JP2005027658A - 機能性付加水と乳果オリゴ糖配合飲料水 - Google Patents

機能性付加水と乳果オリゴ糖配合飲料水 Download PDF

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Abstract

【課題】 海洋深層水と人体のミネラル成分が略同様であること、難消化性糖質がミネラル成分の人体への吸収効率を促進すること等に注目した機能性付加水と、乳果オリゴ糖配合飲料水とを開発するに至ったものである。
【解決手段】 機能性付加水は、少なくとも難消化性糖質2とミネラル含有水1とを用い、ミネラル含有水として海洋深層水(日本海固有冷水5)を多段式電気透析法により分離した濃縮塩水9とミネラル濃縮水8の少なくとも一方を用い、難消化性糖質として単糖類のオリゴ糖3を、直接使用タイプで0・1〜10%の範囲で硬度20〜2000に、濃縮タイプで2〜70%の範囲で硬度100〜20000に調製してある。
乳果オリゴ糖配合飲料水は、ミネラルウォータ4a>ミネラル濃縮水8>乳果オリゴ糖3aとから成る。
【選択図】 図1

Description

この発明は、日常生活に用いる機能性付加水に関するものであり、具体的には飲料水(乳果オリゴ糖配合飲料水)、調理用水、炊飯水等として使用するものである。
水道水を直接飲んだり、これを用いて調理や炊飯をすると、水道水中に残留する殺菌剤によってカルキ臭がすることがある。そのため、日本各地の地下水や湧水の天然水(ミネラルウォータとも称する)をペットボトルに充填して販売されるに至っており、これらを飲料、炊飯、煮出し、鍋物、お茶、コーヒーへの利用を目的としている。
天然水は、ミネラル成分を適度に含有しているので口当たりが良く、料理やお茶等に適するが、含有ミネラル成分の種類が人体を構成しているミネラル成分に比較して少なく、含有量も少ないことから、ミネラル補給効果に関してはほとんど期待できない。
近年腸内細菌の中で特にビフィズス菌が健康と密接に関わり合っていることが明らかにされ、ビフィズス菌の選択的増殖糖類として難消化性オリゴ糖の利用が高まっている。
乳果オリゴ糖(別名:ラクトスクロース)は、化学的には
Figure 2005027658
または
Figure 2005027658
と示される。乳果オリゴ糖は唾液、膵液のα―アミラーゼでは全く分解されず、胃液で1.5%、小腸粘膜酵素で1.6%の僅かな水解が認められる難消化性で、大部分が大腸に到達し、腸内のビフィズス菌を選択的に増加させる。
依って乳果オリゴ糖の摂取は腸内環境を改善し、糞便中の有機酸の増加、アンモニア、インドール等の腐敗産物の減少をもたらし、排便回数などの便通改善作用が報告されている。そのため、乳果オリゴ糖は「お腹の調子を整える」機能性食品の素材として卓上甘味料、炭酸飲料、キャンディー、ヨーグルト、ゼリー等に配合され、広く用いられている。
特開2002−272430 特開2002−218955 特開2002−17317
天然水は程度にミネラル成分を含んでいるので美味しいが、含有ミネラルの種類が人体を構成しているミネラル成分に比較して少なく、腸管からの吸収効率も多くは期待できないので、ミネラル補給効果は乏しいものであった。
そこでこの発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、人体の約80%が水分であること、近年注目されている海洋深層水のミネラル成分が、人体を構成しているミネラル成分と略同様であること、難消化性糖質がミネラル成分の人体への吸収効率を促進すること等に注目し、これらを利用した新規機能性付加水と、乳果オリゴ糖配合飲料水とを開発するに至ったものである。
上記目的を達成するために、本発明の機能性付加水は、請求項1として、少なくとも難消化性糖質とミネラル含有水とを備えている。
請求項2は、請求項1の機能性付加水において、ミネラル含有水として天然水を用いている。
請求項3は、請求項2の機能性付加水において、天然水として地下から汲み上げたミネラルウォータを用いている。
ここで機能性付加水とは、人体に有益なミネラル成分を天然水より多種類含有している水分の総てを言い、飲料水は勿論、食べ物の調理時に用いる調理水、及び御飯の炊き上げ時に使用する炊飯水等も含まれる。
ここで難消化性糖質とは、人体に及ぼす悪影響が皆無に等しく、しかも人体へのミネラル類の吸収効率を高めたり、便秘の改善効果等を有するもので、例えば難消化性デキストリン、オリゴ糖、多糖類を言う。
ここで天然水とは、陸上において湧き出す湧水、陸上において地下から汲み上げる地下水は勿論、現在市販されているミネラルウォータ等、水道水よりミネラル成分量の多いものを言う。
請求項4は、請求項1の機能性付加水において、ミネラル含有水として海面下200メートル以深の海洋深層水より分離して得た脱塩深層水を用いている。
請求項5は、請求項4記載の機能性付加水において、海洋深層水が富山湾で採集した日本海固有冷水(富山湾固有冷水とも言える)である。
請求項6は、請求項4,5記載の機能性付加水において、脱塩深層水が多段式電気透析法により分離したミネラル濃縮水と濃縮塩水との少なくとも一方である。
ここで脱塩深層水とは、海洋深層水より逆浸透膜を用いて脱塩したもの、イオン交換膜を利用して脱塩したもの、電気分解により脱塩したもの、出願人が先に発明した多段式電気透析法に依って脱塩したミネラル濃縮水等を言う。
