JP2005028802A - 耐損傷性被膜が形成された被覆物及び耐損傷性被覆剤並びに耐損傷性被覆剤の製造方法 - Google Patents

耐損傷性被膜が形成された被覆物及び耐損傷性被覆剤並びに耐損傷性被覆剤の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005028802A
JP2005028802A JP2003272207A JP2003272207A JP2005028802A JP 2005028802 A JP2005028802 A JP 2005028802A JP 2003272207 A JP2003272207 A JP 2003272207A JP 2003272207 A JP2003272207 A JP 2003272207A JP 2005028802 A JP2005028802 A JP 2005028802A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
damage
resistant coating
synthetic resin
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003272207A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005028802A5 (ja
JP4340489B2 (ja
Inventor
Shoji Kuroyama
昭治 黒山
Hiroshi Inagaki
博 稲垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takenaka Seisakusho Co Ltd
Original Assignee
Takenaka Seisakusho Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takenaka Seisakusho Co Ltd filed Critical Takenaka Seisakusho Co Ltd
Priority to JP2003272207A priority Critical patent/JP4340489B2/ja
Publication of JP2005028802A publication Critical patent/JP2005028802A/ja
Publication of JP2005028802A5 publication Critical patent/JP2005028802A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4340489B2 publication Critical patent/JP4340489B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】 長期耐食性、延性、潤滑性及び耐衝撃性等の良好な機械的特性を有し、かつ、摺動に対する耐損傷性を有する耐損傷性被膜が形成された被覆物及び耐損傷性被覆剤並びに耐損傷性被覆剤の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の被覆物は、合成樹脂を樹脂マトリックスとし、合成樹脂マトリックス中に気相成長炭素繊維を含む耐損傷性被膜が金属材料等の材料表面の少なくとも一部分に形成されている。気相成長炭素繊維は、合成樹脂100重量部に対して3〜40重量部を含み、耐損傷性被膜のヌープ硬さは40Hk以上であることを特徴とする。また、気相成長炭素繊維は、合成樹脂100重量部に対して少なくとも9重量部を含み、耐損傷性被膜のヌープ硬さは150Hk以上であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、各種材料表面に耐損傷性被膜が形成された被覆物及び耐損傷性被覆剤並びに耐損傷性被覆剤の製造方法に関する。
機械部品や締結部材である炭素鋼等の材料表面に摩擦や湿気等による劣化を防ぐ耐食性を付与する方法としては、材料表面への無機系塗料の塗布及び亜鉛等の金属メッキが一般的によく知られている。しかし、これらの方法は、特に化学薬品に対する耐食性に乏しい等の問題がある。
これを解決する手段として長期耐食性に優れるフッ素樹脂を被覆する方法がよく用いられている。フッ素樹脂は摩擦係数が小さく良好な摩擦特性を示すので摺動材への被覆、又は締め付けトルクも低いことからボルト・ナット等の締結部材においてもよく利用されている。しかし、フッ素樹脂を被覆する方法では、被膜が軟らかく弱いので摺動材、締結部材等に適用した場合には、金属材料等の表面に施した被覆の損傷を招きやすく、過酷な摺動(摩擦)条件下では摩耗が激しくなるという問題がある。
上記問題を解決する方法として、フッ素樹脂中にフィブリル化アラミド繊維を添加する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、過酷な摩擦条件下においても耐はく離性を確保するためにフッ素樹脂を含む樹脂で摺動層を構成し、材料表面と摺動層との界面にポリイミド樹脂及び/又はポリアミドイミド樹脂とフッ素樹脂からなる樹脂接合層を設けた2層構造にする方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開平6−122785号公報 特開2002−276665号公報
しかし、特許文献1及び特許文献2において、フィブリル化アラミド繊維等によってフッ素樹脂被膜の耐損傷性は改善されているが、その被膜が損傷を受けやすいという本質的な問題について十分な解決がなされていない。また、特許文献2においては、材料表面と被膜との界面での被膜の破壊・はく離が改善されるが、被膜を2重構造としているために製造コストが高くなるという問題もある。
このように、化学薬品等に対して実用上耐え得る長期耐食性を有し、潤滑性がよく、摺動に対する耐損傷性に優れ、せん断に対して被膜の破壊が起こらない程度の延性を有し、耐衝撃性に強く被膜が破壊しにくい等の良好な機械的特性の全ての要求を満たす被覆物が開発されておらず、摺動材等の機械部品や締結部材として一層好適な被覆物が必要とされている。また、これらの用途として実用化され得る被覆物は、材料表面に形成されている被膜を薄くできることも必要とされる。
そこで本発明は、かかる背景に鑑み上記課題を解決し、長期耐食性、延性、潤滑性及び耐衝撃性等の良好な機械的特性を有し、かつ、摺動に対する耐損傷性を有する耐損傷性被膜が形成された被覆物及び耐損傷性被覆剤並びに耐損傷性被覆剤の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の耐損傷性被膜が形成された被覆物は、合成樹脂マトリックス中に気相成長炭素繊維を含む耐損傷性被膜が金属材料、プラスチックス材料、セラミック材料、各種複合材料等の材料表面の少なくとも一部分に形成されている。
