JP2005028289A - 連続式多段気液接触装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】連続式気液接触処理の特性を活かし、かつ簡素で、小型化され、設置面積が低減した、液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気体を吸引する連続式多段気液接触装置の提供。
【解決手段】側壁、頂壁及び底壁で形成される閉鎖空間を、下部に液体が通過する開口を有する隔壁により複数の気液接触室に区分し、各気液接触室に所定の液量を維持し、隔壁との間に液体が通過する間隙を保持して溢流壁を設け、かつ液体流入口、混合流体噴出開口及び気体吸引管を備えた液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する円筒状気液噴流発生装置を設けて、液体を一端側から他端側の気液接触室に順次移動させ、その間に各気液接触室では、液体を液体取出口から取り出し液体流入口から該噴流発生装置に供給して該負圧を発生させて気体を吸引し、該噴出開口から該混合流体を噴出させる気液接触を各気液接触室で行う。
【解決手段】側壁、頂壁及び底壁で形成される閉鎖空間を、下部に液体が通過する開口を有する隔壁により複数の気液接触室に区分し、各気液接触室に所定の液量を維持し、隔壁との間に液体が通過する間隙を保持して溢流壁を設け、かつ液体流入口、混合流体噴出開口及び気体吸引管を備えた液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する円筒状気液噴流発生装置を設けて、液体を一端側から他端側の気液接触室に順次移動させ、その間に各気液接触室では、液体を液体取出口から取り出し液体流入口から該噴流発生装置に供給して該負圧を発生させて気体を吸引し、該噴出開口から該混合流体を噴出させる気液接触を各気液接触室で行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリクロロエチレン等の揮発性有機化合物で汚染された水の浄化及び溶存酸素補給等に好適な、液体の旋回流を形成し、その旋回流により負圧を発生させ、その負圧により気液混合流体を噴出する気液噴流発生装置を用いた、気液接触装置に関する。より詳しくは、揮発性有機化合物で汚染された水の浄化及び溶存酸素補給等に好適な、液体の旋回流を形成し、その旋回流により負圧を発生させ、その負圧により気液混合流体を噴出する気液噴流発生装置を用いた、連続式多段気液接触装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川や湖沼の水浄化、あるいは生活排水等の汚水の浄化を行う方法として古くから被処理液中の好気性微生物による生物酸化作用を利用することが行われており、その微生物の活性化のために被処理水中に空気の微細気泡を送り込み気液接触を行うことも従前から行われている。そのための微細気泡発生装置には、細孔を有する散気管、多孔板、あるいは回転翼等の各種構造のものが従前から利用されており、これによって気液接触が行われている。
【0003】
その散気管あるいは多孔板を用いて気泡を発生させる装置を用いた気液接触では、気体は細孔を通過して水中に供給されるが、使用するにしたがって細孔は次第に狭くなり、ついには閉塞が起こり、気泡サイズのバラツキあるいは気泡発生率の低下が発生し、気泡の供給が不安定になり、また気泡発生量に制約もある。さらに、攪拌作用が不充分であることから、限られた容量の処理液に対しては有効であるものの湖沼等の大容量の液処理は不可能である。
【0004】
また、回転翼等を用いる機械的方法による気泡発生装置を用いた気液接触は、回転する翼により導入された気体を細分化して気泡発生するものであり、消費エネルギーが大きく、気泡サイズのバラツキも大きいという欠点がある。本発明者らは、これら問題点を解消すべく、サイズ1mm以下の気泡を大量に発生できること、並びに該気泡と処理液との混和率及び接触効率を向上させることなどを目的として、液体の下降する旋回流を形成し、その旋回流により発生した負圧を利用するエアレーターと通称する気液噴流発生装置を提案した(特開平10−230150号公報)。
【0005】
この気液噴流発生装置は、図3に図示するように、両端部に端板を有する円筒状の旋回流発生容器と、その円筒状部の接線方向に設けた液体流入口と、一側端板の中央部に設けられ、他側端板に設けられた流体噴出開口に向かって延びる気体吸引管と、他側端板の中央部に設けられた混合流体噴出開口とを具備するものであり、該液体流入口に水を供給して気体吸引管から空気を吸引し、水と吸引された空気とを前記流体噴出開口から水中に噴出することにより小さいサイズの気泡を大量に発生させることができる。
【0006】
また、この気液噴流発生装置は、気体を吸引する駆動力は旋回しながら下降する液体であり、この下降する液体により発生する負圧により気体が吸引されるものであるから、この気液噴流発生装置には、駆動用の装置は特段必要はなく、しかも容器と配管のみであるから、構造は簡単でかつ小型にできる。さらに、発生した気泡は、微細で均一であり、大量に発生させて水の浄化に使用した場合には、浄化性能を著しく向上させることができる。
【0007】
本発明者らが提案したエアレーターと称する気液噴流発生装置は、前記したとおり優れた特性を備えており、この特性をさらに向上させるべく、その後もこの装置に関し鋭意研究開発に努めており、その結果、流体噴出開口を図3に図示するところの特殊な形状とすることによりエネルギー効率及び気泡発生効率に優れた気液噴流発生装置の開発に成功し既に特許出願した(特願2002−86087)。
【0008】
この新たに開発した特殊形状の混合流体噴出開口を持つ気液噴流発生装置に関し各種テストを行ったところ、発生した混合流体は、斜め下方向に移動し、横方向への移動は相当あるものの、垂直方向、すなわち下部への進行距離が小さいことが判明した。さらに、発生した混合流体における気泡と液体との分離性が極めて優れていることも判明した。
【0009】
本発明者は、この知見に基づいて、液体収納容器中の液体を取り出し、気液噴流発生装置の液体流入口に循環する液体移送管の取入口、すなわち液体収納容器の液体取出口を流体噴出開口から十分に離間することなく、すなわち、両者を比較的近接設置した気液接触装置を開発し特許出願した(特願2003−172519)。この接触装置は、気泡が循環ポンプ内に進入することもなく、支障なく運転でき、その結果、装置が小型化でき、かつ設置面積を低減できることから、コスト低減性にも優れたものとすることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者がこれまでに開発した気液噴流発生装置を具備する気液接触装置は、それを使用して水の浄化及び溶存酸素補給等を行ない、その所期の目的を達成するには、液体の旋回流を形成し、その旋回流により負圧を発生させることを繰り返し行なうことが必要であり、その接触装置の構造上及び機能上、貯留容器の不必要あるいは多量処理が可能等の各種のメリットがある連続処理を採用することは無理であり、該気液接触処理はバッチ処理とならざるを得なかった。
そのようなことから、本発明者は、連続処理を可能とする気液噴流発生装置を具備する気液接触装置の開発可能性を検討することとし、連続処理のメリットをあらためて検討した。
【0011】
その結果、この連続処理化は、以下のようなメリットをもたらすことがわかった。
(1)処理液体を気液接触装置内に連続的に供給することができるので、バッチ処理のように次バッチまでの間に発生する処理対象液を一次的に貯留する設備が不要となる。
(2)連続式気液接触処理は、バッチ式に比し、1設備で簡便に多量の気液接触処理が可能となる。
(3)処理対象液の性状に変動が生じても、バッチ式に比し処理運転条件の管理を簡便、適切に行なうことができる。
(4)合理的な構造の連続式気液接触装置を開発することにより、全体で同処理能力とした複数のバッチ式気液接触装置を利用する場合よりも、小型化でき、その結果設置面積も低減できる気液接触装置とすることができる。
【0012】
そこで、本発明者は、このようなメリットを持つ、液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出することを利用する連続式気液接触処理を積極的に活用すべく、図1に図示するようなバッチ式気液接触装置を単純に複数組み合わせて多段にして連続式に構成するのではなく、連続式気液接触処理の特性を活かしつつ、かつ簡素な構造で、全体が小型化され、その結果設置面積が低減した独特な構造を持つ連続式多段気液接触処理装置を開発すべく、鋭意研究開発に努めた。