ここで日本海固有冷水とは、富山湾の容積の約65%を占めており、特開2000−290168号、特開2000−290161号等に記載した通り、高知県の外洋深層水と若干異なり、その性状として、年間を通じて2℃以下の低温で水温変化がほとんどなく、塩分(34.0〜34.1psu)も安定しており、表層水と比較して栄養塩類が著しく豊富に含まれ、有機物や細菌類が非常に少ないという特徴が挙げられる。
ここで多段式電気透析法とは、第一処理装置にて日本海固有冷水を淡水と濃縮深層水とに分離し、第二処理装置にて濃縮深層水をミネラル濃縮水と濃縮塩水とに分離することを言い、ミネラル濃縮水には人体と略同様のミネラル成分をバランス良く、しかも豊富に含んでいる。また、濃縮塩水にもミネラル成分を含むので、これを所定の倍率で希釈して用いることもできる。
請求項7は、請求項1,2,3,4,5,6記載の機能性付加水において、難消化性糖質が単糖類を2〜20結合したオリゴ糖である。
請求項8は、請求項7記載の機能性付加水において、オリゴ糖を0・1〜10%の範囲で用いている直接使用タイプであり、そのまま飲料や炊飯等に用いる。
請求項9は、請求項7記載の機能性付加水において、オリゴ糖を2〜70%の範囲で用いている濃縮タイプであり、希釈して用いる。
請求項10は、請求項1〜9の内の1に記載の機能性付加水において、硬度を20〜2000に調製してある直接使用タイプであり、そのまま飲料や炊飯等に用いる。
請求項11は、請求項1〜9の内の1に記載の機能性付加水において、硬度を100〜20000に調製してある濃縮タイプであり、希釈して用いる。
ここでオリゴ糖とは、消化管では吸収されずに大腸に到達し、腸内細菌によって醗酵を受け、酢酸、酪酸、プロピオン酸等の短鎖脂肪酸となって吸収され、エネルギーとなる難消化性オリゴ糖を指し、キシロオリゴ糖、ラクチュロース(ミルクオリゴ糖)、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルオリゴ糖、乳果オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラフィノース等が挙げられる。
このオリゴ糖の配合量として採用し得る範囲は、500ml当たり0.5〜50gであり、配合量が0.5g未満であると効果が希薄になる傾向にあり、50gを超えると味覚を損ねる傾向にある。
直接飲料するものにあっては硬度を20〜2000とし、調理や炊飯に使用するものにあっては硬度を100〜1000とすることが望ましい。
本発明の乳果オリゴ糖配合飲料水は、請求項12として、天然水と脱塩深層水と乳果オリゴ糖とから成り、それらの含有割合が天然水>脱塩深層水>乳果オリゴ糖の関係にあるることを特徴とする。
天然水に対する脱塩深層水の混合可能範囲は1/30〜1/60、効果的な範囲は1/40〜1/50、最適な範囲は1/50前後であり、乳果オリゴ糖の採用可能範囲は500ml中、0・5〜50g、効果的な範囲は2〜10g、最適な範囲は3〜5gである。
本発明の機能性付加水は上記構造のとおりであるから、次に記載する効果を奏する。
請求項1の機能性付加水は、通常の水として料理やお茶、コーヒー等に利用できるは勿論、難消化性糖質とミネラル含有水とを用いているので、不足しがちな微量ミネラルの不足を補うという機能性が期待できる。
請求項2,3の機能性付加水は、請求項1の特徴に加えて、ミネラル含有水として天然水、特にミネラルウォータを用いているので、口当たりを柔らかくし、味覚を向上させることができる。
請求項4の機能性付加水は、請求項1の特徴に加えて、ミネラル含有水として人体を構成しているミネラル成分を略含有している脱塩深層水を用いているので、他から補給することの出来にくい微量ミネラルの補給に有益である。
請求項5の機能性付加水は、請求項4の特徴に加えて、海洋深層水として日本海固有冷水を用いているので、ミネラル成分のバランスが通年を通して一定し、しかも低温で清浄性が高い。その結果、安定な原料として有益である。
請求項6の機能性付加水は、請求項4,5の特徴に加えて、脱塩深層水として多段式電気透析法により分離したミネラル濃縮水を用いているので、即ち、機能性付加水に一定濃度の微量ミネラルが含まれていることになり、微量ミネラルの不足を補給する効果もあることが理解される。
請求項7の機能性付加水は、請求項1,2,3,4,5,6の特徴に加えて、難消化性糖質として単糖類を2〜20結合したオリゴ糖を用いているので、腸内菌叢(腸内フローラ)の改善に資する。即ち、ビフィズス菌などのいわゆる善玉菌の増加、ウエルシュ菌等いわゆる悪玉菌の減少に役立つ。
請求項8の機能性付加水は、請求項7の特徴に加えて、オリゴ糖を0.1〜10%の範囲で用いているので、直接飲料したり、そのまま炊飯や煮物等の調理にも使用し得る。
請求項9の機能性付加水は、請求項7の特徴に加えて、オリゴ糖を2〜70%の範囲で用いているので、使用目的に応じて希釈使用することができる。
請求項10の機能性付加水は、請求項1〜9の内の1の特徴に加えて、硬度を20〜2000に調製しているので、直接飲料しても物足りない感じや天然水のとげとげした感じが消え、全体として飲料時の口当たりがソフトになる。
請求項11の機能性付加水は、請求項1〜9の内の1の特徴に加えて、硬度を100〜20000に調製しているので、これを使用目的に応じて希釈使用することができる。
