JP2005022925A - Method and device for producing lithium salt - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系溶媒にリチウムイオンが溶解した被処理液からリチウム塩を製造する技術に関する。特に、リチウム電池に由来するリチウムイオンを含む被処理液からリチウム塩を製造する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム含有材から目的とするリチウム化合物を得る技術が求められている。例えば、廃リチウム電池からリチウム成分を回収する技術として、該リチウム電池を処理して得られたリチウム溶液から炭酸リチウムを生成する処理を含むものが提案されている。この種の技術に関する従来技術文献として特許文献1および非特許文献1が挙げられる。特許文献1には、LiOHを炭酸ガスと反応させて炭酸リチウムを生成することが記載されている。炭酸ガスを添加する方法として、溶液中に炭酸ガスをバブリングする方法が挙げられている。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5888463号明細書
【非特許文献1】ティー・ローリー・チャールトン(T. Laurie Charlton),「リチウム電池リサイクル−国際的オプション(Lithium Battery Recycling − An International Option)」, 第9回電池廃棄物管理国際セミナー(9th International Seminar on Battery Waste Management)要旨集,1997年10月,p.228−243
【0004】
【発明が解決しようとする課題】炭酸リチウムは水酸化リチウムに比べて水に対する溶解度が低い。このため、水酸化リチウム溶液にCO2ガスを供給して炭酸リチウムを生じさせると、溶けきれなくなった炭酸リチウムが溶液から析出する。析出した炭酸リチウムは濾過等の手段によって容易に溶液から分離することができる。このようにして、リチウムイオンを含む原料液(例えば水酸化リチウム溶液)から固体状のリチウム塩(炭酸リチウム等)を得ることができる。ここで、被処理液中のリチウム成分から、より効率よくリチウム塩を得る(製造する)ことができれば望ましい。
【0005】
本発明の一つの目的は、リチウム成分(リチウムイオン)を含む被処理液(原料液)からリチウム塩を効率よく製造する方法を提供することである。本発明の他の一つの目的は、そのような方法の実施に適した装置を提供することである。関連する一つの目的は、被処理液に含まれるリチウム成分を効率よく回収する方法およびその方法の実施に適した装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用と効果】本発明者は、リチウムイオンを含む被処理液をCO2ガスと接触させた後、その被処理液に溶存するCO2の濃度を低減することにより上記課題を解決し得ることを見出した。また、そのような製造方法を実施するのに適した装置を創出した。
【0007】
この出願により提供される一つの発明は、水系溶媒にリチウムイオンが溶解している被処理液(原料液)からリチウム塩を製造する方法に関する。その方法は、被処理液をCO2ガスと接触させる工程を含む。また、そのCO2接触工程を経た被処理液の溶存CO2濃度を低減する工程を含む。さらに、かかるCO2濃度低減工程を経た被処理液から炭酸リチウムを含む析出物を分離する工程を含むことができる。
被処理液とCO2ガスとの反応を促進するためには、被処理液とCO2ガスとをよりよく接触させる(接触効率を高める)ことが好ましい。例えば、被処理液とCO2ガスとの接触面積を大きくすること、接触時間を長くすること、接触するCO2ガスの密度(圧力)を高くすること等のうち一または二以上の条件を適用することによって被処理液とCO2との反応を促進し得る。ここで、被処理液とCO2ガスとの接触効率を高めると、その接触により被処理液の溶存CO2濃度が高くなりがちである。被処理液の溶存CO2濃度が高くなると炭酸リチウムの溶解度が上昇することが知られている。炭酸リチウムの溶解度が高くなると析出量が減少し、濾過等の簡便な方法によって回収(溶液から分離)することのできる炭酸リチウムの量(収率)が減少してしまう。本発明の方法では、被処理液とCO2ガスとを接触させた後に、その被処理液の溶存CO2濃度を低減する工程を行う。このCO2濃度低減工程により炭酸リチウムの溶解度が低下するので、該工程を行う前には溶解していた炭酸リチウムを被処理液から析出(再結晶)させることができる。したがって、かかるCO2濃度低減工程を経た被処理液から析出物を分離(濾過等)することにより、被処理液に含まれるリチウム成分から固体状のリチウム塩(炭酸リチウム等)を効率よく製造することができる。
【0008】
上記CO2濃度低減工程において被処理液の溶存CO2濃度を低下させる方法としては、被処理液をCO2接触工程よりもCO2分圧の低い雰囲気に接触させる方法が挙げられる。例えば、大気(空気)雰囲気や窒素雰囲気等の非CO2雰囲気(CO2を実質的に含有しない雰囲気をいう。以下同じ。)下で被処理液を攪拌する方法、非CO2雰囲気中に被処理液を噴霧する方法、そのような非CO2ガス(CO2を実質的に含有しないガス)を被処理液中にバブリングする方法、被処理液を減圧下で攪拌する方法を採用することができる。また、被処理液を煮沸する方法、被処理液に溶存CO2濃度の低い液体(例えば脱イオン水)を添加する方法等を用いてもよい。これらの方法は、単独で、あるいは適宜組み合わせて実施することができる。
【0009】
前記CO2接触工程は加圧下で(常圧を超える圧力の下で)行うことが好ましい。このことによって被処理液とCO2ガスとの反応効率(典型的には炭酸リチウムの生成)を促進することができる。また、前記CO2接触工程はCO2雰囲気(CO2ガスを主成分とする雰囲気をいい、典型的には50mol%以上がCO2により構成される雰囲気、好ましくは90mol%以上がCO2により構成される雰囲気、特に好ましくは実質的にCO2により構成される雰囲気をいう。)の下で行うことが好ましい。
ここで、CO2雰囲気下では非CO2雰囲気下に比べて炭酸リチウムの溶解度が上昇することが知られている。例えば、常圧(約100kPa)の大気雰囲気(非CO2雰囲気)下では、60℃の水に対する炭酸リチウムの溶解度は約1g/100g(溶液)である。一方、常圧のCO2雰囲気下では、同温度の水に対する炭酸リチウムの溶解度は約4g/100g(溶液)である。かかる溶解度の上昇は、加圧されたCO2雰囲気下ではさらに顕著なものとなる。
本発明の方法では、CO2接触工程を加圧下および/またはCO2雰囲気下(好ましくは加圧CO2雰囲気下)で行うことにより炭酸リチウムの溶解度が上昇しても、後続するCO2濃度低減工程で炭酸リチウムの溶解度を低下させるので、生成した炭酸リチウムを効率(収率)よく析出させることができる。すなわち、この方法によると、CO2接触工程を加圧下および/またはCO2雰囲気下で行うことによる炭酸リチウムの生成促進(反応効率の向上)と、炭酸リチウムの析出量(回収率)向上という相反する課題を両立させることができる。
なお、CO2接触工程を加圧下で行う場合の圧力(加圧の程度)は特に限定されない。被処理液とCO2との反応効率を高めるという観点からは圧力を高くすることが好ましい。一方、加圧の程度を高くしようとすると、反応容器等に要求される耐圧強度が高くなる。このため装置等が大型化しがちである。これらのバランスから、好ましい加圧の程度は例えば約100〜1000kPa(約1〜10atm)であり、より好ましくは約100〜200kPa(約1〜2atm)である。
【0010】
上記CO2接触工程の好適な態様は、被処理液中にCO2ガスをバブリングする処理を含む。このようなバブリング処理に代えて、あるいはバブリング処理に加えて、被処理液をCO2雰囲気中に噴霧する処理を含むことができる。バブリング処理および噴霧処理の双方を実施する(より好ましくは、これらの処理を並行して実施する)ことが好ましい。これにより、被処理液とCO2ガスとをより効率よく接触させて、被処理液とCO2との反応効率をさらに高めることができる。このように被処理液とCO2ガスとの接触効率をよくすると、被処理液の溶存CO2濃度が上昇して炭酸リチウムの溶解度が高くなりがちである。本発明の方法によると、かかる場合にも、後続するCO2濃度低減工程により溶解していた炭酸リチウムを析出させることができるので、被処理液からリチウム塩を効率(収率)よく回収することができる。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記CO2接触工程を経た被処理液から炭酸リチウムを含む析出物を分離する工程を含む。その分離後に残った被処理液から炭酸リチウムを含む析出物が生じるようにCO2濃度低減工程を行う。そして、該CO2濃度低減工程で新たに生じた析出物を被処理液から分離する。
CO2接触工程を経た被処理液から析出物を分離し、その分離工程を経た被処理液をCO2濃度低減工程に供することにより、被処理液の取り扱い(移送、攪拌、濾過等)が容易なものとなり得る。なお、CO2接触工程を経た被処理液から析出物を分離することなくCO2濃度低減工程を実施してもよい。このような態様は、リチウムイオン濃度(リチウム成分の含有割合)が比較的低い被処理液からリチウム塩を製造する場合等、CO2接触工程で生じる析出物の量が比較的少ない(あるいは、CO2接触工程では実質的に析出物が生じない)場合に適している。
【0012】
