JP2005041803A - 閉経症候群緩和素材 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホットフラッシュ等の閉経症候群を緩和する優れた機能を発揮するとともに、体に悪い副作用を与えない安全性を備えている閉経症候群緩和素材を提供すること。
【解決手段】エストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質とを有効成分として含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】エストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質とを有効成分として含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人間や哺乳動物の卵巣からのエストロゲンの分泌低下に伴なって女性の体に発症するホットフラッシュ(突然のほてり、発汗などの症状)等の閉経症候群の緩和に有効な機能を有する閉経症候群緩和素材に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一般に、ホットフラッシュ等の閉経症候群は女性にとって大きな障害若しくは負担になるために、その発症の未然防止や、発症した場合の緩和が望まれている。
【0003】
とりわけ、欧米人女性のホットフラッシュは深刻であるために、閉経症候群の緩和を目的とするホルモン補充療法(HRT= Hormone Replacement Therapy)の利用率が日本人女性に比べてかなり高い。しかしながら、近年、このHRTに対しては乳癌リスクや循環器系疾患のリスクが高まるとして問題視されるようになった。日本人女性においても食事の欧米化や社会進出などでホットフラッシュで悩む比率が増加しているともいわれている。
【0004】
しかし、ホットフラッシュの原因には色々な説があり、はっきりとした原因はまだ分かっていない状況であり、エストロゲンの分泌低下で発生することから女性ホルモン製剤の補充によるHRTに基づく治療が主流となっており、それに代る安全で、しかも効能の高い機能性素材が望まれる所であった。その機能性素材としてはエストロゲン様の作用を有する大豆イソフラボンやザクロエキスや中枢神経系に作用する漢方薬素材やブラックコホシュ等が利用されていたが、女性ホルモン製剤の効能には及んではいない。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ホットフラッシュ等の閉経症候群を緩和する優れた機能を発揮するとともに、体に悪い副作用を与えない安全性を備えている閉経症候群緩和素材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者はホットフラッシュ等の閉経症候群(以下、「ホットフラッシュ」という)の発生の原因およびその緩和策について鋭意研究を重ねることにより、ホットフラッシュが発生する新たな理由を見出すとともに、今までにないホットフラッシュの緩和機能を有する素材を発見して本発明を完成させるに至った。
【0007】
このホットフラッシュが発生する新たな理由について更に説明すると、ホットフラッシュの原因には色々な説があり、はっきりとした原因はまだ分かっていない。例えば、エストロゲンレベルが低下し、ゴナドトロピンの増加、自律神経機能の変調による説や、黄体化ホルモン(LH)の拍動性分泌とホットフラッシュの発現が一致するとする説、エストロゲン低下により視床下部におけるカテコールエストロゲンが少なくなり、カテコールアミン優位がホットフラッシュを起こすとする説、更にはエストロゲンレベルの低下によるカルシトニン遺伝子関連ペプタイド(CGRP)の過剰分泌とする説などがある。
【0008】
一方、更年期障害をエストロゲンの欠乏による症状だけに限定しようという考え方は欧米ではすでに一般化している。すなわち、ホットフラッシュはエストロゲン欠乏の急性症状といえる血管運動障害で、正常時では自律神経の調節によって収縮したり、拡張したりして発汗を促し、体温の調節を行なっているが、この時期に自律神経がうまく働かなくなるために生じる症状と考えられている。
【0009】
エストロゲンは血中では大半が性ホルモン結合グロブリン蛋白(Sex Hormone−binding Globulin;SHBG)に結合して存在しているが、閉経後にエストロゲンが体内で合成されなくなると結合型のエストロゲンよりも遊離型エストロゲン濃度の急激な低下が問題となる。すなわち、結合型のエストロゲンではなく遊離型エストロゲンが細胞内への侵入や受容体に結合に関与するためであるが、血中の遊離型エストロゲン濃度が低下すれば充分な量が細胞内に取り込まれなくなり、エストロゲンレセプターと結合するに至らなくなる。尚、ここでは以後エストロゲンとは遊離型エストロゲンのことを言う。
【0010】
本来血管系においてはエストロゲンが血管内皮にあるエストロゲンレセプターに作用し、動脈血管の弛緩に関係すると言われているが、ホットフラッシュの原因に関しては今まで報告がなかった。すなわち、エストロゲンが血管内皮あるNO産生細胞のエストロゲンレセプターに結合すると、eNOSmRNAが発現すると同時に細胞Ca濃度が上昇し、eNOS(内皮型NO合成酵素:endothelial nitric oxide synthase )が活性化されることでNO産生され、NOが遊離され、それが血管平滑筋細胞の可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化し、サイクリックGMP(cGMP)の産生増加を介して血管を弛緩させる(Murad, F., et al.,;Adv. Cyclic Nucleotide Res.,1979, 11, 175−204. )が、血中エストロゲン濃度の低下が起こると、血管は弛緩しなくなる。このように閉経後の女性においては血管運動神経を司る自律神経系が急激に働かなくなり、自律神経失調症状に陥りやすくなる。元来、内因性NOを介する神経であるNO作動性神経ではノルアドレナリン(NA)作動性神経も血管系に作用している。すなわち、血管や尿路系ではNA作動性神経と消化器や気道系ではコリン作動性神経とがそれぞれ生理的な拮抗作用を示しながら、血管平滑筋の緊張性調節機構を担っているといわれている。閉経前女性の場合はエストロゲンがNO産生に働くために、NA作動性神経を働かす必要はなく、よってカテコールアミンであるノルエピネフリンの放出は抑制されている。しかしながら、女性が閉経するとエストロゲンの分泌が低下し、eNOSmRNAの発現が減るので、血管の弛緩機能、すなわち、血管運動神経機能が低下し、NA作動性神経が優位に働くようになり、ノルエピネフリンが放出されるからホットフラッシュが生じると考えられる。
【0011】
一方、血管内皮のeNOSで産生されたNOは非常に不安定で、活性酸素などにより変化が生じやすいといわれている。一般に女性は閉経後は血中の活性酸素が高まるといわれている。その証明として閉経前女性は男性よりも動脈硬化性心疾患の罹患率がきわめて低いという報告がある(Castelli, W. P.,;1984, Am. J. Med., 2A, Suppl., 4−12 及びKnop, R. H.,; J. Reprod. Med., 1986, 31, 913−921 )。さらに閉経後や閉経前に卵巣を摘出した場合には高くなることも報告されている(Weinreb, H. L. et al.,;Ann. Int. Med., 1957, 46, 285−300 及びOliver, M. F., et al.,;1976, 177, University Park Press, Baltimore )。すなわち、エストロゲンは抗酸化剤として働いているということに他ならない。Asadaら(Asada, Y., et al.,;J. Clin. Biochem. Nutr.,2000, 8, 245−252)は閉経後の女性は血清中の脂質の過酸化レベルを閉経前の女性と比較した所、有意に閉経後に過酸化脂質レベルが高まることを報告している。このようにエストロゲンの低下により、女性は閉経後には血中の活性酸素量が増加するので、ホットフラッシュの緩和にはエストロゲンと同じように活性酸素を消去させる手立てが必要となる。前述したNOの機能低下に影響が考えられるからである。その原因は活性酸素であるスーパーオキシドアニオン(O2 −)がある。すなわち、NOとこの活性酸素と結合し、ぺルオキシナイトライト(ONOO−)への代謝が亢進するからである。NOの機能低下を改善させるには抗酸化剤やSODが非常に重要となる。何故なら、閉経前の女性においてはエストロゲンの代謝物である抗酸化能の高いカテコールエストロゲンが機能しているからである。
