JP2005024220A - 蓄冷器およびパルスチューブ冷凍機 - Google Patents
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Abstract
コスト上昇を殆ど伴わないような簡易な構成により蓄冷器非効率ロスの低減を実現する蓄冷器およびパルスチューブ冷凍機を提供する。
【解決手段】
複数枚の金網13を積層してなる積層金網12が、両端部が開放された金属製の円筒11の内部に蓄冷材として配置され、この積層金網12を通過する作動ガスと熱交換が行なわれる蓄冷器10であって、その金網13が、2本または3本の素線を撚った撚り線14を基材とした平織または綾織の織網であるような蓄冷器10とした。また、この蓄冷器10を搭載したパルスチューブ冷凍機とした。
【選択図】 図1
Description
図4は従来技術のパルスチューブ冷凍機の概略構成図、図5は従来技術の蓄冷器の概略断面構成図である。
パルスチューブ冷凍機1000は、図4に示すように、圧縮機100、接続管200、高温側熱交換器300、蓄冷器400、低温側熱交換器500、パルスチューブ600、パルスチューブ高温側熱交換器700、位相制御部800を備えている。
蓄冷器400は、図5で示すように、円筒410と積層金網420とにより構成されている。積層金網420は多数の金網430を積層したものであり、金網430の枚数は1000〜2000枚程度になる。この金網430としては通常金属製金網が用いられている。この金網430は通常、素線径が数10μm程度でメッシュ数(網目数)が数100程度の金網である。金網430は、例えば板状の金網を打ち抜き等により、円形に加工して多数枚製作する。蓄冷器400は、このような金網430を円筒410に挿入して積層することにより製造される。
このように蓄冷器400では、積層金網420を使用することにより、蓄冷器400の熱交換の高効率化を図っている。
圧縮機100で圧縮された高温の作動ガスが、接続管200・高温側熱交換器300を経て、蓄冷器400に流入する。この高温の作動ガスは、蓄冷材として機能する積層金網420との間で熱交換が行われながら冷却され、低温側熱交換器500へ流出する。
蓄冷器400が熱交換の高効率化を実現するためには、蓄冷材である積層金網420が十分な熱容量および十分な表面積を有している必要がある。
このような蓄冷器非効率ロス以外にも、熱伝導ロスや、パルスチューブ600内でのシャトルロスがある。これら蓄冷器非効率ロス、熱伝導ロスおよびシャトルロスは総称して熱ロスと呼ばれている。
低温側熱交換器500の温度が液体窒素温度(77K)レベルで正味冷凍出力が数W程度の小型のパルスチューブ冷凍機においては、低温PV仕事に比べて熱ロスの割合が大きい。さらに、この熱ロスのうち、特に蓄冷器非効率ロスの占める割合が大きい。
このような小型のパルスチューブ冷凍機においては、低温PV仕事における正味冷凍出力の割合、すなわち、全冷凍発生量のうち有効に取り出せる冷凍量は20〜30%程度である。言い換えると熱ロスの占める割合が圧倒的に大きいということになる。さらに、この熱ロスのうち、蓄冷器非効率ロスは50%を超え過大である。全冷凍発生量のうち35%〜40%は蓄冷器非効率ロスにより消滅するという勘定である。
従来技術のパルスチューブ冷凍機1000・蓄冷器400はこのようなものである。
特許文献1の蓄冷器は、低温側と高温側で異なる蓄冷材料を使用する例であり、また、特許文献2の蓄冷器は蓄冷材料として複雑な蚊取り線香型(弦巻型)の基材を用いる例である。
また、逆に素線の線径が小さくなると網目の開口面積が広がることにより作動ガスが通過しやすくなって圧力損失は生じないが、金属の表面積は狭くなって冷却性能が低下していた。このように圧力損失低減と冷却性能向上とはトレード・オフの関係にある。
そこで、現状では、金網430は素線の線径を細くして網目の開口面積を広げることで圧力損失が大きくならないようにしつつ、かつメッシュ数を可能な限り多くすることで金網430の表面積を増大させて冷却性能を向上させるようにしている。
このような空間部分は、パルスチューブ冷凍機1000の作動ガス空間の中で有効な仕事に寄与しない死容積である。このような死容積の増大は冷却性能を低下させる。従って、これ以上死容積を増大させることなく冷却性能を向上させる必要がある。つまり死容積を増大させることなく表面積を増大したいという要請がある。
さらにまた、特許文献2の蓄冷器は蓄冷材料として複雑な蚊取り線香型の基材を用いる例であるが、製造が容易ではないという問題点があった。
また、2本または3本の素線を撚った撚り線は、単線の金網と比較してもコスト的に同等か若干高い程度であり、コストの増大を極力抑えることもできる。
図1は本形態の蓄冷器の概略断面構成図、図2は作動ガスの流れを説明する説明図、図3は撚り線の説明図である。
蓄冷器10は、先に説明した蓄冷器400の改良に関するものであり、例えば、図4で示したパルスチューブ冷凍機1000の蓄冷器400に代えて搭載できるものである。パルスチューブ冷凍機1000の他の構成については同じ構成であるものとし重複する説明を省略する。
また、撚り線14は、図2(b)で示すように、3本の素線14a,14b,14cを撚った3本撚り線としても良い。
また、金網13は、このような2本撚り線または3本撚り線である撚り線14を用い、図1で示すように綾織による織網としても良い。
