JP2005023875A - 内燃機関の燃料噴射弁及び燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】噴霧角をなるべく広くして燃料噴霧の微粒化を図りつつ、吸気ポート壁面に付着した燃料が液状となってシリンダ内に流入することを防止できる燃料噴射弁及び燃料噴射装置を提供する。
【解決手段】比較的大きな径の噴孔によって形成される粒径の比較的大きな燃料噴霧91bを、吸気バルブ1a,1bの傘裏部に当てるようにする。また、比較的小さな径の噴孔によって形成される粒径の比較的小さい燃料噴霧91aを前記燃料噴霧91bの外側に形成し、該燃料噴霧91aを吸気ポート2a,2bの内壁に当てるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】比較的大きな径の噴孔によって形成される粒径の比較的大きな燃料噴霧91bを、吸気バルブ1a,1bの傘裏部に当てるようにする。また、比較的小さな径の噴孔によって形成される粒径の比較的小さい燃料噴霧91aを前記燃料噴霧91bの外側に形成し、該燃料噴霧91aを吸気ポート2a,2bの内壁に当てるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料噴射弁及び燃料噴射装置に関し、詳しくは、吸気ポートに燃料を噴射させる構成において、シリンダ内への液状燃料の流入を抑止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の燃料噴射装置として、特許文献1に開示されるようなものがあった。
【0003】
このものは、吸気ポートに設けられる燃料噴射弁の燃料噴霧の上下方向の広がりを、水平方向の広がりよりも小さくし、かつ、上下方向の噴霧中心を閉弁時の吸気バルブの傘部中心に一致させる構成とすることで、燃料噴霧が吸気ポートの壁面に付着するのを防止している。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−141435号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料噴射弁の噴霧角を広くすれば燃料噴霧の微粒化を促進させることができるため、上記従来装置のように、噴霧角を狭くして吸気バルブの傘部中心を指向させる構成の場合、吸気ポート壁面に対する燃料噴霧の付着を防止できるものの、燃料噴霧の微粒化を促進させることができず、冷機時の燃料気化性が低下する。
【0006】
一方、燃料噴射弁の噴霧角を広くすると、燃料噴霧の微粒化が促進されるものの、吸気バルブの傘部から離れた吸気ポート壁面に燃料が付着し、該付着燃料が液状の壁流となってシリンダ内に流入し、燃焼性を悪化させるという問題が生じる。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、噴霧角をなるべく広くして燃料噴霧の微粒化を図りつつ、吸気ポート壁面に付着した燃料が液状となってシリンダ内に流入することを防止できる内燃機関の燃料噴射弁及び燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1に係る燃料噴射弁は、燃料噴霧の外周側の少なくとも一部に、中心付近の粒径よりも噴霧粒径が小さい噴霧を形成するよう構成される。
【0009】
かかる構成によると、中心付近よりも粒径の小さい燃料噴霧が外周側に形成され、該外周側の粒径の小さい噴霧は気化し易いから、吸気ポート壁面に付着したときに燃料が液状になってシリンダ内に流入することを抑止できる。
【0010】
請求項2に係る燃料噴射弁は、ノズルプレートに開口される複数の噴孔から燃料を噴射させる燃料噴射弁であって、前記ノズルプレートの軸心側に径の大きな大径噴孔を複数形成すると共に、該大径噴孔よりも外周側に前記大径噴孔よりも径の小さい小径噴孔を複数形成して構成される。
【0011】
かかる構成によると、大径噴孔の外側に小径噴孔が形成されるから、噴霧パターンの外側に噴霧粒径の小さい噴霧が形成されることになる。