【0012】
このように、女性は閉経後にエストロゲンの分泌低下が起こり、血管運動神経系の作用に変化が生じる。すなわち、本来はエストロゲンの分泌によりNO作動生神経が働いたのが、それに代わる神経系であるNA作動性神経が作用するためで、閉経前と異なり、血管運動神経系のこのような変化でホットフラッシュが起こる可能性が充分に考えられる。すなわち、動脈の内皮細胞にあるeNOSが働かなくなることがホットフラッシュが生じる切っ掛けと考えられる。以上のことからエストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ(Superoxide dismutase)様活性物質とを有効成分として含有していることで今までにはないホットフラッシュの緩和に優れた機能を持った素材になることが明かとなった。
【0013】
更に、このようにして発生するホットフラッシュを日米において比較分析すると、日本人女性においては約50%が更年期障害を経験せずに過ごしており、更年期障害の治療経験のある者は約10%で、残り40%は1年以内か1年以上更年期障害を経験しても治療せずに自然に治癒しているという報告(後山尚久;産婦人科治療、1997, 75, 363.)がある。しかしながら、米国人の女性において80%以上がホットフラッシュを経験し、ホルモン補充療法を約30%の人が受けており、更に多くの女性が治療を受けている。日本人には虚証あるいは虚弱体質といわれる低血圧気味の女性が多い。この女性は心臓から血液を送出すパワーが不足しているので、更年期のエストロゲンの分泌低下による動脈血管の弛緩作用が弱まっても、元々低血圧気味であるためNA作動性神経が高まっても症状として出ないと考えられる。しかしながら、米国人の女性は動物性蛋白質や動物性脂肪の多い欧米型食事をすることで体脂肪量も多いことが原因で体内エストロゲン分泌量は日本人の女性に比べて高いし、閉経後にエストロゲン分泌が低レベルに下がる期間も長いと考えられる。そのためにエストロゲン分泌低下によるNO産生が低下する期間が長くなることや、心臓機能が強いことで、NA作動性神経の高まりが原因のホットフラッシュが生じる期間が長く、更にその程度や頻度が日本人の女性に比べて多くなるのではないかと考えられる。
【0014】
次に、このようなホットフラッシュが発生する新たな理由に対応してホットフラッシュを緩和させる素材について更に説明すると、本発明者は、本発明者が特許第3014145号においてすでに提案している生成物であって、「原料となる大豆等の豆類の大豆胚芽を用いて、この大豆胚芽に対して麹菌を用いて製麹処理を施すとともにその生成物に対して加水し、分解処理を施して、イソフラボンアグリコンを多量に含有する生成物やフィチン酸が完全に分解除去された生成物」を生成し、この生成物に対して本発明者等が特開2000−281673号公報において提案している生成方法に従って、更に溶媒を用いて抽出濃縮することによりイソフラボンアグリコンを濃縮した生成物(アグリマックス(AglyMax):ニチモウ株式会社の登録商標、以下「アグリマックス」という)を発明した。この「アグリマックス」にはイソフラボンアグリコン以外の大豆胚芽麹菌発酵産物も含まれているが、活性酸素を消去する作用であるスーパーオキシドジスムターゼ様活性(SOD様活性)(=Superoxide Scavenging Activity)が非常に高いことが特徴である。すなわち、「アグリマックス」はイソフラボンアグリコンを約70%に濃縮したもののSOD様活性は12,000単位/gであった。デキストリンでイソフラボンアグリコンを30%に希釈した場合は1,300単位/gであった。
【0015】
このようにして生成されたイソフラボンアグリコンにはエストロゲン様作用があることは周知のことである。
【0016】
更に、製麹に用いられる麹菌は複数の酵素を有する微生物であり、原料の大豆胚芽にはイソフラボン以外にサポニンなど生理機能を有する成分が含まれている。従って、発酵工程中に複合的な酵素分解が生じ、大豆胚芽中の成分の機能性が高まった可能性があり、麹菌による発酵大豆胚芽からイソフラボンを抽出・濃縮するプロセスにおいて、それらの生理機能を持った成分が「アグリマックス」に混入している可能性がある。例えば、「アグリマックス」は他のイソフラボン素材に比べてSOD様活性が高い。キッコーマン社の同じ濃度のアグリコン型イソフラボン製品(製品名:ソイアクト(SoyAct))のSOD様活性は60単位/gであり、同じ大豆胚芽から抽出・濃縮されたグリコシド型イソフラボン製品が220単位/gであるから、「アグリマックス」は1300単位/gときわめて高いといえる。「アグリマックス」のSOD様活性を高めている成分はイソフラボンアグリコンではなく、麹菌発酵で酵素分解された成分と考えられる。
【0017】
以上のことから、「アグリマックス」はイソフラボンアグリコンによるエストロゲン様作用を有しており、さらにはイソフラボングリコシドに比べて体内への吸収が良いので体内に吸収された後の機能面で優れている。このことをさらに詳しく説明すると、ラットの動物試験ではあるが、Yasudaら(Yasuda, T. et al ;Bio. Pharm. Bull., 1994;17, 1369−1374 )はイソフラボンアグリコン(ダイゼイン60mg/kgBW)とイソフラボングリコシド(ダイジン100mg/kgBW)を投与し、その代謝を調べている。ダイジンはダイゼイン(アグリコン型)に加水分解された後に吸収されることを明らかにしており、また尿中の両者の排泄物比較ではダイゼイン投与ではグルクロン酸や硫酸抱合されていない遊離型ダイゼイン量がダイジン投与に比べて高い結果が得られている。
【0018】
更に、Sfakianosら(Sfakianos, J., et al ; J. Nutr., 1997;127, 1260−1268 )はラットの動物試験でイソフラボンアグリコン(ゲニステイン)投与による吸収および代謝に関して詳しい研究を行っている。ゲニステイン投与の低用量では末梢血液中にはほとんどがグルクロン酸抱合型ゲニステインであったが、高用量にすると遊離型ゲニステイン濃度が高まることを報告している。すなわち、イソフラボンアグリコン投与量を高めれば、血液中に遊離型イソフラボンアグリコン濃度が高まることが示唆できる。遊離型イソフラボンアグリコンとして血中に高濃度に存在することで細胞内への侵入や受容体への結合に関与することができるが、血中の濃度が低下すれば充分な量が細胞内に取り込まれなくなり、エストロゲンレセプターと結合するに至らなくなるからである。このことは前述した遊離型エストロゲンの存在と同じ理屈である。閉経後の女性で遊離型エストロゲンの血中濃度が低下するのを遊離型イソフラボンアグリコンが代って作用することがいえる。さらに「アグリマックス」にはそれ以外の成分による高いSOD様活性の両方を有しているので、従来の大豆イソフラボン製品以上に高いホットフラッシュ緩和機能があることが分かった。
