109は、着呼者別RBT記憶部132を参照して、発呼先の番号(ここでは050−2222−2222)に対応付けられて記憶されているRBT用音声データをRBT一時記憶部16
2に書き込み、ステップS665へ進む。ステップS664では制御部109は、既定RBT記憶部102を参照して、その内容をRBT一時記憶部162に書き込む。次のステップS665では制御部109は、音声再生部117にRBT一時記憶部162の内容を再生するよう指示する。すると、音声再生部117は、RBT一時記憶部162の内容を再生し、スピーカー197に出力する。この実施の形態では、ユーザXはユーザYが指定したRBTを聞くことになる。次に、制御部109は、着呼者別発呼側表示データ記憶部154を参照して、発呼先(着呼者)番号(ここでは050−2222−2222)が登録されているかどうか判定する(S666)。登録されている場合はステップS667へ、さもなければステップS668へ進む。ここでは、ステップS667では制御部109は、着呼者別発呼側表示データ記憶部154を参照して、発呼先(着呼者)番号(ここでは050−2222−2222)に対応付けられて記憶している内容をLCD198に反映させる。ここでは、「いつもお電話ありがとうございます。長谷川工務店です。」を表示する。ステップS668では制御部109は、呼制御部115より、接続が行なわれたかどうかの通知を受けるまで待機する。すなわち、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットが届けば、接続完了と解釈し、次のステップS669へ進む。ステップS669では制御部109は、呼制御部115に呼の接続を指示する。すなわち、以降、ネットワーク接続部105を介して受け取る音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声に変換され、相手の声としてスピーカー197から出力される。また、マイク196より取り込まれた音声は音声CODEC部116に送られ、音声パケットに変換され、ネットワーク接続部105を介して相手(端末y)に送られる。このようにして、ユーザ同士の通話が行なわれる。
図39は、端末yの動作を示すフローチャートである。
図39において、まず、制御部109は、ネットワーク接続部105を介して接続要求を受信する(S681)。このとき、受信した情報には発呼者番号(050−1111−1111)も含まれている。次に、制御部109は、発呼者別リンガー記憶部131を参照して、接続要求とともに送られてきた発呼者番号(ここでは050−1111−1111)が登録されているかどうかを判定する(S682)。登録されていればステップS683へ、さもなければステップS684へ進む。ステップS683では制御部109は、発呼者別リンガー記憶部131を参照して、接続要求とともに送られてきた「発呼者番号」(ここでは050−1111−1111)に対応付けられて記憶されているリンガー用音声データ(第1ベル)をリンガー一時記憶部161に書き込み、ステップS685へ進む。ステップS684では制御部109は、既定リンガー記憶部101の内容をリンガー一時記憶部161に書き込む。次のステップS685では制御部109は、音声再生部117にリンガー一時記憶部161の内容を再生するよう指示する。すると、リンガー一時記憶部161に記憶された音声データが再生され、スピーカー197より音声(第1ベル)がリンガーとして流れる。次に、制御部109は、着呼者別発呼側表示データ記憶部153を参照して、接続要求とともに送られてきた「発呼者番号」(ここでは050−1111−1111)に対応付けられた表示データが登録されいてるかどうかを判定する(S686)。登録されていればステップS687へ、さもなければステップS688へ進む。ステップS687では制御部109は、着呼者別発呼側表示データ記憶部153を参照して、接続要求とともに送られてきた「発呼者番号」(ここでは050−1111−1111)に対応付けられた表示データをLCD198に反映させる。ステップS688では制御部109は、時計199を参照して、発呼者別リンガー記憶部131に記憶されていた第1ベル期間が経過するまで待機する。経過したらステップS689へ進む。ステップS689では制御部109は、S683と同様に、発呼者別リンガー記憶部131を参照して、第2ベル用リンガー用音声データをリンガー一時記憶部161に書き込み、音声再生部117にリンガー一時記憶部161の内容を再生するよう指示する。すると、リンガー一時記憶部161に記憶された音声データが再生され、スピーカー197より音声(第
2ベル)がリンガーとして流れる。次に、着呼側のユーザYは、リンガー音を聞き、端末が着呼していることを知る。ユーザYはオフフックし(キーボードより応答を指示し)、制御部109は、キーボードからの「オフフック」の通知を受け取ると、ネットワーク接続部105を介して「接続完了」パケットを発呼側端末xに送出するとともに、呼制御部115に接続を指示し、次のステップS691へ進む(S690)。ステップS691では、ネットワーク接続部105を介して受け取った音声パケットは音声CODEC部116に送られ、音声として再生され、スピーカー197に出力される。また、マイク196から入力された音声は音声CODEC部116に送られ、ネットワーク接続部105を介して音声パケットとして発呼側端末xに送られる。このようにして、ユーザXとユーザYは通話を行なう。
なお本実施の形態では相手の電話機に拒絶通知を行なっているが、他にもメールによる通知方法が考えられる。また、本実施の形態ではオーバーライド設定要求が拒絶された場合のみに通知を行なっているが、許可されたときのみに通知をする方法や、拒絶にかかわらず、常に結果を通知する方法も考えられる。さらに、音声データを相手の端末ではなく、実施の形態3で示したようにサーバーに置く方法や、実施の形態5で示したように自端末に置く方法も考えられる。さらに、本実施の形態ではタイムテ−ブルに時間を設定し、時間によってリンガーを切り替える例を示したが、リンガー以外にLCDやRBTを切り替えることもできる。また、時間でなく時刻による切り替えも可能である。さらに、RBTやLCDの表示設定やタイムテーブルの設定をメールによって行なう方法も考えられる。
以上のように本実施の形態によれば、制御部109は、着呼時に発呼者番号が発呼者別着呼側表示データ記憶部153に記憶されているかどうかを検索し、記憶されている場合には表示するデータを表示部198にて表示することにより、発呼時に相手端末(着呼側)に表示したい文字や図形などをメールにて相手端末にあらかじめ送信しておき、発呼時に相手端末(着呼側)の表示部に表示するようにしたので、相手(着呼側)は、電話を取る前に相手から送られてきたメッセージ(文字や図形)を受け取ることができ、表現力豊かでかつ効率的なコミュニケーションを行なうことができる。
また、制御部109は、発呼時に発呼者番号が着呼者別発呼側表示データ記憶部154に記憶されているかどうかを検索し、記憶されている場合には表示するデータを表示部198にて表示することにより、着呼時に相手端末(発呼側)に表示したい文字や図形などをメールにて相手端末にあらかじめ送信しておき、着呼時に相手端末(発呼側)の表示部に表示するようにしたので、相手(発呼側)は、着呼側が電話を取る前に相手から送られてきたメッセージ(文字や図形)を受け取ることができ、表現力豊かでかつ効率的なコミュニケーションを行なうことができる。
さらに、経過時間を計時するための時計199を備え、制御部109は、発呼者別リンガー記憶部131に複数の音声データとそれぞれに対する再生期間情報とを記憶し、着呼時に再生期間情報にしたがって音声データを自動的に変更することにより、複数の音声データをリンガー用音声として用意し、時間ごとに切り替えることができるので、相手がなかなかでない場合、リンガー音を変えて、相手に注意を促したり、あるいは、時刻によって音声を切り替え、夜中の着信時には、静かな音で着信を通知することができる。