JP2005031203A - 帯電ロール - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機,プリンター,ファクシミリ等の電子写真装置に用いられる帯電ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子写真複写機では、感光ドラムの表面に原稿像を静電潜像として形成し、これにトナーを付着させてトナー像を形成し、このトナー像を複写紙に転写することにより複写が行われる。そして、このような機構では、上記感光ドラム表面に対して静電潜像を形成させるためには、予め感光ドラム表面を帯電させ、この帯電部分に対して原稿像を光学系を介して投射し、光の当たった部分の帯電を打ち消すことにより静電潜像を形成することが行われる。上記静電潜像の形成に先立って感光ドラム表面を帯電させる方式としては、最近では、帯電ロールを感光ドラム表面に直接接触させて感光ドラム表面を帯電させるロール帯電方式が採用されている。このロール帯電方式では、帯電の均一性を確保するため、印加電圧として交流電圧と直流電圧の双方を用いた印加方式が主流となっている。
【0003】
このようななか、近年では、複写の高速化にともない、交流電圧の周波数も増加し、その周波数に応じて感光ドラムと帯電ロールとが引き合いと反発を繰り返して振動し、騒音が発生するという問題が生じている。この騒音発生防止対策として、ロールの導電層を低硬度発泡体層とすることにより、騒音の原因である感光ドラムの振動を吸収する対策が提案されている。また、高速化のためにロールの均一な帯電能力も強く求められているのも現状である。
【0004】
このような帯電ロールの一例として、イオン導電剤で制御できない電気抵抗のねらいが105 〜106 Ωの場合、ロールのスポンジ部分を電子導電剤で抵抗むらの出にくい103 〜104 Ωに抵抗を下げ、中間層、表層にてイオン導電剤を使用することにより目的の電気抵抗を出し、電気抵抗のばらつきが1桁以上では帯電むらが発生するため電気抵抗のばらつきを1桁以内に抑え、均一な帯電性能を付与することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−106199号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記帯電ロールは、電気抵抗のばらつきの制御はある程度は改善されているが、近年の高速化にともない、より一層電気抵抗のばらつきが制御され複写画像むらの発生を抑制することのできる帯電ロールが望まれている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、電気抵抗のばらつきが抑制され均一な帯電性を備えた帯電ロールの提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の帯電ロールは、軸体と、この軸体の外周面に形成された第1発泡体層と、この第1発泡体層の外周面に形成された第2発泡体層とを備えた帯電ロールであって、上記第1発泡体層が、極性ポリマーに、下記の一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用いて形成され、上記第2発泡体層が、マトリックス成分に、電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いて形成されているという構成をとる。
【0009】
【化2】
【0010】
すなわち、本発明者らは、所望の電気抵抗を有し、しかも電気抵抗のばらつきが抑制され均一な帯電性を有する帯電ロールを得るべく、ロールの層形成材料を中心に鋭意研究を重ねた。その結果、二層構造の発泡体層を備えたロールの構成において、下層となる第1発泡体層を、極性ポリマーに、前記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用いて形成し、上層となる第2発泡体層を、マトリックス成分に電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いて形成すると、上記両層の形成材料に配合された各導電剤の特性に起因した相乗作用により、適正かつばらつきのない均一な電気抵抗が得られ、優れた帯電能力が付与されることを見出し本発明に到達した。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0012】
本発明の帯電ロールは、いわゆるスポンジロールであって、例えば、図1に示すように、軸体1の外周面に、第1発泡体層2が形成され、かつ上記第1発泡体層2の外周面に第2発泡体層3が形成された二層構造の発泡体層を備えたものである。そして、本発明においては、上記第1発泡体層2が、極性ポリマーに、特定のイオン導電剤を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用いて形成され、上記第2発泡体層3が、マトリックス成分に、電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いて形成されていることが最大の特徴である。これにより、電気抵抗むらが抑制され、均一な帯電能力が付与されるようになるのである。
【0013】
上記軸体1は特に制限するものではなく、例えば、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体等が用いられる。そして、その材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄にメッキを施したもの等があげられる。
【0014】
つぎに、上記第1発泡体層2の形成材料として、極性ポリマーがあげられ、より具体的には、ウレタン原料,アクリロニトリル−ブタジエンゴム,エピクロロヒドリンゴム等があげられる。まず、上記ウレタン原料について説明する。上記ウレタン原料としては、ポリオールとイソシアネートが用いられる。
【0015】
上記ポリオールとしては、ウレタン原料として通常用いられるものであれば特に限定はなく、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオールやポリイソプレンポリオール等のオレフィン系ポリオール等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0016】
上記イソシアネートとしては、2官能以上のポリイソシアネートであれば特に限定はなく、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)〔2,4−体、2,6−体、2,4−体と2,6−体の混合物〕、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カーボジイミド変性MDI、ポリメリックポリイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、低硬度化の点で、トリレンジイソシアネート(TDI)が好適に用いられる。
【0017】
そして、上記ポリオールに対するイソシアネートの使用量は、イソシアネートインデックス(NCOインデックス)として、90〜120の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは100〜110である。なお、NCOインデックスとは、イソシアネート基と反応する水酸基を持つ原料成分の合計当量100に対するイソシアネートの当量を意味する。
【0018】
上記ウレタン原料には、上記ポリオールおよびイソシアネートに加えて、発泡剤が用いられる。なお、上記発泡剤としては、水が好ましい。上記発泡剤としての水の配合量は、上記ポリオール100重量部(以下「部」と略す)に対して0.3〜2.5部の範囲が好ましい。
【0019】
さらに、上記発泡剤以外に、触媒、整泡剤、酸化防止剤、着色剤等を適宜に配合しても差し支えない。
【0020】
上記触媒としては、例えば、第三級アミン触媒、有機金属化合物等があげられる。
【0021】
上記第三級アミン触媒としては、例えば、トリエチルアミン(TEA)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMEDA)等のモノアミン類:N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)等のジアミン類:N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)等のトリアミン類:トリエチレンジアミン(TEDA)等の環状アミン類:ジメチルアミノエタノール(DMEA)等のアルコールアミン類:ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMEE)等のエーテルアミン類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0022】
