JP2005042945A - セラミック発熱体およびそれを用いたイグナイタ塞栓 - Google Patents

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義明 植田
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Abstract

【課題】大きな温度差や空気に曝されても抵抗値がほとんど変化しない発熱体とこの発熱体を用いて長期信頼性に優れたイグナイタ塞栓を提供すること。
【解決手段】両主面間を貫通するとともに導電性物質3が両主面間を導通するように内側に設けられた複数の貫通孔2が形成され、一主面1a側に導電性物質3に電気的に接続された発熱体4が設けられて成るセラミック基板1と、このセラミック基板1の他主面1bに固着されるとともに導電性物質3を介して発熱体4に電気的に接続された複数のリードピン28,29とを具備しており、発熱体4は、メタライズ層から成るとともに導電性物質3との接続部Cがその残部よりも厚く形成されており、表面がセラミック層5で覆われているセラミック発熱体10と、このセラミック発熱体10を用いたイグナイタ塞栓20。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エアバッグシステムまたはシートベルトプリテンショナー用のガス発生器の電気式イグナイタ等に用いられるセラミック発熱体ならびにこのセラミック発熱体を用いたイグナイタ塞栓に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イグナイタ塞栓は車両に大きな衝撃が加わったときに、瞬時に大量のガスを発生させ、このガスによってエアバッグを極めて短時間に膨らませて搭乗者と車体との間の緩衝物として作用させたり、あるいはこのガスによってシートベルトのプリテンショナーを作動させ、これによってシートベルトを瞬時に巻き込んで搭乗者を拘束したりするためのガス発生器に使用され、ガス発生の起点となる点火器として機能するとともに発生したガスがガス発生器から漏れないようにするための栓となる。
【0003】
従来、この種のイグナイタ塞栓としては、たとえば特許文献1に開示されるイグナイタ塞栓が知られている。以下、この従来のイグナイタ塞栓を図面に基づいて説明する。
【0004】
図5の断面図および図5のA矢視図である図6に示されるように、イグナイタ塞栓20は、両主面21a,21b間を貫通する4つのスルーホール22にタングステン(W)などの導電性物質23を埋設するとともに一主面21aに発熱体24を溶接により設けてなるセラミック基板21と、このセラミック基板21の他主面21bにロウ付けにより固着されるとともに導電性物質23を介して発熱体24に電気的に接続され、かつ側部に係止用突起30,31を設けた2本のリードピン28,29を挿入する2つの穴部33,34を有するとともに1本のリードピン28の係止用突起30を1つの穴部33に当接させて固着する環状のプレート32と、セラミック基板21の一主面21aおよび2本のリードピン28,29のコネクタ接続部28a,29aを残して、セラミック基板21、2本のリードピン28,29および環状のプレート32を一体成形により埋設する樹脂製プラグ35とを備えている。
【0005】
セラミック基板21は、図6に示すように、一主面21aに発熱体24を電気的に接続するための金属層25,25を設けている。この金属層25,25は4つのスルーホール22のうち近接する2つのスルーホール22を一組として計二組のスルーホール22にタングステン(W)などの導電性物質23を埋設したものを、それぞれの金属層25に接合し、かつ、二組の金属層25の間にセラミック基板21の中心点を通る一定間隙の抵抗値調整帯26を有している。
【0006】
発熱体24は、車の衝突を検知したセンサにより発火回路が起動し、この回路を流れる発火電流によりジュール熱を発生し、これによって点火薬を発火させる機能を有するもので、この抵抗値調整帯26の部分に取り付けられている。発熱体24としては、ニクロム線と呼ばれるニッケル(Ni)−クロム(Cr)を主成分とする合金の細線が使用され、金属層25に一般的に溶接により接合されている。発熱体24の線径は車両の車種毎に設定されている発火電流の大小により決まり、本従来例では線径27μmから36μmのニクロム線を使用したものが例示されている。また、発熱体24として薄膜を使用できることも例示されている。
【0007】
