JP2005027658A - 機能性付加水と乳果オリゴ糖配合飲料水 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 機能性付加水は、少なくとも難消化性糖質2とミネラル含有水1とを用い、ミネラル含有水として海洋深層水(日本海固有冷水5)を多段式電気透析法により分離した濃縮塩水9とミネラル濃縮水8の少なくとも一方を用い、難消化性糖質として単糖類のオリゴ糖3を、直接使用タイプで0・1〜10%の範囲で硬度20〜2000に、濃縮タイプで2〜70%の範囲で硬度100〜20000に調製してある。
乳果オリゴ糖配合飲料水は、ミネラルウォータ4a>ミネラル濃縮水8>乳果オリゴ糖3aとから成る。
【選択図】 図1
Description
天然水は、ミネラル成分を適度に含有しているので口当たりが良く、料理やお茶等に適するが、含有ミネラル成分の種類が人体を構成しているミネラル成分に比較して少なく、含有量も少ないことから、ミネラル補給効果に関してはほとんど期待できない。
乳果オリゴ糖(別名:ラクトスクロース)は、化学的には
依って乳果オリゴ糖の摂取は腸内環境を改善し、糞便中の有機酸の増加、アンモニア、インドール等の腐敗産物の減少をもたらし、排便回数などの便通改善作用が報告されている。そのため、乳果オリゴ糖は「お腹の調子を整える」機能性食品の素材として卓上甘味料、炭酸飲料、キャンディー、ヨーグルト、ゼリー等に配合され、広く用いられている。
そこでこの発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、人体の約80%が水分であること、近年注目されている海洋深層水のミネラル成分が、人体を構成しているミネラル成分と略同様であること、難消化性糖質がミネラル成分の人体への吸収効率を促進すること等に注目し、これらを利用した新規機能性付加水と、乳果オリゴ糖配合飲料水とを開発するに至ったものである。
請求項2は、請求項1の機能性付加水において、ミネラル含有水として天然水を用いている。
請求項3は、請求項2の機能性付加水において、天然水として地下から汲み上げたミネラルウォータを用いている。
ここで難消化性糖質とは、人体に及ぼす悪影響が皆無に等しく、しかも人体へのミネラル類の吸収効率を高めたり、便秘の改善効果等を有するもので、例えば難消化性デキストリン、オリゴ糖、多糖類を言う。
ここで天然水とは、陸上において湧き出す湧水、陸上において地下から汲み上げる地下水は勿論、現在市販されているミネラルウォータ等、水道水よりミネラル成分量の多いものを言う。
請求項5は、請求項4記載の機能性付加水において、海洋深層水が富山湾で採集した日本海固有冷水(富山湾固有冷水とも言える)である。
請求項6は、請求項4,5記載の機能性付加水において、脱塩深層水が多段式電気透析法により分離したミネラル濃縮水と濃縮塩水との少なくとも一方である。
ここで日本海固有冷水とは、富山湾の容積の約65%を占めており、特開2000−290168号、特開2000−290161号等に記載した通り、高知県の外洋深層水と若干異なり、その性状として、年間を通じて2℃以下の低温で水温変化がほとんどなく、塩分(34.0〜34.1psu)も安定しており、表層水と比較して栄養塩類が著しく豊富に含まれ、有機物や細菌類が非常に少ないという特徴が挙げられる。
ここで多段式電気透析法とは、第一処理装置にて日本海固有冷水を淡水と濃縮深層水とに分離し、第二処理装置にて濃縮深層水をミネラル濃縮水と濃縮塩水とに分離することを言い、ミネラル濃縮水には人体と略同様のミネラル成分をバランス良く、しかも豊富に含んでいる。また、濃縮塩水にもミネラル成分を含むので、これを所定の倍率で希釈して用いることもできる。