【0019】
このように「アグリマックス」にはエストロゲンと同様にエストロゲンレセプターにイソフラボンアグリコンが結合することでNO産生が起こり、更には産生したNOの機能低下を抑制するSOD様活性を有していることによりNOの機能低下に抑制的に働き、血管運動神経系に対して確実に作用する働きが高いと考えられる。すなわち、エストロゲン分泌のある閉経前の健康状態に回復させる機能がダイゼインやゲニステインのようなピュアなイソフラボンよりも優れているといえる。何故なら、ピュアなイソフラボンのSOD様活性は低いからである。
【0020】
更に、ダイゼインやゲニステインの別な機能としてはcAMPやcGMPの分解に関わるcAMPフォスフォジエステラーゼの働きを阻害するという報告もある(Michael, R., et al.,;Moleculer Pharmacology, 2000, 57, 738−745. )ので、ダイゼインが豊富に含有されている「アグリマックス」のNO産生能はこの点からも期待できる。
【0021】
このように本発明者は「アグリマックス」が閉経後の女性に生じる更年期障害のとりわけホットフラッシュに対する緩和機能に優れていることを発見して本発明を完成させた。
【0022】
このようにしてなされた本発明の閉経症候群緩和素材は、エストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質とを有効成分として含有することを特徴とする。このようにして形成されている本発明の閉経症候群緩和素材は、有効成分のエストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質(以下、「SOD様活性物質」という)がホットフラッシュの緩和に有効な作用を発揮することができ、しかも安全性も高いものとなる。
【0023】
また、本発明の閉経症候群緩和素材は、原料としての大豆胚芽を麹菌によって発酵させて蛋白質を分解し、その後に加水分解することによって得られた生成物を更に溶媒を用いて抽出濃縮することにより機能性の高いエストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質とを含有する生成物を有効成分として含有することを特徴とする。このようにして形成されている本発明の閉経症候群緩和素材は、「アグリマックス」を有効成分としているために、より確実にホットフラッシュの緩和に有効な作用を発揮することができ、しかも安全性も高いものとなる。
【0024】
この濃縮された「アグリマックス」の組成としては、少なくとも70重量%のダイゼインを含有し、かつ、スーパーオキシドジスムターゼ様活性が500単位/g以上あるようにするとよい。このようにして形成されている本発明の閉経症候群緩和素材は、更に確実にホットフラッシュの緩和に有効な作用を発揮することができ、しかも安全性も高いものとなる。
【0025】
また、本発明の閉経症候群緩和素材としては、更にスーパーオキシドジスムターゼ様活性を有する物質、例えばシベリア霊芝、アップルペクチン等を含有していることを特徴とする。このようにして形成されている本発明の閉経症候群緩和素材は、アグリコン等からなる有効成分による作用効果と、SOD様活性を備えた物質による作用効果とが相乗的に作用するために、より一層確実にホットフラッシュの緩和に有効な作用を発揮することができ、しかも安全性も高いものとなる。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0027】
本実施形態においては、本発明者が特許第3014145号において既に提案している生成物であって、「原料となる大豆等の豆類に対して麹菌を用いて製麹処理を施すとともにその生成物に対して加水分解処理を施して、イソフラボンアグリコンを多量に含有する生成物やフイチン酸が完全に分解除去された生成物」において、原料として大豆胚芽を用い、本発明者等が提案している特開2000−281673号公報に示す生成方法に従って、更に溶媒を用いて抽出濃縮することによりイソフラボンアグリコンが例えば30重量%以上の濃縮物とした生成物とする。
【0028】
図1は前記特許第3014145号において提案している生成物であって、豆類の1種である大豆胚芽のイソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコンを多量に含むイソフラボン化合物を生成した生成物の製造方法の1実施形態および同時に大豆粕中のフィチン酸を除去した生成物の製造方法の1実施形態を示す工程図である。
【0029】
まず、アグリコンを多量に含むイソフラボン化合物を生成した生成物を製造する場合について説明する。
【0030】
図1の工程に沿って説明すると、先ず大豆胚芽を蒸煮する。この蒸煮を施すことにより、麹菌の増殖が容易となる。また、この大豆胚芽の蒸煮は製造目的等に応じてバッチ式や連続式で行うと良い。
【0031】
そして、この蒸煮が終了した大豆胚芽を一旦冷却して、大豆胚芽中の水分量を麹菌が増殖可能な量(例えば、37重量%)とさせる。
【0032】
このようにして水分量を整えられた大豆胚芽に対して、本発明方法が以下のようにして行なわれる。
【0033】
即ち、蒸煮が終了した大豆胚芽を殺菌し、冷却した後、大豆胚芽と麹菌との配合割合を、例えば大豆胚芽を400kgに対して麹菌胞子を 8×107 個/gに調整した種麹(精白米にて調整)を200gを混合した。更に、製麹のスタート時には32℃に冷却した後、品温が40℃になるまで通風しないで40℃になった時点で通風しながら、温度上昇を抑えた。スタートから約17時間後の最初の撹拌(盛工程)を行った。大豆胚芽の熱を冷まし、撹拌後品温が35℃前後になるように通風しながら、温度をコントロールをした。次いで約8時間後に2回目の撹拌(仲工程)を行い、熱を冷ました。再び品温を通風で35℃前後にコントロールし、更に約16時間後に3回目の撹拌(仕舞工程)を前回同様に行った。その後は品温が約38℃になるように通風しながら、温度コントロールし、スタートから48時間後に製麹を終了させた。製麹終了後、水分含量が50%になるように撹拌しながら、水分調整を行い、品温が約50℃になるように加温後、48時間以上麹菌の酵素で大豆胚芽中のイソフラボン化合物の大部分がアグリコン体になるまで加水分解した。表1の通り本発明による処理により大豆胚芽のイソフラボン化合物はアグリコン体のダイゼインが主体となるように多量に得られた。
【0034】
この製麹に用いる麹菌としては、古くからの日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌であり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾープス属等からなる麹菌を用いるとよい。
【0035】
この発酵時間については、使用する麹菌の種類に応じて、少なくとも24時間以上であり、大豆粕中のイソフラボン化合物の配糖体を十分に分解させるに十分な発酵時間とするとよい。
【0036】
この蛋白質の加水分解については、使用する麹菌の種類に応じて、大豆胚芽中のイソフラボン化合物の配糖体を十分に低減させるに十分な加水分解時間ならびに加水分解温度とするとよい。
【0037】
このようにすれば、発酵の初期において有機酸を生成して大豆胚芽中の雑菌の増殖を抑制し、2次汚染の心配がなくなり、大豆胚芽を原料とした生成物を大量生産することができる。また、低水分としなくともイソフラボン化合物の配糖体を十分に低減させる処理を施すことができる。
【0038】
