有機ELにおいて、青色から赤色に至るりん光発光を得るためには、最低励起状態のエネルギーレベルを変えることが必要である。また、一般に励起三重項状態の寿命が励起一重項の寿命に比べて長く、分子が高エネルギー状態に長く留まるため、周辺物質との反応、分子自体の構造変化、励起子同士の反応などが起こるため、従来のりん光発光素子では駆動寿命が短かったのではないかと考えられている。
そこで、本発明者らは種々の検討を行い、下記式(1)〜(12)で示される金属配位化合物モノマー単位を含む高分子共重合体が、青色から赤色に至るりん光発光を有し、駆動寿命も長いりん光発光材料となることを見出した。
式(1)〜(12):
(式中、MはIr、Rh、Ru、Os、PdまたはPtであり、nは1または2である。環AはMに結合した窒素原子を含む環状化合物である。X
1〜X
7およびRはそれぞれ独立に−R
1、−OR
2、−SR
3、−OCOR
4、−COOR
5、−SiR
6R
7R
8、および−NR
9R
10(ただし、R
1〜R
10は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基又はそれらの水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されたハロゲン置換アルキル基、炭素数6〜30個のアリール基、炭素数2〜30個のヘテロアリール基もしくは炭素数7〜30個のアラルキル基又はそれらの水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されたハロゲン置換アリール基、ハロゲン置換ヘテロアリール基、ハロゲン置換アラルキル基を表し、R
1〜R
10はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)からなる群から選択される置換基であって、また、X
1〜X
7は同一であっても異なっていてもよく、環AはX
1〜X
7で定義される基と同様の置換基を有していてもよい。環CはMに結合した化合物であって、結合基と結合する化合物である。環CはX
1〜X
7で定義される基と同様の置換基を有していてもよい。)ここで、金属配位化合物モノマー単位のX
1〜X
7、RにおけるR
1〜R
10は置換基を有していてもよく、置換基の例として、ハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基等を挙げることができる。これらの置換基は、さらにハロゲン原子、メチル基等によって置換されていてもよい。
以下にX1〜X7及びRで表される置換基の例を示すが、本発明においては、以下に限定されるものではない。
−R1の例としては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、メチルベンジル基、ジフェニルメチル基、スチリル基、シンナミル基、ビフェニル残基、ターフェニル残基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、フラン残基、チオフェン残基、ピロール残基、オキサゾール残基、チアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、ピリミジン残基、ピラジン残基、トリアジン残基、キノリン残基、キノキサリン残基またはこれらがフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等で置換されたハロゲン置換体を挙げることができる。−OR2の例としては、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基を挙げることができる。−SR3の例としては、メルカプト基、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基を挙げることができる。−OCOR4の例としては、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基を挙げることができる。−COOR5の例としては、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基を挙げることができる。−SiR6R7R8の例としては、シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基を挙げることができる。−NR9R10の例としては、アミノ基、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルア
ミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基を挙げることができる。
本発明に用いた金属配位化合物は、りん光性発光を有するものであり、最低励起状態は三重項MLCT(Metal-to-Ligand charge transfer)励起状態か、π−π*励起状態であると考えられる。これらの状態から基底状態に遷移するときにりん光性発光が生じる。
本発明の発光材料のりん光量子収率は0.1から0.9と高い値が得られ、りん光寿命は1〜60μsであった。りん光寿命が短いことは、有機EL素子にしたときに発光効率の高効率化の条件となる。つまり、りん光寿命が長いと、励起三重項状態でいる分子の割合が多くなり、高電流密度において、T−Tアニヒレーションに基づく発光効率の低下が生じる。本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体は、りん光発光効率が高く発光寿命も短いので有機EL素子の発光材料に適した材料である。
また、金属配位化合物を含む高分子共重合体は、前記式(1)〜(12)で示される金属配位化合物モノマー単位の置換基を様々に変えることにより、最低励起状態のエネルギーレベルが変化し、青色から赤色発光を有する有機ELの発光材料として適している。
前記式(1)〜(12)で示される金属配位化合物モノマー単位において、Mはイリジウムであることが好ましい。
また、環Aは以下(以下、まとめて置換基Xnと表記する。)に示す構造を有する環状化合物のいずれかであることが好ましく、より好ましくはX1〜X7で定義される基と同様の置換基を有していてもよいピリジン、キノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ベンゾピラゾール、トリアジンまたはイソキノリンであり、さらに好ましくはピリジン、キノリン又はイソキノリンである。
(ここでZ1〜Z6は、それぞれ独立に−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5、−SiR6R7R8、および−NR9R10(ただし、R1〜R10は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基又はそれらの水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されたハロゲン置換アルキル基、炭素数6〜30個のアリール基、炭素数2〜30個のヘテロアリール基もしくは炭素数7〜30個のアラルキル基又はそれらの水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されたハロゲン置換アリール基、ハロゲン置換ヘテロアリール基、ハロゲン置換アラルキル基を表し、R1〜R10はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)からなる群から選択される置換基であって、また、Z1〜Z6は、それぞれ同一であっても異なっていても良い。)ここで、R1〜R10は置換基を有していてもよく、置換基の例として、ハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基等を挙げることができる。これらの置換基は、さらにハロゲン原子、メチル基等によって置換されていてもよい。
また、金属Mに結合するもう一つの配位子である環Cは、X1〜X7で定義される基と同様の置換基を有していてもよい二座配位子であり、金属Mと結合して環を形成する。環Cは、以下に示す構造を有する化合物のいずれかであることが好ましい。
Wは、その他のモノマー単位と反応して高分子共重合体を形成する2価から6価の基であり、好ましくは2価又は3価である。Wとしては、例えば、下記のX1〜X8と同様の置換基であって、式(14)で表される結合基と結合する2価から6価の基を挙げることができる。
