JP2005036857A - シール部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】汎用性を有しつつ、容易かつ確実に、連結される部材の間をシールすることが可能なシール部材を提供する。
【解決手段】ハウジング部を有する第1の部材と、このハウジング部に収容される軸部と軸部に連続するフランジ部を有し軸部をハウジング部内に収容させて第1の部材に連結される第2の部材との間のハウジング部とフランジ部との間の対向面間にシール部材25が保持される。シール部材25は、ハウジング部とフランジ部との対向する被シール面間に挟まれて、この被シール面間をシール面SSによってシールする平板状の第1のシール部251と、第1のシール部251から連続して設けられ、フランジ部および軸部の境界とハウジング部との間に形成される装着溝に装着されて装着溝の被シール面間をシールする第2のシール部351とを有する。
【選択図】 図2
【解決手段】ハウジング部を有する第1の部材と、このハウジング部に収容される軸部と軸部に連続するフランジ部を有し軸部をハウジング部内に収容させて第1の部材に連結される第2の部材との間のハウジング部とフランジ部との間の対向面間にシール部材25が保持される。シール部材25は、ハウジング部とフランジ部との対向する被シール面間に挟まれて、この被シール面間をシール面SSによってシールする平板状の第1のシール部251と、第1のシール部251から連続して設けられ、フランジ部および軸部の境界とハウジング部との間に形成される装着溝に装着されて装着溝の被シール面間をシールする第2のシール部351とを有する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連結される部材からのガスの漏れを防止するためのシール部材に関する。
特定的には、本発明は、連結される部材に挟まれるように平板状に形成してガス透過面積を小さくしたシール部と、連結される部材の隙間に入り込むように変形してシールするシール部の2つのシール部を有するシール部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業の様々な分野において、ガスが流れる配管を接続する必要が生じる場合がある。
配管には大気圧とほぼ同程度の圧力のガスが流れるとは限らず、大気圧よりも高い圧力のガス(これを高圧ガスという)が流れる場合がある。
配管内を高圧ガスが流れる場合には、配管の接続部から高圧ガスが漏れる可能性が高くなる。
【0003】
高圧ガスを流す配管の接続におけるシールには、従来Оリングを用いていた。ゴム材料を用いたОリングからのガスの漏れ量は、ガス放出側におけるОリングの露出面積と、Оリングにおけるガスの受圧面からガス放出側の露出面までの距離と、ガス透過係数と呼ばれる、Оリングごとのガス透過特性を示す係数とによって見積もられることが知られている。
同一材料のОリングを使用してガスの漏れ量を減少させるためには、ガス放出側の露出面積を減少させるか、受圧面からガス放出側の露出面までのガス透過距離を長くすればよい。
【0004】
ガス透過距離を長くするために、Оリングの線径(断面の直径のこと)を大きくする手法や、複数個のОリングを用いる手法が知られている。
また、配管の接続部に取り付けたОリングを、ガスの圧力によって変形させて、接続部の隙間につぶし込んでガス透過距離を確保する手法も知られている。
さらに、たとえば特許文献1には、ポリアミド樹脂により、断面形状をU字状やY字状に形成してガス透過係数を小さくしたパッキンが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−208201号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にはそれぞれ不利益が存在した。
Оリングの線径を大きくする手法に関しては、Оリングを装着するための溝の大きさや形成位置に制限が存在する場合があり、Оリングの線径をある程度以上大きくすることは困難である。
また、線径の大きなОリングを用いることは、接続部をコンパクトにするためには不都合である。
【0007】
Оリングを複数個用いる場合には、装着のための溝の加工費用の増大を招く。また、Оリング装着のための工程も増加する。
【0008】
ガス圧力によりОリングを変形させて接続部の隙間につぶし込む手法においては、ガスの圧力変動が生じる場合にガス透過距離を確保することが困難である。
また、隙間に入り込んだОリングの圧力変形部に、圧力変動による摩耗(フレッチング摩耗)や破損が生じる可能性もある。
さらに、圧力変形部は、隙間の間においてある程度つぶれていなければ、圧力変形部が接触している面の粗さに起因してガス漏れが発生するが、Оリングのゴム材料は経時的にクリープしてつぶし率が減少するために、長期使用におけるシール性の確保が困難であった。
【0009】
特殊な材質や断面形状を有する特殊なパッキンを用いる場合には、特殊なパッキンを用意するためのコスト上昇や、汎用性に欠けるという不利益がある。
【0010】
さらに、Оリングには、ゴムにより形成されているために変形が生じ、接続部への装着が困難であるという不都合が存在する。
前述のように線径を大きくすると変形も大きくなり、装着はより困難になる。
【0011】
本発明の目的は、汎用性を有しつつ、容易かつ確実に、連結される部材の間をシールすることが可能なシール部材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシール部材は、ハウジング部を有する第1の部材と、フランジ部と当該フランジ部から連続して形成されている軸部とを有し当該軸部が前記ハウジング部に収容されて前記第1の部材に連結される第2の部材との間の前記ハウジング部と前記フランジ部との対向面間に保持されるシール部材であって、前記ハウジング部と前記フランジ部との間の対向する被シール面間に挟まれて、当該被シール面間をシールする平板状の第1のシール部と、前記第1のシール部から連続して設けられ、前記フランジ部および前記軸部間の境界と前記ハウジング部との間に形成される装着溝に装着されて当該装着溝の被シール面間をシールする第2のシール部とを有するシール部材である。
