JP2005033969A - 放電用電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 非常に簡単な回路構成で電源電圧の2倍以上の電圧をトリガ電圧として放電負荷に印加することができること。
【解決手段】 直流電圧を高周波の交流電圧に変換するインバータ回路と、そのインバータ回路の交流出力電圧が印加される1次巻線と該1次巻線の前記交流出力電圧を昇圧した交流電圧が現出する2次巻線とを有するトランスと、その2次巻線に接続されて前記交流電圧を整流する全波整流回路とを備え、放電開始時には定常の放電電圧よりも高いトリガ電圧を放電負荷に供給し、放電開始後は前記全波整流回路から直流電力を前記放電負荷に供給する放電用電源装置において、前記全波整流回路を構成するダイオードのいずれかにトリガ用コンデンサを並列に接続してなる放電用電源装置。
【選択図】 図1
Description
本発明は、トリガ電圧の印加によって放電状態に至る放電負荷に、トリガ電圧とその後に定常放電電力を供給する放電用電源装置に関する。
放電エネルギーを利用する放電負荷として、各種のレーザ、放電灯、ストロボ装置、放電加工、光ファイバの融着接続、薄膜の形成などがあり、非常に広い分野において放電負荷が使用されている。その放電は、不活性ガスのような特定のガス中、あるいは大気中などで発生されるが、放電の発生時には高い電圧をトリガ電圧として放電負荷の放電電極間に印加する必要がある。このとき、トリガ電力は放電電力に比べてかなり小さいが、トリガ電力を供給する能力が不足すると、トリガ時の漏れ電流によって放電電極間の電圧が上昇せず、放電状態に至らないことがある。しかし一旦、放電電極間に放電が発生すると、放電の発生時のトリガ電圧に比べて低い電圧で放電が維持されるので、必要な大きさの放電電流を流すことができる電力を供給すればよい。
このような放電用電源装置の従来例の1例について、図6によって説明する。図6において、入力側整流回路51は3相交流電圧を整流して直流電力に変換し、インバータ回路52はその直流電圧を数kHz〜数10kHzの高周波交流電圧に変換する。インバータ回路52は周知のものであり、通常、パルス幅制御(オン時間比率制御)される。トランス53は、インバータ回路52から1次巻線53aに印加された高周波交流電圧を所定の変圧比で昇圧された交流電圧を2次巻線53bに現出する。2次巻線53bの交流電圧は、出力側の全波整流回路54によって直流電圧に変換され、コンデンサ55で平滑化されて、放電負荷56に印加される。放電負荷56は、通常、一方の端子は接地され、負の電圧が印加される。
このような構成の従来の放電用電源装置において、商用交流入力電圧をAC200Vとすれば、入力側整流回路51の整流電圧はほぼ260Vとなる。定常放電電圧を500Vとすれば、トランス53の2次巻線53bと1次巻線53aとの巻数比、つまり昇圧比nは約2でよいが、必要なトリガ電圧を1000Vとすると、この1000Vのトリガ電圧を発生するためには、前記昇圧比nは4程度必要である。
この従来の放電用電源装置の動作説明を行うと、放電開始時にはインバータ回路52が最大のパルス幅で制御され、1000Vのトリガ電圧を発生する。放電負荷56がこの1000Vのトリガ電圧でトリガされて、定常の放電状態に移行したとすれば、放電負荷56の不図示の放電電極間電圧である定常放電電圧は500V程度に低下する。したがって、インバータ回路52のオン時間比率(パルス幅)を小さくしなければならない。しかし、インバータ回路52のオン時間比率を小さくすると、インバータ回路52の出力電流のピーク値が増加し、実効値が増加するから、インバータ回路52のスイッチング素子であるIGBT又はFETの電力損失が大きくなり、その発熱やトランス53の巻線損失が増加するという問題が生じる。
