JP2005039455A - 画像処理装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】デジタル画像の明るさの分布を改善する処理を施しても階調とびや色調のずれの発生を抑える。
【解決手段】画像データから輝度成分を抽出する輝度抽出手段と、前記輝度成分の比較的大きな尺度での分布を求めるスケール変換手段と、前記輝度成分と前記スケール変換手段の出力とを用いて前記画像データの輝度分布を改善する輝度改善手段と、前記輝度改善手段の出力を新たな画像の輝度分布として画像データを再生する画像再生手段とを備えた画像処理装置において、前記画像再生手段は再生する画像データの色再現範囲に応じて複数の色空間から選択的に符号化することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】画像データから輝度成分を抽出する輝度抽出手段と、前記輝度成分の比較的大きな尺度での分布を求めるスケール変換手段と、前記輝度成分と前記スケール変換手段の出力とを用いて前記画像データの輝度分布を改善する輝度改善手段と、前記輝度改善手段の出力を新たな画像の輝度分布として画像データを再生する画像再生手段とを備えた画像処理装置において、前記画像再生手段は再生する画像データの色再現範囲に応じて複数の色空間から選択的に符号化することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は明るさの分布を改善するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、適正な明るさの写真を撮影する方法として、撮影するシーンの平均的な輝度を測定し、カメラのシャッター速度、絞り値などを制御する方式が知られている。また、シーンを所定の領域に分割して領域ごとに測定した輝度に重み付けして平均的な輝度を求めて適正露出を得ようとするいわゆる評価測光方式による露出制御方式が知られている。
【0003】
しかしながら、撮影する主被写体の明るさが背景の明るさに比べて著しく暗いような、いわゆる逆光シーンにおいては、撮影した画像においてどうしても主被写体部分が暗くなってしまう。このような逆光シーンにおいて適切な明るさの写真を撮影するには、撮影時にあらかじめ平均的な写真よりも明るめに撮影されるようにカメラの露出を設定しておく必要があった。しかし、このような露出補正の操作はわずらわしいばかりでなく、カメラの設定を適正に行うための熟練を要する。また、主被写体に対して適切に露出補正を行ったとしても、逆に背景部分が明るくなりすぎてしまう。
【0004】
本発明の目的は、このような適切に画像の明るさを決定するのが困難な逆光等のシーンにおいても、適切な明るさの画像を得ることである。
【0005】
本発明の目的を達成するために、アナログ写真技術においては、暗室内でいわゆる覆い焼き処理を行うことで適切な明るさのプリントを得ることができる。このような覆い焼き処理を容易に実現するためには、デジタル画像処理において、覆い焼き処理を実現することが望ましい。
【0006】
このような処理を実現する方法として、例えば、IEEE TRANSACTIONS ON IMAGE PROCESSING, VOL.6, NO.7, JULY 1997に”A Multiscale Retinex for Bridging the Gap Between Color Images and the Human Observation of Scenes”と題するJobsonらの報告(従来技術1とする)がある。これは、デジタル画像を対数変換した成分とその対数変換成分の低周波成分との差分処理を行うことによって、デジタル画像の低周波領域における明るい成分を暗く、低周波領域における暗い成分を明るく処理することにより、画像の改善を行おうとするものである。
【0007】
また、acm Transactions on Graphics, JULY 2002, Vol.21, No.3 に”Photographic Tone Reproduction for Digital Images”と題するReinhardらの報告(従来技術2とする)においても、デジタル画像の輝度成分とその低周波成分とを用いることにより、デジタル画像処理において覆い焼きのような効果を得る方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例においては、処理するデジタル画像の明るさに対して改善処理を施した画像データが所定の色空間の範囲に収まらない場合、画像データのうち色空間外の色について色空間の境界領域の色に置き換えて出力するために階調とびや色調のずれが発生してしまうといった不具合があった。
【0009】
本発明の目的は、前記問題点を解決し、処理するデジタル画像の明るさの分布を改善する処理を施しても階調とびや色調のずれの発生を抑えることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。
【0011】
本願請求項1記載の画像処理装置は、画像データから輝度成分を抽出する輝度抽出手段と、前記輝度成分の比較的大きな尺度での分布を求めるスケール変換手段と、前記輝度成分と前記スケール変換手段の出力とを用いて前記画像データの輝度分布を改善する輝度改善手段と、前記輝度改善手段の出力を新たな画像の輝度分布として画像データを再生する画像再生手段とを備えた画像処理装置において、前記画像再生手段は再生する画像データの色再現範囲に応じて複数の色空間から選択的に符号化することを特徴とする。
【0012】
本願請求項4記載の画像処理方法は、画像データから輝度成分を抽出する輝度抽出工程と、前記輝度成分の比較的大きな尺度での分布を求めるスケール変換工程と、前記輝度成分と前記スケール変換工程の出力とを用いて前記画像データの輝度分布を改善する輝度改善工程と、該輝度分布が改善された画像の色再現範囲に応じて選択された色空間に、前記輝度改善工程から出力された画像データを変換する変換工程とを有することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1に本実施形態の画像処理システムの構成を示す。
【0014】
図中、1は、画像入力手段であり、画像処理システムにデジタル画像データ(以後、画像データと称す)を入力する。例えば、デジタルカメラ、スキャナなどで構成される。
【0015】
2は、輝度抽出手段であり、画像入力手段1で入力した画像データから輝度成分と色成分を抽出する。
【0016】
3は、スケール変換手段であり、輝度抽出手段2から出力された画像データの輝度成分の比較的大きな尺度での分布を求める。
