JP2005041143A - Alcパネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ALCパネル内に埋設された補強鉄筋の上方に形成されるシャドウおよびALCパネル表面に露出する巣を減少させることにより、欠けや亀裂の発生がなく、かつ美観の優れたALCパネルの製造方法を提供する。
【解決手段】ALCパネルの長さ方向に埋設される主筋と、幅方向に埋設される副筋とを格子状に連結した補強鉄筋を型枠内に配置し、珪酸質原料および石灰質原料を主原料とする固形成分に、水と発泡剤として粉末アルミニウムとを添加した原料スラリーを該型枠内に注入し、発泡・硬化させて形成された半硬化体を、高温・高圧蒸気養生するALCパネルの製造方法において、前記主筋または副筋の長さ方向の垂直切断面が略楕円状であり、かつその長軸方向が発泡方向と平行になるように該型枠内に配置する。
【選択図】 図2
【解決手段】ALCパネルの長さ方向に埋設される主筋と、幅方向に埋設される副筋とを格子状に連結した補強鉄筋を型枠内に配置し、珪酸質原料および石灰質原料を主原料とする固形成分に、水と発泡剤として粉末アルミニウムとを添加した原料スラリーを該型枠内に注入し、発泡・硬化させて形成された半硬化体を、高温・高圧蒸気養生するALCパネルの製造方法において、前記主筋または副筋の長さ方向の垂直切断面が略楕円状であり、かつその長軸方向が発泡方向と平行になるように該型枠内に配置する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、補強鉄筋上部の空洞の発生が少ないALCパネルの製造方法に関するものである。
ALCパネルは、その軽量性、耐火性、断熱性、施工性等の利点によりこれまで建築材料として外壁、間仕切り、床、屋根などに幅広く用いられている。またALCパネルは、幅600mm以下のものが主流であるが、ニーズにより600mmを超える幅広のALCパネルが製造・販売されて来ている。
前記幅600mm以下のALCパネルの製造は、一般的に以下の方法で大量生産されている。すなわち、図4および図5に示すように、ALCパネル20の長さ方向に埋設される主筋26と、幅方向に埋設される副筋27とを格子状に連結し、スペーサ28で籠状にした補強鉄筋25を型枠6内に配置し、珪酸質原料および石灰質原料を主原料とする固形成分に、水と発泡剤として粉末アルミニウムとを添加した原料スラリーを型枠6内に注入し、発泡・硬化させて形成した半硬化体を、高温・高圧蒸気養生して製造する(特許文献1)。
また、図6に示す幅600mmを超えるALCパネル22の製造は、以下の方法が公知である。すなわち、複数枚の補強鉄筋を水平状態で、かつ上下方向に一定間隔で積層(保持)させた状態で型枠内に配置する。そして、該原料スラリーを型枠内に注入して、前記同様に製造する方法である(特許文献2)。
上記いずれの製造方法において、該補強鉄筋に用いられる主筋および副筋は、その長さ方向の垂直切断面が円形のものが採用されていた。
上記いずれの製造方法において、該補強鉄筋に用いられる主筋および副筋は、その長さ方向の垂直切断面が円形のものが採用されていた。
しかしながら、上記製造方法によるALCパネル20は、図5に示すように主筋26の上部に空洞部(以下、シャドウ30という)が通常存在する。このシャドウ30は、該主筋26の長さ方向(ALCパネル20の長さ方向)に沿って連続的に形成されている。そして、該シャドウ30がより上方にさらに連続して形成されていると、ALCパネル20の長さ方向の小口面21にクレバス(以下、巣40という)となって露出するという現象が発生していた。
また、図6に示すように前記幅広のALCパネル22においても、主筋26上部にシャドウ30が形成されていた。そして、上記同様に該シャドウ30がより上方に連続して形成されていると、幅広のALCパネル22の表面23(壁面)において、巣40が発生していた。
前記シャドウ30の形成は、以下の如く推察される。すなわち、該原料スラリーは型枠内(型枠高さの1/2程度)に注入されたのち、発泡により原料スラリーの上昇を伴いながら、次第に原料スラリーの粘度が上昇していき、数時間後に半硬化体となる。発泡により上昇する該原料スラリーは、主筋3および副筋4周辺部の通過時に、その上昇した粘度のため、主筋3および副筋4上部に容易に回り込めない。この結果、シャドウ30となって残存するものと推察される。この現象は、型枠内の上方に位置する主筋3および副筋4上部ほど、該原料スラリー粘度がより増大しているため顕著なものとなる。また、該シャドウ30の形成に伴って、巣40の発生も増大する。