他の好ましい態様は、前記CO2濃度低減工程および前記分離工程を経た被処理液にフッ素イオンを供給する工程を包含する。フッ素イオンの供給は、例えば、フッ酸(HF)の添加、フッ素ガスのバブリング等によって行うことができる。このフッ素塩生成工程では、該被処理液中に残留しているリチウム成分からフッ化リチウム(LiF)を含む析出物を生じさせる。このフッ化リチウムは、被処理液を濾過して析出物を分離する等の方法によって回収することができる。このようにして固体状のフッ化リチウム(リチウム塩)を製造することができる。かかる製造方法によると、当初の被処理液(原料液)に含まれていたリチウム成分を有効に利用して、該被処理液からリチウム塩(典型的には、炭酸リチウムおよびフッ化リチウム)を効率(収率)よく製造することができる。
【0013】
このようなリチウム塩製造方法に用いる被処理液は、リチウム塩製造の出発原料に相当するものであって、水系溶媒にリチウムイオンが溶解しているリチウム溶液である。ここで「水系溶媒」とは、水または水を主体とする混合溶媒を指す。この混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール等)が挙げられる。好ましい被処理液の一例は、水に水酸化リチウムが溶解したリチウム溶液である。
この被処理液(原料液)は、リチウム以外の金属成分を含むものであってもよい。例えば、この被処理液がリチウム電池に由来するもの(リチウム電池を処理して得られたもの)である場合には、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、鉄(Fe)等のうち一種または二種以上の金属成分が溶解したものであり得る。本発明の方法は、このような金属成分(例えば、リチウム電池に由来する被処理液に含まれがちな金属成分)が共存するリチウム溶液(被処理液)から有用なリチウム塩(例えば、高純度の炭酸リチウム)を製造する方法として適している。また、使用する被処理液(原料液)はリチウム以外のアルカリ金属成分を実質的に含有しないことが好ましい。このような被処理液を用いることにより、特に有用な(高純度の)リチウム塩を製造し得る。
【0014】
この出願により提供されるリチウム塩製造方法は、リチウム電池を処理して得られた被処理液を用いて実施することができる。リチウム電池に由来する被処理液には、リチウム成分(典型的には水酸化リチウム)の他に、Ni,Co,Cu,Fe等のうち一種または二種以上の金属成分(典型的には、そのような金属の水酸化物)が溶解していることがある。このような遷移金属(Ni,Co,Cu,Fe等)の水酸化物と水酸化リチウムとが共に溶解している被処理液にCO2ガスを供給すると、CO2との反応性の高いイオン種が優先的に炭酸塩を形成しようとする。ここで、各金属の水酸化物から炭酸塩が生成する際の生成エンタルピーについて検討すると、LiOHからLi2CO3が生じる反応では約−732kJ/molであるのに対して、Co(OH)2からCoCO3が生じる反応では約−174kJ/mol、Cu(OH)2からCuCO3が生じる反応では約−151kJ/mol、Fe(OH)2からFeCO3が生じる反応では約−166kJ/molである。リチウムは他の金属(遷移金属)に比べて炭酸塩を生成しやすいことがわかる。このことから、リチウム成分を含む被処理液にCO2ガスを供給する工程を含む上記製造方法は、使用する被処理液が他の金属(リチウム電池に由来するNi,Co,Cu,Fe等)をも含む場合にも好ましく適用することができる。したがって、この出願により提供される方法は、リチウム電池に由来する被処理液からリチウム塩を製造する方法として好適である。また、リチウム電池に由来する被処理液からリチウム成分(リチウム塩)を回収する方法として好適である。また、リチウム電池からリチウム塩(炭酸リチウム等)を製造する方法として好適である。
【0015】
また、この出願により提供されるリチウム塩製造方法は、リチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを含む複合酸化物を処理して得られた被処理液を用いて実施することができる。かかる複合酸化物から被処理液を得る方法としては、リチウム電池の構成材料に由来する被処理材であって前記複合酸化物を含む被処理材にH2Oを供給して該複合酸化物から水酸化リチウムを生じさせる工程(水酸化リチウム生成工程)と、その水酸化リチウムを水に溶出させる工程とを含む処理方法を好適に用いることができる。該溶出工程で得られたリチウム溶液を被処理材の不溶分から分離して用いることが好ましい。
上記処理方法を適用する複合酸化物の好適例としては、リチウムとニッケルとを含む複合酸化物が挙げられる。ここで、「リチウムとニッケルとを含む複合酸化物」とは、リチウムとニッケルとを構成金属元素とする酸化物の他、リチウムおよびニッケル以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、リチウムおよびニッケル以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味である。そのような複合酸化物は、例えば一般式LiNi1−xAxO2で表すことができる。この式中のAは上記「他の少なくとも一種の金属元素」に対応する。また、式中のxは、0≦x<0.5、好ましくは0.1<x<0.3を満たす値である。上記複合酸化物の他の好適例としては、リチウムとコバルトとを含む複合酸化物(リチウムおよびコバルト以外の少なくとも一種の金属元素を含有するものを包含する。)、リチウムとマンガンとを含む複合酸化物(リチウムおよびマンガン以外の少なくとも一種の金属元素を含有するものを包含する。)が挙げられる。
【0016】
上記水酸化リチウム生成工程では、被処理材に含まれる複合酸化物(以下、「リチウム・遷移金属含有複合酸化物」ともいう。)にH2Oを作用させて水酸化リチウムを生じさせる。リチウム・遷移金属含有複合酸化物を水蒸気および酸素を含む気相に接触させてH2Oを供給することが好ましい。これにより、水酸化リチウムの生成反応を効率よく進行させることができる。また、かかる反応をさらに促進するには、加熱および/または加圧条件下でH2Oを供給することも有効である。典型的には、前記水酸化リチウム生成工程で、前記複合酸化物から水酸化リチウムとともに前記一種または二種以上の遷移金属元素のうち少なくとも一種の遷移金属元素の水酸化物(例えば、リチウム・ニッケル含有複合酸化物であれば主として水酸化ニッケル(Ni(OH)2 ))が生じる。水酸化リチウムは水溶性である。一方、上記処理前のリチウム・遷移金属含有複合酸化物や、該処理によって生じる遷移金属水酸化物は実質的に非水溶性であり、少なくとも水酸化リチウムに比べて水に対する溶解度が著しく低い。例えば、25℃の水に対する水酸化リチウム(LiOH)の溶解度は約12.5g/100g(H2O)であるのに対し、Ni(OH)2の溶解度は約7.5×10−4g/100g(H2O)、Fe(OH)2の溶解度は約4.8×10−3g/100g(H2O)、Cu(OH)2の溶解度は約2.4×10−3g/100g(H2O)、Co(OH)2の溶解度は約8〜22×10−4g/100g(H2O)である。したがって、H2Oで処理した被処理材の不溶分から水酸化リチウムを水で溶出する際、遷移金属水酸化物は不溶分として残る。この水に対する溶解度の違いを利用して、水酸化リチウム(リチウム成分)と遷移金属水酸化物(遷移金属成分)とを容易に分離することができる。このようにして得られたリチウム溶液(水に水酸化リチウムが溶解した溶液)を、上述したリチウム塩製造方法に用いる被処理液(原料液)として好ましく用いることができる。
【0017】
ここで、リチウム・遷移金属含有複合酸化物を含む被処理材は、他の電池構成材料をなるべく取り除いた(分別した)状態で上記水酸化リチウム生成工程に供することが好ましい。このようにして得られた被処理液(原料液)を用いて本発明の方法を実施することによって、より有用な(再利用性のよい)リチウム塩を製造することができる。例えば、遷移金属元素や他のアルカリ金属元素等(異種金属元素)の混入がより少ない(品質のよい)炭酸リチウムが得られる。もっとも、水酸化リチウム生成工程に供する被処理材の分別は、かかる分別を行うためのコストや手間等と、それにより奏される効果の大きさ(得られるリチウム塩の品質等)とを勘案して、それらが適切なバランスとなるように行えばよい。例えば、一般的なリチウム電池の多くは、導電性のよい集電体(金属箔等)に、正極活物質としてリチウム・遷移金属含有複合酸化物を含む正電極材が付着した構成の正極を備える。この正電極材は、典型的には正極活物質に加えてポリフッ化ビニリデン等の結着剤(バインダ)を含有する。さらにカーボンブラック等の導電材を含有することもある。これらを含む正電極材を、そのまま被処理材として用いる(水酸化リチウム生成工程に供する)ことができる。また、後述する加熱処理等によって結着剤の少なくとも一部(好ましくは実質的に全部)を除去した正電極材を被処理材として用いてもよい。負極活物質を含む負電極材が集電体に付着した構成の負極を備えるリチウム電池にあっては、その負電極材と正電極材(正極活物質等)とを含む被処理材を用いてもよく、実質的に正電極材(正極活物質等)のみを含む被処理材を用いてもよい。
【0018】
一方、あらかじめ被処理材と分別しておくことが好ましい電池構成材料の一例としては電解液(特に、電解液を構成する有機溶媒)が挙げられる。他の一例としては、電池容器や集電体等の金属部材等が挙げられる。好ましい一つの態様では、リチウム電池を構成する電解液および金属部材からリチウム・遷移金属含有複合酸化物を含む電極材を分別し、その電極材を上記水酸化リチウム生成工程に供する。この電極材は、正電極材と負電極材とが混ざった状態であってもよく、負電極材を実質的に含まない状態であってもよい。
なお、一般にリチウム電池の負極活物質としては、リチウムイオンを挿入・脱離し得るカーボン材料(カーボンブラック等)が用いられる。上記水酸化リチウム生成工程では、負極活物質に挿入されているリチウムからも水酸化リチウムが生成し得る。この水酸化リチウムを水で溶出して不溶分と分離することにより、負極活物質中のリチウム成分を容易に取り出すことができる。したがって、水酸化リチウム生成工程に供される電極材が正電極材と負電極材とを含む場合には、これら両電極材に含まれるリチウム成分から水酸化リチウムを生じさせ、これを水で溶出して回収することができる。
