JP2005034333A - 歯科用インプラント及びその製法 - Google Patents

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登志朗 寒河江
Hiroshi Nakada
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Abstract

【課題】アパタイト、及びカルシウム−OH−アパタイトを含む燐酸カルシウム類(Ca−P)粒子をブラスト材料として用い、チタンインプラント材料表面を粗面化加工した際の問題点が回避された歯科用インプラント及び製造方法を提供する。
【解決手段】チタンインプラント材料表面をブラスト処理することにより粗面加工し、次に、燐酸二カルシウム二水和物CaHPO・2HO(DCPD)、燐酸八カルシウムCa(PO・5HO(OCP)、ホワイトロッカイト(whitlockite)又は燐酸三カルシウムCa(PO(β−TCP、α−TCP)、カーボネートアパタイト、及びカルシウム−OH−アパタイトCa10(PO(OH)(HA)からなる群から選択された燐酸カルシウム(Ca−P)を、プラズマアシストにより該チタンインプラント材料表面にスパッタリング被覆することを特徴とする歯科用プラントの製造方法。
【選択図】 図24

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改良された歯科用インプラント及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、顎顔面外科領域でのインプラントの応用が急速に増加しているが、典型的歯科用材料としては、従来から、チタン(純チタン金属及びチタン合金)が知られている。これらインプラント材料と骨の間には、インプラント材料が中間組織を介さず骨と直接結合するオッセオインテグレーション(Osseeointegration)を形成することが望ましいが、他の組織が形成される場合もあり、例えば非特許文献1には、組織学的に骨とインプラントの界面には薄いTiO層が介在することが報告され、非特許文献2には、オステオカルシンやオステオポンチンによる無定形構造層が介在する旨報告されており、非特許文献3には、チタンに直接接触するコラーゲン細繊維が報告されている。
【0003】
而して、インプラントの材質は純チタンが主流であるがチタン合金も使われ、チタン材料をインプラント材料として用いた場合、オッセオインテグレーションが形成されるか否かは、インプラント材料の表面状態により影響を受けると云われており、歯の動揺をもたらし抜歯の原因となる叙上のような結合組織を形成することなくオッセオインテグレーションが生じるため、また、近年では早期の骨結合を期すため、チタンインプラント材料の表面に、オッセオインテグレーション生成のために適切な特性を付与する試みがなされている。
【0004】
例えば、非特許文献4,5及び非特許文献6には、インプラント材料の表面にリン酸カルシウムコーティングを施こすことが開示され、非特許文献7及び非特許文献8には、インプラント材料表面を電気化学的に酸化することが記載され、非特許文献9には、インプラント材料表面を物理蒸着処理することが開示され、非特許文献10及び非特許文献11には、インプラント材料表面をプラズマ溶射処理することが記載されている。
【0005】
特許文献1には、チタン以外のインプラント材料ではオッセオインテグレーションが実現されずに繊維性結合組織が介在し、最終的にはインプラント全体を結合組織が覆うようになり、動揺が始まり抜去しなければならなくなるが、チタンインプラント材料の表面性状を粗くしてそのオッセオインテグレーションの効果をさらに増大させるための1つの方法は、金属Tiのビーズをプラズマ照射し、表面積を増やすと共に、顕微鏡レベルのインプラント表面を半球形のTiとすることにより骨細胞との親和性をも高めることであり、もう一つの方法はアルミナの砥粒を用いたサンドブラスト法があってこれにより砥粒の大きさが反映されたインプラント表面は表面積が増大すると共に、凹部に骨が入りこむことでアンカー効果が得られ、また、Tiの表面に水酸アパタイト(HAP)をコーティングしたインプラントが市販されており、このようなインプラントは骨とHAPの間の結合形態がバイオインテグレーションと呼ばれ、化学的に接着し、オッセオインテグレーションよりも結合強度が高いといわれており、HAPのコーティング方法はHAPの粉末をプラズマ溶射法などにより、インプラントの表面に付着させる技術で、その表面は粉末の集合体であるため、微細な凹凸面となりアンカー効果をも有するが、これらは、非常に高度で高価な技術であるため、最終的なインプラントの価格がかなり高価になってしまったり、アルミナ砥粒でサンドブラスト処理された表面を持つインプラントは、安価に製造可能ではあるものの、付着したアルミナ砥粒の除去が困難で、最終的には生体不活性なアルミナが残留してしまうといった問題点があるので、これを解消するため、チタンまたはチタン合金で形成した芯部材を有し、該芯部材の顎骨に埋入される部分の表面に焼結した水酸アパタイトまたはリン酸三カルシウムあるいはこれらを混合したもので形成した粒子で該粒子がその表面に突き刺さる状態を有するようにサンドブラスト処理した面を設けた歯科用インプラントとすることが記載され、特許文献2には、チタンまたはチタン合金で形成した芯部材を有し、該芯部材の少くとも骨に埋入される部分の表面をアルミナセラミックスやシリカ等の堅い粒子でサンドブラスト処理して粗面にし、その粗面に焼結した水酸アパタイトやリン酸三カルシウムまたは生体活性ガラスあるいはこれらを混合した材料で形成した上記の堅い粒子より細かい粒子でその材料を含むようサンドブラスト処理した面を設けたインプラントが記載されており、特許文献3には、チタンまたはチタン合金で形成した芯部材の少くとも顎骨に埋入される部分の表面に、焼結した水酸アパタイトまたはリン酸三カルシウムあるいはこれらを混合したもので形成した粒子でサンドブラスト処理した歯科用インプラント及びその製造方法が記載されており、特許文献4には、チタンまたはチタン合金で形成した芯部材を有し、該芯部材の少くとも骨に埋入される部分の表面に、焼結した水酸アパタイトやリン酸三カルシウムまたは生体活性ガラスあるいはこれらを混合した材料で形成した粒子でその材料を含むようサンドブラスト処理した面を設けたインプラントが記載されている。
【0006】
また、前記非特許文献11にも、さらに、非特許文献12、13、14、15、16、及び17にも、ハイドロキシアパタイトコーティングを施すことが記載されている。
【0007】
しかしながら、ハイドロキシアパタイトコーティングとしてのブラスト処理は、これを施すことにより多くの骨形成が誘導されるが、界面破壊、溶解、また生理的吸収などの問題から異物除去の対象になるリスクを持ち、長期的な安定性に劣ることが明らか(前記非特許文献6、17)となっている。
【0008】
現状ではサンドブラストやブラスティング処理による粗な表面構造を有するインプラントは、剪断強さの増加、オッセオインテグレーションに費やす時間の短縮、また平滑表面のインプラントに比較して除去トルク力が高い、機械的強度が向上するとの報告がある(非特許文献18、19、20、21、22、23)。
【0009】