具体的には、本発明の耐損傷性被膜が形成された被覆物は、合成樹脂を樹脂マトリックスとし、合成樹脂100重量部に対して3〜40重量部の気相成長炭素繊維を含み、耐損傷性被膜のヌープ硬さは40Hk以上である耐損傷性被膜が材料表面の少なくとも一部分に形成された被覆物にすることを特徴とする。
これによって、耐損傷性被膜が形成された被覆物は、長期耐食性、延性、潤滑性及び耐衝撃性等の良好な機械的特性を有し、かつ、摺動に対する耐損傷性を有しており上記目的が達成される。気相成長炭素繊維の量が合成樹脂100重量部に対して3重量部未満の場合、耐衝撃性等の機械的特性は向上するが、ヌープ硬さがあまり高くならない。耐損傷性被膜は、その量が3重量部以上であれば、被膜ヌープ硬さは少なくとも40Hkとなり、摺動に対する耐損傷性を有する。例えば、亜鉛粉末の無機系塗料によって形成された被膜のヌープ硬さは30Hk程度であり、その耐損傷性被膜が形成された被覆物は、実用上十分な耐損傷性を提供することができる。また、その量が40重量部を超える場合は、均質な薄膜が得られにくくなる。
ここで気相成長炭素繊維は、炭化水素の熱分解によって生成される炭素繊維を指し、繊維軸の周りに同心状に積層した炭素六角網面が繊維軸方向によく配向して黒鉛化性の高いものをいう。また、真密度は2.0g/cm3前後であり、繊維径は数nmから数十μmまであり、一般的に繊維長さが150μm前後のものが多い。
なお、ここでいうヌープ硬さは、JIS規格Z2251に記載の「ヌープ硬さ試験方法」に従って得られる値をいう。
また、本発明の耐損傷性被膜が形成された被覆物は、合成樹脂を樹脂マトリックスとし、合成樹脂100重量部に対して3〜40重量部の気相成長炭素繊維を含み、耐損傷性被膜のトルク係数値が0.15以下である耐損傷性被膜が材料表面の少なくとも一部分に形成された被覆物にすることを特徴とする。
これによって、耐損傷性被膜が形成された被覆物は、長期耐食性、延性、潤滑性及び耐衝撃性等の良好な機械的特性を有し、かつ、摺動に対する耐損傷性を有しており上記目的が達成される。前述のように、気相成長炭素繊維の量が合成樹脂100重量部に対して3重量部未満の場合、耐衝撃性等の機械的特性は向上するが、ヌープ硬さがあまり高くならない。
当該耐損傷性被膜は、そのトルク係数値が0.15以下であることによって、実用上十分な耐損傷性を提供することができ、その耐損傷性被膜が形成された被覆物は、摺動に対する耐損傷性を有する。すなわち、トルク係数値は摩擦係数に相当する物性を示す指標であり、この値が0.15以下であることによって摺動時の摩擦が低減され摺動によって生じる損傷を十分に回避することができる。
このように当該耐損傷性被膜の損傷が回避される現象については、次のように考察される。1つは、当該耐損傷性被膜においては、合成樹脂中に均一に分散された気相成長炭素繊維の存在によって前述のように被膜硬度が高くなり被膜表面での変形が起こりにくくなったことが挙げられる。もう1つは、気相成長炭素繊維の存在により被膜の靭性が強化され、摺動界面で発生するせん断力によって被膜の損傷が起こらなくなったことが挙げられる。すなわち、気相成長炭素繊維は合成樹脂マトリックス中に均一に分散され、気相成長炭素繊維と合成樹脂マトリックスとは、被膜の靭性が発揮されるような状態(例えば、応力の負荷によって繊維が適度に伸縮や引き抜けが起こる)で結合されているものと考えられる。更に、気相成長炭素繊維は熱伝導性がよく摺動面で生じた熱を散逸する効果もあり摺動(摩擦)による損傷を低減させる作用が発揮されると考えられる。従って、上記構成の被膜物において、気相成長炭素繊維は、合成樹脂中に好適に分散されており合成樹脂マトリックスと好適に結合されている。また、気相成長炭素繊維は、摺動時の耐損傷性が発揮される構造や組織を有しているものである。
また、本発明の被覆物は、実用上十分な摺動に対する耐損傷性の他、長期耐食性、延性、潤滑性、耐衝撃性等の良好な機械的特性を有する。また、その量が40重量部を超える場合は、均質な薄膜が得られにくくなる。
なお、ここでいうトルク係数値は、JIS規格B1186に記載の「セットのトルク係数値」に従って得られる値をいう。
また、本発明の耐損傷性被膜が形成された被覆物は、耐損傷性被膜が合成樹脂を樹脂マトリックスとし、合成樹脂100重量部に対して少なくとも9重量部の気相成長炭素繊維を含み、耐損傷性被膜のヌープ硬さが150Hk以上である耐損傷性被膜が材料表面の少なくとも一部分に形成された被覆物であることを特徴とする。
これによって、亜鉛メッキのヌープ硬度である約150Hkと同等の硬度を有する被膜となり、更に高付加の摺動に対する耐損傷性を有する。
上記構成の被覆物にあっては、被膜の厚さは5〜50μmとすることができる。
このように被膜を薄膜にすることによって、当該被膜を有する被覆物は、機械部品として使用する金属材料にあっては、寸法公差内に収めることを容易にすることができる。
また、上記構成の被覆物にあっては、合成樹脂は特に限定されず、あらゆる合成樹脂に対して適用可能であり、例えば用途に応じて合成樹脂を選定することができる。例えば、熱硬化性樹脂の使用は、被膜の硬度をより高められるので好ましい。
また、上記構成の被覆物にあっては、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、水系フッ素樹脂又はウレタン樹脂のうちいずれかであることが好ましい。
また、本発明の耐損傷性被膜が形成された被覆物にあっては、顔料を含むことができる。
顔料として防錆顔料を使用することが好ましい。防錆顔料の添加によって、より長期耐食性が付与される。
また、本発明の耐損傷性被膜が形成された被覆物にあっては、潤滑剤を含むことができる。潤滑剤を添加することによって、被膜と相手物質との摩擦係数を制御することができ、摺動によって生じる摩耗をより一層顕著に低減することができる。
前記潤滑剤は、フッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン又はダイヤモンドナノ粉末の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
本発明の耐損傷性被覆剤は、気相成長炭素繊維が分散された合成樹脂溶液からなる耐損傷性被覆剤であって、合成樹脂溶液の固形成分100重量部に対して、3〜40重量部の気相成長炭素繊維と10〜300重量部の極性溶媒を含むことを特徴としている。
これによって、合成樹脂中に気相成長炭素繊維が好適に分散された被膜を提供することができ、この被膜が形成された被覆物は、長期耐食性、延性、潤滑性及び耐衝撃性等の良好な機械的特性を有し、かつ、摺動に対する耐損傷性を有しており上記目的が達成される。更に、薄膜状の被膜を形成することも可能としている。また、気相成長炭素繊維の量が合成樹脂溶液の固形成分100重量部に対して3重量部未満であると、3重量部未満の場合、耐衝撃性等の機械的特性は向上するが、ヌープ硬さがあまり高くならない。また、40重量部を超えて気相成長炭素繊維を有すると、耐損傷性被覆剤の粘性が高くなり均一に薄膜状にするのに手間がかかることになる。