そして、イグナイタ塞栓20の発熱体24側には、点火薬、伝火薬、出力薬がこの順に発熱体24上に配される。そして、発火回路が起動し、発熱体24に発火電流が流れると、発熱体24のジュール熱により点火薬が発火し、その後、伝火薬、出力薬へと燃焼が伝わり、出力薬の周囲に配されているガス発生剤に着火して大量のガスが発生しエアバッグを膨らませる仕組みとなっている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−30868号公報
【特許文献2】
特開2002−13900号公報
【特許文献3】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来のイグナイタ塞栓では、発熱体24の両端の溶接部を溶接中にセラミック基板21上の金属層25からその主成分であるタングステン(W)が発熱体24に溶け込むことにより発熱体24の溶接部が脆化することがあり、これにより数年から十数年に亘って車両が数十度の大きな温度差に日々繰り返し曝されるような地域で使用されると、この脆化した発熱体24の溶接部にマイクロクラックが発生し、その結果発熱体24の抵抗値が大きくなって、点火薬が発火する前に発熱体24が断線してしまうといった問題があった。また、薄膜を用いて発熱体24を形成する方法では、抵抗値は安定するものの加工コストが大幅に増加するという問題があった。
【0009】
さらに、発熱体が空気に曝される構造であるため、発熱体の表面が空中の酸素や水分により酸化して抵抗値が変動するという問題があった。
【0010】
本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、大きな温度差に繰り返し曝されても抵抗値がほとんど変化せず、空気に曝されて発熱体が酸化せずかつ安価な発熱体を提供し、長期信頼性に優れたイグナイタ塞栓を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミック発熱体は、両主面間を貫通するとともに導電性物質が前記両主面間を導通するように内側に設けられた複数の貫通孔が形成され、一主面側に前記導電性物質に電気的に接続された発熱体が設けられて成るセラミック基板と、このセラミック基板の他主面に固着されるとともに前記導電性物質を介して前記発熱体に電気的に接続された複数のリードピンとを具備しており、前記発熱体は、メタライズ層から成るとともに前記導電性物質との接続部がその残部よりも厚く形成されており、表面がセラミック層で覆われていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明のセラミック発熱体によれば、発熱体がメタライズ層から成るとともに表面がセラミック層で覆われていることより、発熱体の表面が周囲の空気に曝されることがなく、空気中の酸素により酸化されて発熱体の抵抗値が変化するのを防止することができる。このため、長期間にわたって安定に作動させることができる発熱体を得ることができる。
【0013】
また、本発明のセラミック発熱体によれば、導電性物質が両主面間を導通するように内側に設けられた複数の貫通孔が形成され、一主面側に導電性物質に電気的に接続された発熱体が設けられて成るセラミック基板と、このセラミック基板の他主面に固着されるとともに導電性物質を介して発熱体に電気的に接続された複数のリードピンとを具備していることから、発熱体は貫通孔の内側に設けられた導電性物質を介してリードピンと外部発火回路とに電気的に接続されるので、発熱体部に周囲の空気が侵入しにくくなり、空気中の酸素により発熱体が酸化して発熱体の抵抗値が変化するのを防止することができる。このため、長期間にわたって安定に作動させることができる発熱体を得ることができる。
【0014】
さらに、発熱体は導電性物質との接続部がその残部より厚く形成されていることから、接続部における電気的な接続の信頼性を向上させることができる。また、接続部における電気抵抗が低くなるので、瞬時に大きな発火電流が流れる時も問題なく電流を導通させることができるとともに、発熱体の発熱部分を中央付近とすることができるので、点火薬を確実に発火させることができる。
【0015】
また、本発明のセラミック発熱体は、上記構成において、前記導電性物質は前記発熱体と同じ材料から成ることを特徴とするものである。
【0016】
本発明のセラミック発熱体によれば、発熱体と導電性物質とが同じ材料から成るときには、発熱体に導電性物質に含まれる異質の成分が混じることがないので、異質の成分が発熱体を劣化させる虞がなく、発熱体が長期間にわたって一定の性能を保持することが可能となる。また、導電性物質と発熱体を一体に形成することができるので、従来のNi−Crから成る発熱体では必要であった発熱体の導電性物質への溶接が不要となり溶接部を溶接時に導電性物質の成分が発熱体に溶け込むことにより長期使用において発生していたクラックを防止することができる。よって発熱体を長期間にわたって安定に作動させることができ、発熱による点火薬の発火を確実に行なわせることができるものとなる。