Cochran et a1. は、サンドブラストと酸エッチング処理を施したインプラントでは有意に骨吸収が少ないことを確認しており、酸エッチング処理の骨伝導能によるものと報告(非特許文献24を参照)している。また、Bowers et a1. はサンドブラストした不規則な粗の表面に、高頻度で細胞の付着が見られたことを報告(非特許文献25を参照)し、細胞の初期接着に特別な環境状況を与えていると結論付けている。また形態学的検討により、インプラントの表面粗さと骨接触の増加関係が明らかになるとの報告(非特許文献26)から、ブラスト処理はインプラント表面における骨新生率を向上させることが明らかとなっている。
【0010】
以上のことから、化学的特性を持ったインプラントにおける周囲骨組織は、モデリングやリモデリングの過程に伴って骨の厚みや幅を増してインプラントを長期の安定へと導くか否かが重要である。しかしながら、石灰化は生体へのミネラルの沈着現象として定義されているが、インプラント埋入後周囲組織の石灰化がどのようにしてミネラルを獲得し、カルシウム塩の沈着を導くのか、すなわち生体の石灰化機構に対してはまだ明確な説明が与えられていない。これまでの研究は、インプラント周囲における新生骨の形態計測が多く行われ(例えば前記非特許文献4、8、10、17、22、23、非特許文献27及び28参照)ているが、新生骨における石灰化の伸展・形成パターンを詳細に分析している報告(前記非特許文献27はその少ない報告の1つである)は少ない。
【0011】
サンドブラスト材料としての上記燐酸カルシウム、あるいはアパタイト粉体に関連して、燐酸カルシウム類(Ca−P)は、通常、エナメル質、象牙質、セメント質、骨として生体内に普通に存在し、石灰化物(歯、結石、歯石)中に存在し、エナメル質及び虫歯の形成、進行及び阻止に関係し、予防歯学及び回復歯学で用いられるが、これらCa−Pには、無定形燐酸カルシウム(ACP)、ブルシャイト(brushite)又は燐酸二カルシウム二水和物CaHPO・2HO(DCPD)、モネタイト(monetite)又は燐酸二カルシウム無水物CaHPO(DCP)、燐酸八カルシウムCa(PO・5HO(OCP)、ホワイトロッカイト(whitlockite)又は燐酸三カルシウムCa(PO((β−TCP;生物学的ホワイトロッカイトは通常マグネシウム置換された(Ca,Mg)(POの形でありβ−TCMPといわれる)、カーボネートアパタイト(本明細書では、炭酸イオンを含有した部分炭酸化アパタイトを意味し、炭酸イオンが導入される過程で化学的平衡を保つためにカルシウムが種々のイオンに置換されていて、結果としてカルシウム欠落のあるアパタイト;「炭酸アパタイト」を文字通り解すれば水酸化アパタイトのOHの位置が全て炭酸イオンに置換したものを示すが、現実にはこれは存在しない)、カルシウム−OH−アパタイトCa10(PO(OH)(HA)(生物学的アパタイトは、純粋なHAでなくカルシウムが置換されてカルシウム欠落のあるアパタイト)が含まれる。また、口腔内石灰質化で生じるが口腔内生物学的系で未だ報告のないピロリン酸カルシウム二水和物Ca・2HO(CPPD)も含まれ、他の重要なカルシウム化合物としては、そのフッ化物又はフッ化カルシウムCaF、及びカルサイト(方解石)形の炭酸カルシウムCaCOが含まれる。
【0012】
人の歯のエナメル質、象牙質、骨が、アパタイト構造の燐酸カルシウム類(Ca−P)であることは、早くも1926年にX線回析(XRD)により同定されている。従来石灰化組織の観察・測定はマイクロラジオグラフィー法によるものがほとんどであった。この方法は理論的な裏づけから定量測定も可能であることが示されているが、実際には試料調整および照射条件の設定、基準物質の設定などに時間がかかることから、最近ではより手軽に石灰化組織を観察・半定量測定する方法として反射電子像の利用が増えてきた。本発明においては、インプラントと骨境界面部での骨誘導、骨形成の方向性や配置を観察するために、3種類のインプラントによる反射電子像(back−scattering imaging)の観察を行い、興味ある知見が得られた。
【0013】
すなわち、アパタイト、及びカルシウム−OH−アパタイト(HA;このHAは主要な生体アパタイトである)を含む燐酸カルシウム類(Ca−P)粒子をブラスト材料として用い、チタンインプラント材料表面を粗面化加工する場合には、他の従来の表面処理と比較して相当優れたインプラントを得ることができるが、しかし、上記のように、界面破壊、溶解、また生理的吸収などの問題から異物除去の対象になるリスクを持ち、長期的な安定性に劣ることが明らかとなっており、また、本発明者の検討によれば、新生骨の伸張は早いものの、オッセオインテグレーション以外の他の組織も、原骨とインプラントの間に同時に形成される場合が多いことが確認された。
【0014】
【特許文献1】
特許第2,893,253号公報
【特許文献2】
特許第3,026,074号公報
【特許文献3】
特開平10−99348号公報
【特許文献4】
特開平11−19205号公報
【非特許文献1】
田中輝男、鮎川保則、竹下文隆、吉成正雄、井上隆、大塚芳郎、末次恒夫、下野正基、日歯医学会誌、17,94−98,1998.、チタンは本当に骨に結合するか
【非特許文献2】
Inoue, T., Shimono, M., Abiko, Y., Dental implant−tissue interface. Endosseous titanium implant; Bull, Kanagawa Dent. Coll., 22, 66−78, 1994.
【非特許文献3】
Listgarten, MA., Buser, D., Steinemann, SG., Donath, K., Lang, NP., Weber, HP.; Light and transmission electron microscopy of the intact interface between non−submerged titanium−coated eposy resin implant and bone or gingival; J. Dent. Res., 71, 364−371, 1992.
【非特許文献4】
Wen, H.B., de Wijn, J.R., Cui, F. Z., de, Groot, K.; Preparation of calcium phosphate coatings on titanium implant materials by simple chemistry; J. Biomed. Mater. Res., 41, 227−236,1998.
【非特許文献5】
LeGeros, R.Z.; Properties of osteoconductive biomaterials; calcium phosphates; Ciln. Orthop.,395,81−98,2002.
【非特許文献6】
LeGeros, R. Z.; Biodegradation and bioresorption of calcium phosphates ceramics; Clin. Mater., 14, 65−88,1993.
【非特許文献7】
Ellingsen, J.E.: A study on the mechanism of protein adsorption to TiO; Biomaterials, 12, 593−596, 1991.
