JP2005033528A - 通信セッションの確立方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セッション制御サーバにアドレス情報が未登録の端末と相手端末との間にセッションを確立する。
【解決手段】送信側および着信側の各ユーザ端末はセッション確立のためのネゴシエーションを相互に行うと共に、アドレス情報がセッション制御サーバに登録されていない身近な未登録端末と通信することにより、自端末のみならず未登録端末において提供可能なサービスを把握する。そして、これらの未登録端末に対して相手端末とのセッション確立に必要な情報を提供することで、セッション制御サーバを新たに介在させることなく、未登録端末と相手端末との間にセッションを確立させる。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信サービス開始時における通信リソースの発見および決定手法、ならびに通信中のユーザによる通信リソースの動的な切替え手法に関する。
【0002】
【従来技術】
パーソナルコンピュータ、携帯電話あるいはPDAといった通信端末の普及に伴って一人のユーザが複数の通信端末を所有し、例えば大容量のデータ通信であればパーソナルコンピュータを使用し、音声通信やショートメールであれば携帯電話を使用するといったように、用途や状況に応じて通信端末やアプリケーションを使い分ける環境が整いつつある。
【0003】
一方、データ通信と音声通信との融合が進み、VoIP(Voice over IP)のように、IP網上で音声情報を送信する技術が普及しつつある。VoIP では、始めに通信端末間に仮想的な通話路(セッション)が確立される。IPパケット化された音声データは、確立されたセッション上で転送される。通信装置間のセッション確立、維持、切断を制御するためのセッション制御プロトコルとして、SIP(Session Initiation Protocol )と呼ばれる通信プロトコルがIETF (Internet Engineering Task Force)により仕様化されている。
【0004】
SIPでは、ユーザを唯一に特定するためのSIPアドレスが各ユーザに対して一意に割り当てられる。そして、ユーザが使用する端末をネットワーク上で特定するためのアドレス(たとえば、IPアドレス)とSIPアドレスとの対応関係はSIPサーバによって管理される。
【0005】
このように、一人のユーザが複数の通信端末を所有し、かつ利用可能な通信メディア(音声、画像あるいはテキスト等)やアプリケーションが多岐にわたると、発信側および着信側の双方で最適な通信端末、通信メディア、アプリケーションあるいは通信媒体等(以下、これらを「通信リソース」で代表する場合もある)を選択する技術が要求される。この要求に対して、時々刻々変化するユーザの環境に合わせて利用可能な通信端末や通信メディアを自動的に選択し、それらに合わせてメディアやサービスを自動変換する環境適応型個人通信方式(EAPEC:Environment−Adaptive Personal Communication)が研究されている(信学論 vol.J85−B,No.5,pp.755−767,“ユービキタスコンピューティングネットワーク実現に向けた環境適応型パーソナル通信”)。
【0006】
EAPECによれば、例えば、送信者が受信者に電話をかけたが受信者が不在のために連絡がとれなくても、受信者が携帯用の電子メール端末を持って移動中の場合、EAPEC は利用可能な通信端末や通信メディアに関する情報を自動的に把握し、送信者の電話の音声を蓄積し、それを電子メールのテキストに自動変換し、移動中の受信者の携帯電子メール端末に送り届けることができる。送信者は、EAPECからのガイダンスに従って電子メールへの変換を容認する操作だけでよく、受信者は電話から電子メールへの変換の設定や使用する端末の登録と言った煩雑な人為操作から解放される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
HTTPベースで設計されているSIPは非常に軽量なプロトコルであるため、IP電話の呼制御に使用されるなど注目される技術となっている。しかしながら、セッション確立に関して、SIPやSIPを利用した従来手法では、ユーザが使用可能な端末を前記SIPサーバに予め登録しておく必要がある。将来的に通信リソースが爆発的に増加するユビキタスコンピューティング環境を想定すると、ユーザ周辺に存在する多くの通信リソースをSIPサーバに登録することや、ユーザが移動するたびに動的に変化する利用可能な通信リソースを毎回SIPサーバに登録することは非効率的である上に、ネットワーク資源の浪費にもつながる。