そして、この粒径の小さい燃料噴霧は気化し易いから、噴霧パターンの外側で吸気ポート壁面にあたっても、付着した燃料が液状になってシリンダ内に流入することを抑止できる。
【0012】
請求項3に係る燃料噴射装置は、燃料噴霧の外周側の少なくとも一部に、中心付近の噴霧粒径よりも粒径が小さい噴霧を形成する燃料噴射弁を、吸気バルブ上流側の吸気ポートに備え、前記中心付近の比較的粒径が大きい燃料噴霧を吸気バルブの傘裏部に当て、外周側の比較的粒径が小さい燃料噴霧を吸気ポート内壁に当てる構成とした。
【0013】
かかる構成によると、比較的粒径の大きな燃料噴霧は、吸気バルブの傘裏に当てられ、吸気バルブの熱で気化する。一方、外側の比較的粒径が小さい燃料噴霧は吸気ポート内壁に当てられるが、粒径が小さく気化し易いので、液状になってシリンダ内に流入することが抑止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
実施形態の燃料噴射装置を示す図1,2において、内燃機関は、気筒毎に2つの吸気バルブ1a,1bを備える。
【0015】
気筒毎の吸気ポート2は、シリンダ直前で2つの吸気ポート2a,2bに分岐し、該吸気ポート2a,2bのシリンダ側開放端には、バルブシートが形成される。
【0016】
そして、前記バルブシートに前記吸気バルブ1a,1bが着座することで、シリンダが密閉され、また、前記吸気バルブ1a,1bがシリンダ側に変位して、バルブシートから離間することで、シリンダ内への混合気の吸入が行なわれる。
【0017】
前記吸気ポート2a,2bは、吸気バルブ1a,1bの手前で円弧状に屈曲形成され、吸気バルブ1a,1bのバルブステム11は、前記円弧状部の外側のポート壁面を貫通して延設される。
【0018】
前記バルブステム11は、バルブガイド11aに挿通され、該バルブガイド11aに案内されて、軸方向に移動する。
前記バルブステム11の端部には、カムシャフト,ロッカアーム,バルブスプリング等からなる動弁機構(図示省略)が配設され、ピストン位置に応じたタイミングで前記吸気バルブ1a,1bを開閉駆動する。
【0019】
前記吸気ポート2a,2bの分岐部よりも上流側の吸気ポート2の前記バルブステム11が貫通される側の稜線部分には、外側に向けて突出する噴射弁取り付け部21が一体的に形成される。
【0020】
そして、前記噴射弁取り付け部21に対して、燃料噴射弁3が、2つの吸気バルブ1a,1bの中心を結んだ線の中央付近をその軸線が指向するように取り付けられる。
【0021】
図3は、前記燃料噴射弁3の構成を示す図である。
図3において、磁性体で形成されたケーシングパイプ51の外側に、電磁コイル52が固定され、ケーシングパイプ51の内側には、筒状のアンカー71とボール72とを溶接して一体化した弁体53が軸方向に摺動自由に嵌挿される。
【0022】
前記アンカー71の段付部には、大径基端側の中空部から、小径先端側の外周空間に向けて、燃料通し孔71aが開口されている。
前記ボール72は、周側に複数の平面部72aが切削形成される。
【0023】
前記弁体53(アンカー71)の上方には、筒状のスプリングハウジング54がケーシングパイプ51の内壁に固定されている。
該スプリングハウジング54内には筒状のスプリングストッパ55が嵌挿して固定され、該スプリングストッパ55の下端と前記アンカー71の大径基端側との間に、リターンスプリング56(コイルスプリング)が圧縮状態で嵌挿されている。
【0024】
前記ケーシングパイプ51の下端部内側には、弁体53のボール72が着座する弁座57aが設けられると共に中心部に噴口が開口された弁座部材57が溶接結合され、該弁座部材57の下端には、複数のノズル孔(噴孔)を開口したノズルプレート58が溶接結合されている。
【0025】
前記ケーシングパイプ51の下端部外側には、キャップ部材59が固定され、前記電磁コイル52の外側を覆うコイルカバー60の下端部がケーシングパイプ51に溶接結合されている。
【0026】
前記ケーシングパイプ51の上端部には、燃料フィルタ62が嵌挿して固定されている。