【非特許文献8】
Sul, Y. T., Johansson, C. B., Jeong, Y., Albrektsson, T.: The electrochemical oxide growth behaviour on titanium in scid and alkaline electrolytes; Med. Eng. Phys., 23, 329−346,2001.
【非特許文献9】
Bacakova, L., Stary, V., Kofronova, O., Lisa, V.: Polishing and coating carbon fiber−reinforced carbon composites with a carbon−titanium layer enhances adhesion and growth of osteoblast−like MG63 cells and vascular smooth muscle cells in vitro; J. Biomed. Mater. Res., 54, 567−578,2001.
【非特許文献10】
Piattelli, A., Scarano, A., Corigliano, M., Piattelli, M.: Effects of alkaline phosphatase on bone healing around plasma−sprayed titanium implants: a pilot study in rabbits: Biomaterials, 17, 1443−1449, 1996.
【非特許文献11】
Lo, W.J., Grant, D.M., Ball, M.D., Welsh, B.S., Howdle, S. M., Antonov, E. N., Bagratashvili, V.N., Popov, V.K.: Physical, chemical, and biological characterization of pulsed laser deposited and plasma sputtered hydroxyapatite thin films on titanium alloy; J. Biomed. Mater. Res., 50, 536−545, 2000.
【非特許文献12】
Akagawa, Y., Ichikawa, Y., Nikai, H., Tsuru, H.: Interface histology of unloaded and early loaded partially−stabilized zirconia endosseous implant in initial bone healing; J. Prosthet. Dent., 69, 599−604, 1993.
【非特許文献13】
Noack, N., Willer, J., Hoffmann, J.: Long−term results after placement of dental implants: Longitudinal study of 1,964 implants over 16 years; Int. J. Oral Maxillofac. Implants, 14, 748−755, 1999.
【非特許文献14】
Gotfredsen, K., Wennerberg, A., Johansson, C., Skovgaard, L.T., Hjorting−Hansen, E.: Anchorage of TiO2−blasted, HA−coasted, and machined implants: an experimental study with rabbits; J. Biomed. Mater. Res., 29, 1223−1231, 1995.
【非特許文献15】
Gotfredsen, K., Hjorting−Hansen, E., Jensen, J.S., Holmen, A.: Histomorphometric and removal torque analysis for TiO−blasted titanium implants. An experimental study on dogs; Clin. Oral Imp. Res., 3, 77−84 1992.
【非特許文献16】
Wong, M., Eulenberger, J., Schenk R., Hunziker, E.: Effect of surface topology on the osseointegration of imprant materials in trabecular bone; J. Biomed. Mater. Res., 29, 1567−1575, 1995.
【非特許文献17】
Hamadouche, M., Meunier, A., Greenspan, D.C., Blanchat, C., Zhong, J.P., La Torre, G.P., Sedel L.: Lomg−term in vivo bioactivity and degradabilit of bulk sol−gel bioactive glasses; J. Biomed. Mater. Res., 54, 560−566, 2001.
【非特許文献18】
Hahn, H., Palich, W.: Preliminary evaluation of porous metal surfaced titanium for orthopedic implants,; J. Biomed. Mater, Res., 4,571−577, 1970.
【非特許文献19】
Robertson, D.M., Pierre, L., Chahal, R.:Preliminary observations of bone ingrowth into porous materials;J.Biomed. Mater. Res., 10, 335−344,1976.
【非特許文献20】
Carlsson, L., Rostlund, T., Albrektsson, B., Albrektsson, T.: Removal torques for polished and rough titanium implants; Int. J. Oral Maxillofac. Implants, 3, 21−24,1988.
【非特許文献21】
Feighan, J.E., Goldberg, V.M., Davy, D., Parr, J. A., Stevenson, S.: The influence of surface−blasting on the incorporation of titanium−alloy implants in a rabbit intramedullary model; J.Bone Joint Surg. Am., 77−A, 1380−1395, 1995.
【非特許文献22】
Wennerberg, A., Albrektsson, T., Johansson, C., Andersson, B.:Experimental study of turned and grit−blasted screw−shaped implants with special emphasis on effects of blasting material and surface topography; Biomaterials, 17, 15−22, 1996.
【非特許文献23】
Wennerberg, A., Albrektsson, T., Lausmaa, J.: Torque and histomorphometric evaluation of c.p. titanium screws blasted with 25−and 75−microns−sized particles of Al2O3; J.Biomed. Mater. Res., 30,251−260,1996.
【非特許文献24】
Cochran, D.L., Nummikoski, P.V., Higginbottom, F.L., Hermann, J.S., Makins, S.R., Buser, D.: Evaluation of endosseous titanium implant with a sandblasted and acid−etched surface in the canine mandible: radiographic results; Clin. Oral Implants Res., 7, 240−252, 1996.
【非特許文献25】
Bowers, K.T., Keller, J. C., Randolph, B.A., Wick, D. G., Michaels, C.M.:Optimization of surface micromorphology for enhanced osteoblast responses in vitro; Int. J. Oral Maxillofac. Implants, 7, 302−310, 1996.
【非特許文献26】
Buser, D., Schenk, R.K., Steinemann, S., Fiorellini, J.P., Fox, C.H., Stich, H.: Influence of surface characteristics on bone integration of titanium implants. A histomorphometric study in miniature pigs; J. Biomed. Mater. Res., 25, 889−902, 1991.
【非特許文献27】
Hanisch, O., Lozada, J.L., Holmes, R.E., Calhoun, C.J., Kan, J.Y., Spiekermann, H.: Maxillary sinus augmentation prior to placement of endosseous implants: A histomorphometic analysis; Int. J. Oral Maxillofac. Implants, 14, 329−336, 1999.
【非特許文献28】
中田浩史:生体用新チタン合金の耐食性評価およびラット埋入試験に関する基礎的研究;日大口腔歯学,25, 103−112, 1999.
