JP2005037535A - ディスプレイ装置用フィルタ及びディスプレイ装置 - Google Patents

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幸也 原口
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雅史 中丸
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Abstract

【課題】ディスプレイ装置における明暗コントラストを、フィルタの色づきを抑制しつつ向上させること。
【解決手段】発光表示デバイスを用いるディスプレイ装置において用いられるディスプレイ装置用フィルタであって、発光表示デバイスの緑色発光ピークの波長の光線透過率Y4(%)に対して、3波長域発光形蛍光管の緑色発光ピークの波長の光線透過率Y2(%)が5以上低いか、発光表示デバイスの白色発光スペクトルを使用した視感透過率Y1(%)に対して、3波長域発光形蛍光管の緑色発光ピークの波長の光線透過率Y2(%)が1以上低い透過特性を有し、その最外面に視感透過率90%以上を有する外光導入層を有することを特徴とするディスプレイ装置用フィルタ。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディスプレイ装置に用いるフィルタに関し、特に発光表示デバイスの前面に配置され、明暗コントラストを向上させるディスプレイ装置用フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスプレイ装置はテレビやパーソナルコンピュータのモニタなど、様々な分野で用いられている。ディスプレイ装置の種類は多岐に渡るが、代表的なものとしては、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置(LCD)、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置、FED(Field Emission Display)装置等を挙げることができる。
【0003】
従来、LCDやプラズマディスプレイ装置を筆頭とする平面ディスプレイは解像度や発色、コストの点でCRTディスプレイ装置に比べ不利であるとされてきたが、技術進歩及び低価格化に伴い、現在では一般的な用途では平面ディスプレイが好んで用いられるようになってきている。
【0004】
特に、大画面テレビジョン装置の分野では、発光表示デバイスの1つであるプラズマディスプレイパネル(PDP)を用いたプラズマディスプレイ装置が注目を集めており、低価格化が進むにつれてますますその需要は増加するものと思われる。
【0005】
プラズマディスプレイパネルは、一般的に、セルと呼ばれる、最小発光単位である微少領域(発光表示デバイス)を2枚の透明平板の間に多数形成し、セルに選択的に電圧を印加することで、セル内に封入されたガスをプラズマ放電させて紫外線を生成し、セル内の蛍光体を発光させて、画像を表示するものである。
【0006】
プラズマディスプレイパネルはそれ単体でカラー画像の表示が可能ではあるが、電磁波や近赤外線を発生すること、色調の補正が必要であることなどの理由で、PDPを用いたディスプレイ装置には、様々な機能を有する光学フィルタを使用することが必要である。
【0007】
この種のフィルタの機能として重要なものの1つに、外光の影響抑制がある。例えば、画像の黒い部分に対応するセルは発光させず、本来その部分は黒く見えなければならない。しかし、通常ディスプレイ装置が設置される環境には室内の照明などの環境光(外光)が存在し、この外光がディスプレイ装置表面や内部で反射して、黒が灰色のように見えてしまう。
【0008】
このような、外光による、画像表示時の白画像部分と黒画像部分のコントラスト(以下、明暗コントラストという)の低下は、特に、ディスプレイパネルに用いられている蛍光体が白色等の明るい色であるプラズマディスプレイ装置の場合、無視できない問題である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題を解決するため、出願人は、特願2002−368572において、特定の波長帯の光を吸収することで、ディスプレイ装置の輝度を低下させることなく外光による明暗コントラストの低下を抑制する外光抑制層を有するディスプレイ装置用フィルタを提案した。しかしながら、本発明者の検討によれば、このフィルタの外光抑制能力は必ずしも十分に利用されているわけではないことがわかった。すなわち、ディスプレイ装置に入射する外光は外光抑制層に到達するまでに他の層によって反射、散乱され、外光抑制層に到達する割合が減少し、外光抑制による明暗コントラスト向上効果が十分に生かし切れない場合が発生する。