請求項12の乳果オリゴ糖配合飲料水は、天然水と脱塩深層水とから成る飲料に乳果オリゴ糖を一定量含有しているので、2週間の摂取において排便日数、排便回数及び排便量を有意に(p<0・05〜p<0・001)増加することが確認された。また、便性状の一部においても「便の色」、「便の形状」、「便の硬さ」及び「便のにおい」に有意(p<0・05またはp<0・01)な改善が認められた。
更に、糞便中のビフィズス菌の菌数(p<0・005)及び総嫌気性菌に対する占有率の有意(p<0・005)な増加を示した。別途女子学生20名を対象に、LS配合飲料水の摂取量を常用量から段階的に3倍量(飲料水1500ml/日)まで増量して摂取した場合でも重大な副次症状を伴うことはなく、安全性が確認された。以上の結果から、LS配合飲料水の摂取は、ビフィズス菌等の有用菌を増殖させると共に排便状況を改善し、ヒトの腸内環境改善に有意義であることが確認された。
本発明による機能性付加水の第一実施形態を図1に基づき詳細に説明すれば、少なくとも難消化性糖質2とミネラル含有水1とを有するもので、ミネラル含有1として天然水4と海面下200メートル以深の海洋深層水5とを用い、具体的には天然水4として、地下から汲み上げたミネラルウォータ4aを用い、海洋深層水5として、日本海富山湾の沖合の海面下321メートルから汲み上げた海洋深層水(以下、日本海固有冷水5とする)より分離して得た脱塩深層水5aを用いている。
脱塩深層水5aとして、出願人が先に発明した図2の如く多段式電気透析法により分離して得たミネラル濃縮水8を配合するものであり、多段式電気透析法はイオン交換膜11を用いた第一電気透析装置10にて日本海固有冷水5を濃縮深層水7と淡水6とに分離し、一価イオン選択性に優れているイオン交換膜21を用いた第二電気透析装置20にて、第一電気透析装置10で分離した濃縮深層水7を濃縮塩水9(一価の塩素イオンやナトリウムイオン等を濃縮した)とミネラル濃縮水8(一価イオンを取り除いて得た多価イオンのミネラルを主とする有用微量ミネラル)とに分離する。
本発明による機能性付加水の第二実施形態を、第一実施形態と相違する点について説明すれば、第二実施形態の機能性付加水は、難消化性糖質2として単糖類を2〜20結合したオリゴ糖3を、脱塩深層水5aとしてミネラル濃縮水7を用い、直接使用し得るよう硬度を20〜2000、望ましくは100〜500に調製し、且つオリゴ糖3の濃度として0・1〜10%、好ましい濃度として0・1〜5%、最適な濃度として0・2〜2%に調製するか、またオリゴ糖3の配合量として500ml当たり0・5〜25g、好ましい配合量として500ml当たり1〜10g、最適な配合量として500ml当たり2〜4gに調製するものであり、配合量が500ml当たり1g未満であると効果が発揮されにくくなるし、配合量が500ml当たり10gを超えると味覚を損ねる傾向にある。
本発明による機能性付加水の第三実施形態を、第二実施形態と相違する点について説明すれば、第三実施形態の機能性付加水は、希釈使用し得るよう濃縮状態にしておくもので、濃縮状態の硬度として100〜20000、望ましくは1000〜10000に調製し、濃縮状態のオリゴ糖3の濃度として2〜70%、好ましい濃度として5〜50%、最適な濃度として10〜30%に調製し、使用目的に応じて希釈して使用する。
実験例
1・試料素材
(1)ミネラルウォータ4a;出願人が製造販売する「アルプス精水」
アルプス精水に含まれるミネラル成分は、以下の通りである。
Figure 2005027658
(2)ミネラル濃縮水8;日本海固有冷水5を多段式電気透析法により分離して得たものであり、ミネラル成分は図3の通りである。
(3)オリゴ糖3;株式会社横浜国際バイオ研究所の乳果オリゴ糖(LS−90)
2・試験試料
乳果オリゴ糖3aを約0.7%の割合で配合し、硬度を250に調製した時の試料素材の成分。
Figure 2005027658
オリゴ糖3の効果として、
A,難消化性(低エネルギー性)
胃及び小腸では分解・吸収されず大腸に到達し、一部の腸内細菌によって醗酵を受け、酢酸、酪酸、プロピオン酸等の短鎖脂肪酸となって大腸粘膜より吸収され、エネルギーとなる。
B,整腸作用
胃及び小腸では吸収されず大腸に到達後、ビフィズス菌等の増殖因子となり腸内菌叢を改善し、腸内環境を整える。
C,ミネラル吸収促進
短鎖脂肪酸により腸内pHが低下し、カルシウム、鉄、マグネシウム等の吸収を促進する。
本発明の機能性付加水に必要なミネラル成分としては、海洋深層水、特に日本海固有冷水5が好適である。その理由は、日本海固有冷水5に含有するミネラル成分と、人体を構叢成しているミネラル成分とが略一致し、しかもミネラル成分のバランスも近似している点になる。また、1年間を通して1〜2℃と低温であること、その低温により微生物の発生が少なく、清浄性が高い点である。
実施例
ミネラル濃縮水8の代わりに濃縮塩水9を用いることも可能であるが、その際に天然水4を用いて希釈する。即ち、所定量の天然水4を加えることにより、本発明の機能性付加水を得ることができる。
濃縮タイプの機能性付加水を希釈する場合、水道水を用いることも可能であるが、天然水4をもちいることが好ましい。
天然水(ミネラルウォータ4a)を多くすると味覚的に軟らかくなる。
本発明による乳果オリゴ糖配合飲料水(以下、LS配合飲料水とする)を説明すると、天然水4と脱塩深層水5aと乳果オリゴ糖3aとから成り、天然水4としてミネラルウォータ4aを採用し、脱塩深層水5aとしてミネラル濃縮水8を採用し、それらの含有割合がミネラルウォータ4a>ミネラル濃縮水8>乳果オリゴ糖3aの関係にある。