上記第三級アミン触媒の配合量は、上記ポリオール100部に対して0.1〜3部の範囲が好ましい。
【0023】
上記有機金属化合物としては、例えば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンチオカルボキシエート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0024】
上記有機金属化合物の配合量は、上記ポリオール100部に対して0.05〜0.5部の範囲が好ましい。
【0025】
上記整泡剤としては、例えば、シリコーン系整泡剤(ポリオキシアルキレン−ジメチルポリシロキサン系コポリマー)、非シリコーン系整泡剤等があげられる。
【0026】
つぎに、上記第1発泡体層2の形成材料のうちのアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)について説明する。上記アクリロニトリル−ブタジエンゴムとしては、特に限定するものではなく従来公知のものが用いられる。
【0027】
そして、上記アクリロニトリル−ブタジエンゴムには、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、発泡剤、加工助剤、可塑剤等を必要に応じて添加しても差し支えない。
【0028】
上記加硫剤としては、例えば、イオウが用いられ、その配合量はアクリロニトリル−ブタジエンゴム100部に対して0.5〜3部の範囲に設定することが好ましい。
【0029】
上記加硫促進剤としては、例えば、チウラム系、チアゾール系等の加硫促進剤が好適に用いられる。上記加硫助剤としては、例えば、ZnO(酸化亜鉛2種)等があげられる。
【0030】
上記発泡剤としては、特に限定するものではなく、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、N,N′−ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、炭酸水素カリウム、尿素、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等があげられる。上記発泡剤の配合量は、上記アクリロニトリルゴム100部に対して5〜30部程度の範囲が好ましい。
【0031】
上記加工助剤としては、例えば、ステアリン酸等があげられる。
【0032】
上記可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、脂肪族エステル系可塑剤、芳香族エステル系可塑剤等があげられる。
【0033】
さらに、上記第1発泡体層2の形成材料のうちのエピクロロヒドリンゴムについて説明する。上記エピクロロヒドリンゴムとしては、具体的には、エピクロロヒドリンのホモポリマー、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体(ECO)、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル三元共重合体があげられる。上記エピクロロヒドリンゴムも前記アクリロニトリル−ブタジエンゴムと同様、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、発泡剤、加工助剤、可塑剤等を必要に応じて添加しても差し支えない。
【0034】
つぎに、上記極性ポリマーとともに用いられる特定のイオン導電剤について説明する。上記特定のイオン導電剤は、下記の一般式(1)で表される特定の第四級アンモニウム塩である。
【0035】
【化3】
【0036】
上記炭素数4〜12のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、分子内の立体障害の点で、直鎖状が好ましい。上記炭素数4,6,8,12のアルキル基としては、具体的には、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基が好ましい。
【0037】
上記一般式(1)において、R1 〜R4 で表される残余のアルキル基(炭素数4〜12以外のアルキル基)としては、特に限定はないが、上記炭素数4〜12のアルキル基よりも炭素数が小さいものが好ましく、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基の具体例としては、上記R1 〜R4 のうちのいずれか1つが炭素数4のアルキル基である場合、残りの基は炭素数3以下のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等であることが好ましい。また、上記R1 〜R4 のうちのいずれか1つが炭素数12のアルキル基である場合、残りの基は炭素数11以下のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基等であることが好ましい。
【0038】
上記一般式(1)において、X n− で表されるn価の陰イオンとしては、特に限定はなく、例えば、F− 、Cl− 、Br− 、I− 等のハロゲンイオンや、ClO4 − 、BF4 − 、SO4 2−、HSO4 − 、CH3 SO4 − 、C2 H5 SO4 − 、CH3 SO3 − 、C2 H5 SO3 − 、COOH− 等があげられる。これらのなかでも、低抵抗化が可能である点で、Br− 、I− 、ClO4 − 、HSO4 − 、C2 H5 SO4 − が好ましい。
【0039】
上記一般式(1)において、nで表される1〜6の整数のなかでも、1〜4の整数が好ましく、特に好ましくは1〜2の整数である。
【0040】
そして、上記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩としては、R1 〜R4 のいずれか1つが炭素数4〜12のアルキル基であり、残りの3つがメチル基またはエチル基である第四級アンモニウム塩、もしくはR1 〜R4 のいずれか3つが炭素数4〜12のアルキル基であり、残りの1つがメチル基またはエチル基である第四級アンモニウム塩が好適に用いられる。より具体的には、オクチルトリメチルアンモニウムパークロレートを用いることが特に好ましい。
【0041】
上記特定の第四級アンモニウム塩の配合量は、極性ポリマー(ウレタン原料の場合はウレタン原料用ポリオール)100部に対して、特定の第四級アンモニウム塩を0.01〜10部の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.1〜5部である。すなわち、特定の第四級アンモニウム塩の配合量が0.01部未満であると、電気抵抗を所望の値まで下げることが困難となり、逆に10部を超えると、ベース成分との相溶性が悪くブルームしやすくなる傾向がみられるからである。
【0042】
また、上記導電性材料には、上記特定の第四級アンモニウム塩とともに、上記第四級アンモニウム塩以外のイオン導電剤を、その効果を阻害しない範囲内であれば併用しても差し支えない。
【0043】
上記特定の第四級アンモニウム塩以外のイオン導電剤としては、例えば、リン酸エステル、スルホン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、脂肪族多価アルコール、脂肪族アルコールサルフェート塩等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0044】
つぎに、上記第1発泡体層2の外周面に形成される第2発泡体層3の形成材料について説明する。この第2発泡体層3の形成材料は、マトリックス成分に、電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料である。
【0045】
上記マトリックス成分としては、特に限定するものではなく各種マトリックス成分が用いられる。例えば、ウレタン原料,アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR),エピクロロヒドリンゴム、さらにはエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等があげられる。
【0046】
上記第2発泡体層3の形成材料のマトリックス成分となるウレタン原料,アクリロニトリル−ブタジエンゴム,エピクロロヒドリンゴムとしては、前述の第1発泡体層2形成材料であるウレタン原料,アクリロニトリル−ブタジエンゴム,エピクロロヒドリンゴムと同様のものが用いられ、他の添加剤も前記第1発泡体層2の形成材料で述べたと同様の各種添加剤が用いられる。