請求項8は、請求項7記載の機能性付加水において、オリゴ糖を0・1〜10%の範囲で用いている直接使用タイプであり、そのまま飲料や炊飯等に用いる。
請求項9は、請求項7記載の機能性付加水において、オリゴ糖を2〜70%の範囲で用いている濃縮タイプであり、希釈して用いる。
請求項10は、請求項1〜9の内の1に記載の機能性付加水において、硬度を20〜2000に調製してある直接使用タイプであり、そのまま飲料や炊飯等に用いる。
請求項11は、請求項1〜9の内の1に記載の機能性付加水において、硬度を100〜20000に調製してある濃縮タイプであり、希釈して用いる。
このオリゴ糖の配合量として採用し得る範囲は、500ml当たり0.5〜50gであり、配合量が0.5g未満であると効果が希薄になる傾向にあり、50gを超えると味覚を損ねる傾向にある。
直接飲料するものにあっては硬度を20〜2000とし、調理や炊飯に使用するものにあっては硬度を100〜1000とすることが望ましい。
天然水に対する脱塩深層水の混合可能範囲は1/30〜1/60、効果的な範囲は1/40〜1/50、最適な範囲は1/50前後であり、乳果オリゴ糖の採用可能範囲は500ml中、0・5〜50g、効果的な範囲は2〜10g、最適な範囲は3〜5gである。
請求項1の機能性付加水は、通常の水として料理やお茶、コーヒー等に利用できるは勿論、難消化性糖質とミネラル含有水とを用いているので、不足しがちな微量ミネラルの不足を補うという機能性が期待できる。
請求項2,3の機能性付加水は、請求項1の特徴に加えて、ミネラル含有水として天然水、特にミネラルウォータを用いているので、口当たりを柔らかくし、味覚を向上させることができる。
請求項5の機能性付加水は、請求項4の特徴に加えて、海洋深層水として日本海固有冷水を用いているので、ミネラル成分のバランスが通年を通して一定し、しかも低温で清浄性が高い。その結果、安定な原料として有益である。
請求項6の機能性付加水は、請求項4,5の特徴に加えて、脱塩深層水として多段式電気透析法により分離したミネラル濃縮水を用いているので、即ち、機能性付加水に一定濃度の微量ミネラルが含まれていることになり、微量ミネラルの不足を補給する効果もあることが理解される。
請求項8の機能性付加水は、請求項7の特徴に加えて、オリゴ糖を0.1〜10%の範囲で用いているので、直接飲料したり、そのまま炊飯や煮物等の調理にも使用し得る。
請求項9の機能性付加水は、請求項7の特徴に加えて、オリゴ糖を2〜70%の範囲で用いているので、使用目的に応じて希釈使用することができる。
請求項10の機能性付加水は、請求項1〜9の内の1の特徴に加えて、硬度を20〜2000に調製しているので、直接飲料しても物足りない感じや天然水のとげとげした感じが消え、全体として飲料時の口当たりがソフトになる。
請求項11の機能性付加水は、請求項1〜9の内の1の特徴に加えて、硬度を100〜20000に調製しているので、これを使用目的に応じて希釈使用することができる。
更に、糞便中のビフィズス菌の菌数(p<0・005)及び総嫌気性菌に対する占有率の有意(p<0・005)な増加を示した。別途女子学生20名を対象に、LS配合飲料水の摂取量を常用量から段階的に3倍量(飲料水1500ml/日)まで増量して摂取した場合でも重大な副次症状を伴うことはなく、安全性が確認された。以上の結果から、LS配合飲料水の摂取は、ビフィズス菌等の有用菌を増殖させると共に排便状況を改善し、ヒトの腸内環境改善に有意義であることが確認された。
1・試料素材
(1)ミネラルウォータ4a;出願人が製造販売する「アルプス精水」
アルプス精水に含まれるミネラル成分は、以下の通りである。
(2)ミネラル濃縮水8;日本海固有冷水5を多段式電気透析法により分離して得たものであり、ミネラル成分は図3の通りである。