【0008】
また、端末切り替えの観点からすると、従来手法では通信中のユーザが通信リソース切り替えを行う場合、自身の周辺にある通信リソース状況にのみ基づいて切り替え先を決定し、セッションを移行させる。しかしながら、このような手法では、相手ユーザ周辺に存在する通信リソースを全く考慮していないため、相手側により適した通信手段が存在したとしてもそれを利用することができないばかりか、自身の切り替え先リソース選択に関する制約も厳しくなる。また、双方のユーザが通信リソース切り替えを行う際には、片方のユーザごとに順番に行う必要があるため、切り替えに多くの時間が必要となる。
【0009】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、リアルタイム通信サービス開始時にはセッション制御サーバにアドレス情報の登録された既登録端末で着信し、その後、発信側および着信側の既登録端末を介して周辺リソースの発見、サービスの選択等を行うことにより、サービス開始時における端末の選択肢としてセッション確立サーバにアドレス情報が未登録の端末も使用可能とすることにある。
【0010】
本発明の他の目的は、通信リソース切り替え時に各ユーザの周辺に存在する端末や通信リソースの状況を考慮した上で切り替え先リソースを決定し、必要に応じて各ユーザが同時に通信リソースを切り替えられる手法を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、通信リソースの切り替え後、切り替えを主導的に行ったユーザ側の切り替え前後のいずれの端末からでも、切り替え前のサービスを復旧できるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、セッション制御サーバにアドレス情報が既登録の端末に発信して通信セッションを確立し、その後、前記セッション制御サーバにアドレス情報が未登録の端末との間に通信セッションを確立する通信セッションの確立方法において、以下のような手段を具備した点に特徴がある。
【0013】
(1)発信端末と着信端末との間に通信セッションを確立する手順と、前記通信セッションを利用して、前記発信端末および着信端末の一方から他方へ、所望のサービスを実現可能な通信リソースの探索を要求する手順と、前記他方の端末が前記要求に応答して、自端末を含む他方側端末群を対象に通信リソースを探索する手順と、前記通信セッションを利用して、前記他方の端末から一方の端末へ、前記探索結果を返信する手順と、前記一方の端末が、前記受信した探索結果に基づいて一つの通信リソースを決定する手順と、前記一方の端末が、前記決定された通信リソースを起動する手順と、前記通信セッションを利用して、前記一方の端末から他方の端末へ、前記決定された通信リソースおよび当該通信リソースとの間に通信セッションを確立するために必要な一方側セッション情報を送信する手順と、前記他方の端末が、前記決定された通信リソースに対応した他方側端末群のいずれか一つの他方側対応端末へ前記一方側セッション情報を通知する手順と、前記他方側対応端末が、前記決定通知に応答して前記通信リソースを起動する手順と、前記他方側対応端末が、前記決定された通信リソースとの間に通信セッションを確立するために必要な他方側セッション情報を前記他方の端末へ提供する手順と、前記通信セッションを利用して、前記他方の端末から一方の端末へ、前記他方側セッション情報を送信する手順と、前記一方の端末の通信リソースと前記他方側対応端末の通信リソースとの間に、前記一方側セッション情報および他方側セッション情報に基づいて通信セッションを確立する手順と、前記発信端末と着信端末との間に確立した通信セッションを切断する手順とを含むことを特徴とする。
【0014】
(2)前記一方の端末が、自端末を含む一方側端末群を対象に、前記所望のサービスを実現可能な通信リソースを探索する手順と、前記一方の端末が、前記決定された通信リソースに対応した一方側端末群のいずれか一つの一方側対応端末へ前記他方側セッション情報を通知する手順と、前記一方側対応端末が、前記決定された通信リソースを起動する手順とを含み、前記一方側対応端末の通信リソースと前記他方側対応端末の通信リソースとの間に、前記一方側セッション情報および他方側セッション情報に基づいて通信セッションが確立されることを特徴とする。