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、上記のような現状の問題点に鑑み、本発明の目的は、アパタイト、及びカルシウム−OH−アパタイトを含む燐酸カルシウム類(Ca−P)粒子をブラスト材料として用い、チタンインプラント材料表面を粗面化加工した際の上記問題点が回避された歯科用インプラントを提供することにある。
また本発明の別の目的は、そのような歯科用プラントの優れた製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「チタンインプラント材料表面を、所望により酸エッチング処理し又は酸エッチング処理せず、粉体アルミナを用いてブラスト処理することにより粗面加工し、次に所望により該粗面加工されたチタンインプラント材料表面を清掃処理して微細付着物を該表面から除去し、次に、燐酸二カルシウム二水和物CaHPO・2HO(DCPD)、燐酸八カルシウムCa(PO・5HO(OCP)、ホワイトロッカイト(whitlockite)又は燐酸三カルシウムCa(PO(β−TCP、α−TCP)、カーボネートアパタイト、及びカルシウム−OH−アパタイトCa10(PO(OH)(HA)からなる群から選択された燐酸カルシウム(Ca−P)を、プラズマアシストにより該チタンインプラント材料表面にスパッタリング被覆することを特徴とする歯科用プラントの製造方法」及び(2)「所望により酸エッチング処理し又は酸エッチング処理せず、粉体アルミナを用いたブラスト処理による粗面に、燐酸二カルシウム二水和物CaHPO・2HO(DCPD)、燐酸八カルシウムCa(PO・5HO(OCP)、ホワイトロッカイト(whitlockite)又は燐酸三カルシウムCa(PO(β−TCP、α−TCP)、カーボネートアパタイト、及びカルシウム−OH−アパタイトCa10(PO(OH)(HA)からなる群から選択された燐酸カルシウム(Ca−P)のスパッタリング被覆膜を有する歯科用チタンインプラント」により達成される。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、チタンインプラント材表面をアルミナ粒子でブラストする前に、所望により酸エッチング処理し、表面の酸化物層及び付着物を除去することが必要不可欠ではないが好ましく、この酸エッチング処理により、表面の硬い酸化物層及び付着物を除去して、次のブラスト処理の効率をより高めることができる。エッチング液には格別の制限はなく、例えば、銅製の印刷回路基板のための塩化第二鉄エッチング液、塩化第二銅エッチング液、過硫酸アンモニウムエッチング液、芒硝入りクロム酸―硫酸混液エッチング液を用いることができる。
【0018】
本発明におけるブラスト用の粉体アルミナとしては、平均粒径0.2μm〜500μmの種々の粒径の高純度アルミナを用いることができ、特に、サファイヤ型結晶体でモース硬度が約8前後(7.5〜8.2程度)、ピッカース硬度が約2200前後(1800〜2250程度)のセラミックアルミナ粒子を好ましく用いることができる。このようなアルミナ粉体は市販されている。ブラスト用アルミナ粉は、チタン又はチタン合金で形成されたプラントのグリップのブラスト所要部にブラストされる。このようなチタンインプラント材料自体は従来公知のものである。
【0019】
すなわち、ブラスト用アルミナ粉は、ブラスト所要部であるグリップ(芯部)根元の骨挿入部のみ露出されてその余のブラスト不要部分がマスクされたインプラントのグリップに噴射され、グリップ根元の骨挿入部がブラスト処理される。ブラスト圧は0.1〜2.0Pa、好ましくは0.2〜0.8Paであり、ブラスト時間は通常30秒〜30分、好ましくは2〜15分である。ブラスト所要部の研削を望まないときには、小粒径、例えば平均粒径3〜50μmのアルミナ粉で、ブラスト圧0.1〜0.5Paで、2〜5分の短時間ブラスト処理することが好ましく、ブラスト所要部の充分な粗面化を期するときには、比較的大粒径、例えば平均粒径20〜200μmのアルミナ粉で、ブラスト圧0.5〜0.8Paで、8〜15分の時間ブラスト処理することが好ましい。
本発明においては、ブラスト所要部であるグリップ根元の骨挿入部の表面粗さ(Ra)を1.2〜3.0の範囲に粗面加工することが好ましく、これは、アルミナ粒として粒径10〜90μmのものを選択し、ブラスト圧を20〜120psiの範囲で調節することにより達成することができる。この表面粗さ(Ra)は、算術平均粗さであり、JIS B0601の規定に準じ、表面形状を測定したときに得られる粗さ曲線から、その平均レベル線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部の方向にX軸、縦倍率の方向にY軸を、Y=f(x)で表わしたときに、
【0020】
【数1】
Figure 2005034333
の式により求められる値である。
【0021】
しかしながら、本発明におけるブラスト処理は、ブラスト粒材料をチタンブリップ材料中まで打ち込むことが主目的ではないので、過激なブラスト条件はあまり必要としない。
【0022】
本発明において、インプラント材料表面をスパッタする材料としては、人の歯のエナメル質、象牙質、骨を構成する燐酸カルシウム材料と云われている燐酸カルシウム(Ca−P)に近い材料が用いられ、具体的には、ブラシャイト又は燐酸二カルシウム二水和物CaHPO・2HO(DCPD)、燐酸八カルシウムCa(PO・5HO(OCP)、ホワイトロッカイト(whitlockite)又は燐酸三カルシウムCa(PO(β−TCP,α−TCP)、カーボネートアパタイト、及びカルシウム−OH−アパタイトCa10(PO(OH)(HA)からなる群から選択されたものが用いられる。生体外のリン酸カルシウム(Ca−P)と生体内のリン酸カルシウム(Ca−P)は必ずしも同一のものでなく、また同じ生体内のリン酸カルシウム(Ca−P)であっても人とビーグル犬と猫のリン酸カルシウム(Ca−P)は異なるとの報告もあり、人のリン酸カルシウム(Ca−P)であっても健全なものと虫歯のものとは異なるとの報告もあるが、本発明で用いるβ−TCPは通常マグネシウム置換された(Ca,Mg)(POの形の生物学的ホワイトロッカイト(β−TCMP)に代わるものである。
カーボネートアパタイトにおけるカーボネート成分が燐酸カルシウム質物質として生体内で重要かつ複雑な働きをする因子であり得ることは従来から報告(T. Sakae, A. Ookubo, R. Z. LeGeros, Key Engineering Materials Vola. 240−242 (2003) pp.395−398)されており、また、β−TCMP中のマグネシウムはこの燐酸カルシウムの劣化因との報告(R. Z. LeGeros, T. Sakae, C. Bautista, M. Retino, J. P. LeGreros, Advances in Dental Reserch, 10, 2, 225−231, 1996.)もある。さらに燐酸三カルシウムとしてはβ−TCPだけでなく、α−TCPも良好なスパッタターゲット材料である。また、生物学的アパタイトは、純粋なHAでなくカルシウムが置換されてカルシウム欠落のあるアパタイトと云われている。