【0010】
また、一般にこの種の外光抑制層は、外光の特定の波長の光を吸収することにより外光の反射を抑制している。一方、ディスプレイ装置が設置される場所には様々な光源が存在し、ディスプレイ装置に入射した外光は、フィルタ中の外光抑制層を通過した後、ディスプレイパネル等の発光表示デバイスで反射し、再度外光抑制層を通過してディスプレイ装置から出射する。従って、ディスプレイ装置の観察者の目には、外光抑制層を2度通過した光が観察される。外光抑制層通過時には特定の波長成分が吸収されるため、フィルタ自体が青紫や赤紫といった不自然な色の物体として観察されてしまう。このようなフィルタの色づきの結果、画像の黒い部分が着色したように観察されたり、ディスプレイパネルが点灯していない状態、特にディスプレイ装置の電源が入っていない状態(以後、両方の状態をまとめて未使用時という)において画面全体が着色したように観察される。
【0011】
一般に、ディスプレイ装置において観察されるフィルタの色はグレー又は黒といった無彩色が好ましいとされるため、フィルタの色づきが観察されることは望ましくない。
また、画像表示時の黒の色を引き締め、明暗コントラストを高めるには、外光抑制層に用いる外光吸収色素の濃度を高め、外光の吸収能力を増大させることが効果的である。しかし、色素濃度を高くすると、未使用時に観察される、外光抑制層に帰因するフィルタの色づきもまた強くなるという背反関係があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、発光表示デバイスを用いるディスプレイ装置のための、外光抑制層を有するフィルタにおいて、装置に入射した外光が外光抑制層へできるだけ多く到達させるようにすることにより、外光抑制機能を十分に活用して明暗コントラストを向上させるとともにフィルタの色づきが観察されにくくできることを見いだした。
【0013】
すなわち、本発明の要旨は、発光表示デバイスを用いるディスプレイ装置において用いられるディスプレイ装置用フィルタであって、発光表示デバイスの緑色発光ピークの波長の光線透過率Y4(%)に対して、3波長域発光形蛍光管の緑色発光ピークの波長の光線透過率Y2(%)が5以上低いか、発光表示デバイスの白色発光スペクトルを使用した視感透過率Y1(%)に対して、3波長域発光形蛍光管の緑色発光ピークの波長の光線透過率Y2(%)が1以上低い透過特性を有し、その最外面に視感透過率90%以上を有する外光導入層を有することを特徴とするディスプレイ装置用フィルタに存する。
【0014】
また、本発明の別の要旨は、本発明によるディスプレイ装置用フィルタを用いたディスプレイ装置に存する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好適な実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明のディスプレイ装置用フィルタは、発光表示デバイスを用いるディスプレイ装置用のフィルタである。ここで、発光表示デバイスとは、プラズマディスプレイパネルや、液晶ディスプレイパネルとバックライトの組み合わせといった、発光表示の機能を実現する最小構成、換言すればディスプレイフィルタを用いる対象となる発光表示体を意味する。また、本発明において発光表示デバイスはカラー発光表示デバイスである。また、ディスプレイ装置とは、発光表示デバイス及びディスプレイフィルタが筐体に組み込まれ、市場でテレビやディスプレイ装置として流通している完成品の形態を意味する。
【0016】
本発明のディスプレイ装置用フィルタは、発光表示デバイスの前面、すなわち発光表示デバイスから出射した光が、この発光表示デバイスを用いたディスプレイ装置から出射するまでの光路中に配置される。
【0017】
本発明のディスプレイ装置用フィルタは、例えば外光抑制機能を有するフィルタである。外光抑制機能はディスプレイ装置用フィルタを構成する層の1つの有する機能として実現され、以下、外光抑制機能を有する層を外光抑制層という。ただし、本発明においてディスプレイ装置用フィルタを構成する層は、隣り合う層と必ずしも接着されている必要はない。例えば、ある層が隣り合う層と離れて配置されているような形態や、隣り合う層と接してはいるが、接着はされていないような形態であってもよい。
【0018】
《ディスプレイ装置用フィルタ全体の特性》