(3)オリゴ糖3;株式会社横浜国際バイオ研究所の乳果オリゴ糖(LS−90)
A,難消化性(低エネルギー性)
胃及び小腸では分解・吸収されず大腸に到達し、一部の腸内細菌によって醗酵を受け、酢酸、酪酸、プロピオン酸等の短鎖脂肪酸となって大腸粘膜より吸収され、エネルギー源となる。
B,整腸作用
胃及び小腸では吸収されず大腸に到達後、ビフィズス菌等の増殖因子となり腸内菌叢を改善し、腸内環境を整える。
C,ミネラル吸収促進
短鎖脂肪酸により腸内pHが低下し、カルシウム、鉄、マグネシウム等の吸収を促進する。
ミネラル濃縮水8の代わりに濃縮塩水9を用いることも可能であるが、その際に天然水4を用いて希釈する。即ち、所定量の天然水4を加えることにより、本発明の機能性付加水を得ることができる。
濃縮タイプの機能性付加水を希釈する場合、水道水を用いることも可能であるが、天然水4をもちいることが好ましい。
天然水(ミネラルウォータ4a)を多くすると味覚的に軟らかくなる。
具体的には、500ml容ペットボトルタイプの本発明LS配合飲料水を開発し、14日間の摂取時(乳果オリゴ糖3aとして1日当たり3.0g)の健常女子学生の便通に及ぼす影響を排便日数・回数・量、便性状(色、形状、硬さ、排便後の感覚、臭い)、腹部症状、腸内細菌叢への影響により検討した。
更に、LS配合飲料水の常用量の2倍及び3倍量摂取の安全性を泥状/水状便排泄頻度及び腹部症状に及ぼす影響を調査した。
1.被験者
愛知県の医療大学に通う健常女子学生を対象に、事前に便通に関するアンケートを実施し、このうち本試験の主旨を理解して同意の得られた92名を被験者とした。
試験は92名の女子学生を無作為に60名、12名、20名の被験者群に分け、次の3試験を行った。
試験1にあっては、LS配合飲料水の常用量摂取試験(n=60、平均年齢20.7±0.6歳)、
試験2にあっては、糞便菌叢検索試験(n=12、20.6±0.5歳)として行い、更に試験1,2とも2群(第1群及び第2群)に分けてシングルブラインド・クロスオーバー試験を行った。
試験3(n=20、19.8±0.5歳)は、LS配合飲料水の増量試験とし、LS配合飲料水の常用量の2倍及び3倍量を7日間与え、泥状/水状便排泄頻度及び腹部症状に及ぼす影響を観察した。
尚、本試験は「ヘルシンキ宣言」の精神を遵守して、被験者には事前に試験内容を十分に説明し、文書による本試験参加の同意を得た上で、学生が所属する大学倫理委員会の承認を得て、医師の監督下で行った。
本試験には、LS配合飲料水とプラセボ飲料水の2種類を用いた。LS配合飲料水には75%乳果オリゴ糖液(LS−90L:固形成分中に乳果オリゴ糖3aを90%以上、塩水港精糖株式会社製)を1本(500ml)中に4.45gの割合で配合した。この配合量で甘味はほとんどないことから、プラセボ飲料水には一切の物質を配合しなかった。
尚、飲料水とは、日本海(富山湾)の水深321mより採水された海洋深層水5から1価の塩(NaCl,KCl)を除去後、精製したミネラル濃縮水8にミネラルウォーター4aを配合した商品名「海のミネラル水」(出願人製品)を指す。
LS配合飲料水とプラセボ飲料水の配合組成を表1に示した。
試験スケジュールを図5−1と図5−2に示した。
試験1=試験飲料水の常用量摂取試験
シングルブラインド・クロスオーバー法により実施した。1週間の前観察期を設けた後、LS配合飲料水またはプラセボ飲料水の第1摂取期間2週間、休止期間2週間、LS配合飲料水またはプラセボ飲料水の第2摂取期間2週間の日程で実施した。
各々6名からなる第1群及び第2群の被験者に試験1と同じように行い、7週間の試験期間の内、前観察期の中頃、第1摂取期の後半及び休止期及び第2摂取期の後半の合計4回にわたり糞便サンプルの提供を受けた。
