JP2005028531A - マイクロチャンネルチップ - Google Patents
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Abstract
【課題】 要求される小型化を確保しながら、供給される複数の原料流体を短時間で効率よく混合することができるようにすること。
【解決手段】 複数の供給口11から各々供給されて流れる原料流体が混合される反応流路33内に、形状記憶効果を有する材料のワイヤ100を備え、そのワイヤ100の形状記憶効果を利用して反応流路33内での層流支配の流れを乱し、層流状態の流れに乱流状態を発生させ、原料流体の混合効率を向上させるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】 複数の供給口11から各々供給されて流れる原料流体が混合される反応流路33内に、形状記憶効果を有する材料のワイヤ100を備え、そのワイヤ100の形状記憶効果を利用して反応流路33内での層流支配の流れを乱し、層流状態の流れに乱流状態を発生させ、原料流体の混合効率を向上させるようにした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、微小な流路内で微小容量の流体を混合させたり合成させたりする等の各種反応を行わせるためのマイクロチャンネルチップに関する。
近年、進歩の著しいマイクロマシニング技術によって、シリコンやガラス、プラスチック等の基板を加工して、微小流路(マイクロチャンネル)を持つデバイスを作製し、その微小空間を、混合や合成、分離、分析等の各種反応の場として利用することが試みられ、注目を浴びている。このようなデバイスは、その使用目的に応じて、マイクロミキサとかマイクロリアクタと呼ばれている。
通常、反応の場となる微小空間、即ち反応流路の等価直径が500μmより小さいものが微小流路とされており、このような微小流路を持つチップがマイクロチャンネルチップである。マイクロチャンネルチップには、1つだけの微小流路を持つものもあれば、複数の微小流路を持つものもあり、更に、多数の微小流路を持つウェハ状のものもある。
このようなマイクロチャンネルチップの様に流路のスケールが微小化してくると、次の特徴が得られる。
このようなマイクロチャンネルチップの様に流路のスケールが微小化してくると、次の特徴が得られる。
(1)レイノルズ数が小さくなるので、流れが層流支配となる。
(2)単位体積当たりの表面積が非常に大きくなる。
(3)温度、圧力、濃度等の勾配が大きくなる。
これらの特徴によって、熱伝導や拡散等の物質移動等の効率が向上し、反応系での反応時間の短縮や、反応速度の向上等の利点が得られる。更に、微小空間内での反応であっても適量合成や高い再現性が得られるので、反応に使用される薬品や触媒、試薬等を含めた原料流体の量を大幅に低減することも可能となって、経済的なメリットも大きい。
(2)単位体積当たりの表面積が非常に大きくなる。
(3)温度、圧力、濃度等の勾配が大きくなる。
これらの特徴によって、熱伝導や拡散等の物質移動等の効率が向上し、反応系での反応時間の短縮や、反応速度の向上等の利点が得られる。更に、微小空間内での反応であっても適量合成や高い再現性が得られるので、反応に使用される薬品や触媒、試薬等を含めた原料流体の量を大幅に低減することも可能となって、経済的なメリットも大きい。
ここで、先ず、マイクロチャンネルチップの一般的な構成を説明する。
図7は、従来のマイクロチャンネルチップを構成する部品の一例であり、(a)は蓋板1の斜視図、(b)は基板2の斜視図である。図8は、その蓋板1及び基板2が接合等で一体化されてマイクロチャンネルチップとなった状態における第1の供給流路31及び反応流路33に沿った断面図である。
図7は、従来のマイクロチャンネルチップを構成する部品の一例であり、(a)は蓋板1の斜視図、(b)は基板2の斜視図である。図8は、その蓋板1及び基板2が接合等で一体化されてマイクロチャンネルチップとなった状態における第1の供給流路31及び反応流路33に沿った断面図である。
図7(a)に示す蓋板1には、各種の原料流体(溶液や薬品、試薬等であり、微小固体を含む液体や気体も含む)を混合等の反応のために供給する第1の供給口11及び第2の供給口12と、混合された結果として送り出されてくる混合流体や生成流体等の反応結果流体を取り出す取り出し口13とが、何れも貫通穴によって形成されている。
図7(b)に示す基板2には、2つの供給口11及び12からの供給流路となる第1の供給流路用溝21及び第2の供給流路用溝22と、反応流路となる反応流路用溝23とが形成されている。反応流路用溝23の幅は、何れかの供給流路用溝21,22の幅より広く描かれているが、その長さと合わせて、必要な反応時間との兼ね合いで決定される。
図7(b)に示す基板2には、2つの供給口11及び12からの供給流路となる第1の供給流路用溝21及び第2の供給流路用溝22と、反応流路となる反応流路用溝23とが形成されている。反応流路用溝23の幅は、何れかの供給流路用溝21,22の幅より広く描かれているが、その長さと合わせて、必要な反応時間との兼ね合いで決定される。
基板2上に蓋板1が接合されると、図8に示した様に、第1の供給流路31、図示せぬ第2の供給流路、及び反応流路33から成る流路3が形成される。
第1の供給口11及び第2の供給口12から各々供給された原料流体は、第1の供給流路31及び第2の供給流路を通って反応流路33へ導かれ、ここで混合や合成等の所定の反応をし、この反応結果流体として取り出し口13から取り出される。
第1の供給口11及び第2の供給口12から各々供給された原料流体は、第1の供給流路31及び第2の供給流路を通って反応流路33へ導かれ、ここで混合や合成等の所定の反応をし、この反応結果流体として取り出し口13から取り出される。
等価直径が500μm以下の微小流路のレイノルズ数は、10〜数100程度と極めて小さい。このため、その微小流路内部を流れる流体は、前述したように層流支配状態となる。従って、図7及び図8に示したような流路構成の微小流路の場合には、2つの供給口11及び12から供給された各々の原料流体は、反応流路33内においても2つの層流となって流れ、供給された2つの原料流体の混合は、主に2つの層流の間の拡散によって支配される。このため、両流体が完全な混合状態に達するまでには、微小流路であっても、ある程度の時間を必要とする。
その混合所要時間を更に短縮して効率化するために、流れを幾つかに分割して多数の層流を作り、拡散所要時間を短くしようとする試みが幾つか提案されている。
図9は、その一例の基板2aの形状を示した平面図であって、この基板2a上に図7(a)に示した蓋板1と同様の蓋板(図示せず)が接合されて、マイクロチャンネルチップとなる。なお、図9においては、流路用溝を流路として示している。
図9は、その一例の基板2aの形状を示した平面図であって、この基板2a上に図7(a)に示した蓋板1と同様の蓋板(図示せず)が接合されて、マイクロチャンネルチップとなる。なお、図9においては、流路用溝を流路として示している。
蓋板の2つの供給口11及び12に繋がる第1の供給流路31a及び第2の供給路32aは、それぞれ3段階で分岐されて、反応流路である細かい網目状のマルチ流路33aに繋がれている。マルチ流路33aの出口側は、供給流路側とは逆に段々に集められて取り出し口13に繋がっている。供給される2種類の原料流体は、細かい網目状のマルチ流路33aで十分に混合される。
以上説明したようなマイクロチャンネルチップの蓋板及び基板用の素材には、通常、シリコンやガラス、金属、プラスチック等の板が用いられる。これら素材の中から、その使用目的に適合する材料が選択され、その材料に適した加工技術で微小流路等が加工され、接合や接着、Oリング締結等で一体化されてマイクロチャンネルチップとなる。
この種のマイクロチャンネルチップの構造等に関する従来技術として、表面に異方性エッチングにより形成された複数の独立した反応チャンバ用溝を有するシリコン基板と、このシリコン基板の表面に陽極接合され反応チャンバを形成させるガラス平板とから成るものが知られている(特許文献1参照)。
特開平10−337173号公報(要約書)
この種のマイクロチャンネルチップの構造等に関する従来技術として、表面に異方性エッチングにより形成された複数の独立した反応チャンバ用溝を有するシリコン基板と、このシリコン基板の表面に陽極接合され反応チャンバを形成させるガラス平板とから成るものが知られている(特許文献1参照)。
しかし、従来のマイクロチャンネルチップにおいては、図7及び図8で示したような同一平面上に形成された微小流路内を流れる流体が、前述したように、外部から特別な状態を付与しない限り層流となるので、供給された原料流体の混合が、主に相互拡散に依存し、均一な混合状態を得るためには、その微小さの割には長い時間を必要とするという問題がある。この問題は、上記特許文献1の技術内容においても略同様である。