図6の従来の放電用電源装置の欠点を除去するために、図7に示す装置が提案されている。図7用いる記号で、図6で用いた記号と同一の記号は、同じ名称の部材を示すものとする。この従来装置は2次巻線53bとは別に、500V程度のトリガ電圧供給用の第2の2次巻線53cをトランス3に設け、その第2の2次巻線53cの電圧をトリガ用整流器57で整流し、抵抗58を通してバイパスダイオード59の両端にほぼ500Vの電圧を印加する。バイパスダイオード59の両端の500Vの電圧は、全波整流回路54の整流電圧500Vに重畳され、放電負荷56にほぼ1000Vの電圧を供給する。
この電源装置では、トリガ電圧の印加によって放電が開始し、定常放電に移行するときにバイパスダイオード59が導通し、第2の2次巻線53cが短絡されるので、短絡電流を制限するための抵抗58が必要になる。この抵抗58は、定常放電時には無駄な電力を消費することになり、効率の低下と、発熱を招くことになる。
以上の説明から分かるように、従来の放電用電源装置では、その構成及び制御が複雑になり、電力損失の増加、コストアップになるなど種々の欠点がある。
本発明は、簡単な回路構成で、しかもインバータ回路の簡便な通常の制御方法で、放電開始時には放電を発生させるのに必要な大きなトリガ電圧を供給し、放電が発生して放電状態に至ったときには、インバータ回路を流れる電流のピークをできるだけ制限しながら定常放電状態を維持するのに必要な直流電力を供給することを課題とする。
請求項1の発明は、直流電圧を高周波の交流電圧に変換するインバータ回路と、該インバータ回路の交流出力電圧が印加される1次巻線と2次巻線とを有するトランスと、該2次巻線に接続されて前記交流電圧を整流する全波整流回路とを備え、放電開始時には該全波整流回路の出力電圧よりも高いトリガ電圧を放電負荷に供給し、放電開始後は前記全波整流回路が出力する直流電力を前記放電負荷に供給する放電用電源装置において、前記全波整流回路を構成するダイオードのいずれかにトリガ用コンデンサを並列に接続してなる放電用電源装置を提供することを目的とするものである。
請求項1の放電用電源装置によれば、非常に簡単な回路構成で電源電圧の2倍以上の電圧をトリガ電圧として放電負荷に印加することができる。各サイクルでトリガ電圧が発生されるので、条件などの変動で放電電流が少なくなった場合でも、放電が消滅し難い。
請求項2に係る放電用電源装置は、請求項1において、前記全波整流回路がフルブッリジ整流回路であるとき、直列接続されているどちらか一方の一対の前記ダイオードに前記トリガ用コンデンサがそれぞれ並列に接続されていることを特徴とする放電用電源装置を提供する。
請求項2の放電用電源装置によれば、非常に簡単な回路構成で電源電圧の2倍以上の任意の大きさのトリガ電圧を得ることができ、トリガに要する時間を短縮、又は高いトリガ電圧が要求される場合にも対応することができる。
請求項3に係る放電用電源装置は、請求項1において、前記トランスは、直列接続された二つの2次巻線を有し、前記全波整流回路はセンタタップ型の整流回路であり、前記トリガ用コンデンサは前記二つの2次巻線に現出する電圧の和に等しい電圧まで充電されることを特徴とする放電用電源装置を提供する。
請求項3の放電用電源装置によれば、非常に簡単な回路構成で電源電圧の2倍のトリガ電圧を得ることができ、トリガに要する時間を短縮することができる。