【0019】
他の一つの好ましい態様では、リチウム電池を加熱して揮発性材料を除去する処理を行う。ここで「揮発性材料」とは、加熱により気体状(蒸発、昇華、熱分解等の種類を問わない)となって除去し得る材料をいう。そのような揮発性材料としては、電解液を構成する有機溶媒、電解質(リチウム塩等)、セパレータ、結着剤、絶縁材、外装塗料等の一種または二種以上が挙げられる。リチウム電池に含まれる有機物(有機溶媒、セパレータ、結着剤等)の大部分を除去することが好ましく、実質的に全部を除去することがより好ましい。その加熱後に残った電池構成部材(例えば電池容器、集電体等の金属材料)から上記複合酸化物を含む電極材(正電極材と負電極材とが混ざっていてもよい)を分別する。この分別は、例えば篩い分け等により行うことができる。このようにして分別した電極材を被処理材として前記水酸化リチウム生成工程に供する。なお、この被処理材は、加熱後に残った電池構成部材の全部または一部を含んでもよい。
【0020】
この出願により提供される他の一つの発明は、水系溶媒にリチウムイオンが溶解している被処理液からリチウム塩を製造する装置に関する。そのリチウム塩製造装置はCO2接触部を備える。該CO2接触部は、前記被処理液が供給される反応室と、該反応室にCO2ガスを供給するCO2ガス供給手段とを有する。また、この製造装置はCO2濃度調整部を備える。該CO2濃度調整部は、前記反応室を経た被処理液が供給されるCO2濃度調整室と、該調整室内の被処理液のCO2濃度を調整するCO2濃度調整手段とを有する。この製造装置は、前記CO2濃度調整室に接続された回収室を備えることができる。該回収室は、該CO2濃度調整室を経た被処理液から析出物を分離可能に構成されている。かかる構成のリチウム塩製造装置は、上述したリチウム塩製造方法を実施するのに好適である。
【0021】
このような製造装置の好ましい態様では、前記CO2接触部が、前記反応室(典型的には、前記CO2供給手段にてCO2雰囲気とされている。)に前記被処理液を供給する供給手段を備える。例えば、外部からの被処理液を該反応室に噴霧して供給するように構成された噴霧手段(すなわち、噴霧供給手段)を備えることができる。また、前記反応室に貯留する前記被処理液を該反応室内に噴霧するように構成された噴霧手段(すなわち、噴霧循環手段)を備えることができる。これらの噴霧手段の少なくとも一方を備える製造装置が好ましく、これらの噴霧手段(噴霧供給手段、噴霧循環手段)の双方を備える製造装置がより好ましい。このような製造装置によると、被処理液とCO2ガスとを効率よく接触させることができる。
【0022】
この出願により提供される製造装置は、前記反応室に接続されており該反応室から移送された被処理液から析出物を分離可能に構成された回収室を備えることができる。この回収室は、CO2濃度調整室を経た被処理液から析出物を分離する回収室と兼用することができる。また、反応室から移送された被処理液から析出物を分離する第一の回収室と、CO2濃度調整室を経た被処理液から析出物を分離する第二の回収室とを別々に備える構成としてもよい。あるいは、反応室を経た被処理液が回収室を経ることなくCO2濃度調整室に移送され、該調整室を経た被処理液が回収室に移送されるような構成とすることもできる。この製造装置は、前記CO2濃度調整室と前記回収室との間で被処理液を循環可能に構成することができる。これにより、リチウム塩(主として炭酸リチウム)の製造効率(収率)をさらに向上させることができる。
【0023】
この出願により提供される製造装置は、前記CO2濃度調整室を経た被処理液が供給される第二の反応室と、該反応室にフッ素イオンを供給するフッ素イオン供給手段とを有するフッ素塩生成部をさらに備えることができる。また、前記第二反応室に接続されており、該反応室から移送された被処理液から析出物を分離可能に構成されている第二の回収室をさらに備えることができる。かかる構成の製造装置によると、CO2濃度調整室を経た被処理液に含まれるリチウム成分から固体状のフッ素塩(主としてフッ化リチウム)を製造することができる。この製造装置は、被処理液(原料液)から炭酸リチウムおよび/またはフッ化リチウムを製造する装置として好適に用いることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】この発明はまた、下記の形態で実施することができる。
(形態1)
リチウム・遷移金属含有複合酸化物を有するリチウム電池からリチウム塩を製造する方法。その方法は、該リチウム電池に所定の処理(例えば、上述した水酸化リチウム生成工程および溶出工程を含む処理)を施して、被処理液としてのリチウム溶液(典型的には、水に水酸化リチウムが溶解したリチウム水溶液)を得る工程を含む。そして、その被処理液(原料液)を用いて上述したいずれかのリチウム塩製造方法を行う工程を含む。
この形態のリチウム塩製造方法は、例えば、リチウム・遷移金属含有複合酸化物を用いた廃リチウム電池(使用済みのリチウム電池等)からリチウム成分を回収する方法(すなわち、この出願により提供されるリチウム電池のリサイクル方法)に適用することができる。
【0025】
(形態2)
リチウム・ニッケル複合酸化物を有するリチウム電池に上記水酸化リチウム生成工程および上記溶出工程を含む処理を施してリチウム溶液(典型的には、水に水酸化リチウムが溶解したリチウム水溶液)を得る。このリチウム溶液を被処理液(原料液)に用いて上述したいずれかのリチウム塩製造方法を実施する。
リチウム・遷移金属含有複合酸化物がH2Oと接触して水酸化リチウムおよび遷移金属水酸化物を生じる反応は、該複合酸化物の加水分解反応としてとらえることができる。リチウム・ニッケル含有複合酸化物は、リチウムと他の遷移金属元素との複合酸化物(例えばリチウム・コバルト含有複合酸化物)に比べて上記加水分解を受けやすい(耐加水分解性が低い)。したがって、リチウム・ニッケル含有複合酸化物を用いたリチウム電池は、上記水酸化リチウム生成工程を含む処理方法によって被処理液(原料液)を得るのに適している。そのようなリチウム・ニッケル含有複合酸化物の一例としては、一般式LiNiO2で表されるものが挙げられる。また、他の例としては、一般式LiNi1−xCoxO2で表されるものが挙げられる。ここで、0<x<0.5であり、好ましくは0.1<x<0.3である。Coに代えてAl,Mn,Cr,FeまたはVを有する複合酸化物であってもよい。さらに他の例としては、一般式LiNi1−y−zCoyAlzO2で表されるものが挙げられる。ここで、0≦y<0.5(好ましくは0<y<0.2)であり、0<z<0.5(好ましくは0<z<0.1)であり、かつ0<(y+z)<0.5(好ましくは0.1<(y+z)<0.3)である。Alに代えて、あるいはAlとともに、Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素を有する複合酸化物であってもよい。
【0026】
【実施例】以下、本発明に関する具体的実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。また、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0027】
<実施例1:リチウムイオン二次電池を用いたリチウム塩の製造>
この実施例1は、リチウム・ニッケル複合酸化物を正極活物質とするリチウム電池を所定の処理方法で処理してリチウム溶液を得、そのリチウム溶液(原料液)を用いてリチウム塩を製造する一例である。
まず、被処理液を得るための処理対象たるリチウム電池(ここでは、使用済みの車両用リチウムイオン二次電池)の構成を説明する。図2は、本実施例に係るリチウムイオン二次電池を示す模式的断面図である。この図に示されるように、二次電池1は、一対の電極シート(正極シート12および負極シート14)が二枚のセパレータシート16を介して偏平状に捲回された捲回型電極体10と、電極体10を収容する偏平な直方体状(角型または平型ともいう。)の容器20と、電極体10の軸方向両端部に接続された正極端子30および負極端子40とを備える。
【0028】
電極体10を構成する正極シート12の捲回前の状態を図3に示す。この正極シート12は、長尺状の正極集電体122と、その両面に正電極材を層状に付着させて設けられた正電極材層124とを備える。正極シート12の一方の長辺側(図3の上側)は、いずれの面にも正電極材層124が設けられていない接続部126となっている。なお、負極シート14の構造は正極シート12と同様であるので、図3の括弧内に負極シート14に対応する番号を付し、重複した説明は省略する。
電極体10は、これらのシートを正極シート12、セパレータシート16、負極シート14、セパレータシート16の順に積層し、この積層体を長尺方向に捲回した構成を有する。ここで、正極シート12と負極シート14とは捲回軸方向に対して互いに位置をずらして、セパレータシート16の両側から接続部126,146がそれぞれはみ出すようにして積層されている。その結果、図2に模式的に示すように、電極体10の軸方向の一端は主として正極シート12から構成され、軸方向の他端は主として負極シート14から構成されている。この一端および他端に正極端子30および負極端子40がそれぞれ接続されている。
【0029】