具体的には、500ml容ペットボトルタイプの本発明LS配合飲料水を開発し、14日間の摂取時(乳果オリゴ糖3aとして1日当たり3.0g)の健常女子学生の便通に及ぼす影響を排便日数・回数・量、便性状(色、形状、硬さ、排便後の感覚、臭い)、腹部症状、腸内細菌叢への影響により検討した。
更に、LS配合飲料水の常用量の2倍及び3倍量摂取の安全性を泥状/水状便排泄頻度及び腹部症状に及ぼす影響を調査した。
試験方法
1.被験者
愛知県の医療大学に通う健常女子学生を対象に、事前に便通に関するアンケートを実施し、このうち本試験の主旨を理解して同意の得られた92名を被験者とした。
試験は92名の女子学生を無作為に60名、12名、20名の被験者群に分け、次の3試験を行った。
試験1にあっては、LS配合飲料水の常用量摂取試験(n=60、平均年齢20.7±0.6歳)、
試験2にあっては、糞便菌叢検索試験(n=12、20.6±0.5歳)として行い、更に試験1,2とも2群(第1群及び第2群)に分けてシングルブラインド・クロスオーバー試験を行った。
試験3(n=20、19.8±0.5歳)は、LS配合飲料水の増量試験とし、LS配合飲料水の常用量の2倍及び3倍量を7日間与え、泥状/水状便排泄頻度及び腹部症状に及ぼす影響を観察した。
尚、本試験は「ヘルシンキ宣言」の精神を遵守して、被験者には事前に試験内容を十分に説明し、文書による本試験参加の同意を得た上で、学生が所属する大学倫理委員会の承認を得て、医師の監督下で行った。
2.試験飲料水
本試験には、LS配合飲料水とプラセボ飲料水の2種類を用いた。LS配合飲料水には75%乳果オリゴ糖液(LS−90L:固形成分中に乳果オリゴ糖3aを90%以上、塩水港精糖株式会社製)を1本(500ml)中に4.45gの割合で配合した。この配合量で甘味はほとんどないことから、プラセボ飲料水には一切の物質を配合しなかった。
尚、飲料水とは、日本海(富山湾)の水深321mより採水された海洋深層水5から1価の塩(NaCl,KCl)を除去後、精製したミネラル濃縮水8にミネラルウォーター4aを配合した商品名「海のミネラル水」(出願人製品)を指す。
LS配合飲料水とプラセボ飲料水の配合組成を表1に示した。
Figure 2005027658
3.試験スケジュール
試験スケジュールを図5−1と図5−2に示した。
試験1=試験飲料水の常用量摂取試験
シングルブラインド・クロスオーバー法により実施した。1週間の前観察期を設けた後、LS配合飲料水またはプラセボ飲料水の第1摂取期間2週間、休止期間2週間、LS配合飲料水またはプラセボ飲料水の第2摂取期間2週間の日程で実施した。
試験2=糞便細菌叢検索試験
各々6名からなる第1群及び第2群の被験者に試験1と同じように行い、7週間の試験期間の内、前観察期の中頃、第1摂取期の後半及び休止期及び第2摂取期の後半の合計4回にわたり糞便サンプルの提供を受けた。
尚、試験1,2とも第1群、第2群の被験者には、摂取期にLS配合飲料水とプラセボ飲料水を互いにクロスオーバーさせた。
尚、摂取に際して、1日の摂取量のみを規定し、摂取時間や1回に摂取する量については特に指定しなかった。
試験3=LS配合飲料水の増量摂取試験
被験者20名にLS配合飲料水を1日500ml(乳果オリゴ糖3aとして3.0g、A期)、2倍量の1,000ml(乳果オリゴ糖3aとして6.0g、C期)、3倍量の1,500ml(乳果オリゴ糖3aとして9.0g、E期)と段階的に増量し、各々7日間摂取させた。
乳果オリゴ糖3aの摂取影響を取り除くためA期及びC期終了後、7日間の休止期間(B期、D期)及びE期の翌週に観察期としてF期を設けた。
尚、試験期間中、オリゴ糖、食物繊維、糖アルコール等を強化した食品及び生菌を含む食品(納豆、乳酸菌製剤等)等の摂取並びに便秘薬や抗生物質の服用は極力避けるように指導した。
4.調査項目
試験1,2,3の排便状況・便性状及び腹部症状の調査は、アンケート方式で行った。
調査項目は、排便の有無及び排便時刻、排便量、便の色、便の形状、便の臭い、便の硬さ、排便後の感覚並びに腹部症状の発生について試験期間毎に色分けされた1日1ページの調査日誌を用意し、各被験者に記入させた。
排便量は、Lサイズの鶏卵の大きさ(直径3.5cm、長さ5cm、重量約50g)を1単位(個数)として記録させた。
便の色は、黄褐色及び褐色の「黄色系」と、茶褐色及び暗褐色の「褐色系」と、黒褐色の「黒色系」の3段階。
便の形状は、「カチカチ・コロコロ状」と「バナナ状・半練状」と「泥・水状」との3段階とし、色及び形はデックカラーガイド第2版をカラー印刷した「便性状指標カード」に対応させた。
便の硬さは、「軟らかい」と「普通」と「硬い」の3段階。
便の臭いは、「気にならない」と「普通」と「臭い」の3段階。
排便後の感覚は、「スッキリした」と「普通」と「残便感がある」の3段階を評価基準とした。
腹部症状は、「良好」と「腹痛がする」と「ゴロゴロとお腹が鳴った(腹鳴)」と「お腹が張った(膨満感)」と「おならが出た」と「便意があったが排便できず痛みを感じた(しぶり腹)」と「吐気がした」と「その他」の中から選択し、「その他」の場合には具体的な症状を記入させた。
更に備考欄に試験食の摂取残量、過飲過食、薬剤の服用及び体調不良等試験に影響すると考えられる事項を簡潔に記入させた。