X1〜X8は−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5、−SiR6R7R8、および−NR9R10(ただし、R1〜R10は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基又はそれらの水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されたハロゲン置換アルキル基、炭素数6〜30個のアリール基、炭素数2〜30個のヘテロアリール基もしくは炭素数7〜30個のアラルキル基又はそれらの水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されたハロゲン置換アリール基、ハロゲン置換ヘテロアリール基、ハロゲン置換アラルキル基を表し、R1〜R10はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)からなる群から選択される置換基であり、また、X1〜X8は同一であっても異なっていても良い。ここで、R1〜R10は置換基を有していてもよく、置換基の例として、ハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基等を挙げることができる。これらの置換基は、さらにハロゲン原子、メチル基等によって置換されていてもよい。
(金属配位化合物モノマー単位の合成方法の詳細な説明)
以下、本発明に使用されるモノマー単位の合成方法について、具体例を用いながら詳細に説明する。
本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体に用いる金属配位化合物モノマー単位は、種々の当業者公知の合成法により製造できる。例えば、S.Lamanskyら.,J.Am.Chem.Soc.2001.123.に記載されている方法を用いることができる。本発明で用いられる前記式(1)〜(12)で示される金属配位化合物モノマー単位の合成経路の一例(環Aが置換ピリジンの場合)をイリジウム配位化合物モノマー単位を例として示す。なお、ここで説明するのは、以下表1に示した(2)に関するものであるが、他の例示化合物についてもほぼ同じ方法で合成することができる。
ここで、L2は金属M(上記の場合、イリジウム)に結合した化合物であって結合基と結合する環C化合物である。
以下に、本発明における金属配位化合物モノマー単位の好ましい態様を示す。
例えば、前記式(1)〜(6)で示される金属配位化合物モノマー単位において、青色の発光材料を得る場合には、置換基Xn、あるいは、環Aが有するXnと同様に定義される置換基の少なくとも1つが、発光波長の短波長化に有効であるという観点から、ハロゲン原子、シアノ基またはハロゲン置換アルキル基であることが好ましく、フッ素原子、塩素原子、シアノ基またはトリフルオロメチル基であることがより好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であることがさらに好ましく、フッ素原子であることが最も好ましい。置換基Xn、あるいは、環Aが有するXnと同様に定義される置換基の少なくとも1つが、前記いずれかの置換基を有する場合、他のXnは水素原子である場合が多いが、さらに他の置換基であってもよい。例えば、X7はアルキル基またはハロゲン置換アルキル基であることが好ましい。
また、例えば、前記式(1)〜(6)で示される金属配位化合物モノマー単位において、緑色から赤色の発光材料を得る場合には、置換基Xn、あるいは、環Aが有するXnと同様に定義される置換基の少なくとも1つが、緑色から赤色までの発光色の制御が容易であるという観点から、−R、−ORまたは−SRであることが好ましい。置換基Xn、あるいは、環Aが有するXnと同様に定義される置換基の少なくとも1つが、前記いずれかの置換基を有する場合、他のXnは水素原子である場合が多いが、さらに他の置換基であってもよい。例えば、X7はアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であることが好ましい。
また、例えば、前記式(7)〜(12)で示される金属配位化合物モノマー単位において、青色の発光材料を得る場合には、Bが>C=Oまたは>SO2である化合物を用いることが好ましい。また、緑色から赤色までの発光波長を得る場合には、Bは>O、>Sまたは>CR2であることが好ましい。さらに、前記式(7)〜(12)において、置換基Xn、あるいは、環Aが有するXnと同様に定義される置換基の少なくとも1つが、青色の発光色が得られるという観点から、ハロゲン原子、シアノ基またはハロゲン置換アルキル基であることが好ましく、フッ素原子、塩素原子、シアノ基またはトリフルオロメチル基であることがより好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であることがさらに好ましく、フッ素原子であることが最も好ましい。あるいは、青色から赤色までの発光色の制御が容易であるという観点から、−R、−ORまたは−SRであることが好ましい。置換基Xn、あるいは、環Aが有するXnと同様に定義される置換基の少なくとも1つが、前記いずれかの置換基を有する場合、他のXnは水素原子である場合が多いが、さらに他の置換基であってもよい。
前記式(1)〜(6)で示される金属配位化合物中、合成が容易であるという観点から、式(1)または(4)で示される金属配位化合物であることが好ましい。前記式(7)〜(12)で示される金属配位化合物中、合成が容易であるという観点から、式(8)または(11)で示される金属配位化合物であることが好ましい。
金属配位化合物モノマー単位の具体例として、下記に例示化合物を示すが、これらに限定されるものではない。
(金属配位化合物の例示)
また、本発明の金属配位化合物モノマー単位の具体例としては、上記表1〜3に記載された化合物において、環Cを以下の配位子に代えた化合物を挙げることができる。
本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体は、前記式(1)〜(12):で表されるいずれかの金属配位化合物モノマー単位と置換又は非置換であってもよい式(13):
(式中、複数個のVは、それぞれ独立に−R
1、−OR
2、−SR
3、−OCOR
4、−COOR
5および−SiR
6R
7R
8(ただし、R
1〜R
8は、炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基、または、炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基を表す)からなる群から選択される置換基であって、それぞれは同一であっても異なっていてもよい、キノリン残基中の置換可能な位置に結合した置換基であり、aは各々独立に0〜3の整数である。Dは単結合およびアリーレンからなる群から選ばれ、Eは、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O
2)−、−W−、−(−O−W−)m−O−(mは1〜3の整数)、及び−Q−からなる群から選ばれる2価の結合基[式中、Wは−Ra−、−Ar′−、−Ra−Ar′−、−Ra′−O−Ra′−、−Ra′−C(O)O−Ra′−、−Ra′−NHCO−Ra′−、−Ra−C(O)−Ra−、−Ar′−C(O)−Ar′−、−Het′−、−Ar′−S−Ar′−、−Ar′−S(O)−Ar′−、−Ar′−S(O
2)−Ar′−、及び−Ar′−Q−Ar′−からなる群から選ばれる2価の基であり、Raはアルキレンであり、Ar′はアリーレンであり、Ra′は各々独立にアルキレン、アリーレン及びアルキレン/アリーレン混合基からなる群から選ばれる基であり、Het′はヘテロアリーレンであり、Qは4級炭素を含有する2価の基である]である。)で表されるキノリンモノマー単位と、
置換または非置換であってもよい枝分れ構造モノマー単位とを含む金属配位化合物含有高分子共重合体である。
前記各モノマー単位を結合する基が、式(14):
(式中、Gは−O−、−R−O−R−、−S−、−NR−、−CR
2−、−SiR
2−、−SiR
2−O−SiR
2−、および−SiR
2−O−SiR
2−O−SiR
2−(ここで、Rは、炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基、または、炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基を表す)からなる群から選択される2価の基であり、bは0〜1の整数を表す)で表される結合基であることが好ましい。