【0013】
その結果、開発に成功したのが本発明である。したがって、本発明は、連続式気液接触処理の特性を活かしつつ、かつ簡素な構造で、全体が小型化され、その結果設置面積が低減した独特な構造を持つ、液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する円筒状気液噴流発生装置を具備する連続式多段気液接触処理装置を提供することを解決すべき課題、すなわち目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決した連続式多段気液接触装置を提供するものであり、その気液接触装置は、側壁、頂壁及び底壁で形成される閉鎖空間と、前記空間を複数の気液接触室に区分し、下部に液体が通過する開口を有する前記空間内で上方から下方に延びる隔壁と、底壁から上方に向かって伸び隔壁との間に液体が通過する間隙がある溢流壁と、液体流入口、混合流体噴出開口及び気体吸引管を備えた液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する前記気液接触室内に配置された円筒状気液噴流発生装置と、前記気液接触室において前記流体噴出開口より下部に設置した液体取出口と前記液体流入口とをポンプを介して接続する液体移送管と、前記閉鎖空間一端の気液接触室に接続する液体供給配管と、前記閉鎖空間他端の気液接触室に接続する液体取出配管と、前記気液接触室の気体空間に連通する排気口とを具備することを特徴とすることを特徴とするものである。
【0015】
そして、本発明の連続式多段気液接触装置では、側壁、頂壁及び底壁で形成される閉鎖空間を上方から底部に向かって伸び、下部に開口を有する隔壁により、前記閉鎖空間内を区切って複数の気液接触室を形成し、各気液接触室には所定量の処理液を保持するために溢流壁が設けられており、処理液は各気液接触室に備えられている液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する円筒状気液噴流発生装置により気液接触された後、該溢流壁を流下して隣室に移動するものである。
【0016】
したがって、本発明の連続式多段気液接触装置では、各気液接触室が備える液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する円筒状気液噴流発生装置により気液接触された液体は、溢流壁を流下するだけで、隣の気液接触室に移動できる構造となっており、その結果、本発明は、簡素な構造で、全体が小型化でき、かつ設置面積が低減できる独特な構造を持つ連続式多段気液接触装置を提供する優れたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明するが、この図面は好適な実施の形態を示すものであって、本発明はこれによって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって特定されるものであることはいうまでもない。
【0018】
本発明の好適な連続式多段気気液接触装置1の基本的な構造は、図2の斜視図において図示されたとおりの構造を有するものであり、それには、側壁3、頂壁4及び底壁5で形成される閉鎖空間がある。その閉鎖空間は、頂壁4から底壁5に向かって伸び、底壁5との間に液体が通過する隙間を有する隔壁6によって複数の気液接触室2に区画される。図2の連続式多段気気液接触装置1では、4個の気液接触室21〜24が存在する。
【0019】
その各気液接触室2の基本的構造は、図1に図示するバッチ式気液接触装置と同様の構造となっており、その気液接触室2内の液体は、吸引口11から吸引されポンプ13を介して円筒状気液噴流発生装置10の液体流入口14に循環供給される。該噴流発生装置10内に供給された処理液体は、液体下降旋回流を形成し、その形成により発生した負圧を利用して気体吸引管15から、空気等の気体を吸引し、液体と気体が混合流体を形成して噴出開口から気液接触室2内の液体中に噴射される。
【0020】
本発明の連続式多段気気液接触装置の各気液接触室2は、基本的には前記した図1に図示するバッチ式気液接触装置の気液接触室と同様の構造で、同様の機能を有するものとなっている。また、気液接触室21〜24には、更に底壁5から上方に向かって伸び、隔壁6との間に液体が通過する間隙が存在する溢流壁7が設置され、所定量の処理液体が保持できる構造となっている。
【0021】
したがって、各気液接触室21〜24には、液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する円筒状気液噴流発生装置101〜104が設置されており、この円筒状気液噴流発生装置10に処理液体が供給され、その供給により吸引された空気等の気体と共に該液体が気液接触室に再度戻る循環を繰り返すことにより活発な気液接触が行なわれる。
【0022】
すなわち、各気液接触室内の処理液体は、該接触室2に設けられる液体移送管12の吸引口11から吸引されポンプ13を介して円筒状気液噴流発生装置10の液体流入口14に循環供給される。該噴流発生装置10内に供給された処理液体は、液体下降旋回流を形成し、その形成により発生した負圧を利用して気液接触室外に突出する気体吸引管15から、空気等の気体を吸引し、液体と気体が混合流体を形成して、混合流体を噴出開口から、各気液接触室内に噴出される。
【0023】
その連続式多段気気液接触装置1に対する処理液の導入は、該接触装置の一端部にある第1の気液接触室21に付設された液体供給配管8により行なわれる。この液体供給配管8より導入された処理液は、吸引口11からポンプ13により液体移送管12に吸引され円筒状気液噴流発生装置101の液体流入口14に供給される。該噴流発生装置101内に供給された処理液は、液体下降旋回流を形成し、その形成により発生した負圧を利用して気液接触室外に連通する気体吸引管151から、空気等の気体を吸引し、液体と気体が混合流体を形成し、流体噴出開口16より気液接触室21内に噴出する。
【0024】
その噴出した混合流体は、気液接触室21内で、噴出後直ちに気液分離し、気体は排気口181から気液接触室外に排出される。他方、気液分離後の液体は、液体供給配管8により新たに連続的に導入される処理液と共に吸引口11から吸引されポンプ13を介して円筒状気液噴流発生装置101に循環供給され、再度気体を吸引し、液体と気体が混合流体を形成し、流体噴出開口16より気液接触室21内に噴出する。
【0025】
その混合流体は、噴出後直ちに気液分離し、気液分離後の処理液の一部は、第1の気液接触室21に新たな処理液が連続して供給されるので、溢流壁7の頂部から、隔壁6と溢流壁7との間に存在する間隙に流下し、更に隔壁に形成された開口を通過して、隣りの第2の気液接触室22に流入し、この気液接触室においても第1の気液接触室21と同様に気液接触が行なわれる。
【0026】
すなわち、第2の気液接触室22においても、流入した処理液は、その吸引口11からポンプ13により液体移送管12に吸引されて円筒状気液噴流発生装置102の液体流入口14に供給され、液体下降旋回流を形成し、発生した負圧を利用して気体吸引管152から気体を吸引し、液体と気体が混合流体を形成し、流体噴出開口16より気液接触室22内に噴出する。
【0027】
その噴出した混合流体は、第2の気液接触室22内でも、噴出後直ちに気液分離し、気体は排気口182から気液接触室外に排出される。他方、気液分離後の液体は、大部分は円筒状気液噴流発生装置102に循環供給され、再度気体を吸引し、形成した混合流体は気液接触室22内に噴出する。処理液の一部は、第1の気液接触室の場合と同様に溢流壁7から流下し、隣りの第3の気液接触室23に流入する。
【0028】
この第3気液接触室23においても第1及び2の気液接触室21及び22と同様に繰り返し気液接触が行なわれ、混合流体は気液接触室23内に噴出し、噴出後直ちに気液分離し、気体は排気口183から気液接触室外に排出され、処理液の一部は、更に第4の気液接触室24に移動し、ここにおいても第1ないし3の気液接触室と同様に気液接触が繰り返し行なわれる。
【0029】