【0015】
(3)前記一方側端末群のいずれかと他方側端末群のいずれかとの間に第1の通信セッションが確立されている状態からさらに、前記第1の通信セッションで通信している各端末が、当該通信セッションに関するセッション情報を記憶する手順と、前記各端末が、前記第1の通信セッションでの通信を停止させる手順と、前記一方側端末群のいずれかに実装されている通信リソースと前記他方側端末群のいずれかに実装されている通信リソースとの間に、少なくとも一方の通信リソースが前記第1の通信セッションを確立している通信リソースと異なる第2の通信セッションを確立する手順と、前記第1通信セッションを切断する手順とを含むことを特徴とする。
【0016】
(4)前記第2の通信セッションを確立する手順の後に、切り替え前の通信セッションを復旧させるか否かをユーザに問い合わせる手順と、前記通信セッションの復旧が指示されると、前記記憶されているセッション情報に基づいて前記第1の通信セッションを復旧させる手順と、前記第2の通信セッションを切断する手順とを含むことを特徴とする。
【0017】
上記(1)の特徴によれば、送信側および着信側の各ユーザ端末は、相手端末とセッション確立のためのネゴシエーションを行うと共に、アドレス情報がセッション制御サーバに登録されていない身近な未登録端末と通信することにより、自端末のみならず未登録端末において提供可能なサービスを把握できる。そして、これらの未登録端末に対して相手端末とのセッション確立に必要なセッション情報を提供することで、セッション制御サーバを介在させることなく、当該未登録端末と相手端末との間にセッションを確立させることが可能になる。
【0018】
上記(2)の特徴によれば、発信端末および着信端末の双方において、未登録端末と相手端末との間にセッションを確立させることが可能になる。
【0019】
上記(3)の特徴によれば、各ユーザ端末は身近な未登録端末と通信して相手端末との間に通信セッションを確立するために必要な情報を共有するので、相手端末が現在の通信リソースから他の通信リソースへの切り替えを要求した場合、自端末に前記他の通信リソースが実装されていない場合であっても、これが身近な未登録端末に実装されていれば、未登録端末と相手端末との間に通信セッションを確立させることにより、この未登録端末を用いて通信を継続できる。
【0020】
上記(4)の特徴によれば、通信リソース切り替え時に、切り替え前のセッション情報を格納しておくことにより、切り替え主導ユーザ側においては、切り替え前後のいずれの端末からでも切り替え前のサービスに復旧させることが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明が適用される通信システムの構成を示した図であり、通信セッションを確立するSIPサーバと、このSIPサーバにより通信セッションを確立される複数のユーザ端末群とを含む。本実施形態では、ユーザAは通信端末A1,A2としてパーソナルコンピュータ、PDAあるいは携帯電話を所有し、ユーザBも同様に、通信端末B1,B2としてパーソナルコンピュータ、PDAあるいは携帯電話を所有している。
【0022】
図2は、各ユーザが所有する端末に実装されるアプリケーションの内容を模式的に示した図であり、ユーザAの第1端末(以下、端末A1)には、サービスマネージャSM、リソースマネージャRMおよび2つのアプリケーションApp1、App2が実装されている。前記サービスマネージャSMは、SIPを理解してサービス開始や通信リソース切り替えを行う。前記リソースマネージャRMは、各端末における通信リソースの管理と端末間における通信リソースの発見とを行う。アプリケーションApp1、App2は、データ通信あるいは音声通信などのリアルタイム通信サービスを提供する。
【0023】
ユーザAの第2端末(以下、端末A2)には、サービスマネージャSM、リソースマネージャRM、および2つのアプリケーションApp1、App3が実装されている。ユーザBの第1端末(以下、端末B1)には、サービスマネージャSM、リソースマネージャRM、および2つのアプリケーションApp1、App2が実装されている。ユーザBの第2端末(以下、端末B2)には、サービスマネージャSM、リソースマネージャRM、および2つのアプリケーションApp2、App3が実装されている。
【0024】