このリチウムイオン二次電池1の正電極材層124は、第一遷移金属元素がニッケルであって、他の金属元素としてコバルトを含有するリチウム・ニッケル含有複合酸化物から実質的に構成される正極活物質を主成分とする。かかる正極活物質は、一般式LiNi1−xCoxO2(0<x<0.5、好ましくは0.1<x<0.3)で表すことができる。本実施例に係る二次電池1では、上記一般式におけるxが約0.2であるリチウム・ニッケル含有複合酸化物(すなわち、LiNi0.8Co0.2O2で表される複合酸化物)を正極活物質に用いている。正電極材層124は、カーボンブラック(CB)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をさらに含有する。それらの含有割合は、例えば正極活物質:CB:PTFEの質量比が凡そ85:10:5となる割合である。一方、負電極材層144は、負極活物質としてのカーボンブラック(CB)を主成分とし、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含有する。それらの含有割合は、例えばCB:PTFEの質量比が凡そ90:10となる割合である。この二次電池1を構成する正極集電体122および正極端子30はアルミニウム製(アルミニウムまたはアルミニウム合金を主構成材料とすることをいう。以下同じ。)であり、負極集電体142および負極端子40は銅製である。また、セパレータシート16はポリオレフィン製(ここではポリエチレン製)の多孔質シートである。
【0030】
容器20はアルミニウム製であって、有底筒状の本体22と、本体22の上端開口部を封止する蓋体24とを備える。この容器20に捲回型電極体10が収容されている。正極端子30および負極端子40は、蓋体24を貫通して容器20の外方に延びている。これらの端子30,40はナット32,42により蓋体に固定されている。正極端子30と蓋体24は絶縁体26により隔てられている。また、蓋体24には安全弁28が設けられている。この安全弁28は、容器20の内部圧力が所定の設定値を超えて高くなると容器20の内外を自動的に連通させて圧力を解放するように構成されている。
【0031】
電極体10には図示しない電解液が含浸されている。この電解液を構成する有機溶媒としては、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。本実施例に係る二次電池1ではジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との7:3(質量比)混合溶媒を用いている。また、この電解液を構成する電解質としては、LiPF6,LiCF3SO3,LiC4F9SO3,LiClO4,LiBF4,LiAsF6,LiN(CF3SO2)2,LiC(CF3SO2)3等の各種リチウム塩から選択される一種または二種以上を用いることができる。本実施例に係る二次電池1ではヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を用いている。その濃度は約1mol/リットルである。
【0032】
次に、上記構成のリチウムイオン二次電池1から被処理材としての電極材を分離するとともに二次電池1から有価物を回収する手順につき説明する。図1は、その手順の概略を示すフローチャートである。
まず、使用済みのリチウムイオン二次電池1を加熱して揮発性成分(主として有機物)を回収する処理を行う(ステップ220)。このステップ220は、有機溶媒を除去(回収)するステップ222と、電解質を除去(回収)するステップ224と、セパレータを除去(回収)するステップ226と、結着剤を除去(回収)するステップ228とを含む。
【0033】
かかる揮発性成分の回収に用いる装置の概略構成例を図4に模式的に示す。図4において、減圧加熱炉60は、処理室64を区画する本体61を備える。本体61の壁面には誘導加熱コイル62が設けられている。処理室64内の温度は、コイル62に接続された温度制御器63によって任意のパターンに制御することができる。本体61には真空ポンプ65が接続されており、処理室64の内部圧力を任意に制御できるようになっている。
処理室64の下方には一次冷却装置67が設けられている。処理室64内の気体(例えばリチウムイオン二次電池から揮発した有機溶媒)は炉内ガス導管66を介して一次冷却装置67に導入される。一次冷却装置67の壁面には誘導加熱コイル68が設けられており、この一次冷却装置67における冷却の程度を調節することができるようになっている。一次冷却装置67の下流には、炉外ガス導管70を介して二次冷却装置71が連結されている。この二次冷却装置71で冷却されて凝縮(液体化または固体化)した回収物はコレクタ74に集められる。残りの気体は排ガス浄化器72を介して外部に排出される。
【0034】
このような構成の装置を用いて、例えば以下のようにして二次電池1から有機溶媒を揮発除去し、その揮発物を回収する(ステップ222)。すなわち、あらかじめ開孔した使用済みリチウムイオン二次電池1を処理室64に収容する。二次電池1を開孔する方法は、容器に孔をあける方法、安全弁を作動させる方法等から適宜選択すればよい。真空ポンプ65を稼動させて処理室64内を減圧する。この減圧の程度は特に限定されない。通常は少なくとも80kPa以下(典型的には0.1〜80kPa)に減圧することが適当である。50kPa以下(典型的には0.1〜50kPa)に減圧することがより好ましい。本実施例では処理室64内を1〜10kPaに減圧している。
かかる減圧状態を維持しつつ、誘導加熱コイル62に通電して処理室64内の温度(炉内温度)を上昇させる。これにより二次電池1を加熱する。このときの加熱温度は、処理室64内の圧力に応じて、二次電池1に用いられている電解液の有機溶媒の沸点(二種以上の有機溶媒を含む場合には各成分の沸点またはそれらの共沸点)付近とすることができる。あるいは、上記有機溶媒以外の電池構成材料が実質的に揮発しない範囲で、該有機溶媒の沸点を上回る温度に加熱することも好適である。これにより二次電池1から有機溶媒を効率よく揮発させることができる。なお、常圧におけるDMCの沸点は約90℃であり、EMCの沸点は約107℃である。
【0035】
本実施例では、図5に示す温度チャートのように、炉内温度を常温から徐々に上昇させ、約85℃に30分間維持する(図中に矢印aで示す段階)。これにより上記有機溶媒のうちDMCが優先的に揮発(ガス化)する。発生したガスは、炉内ガス導管66、一次冷却装置67および炉外ガス導管70を経て二次冷却装置71に導入される。この二次冷却装置71でガスを冷却して有機溶媒を凝結(液化)させ、コレクタ74に回収する。次いで、炉内温度をさらに上昇させ、102℃に30分間維持する(図中に矢印bで示す段階)。これにより、残存する有機溶媒(主としてEMC)を揮発(ガス化)させて二次冷却装置71で液化・回収する。
このように本実施例では、沸点の異なる二成分を含む有機溶媒(混合溶媒)を、二段階の加熱によって揮発させる。すなわち、上記aの段階で相対的に低沸点のDMCの大部分を揮発させた後に、加熱温度をさらに上昇させて残りの有機溶媒(主としてEMC)を揮発させる。このように加熱温度を段階的に変化させて低沸点溶媒から高沸点溶媒へと順に抜き取ることにより、加熱による変質(分解等)を抑制しつつ有機溶媒を効率よく揮発・回収することができる。
なお、24℃におけるDMCの蒸気圧は約2.4kPaであり、25℃におけるEMCの蒸気圧は約3.3kPaである。このため、上記a〜b段階で揮発したDMCおよびEMCは、典型的には混合溶媒として回収される。後述するように、この回収された混合溶媒は、不純物(DMCおよび/またはEMCの熱分解物等)の含有割合が少なく、再利用性のよいものである。例えば、リチウムイオン二次電池用の電解液として使用(再利用)することができる。
【0036】
次いで、上記加熱後に残った電池構成材料から電解質(ここではLiPF6)を揮発(主として熱分解)させて除去し、その揮発物を回収する(ステップ224)。例えば図5に示す温度チャートのように、炉内温度を約160〜180℃(LiPF6の熱分解温度域に相当する)に維持する(図中に矢印cで示す段階)。これによりLiPF6が熱分解してフッ化リチウム(LiF)およびフッ化リン(PF5)が生じる。フッ化リンは、一次冷却装置67および二次冷却装置71を経て、真空ポンプ65の下流にある排ガス浄化器72に導入される。この排ガス浄化器72の器内には水酸化カルシウム水溶液が貯留されており、この水酸化カルシウムがフッ化リンと反応してフッ化カルシウム(CaF2)およびリン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)を生じる。これによりフッ素成分およびリン成分を固体として安定的に回収(捕集)することができる。なお、このcの段階を行う際の加熱温度は上記温度に限定されるものではなく、実用的な速度で電解質を揮発させて二次電池1から除去し得る温度域であればよい。例えば、電解質の揮発(熱分解)温度と同等以上の温度域で行うことができる。揮発(熱分解)温度〜+50℃の範囲とすることが好ましい。減圧度が同程度であれば、c工程における加熱温度は上記aおよびbの段階の温度よりも80℃以上高く設定することが好ましい。
【0037】
上記加熱後に残った電池構成材料からセパレータを揮発(主として熱分解)させて除去し、その揮発物を回収する(ステップ226)。すなわち、図5に示す温度チャートのように、炉内温度を約300℃に維持する(図中に矢印dで示す段階)。これにより、図2に示す電極体10を構成するセパレータ16(多孔質ポリエチレンシート)が熱分解して低級炭化水素等のガスを生じる。そのガスは、一次冷却装置67および/または二次冷却装置71にて液状(例えば、複数種類の炭化水素の混合物を主体とする粘稠な液体状)または固体状として回収することができる。得られた回収物は、燃料等として有効に再利用することができる。なお、このdの段階を行う際の加熱温度は上記温度に限定されるものではなく、セパレータを揮発(熱分解等)させて二次電池1から除去し得る温度域であればよい。ポリオレフィン製(ポリエチレン製、ポリプロピレン製等)のセパレータであれば、加熱温度を例えば230〜450℃の温度範囲とすることができ、300〜400℃の範囲とすることが好ましい。減圧度が同程度であれば、このd段階における加熱温度を上記c段階の温度よりも50℃以上(典型的には50〜250℃、好ましくは100〜200℃)高く設定することが好ましい。
【0038】