尚、試験1,2とも第1群、第2群の被験者には、摂取期にLS配合飲料水とプラセボ飲料水を互いにクロスオーバーさせた。
尚、摂取に際して、1日の摂取量のみを規定し、摂取時間や1回に摂取する量については特に指定しなかった。
被験者20名にLS配合飲料水を1日500ml(乳果オリゴ糖3aとして3.0g、A期)、2倍量の1,000ml(乳果オリゴ糖3aとして6.0g、C期)、3倍量の1,500ml(乳果オリゴ糖3aとして9.0g、E期)と段階的に増量し、各々7日間摂取させた。
乳果オリゴ糖3aの摂取影響を取り除くためA期及びC期終了後、7日間の休止期間(B期、D期)及びE期の翌週に観察期としてF期を設けた。
尚、試験期間中、オリゴ糖、食物繊維、糖アルコール等を強化した食品及び生菌を含む食品(納豆、乳酸菌製剤等)等の摂取並びに便秘薬や抗生物質の服用は極力避けるように指導した。
試験1,2,3の排便状況・便性状及び腹部症状の調査は、アンケート方式で行った。
調査項目は、排便の有無及び排便時刻、排便量、便の色、便の形状、便の臭い、便の硬さ、排便後の感覚並びに腹部症状の発生について試験期間毎に色分けされた1日1ページの調査日誌を用意し、各被験者に記入させた。
排便量は、Lサイズの鶏卵の大きさ(直径3.5cm、長さ5cm、重量約50g)を1単位(個数)として記録させた。
便の色は、黄褐色及び褐色の「黄色系」と、茶褐色及び暗褐色の「褐色系」と、黒褐色の「黒色系」の3段階。
便の形状は、「カチカチ・コロコロ状」と「バナナ状・半練状」と「泥・水状」との3段階とし、色及び形はデックカラーガイド第2版をカラー印刷した「便性状指標カード」に対応させた。
便の硬さは、「軟らかい」と「普通」と「硬い」の3段階。
便の臭いは、「気にならない」と「普通」と「臭い」の3段階。
排便後の感覚は、「スッキリした」と「普通」と「残便感がある」の3段階を評価基準とした。
腹部症状は、「良好」と「腹痛がする」と「ゴロゴロとお腹が鳴った(腹鳴)」と「お腹が張った(膨満感)」と「おならが出た」と「便意があったが排便できず痛みを感じた(しぶり腹)」と「吐気がした」と「その他」の中から選択し、「その他」の場合には具体的な症状を記入させた。
更に備考欄に試験食の摂取残量、過飲過食、薬剤の服用及び体調不良等試験に影響すると考えられる事項を簡潔に記入させた。
糞便は、被験者が排便後直ちに、試料ができる限り均質になるように混ぜながら、採便管(直径15mm、栄研製)3本に各々約1g採取させ、30分〜2時間の内に研究室に届けさせた。その内1本は、嫌気性希釈液を無菌的に加えた後、ストマッカー80T(オルガノ社製)で攪拌(230rpm、30秒)均一化した。
腸内細菌の分離は光岡らの方法を一部変更して行い、測定対象を総嫌気性菌、ビフィズス菌(Bifidobacteria)、レシチナーゼ陽性(Clostridium sp)及び大腸菌群(Escherichia coli)とした。ビフィズス菌検出用培地として、50%(V/V)馬脱繊血加BL寒天培地、レシチナーゼ陽性の検出用培地としてNN培地(日水製薬株式会社製)、大腸菌群の検出用培地として70モカルトES培地(メルク株式会社製)を用いた。
尚、嫌気培養法はスチールウール法とアネロパックケンキシステム(三菱ガス化学株式会社)による方法(酸素吸収、炭酸ガス発生剤)を併用した。各試験期間のビフィズス菌検出用培地として用いたBL培地上に出現したコロニーからビフィズス菌を分離、純培養し、光岡の方法に準拠して鑑別性状(グラム染色性、菌形態)と50種類の糖類を含む簡易同定キット“アピ50CHL”(Bio Merieux社製)による生物学的同定を行った。