続いて、本実施形態においては加水分解によって得られた生成物を、特開2000−281673号公報に示す方法に従って、(1)親水性有機溶媒を用いて溶媒抽出し、(2)抽出して得た親水性有機溶液に疎水性有機溶媒を用いて液液分離し、(3)液液分離して得た親水性有機溶液に疎水性有機溶媒を用いて液液分離し、そして(4)必要に応じて、液液分離して得た疎水性有機溶液を濃縮乾燥することにより、表1のようなイソフラボンアグリコンが30重量%以上の濃縮物を得た。この場合のイソフラボンアグリコンとしては、ダイゼインが約70重量%含有されている。更に、スーパーオキシドジスムターゼ様活性を500単位/g以上含有している。
【0039】
【表1】
【0040】
【実施例】
次に、本発明のエストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質とを有効成分として含有する閉経症候群緩和素材によるホットフラッシュの緩和作用を説明する。
【0041】
本実施例においては、ホットフラッシュの緩和作用を測定しやすい雌SDラットの卵巣摘出ラット(OVXラット)に対して実験を行った。
【0042】
a)試験方法
1)雌SDラット(7週齢)を用意し、1週間の予備飼育を行い、健康で各区で体重も揃った検体となる雌SDラット(8週齢)を育成した。予備飼育の翌日より28日間に亘り、表2に示す組成の高脂肪飼料を自由摂取として育生した。給水としては、井水(3ppm塩素添加)を自由摂取させた。更に、飼育施設環境として、設定温湿度を23±2℃、55±10%とし、空調方式を換気(15回/1時間)とし、証明時間を8:00a.m.〜8:00p.m.とし、飼育設備をステルス製代謝ケージとした。
【0043】
【表2】
【0044】
2)餌料の投与
比較区1(表中、Sham群)には健康な雌SDラットを6匹入れ、試験区1(表中、OVX群)、試験区2(表中、AglyMax群)、試験区3(表中、ゲニステイン群)、試験区4(表中、ダイゼイン群)および試験区5(表中、17β−エストラジオール群)とにそれぞれ雌SDラットのOVXラットを6匹づつ分け、比較区1および試験区2には通常の餌のみを給餌し、試験区2、3および4には、アグリマックス、ゲニステインおよびダイゼインをそれぞれイソフラボンアグリコン量として体重Kgあたり20mgとなるように餌に添加しながら投与し、試験区5には17β−エストラジオールを、1日当たり1μg/匹を餌に添加しながら投与した。
【0045】
3)採尿、採血、各測定項日の測定
高脂肪飼料およびアグリマックス、ゲニステイン、ダイゼインおよび17β−エストラジオールの投与期間中、0、7、14、21、28日目に24時間の蓄尿による採尿を行った。そして、尿中のNO2/NO3の測定を行った。28日間の投与終了後、24時間の絶食を行い、エーテル麻酔下で解剖を行い、解剖した雌ラットより子宮重量を体重100g当たりの重量として測定し、体内脂肪を検出するために後腹壁脂肪、腸管膜脂肪、腎周囲脂肪および卵巣周囲脂肪を摘出して体重100g当たりの重量を測定した。
【0046】
4)データの統計学的処理
各区の測定結果は各測定項目毎に平均値±標準偏差で表し、有意差検定はStudent’s−t法を用いた。なお、検定は両側検定とし、有意水準は5および1%とする。
【0047】
b)試験結果
1)状態観察
試験期間中の一般状態観察については特に異常は観察されなかった。
【0048】
2)体重の測定結果は表3に示す通りである。
【0049】
【表3】
【0050】
3)摂餌量の測定結果は表4に示す通りである。
【0051】
【表4】
【0052】
4)尿中のNO2/NO3の測定結果は表5に示す通りである。
【0053】
【表5】
【0054】
5)子宮重量の測定結果は表6に示す通りである。
【0055】
【表6】
【0056】
6)後腹壁脂肪、腸管膜脂肪、腎周囲脂肪および卵巣周囲脂肪の測定結果は表7に示す通りである。
【0057】
【表7】
【0058】
c)評価
卵巣を摘出していないSham群に比べて卵巣摘出したOVX群では血中NO量が有意に下がり、ゲニステイン群やダイゼイン群はまったく血中のNO量は増加しなかったが、 AglyMax群では17β−エストラジオール投与には及ばなかったものの7目頃から血中NO量が増加が確認でき、21日目ではOVXの普通餌群やゲニステイン群、ダイゼイン群に対して有意的な増加が得られた。更に28日目にはSham群レベルまで達した。あくまでも推測であるが、17β−エストラジオール投与群よりも血中NO量の上昇に時間がかかった結果から見て、17β−エストラジオールに比べて即効性の面で劣るのかもしれないが、閉経後の女性でエストロゲンによって誘導される動脈の内皮細胞にあるeNOSが働かなくなることが交感神経活動亢進(sympathicotonia )や血管運動神経障害につながる可能性が高く、そのことでホットフラッシュとなるのであれば、「アグリマックス」はゲニステインやダイゼインに比べ、ホットフラッシュの緩和機能はかなり優れているという裏付けになる結果といえる。
【0059】
このような「アグリマックス」の機能は「アグリマックス」中のアグリコン型イソフラボン以外の有効な成分がエストロゲン作用を助長していると考えられる。何故なら動物試験ではあるが、「アグリマックス」がピュアなゲニステインやダイゼインに比べてエストロゲン作用が強く出る結果が得られたことは「アグリマックス」にはエストロゲンレセプターに結合するアグリコン型イソフラボンと更には産生したNOの機能低下を抑制するSOD様活性を有していることによりNOの機能低下に抑制的に働き、動脈血管の弛緩に対して確実に作用する可能性が高いと考えられ、結果的にも尿中NO量に有意的な差異が得られた。
【0060】
更に、「アグリマックス」、ゲニステイン、ダイゼインは同じアグリコン型イソフラボン量にして投与した試験であったが、ダイゼインはゲニステインに比べて脂質代謝異常の改善機能に優れていることが分かり、また、「アグリマックス」はダイゼインよりも更に機能性に優れている。このことより、「アグリマックス」の閉経後女性モデル動物実験における機能は、イソフラボンアグリコンの他にSOD様活性物質と相乗的に作用することによるものであることが分かる。
【0061】
このことは「アグリマックス」が副作用もなく、ホットフラッシュの緩和作用があることが示唆できる結果といえた。
【0062】
なお、本発明は前記実施の形態並びに実施例に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。本発明の閉経症候群緩和素材は前記実施例のように経口投与の他に点滴によって体内に吸収させるようにしてもよい。
【0063】
【発明の効果】
このように本発明の閉経症候群緩和素材は構成され作用するものであるから、ホットフラッシュ等の閉経症候群を緩和する優れた機能を発揮するとともに、体に悪い副作用を与えない安全性を備えているという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】大豆胚芽中のイソフラボン化合物のうち薬理作用の高いアグリコンを生成する製造方法の1実施形態を示す工程図
【発明の属する技術分野】
本発明は、人間や哺乳動物の卵巣からのエストロゲンの分泌低下に伴なって女性の体に発症するホットフラッシュ(突然のほてり、発汗などの症状)等の閉経症候群の緩和に有効な機能を有する閉経症候群緩和素材に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一般に、ホットフラッシュ等の閉経症候群は女性にとって大きな障害若しくは負担になるために、その発症の未然防止や、発症した場合の緩和が望まれている。
【0003】
とりわけ、欧米人女性のホットフラッシュは深刻であるために、閉経症候群の緩和を目的とするホルモン補充療法(HRT= Hormone Replacement Therapy)の利用率が日本人女性に比べてかなり高い。しかしながら、近年、このHRTに対しては乳癌リスクや循環器系疾患のリスクが高まるとして問題視されるようになった。日本人女性においても食事の欧米化や社会進出などでホットフラッシュで悩む比率が増加しているともいわれている。