前記コイルカバー60の上端部から前記ケーシングパイプ51の上端部に至る部分と前記電磁コイル52のリード52aの端部を除く部分が、樹脂ケーシング63でモールドされる。
【0027】
前記樹脂ケーシング63の上端面と前記ケーシングパイプ51の上端フランジ面との間にシール部材64が嵌挿されている。
前記樹脂ケーシング63は、前記電磁コイル52のリード52aの端部周囲を囲んでコネクタ部63aを形成している。
【0028】
そして、前記電磁コイル52の非通電時は、弾性圧縮される前記リターンスプリング56の復帰力による付勢力で、弁体53が前記弁座部材57の弁座57aに着座して閉弁する。
【0029】
上記閉弁状態において、アンカー71と、筒状のスプリングハウジング54との間に所定のクリアラスが設けられるようになっており、前記電磁コイル52に通電して、磁気吸引力がアンカー71に作用すると、前記弁体53は、アンカー71とスプリングハウジング54とが当接する位置までリフトされ、これにより弁体53が前記弁座部材57の弁座57aから離座して開弁する。
【0030】
図4は、前記ノズルプレート58を示す図であり、図のx方向が、吸気バルブ1a,1bの並び方向に一致する。
前記ノズルプレート58には、複数のノズル孔81が形成されるが、前記x方向に直交するy方向の直径を境に2つのノズル孔グループに区分され、一方のグループが吸気バルブ1aに向かう燃料噴霧を形成し、他方のグループが吸気バルブ1bに向かう燃料噴霧を形成することで、吸気バルブ1a,1bそれぞれに向かう2方向噴射を行うように、各ノズル孔81が、ノズルプレート58に対して斜め傾いて形成される。
【0031】
また、前記ノズル孔81は、径の異なる2種類のノズル孔81a,81bからなり、径の大きいノズル孔81aは、軸心側の同心円上に複数形成され、径の小さいノズル孔81bは、前記ノズル孔81aよりも外側の同心円上でかつx方向両側に偏って形成される。
【0032】
上記ノズル孔81a,81bは、その径が異なることから相互に粒径の異なる燃料噴霧を形成し、径が相対的に小さいノズル孔81bで形成される噴霧91aの粒径は、ノズル孔81aで形成される噴霧91bの粒径よりも小さくなる。
【0033】
尚、ノズル孔81a,81bの数,配置が、図4に示したものに限定されないことは明らかである。
ここで、図1及び図2に示すように、径が大きいノズル孔81a(大径噴孔)で形成される燃料噴霧91bは、吸気バルブ1a,1bの傘裏部にそれぞれ当たるように設定される。
【0034】
また、図2に示すように、前記吸気バルブ1a,1bの傘裏部に向かう燃料噴霧91bの吸気バルブ1a,1bの並び方向の両外側には、径が小さいノズル孔81b(小径噴孔)によって燃料噴霧91aが隣接して形成され、該ノズル孔81bによる燃料噴霧91aは、吸気ポート2a,2bの内壁に当たるように設定される。
【0035】
ここで、前記吸気バルブ1a,1bの傘裏部は温度が高いため、燃料噴霧91bの粒径が比較的大きくても充分に燃料を気化させることができる。
一方、吸気ポート2a,2bの内壁は比較的温度が低いが、本実施形態では、この吸気ポート2a,2bの内壁に当たる燃料噴霧91aの粒径を小さくして、気化し易くしてあるので、ポート内壁に当たった燃料が液状となってシリンダ内に流入することを抑止できる。
【0036】
従って、液状燃料がシリンダ内に流入することによる燃料供給の遅れ、排気性状,燃費の悪化を回避できる。
尚、上記実施形態では、中心付近の噴霧粒径よりも噴霧粒径が小さい噴霧を、噴霧パターンの外周の一部にのみ形成させる構成としたが、全周を噴霧粒径が小さい噴霧で囲むようにしても良い。
【0037】
また、燃料噴射弁を2方向弁に限定するものではなく、1方向弁であっても良い。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項3記載の内燃機関の燃料噴射装置において、
前記機関が気筒毎に2つの吸気バルブを備え、前記燃料噴射弁が前記2つの吸気バルブそれぞれに向けて燃料を噴射する2方向弁であり、