採便管の1本から糞便試料を0.1〜0.5gの範囲で、正確に15ml容のスクリュウ・キャップ付試験管に秤量した。糞便重量に対して15倍量の蒸留水を加え、よく攪拌溶解した後、上清にpH電極を差し込みpHメーター(704型、メトローム・シバタ株式会社製)でpHを測定した。
また、糞便溶液は3,000rpm、10分間の遠心分離後、上清をアンモニア測定試料とした。糞便中のアンモニア量は、除タンパク質試薬付アンモニア測定キット“アンモニア テストワコー”(和光純薬工業株式会社製)を用い、比色定量(HITACHI U―1,000 SpectropHotometer)を行った。
残りの糞便の入った採便管の重量を正確に直示化学天秤で測定し、−80℃で凍結後、凍結乾燥機(RFS2000B,USA製)を用いて48時間以上乾燥させ粉末化した。その後、採便管ごとの重量を測定して、糞便粉末の重量を求め、水分重量(含水%、25℃、60〜70%湿度下)を算出した。
排便日数、排便回数及び排便量については、ウイルコクソン符号付順位和検定法を用いて、先ず全被験者に対し、各試験期間相互の有意差検定を行い、次いで前観察期の排便回数が週3回以下の常習性便秘者と4〜7回の便秘傾向者及び8回以上の非便秘者分けて層別解析を行った。
総嫌気性菌数に対するビフィズス菌の占有率はウイルコクソン符号付順位和検定法を用いて検定した。排便状況、便性状及び腹部症状については、試験期ごとの出現頻度をもとめ、その分布の独立性についてλ2検定を行った。
ビフィズス菌菌数、pH、アンモニア量、水分量(含有%)については、ウイルコクソン符号付順位和検定法で検定を行った。すべての統計処理は5%を有意水準とし、統計ソフトとしてスタットセルを使用した。
排便日数、排便回数及び排便量に及ぼす影響
LS配合飲料水の排便に対する影響を被験者全員60名について、前観察期(1週間)、プラセボ飲料水の摂取期(前・後期、各1週、計2週間)、休止期(前・後期、同)、及びLS配合飲料水の摂取期(前・後期、同)を各試験期間同士比較した。
次いで、前観察期1週間当たりの排便回数が3回以下の常習性便秘者(平均2.42回、19名)と4〜7回の便秘傾向者(平均4.97回、30名)及び8回以上の非便秘者(平均9.00回、11名)の3群の層別に分けデータを解析した。
これらの結果を表2に示す。
一方常習性便秘者では、前観察期、プラセボ飲料水の摂取期(前・後期)、休止期(前・後期)に対して、LS配合飲料水の摂取期(前・後期)が3.74日、3.47日と増加し、全試験期間に対して有意差(p<0.05〜0.005)が認められた。
また便秘傾向者では、全試験期に対し、LS配合飲料水の摂取前期の5.20日が何れの試験期にも有意差(p<0.05〜0.005)を示したが、LS配合飲料水の摂取後期(4.77日)は、後休止期に対しのみ有意差(p<0.05)を示した。一方非便秘者では、各試験期間との間に、何れも有意差が認められなかった。
次ぎに全被験者1週間における平均排便回数の比較では、前観察期が4.90回に対し順に5.02回、5.18回、5.02回、5.12回で、LS配合飲料水の摂取期が6.17回、5.75回となり何れの試験期に対しても増加を示す排便回数を示し、ともに有意差(p<0.05〜0.001)が認められた。また常習性便秘者において、LS配合飲料水の摂取期は、4.16回、4.00回と増加し、何れの試験期間に対しても有意差(p<0.05〜0.005)が認められた。
また便秘傾向者では、LS配合飲料水の摂取前期の6.00回が何れの試験期にも有意差(p<0.05〜0.005)を認めた。一方LS配合飲料水の摂取後期は、休止期(前・後期)に対しのみ有意差(p<0.05)を認めた。一方非便秘者では、何れの試験期間との間にも有意差が認められなかった。