その気液接触で形成された混合流体は、第1ないし第3の気液接触室21〜23の場合と同様に流体噴出開口16から噴出後直ちに気液分離し、気体は排気口184から気液接触室外に排出され、処理液の一部は、溢流堰7から流下した後に、連続式多段気液接触装置1の他端部にある第4の気液接触室24に付設された液体取出配管9により該接触装置外に取り出される。
【0030】
前記のとおりであるから、本発明の図2に図示された連続式多段気液接触装置1では、処理液は、該気液接触装置1の一端部から導入され、他端部から取り出され、その間に円筒状気液噴流発生装置10内で、液体下降旋回流を形成し、負圧を発生させて気体吸引管15から気体を吸引することにより、混合流体を形成し、気液接触を行なうものであり、該混合流体は、気液接触室内に噴出後直ちに気液分離し、気体は排気口18から排出される。
【0031】
本発明の連続式多段気液接触装置は、揮発性有機化合物で汚染された水の浄化及び溶存酸素補給等の各種気液接触処理に利用でき、図2に図示された連続式多段気液接触装置は、大気を吸引し、処理液中に溶存酸素を補給させる曝気の際には、特に好適に利用できる。すなわち、この図示された装置では、気液接触処理後の気体は、浄化処理されることなく各気液接触室から大気中に放出されることになるが、放出される気体は未溶存の空気であるから、該放出により大気汚染をもたらすこともないので、この装置は溶存酸素補給には好適に利用できる。
【0032】
しかしながら、この図示された装置を液中に溶存された有害物質であるトリクロロエチレン等の揮発性有機化合物の除去あるいはオゾン等の有価気体の溶存に使用する場合には、気液接触後の気体の放出により大気汚染あるいは有価気体の損失をもたらすことになる。したがって、そのためには、該放出を回避する改善が必要ということになる。
【0033】
本発明の連続式多段気液接触装置においては、このような場合にも対応できる工夫がなされており、その工夫を有する連続式多段気液接触装置は、以下のとおりである。例えば、トリクロロエチレン等の揮発性有機化合物を溶存する水等の液中から、該有機化合物を曝気により除去する際には、各気液接触室21〜24に付設された各排気口181〜184を大気に開放することなく、活性炭等の吸着材を充填した吸着塔等に接続し、曝気により空気と共に放出された揮発性有機化合物を吸着塔等で分離除去するのがよい。
【0034】
また、オゾン等の有価気体を水等の液体に溶存する場合には、図2の連続式多段気液接触装置の各気液接触室21〜24において、そこに付設された各気体吸引管151〜154よりオゾン発生装置を経由したオゾン含有ガスを吸引し、気液接触後、同じくそこに付設された各排気口181〜184から大気中に放出した場合には、各気液接触室21〜24において液中に溶存されなかったオゾンが大気中に放出されることになる。そのため、高価なオゾンが浪費されることになるし、また人体に有害な気体が放出されることにもなる。
【0035】
そのようなことで、本発明者は、連続式多段気液接触装置にオゾン等の有価気体を無駄に放出することなく、可能な限り液中に溶存することができる工夫も行った。その工夫では、該気液接触装置内において液体と気体とは向流で流すようにした。すなわち、液体は、液体供給配管8から気液接触室21に導入され、そこから気液接触室24に向かって流れ、オゾン含有気体は気体吸引管154から気液接触室24に吸引され、気液接触室21に向かって流れる。
【0036】
特に、前記工夫をした連続式多段気液接触装置内におけるオゾン含有気体等の有価気体の挙動について、更に言及するに、
オゾン含有気体は、気体吸引管154に接続されたオゾン発生装置から気液接触室24に設置された円筒状気液噴流発生装置104に吸引されて、該接触室24内に気液混合流体として噴出される。噴出後直ちに気液分離し、分離後のオゾン含有気体は排気口184から放出されることになる。
【0037】
その際には、該排気口184と、気液接触室23に設置された円筒状気液噴流発生装置103の気体吸引管153との間に配管を接続し、それによりオゾン含有気体を大気中に放出することなく、該気体吸引管153により、気液接触室23に設置された円筒状気液噴流発生装置103に吸引し、該接触室23内に気液混合流体として噴出する。
【0038】
この気液接触室23においても、噴出後直ちに気液分離し分離後のオゾン含有気体は、気液接触室24の場合と同様に、排気口183と気体吸引管152との間を接続する配管を介して、円筒状気液噴流発生装置10に吸引し、該接触室22内に気液混合流体として噴出する。この気液接触室22においても、放出後直ちに気液分離し分離後のオゾン含有気体は、同様に排気口182から吸引管151に吸引し、気液接触室21内に気液混合流体として噴出する。
【0039】
この気液接触室21においても、気液混合流体は、噴出後直ちに気液分離し、オゾン含有気体は、排気口181から外部に放出されることになる。このようにオゾン含有気体は、各気液接触室で液体と繰り返し接触することになり、オゾンを処理液中に無駄なく効率的に溶存することができる。特に液体とオゾン含有気体が向流で流れることから、最終気液接触室である第4の気液接触室24では、高濃度オゾン含有気体が、気液接触室21〜23でオゾン含有気体と接触したオゾンを相当量溶存した液体と接触することになるので、オゾンを高濃度で溶存することができ、かつそれを効率的に得ることができる。その気体中にオゾンが相当量残留する場合には、人体に悪影響を与えることにならないように吸着塔あるいはオゾン分解装置等のオゾン除去装置を付設するのが好ましい。
【0040】
本発明の連続式多段気液接触装置における隔壁は、側壁、頂壁及び底壁で形成される閉鎖空間を複数の気液接触室に区分し、隣接する気液接触室間での気体及び液体の自由な移動を制限するものであり、頂壁から底壁に向かって好ましくは垂直に伸びる。その隔壁の下端は、底壁まで伸張することなく、底壁との間に間隙を設け、この間隙は該接触装置の一端部側から他端部側へ液体が移動する通過用の開口とする。液体通過用の開口は前記のように形成するのが好ましいが、隔壁の下端を底壁に接合し、隔壁下部を切除して開口を形成してもよい。
【0041】
本発明の連続式多段気液接触装置は、揮発性有機化合物で汚染された水の浄化、オゾン含有気体の溶存及び溶存酸素補給等の前記した各種の使用態様に対応するものであるから、それら全てに対応するためには、前記したとおり隣接する気液接触室間での気体の移動を制限することが必要となる。しかしながら、大気による溶存酸素補給の場合には、気液分離後の気体は各気液接触室で大気中に放出されるものであり、隣接する気液接触室間での気体の移動を制限することも必要ないから、隔壁には、気液接触室における気体空間部分では、気体の移動を許容する欠落部分あるいは開口が存在しても差し支えはない。
【0042】
本発明の連続式多段気液接触装置における溢流壁は、液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液接触を行う円筒状気液噴流発生装置を備えた各気液接触室において、円滑な気液接触が行えるように所定量の液体を維持するためのものであり、その上端は、円筒状気液噴流発生装置の上端より上まで延びているのが好ましい。その上端より溢流した液体は、図2に図示するように溢流壁と隔壁との間に存在する間隙に流下し、更に隔壁に形成された開口を通過して、隣室の気液接触室に流入する。
【0043】
円筒状気液噴流発生装置の各気液接触室内における水平方向における配置位置については、溢流壁と隔壁との間に存在する間隙の部分を除いた部分(気液接触室本体)の水平断面において中央に配置するのが望ましく、それにより流体噴出開口から各隔壁までの距離をより均等化しうることになる。さらに、垂直方向における配置位置については、前記したとおり該発生装置の上端が溢流壁の上端より下にあれば十分な気液接触性能が得られるので、特に溢流壁を高くして、水の滞留量を多くする必要もないので装置小型化には有益である。
【0044】
また、各気液接触室の形状については、気液接触室本体の水平断面が正方形又は長方形がよく、特に正方形が好ましい。このようにすることにより各隔壁までの距離をより一層均等化することができる。その結果、気泡の各隔壁への到達を回避するのに必要とする距離が均等化し、そのために必要とする距離を短縮することができ、無駄な空間の発生を回避することができる。なお、本発明において気液接触室の内寸とは、気液接触室本体の水平断面における距離が最も短い部分の該本体の内側寸法を意味する。
【0045】