さらに、上記加熱後に残った電池構成材料から、電極材を構成する結着剤を揮発(主として熱分解)させて除去し、その揮発物を回収する(ステップ228)。すなわち、図5に示す温度チャートのように、炉内温度を約550℃に維持する(図中に矢印eで示す段階)。これにより、電極材を構成する結着剤(ポリテトラフルオロエチレン)が熱分解して、低級炭化水素やフッ化物等のガスを生じる。生じたガスは、一次冷却装置67、二次冷却装置71および排ガス浄化器72のうち一または二以上の箇所で液体状または固体状として回収(捕集)することができる。なお、このe段階を行う際の加熱温度は上記温度に限定されるものではなく、実用的な速度で結着剤を揮発させて炉内から除去し得る温度域であればよい。例えば、結着剤としてポリテトラフルオロエチレンを用いている場合には、上記e段階における加熱温度を430〜570℃(好ましくは500〜550℃)の温度範囲とすることができる。また、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを用いている場合には、この加熱温度を400〜570℃(好ましくは470〜520℃)の温度範囲とすることができる。減圧度が同程度であれば、このe段階における加熱温度を上記d段階の温度よりも50℃以上(典型的には50〜350℃、好ましくは100〜300℃)高く設定することが好ましい。結着剤の除去に要する時間の短縮および/または結着剤の除去率の向上という観点からは、このe段階を行う際の加熱温度を高めに設定することが好ましい。ただし、この電池を構成する金属部材(例えばアルミニウム製の正極集電体)が溶融しない程度の温度(例えば、アルミニウムの場合には凡そ570℃以下、より好ましくは凡そ550℃以下)とすることが好ましい。
【0039】
以上の工程(ステップ220)では、加熱温度を段階的に上昇させて各段階毎に揮発物を回収する。このように二次電池からその構成材料を揮発温度の低い材料から高い材料へと順次抜き取ることにより、再利用性のよい回収物(有価物)を得ることができる。なお、このように電池からまず有機溶媒を抜き取る(除去する)ことは、電池の内部抵抗が高まること等から、以後の工程における電池の取扱性が向上するので好ましい。また、この有機溶媒の抜き取り(ステップ222)を減圧下で行うことにより、(1).過度の加熱による有機溶媒の変質を防ぐ、(2).有機溶媒の除去に要する時間を短縮する、(3).加熱のためのエネルギーを節約する、のうち少なくとも一つの効果を得ることができる。
【0040】
上記工程(ステップ220)を経て有機物が除去された電池構成材料(加熱残分)には、容器と、正極および負極の端子と、正極および負極の集電体と、正極および負極の電極材(結着剤を除く)が含まれている。図1に示すステップ232,234では、この加熱残分から金属部材を回収(分別)する。
すなわち、ステップ232では容器20(図2参照)を例えば上下に分割(切断等)して容器20から電極体10を取り出す。ナット32,42を緩めて容器20(蓋体22)と電極体10とを分離する。このようにして分別した容器20(本体22および蓋体24)は、アルミニウム材料として各種用途に再利用することができる。
【0041】
捲回型電極体10は、すでにセパレータシート16が失われている(揮発している)ことにより空隙の多い状態となっている。このため、電極体10を構成している正極集電体122と負極集電体142とを容易に分離することができる。例えば、正極端子30と負極端子40とを電極体10の捲回軸方向に互いに遠ざかるように引っ張ることにより、捲回状態にある正極集電体122から、同じく捲回状態にある負極集電体142を引き抜くことができる。また、これらの集電体122,142の両面で電極材層124,144を構成していた電極材は、すでに結着剤が揮発していることから、集電体から脱落(剥離)しているか、少なくとも脱落しやすい状態となっている。したがって、集電体を振動篩機により加振する方法、集電体を水に漬けて超音波振動を加える方法等によって、集電体表面に残っている電極材を容易に脱落させることができる。このようにして集電体を分離回収する(ステップ234)。回収した集電体は、アルミニウム材料および銅材料としてそれぞれ各種用途に再利用することができる。
【0042】
図1に示すステップ240は、ここまでの工程によって種々の電池構成部材から分別された電極材(正電極材と負電極材との混合物)を被処理材として、これにH2Oを供給する(加水分解処理を施す)工程である。この工程に用いる装置の概略構成例を図6に模式的に示す。
加水分解処理装置80は、処理室90を区画する密閉型圧力容器81を備える。この容器81はステンレス鋼を用いて構成されている。容器81の外側には誘導加熱コイル82が設けられている。処理室90の内部温度はコイル82に接続された温度制御器83により制御することができる。また、この内部温度は温度センサ84により監視することができる。圧力容器81にはH2O供給管88および酸素供給管89が接続されている。また、圧力容器81には処理室90の処理圧力を調整するためのリーク弁91が接続されている。これにより処理室90は水蒸気および酸素が充満した雰囲気となっている。
【0043】
圧力容器81の内部には処理槽86が載置されている。この処理槽86に処理対象たる電極材85を収容して、上述のように水蒸気および酸素が充満した処理室90内の雰囲気に曝す。このようにして電極材85にH2O(水蒸気)を供給することより、電極材85に含まれる正極活物質が加水分解して、水酸化リチウムおよび遷移金属水酸化物(主として水酸化ニッケル)を生じる。また、電極材85に含まれる負極活物質に挿入されたリチウムからも水酸化リチウムが生じる。
このとき圧力容器内では、例えば以下の反応式により表される現象等が起こっているものと考えられる。
【0044】
3LiNiO2+2H2O→3NiOOH+Li2O+LiOH ・・・(1)
2NiOOH+H2O→2Ni(OH)2+1/2O2 ・・・(2)
Li2O+H2O→2LiOH ・・・(3)
C/Li+H2O→C+LiOH+1/2H2 ・・・(4)
【0045】
上記反応式(1)〜(3)は正極活物質に関連する反応である。反応式(1)によりオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)が生じる。このオキシ水酸化ニッケルは、反応式(2)により分解して水酸化ニッケル(Ni(OH)2)となる。一方、反応式(1)で生成した酸化リチウム(Li2O)は、反応式(3)により水酸化リチウム(LiOH)となる。反応式(2)で生成した酸素ガスは気相中に逃げ、結局これらの反応式によりニッケル酸リチウムから水酸化リチウムおよび水酸化ニッケルが生じることになる。正極活物質に含まれるコバルト成分も同様にして水酸化コバルトを生じ得る。
【0046】
また、上記反応式(4)は、負極活物質に挿入されているリチウムに関連する反応である。また、式中の「C/Li」は、このリチウムがカーボン材料(ここではカーボンブラック)に挿入された状態にあることを表している。反応式(4)では、負極活物質中のリチウムが水酸化リチウム(LiOH)を生成するとともに水素ガスが発生する。この水素ガスは、処理室90に充填されている酸素ガスにより水を生じて安定化する。
【0047】
処理槽86に収容された電極材85を攪拌器87により攪拌しつつ水蒸気(H2O)に曝すことにより、このような加水分解反応をスムーズに進行させることができる。処理温度、処理圧力、処理時間、雰囲気中の水蒸気濃度および酸素濃度等の条件は、加水分解反応の状況に応じて適宜調整することができる。加熱下で処理することが好ましい。これにより加水分解反応を促進させることができる。例えば50〜120℃で処理することが好ましく、より好ましくは70〜100℃である。また、加圧下で処理することにより加水分解反応を促進することができる。もっとも、処理圧力を過度に高くすることは、処理装置80(処理容器81等)の大型化を招きやすい。これらの兼ね合いから、好ましい処理圧力は凡そ0.1〜0.5MPa(約1〜5atm)程度であり、より好ましい圧力は凡そ0.1〜0.2MPa(約1〜2atm)程度である。処理室90内の雰囲気圧力に占める酸素分圧は50%以上(典型的には50〜90%、より好ましくは50〜75%)とすることが好ましい。処理室90内は水蒸気濃度の高い雰囲気とすることが好ましく、処理室90内をほぼ飽和水蒸気圧に維持することが好ましい。好適な処理時間は、これらの処理条件等によって異なり得る。好ましい条件では、100gの電極材(リチウム・ニッケル含有複合酸化物に換算して凡そ50〜60g、例えば凡そ50g)を20分程度処理することにより、上記加水分解反応を十分に進行させることができる。
【0048】
なお、被処理材としての電極材85は、すでに結着剤が除去されていることから典型的には粉末状となっている。電極材85が十分に粉末化していない場合には、この電極材85を粉末化する(粉砕する)工程を追加することができる。これによりH2O(主として水蒸気)との接触面積が増大し、正極活物質等の加水分解反応がさらに促進され得る。また、図5に示す装置80は、処理槽86の底面等に多数の気孔を設け、この気孔から水蒸気および酸素を含む気体を処理槽86内に噴出させて電極材85を流動させるような構成とすることができる。処理槽86内に噴出させる気体としては、処理室90内の気体を循環させて用いることが簡便であり好ましい。かかる構成とすることにより、加水分解反応等をさらに効率よく進行させることができる。
【0049】