ここでは、端末A1,B1が、そのアドレスをSIPサーバに登録されている既登録端末であり、他の周辺端末A2,B2は、そのアドレスをSIPサーバに登録されていない未登録端末である。したがって、ユーザAがユーザBに発信する場合、ユーザAは端末A1を用いてユーザBのSIP URI(識別子)を指定してSIPサーバへ発信する。SIPサーバはユーザAからの要求に応じて、端末B1をネットワーク上で唯一に特定するためのアドレスを検索し、ユーザAの代わりに端末B1に発信してセッションの開始を要求する。この要求に対して呼び出し先が応答すれば、ユーザAの端末A1とユーザBの端末B1との間に通信セッションが確立される。
【0025】
各端末では、リソースマネージャRMが自身の端末に関するハードウェア情報(端末名、CPU、メモリサイズ、画面解像度、通信リンクの種類/速度等)やソフトウェア情報(アプリケーション名、使用コーデック等)を管理している。また、リソースマネージャRMは、通信リソースの予約や解放、ならびにサービスマネージャSMからの指示により端末間における通信リソースに関する情報の交換等を行う。
【0026】
図3は、発信側の端末A1が自端末A1およびその周辺端末A2に実装されている通信リソースを発見して、これを予約するまでの手順を示したシーケンス図である。
【0027】
ステップS1では、端末A1のサービスマネージャSMからリソースマネージャRMへリソース発見要求が送信される。ここでは、端末A1がリアルタイム通信アプリケーションの発見を要求するものとする。端末A1のリソースマネージャRMは、SLP(Service Location Protocol)やBluetoothのサービス発見手法等を用いて周辺端末を探索し、端末A2を発見すると、ステップS2において、この周辺端末A2へリソース発見要求を転送する。このリソース発見要求を受信した周辺端末A2のリソースマネージャRMは、ステップS3において、当該通信リソースが存在するか否かを回答する。端末 A1のリソースマネージャRMは、自端末A1およびその周辺端末A2を含む端末群からの回答を集計すると、ステップS4において、これを発見結果としてサービスマネージャSMへ通知する。
【0028】
端末 A1のサービスマネージャSMでは、ステップS5において、自動あるいはユーザによる手動操作で、希望するサービスに優先順序を付したサービス候補リストが作成される。ユーザが当該リストを参照して所望のサービスを指定すると、ステップS6では、端末A1のサービスマネージャSMからリソースマネージャRMへリソース予約要求が送信される。ステップS7では、端末 A1のリソースマネージャRMから周辺端末A2へ、前記予約要求が送信される。ステップS8では、端末A2のリソースマネージャRMにより当該通信リソースとして、例えばアプリケーションApp3が予約され、その使用が禁止(リソースロック)される。
【0029】
ステップS9では、周辺端末A2のリソースマネージャRMから端末A1のリソースマネージャRMへ予約の完了が通知される。ステップS10では、端末A1のリソースマネージャRMからサービスマネージャSMへ、使用可能な通信アプリケーション名と実行に必要な情報、実行されるデバイスに関する情報が予約結果として通知される。
【0030】
図4は、ユーザA,B間でネゴシエーションを行ってサービスを決定するまでの手順を示したシーケンス図である。ユーザBと通話を希望するユーザAは、前記図3に関して説明した手順でサービス候補リストを作成した後、自身のアドレスリストからユーザBを選択する。
【0031】
ステップS1では、SIPの手順を利用して端末A1のサービスマネージャSMからSIPサーバへinviteが送信される。ステップS2では、SIPサーバに予め登録されているユーザBの端末B1へ、当該SIPサーバからinviteが送信される。ステップS3では、前記inviteを着信したユーザBが端末B1の応答ボタンを押すと、当該端末B1のサービスマネージャSMからSIPサーバへ「OK」が返送される。ステップS4では、SIPサーバから端末A1のサービスマネージャSMへ「OK」が返送される。
【0032】
ステップS5では、前記「OK」を受信した端末A1のサービスマネージャSMから端末B1のサービスマネージャSMへACKが返信される。これにより、端末A1のサービスマネージャSMと端末B1のサービスマネージャSMとの間で擬似的なセッションが構築完了となる。ここまでの手順は通常のSIPを利用したセッション確立の手法と同様である。
【0033】