【0013】
本発明においては、第1の部材のハウジング部に、フランジ部とこのフランジ部から連続して形成されている軸部とを有する第2の部材の軸部を収容することにより、第1の部材と第2の部材とが連結され、ハウジング部とフランジ部との対向面間に本発明に係るシール部材が保持される。その結果、ハウジング部とフランジ部との間の対向する被シール面の間に、シール部材の平板状の第1のシール部が挟まれ、第1のシール部材のシール面とハウジング部およびフランジ部の被シール面とが密着する。これにより、ハウジング部およびフランジ部の被シール面は、シール対象の媒体が透過する面積を小さく、かつ、媒体が透過する距離を長くすることを可能とした第1のシール部によってシールされる。
また、第1の部材と第2の部材との連結により、第1のシール部から連続して設けられる第2のシール部が、フランジ部および軸部間の境界とハウジング部との間に形成される装着溝に装着される。これにより、第2のシール部のシール面が、第1および第2の部材の装着溝の部分の被シール面に接触して押圧され、第2のシール部の、シール対象の媒体の透過面積が小さくなった状態で、装着溝部分の被シール面間がシールされる。
したがって、本発明に係るシール部材を装着して第1および第2の部材を連結すれば、第1および第2の部材のハウジング部およびフランジ部は、シール対象の媒体が漏れにくい状態で、第1のシール部と第2のシール部との2つのシール部によりシールされる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して述べる。
なお、以下では、圧力が大気圧よりも高い高圧ガスが流れる配管を接続するための部材間をシールする場合を一例として挙げる。しかしながら、本発明は配管の接続のための部材のシール以外にも適用可能である。
【0015】
第1実施形態
図1が、本発明に係るシール部材の第1実施形態を用いた接続部を示す断面図である。
図1に示す接続部1は、第1の部材107と、第2の部材109と、リングシール付ガスケット25とを有している。
リングシール付ガスケット25は、第1のシール部251と、第2のシール部351とを有している。
リングシール付ガスケット25が、本発明に係るシール部材の第1実施形態に相当する。
【0016】
部材107の内部には高圧ガスの流路107aが形成されている。また、部材109の内部にも高圧ガスの流路109aが形成されている。
【0017】
図1に示すように、第2の部材109はフランジ部129を有している。フランジ部129は、平面状のフランジ面AS2を有している。そして、フランジ部129から連続して、フランジ面AS2に直交するように、軸部119が設けられている。
【0018】
第1の部材107には、第1の部材107と第2の部材109とを連結する際に軸部119を収容するハウジング部117が設けられている。
ハウジング部117の先端は、部材107と部材109とを連結したときに、部材109のフランジ面AS2に対向する、平面状のフランジ面AS1となっている。
また、ハウジング部117の先端のフランジ面AS1は、部材107,109を連結したときに、リングシール付ガスケット25の第2のシール部351が装着される装着溝120が形成されるように面取りされている。
【0019】
部材107と部材109とを接続する場合には、詳しくは後述するが、リングシール付ガスケット25の平板状の第1のシール部251を軸部119に通してフランジ面AS2に装着する。そして、軸部119をハウジング部117に収容するように部材109と部材107とを組立てて、たとえば、部材107と部材109と第1のシール部251とを貫通する図示しないボルトで部材109および部材107を締結する。
これにより、フランジ面AS1とフランジ面AS2とによって平板状のシール部251を挟んで保持した状態で、部材107と部材109とが互いに連結される。
【0020】
部材107と部材109とが連結されたときに、流路107aおよび109aを高圧ガスが流れる。
たとえば、高圧ガスは、部材107側から部材109側に向かって流れるものとする。
また、高圧ガスの圧力は、たとえば、15MPa程度であるとする。
部材107,109は、15MPaに加圧された高圧ガスを流した場合にも、この高圧ガスが透過しない材料によって形成する。
【0021】
図2(a)が、リングシール付ガスケット25の部分平面図であり、図2(b)がその断面図である。
図2(a),(b)に示すように、リングシール付ガスケット25は、第1のシール部251と、第2のシール部351とを有している。
第1のシール部251は、たとえば、軸部119を通すための開口部51aを備えるリング状の支持部材51の両面に、ゴム材料製のシール膜151を被覆したガスケットである。
また、第2のシール部351は、たとえば、図2(b)に示すように断面が半円状の、ゴム材料製のリング状部材である。
【0022】
支持部材51は、好適には金属によって形成する。
さらに好適には、支持部材51は、磁石によって保持可能な磁性体金属によって形成する。
ゴム材料製のシール膜151は、支持部材51の両面に、たとえば加硫接着によって焼き付けて被覆する。市場で入手可能な、ゴム材料と金属材料を接着可能な接着剤によってシール膜151と支持部材51とを接着してもよい。
【0023】
さらに、シール膜151の表面に、第2のシール部351が、たとえば加硫接着や接着剤による接着によって固定される。これにより、支持部材51によって第2のシール部351が支持される。
本実施形態においては、リング状の支持部材51の円形開口部51aの内径と同じ内径を有するリング状の第2のシール部が、円形開口部51aと同軸に、支持部材51上のシール膜151に固定されている。
第2のシール部351以外のシール膜151の領域が、第1のシール部251における、部材107,109のフランジ面AS1,AS2間をシールするシール面SSとなる。
【0024】
シール膜151および第2のシール部351に用いるゴム材料としては、たとえば、フッ素ゴム、パーフロロゴム、水素化ニトリルゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴムを用いることができる。