中心付近の噴霧粒径よりも噴霧粒径が小さい噴霧を、前記2つの吸気バルブの並び方向の両外側に形成したことを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。
【0038】
かかる構成によると、燃料噴霧が吸気ポート内壁に当たることを極力回避しつつ、吸気ポートに当たる噴霧の粒径が小さく気化し易いことから、液状となってシリンダ内に流入することが回避される。
(ロ)請求項(イ)記載の内燃機関の燃料噴射装置において、
前記燃料噴射弁が、
ノズルプレートに開口される複数の噴孔から燃料を噴射させる構成であって、前記ノズルプレートの軸心側に径の大きな大径噴孔を複数形成すると共に、該大径噴孔よりも外周側でかつ前記2つの吸気バルブの並び方向両側に、前記大径噴孔よりも径の小さい小径噴孔を複数形成してなる内燃機関の燃料噴射装置。
【0039】
かかる構成によると、径の異なる噴孔をノズルプレートに形成することで、各吸気バルブに向かう2方向噴射を行わせ、かつ、中心付近の噴霧粒径よりも噴霧粒径が小さい噴霧を、2つの吸気バルブの並び方向の両外側に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における燃料噴射装置を示す上面断面図。
【図2】実施形態における燃料噴射装置を示す側面断面図。
【図3】実施形態における燃料噴射弁を示す縦断面図。
【図4】実施形態における燃料噴射弁のノズルプレートを示す上面図。
【符号の説明】
1a,1b…吸気バルブ、2a,2b…吸気ポート、11…バルブステム、3…燃料噴射弁、21…噴射弁取り付け部、58…ノズルプレート、81a,81b…ノズル噴孔、91a,91b…燃料噴霧
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料噴射弁及び燃料噴射装置に関し、詳しくは、吸気ポートに燃料を噴射させる構成において、シリンダ内への液状燃料の流入を抑止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の燃料噴射装置として、特許文献1に開示されるようなものがあった。
【0003】
このものは、吸気ポートに設けられる燃料噴射弁の燃料噴霧の上下方向の広がりを、水平方向の広がりよりも小さくし、かつ、上下方向の噴霧中心を閉弁時の吸気バルブの傘部中心に一致させる構成とすることで、燃料噴霧が吸気ポートの壁面に付着するのを防止している。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−141435号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料噴射弁の噴霧角を広くすれば燃料噴霧の微粒化を促進させることができるため、上記従来装置のように、噴霧角を狭くして吸気バルブの傘部中心を指向させる構成の場合、吸気ポート壁面に対する燃料噴霧の付着を防止できるものの、燃料噴霧の微粒化を促進させることができず、冷機時の燃料気化性が低下する。
【0006】
一方、燃料噴射弁の噴霧角を広くすると、燃料噴霧の微粒化が促進されるものの、吸気バルブの傘部から離れた吸気ポート壁面に燃料が付着し、該付着燃料が液状の壁流となってシリンダ内に流入し、燃焼性を悪化させるという問題が生じる。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、噴霧角をなるべく広くして燃料噴霧の微粒化を図りつつ、吸気ポート壁面に付着した燃料が液状となってシリンダ内に流入することを防止できる内燃機関の燃料噴射弁及び燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1に係る燃料噴射弁は、燃料噴霧の外周側の少なくとも一部に、中心付近の粒径よりも噴霧粒径が小さい噴霧を形成するよう構成される。
【0009】
かかる構成によると、中心付近よりも粒径の小さい燃料噴霧が外周側に形成され、該外周側の粒径の小さい噴霧は気化し易いから、吸気ポート壁面に付着したときに燃料が液状になってシリンダ内に流入することを抑止できる。