この図示された連続式多段気液接触装置においては、溢流壁及び隔壁は液体の移動方向上流側から溢流壁、隔壁の順で配置され、処理液は溢流壁から隔壁との間の間隙に流下して、隔壁の開口を通過し、隣室の気液接触室に移動するようにされており、このようにするのが各気液接触室内の処理液の液面を同一に維持することが容易な点で好ましいが、逆に、液体の移動方向上流側から隔壁、溢流壁の順に配置し、処理液は隔壁の開口を先に通過し、その後溢流壁から溢流して隣室の気液接触室に液体が移動するようにしてもよい。
【0046】
また、図2に図示された連続式多段気液接触装置においては、液体移送管に接続する吸引口11は、溢流壁と隔壁との間の間隙に設置されており、このようにすることにより、各気液接触室に隣りの気液接触室から溢流壁から流入する処理液が、既にそこに滞留する処理液と混合することなく直ちに円筒状気液噴流発生装置に導入することができる点で好ましいが、吸引口11の設置位置は、前記間隙内に限られるわけではなく、それ以外の気液接触室本室内に設置してもよいことは勿論である。
【0047】
さらに、同図においては、隔壁と同一形状の壁が気液接触室間ではなく、該気液接触装置の一端部側の第1気液接触室21の液体供給配管8が接続された側壁と対面する該側壁に近い位置にも設置されており、このようにすることは液体供給配管8から導入された新規な処理液が該気液接触室に滞留する処理液と混合することなく直ちに第1の気液接触室21の円筒状気液噴流発生装置101に導入することができる点で好ましいが、設置しなくてもよいことは勿論である。
【0048】
混合流体噴出開口の出口16bと、ポンプに接続する液体移送管の吸引口11との垂直間距離(該出口と該吸引口間の該出口面に直交する距離)Lは、該開口から噴出した気体が液体取出口11からポンプ中への混入を回避できるだけの長さがあることが好ましい。また、この距離Lは連続式多段気液接触装置を小型化するためには、短くするのが好ましい。そのための特殊な形状を有する流体噴出開口を持つ好ましい円筒状気液噴流発生装置を本発明者は前記したとおり既に開発しており、それは図3に図示するとおりである。
【0049】
その好ましい円筒状気液噴流発生装置の端板に設けられた混合流体噴出開口16の形状は、図3に図示するとおり流体移動方向中央の断面形状が、その出口側において少なくとも流体の流入側から流出側に向かって次第に拡大する連続する曲線とする特殊な形状であり、この形状を採用することにより、該噴出開口16より噴出した気泡の下側方向への到達距離を短くすることができる。そのため該開口16の出口と前記吸引口間の該出口面に直交する距離Lを前記円筒状気液噴流発生装置の直径の2.5倍以下とすることができるものであり、このように短くしても気泡が循環ポンプ内に進入することもなく、ポンプが支障なく運転できるものである。
【0050】
この図3では、混合流体噴出開口16の形状は、気液混合流体の移動方向における中央部が最も狭く、そこを中心として最内部16aと最外部(出口)16bが最も広くなっているが、本発明の連続式多段気液接触装置においては、円筒状気液噴流発生装置の流体噴出開口16の形状は、図4に図示する別の態様を採用しても同様の効果が得られる。すなわち、この場合にも、前記開口は、流体移動方向中央の断面形状が、入口が最も狭く、その入口から出口に向かって次第に拡大する連続した曲線とする形状となっている。
【0051】
また、本発明において円筒状気液噴流発生装置の流体噴出開口に前記形状を採用した場合には、前記したとおり気液混合流体は該噴出開口から横方向に噴出するが、それにもかかわらずその横方向への移動距離は以外に短いものであり、気液の分離性が優れていることも判明した。すなわち、気液混合流体は、気液噴流発生装置10の内径の2倍以下の距離を移動する前に、気泡が液体と分離することがわかった。
【0052】
さらに、好ましい場合には1.25倍以下の距離を移動する前に分離することもわかった。前記したとおりであるから、本発明では、円筒状気液噴流発生装置の流体噴出開口に、前記した特殊な形状を採用することにより、装置全体を一層小型化することができ、前記気液接触室の内寸は、円筒状気液噴流発生装置の内径の4倍以下とすることができ、好ましくは2.5倍以下にすることができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の気液接触装置は、一つの閉鎖空間を、隔壁とにより区画し複数の気液接触室を形成して、連続多段式で気液接触が行えるようにしたものであり、その結果、連続処理の特徴である(1)バッチ処理の場合のように処理対象液を一次的に貯留する設備が不要、(2)バッチ処理に比し、1設備で簡便に多量の気液接触処理が可能、(3)処理対象液の性状変動に対しても、バッチ式に比し処理運転条件の管理が簡便等のメリットがある。
【0054】
また、それに加えて、一つの空間を、複数に区画したものであるから、全体構造が合理的かつ簡単であり、そのため装置全体が小型化され、その結果設置面積が低減したものとなる優れた作用効果を奏するものである。
さらに、前記円筒状気液噴流発生装置の混合流体噴出開口16の形状を、図3及び図4に図示するように、流体移動方向中央の断面形状が、その出口側において少なくとも流体の流入側から流出側に向かって次第に拡大する連続する曲線とする特殊な形状とすることにより、気泡が循環ポンプ内に進入するようなこともなく気液接触室をより小型化することができるので、本発明の連続式多段気液接触処理をより一層小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体下降旋回流で発生させた負圧を利用して気体を吸引する円筒状気液噴流発生装置を具備するバッチ式気液接触装置を示す。
【図2】本発明の連続式多段気液接触処理装置の好適な実施の1態様を示す。
【図3】本発明に使用する円筒状気液噴流発生装置の1態様を示す。
【図4】本発明に使用する円筒状気液噴流発生装置の混合流体噴出開口の別の態様を示す。
【付号の説明】
1 連続式多段気液接触装置
2 気液接触室
3 側壁
4 頂壁
5 底壁
6 隔壁
7 溢流壁
8 液体供給配管
9 液体取出配管
10 円筒状気液噴流発生装置
11 吸引口
12 液体移送管
13 ポンプ
14 液体流入口
15 気体吸引管
16 混合流体噴出開口
16b 出口
18 排気口
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリクロロエチレン等の揮発性有機化合物で汚染された水の浄化及び溶存酸素補給等に好適な、液体の旋回流を形成し、その旋回流により負圧を発生させ、その負圧により気液混合流体を噴出する気液噴流発生装置を用いた、気液接触装置に関する。より詳しくは、揮発性有機化合物で汚染された水の浄化及び溶存酸素補給等に好適な、液体の旋回流を形成し、その旋回流により負圧を発生させ、その負圧により気液混合流体を噴出する気液噴流発生装置を用いた、連続式多段気液接触装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川や湖沼の水浄化、あるいは生活排水等の汚水の浄化を行う方法として古くから被処理液中の好気性微生物による生物酸化作用を利用することが行われており、その微生物の活性化のために被処理水中に空気の微細気泡を送り込み気液接触を行うことも従前から行われている。そのための微細気泡発生装置には、細孔を有する散気管、多孔板、あるいは回転翼等の各種構造のものが従前から利用されており、これによって気液接触が行われている。
【0003】
その散気管あるいは多孔板を用いて気泡を発生させる装置を用いた気液接触では、気体は細孔を通過して水中に供給されるが、使用するにしたがって細孔は次第に狭くなり、ついには閉塞が起こり、気泡サイズのバラツキあるいは気泡発生率の低下が発生し、気泡の供給が不安定になり、また気泡発生量に制約もある。さらに、攪拌作用が不充分であることから、限られた容量の処理液に対しては有効であるものの湖沼等の大容量の液処理は不可能である。
【0004】
また、回転翼等を用いる機械的方法による気泡発生装置を用いた気液接触は、回転する翼により導入された気体を細分化して気泡発生するものであり、消費エネルギーが大きく、気泡サイズのバラツキも大きいという欠点がある。本発明者らは、これら問題点を解消すべく、サイズ1mm以下の気泡を大量に発生できること、並びに該気泡と処理液との混和率及び接触効率を向上させることなどを目的として、液体の下降する旋回流を形成し、その旋回流により発生した負圧を利用するエアレーターと通称する気液噴流発生装置を提案した(特開平10−230150号公報)。