全被験者の1週間における平均排便量の比較では、Lサイズの鶏卵1個の大きさを目安として1単位(個)とした場合、前観察期が7.85個に対し順に8.74個、9.00個、8.54個、9.16個で、LS配合飲料水の摂取前期が10.73個となり何れの試験期に対しても排便量の増加を示し、p<0.05〜0.001の危険率で有意差が認められたが、LS配合飲料水の摂取後期(9.86個)は、プラセボ飲料水の摂取前と後休止期に対し有意差が認められなかった。
また常習性便秘者において、LS配合飲料水の摂取期(前・後期)が7.82個、7.54個と増加し、プラセボ飲料水の摂取後期以外の、何れの試験期間に対しても強い有意差(p<0.05〜0.005)が認められた。また便秘傾向者では、LS配合飲料水の摂取前期の10.92個はプラセボ飲料水の摂取前期以外の試験期に有意差(p<0.05〜0.005)を認め、LS配合飲料水の摂取後期は、前観察期に対してのみ有意差(p<0.05)を認めた。一方非便秘者では、各試験期間に対し有意差が認められなかった。
全試験期間中の総排便回数に占める便性状の出現頻度を求め、その分布の独立性についてλ2検定を行った。結果を図6に示した。
便の色については、LS配合飲料水の摂取期間に良好とされる「黄褐色」便の出現率がプラセボ飲料水の摂取期及び休止期と比較して増加傾向が見られ、「黒色系」も抑制傾向に見られたが統計的に有意差は認められなかった。便の形状については、前観察期における「コロコロ・カチカチ状」の出現率が32%から19%にまで減少し、一方「バナナ・半練り状」は10%ほど増加したが有意差は認められなかった。また「泥・水状」便の出現率には、各試験期間相互に有意な変動は認められなかった。
便の硬さについては、何れも有意差は認められないが、「硬い」が前観察期よりもLS配合飲料水の摂取期に増加の傾向にあった。「便の臭い」については、前観察期の「普通」がLS配合飲料水の摂取期と前休止期に有意(p<0.05)に増加し、プラセボ飲料水の摂取後期と後休止期に対して「普通」の出現率が有意(p<0.01)に増加したが、「臭い」には変化が無かった。
排便後の感覚については、LS配合飲料水の摂取期間の「スッキリした」の出現率に他の試験期間と比較して増加傾向が見られたものの、統計的有意差は認められなかった。また「普通」及び「残便感がある」の出現率には、有意な変化は認められなかった。
図7の如く「しぶり腹」「吐気」は前観察期に比べLS配合飲料水の摂取期間に減少が見られた。
「腹鳴」「腹痛」及び「膨満感」は散見されたが、各試験期間相互の発生頻度にも有意差は認められなかった。
試験期毎に糞便サンプルから分離したビフィズス菌の平均菌数を各表3に示した。
一方レシチナーゼ陽性、及び大腸菌群は、極少ない菌占有率を示し、有意差は認められなかった。また、図8に各試験期間の全被験者のビフィズス菌の占有率とその平均を示した。
LS配合飲料水の摂取期は他の試験期に比べ12名全員の占有率は有意(p<0.005)に上昇し、LS配合飲料水を摂取することで糞便中のビフィズス菌の菌数及び占有率に改善効果がみられた。
糞便中のpH、アンモニア量及び水分量(含有%)の測定結果を表5に示した。
糞便中のアンモニア量は湿重量1g当たり実験開始前が1.83mg、プラセボ飲料水の摂取期が1.80mg、休止期が1.39mgとなり、これに対し、LS配合飲料水の摂取期の1.30mgは減少傾向があるものの、有意差は認められなかった。
糞便中の水分量(含有%)は前観察期とプラセボ飲料水の摂取期が各々71.37%及び72.28%、LS配合飲料水の摂取期が72.98%と変化がなかった。
被験者20名を対象として、LS配合飲料水の増量摂取試験を行った時の各試験期間の総排便回数に対する「泥状」便及び「水状」便の排泄頻度を表6に示した。
各試験期の延べ人数に対する腹部症状を訴えた人数の割合(発生頻度)は表7の通りであった。