【0047】
また、上記エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)としては、特に限定するものではなく従来公知のものが用いられる。
【0048】
そして、上記第2発泡体層3の形成材料に用いられる導電剤としては、前記第1発泡体層2の形成材料に用いた、イオン導電剤である特定の第四級アンモニウム塩に代えて電子導電剤を用いる。
【0049】
上記電子導電剤としては、例えば、アルミニウム粉末,ステンレス粉末等の金属粉末、c−ZnO,c−TiO2 ,c−Fe3 O4 ,c−SnO2 等の導電性金属酸化物、グラファイト,カーボンブラック等の導電性粉末等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、上記「c−」とは、導電性を有するという意味である。
【0050】
上記電子導電剤の配合量は、マトリックス成分(ウレタン原料の場合はウレタン原料用ポリオール)100部に対して、電子導電剤を5〜30部の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは10〜20部である。すなわち、電子導電剤の配合量が5部未満であると、電気抵抗を所望の値とすることが困難となり、逆に30部を超えると、機械的な物性の悪化が大きくなる傾向がみられるからである。
【0051】
そして、上記第1発泡体層2および第2発泡体層3の形成材料において、特に好ましい組み合わせとしては、第1発泡体層2の形成材料として、ウレタン原料に前記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用い、第2発泡体層3の形成材料として、ウレタン原料に電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いた例である。
【0052】
本発明の帯電ロールは、例えば、つぎのようにして製造することができる。第1発泡体層2形成材料がウレタン原料の場合、まず、金型に軸体1を挿入しウレタン原料を注入して、予め軸体の外周にウレタンスポンジ層を成形した後、これにチューブ状に押し出したアクリロニトリル−ブタジエンゴムを被せ、一回り大きい金型に挿入し、150℃×30分程度で加熱発泡させる。また、第1発泡体層2形成材料がアクリロニトリル−ブタジエンゴムの場合、軸体1とアクリロニトリル−ブタジエンゴムを同時に押し出した後金型に挿入し、150℃×30分程度で加熱発泡させた後、一回り大きい金型に挿入してウレタン原料を注入し、60℃×30分程度で発泡・硬化させる。さらに、第1発泡体層2形成材料および第2発泡体層3形成材料ともアクリロニトリル−ブタジエンゴムの場合、二層同時に押出成形し、未発泡体の第1発泡体層2および第2発泡体層3を形成した後、金型に挿入して150℃×30分程度で発泡・加硫させる。そして、第1発泡体層2形成材料および第2発泡体層3形成材料ともウレタン原料の場合、まず、金型に軸体1を挿入しウレタン原料を注入して、ウレタン原料を発泡・硬化させて第1発泡体層2を形成した後、一回り大きい金型に挿入し、再度第2発泡体層3形成材料のウレタン原料を注入してウレタン原料を発泡・硬化させて第2発泡体層3を形成する。また、各層形成材料がエピクロロヒドリンゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)の場合は、上記アクリロニトリル−ブタジエンゴムに準ずる。このようにして、図1に示すような、軸体1の外周面に第1発泡体層2が、さらに上記第1発泡体層2の外周面に第2発泡体層3が形成されてなる二層構造の帯電ロールを製造することができる。
【0053】
上記第1発泡体層2の厚みは、通常、1〜5mmであり、好ましくは1〜3mmである。また、上記第2発泡体層3の厚みは、通常、1〜5mmであり、好ましくは1〜3mmである。そして、軸体1の外周に形成される各層2,3の総厚みは、通常、2〜10mm、好ましくは2〜6mmである。
【0054】
さらに、本発明の帯電ロールは、感光ドラム表面に対する帯電という用途の観点から、その電気抵抗が104 〜107 Ωの範囲に設定されることが好ましい。
【0055】
なお、本発明の帯電ロールは、前記図1に示したような二層構造に限定されるものではなく、三層以上の多層構造であっても差し支えない。ただし、三層以上の多層構造においては、軸体の外周面には第1発泡体層および第2発泡体層が順次積層形成され、かつ上記第1発泡体層および第2発泡体層は、先に述べた各形成材料を用いて形成されていることが必要である。そして、上記第2発泡体層の外周面に、さらに必要に応じて適宜に所望の層、例えば、保護層等が形成される。
【0056】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0057】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す各層形成材料を調製した。
【0058】
〔層形成材料(a)〕
ポリエーテルポリオール(三井化学社製、EP−828、OH価=28)90部と、ポリマーポリオール(三井化学社製、POP−31−28、OH価=28)10部と、シリコーン整泡剤(日本ユニカー社製、L−5309)3部と、水2部と、第三級アミン触媒(花王社製、カオライザーNo.31)0.5部と、第三級アミン触媒(東ソー社製、トヨキャットHX−35)0.1部と、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)0.1部と、イソシアネート(住友バイエルウレタン社製、スミジュールVT−80、NCO%=45)26.9部と、イオン導電剤(オクチルトリメチルアンモニウムパークロレート)1部とを混合して層形成材料(a)を調製した。
【0059】
〔層形成材料(b)〕
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(日本ゼオン社製、ニポールDN101)100部と、加硫助剤(酸化亜鉛)5部と、加工助剤であるステアリン酸(花王社製、スナックS30)1部と、可塑剤であるポリエーテルエステル系可塑剤(旭電化社製、アデカサイザーRS−700)70部と、イオン導電剤(オクチルトリメチルアンモニウムパークロレート)1部と、加硫促進剤である、ノクセラーDM(大内新興化学社製)1部と、ノクセラーTBT(大内新興化学社製)1部と、ノクセラーTRA(大内新興化学社製)0.5部と、加硫剤となるイオウ1部と、発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成社製、セルマイクRUB)5部とを混練することにより層形成材料(b)を調製した。
【0060】
〔層形成材料(c)〕
ポリエーテルポリオール(三井化学社製、EP−828、OH価=28)90部と、ポリマーポリオール(三井化学社製、POP−31−28、OH価=28)10部と、シリコーン整泡剤(日本ユニカー社製、L−5309)3部と、水2部と、第三級アミン触媒(花王社製、カオライザーNo.31)0.5部と、第三級アミン触媒(東ソー社製、トヨキャットHX−35)0.1部と、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)0.1部と、イソシアネート(住友バイエルウレタン社製、スミジュールVT−80、NCO%=45)26.9部と、電子導電剤である導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ケッチェンブラックEC)12部とを混合して層形成材料(c)を調製した。
【0061】
〔層形成材料(d)〕
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(日本ゼオン社製、ニポールDN101)100部と、加硫助剤(酸化亜鉛)5部と、加工助剤であるステアリン酸(花王社製、スナックS30)1部と、可塑剤であるポリエーテルエステル系可塑剤(旭電化社製、アデカサイザーRS−700)70部と、電子導電剤である導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ケッチェンブラックEC)12部と、加硫促進剤である、ノクセラーDM(大内新興化学社製)1部と、ノクセラーTBT(大内新興化学社製)1部と、ノクセラーTRA(大内新興化学社製)0.5部と、加硫剤となるイオウ1部と、発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成社製、セルマイクRUB)5部とを混練することにより層形成材料(d)を調製した。
【0062】
【実施例1】