この結果、該シャドウ30周辺部に、欠けや亀裂が発生するという問題が発生していた。
また、水が巣40を通して主筋26の近傍にまで浸透することでALCパネル20や22の重量増を招いたり、また製品の圧縮強度や曲げ強度などの物性低下を来すという問題があった。これらのことにより、製品品質の低下や外観が損なわれことによる商品性の低下を来すという問題があった。
また、水が巣40を通して主筋26の近傍にまで浸透することでALCパネル20や22の重量増を招いたり、また製品の圧縮強度や曲げ強度などの物性低下を来すという問題があった。これらのことにより、製品品質の低下や外観が損なわれことによる商品性の低下を来すという問題があった。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ALCパネル内に埋設された補強鉄筋の上方に形成されるシャドウおよびALCパネル表面に露出する巣を減少させることにより、欠けや亀裂の発生がなく、かつ外観の優れたALCパネルの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らはALCパネルの長さ方向に埋設される主筋と、幅方向に埋設される副筋とを格子状に連結した補強鉄筋を型枠内に配置し、珪酸質原料および石灰質原料を主原料とする固形成分に、水と発泡剤として粉末アルミニウムとを添加した原料スラリーを該型枠内に注入し、発泡・硬化させて形成された半硬化体を、高温・高圧蒸気養生するALCパネルの製造方法において、前記主筋または副筋の長さ方向の垂直切断面が略楕円状であり、かつ略楕円状断面の長軸が発泡方向を向くように前記型枠内に主筋または副筋を配置するALCパネルの製造方法とした。また、前記略楕円状断面の長軸径/短軸径は、1.2〜3.0とした。
本発明のALCパネルの製造方法は、ALCパネル内に埋設された補強鉄筋の上部に形成されるシャドウおよびALCパネル表面に露出する巣を減少させることにより、欠けや亀裂の発生がなく、また圧縮強度や曲げ強度などを低下させないALCパネルの製造方法を提供できるという優れた効果を奏する。また、前記補強鉄筋を水平状態で、かつ上下方向に一定間隔で積層させた状態で製造した幅広のALCパネルにおいて、パネル表面の巣の補修を行う必要が無く、その効果を特に発揮する。
以下、図面を参照しながら、本発明において最も好ましい実施の形態を詳述する。図1は、本発明において用いられる籠状補強鉄筋2の斜視図である。図2は、図1の籠補強鉄筋2を用いて製造されたALCパネル1の幅方向断面図である。
そして、図3は、本発明において、籠状補強鉄筋2を型枠6内に配置した状態を示す幅方向断面図である。
そして、図3は、本発明において、籠状補強鉄筋2を型枠6内に配置した状態を示す幅方向断面図である。
図1に示すように、本発明において用いられる籠状補強鉄筋2は、以下のように製作する。まず、長さ方向の垂直切断面が略楕円状の主筋3と副筋4とを格子状に連結し、マット状補強鉄筋2aとする。この時、該主筋3および副筋4の長軸方向が、発泡方向と同一方向となるようにそれぞれ連結する。次に、2枚のマット状補強鉄筋2aを所定の間隔に離反し、連結筋5で緊結して籠状補強鉄筋2とする。
そして、籠状補強鉄筋2は、図3に示すように型枠6内に支持棒7を介して配置する。このとき、前記籠状補強鉄筋2の主筋3および副筋4の長軸方向が、発泡方向を向くように型枠6内に配置する。次に、珪酸質原料および石灰質原料を主原料とする固形成分に、水と発泡剤として粉末アルミニウムとを混合した原料スラリーを注入する。
そして、該原料スラリーを発泡・硬化させて、形成された半硬化体を所定の寸法にピアノ線で切断したのち、高温・高圧蒸気養生を行って、ALCパネルを得る。
そして、該原料スラリーを発泡・硬化させて、形成された半硬化体を所定の寸法にピアノ線で切断したのち、高温・高圧蒸気養生を行って、ALCパネルを得る。
前記主筋3および副筋4は、その長さ方向の垂直切断面が略楕円状で、かつ長軸方向が発泡方向を向くように型枠6内に配置されている。このことで、発泡に伴い上昇する原料スラリーは、該主筋3および副筋4周辺部の通過時に、該主筋3および副筋4に沿って、スムーズに抵抗なく上昇できる。この結果、該主筋3および副筋4の上部にシャドウ30が形成されにくくなる。