【0017】
また、本発明のセラミック発熱体は、上記構成において、前記セラミック層は厚さが50乃至250μmであることを特徴とするものである。
【0018】
本発明のセラミック発熱体によれば、セラミック層の厚さが50乃至250μmであるときには、メタライズ層から成る発熱体の表面が空気中の酸素などに曝されることを十分防止できるので、発熱体が酸化されることがなく、かつ点火薬の発火を所定の時間内に発生させるように発熱体で発生した熱を伝えることができる。
【0019】
また、本発明のイグナイタ塞栓は、上記構成のセラミック発熱体を用いたイグナイタ塞栓であって、前記セラミック基板の前記一主面および前記複数のリードピンのコネクタ用接続部を残して、前記セラミック基板および前記複数のリードピンを一体成形により埋設する樹脂製プラグを具備していることを特徴とするものである。
【0020】
本発明のイグナイタ塞栓によれば、上記構成のセラミック発熱体を用いて、セラミック基板の一主面および複数のリードピンのコネクタ用接続部を残して、セラミック基板および複数のリードピンを一体成形により埋設する樹脂製プラグを備えていることから、セラミック発熱体が長期間にわたり安定に作動するので、長期信頼性に優れたイグナイタ塞栓を得ることができる。そして、車両の搭乗者の安全を確保することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るイグナイタ塞栓の断面図、図2(a),(b)は、図1の要部拡大断面図である。
【0022】
本実施形態に係るセラミック発熱体10は、両主面1a,1b間を貫通する複数の貫通孔2が形成され、複数の貫通孔2の内側に両主面1a,1b間を導通するように導電性物質3が設けられ、一主面1a側に導電性物質3に電気的に接続された発熱体4が設けられて成るセラミック基板1と、このセラミック基板1の他主面1bに固着されるとともに導電性物質3を介して発熱体4に電気的に接続された複数のリードピン28,29とを具備しており、発熱体4は、メタライズ層から成るとともに表面がセラミック層5で覆われているものである。
【0023】
このセラミック発熱体10によれば、発熱体4は、表面がセラミック層5で覆われた密閉構造となっているので、発熱体4が空気中の酸素などに曝されて次第に酸化し、その結果抵抗値などの性能が変化するのを防止して長期間にわたって安定に作動するものを得ることができる。
【0024】
また、リードピンをセラミック基板を貫通させて発熱体4に接続させるような構造においては、セラミック基板とリードピンの熱膨張係数が異なるため、長期の温度変化によってリードピンとセラミック基板との接続部に隙間が生じ、気密性が保たれない場合があるのに対し、本発明のセラミック発熱体10によれば、発熱体4は導電性物質3を介してリードピン28,29に接続されているので、発熱体4部分の気密性を長期間にわたって安定に保つことができる。
【0025】
セラミック層5とセラミック基板1としては、例えば、焼成後の厚さがそれぞれ0.1mm、1.5mmのアルミナ(Al)含有量が85重量%、熱伝導率が12W/m・K以上のアルミナ質焼結体が用いられる。このアルミナ質焼結体に用いるアルミナは、例えば、A440,A473(京セラ(株)製の材質番号)が好ましい。
【0026】
なお、セラミック層5の厚さは、50μm乃至250μmとすることが好ましい。厚さを50μm未満とすると、発熱体4が発熱したときにセラミック層5の強度が不十分なためセラミック層5がはじけ飛んでしまい、これに伴って発熱体4が断線して、その結果確実に点火薬を発火させることができない場合がある。セラミック層5の厚さを250μmより厚くすると、メタライズ層からなる発熱体4で発生した熱を所定の短時間(0.5ミリ秒程度)内にセラミック層5の外表面に伝熱することができなくなる傾向があり、セラミック層5の外表面に配された点火薬を所定時間内に発火させることができない場合がある。
【0027】
この点火薬の発火はセラミック層5を介して発熱体4の発する熱が伝わるからであるが、実験を重ねた結果、セラミック層5を介しない場合に比較して発火のタイミングが数%程度の誤差範囲に納まり、本発明のイグナイタ塞栓20が正常に作動することが明らかになっている。
【0028】