上記層形成材料(a)および層形成材料(c)を用いて、先に述べた製法に準じて、帯電ロールを作製した。すなわち、まず、軸体となる芯金(直径5mm、SUS304製)をセットし、この芯金の外周面に、上記層形成材料(a)を用いて60℃×30分の条件で第1発泡体層を形成した後、上記層形成材料(c)を用いて60℃×30分の条件で第2発泡体層を形成することにより、図1に示すように、軸体1の外周面に第1発泡体層2であるウレタンフォーム層(厚み1mm)と第2発泡体層3であるウレタンフォーム層(厚み3mm)が形成されてなる二層構造の、スポンジロールタイプの帯電ロールを作製した(図1参照)。
【0063】
【実施例2〜5】
第1発泡体層形成材料および第2発泡体層形成材料として下記の表1に示すものを用いた。また、上記各層の厚みを同表に示すように設定するとともに、加熱条件を同表に示すように設定した。そして、上記第1発泡体層形成材料および第2発泡体層形成材料に応じて、先に述べた製法を適宜選択してその製法に従い、二層構造の、スポンジロールタイプの帯電ロールを作製した。
【0064】
【表1】
【0065】
【比較例1】
前記層形成材料(a)中のイオン導電剤であるオクチルトリメチルアンモニウムパークロレートに代えてシュウ酸ビス(ベンジルトリメチルアンモニウム)を用い、それ以外は前記層形成材料(a)と同様にして層形成材料(e)を調製した。そして、上記層形成材料(e)を用いて、つぎのようにして帯電ロールを作製した。すなわち、まず、軸体となる芯金(直径5mm、SUS304製)をセットし、この芯金の外周面に上記層形成材料(e)を用いて、60℃×30分で発泡・硬化させることにより、軸体の外周面にウレタンフォーム層(厚み4mm)が形成されてなる単層構造の、スポンジロールタイプの帯電ロールを作製した。
【0066】
【比較例2】
前記層形成材料(c)のみを用いて、つぎのようにして帯電ロールを作製した。すなわち、まず、軸体となる芯金(直径5mm、SUS304製)をセットし、この芯金の外周面に上記第2発泡体層形成材料(c)を用いて、60℃×30分で発泡・硬化させることにより、軸体の外周面にウレタンフォーム層(厚み4mm)が形成されてなる単層構造の、スポンジロールタイプの帯電ロールを作製した。
【0067】
【比較例3】
第1発泡体層形成材料として、下記に示す層形成材料を調製するとともに、第2発泡体層形成材料として、下記に示す層形成材料を調製した。
【0068】
〔第1発泡体層形成材料〕
エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴ
ム(CHC) 100部
カーボンブラック 40部
ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT) 6.8部
加硫剤(硫黄) 1部
【0069】
〔第2発泡体層形成材料〕
エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴ
ム(CHC) 100部
トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート 2部
ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT) 7部
加硫剤(硫黄) 1部
【0070】
ついで、上記各層形成材料を用いて、押出機により上記第1発泡体層が厚み2mmで、上記第2発泡体層が厚み1mmとなる二層構造の未発泡円筒体を作製した。そして、上記未発泡円筒体に軸体となる芯金(直径5mm、SUS304製)を挿入し、これを成形用金型内に配設して加熱(条件:160℃×40分)することにより上記円筒体を加硫発泡させて二層構造(第1発泡体層+第2発泡体層)の、スポンジロールタイプの帯電ロールを作製した。
【0071】
このようにして得られた実施例品および比較例品の各帯電ロールを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表2および表3に併せて示した。
【0072】
〔電気抵抗値〕
帯電ロールの電気抵抗を、つぎのようにして測定した。すなわち、芯金に100Vの電圧を印加し、幅10mmで上記各帯電ロールの外径が1mm圧縮されるようなアルミニウム製リングを用いて、ロールの中央部分と両端部分の3ヶ所の電気抵抗値を測定した。そして、これら3ヶ所の測定値の平均をロールの電気抵抗値とした。
【0073】
〔電気抵抗のばらつき〕
上記電気抵抗値の測定方法により測定した帯電ロールの3ヶ所の電気抵抗値のうち最大値と最小値を用い、Log(最大値/最小値)により電気抵抗の変動桁数を算出し帯電ロールの電気抵抗のばらつきとした。
【0074】
〔画像むら評価〕
帯電ロールをレーザービームプリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下で画像出しを行った後、複写画質の評価を行った。評価は、画像むらや白斑点ぬけ等が何ら認められないものを○、画像むらや白斑点ぬけ等が一部認められたものを△、画像むらや白斑点ぬけ等が明確に認められたものを×とした。
【0075】
〔帯電音〕
図2に示すように、直径30mmの感光体ドラム31に各帯電ロール30を両端各500gの荷重をかけ圧接して回転させながら、金属ロール31および帯電ロール30間に電源33から2kV−600Hz(交流電圧)を印加したときの帯電音を、音圧測定装置32により測定した。
【0076】
〔総合評価〕
上記電気抵抗、電気抵抗のばらつき、画像むらの測定評価の結果、所望の電気抵抗の範囲(104 〜107 Ω)で、ばらつきが小さく、しかも画像むらが形成されず、帯電音も60dB以下であったものを○、上記測定評価のうちいずれか一つの評価が劣るものを△、上記測定評価のうち二つ以上評価に劣るものを×として総合評価した。
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
上記結果から、実施例品はいずれも電気抵抗値が所望の範囲(104 〜107 Ω)内であり、ばらつきも小さく、また画像むらも発生せず帯電音も小さかった。
【0080】
これに対して、イオン導電剤を用いた単層構造の比較例1品は、電気抵抗のばらつきは小さかったが、電気抵抗値が所望の範囲(104 〜107 Ω)を超えて高く、画像むらが発生した。また、電子導電剤を用いた単層構造の比較例2品は、電気抵抗値は所望の範囲内であったが電気抵抗のばらつきが大きく、画像むらが発生した。そして、電子導電剤を用いた形成材料により第1発泡体層が形成され、イオン導電剤を用いた形成材料により第2発泡体層が形成された比較例3品は、電気抵抗値は所望の範囲であり、画像も良好であったが、実施例品に比べて電気抵抗のばらつきが大きかった。
【0081】
【発明の効果】
以上のように、本発明の帯電ロールは、第1発泡体層と、この第1発泡体層の外周面に形成された第2発泡体層という二層構造の発泡体層を備え、上記第1発泡体層が、極性ポリマーに、前記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用いて形成され、上記第2発泡体層が、マトリックス成分に、電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いて形成されている。このように、異なる導電性発泡材料によって二層の発泡体層が形成されているため、電気抵抗のむらやばらつきが抑制され、感光ドラムに対して均一な帯電がなされる。したがって、本発明の帯電ロールを用いた電子写真装置では、均一な帯電により画像むら等もなく良好な画像が得られる。
【0082】
そして、上記第1発泡体層が、ウレタン原料またはアクリロニトリル−ブタジエンゴムに前記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用いて形成され、上記第2発泡体層が、ウレタン原料またはアクリロニトリル−ブタジエンゴムに電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いて形成されると、より一層優れた均一な帯電がなされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電ロールの一例を示す断面図である。
【図2】帯電音の測定方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 軸体
2 第1発泡体層
3 第2発泡体層