【0017】
4は、輝度改善手段であり、輝度抽出手段2から出力された画像データの輝度成分とスケール変換手段3から出力された比較的大きな尺度での輝度成分の分布を用いて画像データの輝度成分の分布を改善する。
【0018】
5は、画像再生手段であり、輝度改善手段4から出力された改善された輝度成分と輝度抽出手段2から出力された色成分とを合成し、画像データを再構成する。画像再生手段5はまた、RGB変換手段51、色空間選択手段52、符号化手段53より構成される。RGB変換手段51は改善された輝度成分と色成分とを合成し、RGB画像データに変換する。色空間選択手段52は変換されたRGB画像データの色再現範囲に応じて出力する画像データの色空間を選択する。符号化手段53はRGB変換手段51で変換されたRGB画像データを所定の色空間の画像データとして符号化する。
【0019】
6は、パラメータ調整手段であり、輝度抽出手段2から出力された画像データの輝度成分から輝度改善手段4で処理する改善の度合いを画像データに応じて最適にするようにパラメータの調整を行う。
【0020】
以上のような構成の画像処理システムは、また、アプリケーションプログラムによって汎用の計算機おいても実行可能である。以後、本明細書では、主にアプリケーションプログラムにおいて実行される画像処理システムについて説明し、図1における画像処理システムにおける構成について補足説明する。
【0021】
図2に本実施形態における画像処理システムの動作を汎用の計算機で実行するアプリケーションプログラムのアルゴリズムを示す。
【0022】
まず、アプリケーションプログラムが起動するとユーザは画像データのファイル名を入力し、画像データを計算機の記憶部に読み込む。(S101)
ここで読み込まれた画像データは、例えば8ビットの画素により構成されるM×Nの2次元配列(但し、Mは水平画素数、Nは垂直画素数)であり、R、G、B、3つの面により構成される。この画像データをR、G、B、それぞれR(x,y)、G(x,y)、B(x,y)とする(但し、(x,y)は画素位置を表す整数、1≦x≦M、1≦y≦N)。このとき、画像データがJPEG等の方式により圧縮されている場合は、画像データを所定の解凍方式にしたがって解凍し、RGB各画素により構成される画像データとする。
【0023】
次に、画像データを構成するRGB各画素をもとに輝度成分を抽出する。(S102)
輝度成分の抽出は、例えば、RGBの画素成分がIEC 61966−2−1に記載されているsRGB色空間におけるデータと想定し、IEC 61966−2−1に記載されている方法に従い、ガンマ変換と3行3列のマトリクス演算により、CIE1931XYZに変換する。ここで、変換後のXYZのデータをそれぞれX(x,y)、Y(x,y)、Z(x,y)とすると、Y(x,y)が抽出する輝度成分である。この輝度抽出をハードウェアで構成する場合には、例えば、ルックアップテーブルによるテーブル参照回路(ガンマ変換の部分)、マトリクス演算回路によって構成できる。
【0024】
なお、輝度成分を抽出する方法としては、前述の処理を簡略化し、マトリクス演算のみで抽出するようにしてもよい。また、RGBからYCbCrへの変換やRGBからL*a*b*への変換、RGBからHSVへの変換を用いてもよい。次に、抽出した輝度成分から比較的大きな尺度での輝度成分の分布を求める。(S103)
大きな尺度での輝度成分の分布(輝度成分の低周波成分の分布)を求めるには、例えば、従来技術1にあるように抽出した輝度成分とガウシアン関数との積和演算を行い、出力とする。(但し、従来技術1では画像データの輝度成分ではなく直接画像データのRGB各画素に対して積和演算を行うようにしている)ここで、改善された画像データの画質を向上するために、標準偏差の異なる複数のガウシアン関数との積和演算を行い、複数の尺度での輝度成分の分布を求めるようにすると、より好ましい。なお、以上説明したような大きな尺度での輝度成分の分布を求める処理を以後、スケール変換と称することとする。このスケール変換をハードウェアで構成する場合には、例えば、積和演算回路によって構成できる。
【0025】
次に、抽出した輝度成分から改善すべき輝度分布の度合いを決めるパラメータを調整する。(S104)なお、パラメータ調整は輝度分布を改善する処理と関連するので、詳細は後述する。
【0026】
次に、画像データの輝度成分とスケール変換した輝度成分の分布を用いて画像データの輝度成分の分布を改善する。(S105)
処理の一例として従来技術1に基づく方法によれば、輝度成分とスケール変換した輝度成分の分布それぞれを対数変換し、その差分を出力する。さらに、異なる尺度での差分出力の重み付き平均を改善された輝度成分とする。しかしながら、この方法では、画像に応じて改善の度合いを調整できないので、スケール変換した輝度成分の対数変換出力に係数を乗ずるようにする。この係数が改善の度合いを調整するパラメータである。以上説明した処理に基づく改善された輝度成分の出力は以下に示す(式1)のようになる。
【0027】
【外1】
【0028】
但し、Y’(x,y)、Fn(x,y)、wn、n、γはそれぞれ改善された輝度成分の出力、ガウシアン関数、尺度間の重み、尺度を表すパラメータ、改善の度合いを表すパラメータである。また、*は積和演算を表す。
【0029】
なお、尺度間の重みは尺度の標準偏差を調整することで省略可能(単純な平均に置き換わる)であること、また、(式1)のように対数変換された値を出力するよりも、逆変換(exp演算)により元の輝度単位に戻した方が、改善された画像データの画質として好ましいことが分かっている。従って、以下の(式2)に示した出力を改善された輝度成分とすることがより好ましい。
【0030】
【外2】
【0031】
但し、Avgは平均値演算を表す。
(式2)の代わりに、以下に示す(式3)としてもよい。
【0032】
【外3】
【0033】
なお、複数尺度でのスケール変換出力の平均値演算をS103のスケール変換の処理で行い、複数尺度でのスケール変換出力の平均値をスケール変換された輝度成分の分布としてもよい。
【0034】
この輝度変換をハードウェアで構成する場合には、例えば、平均値演算回路、ルックアップテーブルを作成する回路、テーブル記憶部、テーブル参照回路(ガンマ変換の部分)、除算回路によって構成できる。なお、平均値演算回路はスケール変換手段に設けてもよい。
【0035】
ここで、S104におけるパラメータ調整方法の一例をS105における(式3)で輝度変換を行う場合について説明する。
【0036】