5.糞便菌叢の分析
糞便は、被験者が排便後直ちに、試料ができる限り均質になるように混ぜながら、採便管(直径15mm、栄研製)3本に各々約1g採取させ、30分〜2時間の内に研究室に届けさせた。その内1本は、嫌気性希釈液を無菌的に加えた後、ストマッカー80T(オルガノ社製)で攪拌(230rpm、30秒)均一化した。
腸内細菌の分離は光岡らの方法を一部変更して行い、測定対象を総嫌気性菌、ビフィズス菌(Bifidobacteria)、レシチナーゼ陽性(Clostridium sp)及び大腸菌群(Escherichia coli)とした。ビフィズス菌検出用培地として、50%(V/V)馬脱繊血加BL寒天培地、レシチナーゼ陽性の検出用培地としてNN培地(日水製薬株式会社製)、大腸菌群の検出用培地として70モカルトES培地(メルク株式会社製)を用いた。
尚、嫌気培養法はスチールウール法とアネロパックケンキシステム(三菱ガス化学株式会社)による方法(酸素吸収、炭酸ガス発生剤)を併用した。各試験期間のビフィズス菌検出用培地として用いたBL培地上に出現したコロニーからビフィズス菌を分離、純培養し、光岡の方法に準拠して鑑別性状(グラム染色性、菌形態)と50種類の糖類を含む簡易同定キット“アピ50CHL”(Bio Merieux社製)による生物学的同定を行った。
6.糞便蒸留水希釈pH及びアンモニアの測定
採便管の1本から糞便試料を0.1〜0.5gの範囲で、正確に15ml容のスクリュウ・キャップ付試験管に秤量した。糞便重量に対して15倍量の蒸留水を加え、よく攪拌溶解した後、上清にpH電極を差し込みpHメーター(704型、メトローム・シバタ株式会社製)でpHを測定した。
また、糞便溶液は3,000rpm、10分間の遠心分離後、上清をアンモニア測定試料とした。糞便中のアンモニア量は、除タンパク質試薬付アンモニア測定キット“アンモニア テストワコー”(和光純薬工業株式会社製)を用い、比色定量(HITACHI U―1,000 SpectropHotometer)を行った。
7.糞便水分量の測定
残りの糞便の入った採便管の重量を正確に直示化学天秤で測定し、−80℃で凍結後、凍結乾燥機(RFS2000B,USA製)を用いて48時間以上乾燥させ粉末化した。その後、採便管ごとの重量を測定して、糞便粉末の重量を求め、水分重量(含水%、25℃、60〜70%湿度下)を算出した。
8.統計処理
排便日数、排便回数及び排便量については、ウイルコクソン符号付順位和検定法を用いて、先ず全被験者に対し、各試験期間相互の有意差検定を行い、次いで前観察期の排便回数が週3回以下の常習性便秘者と4〜7回の便秘傾向者及び8回以上の非便秘者分けて層別解析を行った。
総嫌気性菌数に対するビフィズス菌の占有率はウイルコクソン符号付順位和検定法を用いて検定した。排便状況、便性状及び腹部症状については、試験期ごとの出現頻度をもとめ、その分布の独立性についてλ検定を行った。
ビフィズス菌菌数、pH、アンモニア量、水分量(含有%)については、ウイルコクソン符号付順位和検定法で検定を行った。すべての統計処理は5%を有意水準とし、統計ソフトとしてスタットセルを使用した。
結果
排便日数、排便回数及び排便量に及ぼす影響
LS配合飲料水の排便に対する影響を被験者全員60名について、前観察期(1週間)、プラセボ飲料水の摂取期(前・後期、各1週、計2週間)、休止期(前・後期、同)、及びLS配合飲料水の摂取期(前・後期、同)を各試験期間同士比較した。
次いで、前観察期1週間当たりの排便回数が3回以下の常習性便秘者(平均2.42回、19名)と4〜7回の便秘傾向者(平均4.97回、30名)及び8回以上の非便秘者(平均9.00回、11名)の3群の層別に分けデータを解析した。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2005027658
全被験者の1週間における平均排便日数の比較では、前観察期が4.22日、プラセボ飲料水の摂取期(前・後期)が4.22日、4.23日、休止期(前・後期)が4.15日、4.10日となり、これに対しLS配合飲料水の摂取期(前・後期)が5.02日・4.68日と何れの試験期に対しも増加を示す日数を示し、ともにp<0.05〜0.001の危険率で有意差が認められた。
一方常習性便秘者では、前観察期、プラセボ飲料水の摂取期(前・後期)、休止期(前・後期)に対して、LS配合飲料水の摂取期(前・後期)が3.74日、3.47日と増加し、全試験期間に対して有意差(p<0.05〜0.005)が認められた。
また便秘傾向者では、全試験期に対し、LS配合飲料水の摂取前期の5.20日が何れの試験期にも有意差(p<0.05〜0.005)を示したが、LS配合飲料水の摂取後期(4.77日)は、後休止期に対しのみ有意差(p<0.05)を示した。一方非便秘者では、各試験期間との間に、何れも有意差が認められなかった。
次ぎに全被験者1週間における平均排便回数の比較では、前観察期が4.90回に対し順に5.02回、5.18回、5.02回、5.12回で、LS配合飲料水の摂取期が6.17回、5.75回となり何れの試験期に対しても増加を示す排便回数を示し、ともに有意差(p<0.05〜0.001)が認められた。また常習性便秘者において、LS配合飲料水の摂取期は、4.16回、4.00回と増加し、何れの試験期間に対しても有意差(p<0.05〜0.005)が認められた。