【0004】
しかし、ホットフラッシュの原因には色々な説があり、はっきりとした原因はまだ分かっていない状況であり、エストロゲンの分泌低下で発生することから女性ホルモン製剤の補充によるHRTに基づく治療が主流となっており、それに代る安全で、しかも効能の高い機能性素材が望まれる所であった。その機能性素材としてはエストロゲン様の作用を有する大豆イソフラボンやザクロエキスや中枢神経系に作用する漢方薬素材やブラックコホシュ等が利用されていたが、女性ホルモン製剤の効能には及んではいない。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ホットフラッシュ等の閉経症候群を緩和する優れた機能を発揮するとともに、体に悪い副作用を与えない安全性を備えている閉経症候群緩和素材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者はホットフラッシュ等の閉経症候群(以下、「ホットフラッシュ」という)の発生の原因およびその緩和策について鋭意研究を重ねることにより、ホットフラッシュが発生する新たな理由を見出すとともに、今までにないホットフラッシュの緩和機能を有する素材を発見して本発明を完成させるに至った。
【0007】
このホットフラッシュが発生する新たな理由について更に説明すると、ホットフラッシュの原因には色々な説があり、はっきりとした原因はまだ分かっていない。例えば、エストロゲンレベルが低下し、ゴナドトロピンの増加、自律神経機能の変調による説や、黄体化ホルモン(LH)の拍動性分泌とホットフラッシュの発現が一致するとする説、エストロゲン低下により視床下部におけるカテコールエストロゲンが少なくなり、カテコールアミン優位がホットフラッシュを起こすとする説、更にはエストロゲンレベルの低下によるカルシトニン遺伝子関連ペプタイド(CGRP)の過剰分泌とする説などがある。
【0008】
一方、更年期障害をエストロゲンの欠乏による症状だけに限定しようという考え方は欧米ではすでに一般化している。すなわち、ホットフラッシュはエストロゲン欠乏の急性症状といえる血管運動障害で、正常時では自律神経の調節によって収縮したり、拡張したりして発汗を促し、体温の調節を行なっているが、この時期に自律神経がうまく働かなくなるために生じる症状と考えられている。
【0009】
エストロゲンは血中では大半が性ホルモン結合グロブリン蛋白(Sex Hormone−binding Globulin;SHBG)に結合して存在しているが、閉経後にエストロゲンが体内で合成されなくなると結合型のエストロゲンよりも遊離型エストロゲン濃度の急激な低下が問題となる。すなわち、結合型のエストロゲンではなく遊離型エストロゲンが細胞内への侵入や受容体に結合に関与するためであるが、血中の遊離型エストロゲン濃度が低下すれば充分な量が細胞内に取り込まれなくなり、エストロゲンレセプターと結合するに至らなくなる。尚、ここでは以後エストロゲンとは遊離型エストロゲンのことを言う。
【0010】
本来血管系においてはエストロゲンが血管内皮にあるエストロゲンレセプターに作用し、動脈血管の弛緩に関係すると言われているが、ホットフラッシュの原因に関しては今まで報告がなかった。すなわち、エストロゲンが血管内皮あるNO産生細胞のエストロゲンレセプターに結合すると、eNOSmRNAが発現すると同時に細胞Ca濃度が上昇し、eNOS(内皮型NO合成酵素:endothelial nitric oxide synthase )が活性化されることでNO産生され、NOが遊離され、それが血管平滑筋細胞の可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化し、サイクリックGMP(cGMP)の産生増加を介して血管を弛緩させる(Murad, F., et al.,;Adv. Cyclic Nucleotide Res.,1979, 11, 175−204. )が、血中エストロゲン濃度の低下が起こると、血管は弛緩しなくなる。このように閉経後の女性においては血管運動神経を司る自律神経系が急激に働かなくなり、自律神経失調症状に陥りやすくなる。元来、内因性NOを介する神経であるNO作動性神経ではノルアドレナリン(NA)作動性神経も血管系に作用している。すなわち、血管や尿路系ではNA作動性神経と消化器や気道系ではコリン作動性神経とがそれぞれ生理的な拮抗作用を示しながら、血管平滑筋の緊張性調節機構を担っているといわれている。閉経前女性の場合はエストロゲンがNO産生に働くために、NA作動性神経を働かす必要はなく、よってカテコールアミンであるノルエピネフリンの放出は抑制されている。しかしながら、女性が閉経するとエストロゲンの分泌が低下し、eNOSmRNAの発現が減るので、血管の弛緩機能、すなわち、血管運動神経機能が低下し、NA作動性神経が優位に働くようになり、ノルエピネフリンが放出されるからホットフラッシュが生じると考えられる。
【0011】
一方、血管内皮のeNOSで産生されたNOは非常に不安定で、活性酸素などにより変化が生じやすいといわれている。一般に女性は閉経後は血中の活性酸素が高まるといわれている。その証明として閉経前女性は男性よりも動脈硬化性心疾患の罹患率がきわめて低いという報告がある(Castelli, W. P.,;1984, Am. J. Med., 2A, Suppl., 4−12 及びKnop, R. H.,; J. Reprod. Med., 1986, 31, 913−921 )。さらに閉経後や閉経前に卵巣を摘出した場合には高くなることも報告されている(Weinreb, H. L. et al.,;Ann. Int. Med., 1957, 46, 285−300 及びOliver, M. F., et al.,;1976, 177, University Park Press, Baltimore )。すなわち、エストロゲンは抗酸化剤として働いているということに他ならない。Asadaら(Asada, Y., et al.,;J. Clin. Biochem. Nutr.,2000, 8, 245−252)は閉経後の女性は血清中の脂質の過酸化レベルを閉経前の女性と比較した所、有意に閉経後に過酸化脂質レベルが高まることを報告している。このようにエストロゲンの低下により、女性は閉経後には血中の活性酸素量が増加するので、ホットフラッシュの緩和にはエストロゲンと同じように活性酸素を消去させる手立てが必要となる。前述したNOの機能低下に影響が考えられるからである。その原因は活性酸素であるスーパーオキシドアニオン(O2 −)がある。すなわち、NOとこの活性酸素と結合し、ぺルオキシナイトライト(ONOO−)への代謝が亢進するからである。NOの機能低下を改善させるには抗酸化剤やSODが非常に重要となる。何故なら、閉経前の女性においてはエストロゲンの代謝物である抗酸化能の高いカテコールエストロゲンが機能しているからである。
【0012】
このように、女性は閉経後にエストロゲンの分泌低下が起こり、血管運動神経系の作用に変化が生じる。すなわち、本来はエストロゲンの分泌によりNO作動生神経が働いたのが、それに代わる神経系であるNA作動性神経が作用するためで、閉経前と異なり、血管運動神経系のこのような変化でホットフラッシュが起こる可能性が充分に考えられる。すなわち、動脈の内皮細胞にあるeNOSが働かなくなることがホットフラッシュが生じる切っ掛けと考えられる。以上のことからエストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ(Superoxide dismutase)様活性物質とを有効成分として含有していることで今までにはないホットフラッシュの緩和に優れた機能を持った素材になることが明かとなった。
【0013】