まず、画像データの輝度成分を所定の輝度値の範囲に分けて輝度ヒストグラムを作成する。そして、暗い方から積算したヒストグラムの頻度の全サンプリングに対する割合が所定の割合になる輝度値(この輝度値をY0とする)を求める。このとき、求めた輝度値Y0が所定の輝度値(この輝度値をY1とする。但し、Y0≦Y1)になるようなγを改善の度合いを表すパラメータとする。なお、このγは、(式3)の分母の[ ]内をY(x,y)とほぼ等しいと仮定すると、以下に示す(式4)により求めることができる。
【0037】
【外4】
【0038】
なお、本実施形態では、画像データの輝度成分をもとにパラメータを自動的に調整するようにしたが、画像データのRGBの画素値をもとにパラメータを自動的に調整するようにしてもよい。また、パラメータを入力インターフェースによって変更可能とし、変更したパラメータの値にしたがって輝度分布を変換し、画像データを再構成し、改善後の画像データをディスプレイに表示するようにして、対話的に調整するようにしてもよい。
【0039】
以上の例では、従来技術1をもとに処理する画像データに応じて最適に明るさの分布の改善が行う方法について説明したが、以下の例では、従来技術2をもとに処理する画像データに応じて最適に明るさの分布の改善が行う方法について説明する。なお、上記実施形態との差異は主にS105での画像データの輝度成分の分布を改善する処理であるので、この部分を中心に説明する。
【0040】
従来技術2によれば、異なる尺度の輝度成分を用いて輝度変換後のハロの発生度合いを評価し、ハロ発生による画質の不具合がないように最適な尺度を決定し、輝度変換を行うようにしている。これに本発明を適用した場合の例を以下の(式5)に示す。
【0041】
【外5】
【0042】
但し、V(x,y)は複数のスケール変換した輝度成分から選択された輝度成分、aは輝度成分の強度を調整するパラメータ、eは輝度成分の改善の度合いを表すパラメータである。なお、輝度成分改善処理における調整方法の変更に伴い、S104での改善パラメータの調整方法も変更すべきであることはいうまでもない。
【0043】
また、従来技術2にもとづいて説明した例において、輝度成分の改善の度合いとともに画像の輝度成分そのものを調整するようにしたが、このように本発明と画像の輝度成分そのものを調整する処理と組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【0044】
また、S105の処理において、(式3)の分母の[ ]内の値として、輝度成分に対してacm Transactions on Graphics, JULY 2002, Vol.21, No.3 中の”Fast Bilateral Filtering for the Display of High−Dynamic−Range Images”と題するDurandらの報告にあるようなBilateral Filteringを適用してもよい。この場合、S103のスケール変換処理であらかじめ輝度成分にBilateral Filtering処理を行う。
【0045】
次に、改善された輝度成分とS102で変換された色成分X(x,y)、Z(x,y)とを合成し、画像データを再構成する。(S106)
画像データの再構成についての詳細アルゴリズムを図3に示す。
【0046】
まず、画像データをRGBのデータに変換する。(S61)
ここで、再構成後の画像データの色ができるだけ変化しないように、色成分を輝度成分の変更にしたがって修正する。例えば、色成分X(x,y)、Z(x,y)にそれぞれ輝度成分の変更前後の比Y’(x,y)/Y(x,y)を乗算する。そして、X、Y、ZのデータからRGBのデータを求める。ここでの処理はS102における処理の逆変換である。したがって、3行3列のマトリクス演算および逆ガンマ変換の処理を行う。なお、S102で輝度成分を抽出する方法としてRGBからYCbCr変換など別方式を用いた場合には、本処理において対応する逆変換の処理を行うべきであることはいうまでもない。
【0047】
次に、RGB画像データから、画像中の最大値を求める。(S62)
次に、求めた最大値が1を越えるかどうか判定する。(S63)
求めた最大値が1を越えない場合は、RGBデータがsRGBの範囲の画像データで表現できるので、符号化する色空間としてsRGB色空間を選択し(S64)、RGB各8ビットに量子化し、出力する。(S66)
一方、求めた最大値が1を越える場合は、RGBデータがsRGBの範囲の画像データで表現できないので、1を越えた画素値を1に置き換える方式などでRGB各8ビットに量子化すると階調とびや色調ずれの原因となる。そこで、sRGB色空間より再現範囲の広い色空間、例えばAdobeRGB色空間を符号化する色空間として選択する。(S64)
そして、S61の処理と同様に、X、Y、ZのデータからRGBのデータを求める。すなわち、3行3列のマトリクス演算および逆ガンマ変換によりsRGB色空間より再現範囲の広い色空間のRGB画像データを求める。(S65)
以上、RGBデータの最大値が1を越える場合は、より広い色空間への変換を行い、RGBデータが符号化する色空間の画像データで表現できるように変換して、RGB各8ビットに量子化し、出力する。(S66)
なお、上記の説明では、符号化する色空間の選択は所定の色空間(上の例ではsRGB)のRGB画像データに一旦変換して、その最大値をもとにより広い色空間に変換するかを選択するようにしたが、その限りではない。例えば、所定の色空間のRGB画像データに一旦変換して、その色空間の再現範囲を越える画素の数が所定の数を越える場合により広い色空間を選択するようにしてもよい。
【0048】
また、上記の説明では、色空間を2つの色空間から選択するようにしたが、3つ以上の色空間から選択してもよいことはいうまでもない。
【0049】
(実施形態2)
広い色空間に符号化を行っても色再現範囲外の画像データを含む場合がある。この場合、さらに広い色空間を選択すればよいが、色空間の色再現範囲が広すぎると再生する画像の階調性が悪くなる場合が生じる。このような場合、広い色空間の画像データに対して階調圧縮を行って色空間内に収まるようにして画像データを再生するようにすればよい。このような構成の例を図4に示す。図4で図1と同記号のものは同機能を有する構成要素である。54は圧縮パラメータ調整手段で選択された色空間におけるRGB画像データが所定の色空間に収まらない場合にRGB画像データの色域に応じて階調圧縮を行う際の圧縮パラメータを求める。55は階調圧縮手段で圧縮パラメータを用いてRGB画像データに対して階調圧縮を行い、所定の色空間の画像データとして符号化する。
【0050】
以下、階調圧縮を行う場合のS106におけるアルゴリズムを図5に基づいて説明する。但し、図3と同記号のステップは同じ動作をするステップであり、詳細の説明は省略する。