シール膜151および第2のシール部351は、必ずしも同じ材料によって形成する必要はなく、シール対象であるガスの種類や圧力、接続部の環境等のシール条件によって、異なるゴム材料を適宜選択することができる。
【0025】
支持部材51は必ずしも金属である必要はなく、樹脂材料を用いて形成してもよい。
支持部材51に使用可能な樹脂材料の一例として、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニールフロライド樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、PEEK樹脂、PPS樹脂、LCP樹脂、ポリイミド樹脂を用いることができる。
これらの樹脂材料は、ガスがほとんど透過しない性質を有している。
ある程度の力で弾性変形する樹脂材料を用いた場合には、シール膜151を被覆することなく、部材107,109のフランジ面AS1,AS2間をシールすることができる。
また、支持部材51はリング状である必要はなく、支持部材51の平面形状は、矩形や多角形等の形状でもよい。
【0026】
上述のリングシール付ガスケット25は、部材107,109の連結時に、開口部51aを部材109の軸部119に嵌合させて、部材109のフランジ部129に装着される。
図3は、リングシール付ガスケット25を部材107および部材109に装着させたときの状態を示す、図1の部分拡大図である。ただし、図3において、部材107は、図示の明確さのためにハッチングを省略している。
部材109と部材107とがたとえばボルトにより締結されると、リングシール付ガスケット25の第1のシール部251のシール面SSが、第1の部材107のフランジ面AS1および第2の部材109のフランジ面AS2に接触して密着する。部材107と部材109との締結時には、フランジ面AS1,AS2が被シール面となり、被シール面AS1およびAS2と第1のシール部251のシール面SSとが密着することにより、被シール面AS1,AS2間がシールされる。
【0027】
部材107,109の締結時に、リング状の第2のシール部351は、装着溝120に装着される。
本実施形態においては、たとえば、装着溝120は第2のシール部351を収容する断面三角形状に形成される。
断面三角形状の装着溝120の場合には、ハウジング部117の面取り面が、装着溝120における部材107側の被シール面AS3となる。また、部材109の軸部119の側面が、装着溝120における部材109側の被シール面になる。
なお、装着溝120の断面形状は、矩形等の他の形状でもよい。
【0028】
部材107と部材109との連結によって、第2のシール部351は被シール面AS3により押圧される。その結果、第2のシール部351は、図3に破線で示す装着前の状態から、実線で示す装着後の状態に弾性変形する。これにより、部材107の被シール面AS3と、部材109の軸部119の側面の被シール面との間が、第2のシール部351によってシールされる。
【0029】
部材107と部材109とを連結し、第2のシール部351が装着溝120に装着された状態において、部材107側から部材109側に向かって、高圧ガスを流すと、第2のシール部351は、高圧側HSと低圧側LSとの間の圧力差を受ける。高圧側HSは、ガスを加圧して流す場合の加圧側に相当し、低圧側LSは、非加圧側に相当する。
第2のシール部351が溝120により押圧され、かつ、高圧側HSから低圧側LSへの圧力差を受けることにより、第2のシール部351は、第1のシール部251と被シール面AS3との間が狭まるように弾性変形する。この結果、低圧側LSにおける第2のシール部351のガス透過面積が限りなく小さくなる。
【0030】
また、部材107,109の間に平板状の第1のシール部251を挟んでシールすることにより、低圧側LSにおける第1のシール部251のガス透過面積が小さくなる。さらに、高圧ガスが第1のシール部251の内部を透過して部材107,109の内部の高圧側HSから外部の低圧側LSに至るまでのガス透過距離が長くなる。
ガス透過面積が小さくなり、透過距離が長くなれば、前述のように、ガス漏れ量は減少する。
【0031】
以上のように、第1のシール部251と第2のシール部351とを有するガスケット25を用いることによって、低圧側LSにおけるガス透過面積を限りなく小さく、かつ、ガス透過距離を長くすることができる。その結果、低圧側LSへの高圧ガスの漏れをほとんどゼロにすることができる。
【0032】
その際に、支持部材51を備えるリングシール付ガスケット25を用いることにより、取り扱い性が向上し、フランジ部129へのリングシール付ガスケット25の装着が容易になる。支持部材51が軸部119に対するガイドとなり、ガスケット25のフランジ部129への装着において、ゴム材料製の第2のシール部351が変形しにくくなる。また、第2のシール部351が変形したとしても、第1のシール部251がフランジ部129へ正しく装着されれば、第2のシール部351も自動的に正しい位置へ装着される。この結果、ゴム材料製の第2のシール部351の変形によるシール性の低下を防止することができる。軸部119が大径化し、第2のシール部351の内径が大きくなったときにも、本実施形態によれば、ゴム材料製の第2のシール部351の変形を抑制し、正しく装着することができる。
変形を防止してリングシール付ガスケット25のフランジ部129への装着を容易にする点からは、支持部材51として、ある程度の強度を有する金属を用いることが好ましい。
また、支持部材51に磁性体金属を用いれば、リングシール付ガスケット25をたとえば磁石により簡単に保持することができるため、リングシール付ガスケット25のフランジ部129への装着の自動化を図ることもできる。
【0033】
第1のシール部251はガスケット状であり、第2のシール部351としてはたとえば半分に割ったОリングを用いることができるため、製造が容易であり、汎用性も高い。
さらに、シール膜151および第2のシール部351の材料を適宜選択することによって、用途に合わせた多様な機能をリングシール付ガスケット25に持たせることができる。