導電性物質3は複数の貫通孔2の内面に被着しても良いし、複数の貫通孔2の内側を充填するように設けても良い。また、複数の貫通孔2は発熱体4の両側にそれぞれ1つを設け、この2つの貫通孔2を一組として用いるようにしても良いし、発熱体4の両側にそれぞれ2つ以上の貫通孔2を設けるようにしても良い。この場合、導電性物質3と発熱体4との電気的な接続をより確実に行なうことができる。
【0029】
導電性物質3の材料としては、発熱体4に用いたものと同一の導電材料を用いるのが好ましく、セラミック基板1の形成時にペースト状態で複数の貫通孔2の内側に設けられる。この材料としては、従来用いられているタングステン(W)以外にモリブデン(Mo)、W−Mo合金などが使用でき、また、いずれの材料においても発熱体4となるメタライズ層を形成できる。
【0030】
導電性物質3と発熱体4に同じ導電材料を用いたときには、導電性物質3および発熱体4を形成するときにメタライズ層のそれぞれのペースト成分が混じり合っても異質の成分が混在することが無くなるのでより好ましい。これにより、発熱体4の電気抵抗値などの性能を所要のものとすることが容易となり、また、異質の成分が混在することにより発熱体4が長期間にわたって次第に劣化する原因を取り除くことができる。さらに従来のイグナイタ塞栓のように、Ni−Crからなる発熱体を溶接によって取付けるときに、金属層の成分がNi−Cr線に溶け込み、発熱体が脆化するということも無い。
【0031】
セラミック基板1は、本実施の形態では図2(a),(b)に示すように、発熱体4を形成するためのWを主成分とするペーストの印刷層がスクリーン印刷により形成され、また発熱体4は、焼成後の抵抗値が例えば2±0.2Ωの範囲内になるように印刷時に厚さ、幅が調整される。また、発熱体4の形成方法は、スクリーン印刷の他にペーストを別途用意したフィルム上に所定形状に印刷した後にこれを転写する方法や予め所定厚さ、形状に調整した導体膜を貼りつけてこれを焼き付けることによっても形成することができる。
【0032】
発熱体4の焼成後の抵抗値を求めるためには、ペーストを焼成後に得られる抵抗値のデータを基に、印刷時の発熱体4部分の厚さおよび形状を決めればよい。また、ペーストの成分である金属粉末の粒径や混合割合によっても抵抗値を調整することができる。
【0033】
発熱体4は、図1のA矢視図を示す図3に示すように、例えば、つづら折り状に印刷される。発熱体4の抵抗値が例えば2±0.2Ωとするためには、つづら折り部分の印刷時の幅、長さを印刷するペーストについて適宜設定すれば良い。また、発熱体4の形状としてはつづら折り状の他にも、発熱体4の一端を渦の中心とし、他端を渦の終端としたスパイラル状にしても良い。
【0034】
また、発熱体4の導電性物質3との接続部Cは、図2(a)に示すように発熱体4の中心付近などの残部より厚く形成しており、その結果十分なペーストを供給できるので接続部Cにおける電気的な接続の信頼性を高くすることができる。接続部Cを厚く形成するには、印刷を2回に分けて行い、まず、発熱体4となるペーストのパターンを形成しておき、その後粘度を高めにした接続部C形成用の接続用導体となるペーストを発熱体4となるパターンから導電性物質3の先端にかけて重ねて印刷して接続部Cの厚みを大きくすることができる。また、図2(b)に示すように導電性物質3の先端が凹んでいる場合にもこの方法によって、導電性物質3の先端に厚い接続用導体を形成することができる。
【0035】
これにより、接続部Cにおいて発熱体4に連続した接続用導体の厚さが厚くなるので、接続部Cの電気抵抗が低くなる。その結果、イグナイタ塞栓20を作動させる時に瞬時に大きな発火電流が流れても接続部Cにおいて問題なく電流を流すことができるとともに、接続部Cにおける発熱を少なくし、発熱体4の中央付近に発熱を集中させることができて、点火薬を確実に発火させることができる。発熱体4と導電性物質3との接続部Cは、図2(b)に示すように導電性物質3の先端を凹状とし、これを埋めるように接続用導体が厚くなっている形態としてもよい。
【0036】
発熱体4の厚さは、接続部C以外の発熱部4の残部では例えば15μm程度とし、導電性物質3との接続部Cでは30μm程度とすれば、接続部Cでの電気抵抗値が発熱部の抵抗値の2分の1程度となって接続部Cにおける発熱を2分の1程度に少なくすることができるので点火薬の発火に影響しなくなるとともに断線を防止し、よって発熱部に確実に電流を送り込むことができる。
【0037】
また、発熱体4の発熱部よりも厚く形成されている接続部Cの範囲は、発熱体4の下に位置する導電性物質3の先端の中心位置から最低でも導電性物質3の先端の端までの範囲とし、好ましくは導電性物質3の先端の径の1.5〜3倍の範囲とすればよく、その場合たとえ製造時に印刷ずれが発生したとしても確実に導電性物質3と発熱体4とを電気的に接続できる。また、発熱体4を厚く形成するには例えばペーストの粘度を大きくするなどの方法によってもよい。