本発明が対象とするディスプレイ装置用フィルタは、外光抑制層以外に、近赤外線吸収層、電磁波シールド層、第1の実施形態で説明する外光導入層など、フィルタとして必要な機能を含む構成において、設置対象とする発光表示デバイスの緑色発光ピークの波長(プラズマディスプレイパネルの場合525nmである場合が多いが、蛍光体の種類等によって異なる)の光線透過率Y4(%)に対して3波長域発光形蛍光管の緑色発光ピークの波長の光線透過率Y2(%)が5以上、好ましくは7以上、さらに好ましくは10以上低いこと、あるいは発光表示デバイスの白色発光スペクトルを使用した視感透過率Y1(%)に対して、3波長域発光形蛍光管の緑色発光ピーク波長(通常は545nm)の光線透過率Y2(%)が1以上、好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上低いことを特徴とする。
【0019】
さらには、3波長域発光形蛍光灯F10の発光スペクトル(JIS Z8719−1996)を使用した視感透過率Y3(%)が、前記視感透過率Y1(%)に対して1以上、好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上低いと、明暗コントラスト向上の効果がより多く得られる。
【0020】
但し、発光表示デバイスの輝度を大きく低下させないために、視感透過率Y1(%)は10%以上、好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であることが望ましい。視感透過率は、JIS Z8105−1982に記述された、物体を透過する光束φtと物体に入射する光束φiとの比、φt/φiであり、人の視覚系の明るさ感覚に対する相対分光応答度(分光視感効率)を考慮した上での、380nm〜780nmの波長域における透過率の平均で、これは物体の相対的な明暗を示す明度とおおむね相関するため、視感透過率をフィルタの明るさ/暗さの指標としている。
【0021】
視感透過率Y3(%)が、視感透過率Y1(%)に対して1未満低い場合、従来用いられているNDフィルタ(ニュートラル・デンシティフィルタ;可視光域での透過率が一様なフィルタで、光量を落とす目的で使用される)、或いはNDフィルタに類するフィルタと同等の効果しか得られない。
【0022】
本発明のディスプレイ装置用フィルタは、単独はもちろん透明のガラスや他の透明樹脂板等と貼り合わせた積層体として用いることができる。また、発光表示デバイス表示面へ直接貼付される部材、透明ガラスや他の透明樹脂板などと貼り合わせた積層体として設置される部材等、複数の部材の特性を組み合わせることで、本発明を実施することもできる。本発明のディスプレイ装置用フィルタを用いて、ディスプレイ装置を得るには、発光表示デバイスとして、公知のものあるいは市販品であれば特に限定なく用いることができる。
【0023】
上述の条件を満たすディスプレイ装置用フィルタの具体的な構成について更に説明する。
図2は発光表示デバイスの一例としてのプラズマディスプレイパネルの発光スペクトル14と、外光源の一例としての3波長域発光形蛍光灯F10の発光スペクトル15、及び上述の条件を満たす外光抑制層の透過スペクトル16の例を示す特性図である。
【0024】
図3は、図2に示すプラズマディスプレイパネルの発光スペクトル14と、3波長域発光形蛍光灯F10の発光スペクトル15が、透過スペクトル16を有する外光抑制層を透過した後の発光スペクトル14’及び15’を示す。プラズマディスプレイ発光に比較して外光が大きく減少していることが分かる。但し、外光については、上述のように外光抑制層を2回通過したものが実際に観察されるため、図3における外光の発光スペクトル15’は外光抑制層を2回透過させたものを示している。
【0025】
外光源として3波長域発光形蛍光灯F10、発光表示デバイスとしてプラズマディスプレイパネルという組み合わせを考えると、外光抑制層の極小透過率が530nmよりも短波長側(図2において波長530nmより左側の波長域)にあると、この波長域には外光成分が少ないため外光カットの効果が低く、また波長525nm近傍にはプラズマディスプレイパネルの緑色の発光ピーク(発光スペクトル14におけるポイントG付近)があり、この緑色発光を妨害(緑色を吸収)してしまうためコントラスト向上の効果が低くなり好ましくない。また、極小透過率が610nmよりも長波長側(図2において波長610nmより右側の波長域)であると、ディスプレイパネルの赤色の発光(発光スペクトル14におけるポイントR1、R2付近)を大きく妨害(赤色を吸収)してしまうため好ましくない。したがって、この外光源と発光表示デバイスの組み合わせにおいては、3波長域発光形蛍光灯F10との緑色発光を良く吸収し、プラズマディスプレイパネルの緑色発光を良く通過するように外光抑制層の吸収ピークを設計することとなる。
【0026】
従って、図2に示すように、波長530nm〜610nmに透過率の極小値Kを持つ外光抑制層を設計することになる。ここで「極小値」とは、例えば二次関数のグラフ等で定義されている場合と同様な意味、即ちグラフ上において減少から増加に変わる変曲点を意味し、最小値とは異なる。