本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体は、上記の各モノマー成分を少なくとも含んでいればよく、各モノマー単位は、いわゆるランダムコポリマーのように共重合体中にランダムに含まれていてもよいし、あるいはブロックコポリマーやグラフトコポリマーのように一部の特定のモノマー単位が局在して存在するような共重合体であってもよい。なお、上記の共重合体を構成する3種の各モノマー単位は、それぞれ1種類のモノマーであっても、2種類以上のモノマーが組み合わされたものであってもよい。
本発明で用いられる、式(13):
で表されるキノリンモノマー単位は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の式(13)のキノリンモノマー単位中、複数個のVは−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5または−SiR6R7R8で表され、また、置換基Vが複数個置換している場合、これらのVはそれぞれ同一の置換基であっても異なる種類の置換基であってもよい。aは各々独立に0〜3の整数である。
一方、置換基VにおけるR1〜R8としては、それぞれ独立に、炭素数1〜22個の直鎖アルキル基、環状アルキル基もしくは分岐アルキル基、または、炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基である。このような基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜22個の直鎖アルキル基、環状アルキル基もしくは分岐アルキル基、また、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル残基、ターフェニル残基、フラン残基、チオフェン残基、ピロール残基、オキサゾール残基、チアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、ピリミジン残基、ピラジン残基、トリアジン残基、キノリン残基、キノキサリン残基などの炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基があげられる。
置換基Vはさらに、置換基を有していてもよい。Vが有する置換基としては、上記−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5または−SiR6R7R8で表される置換基、さらに−NR9R10(ただし、R9、R10は、それぞれ独立に炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基、または、炭素数2〜20個のアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。)で表される置換基が挙げられる。置換基が複数存在する場合、複数の置換基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
本発明の式(13)のキノリンモノマー単位中、Vaとしては、それぞれ独立して、aが0、すなわち未置換のものであるか、あるいはVが−R1で表されるアルキル基、アリール基が直接置換したものが、溶解性および耐熱性の点から好ましいものである。また、置換基数は、aが0、すなわち未置換の場合を含めて、aが1または2であるものが、重合反応性の点で好ましいものである。さらに、アリール基としては、フェニル基が好ましいものである。
また、式(13)のキノリンモノマー単位中、Dは、それぞれ独立に単結合またはアリーレンであり、Dとしては、アリーレンであることが好ましく、オルト−フェニレン、メタ−フェニレン、パラ−フェニレンが重合反応性の点で好ましいものである。
Eは、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O2)−、−W−、−(−O−W−)m−O−(mは1〜3の整数)、及び−Q−からなる群から選ばれる2価の結合基である。上記Wは、−Ra−、−Ar′−、−Ra−Ar′−、−Ra′−O−Ra′−、−Ra′−C(O)O−Ra′−、−Ra′−NHCO−Ra′−、−Ra−C(O)−Ra−、−Ar′−C(O)−Ar′−、−Het′−、−Ar′−S−Ar′−、−Ar′−S(O)−Ar′−、−Ar′−S(O2)−Ar′−、及び−Ar′−Q−Ar′−からなる群から選ばれる2価の基であり、Raはアルキレンであり、Ar′はアリーレンであり、Ra′は各々独立にアルキレン、アリーレン及びアルキレン/アリーレン混合基からなる群から選ばれる基であり、Het′はヘテロアリーレンであり、Qは4級炭素を含有する2価の基である。Eとしては、単結合、−O−、−Ar′−または−Ra′−O−Ra′−であることがより好ましく、フェニル残基、フェナントレン残基、フルオレン残基、カルバゾール残基、ビフェニル残基、ジフェニルエーテル残基であることが重合反応性の点で好ましい。
これらの他、D又はEで表される2価の基におけるアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン及びQとしては、前述の置換基VにおけるR1〜R8の例として挙げられた置換基から、水素原子が1つ取れた2価の基を例示することができる。
式(13)中、D又はEで表される2価の基は、置換基を有していてもよい。D又はEが有する置換基としては、上記−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5、−SiR6R7R8または−NR9R10で表される置換基が挙げられる。置換基が複数存在する場合、複数の置換基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(13)のキノリンモノマー単位の具体例として、下記に例示化合物を示すが、これらに限定されるものではない。
ここで、上記キノリンモノマー単位中、置換基Rとしては、上記−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5、−SiR6R7R8または−NR9R10で表される置換基が挙げられる。また、Rは水素原子であってもよい。置換基Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、本発明で使用する置換または非置換であってもよい枝分れ構造モノマー単位は、3価以上の枝分れ構造を有する単位であることが好ましく、3価または4価の枝分れ構造を有する単位であることがより好ましい。枝分れ構造モノマー単位としては、式(15):
で表される枝分れ構造が好ましく、これらの枝分れ構造モノマー単位は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの枝分れ構造モノマー単位の式(15)における、置換基Yは、各々独立に−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5または−SiR6R7R8(ただし、R1〜R8は、炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基、または、炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基を表す)からなる群から選択される置換基であって、それぞれは同一であっても異なっていてもよく、枝分れ構造骨格のベンゼン環の置換可能な位置に結合した置換基であり、pは0〜4の整数である。pは0〜2であることが好ましい。
一方、置換基YにおけるR1〜R8としては、それぞれ独立に、炭素数1〜22個の直鎖アルキル基、環状アルキル基もしくは分岐アルキル基、または、炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基である。このような基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜22個の直鎖アルキル基、環状アルキル基もしくは分岐アルキル基、また、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル残基、ターフェニル残基、フラン残基、チオフェン残基、ピロール残基、オキサゾール残基、チアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、ピリミジン残基、ピラジン残基、トリアジン残基、キノリン残基、キノキサリン残基などの炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基があげられる。