【0038】
セラミック基板1の他主面1bには、複数の貫通孔2の導電性物質3と電気的に接続する電極となるメタライズ層6を一主面1aの発熱体4となるメタライズ層と同様に設けておく。そして、このメタライズ層6にリードピン28,29を例えばAgロウ(BAg8:JIS Z 3261)などのろう材で接続し固定する。リードピン28,29としては、例えば42アロイ合金や鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金などが使用可能である。
【0039】
次に、本実施の形態におけるセラミック基板1の製造方法について説明する。先ず、焼成後の厚さが例えば1mmのセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートという)と呼ばれる未焼成のシート状のアルミナ質焼結体となる成形体に、複数の貫通孔2を所定間隔をおいて発熱体4の片側に2本として両側に計4本の貫通孔2を形成した後、焼成後において貫通孔2内に導電性物質3が充填されるようにWを主成分とするペーストを充填する。次に、この成形体における片面にペーストによりそれぞれの一組の導電性物質3の上端を包含する電極部分となるメタライズ層のペーストと発熱部分となるメタライズ層のペーストをスクリーン印刷法により形成する。
【0040】
このとき、発熱部分となるメタライズ層を形成するためのペーストの印刷層を予め成形体上に精度良く形成しておき、次いでこの印刷層の両端からそれぞれの導電性物質3の上端に接続するようにベタ塗りで電極部分としてのメタライズ層となるペースト印刷層を形成しても良い。
【0041】
さらに、この成形体の他主面にリードピン28,29を接続するための電極としてのメタライズ層となるペーストを導電性物質3の端部を包含するようにしてスクリーン印刷する。
【0042】
次に、この焼成後の厚さが1mmの成形体上に、セラミック層5となる焼成後の厚さが0.1mmのグリーンシートを加熱しながらプレスすることで積層体となし、次いで、この積層体を所定形状に切断し、最後に約1600℃の温度で焼成してグリーンシートおよびペーストを焼結させる。これにより、複数の貫通孔2内にW粉末を主成分とする導電性物質3が埋設され、またセラミック基板1の上面にメタライズ層から成る発熱体4を有するとともに、セラミック基板1の下面に、Wからなる電極となるメタライズ層6が形成された絶縁体が得られる。
【0043】
次に、メタライズ層6にリードピン28,29を接合するためのニッケルメッキを施した後、リードピン28,29をメタライズ層6にろう材等で接合固定し、さらに酸化を防止するために電解メッキ法によりニッケルメッキおよび金メッキを施した。これにより、本発明のセラミック発熱体10を得た。
【0044】
さらに、セラミック層5およびリードピン28,29のセラミック基板1に接続された一端と反対の一端側のコネクタ用接続部28a,29aを残して、セラミック基板1、リードピン28,29を一体成型により埋設する樹脂製プラグ35を備えることにより本発明のイグナイタ塞栓20が得られる。
【0045】
図4は、本発明のイグナイタ塞栓20を組み付けたガス発生器50を示す。図4に示すように、イグナイタ塞栓20のセラミック層5側には、出力カップ40が取り付けられる。出力カップ40内には、点火薬、伝火薬、出力薬がこの順にセラミック層5上に配されている。また、イグナイタ塞栓20の側面は、Oリング41と共にアルミニウム製のボディ42の凹部42a内に取り付けられ、ボディ42のかしめ部42dによってボディ42に固定されている。そして、リードピン28,29のコネクタ用接続部28a,29aが脚部37と共にボディ42の穴部42cを貫通して凹部42b内に突出している。
【0046】
また、出力カップ40側には、外側ケース43が取り付けられている。外側ケース43内にはガス発生剤44が配されている。外側ケース43にはポート45が設けられている。また、ポート45の内側には、塞板46が配されている。さらに、外側ケース43の開口部は、ボディ42のかしめ部42dによってボディ42に固定されている。
【0047】
そして、発火回路が起動し、発熱体4に発火電流が流れると、発熱体4のジュール熱によりセラミック層5が熱せられて点火薬に着火し、その後、伝火薬、出力薬へと燃焼が伝わり、出力薬の周囲に配されているガス発生剤44に着火して大量のガスが発生し、エアバッグを膨らませる仕組みとなっている。
【0048】