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機,プリンター,ファクシミリ等の電子写真装置に用いられる帯電ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子写真複写機では、感光ドラムの表面に原稿像を静電潜像として形成し、これにトナーを付着させてトナー像を形成し、このトナー像を複写紙に転写することにより複写が行われる。そして、このような機構では、上記感光ドラム表面に対して静電潜像を形成させるためには、予め感光ドラム表面を帯電させ、この帯電部分に対して原稿像を光学系を介して投射し、光の当たった部分の帯電を打ち消すことにより静電潜像を形成することが行われる。上記静電潜像の形成に先立って感光ドラム表面を帯電させる方式としては、最近では、帯電ロールを感光ドラム表面に直接接触させて感光ドラム表面を帯電させるロール帯電方式が採用されている。このロール帯電方式では、帯電の均一性を確保するため、印加電圧として交流電圧と直流電圧の双方を用いた印加方式が主流となっている。
【0003】
このようななか、近年では、複写の高速化にともない、交流電圧の周波数も増加し、その周波数に応じて感光ドラムと帯電ロールとが引き合いと反発を繰り返して振動し、騒音が発生するという問題が生じている。この騒音発生防止対策として、ロールの導電層を低硬度発泡体層とすることにより、騒音の原因である感光ドラムの振動を吸収する対策が提案されている。また、高速化のためにロールの均一な帯電能力も強く求められているのも現状である。
【0004】
このような帯電ロールの一例として、イオン導電剤で制御できない電気抵抗のねらいが105 〜106 Ωの場合、ロールのスポンジ部分を電子導電剤で抵抗むらの出にくい103 〜104 Ωに抵抗を下げ、中間層、表層にてイオン導電剤を使用することにより目的の電気抵抗を出し、電気抵抗のばらつきが1桁以上では帯電むらが発生するため電気抵抗のばらつきを1桁以内に抑え、均一な帯電性能を付与することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−106199号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記帯電ロールは、電気抵抗のばらつきの制御はある程度は改善されているが、近年の高速化にともない、より一層電気抵抗のばらつきが制御され複写画像むらの発生を抑制することのできる帯電ロールが望まれている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、電気抵抗のばらつきが抑制され均一な帯電性を備えた帯電ロールの提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の帯電ロールは、軸体と、この軸体の外周面に形成された第1発泡体層と、この第1発泡体層の外周面に形成された第2発泡体層とを備えた帯電ロールであって、上記第1発泡体層が、極性ポリマーに、下記の一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用いて形成され、上記第2発泡体層が、マトリックス成分に、電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いて形成されているという構成をとる。
【0009】
【化2】
【0010】
すなわち、本発明者らは、所望の電気抵抗を有し、しかも電気抵抗のばらつきが抑制され均一な帯電性を有する帯電ロールを得るべく、ロールの層形成材料を中心に鋭意研究を重ねた。その結果、二層構造の発泡体層を備えたロールの構成において、下層となる第1発泡体層を、極性ポリマーに、前記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用いて形成し、上層となる第2発泡体層を、マトリックス成分に電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いて形成すると、上記両層の形成材料に配合された各導電剤の特性に起因した相乗作用により、適正かつばらつきのない均一な電気抵抗が得られ、優れた帯電能力が付与されることを見出し本発明に到達した。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0012】
本発明の帯電ロールは、いわゆるスポンジロールであって、例えば、図1に示すように、軸体1の外周面に、第1発泡体層2が形成され、かつ上記第1発泡体層2の外周面に第2発泡体層3が形成された二層構造の発泡体層を備えたものである。そして、本発明においては、上記第1発泡体層2が、極性ポリマーに、特定のイオン導電剤を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用いて形成され、上記第2発泡体層3が、マトリックス成分に、電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いて形成されていることが最大の特徴である。これにより、電気抵抗むらが抑制され、均一な帯電能力が付与されるようになるのである。
【0013】
上記軸体1は特に制限するものではなく、例えば、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体等が用いられる。そして、その材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄にメッキを施したもの等があげられる。
【0014】
つぎに、上記第1発泡体層2の形成材料として、極性ポリマーがあげられ、より具体的には、ウレタン原料,アクリロニトリル−ブタジエンゴム,エピクロロヒドリンゴム等があげられる。まず、上記ウレタン原料について説明する。上記ウレタン原料としては、ポリオールとイソシアネートが用いられる。
【0015】
上記ポリオールとしては、ウレタン原料として通常用いられるものであれば特に限定はなく、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオールやポリイソプレンポリオール等のオレフィン系ポリオール等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0016】
上記イソシアネートとしては、2官能以上のポリイソシアネートであれば特に限定はなく、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)〔2,4−体、2,6−体、2,4−体と2,6−体の混合物〕、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カーボジイミド変性MDI、ポリメリックポリイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、低硬度化の点で、トリレンジイソシアネート(TDI)が好適に用いられる。
【0017】
そして、上記ポリオールに対するイソシアネートの使用量は、イソシアネートインデックス(NCOインデックス)として、90〜120の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは100〜110である。なお、NCOインデックスとは、イソシアネート基と反応する水酸基を持つ原料成分の合計当量100に対するイソシアネートの当量を意味する。
【0018】
上記ウレタン原料には、上記ポリオールおよびイソシアネートに加えて、発泡剤が用いられる。なお、上記発泡剤としては、水が好ましい。上記発泡剤としての水の配合量は、上記ポリオール100重量部(以下「部」と略す)に対して0.3〜2.5部の範囲が好ましい。
【0019】
さらに、上記発泡剤以外に、触媒、整泡剤、酸化防止剤、着色剤等を適宜に配合しても差し支えない。
【0020】
上記触媒としては、例えば、第三級アミン触媒、有機金属化合物等があげられる。
【0021】
上記第三級アミン触媒としては、例えば、トリエチルアミン(TEA)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMEDA)等のモノアミン類:N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)等のジアミン類:N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)等のトリアミン類:トリエチレンジアミン(TEDA)等の環状アミン類:ジメチルアミノエタノール(DMEA)等のアルコールアミン類:ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMEE)等のエーテルアミン類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0022】
上記第三級アミン触媒の配合量は、上記ポリオール100部に対して0.1〜3部の範囲が好ましい。
【0023】
上記有機金属化合物としては、例えば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンチオカルボキシエート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0024】