詳細には、一例として、シール対象であるガスにオイルが含まれる場合や極度に耐寒性が要求される環境において、シール膜151および第2のシール部351の材料として耐油性や耐寒性に優れた材料を用いることにより、さらにシール性を向上させることができる。
【0034】
第2実施形態
図4(a)が、本発明に係るシール部材の第2実施形態の部分平面図であり、図4(b)がその断面図である。
図4(a),(b)に示すリングシール付ガスケット35は、第1実施形態に係るリングシール付ガスケット25よりもシール性を高めるためのものであり、第2のシール部451の断面形状が、断面三角形状の装着溝120に合わせて三角形状になっている点が、第1実施形態と異なっている。その他の点は第1実施形態と同じであるため詳細な記述は省略する。
【0035】
断面三角形状の装着溝120に合わせて第2のシール部451の断面形状を三角形状にすることによって、被シール面AS3に第2のシール部451が密着し易くなり、また、ガス透過距離も長くなる。さらに、第1のシール部251と被シール面AS3との間が埋まり易くなる。
したがって、低圧側LSにおけるガス漏れ量を、第1実施形態よりもさらに減少させることができる。
なお、本第2実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、取り扱い性の向上、多機能性の実現という効果を得ることができる。
【0036】
以下に、本発明に係るリングシール付ガスケットを用いてガス漏れ量を測定した際の実験結果について述べる。
図5が、実験条件について述べるための断面図である。図5に示す断面図は、基本的には、図1に示す断面図と同じである。そのため、同一構成要素には同一符号を付し、詳細な記述は省略する。
【0037】
図5に示す部材109の各部の寸法は、たとえば、軸部119の外径の大きさL1を9mm、フランジ部129の幅の大きさL2を3mmとした。
リングシール付ガスケットとしては、図2に示すリングシール付ガスケット25を用い、断面半円状の第2のシール部351の直径の大きさL3を1mmとした。したがって、部材107の被シール面AS3も、部材107と部材109とを連結したときに、部材109の軸部119から1mmの範囲まで存在するように形成されている。
リングシール付ガスケット25の支持部材51の厚さは0.1mmとし、この支持部材51の両面に、厚さ0.05mmのゴムを接着して被覆した。
【0038】
また、被シール面AS1と被シール面AS2との間の隙間の大きさL4は、部材107と部材109とを接続しただけであり、ボルト等の締結手段により締結しない状態において、L4=1.5mmとなるようにした。
さらに、部材109の軸部119と、部材107のハウジング部117との間の隙間L5の大きさは、0.05mmにした。
上記の部材107と部材109とリングシール付ガスケット25とを、部材107,109の被シール面AS1〜AS3に、第2のシール部351および第1のシール部251のシール面SSが十分に密着するように連結した。
【0039】
以上の条件のもとで、各種高圧ガスを、圧力5MPa下で部材107の流路107a側から部材109の流路109a側へ流し、1日(24時間)あたりの高圧ガス漏れ量を、容積法により計測した。
なお、リングシール付ガスケット25のシール膜151および第2のシール部351の材料としては、40℃雰囲気、圧力5MPaのもとで、水素ガス透過係数が2.26×10−11(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))、70℃雰囲気、圧力0.5MPaのもとで、フレオンR134aガス透過係数が1.15×10−12(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))のゴム材料を用いた。ここで、記号STPは、標準状態(温度0°、1atm)を表わしている。
また、リングシール付ガスケット25を装着した場合には、図5に示すОリングORは装着しなかった。
このときの、低圧側LSへの水素ガスの漏れ量は、1日あたり0.76cm3、フレオンR134aガスの漏れ量は、1日あたり0.36cm3であった。
【0040】
比較として、本発明に係るリングシール付ガスケット25の代わりに、一般的なОリングORのみを図5に示すように軸部119に設けた溝119Gに装着し、上述と同じ圧力5MPaにおいて水素ガスおよびフレオン134aガスの漏れ量を計測した結果、1日あたりの漏れ量はそれぞれ5.0cm3、0.24cm3であった。
これら2つの計測結果から、本発明に係るリングシール付ガスケット25を用いた方が、ガス漏れ量が大幅に少なく、シール効果が高いことが分かる。
なお、図5に示すように、本発明に係るリングシール付ガスケット25とОリングORとを併用すれば、シール効果は更に向上する。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、上記実施の形態における形状、材質や各種数値等の記載は本発明を説明するための一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されない。
たとえば、本発明は、第1のシール部251や第2のシール部351の材料を適宜選択することにより、様々なガスのシールに用いることができる。
また、配管の接続部分だけでなく、ガスが封入される容器とその蓋のような配管以外の部材のシールに本発明を適用することも可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、汎用性を有しつつ、容易かつ確実に、連結される部材の間をシールすることが可能なシール部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシール部材の第1実施形態を用いた接続部を示す断面図である。
【図2】(a)は図1に図解のシール部材の部分平面図であり、(b)はその断面図である。
【図3】図1の部分拡大図である。
【図4】(a)は本発明に係るシール部材の第2実施形態の部分平面図であり、(b)はその断面図である。
【図5】本発明に係るシール部材を用いたガス漏れ量計測実験の条件を示すための断面図である。
【符号の説明】
1…接続部