【0005】
この気液噴流発生装置は、図3に図示するように、両端部に端板を有する円筒状の旋回流発生容器と、その円筒状部の接線方向に設けた液体流入口と、一側端板の中央部に設けられ、他側端板に設けられた流体噴出開口に向かって延びる気体吸引管と、他側端板の中央部に設けられた混合流体噴出開口とを具備するものであり、該液体流入口に水を供給して気体吸引管から空気を吸引し、水と吸引された空気とを前記流体噴出開口から水中に噴出することにより小さいサイズの気泡を大量に発生させることができる。
【0006】
また、この気液噴流発生装置は、気体を吸引する駆動力は旋回しながら下降する液体であり、この下降する液体により発生する負圧により気体が吸引されるものであるから、この気液噴流発生装置には、駆動用の装置は特段必要はなく、しかも容器と配管のみであるから、構造は簡単でかつ小型にできる。さらに、発生した気泡は、微細で均一であり、大量に発生させて水の浄化に使用した場合には、浄化性能を著しく向上させることができる。
【0007】
本発明者らが提案したエアレーターと称する気液噴流発生装置は、前記したとおり優れた特性を備えており、この特性をさらに向上させるべく、その後もこの装置に関し鋭意研究開発に努めており、その結果、流体噴出開口を図3に図示するところの特殊な形状とすることによりエネルギー効率及び気泡発生効率に優れた気液噴流発生装置の開発に成功し既に特許出願した(特願2002−86087)。
【0008】
この新たに開発した特殊形状の混合流体噴出開口を持つ気液噴流発生装置に関し各種テストを行ったところ、発生した混合流体は、斜め下方向に移動し、横方向への移動は相当あるものの、垂直方向、すなわち下部への進行距離が小さいことが判明した。さらに、発生した混合流体における気泡と液体との分離性が極めて優れていることも判明した。
【0009】
本発明者は、この知見に基づいて、液体収納容器中の液体を取り出し、気液噴流発生装置の液体流入口に循環する液体移送管の取入口、すなわち液体収納容器の液体取出口を流体噴出開口から十分に離間することなく、すなわち、両者を比較的近接設置した気液接触装置を開発し特許出願した(特願2003−172519)。この接触装置は、気泡が循環ポンプ内に進入することもなく、支障なく運転でき、その結果、装置が小型化でき、かつ設置面積を低減できることから、コスト低減性にも優れたものとすることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者がこれまでに開発した気液噴流発生装置を具備する気液接触装置は、それを使用して水の浄化及び溶存酸素補給等を行ない、その所期の目的を達成するには、液体の旋回流を形成し、その旋回流により負圧を発生させることを繰り返し行なうことが必要であり、その接触装置の構造上及び機能上、貯留容器の不必要あるいは多量処理が可能等の各種のメリットがある連続処理を採用することは無理であり、該気液接触処理はバッチ処理とならざるを得なかった。
そのようなことから、本発明者は、連続処理を可能とする気液噴流発生装置を具備する気液接触装置の開発可能性を検討することとし、連続処理のメリットをあらためて検討した。
【0011】
その結果、この連続処理化は、以下のようなメリットをもたらすことがわかった。
(1)処理液体を気液接触装置内に連続的に供給することができるので、バッチ処理のように次バッチまでの間に発生する処理対象液を一次的に貯留する設備が不要となる。
(2)連続式気液接触処理は、バッチ式に比し、1設備で簡便に多量の気液接触処理が可能となる。
(3)処理対象液の性状に変動が生じても、バッチ式に比し処理運転条件の管理を簡便、適切に行なうことができる。
(4)合理的な構造の連続式気液接触装置を開発することにより、全体で同処理能力とした複数のバッチ式気液接触装置を利用する場合よりも、小型化でき、その結果設置面積も低減できる気液接触装置とすることができる。
【0012】
そこで、本発明者は、このようなメリットを持つ、液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出することを利用する連続式気液接触処理を積極的に活用すべく、図1に図示するようなバッチ式気液接触装置を単純に複数組み合わせて多段にして連続式に構成するのではなく、連続式気液接触処理の特性を活かしつつ、かつ簡素な構造で、全体が小型化され、その結果設置面積が低減した独特な構造を持つ連続式多段気液接触処理装置を開発すべく、鋭意研究開発に努めた。
【0013】
その結果、開発に成功したのが本発明である。したがって、本発明は、連続式気液接触処理の特性を活かしつつ、かつ簡素な構造で、全体が小型化され、その結果設置面積が低減した独特な構造を持つ、液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する円筒状気液噴流発生装置を具備する連続式多段気液接触処理装置を提供することを解決すべき課題、すなわち目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決した連続式多段気液接触装置を提供するものであり、その気液接触装置は、側壁、頂壁及び底壁で形成される閉鎖空間と、前記空間を複数の気液接触室に区分し、下部に液体が通過する開口を有する前記空間内で上方から下方に延びる隔壁と、底壁から上方に向かって伸び隔壁との間に液体が通過する間隙がある溢流壁と、液体流入口、混合流体噴出開口及び気体吸引管を備えた液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する前記気液接触室内に配置された円筒状気液噴流発生装置と、前記気液接触室において前記流体噴出開口より下部に設置した液体取出口と前記液体流入口とをポンプを介して接続する液体移送管と、前記閉鎖空間一端の気液接触室に接続する液体供給配管と、前記閉鎖空間他端の気液接触室に接続する液体取出配管と、前記気液接触室の気体空間に連通する排気口とを具備することを特徴とすることを特徴とするものである。
【0015】
そして、本発明の連続式多段気液接触装置では、側壁、頂壁及び底壁で形成される閉鎖空間を上方から底部に向かって伸び、下部に開口を有する隔壁により、前記閉鎖空間内を区切って複数の気液接触室を形成し、各気液接触室には所定量の処理液を保持するために溢流壁が設けられており、処理液は各気液接触室に備えられている液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する円筒状気液噴流発生装置により気液接触された後、該溢流壁を流下して隣室に移動するものである。
【0016】
したがって、本発明の連続式多段気液接触装置では、各気液接触室が備える液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する円筒状気液噴流発生装置により気液接触された液体は、溢流壁を流下するだけで、隣の気液接触室に移動できる構造となっており、その結果、本発明は、簡素な構造で、全体が小型化でき、かつ設置面積が低減できる独特な構造を持つ連続式多段気液接触装置を提供する優れたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明するが、この図面は好適な実施の形態を示すものであって、本発明はこれによって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって特定されるものであることはいうまでもない。
【0018】
本発明の好適な連続式多段気気液接触装置1の基本的な構造は、図2の斜視図において図示されたとおりの構造を有するものであり、それには、側壁3、頂壁4及び底壁5で形成される閉鎖空間がある。その閉鎖空間は、頂壁4から底壁5に向かって伸び、底壁5との間に液体が通過する隙間を有する隔壁6によって複数の気液接触室2に区画される。図2の連続式多段気気液接触装置1では、4個の気液接触室21〜24が存在する。
【0019】
その各気液接触室2の基本的構造は、図1に図示するバッチ式気液接触装置と同様の構造となっており、その気液接触室2内の液体は、吸引口11から吸引されポンプ13を介して円筒状気液噴流発生装置10の液体流入口14に循環供給される。該噴流発生装置10内に供給された処理液体は、液体下降旋回流を形成し、その形成により発生した負圧を利用して気体吸引管15から、空気等の気体を吸引し、液体と気体が混合流体を形成して噴出開口から気液接触室2内の液体中に噴射される。