【0027】
また、530nm〜610nmの波長域に極小値Kを有する外光抑制層の透過スペクトル16はシャープ(急峻)なバレー型(谷型)を有する方が、ディスプレイパネルの発光輝度確保のため好ましい。なお、プラズマディスプレイパネルは波長595nm近傍に強い発光があるため、530nm〜610nmの部分をカットするとこの波長域のプラズマディスプレイパネルの発光も弱まり明暗コントラストが低下するものの、この595nmの発光はセルに封入されたNeガスの発光によるものであり、本来不要な成分である。そのため、530nm〜610nmの波長域の発光成分をカットするように設計することは好ましい。
【0028】
具体的には、530nm〜610nmの波長域に最大吸収を有する化合物であって、この化合物が下記一般式(I)で表されるジフェニルスクアリリウム系化合物、下記一般式(II)で表されるテトラアザポルフィリン系化合物、フェニルピラゾリル系スクアリリウム系化合物(III)、ピロメテン系化合物(IV)の少なくとも1つ、好ましくは下記一般式(I)で表されるジフェニルスクアリリウム系化合物及び/又は下記一般式(II)で表されるテトラアザポルフィリン系化合物を用いて形成した光学機能フィルムである。
【0029】
Figure 2005037535
【0030】
〔式(I)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していてもよいアリオールオキシ基、又はハロゲン原子を示す。ここで、隣接するRが一緒になって、アルカンジイル基やアルキレンジオキシ基を形成していても良い。
は、水素原子、又は1価の置換基を示し、Gは、−NR−で表される基(ここで、Rは、水素原子、又はアルキル基を示す。)、又は酸素原子を示し、Gは、カルボニル基、又はスルホニル基を示す(ここで、Gがスルホルニ基の場合には、Rは水素原子ではない。)。
m、n及びpは0以上の整数であり、m+n+pは5以下である。
【0031】
ただし、ベンゼン環上のこれらの置換基は、他方のベンゼン環との間で互いに異なっていてもよく、また、一方のベンゼン環において、m及びnが2以上であるとき、R、及びG−G−Rで表される基は、同一環内の他の置換基との間で互いに異なっていてもよい。〕
【0032】
Figure 2005037535
【0033】
〔式(II)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いシクロアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、又は置換基を有していても良いアリールチオ基を表し、RとR、RとR、RとR、RとRは各々連結して非芳香環を形成しても良く、Mは、2個の水素原子、2価の金属原子、3価の1置換金属原子、4価の2置換金属原子、又はオキシ金属原子を表わす。〕
【0034】
Figure 2005037535
【0035】
〔式(III)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示し、置換基Aは水酸基、又はW−X−R(Wはイミノ基を示し、Xはカルボニル基、又はスルホニル基を示し、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基を示し、mは0又は1を示し、R,Rは置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、Zは酸素原子を示す。)を示す。〕
【0036】
Figure 2005037535
【0037】
〔式(IV)中、R〜R、R〜R11は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲノアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基、炭素数3〜20のジアルキルアミノカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数7〜20のフェニルカルボニルアミノ基、炭素数7〜20のフェニルアミノカルボニル基、炭素数7〜20のフェノキシカルボニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数6〜20のフェニルチオ基、炭素数3〜20のアルケニルオキシカルボニル基、炭素数8〜20のアラルキルオキシカルボニル基、炭素数4〜20のアルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、炭素数4〜20のアルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のモノ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基、炭素数3〜20のジ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基、炭素数3〜20のモノ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基又は炭素数5〜20のジ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基を表し、RとR及び/又はR10とR11は、それぞれ互いに結合してピロール環に縮合する芳香環を形成してもよく、又これらによって形成される縮合芳香環は、それぞれ同一であっても異なるものであってもよく、式(V)
【0038】
Figure 2005037535
【0039】
(式(V)中、R〜R11は、前記と同意義を表わす。)を表わし、Mは遷移金属を表わす。〕
【0040】
このような化合物を用いた外光抑制用フィルムは、上記化合物を個別に、あるいは混合して周知の方法でフィルムやシート状に形成することにより実現することが可能である。
【0041】
上述したような全体特性を有する本発明のディスプレイ装置用フィルタにおいて、外光抑制層の機能を十分生かした明暗コントラストの向上効果と、未使用時のフィルタの色づき抑制を両立させるための実施形態について以下に説明する。
【0042】
■(第1の実施形態)
ディスプレイ装置用フィルタに入射した外光が外光抑制層へできるだけ多く伝達するようにするための一実施形態として、ディスプレイ装置用フィルタの最外層に外光導入層を設ける構成について説明する。
【0043】
《外光導入層の構成》
本発明の第1の実施形態に係るディスプレイ装置用フィルタにおいて用いる、入射した外光を外光抑制層へできるだけ多く導くような層(外光導入層)としては、入射した外光を反射、散乱することなく透過させる層であることが好ましい。具体的には、本実施形態に係る外光導入層は、JIS Z8105−1982による視感透過率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
【0044】
このような外光導入層は、例えば視感透過率の高い材質を透明バインダー樹脂に分散もしくは混合させてフィルム状やシート状に形成したり、透明基板に塗膜として形成したり、蒸着等によって透明基板上に直接設けたり、基板上にフィルム状のものを貼り付けたりするなど、様々な方法によって形成することができる。ただし、外光導入層の厚みは人間の目が最も敏感に感じる550nmの1/4波長である137.5nm程度とするのが好ましいため、このような薄膜を生成可能な方法によって形成することが好ましい。
【0045】
フィルタに入射する外光をできるだけ内部に導入することが望ましいため、外光導入層はフィルタの最外面に設けることが必要である。また、外光導入層は、隣接する層(外光導入層の基材を含む)よりも屈折率が低い必要があり、その差が好ましくは0.06以上、さらに好ましくは0.10以上である。視感透過率及び上述の条件を満たせば、外光導入層の材質、組成に特に制限はない。
【0046】
図1は、本実施形態に係るディスプレイ装置用フィルタを適用したディスプレイ装置の一例としてのプラズマディスプレイ装置の、光学部材の配置例を示す図である。
【0047】
図において、プラズマディスプレイ装置は、例えば3波長域発光型蛍光灯などの外光源20が存在する側(最外面側)から、外光導入層1、ガラス板3、電磁シールド層4、近赤外線吸収層7、外光抑制層11及びプラズマディスプレイパネル12を有する。プラズマディスプレイパネル12を除く各部材は図示しない接着層によって接着され、ディスプレイ装置用フィルタ100を構成している。図において、フィルタ100とプラズマディスプレイパネル12とは所定の空間をおいて配置されている。
【0048】
ディスプレイ装置用フィルタ100の構成について更に説明する。ガラス板3は例えば強化ガラスからなり、主にディスプレイ装置の外観を整えるとともに、フィルタ100の基材としても機能する。電磁波シールド層4は、例えばPETシート等の基材上に金属薄膜を設け、この金属薄膜をエッチングする等の方法によって導電性のメッシュを形成したものや、基材上にスパッタリング等によって導電薄膜を形成したものであり、図示しないアースに接続されて、プラズマディスプレイパネル12から放出される電磁波をシールドしている。
【0049】