25…リングシール付ガスケット
51…支持部材
51a…開口部
107,109…部材
151…シール膜
251…第1のシール部
351…第2のシール部
AS1,AS2…被シール面(フランジ面)
AS3…被シール面
SS…シール面
【発明の属する技術分野】
本発明は、連結される部材からのガスの漏れを防止するためのシール部材に関する。
特定的には、本発明は、連結される部材に挟まれるように平板状に形成してガス透過面積を小さくしたシール部と、連結される部材の隙間に入り込むように変形してシールするシール部の2つのシール部を有するシール部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業の様々な分野において、ガスが流れる配管を接続する必要が生じる場合がある。
配管には大気圧とほぼ同程度の圧力のガスが流れるとは限らず、大気圧よりも高い圧力のガス(これを高圧ガスという)が流れる場合がある。
配管内を高圧ガスが流れる場合には、配管の接続部から高圧ガスが漏れる可能性が高くなる。
【0003】
高圧ガスを流す配管の接続におけるシールには、従来Оリングを用いていた。ゴム材料を用いたОリングからのガスの漏れ量は、ガス放出側におけるОリングの露出面積と、Оリングにおけるガスの受圧面からガス放出側の露出面までの距離と、ガス透過係数と呼ばれる、Оリングごとのガス透過特性を示す係数とによって見積もられることが知られている。
同一材料のОリングを使用してガスの漏れ量を減少させるためには、ガス放出側の露出面積を減少させるか、受圧面からガス放出側の露出面までのガス透過距離を長くすればよい。
【0004】
ガス透過距離を長くするために、Оリングの線径(断面の直径のこと)を大きくする手法や、複数個のОリングを用いる手法が知られている。
また、配管の接続部に取り付けたОリングを、ガスの圧力によって変形させて、接続部の隙間につぶし込んでガス透過距離を確保する手法も知られている。
さらに、たとえば特許文献1には、ポリアミド樹脂により、断面形状をU字状やY字状に形成してガス透過係数を小さくしたパッキンが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−208201号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にはそれぞれ不利益が存在した。
Оリングの線径を大きくする手法に関しては、Оリングを装着するための溝の大きさや形成位置に制限が存在する場合があり、Оリングの線径をある程度以上大きくすることは困難である。
また、線径の大きなОリングを用いることは、接続部をコンパクトにするためには不都合である。
【0007】
Оリングを複数個用いる場合には、装着のための溝の加工費用の増大を招く。また、Оリング装着のための工程も増加する。
【0008】
ガス圧力によりОリングを変形させて接続部の隙間につぶし込む手法においては、ガスの圧力変動が生じる場合にガス透過距離を確保することが困難である。
また、隙間に入り込んだОリングの圧力変形部に、圧力変動による摩耗(フレッチング摩耗)や破損が生じる可能性もある。
さらに、圧力変形部は、隙間の間においてある程度つぶれていなければ、圧力変形部が接触している面の粗さに起因してガス漏れが発生するが、Оリングのゴム材料は経時的にクリープしてつぶし率が減少するために、長期使用におけるシール性の確保が困難であった。
【0009】
特殊な材質や断面形状を有する特殊なパッキンを用いる場合には、特殊なパッキンを用意するためのコスト上昇や、汎用性に欠けるという不利益がある。
【0010】
さらに、Оリングには、ゴムにより形成されているために変形が生じ、接続部への装着が困難であるという不都合が存在する。
前述のように線径を大きくすると変形も大きくなり、装着はより困難になる。
【0011】
本発明の目的は、汎用性を有しつつ、容易かつ確実に、連結される部材の間をシールすることが可能なシール部材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシール部材は、ハウジング部を有する第1の部材と、フランジ部と当該フランジ部から連続して形成されている軸部とを有し当該軸部が前記ハウジング部に収容されて前記第1の部材に連結される第2の部材との間の前記ハウジング部と前記フランジ部との対向面間に保持されるシール部材であって、前記ハウジング部と前記フランジ部との間の対向する被シール面間に挟まれて、当該被シール面間をシールする平板状の第1のシール部と、前記第1のシール部から連続して設けられ、前記フランジ部および前記軸部間の境界と前記ハウジング部との間に形成される装着溝に装着されて当該装着溝の被シール面間をシールする第2のシール部とを有するシール部材である。
【0013】
本発明においては、第1の部材のハウジング部に、フランジ部とこのフランジ部から連続して形成されている軸部とを有する第2の部材の軸部を収容することにより、第1の部材と第2の部材とが連結され、ハウジング部とフランジ部との対向面間に本発明に係るシール部材が保持される。その結果、ハウジング部とフランジ部との間の対向する被シール面の間に、シール部材の平板状の第1のシール部が挟まれ、第1のシール部材のシール面とハウジング部およびフランジ部の被シール面とが密着する。これにより、ハウジング部およびフランジ部の被シール面は、シール対象の媒体が透過する面積を小さく、かつ、媒体が透過する距離を長くすることを可能とした第1のシール部によってシールされる。
また、第1の部材と第2の部材との連結により、第1のシール部から連続して設けられる第2のシール部が、フランジ部および軸部間の境界とハウジング部との間に形成される装着溝に装着される。これにより、第2のシール部のシール面が、第1および第2の部材の装着溝の部分の被シール面に接触して押圧され、第2のシール部の、シール対象の媒体の透過面積が小さくなった状態で、装着溝部分の被シール面間がシールされる。
したがって、本発明に係るシール部材を装着して第1および第2の部材を連結すれば、第1および第2の部材のハウジング部およびフランジ部は、シール対象の媒体が漏れにくい状態で、第1のシール部と第2のシール部との2つのシール部によりシールされる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して述べる。