【0020】
本発明の連続式多段気気液接触装置の各気液接触室2は、基本的には前記した図1に図示するバッチ式気液接触装置の気液接触室と同様の構造で、同様の機能を有するものとなっている。また、気液接触室21〜24には、更に底壁5から上方に向かって伸び、隔壁6との間に液体が通過する間隙が存在する溢流壁7が設置され、所定量の処理液体が保持できる構造となっている。
【0021】
したがって、各気液接触室21〜24には、液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する円筒状気液噴流発生装置101〜104が設置されており、この円筒状気液噴流発生装置10に処理液体が供給され、その供給により吸引された空気等の気体と共に該液体が気液接触室に再度戻る循環を繰り返すことにより活発な気液接触が行なわれる。
【0022】
すなわち、各気液接触室内の処理液体は、該接触室2に設けられる液体移送管12の吸引口11から吸引されポンプ13を介して円筒状気液噴流発生装置10の液体流入口14に循環供給される。該噴流発生装置10内に供給された処理液体は、液体下降旋回流を形成し、その形成により発生した負圧を利用して気液接触室外に突出する気体吸引管15から、空気等の気体を吸引し、液体と気体が混合流体を形成して、混合流体を噴出開口から、各気液接触室内に噴出される。
【0023】
その連続式多段気気液接触装置1に対する処理液の導入は、該接触装置の一端部にある第1の気液接触室21に付設された液体供給配管8により行なわれる。この液体供給配管8より導入された処理液は、吸引口11からポンプ13により液体移送管12に吸引され円筒状気液噴流発生装置101の液体流入口14に供給される。該噴流発生装置101内に供給された処理液は、液体下降旋回流を形成し、その形成により発生した負圧を利用して気液接触室外に連通する気体吸引管151から、空気等の気体を吸引し、液体と気体が混合流体を形成し、流体噴出開口16より気液接触室21内に噴出する。
【0024】
その噴出した混合流体は、気液接触室21内で、噴出後直ちに気液分離し、気体は排気口181から気液接触室外に排出される。他方、気液分離後の液体は、液体供給配管8により新たに連続的に導入される処理液と共に吸引口11から吸引されポンプ13を介して円筒状気液噴流発生装置101に循環供給され、再度気体を吸引し、液体と気体が混合流体を形成し、流体噴出開口16より気液接触室21内に噴出する。
【0025】
その混合流体は、噴出後直ちに気液分離し、気液分離後の処理液の一部は、第1の気液接触室21に新たな処理液が連続して供給されるので、溢流壁7の頂部から、隔壁6と溢流壁7との間に存在する間隙に流下し、更に隔壁に形成された開口を通過して、隣りの第2の気液接触室22に流入し、この気液接触室においても第1の気液接触室21と同様に気液接触が行なわれる。
【0026】
すなわち、第2の気液接触室22においても、流入した処理液は、その吸引口11からポンプ13により液体移送管12に吸引されて円筒状気液噴流発生装置102の液体流入口14に供給され、液体下降旋回流を形成し、発生した負圧を利用して気体吸引管152から気体を吸引し、液体と気体が混合流体を形成し、流体噴出開口16より気液接触室22内に噴出する。
【0027】
その噴出した混合流体は、第2の気液接触室22内でも、噴出後直ちに気液分離し、気体は排気口182から気液接触室外に排出される。他方、気液分離後の液体は、大部分は円筒状気液噴流発生装置102に循環供給され、再度気体を吸引し、形成した混合流体は気液接触室22内に噴出する。処理液の一部は、第1の気液接触室の場合と同様に溢流壁7から流下し、隣りの第3の気液接触室23に流入する。
【0028】
この第3気液接触室23においても第1及び2の気液接触室21及び22と同様に繰り返し気液接触が行なわれ、混合流体は気液接触室23内に噴出し、噴出後直ちに気液分離し、気体は排気口183から気液接触室外に排出され、処理液の一部は、更に第4の気液接触室24に移動し、ここにおいても第1ないし3の気液接触室と同様に気液接触が繰り返し行なわれる。
【0029】
その気液接触で形成された混合流体は、第1ないし第3の気液接触室21〜23の場合と同様に流体噴出開口16から噴出後直ちに気液分離し、気体は排気口184から気液接触室外に排出され、処理液の一部は、溢流堰7から流下した後に、連続式多段気液接触装置1の他端部にある第4の気液接触室24に付設された液体取出配管9により該接触装置外に取り出される。
【0030】
前記のとおりであるから、本発明の図2に図示された連続式多段気液接触装置1では、処理液は、該気液接触装置1の一端部から導入され、他端部から取り出され、その間に円筒状気液噴流発生装置10内で、液体下降旋回流を形成し、負圧を発生させて気体吸引管15から気体を吸引することにより、混合流体を形成し、気液接触を行なうものであり、該混合流体は、気液接触室内に噴出後直ちに気液分離し、気体は排気口18から排出される。
【0031】
本発明の連続式多段気液接触装置は、揮発性有機化合物で汚染された水の浄化及び溶存酸素補給等の各種気液接触処理に利用でき、図2に図示された連続式多段気液接触装置は、大気を吸引し、処理液中に溶存酸素を補給させる曝気の際には、特に好適に利用できる。すなわち、この図示された装置では、気液接触処理後の気体は、浄化処理されることなく各気液接触室から大気中に放出されることになるが、放出される気体は未溶存の空気であるから、該放出により大気汚染をもたらすこともないので、この装置は溶存酸素補給には好適に利用できる。
【0032】
しかしながら、この図示された装置を液中に溶存された有害物質であるトリクロロエチレン等の揮発性有機化合物の除去あるいはオゾン等の有価気体の溶存に使用する場合には、気液接触後の気体の放出により大気汚染あるいは有価気体の損失をもたらすことになる。したがって、そのためには、該放出を回避する改善が必要ということになる。
【0033】
本発明の連続式多段気液接触装置においては、このような場合にも対応できる工夫がなされており、その工夫を有する連続式多段気液接触装置は、以下のとおりである。例えば、トリクロロエチレン等の揮発性有機化合物を溶存する水等の液中から、該有機化合物を曝気により除去する際には、各気液接触室21〜24に付設された各排気口181〜184を大気に開放することなく、活性炭等の吸着材を充填した吸着塔等に接続し、曝気により空気と共に放出された揮発性有機化合物を吸着塔等で分離除去するのがよい。
【0034】
また、オゾン等の有価気体を水等の液体に溶存する場合には、図2の連続式多段気液接触装置の各気液接触室21〜24において、そこに付設された各気体吸引管151〜154よりオゾン発生装置を経由したオゾン含有ガスを吸引し、気液接触後、同じくそこに付設された各排気口181〜184から大気中に放出した場合には、各気液接触室21〜24において液中に溶存されなかったオゾンが大気中に放出されることになる。そのため、高価なオゾンが浪費されることになるし、また人体に有害な気体が放出されることにもなる。
【0035】
そのようなことで、本発明者は、連続式多段気液接触装置にオゾン等の有価気体を無駄に放出することなく、可能な限り液中に溶存することができる工夫も行った。その工夫では、該気液接触装置内において液体と気体とは向流で流すようにした。すなわち、液体は、液体供給配管8から気液接触室21に導入され、そこから気液接触室24に向かって流れ、オゾン含有気体は気体吸引管154から気液接触室24に吸引され、気液接触室21に向かって流れる。
【0036】
特に、前記工夫をした連続式多段気液接触装置内におけるオゾン含有気体等の有価気体の挙動について、更に言及するに、
オゾン含有気体は、気体吸引管154に接続されたオゾン発生装置から気液接触室24に設置された円筒状気液噴流発生装置104に吸引されて、該接触室24内に気液混合流体として噴出される。噴出後直ちに気液分離し、分離後のオゾン含有気体は排気口184から放出されることになる。
【0037】
その際には、該排気口184と、気液接触室23に設置された円筒状気液噴流発生装置103の気体吸引管153との間に配管を接続し、それによりオゾン含有気体を大気中に放出することなく、該気体吸引管153により、気液接触室23に設置された円筒状気液噴流発生装置103に吸引し、該接触室23内に気液混合流体として噴出する。