「腹鳴」は平均12.5〜17.5%で散見し、「膨満感」は29.6〜43.1%内で変化したが各試験間相互に有意差は認められなかった。
「放屁」は12.0〜20.0%で散見し、「しぶり腹」は3.2〜7.7%内で変化したが、各試験間相互に有意差は認められなかった。「吐気」については、2倍量摂取C期に1.3%認められたがその他には認められなかった。
以上の知見から、LS配合飲料水の1倍量(乳果オリゴ糖3aとして3.0g/日)を2倍量(乳果オリゴ糖3aとして6.0g/日)及び3倍量(乳果オリゴ糖3aとして9.0g/日)と増量して各7日間摂取しても、3倍量摂取期の腹部症状や泥状/水状便排泄頻度にLS配合飲料水の摂取による副作用を起因させる結果は認められなかった。
乳果オリゴ糖3aを単独で摂取することにより、ヒトの便通や便性状が改善されることが明らかにされ、食品素材として1日1.0〜2.0gの乳果オリゴ糖3aの摂取でビフィズス菌が増加し、更に1日2.0〜6.0gの乳果オリゴ糖3aの摂取で有意に便通の改善、糞便腐敗物質の減少及び短鎖脂肪酸の増加が起こることが報告されている。食品の形態に加工された場合でも、2.0〜5.0gの乳果オリゴ糖3aを含むクッキー、乳酸菌飲料水、粉末清涼飲料水、クロワッサン、即席みそ、錠菓等を摂取することにより排便状況が有意に改善されることが証明され特定保健用食品として利用されている。
このような知見に基づいて、成人1日当たり乳果オリゴ糖3aとして3.0gの摂取が妥当な常用量であると考えて、1日当たりの飲水を500ml摂取することにより乳果オリゴ糖3aを3.0g摂取出来るようにペットボトルタイプのLS配合飲料水(乳果オリゴ糖3aとして3.0g/500ml/本)を試作した。
更に、対照として乳果オリゴ糖3aを除いたプラセボ飲料水を調製した。本品は市場にある飲料水用ペットボトル容器と同じ形態なので、1日の必要本数(500ml/本)がはっきりと訴求できると思われる。また食事と関係なく摂取が可能であることに加え、調理の必要が無く携帯に便利なので、夏場等に過剰摂取に陥りやすいことが想定できる。
LS配合飲料水の常用量摂取による排便状況に及ぼす影響に対する評価は、各試験期に得られた排便日数、排便回数及び排便量の有意差検定から求めた。
この結果、LS配合飲料水の摂取期(前・後期)は他の試験期の排便日数、排便回数及び排便量に対し有意な増加を示す効果が認められた。
依って、便秘者と便秘傾向者の両方に有意な改善効果が認められた。しかし非便秘者(排便回数が週8回以上)においては、有意な差は認められなかった。
LS配合飲料水の2週間の摂取によりビフィズス菌の平均菌数が全試験期に対し有意(p<0.005)に増加した。またLS配合飲料水の摂取期のビフィズス菌の占有率もまた全試験期に対し12名中全員に有意(p<0.005)に増加し、LS配合飲料水の2週間の摂取による総嫌気性菌に対するビフィズス菌の占有率改善効果が認められた。
今回の試験において糞便のpH値が全観察期よりも各試験期のほうが高い値となった。これは試験飲料及びプラセボ飲料ともpHが7.2と酸性側より高めにあるため、飲料水の影響を受けていることが考えられた。しかしながら、LS配合飲料水の摂取期はプラセボ飲料水の摂取期よりも低いpHとなっていることから、有機酸等の腸内産出は行われていると予測された。一方、糞便中水分量(含有%)においては、500mlの水分を毎日とり続けることで、各試験間に差が出にくいのではないかと考えられた。
本試験の過剰摂取試験では20名の被験者に対し、1日常用量から増量し、2倍量及び最大無作用量の3分の1量である3倍量を摂取する試験を行った。LS配合飲料水の摂取には1日の摂取量のみを規定し、摂取時間や1回に摂取する量については規定しなかったが、調査表の記載によると3倍量の摂取については各被験者が独自の摂取スケジュールを設定し、飲みきれない場合は、コーヒーや料理にも利用し、規定量摂取完了に努力した跡が伺われた。