このような平織と綾織とを比較すると、熱的な特性は平織と綾織とで差異はないと考えられるが、コスト的には綾織の方が有利となる。
パルスチューブ冷凍機・スターリング冷凍機というような極低温冷凍機による冷凍出力(低温側熱交換器から取り出すことができる正味の吸熱量)は、低温PV仕事から全ての熱ロスを差し引いた値である。先にも述べたが、特に、図4で示すようなパルスチューブ冷凍機1000の場合、熱ロスに占める蓄冷器非効率ロスの割合が大きい。
このような積層金網12で表面積を大きくするため、金網13の素線として撚り線を採用した。
図3には3本撚り線14に接する作動ガスの流れを示している。流れ方向から見た投影直径は、A,B,Cの3パターンありそれぞれ3分の1の確率で配置されると仮定しても一般性を失わない。そのように仮定すると、外接円直径の増加分は13.6%となる。この分は圧力損失の増大となって現れる。
例えば、金網の種類として編目が略正六角形(亀甲状)となる亀甲金網や、編目が菱形となる菱形金網を採用しても良い。しかしながら、製造コスト的に勘案して綾織・平織が優れている。
また、撚り線について、素線の線径を細くして4本以上の複数本の素線を撚り合わせた撚り線(例えば4本撚り線)等を採用してもよい。しかしながら、性能的・製造コスト的に勘案して2本撚り線・3本撚り線が優れている。
また、金網の撚り線の線径や開口面積・開口数も適宜設定することが可能である。
また、この蓄冷器10を、パルスチューブ冷凍機以外の極低温冷凍機に適用できるのはいうまでもなく、例えばスターリング冷凍機等、蓄冷器が搭載される各種の極低温冷凍機に搭載することができる。
(1)蓄冷器の構成を殆ど変更することなく、撚り線による金網を採用したので、冷凍機としての高い冷却性能の蓄冷器を提供できる。
(2)また、金網の撚り線の数を限定したので、コスト的・性能的に優れた蓄冷器を提供できる。
(3)また、金網の種類も限定したので、コスト的に優れた蓄冷器を提供できる。
(4)このような蓄冷器を搭載して冷却性能を向上させたパルスチューブ冷凍機とすることができる。
10:蓄冷器
11:円筒
12:積層金網
13:金網
14:撚り線
14a,14b,14c:素線
100:圧縮機
110:シリンダ
120:ピストン
200:接続管
300:高温側熱交換器
400:蓄冷器
410:円筒
420:積層金網
430:金網
500:低温側熱交換器
600:パルスチューブ
700:パルスチューブ高温側熱交換器
800:位相制御部
810:イナータンスチューブ
820:バッファタンク
Claims (4)
- 複数枚の金網を積層してなる積層金網が、両端部が開放された金属製の円筒の内部に蓄冷材として配置され、この積層金網を通過する作動ガスと熱交換が行なわれる蓄冷器であって、
金網は、撚り線を基材として編んだ織網であることを特徴とする蓄冷器。 - 請求項1に記載した蓄冷器において、
前記金網の撚り線は、2本または3本の素線を撚った撚り線であることを特徴とする蓄冷器。 - 請求項1または請求項2に記載した蓄冷器において、
前記金網は、平織または綾織であることを特徴とする蓄冷器。 - 圧縮機、蓄冷器、低温側熱交換器、パルスチューブおよび位相制御部が流路を形成し、この流路を流れる作動ガスの熱交換により低温側熱交換器に寒冷を発生するパルスチューブ冷凍機において、
前記蓄冷器は、請求項1〜請求項3に記載された蓄冷器であることを特徴とするパルスチューブ冷凍機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003270888A JP2005024220A (ja) | 2003-07-04 | 2003-07-04 | 蓄冷器およびパルスチューブ冷凍機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003270888A JP2005024220A (ja) | 2003-07-04 | 2003-07-04 | 蓄冷器およびパルスチューブ冷凍機 |
Publications (1)
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JP2005024220A true JP2005024220A (ja) | 2005-01-27 |
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JP2003270888A Pending JP2005024220A (ja) | 2003-07-04 | 2003-07-04 | 蓄冷器およびパルスチューブ冷凍機 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106091517A (zh) * | 2016-06-13 | 2016-11-09 | 中国科学院理化技术研究所 | 一种蓄冷器及制冷机 |
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2003
- 2003-07-04 JP JP2003270888A patent/JP2005024220A/ja active Pending
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