ステップS6では、端末A1のサービスマネージャSMから端末B1のサービスマネージャSMへ、SIPのINFOメソッドを使用して、前記図3のステップS5で作成したサービス候補リストが送信される。ステップS7では、前記図3に関して説明した手順と同様の手順で、ユーザB側でも端末B1により、当該端末B1およびその周辺端末B2を含む端末群を対象に通信リソースの発見が行われ、ユーザAから通知された候補に合致する通信リソースを含むサービス候補リストが再構築される。
【0034】
ステップS8では、端末B1のサービスマネージャSMから端末A1のサービスマネージャSMへ、SIPのINFOメソッドを使用してサービス候補リストが送信される。ステップS9では、最終的に利用するサービスが、前記サービス候補リストに基づいてユーザAにより決定される。
【0035】
図5は、前記決定されたサービスが開始されて実行されるまでの手順を示したシーケンス図である。
【0036】
ステップS1では、端末A1のサービスマネージャSMから周辺端末A2のサービスマネージャSMへ、前記決定されたサービス内容が通知されると共に、通信に必要なアドレスやポート番号が問い合わされる。ステップS2では、周辺端末A2のサービスマネージャSMにより、前記通知されたサービスを実行するためのアプリケーションApp3が起動される。さらに、データ通信を行うアドレスおよびポート番号が端末A1のサービスマネージャSMに通知される。
【0037】
ステップS3では、端末A1のサービスマネージャSMから端末B1のサービスマネージャSMへ、前記決定されたサービスの内容および前記ステップS2で受信した周辺端末A2に関する情報が、INFOメソッドを利用して通知される。さらに、端末A1のサービスマネージャSMからリソースマネージャRMに対して予約解除要求が送信され、前記図3のステップS8で予約された通信リソースのうち、前記図4のステップS9で決定されたサービスに対応した通信リソース以外に関して前記ロックが解除される。
【0038】
ステップS4では、端末B1のサービスマネージャSMから切換先である周辺端末B2のサービスマネージャSMへ、前記ステップS3で受信した情報および端末A1−B1間のSIPセッション情報が転送されると同時に、通信に必要なアドレスおよびポート番号が問い合わされる。ステップS5では、周辺端末B2のサービスマネージャSMにより、前記通知されたサービスを実行するためのアプリケーションApp3が起動される。さらに、データ通信を行うアドレスおよびポート番号が端末B1のサービスマネージャSMへ通知される。
【0039】
ステップS6では、端末B1のサービスマネージャSMから端末A1のサービスマネージャSMへ、前記ステップS5で受信した情報がINFOメソッドを利用して通知される。ステップS7では、端末A1のサービスマネージャSMから周辺端末A2のサービスマネージャSMへ、前記ステップS6で受信した情報と端末A1−B1間のSIPセッション情報とが転送される。
【0040】
ステップS8では、周辺端末A2のサービスマネージャSMからApp3へ、前記受信した周辺端末B2のアドレスおよびポート番号宛にデータ通信を開始する命令が下される。アプリケーションApp3は、この命令に応答してデータ送信を開始する。ステップS9では、 周辺端末B2のApp3から周辺端末A2のApp3へ、前記ステップS4で受信した情報も利用したデータ送信が開始される。
【0041】
ステップS10では、周辺端末A2のサービスマネージャSMから端末A1のサービスマネージャSMへ、セッションが開始された旨が通知される。ステップS11では、端末A1のサービスマネージャSMからB1のサービスマネージャSMへ、SIPのBYEメッセージが送信されてセッションの終了処理が開始される。ステップS12では、端末B1のサービスマネージャSMから端末A1のサービスマネージャSMへ、前記BYEに対する応答信号ACKが送信される。ステップS13では、 端末A1、B1のサービスマネージャSMにおいて、App3の終了処理が実行され、さらにセッション情報の消去および通信リソースの解放が行われる。
【0042】
なお、上記した実施形態では、発信端末側(ユーザA)および着信端末側(ユーザB)の双方において通信リソースが探索され、端末が切り替えられるものとして説明したが、一方のみで行われるようにしても良い。
【0043】