【0010】
請求項2に係る燃料噴射弁は、ノズルプレートに開口される複数の噴孔から燃料を噴射させる燃料噴射弁であって、前記ノズルプレートの軸心側に径の大きな大径噴孔を複数形成すると共に、該大径噴孔よりも外周側に前記大径噴孔よりも径の小さい小径噴孔を複数形成して構成される。
【0011】
かかる構成によると、大径噴孔の外側に小径噴孔が形成されるから、噴霧パターンの外側に噴霧粒径の小さい噴霧が形成されることになる。
そして、この粒径の小さい燃料噴霧は気化し易いから、噴霧パターンの外側で吸気ポート壁面にあたっても、付着した燃料が液状になってシリンダ内に流入することを抑止できる。
【0012】
請求項3に係る燃料噴射装置は、燃料噴霧の外周側の少なくとも一部に、中心付近の噴霧粒径よりも粒径が小さい噴霧を形成する燃料噴射弁を、吸気バルブ上流側の吸気ポートに備え、前記中心付近の比較的粒径が大きい燃料噴霧を吸気バルブの傘裏部に当て、外周側の比較的粒径が小さい燃料噴霧を吸気ポート内壁に当てる構成とした。
【0013】
かかる構成によると、比較的粒径の大きな燃料噴霧は、吸気バルブの傘裏に当てられ、吸気バルブの熱で気化する。一方、外側の比較的粒径が小さい燃料噴霧は吸気ポート内壁に当てられるが、粒径が小さく気化し易いので、液状になってシリンダ内に流入することが抑止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
実施形態の燃料噴射装置を示す図1,2において、内燃機関は、気筒毎に2つの吸気バルブ1a,1bを備える。
【0015】
気筒毎の吸気ポート2は、シリンダ直前で2つの吸気ポート2a,2bに分岐し、該吸気ポート2a,2bのシリンダ側開放端には、バルブシートが形成される。
【0016】
そして、前記バルブシートに前記吸気バルブ1a,1bが着座することで、シリンダが密閉され、また、前記吸気バルブ1a,1bがシリンダ側に変位して、バルブシートから離間することで、シリンダ内への混合気の吸入が行なわれる。
【0017】
前記吸気ポート2a,2bは、吸気バルブ1a,1bの手前で円弧状に屈曲形成され、吸気バルブ1a,1bのバルブステム11は、前記円弧状部の外側のポート壁面を貫通して延設される。
【0018】
前記バルブステム11は、バルブガイド11aに挿通され、該バルブガイド11aに案内されて、軸方向に移動する。
前記バルブステム11の端部には、カムシャフト,ロッカアーム,バルブスプリング等からなる動弁機構(図示省略)が配設され、ピストン位置に応じたタイミングで前記吸気バルブ1a,1bを開閉駆動する。
【0019】
前記吸気ポート2a,2bの分岐部よりも上流側の吸気ポート2の前記バルブステム11が貫通される側の稜線部分には、外側に向けて突出する噴射弁取り付け部21が一体的に形成される。
【0020】
そして、前記噴射弁取り付け部21に対して、燃料噴射弁3が、2つの吸気バルブ1a,1bの中心を結んだ線の中央付近をその軸線が指向するように取り付けられる。
【0021】
図3は、前記燃料噴射弁3の構成を示す図である。
図3において、磁性体で形成されたケーシングパイプ51の外側に、電磁コイル52が固定され、ケーシングパイプ51の内側には、筒状のアンカー71とボール72とを溶接して一体化した弁体53が軸方向に摺動自由に嵌挿される。
【0022】
前記アンカー71の段付部には、大径基端側の中空部から、小径先端側の外周空間に向けて、燃料通し孔71aが開口されている。
前記ボール72は、周側に複数の平面部72aが切削形成される。
【0023】
前記弁体53(アンカー71)の上方には、筒状のスプリングハウジング54がケーシングパイプ51の内壁に固定されている。
該スプリングハウジング54内には筒状のスプリングストッパ55が嵌挿して固定され、該スプリングストッパ55の下端と前記アンカー71の大径基端側との間に、リターンスプリング56(コイルスプリング)が圧縮状態で嵌挿されている。
【0024】