また便秘傾向者では、LS配合飲料水の摂取前期の6.00回が何れの試験期にも有意差(p<0.05〜0.005)を認めた。一方LS配合飲料水の摂取後期は、休止期(前・後期)に対しのみ有意差(p<0.05)を認めた。一方非便秘者では、何れの試験期間との間にも有意差が認められなかった。
全被験者の1週間における平均排便量の比較では、Lサイズの鶏卵1個の大きさを目安として1単位(個)とした場合、前観察期が7.85個に対し順に8.74個、9.00個、8.54個、9.16個で、LS配合飲料水の摂取前期が10.73個となり何れの試験期に対しても排便量の増加を示し、p<0.05〜0.001の危険率で有意差が認められたが、LS配合飲料水の摂取後期(9.86個)は、プラセボ飲料水の摂取前と後休止期に対し有意差が認められなかった。
また常習性便秘者において、LS配合飲料水の摂取期(前・後期)が7.82個、7.54個と増加し、プラセボ飲料水の摂取後期以外の、何れの試験期間に対しても強い有意差(p<0.05〜0.005)が認められた。また便秘傾向者では、LS配合飲料水の摂取前期の10.92個はプラセボ飲料水の摂取前期以外の試験期に有意差(p<0.05〜0.005)を認め、LS配合飲料水の摂取後期は、前観察期に対してのみ有意差(p<0.05)を認めた。一方非便秘者では、各試験期間に対し有意差が認められなかった。
便性状に及ぼす影響
全試験期間中の総排便回数に占める便性状の出現頻度を求め、その分布の独立性についてλ検定を行った。結果を図6に示した。
便の色については、LS配合飲料水の摂取期間に良好とされる「黄褐色」便の出現率がプラセボ飲料水の摂取期及び休止期と比較して増加傾向が見られ、「黒色系」も抑制傾向に見られたが統計的に有意差は認められなかった。便の形状については、前観察期における「コロコロ・カチカチ状」の出現率が32%から19%にまで減少し、一方「バナナ・半練り状」は10%ほど増加したが有意差は認められなかった。また「泥・水状」便の出現率には、各試験期間相互に有意な変動は認められなかった。
便の硬さについては、何れも有意差は認められないが、「硬い」が前観察期よりもLS配合飲料水の摂取期に増加の傾向にあった。「便の臭い」については、前観察期の「普通」がLS配合飲料水の摂取期と前休止期に有意(p<0.05)に増加し、プラセボ飲料水の摂取後期と後休止期に対して「普通」の出現率が有意(p<0.01)に増加したが、「臭い」には変化が無かった。
排便後の感覚については、LS配合飲料水の摂取期間の「スッキリした」の出現率に他の試験期間と比較して増加傾向が見られたものの、統計的有意差は認められなかった。また「普通」及び「残便感がある」の出現率には、有意な変化は認められなかった。
腹部症状の発生
図7の如く「しぶり腹」「吐気」は前観察期に比べLS配合飲料水の摂取期間に減少が見られた。
「腹鳴」「腹痛」及び「膨満感」は散見されたが、各試験期間相互の発生頻度にも有意差は認められなかった。
4)糞便細菌叢
試験期毎に糞便サンプルから分離したビフィズス菌の平均菌数を各表3に示した。
Figure 2005027658
ビフィズス菌の菌数は前観察期で9.33±0.58(Log cfu/g)、プラセボ飲料水の摂取期が、9.29±0.56、休止期が9.25±0.58、LS配合飲料水の摂取期が10.01±0.27であった。この結果の有意差検定を行ったところ、LS配合飲料水の摂取期の菌数は前観察期、休止期、プラセボ飲料水の摂取期に対して何れにも有意(p<0.05)な増加が認められた。
一方、糞便中の総嫌気性菌数に対するビフィズス菌、レシチナーゼ陽性、大腸菌群の占有率と検出率を表4にまとめた。
Figure 2005027658
前観察期が13.20%、プラセボ飲料水の摂取期が10.16%、休止期が11.18%に対して、LS配合飲料水の摂取期が38.06%で有意(p<0.005)な増加がみられた。
一方レシチナーゼ陽性、及び大腸菌群は、極少ない菌占有率を示し、有意差は認められなかった。また、図8に各試験期間の全被験者のビフィズス菌の占有率とその平均を示した。
LS配合飲料水の摂取期は他の試験期に比べ12名全員の占有率は有意(p<0.005)に上昇し、LS配合飲料水を摂取することで糞便中のビフィズス菌の菌数及び占有率に改善効果がみられた。
5)糞便中のpH、アンモニア量及び水分量(含有%)
糞便中のpH、アンモニア量及び水分量(含有%)の測定結果を表5に示した。
Figure 2005027658
被験者12名の各試験期の各糞便サンプルのpHの比較において、プラセボ飲料水の摂取期が前観察期に対しpH上昇の有意差(p<0.005)が認められた。
糞便中のアンモニア量は湿重量1g当たり実験開始前が1.83mg、プラセボ飲料水の摂取期が1.80mg、休止期が1.39mgとなり、これに対し、LS配合飲料水の摂取期の1.30mgは減少傾向があるものの、有意差は認められなかった。
糞便中の水分量(含有%)は前観察期とプラセボ飲料水の摂取期が各々71.37%及び72.28%、LS配合飲料水の摂取期が72.98%と変化がなかった。
6)LS配合飲料水の増量摂取の排便状況への影響及び腹部症状の発生頻度
被験者20名を対象として、LS配合飲料水の増量摂取試験を行った時の各試験期間の総排便回数に対する「泥状」便及び「水状」便の排泄頻度を表6に示した。
Figure 2005027658