請求項4に係る放電用電源装置は、請求項1又は請求項2において、トリガ前に前記放電負荷を流れる漏れ電流をIt、定常放電電圧をE、前記インバータ回路の変換周波数をFとするとき、前記トリガ用コンデンサの容量Cは、It/(E×F)以上であり、かつ前記放電負荷が定常放電状態にあるときに前記全波整流回路は全波整流動作を行える容量以下に制限される放電用電源装置を提供する。
請求項4の放電用電源装置によれば、インバータ回路の制御を複雑にすることなく、放電負荷を確実に放電状態に至らせると共に、インバータ回路やトランスなどの電力損失を抑制できる。
請求項5に係る放電用電源装置は、請求3において、トリガ前に前記放電負荷を流れる漏れ電流をIt、定常放電電圧をE、前記インバータ回路の変換周波数をFとするとき、前記トリガ用コンデンサの容量Cは、It/(2×E×F)以上であり、かつ前記放電負荷が定常放電状態にあるときに前記全波整流回路は全波整流動作を行える容量以下に制限される放電用電源装置を提供する。
請求項5の放電用電源装置によれば、インバータ回路の制御を複雑にすることなく、高いトリガ電圧を印加することができ、放電負荷を確実に放電状態に至らせると共に、インバータ回路やトランスなどの電力損失を抑制できる。
本発明によれば、簡単な回路構成で、しかもインバータ回路の簡便な通常の制御方法で、確実に放電負荷に放電を発生させ、かつ定常放電状態を維持することができる。
先ず、本発明を実施するための最良の形態を示す実施例1について説明する。
図1は本発明の第1の実施例である放電用電源装置100を示し、図2はその動作を説明するためのものである。入力側整流回路1は単相交流電圧を整流して直流電力に変換し、インバータ回路2はその直流電圧を数kHz〜数10kHzの高周波交流電圧に変換する。インバータ回路2は周知のものであり、通常、パルス幅制御(オン時間比率制御)される。トランス3は、インバータ回路2から1次巻線3aに印加された高周波交流電圧を所定の変圧比で昇圧された交流電圧を2次巻線3bに現出する。2次巻線3bの交流電圧は、4個のダイオード4A〜4Dをブリッジに接続してなる全波整流回路4によって全波整流され、平滑用コンデンサ5で平滑化されて、放電負荷6に印加される。放電負荷6は、通常、一方の端子が接地され、不図示の放電電極間には負の直流電圧が印加される。
出力側の全波整流回路4における4個のダイオード4A〜4Dのうちの1個のダイオード4Aと並列に、トリガ用コンデンサ7が接続されている。トリガ用コンデンサ7は、ダイオード4Aとは別のダイオードに並列接続されても勿論よい。
なお、制御回路8は負荷電圧を検出する電圧検出器9、出力電流を検出する電流検出器10からの電圧検出信号、電流検出信号を受けて、放電負荷6に供給される電力が所定に値になるよう、インバータ回路2をパルス幅制御する。
次に、図1に示す実施例の動作について説明を行う。図2(A)に示すように、2次巻線3bの一方の端子Aが負、他方の端子Bが正の半サイクルでは、電流が端子Bからダイオード4C、トリガ用コンデンサ7、端子Aを通して流れ、トリガ用コンデンサ7を図示極性で電圧Eに充電する。そして、次の半サイクルになると、端子Aが正、端子Bが負になるので、図2(B)に示すように、2次巻線3bの交流電圧Eにトリガ用コンデンサ7の電圧Eが重畳され、その重畳された電圧2Eが放電負荷6の不図示の放電電極間に印加される。
後述するように、実際の放電負荷では漏れ電流が流れるので、各サイクルで前述のような動作を繰り返すことによって、トリガ用コンデンサ7は2次巻線3bの交流電圧Eまで充電される。トリガ用コンデンサ7が電圧Eまで充電されると、2次巻線3bの交流電圧Eにトリガ用コンデンサ7の電圧が重畳された電圧2Eが、平滑用コンデンサ5を通して放電負荷6に印加され、放電負荷6はトリガされる。平滑用コンデンサ5が電圧2Eで充電される動作では、ダイオード4Cと4Dだけが導通し、ダイオード4Aと4Bは導通しない。つまり、トリガ用コンデンサ7とダイオード4C、4Dは変則的な半波倍電圧整流回路として機能する。