上記有機金属化合物の配合量は、上記ポリオール100部に対して0.05〜0.5部の範囲が好ましい。
【0025】
上記整泡剤としては、例えば、シリコーン系整泡剤(ポリオキシアルキレン−ジメチルポリシロキサン系コポリマー)、非シリコーン系整泡剤等があげられる。
【0026】
つぎに、上記第1発泡体層2の形成材料のうちのアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)について説明する。上記アクリロニトリル−ブタジエンゴムとしては、特に限定するものではなく従来公知のものが用いられる。
【0027】
そして、上記アクリロニトリル−ブタジエンゴムには、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、発泡剤、加工助剤、可塑剤等を必要に応じて添加しても差し支えない。
【0028】
上記加硫剤としては、例えば、イオウが用いられ、その配合量はアクリロニトリル−ブタジエンゴム100部に対して0.5〜3部の範囲に設定することが好ましい。
【0029】
上記加硫促進剤としては、例えば、チウラム系、チアゾール系等の加硫促進剤が好適に用いられる。上記加硫助剤としては、例えば、ZnO(酸化亜鉛2種)等があげられる。
【0030】
上記発泡剤としては、特に限定するものではなく、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、N,N′−ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、炭酸水素カリウム、尿素、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等があげられる。上記発泡剤の配合量は、上記アクリロニトリルゴム100部に対して5〜30部程度の範囲が好ましい。
【0031】
上記加工助剤としては、例えば、ステアリン酸等があげられる。
【0032】
上記可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、脂肪族エステル系可塑剤、芳香族エステル系可塑剤等があげられる。
【0033】
さらに、上記第1発泡体層2の形成材料のうちのエピクロロヒドリンゴムについて説明する。上記エピクロロヒドリンゴムとしては、具体的には、エピクロロヒドリンのホモポリマー、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体(ECO)、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル三元共重合体があげられる。上記エピクロロヒドリンゴムも前記アクリロニトリル−ブタジエンゴムと同様、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、発泡剤、加工助剤、可塑剤等を必要に応じて添加しても差し支えない。
【0034】
つぎに、上記極性ポリマーとともに用いられる特定のイオン導電剤について説明する。上記特定のイオン導電剤は、下記の一般式(1)で表される特定の第四級アンモニウム塩である。
【0035】
【化3】
【0036】
上記炭素数4〜12のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、分子内の立体障害の点で、直鎖状が好ましい。上記炭素数4,6,8,12のアルキル基としては、具体的には、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基が好ましい。
【0037】
上記一般式(1)において、R1 〜R4 で表される残余のアルキル基(炭素数4〜12以外のアルキル基)としては、特に限定はないが、上記炭素数4〜12のアルキル基よりも炭素数が小さいものが好ましく、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基の具体例としては、上記R1 〜R4 のうちのいずれか1つが炭素数4のアルキル基である場合、残りの基は炭素数3以下のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等であることが好ましい。また、上記R1 〜R4 のうちのいずれか1つが炭素数12のアルキル基である場合、残りの基は炭素数11以下のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基等であることが好ましい。
【0038】
上記一般式(1)において、X n− で表されるn価の陰イオンとしては、特に限定はなく、例えば、F− 、Cl− 、Br− 、I− 等のハロゲンイオンや、ClO4 − 、BF4 − 、SO4 2−、HSO4 − 、CH3 SO4 − 、C2 H5 SO4 − 、CH3 SO3 − 、C2 H5 SO3 − 、COOH− 等があげられる。これらのなかでも、低抵抗化が可能である点で、Br− 、I− 、ClO4 − 、HSO4 − 、C2 H5 SO4 − が好ましい。
【0039】
上記一般式(1)において、nで表される1〜6の整数のなかでも、1〜4の整数が好ましく、特に好ましくは1〜2の整数である。
【0040】
そして、上記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩としては、R1 〜R4 のいずれか1つが炭素数4〜12のアルキル基であり、残りの3つがメチル基またはエチル基である第四級アンモニウム塩、もしくはR1 〜R4 のいずれか3つが炭素数4〜12のアルキル基であり、残りの1つがメチル基またはエチル基である第四級アンモニウム塩が好適に用いられる。より具体的には、オクチルトリメチルアンモニウムパークロレートを用いることが特に好ましい。
【0041】
上記特定の第四級アンモニウム塩の配合量は、極性ポリマー(ウレタン原料の場合はウレタン原料用ポリオール)100部に対して、特定の第四級アンモニウム塩を0.01〜10部の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.1〜5部である。すなわち、特定の第四級アンモニウム塩の配合量が0.01部未満であると、電気抵抗を所望の値まで下げることが困難となり、逆に10部を超えると、ベース成分との相溶性が悪くブルームしやすくなる傾向がみられるからである。
【0042】
また、上記導電性材料には、上記特定の第四級アンモニウム塩とともに、上記第四級アンモニウム塩以外のイオン導電剤を、その効果を阻害しない範囲内であれば併用しても差し支えない。
【0043】
上記特定の第四級アンモニウム塩以外のイオン導電剤としては、例えば、リン酸エステル、スルホン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、脂肪族多価アルコール、脂肪族アルコールサルフェート塩等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0044】
つぎに、上記第1発泡体層2の外周面に形成される第2発泡体層3の形成材料について説明する。この第2発泡体層3の形成材料は、マトリックス成分に、電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料である。
【0045】
上記マトリックス成分としては、特に限定するものではなく各種マトリックス成分が用いられる。例えば、ウレタン原料,アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR),エピクロロヒドリンゴム、さらにはエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等があげられる。
【0046】
上記第2発泡体層3の形成材料のマトリックス成分となるウレタン原料,アクリロニトリル−ブタジエンゴム,エピクロロヒドリンゴムとしては、前述の第1発泡体層2形成材料であるウレタン原料,アクリロニトリル−ブタジエンゴム,エピクロロヒドリンゴムと同様のものが用いられ、他の添加剤も前記第1発泡体層2の形成材料で述べたと同様の各種添加剤が用いられる。
【0047】
また、上記エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)としては、特に限定するものではなく従来公知のものが用いられる。
【0048】
そして、上記第2発泡体層3の形成材料に用いられる導電剤としては、前記第1発泡体層2の形成材料に用いた、イオン導電剤である特定の第四級アンモニウム塩に代えて電子導電剤を用いる。
【0049】