LS配合飲料水の常用量摂取A期、2倍量摂取C期及び3倍量摂取E期の「泥状」便排泄頻度は各々11.8%、6.6%及び7.5%と減少傾向があるものの、これらの摂取期間相互には有意差は見られず、用量依存性も認められなかった。また休止B期、休止D期においても11.7%が8.1%に減少傾向にあった。
一方「水状」便排泄頻度において休止B期と休止D期との間に有意(p<0.05)な増加が認められたが、一過性で翌週の試験には影響を与えなかった。
各試験期の延べ人数に対する腹部症状を訴えた人数の割合(発生頻度)は表7の通りであった。
Figure 2005027658
「腹痛」が常用量摂取A期31.6%に対し、2倍量摂取C期が25.0%及び3倍量摂取E期が16.9%と減少した。
「腹鳴」は平均12.5〜17.5%で散見し、「膨満感」は29.6〜43.1%内で変化したが各試験間相互に有意差は認められなかった。
「放屁」は12.0〜20.0%で散見し、「しぶり腹」は3.2〜7.7%内で変化したが、各試験間相互に有意差は認められなかった。「吐気」については、2倍量摂取C期に1.3%認められたがその他には認められなかった。
以上の知見から、LS配合飲料水の1倍量(乳果オリゴ糖3aとして3.0g/日)を2倍量(乳果オリゴ糖3aとして6.0g/日)及び3倍量(乳果オリゴ糖3aとして9.0g/日)と増量して各7日間摂取しても、3倍量摂取期の腹部症状や泥状/水状便排泄頻度にLS配合飲料水の摂取による副作用を起因させる結果は認められなかった。
考察
乳果オリゴ糖3aを単独で摂取することにより、ヒトの便通や便性状が改善されることが明らかにされ、食品素材として1日1.0〜2.0gの乳果オリゴ糖3aの摂取でビフィズス菌が増加し、更に1日2.0〜6.0gの乳果オリゴ糖3aの摂取で有意に便通の改善、糞便腐敗物質の減少及び短鎖脂肪酸の増加が起こることが報告されている。食品の形態に加工された場合でも、2.0〜5.0gの乳果オリゴ糖3aを含むクッキー、乳酸菌飲料水、粉末清涼飲料水、クロワッサン、即席みそ、錠菓等を摂取することにより排便状況が有意に改善されることが証明され特定保健用食品として利用されている。
このような知見に基づいて、成人1日当たり乳果オリゴ糖3aとして3.0gの摂取が妥当な常用量であると考えて、1日当たりの飲水を500ml摂取することにより乳果オリゴ糖3aを3.0g摂取出来るようにペットボトルタイプのLS配合飲料水(乳果オリゴ糖3aとして3.0g/500ml/本)を試作した。
更に、対照として乳果オリゴ糖3aを除いたプラセボ飲料水を調製した。本品は市場にある飲料水用ペットボトル容器と同じ形態なので、1日の必要本数(500ml/本)がはっきりと訴求できると思われる。また食事と関係なく摂取が可能であることに加え、調理の必要が無く携帯に便利なので、夏場等に過剰摂取に陥りやすいことが想定できる。
本試験では、女子学生を対象とし、LS配合飲料水の1日500ml(乳果オリゴ糖3aとして3.0g)2週間の摂取が排便日数、排便回数、排便量、便性状及び腹部症状に及ぼす影響を観察すると共に、別群の女子学生を対象にして、1日500mlの常用量から1日2倍量(1,000ml、乳果オリゴ糖3aとして6.0g)及び1日3倍量(1,500ml、乳果オリゴ糖3aとして9.0g)に増量して各々7日間摂取した場合の泥状便/水状便排泄頻度及び腹部症状発生率に及ぼす影響を観察した。
LS配合飲料水の常用量摂取による排便状況に及ぼす影響に対する評価は、各試験期に得られた排便日数、排便回数及び排便量の有意差検定から求めた。
この結果、LS配合飲料水の摂取期(前・後期)は他の試験期の排便日数、排便回数及び排便量に対し有意な増加を示す効果が認められた。
飯野ら、岩井ら及び北尾ら報告によれば、乳果オリゴ糖3aの排便状況に対する効果は、便秘傾向の強い被験者ほど顕著に発現することが報告されているが、今回の試験でも、常習性便秘者と便秘傾向者及び非便秘者に分けて層別解析を行った結果、LS配合飲料水の摂取は、1週間の排便回数が3回以下の常習性便秘者にもっとも強く排便の改善が認められた。また便秘傾向者(排便回数が週4〜7回)においてもLS配合飲料水の摂取前期に改善がみられ翌週の後期まで持続した。
依って、便秘者と便秘傾向者の両方に有意な改善効果が認められた。しかし非便秘者(排便回数が週8回以上)においては、有意な差は認められなかった。
次にLS配合飲料水の摂取は、「便の色」「便の形状」「便の硬さ」の一部の観察項目に有意な便性状の改善が見られたが、「便の臭い」については、前観察期に対し各試験期に、「気にならない」が減少し、「普通」が有意(p<0.05)に増加した。一方「くさい」については変化が認められなかったので、LS配合飲料水の摂取による異常腸内発酵は考えにくいと思われた。
LS配合飲料水の2週間の摂取によりビフィズス菌の平均菌数が全試験期に対し有意(p<0.005)に増加した。またLS配合飲料水の摂取期のビフィズス菌の占有率もまた全試験期に対し12名中全員に有意(p<0.005)に増加し、LS配合飲料水の2週間の摂取による総嫌気性菌に対するビフィズス菌の占有率改善効果が認められた。
今回の試験において糞便のpH値が全観察期よりも各試験期のほうが高い値となった。これは試験飲料及びプラセボ飲料ともpHが7.2と酸性側より高めにあるため、飲料水の影響を受けていることが考えられた。しかしながら、LS配合飲料水の摂取期はプラセボ飲料水の摂取期よりも低いpHとなっていることから、有機酸等の腸内産出は行われていると予測された。一方、糞便中水分量(含有%)においては、500mlの水分を毎日とり続けることで、各試験間に差が出にくいのではないかと考えられた。