なお、合成樹脂溶液は、合成樹脂の態様によっては、極性溶媒以外の無機及び/又は有機溶剤等を含むこともあるのは言うまでもない。また、合成樹脂溶液の固形成分とは、合成樹脂を硬化して被膜にした際に残存する樹脂成分をいう。
上記構成の耐損傷性被覆剤においては、極性溶媒としては、純水、アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はこれら2種以上の混合物のうちいずれかであることが好ましい。
また、上記構成の耐損傷性被覆剤においては、合成樹脂は特に限定されず、あらゆる合成樹脂が使用可能であり、例えば用途に応じて合成樹脂を選定することができる。また、合成樹脂は、液体状の樹脂の他、粉末等固体の樹脂であってもよい。例えば、熱硬化性樹脂の使用は、被膜の硬度をより高められるので好ましい。
また、上記構成の耐損傷性被覆剤においては、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、水系フッ素樹脂又はウレタン樹脂のうちいずれかであることが好ましい。
また、上記構成の耐損傷性被覆剤においては、顔料が含まれていることが好ましい。
また、上記構成の耐損傷性被覆剤においては、潤滑剤が含まれていることが好ましい。
更に、潤滑剤は、フッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン又はダイヤモンドナノ粉末の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
本発明の耐損傷性被覆剤の製造方法は、気相成長炭素繊維が分散された合成樹脂溶液からなる耐損傷性被覆剤を製造する方法であって、合成樹脂溶液の固形成分100重量部に対して3〜40重量部の気相成長炭素繊維と10〜300重量部の極性溶媒とを用いて、気相成長炭素繊維を極性溶媒に分散させた後、気相成長炭素繊維が分散された極性溶媒と合成樹脂とを混合する工程を含むことを特徴としている。
これによって、合成樹脂溶液中に気相成長炭素繊維を均一に分散させることができる。すなわち、あらかじめ気相成長炭素繊維表面を極性溶媒で取り囲み、その後気相成長炭素繊維が分散された極性溶媒と合成樹脂とを混合することが、気相成長炭素繊維を均一に分散させるために非常に有効である。また、極性溶媒の量は、前記10〜300重量部であることが好ましく、また30〜150重量部であることがより好ましい。しかし、被膜の形成方法によっては、この量に限らず被膜の形成方法に合せた耐損傷性被覆剤の適正な粘度が得られる量にしてもよい。
本発明の耐損傷性被膜が形成された被覆物は、長期耐食性、延性、潤滑性及び耐衝撃性等の良好な機械的特性を有し、かつ、摺動に対する耐損傷性を有する。耐損傷性被膜中の気相成長炭素繊維を調整することによって、より優れた被覆物とすることができる。また、合成樹脂の種類を選択することによって、用途又は使用環境に応じた耐食性を付与することができる。耐損傷性被膜への顔料の添加は、耐食性を一層向上させることができる。耐損傷性被膜への潤滑剤の添加は、一層摺動特性を向上させることができる。
本発明の耐損傷性被覆剤は、気相成長炭素繊維が均一に分散された薄膜の耐損傷性被膜を付与することができる。そのため機械部品として使用する材料に被覆した被覆物にあっては、好適な特性を示し寸法公差内に収めることを容易にすることができる。
本発明の耐損傷性被覆剤の製造方法によれば、合成樹脂溶液中に気相成長炭素繊維を均一に分散させ、薄膜の耐損傷性被膜を付与するのに好適な耐損傷性被覆剤を提供する。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る耐損傷性被膜が形成された被覆物は、合成樹脂を樹脂マトリックスとし、合成樹脂マトリックス中に合成樹脂100重量部に対して3〜40重量部の気相成長炭素繊維を含む耐損傷性被膜が金属材料等の材料表面の少なくとも一部分に形成されている。当該耐損傷性被膜のヌープ硬さは、40Hk以上であることによって、実用上十分な耐損傷性を提供することができ、その耐損傷性被膜が形成された被覆物は、好適な機械部品、締結部材等に使用可能である。更に、気相成長炭素繊維が合成樹脂100重量部に対して少なくとも9重量部含みヌープ硬さが150Hk以上であることよって、更に高付加の摺動適用可能でありより、優れた耐損傷性を有する。
また、当該耐損傷性被膜のトルク係数値は、0.15以下であることによって、摺動時の摩擦が低減され摺動によって生じる損傷を十分に低減した耐損傷性被膜が形成された被覆物となる。
上記の耐損傷性被膜が形成された被覆物を得る方法として、気相成長炭素繊維が分散された合成樹脂溶液からなる耐損傷性被覆剤を材料表面に塗布する方法が上げられる。
本実施形態において、耐損傷性被覆剤は、合成樹脂溶液の固形成分100重量部に対して3〜40重量部の気相成長炭素繊維が極性溶媒を含む合成樹脂の溶液に分散している。なお、合成樹脂の態様によっては、合成樹脂溶液に極性溶媒以外の無機及び/又は有機溶剤等を含むこともあるのはいうまでもない。
気相成長炭素繊維としては、繊維径や繊維長さ等の形状は特に限定されないが、繊維径が150nm前後であり、アスペクト比が500以下程度あることが好ましい。また、例えば超音波を用いて切断する方法又は酸溶液による処理による方法によって気相成長炭素繊維を切断して、更にアスペクト比を小さくしてもよい。気相成長炭素繊維のアスペクト比が小さい程、気相成長炭素繊維の合成樹脂溶液中への分散性が容易になる。
使用する合成樹脂は、特に限定されないが、例えばフッ素樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル樹脂や、これらの共重合体、変性体、及び2種以上の混合体等を使用できる。好ましくは、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、水系フッ素樹脂又はウレタン樹脂のうちの少なくとも1種である。また、熱硬化性樹脂は被膜の硬度をより高められるので好ましい。
使用する極性溶媒には、純水、アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等を挙げることができる。極性溶媒は、これらに限定されるものではなく、使用する気相成長炭素繊維、使用する合成樹脂との溶解性、被膜の形成性等を考慮して決めればよい。
使用する極性溶媒の量は、合成樹脂溶液の固形成分100重量部に対して10〜300重量部である。より好ましくは、30〜150重量部である。
本実施形態の耐損傷性被覆剤の製造は、以下の手順で行う。