ここで、トリガ用コンデンサ7が電圧Eまで充電される時間は、トリガ用コンデンサ7の容量の大きさに左右され、図3に示すように、トリガ用コンデンサ7の容量が大きいほど充電時間は短くて済む。
電圧2Eは、放電負荷6の不図示の放電電極間に放電を起させる十分な電圧値とエネルギーをもつものであり、放電電極間を確実にトリガして放電状態に至らせることができなければならない。その放電の開始によって放電電極間の気体はイオン化する。放電電極間に存在するイオンによって、放電電極間のインピーダンスは低下し、その放電電圧も当然に小さくなる。したがって、放電電極間にイオンが多数存在する間に次の半サイクルに移行し、かつ電源が放電を持続するのに必要な電流を供給できる能力があれば、トリガ電圧に比べて小さい電圧で定常放電を維持できる。定常の放電状態になると、図2(C)に示すように、放電負荷6の電圧はEになる。
ここで、トリガ用コンデンサ7の容量Cが小さ過ぎると、放電負荷6を流れる漏れ電流Itによって、トリガ用コンデンサ7を電圧Eまで充電することができないので、放電負荷6の不図示の放電電極間に放電を開始させることができない。次に、トリガ用コンデンサ7の最低限必要な容量Cを求める。
放電開始前の放電負荷6の漏れ電流をItとし、トランス3の2次巻線3bの高周波交流電圧の1周期をTとすると、その1周期Tにおける漏れ電流Itによる漏れ電荷量Qは、Q=It×Tとなる。
この電荷量Qが漏れ電流Itとしてすべて放電されるとき、平滑用コンデンサ5の充電電圧の低下する電圧値ΔVが電圧Eよりも小さくなければ、平滑用コンデンサ5の充電電圧を2倍の電圧2Eに向けて上昇させることができない。したがって、ΔV=Q/C<Eの式が成り立ち、この式はC>Q/E=It×T/E=It/(E×F)となる。ただし、Fはトランス3の2次巻線3bの高周波交流電圧の周波数、つまりインバータ回路2の変換周波数であり、周期Tの逆数である。
前記式から、トリガ用コンデンサ7の容量CがIt/(E×F)よりも小さいと、漏れ電流Itの影響で、トリガ用コンデンサ7が電圧Eまで達しないので、トリガ電圧が2Eまで上昇できず、放電負荷6を放電状態に至らせることが難しくなる。したがって、トリガ用コンデンサ7の容量Cは、C>It/(E×F)の式を満足する値でなければならない。しかし、実際上では電力損失やトリガに要する時間を考慮しなければならないので、確実に、しかも短い時間で放電負荷6を放電状態に至らせるには、トリガ用コンデンサ7の容量Cは、It/(E×F)の1.5倍以上であることが好ましい。トリガ用コンデンサ7の容量CをIt/(E×F)の1.5倍以上の値に選ぶことによって、高周波交流電圧の各サイクルでトリガ用コンデンサ7の充電電圧は確実に上昇し、短い所要時間で放電負荷6はトリガされる。放電負荷6がトリガされ、放電負荷6に放電が発生すると、放電負荷6の電圧は低下し、全波整流回路4が全波整流動作を行って放電負荷6に電力を供給する。
また、他方ではトリガ用コンデンサ7の容量Cが大き過ぎると、放電負荷6が定常放電状態に至ったときに、トリガ用コンデンサ7だけを通して電力が放電負荷6に供給、つまり全波整流回路4が半波倍電圧整流動作を行う期間が長くなる。全波整流回路4が半波倍電圧整流動作を行うと、全波整流動作よりも高い出力電圧(2E)となるので、インバータ回路2がパルス幅を絞って狭いパルス幅で動作することになる。その狭いパルス幅で必要な放電電流を流すので、電流のピーク値は急激に大きくなり、インバータ回路2において電流容量の大きなスイッチング半導体素子が必要となるばかりでなく、電力損失が大きくなる。したがって、トリガ用コンデンサ7の容量Cは、前記容量Cを目安に必要最小限の値を上限容量Cuにすることが好ましい。