このガス発生器を車のエアバッグに装備したときには、冬季の低温から夏期の高温までの温度変化が加わっても、本発明のイグナイタ塞栓20にセラミック発熱体10が用いられているので、長期にわたって安定して作動するガス発生器を得ることができる。
【0049】
なお、本発明のイグナイタ塞栓20において、図1に示す環状のプレート32を用いてリードピン28を固定しても良い。この構造においては、複数のリードピン28,29の少なくとも一本の側部に係止用突起30,31を形成し、また環状のプレート32にはこれらリードピン28,29をそれぞれ挿入する穴部33,34を設けるとともに例えば係止用突起30を1つの穴部33の周囲に当接させて固着する。さらに環状のプレート32の外径Dはガス発生器のボディ42の穴部42cの内径dより大きいものとする。この構造とすることにより、温度上昇により樹脂製プラグ35が軟化しても、環状のプレート32がボディ42の穴部42cから抜けることを防止することができる。
【0050】
本発明のセラミック発熱体10は、イグナイタ塞栓20用途以外に、その他のスポット急速加熱を要する装置に使用できる。例えば、小型ヒーター、局所加熱ができる化学反応の実験器具、タバコのライターやガス,灯油機器のイグナイタ等に使用できる。
【0051】
【実施例】
本発明のイグナイタ塞栓の実施例を以下に説明する。
【0052】
図1、図2に示したイグナイタ塞栓20を以下のように構成した。すなわち、セラミック基板1の焼成後の厚さを1.5mmとし、セラミック層5の厚さを0.025,0.05,0.075,0.1,0.15,0.2,0.225,0.25,0.275mmとした各種サンプルをそれぞれ10個ずつ作製した。このとき、発熱体4となるメタライズ層の発熱部分の厚さを15μm、接続部Cの厚さを30μmとし、3mmの長さで焼成後に2Ωとなるように幅を調整して形成し、スクリーニングを行なって焼成後の抵抗値が2±0.2Ωという範囲内に入っているものをセラミック層5のそれぞれの厚さのものについて各20個ずつ用意した。
【0053】
次いで、これらのサンプルに1アンペアの電流を流してセラミック層5の表面がイグナイタ塞栓20の発火に必要な500℃に達するまでの時間を計測した。この時間はエアバッグの起動に必要な0.5ms(ミリ秒)を基準とし、セラミック層5の厚さが0.05〜0.275mmで各20個ずつ用意した上記サンプル全てがこれを上回る場合には合格品とし、1個でもこの時間を超えたサンプルがあれば不合格品とした。評価結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
Figure 2005042945
【0055】
表1において、評価結果の欄には、合格品には○印を、不合格品または作動不良品には×印を付して示している。
【0056】
表1より、本発明のイグナイタ塞栓20はセラミック層5の厚さが0.05乃至0.25mmであればガス発生器50をタイミング良く作動させることができることが明らかになった。
【0057】
セラミック層5の厚さが0.05μmより薄い0.025μmのサンプルにおいては、セラミック層5がはじけるとともに発熱体4がはじけてしまい、点火薬に点火することができなくなって、イグナイタ塞栓20としての十分な性能が得られなかった。また、厚さが0.25mmより厚い0.275mmのサンプルにおいてはセラミック層5の表面温度が規定時間である0.5ms以内に500℃に達しないものが20個中2個あり、不合格品となった。
【0058】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を行なうことは何等支障ない。例えば、本発明ではセラミック発熱体の材質をアルミナセラミックスとして説明したが、窒化アルミニウム(AlN)セラミックスなどの良熱伝導体であれば、さらに確実に点火薬を発火させることができる信頼性の高いセラミック発熱体を構成できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明のセラミック発熱体によれば、発熱体がメタライズ層から成るとともに表面がセラミック層で覆われて気密構造とされていることより、発熱体の表面が空気中の酸素などに曝されて酸化し発熱体の抵抗値が変動したりすることを防止することができる。
【0060】
また、本発明のセラミック発熱体によれば、導電性物質が両主面間を導通するように内側に設けられた複数の貫通孔が形成され、一主面側に導電性物質に電気的に接続された発熱体が設けられて成るセラミック基板と、このセラミック基板の他主面に固着されるとともに導電性物質を介して発熱体に電気的に接続された複数のリードピンとを具備していることから、発熱体は貫通孔の内側に設けられた導電性物質を介してリードピンと外部発火回路とに電気的に接続されるので、発熱体部に周囲の空気が侵入しにくくなり、空気中の酸素により発熱体が酸化して発熱体の抵抗値が変化するのを防止することができる。このため、長期間にわたって安定に作動させることができる発熱体を得ることができる。