このため、混合効率を高めるために、流体の流れを幾つもの流れに分割して拡散に要する時間を短縮することが必要となり、図9に示したようなマルチ流路が採用されてきた。しかし、マルチ流路方式では、原料流体の数が多くなると流路を形成する基板の面積を大きくしなければならす、小型化の要求から乖離することになるという問題がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、要求される小型化を確保しながら、供給される複数の原料流体を短時間で効率よく混合することができるマイクロチャンネルチップを提供することを目的としている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、要求される小型化を確保しながら、供給される複数の原料流体を短時間で効率よく混合することができるマイクロチャンネルチップを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によるマイクロチャンネルチップは、原料流体を供給する貫通穴による複数の供給口及び原料流体を取り出す貫通穴による取り出し口が形成された蓋板と、前記複数の供給口から各々供給されて流れる原料流体が、途中で混合されて前記取り出し口から取り出されるように流れる流路となる溝が形成された基板とを有し、前記基板上に前記溝を覆って前記流路が構成されるように前記蓋板を合わせて一体化して成るマイクロチャンネルチップにおいて、前記流路に、形状記憶効果を有する材料による線状部材を組み込んだことを特徴としている。
この構成によれば、流路に組み込まれた形状記憶効果を有する材料による線状部材が、使用環境下の温度の影響で、ジグザク状又はスプリング状などに変形することで、各々の原料流体が途中で混合する反応流路を流れる際に、流体の層流状態が乱されて乱流状態が発生するので、高い攪拌効果が生じることになる。
また、本発明の請求項2によるマイクロチャンネルチップは、請求項1において、前記流路に組み込まれた形状記憶効果を有する材料による線状部材を、加熱及び冷却の少なくとも一方を行う手段を更に備えたことを特徴としている。
また、本発明の請求項2によるマイクロチャンネルチップは、請求項1において、前記流路に組み込まれた形状記憶効果を有する材料による線状部材を、加熱及び冷却の少なくとも一方を行う手段を更に備えたことを特徴としている。
この構成によれば、形状記憶効果を有する材料による線状部材に所定の温度範囲で加熱と冷却サイクルを与えることにより、線状部材を直線状からジグザク状又はスプリング状に、逆にジグザク状又はスプリング状から直線状への可逆的な変形挙動を行わせることで、反応流路内を流れる流体を乱流状態とすることができるので、これによって攪拌効果を、より一層高めることができる。また、加熱のみ、冷却のみでも、何れかによる温度の影響で、線状部材をジグザク状又はスプリング状などに変形させることができるので、乱流状態を発生させて攪拌効果を生じさせることができる。
また、本発明の請求項3によるマイクロチャンネルチップは、請求項1または2において、前記流路に組み込まれた形状記憶効果を有する材料による線状部材が、ニッケルチタン合金であることを特徴としている。
この構成によれば、ニッケルチタン合金は、形状記憶効果を有する材料の中で変形繰り返し時の形状回復力、耐食性及び耐熱性が最も優れているので、マイクロチャンネルチップを幅広い用途に適用することができる。特に、耐食性の面では、海水とか腐食性の薬品(薬剤)、溶剤の中でも使用可能なので、この方面のマイクロチャンネルチップとしても十分に機能を発揮することができる。
この構成によれば、ニッケルチタン合金は、形状記憶効果を有する材料の中で変形繰り返し時の形状回復力、耐食性及び耐熱性が最も優れているので、マイクロチャンネルチップを幅広い用途に適用することができる。特に、耐食性の面では、海水とか腐食性の薬品(薬剤)、溶剤の中でも使用可能なので、この方面のマイクロチャンネルチップとしても十分に機能を発揮することができる。
以上説明したように本発明は、複数の供給口から各々供給されて流れる原料流体が、途中で混合されて取り出し口から取り出されるように流れる流路に、形状記憶効果を有する材料による線状部材を組み込んだので、その線状部材が、使用環境下の温度の影響で、ジグザク状又はスプリング状などに変形することで、各々の原料流体が途中で混合する反応流路を流れる際に、流体の層流状態が乱されて乱流状態が発生して、高い攪拌効果が生じることになる。