この上限容量Cuは、負荷条件、例えば放電負荷6に供給する放電電流、放電負荷6における不図示の放電電極間の間隔、その放電電極の雰囲気における気体の種類などによって影響を受けるので、一概には決められない。負荷条件が決められると、その負荷条件に従って実験を行い、定常放電時に全波整流回路4が半波整流動作から全波整流動作に移行するようトリガ用コンデンサ7の容量Cを選定し、このときの容量Cをもって上限容量Cuとする。
このように、トリガ用コンデンサ7の容量CがIt/(E×F)よりも大きく、好ましくはIt/(E×F)の1.5倍よりも大きければ、確実に放電負荷6をトリガできる。しかし、放電開始後もトリガ用コンデンサ7に充電されたエネルギーが毎サイクル、平滑用コンデンサ5に移行するために定常放電時のリプル電圧が大きくなるものの、そのエネルギーは放電エネルギーとして使われるから、無駄な電力損失にならない。
次に、上述のような考え方に基づいて設計を行い、シミュレーションした結果を図3に示す。条件は下記のとおりである。
(1)定常放電電圧Eo=500V
(2)定常放電時の放電電流Io=20A(このときの負荷抵抗25Ω)
(3)トリガ電圧Vt=1000V
(4)トリガ前の漏れ電流It=10mA(このときの負荷抵抗100kΩ)
(5)高周波電源の出力電圧の実効値Vo=260V
(6)トランス3の昇圧比n=2
なお、放電負荷6の不図示の放電電極の雰囲気にアルゴン(Ar)ガスを用い、プラズマ放電を発生させた。シミュレーションでは、インバータ回路2を実効値260Vの高周波交流電源に置き換えた。放電負荷6は、トリガ前には電流負荷を模擬する100kΩの負荷抵抗を接続して漏れ電流を流し、起動後、負荷電圧が1000Vに達すると、トリガし、スイッチによりプラズマ放電負荷を模擬する25Ωの負荷抵抗に切り替えた。
(1)定常放電電圧Eo=500V
(2)定常放電時の放電電流Io=20A(このときの負荷抵抗25Ω)
(3)トリガ電圧Vt=1000V
(4)トリガ前の漏れ電流It=10mA(このときの負荷抵抗100kΩ)
(5)高周波電源の出力電圧の実効値Vo=260V
(6)トランス3の昇圧比n=2
なお、放電負荷6の不図示の放電電極の雰囲気にアルゴン(Ar)ガスを用い、プラズマ放電を発生させた。シミュレーションでは、インバータ回路2を実効値260Vの高周波交流電源に置き換えた。放電負荷6は、トリガ前には電流負荷を模擬する100kΩの負荷抵抗を接続して漏れ電流を流し、起動後、負荷電圧が1000Vに達すると、トリガし、スイッチによりプラズマ放電負荷を模擬する25Ωの負荷抵抗に切り替えた。
前記式により、トリガ用コンデンサ7の最小の容量Cは、
C=It/(E×F)=0.01/(500×203)=1nF
あるので、最小の容量よりも容量の小さい0.9nF、最小容量の1nF、1.1nF、1.2nF、1.5nF、3nFの場合についてシミュレーションを行った。
C=It/(E×F)=0.01/(500×203)=1nF
あるので、最小の容量よりも容量の小さい0.9nF、最小容量の1nF、1.1nF、1.2nF、1.5nF、3nFの場合についてシミュレーションを行った。
それぞれのシミュレーション結果を順に曲線A、曲線B、曲線C、曲線D、曲線E、曲線Fで示す。曲線A(0.9nF)の場合には、トリガ用コンデンサ7の充電電圧が500Vに達しないために、必要なトリガ電圧(1000V)が得られず、放電負荷6はトリガされない。曲線B、曲線Cの場合には、図示されていないが、長い時間をかけて1000Vに達する。しかし、実際の装置ではこのような容量を選定することは難しい。