なお、以下では、圧力が大気圧よりも高い高圧ガスが流れる配管を接続するための部材間をシールする場合を一例として挙げる。しかしながら、本発明は配管の接続のための部材のシール以外にも適用可能である。
【0015】
第1実施形態
図1が、本発明に係るシール部材の第1実施形態を用いた接続部を示す断面図である。
図1に示す接続部1は、第1の部材107と、第2の部材109と、リングシール付ガスケット25とを有している。
リングシール付ガスケット25は、第1のシール部251と、第2のシール部351とを有している。
リングシール付ガスケット25が、本発明に係るシール部材の第1実施形態に相当する。
【0016】
部材107の内部には高圧ガスの流路107aが形成されている。また、部材109の内部にも高圧ガスの流路109aが形成されている。
【0017】
図1に示すように、第2の部材109はフランジ部129を有している。フランジ部129は、平面状のフランジ面AS2を有している。そして、フランジ部129から連続して、フランジ面AS2に直交するように、軸部119が設けられている。
【0018】
第1の部材107には、第1の部材107と第2の部材109とを連結する際に軸部119を収容するハウジング部117が設けられている。
ハウジング部117の先端は、部材107と部材109とを連結したときに、部材109のフランジ面AS2に対向する、平面状のフランジ面AS1となっている。
また、ハウジング部117の先端のフランジ面AS1は、部材107,109を連結したときに、リングシール付ガスケット25の第2のシール部351が装着される装着溝120が形成されるように面取りされている。
【0019】
部材107と部材109とを接続する場合には、詳しくは後述するが、リングシール付ガスケット25の平板状の第1のシール部251を軸部119に通してフランジ面AS2に装着する。そして、軸部119をハウジング部117に収容するように部材109と部材107とを組立てて、たとえば、部材107と部材109と第1のシール部251とを貫通する図示しないボルトで部材109および部材107を締結する。
これにより、フランジ面AS1とフランジ面AS2とによって平板状のシール部251を挟んで保持した状態で、部材107と部材109とが互いに連結される。
【0020】
部材107と部材109とが連結されたときに、流路107aおよび109aを高圧ガスが流れる。
たとえば、高圧ガスは、部材107側から部材109側に向かって流れるものとする。
また、高圧ガスの圧力は、たとえば、15MPa程度であるとする。
部材107,109は、15MPaに加圧された高圧ガスを流した場合にも、この高圧ガスが透過しない材料によって形成する。
【0021】
図2(a)が、リングシール付ガスケット25の部分平面図であり、図2(b)がその断面図である。
図2(a),(b)に示すように、リングシール付ガスケット25は、第1のシール部251と、第2のシール部351とを有している。
第1のシール部251は、たとえば、軸部119を通すための開口部51aを備えるリング状の支持部材51の両面に、ゴム材料製のシール膜151を被覆したガスケットである。
また、第2のシール部351は、たとえば、図2(b)に示すように断面が半円状の、ゴム材料製のリング状部材である。
【0022】
支持部材51は、好適には金属によって形成する。
さらに好適には、支持部材51は、磁石によって保持可能な磁性体金属によって形成する。
ゴム材料製のシール膜151は、支持部材51の両面に、たとえば加硫接着によって焼き付けて被覆する。市場で入手可能な、ゴム材料と金属材料を接着可能な接着剤によってシール膜151と支持部材51とを接着してもよい。
【0023】
さらに、シール膜151の表面に、第2のシール部351が、たとえば加硫接着や接着剤による接着によって固定される。これにより、支持部材51によって第2のシール部351が支持される。
本実施形態においては、リング状の支持部材51の円形開口部51aの内径と同じ内径を有するリング状の第2のシール部が、円形開口部51aと同軸に、支持部材51上のシール膜151に固定されている。
第2のシール部351以外のシール膜151の領域が、第1のシール部251における、部材107,109のフランジ面AS1,AS2間をシールするシール面SSとなる。
【0024】
シール膜151および第2のシール部351に用いるゴム材料としては、たとえば、フッ素ゴム、パーフロロゴム、水素化ニトリルゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴムを用いることができる。
シール膜151および第2のシール部351は、必ずしも同じ材料によって形成する必要はなく、シール対象であるガスの種類や圧力、接続部の環境等のシール条件によって、異なるゴム材料を適宜選択することができる。
【0025】
支持部材51は必ずしも金属である必要はなく、樹脂材料を用いて形成してもよい。
支持部材51に使用可能な樹脂材料の一例として、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニールフロライド樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、PEEK樹脂、PPS樹脂、LCP樹脂、ポリイミド樹脂を用いることができる。
これらの樹脂材料は、ガスがほとんど透過しない性質を有している。
ある程度の力で弾性変形する樹脂材料を用いた場合には、シール膜151を被覆することなく、部材107,109のフランジ面AS1,AS2間をシールすることができる。
また、支持部材51はリング状である必要はなく、支持部材51の平面形状は、矩形や多角形等の形状でもよい。
【0026】
上述のリングシール付ガスケット25は、部材107,109の連結時に、開口部51aを部材109の軸部119に嵌合させて、部材109のフランジ部129に装着される。
図3は、リングシール付ガスケット25を部材107および部材109に装着させたときの状態を示す、図1の部分拡大図である。ただし、図3において、部材107は、図示の明確さのためにハッチングを省略している。