ところで、今回の試験飲料水は、他の食品形態と比較して食事とは関係なく摂取でき、必要量の摂取を容易にすると同時に過剰摂取に陥り易い欠点もある。素材としての乳果オリゴ糖3aを単味で摂取したときの下痢に対する最大無作用量は体重Kg当たり0.6gであり、体重50Kgのヒトでは1日に乳果オリゴ糖3aとして3.0gを摂取しても下痢を誘発しないことが報告されている。また、Ohkusaらによれば、1日量6・0gの乳果オリゴ糖3aを素材として8週間摂取させ、乳果オリゴ糖3aの長期摂取時における安全性を評価したヒト試験の結果では、8名中1名に鼓腸と下痢がみられたが、これらの副次作用は何れも一過性で持続しなかったと報告している。
本試験の過剰摂取試験では20名の被験者に対し、1日常用量から増量し、2倍量及び最大無作用量の3分の1量である3倍量を摂取する試験を行った。LS配合飲料水の摂取には1日の摂取量のみを規定し、摂取時間や1回に摂取する量については規定しなかったが、調査表の記載によると3倍量の摂取については各被験者が独自の摂取スケジュールを設定し、飲みきれない場合は、コーヒーや料理にも利用し、規定量摂取完了に努力した跡が伺われた。
LS配合飲料水の3倍常用量摂取の泥状便排泄頻度に及ぼす影響は7.5%(排便回数135回中10回)で常用量摂取期よりも少なかった。また泥状便が観測された被験者が連続して観察された例はなく、全て翌日には正常に戻る一過性の発現であった。また、「水状」便排泄頻度が、休止期(B及びD期)の間にのみ有意(p<0.05)に認められたが他の試験期間と比較して有意差は認められなかった。
腹部症状の発生頻度では、λ検定による解析結果でどの症状間においても有意な差は認められなかった。比較的重度な腹部症状である「腹痛」の愁訴については、常用量摂取期で31.6%、2倍量摂取期で25.0%、3倍量摂取量で16.9%と減少する傾向が認められた。しかし3倍量摂取期の「腹痛」持続状況はその90%が1日以内に正常に戻り、3日間以上持続した例は2例のみで、更に各試験期間と比較して相互に有意差は認められなかったことから3倍量摂取期の「腹痛」発生頻度は一過性のものであり、継続した症状ではなかったと考えられる。
本発明の機能性付加水における原料組合わせ例を示すブロック線図である。 日本海固有冷水の多段式分離図である。 日本海固有冷水と、それより分離した淡水、ミネラル濃縮水、濃縮塩水のミネラル成分図である。 本発明の乳果オリゴ糖配合飲料水における原料の組合わせ例を示すブロック線図である。 試験サケジュウール図である。 試験1,2,3におけるサケジュウール図である。 便性状の発生頻度を示すグラフである。 腹部症状の発生頻度を示すグラフである。 ビフィズス菌占有率の変化を示すグラフである。
符号の説明
1 ミネラル含有水
2 難消化性糖質、
3 オリゴ糖、3a 乳果オリゴ糖
4 天然水、4a ミネラルウォータ
5 海洋深層水(日本海固有冷水)、5a 脱塩深層水
6 淡水
7 濃縮深層水
8 ミネラル濃縮水
9 濃縮塩水
10 第一処理装置、11 イオン交換膜
20 第二処理装置、21 イオン交換膜

Claims (12)

  1. 少なくとも難消化性糖質(2)とミネラル含有水(1)とを用いていることを特徴とする機能性付加水。
  2. ミネラル含有水(1)として天然水(4)を用いていることを特徴とする請求項1記載の機能性付加水。
  3. 天然水(4)として地下から汲み上げたミネラルウォータ(4a)を用いていることを特徴とする請求項2記載の機能性付加水。
  4. ミネラル含有水(1)として海面下200メートル以深の海洋深層水(5)より分離して得た脱塩深層水(5a)を用いていることを特徴とする請求項1記載の機能性付加水。
  5. 海洋深層水(5)が富山湾で採集した日本海固有冷水であることを特徴とする請求項4記載の機能性付加水。
  6. 脱塩深層水(5a)が多段式電気透析法により分離したミネラル濃縮水(8)と濃縮塩水(9)との少なくとも一方であることを特徴とする請求項4または5記載の機能性付加水。
  7. 難消化性糖質(2)が単糖類を2〜20結合したオリゴ糖(3)であることを特徴とする請求項1,2,3,4、5又は6記載の機能性付加水。
  8. オリゴ糖(3)を0・1〜10%の範囲で用いている直接使用タイプであり、そのまま飲料や炊飯等に用いることを特徴とする請求項7記載の機能性付加水。
  9. オリゴ糖(3)を2〜70%の範囲で用いている濃縮タイプであり、希釈して用いることを特徴とする請求項7記載の機能性付加水。
  10. 硬度を20〜2000に調製してある直接使用タイプであり、そのまま飲料や炊飯等に用いることを特徴とする請求項1〜9の内の1に記載の機能性付加水。
  11. 硬度を100〜20000に調製してある濃縮タイプであり、希釈して用いることを特徴とする請求項1〜9の内の1に記載の濃縮機能性付加水。
  12. 天然水(4)と脱塩深層水(5a)と乳果オリゴ糖(3a)とから成り、それらの含有割合が天然水(4)>脱塩深層水(5a)>乳果オリゴ糖(3a)の関係にあるることを特徴とする乳果オリゴ糖配合飲料水。
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