上記ステップ240の処理を施した電極材からリチウム成分(水酸化リチウム)を溶出する(ステップ242)。すなわち、純水を満たした容器に上記処理後の電極材を投入し、攪拌して分散させる。ここで、25℃の水に対するLiOHの水に対する溶解度は、約12.5g/100g(H2O)である。これに対して、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)の溶解度は、25℃において約7.5×10−4g/100g(H2O))である。また、水酸化コバルト(Co(OH)2)の溶解度は、25℃において約8〜22×10−4g/100g(H2O)である。かかる溶解度の顕著な違いにより、純水に投入された電極材からリチウム成分(水酸化リチウム)が溶出する一方、遷移金属成分(水酸化ニッケルおよび水酸化コバルト)は実質的に溶出しない。また、カーボンブラックは実質的に水不溶性である。したがって、水に分散させた電極材を濾過することにより(ステップ244)、水酸化リチウムを含む溶液と、水酸化ニッケル等の遷移金属水酸化物およびカーボンブラックを含む不溶分とを容易に分離することができる。このようにして得られた濾液は、リチウム以外の金属成分を実質的に含有しないリチウム溶液(水に水酸化リチウムが溶解した溶液)である。
【0050】
以上の工程を経て得られたリチウム溶液(被処理液(原料液))を用いて固体状のリチウム塩を製造する(ステップ251〜258)。使用する装置の概略構成例を図7に模式的に示す。このリチウム塩製造装置300は、被処理液をCO2ガスと接触させるCO2接触部320と、被処理液の溶存CO2濃度を調整するCO2濃度調整部360と、被処理液をフッ素イオンで処理するフッ素塩生成部380とを備える。また、被処理液から固体(析出物等)を分離する分離手段としての第一濾過装置350および第二濾過装置390を備える。
【0051】
CO2接触部320は、ステップ244で得られた濾液(被処理液(原料液))321を配管323から受入れて貯蔵する原料液貯蔵タンク322と、原料液タンク322から供給された被処理液を保持(貯留)する第一反応槽(反応室)330と、反応槽330にCO2ガスを供給するCO2ガス供給手段333とを有する。
原料液タンク322は配管324を介して反応槽330に接続されている。配管324は第一送液装置(ポンプ)325を有する。配管324の先端には噴霧手段(噴霧供給手段)としての噴霧器326が設けられている。ポンプ325を作動させることにより、原料液タンク322内の被処理液(原料液)を噴霧器326から反応槽330内に噴霧する(霧状に噴出する)ことができる。反応槽330は、その内部にある被処理液の量を検知する液面検知器327を備える。液面検知器327はポンプ325に電気的に接続されている。これにより、例えば、第一反応槽330内の被処理液の液面が所定の高さになったら液面検知器327からポンプ325に液面検知信号を送ってポンプ325の作動を停止させ、被処理液の反応槽330への供給(噴霧)を止めることができるように構成されている。
【0052】
CO2ガス供給手段333は、図示しないCO2源からのCO2ガス(本実施例では実質的にCO2からなるガスを用いる。)を反応槽330内に供給するCO2ガス供給管333aを備える。供給管333aの先端には細泡器333bが設けられており、CO2ガスを細泡(細かい気泡)として被処理液中に供給し得るように構成されている。なお、図7には一つのCO2ガス供給手段333(一本の供給管333aおよび一つの細泡器333b)を示しているが、一つの反応槽330に対して二つ以上のCO2ガス供給手段333を設けてもよい。また、一本の供給管333aに二つ以上の細泡器333bが設けられた構成のCO2ガス供給手段333としてもよい。
反応槽330は、その内部に溜まっている被処理液を汲み上げて、その反応槽330内で該被処理液の液面上方にある空間(典型的にはCO2ガスが満たされた気相)に噴霧する循環噴霧装置(噴霧循環手段)336を備える。この循環噴霧装置336は、一端が液面検知器327よりも下方に位置し、他端が液面検知器327よりも上方に位置するように配設された配管336aを有する。配管336aはポンプ336bを備える。また、配管336aの他端には噴霧器336cが設けられている。なお、図7には一つの循環噴霧装置336を示しているが、一つの反応槽330に対して二つ以上の循環噴霧装置336を設けてもよい。
【0053】
反応槽330は温度検知器(温度計)331を備える。反応槽330の外周にはスチーム通路332が形成されている。このスチーム通路332にスチームを供給して反応槽330の温度を調整することができる。また、反応槽330は圧力検出器334および圧力調整弁335を備える。必要に応じて圧力調整弁335を開閉して反応槽330内の圧力を調節することができる。反応槽330は、その内部にある被処理液のpHを測定するpH測定器337を備える。この被処理液のpHによって反応の進行の具合を把握することができる。反応槽330に溜まっている被処理液は攪拌器338により攪拌することができる。
【0054】
第一反応槽330の底部には配管341の一端が接続されている。配管341の他端は第一濾過装置350の濾過容器352に接続されている。また、配管341にはコック341および第二送液装置(ポンプ)343が設けられている。この配管341を介して、反応槽330内の被処理液を濾過容器352に移送することができる。
濾過容器352は、濾盤上に配置されたフィルタ353によって上下に分割されている。配管341は、フィルタ353の上方に形成された入口室352aに接続されている。この入口室352aからフィルタ下方の出口室352bへと被処理液を通過させる(濾過する)ことにより、被処理液から析出物等の固体を分離(回収)することができる。入口室352aにはガス供給管354が接続されている。このガス供給管354からガス(典型的には空気)を供給して入口室352aの圧力を高める(入口室352aに導入された被処理液を加圧する)ことができる。入口室352aの圧力(被処理液の背圧)を出口室352bよりも相対的に高くすることにより、被処理液の濾過速度を向上させることができる。出口室352bには排気管355が接続されており、余分なガス圧を逃すことができるように構成されている。
【0055】
濾過容器352の出口室352bには、その底部に配管356および配管371の一端が接続されている。配管356の他端はCO2濃度調整部360の再結晶槽362に接続されている。また、配管371の他端は後述するフッ素塩生成部380の第二反応槽382に接続されている。再結晶槽362に至る配管356にはコック357が設けられており、第二反応槽282に至る配管371にはコック372および第四送液装置(ポンプ)373が設けられている。これらのコック357,372を開閉することにより、フィルタ353を通過した被処理液を、再結晶槽362および第二反応槽382の任意の槽に選択的に移送することができる。
【0056】
再結晶槽362は、CO2濃度調整手段として、その再結晶槽362内の雰囲気を調整する雰囲気調整機構を備える。この雰囲気調整機構は、例えば図7に示すように、再結晶槽362内に実質的にCO2を含まないガス(例えば空気)を供給する非CO2ガス供給管363と、余分なガスを再結晶槽362の外部へ逃す排気管364とを含む構成とすることができる。また、再結晶槽362が大気に開放されているような構成とすることも雰囲気調整機構の一つの態様である。再結晶槽362内に保持されている被処理液は攪拌器365により攪拌することができる。また、再結晶槽362の温度は図示しない温度調節機構によって調節することができる。
再結晶槽362内の被処理液は、第三送液装置(ポンプ)367を有する配管366を介して、濾過容器352の入口室352aに移送することができる。この濾過容器352のフィルタ353を通過させて、再結晶槽362を経た被処理液から固体(析出物等)を分離することができる。このように、第一濾過装置350は、CO2接触部320(第一反応槽330)から移送された被処理液と、CO2濃度調整部360(再結晶槽362)から移送された被処理液の双方を濾過できるように構成されている。また、再結晶槽362と第一濾過装置350(濾過容器352)との間で被処理液を循環できるように構成されている。
【0057】
フッ素塩生成部380は、配管371の他端が接続された第二反応槽382を有する。第一濾過装置350のフィルタ353を通過した被処理液は、濾過容器352の出口室352bから配管371を介して第二反応槽382に移送することができる。また、フッ素塩生成部380はフッ酸貯蔵タンク383を有する。このフッ酸貯蔵タンク383からフッ素供給管384を介して第二反応槽382にフッ素イオン(本実施例ではフッ酸)を供給することができる。第二反応槽382は、被処理液のフッ素イオン濃度を測定するフッ素イオン濃度測定器385を備える。また、槽内の被処理液を攪拌する攪拌器386を備える。
【0058】
第二反応槽382には配管387の一端が接続されている。配管387は、第五送液装置(ポンプ)388を有し、その他端は第二濾過装置390の濾過容器392に接続されている。濾過容器392は、濾盤上に設けられたフィルタ393によって上下に分割され、配管387はフィルタ上方の入口室392aに接続されている。この入口室392aからフィルタ下方の出口室392bへと被処理液を通過させる(濾過する)ことにより、被処理液から析出物等の固体を分離(回収)することができる。入口室392aにはガス供給管394が接続され、出口室382bには排気管395が接続されている。ガス供給管394からガス(典型的には空気)を供給して入口室392aの圧力(被処理液の背圧)を出口室392bよりも相対的に高くすることにより濾過速度を向上させることができる。出口室392bには濾液排出管396が接続されている。フィルタ393を通過した被処理液は、濾液排出管396のコック397を開いてここから系外に取り出す(排出する)ことができる。
【0059】