【0038】
この気液接触室23においても、噴出後直ちに気液分離し分離後のオゾン含有気体は、気液接触室24の場合と同様に、排気口183と気体吸引管152との間を接続する配管を介して、円筒状気液噴流発生装置10に吸引し、該接触室22内に気液混合流体として噴出する。この気液接触室22においても、放出後直ちに気液分離し分離後のオゾン含有気体は、同様に排気口182から吸引管151に吸引し、気液接触室21内に気液混合流体として噴出する。
【0039】
この気液接触室21においても、気液混合流体は、噴出後直ちに気液分離し、オゾン含有気体は、排気口181から外部に放出されることになる。このようにオゾン含有気体は、各気液接触室で液体と繰り返し接触することになり、オゾンを処理液中に無駄なく効率的に溶存することができる。特に液体とオゾン含有気体が向流で流れることから、最終気液接触室である第4の気液接触室24では、高濃度オゾン含有気体が、気液接触室21〜23でオゾン含有気体と接触したオゾンを相当量溶存した液体と接触することになるので、オゾンを高濃度で溶存することができ、かつそれを効率的に得ることができる。その気体中にオゾンが相当量残留する場合には、人体に悪影響を与えることにならないように吸着塔あるいはオゾン分解装置等のオゾン除去装置を付設するのが好ましい。
【0040】
本発明の連続式多段気液接触装置における隔壁は、側壁、頂壁及び底壁で形成される閉鎖空間を複数の気液接触室に区分し、隣接する気液接触室間での気体及び液体の自由な移動を制限するものであり、頂壁から底壁に向かって好ましくは垂直に伸びる。その隔壁の下端は、底壁まで伸張することなく、底壁との間に間隙を設け、この間隙は該接触装置の一端部側から他端部側へ液体が移動する通過用の開口とする。液体通過用の開口は前記のように形成するのが好ましいが、隔壁の下端を底壁に接合し、隔壁下部を切除して開口を形成してもよい。
【0041】
本発明の連続式多段気液接触装置は、揮発性有機化合物で汚染された水の浄化、オゾン含有気体の溶存及び溶存酸素補給等の前記した各種の使用態様に対応するものであるから、それら全てに対応するためには、前記したとおり隣接する気液接触室間での気体の移動を制限することが必要となる。しかしながら、大気による溶存酸素補給の場合には、気液分離後の気体は各気液接触室で大気中に放出されるものであり、隣接する気液接触室間での気体の移動を制限することも必要ないから、隔壁には、気液接触室における気体空間部分では、気体の移動を許容する欠落部分あるいは開口が存在しても差し支えはない。
【0042】
本発明の連続式多段気液接触装置における溢流壁は、液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液接触を行う円筒状気液噴流発生装置を備えた各気液接触室において、円滑な気液接触が行えるように所定量の液体を維持するためのものであり、その上端は、円筒状気液噴流発生装置の上端より上まで延びているのが好ましい。その上端より溢流した液体は、図2に図示するように溢流壁と隔壁との間に存在する間隙に流下し、更に隔壁に形成された開口を通過して、隣室の気液接触室に流入する。
【0043】
円筒状気液噴流発生装置の各気液接触室内における水平方向における配置位置については、溢流壁と隔壁との間に存在する間隙の部分を除いた部分(気液接触室本体)の水平断面において中央に配置するのが望ましく、それにより流体噴出開口から各隔壁までの距離をより均等化しうることになる。さらに、垂直方向における配置位置については、前記したとおり該発生装置の上端が溢流壁の上端より下にあれば十分な気液接触性能が得られるので、特に溢流壁を高くして、水の滞留量を多くする必要もないので装置小型化には有益である。
【0044】
また、各気液接触室の形状については、気液接触室本体の水平断面が正方形又は長方形がよく、特に正方形が好ましい。このようにすることにより各隔壁までの距離をより一層均等化することができる。その結果、気泡の各隔壁への到達を回避するのに必要とする距離が均等化し、そのために必要とする距離を短縮することができ、無駄な空間の発生を回避することができる。なお、本発明において気液接触室の内寸とは、気液接触室本体の水平断面における距離が最も短い部分の該本体の内側寸法を意味する。
【0045】
この図示された連続式多段気液接触装置においては、溢流壁及び隔壁は液体の移動方向上流側から溢流壁、隔壁の順で配置され、処理液は溢流壁から隔壁との間の間隙に流下して、隔壁の開口を通過し、隣室の気液接触室に移動するようにされており、このようにするのが各気液接触室内の処理液の液面を同一に維持することが容易な点で好ましいが、逆に、液体の移動方向上流側から隔壁、溢流壁の順に配置し、処理液は隔壁の開口を先に通過し、その後溢流壁から溢流して隣室の気液接触室に液体が移動するようにしてもよい。
【0046】
また、図2に図示された連続式多段気液接触装置においては、液体移送管に接続する吸引口11は、溢流壁と隔壁との間の間隙に設置されており、このようにすることにより、各気液接触室に隣りの気液接触室から溢流壁から流入する処理液が、既にそこに滞留する処理液と混合することなく直ちに円筒状気液噴流発生装置に導入することができる点で好ましいが、吸引口11の設置位置は、前記間隙内に限られるわけではなく、それ以外の気液接触室本室内に設置してもよいことは勿論である。
【0047】
さらに、同図においては、隔壁と同一形状の壁が気液接触室間ではなく、該気液接触装置の一端部側の第1気液接触室21の液体供給配管8が接続された側壁と対面する該側壁に近い位置にも設置されており、このようにすることは液体供給配管8から導入された新規な処理液が該気液接触室に滞留する処理液と混合することなく直ちに第1の気液接触室21の円筒状気液噴流発生装置101に導入することができる点で好ましいが、設置しなくてもよいことは勿論である。
【0048】
混合流体噴出開口の出口16bと、ポンプに接続する液体移送管の吸引口11との垂直間距離(該出口と該吸引口間の該出口面に直交する距離)Lは、該開口から噴出した気体が液体取出口11からポンプ中への混入を回避できるだけの長さがあることが好ましい。また、この距離Lは連続式多段気液接触装置を小型化するためには、短くするのが好ましい。そのための特殊な形状を有する流体噴出開口を持つ好ましい円筒状気液噴流発生装置を本発明者は前記したとおり既に開発しており、それは図3に図示するとおりである。
【0049】
その好ましい円筒状気液噴流発生装置の端板に設けられた混合流体噴出開口16の形状は、図3に図示するとおり流体移動方向中央の断面形状が、その出口側において少なくとも流体の流入側から流出側に向かって次第に拡大する連続する曲線とする特殊な形状であり、この形状を採用することにより、該噴出開口16より噴出した気泡の下側方向への到達距離を短くすることができる。そのため該開口16の出口と前記吸引口間の該出口面に直交する距離Lを前記円筒状気液噴流発生装置の直径の2.5倍以下とすることができるものであり、このように短くしても気泡が循環ポンプ内に進入することもなく、ポンプが支障なく運転できるものである。
【0050】
この図3では、混合流体噴出開口16の形状は、気液混合流体の移動方向における中央部が最も狭く、そこを中心として最内部16aと最外部(出口)16bが最も広くなっているが、本発明の連続式多段気液接触装置においては、円筒状気液噴流発生装置の流体噴出開口16の形状は、図4に図示する別の態様を採用しても同様の効果が得られる。すなわち、この場合にも、前記開口は、流体移動方向中央の断面形状が、入口が最も狭く、その入口から出口に向かって次第に拡大する連続した曲線とする形状となっている。
【0051】
また、本発明において円筒状気液噴流発生装置の流体噴出開口に前記形状を採用した場合には、前記したとおり気液混合流体は該噴出開口から横方向に噴出するが、それにもかかわらずその横方向への移動距離は以外に短いものであり、気液の分離性が優れていることも判明した。すなわち、気液混合流体は、気液噴流発生装置10の内径の2倍以下の距離を移動する前に、気泡が液体と分離することがわかった。
【0052】