電磁波シールド層4には、図示しない粘着剤層を介して近赤外線吸収層7が設けられる。近赤外線吸収層7は、例えばPETシート等の透明基材の一面又は両面に近赤外線吸収機能を有するフィルムが貼り付けられた構成を有し、プラズマディスプレイパネル12から放出される近赤外線をカットする。外光抑制層11は、上述した透過特性を有し、外光源20の特定波長域の光線を吸収することで、外光がディスプレイパネル12に到達すること及び、到達した光がディスプレイ装置外へ戻ることの両方を抑制し、外光による明暗コントラストの悪化を抑制する。外光抑制層11は、近赤外線吸収層7と同様、例えばPETからなる透明シート上に上述の透過特性を有する外光抑制機能フィルムを貼り付けた構成を有する。また、外光抑制層11は、上述した530nm〜610nmの波長域に最大吸収を有する化合物を含有する。なお、図1に示した以外の、色調補正層等がディスプレイ装置用フィルタ100に含まれていても良い。
【0050】
このように、本実施形態の構成によれば、ディスプレイ装置用フィルタの最外面に、視感透過率が90%以上の外光導入層を設けることにより、ディスプレイ装置に入射した外光のうち、外光抑制層に到達する割合が増加し、外光抑制層がフィルタの最外面から離れた位置に設けられていても、その性能を十分生かすことが可能になり、明暗コントラストが向上する。また、外光抑制層に用いる色素の量を増加しなくても十分な明暗コントラストが得られるため、未使用時のフィルタの色づきが観察されにくくなる。さらに、外光抑制層が無い場合にはディスプレイ装置用フィルタの最外面(図1の構成ではガラス3の表面)で反射されていた外光が反射されにくくなるため、さらに明暗コントラストを向上することが可能になる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
■(実施例)
・外光導入層の形成
ハードコート処理がなされたポリアクリルフィルム(厚さ100μm、屈折率1.49)を真空蒸着装置にセットし、真空室内を約8Torrまで排気した後、酸素ガスを約5Torrになるまで導入した。次いで、フッ化マグネシウム(屈折率1.38)を電子ビーム蒸発源を用いて蒸発させ、フィルム上に厚さ約140nm蒸着して、外光導入層1(図1)とした。この外光導入層について、島津社製分光光度計UV3100PCを用い、3波長域発光形蛍光管F10の発光スペクトル(JIS Z8719−1996)を使用して、JIS Z8722−2000による計算方法によって視感透過率(定義JIS Z8105−1982)を求めたところ、95.6%であった。
【0052】
・外光抑制層の形成
基材としてのポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡績社製PETフィルム「A7300」、厚み125μm、ヘイズ値(JIS K7105による測定値)0.4%)に、ポリメチルメタクリレート樹脂(ダイヤナールBR−80;三菱レーヨン社製)30wt%トルエン溶液に上述の一般式(I)で表されるジフェニルスクアリリウム系化合物である以下の組成を有する化合物Aを0.37wt%/樹脂分、と化合物Bを0.26wt%/樹脂分、PYL3G(三菱化学社製)0.80wt%/樹脂分、DME、トルエンを混合溶解し、NO.30バーコーター(太祐機材社製)で塗工し、乾燥し、膜厚4.5μmのコーティング膜を有する外光抑制層11を得た。
この外光抑制層の透過スペクトル16は図2に示すように、約575nmに極小値Kを有していた。
【0053】
(化合物A)
Figure 2005037535
【0054】
(化合物B)
Figure 2005037535
【0055】
・近赤外線吸収層の形成
基材としてのポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡績社製PETフィルム「A7300」、厚み125μm、ヘイズ値(JIS K7105による測定値)0.4%)に、ポリメチルメタクリレート樹脂(ダイヤナールBR−80;三菱レイヨン社製)30wt%トルエン溶液にジイモニウム系近近赤外線吸収色素(N,N,N’,N’,−テトラキス(p−ジブルチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウムの六フッ化アンチモン酸塩)7.6%/樹脂分、トルエン、MEKを混合溶解して、N0.30バーコーター(太祐機材社製)で塗工し、乾燥して近赤外線吸収膜を設ける。
【0056】
次いで、基材フィルムの裏面に、ポリメチルメタクリレート樹脂(ダイヤナール BR−80;三菱レイヨン社製)30wt%トルエン溶液にジチオールニッケル錯体近近赤外線吸収色素{ビス−2,2’−[1,2−ジ(3−クロロフェニル)エチレンジイミン]ベンゼンチオラート}ニッケル(II)9.2wt%/樹脂分、トルエン、THFを混合溶解して同様にコーティングし、両面に近赤外線吸収膜を有する近赤外線吸収層7を形成した。
【0057】
・ディスプレイ装置用フィルタの形成