また、前記略楕円状断面の長軸径/短軸径は、1.2〜3.0とすることにより、該原料スラリーは、略楕円状の主筋3および副筋4に沿って、よりスムーズに抵抗なく上昇できるとともに、パネルの圧縮強度や曲げ強度などの物性低下を来すことがないため好ましい。また、前記主筋3の短軸径が2mm以上とすると、ALC薄形パネルの曲げ強度が確保できるため、より好適である。
以下に、本発明の実施例および比較例を説明する。
(実施例)
図1に示す籠状補強鉄筋2の製作は、以下の方法で行った。まず主筋3の製作は、直径10mmの円形鉄線を用い、断面が楕円形状のダイス中に挿通し、短軸長さが5mm、長軸長さが9mmの鉄線とし、これを長さ2950mmに切断した。次に、副筋4の製作は、前記同様に直径10mmの円形鉄線を用い、楕円形状のダイス中に挿通して、短軸長さが3mm、長軸長さが6mmの鉄線とし、これを長さ1380mmに切断した。該主筋3および副筋4の製作本数は、いずれも48本とした。
(実施例)
図1に示す籠状補強鉄筋2の製作は、以下の方法で行った。まず主筋3の製作は、直径10mmの円形鉄線を用い、断面が楕円形状のダイス中に挿通し、短軸長さが5mm、長軸長さが9mmの鉄線とし、これを長さ2950mmに切断した。次に、副筋4の製作は、前記同様に直径10mmの円形鉄線を用い、楕円形状のダイス中に挿通して、短軸長さが3mm、長軸長さが6mmの鉄線とし、これを長さ1380mmに切断した。該主筋3および副筋4の製作本数は、いずれも48本とした。
次に、8本の前記主筋3と8本の副筋4とを格子状に、所定の間隔を持って配置する。このとき、該主筋3および副筋4は楕円形状の長軸方向で交接するように配置する。次に、その交接点で溶接を行い、マット状補強鉄筋2aを作製する。そして、2枚のマット状補強鉄筋2aを平行に、かつ所定の間隔となるよう離反し、連結筋5で緊結し、籠状補強鉄筋2(厚さ×幅×長さ=90mm×1380mm×2950mm)を完成した。
そして、図3に示すように、3枚の前記籠状補強鉄筋2を支持棒7により型枠6(高さ×幅×長さ=0.7m×1.6m×6.0m)内に、水平状態で、かつ上下方向に一定間隔で積層し、配置した。この時、籠状補強鉄筋2の主筋3および副筋4の長軸方向は発泡方向を向くように配置した(図2および図3参照)。
次いで、珪酸質原料として珪石粉末60重量部、石灰質原料として普通セメント20重量部および生石灰粉末20重量部と、これらの固形分に対して外割で水を70重量部、粉末アルミニウム0.1重量部を混合した原料スラリーを型枠6内に注入した。
そして、該原料スラリーを発泡・硬化させ、半硬化体を得た。その後、脱型し該半硬化体をピアノ線を用いて、所定の寸法に切断したのち、高温・高圧蒸気養生を行い、3枚のALCパネル1(厚さ×幅×長さ=120mm×1500mm×3000mm)を得た。
(比較例)
比較例の補強鉄筋に使用した主筋および副筋は、前記垂直切断面が円形の鉄線を用いた。また、該円形の鉄線の直径は、実施例で用いた主筋3の短軸長さ(5mm)と同一とした。そして、前記実施例と同様の方法により、籠状の補強鉄筋を製作したのち、前記実施例と同様の方法により同寸法のALCパネルを得た。
比較例の補強鉄筋に使用した主筋および副筋は、前記垂直切断面が円形の鉄線を用いた。また、該円形の鉄線の直径は、実施例で用いた主筋3の短軸長さ(5mm)と同一とした。そして、前記実施例と同様の方法により、籠状の補強鉄筋を製作したのち、前記実施例と同様の方法により同寸法のALCパネルを得た。
上記実施例および比較例で得られたALCパネルにおいて、形成したシャドウの大きさや巣の有無により評価した。また評価に際しては、上記したようにシャドウや巣が最も出現する、型枠内の最上部に位置するALCパネルで評価した。
シャドウによる評価は、図6に示すように、該ALCパネルの長さ方向中央部を幅方向に切断し、その切断面24の一方に露出した各主筋3上部のシャドウ断面積(図6参照)を計測し、評価した。
前記シャドウ断面積による評価は、以下の判定基準により評価を行った。評価結果を表1に示す。
(判定基準)
○:断面積が12mm2未満。
△:断面積が12mm2〜30mm2。
×:断面積が30mm2超。
前記シャドウ断面積による評価は、以下の判定基準により評価を行った。評価結果を表1に示す。
(判定基準)
○:断面積が12mm2未満。
△:断面積が12mm2〜30mm2。
×:断面積が30mm2超。
また、巣の有無による評価は、図6に示すように、前記切断面24から長さKが1mまでの範囲内の該ALCパネル表面23において、前記各主筋3の長さ方向に沿って発生した、その長さLが5mm以上の巣40の有無を確認し、以下の判定基準により評価を行った。評価結果を表1に示す。