置換基Yはさらに、置換基を有していてもよい。Yが有する置換基としては、上記−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5または−SiR6R7R8で表される置換基、さらに−NR9R10(ただし、R9、R10は、それぞれ独立に炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基、または、炭素数2〜20個のアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。)で表される置換基が挙げられる。置換基が複数存在する場合、複数の置換基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基のうち、Ypとしては、それぞれ独立して、pが0、すなわち未置換のものであるか、あるいはYが−R1で表されるアルキル基が直接置換したものが、重合反応性および耐熱性の点から好ましいものである。また、置換基数は、未置換の場合、すなわちpが0であるものを含めて、pが1であるものが、重合反応性の点で好ましいものである。
本発明の金属配位化合物含有高分子共重合体において、各モノマー単位を結合する基が、式(14):
(式中、Gは−O−、−R−O−R−、−S−、−NR−、−CR
2−、−SiR
2−、−SiR
2−O−SiR
2−、および−SiR
2−O−SiR
2−O−SiR
2−(ここで、Rは、炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基、または、炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基を表す)からなる群から選択される2価の基であり、bは0〜1の整数を表す)で表されることが好ましい。
また、上記の式(14)において、bが0の場合は単結合を意味している。これらのうち結合基としては、単結合または−O−が合成の簡便性の点で好ましい。−R−O−R−、−NR−、−CR2−、−SiR2−、−SiR2−O−SiR2−、または−SiR2−O−SiR2−O−SiR2−におけるRとしては、炭素数1〜22個の直鎖、環状または分岐アルキル基が溶解性付与の観点から好ましく、炭素数1〜6個の直鎖アルキル基が重合反応性の点で特に好ましいものである。
本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体は、上記の3成分のモノマー単位を少なくとも含むものであるが、必要に応じて、これら以外のモノマー単位を「共重合モノマー単位」として、置換または非置換のトリフェニルアミン骨格を有するモノマー単位を含有させることができる。このようなトリフェニルアミン骨格を有するモノマー単位としては、トリフェニルアミン、N−(4−ブチルフェニル)−N,N−ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(2−ナフチル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどが、あげられる。なお、これらの芳香族性の環に置換可能な基としては、炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基などがあげられる。
また、本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体は、上記の3成分のモノマー単位を少なくとも含むものであるが、必要に応じて、これら以外のモノマー単位を「共重合モノマー単位」として、置換または非置換であってもよいアリーレン及び/又はヘテロアリーレンモノマー単位を含有させることができる。このような置換または非置換であってもよいアリーレン及び/又はヘテロアリーレンモノマー単位としては、好ましくは2価の基であり、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、フルオレン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ピリジン、ピラジン、イソキノリン、アクリジン、フェナントロリン、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチオフェン、ジフェニルオキサジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ジフェニルジアゾール、ジフェニルチアジアゾールなどがあげられ、アリーレン及び/又はヘテロアリーレンモノマー単位として、これらは単独で又は複数個が結合して用いられる。また、アリーレン及び/又はヘテロアリーレンモノマー単位は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
アリーレン及び/又はヘテロアリーレンモノマー単位は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5、−SiR6R7R8または−NR9R10で表される置換基が挙げられる。置換基が複数存在する場合、複数の置換基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記R1〜R8としては、それぞれ独立に、炭素数1〜22個の直鎖アルキル基、環状アルキル基もしくは分岐アルキル基、または、炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基である。このような基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜22個の直鎖アルキル基、環状アルキル基もしくは分岐アルキル基、また、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル残基、ターフェニル残基、フラン残基、チオフェン残基、ピロール残基、オキサゾール残基、チアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、ピリミジン残基、ピラジン残基、トリアジン残基、キノリン残基、キノキサリン残基などの炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基があげられる。アリーレン及び/又はヘテロアリーレンモノマー単位が有する置換基はさらに、置換基を有していてもよい。
本発明のアリーレン及び/又はヘテロアリーレンモノマー単位の有する置換基としては、それぞれ独立して、未置換のもの、すなわち水素原子であるか、あるいは−R1で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基が直接置換したもの、あるいは−OR2で表されるアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基が置換したものが、溶解性および耐熱性の点から好ましいものである。また、置換基数は、水素原子、すなわち未置換の場合を含めて、1から3であるものが、重合反応性の点で好ましいものである。さらに、アリール基としては、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のフルオレン基などが好ましいものである。さらに、ヘテロアリール基としては、オキサジアゾール基、フェニルオキサジアゾール基、フェニルチアジアゾール基、ベンゾチアジアゾール基などが好ましいものである。
代表的な例としては、下記構造式で表されるものなどがあげられる。
これらのアリーレン及び/又はヘテロアリーレンモノマー単位の置換基Rは、各々独立に−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5または−SiR6R7R8(ただし、R1〜R8は、水素原子、炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基、または、炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基を表す)からなる群から選択される置換基であって、それぞれは同一であっても異なっていてもよく、アリーレン及び/又はヘテロアリーレン骨格の置換可能な位置に結合した置換基である。