【0061】
さらに、発熱体は導電性物質との接続部がその残部より厚く形成されていることから、接続部における電気的な接続の信頼性を向上させることができる。また、接続部における電気抵抗が低くなるので、瞬時に大きな発火電流が流れる時も問題なく電流を導通させることができるとともに、発熱体の発熱部分を中央付近とすることができるので、点火薬を確実に発火させることができる。
【0062】
また、本発明のセラミック発熱体によれば、上記構成において、導電性物質と発熱体とが同じ材料から成るときには、発熱体に導電性物質に含まれる異質の成分が混じることがないので、異質の成分が発熱体を劣化させる虞がなく、発熱体が長期間にわたって一定の性能を保持することが可能となる。また、導電性物質と発熱体を一体に形成することができるので、従来のイグナイタ塞栓で行われていたNi−Crから成る発熱体の導電性物質への溶接が不要となり、溶接部を溶接時に導電性物質の成分が発熱体に溶け込むことにより長期使用において発生していたクラックを防止することができる。よって発熱体を長期間にわたって安定に作動させることができ、発熱による点火薬の発火を確実に行なわせることができるものとなる。
【0063】
また、本発明のセラミック発熱体によれば、上記構成において、セラミック層は厚さが50乃至250μmであるときには、メタライズ層から成る発熱体の表面が空気中の酸素などに曝されることを十分防止できるので、発熱体が酸化されることがなく、かつ点火薬の発火を所定の時間内に発生させるように発熱体で発生した熱を伝えることができる。
【0064】
また、本発明のイグナイタ塞栓によれば、上記構成のセラミック発熱体を用いて、セラミック基板の一主面および複数のリードピンのコネクタ用接続部を残して、セラミック基板および複数のリードピンを一体成形により埋設する樹脂製プラグを具備していることから、セラミック発熱体が長期間にわたり安定に作動するので、長期信頼性に優れたイグナイタ塞栓を得ることができる。そして、車両の搭乗者の安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイグナイタ塞栓について実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】(a),(b)はそれぞれ本発明のイグナイタ塞栓の実施の形態の例を示す要部拡大断面図である。
【図3】図1のイグナイタ塞栓のA矢視図である。
【図4】本発明のイグナイタ塞栓を用いたガス発生器を示す断面図である。
【図5】従来のイグナイタ塞栓の断面図である。
【図6】図5のイグナイタ塞栓のA矢視図である。
【符号の説明】
1:セラミック基板
1a:一主面
1b:他主面
2:貫通孔
3:導電性物質
4:発熱体
5:セラミック層
C:接続部
10:セラミック発熱体
20:イグナイタ塞栓
28,29:リードピン
28a,29a:リードピンのコネクタ用接続部
35:樹脂製プラグ

Claims (4)

  1. 両主面間を貫通するとともに導電性物質が前記両主面間を導通するように内側に設けられた複数の貫通孔が形成され、一主面側に前記導電性物質に電気的に接続された発熱体が設けられているセラミック基板と、該セラミック基板の他主面に固着されるとともに前記導電性物質を介して前記発熱体に電気的に接続された複数のリードピンとを具備しており、前記発熱体は、メタライズ層から成るとともに前記導電性物質との接続部がその残部よりも厚く形成されており、表面がセラミック層で覆われていることを特徴とするセラミック発熱体。
  2. 前記導電性物質は前記発熱体と同じ材料から成ることを特徴とする請求項1記載のセラミック発熱体。
  3. 前記セラミック層は厚さが50乃至250μmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミック発熱体。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のセラミック発熱体を用いたイグナイタ塞栓であって、前記セラミック基板の前記一主面および前記複数のリードピンのコネクタ用接続部を残して、前記セラミック基板および前記複数のリードピンを一体成形により埋設する樹脂製プラグを具備していることを特徴とするイグナイタ塞栓。
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