近赤外線吸収層の一方の面に外光抑制層を貼り合わせた。また、近赤外線吸収層の残りの面には、電磁波シールドメッシュ(線幅12μm、線ピッチ300μm、開口率約92%)及びガラス板を貼り合わせた。最後に、ガラス板3の外光入射面に上述した外光導入層を貼り付け、ディスプレイ装置用フィルタを形成した。
【0058】
そして、このディスプレイ装置用フィルタを日立製作所社製プラズマディスプレイパネル(W32−PD2100)の前に配置したディスプレイ装置を構成した。この構成は図1に示す構成と等しい。
【0059】
・評価
このフィルタの、3波長域発光形蛍光管の緑色発光のピーク(545nm)における光線透過率Y2(%)及びディスプレイの緑色発光ピークの波長(525nm)における光線透過率Y4(%)、プラズマディスプレイの白色発光スペクトルを使用した視感透過率Y1(%)、3波長域発光形蛍光灯F10の発光スペクトルを使用した視感透過率Y3(%)を評価した。
その結果、Y1=40.7、Y2=36.6、Y3=38.8、Y4=51.8であり、
Y4−Y2=15.2 (>5)
Y1−Y2=4.1 (>1)
Y1−Y3=1.9 (>1)
であった。
【0060】
このようにして構成したディスプレイ装置をJIS Z8719−1996で規定される発光スペクトルを有するF10型3波長域発光形蛍光管を外光源として点灯させた室内に設置し、画面中央部に白色を、残りを黒色を表示させた状態での明暗コントラストと、また電源断状態におけるフィルタの色をそれぞれ目視で評価した。
【0061】
■(比較例)
外光導入層を使用しない以外は実施例と同様にしてディスプレイ装置を構成し、評価を行った。
このフィルタについて、実施例と同様にY1〜Y4を測定したところ、Y1=40.5、Y2=36.5、Y3=38.6、Y4=51.7であり、
Y4−Y2=15.2 (>5)
Y1−Y2=4.0 (>1)
Y1−Y3=1.9 (>1)
であった。評価を実施例と同様にして行った。
【0062】
(評価結果)
外光導入層を用いた実施例は、用いない比較例と比較して、明暗コントラストが向上していることが認められた。また、未使用時においても、外光導入層を使用した場合には使用しない場合に比べてフィルタの色はより暗く、また引き締まったように感じられた。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、外光抑制フィルタを用いるディスプレイ装置の使用時及び未使用時のコントラストを向上させることが可能になるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るディスプレイ装置用フィルタ及びそれを用いたディスプレイ装置の構成例を示す図である。
【図2】プラズマディスプレイパネルの発光スペクトル及び3波長域発光形蛍光灯F10の発光スペクトル、並びに本発明の実施形態に係るディスプレイ装置用フィルタの透過スペクトルを示す特性図である。
【図3】図2に示す特性を有するディスプレイ装置用フィルタを透過した後のプラズマディスプレイの発光スペクトル及び3波長域発光形蛍光灯F10の発光スペクトルを示す特性図である。

Claims (5)

  1. 発光表示デバイスを用いるディスプレイ装置において用いられるディスプレイ装置用フィルタであって、
    前記発光表示デバイスの緑色発光ピークの波長の光線透過率Y4(%)に対して、3波長域発光形蛍光管の緑色発光ピークの波長の光線透過率Y2(%)が5以上低いか、前記発光表示デバイスの白色発光スペクトルを使用した視感透過率Y1(%)に対して、3波長域発光形蛍光管の緑色発光ピークの波長の光線透過率Y2(%)が1以上低い透過特性を有し、
    その最外面に視感透過率90%以上を有する外光導入層を有することを特徴とするディスプレイ装置用フィルタ。
  2. 前記外光導入層が最外面に設けられることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ装置用フィルタ。
  3. 導電性材料の薄膜から構成される電磁波シールド層がさらに設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のディスプレイ装置用フィルタ。
  4. さらに、3波長域発光形蛍光灯F10の発光スペクトル(JIS Z8719−1996)を使用した視感透過率Y3(%)が、前記視感透過率Y1(%)に対して1以上低いことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のディスプレイ装置用フィルタ。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のディスプレイ装置用フィルタを用いたディスプレイ装置。
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