【0051】
まず、画像データをRGBのデータに変換する。(S61)
次に、RGB画像データに対し、最大値を求める。(S62)
次に、求めた最大値が1を越えるかどうか判定する。(S63)
求めた最大値が1を越えない場合は、RGBデータがsRGBの範囲の画像データで表現できるので、符号化する色空間としてsRGB色空間を選択し(S64)、RGB各8ビットに量子化し、出力する。(S66)
一方、求めた最大値が1を越える場合は、RGBデータがsRGBの範囲の画像データで表現できないので、sRGB色空間より再現範囲の広い色空間、例えばAdobeRGB色空間を符号化する色空間として選択する。(S64)
そして、S61の処理と同様に、X、Y、ZのデータからRGBのデータを求める。すなわち、3行3列のマトリクス演算および逆ガンマ変換によりsRGB色空間より再現範囲の広い色空間のRGB画像データを求める。(S65)
次に、再び広い色空間のRGB画像データに対し、最大値を求める。(S72)
次に、求めた最大値が1を越えるかどうか判定する。(S73)
求めた最大値が1を越えない場合は、RGBデータがsRGBの範囲の画像データで表現できるので、RGB各8ビットに量子化し、出力する。(S66)
一方、求めた最大値が1を越える場合は、RGBデータが広い色空間の画像データでも表現できないので、RGB画像データに対して階調圧縮を行うべく、まずは階調圧縮のパラメータを決定し(S74)、パラメータに基づいて階調圧縮を行う。(S75)
階調圧縮は、RGBデータの最大値をp(p>1)とすると、画素値pが広い色空間での最大値1になるように行う。例えば、階調圧縮前のRGBデータをそれぞれR1、G1、B1、階調圧縮後のRGBデータをそれぞれR2、G2、B2とするとき、
R2=k・R1、G2=k・G1、B2=k・B1 (式6)
にて、画像中の全RGBデータについて階調圧縮する。但し、kは階調圧縮のパラメータで、k=1/pである。但し、pが所定の値(pm>1とする)よりも大きい場合には、階調圧縮の度合いが大きくなりすぎ、画像全体が暗くなってしまうので、その場合はk=1/pmを用いて階調圧縮を行う。
【0052】
また、上記の例では階調圧縮を1次変換で行ったが、2次変換で行うようにしてもよい。例えば、RGBデータの最大値をp(p>1)とすると、画素値pが広い色空間での最大値1になるように行う。また、画素値が1の場合に所定の値、例えば、1と1/pとの平均値になるように定めると、
【外6】
【0053】
にて、画像中の全RGBデータについて階調圧縮する。但し、k2、k1は階調圧縮のパラメータで、k2=(p−1)/(2p・(p+1))、k1=(p+1)/2p−k2である。但し、pが所定の値(pm>1とする)よりも大きい場合には、階調圧縮の度合いが大きくなりすぎ、画像全体が暗くなってしまうので、その場合はk2=(pm−1)/(2pm・(pm+1))、k1=(pm+1)/2pm−k2を用いて階調圧縮を行う。
【0054】
その他、階調圧縮を以下の(式8)に示すようなγ変換による方式で行ってもよい。
【0055】
【外7】
【0056】
但し、k3、γは階調圧縮のパラメータである。
【0057】
以上、広い色空間のRGBデータの最大値が1を越える場合は、階調圧縮を行い、RGBデータが色空間の色再現範囲の画像データで表現できるように変換して、RGB各8ビットに量子化し、出力する。(S66)
なお、S72〜S75で説明した階調圧縮による階調とび、色調のずれの抑制処理はS105における輝度改善処理にも適用することができる。例えば、(式3)によって輝度変換を行った前後の輝度分布の範囲を比較してみると、輝度変換前の輝度分布の範囲は0〜1の範囲内であるのに対し、輝度変換後の輝度分布の範囲は1を越える可能性がある。このような場合、輝度分布を圧縮して0〜1の範囲に収めることでS106におけるRGB変換後の画像データにおいて前もってRGBデータが1を越える確率を抑えることができる。例えば、S105の処理と同様に、改善処理後の輝度分布の最大値を求め、最大値が1を越える場合に対して、(式6)〜(式8)に示したような同形式の方法にてパラメータを決定、輝度圧縮を行うようにすればよい。
【0058】
また、以上説明した例においては、処理する画像データとしてRGB各8ビットのデータを想定して説明したが、RGB各16ビットの画像データから最適なRGB各8ビットの画像データを再生する場合においても適用できる。
【0059】
(他の実施形態)
前述した実施の形態の機能を実現する様に各種のデバイスを動作させる様に該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに、前記実施の形態の機能を実現するためのソフトウエアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)を格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも本発明の範疇に含まれる。
【0060】
この場合、前記ソフトウエアのプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明を構成する。
【0061】
かかるプログラムコードを格納する記憶媒体としては例えばフロッピー(R)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることが出来る。
【0062】
またコンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0063】
更に供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言うまでもない。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、処理するデジタル画像の明るさの分布を改善する処理を施しても階調とびや色調のずれの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像処理システムにおける実施形態の構成を示す図。
【図2】画像処理システムにおけるアプリケーションプログラムのアルゴリズムを示す図。
【図3】画像処理システムにおける画像データ再構成のアルゴリズムを示す図。
【図4】画像処理システムにおける別の実施形態の構成を示す図。
【図5】画像処理システムにおける別の実施形態の画像データ再構成のアルゴリズムを示す図。
【発明の属する技術分野】