これらの置換基のうち、Rとしては、それぞれ独立して、未置換のもの、すなわち水素原子であるか、あるいは−R1で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基が直接置換したもの、−OR2で表される水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基が、重合反応性および耐熱性の点から好ましいものである。
本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体中の全モノマー単位総数中の金属配位化合物モノマー単位の占めるモル分率は、0.1から30%が好ましく、0.5から20%がより好ましく、1から10%が最も好ましい。金属配位化合物モノマー単位が、0.1%未満であると発光色度が劣化しやすい傾向にあり、30%を超えると発光輝度が低くなる傾向にある。
本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体中の全モノマー単位総数中のキノリンモノマー単位の占めるモル分率は、1から70%が好ましく、3から65%がより好ましく、5から50%が最も好ましい。キノリンモノマー単位が、1%未満であると発光輝度が低くなる傾向にあり、70%を超えると発光色度が劣化しやすい傾向にある。
本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体中の全モノマー単位総数中の置換または非置換であってもよい枝分れ構造モノマー単位の占めるモル分率は、0.1から30%が好ましく、0.5から20%がより好ましく、1から10%が最も好ましい。枝分れ構造モノマー単位が、0.1%未満であると発光色度が劣化しやすい傾向にあり、30%を超えると発光輝度が低くなる傾向にある。
なお、本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体に共重合させることのできる置換または非置換のトリフェニルアミン骨格を有するモノマー単位、置換または非置換であってもよいアリーレン及び/又はヘテロアリーレンモノマー単位は、ポリマーの全モノマー単位総数中のモル分率で、0から48%であることが好ましい。
本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体は、種々の当業者公知の合成法により製造できる。例えば、各モノマー単位を結合する基が無い場合には、ヤマモト(T. Yamamoto)らのBull. Chem. Soc. Jap.、51巻、7号、2091頁(1978)およびゼンバヤシ(M. Zembayashi)らのTet. Lett., 47巻4089頁(1977)に記載されている方法を用いることができるが、SuzukiによりSynthetic Communications, Vol.11, No.7, p.513 (1981)において報告されている方法が共重合体の製造には、一般的である。この反応は、芳香族ボロン酸(boronic acid)誘導体と芳香族ハロゲン化物の間でPd触媒化クロスカップリング反応(通常、「鈴木反応」と呼ばれる)を起こさしめるものであり、対応する芳香族環同士を結合する反応に用いることにより、本発明の金属配位化合物含有する高分子共重合体を製造することができる。
また、この反応はPd(II)塩もしくはPd(0)錯体の形態の可溶性Pd化合物を必要とする。芳香族反応体を基準として0.01〜5モルパーセントのPd(PPh3)4、3級ホスフィンリガンドとのPd(OAc)2錯体およびPdCl2(dppf)錯体が一般に好ましいPd源である。この反応は塩基も必要とし、水性アルカリカーボネートもしくはバイカーボネートが最も好ましい。また、相間移動触媒を用いて、非極性溶媒中で反応を促進することもできる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が用いられる。
本発明のポリマーの場合には、例えば、具体的に、次式
(式中、R′はメチル基、エチル基、プロピル基などの低級アルキル基、あるいは2個のR′が互いに結合して環を形成するエチレン基、プロピレン基などの低級アルキレン基であり、VおよびD、E及びaは前述のとおりのものである)で表されるキノリン誘導体のジボロンエステルと、ジブロモ金属配位化合物誘導体モノマー、トリブロモ枝分れ構造誘導体とを、パラジウム(0)触媒存在下、水溶性塩基により共重合させて製造することができる。
各モノマー単位を結合する基がOの場合には、特開平9−136954号公報に記載されているようなジフルオロキノリンモノマーとジヒドロキシ金属配位化合物誘導体モノマー及びトリヒドロキシ枝分れ構造誘導体、ジブロモ金属配位化合物誘導体モノマー及びトリブロモ枝分れ構造誘導体とジヒドロキシキノリンモノマー、またはジブロモキノリンモノマー及びトリブロモ枝分れ構造誘導体とジヒドロキシ金属配位化合物誘導体モノマーを塩基存在下、極性溶媒中で反応させることによって本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体を製造できる。この反応は、本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体を製造するための反応を、ジヒドロキシ化合物を脱プロトン化しうる塩基の存在下で行う。このような塩基としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩及び水酸化物、例えば、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。ジヒドロキシ化合物の酸性度が低くて水酸化ナトリウムでは十分に脱プロトン化されない場合には、より強い塩基、例えば、水素化ナトリウム等の金属水素化物、ブチルリチウム、ナトリウムアミド等の金属アミドなどを用いてもよい。この塩基とジヒドロキシ化合物との反応時には、水が生成する。この水は、共沸蒸留により除去することができる。
なお、本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体には、さらにその他の単量体を共重合させることができ、その他のジヒドロキシ単量体の例としては、例えば、イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、1,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ジ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、N,N−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−N−フェニルアミン、N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等が挙げられる。
本発明の金属配位化合物含有高分子共重合体の分子量は、10,000〜1,000,000であることが好ましく、30,000〜800,000であることが好ましい。10,000未満であるとフィルム形成能が低下する傾向があり、1,000,000を超えると溶解性が低下する傾向がある。
本発明の金属配位化合物を含む高分子共重合体は、エレクトロルミネセンス素子の活性層材料として使用できる。活性層とは、層が電界の適用時に発光し得るもの(発光層)か、または、電荷の注入もしくは電荷の移動を改良するもの(電荷注入層または電荷移動層)を意味する。ここで、電荷とは負または正の電荷をいう。
活性層の厚みは、発光効率等を考慮し適宜設定することができ、10〜300nmであることが好ましく、20〜200nmであることがさらに好ましい。10nm未満であると薄膜欠陥としてピンホールなどが生じる傾向があり、300nmを超えると特性が低下する傾向がある。
本発明の共重合体は、それ以外の材料と混合して使用してもよい。また、本発明の共重合体を用いたエレクトロルミネセンス素子は、上記共重合体以外の材料を含む層が本発明の共重合体を含む活性層と積層されていてもよい。本発明の共重合体と混合して用いてもよい材料としては、正孔注入および/または正孔移動材料、電子注入および/または電子移動材料、発光材料、バインダーポリマーなどの公知のものが使用できる。混合する材料としては、高分子材料でも、低分子材料でもかまわない。