従って、要求される小型化を確保しながら、供給される複数の原料流体を短時間で効率よく混合することができるという効果がある。
また、流路に組み込まれた形状記憶効果を有する材料による線状部材を、加熱及び冷却の少なくとも一方を行う手段を更に備えたので、その線状部材に所定の温度範囲で加熱と冷却サイクルを与えることにより、線状部材を直線状からジグザク状又はスプリング状に、逆にジグザク状又はスプリング状から直線状への可逆的な変形挙動を行わせることで、反応流路内を流れる流体を乱流状態とすることができる。これによって攪拌効果を、より一層高めることができるという効果がある。
また、流路に組み込まれた形状記憶効果を有する材料による線状部材を、加熱及び冷却の少なくとも一方を行う手段を更に備えたので、その線状部材に所定の温度範囲で加熱と冷却サイクルを与えることにより、線状部材を直線状からジグザク状又はスプリング状に、逆にジグザク状又はスプリング状から直線状への可逆的な変形挙動を行わせることで、反応流路内を流れる流体を乱流状態とすることができる。これによって攪拌効果を、より一層高めることができるという効果がある。
また、流路に組み込まれた形状記憶効果を有する材料による線状部材を、ニッケルチタン合金とした。ニッケルチタン合金は、特に耐食性の面では海水とか腐食性の薬品(薬剤)、溶剤の中でも使用可能なので、幅広用途をカバーできるマイクロチャンネルチップを提供することができるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るマイクロチャンネルチップの構成を示す断面図である。
図1に示す本実施の形態のマイクロチャンネルチップの特徴は、前述の背景技術で既に説明済みの図7及び図8に示したと同構成のマイクロチャンネルチップの反応流路33内に、形状記憶効果を有する材料のワイヤ(以下、単にワイヤともいう)100を備え、そのワイヤ100の形状記憶効果を利用して反応流路33内での層流支配の流れを乱し、層流状態の流れに乱流状態を発生させ、原料流体の混合効率を向上させるようにした点にある。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るマイクロチャンネルチップの構成を示す断面図である。
図1に示す本実施の形態のマイクロチャンネルチップの特徴は、前述の背景技術で既に説明済みの図7及び図8に示したと同構成のマイクロチャンネルチップの反応流路33内に、形状記憶効果を有する材料のワイヤ(以下、単にワイヤともいう)100を備え、そのワイヤ100の形状記憶効果を利用して反応流路33内での層流支配の流れを乱し、層流状態の流れに乱流状態を発生させ、原料流体の混合効率を向上させるようにした点にある。
形状記憶効果とは、本特性を有する材料を所定の形状に加工し、適切な熱処理を施した後に、その材料固有の変態点以下の温度で力を加えて変形させたとしても、加熱すれば元の形に戻る特性である。
形状記憶効果を示す材料は、これまで数十種類あり、材質的には金属元素からなる合金、更には有機ポリマーなどが報告されている。しかし、実用化されている形状記憶効果を示す材料は、ニッケルチタン合金、銅−アルミニュウム−亜鉛合金、鉄−シリコン−マンガン合金のみである。
形状記憶効果を示す材料は、これまで数十種類あり、材質的には金属元素からなる合金、更には有機ポリマーなどが報告されている。しかし、実用化されている形状記憶効果を示す材料は、ニッケルチタン合金、銅−アルミニュウム−亜鉛合金、鉄−シリコン−マンガン合金のみである。
本発明では上記の3種の中でニッケルチタン合金は、製造コストはやや高いものの形状記憶効果の材料として重要な形状回復力、繰り返し寿命、耐食性などが最も優れていることを確認した上で、本合金を特定した。
ニッケルチタン合金において、形状記憶効果はニッケルとチタンの割合が化学量論組成(それぞれが50原子%)近傍である場合に発現する。依って、以下の本発明では化学量論組成のニッケルチタン合金のワイヤを対象として説明する。
図2〜図4は、通常の金属材料とニッケルチタン合金の様な形状記憶合金の加熱と変形挙動の違いを説明するための模式図である。
ニッケルチタン合金において、形状記憶効果はニッケルとチタンの割合が化学量論組成(それぞれが50原子%)近傍である場合に発現する。依って、以下の本発明では化学量論組成のニッケルチタン合金のワイヤを対象として説明する。