本発明は明るさの分布を改善するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、適正な明るさの写真を撮影する方法として、撮影するシーンの平均的な輝度を測定し、カメラのシャッター速度、絞り値などを制御する方式が知られている。また、シーンを所定の領域に分割して領域ごとに測定した輝度に重み付けして平均的な輝度を求めて適正露出を得ようとするいわゆる評価測光方式による露出制御方式が知られている。
【0003】
しかしながら、撮影する主被写体の明るさが背景の明るさに比べて著しく暗いような、いわゆる逆光シーンにおいては、撮影した画像においてどうしても主被写体部分が暗くなってしまう。このような逆光シーンにおいて適切な明るさの写真を撮影するには、撮影時にあらかじめ平均的な写真よりも明るめに撮影されるようにカメラの露出を設定しておく必要があった。しかし、このような露出補正の操作はわずらわしいばかりでなく、カメラの設定を適正に行うための熟練を要する。また、主被写体に対して適切に露出補正を行ったとしても、逆に背景部分が明るくなりすぎてしまう。
【0004】
本発明の目的は、このような適切に画像の明るさを決定するのが困難な逆光等のシーンにおいても、適切な明るさの画像を得ることである。
【0005】
本発明の目的を達成するために、アナログ写真技術においては、暗室内でいわゆる覆い焼き処理を行うことで適切な明るさのプリントを得ることができる。このような覆い焼き処理を容易に実現するためには、デジタル画像処理において、覆い焼き処理を実現することが望ましい。
【0006】
このような処理を実現する方法として、例えば、IEEE TRANSACTIONS ON IMAGE PROCESSING, VOL.6, NO.7, JULY 1997に”A Multiscale Retinex for Bridging the Gap Between Color Images and the Human Observation of Scenes”と題するJobsonらの報告(従来技術1とする)がある。これは、デジタル画像を対数変換した成分とその対数変換成分の低周波成分との差分処理を行うことによって、デジタル画像の低周波領域における明るい成分を暗く、低周波領域における暗い成分を明るく処理することにより、画像の改善を行おうとするものである。
【0007】
また、acm Transactions on Graphics, JULY 2002, Vol.21, No.3 に”Photographic Tone Reproduction for Digital Images”と題するReinhardらの報告(従来技術2とする)においても、デジタル画像の輝度成分とその低周波成分とを用いることにより、デジタル画像処理において覆い焼きのような効果を得る方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例においては、処理するデジタル画像の明るさに対して改善処理を施した画像データが所定の色空間の範囲に収まらない場合、画像データのうち色空間外の色について色空間の境界領域の色に置き換えて出力するために階調とびや色調のずれが発生してしまうといった不具合があった。
【0009】
本発明の目的は、前記問題点を解決し、処理するデジタル画像の明るさの分布を改善する処理を施しても階調とびや色調のずれの発生を抑えることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。
【0011】
本願請求項1記載の画像処理装置は、画像データから輝度成分を抽出する輝度抽出手段と、前記輝度成分の比較的大きな尺度での分布を求めるスケール変換手段と、前記輝度成分と前記スケール変換手段の出力とを用いて前記画像データの輝度分布を改善する輝度改善手段と、前記輝度改善手段の出力を新たな画像の輝度分布として画像データを再生する画像再生手段とを備えた画像処理装置において、前記画像再生手段は再生する画像データの色再現範囲に応じて複数の色空間から選択的に符号化することを特徴とする。
【0012】
本願請求項4記載の画像処理方法は、画像データから輝度成分を抽出する輝度抽出工程と、前記輝度成分の比較的大きな尺度での分布を求めるスケール変換工程と、前記輝度成分と前記スケール変換工程の出力とを用いて前記画像データの輝度分布を改善する輝度改善工程と、該輝度分布が改善された画像の色再現範囲に応じて選択された色空間に、前記輝度改善工程から出力された画像データを変換する変換工程とを有することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1に本実施形態の画像処理システムの構成を示す。
【0014】
図中、1は、画像入力手段であり、画像処理システムにデジタル画像データ(以後、画像データと称す)を入力する。例えば、デジタルカメラ、スキャナなどで構成される。
【0015】
2は、輝度抽出手段であり、画像入力手段1で入力した画像データから輝度成分と色成分を抽出する。
【0016】
3は、スケール変換手段であり、輝度抽出手段2から出力された画像データの輝度成分の比較的大きな尺度での分布を求める。
【0017】
4は、輝度改善手段であり、輝度抽出手段2から出力された画像データの輝度成分とスケール変換手段3から出力された比較的大きな尺度での輝度成分の分布を用いて画像データの輝度成分の分布を改善する。
【0018】
5は、画像再生手段であり、輝度改善手段4から出力された改善された輝度成分と輝度抽出手段2から出力された色成分とを合成し、画像データを再構成する。画像再生手段5はまた、RGB変換手段51、色空間選択手段52、符号化手段53より構成される。RGB変換手段51は改善された輝度成分と色成分とを合成し、RGB画像データに変換する。色空間選択手段52は変換されたRGB画像データの色再現範囲に応じて出力する画像データの色空間を選択する。符号化手段53はRGB変換手段51で変換されたRGB画像データを所定の色空間の画像データとして符号化する。
【0019】
6は、パラメータ調整手段であり、輝度抽出手段2から出力された画像データの輝度成分から輝度改善手段4で処理する改善の度合いを画像データに応じて最適にするようにパラメータの調整を行う。
【0020】
以上のような構成の画像処理システムは、また、アプリケーションプログラムによって汎用の計算機おいても実行可能である。以後、本明細書では、主にアプリケーションプログラムにおいて実行される画像処理システムについて説明し、図1における画像処理システムにおける構成について補足説明する。
【0021】
図2に本実施形態における画像処理システムの動作を汎用の計算機で実行するアプリケーションプログラムのアルゴリズムを示す。
【0022】