このように、本実施形態によれば、各ユーザ端末は相手端末とセッション確立のためのネゴシエーションを行うと共に、身近な未登録端末と通信することにより、自端末のみならず未登録端末において提供可能なサービスを把握する。そして、これらの未登録端末に対して相手端末とのセッション確立に必要な情報を提供することで、SIPサーバを新たに介在させることなく、当該未登録端末と相手端末との間にセッションを確立させることが可能になる。
【0044】
なお、上記した実施形態では、図3のステップS6、7で未登録端末A2を指定して予約要求を転送し、この端末A2のリソースのみをステップS8でロックするものとして説明したが、同ステップS2でリソース発見要求を転送された全ての未登録端末が当該時点でリソースロックを行うようにしても良い。このようにすれば、その後のステップS6〜S10の手順を省略できるので、端末A1が端末B1にリストを送るまでの時間を短縮することが可能になる。
【0045】
但し、このようなタイミングでリソースロックが行われると、周辺端末数が多い場合などに通信リソースが無駄に占有される場合もあり得る。したがって、リソースロックのタイミングは、周辺端末の台数や状況等に応じて適宜に設定することが望ましい。
【0046】
図6は、通信中にリソースを切り替える手順を示したシーケンス図であり、ここでは、各ユーザのデバイス(端末あるいはアプリケーション)が同時に切り替えられる場合を例にして説明するが、一方のみでデバイス切り替えが行われた場合も同様の手順で行われる。
【0047】
図6では、端末A1のApp1と端末B1のApp1との間にセッションが確立されている状態から説明を始める。通信リソースを切り替える際も、初めは前記図3、4、5に関して説明したシーケンスが同様に実行されるので、ここでは、図5のステップS6以降から説明を始める。
【0048】
ステップS21では、端末A1,B1の各サービスマネージャSMにより、切り替え前のアプリケーションApp1に関する情報が格納される。ステップS22では、App1に対してデータ送信の停止が指示されてデータ送信が停止される。ステップS23では、端末A1のサービスマネージャSMから周辺端末A2のサービスマネージャSMへ、前記ステップS6で受信した情報と端末A1−B1間のSIPセッション情報とが転送される。
【0049】
ステップS24では、周辺端末A2のサービスマネージャSMからApp3へ、前記受信した周辺端末B2のアドレスおよびポート番号宛にデータ通信を開始する命令が下される。アプリケーションApp3は、この命令に応答してデータ送信を開始する。ステップS25では、 周辺端末B2のApp3から周辺端末A2のApp3へ、前記図5のステップS4で受信した情報を利用したデータ送信が開始される。
【0050】
ステップS26では、周辺端末A2のサービスマネージャSMから端末A1のサービスマネージャSMへ、セッションが開始された旨が通知される。ステップS27では、GUI等を利用して切り替え主導ユーザ側の切り替え前後の端末A1,A2上に、切り替えを完了させるか、あるいは切り替え前のサービスを復旧させるかを選択させるメッセージ画面が表示される。「切り替え完了」が選択されれば、ステップS28において、ユーザによる選択が行われた端末(ここでは、端末A1)からもう一方の端末(A2)へ結果が通知される。
【0051】
これ以後は、前記図5のステップS11〜S13と同様に、ステップS29において端末A1のサービスマネージャSMから端末B1のサービスマネージャSMへ、SIPのBYEメッセージが送信されてセッションの終了処理が開始される。ステップS30では、端末B1のサービスマネージャSMから端末A1のサービスマネージャSMへ、前記BYEに対する応答信号ACKが送信される。ステップS31では、 端末A1、B1のサービスマネージャSMにおいて、App1の終了処理が実行され、さらにセッション情報の消去および通信リソースの解放が行われる。
【0052】
このように、本実施形態によれば、各ユーザ端末は身近な未登録端末と通信して相手端末との間に通信セッションを確立するために必要な情報を共有するので、相手端末が現在の通信リソースから他の通信リソースへの切り替えを要求した場合、自端末に前記他の通信リソースが実装されていない場合であっても、これが身近な未登録端末に実装されていれば、未登録端末と相手端末との間に通信セッションを確立させることにより、この未登録端末を用いて通信を継続できるようになる。
【0053】
図7は、切り替え前のサービスを復旧させる手順を示したシーケンス図であり、前記図6のステップS27において、「切り替え前のサービスの復旧」が選択された場合の手順を示している。