さらに、好ましい場合には1.25倍以下の距離を移動する前に分離することもわかった。前記したとおりであるから、本発明では、円筒状気液噴流発生装置の流体噴出開口に、前記した特殊な形状を採用することにより、装置全体を一層小型化することができ、前記気液接触室の内寸は、円筒状気液噴流発生装置の内径の4倍以下とすることができ、好ましくは2.5倍以下にすることができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の気液接触装置は、一つの閉鎖空間を、隔壁とにより区画し複数の気液接触室を形成して、連続多段式で気液接触が行えるようにしたものであり、その結果、連続処理の特徴である(1)バッチ処理の場合のように処理対象液を一次的に貯留する設備が不要、(2)バッチ処理に比し、1設備で簡便に多量の気液接触処理が可能、(3)処理対象液の性状変動に対しても、バッチ式に比し処理運転条件の管理が簡便等のメリットがある。
【0054】
また、それに加えて、一つの空間を、複数に区画したものであるから、全体構造が合理的かつ簡単であり、そのため装置全体が小型化され、その結果設置面積が低減したものとなる優れた作用効果を奏するものである。
さらに、前記円筒状気液噴流発生装置の混合流体噴出開口16の形状を、図3及び図4に図示するように、流体移動方向中央の断面形状が、その出口側において少なくとも流体の流入側から流出側に向かって次第に拡大する連続する曲線とする特殊な形状とすることにより、気泡が循環ポンプ内に進入するようなこともなく気液接触室をより小型化することができるので、本発明の連続式多段気液接触処理をより一層小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体下降旋回流で発生させた負圧を利用して気体を吸引する円筒状気液噴流発生装置を具備するバッチ式気液接触装置を示す。
【図2】本発明の連続式多段気液接触処理装置の好適な実施の1態様を示す。
【図3】本発明に使用する円筒状気液噴流発生装置の1態様を示す。
【図4】本発明に使用する円筒状気液噴流発生装置の混合流体噴出開口の別の態様を示す。
【付号の説明】
1 連続式多段気液接触装置
2 気液接触室
3 側壁
4 頂壁
5 底壁
6 隔壁
7 溢流壁
8 液体供給配管
9 液体取出配管
10 円筒状気液噴流発生装置
11 吸引口
12 液体移送管
13 ポンプ
14 液体流入口
15 気体吸引管
16 混合流体噴出開口
16b 出口
18 排気口
Claims (8)
- 側壁、頂壁及び底壁で形成される閉鎖空間と、前記閉鎖空間を複数の気液接触室に区分し、下部に液体が通過する開口を有する前記閉鎖空間内で上方から下方に延びる隔壁と、底壁から上方に向かって伸び隔壁との間に液体が通過する間隙がある溢流壁と、液体流入口、混合流体噴出開口及び気体吸引管を備えた液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する前記気液接触室内に配置された円筒状気液噴流発生装置と、前記気液接触室において前記流体噴出開口より下部に設置した液体取出口と前記液体流入口とをポンプを介して接続する液体移送管と、前記閉鎖空間一端の気液接触室に接続する液体供給配管と、前記閉鎖空間他端の気液接触室に接続する液体取出配管と、前記気液接触室の気体空間に連通する排気口とを具備することを特徴とする連続式多段気液接触装置。
- 前記円筒状気液噴流発生装置が、両端部に端板を有する円筒状の旋回流発生容器と、その円筒状部の接線方向に設けた液体流入口と、一側端板の中央部に設けられ、他側端板に設けられた混合流体噴出開口に向かって延びる気体吸引管と、他側端板の中央部に設けられた混合流体噴出開口とを有するものである請求項1に記載の気液接触装置。
- 前記流体噴出開口は、流体の移動方向における端板の中央部が最も狭く、端板の旋回流発生容器内部側及び外部側が広くなっており、かつ流体移動方向中央の断面形状が前記最狭部から最内部及び最外部に向かって次第に拡大する連続する曲線となっている請求項2に記載の気液接触装置。
- 前記流体噴出開口は、端板における発生容器最内部が最も狭くて、最外部が最も広くなっており、かつ流体移動方向中央の断面形状が該最内部から該最外部に向かって次第に拡大する連続する曲線となっている請求項2に記載の気液接触装置。
- 前記気液接触室の内寸が、円筒状気液噴流発生装置の内径の4倍以下である請求項3又は4に記載の気液接触装置。
- 前記流体噴出開口出口と前記吸引口間の該出口面に直交する距離Lを前記円筒状気液噴流発生装置の直径の2.5倍以下である請求項3、4又は5に記載の気液接触装置。
- 側壁、頂壁及び底壁で形成される閉鎖空間と、前記閉鎖空間を複数の気液接触室に区分し、下部に液体が通過する開口を有する前記閉鎖空間内で上方から下方に延びる隔壁と、底壁から上方に向かって伸び隔壁との間に液体が通過する間隙がある溢流壁と、液体流入口、混合流体噴出開口及び気体吸引管を備えた液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する前記気液接触室内に配置された円筒状気液噴流発生装置と、前記気液接触室において前記流体噴出開口より下部に設置した液体取出口と前記液体流入口とをポンプを介して接続する液体移送管と、前記閉鎖空間一端の気液接触室に接続する液体供給配管と、前記閉鎖空間他端の気液接触室に接続する液体取出配管と、前記気液接触室の気体空間に連通する排気口とを具備し、前記排気口が揮発性有機化合物除去装置に接続されたことを特徴とする揮発性有機化合物で汚染された水の浄化装置。
- 側壁、頂壁及び底壁で形成される閉鎖空間と、前記閉鎖空間を複数の気液接触室に区分し、下部に液体が通過する開口を有する前記閉鎖空間内で上方から下方に延びる隔壁と、底壁から上方に向かって伸び隔壁との間に液体が通過する間隙がある溢流壁と、液体流入口、混合流体噴出開口及び気体吸引管を備えた液体下降旋回流により発生した負圧を利用して気液混合流体を噴出する前記気液接触室内に配置された円筒状気液噴流発生装置と、前記気液接触室において前記流体噴出開口より下部に設置した液体取出口と前記液体流入口とをポンプを介して接続する液体移送管と、前記閉鎖空間一端の気液接触室に接続する液体供給配管と、前記閉鎖空間他端の気液接触室に接続する液体取出配管と、前記気液接触室の気体空間に連通する排気口とを具備し、液体を前記閉鎖空間一端の気液接触室から他端の気液接触室方向、気体を逆方向とする向流で両者を流し、液体の流れ方向において後段の気液接触室の排気口から放出された有価気体を隣接する前段の気体吸引管に流すようにしたことを特徴とする有価気体を液中に溶存する装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003196423A JP2005028289A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | 連続式多段気液接触装置 |
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JP2003196423A Pending JP2005028289A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | 連続式多段気液接触装置 |
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JP (1) | JP2005028289A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5193855B2 (ja) * | 2006-04-26 | 2013-05-08 | 哲彦 藤里 | 水質改善器及び水質改善装置 |
CN111957070A (zh) * | 2020-08-21 | 2020-11-20 | 广西壮族自治区农业科学院 | 气驱式液液萃取装置 |
JP2021098173A (ja) * | 2019-12-23 | 2021-07-01 | 株式会社ナノバブル研究所 | 微細バブル発生装置 |
CN115177963A (zh) * | 2022-07-17 | 2022-10-14 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种双分散气液传质装置 |
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2003
- 2003-07-14 JP JP2003196423A patent/JP2005028289A/ja active Pending
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