トリガ用コンデンサ7の容量Cが1.2nF(曲線D)の場合には、比較的短時間でトリガ電圧が電圧1000Vまで上昇し、起動後、110ms程度の時間でトリガされ、プラズマ放電に移行している。トリガ用コンデンサ7の容量Cが1.5nF(曲線E)の場合には、更に短い時間でトリガ電圧が電圧1000Vまで上昇し、40ms程度の時間でトリガされ、プラズマ放電に移行しているのが分かる。そして、トリガ用コンデンサ7の容量Cが3nF(曲線F)の場合には、更に短い時間でトリガ電圧が電圧1000Vまで上昇し、20msの時間で程度でトリガされ、プラズマ放電に移行しているのが分かる。なお、図3において、放電発生を示すハッチング領域(幅)は放電電圧のリプル電圧を示す。
次に、図4によって本発明に係る第2の実施例の放電用電源装置200について説明する。図1では、全波整流回路4としてフルブリッジ型の整流回路を用いたが、この実施例ではセンタタップ型の整流回路を用いているところに特徴がある。図4において、図1で用いた記号と同一の記号は、図1の部材と同一の名称の部材を示すものとする。
トランス3は、2次巻線3bに2次巻線3cを直列に付加し、そして2次巻線3bと3cとがセンタタップ構成になっており、中点3dを有する。これら2次巻線3bと3cの両端子A、Bには、直列にそれぞれダイオード4A、4Bが接続され、センタタップ型の全波整流回路4を構成している。全波整流回路4は実施例1のものと同様な動作を行う。
トリガ用コンデンサ7は、一方のダイオード4Aと並列に接続されている。2次巻線3bと3cそれぞれの電圧をEとすると、端子Aが負で、端子Bが正のとき、トリガ用コンデンサ7は2Eに充電される。次に、端子Aが正で、端子Bが負になると、トリガ用コンデンサ7の充電電圧2Eに2次巻線3bの電圧Eが重畳され、3Eのトリガ電圧が平滑用コンデンサ5を介して放電負荷6に印加され、トリガする。したがって、この実施例の回路は定常放電電圧に比べてかなり高いトリガ電圧が必要な場合に適する。
図5によって本発明に係る第3の実施例である放電用電源装置300について説明する。図1では、全波整流回路4を構成するブッリジ接続されたダイオードのいずれかに並列にトリガ用コンデンサ7を接続したが、この放電用電源装置300では、図5に示すようにブリッジ回路の直列接続されている一方の一対のダイオード4Aと4Dのそれぞれにトリガ用コンデンサ7、7’を接続している。図5において、図1で用いた記号と同一の記号は、図1の部材と同一の名称の部材を示すものとする。
放電用電源装置300の動作について説明すると、2次巻線3bの高周波交流電圧Eが、端子Bが正で、端子Aが負の半サイクルであるとき、電流は端子Bからダイオード4Cを通してトリガ用コンデンサ7を充電する。次に、2次巻線3bの高周波交流電圧Eが、端子Aが正で、端子Bが負の半サイクルになると、トリガ用コンデンサ7’及びダイオード4Dを通して流れて、トリガ用コンデンサ7’を充電する。このような動作を繰り返し、トリガ用コンデンサ7、7’が充電され、その電圧は電圧Eに向けて上昇する。そして、トリガ用コンデンサ7又は7’のいずれかが2次巻線3bの交流電圧Eに等しい電圧まで充電されると、電圧2Eが平滑用コンデンサ5を介して放電負荷6に印加され、放電負荷6はトリガされて、定常放電状態に至る。
放電用電源装置300では、トリガ前の各サイクルで導通するダイオードは、ダイオード4Cと4Dだけであり、ダイオード4Aと4Bは導通しない。すなわち、トリガ用コンデンサ7、7’とダイオード4C、4Dが全波倍電圧回路を構成する。2個のトリガ用コンデンサ7、7’で倍電圧動作するので、原理的にはそれらコンデンサの容量Cは図1の放電用電源装置100の場合の1/2の容量C(C>It/(2×E×F))でよいことになる。