上記電子導電剤としては、例えば、アルミニウム粉末,ステンレス粉末等の金属粉末、c−ZnO,c−TiO2 ,c−Fe3 O4 ,c−SnO2 等の導電性金属酸化物、グラファイト,カーボンブラック等の導電性粉末等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、上記「c−」とは、導電性を有するという意味である。
【0050】
上記電子導電剤の配合量は、マトリックス成分(ウレタン原料の場合はウレタン原料用ポリオール)100部に対して、電子導電剤を5〜30部の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは10〜20部である。すなわち、電子導電剤の配合量が5部未満であると、電気抵抗を所望の値とすることが困難となり、逆に30部を超えると、機械的な物性の悪化が大きくなる傾向がみられるからである。
【0051】
そして、上記第1発泡体層2および第2発泡体層3の形成材料において、特に好ましい組み合わせとしては、第1発泡体層2の形成材料として、ウレタン原料に前記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用い、第2発泡体層3の形成材料として、ウレタン原料に電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いた例である。
【0052】
本発明の帯電ロールは、例えば、つぎのようにして製造することができる。第1発泡体層2形成材料がウレタン原料の場合、まず、金型に軸体1を挿入しウレタン原料を注入して、予め軸体の外周にウレタンスポンジ層を成形した後、これにチューブ状に押し出したアクリロニトリル−ブタジエンゴムを被せ、一回り大きい金型に挿入し、150℃×30分程度で加熱発泡させる。また、第1発泡体層2形成材料がアクリロニトリル−ブタジエンゴムの場合、軸体1とアクリロニトリル−ブタジエンゴムを同時に押し出した後金型に挿入し、150℃×30分程度で加熱発泡させた後、一回り大きい金型に挿入してウレタン原料を注入し、60℃×30分程度で発泡・硬化させる。さらに、第1発泡体層2形成材料および第2発泡体層3形成材料ともアクリロニトリル−ブタジエンゴムの場合、二層同時に押出成形し、未発泡体の第1発泡体層2および第2発泡体層3を形成した後、金型に挿入して150℃×30分程度で発泡・加硫させる。そして、第1発泡体層2形成材料および第2発泡体層3形成材料ともウレタン原料の場合、まず、金型に軸体1を挿入しウレタン原料を注入して、ウレタン原料を発泡・硬化させて第1発泡体層2を形成した後、一回り大きい金型に挿入し、再度第2発泡体層3形成材料のウレタン原料を注入してウレタン原料を発泡・硬化させて第2発泡体層3を形成する。また、各層形成材料がエピクロロヒドリンゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)の場合は、上記アクリロニトリル−ブタジエンゴムに準ずる。このようにして、図1に示すような、軸体1の外周面に第1発泡体層2が、さらに上記第1発泡体層2の外周面に第2発泡体層3が形成されてなる二層構造の帯電ロールを製造することができる。
【0053】
上記第1発泡体層2の厚みは、通常、1〜5mmであり、好ましくは1〜3mmである。また、上記第2発泡体層3の厚みは、通常、1〜5mmであり、好ましくは1〜3mmである。そして、軸体1の外周に形成される各層2,3の総厚みは、通常、2〜10mm、好ましくは2〜6mmである。
【0054】
さらに、本発明の帯電ロールは、感光ドラム表面に対する帯電という用途の観点から、その電気抵抗が104 〜107 Ωの範囲に設定されることが好ましい。
【0055】
なお、本発明の帯電ロールは、前記図1に示したような二層構造に限定されるものではなく、三層以上の多層構造であっても差し支えない。ただし、三層以上の多層構造においては、軸体の外周面には第1発泡体層および第2発泡体層が順次積層形成され、かつ上記第1発泡体層および第2発泡体層は、先に述べた各形成材料を用いて形成されていることが必要である。そして、上記第2発泡体層の外周面に、さらに必要に応じて適宜に所望の層、例えば、保護層等が形成される。
【0056】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0057】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す各層形成材料を調製した。
【0058】
〔層形成材料(a)〕
ポリエーテルポリオール(三井化学社製、EP−828、OH価=28)90部と、ポリマーポリオール(三井化学社製、POP−31−28、OH価=28)10部と、シリコーン整泡剤(日本ユニカー社製、L−5309)3部と、水2部と、第三級アミン触媒(花王社製、カオライザーNo.31)0.5部と、第三級アミン触媒(東ソー社製、トヨキャットHX−35)0.1部と、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)0.1部と、イソシアネート(住友バイエルウレタン社製、スミジュールVT−80、NCO%=45)26.9部と、イオン導電剤(オクチルトリメチルアンモニウムパークロレート)1部とを混合して層形成材料(a)を調製した。
【0059】
〔層形成材料(b)〕
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(日本ゼオン社製、ニポールDN101)100部と、加硫助剤(酸化亜鉛)5部と、加工助剤であるステアリン酸(花王社製、スナックS30)1部と、可塑剤であるポリエーテルエステル系可塑剤(旭電化社製、アデカサイザーRS−700)70部と、イオン導電剤(オクチルトリメチルアンモニウムパークロレート)1部と、加硫促進剤である、ノクセラーDM(大内新興化学社製)1部と、ノクセラーTBT(大内新興化学社製)1部と、ノクセラーTRA(大内新興化学社製)0.5部と、加硫剤となるイオウ1部と、発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成社製、セルマイクRUB)5部とを混練することにより層形成材料(b)を調製した。
【0060】
〔層形成材料(c)〕
ポリエーテルポリオール(三井化学社製、EP−828、OH価=28)90部と、ポリマーポリオール(三井化学社製、POP−31−28、OH価=28)10部と、シリコーン整泡剤(日本ユニカー社製、L−5309)3部と、水2部と、第三級アミン触媒(花王社製、カオライザーNo.31)0.5部と、第三級アミン触媒(東ソー社製、トヨキャットHX−35)0.1部と、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)0.1部と、イソシアネート(住友バイエルウレタン社製、スミジュールVT−80、NCO%=45)26.9部と、電子導電剤である導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ケッチェンブラックEC)12部とを混合して層形成材料(c)を調製した。
【0061】
〔層形成材料(d)〕
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(日本ゼオン社製、ニポールDN101)100部と、加硫助剤(酸化亜鉛)5部と、加工助剤であるステアリン酸(花王社製、スナックS30)1部と、可塑剤であるポリエーテルエステル系可塑剤(旭電化社製、アデカサイザーRS−700)70部と、電子導電剤である導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ケッチェンブラックEC)12部と、加硫促進剤である、ノクセラーDM(大内新興化学社製)1部と、ノクセラーTBT(大内新興化学社製)1部と、ノクセラーTRA(大内新興化学社製)0.5部と、加硫剤となるイオウ1部と、発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成社製、セルマイクRUB)5部とを混練することにより層形成材料(d)を調製した。
【0062】
【実施例1】
上記層形成材料(a)および層形成材料(c)を用いて、先に述べた製法に準じて、帯電ロールを作製した。すなわち、まず、軸体となる芯金(直径5mm、SUS304製)をセットし、この芯金の外周面に、上記層形成材料(a)を用いて60℃×30分の条件で第1発泡体層を形成した後、上記層形成材料(c)を用いて60℃×30分の条件で第2発泡体層を形成することにより、図1に示すように、軸体1の外周面に第1発泡体層2であるウレタンフォーム層(厚み1mm)と第2発泡体層3であるウレタンフォーム層(厚み3mm)が形成されてなる二層構造の、スポンジロールタイプの帯電ロールを作製した(図1参照)。