正孔注入および/または正孔移動材料に使用可能なものとしては、アリールアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、カルバゾール系化合物、高分子量アリールアミン、ポリアニリン、ポリチオフェン、などの材料およびそれらを高分子化した材料が例示される。電子注入および/または電子移動材料に使用可能なものとしては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾキノン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、金属キレート錯体化合物、などの材料およびそれらを高分子化した材料が例示される。発光材料に使用可能なものとしては、アリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、キナクリドン誘導体、ピラゾリン誘導体、アントラセン誘導体、ルブレン誘導体、スチルベン誘導体、クマリン誘導体、ナフタレン誘導体、金属キレート錯体、IrやPtなどの中心金属を含む金属錯体、などの材料およびそれらを高分子化した材料、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、などのポリマー材料が例示される。バインダーポリマーに使用可能なものとしては、特性を著しく低下させないものであれば使用できる。当該バインダーポリマーとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリールエーテル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサン、などの材料が例示される。
中でも、本発明の金属配位化合物含有高分子共重合体は、共役あるいは非共役ポリマーに混合させたポリマー組成物として用いることができる。ポリマー組成物として用いることができる共役あるいは非共役のポリマーとしては、例えば、置換または非置換であってもよいポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリトリフェニルアミン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリイミド誘導体、ポリアミドイミド誘導体、ポリカーボネート誘導体、ポリアクリル誘導体、ポリスチレン誘導体などが挙げられる。また、これら共役あるいは非共役のポリマーとしては、必要に応じてその他モノマー単位として、置換または非置換であってもよいアリーレン及び/又はヘテロアリーレンモノマー単位であるベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、フルオレン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ピリジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントロリン、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチオフェンなど、置換または非置換のトリフェニルアミン骨格を有するモノマー単位であるトリフェニルアミン、N−(4−ブチルフェニル)−N−ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(2−ナフチル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどと共重合したものなどが挙げられる。
本発明の共重合体またはポリマー組成物をエレクトロルミネセンス素子の活性層材料として使用するためには、溶液から、または、フィルムの形状で基体に、当業者に公知の方法、例えば、インクジェット、キャスト、スプレー、浸漬、印刷またはスピンコーティングなどを用いて積層することにより達成することができる。印刷法には、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等がある。このような積層方法は、通常、−20〜+300℃の温度範囲、好ましくは10〜100℃、特に好ましくは15〜50℃で実施することができる。また、積層されたポリマー溶液の乾燥は、通常、常温乾燥、ホットプレートによる加熱乾燥などで実施することができる。
共重合体を含む溶液に用いられる溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート等を用いることができる。
また、共重合体を含む溶液の全重量に対し、金属配位化合物含有高分子共重合体は0.1〜5重量%含まれることが好ましく、0.2〜3重量%含まれることがさらに好ましい。0.1重量%未満であると薄膜欠陥としてピンホールなどが生じる傾向があり、5重量%を超えると膜厚ムラが生じる傾向がある。
本発明のポリマーからなる本発明のエレクトロルミネセンス素子の一般構造は、米国特許第4,539,507号および米国特許第5,151,629号に記載されている。また、ポリマー含有のエレクトロルミネセンス素子については、例えば、国際公開WO第90/13148号または欧州特許公開第0 443 861号に記載されている。
これらは通常、電極の少なくとも1つが透明であるカソードとアノードとの間に、エレクトロルミネセント層(発光層)を含むものである。さらに、1つ以上の電子注入層および/または電子移動層が、エレクトロルミネセント層(発光層)とカソードとの間に挿入され得るもので、さらに、1つ以上の正孔注入層および/または正孔移動層が、エレクトロルミネセント層(発光層)とアノードとの間に挿入され得るものである。カソード材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Mg/Ag、LiFなどの金属または金属合金であるのが好ましい。アノードとしては、透明基体(例えば、ガラスまたは透明ポリマー)上に、金属(例えば、Au)または金属導電率を有する他の材料、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)を使用することもできる。
電子注入および/または電子移動層には、オキサジアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾキノン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、金属キレート錯体化合物、などの材料を含む層が挙げられる。
正孔注入および/または正孔移動層には、銅フタロシアニン、トリフェニルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、カルバゾール系化合物、高分子量アリールアミン、ポリアニリン、ポリチオフェン、などの材料を含む層が挙げられる。
本発明を以下の実施例により説明するが、これらに限定されるものではない。また、下記に示す実施例の他、上述の種々のモノマー単位を用いた場合にも、色純度に優れ、信頼性、発光特性に優れたエレクトロルミネセンス素子を得ることができる。
実施例1 金属配位化合物 表1(1)の合成
マグネシウム(1.9g、80mmol)のTHF混合物中に、3−ブロモ−9−メチルカルバゾール(30mmol)のTHF溶液を、アルゴン気流下、よく攪拌しながら徐々に加え、グリニヤール試薬を調製した。得られたグリニヤール試薬を、トリメチルホウ酸エステル(300mmol)のTHF溶液に−78℃でよく攪拌しながら、2時間かけて徐々に滴下した後、2日間室温で攪拌した。反応混合物を粉砕した氷を含有する5%希硫酸中に注ぎ攪拌した。得られた水溶液をトルエンで抽出し、抽出物を濃縮したところ、無色の固体が得られた。得られた固体をトルエン/アセトン(1/2)から再結晶することにより、無色結晶としてカルバゾール誘導体ボロン酸が得られた(40%)。得られたカルバゾール誘導体ボロン酸(12mmol)と1,2−エタンジオール(30mmol)をトルエン中で10時間還流した後、トルエン/アセトン(1/4)から再結晶したところ、カルバゾール誘導体ボロンエステルが無色結晶として得られた。
2−ブロモピリジン(10mmol)、カルバゾール誘導体ボロンエステル(10mmol)、Pd(0)(PPh3)4(0.2mmol)のトルエン溶液に、アルゴン気流下、2MのK2CO3水溶液を加え、激しく攪拌しながら48時間還流した。反応混合物を室温まで冷却した後、大量のメタノール中に注ぎ、固体を沈殿させた。析出した固体を吸引濾過し、メタノールで洗浄することにより、3−(2’-ピリジル)−9−メチルカルバゾールの固体を得た。