更に、このようにして発生するホットフラッシュを日米において比較分析すると、日本人女性においては約50%が更年期障害を経験せずに過ごしており、更年期障害の治療経験のある者は約10%で、残り40%は1年以内か1年以上更年期障害を経験しても治療せずに自然に治癒しているという報告(後山尚久;産婦人科治療、1997, 75, 363.)がある。しかしながら、米国人の女性において80%以上がホットフラッシュを経験し、ホルモン補充療法を約30%の人が受けており、更に多くの女性が治療を受けている。日本人には虚証あるいは虚弱体質といわれる低血圧気味の女性が多い。この女性は心臓から血液を送出すパワーが不足しているので、更年期のエストロゲンの分泌低下による動脈血管の弛緩作用が弱まっても、元々低血圧気味であるためNA作動性神経が高まっても症状として出ないと考えられる。しかしながら、米国人の女性は動物性蛋白質や動物性脂肪の多い欧米型食事をすることで体脂肪量も多いことが原因で体内エストロゲン分泌量は日本人の女性に比べて高いし、閉経後にエストロゲン分泌が低レベルに下がる期間も長いと考えられる。そのためにエストロゲン分泌低下によるNO産生が低下する期間が長くなることや、心臓機能が強いことで、NA作動性神経の高まりが原因のホットフラッシュが生じる期間が長く、更にその程度や頻度が日本人の女性に比べて多くなるのではないかと考えられる。
【0014】
次に、このようなホットフラッシュが発生する新たな理由に対応してホットフラッシュを緩和させる素材について更に説明すると、本発明者は、本発明者が特許第3014145号においてすでに提案している生成物であって、「原料となる大豆等の豆類の大豆胚芽を用いて、この大豆胚芽に対して麹菌を用いて製麹処理を施すとともにその生成物に対して加水し、分解処理を施して、イソフラボンアグリコンを多量に含有する生成物やフィチン酸が完全に分解除去された生成物」を生成し、この生成物に対して本発明者等が特開2000−281673号公報において提案している生成方法に従って、更に溶媒を用いて抽出濃縮することによりイソフラボンアグリコンを濃縮した生成物(アグリマックス(AglyMax):ニチモウ株式会社の登録商標、以下「アグリマックス」という)を発明した。この「アグリマックス」にはイソフラボンアグリコン以外の大豆胚芽麹菌発酵産物も含まれているが、活性酸素を消去する作用であるスーパーオキシドジスムターゼ様活性(SOD様活性)(=Superoxide Scavenging Activity)が非常に高いことが特徴である。すなわち、「アグリマックス」はイソフラボンアグリコンを約70%に濃縮したもののSOD様活性は12,000単位/gであった。デキストリンでイソフラボンアグリコンを30%に希釈した場合は1,300単位/gであった。
【0015】
このようにして生成されたイソフラボンアグリコンにはエストロゲン様作用があることは周知のことである。
【0016】
更に、製麹に用いられる麹菌は複数の酵素を有する微生物であり、原料の大豆胚芽にはイソフラボン以外にサポニンなど生理機能を有する成分が含まれている。従って、発酵工程中に複合的な酵素分解が生じ、大豆胚芽中の成分の機能性が高まった可能性があり、麹菌による発酵大豆胚芽からイソフラボンを抽出・濃縮するプロセスにおいて、それらの生理機能を持った成分が「アグリマックス」に混入している可能性がある。例えば、「アグリマックス」は他のイソフラボン素材に比べてSOD様活性が高い。キッコーマン社の同じ濃度のアグリコン型イソフラボン製品(製品名:ソイアクト(SoyAct))のSOD様活性は60単位/gであり、同じ大豆胚芽から抽出・濃縮されたグリコシド型イソフラボン製品が220単位/gであるから、「アグリマックス」は1300単位/gときわめて高いといえる。「アグリマックス」のSOD様活性を高めている成分はイソフラボンアグリコンではなく、麹菌発酵で酵素分解された成分と考えられる。
【0017】
以上のことから、「アグリマックス」はイソフラボンアグリコンによるエストロゲン様作用を有しており、さらにはイソフラボングリコシドに比べて体内への吸収が良いので体内に吸収された後の機能面で優れている。このことをさらに詳しく説明すると、ラットの動物試験ではあるが、Yasudaら(Yasuda, T. et al ;Bio. Pharm. Bull., 1994;17, 1369−1374 )はイソフラボンアグリコン(ダイゼイン60mg/kgBW)とイソフラボングリコシド(ダイジン100mg/kgBW)を投与し、その代謝を調べている。ダイジンはダイゼイン(アグリコン型)に加水分解された後に吸収されることを明らかにしており、また尿中の両者の排泄物比較ではダイゼイン投与ではグルクロン酸や硫酸抱合されていない遊離型ダイゼイン量がダイジン投与に比べて高い結果が得られている。
【0018】
更に、Sfakianosら(Sfakianos, J., et al ; J. Nutr., 1997;127, 1260−1268 )はラットの動物試験でイソフラボンアグリコン(ゲニステイン)投与による吸収および代謝に関して詳しい研究を行っている。ゲニステイン投与の低用量では末梢血液中にはほとんどがグルクロン酸抱合型ゲニステインであったが、高用量にすると遊離型ゲニステイン濃度が高まることを報告している。すなわち、イソフラボンアグリコン投与量を高めれば、血液中に遊離型イソフラボンアグリコン濃度が高まることが示唆できる。遊離型イソフラボンアグリコンとして血中に高濃度に存在することで細胞内への侵入や受容体への結合に関与することができるが、血中の濃度が低下すれば充分な量が細胞内に取り込まれなくなり、エストロゲンレセプターと結合するに至らなくなるからである。このことは前述した遊離型エストロゲンの存在と同じ理屈である。閉経後の女性で遊離型エストロゲンの血中濃度が低下するのを遊離型イソフラボンアグリコンが代って作用することがいえる。さらに「アグリマックス」にはそれ以外の成分による高いSOD様活性の両方を有しているので、従来の大豆イソフラボン製品以上に高いホットフラッシュ緩和機能があることが分かった。
【0019】
このように「アグリマックス」にはエストロゲンと同様にエストロゲンレセプターにイソフラボンアグリコンが結合することでNO産生が起こり、更には産生したNOの機能低下を抑制するSOD様活性を有していることによりNOの機能低下に抑制的に働き、血管運動神経系に対して確実に作用する働きが高いと考えられる。すなわち、エストロゲン分泌のある閉経前の健康状態に回復させる機能がダイゼインやゲニステインのようなピュアなイソフラボンよりも優れているといえる。何故なら、ピュアなイソフラボンのSOD様活性は低いからである。
【0020】
更に、ダイゼインやゲニステインの別な機能としてはcAMPやcGMPの分解に関わるcAMPフォスフォジエステラーゼの働きを阻害するという報告もある(Michael, R., et al.,;Moleculer Pharmacology, 2000, 57, 738−745. )ので、ダイゼインが豊富に含有されている「アグリマックス」のNO産生能はこの点からも期待できる。
【0021】
このように本発明者は「アグリマックス」が閉経後の女性に生じる更年期障害のとりわけホットフラッシュに対する緩和機能に優れていることを発見して本発明を完成させた。
【0022】
このようにしてなされた本発明の閉経症候群緩和素材は、エストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質とを有効成分として含有することを特徴とする。このようにして形成されている本発明の閉経症候群緩和素材は、有効成分のエストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質(以下、「SOD様活性物質」という)がホットフラッシュの緩和に有効な作用を発揮することができ、しかも安全性も高いものとなる。
【0023】