【0023】
これら各スパッタターゲット用燐酸ナトリウム(Ca−P)の入手法について説明すると、上記DCPDは、例えば、燐酸ナトリウム又は好ましくは燐酸アンモニウムNaHPO、NHPO100ml、0.1Mを含み当初pHを室温〜37℃で6に調節(KOH又はNHOHで調節)された750ml溶液中に、攪拌下で、Ca(Ac)の0.04Mを含む250mlを滴下して生成物を沈殿物の形で得る沈殿法で製造することができる。燐酸イオンの対イオンとしてのカチオンは揮発性又は分解性のアンモニウムイオンやオニウムイオンであることが強度を別にすれば好ましく、同様にカルシウムイオンの対イオンとしてのアニオンも例えば酢酸のような有機酸イオンであることができる。得られた沈殿は蒸留水で洗浄し、空気中で乾燥させる。
【0024】
前記OCPは、当初pHを80℃で4に、又は60℃で5に酢酸を用いて調節する以外はDCPDの場合と同様にして得ることができる。沈殿の生成は80℃の場合30分以内に、また60℃の場合は約60分で完結する。
【0025】
上記β−TCPは、純粋なものは水性系から直接得ることができず、無定形燐酸カルシウム(ACP)を800〜1000℃で焼結することにより合成する。(カルシウムイオン及び燐酸イオン以外含まない)原料の純粋な無定形燐酸カルシウム(ACP)は、アルカリ性の燐酸溶液(325mlの水及び10mlの濃アンモニア水の混合物中に(NHHPOを6.5gを溶解したもの)を、アルカリ性のCa(NO溶液(蒸留水137mlと濃アンモニア水10mlの混合物中にCa(NOを11.75g溶解したもの)中に室温ですばやく加え、生成物をろ過し、乾燥することにより得ることができる。
【0026】
上記カーボネートアパタイトは、COがOHと置換されたもの(タイプA)及びPOと置換されたもの(タイプB)に分けられるが、タイプAのカーボネートアパタイトは、製法を後述するHAに高温(約1000℃)で乾燥COガスを通すことにより、非常に乾燥した条件下で生成される。タイプBのカーボネートアパタイトは、COがPOと置換されているだけでなくNaがCaと置換されてもおり、これは、37〜100℃で水性系からの沈殿法又は加水分解法により製造される。1例を挙げれば、0.01〜0.4MのNaHCOの1リットル中でCaHPO(試薬純度)2gを95〜100℃で5時間加水分解処理し、沈殿生成物をろ過し、1夜60℃で乾燥することにより得ることができる。また、タイプBのカーボネートアパタイトは、CO含有のDCPD又はOCPの溶液を加水分解−沈澱処理することによっても製造することができる。
【0027】
上記HAの製造に関し、純粋なHAは、β−TCPの場合と同様、水性系から直接得ることができず、固相で得ることができ、又は好ましくは非常に高いpH(KOHや濃アンモニア水で11を超えるpHに調整)から沈殿させ得られたアパタイトを焼成することにより得ることができる。すなわち、375℃で熱水蒸気添加により得ることができ、又は、pH12の調節された水性系からの沈殿アパタイトを、900℃以上の温度で加熱処理することにより得ることができる。
【0028】
図7には、これら各燐酸カルシウム(Ca−P)の溶解度のpH依存性が示される。また、これら各燐酸カルシウム(Ca−P)の水性液中からの沈殿形成における温度及びpH依存性は、次表に示される。
【0029】
【表1】
Figure 2005034333
【0030】
これら各燐酸カルシウム(Ca−P)の形態、純度(微量のヘテロ元素及びヘテログループの存在)、性質(例えば溶解度や格子定数、特にa軸方向の伸縮)は種々の分析手法により判断することができるが、特に、XRD及びIRの測定は有益である。例えば六晶形の結晶の場合(六晶形の結晶が板状に積層された構造のものも歯のエナメル質、象牙質の中に多い)、XRDの測定結果と格子定数との間にはつぎの関係が成り立つ。
【0031】
【数2】
Figure 2005034333
ここで、dは反射面間の距離を表わし、h,k,lは反射面のmiller係数を表わす。
而して、a―軸の各長さは、(410)面及び(300)面から、次のように計算される。
【0032】
【数3】
Figure 2005034333
【0033】
図1〜図6には、これら燐酸カルシウムを同定する際の参考として、いくつかのXRDチャート、IRスペクトルチャートが示される。ここで、図1は、燐酸二カルシウム二水和物CaHPO・2HO(DCPD)のXRDチャートを、図2はDCPDのIRスペクトルチャートを、それぞれ示す。XRDの最強ピーク(ブラッグ角2θ)は11.7°であり、IR吸収はO−H(HO)、P−O−H(HPO),P−O(PO)の存在を示している。
図3は、市販のカルシウムヒドロキシアパタイトCa10(OH)(PO及び950℃で焼成後の回折ピークを示し、ここで、図3(a)はモネタイトCaHPO(M)及びアパタイトの回折ピークを示し、図3(b)は、焼成による生成物のためβ−TCPとHAの比が違ってきたことを示している。
図4は、95℃で沈殿析出したアパタイトの焼成前(b),(d)及び800℃で焼成後(a),(c)のXRDチャートを示す。焼成前のチャート(a)と焼成後のチャート(c)を比較すると、β−TCP(T)/HA(A)の比が、焼成前の55/45から焼成後には35/65に変っていることが分かる。
図5は、pH5で60℃又はpH4で70〜80℃で沈殿析出されたOCPのXRDチャート(a),及びIR吸収スペクトルチャート(b)を示す。
図6は、沈殿法による生成物を950℃で焼成して得られたカルシウムヒドロキシアパタイトCa10(OH)(PO(HA)のXRDチャートを示す。
【0034】
本発明においては、これらの燐酸カルシウム(Ca−P)材料を、プラズマアシストによりチタンインプラント材料表面にスパッタリング被覆するためのターゲット材とするため、単独で又は適宜量比で混合して、自己保持性を有する程度の固形物にプレス成型することが好ましい。
【0035】
例えば図8に示されるように、金属酸化物又はセラミックス粒子をインプラント表面に付与するための方法としては、粒子の運動エネルギーが低い順に電子ビーム加熱法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンインジェクション法が典型的なものとして挙げられ、これらはイオン又は粒子の運動エネルギーが、それぞれ例えば、0.001〜5eV、0.1〜10eV、30〜150eV、300〜10KeV、10〜100KeVと段々高くなり、それに応じてイオン又は粒子の運動エネルギーの大小により付着効果、スパッタ効果、注入効果の3種の効果がある。しかし、運動エネルギーとこれらの効果の関係は厳密なものではなく、基体(インプラント)と利用する粒子に依存する。いずれにしても、これら粒子で良好に処理され高生物活性で高耐久性のインプラントを得るためには、ターゲット材料の一部がインプラント中に打ち込まれており残りの一部ターゲット材料はインプラント表面に、少なくともXRDにおけるブラッグ角(2θ)の明瞭な値が得られる程度の反射X線が生じ得る大きさの集合体として存在(つまり、たとえばXRD測定が不能な極薄粒子層や過少分布密度のスパッタでない)していることが必要であり、他方、このようなスパッタ処理により、インプラント基質中に完全に打ち込まれたり、あるいはインプラント基質の強度や特性を損なうことは無論好ましくない。