部材109と部材107とがたとえばボルトにより締結されると、リングシール付ガスケット25の第1のシール部251のシール面SSが、第1の部材107のフランジ面AS1および第2の部材109のフランジ面AS2に接触して密着する。部材107と部材109との締結時には、フランジ面AS1,AS2が被シール面となり、被シール面AS1およびAS2と第1のシール部251のシール面SSとが密着することにより、被シール面AS1,AS2間がシールされる。
【0027】
部材107,109の締結時に、リング状の第2のシール部351は、装着溝120に装着される。
本実施形態においては、たとえば、装着溝120は第2のシール部351を収容する断面三角形状に形成される。
断面三角形状の装着溝120の場合には、ハウジング部117の面取り面が、装着溝120における部材107側の被シール面AS3となる。また、部材109の軸部119の側面が、装着溝120における部材109側の被シール面になる。
なお、装着溝120の断面形状は、矩形等の他の形状でもよい。
【0028】
部材107と部材109との連結によって、第2のシール部351は被シール面AS3により押圧される。その結果、第2のシール部351は、図3に破線で示す装着前の状態から、実線で示す装着後の状態に弾性変形する。これにより、部材107の被シール面AS3と、部材109の軸部119の側面の被シール面との間が、第2のシール部351によってシールされる。
【0029】
部材107と部材109とを連結し、第2のシール部351が装着溝120に装着された状態において、部材107側から部材109側に向かって、高圧ガスを流すと、第2のシール部351は、高圧側HSと低圧側LSとの間の圧力差を受ける。高圧側HSは、ガスを加圧して流す場合の加圧側に相当し、低圧側LSは、非加圧側に相当する。
第2のシール部351が溝120により押圧され、かつ、高圧側HSから低圧側LSへの圧力差を受けることにより、第2のシール部351は、第1のシール部251と被シール面AS3との間が狭まるように弾性変形する。この結果、低圧側LSにおける第2のシール部351のガス透過面積が限りなく小さくなる。
【0030】
また、部材107,109の間に平板状の第1のシール部251を挟んでシールすることにより、低圧側LSにおける第1のシール部251のガス透過面積が小さくなる。さらに、高圧ガスが第1のシール部251の内部を透過して部材107,109の内部の高圧側HSから外部の低圧側LSに至るまでのガス透過距離が長くなる。
ガス透過面積が小さくなり、透過距離が長くなれば、前述のように、ガス漏れ量は減少する。
【0031】
以上のように、第1のシール部251と第2のシール部351とを有するガスケット25を用いることによって、低圧側LSにおけるガス透過面積を限りなく小さく、かつ、ガス透過距離を長くすることができる。その結果、低圧側LSへの高圧ガスの漏れをほとんどゼロにすることができる。
【0032】
その際に、支持部材51を備えるリングシール付ガスケット25を用いることにより、取り扱い性が向上し、フランジ部129へのリングシール付ガスケット25の装着が容易になる。支持部材51が軸部119に対するガイドとなり、ガスケット25のフランジ部129への装着において、ゴム材料製の第2のシール部351が変形しにくくなる。また、第2のシール部351が変形したとしても、第1のシール部251がフランジ部129へ正しく装着されれば、第2のシール部351も自動的に正しい位置へ装着される。この結果、ゴム材料製の第2のシール部351の変形によるシール性の低下を防止することができる。軸部119が大径化し、第2のシール部351の内径が大きくなったときにも、本実施形態によれば、ゴム材料製の第2のシール部351の変形を抑制し、正しく装着することができる。
変形を防止してリングシール付ガスケット25のフランジ部129への装着を容易にする点からは、支持部材51として、ある程度の強度を有する金属を用いることが好ましい。
また、支持部材51に磁性体金属を用いれば、リングシール付ガスケット25をたとえば磁石により簡単に保持することができるため、リングシール付ガスケット25のフランジ部129への装着の自動化を図ることもできる。
【0033】
第1のシール部251はガスケット状であり、第2のシール部351としてはたとえば半分に割ったОリングを用いることができるため、製造が容易であり、汎用性も高い。
さらに、シール膜151および第2のシール部351の材料を適宜選択することによって、用途に合わせた多様な機能をリングシール付ガスケット25に持たせることができる。
詳細には、一例として、シール対象であるガスにオイルが含まれる場合や極度に耐寒性が要求される環境において、シール膜151および第2のシール部351の材料として耐油性や耐寒性に優れた材料を用いることにより、さらにシール性を向上させることができる。
【0034】
第2実施形態
図4(a)が、本発明に係るシール部材の第2実施形態の部分平面図であり、図4(b)がその断面図である。
図4(a),(b)に示すリングシール付ガスケット35は、第1実施形態に係るリングシール付ガスケット25よりもシール性を高めるためのものであり、第2のシール部451の断面形状が、断面三角形状の装着溝120に合わせて三角形状になっている点が、第1実施形態と異なっている。その他の点は第1実施形態と同じであるため詳細な記述は省略する。
【0035】
断面三角形状の装着溝120に合わせて第2のシール部451の断面形状を三角形状にすることによって、被シール面AS3に第2のシール部451が密着し易くなり、また、ガス透過距離も長くなる。さらに、第1のシール部251と被シール面AS3との間が埋まり易くなる。
したがって、低圧側LSにおけるガス漏れ量を、第1実施形態よりもさらに減少させることができる。
なお、本第2実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、取り扱い性の向上、多機能性の実現という効果を得ることができる。
【0036】
以下に、本発明に係るリングシール付ガスケットを用いてガス漏れ量を測定した際の実験結果について述べる。