図2〜図4は、通常の金属材料とニッケルチタン合金の様な形状記憶合金の加熱と変形挙動の違いを説明するための模式図である。
図2(a)〜(d)は通常の金属材料であって、(a)に示す直線状の元の形から(b)に示す引張、(c)に示す徐荷後に、(d)に示す加熱しても元の形にもどることはない。
図3(a)〜(d)は形状記憶合金であって、(a)に示す直線状の元の形から(b)に示す引張でスプリング状に変形させ、(c)に示す徐荷した後に、(d)に示す加熱を行うと元の直線状の形に戻る。
図4(a)〜(d)は図3と同じく形状記憶合金であるが、(a)に示すように元の形をスプリング状とし、(b)に示す引張で直線状となし、(c)に示す徐荷後に(d)に示す加熱を行うと元のスプリング状に戻る例を示した。
図3(a)〜(d)は形状記憶合金であって、(a)に示す直線状の元の形から(b)に示す引張でスプリング状に変形させ、(c)に示す徐荷した後に、(d)に示す加熱を行うと元の直線状の形に戻る。
図4(a)〜(d)は図3と同じく形状記憶合金であるが、(a)に示すように元の形をスプリング状とし、(b)に示す引張で直線状となし、(c)に示す徐荷後に(d)に示す加熱を行うと元のスプリング状に戻る例を示した。
更に詳しく説明すれば、化学量論組成のニッケルチタン合金は、所定の形状に加工した後、通常の熱処理を行った場合のマルテンサイト変態開始温度(Ms)は、ほぼ17℃、オーステナイト変態終了温度(Af)は約40℃前後となる。また、マルテンサイト及びオーステナイトとは本合金の結晶構造であり、オーステナイト変態終了温度(Af)以上で付与した形状が、図3(a)及び図4(a)の元の形となる。そして、引張変形は、マルテンサイト変態開始温度(Ms)以下で行う必要がある。これを40℃前後以上に加熱すると元の形に復帰する。更に、必要に応じて、冷却すれば引張変形の状態とすることができる。
次に、上記実施の形態を具体的に実施した実施例を詳細に説明する。但し、第1及び第2の実施例で用いる図5及び図6において、図1に示した実施の形態の各部に対応する部分には同一符号を付す。
(第1の実施例)
図5(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係るマイクロチャンネルチップの第1の実施例の構成を示す断面図である。
この第1の実施例によるマイクロチャンネルチップの蓋板1には、厚さ200μmのパイレックス(登録商標)ガラスを、基板2には、厚さ800μmのシリコンウェハを採用した。基板2の反応流路33は、ドライプラズマエッチングの方法によって幅300μm、深さ200μmの形状に加工した。この反応流路33に、直径100μmのニッケルチタン合金ワイヤ100を配置した。その後、公知の方法で蓋坂1と基板2を一体化した。
(第1の実施例)
図5(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係るマイクロチャンネルチップの第1の実施例の構成を示す断面図である。
この第1の実施例によるマイクロチャンネルチップの蓋板1には、厚さ200μmのパイレックス(登録商標)ガラスを、基板2には、厚さ800μmのシリコンウェハを採用した。基板2の反応流路33は、ドライプラズマエッチングの方法によって幅300μm、深さ200μmの形状に加工した。この反応流路33に、直径100μmのニッケルチタン合金ワイヤ100を配置した。その後、公知の方法で蓋坂1と基板2を一体化した。
ここで使用したニッケルチタン合金ワイヤ100には、図4(a)〜(d)に示したと同様な形状記憶処理を施した。即ち、20℃前後以下の場合には、マイクロチャンネルチップの反応流路33内のニッケルチタン合金ワイヤ100は、図5(a)の直線状の状態であり、これを40℃前後の温度環境とすると図5(b)のスプリング状の状態となる。
図5(b)の状態で、マイクロチャンネルチップとして使用すれば、第1の供給口11と第2の供給口12から供給された各種の原料流体は、第1の供給流路31、第2の供給流路を経て、反応流路33内でスプリング状に変形しているニッケルチタン合金ワイヤ100の効果により、層流支配の流れが乱流状態となって攪拌運動を巻き起こす。この結果として原料流体の混合効率を向上させる。そして反応結果流体となって取り出し口13から取り出される。
(第2の実施例)
図6(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係るマイクロチャンネルチップの第2の実施例の構成を示す断面図である。