まず、アプリケーションプログラムが起動するとユーザは画像データのファイル名を入力し、画像データを計算機の記憶部に読み込む。(S101)
ここで読み込まれた画像データは、例えば8ビットの画素により構成されるM×Nの2次元配列(但し、Mは水平画素数、Nは垂直画素数)であり、R、G、B、3つの面により構成される。この画像データをR、G、B、それぞれR(x,y)、G(x,y)、B(x,y)とする(但し、(x,y)は画素位置を表す整数、1≦x≦M、1≦y≦N)。このとき、画像データがJPEG等の方式により圧縮されている場合は、画像データを所定の解凍方式にしたがって解凍し、RGB各画素により構成される画像データとする。
【0023】
次に、画像データを構成するRGB各画素をもとに輝度成分を抽出する。(S102)
輝度成分の抽出は、例えば、RGBの画素成分がIEC 61966−2−1に記載されているsRGB色空間におけるデータと想定し、IEC 61966−2−1に記載されている方法に従い、ガンマ変換と3行3列のマトリクス演算により、CIE1931XYZに変換する。ここで、変換後のXYZのデータをそれぞれX(x,y)、Y(x,y)、Z(x,y)とすると、Y(x,y)が抽出する輝度成分である。この輝度抽出をハードウェアで構成する場合には、例えば、ルックアップテーブルによるテーブル参照回路(ガンマ変換の部分)、マトリクス演算回路によって構成できる。
【0024】
なお、輝度成分を抽出する方法としては、前述の処理を簡略化し、マトリクス演算のみで抽出するようにしてもよい。また、RGBからYCbCrへの変換やRGBからL*a*b*への変換、RGBからHSVへの変換を用いてもよい。次に、抽出した輝度成分から比較的大きな尺度での輝度成分の分布を求める。(S103)
大きな尺度での輝度成分の分布(輝度成分の低周波成分の分布)を求めるには、例えば、従来技術1にあるように抽出した輝度成分とガウシアン関数との積和演算を行い、出力とする。(但し、従来技術1では画像データの輝度成分ではなく直接画像データのRGB各画素に対して積和演算を行うようにしている)ここで、改善された画像データの画質を向上するために、標準偏差の異なる複数のガウシアン関数との積和演算を行い、複数の尺度での輝度成分の分布を求めるようにすると、より好ましい。なお、以上説明したような大きな尺度での輝度成分の分布を求める処理を以後、スケール変換と称することとする。このスケール変換をハードウェアで構成する場合には、例えば、積和演算回路によって構成できる。
【0025】
次に、抽出した輝度成分から改善すべき輝度分布の度合いを決めるパラメータを調整する。(S104)なお、パラメータ調整は輝度分布を改善する処理と関連するので、詳細は後述する。
【0026】
次に、画像データの輝度成分とスケール変換した輝度成分の分布を用いて画像データの輝度成分の分布を改善する。(S105)
処理の一例として従来技術1に基づく方法によれば、輝度成分とスケール変換した輝度成分の分布それぞれを対数変換し、その差分を出力する。さらに、異なる尺度での差分出力の重み付き平均を改善された輝度成分とする。しかしながら、この方法では、画像に応じて改善の度合いを調整できないので、スケール変換した輝度成分の対数変換出力に係数を乗ずるようにする。この係数が改善の度合いを調整するパラメータである。以上説明した処理に基づく改善された輝度成分の出力は以下に示す(式1)のようになる。
【0027】
【外1】
【0028】
但し、Y’(x,y)、Fn(x,y)、wn、n、γはそれぞれ改善された輝度成分の出力、ガウシアン関数、尺度間の重み、尺度を表すパラメータ、改善の度合いを表すパラメータである。また、*は積和演算を表す。
【0029】
なお、尺度間の重みは尺度の標準偏差を調整することで省略可能(単純な平均に置き換わる)であること、また、(式1)のように対数変換された値を出力するよりも、逆変換(exp演算)により元の輝度単位に戻した方が、改善された画像データの画質として好ましいことが分かっている。従って、以下の(式2)に示した出力を改善された輝度成分とすることがより好ましい。
【0030】
【外2】
【0031】
但し、Avgは平均値演算を表す。
(式2)の代わりに、以下に示す(式3)としてもよい。
【0032】
【外3】
【0033】
なお、複数尺度でのスケール変換出力の平均値演算をS103のスケール変換の処理で行い、複数尺度でのスケール変換出力の平均値をスケール変換された輝度成分の分布としてもよい。
【0034】
この輝度変換をハードウェアで構成する場合には、例えば、平均値演算回路、ルックアップテーブルを作成する回路、テーブル記憶部、テーブル参照回路(ガンマ変換の部分)、除算回路によって構成できる。なお、平均値演算回路はスケール変換手段に設けてもよい。
【0035】
ここで、S104におけるパラメータ調整方法の一例をS105における(式3)で輝度変換を行う場合について説明する。
【0036】
まず、画像データの輝度成分を所定の輝度値の範囲に分けて輝度ヒストグラムを作成する。そして、暗い方から積算したヒストグラムの頻度の全サンプリングに対する割合が所定の割合になる輝度値(この輝度値をY0とする)を求める。このとき、求めた輝度値Y0が所定の輝度値(この輝度値をY1とする。但し、Y0≦Y1)になるようなγを改善の度合いを表すパラメータとする。なお、このγは、(式3)の分母の[ ]内をY(x,y)とほぼ等しいと仮定すると、以下に示す(式4)により求めることができる。
【0037】
【外4】
【0038】
なお、本実施形態では、画像データの輝度成分をもとにパラメータを自動的に調整するようにしたが、画像データのRGBの画素値をもとにパラメータを自動的に調整するようにしてもよい。また、パラメータを入力インターフェースによって変更可能とし、変更したパラメータの値にしたがって輝度分布を変換し、画像データを再構成し、改善後の画像データをディスプレイに表示するようにして、対話的に調整するようにしてもよい。
【0039】
以上の例では、従来技術1をもとに処理する画像データに応じて最適に明るさの分布の改善が行う方法について説明したが、以下の例では、従来技術2をもとに処理する画像データに応じて最適に明るさの分布の改善が行う方法について説明する。なお、上記実施形態との差異は主にS105での画像データの輝度成分の分布を改善する処理であるので、この部分を中心に説明する。
【0040】
従来技術2によれば、異なる尺度の輝度成分を用いて輝度変換後のハロの発生度合いを評価し、ハロ発生による画質の不具合がないように最適な尺度を決定し、輝度変換を行うようにしている。これに本発明を適用した場合の例を以下の(式5)に示す。
【0041】
【外5】
【0042】