まず、適当な容器に所定の量の極性溶媒を投入し、その中に気相成長炭素繊維を所定の量の投入する。この気相成長炭素繊維の投入の方法は特に限定されるものではなく、一度に多量の気相成長炭素繊維を投入しない等の工夫をすればよい。このとき、極性溶媒中に分散剤を適量添加することによって極性溶媒中への気相成長炭素繊維の分散をより確実に行うことができる。分散剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤を使用することができ、使用する合成樹脂溶液に合せて選択すればよい。分散剤の添加量は、少量でよく例えば合成樹脂溶液に対して1〜2w/v%程度(合成樹脂溶液100mlに対して1〜2g)でよい。
次に、気相成長炭素繊維を極性溶媒中に均一に分散させる。分散の方法は、機械的に撹拌して行う方法、超音波を利用して行う方法を挙げることができる。機械的に分散する方法として、例えば市販のホモジナイザーを用いて溶液を撹拌羽又は撹拌棒を回転させて行う。回転数は投入した気相成長炭素繊維の量や全体の処理量を考慮して決めればよいが、概ね5000〜15000rpmである。また、市販の超音波発生器を用いて分散させることができる。また、この二つの方法を併用してもよい。
次に、気相成長炭素繊維が分散した極性溶媒と合成樹脂を混合する。
このときの混合も、機械的に撹拌して行う方法、超音波を利用して行う方法を挙げることができる。機械的に分散する方法として、例えば市販のホモジナイザイザーを用いて溶液を撹拌羽又は撹拌棒を回転させて行う。回転数は投入した気相成長炭素繊維の量や全体の処理量を考慮して決めればよいが、概ね2000〜5000rpmである。また、市販の超音波発生器を用いて分散させることができる。また、この2つの方法を併用してもよい。また、必要に応じて顔料を添加してもよい。顔料は、防錆顔料であり、天然顔料、合成有機顔料及び合成無機顔料のいずれをも使用することができるが、金属系複合酸化物、酸化クロム、有機顔料等が挙げられる。顔料の添加量は、合成樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、より好ましくは、5〜20重量部である。顔料の粒径は、合成樹脂溶液に対する分散性及び凝集性等を考慮して決めればよいが、できるだけ微細であることが望ましい。例えば、平均粒径が4〜6μmであり、粒径が主として0.5〜10μmの分布範囲にあるものが好ましい。また、必要に応じて潤滑剤を添加してもよい。
潤滑剤としてはフッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン、ダイヤモンドナノ粉末等が上げられる。潤滑剤の添加量は、被覆物の使用環境によっても異なるが合成樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部程度でよい。潤滑剤の平均粒径の最大値は、4〜6μm以下であることが望ましい。また、潤滑剤の平均粒径は、0.01〜4μm程度であることが好ましい。
最後に、この気相成長炭素繊維が分散した合成樹脂に市販の超音波発生器を用いるなどして超音波を与えると、分散の際に発生した泡を除去することができる。
本耐損傷性被覆剤を使用して、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、各種合金等の金属材料、アルミナ、ジルコニア、人造黒鉛、ガラス等のセラミック材料、各種プラスチックス材料、各種複合材料等の材料表面の少なくとも一部分に被膜が形成されてなる被覆物とする。被覆物の被膜の厚さは、5μm程度の薄膜にすることができる。被膜の厚さは5〜50μmとすることによって、例えば、機械部品として使用するの金属材料にあっては、寸法公差内に収めることを容易にすることができる。また、必要に応じて例えば、1mm以上の厚膜にしてもよい。
被膜を形成させて被覆物にするには、浸漬処理、スプレー処理、はけ塗り等の方法を適用することができる。被覆後、樹脂を硬化させるために乾燥や熱処理を施して、均質性の高い被膜が形成される。
以下、表及び図面を参照して実施例を説明する。
液状のレゾールタイプのフェノール樹脂(合成樹脂)の固形成分100重量部に対して2.4、4.7及び11重量部の気相成長炭素繊維が分散した7種類の耐損傷性被覆剤を作製した。
気相成長炭素繊維は、市販のもの(昭和電工(株)製、VGCF(R))を使用した。当該気相成長炭素繊維は、繊維径の代表値が約150nmであり、繊維長さの代表値が10〜20μmである。アスペクト比の範囲が10〜500である。
耐損傷性被覆剤の作製には、まず、ステンレス製の容器に所定の量の極性溶媒(NMP)を入れ、分散剤としてアニオン性の界面活性剤をNMP100ml当たり1〜2gの割合で添加した。このとき、NMPは合成樹脂の量と同じ重量部を使用した。
この溶液に所定の量の気相成長炭素繊維を少しずつ加え、手でステンレス製の撹拌棒を用いて2〜3分間撹拌した。
次に、気相成長炭素繊維が加えられた極性溶媒をステンレス製の容器のまま市販の超音波発生装置(周波数100kHz)を用いて約30分間超音波を与えてプレミキシングを行った。このとき周波数は100kHzに近いほど分散しやすいことが確認された。
次に、市販のホモジナイザー撹拌装置を用いて、気相成長炭素繊維が加えられた極性溶媒をステンレス製の4枚羽の撹拌羽を回転させて気相成長炭素繊維を極性溶媒中に均一に分散させた。この撹拌羽の回転数は5000〜15000rpmの間であり、気相成長炭素繊維の量が多い程回転数を高くした。このときの撹拌の時間は約15分間であった。
次に、気相成長炭素繊維が分散した極性溶媒に所定の量の合成樹脂を加えた。そして、気相成長炭素繊維が分散した極性溶媒と合成樹脂についても、上記の超音波発生装置を使用して最大100kHzの周波数の超音波を与えてプレミキシングを行った。気相成長炭素繊維を合成樹脂とも均一に分散させるために、上記のホモジナイザー撹拌装置及び撹拌羽を使用してこの気相成長炭素繊維を含む混合溶液を撹拌した。極性溶媒が入った合成樹脂中を回転するとき、この撹拌羽の回転数は2000〜5000rpmの間であり、気相成長炭素繊維の量が多い程回転数を高くした。撹拌の時間は約15分間であった。
ここで得られた混合溶液(耐損傷性被覆剤)を、再び上記の超音波発生装置を使用して最大100kHzの周波数の超音波を与えて撹拌した。この撹拌操作によって耐損傷性被覆剤中に存在していた気泡をほぼ取り除くことができた。
作製した耐損傷性被覆剤は、透明のガラス瓶に移した。目視によって作製した耐損傷性被覆剤の様子を観察し、気相成長炭素繊維が樹脂溶液中に均一に分散されているのが確認された。
次に、エチルアルコールを使用して脱脂したSPCC冷間圧延鋼板(長さ150mm、幅70mm、厚み0.8mm)、並びにM20でネジ部の長さが100mmのボルト及びM20で高さ16mmの六角ナットの全面に耐損傷性被覆剤をスプレー塗装法によって被覆して、被膜を形成させた。被覆は、圧送式エアースプレーガン(イワタ製 WIDER−61型:口径1.3mm)を用い、エアー圧力0.29〜0.34MPa、被覆剤の吐出量95〜200ml/minの条件で行った。その被覆後、乾燥器にて乾燥し樹脂が十分硬化する温度(200℃前後)で熱処理を行って被膜が形成された被覆物とした。