【0054】
前記ステップS27で「切り替え前のサービスの復旧」が選択されると、ステップS41では、ユーザによる選択が行われた端末(ここでは、端末A1)からもう一方の端末(A2)へ選択結果が通知される。ステップS42では、端末A1のサービスマネージャSMにおいて、前記図6のステップS21で格納したアプリケーション情報に基づいてサービス復旧の準備が行われる。ステップS43では、端末A1のサービスマネージャSMから端末B1のサービスマネージャSMへ、INFOメソッドを利用してサービス復旧が指示される。
【0055】
ステップS44では、端末B1のサービスマネージャSMにおいて、前記図6のステップS21で格納したアプリケーション情報に基づいてサービス復旧の準備が行われる。復旧準備が完了すると、ステップS45において、端末B1のサービスマネージャSMから端末A1のサービスマネージャSMへ、INFOメソッドを利用して復旧の準備が完了した旨が通知される。
【0056】
ステップS46では、端末A1のApp1と端末B1のApp1との間でデータ通信が再開される。ステップS47では、周辺端末A2のApp3から端末B1のApp3へ、SIPのBYEメッセージが送信されてセッションの終了処理が開始される。ステップS48では、周辺端末B2のApp3から周辺端末A2のApp3へ、前記BYEに対する応答信号ACKが送信される。ステップS49では、 周辺端末A2、B2のサービスマネージャSMにおいて、App3の終了処理が実行され、さらにセッション情報の消去および通信リソースの解放が行われる。
【0057】
このように、本実施形態によれば、通信リソース切り替え時に、切り替え前のサービス情報を格納しておくことにより、切り替え主導ユーザ側においては、切り替え前後のいずれの端末からでも切り替え前のサービスに復旧させることが可能になる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
(1)送信側および着信側の各ユーザ端末は、相手端末とセッション確立のためのネゴシエーションを行うと共に、アドレス情報がセッション制御サーバに登録されていない身近な未登録端末と通信することにより、自端末のみならず未登録端末において提供可能なサービスを把握する。そして、これらの未登録端末に対して相手端末とのセッション確立に必要な情報を提供することで、SIPサーバを新たに介在させることなく、当該未登録端末と相手端末との間にセッションを確立させることが可能になる。
(2)各ユーザ端末は身近な未登録端末と通信して相手端末との間に通信セッションを確立するために必要な情報を共有するので、相手端末が現在の通信リソースから他の通信リソースへの切り替えを要求した場合、自端末に前記他の通信リソースが実装されていない場合であっても、これが身近な未登録端末に実装されていれば、未登録端末と相手端末との間に通信セッションを確立させることにより、この未登録端末を用いて通信を継続できるようになる。
【0059】
したがって、例えばユーザAとユーザBとが携帯電話で音声通話をしていたが、ユーザAが帰宅後、家のデスクトップPCからのテレビ電話に切り替えることを提案し、ちょうど家にいたユーザBもノートPCのテレビ電話に同時に切り替え、会話を続けるといったサービスの提供が可能になる。
(3)通信リソース切り替え時に、切り替え前のサービス情報を格納しておくことにより、切り替え主導ユーザ側においては、切り替え前後のいずれの端末からでも切り替え前のサービスに復旧させることが可能になる。
【0060】
したがって、例えばユーザAとユーザBとが携帯電話で音声通話をしていたが、ユーザAが帰宅後、家のデスクトップPCからのテレビ電話に切り替えることを提案し、ちょうど家にいたユーザBもノートPCのテレビ電話に同時に切り替えたものの、ネットワークの品質が低下していたために携帯電話による通話に再び戻すといったサービスの提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される通信システムの構成を示した図である。
【図2】各ユーザが所有する端末に実装されるアプリケーションの内容を模式的に示した図である。
【図3】ユーザ端末が通信リソースを発見して、これを予約するまでの手順を示したシーケンス図である。
【図4】ユーザ間でネゴシエーションを行ってサービスを決定するまでの手順を示したシーケンス図である。
【図5】決定されたサービスが開始されて実行されるまでの手順を示したシーケンス図である。