かかる構成のリチウム塩製造装置300を用いて、ステップ244で得られた濾液(原料液)からリチウム塩を製造する(リチウム成分を回収する)方法の一例につき、図1に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、第一反応槽330で被処理液とCO2ガスとを接触させるCO2接触工程(ステップ252)を行う。このCO2接触工程は、反応槽330内の圧力を約100〜1000kPa(より好ましくは約100〜200kPa)として行うことが好ましい。本製造例では反応槽330内の圧力を150kPaとした。また、反応槽330内で被処理液の上方にある空間(被処理液の液面に接する気相)にCO2を主成分とするガス(例えば、CO2濃度が凡そ50〜100vol%、より好ましくは凡そ80〜100vol%であるガス。ここではCO2濃度がほぼ100%であるガス)が充填されている状態、すなわち該空間がCO2充填層330aを形成している状態でCO2接触工程を行うことが好ましい。このような加圧CO2雰囲気は、例えば、CO2ガス供給手段333および圧力調整弁335を用いて実現することができる。また、スチーム通路332にスチームを流通する等の手段により、反応槽330内の温度を約30〜100℃(好ましくは約40〜80℃)に調整するとよい。本製造例では約60℃とした。
【0060】
反応槽330内の被処理液を攪拌器338で攪拌しつつ、CO2ガス供給手段333の細泡器333bから該被処理液にCO2ガスの細泡を供給(バブリング)する。未反応のCO2ガスは、被処理液の液面まで浮上してCO2充填層330aに合流し、あるいは被処理液に溶解する。ここで、被処理液とCO2ガスの気泡との接触時間を長くするためには、細泡器333bが反応槽330の底面近傍に位置するようにCO2ガス供給手段333を構成することが好ましい。また、CO2ガスをなるべく細かい気泡として供給することにより、CO2ガスと被処理液との接触面積が大きくなる。また、CO2ガスの気泡が被処理液中に浮遊する時間(被処理液と接触する時間)が長くなる。このように被処理液とCO2ガスとの接触面積を大きくすることおよび/または接触時間を長くすることは、被処理液とCO2との反応効率を高めるために有効である。
【0061】
このCO2接触工程では、循環噴霧装置336のポンプ336bを作動させて反応槽230に溜まっている被処理液を汲み上げ、CO2ガス充填層330a中に噴霧(霧状に噴出)するとよい。噴霧された被処理液(液滴)は、CO2ガス充填層330aを構成するCO2ガスと接触しつつ反応槽330内を落下する。このように反応槽330の内部に被処理液を噴霧して循環させることにより、被処理液とCO2との接触効率(反応効率)をさらに高めることができる。なお、原料液貯蔵タンク322から反応槽330に被処理液(原料液)を供給する際(ステップ251)には、加圧CO2雰囲気に調整した反応槽330内に、噴霧器326から被処理液を噴霧するとよい。これにより被処理液とCO2との接触機会をさらに増すことができる。
【0062】
被処理液とCO2との反応が進行して反応生成物の生成量がその被処理液への溶解度を上回ると、被処理液から生成物(主として炭酸リチウム)が析出する。また、反応が進行すると被処理液のpHが次第に低下する。このpHの変化をpH測定器337で検出することによって反応の進行の程度を把握することができる。CO2接触工程は、被処理液のpHが凡そ9〜7(好ましくは凡そpH8〜7)の範囲に低下するまで行うことが好ましい。pHが低くなりすぎると炭酸リチウムの溶解度が上昇する傾向にある。
上述のように、被処理液中にCO2ガスをバブリングする処理と、CO2充填層330a中に被処理液を噴霧する処理とを共に行うことにより、被処理液とCO2とを効率よく反応させることができる。このことによって、例えば、反応槽330内の加圧の程度が比較的低い(例えば100〜200kPa程度)場合にも実用上好ましい反応効率を実現することが可能である。加圧の程度を少なくできるということは、装置の小型化および/または軽量化等の観点から好ましい。
【0063】
CO2接触工程を経た被処理液を反応槽330から第一濾過装置350に移送する。すなわち、配管341のコック342を開き、ポンプ343を稼動して反応槽330の内容物(被処理液)を抜き出す。この被処理液を濾過容器352の入口室352aに導入し、フィルタ353で濾過する(ステップ254a)。この分離工程により、被処理液に含まれていた析出物(主として炭酸リチウム)はフィルタ353上に分離される。フィルタ353を通過した被処理液(濾液)は出口室352bに溜まる。なお、必要に応じてガス供給管354から入口室352aに加圧空気等を送って濾過速度を高めることができる。
このステップ254aにおいて分離された析出物は、このリチウム塩製造装置300に供給された当初の被処理液(原料液)に含まれていたリチウム成分の約95.5mol%(リチウム換算)に相当する量の炭酸リチウムを含んでいた。
【0064】
次いで、配管356のコック357を開き、出口室352b内の被処理液を再結晶槽362に移送する。この再結晶槽362は大気に開放されており、被処理液を攪拌器365で攪拌しつつ大気(非CO2雰囲気)に接触させて溶存CO2濃度を低下させることができる(ステップ255)。このCO2濃度低減工程により被処理液に対する炭酸リチウムの溶解度が低下し、該工程の実施前には被処理液に溶解していた炭酸リチウムが新たに析出(再結晶)し得る。なお、炭酸リチウムの溶解度は温度の上昇とともにやや低下する傾向にある(例えば、60℃では約1g/100g(H2O)であるのに対し、100℃では約0.72g/100g(H2O)である)。したがって、図示しない温度調整機構等により被処理液の温度を高める(例えば約40〜80℃に加温する)ことにより、炭酸リチウムの溶解度を低下させて析出量(収率)をさらに増すことができる。
【0065】
かかるCO2濃度低減工程を経た被処理液を再結晶槽362から第一濾過装置350に移送する。すなわち、配管366に設けられたポンプ367を稼動して、再結晶槽362の内容物(被処理液)を濾過容器352の入口室352aに導入する。この被処理液をフィルタ353で濾過して析出物(主として炭酸リチウム)を分離する(ステップ254b)。
ステップ254bにおいて分離された析出物は、原料液に含まれていたリチウム成分の約3.1mol%(リチウム換算)に相当する量の炭酸リチウムを含んでいた。したがって、ステップ254aで分離した炭酸リチウムの量と合わせると、原料液に含まれていたリチウム成分の約98.6mol%(リチウム換算)が固体状のリチウム塩として回収されたことになる。
【0066】
さらに、上記CO2濃度低減工程および分離工程を経た被処理液をフッ素塩生成工程に供する。すなわち、配管371のコック372を開き、ポンプ373を稼動して出口室352b内の被処理液を第二反応槽382に移送する。第二反応槽382内の被処理液を攪拌しつつ、フッ酸貯蔵タンク383からフッ酸供給管384を介してフッ酸を添加する。このフッ酸(フッ素イオン)は、該被処理液に残存(溶解)している炭酸リチウムおよび/または未反応のリチウムイオン等と反応してフッ化物塩(主としてフッ化リチウム)を生成する。炭酸リチウムに比べてフッ化リチウムは溶解度が低い(例えば、25℃において約0.13g/100g(H2O))ことから、反応の進行によりフッ化リチウム等が被処理液から析出し得る。この被処理液を第二濾過装置390の濾過容器392に移送してフィルタ393で濾過することにより(ステップ258)、上記析出物(主としてフッ化リチウム)を被処理液から分離することができる。
ステップ258において分離された析出物は、原料液に含まれていたリチウム成分の1.2mol%(リチウム換算)に相当する量のフッ化リチウムを含んでいた。ステップ254aおよびステップ254bで分離された炭酸リチウムの量と合わせると、原料液に含まれていたリチウム成分の約99.8mol%(リチウム換算)が固体状のリチウム塩として回収されたことになる。
【0067】
フィルタ393を通過した被処理液(濾液)からはリチウム成分の大部分が除去されている。この濾液は出口室392bの排出管396から排出される。なお、上記フッ素塩生成工程は、該工程終了後の被処理液に含まれるフッ素イオンの濃度が15ppmを超えないようにフッ酸(フッ素イオン)の供給量を調節して実施するとよい。これにより、濾過(ステップ258)後に排出される濾液の廃棄処理が容易になる。例えば、フッ素イオン濃度測定器385により検出されるフッ素イオン濃度が1〜3ppmに達したらフッ酸の供給を止め、反応の進行により被処理液中のフッ素イオンが消費されてフッ素イオン濃度が低下したらさらにフッ酸を添加する等の操作方法をとることができる。このような操作を行うために適した装置の構成として、フッ素供給管384に図示しない送液装置(ポンプ)を設け、そのポンプにフッ素イオン濃度測定器385が電気的に接続された構成等を採用することができる。
【0068】
ステップ254aおよびステップ254bで分離した炭酸リチウムは、リチウム含有複合酸化物を製造するための原料等として好適に使用(再利用)することができる。例えば、この炭酸リチウムを高温で焼成してLi2Oを生じさせ、このLi2Oを水と反応させることにより水酸化リチウム(一水塩)を得る。この水酸化リチウムと、目的とする複合酸化物の組成に応じた種類および量の遷移金属水酸化物とを所定の割合で混合し、適切な条件で焼成することにより、リチウム電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)の正極活物質等として有用なリチウム含有複合酸化物が得られる。実施例1により製造(回収)した炭酸リチウムは高純度であり、特にナトリウム等の異種アルカリ金属元素の含有量が少ないことから、別途精製工程(例えば、薄膜分離装置を用いてナトリウムイオンからリチウムイオンを分離する工程等)を行うことなく、そのまま正極活物質の製造等に利用することが可能である。
【0069】
なお、このように正極活物質材料の製造にそのまま使用するのに適した炭酸リチウムの純度を評価項目(元素の種類)毎に例示すれば次のとおりである。Cl含有量;0.002質量%未満。S含有量;0.02質量%未満。Ca含有量;0.001質量%未満。Mg含有量;0.0003質量%未満。K含有量;0.0015質量%未満。Na含有量;0.0045質量%未満。Ni含有量;0.002質量%未満。Co含有量;0.002質量%未満。Al含有量;0.02質量%未満。Cu含有量;0.002質量%未満。C含有量;0.002質量%未満。また、加熱減量(150℃)は0.15質量%未満であることが好ましい。