腹部症状の発生頻度では、λ2検定による解析結果でどの症状間においても有意な差は認められなかった。比較的重度な腹部症状である「腹痛」の愁訴については、常用量摂取期で31.6%、2倍量摂取期で25.0%、3倍量摂取量で16.9%と減少する傾向が認められた。しかし3倍量摂取期の「腹痛」持続状況はその90%が1日以内に正常に戻り、3日間以上持続した例は2例のみで、更に各試験期間と比較して相互に有意差は認められなかったことから3倍量摂取期の「腹痛」発生頻度は一過性のものであり、継続した症状ではなかったと考えられる。
2 難消化性糖質、
3 オリゴ糖、3a 乳果オリゴ糖
4 天然水、4a ミネラルウォータ
5 海洋深層水(日本海固有冷水)、5a 脱塩深層水
6 淡水
7 濃縮深層水
8 ミネラル濃縮水
9 濃縮塩水
10 第一処理装置、11 イオン交換膜
20 第二処理装置、21 イオン交換膜
Claims (12)
- 少なくとも難消化性糖質(2)とミネラル含有水(1)とを用いていることを特徴とする機能性付加水。
- ミネラル含有水(1)として天然水(4)を用いていることを特徴とする請求項1記載の機能性付加水。
- 天然水(4)として地下から汲み上げたミネラルウォータ(4a)を用いていることを特徴とする請求項2記載の機能性付加水。
- ミネラル含有水(1)として海面下200メートル以深の海洋深層水(5)より分離して得た脱塩深層水(5a)を用いていることを特徴とする請求項1記載の機能性付加水。
- 海洋深層水(5)が富山湾で採集した日本海固有冷水であることを特徴とする請求項4記載の機能性付加水。
- 脱塩深層水(5a)が多段式電気透析法により分離したミネラル濃縮水(8)と濃縮塩水(9)との少なくとも一方であることを特徴とする請求項4または5記載の機能性付加水。
- 難消化性糖質(2)が単糖類を2〜20結合したオリゴ糖(3)であることを特徴とする請求項1,2,3,4、5又は6記載の機能性付加水。
- オリゴ糖(3)を0・1〜10%の範囲で用いている直接使用タイプであり、そのまま飲料や炊飯等に用いることを特徴とする請求項7記載の機能性付加水。
- オリゴ糖(3)を2〜70%の範囲で用いている濃縮タイプであり、希釈して用いることを特徴とする請求項7記載の機能性付加水。
- 硬度を20〜2000に調製してある直接使用タイプであり、そのまま飲料や炊飯等に用いることを特徴とする請求項1〜9の内の1に記載の機能性付加水。
- 硬度を100〜20000に調製してある濃縮タイプであり、希釈して用いることを特徴とする請求項1〜9の内の1に記載の濃縮機能性付加水。
- 天然水(4)と脱塩深層水(5a)と乳果オリゴ糖(3a)とから成り、それらの含有割合が天然水(4)>脱塩深層水(5a)>乳果オリゴ糖(3a)の関係にあるることを特徴とする乳果オリゴ糖配合飲料水。
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JP2009286697A (ja) * | 2008-05-27 | 2009-12-10 | Goshu Yakuhin Kk | 機能性飲料水 |
WO2013073644A1 (ja) * | 2011-11-14 | 2013-05-23 | 塚原 順子 | 多種類のミネラルを含む複合康機能性食品 |
-
2004
- 2004-03-31 JP JP2004103642A patent/JP2005027658A/ja active Pending
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