200mlの3つ口フラスコに塩化イリジウム(III)(1.7mmol)、3−(2’-ピリジル)−9−メチルカルバゾール(7.58mmol)、エトキシエタノール50mlと水20mlを入れ、窒素気流下室温で30分間攪拌し、その後24時間還流攪拌した。反応物を室温まで冷却し、沈殿物を濾取水洗後、エタノール及びアセトンで順次洗浄した。室温で減圧乾燥し、ジ−μ−クロロ−テトラキス[3−(2’−ピリジル)−9−メチルカルバゾール−N1’,C2]ジイリジウム(III)の淡黄色粉末を得た。
200mlの3つ口フラスコにエトキシエタノール70ml、ジ−μ−クロロ−テトラキス[3−(2’−ピリジル)−9−メチルカルバゾール−N1’,C2]ジイリジウム(III)(0.7mmol)、下記構造式で表されるアセチルアセトン誘導体(2.10mmol)と炭酸ナトリウム(9.43mmol)を入れ、窒素気流下室温で攪拌し、その後15時間還流攪拌した。
反応物を氷冷し、沈殿物を濾取水洗した。この沈殿物をシリカゲルカラムクロマト(溶離液:クロロホルム/メタノール:30/1)で精製し、ビス[3−(2’−ピリジル)−9−メチルカルバゾール−N1’,C2](ジブロモベンジルアセチルアセトナト)イリジウム(III)の淡黄色粉末を得た。
なお、得られた化合物については、NMRスペクトル、IRスペクトル等によりその確認を行った。以下に示す化合物についても同様である。
実施例2 金属配位化合物 表2(125)の合成
マグネシウム(1.9g、80mmol)のTHF混合物中に、2−ヒドロキシ−6−ブロモ−9−メチルカルバゾール(30mmol)のTHF溶液を、アルゴン気流下、よく攪拌しながら徐々に加え、グリニヤール試薬を調製した。得られたグリニヤール試薬を、トリメチルホウ酸エステル(300mmol)のTHF溶液に−78℃でよく攪拌しながら、2時間かけて徐々に滴下した後、2日間室温で攪拌した。反応混合物を粉砕した氷を含有する5%希硫酸中に注ぎ攪拌した。得られた水溶液をトルエンで抽出し、抽出物を濃縮したところ、無色の固体が得られた。得られた固体をトルエン/アセトン(1/2)から再結晶することにより、無色結晶としてカルバゾール誘導体ボロン酸が得られた(40%)。得られたカルバゾール誘導体ボロン酸(12mmol)と1,2−エタンジオール(30mmol)をトルエン中で10時間還流した後、トルエン/アセトン(1/4)から再結晶したところ、カルバゾール誘導体ボロンエステルが無色結晶として得られた。
2−ブロモピリジン(10mmol)、カルバゾール誘導体ボロンエステル(10mmol)、Pd(0)(PPh3)4(0.2mmol)のトルエン溶液に、アルゴン気流下、2MのK2CO3水溶液を加え、激しく攪拌しながら48時間還流した。反応混合物を室温まで冷却した後、大量のメタノール中に注ぎ、固体を沈殿させた。析出した固体を吸引濾過し、メタノールで洗浄することにより、2−ヒドロキシ−6−(2’-ピリジル)−9−メチルカルバゾールの固体を得た。
200mlの3つ口フラスコに塩化イリジウム(III)(1.7mmol)、2−ヒドロキシ−6−(2’-ピリジル)−9−メチルカルバゾール(7.58mmol)、エトキシエタノール50mlと水20mlを入れ、窒素気流下室温で30分間攪拌し、その後24時間還流攪拌した。反応物を室温まで冷却し、沈殿物を濾取水洗後、エタノール及びアセトンで順次洗浄した。室温で減圧乾燥し、ジ−μ−クロロ−テトラキス[2−ヒドロキシ−6−(2’−ピリジル)−9−メチルカルバゾール−N1’,C7]ジイリジウム(III)の淡黄色粉末を得た。
200mlの3つ口フラスコにエトキシエタノール70ml、ジ−μ−クロロ−テトラキス[2−ヒドロキシ−6−(2’−ピリジル)−9−メチルカルバゾール−N1’,C7]ジイリジウム(III)(0.7mmol)、下記構造式で表されるアセチルアセトン誘導体(2.10mmol)と炭酸ナトリウム(9.43mmol)を入れ、窒素気流下室温で攪拌し、その後15時間還流攪拌した。
反応物を氷冷し、沈殿物を濾取水洗した。この沈殿物をシリカゲルカラムクロマト(溶離液:クロロホルム/メタノール:30/1)で精製し、ビス[2−ヒドロキシ−6−(2’−ピリジル)−9−メチルカルバゾール−N1’,C7](ジブロモベンジルアセチルアセトナト)イリジウム(III)の淡黄色粉末を得た。
実施例3 金属配位化合物 表3(253)の合成
マグネシウム(1.9g、80mmol)のTHF混合物中に、2−ブロモ−9−フルオレノン(30mmol)のTHF溶液を、アルゴン気流下、よく攪拌しながら徐々に加え、グリニヤール試薬を調製した。得られたグリニヤール試薬を、トリメチルホウ酸エステル(300mmol)のTHF溶液に−78℃でよく攪拌しながら、2時間かけて徐々に滴下した後、2日間室温で攪拌した。反応混合物を粉砕した氷を含有する5%希硫酸中に注ぎ攪拌した。得られた水溶液をトルエンで抽出し、抽出物を濃縮したところ、無色の固体が得られた。得られた固体をトルエン/アセトン(1/2)から再結晶することにより、無色結晶としてフルオレノン誘導体ボロン酸が得られた(40%)。得られたフルオレノン誘導体ボロン酸(12mmol)と1,2−エタンジオール(30mmol)をトルエン中で10時間還流した後、トルエン/アセトン(1/4)から再結晶したところ、フルオレノン誘導体ボロンエステルが無色結晶として得られた。
2−ブロモピリジン(10mmol)、フルオレノン誘導体ボロンエステル(10mmol)、Pd(0)(PPh3)4(0.2mmol)のトルエン溶液に、アルゴン気流下、2MのK2CO3水溶液を加え、激しく攪拌しながら48時間還流した。反応混合物を室温まで冷却した後、大量のメタノール中に注ぎ、固体を沈殿させた。析出した固体を吸引濾過し、メタノールで洗浄することにより、2−(2’-ピリジル)−9−フルオレノンの固体を得た。
200mlの3つ口フラスコに塩化イリジウム(III)(1.7mmol)、2−(2’−ピリジル)−9−フルオレノン(7.58mmol)、エトキシエタノール50mlと水20mlを入れ、窒素気流下室温で30分間攪拌し、その後24時間還流攪拌した。反応物を室温まで冷却し、沈殿物を濾取水洗後、エタノール及びアセトンで順次洗浄した。室温で減圧乾燥し、ジ−μ−クロロ−テトラキス[2−(2’−ピリジル)−9−フルオレノン−N1’,C3]ジイリジウム(III)の淡黄色粉末を得た。
200mlの3つ口フラスコにエトキシエタノール70ml、ジ−μ−クロロ−テトラキス[2−(2’−ピリジル)−9−フルオレノン−N1’,C3]ジイリジウム(III)(0.7mmol)、下記構造式で表されるアセチルアセトン誘導体(2.10mmol)と炭酸ナトリウム(9.43mmol)を入れ、窒素気流下室温で攪拌し、その後15時間還流攪拌した。
反応物を氷冷し、沈殿物を濾取水洗した。この沈殿物をシリカゲルカラムクロマト(溶離液:クロロホルム/メタノール:30/1)で精製し、ビス[2−(2’−ピリジル)−9−フルオレノン−N
1’,C
3](ジブロモベンジルアセチルアセトナト)イリジウム(III)の淡黄色粉末を得た。
実施例4 キノリン誘導体 ジボロン酸エステル(Q−1)の合成
マグネシウム(1.9g、80mmol)のTHF混合物中に、6,6’−ビス[2−(4−ブロモフェニル)−3,4−ジフェニルキノリン](30mmol)のTHF溶液を、アルゴン気流下に、よく攪拌しながら徐々に加え、グリニヤール試薬を調製した。得られたグリニヤール試薬を、トリメチルホウ酸エステル(300mmol)のTHF溶液に−78℃でよく攪拌しながら、2時間かけて徐々に滴下した後、2日間室温で攪拌した。反応混合物を粉砕した氷を含有する5%希硫酸中に注ぎ、攪拌した。得られた水溶液をトルエンで抽出し、抽出物を濃縮したところ、無色の固体が得られた。得られた固体をトルエン/アセトン(1/2)から再結晶することにより、無色結晶としてキノリン誘導体 ジボロン酸が得られた(40%)。得られたキノリン誘導体 ジボロン酸(12mmol)と1,2−エタンジオール(30mmol)をトルエン中で10時間還流した後、トルエン/アセトン(1/4)から再結晶したところ、キノリン誘導体 ジボロン酸エステルが無色結晶として得られた(83%)。
実施例5 金属配位化合物を含む高分子共重合体の合成(P−1)