【0036】
よく知られているように、1eVは、電磁波エネルギーに換算すれば、波長=1.24×10−4cm、周波数=2.42×1014sec−1、波数=8.07×10cmであるが、温度では約1160Kに相当し、機械的エネルギーでは1.60×10−12ergに相当する。温度ストレスによりセラミックス粒子をインプラント基質中に打ち込むのは、より大変であり、サンドブラストのような機械的ストレスにより打ち込むのはさらに大変であることが分かる。
【0037】
古くから行われていた電子ビーム加熱や抵抗加熱による真空蒸着法では、粒子の持つエネルギーは1eV程度もしくはそれ以下であった。同じ蒸着法でも、近年開発されたイオンスパッタ蒸着法では、ターゲット基材から飛び出す(スパッタされた)粒子のエネルギーが100eVにも達するものがある。この蒸着法は蒸着速度は遅いが、均一性や密着性においては通常の真空蒸着より優れている。均一性や密着性向上の主な原因は、蒸着粒子の運動エネルギーが通常の真空蒸着に比べて高いことにある。蒸着粒子のエネルギーを強制的に増加させる膜形成法としてイオン化プレーティング法がある。蒸着粒子の一部をイオン化し、静電界で強制的に加速(運動エネルギー増加)して、固体基板表面に照射しながら膜を形成する方法であり、全体の粒子に対するイオン化した粒子の割合は5%前後と云われている。
【0038】
蒸発粒子の他のイオン化手法として、電子シャワーによるものや高周波による放電を利用するものがある。
加速されたイオンのために、蒸着初期において蒸着膜原子と基板原子とは混合し、また膜面上の均一性も向上し、膜は緻密化される。イオンの加速のための静電電圧は、数十Vから数kVであるが、この技術で利用されている粒子には中性粒子やイオンが混ざっているために、運動エネルギーの幅は大きい。したがって、低エネルギーでの付着効果による膜形成、中エネルギーでのスパッタリングによる削り取り(表面クリーニング効果がある)、高エネルギーでの注入効果による粒子添加を同時に利用する技術である。
【0039】
粒子のエネルギーをそろえるためイオンのみを利用する手法、すなわち一定のエネルギーに加速して基材に照射するイオンビーム手法においては、数kVで加速された粒子が基材に照射されると粒子は表層に侵入するが、表面を削り取る効果が大きい。前述したスパッタ蒸着法は、この削り取られた粒子を利用する方法でもある。しかし、数kVのエネルギーでもイオンの注入効果を無視することはできない。たとえばオージェ電子分光法や光電子分光法で、深さ方向の情報を得るためにプラズマアシストとしてのArスパッタリングを利用すると必ずArの侵入が認められる。また、二次イオン質量分析法では、表面を削り取るために利用する一次イオンにより、二次イオンの収量や基板面形状などに影響がでる。これらは、表面を削り取るために利用したイオンの注入効果を示しており、いわゆるイオンスパッタリングは、イオンを添加しながら削り取っている技術でもある。
【0040】
このように、数kVで加速されたイオンが固体に照射されると基材表層は損傷を受ける。この損傷をできるだけ小さくする方法は、低いエネルギーのイオンを利用することである。低いエネルギーのイオンは付着効果が大きくなる。前述した膜形成法と異なり、そろったエネルギーの粒子を利用することを特徴とする蒸着法はイオンビームデポジションと呼ばれるが、この蒸着に利用できる低エネルギーのイオンビームを得ることは技術的に難しく、効率も悪い。したがって、イオンを1個ずつ低エネルギー化せずに、数千個のイオンの塊を数kVで加速して粒子1個あたりのエネルギーを低下させるクラスターイオンビーム蒸着法も開発されている。スパッタリングで利用するエネルギーよりも高いエネルギーのイオンを利用すると、イオン照射による表面の削り取り効果は小さくなり、イオンの侵入効果が大きくなる。ここで利用するイオンのエネルギーは数十kVから数百kV(最近ではMeVも利用)であり、このようなエネルギーのイオンを利用した表層処理技術はイオン注入(ION IMPLANTATION,イオン打ち込みとも言う)と呼ばれている。すなわち、「イオン注入法とは、添加を目的とする粒子を高真空(10−4Pa)中でイオン化し、数十kVから数百kVに加速して固体基板に添加する方法である」と云うことができる。
【0041】
したがって、イオン注入法は、イオンビームを利用する表面表層処理技術の中で最も高いエネルギーを利用する方法である。しかも、イオンビームの高エネルギー化によって発展した技術ではなく、原子核物理などで利用されてきた加速器の低エネルギー化により開発された技術である。いわば、加速器の一般工業への利用によって発展した技術である。この技術の一般工業分野への利用促進は加速器の開発を促し、現在ではMeVイオン注入の工業利用まで可能になってきているが、本発明においては、基材中への完全な打ち込みは不要であり、かつ不都合な結果をもたらす。
【0042】
このように、一般的にインプラント基材の改質は、基材材質中へのイオン注入技術よりも、表面へのイオンの付着技術やイオンプレーティング技術の方が優れている。上記のように、スパッタリング法、イオンプレーティング法、或いはイオンインジェクション法の何れでも付着効果、スパッタ効果、表面削り取り効果、注入効果は、程度の差はあっても多少生じ得るが、100eV以上の加速電場で加速されたセラミック材料の粒子をプラズマアシスト雰囲気で打ち込む操作によることは、好ましくない。
【0043】
いずれにしても、スパッタ技術は今日では、蒸着技術等と共に、電子部品、素子、例えば典型的にはCDやDVDのような光ディスク材料の分野等で非常に多く用いられている慣用技術である。金属酸化物やセラミックスのような誘電性の材料をスパッタリングする際には、陰極周波数1〜30MHzのRFスパッタがより好ましいが、直流スパッタを行なうことも、無論できる。スパッタガスとしては一般的に用いられているArガス、及び好ましくはKrガスやXeガスを用いることができる。Ar、Kr及びXeは同族元素でありいずれも化学的に不活性であるが、KrはArより周期律表の1周期高次の元素でありXeは2周期高次の元素であって、Arに比べ大きな原子量を有するため、被スパッタ材料をArに比べより減速することができる。また、スパッタガス圧は5×10−2torr以上とすることが、基材中への過度の打ち込みを防ぐ観点から好ましい。