被膜の厚さは、40〜50μmに調整した。被膜の厚さは、電磁式膜厚計(ケット科学製 LZ−330型)を用いてJIS規格K5600−1−7に従って測定した。また、被覆物の断面を走査型顕微鏡で観察して基材のSPCC冷間圧延鋼板と被膜との界面に顕著なボイド等がないことを確認した。
被膜の基材(長さ150mm、幅70mm、厚み0.8mm)に対する密着性は、JIS規格K5600−5−6に従って試験を行った。その結果、被膜は基材に対して良好に密着しているのが確認された。
基材であるSPCC冷間圧延鋼板の表面に形成された40〜50μmの被膜について、以下の被膜特性試験を行った。
被膜の硬度については、鉛筆引っかき硬さ及びヌープ硬さを測定して評価した。鉛筆引っかき硬さは、JIS規格K5600−5−4に従って測定を行った。鉛筆引っかき硬さは、被膜にきず跡を生じなかった硬さ(鉛筆硬度)測定した。また、ヌープ硬さは、(JIS規格Z2251)に従って測定を行った。
折り曲げ性については、JIS規格K5600−5−4に従って評価した。このとき、定められた条件下において折り曲げた後の折り曲げた部分の被膜表面を40倍の顕微鏡で観察して割れ又ははく離の有無を確認して判断している。
耐衝撃性については、JIS規格K5600−5−3のデュポン式に従って測定を行った。先端の曲率半径の異なる1000gの重りを50cmの高さから被膜に落下させた後、40倍の顕微鏡で観察して割れ又ははく離の有無を確認して判断している。
ボルト・ナットによる嵌合試験については、M20でネジ部の長さが100mmのボルト及びM20で高さ16mmのナットを使用して、ネジ部(ボルトとナットのセット)のトルク係数値(摩擦抵抗)と被膜の破壊の評価を行った。ボルトとナットには、軸力20トンを与えた。ネジ部のトルク係数値は、JIS規格B1186に従って求めた。使用した試験片は、各5本を使用した。ボルトとナットの被膜が損傷を受けて欠落した部分の割合を求めた。
表1は、本実施例1、実施例2及び比較例1〜4について各耐損傷性被覆剤からなる各被膜の特性試験結果を示している。
図1は、実施例1及び実施例2について、各被膜の合成樹脂100重量部に対する気相成長炭素繊維の量を横軸に、各被膜のヌープ硬さを縦軸にプロットした図を示している。ここで、気相成長炭素繊維の量がゼロの場合は、それぞれ実施例1に対しては比較例3、実施例2に対しては比較例4のヌープ硬さの値を使用している。なお、各データ点は2次の多項式曲線で近似しており、相関係数(R2)は0.988(実施例1)及び0.972(実施例2)であった。
表1において、実施例1について、気相成長炭素繊維の量が、フェノール樹脂に対して2.4、4.7及び11重量部である3種類の各被膜の特性試験結果を示している。
まず、硬度については、気相成長炭素繊維の量がフェノール樹脂に対して2.4重量部の場合、ヌープ硬さは、20Hkであったが、鉛筆引っかき硬さは7Hであり、後述の比較例の値(6H)に比べて高い値を示した。気相成長炭素繊維の量が最も少ない2.4重量部の場合は、7Hであり、気相成長炭素繊維の量が4.7重量部以上では、鉛筆硬度が9Hとなった。鉛筆硬度は、測定できる最高硬度が9Hである。なお、硬度のうち鉛筆引っかき硬さは、被膜にきず跡を生じなかった硬さ(鉛筆硬度)を示している。
そして、ヌープ硬さは、気相成長炭素繊維の量が、11重量部ではヌープ硬さ200Hkを示している。亜鉛メッキのヌープ硬度は約150Hkであるので、フェノール樹脂100重量部に対して11重量部の気相成長炭素繊維が分散された被膜は、亜鉛メッキ以上の硬度を有することが示された。
図1によれば、気相成長炭素繊維の量が、フェノール樹脂に対して少なくとも3重量部あれば少なくとも40Hkを示し、そして少なくとも9重量部であれば150Hkを示すことになる。
折り曲げ性は、表1に示す直径を有する心棒を挟んで折り曲げるものであり、心棒の直径が小さい程、被膜は高い延性を有すると評価できる。心棒の直径の値は、気相成長炭素繊維の量が11重量部のとき、4mmと小さくなり、気相成長炭素繊維の量を増やしても延性は損なわれず、むしろ延性が高くなることを示している。
耐衝撃性は、重りの曲率半径は気相成長炭素繊維の量が最も少ない2.4重量部の場合でも3mmを示した。気相成長炭素繊維の添加によって、顕著に耐衝撃性が向上し、はく離しにくい被膜が形成されている。
ボルト・ナットによる嵌合試験は、トルク係数値が小さいほど摩擦係数が小さく、潤滑性がよく、また延性も高いことを示している。被膜破壊状態は、被膜の機械的強度に対応する指標である。気相成長炭素繊維の添加によってトルク係数値が下がり、気相成長炭素繊維が4.7重量部の場合、被膜の破壊も認められなかった。気相成長炭素繊維の量が2.4重量部の場合であっても、トルク係数値は十分小さく、かつ、被膜の破壊も約5%以下と少ない。
合成樹脂として、ポリアミドイミド樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリアミドイミド樹脂の固形成分に対して2.3、4.6及び11重量部の気相成長炭素繊維が分散した3種類の耐損傷性被覆剤を作製した。また、実施例1と同様の基材に実施例1と同様にして、被膜が形成された被覆物を作製した。
実施例2においても被膜の厚さは、40〜50μmに調整した。被覆の厚さも、実施例1と同様に測定した。実施例2においても、被覆物の断面を走査型顕微鏡で観察して基材のSPCC冷間圧延鋼板と被膜との界面に顕著なボイド等がないことを確認した。
また、被膜の基材(長さ150mm、幅70mm、厚み0.8mm)に対する密着性も、実施例1と同様にして試験を行った。その結果、実施例2においても被膜は基材に対して良好に密着しているのが確認された。
実施例1と同様にして、基材であるSPCC冷間圧延鋼板の表面に形成された40〜50μmの被膜について、同様の被膜特性試験を行った。
表1に示す実施例2の各被膜の特性試験において、以下のような結果を示した。
鉛筆引っかき硬さは、被膜にきず跡を生じなかった硬さ(鉛筆硬度)を示している。気相成長炭素繊維の量が最も少ない2.3重量部の場合は、7Hであり、気相成長炭素繊維の量の増加すると、鉛筆硬度が高くなり被膜の硬度が高くなったことを示している。
そして、ヌープ硬さは、気相成長炭素繊維の量がポリアミドイミド樹脂に対して11重量部の場合、ヌープ硬さ180Hkを示し、亜鉛メッキ以上の硬度を有することが示された。
図1によれば、実施例1の場合と同様に、気相成長炭素繊維の量がポリアミドイミド樹脂に対して3重量部あれば少なくとも40Hkを示し、それが9重量部であれば150Hkを示すことになる。
折り曲げ性は、表1に示す直径を有する心棒を挟んで折り曲げるものであり、心棒の直径が小さい程、被膜は高い延性を有すると評価できる。心棒の直径の値は、気相成長炭素繊維の量の11重量部のとき、6mmと小さくなり、気相成長炭素繊維の量を増やすことにより延性が高くなることを示している。
耐衝撃性は、重りの曲率半径は気相成長炭素繊維量が最も少ない2.3重量部の場合が6mmであり、その他の場合は3mmであった。