なお、以上述べた各実施例では放電負荷6と並列に平滑用コンデンサ5が接続されているが、アーク放電時の放電エネルギーを小さくするために、平滑用コンデンサ5を省くことができる。
本発明の活用例として、エキシマレーザのようなレーザ装置のレーザ管をトリガするための電源、あるいは高輝度放電灯(HID)のような各種放電灯を点灯するための電子点灯装置、又は光ファイバの切断面を突き合わせて接続する際に、放電による熱で光ファイバを溶融させて接続する光ファイバ融着接続用の放電用電源装置として、さらにはプラズマ放電を発生させてプラズマガスをイオン化し、そのイオンをターゲット表面に衝突させ、ターゲット材料を蒸発させて、その蒸気を半導体表面又は光ディスク基板表面に薄膜を形成する薄膜形成装置などが挙げられる。また、その他にも電極間の放電エネルギーを利用する種々の機器の放電用電源として用いることができる。
1・・・入力側整流回路
2・・・インバータ回路
3・・・トランス
4・・・全波整流回路
5・・・平滑用コンデンサ
6・・・放電用負荷
7・・・トリガ用コンデンサ
8・・・制御回路
9・・・電圧検出器
10・・・電流検出器
2・・・インバータ回路
3・・・トランス
4・・・全波整流回路
5・・・平滑用コンデンサ
6・・・放電用負荷
7・・・トリガ用コンデンサ
8・・・制御回路
9・・・電圧検出器
10・・・電流検出器
Claims (5)
- 直流電圧を高周波の交流電圧に変換するインバータ回路と、該インバータ回路の交流出力電圧が印加される1次巻線と2次巻線とを有するトランスと、該2次巻線に接続されて前記交流電圧を整流する全波整流回路とを備え、放電開始時には該全波整流回路の出力電圧よりも高いトリガ電圧を放電負荷に供給し、放電開始後は前記全波整流回路が出力する直流電力を前記放電負荷に供給する放電用電源装置において、
前記全波整流回路を構成するダイオードのいずれかにトリガ用コンデンサを並列に接続してなることを特徴とする放電用電源装置。 - 請求項1において、
前記全波整流回路がフルブッリジ整流回路であるとき、直列接続されているどちらか一方の一対の前記ダイオードに前記トリガ用コンデンサがそれぞれ並列に接続されていることを特徴とする放電用電源装置。 - 請求項1において、
前記トランスは、直列接続された二つの2次巻線を有し、前記全波整流回路はセンタタップ型の整流回路であり、前記トリガ用コンデンサは前記二つの2次巻線に現出する電圧の和に等しい電圧まで充電されることを特徴とする放電用電源装置。 - 請求項1又は請求項2において、
トリガ前に前記放電負荷を流れる漏れ電流をIt、定常放電電圧をE、前記インバータ回路の変換周波数をFとするとき、
前記トリガ用コンデンサの容量Cは、It/(E×F)以上であり、かつ前記放電負荷が定常放電状態にあるときは全波整流動作を行う容量以下に制限されることを特徴とする放電用電源装置。 - 請求項3において、
トリガ前に前記放電負荷を流れる漏れ電流をIt、定常放電電圧をE、前記インバータ回路の変換周波数をFとするとき、
前記トリガ用コンデンサの容量Cは、It/(2×E×F)以上であり、かつ前記放電負荷が定常放電状態にあるときは全波整流動作を行う容量以下に制限されることを特徴とする放電用電源装置。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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