但し、V(x,y)は複数のスケール変換した輝度成分から選択された輝度成分、aは輝度成分の強度を調整するパラメータ、eは輝度成分の改善の度合いを表すパラメータである。なお、輝度成分改善処理における調整方法の変更に伴い、S104での改善パラメータの調整方法も変更すべきであることはいうまでもない。
【0043】
また、従来技術2にもとづいて説明した例において、輝度成分の改善の度合いとともに画像の輝度成分そのものを調整するようにしたが、このように本発明と画像の輝度成分そのものを調整する処理と組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【0044】
また、S105の処理において、(式3)の分母の[ ]内の値として、輝度成分に対してacm Transactions on Graphics, JULY 2002, Vol.21, No.3 中の”Fast Bilateral Filtering for the Display of High−Dynamic−Range Images”と題するDurandらの報告にあるようなBilateral Filteringを適用してもよい。この場合、S103のスケール変換処理であらかじめ輝度成分にBilateral Filtering処理を行う。
【0045】
次に、改善された輝度成分とS102で変換された色成分X(x,y)、Z(x,y)とを合成し、画像データを再構成する。(S106)
画像データの再構成についての詳細アルゴリズムを図3に示す。
【0046】
まず、画像データをRGBのデータに変換する。(S61)
ここで、再構成後の画像データの色ができるだけ変化しないように、色成分を輝度成分の変更にしたがって修正する。例えば、色成分X(x,y)、Z(x,y)にそれぞれ輝度成分の変更前後の比Y’(x,y)/Y(x,y)を乗算する。そして、X、Y、ZのデータからRGBのデータを求める。ここでの処理はS102における処理の逆変換である。したがって、3行3列のマトリクス演算および逆ガンマ変換の処理を行う。なお、S102で輝度成分を抽出する方法としてRGBからYCbCr変換など別方式を用いた場合には、本処理において対応する逆変換の処理を行うべきであることはいうまでもない。
【0047】
次に、RGB画像データから、画像中の最大値を求める。(S62)
次に、求めた最大値が1を越えるかどうか判定する。(S63)
求めた最大値が1を越えない場合は、RGBデータがsRGBの範囲の画像データで表現できるので、符号化する色空間としてsRGB色空間を選択し(S64)、RGB各8ビットに量子化し、出力する。(S66)
一方、求めた最大値が1を越える場合は、RGBデータがsRGBの範囲の画像データで表現できないので、1を越えた画素値を1に置き換える方式などでRGB各8ビットに量子化すると階調とびや色調ずれの原因となる。そこで、sRGB色空間より再現範囲の広い色空間、例えばAdobeRGB色空間を符号化する色空間として選択する。(S64)
そして、S61の処理と同様に、X、Y、ZのデータからRGBのデータを求める。すなわち、3行3列のマトリクス演算および逆ガンマ変換によりsRGB色空間より再現範囲の広い色空間のRGB画像データを求める。(S65)
以上、RGBデータの最大値が1を越える場合は、より広い色空間への変換を行い、RGBデータが符号化する色空間の画像データで表現できるように変換して、RGB各8ビットに量子化し、出力する。(S66)
なお、上記の説明では、符号化する色空間の選択は所定の色空間(上の例ではsRGB)のRGB画像データに一旦変換して、その最大値をもとにより広い色空間に変換するかを選択するようにしたが、その限りではない。例えば、所定の色空間のRGB画像データに一旦変換して、その色空間の再現範囲を越える画素の数が所定の数を越える場合により広い色空間を選択するようにしてもよい。
【0048】
また、上記の説明では、色空間を2つの色空間から選択するようにしたが、3つ以上の色空間から選択してもよいことはいうまでもない。
【0049】
(実施形態2)
広い色空間に符号化を行っても色再現範囲外の画像データを含む場合がある。この場合、さらに広い色空間を選択すればよいが、色空間の色再現範囲が広すぎると再生する画像の階調性が悪くなる場合が生じる。このような場合、広い色空間の画像データに対して階調圧縮を行って色空間内に収まるようにして画像データを再生するようにすればよい。このような構成の例を図4に示す。図4で図1と同記号のものは同機能を有する構成要素である。54は圧縮パラメータ調整手段で選択された色空間におけるRGB画像データが所定の色空間に収まらない場合にRGB画像データの色域に応じて階調圧縮を行う際の圧縮パラメータを求める。55は階調圧縮手段で圧縮パラメータを用いてRGB画像データに対して階調圧縮を行い、所定の色空間の画像データとして符号化する。
【0050】
以下、階調圧縮を行う場合のS106におけるアルゴリズムを図5に基づいて説明する。但し、図3と同記号のステップは同じ動作をするステップであり、詳細の説明は省略する。
【0051】
まず、画像データをRGBのデータに変換する。(S61)
次に、RGB画像データに対し、最大値を求める。(S62)
次に、求めた最大値が1を越えるかどうか判定する。(S63)
求めた最大値が1を越えない場合は、RGBデータがsRGBの範囲の画像データで表現できるので、符号化する色空間としてsRGB色空間を選択し(S64)、RGB各8ビットに量子化し、出力する。(S66)
一方、求めた最大値が1を越える場合は、RGBデータがsRGBの範囲の画像データで表現できないので、sRGB色空間より再現範囲の広い色空間、例えばAdobeRGB色空間を符号化する色空間として選択する。(S64)
そして、S61の処理と同様に、X、Y、ZのデータからRGBのデータを求める。すなわち、3行3列のマトリクス演算および逆ガンマ変換によりsRGB色空間より再現範囲の広い色空間のRGB画像データを求める。(S65)
次に、再び広い色空間のRGB画像データに対し、最大値を求める。(S72)
次に、求めた最大値が1を越えるかどうか判定する。(S73)
求めた最大値が1を越えない場合は、RGBデータがsRGBの範囲の画像データで表現できるので、RGB各8ビットに量子化し、出力する。(S66)
一方、求めた最大値が1を越える場合は、RGBデータが広い色空間の画像データでも表現できないので、RGB画像データに対して階調圧縮を行うべく、まずは階調圧縮のパラメータを決定し(S74)、パラメータに基づいて階調圧縮を行う。(S75)