ボルト・ナットによる嵌合試験は、トルク係数値が小さいほど摩擦係数が小さく、潤滑性がよく、また延性も高いことを示している。被膜破壊状態は、被膜の機械的強度に対応する指標である。気相成長炭素繊維量が増えた場合、むしろトルク係数値が下がり、被膜の破壊も認められなかった。気相成長炭素繊維の量が2.3重量部の場合であっても、トルク係数値は十分小さく、かつ、被膜の破壊も約5%以下と少ない。
(比較例1)
気相成長炭素繊維の代わりにカーボンブラック(ケッチェンブラックEC製、粒径0.04μm)、を使用した以外は、実施例1と同様にして、2.4、4.7及び11重量部のカーボンブラックが分散した3種類の耐損傷性被覆剤を作製し、それぞれ被覆物を作製した。
比較例1においても被膜の厚さは、40〜50μmに調整した。被覆の厚さも、実施例1と同様に測定した。比較例1においても、被覆物の断面を走査型顕微鏡で観察して基材のSPCC冷間圧延鋼板と被膜との界面に顕著なボイド等がないことを確認した。
また、被膜の基材(長さ150mm、幅70mm、厚み0.8mm)に対する密着性も、実施例1と同様にして試験を行った。その結果、比較例1においても被膜は基材に対して良好に密着しているのが確認された。
実施例1と同様にして、基材であるSPCC冷間圧延鋼板の表面に形成された40〜50μmの被膜について、同様の被膜特性試験を行った。
表1に、比較例1について、カーボンブラックの量が、フェノール樹脂100重量部に対して2.4、4.7及び11重量部の被膜の特性試験結果を示している。
表1において、カーボンブラック量を増やした場合であっても、硬度、折り曲げ性及び耐衝撃性の値はほとんど変化を示さず、これらの特性の向上は認められなかった。ボルト・ナットのよる嵌合試験においては、カーボンブラック量が最も少ない2.4重量部の場合においてトルク係数が0.15とかなり小さな値であっても約10%の被膜破壊が認められ、カーボンブラック量を増やすとトルク係数がやや下がる傾向を示したが、被膜破壊が認められなくなるには至らなかった。
(比較例2)
気相成長炭素繊維の代わりに比較例1において使用したカーボンブラックを使用した以外は、実施例2と同様にして2.3、4.6及び11重量部のカーボンブラックが分散した3種類の耐損傷性被覆剤を作製し、それぞれ被覆物を作製した。
比較例2においても被膜の厚さは、40〜50μmに調整した。被覆の厚さも、実施例1と同様に測定した。比較例2においても、被覆物の断面を走査型顕微鏡で観察して基材のSPCC冷間圧延鋼板と被膜との界面に顕著なボイド等がないことを確認した。
また、被膜の基材(長さ150mm、幅70mm、厚み0.8mm)に対する密着性も、実施例1と同様にして試験を行った。その結果、比較例2においても被膜は基材に対して良好に密着しているのが確認された。
実施例1と同様にして、基材であるSPCC冷間圧延鋼板の表面に形成された40〜50μmの被膜について、同様の被膜特性試験を行った。
表1に、比較例2について、カーボンブラックの量が、ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して2.3、4.6及び11重量部の各被膜の特性試験結果を示している。
表1において、カーボンブラック量を増やした場合であっても、硬度、折り曲げ性及び耐衝撃性の値はあまり変化を示さず、これらの特性の向上は認められなかった。ボルト・ナットのよる嵌合試験においては、カーボンブラック量が最も少ない2.3重量部の場合においてトルク係数が0.15とかなり小さな値であっても約10%の被膜破壊が認められ、カーボンブラック量を更に増やすとトルク係数がやや下がる傾向を示したが、被膜破壊が認められなくなるには至らなかった。
(比較例3)
気相成長炭素繊維を全く使用せず実質的に実施例1において使用したフェノール樹脂と極性溶媒(NMP)のみからなる耐損傷性被覆剤を作製した。同じ重量のフェノール樹脂と極性溶媒をステンレス製の容器に入れて、均一に混合するまで、撹拌して耐損傷性被覆剤とした。この被覆剤を用いて、実施例1に示した方法に従って被覆物とした。
比較例3においても被膜の厚さは、40〜50μmに調整した。被覆の厚さも、実施例1と同様に測定した。比較例3においても、被覆物の断面を走査型顕微鏡で観察して基材のSPCC冷間圧延鋼板と被膜との界面に顕著なボイド等がないことを確認した。
また、被膜の基材(長さ150mm、幅70mm、厚み0.8mm)に対する密着性も、実施例1と同様にして試験を行った。その結果、比較例3においても被膜は基材に対して良好に密着しているのが確認された。
実施例1と同様にして、基材であるSPCC冷間圧延鋼板の表面に形成された40〜50μmの被膜について、同様の被膜特性試験を行った。
表1に、比較例3における耐損傷性被覆剤からなる各被膜の特性試験結果を示している。
表1の比較例3に示すように、フェノール樹脂のみの被膜の場合は、鉛筆引っかき硬さは6H、ヌープ硬は18Hk、折り曲げ性を示す心棒の直径は6mm、耐衝撃性を示す重りの曲率半径は9mm、ボルト・ナットによる嵌合試験でのトルク係数は0.18であり約10%の被膜破壊が認められた。
(比較例4)
気相成長炭素繊維を全く使用せず実質的に実施例2において使用したポリアミドイミド樹脂と極性溶媒(NMP)のみからなる耐損傷性被覆剤を比較例3の場合と同様な手順で作製し、被覆物を作製した。
比較例4においても被膜の厚さは、40〜50μmに調整した。被覆の厚さも、実施例1と同様に測定した。比較例4においても、被覆物の断面を走査型顕微鏡で観察して基材のSPCC冷間圧延鋼板と被膜との界面に顕著なボイド等がないことを確認した。
また、被膜の基材(長さ150mm、幅70mm、厚み0.8mm)に対する密着性も、実施例1と同様にして試験を行った。その結果、比較例4においても被膜は基材に対して良好に密着しているのが確認された。
実施例1の場合と同様にして、基材であるSPCC冷間圧延鋼板の表面に形成された40〜50μmの被膜について、同様の被膜特性試験を行った。
表1に、比較例4における耐損傷性被覆剤からなる被膜の特性試験結果を示している。
表1の比較例4に示すように、ポリアミドイミド樹脂のみの被膜の場合は、鉛筆引っかき硬さは6H、ヌープ硬は15Hk、折り曲げ性を示す心棒の直径は6mm、耐衝撃性を示す重りの曲率半径は9mm、ボルト・ナットによる嵌合試験でのトルク係数は0.17であり約15%の被膜破壊が認められた。
本発明の耐損傷性被膜が形成された被覆物及び耐損傷性被覆剤並びに耐損傷性被覆剤の製造方法は、ボルト・ナット等の各種締結部品、軸受け、各種シール、締結フランジ、座金、ブレーキシュー、ジャッキ部品、半導体製造装置の摺動部品等の機械部品に活用される。また、各種環境遮断ライニング被覆にも利用可能である。
実施例1及び実施例2に係る被覆物の耐損傷性被膜について、被膜の合成樹脂100重量部に対する気相成長炭素繊維の量と各被膜のヌープ硬さとの関係を示す図である。