【0044】
しかしながら、このような操作によっても、基材の改質は、種々の条件により一様ではない。イオン照射時の条件の違いにより、照射されたイオンは基材内部によく拡散し又は拡散が少ない。また、通常のモードによるイオン照射時には、注入されたイオンは、注入点に関して横方向でガウス分布をとるため、基材の各位置が必ずしも一様に改質されている訳ではない。したがって、基材の位置を移動させ又は回転させる手段を設けることが、より好ましい。
【0045】
【実施例】
(実施例1、比較例1,2)
以下、本発明を実施例により説明するが、この実施例は本発明の好ましい態様を具体的に説明するためのものであって、本発明を制限するためのものではない。
【0046】
[材料および方法]
[1.実験動物]
本研究の一部は、学術フロンティア推進事業(文部科学省)および日本大学松戸歯学部鈴木研究費(奨励研究03−2010)によって行なわれ、実験プロトコールは、日本大学歯学部実験動物倫理委員会の承認を受けて実施された。実験動物は、1週間以上予備飼育し、13適齢2.5kgの健康状態に異常の認められなかったNew Zealand White Rabbit 12羽を使用した。
【0047】
[2.試験材料]
材料はNew York大学Biomaterials and Biomimetics 講座prof. LeGeros R. Z., Prof. LeGeros J. P. が訪日した際に本発明者に提供した直径2.8mm、深さ8.0mmのチタン合金に比較例1、2及び実施例1の3種類の表面処理を施したインプラントを使用した。
[比較例1]:アルミナによるブラスティング(以下、G1)、
[比較例2]:アパタイト研磨剤によるブラスティング(以下、G2)、
[実施例1]:平均粒径0.2mmの市販の砥粒用アルミナを用い、これを0.4Paのブラスト圧子でブラスト不要部分がマスクされたグリップを120rpmの低速で回転させながらブラスティングを行い、次にこれを純水中で超音波洗浄した後、真空乾燥し、次にハイドロキシアパタイトによるプラズマスプレーコーティング(以下、G3)を行った。部分マスクされたチタングリップ材料を回転及び位置変更自在に基台に配置した後、コーティング室内を真空ポンプで10−6torrまで減圧したことを確認し、マスフローコントローラを用いてAr流量を制御することにより5×10−3torrとし、13.56MHz、150WのRF電力を供給し、90秒間スパッタリングした。なお、G1,G2の各サンプルも超音波洗浄されたものであり、また、これらG1,G2,G3の各サンプルはブラスト処理前に、過硫酸アンモニウムエッチング液で、エッチング処理されたものである。図9〜11には走査型電子顕微鏡による3種類の表面構造の違いを示す。
【0048】
[3.埋入方法]
麻酔方法はNakada, Okazaki et a1. の方法に準じて、ペントバルビタールナトリウム溶液(ネンブタール:大日本製薬社製)を用いて50mg/kgを静脈内注射で投与した。手術野は左右下肢の内側皮膚を剃毛した後、アルコール綿およびヨードチンキにて消毒後、浸潤麻酔(2% Xylocaine:藤沢薬品工業社製)を施した。その後、メスを用いて切開して骨面を露出し骨膜まで剥離を行った。埋入窩は、インプラント用エンジン(IMPLANTOR−S:京セラ社製)を用いて、低速回転(ギア比1:16)で滅菌した生理食塩水を注水しながら膝関節から末梢側20mmの位置に皮質骨の長軸に対し垂直に直径2.8mm、深さ8.0mmの孔を形成した。埋入窩は生理食塩水で充分洗浄し、根幹充填用ピンセットを用いて1羽目の右側にG1を埋入し、左側にG2を埋入した。2羽目は右側にG3の埋入を行い、左側はコントロールとして埋入窩形成のみとした。創は通法に従い縫合した。切開した皮膚は、サージカルシルク針付き縫合針(734H,針J−1 17mm:ETHICON社製)を用いてマットレス縫合し閉鎖した。術後3日間は、抗生剤(シオマリン:塩野義製薬社)を投与した。インプラント埋入後1週,2週,4週ごとにペントバルビタールナトリウム溶液の腹腔内過剰投与にて2匹ずつ安楽死後、左右側脛骨を取り出し生理食塩水で充分洗浄した後はエタノールによる浸漬固定を行った。
【0049】
[4.非脱灰組織標本による走査電子像と反射電子像の観察]
非脱灰組織標本作製の手順は、骨組織の固定を行い、70〜100%エタノールおよび100%アセトンにより骨組織の脱水および脱脂を行い、樹脂(オステオレジン包埋キット:和光純薬工業株式会社)に包埋した。樹脂は脛骨の長軸に対し平行で試験片の縦軸を二等分する方向で、ダイヤモンドディスク(Isomet :Buhler, USA)を用いて100μmの間隔で10〜15枚に薄切し、非脱灰組織標本(40μm)を作製した。観察方法はMishima el a1. の方法に準じて、表面をカーボン蒸着し(TB−500, Emscope, England)走査型電子顕微鏡(scanning electron microscopy)(JSM−T200:日本電子株式会社)加速電圧15kVにて走査電子像観察と判に付属したBSI(Si(Li)検出器)を用い反射電子像(back−scattering imaging以下:BSI)を全ての標本について観察した。
【0050】
[結果]
走査電子顕微鏡による反射電子像観察は、結晶表面の状態を原子レベルで知ることができるほか、表面再配列構造の分布や、結晶成長の動的観察などを行うことも可能である。
G1においては,各週においてインプラントに接している所はG2,G3に比較するとわずかであった。新生骨は周囲の既存骨からインプラントの方向へ流れるように形成されていた。1週よりも4週目ではインプラントに接している骨幅が増大していた。骨髄腔内において新生骨の造成は見られなかった(図12〜14参照)。
G2においては、G1と同様に既存骨からインプラントの方向へ流れるように形成されていた。1週目ではインプラントに直接接するような新生骨は認められなかった。しかし、2週目以降では数層にわたる海面骨様な新生骨の形成が認められた。この骨形成は、骨髄腔内から海面骨様の新生骨の形成が認められ、G2ではこれまでと異なる骨成長パターンがあるものと思われる。インプラントに接する新生骨は1週から経時的に骨幅や接触面の増加が認められた(図15〜20参照)。
G3においては、G1、G2に比較して早期に骨形成・添加が始まり1週目から数層にわたる海面骨様な新生骨の形成、および周囲の既存骨からインプラントの方向へ流れるように骨形成が認められた。2週目以降では骨幅や接触面の増加が認められたが、G2の様な骨髄腔内からの骨形成は認められなかった。
またインプラント周囲のハイドロキシアパタイトはわずかに吸収している像が見られた(図21〜23参照)。
G1およびG3における新生骨の形成は隣接する皮質骨部分からインプラント表面に流れるように観察されたが、G2は骨髄細胞のある骨円柱部分から発生する骨成長パターンが観察され、膜様骨形成を思わせる新たな骨形成のパターンを観察できた。