階調圧縮は、RGBデータの最大値をp(p>1)とすると、画素値pが広い色空間での最大値1になるように行う。例えば、階調圧縮前のRGBデータをそれぞれR1、G1、B1、階調圧縮後のRGBデータをそれぞれR2、G2、B2とするとき、
R2=k・R1、G2=k・G1、B2=k・B1 (式6)
にて、画像中の全RGBデータについて階調圧縮する。但し、kは階調圧縮のパラメータで、k=1/pである。但し、pが所定の値(pm>1とする)よりも大きい場合には、階調圧縮の度合いが大きくなりすぎ、画像全体が暗くなってしまうので、その場合はk=1/pmを用いて階調圧縮を行う。
【0052】
また、上記の例では階調圧縮を1次変換で行ったが、2次変換で行うようにしてもよい。例えば、RGBデータの最大値をp(p>1)とすると、画素値pが広い色空間での最大値1になるように行う。また、画素値が1の場合に所定の値、例えば、1と1/pとの平均値になるように定めると、
【外6】
【0053】
にて、画像中の全RGBデータについて階調圧縮する。但し、k2、k1は階調圧縮のパラメータで、k2=(p−1)/(2p・(p+1))、k1=(p+1)/2p−k2である。但し、pが所定の値(pm>1とする)よりも大きい場合には、階調圧縮の度合いが大きくなりすぎ、画像全体が暗くなってしまうので、その場合はk2=(pm−1)/(2pm・(pm+1))、k1=(pm+1)/2pm−k2を用いて階調圧縮を行う。
【0054】
その他、階調圧縮を以下の(式8)に示すようなγ変換による方式で行ってもよい。
【0055】
【外7】
【0056】
但し、k3、γは階調圧縮のパラメータである。
【0057】
以上、広い色空間のRGBデータの最大値が1を越える場合は、階調圧縮を行い、RGBデータが色空間の色再現範囲の画像データで表現できるように変換して、RGB各8ビットに量子化し、出力する。(S66)
なお、S72〜S75で説明した階調圧縮による階調とび、色調のずれの抑制処理はS105における輝度改善処理にも適用することができる。例えば、(式3)によって輝度変換を行った前後の輝度分布の範囲を比較してみると、輝度変換前の輝度分布の範囲は0〜1の範囲内であるのに対し、輝度変換後の輝度分布の範囲は1を越える可能性がある。このような場合、輝度分布を圧縮して0〜1の範囲に収めることでS106におけるRGB変換後の画像データにおいて前もってRGBデータが1を越える確率を抑えることができる。例えば、S105の処理と同様に、改善処理後の輝度分布の最大値を求め、最大値が1を越える場合に対して、(式6)〜(式8)に示したような同形式の方法にてパラメータを決定、輝度圧縮を行うようにすればよい。
【0058】
また、以上説明した例においては、処理する画像データとしてRGB各8ビットのデータを想定して説明したが、RGB各16ビットの画像データから最適なRGB各8ビットの画像データを再生する場合においても適用できる。
【0059】
(他の実施形態)
前述した実施の形態の機能を実現する様に各種のデバイスを動作させる様に該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに、前記実施の形態の機能を実現するためのソフトウエアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)を格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも本発明の範疇に含まれる。
【0060】
この場合、前記ソフトウエアのプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明を構成する。
【0061】
かかるプログラムコードを格納する記憶媒体としては例えばフロッピー(R)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることが出来る。
【0062】
またコンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0063】
更に供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言うまでもない。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、処理するデジタル画像の明るさの分布を改善する処理を施しても階調とびや色調のずれの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像処理システムにおける実施形態の構成を示す図。
【図2】画像処理システムにおけるアプリケーションプログラムのアルゴリズムを示す図。
【図3】画像処理システムにおける画像データ再構成のアルゴリズムを示す図。
【図4】画像処理システムにおける別の実施形態の構成を示す図。
【図5】画像処理システムにおける別の実施形態の画像データ再構成のアルゴリズムを示す図。
Claims (5)
- 画像データから輝度成分を抽出する輝度抽出手段と、
前記輝度成分の比較的大きな尺度での分布を求めるスケール変換手段と、
前記輝度成分と前記スケール変換手段の出力とを用いて前記画像データの輝度分布を改善する輝度改善手段と、
前記輝度改善手段の出力を新たな画像の輝度分布として画像データを再生する画像再生手段とを備えた画像処理装置において、
前記画像再生手段は再生する画像データの色再現範囲に応じて複数の色空間から選択的に符号化することを特徴とする画像処理装置。 - 前記画像再生手段は前記色空間に符号化した画像データの階調を圧縮して画像データを再生することを特徴とする請求項1の画像処理システム。
- 前記輝度改善手段は改善する輝度分布が所定の範囲に収まるかを判定し、改善する輝度分布が前記範囲外の輝度を含む場合には輝度圧縮を行って前記範囲内で輝度分布を改善することを特徴とする請求項1または請求項2の画像処理システム。
- 画像データから輝度成分を抽出する輝度抽出工程と、
前記輝度成分の比較的大きな尺度での分布を求めるスケール変換工程と、
前記輝度成分と前記スケール変換工程の出力とを用いて前記画像データの輝度分布を改善する輝度改善工程と、
該輝度分布が改善された画像の色再現範囲に応じて選択された色空間に、前記輝度改善工程から出力された画像データを変換する変換工程とを有することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項4記載の画像処理方法をコンピュータで実現するためのプログラム。
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2003
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