また、本発明の閉経症候群緩和素材は、原料としての大豆胚芽を麹菌によって発酵させて蛋白質を分解し、その後に加水分解することによって得られた生成物を更に溶媒を用いて抽出濃縮することにより機能性の高いエストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質とを含有する生成物を有効成分として含有することを特徴とする。このようにして形成されている本発明の閉経症候群緩和素材は、「アグリマックス」を有効成分としているために、より確実にホットフラッシュの緩和に有効な作用を発揮することができ、しかも安全性も高いものとなる。
【0024】
この濃縮された「アグリマックス」の組成としては、少なくとも70重量%のダイゼインを含有し、かつ、スーパーオキシドジスムターゼ様活性が500単位/g以上あるようにするとよい。このようにして形成されている本発明の閉経症候群緩和素材は、更に確実にホットフラッシュの緩和に有効な作用を発揮することができ、しかも安全性も高いものとなる。
【0025】
また、本発明の閉経症候群緩和素材としては、更にスーパーオキシドジスムターゼ様活性を有する物質、例えばシベリア霊芝、アップルペクチン等を含有していることを特徴とする。このようにして形成されている本発明の閉経症候群緩和素材は、アグリコン等からなる有効成分による作用効果と、SOD様活性を備えた物質による作用効果とが相乗的に作用するために、より一層確実にホットフラッシュの緩和に有効な作用を発揮することができ、しかも安全性も高いものとなる。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0027】
本実施形態においては、本発明者が特許第3014145号において既に提案している生成物であって、「原料となる大豆等の豆類に対して麹菌を用いて製麹処理を施すとともにその生成物に対して加水分解処理を施して、イソフラボンアグリコンを多量に含有する生成物やフイチン酸が完全に分解除去された生成物」において、原料として大豆胚芽を用い、本発明者等が提案している特開2000−281673号公報に示す生成方法に従って、更に溶媒を用いて抽出濃縮することによりイソフラボンアグリコンが例えば30重量%以上の濃縮物とした生成物とする。
【0028】
図1は前記特許第3014145号において提案している生成物であって、豆類の1種である大豆胚芽のイソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコンを多量に含むイソフラボン化合物を生成した生成物の製造方法の1実施形態および同時に大豆粕中のフィチン酸を除去した生成物の製造方法の1実施形態を示す工程図である。
【0029】
まず、アグリコンを多量に含むイソフラボン化合物を生成した生成物を製造する場合について説明する。
【0030】
図1の工程に沿って説明すると、先ず大豆胚芽を蒸煮する。この蒸煮を施すことにより、麹菌の増殖が容易となる。また、この大豆胚芽の蒸煮は製造目的等に応じてバッチ式や連続式で行うと良い。
【0031】
そして、この蒸煮が終了した大豆胚芽を一旦冷却して、大豆胚芽中の水分量を麹菌が増殖可能な量(例えば、37重量%)とさせる。
【0032】
このようにして水分量を整えられた大豆胚芽に対して、本発明方法が以下のようにして行なわれる。
【0033】
即ち、蒸煮が終了した大豆胚芽を殺菌し、冷却した後、大豆胚芽と麹菌との配合割合を、例えば大豆胚芽を400kgに対して麹菌胞子を 8×107 個/gに調整した種麹(精白米にて調整)を200gを混合した。更に、製麹のスタート時には32℃に冷却した後、品温が40℃になるまで通風しないで40℃になった時点で通風しながら、温度上昇を抑えた。スタートから約17時間後の最初の撹拌(盛工程)を行った。大豆胚芽の熱を冷まし、撹拌後品温が35℃前後になるように通風しながら、温度をコントロールをした。次いで約8時間後に2回目の撹拌(仲工程)を行い、熱を冷ました。再び品温を通風で35℃前後にコントロールし、更に約16時間後に3回目の撹拌(仕舞工程)を前回同様に行った。その後は品温が約38℃になるように通風しながら、温度コントロールし、スタートから48時間後に製麹を終了させた。製麹終了後、水分含量が50%になるように撹拌しながら、水分調整を行い、品温が約50℃になるように加温後、48時間以上麹菌の酵素で大豆胚芽中のイソフラボン化合物の大部分がアグリコン体になるまで加水分解した。表1の通り本発明による処理により大豆胚芽のイソフラボン化合物はアグリコン体のダイゼインが主体となるように多量に得られた。
【0034】
この製麹に用いる麹菌としては、古くからの日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌であり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾープス属等からなる麹菌を用いるとよい。
【0035】
この発酵時間については、使用する麹菌の種類に応じて、少なくとも24時間以上であり、大豆粕中のイソフラボン化合物の配糖体を十分に分解させるに十分な発酵時間とするとよい。
【0036】
この蛋白質の加水分解については、使用する麹菌の種類に応じて、大豆胚芽中のイソフラボン化合物の配糖体を十分に低減させるに十分な加水分解時間ならびに加水分解温度とするとよい。
【0037】
このようにすれば、発酵の初期において有機酸を生成して大豆胚芽中の雑菌の増殖を抑制し、2次汚染の心配がなくなり、大豆胚芽を原料とした生成物を大量生産することができる。また、低水分としなくともイソフラボン化合物の配糖体を十分に低減させる処理を施すことができる。
【0038】
続いて、本実施形態においては加水分解によって得られた生成物を、特開2000−281673号公報に示す方法に従って、(1)親水性有機溶媒を用いて溶媒抽出し、(2)抽出して得た親水性有機溶液に疎水性有機溶媒を用いて液液分離し、(3)液液分離して得た親水性有機溶液に疎水性有機溶媒を用いて液液分離し、そして(4)必要に応じて、液液分離して得た疎水性有機溶液を濃縮乾燥することにより、表1のようなイソフラボンアグリコンが30重量%以上の濃縮物を得た。この場合のイソフラボンアグリコンとしては、ダイゼインが約70重量%含有されている。更に、スーパーオキシドジスムターゼ様活性を500単位/g以上含有している。
【0039】
【表1】
【0040】
【実施例】
次に、本発明のエストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質とを有効成分として含有する閉経症候群緩和素材によるホットフラッシュの緩和作用を説明する。
【0041】
本実施例においては、ホットフラッシュの緩和作用を測定しやすい雌SDラットの卵巣摘出ラット(OVXラット)に対して実験を行った。
【0042】
a)試験方法
1)雌SDラット(7週齢)を用意し、1週間の予備飼育を行い、健康で各区で体重も揃った検体となる雌SDラット(8週齢)を育成した。予備飼育の翌日より28日間に亘り、表2に示す組成の高脂肪飼料を自由摂取として育生した。給水としては、井水(3ppm塩素添加)を自由摂取させた。更に、飼育施設環境として、設定温湿度を23±2℃、55±10%とし、空調方式を換気(15回/1時間)とし、証明時間を8:00a.m.〜8:00p.m.とし、飼育設備をステルス製代謝ケージとした。
【0043】
【表2】
【0044】
2)餌料の投与
比較区1(表中、Sham群)には健康な雌SDラットを6匹入れ、試験区1(表中、OVX群)、試験区2(表中、AglyMax群)、試験区3(表中、ゲニステイン群)、試験区4(表中、ダイゼイン群)および試験区5(表中、17β−エストラジオール群)とにそれぞれ雌SDラットのOVXラットを6匹づつ分け、比較区1および試験区2には通常の餌のみを給餌し、試験区2、3および4には、アグリマックス、ゲニステインおよびダイゼインをそれぞれイソフラボンアグリコン量として体重Kgあたり20mgとなるように餌に添加しながら投与し、試験区5には17β−エストラジオールを、1日当たり1μg/匹を餌に添加しながら投与した。