前記ケーシングパイプ51の下端部内側には、弁体53のボール72が着座する弁座57aが設けられると共に中心部に噴口が開口された弁座部材57が溶接結合され、該弁座部材57の下端には、複数のノズル孔(噴孔)を開口したノズルプレート58が溶接結合されている。
【0025】
前記ケーシングパイプ51の下端部外側には、キャップ部材59が固定され、前記電磁コイル52の外側を覆うコイルカバー60の下端部がケーシングパイプ51に溶接結合されている。
【0026】
前記ケーシングパイプ51の上端部には、燃料フィルタ62が嵌挿して固定されている。
前記コイルカバー60の上端部から前記ケーシングパイプ51の上端部に至る部分と前記電磁コイル52のリード52aの端部を除く部分が、樹脂ケーシング63でモールドされる。
【0027】
前記樹脂ケーシング63の上端面と前記ケーシングパイプ51の上端フランジ面との間にシール部材64が嵌挿されている。
前記樹脂ケーシング63は、前記電磁コイル52のリード52aの端部周囲を囲んでコネクタ部63aを形成している。
【0028】
そして、前記電磁コイル52の非通電時は、弾性圧縮される前記リターンスプリング56の復帰力による付勢力で、弁体53が前記弁座部材57の弁座57aに着座して閉弁する。
【0029】
上記閉弁状態において、アンカー71と、筒状のスプリングハウジング54との間に所定のクリアラスが設けられるようになっており、前記電磁コイル52に通電して、磁気吸引力がアンカー71に作用すると、前記弁体53は、アンカー71とスプリングハウジング54とが当接する位置までリフトされ、これにより弁体53が前記弁座部材57の弁座57aから離座して開弁する。
【0030】
図4は、前記ノズルプレート58を示す図であり、図のx方向が、吸気バルブ1a,1bの並び方向に一致する。
前記ノズルプレート58には、複数のノズル孔81が形成されるが、前記x方向に直交するy方向の直径を境に2つのノズル孔グループに区分され、一方のグループが吸気バルブ1aに向かう燃料噴霧を形成し、他方のグループが吸気バルブ1bに向かう燃料噴霧を形成することで、吸気バルブ1a,1bそれぞれに向かう2方向噴射を行うように、各ノズル孔81が、ノズルプレート58に対して斜め傾いて形成される。
【0031】
また、前記ノズル孔81は、径の異なる2種類のノズル孔81a,81bからなり、径の大きいノズル孔81aは、軸心側の同心円上に複数形成され、径の小さいノズル孔81bは、前記ノズル孔81aよりも外側の同心円上でかつx方向両側に偏って形成される。
【0032】
上記ノズル孔81a,81bは、その径が異なることから相互に粒径の異なる燃料噴霧を形成し、径が相対的に小さいノズル孔81bで形成される噴霧91aの粒径は、ノズル孔81aで形成される噴霧91bの粒径よりも小さくなる。
【0033】
尚、ノズル孔81a,81bの数,配置が、図4に示したものに限定されないことは明らかである。
ここで、図1及び図2に示すように、径が大きいノズル孔81a(大径噴孔)で形成される燃料噴霧91bは、吸気バルブ1a,1bの傘裏部にそれぞれ当たるように設定される。
【0034】
また、図2に示すように、前記吸気バルブ1a,1bの傘裏部に向かう燃料噴霧91bの吸気バルブ1a,1bの並び方向の両外側には、径が小さいノズル孔81b(小径噴孔)によって燃料噴霧91aが隣接して形成され、該ノズル孔81bによる燃料噴霧91aは、吸気ポート2a,2bの内壁に当たるように設定される。
【0035】
ここで、前記吸気バルブ1a,1bの傘裏部は温度が高いため、燃料噴霧91bの粒径が比較的大きくても充分に燃料を気化させることができる。
一方、吸気ポート2a,2bの内壁は比較的温度が低いが、本実施形態では、この吸気ポート2a,2bの内壁に当たる燃料噴霧91aの粒径を小さくして、気化し易くしてあるので、ポート内壁に当たった燃料が液状となってシリンダ内に流入することを抑止できる。
【0036】
従って、液状燃料がシリンダ内に流入することによる燃料供給の遅れ、排気性状,燃費の悪化を回避できる。