実施例1で合成した金属配位化合物(1)(1mmol)、下記構造式で表されるジブロモジフェニルオキサジアゾール(8mmol)、ジシクロヘキシルオキシジブロモベンゼンジ(5mmol)、実施例4で合成したキノリン誘導体 ジボロン酸エステル(Q−1)(5mmol)及びトリブロモ枝分れ構造モノマ(1mmol)、Pd(0)(PPh3)4(0.2mmol)のトルエン溶液に、アルゴン気流下、2MのK2CO3水溶液を加え、激しく攪拌しながら、48時間還流した。
反応混合物を室温まで冷却した後、大量のメタノール中に注ぎ、固体を沈殿させた。析出した固体を吸引濾過し、メタノールで洗浄することにより、固体を得た。濾取した固体をトルエンに溶解した後、大量のアセトン中に注ぎ、固体を沈殿させた。析出した固体を吸引濾過し、アセトンで洗浄することにより、固体を得た。さらに、上記アセトンによる再沈処理を2回繰り返した。次に、得られた固体をトルエンに溶解した後、陽イオン・陰イオン交換樹脂(オルガノ社製イオン交換樹脂)を加え、1時間攪拌した後、吸引濾過してポリマー溶液を回収した。さらに、上記イオン交換樹脂による処理を2回繰り返した。回収したポリマー溶液を大量のメタノール中に注ぎ、固体を沈殿させた。さらに、得られた固体をソックスレー抽出器中でアセトンにより、24時間抽出・洗浄して金属配位化合物を含む高分子共重合体(P−1)を得た。
実施例6 金属配位化合物を含む高分子共重合体の合成(P−2)
実施例2で合成した金属配位化合物(125)(1mmol)、下記構造式で表されるジブロモジフェニルオキサジアゾール(8.5mmol)、ジシクロヘキシルオキシジブロモベンゼン(5mmol)、実施例4で合成したキノリン誘導体 ジボロン酸エステル(Q−1)(5mmol)及びトリブロモ枝分れ構造モノマ(0.5mmol)、Pd(0)(PPh3)4(0.2mmol)のトルエン溶液に、アルゴン気流下、2MのK2CO3水溶液を加え、激しく攪拌しながら、48時間還流した。
反応混合物を室温まで冷却した後、大量のメタノール中に注ぎ、固体を沈殿させた。析出した固体を吸引濾過し、メタノールで洗浄することにより、固体を得た。濾取した固体をトルエンに溶解した後、大量のアセトン中に注ぎ、固体を沈殿させた。析出した固体を吸引濾過し、アセトンで洗浄することにより、固体を得た。さらに、上記アセトンによる再沈処理を2回繰り返した。次に、得られた固体をトルエンに溶解した後、陽イオン・陰イオン交換樹脂(オルガノ社製イオン交換樹脂)を加え、1時間攪拌した後、吸引濾過してポリマー溶液を回収した。さらに、上記イオン交換樹脂による処理を2回繰り返した。回収したポリマー溶液を大量のメタノール中に注ぎ、固体を沈殿させた。さらに、得られた固体をソックスレー抽出器中でアセトンにより、24時間抽出・洗浄して金属配位化合物を含む高分子共重合体(P−2)を得た。
実施例7 金属配位化合物を含む高分子共重合体の合成(P−3)
実施例3で合成した金属配位化合物(253)(1mmol)、下記構造式で表されるジブロモジフェニルオキサジアゾール(8mmol)、ジシクロヘキシルオキシジブロモベンゼン(5mmol)、実施例4で合成したキノリン誘導体 ジボロン酸エステル(Q−1)(5mmol)及びトリブロモ枝分れ構造モノマ(1mmol)、Pd(0)(PPh3)4(0.2mmol)のトルエン溶液に、アルゴン気流下、2MのK2CO3水溶液を加え、激しく攪拌しながら、48時間還流した。
反応混合物を室温まで冷却した後、大量のメタノール中に注ぎ、固体を沈殿させた。析出した固体を吸引濾過し、メタノールで洗浄することにより、固体を得た。濾取した固体をトルエンに溶解した後、大量のアセトン中に注ぎ、固体を沈殿させた。析出した固体を吸引濾過し、アセトンで洗浄することにより、固体を得た。さらに、上記アセトンによる再沈処理を2回繰り返した。次に、得られた固体をトルエンに溶解した後、陽イオン・陰イオン交換樹脂(オルガノ社製イオン交換樹脂)を加え、1時間攪拌した後、吸引濾過してポリマー溶液を回収した。さらに、上記イオン交換樹脂による処理を2回繰り返した。回収したポリマー溶液を大量のメタノール中に注ぎ、固体を沈殿させた。さらに、得られた固体をソックスレー抽出器中でアセトンにより、24時間抽出・洗浄して金属配位化合物を含む高分子共重合体(P−3)を得た。
実施例8 有機EL素子の作製(1)
実施例5で得た金属配位化合物を含む高分子共重合体(P−1)のトルエン溶液(1.0wt%)を、ITO(酸化インジウム錫)を2mm幅にパターンニングしたガラス基板上に、乾燥窒素環境下でスピン塗布してポリマ発光層(膜厚70nm)を形成した。次いで、乾燥窒素環境下でホットプレート上で80℃/5分間加熱乾燥した。得られたガラス基板を真空蒸着機中に移し、上記発光層上にCa(膜厚20nm)、Al(膜厚100nm)の順に電極を形成した。有機EL素子の特性は室温にて、電流電圧特性をヒューレットパッカード社製の微小電流計4140Bで測定し、発光輝度はトプコン社製SR−3で測定した。ITOを陽極、Ca/Alを陰極にして電圧を印加したところ、約4.5Vで青色発光(λ=440nm)が観測された。この青色発光における色調の変化は、25℃で、500時間経過後も認められなかった。
実施例9 有機EL素子の作製(2)
実施例6で得た金属配位化合物を含む高分子共重合体(P−2)のトルエン溶液(1.0wt%)を、ITO(酸化インジウム錫)を2mm幅にパターンニングしたガラス基板上に、乾燥窒素環境下でスピン塗布してポリマ発光層(膜厚70nm)を形成した。次いで、乾燥窒素環境下でホットプレート上で80℃/5分間加熱乾燥した。得られたガラス基板を真空蒸着機中に移し、上記発光層上にLiF(膜厚0.5nm)、Al(膜厚100nm)の順に電極を形成した。有機EL素子の特性は室温にて、電流電圧特性をヒューレットパッカード社製の微小電流計4140Bで測定し、発光輝度はトプコン社製SR−3で測定した。ITOを陽極、LiF/Alを陰極にして電圧を印加したところ、約5.5Vでオレンジ色発光(λ=570nm)が観測された。このオレンジ色発光における色調の変化は、25℃で、500時間経過後も認められなかった。
実施例10 有機EL素子の作製(3)
金属配位化合物を含む高分子共重合体(P−1)の代わりに金属配位化合物を含む高分子共重合体(P−3)を用いた以外は、実施例8と同様にしてITO/ポリマー発光層/Ca/Al素子を作製した。有機EL素子の特性は室温にて、電流電圧特性をヒューレットパッカード社製の微小電流計4140Bで測定し、発光輝度はトプコン社製SR−3で測定した。ITOを陽極、Ca/Alを陰極にして電圧を印加したところ、約4.5Vで青色発光(λ=447nm)が観測された。この青色発光における色調の変化は、25℃で、500時間経過後も認められなかった。
比較例1
金属配位化合物を含む高分子共重合体(P−1)の代わりに下記構造式で示されるポリキノリンを用いた以外は、実施例8と同様にしてITO/ポリマー発光層/Ca/Al素子を作製した。得られたITO/ポリマー発光層/Ca/Al素子を電源に接続し、ITOを陽極、Ca/Alを陰極にして電圧を印加したところ、約10Vで青色発光(λ=430nm)が観測されたが、時間と共に発光色が青色から水色に変化した。
比較例2
金属配位化合物を含む高分子共重合体(P−1)の代わりに下記構造式で表される(ジオクチルフルオレン/ベンゾチアゾール)共重合体を用いた以外は、実施例8と同様にしてITO/ポリマー発光層/LiF/Al素子を作製した。得られたITO/ポリマー発光層/LiF/Al素子を電源に接続し、ITOを陽極、LiF/Alを陰極にして電圧を印加したところ、約8Vで黄色発光(λ=548nm)が観測されたが、時間と共に発光色が黄色から黄白色に変化した。
比較例3
ITO(酸化インジウム錫)を2mm幅にパターンニングしたガラス基板上に、ホール輸送層としてα−NPDを、10−5Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着法にて、膜厚40nm形成した。その上に、下記構造式で示される金属配位化合物Ir(ppy)3をCBPと重量比が5%になるように共蒸着を行った。
さらに、電子輸送層として前記Alq3を30nm蒸着した。この上に、陰極電極層としてLiFを0.5〜2nm、Alを100〜150nm蒸着した。有機EL素子の特性は室温にて、電流電圧特性をヒューレットパッカード社製の微小電流計4140Bで測定し、発光輝度はトプコン社製SR−3で測定した。得られた素子を電源に接続し、ITOを陽極、LiF/Alを陰極にして電圧を印加したところ、約6Vで緑色発光(λ=516nm)が観測された。一定電流(50mA/cm2)で駆動したときの輝度半減時間を測定したところ、100時間であった。