図5が、実験条件について述べるための断面図である。図5に示す断面図は、基本的には、図1に示す断面図と同じである。そのため、同一構成要素には同一符号を付し、詳細な記述は省略する。
【0037】
図5に示す部材109の各部の寸法は、たとえば、軸部119の外径の大きさL1を9mm、フランジ部129の幅の大きさL2を3mmとした。
リングシール付ガスケットとしては、図2に示すリングシール付ガスケット25を用い、断面半円状の第2のシール部351の直径の大きさL3を1mmとした。したがって、部材107の被シール面AS3も、部材107と部材109とを連結したときに、部材109の軸部119から1mmの範囲まで存在するように形成されている。
リングシール付ガスケット25の支持部材51の厚さは0.1mmとし、この支持部材51の両面に、厚さ0.05mmのゴムを接着して被覆した。
【0038】
また、被シール面AS1と被シール面AS2との間の隙間の大きさL4は、部材107と部材109とを接続しただけであり、ボルト等の締結手段により締結しない状態において、L4=1.5mmとなるようにした。
さらに、部材109の軸部119と、部材107のハウジング部117との間の隙間L5の大きさは、0.05mmにした。
上記の部材107と部材109とリングシール付ガスケット25とを、部材107,109の被シール面AS1〜AS3に、第2のシール部351および第1のシール部251のシール面SSが十分に密着するように連結した。
【0039】
以上の条件のもとで、各種高圧ガスを、圧力5MPa下で部材107の流路107a側から部材109の流路109a側へ流し、1日(24時間)あたりの高圧ガス漏れ量を、容積法により計測した。
なお、リングシール付ガスケット25のシール膜151および第2のシール部351の材料としては、40℃雰囲気、圧力5MPaのもとで、水素ガス透過係数が2.26×10−11(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))、70℃雰囲気、圧力0.5MPaのもとで、フレオンR134aガス透過係数が1.15×10−12(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))のゴム材料を用いた。ここで、記号STPは、標準状態(温度0°、1atm)を表わしている。
また、リングシール付ガスケット25を装着した場合には、図5に示すОリングORは装着しなかった。
このときの、低圧側LSへの水素ガスの漏れ量は、1日あたり0.76cm3、フレオンR134aガスの漏れ量は、1日あたり0.36cm3であった。
【0040】
比較として、本発明に係るリングシール付ガスケット25の代わりに、一般的なОリングORのみを図5に示すように軸部119に設けた溝119Gに装着し、上述と同じ圧力5MPaにおいて水素ガスおよびフレオン134aガスの漏れ量を計測した結果、1日あたりの漏れ量はそれぞれ5.0cm3、0.24cm3であった。
これら2つの計測結果から、本発明に係るリングシール付ガスケット25を用いた方が、ガス漏れ量が大幅に少なく、シール効果が高いことが分かる。
なお、図5に示すように、本発明に係るリングシール付ガスケット25とОリングORとを併用すれば、シール効果は更に向上する。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、上記実施の形態における形状、材質や各種数値等の記載は本発明を説明するための一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されない。
たとえば、本発明は、第1のシール部251や第2のシール部351の材料を適宜選択することにより、様々なガスのシールに用いることができる。
また、配管の接続部分だけでなく、ガスが封入される容器とその蓋のような配管以外の部材のシールに本発明を適用することも可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、汎用性を有しつつ、容易かつ確実に、連結される部材の間をシールすることが可能なシール部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシール部材の第1実施形態を用いた接続部を示す断面図である。
【図2】(a)は図1に図解のシール部材の部分平面図であり、(b)はその断面図である。
【図3】図1の部分拡大図である。
【図4】(a)は本発明に係るシール部材の第2実施形態の部分平面図であり、(b)はその断面図である。
【図5】本発明に係るシール部材を用いたガス漏れ量計測実験の条件を示すための断面図である。
【符号の説明】
1…接続部
25…リングシール付ガスケット
51…支持部材
51a…開口部
107,109…部材
151…シール膜
251…第1のシール部
351…第2のシール部
AS1,AS2…被シール面(フランジ面)
AS3…被シール面
SS…シール面
Claims (4)
- ハウジング部を有する第1の部材と、フランジ部と当該フランジ部から連続して形成されている軸部とを有し当該軸部が前記ハウジング部に収容されて前記第1の部材に連結される第2の部材との間の前記ハウジング部と前記フランジ部との対向面間に保持されるシール部材であって、
前記ハウジング部と前記フランジ部との間の対向する被シール面間に挟まれて、当該被シール面間をシールする平板状の第1のシール部と、
前記第1のシール部から連続して設けられ、前記フランジ部および前記軸部間の境界と前記ハウジング部との間に形成される装着溝に装着されて当該装着溝の被シール面間をシールする第2のシール部と
を有するシール部材。 - 前記第1のシール部は、前記第2のシール部を支持する支持部材の表面にゴムを被覆して形成され、
前記第2のシール部は、ゴム材料から形成され、前記支持部材の一方の表面に固定される
請求項1に記載のシール部材。 - 前記支持部材は金属により形成される
請求項2に記載のシール部材。 - 前記金属が、磁石により保持可能な磁性体である
請求項3に記載のシール部材。
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