尚、上記実施形態では、中心付近の噴霧粒径よりも噴霧粒径が小さい噴霧を、噴霧パターンの外周の一部にのみ形成させる構成としたが、全周を噴霧粒径が小さい噴霧で囲むようにしても良い。
【0037】
また、燃料噴射弁を2方向弁に限定するものではなく、1方向弁であっても良い。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項3記載の内燃機関の燃料噴射装置において、
前記機関が気筒毎に2つの吸気バルブを備え、前記燃料噴射弁が前記2つの吸気バルブそれぞれに向けて燃料を噴射する2方向弁であり、
中心付近の噴霧粒径よりも噴霧粒径が小さい噴霧を、前記2つの吸気バルブの並び方向の両外側に形成したことを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。
【0038】
かかる構成によると、燃料噴霧が吸気ポート内壁に当たることを極力回避しつつ、吸気ポートに当たる噴霧の粒径が小さく気化し易いことから、液状となってシリンダ内に流入することが回避される。
(ロ)請求項(イ)記載の内燃機関の燃料噴射装置において、
前記燃料噴射弁が、
ノズルプレートに開口される複数の噴孔から燃料を噴射させる構成であって、前記ノズルプレートの軸心側に径の大きな大径噴孔を複数形成すると共に、該大径噴孔よりも外周側でかつ前記2つの吸気バルブの並び方向両側に、前記大径噴孔よりも径の小さい小径噴孔を複数形成してなる内燃機関の燃料噴射装置。
【0039】
かかる構成によると、径の異なる噴孔をノズルプレートに形成することで、各吸気バルブに向かう2方向噴射を行わせ、かつ、中心付近の噴霧粒径よりも噴霧粒径が小さい噴霧を、2つの吸気バルブの並び方向の両外側に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における燃料噴射装置を示す上面断面図。
【図2】実施形態における燃料噴射装置を示す側面断面図。
【図3】実施形態における燃料噴射弁を示す縦断面図。
【図4】実施形態における燃料噴射弁のノズルプレートを示す上面図。
【符号の説明】
1a,1b…吸気バルブ、2a,2b…吸気ポート、11…バルブステム、3…燃料噴射弁、21…噴射弁取り付け部、58…ノズルプレート、81a,81b…ノズル噴孔、91a,91b…燃料噴霧
Claims (3)
- 燃料噴霧の外周側の少なくとも一部に、中心付近の噴霧粒径よりも粒径が小さい噴霧を形成するよう構成された内燃機関の燃料噴射弁。
- ノズルプレートに開口される複数の噴孔から燃料を噴射させる燃料噴射弁であって、
前記ノズルプレートの軸心側に径の大きな大径噴孔を複数形成すると共に、該大径噴孔よりも外周側に前記大径噴孔よりも径の小さい小径噴孔を複数形成してなる内燃機関の燃料噴射弁。 - 燃料噴霧の外周側の少なくとも一部に、中心付近の噴霧粒径よりも噴霧粒径が小さい噴霧を形成する燃料噴射弁を、吸気バルブ上流側の吸気ポートに備え、
前記中心付近の比較的粒径が大きい燃料噴霧を吸気バルブの傘裏部に当て、外周側の比較的粒径が小さい燃料噴霧を吸気ポート内壁に当てることを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。
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JP2003191844A JP2005023875A (ja) | 2003-07-04 | 2003-07-04 | 内燃機関の燃料噴射弁及び燃料噴射装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20180001501A (ko) * | 2016-06-27 | 2018-01-04 | 로베르트 보쉬 게엠베하 | 액체를 분사하기 위한 인젝터 |
-
2003
- 2003-07-04 JP JP2003191844A patent/JP2005023875A/ja active Pending
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