この第2の実施例の材料及び構成は、上記図5と同様であるが、反応流路33に挿入されたニッケルチタン合金ワイヤ100にリード線101を介して、電源102とスイッチ103を接続して通電回路を構成している。
20℃前後以下でスイッチ103がオフの場合は、図6(a)の様にニッケルチタン合金ワイヤ100は反応流路33内で直線状である。スイッチ103がオンしてニッケルチタン合金ワイヤ100に電流を流すと発熱して、図6(b)の様なスプリング状に変形する。
図6(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係るマイクロチャンネルチップの第2の実施例の構成を示す断面図である。
この第2の実施例の材料及び構成は、上記図5と同様であるが、反応流路33に挿入されたニッケルチタン合金ワイヤ100にリード線101を介して、電源102とスイッチ103を接続して通電回路を構成している。
20℃前後以下でスイッチ103がオフの場合は、図6(a)の様にニッケルチタン合金ワイヤ100は反応流路33内で直線状である。スイッチ103がオンしてニッケルチタン合金ワイヤ100に電流を流すと発熱して、図6(b)の様なスプリング状に変形する。
第1の実施例と同様に各種の原料流体を各々の流路を経由して反応流路33に導いた状況下で、スイッチ103のオン/オフを行えば、ニッケルチタン合金ワイヤ100は可逆的な変形挙動を繰り返すので、その効果で層流支配の流れが乱流状態となって攪拌運動が、より一層高まって原料流体の混合効率を向上させることができる。
なお、上記図6では、ニッケルチタン合金ワイヤ100に直接通電して発熱させることで、形状記憶効果を発現させる方法を説明したが、蓋板1又は基板2の面にヒータを付設して加熱、冷却サイクルを与える。若しくは温風ヒータで熱風と冷風を交互に送風する方法でも、可逆的な変形挙動を繰り返させることができる。
なお、上記図6では、ニッケルチタン合金ワイヤ100に直接通電して発熱させることで、形状記憶効果を発現させる方法を説明したが、蓋板1又は基板2の面にヒータを付設して加熱、冷却サイクルを与える。若しくは温風ヒータで熱風と冷風を交互に送風する方法でも、可逆的な変形挙動を繰り返させることができる。
1 蓋板
2,2a 基板
3 流路
11 第1の供給口
12 第2の供給口
13 取り出し口
21 第1の供給流路用溝
22 第2の供給流路用溝
23 反応流路用溝
31,31a 第1の供給流路
32a 第2の供給流路
33 反応流路
33a マルチ流路
100 形状記憶効果を有する材料のワイヤ(ニッケルチタン合金ワイヤ)
101 リード線
102 電源
103 スイッチ
2,2a 基板
3 流路
11 第1の供給口
12 第2の供給口
13 取り出し口
21 第1の供給流路用溝
22 第2の供給流路用溝
23 反応流路用溝
31,31a 第1の供給流路
32a 第2の供給流路
33 反応流路
33a マルチ流路
100 形状記憶効果を有する材料のワイヤ(ニッケルチタン合金ワイヤ)
101 リード線
102 電源
103 スイッチ
Claims (3)
- 原料流体を供給する貫通穴による複数の供給口及び原料流体を取り出す貫通穴による取り出し口が形成された蓋板と、前記複数の供給口から各々供給されて流れる原料流体が、途中で混合されて前記取り出し口から取り出されるように流れる流路となる溝が形成された基板とを有し、前記基板上に前記溝を覆って前記流路が構成されるように前記蓋板を合わせて一体化して成るマイクロチャンネルチップにおいて、
前記流路に、形状記憶効果を有する材料による線状部材を組み込んだ
ことを特徴とするマイクロチャンネルチップ。 - 前記流路に組み込まれた形状記憶効果を有する材料による線状部材を、加熱及び冷却の少なくとも一方を行う手段
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロチャンネルチップ。 - 前記流路に組み込まれた形状記憶効果を有する材料による線状部材が、ニッケルチタン合金である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロチャンネルチップ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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