Claims (17)

  1. 耐損傷性被膜が材料表面の少なくとも一部分に形成された被覆物であって、
    前記耐損傷性被膜は合成樹脂を樹脂マトリックスとし、前記合成樹脂100重量部に対して3〜40重量部の気相成長炭素繊維を含み、
    前記耐損傷性被膜のヌープ硬さは40Hk以上であることを特徴とする耐損傷性被膜が形成された被覆物。
  2. 耐損傷性被膜が材料表面の少なくとも一部分に形成された被覆物であって、
    前記耐損傷性被膜は合成樹脂を樹脂マトリックスとし、前記合成樹脂100重量部に対して3〜40重量部の気相成長炭素繊維を含み、
    前記耐損傷性被膜のトルク係数が0.15以下であることを特徴とする耐損傷性被膜が形成された被覆物。
  3. 請求項1に記載の被覆物であって、前記合成樹脂100重量部に対して少なくとも9重量部の気相成長炭素繊維を含み、前記ヌープ硬さが150Hk以上であることを特徴とする耐損傷性被膜が形成された被覆物。
  4. 前記耐損傷性被膜の厚さは、5〜50μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の耐損傷性被膜が形成された被覆物。
  5. 前記合成樹脂は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の耐損傷性被膜が形成された被覆物。
  6. 前記合成樹脂は、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、水系フッ素樹脂又はウレタン樹脂のうちいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の耐損傷性被膜が形成された被覆物。
  7. 顔料が含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の耐損傷性被膜が形成された被覆物。
  8. 潤滑剤が含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の耐損傷性被膜が形成された被覆物。
  9. 前記潤滑剤は、フッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン又はダイヤモンドナノ粉末のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項8に記載の耐損傷性被膜が形成された被覆物。
  10. 気相成長炭素繊維が分散された合成樹脂溶液からなる耐損傷性被覆剤であって、
    前記合成樹脂溶液の固形成分100重量部に対して、3重量部以上の前記気相成長炭素繊維と10〜300重量部の極性溶媒とを含むことを特徴とする耐損傷性被覆剤。
  11. 前記極性溶媒は、純水、アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はこれら2種以上の混合物のうちいずれかであることを特徴とする請求項10に記載の耐損傷性被覆剤。
  12. 前記合成樹脂は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の耐損傷性被覆剤。
  13. 前記合成樹脂は、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、水系フッ素樹脂又はウレタン樹脂のうちいずれかであることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の耐損傷性被覆剤。
  14. 顔料が含まれていることを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の耐損傷性被覆剤。
  15. 潤滑剤が含まれていることを特徴とする請求項10乃至請求項14のいずれかに記載の耐損傷性被覆剤。
  16. 前記潤滑剤は、フッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン又はダイヤモンドナノ粉末のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項15に記載の耐損傷性被覆剤。
  17. 気相成長炭素繊維が分散された合成樹脂溶液からなる耐損傷性被覆剤を製造する方法であって、
    前記合成樹脂溶液の固形成分100重量部に対して、3〜40重量部の前記気相成長炭素繊維と10〜300重量部の極性溶媒とを用いて、
    前記気相成長炭素繊維を前記極性溶媒に分散させた後、
    前記気相成長炭素繊維が分散された極性溶媒と合成樹脂とを混合する工程を含むことを特徴とする耐損傷性被覆剤の製造方法。
JP2003272207A 2003-07-09 2003-07-09 耐損傷性被膜が形成された被覆物及び耐損傷性被覆剤並びに耐損傷性被覆剤の製造方法 Expired - Lifetime JP4340489B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003272207A JP4340489B2 (ja) 2003-07-09 2003-07-09 耐損傷性被膜が形成された被覆物及び耐損傷性被覆剤並びに耐損傷性被覆剤の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003272207A JP4340489B2 (ja) 2003-07-09 2003-07-09 耐損傷性被膜が形成された被覆物及び耐損傷性被覆剤並びに耐損傷性被覆剤の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005028802A true JP2005028802A (ja) 2005-02-03
JP2005028802A5 JP2005028802A5 (ja) 2006-09-07
JP4340489B2 JP4340489B2 (ja) 2009-10-07