【0063】
【実施例2〜5】
第1発泡体層形成材料および第2発泡体層形成材料として下記の表1に示すものを用いた。また、上記各層の厚みを同表に示すように設定するとともに、加熱条件を同表に示すように設定した。そして、上記第1発泡体層形成材料および第2発泡体層形成材料に応じて、先に述べた製法を適宜選択してその製法に従い、二層構造の、スポンジロールタイプの帯電ロールを作製した。
【0064】
【表1】
【0065】
【比較例1】
前記層形成材料(a)中のイオン導電剤であるオクチルトリメチルアンモニウムパークロレートに代えてシュウ酸ビス(ベンジルトリメチルアンモニウム)を用い、それ以外は前記層形成材料(a)と同様にして層形成材料(e)を調製した。そして、上記層形成材料(e)を用いて、つぎのようにして帯電ロールを作製した。すなわち、まず、軸体となる芯金(直径5mm、SUS304製)をセットし、この芯金の外周面に上記層形成材料(e)を用いて、60℃×30分で発泡・硬化させることにより、軸体の外周面にウレタンフォーム層(厚み4mm)が形成されてなる単層構造の、スポンジロールタイプの帯電ロールを作製した。
【0066】
【比較例2】
前記層形成材料(c)のみを用いて、つぎのようにして帯電ロールを作製した。すなわち、まず、軸体となる芯金(直径5mm、SUS304製)をセットし、この芯金の外周面に上記第2発泡体層形成材料(c)を用いて、60℃×30分で発泡・硬化させることにより、軸体の外周面にウレタンフォーム層(厚み4mm)が形成されてなる単層構造の、スポンジロールタイプの帯電ロールを作製した。
【0067】
【比較例3】
第1発泡体層形成材料として、下記に示す層形成材料を調製するとともに、第2発泡体層形成材料として、下記に示す層形成材料を調製した。
【0068】
〔第1発泡体層形成材料〕
エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴ
ム(CHC) 100部
カーボンブラック 40部
ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT) 6.8部
加硫剤(硫黄) 1部
【0069】
〔第2発泡体層形成材料〕
エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴ
ム(CHC) 100部
トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート 2部
ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT) 7部
加硫剤(硫黄) 1部
【0070】
ついで、上記各層形成材料を用いて、押出機により上記第1発泡体層が厚み2mmで、上記第2発泡体層が厚み1mmとなる二層構造の未発泡円筒体を作製した。そして、上記未発泡円筒体に軸体となる芯金(直径5mm、SUS304製)を挿入し、これを成形用金型内に配設して加熱(条件:160℃×40分)することにより上記円筒体を加硫発泡させて二層構造(第1発泡体層+第2発泡体層)の、スポンジロールタイプの帯電ロールを作製した。
【0071】
このようにして得られた実施例品および比較例品の各帯電ロールを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表2および表3に併せて示した。
【0072】
〔電気抵抗値〕
帯電ロールの電気抵抗を、つぎのようにして測定した。すなわち、芯金に100Vの電圧を印加し、幅10mmで上記各帯電ロールの外径が1mm圧縮されるようなアルミニウム製リングを用いて、ロールの中央部分と両端部分の3ヶ所の電気抵抗値を測定した。そして、これら3ヶ所の測定値の平均をロールの電気抵抗値とした。
【0073】
〔電気抵抗のばらつき〕
上記電気抵抗値の測定方法により測定した帯電ロールの3ヶ所の電気抵抗値のうち最大値と最小値を用い、Log(最大値/最小値)により電気抵抗の変動桁数を算出し帯電ロールの電気抵抗のばらつきとした。
【0074】
〔画像むら評価〕
帯電ロールをレーザービームプリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下で画像出しを行った後、複写画質の評価を行った。評価は、画像むらや白斑点ぬけ等が何ら認められないものを○、画像むらや白斑点ぬけ等が一部認められたものを△、画像むらや白斑点ぬけ等が明確に認められたものを×とした。
【0075】
〔帯電音〕
図2に示すように、直径30mmの感光体ドラム31に各帯電ロール30を両端各500gの荷重をかけ圧接して回転させながら、金属ロール31および帯電ロール30間に電源33から2kV−600Hz(交流電圧)を印加したときの帯電音を、音圧測定装置32により測定した。
【0076】
〔総合評価〕
上記電気抵抗、電気抵抗のばらつき、画像むらの測定評価の結果、所望の電気抵抗の範囲(104 〜107 Ω)で、ばらつきが小さく、しかも画像むらが形成されず、帯電音も60dB以下であったものを○、上記測定評価のうちいずれか一つの評価が劣るものを△、上記測定評価のうち二つ以上評価に劣るものを×として総合評価した。
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
上記結果から、実施例品はいずれも電気抵抗値が所望の範囲(104 〜107 Ω)内であり、ばらつきも小さく、また画像むらも発生せず帯電音も小さかった。
【0080】
これに対して、イオン導電剤を用いた単層構造の比較例1品は、電気抵抗のばらつきは小さかったが、電気抵抗値が所望の範囲(104 〜107 Ω)を超えて高く、画像むらが発生した。また、電子導電剤を用いた単層構造の比較例2品は、電気抵抗値は所望の範囲内であったが電気抵抗のばらつきが大きく、画像むらが発生した。そして、電子導電剤を用いた形成材料により第1発泡体層が形成され、イオン導電剤を用いた形成材料により第2発泡体層が形成された比較例3品は、電気抵抗値は所望の範囲であり、画像も良好であったが、実施例品に比べて電気抵抗のばらつきが大きかった。
【0081】
【発明の効果】
以上のように、本発明の帯電ロールは、第1発泡体層と、この第1発泡体層の外周面に形成された第2発泡体層という二層構造の発泡体層を備え、上記第1発泡体層が、極性ポリマーに、前記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用いて形成され、上記第2発泡体層が、マトリックス成分に、電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いて形成されている。このように、異なる導電性発泡材料によって二層の発泡体層が形成されているため、電気抵抗のむらやばらつきが抑制され、感光ドラムに対して均一な帯電がなされる。したがって、本発明の帯電ロールを用いた電子写真装置では、均一な帯電により画像むら等もなく良好な画像が得られる。
【0082】
そして、上記第1発泡体層が、ウレタン原料またはアクリロニトリル−ブタジエンゴムに前記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用いて形成され、上記第2発泡体層が、ウレタン原料またはアクリロニトリル−ブタジエンゴムに電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いて形成されると、より一層優れた均一な帯電がなされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電ロールの一例を示す断面図である。
【図2】帯電音の測定方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 軸体
2 第1発泡体層
3 第2発泡体層
Claims (3)
- 上記第1発泡体層が、ウレタン原料またはアクリロニトリル−ブタジエンゴムに前記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩を含有させてなるイオン導電性発泡材料を用いて形成され、上記第2発泡体層が、ウレタン原料またはアクリロニトリル−ブタジエンゴムに電子導電剤を含有させてなる電子導電性発泡材料を用いて形成されている請求項1記載の帯電ロール。
- 上記一般式(1)中、R1 〜R4 のいずれか1つが炭素数4〜12のアルキル基であり、残りの3つがメチル基またはエチル基である請求項1または2記載の帯電ロール。
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2003
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