【図6】通信中に通信リソースを切り替える手順を示したシーケンス図である。
【図7】切り替え前のサービスを復旧させる手順を示したシーケンス図である。
【符号の説明】RM…リソースマネージャ,SM…サービスマネージャ

Claims (4)

  1. セッション制御サーバにアドレス情報が既登録の端末に発信して通信セッションを確立し、その後、前記セッション制御サーバにアドレス情報が未登録の端末との間に通信セッションを確立する通信セッションの確立方法において、
    前記発信端末と着信端末との間に通信セッションを確立する手順と、
    前記通信セッションを利用して、前記発信端末および着信端末の一方から他方へ、所望のサービスを実現可能な通信リソースの探索を要求する手順と、
    前記他方の端末が前記要求に応答して、自端末を含む他方側端末群を対象に通信リソースを探索する手順と、
    前記通信セッションを利用して、前記他方の端末から一方の端末へ、前記探索結果を返信する手順と、
    前記一方の端末が、前記受信した探索結果に基づいて一つの通信リソースを決定する手順と、
    前記一方の端末が、前記決定された通信リソースを起動する手順と、
    前記通信セッションを利用して、前記一方の端末から他方の端末へ、前記決定された通信リソースおよび当該通信リソースとの間に通信セッションを確立するために必要な一方側セッション情報を送信する手順と、
    前記他方の端末が、前記決定された通信リソースに対応した他方側端末群のいずれか一つの他方側対応端末へ前記一方側セッション情報を通知する手順と、
    前記他方側対応端末が、前記決定通知に応答して前記通信リソースを起動する手順と、
    前記他方側対応端末が、前記決定された通信リソースとの間に通信セッションを確立するために必要な他方側セッション情報を前記他方の端末へ提供する手順と、
    前記通信セッションを利用して、前記他方の端末から一方の端末へ、前記他方側セッション情報を送信する手順と、
    前記一方の端末の通信リソースと前記他方側対応端末の通信リソースとの間に、前記一方側セッション情報および他方側セッション情報に基づいて通信セッションを確立する手順と、
    前記発信端末と着信端末との間に確立した通信セッションを切断する手順とを含むことを特徴とする通信セッションの確立方法。
  2. 前記一方の端末が、自端末を含む一方側端末群を対象に、前記所望のサービスを実現可能な通信リソースを探索する手順と、
    前記一方の端末が、前記決定された通信リソースに対応した一方側端末群のいずれか一つの一方側対応端末へ前記他方側セッション情報を通知する手順と、
    前記一方側対応端末が、前記決定された通信リソースを起動する手順とを含み、
    前記一方側対応端末の通信リソースと前記他方側対応端末の通信リソースとの間に、前記一方側セッション情報および他方側セッション情報に基づいて通信セッションが確立されることを特徴とする請求項1に記載の通信セッションの確立方法。
  3. 前記一方側端末群のいずれかと他方側端末群のいずれかとの間に第1の通信セッションが確立されている状態からさらに、
    前記第1の通信セッションで通信している各端末が、当該通信セッションに関するセッション情報を記憶する手順と、
    前記各端末が、前記第1の通信セッションでの通信を停止させる手順と、
    前記一方側端末群のいずれかに実装されている通信リソースと前記他方側端末群のいずれかに実装されている通信リソースとの間に、少なくとも一方の通信リソースが前記第1の通信セッションを確立している通信リソースと異なる第2の通信セッションを確立する手順と、
    前記第1通信セッションを切断する手順とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の通信セッションの確立方法。
  4. 前記第2の通信セッションを確立する手順の後に、
    切り替え前の通信セッションを復旧させるか否かをユーザに問い合わせる手順と、
    前記通信セッションの復旧が指示されると、前記記憶されているセッション情報に基づいて前記第1の通信セッションを復旧させる手順と、
    前記第2の通信セッションを切断する手順とを含むことを特徴とする請求項3に記載の通信セッションの確立方法。
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