【0051】
【発明の効果】
硬組織の組織構造の基本的観察は、研磨標本やマイクロラジオグラムを使用していたが、定量的な観察・測定のためには厚さが均一でなるべく薄い切片を作製する必要があることや標本の作製に手間ひまがかかる。例えば50μm厚の切片を作成しようとしたとき、1μmの厚さの違いは2%の誤差を生じたことになる。しかし、硬組織研究技術の一環として発達してきた走査型電子顕微鏡の観察により、石灰化物の構造が詳細に検索できるようになってきた。
反射電子像の特徴は1.試料表面を構成する物質の密度や原子番号の差によるコントラスト像、2.エネルギーが高いため少し深い所の情報も得られる、3.試料表面における帯電現象の少ない画像、などが得られる利点がある。また、非常に微細な硬組織でも薄切片を作ることなく容易にマイクロラジオグラムと同等以上の物理化学的情報が得られる利点がある。Jones and Boydeは反射電子像を利用することにより、石灰化組織の石灰化前線や結晶の方向性に対する新しい情報が得られると報告している。
今回BSIによって得た観察結果を模式図で示すと図24のようになる。G1,G2およびG3の比較において、G1およびG3は緻密骨から延長しインプラントに一層覆う類似したパターンが見えた。また、G3の新生骨は網目状の構造を呈していた。G2は、骨髄腔内から新生骨の発生が見られG1およびG3とでは明らかに骨の形成に違いがあることが認められる。この違いは表面正常の違いが考えられ、中でもG3の4週目では表面のコーティング層が一部脱落している像が観察され、新生骨がその部で形成されなかったことが考えられる。従来の顕微鏡観察では新生骨形成の判断が困難であったけれども、BSIを使用して全体像を把握して明確に骨形成パターンを観察することができた。
我々の研究は、アパタイト研磨剤によるブラスト処理を行い、表面積の増加と表面の塑造をつくり骨の沈着を改善することを目的に表面処理方法を開発した。アパタイトによるブラスト処理は表面にアルミニウムが残らないクリーンなもので、G2においてより反応性が高く特徴的な骨形成パターンが観察された。これは骨の組織発生学的に結合組織中の未分化間葉系細胞が骨芽細胞へ分化して骨組織を作る膜内性骨化と、既存の軟骨支柱内に骨が形成される軟骨性骨化によることが考えられる。G1およびG3においては、既存の骨組織から進展するような新生骨形成が観察されることからMatsuda et a1の報告と一致した。しかし、G2の結果はブラスト処理により金属表面の反応性が向上することに関係するのか、またその逆の作用が働き骨の発生を生み出したかは、現在のところ明らかではない。
顎骨内へ埋入後のインプラントとその周囲骨の接する領域に起こる組織界面反応は、骨芽細胞の分化とそれに関連した細胞外基質の生成に影響を与える。さらに、分子・細胞学的アプローチによりインプラント周囲を支持する骨組織形成量のコントロールが可能であれば、臨床におけるインプラント治療の改善や適応症の拡大に貢献できるという顕著な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】燐酸二カルシウム二水和物CaHPO・2HO(DCPD)のXRDチャートを示す図である。
【図2】DCPDのIRスペクトルチャートを示す図である。
【図3】市販のカルシウムヒドロキシアパタイトCa10(OH)(PO及び950℃で焼成後の回折ピークを示す図である。
【図4】95℃で沈殿析出したアパタイトの焼成前(b),(d)及び800℃で焼成後(a),(c)のXRDチャートを示す図である。
【図5】pH5で60℃又はpH4で70〜80℃で沈殿析出されたOCPのXRDチャート(a)及びIR吸収スペクトルチャート(b)を示す図である。
【図6】沈殿法による生成物を950℃で焼成して得られたカルシウムヒドロキシアパタイトCa10(OH)(PO(HA)のXRDチャートを示す図である。
【図7】燐酸カルシウム(Ca−P)の溶解度のpH依存性を示す図である。
【図8】表面改質用材料とそのエネルギーの関係を示す図である。
【図9】G1の表面組織の走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】G2の表面組織の走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】G3の表面組織の走査型電子顕微鏡写真である。
【図12】G1の1週目の反射電子像を示す図である。
【図13】G1の2週目の反射電子像を示す図である。
【図14】G1の4週目の反射電子像を示す図である。
【図15】G2の1週目の反射電子像を示す図である。
【図16】G2の2週目の反射電子像を示す図である。
【図17】G2の2週目の着色されたヴィラヌエヴァ試料の偏光顕微鏡写真像を示す図である。
【図18】G2の2週目の着色されたヴィラヌエヴァ試料の顕微鏡写真像を示す図である。
【図19】G2の2週目の着色されたヴィラヌエヴァ試料の反射電子像を示す図である。
【図20】G2の4週目の反射電子像を示す図である。
【図21】G3の1週目の反射電子像を示す図である。
【図22】G3の2週目の反射電子像を示す図である。
【図23】G3の4週目の反射電子像を示す図である。
【図24】反射電子像によって得た観察結果を模式図で示したものである。

Claims (2)

  1. チタンインプラント材料表面を、所望により酸エッチング処理し又は酸エッチング処理せず、粉体アルミナを用いてブラスト処理することにより粗面加工し、次に所望により該粗面加工されたチタンインプラント材料表面を清掃処理して微細付着物を該表面から除去し、次に、燐酸二カルシウム二水和物CaHPO・2HO(DCPD)、燐酸八カルシウムCa(PO・5HO(OCP)、ホワイトロッカイト(whitlockite)又は燐酸三カルシウムCa(PO(β−TCP、α−TCP)、カーボネートアパタイト、及びカルシウム−OH−アパタイトCa10(PO(OH)(HA)からなる群から選択された燐酸カルシウム(Ca−P)を、プラズマアシストにより該チタンインプラント材料表面にスパッタリング被覆することを特徴とする歯科用プラントの製造方法。
  2. 所望により酸エッチング処理し又は酸エッチング処理せず、粉体アルミナを用いたブラスト処理による粗面に、燐酸二カルシウム二水和物CaHPO・2HO(DCPD)、燐酸八カルシウムCa(PO・5HO(OCP)、ホワイトロッカイト(whitlockite)又は燐酸三カルシウムCa(PO(β−TCP、α−TCP)、カーボネートアパタイト、及びカルシウム−OH−アパタイトCa10(PO(OH)(HA)からなる群から選択された燐酸カルシウム(Ca−P)のスパッタリング被覆膜を有する歯科用チタンインプラント。
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