(判定基準)
○:長さ5mm以上の巣の発生が、スジ状の形跡を含めほとんど見られない。
△:長さ5mm以上の巣の発生が、1〜5カ所程度見られる。
×:長さ5mm以上の巣の発生が、6カ所以上見られる。
(判定基準)
○:長さ5mm以上の巣の発生が、スジ状の形跡を含めほとんど見られない。
△:長さ5mm以上の巣の発生が、1〜5カ所程度見られる。
×:長さ5mm以上の巣の発生が、6カ所以上見られる。
表1の評価結果より、実施例のALCパネルは、主筋上部のシャドウ面積がいずれも2〜6mm2であり、比較例のALCパネルに比べて、非常に小さなものであった。
また、実施例のALCパネル表面においては、どの主筋上部においても巣が認められなかったが、比較例のALCパネルは、全ての主筋上部において、巣が全て2カ所以上発生していた。
上記の結果から、本発明のALCパネルの製造方法は、シャドウ形成が非常に少なくなるとともに、そのことで巣の発生も大幅に減少することが判明した。
本発明のALCパネルの製造方法は、その内部に補強材を埋設する窯業系の建築用パネルにおいて、原料中に発泡剤を添加して、その内部に気孔を形成し軽量化する製造方法に適用することにより、割れや欠けの防止並びに外観商品性を向上できる。
1 本発明の製造方法により得られたALCパネル
2 本発明の製造方法により得られたALCパネルに埋設される籠状補強鉄筋
2a マット状補強鉄筋
3 補強鉄筋の主筋
4 補強鉄筋の副筋
5 連結筋
6 型枠
7 支持棒
20,22 従来法の製造方法により得られたALCパネル
21 長辺方向小口面
23 ALCパネル表面(壁面)
24 ALCパネル切断面
25 従来法の製造方法に用いられる籠状補強鉄筋
26 補強鉄筋の主筋
27 補強鉄筋の副筋
28 スペーサ
30 シャドウ
40 巣
a 長軸方向
b 短軸方向
L 巣長さ
K ALCパネル切断面からの長さ
2 本発明の製造方法により得られたALCパネルに埋設される籠状補強鉄筋
2a マット状補強鉄筋
3 補強鉄筋の主筋
4 補強鉄筋の副筋
5 連結筋
6 型枠
7 支持棒
20,22 従来法の製造方法により得られたALCパネル
21 長辺方向小口面
23 ALCパネル表面(壁面)
24 ALCパネル切断面
25 従来法の製造方法に用いられる籠状補強鉄筋
26 補強鉄筋の主筋
27 補強鉄筋の副筋
28 スペーサ
30 シャドウ
40 巣
a 長軸方向
b 短軸方向
L 巣長さ
K ALCパネル切断面からの長さ
Claims (2)
- ALCパネルの長さ方向に埋設される主筋と、幅方向に埋設される副筋とを格子状に連結した補強鉄筋を型枠内に配置し、珪酸質原料および石灰質原料を主原料とする固形成分に、水と発泡剤として粉末アルミニウムとを添加した原料スラリーを該型枠内に注入し、発泡・硬化させて形成された半硬化体を、高温・高圧蒸気養生するALCパネルの製造方法において、前記主筋または副筋の長さ方向の垂直切断面が略楕円状であり、かつ該略楕円状断面の長軸が発泡方向を向くように、前記型枠内に主筋または副筋を配置することを特徴とするALCパネルの製造方法。
- 前記略楕円状断面の長軸径/短軸径は、1.2〜3.0である請求項1記載のALCパネルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003278772A JP2005041143A (ja) | 2003-07-24 | 2003-07-24 | Alcパネルの製造方法 |
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JP (1) | JP2005041143A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109320206A (zh) * | 2018-11-15 | 2019-02-12 | 广东金意陶陶瓷集团有限公司 | 一种分层分区制料布料生产发泡陶瓷的工艺以及发泡陶瓷材料 |
CN110696180A (zh) * | 2019-10-08 | 2020-01-17 | 广东乾兴建设工程有限公司 | 一种混凝土预制墙板及其生产工艺 |
-
2003
- 2003-07-24 JP JP2003278772A patent/JP2005041143A/ja active Pending
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