Family

ID=34209829

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003272207A Expired - Lifetime JP4340489B2 (ja) 2003-07-09 2003-07-09 耐損傷性被膜が形成された被覆物及び耐損傷性被覆剤並びに耐損傷性被覆剤の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4340489B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007198544A (ja) * 2006-01-27 2007-08-09 Toyota Motor Corp マグネシウム合金の締結構造
WO2007132684A1 (ja) 2006-04-27 2007-11-22 Takenaka Seisakusho Co., Ltd. 被覆組成物および被覆物
JP2010511135A (ja) * 2006-12-01 2010-04-08 テナリス・コネクシヨンズ・アクチエンゲゼルシヤフト ねじ込み連結部用のナノ複合コーティング
JP2014111980A (ja) * 2012-11-12 2014-06-19 Kitagawa Kogyo Co Ltd ネジ
JP2015004370A (ja) * 2013-06-19 2015-01-08 株式会社松徳工業所 被膜付締結部品およびその製造方法
US9574080B1 (en) * 2011-02-18 2017-02-21 The United States Of America As Represented By The Administrator Of National Aeronautics And Space Administration Diamond-dispersed fiber-reinforced composite for superior friction and wear properties in extreme environments and method for fabricating the same
JP2017523042A (ja) * 2014-05-12 2017-08-17 ディバーシファイド ケミカル テクノロジーズ,インコーポレイテッド 噴霧可能な炭素繊維エポキシ材料および方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007198544A (ja) * 2006-01-27 2007-08-09 Toyota Motor Corp マグネシウム合金の締結構造
WO2007132684A1 (ja) 2006-04-27 2007-11-22 Takenaka Seisakusho Co., Ltd. 被覆組成物および被覆物
JP2010511135A (ja) * 2006-12-01 2010-04-08 テナリス・コネクシヨンズ・アクチエンゲゼルシヤフト ねじ込み連結部用のナノ複合コーティング
US9574080B1 (en) * 2011-02-18 2017-02-21 The United States Of America As Represented By The Administrator Of National Aeronautics And Space Administration Diamond-dispersed fiber-reinforced composite for superior friction and wear properties in extreme environments and method for fabricating the same
JP2014111980A (ja) * 2012-11-12 2014-06-19 Kitagawa Kogyo Co Ltd ネジ
JP2015004370A (ja) * 2013-06-19 2015-01-08 株式会社松徳工業所 被膜付締結部品およびその製造方法
JP2017523042A (ja) * 2014-05-12 2017-08-17 ディバーシファイド ケミカル テクノロジーズ,インコーポレイテッド 噴霧可能な炭素繊維エポキシ材料および方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4340489B2 (ja) 2009-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4536031B2 (ja) 被覆組成物および被覆物
JP5615806B2 (ja) 摩擦を低減させる方法
Menini et al. Elaboration of Al2O3/PTFE icephobic coatings for protecting aluminum surfaces
JP6368440B2 (ja) 管用ねじ継手及び管用ねじ継手の製造方法
WO2010126035A1 (ja) 摺動部材用被膜組成物
JP6815498B2 (ja) 管用ねじ継手及び管用ねじ継手の製造方法
US20210163776A1 (en) Coating compositions, processes, and applications for low friction and high durability substrates
WO2019236503A1 (en) Coating compositions, processes, and applications for low friction and high durability substrates
MX2010009954A (es) Metodo para ajustar el coeficiente de friccion de una pieza de trabajo metalica.
JP4340489B2 (ja) 耐損傷性被膜が形成された被覆物及び耐損傷性被覆剤並びに耐損傷性被覆剤の製造方法
Cao et al. A chemically robust and self-healing superhydrophobic polybenzoxazine coating without fluorocarbon resin modification: Fabrication and failure mechanism
JP2005007622A (ja) 機能性被膜が形成された被覆物及び機能性被覆剤並びに機能性被覆剤の製造方法
Winarto et al. Wear resistance and surface hardness of carbon nanotube reinforced alumina matrix nanocomposite by cold sprayed process
JP3504872B2 (ja) 塗膜、ならびに塗膜の形成方法
KR20130038381A (ko) 수지 피복 알루미늄 합금판
JP2009185109A (ja) 金属フィラー含有塗料、金属フィラー含有塗料の製造方法および鉄系部材
JP6690940B2 (ja) フレーク状ステンレス顔料、それを配合してなる樹脂組成物、および該樹脂組成物により形成された塗膜を有する塗布物
JP5564691B2 (ja) 導電性水性塗料およびその塗料を使用した鉄筋コンクリート構造物の電気防食方法
JP2003336005A (ja) 耐食性コーティング組成物、塗料およびその塗膜
CN114479613A (zh) 一种环氧树脂粉末涂料及其制备方法和应用
JP2008144185A (ja) 被覆組成物および被覆物
RU2702881C1 (ru) Градиентное металлополимерное покрытие
Valenkov et al. Investigation of the Structure of Surface and Tribological Properties of Composition Coatings Based on Thermosetting Epoxy–Polyester Resins
US11478819B2 (en) Method for forming a polyethylene alumina nanocomposite coating
CN115260868A (zh) 一种可用于海洋高温腐蚀环境的自润滑核防护涂层及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060424

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060424

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20060428

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060530

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060428

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060530

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081023

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090421

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090630

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090706

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4340489

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120710

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130710

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130710

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140710

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term