【0045】
3)採尿、採血、各測定項日の測定
高脂肪飼料およびアグリマックス、ゲニステイン、ダイゼインおよび17β−エストラジオールの投与期間中、0、7、14、21、28日目に24時間の蓄尿による採尿を行った。そして、尿中のNO2/NO3の測定を行った。28日間の投与終了後、24時間の絶食を行い、エーテル麻酔下で解剖を行い、解剖した雌ラットより子宮重量を体重100g当たりの重量として測定し、体内脂肪を検出するために後腹壁脂肪、腸管膜脂肪、腎周囲脂肪および卵巣周囲脂肪を摘出して体重100g当たりの重量を測定した。
【0046】
4)データの統計学的処理
各区の測定結果は各測定項目毎に平均値±標準偏差で表し、有意差検定はStudent’s−t法を用いた。なお、検定は両側検定とし、有意水準は5および1%とする。
【0047】
b)試験結果
1)状態観察
試験期間中の一般状態観察については特に異常は観察されなかった。
【0048】
2)体重の測定結果は表3に示す通りである。
【0049】
【表3】
【0050】
3)摂餌量の測定結果は表4に示す通りである。
【0051】
【表4】
【0052】
4)尿中のNO2/NO3の測定結果は表5に示す通りである。
【0053】
【表5】
【0054】
5)子宮重量の測定結果は表6に示す通りである。
【0055】
【表6】
【0056】
6)後腹壁脂肪、腸管膜脂肪、腎周囲脂肪および卵巣周囲脂肪の測定結果は表7に示す通りである。
【0057】
【表7】
【0058】
c)評価
卵巣を摘出していないSham群に比べて卵巣摘出したOVX群では血中NO量が有意に下がり、ゲニステイン群やダイゼイン群はまったく血中のNO量は増加しなかったが、 AglyMax群では17β−エストラジオール投与には及ばなかったものの7目頃から血中NO量が増加が確認でき、21日目ではOVXの普通餌群やゲニステイン群、ダイゼイン群に対して有意的な増加が得られた。更に28日目にはSham群レベルまで達した。あくまでも推測であるが、17β−エストラジオール投与群よりも血中NO量の上昇に時間がかかった結果から見て、17β−エストラジオールに比べて即効性の面で劣るのかもしれないが、閉経後の女性でエストロゲンによって誘導される動脈の内皮細胞にあるeNOSが働かなくなることが交感神経活動亢進(sympathicotonia )や血管運動神経障害につながる可能性が高く、そのことでホットフラッシュとなるのであれば、「アグリマックス」はゲニステインやダイゼインに比べ、ホットフラッシュの緩和機能はかなり優れているという裏付けになる結果といえる。
【0059】
このような「アグリマックス」の機能は「アグリマックス」中のアグリコン型イソフラボン以外の有効な成分がエストロゲン作用を助長していると考えられる。何故なら動物試験ではあるが、「アグリマックス」がピュアなゲニステインやダイゼインに比べてエストロゲン作用が強く出る結果が得られたことは「アグリマックス」にはエストロゲンレセプターに結合するアグリコン型イソフラボンと更には産生したNOの機能低下を抑制するSOD様活性を有していることによりNOの機能低下に抑制的に働き、動脈血管の弛緩に対して確実に作用する可能性が高いと考えられ、結果的にも尿中NO量に有意的な差異が得られた。
【0060】
更に、「アグリマックス」、ゲニステイン、ダイゼインは同じアグリコン型イソフラボン量にして投与した試験であったが、ダイゼインはゲニステインに比べて脂質代謝異常の改善機能に優れていることが分かり、また、「アグリマックス」はダイゼインよりも更に機能性に優れている。このことより、「アグリマックス」の閉経後女性モデル動物実験における機能は、イソフラボンアグリコンの他にSOD様活性物質と相乗的に作用することによるものであることが分かる。
【0061】
このことは「アグリマックス」が副作用もなく、ホットフラッシュの緩和作用があることが示唆できる結果といえた。
【0062】
なお、本発明は前記実施の形態並びに実施例に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。本発明の閉経症候群緩和素材は前記実施例のように経口投与の他に点滴によって体内に吸収させるようにしてもよい。
【0063】
【発明の効果】
このように本発明の閉経症候群緩和素材は構成され作用するものであるから、ホットフラッシュ等の閉経症候群を緩和する優れた機能を発揮するとともに、体に悪い副作用を与えない安全性を備えているという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】大豆胚芽中のイソフラボン化合物のうち薬理作用の高いアグリコンを生成する製造方法の1実施形態を示す工程図
Claims (4)
- エストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質とを有効成分として含有することを特徴とする閉経症候群緩和素材。
- 原料としての大豆胚芽を麹菌によって発酵させて蛋白質を分解し、その後に加水分解することによって得られた生成物を更に溶媒を用いて抽出濃縮することによりエストロゲン様作用物質とスーパーオキシドジスムターゼ様活性物質とを含有する生成物を有効成分として含有することを特徴とする閉経症候群緩和素材。
- 前記生成物は、少なくとも70重量%のダイゼインを含有し、かつ、スーパーオキシドジスムターゼ様活性が500単位/g以上あることを特徴とする請求項2に記載の閉経症候群緩和素材。
- スーパーオキシドジスムターゼ様活性物質を更に含有していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の閉経症候群緩和素材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003201610A JP2005041803A (ja) | 2003-07-25 | 2003-07-25 | 閉経症候群緩和素材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003201610A JP2005041803A (ja) | 2003-07-25 | 2003-07-25 | 閉経症候群緩和素材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005041803A true JP2005041803A (ja) | 2005-02-17 |
Family
ID=34261617
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005041803A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006035897A1 (ja) * | 2004-09-30 | 2006-04-06 | Fuji Oil Company, Limited | 性ホルモン結合グロブリン阻害組成物 |
-
2003
- 2003-07-25 JP JP2003201610A patent/JP2005041803A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2006035897A1 (ja) * | 2004-09-30 | 2006-04-06 | Fuji Oil Company, Limited | 性ホルモン結合グロブリン阻害組成物 |
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