【0070】
本実施例のリチウム塩製造方法および製造装置によると、リチウム電池から得られた被処理液とCO2とを効率よく接触させることができる。これにより、炭酸リチウムを生成する反応の効率が向上するので、CO2接触工程に要する時間(例えば、被処理液のpHが所定の範囲内に低下するまでの時間として把握される)を短縮することができる。また、このCO2接触工程を例えば100〜200kPa程度の比較的低加圧のCO2雰囲気下で行う場合にも良好な反応効率を得ることができる。これにより、第一反応槽330に要求される耐圧強度を低くすることができるので、装置の小型軽量化、設備費低減等の点で有利である。また、CO2濃度低減工程を実施することにより炭酸リチウムの溶解度を低下させて、生成した炭酸リチウムを効率よく回収することができる。このような炭酸リチウムの生成効率(反応効率)の向上および/または生成した炭酸リチウムの回収効率の向上によって、被処理液(原料液)からリチウム塩(炭酸リチウム)を効率よく製造することができる。また、上記構成のリチウム塩製造装置は自動運転にも適した構成となっているので、管理費等を低減することが可能である。
【0071】
また、本実施例の製造方法によると、リチウム・ニッケル複合酸化物を含むリチウムイオン二次電池から高純度の(例えば、他のアルカリ金属成分や遷移金属成分等の混入の少ない)炭酸リチウムを製造することができる。このような炭酸リチウムは各種用途への再利用性に優れている。例えば、リチウム電池用の材料(正極活物質製造用の原料等)として好適である。本実施例では、かかる高純度の炭酸リチウムを製造するにあたって、リチウム成分を電極材から溶出した後に、他のアルカリ金属成分や遷移金属成分等からリチウム成分を分離するための特別の精製工程(例えば、イオン交換樹脂、薄膜分離装置等を用いて他の金属イオンからリチウムイオンを分離する工程等)を必要としない。したがって、かかる精製の際にリチウム成分の一部が失われることがなく、高純度の炭酸リチウムを高収率(高効率)で製造することが可能である。本実施例によると、上述した効果のうち一または二以上を実現することができる。
【0072】
<実施例2:得られたリチウム塩の評価>
実施例1のリチウム塩製造方法では、リチウム溶液(被処理液)にCO2ガスを供給して炭酸リチウム(Li2CO3)を生成させている。このようにアルカリ金属成分を含まない材料(ここではCO2ガス)を用いて炭酸リチウムを析出させることにより、リチウム以外のアルカリ金属元素の混入が少ない炭酸リチウムを得ることができる。例えば、CO2ガスに代えて炭酸ナトリウムを用いた場合と比較すると、得られた炭酸リチウムに混入したナトリウム成分の量を顕著に少なくすることができる。いったん混入したナトリウム成分をリチウム成分から分離することは一般に困難であるところ、実施例1の製造方法によると、簡単な操作により純度の高い(特に、リチウム以外のアルカリ金属元素の混入が少ない)炭酸リチウムを得ることができる。
【0073】
実施例1により製造した炭酸リチウム(サンプル1)の純度分析を行った結果を表1に示す。また、加熱減量(サンプルを150℃で60分間加熱する前後の質量変化率)を測定した結果を表1に併せて示す。
また、実施例1とはステップ240以降の処理方法を異ならせて炭酸リチウムを製造した。すなわち、実施例1と同様にして他の電池構成部材から分別した電極材に塩酸(HCl)を加えた。これにより、電極材中に存在するリチウム成分および遷移金属成分を溶出した。得られた酸溶液に水酸化ナトリウム(NaOH)を加え、溶液中の遷移金属イオンを遷移金属水酸化物として析出させた。これを濾過して遷移金属水酸化物(主としてNi(OH)2)を溶液から分離した。残った溶液に炭酸ナトリウム(Na2CO3)を添加して炭酸リチウムを析出させた。析出した炭酸リチウムを濾過して乾燥させた。このようにして得られた炭酸リチウム(サンプル2)の純度分析結果を表1に併せて示す。
【0074】
【表1】
【0075】
この表1から判るように、実施例1により得られたサンプル1の炭酸リチウムは、サンプル2に比べて純度が高い。特にNaの含有量が著しく低減されている。このことは、電極材からリチウム成分を回収する過程でNaを含む化合物(NaOH,Na2CO3等)を使用していないことによるものと考えられる。また、Clの含有量が低下しているのは、電極材からリチウムイオンを溶出させる際に塩酸(HCl)を用いていないことによると考えられる。他の金属成分(Ni,Co,Al)の含有量が少ないのは、電極材中に遷移金属成分を残してリチウム成分(LiOH)を溶出させるという処理方法を採用したことによるものと推察される。
【0076】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1においてリチウムイオン二次電池からリチウム塩を製造する手順の概略を示すフローチャートである。
【図2】リチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】リチウムイオン二次電池に用いられている正極シート(展開した状態)を示す平面図である。
【図4】揮発性成分の回収に用いる装置の概略構成例を示す模式図である。
【図5】炉内温度の推移を示す説明図である。
【図6】電極材にH2Oを作用させる装置の概略構成例を示す模式図である。ある。
【図7】被処理液からリチウム塩を製造する装置の概略構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:リチウムイオン二次電池(リチウム電池)
10:電極体
122:正極集電体(金属部材)
124:正電極材層
142:負極集電体(金属部材)
144:負電極材層
16:セパレータシート
20:容器(金属部材)
30:正極端子(金属部材)
40:負極端子(金属部材)
80:加水分解処理装置
81:圧力容器
85:電極材(被処理材)
87:攪拌器
88:H2O供給管
89:酸素供給管
300:リチウム塩製造装置
320:CO2接触部
321:原料液(被処理液)
326:噴霧器(噴霧供給手段)
330:第一反応槽(反応室)
333:CO2ガス供給手段
333b:細泡器
336:循環噴霧装置(噴霧循環手段)
350:第一濾過装置
352:濾過容器(回収室)
360:CO2濃度調整部
362:再結晶槽(CO2濃度調整室)
363:非CO2ガス導入管(CO2濃度調整手段)
380:フッ素塩生成部
382:第二反応槽(第二の反応室)
390:第二濾過装置
392:濾過容器(第二の回収室)[0001]
The present invention relates to a technique for producing a lithium salt from a liquid to be treated in which lithium ions are dissolved in an aqueous solvent. In particular, the present invention relates to a method and an apparatus for producing a lithium salt from a liquid to be treated containing lithium ions derived from a lithium battery.
[0002]
There is a need for a technique for obtaining a target lithium compound from a lithium-containing material. For example, as a technique for recovering a lithium component from a waste lithium battery, a technique including a process of generating lithium carbonate from a lithium solution obtained by treating the lithium battery has been proposed.
[0003]
[Patent Document 1] US Pat. No. 5,888,463
[Non-Patent Document 1] T. Laurie Charleston, “Lithium Battery Recycling – An International Option”, 9th International Seminar on Battery Waste Management (9th International Seminar) on Battery Waste Management), October 1997, p. 228-243
[0004]
SUMMARY OF THE INVENTION Lithium carbonate has a lower solubility in water than lithium hydroxide. For this reason, the lithium hydroxide solution contains CO 2 When gas is supplied to generate lithium carbonate, lithium carbonate that cannot be completely dissolved is deposited from the solution. The precipitated lithium carbonate can be easily separated from the solution by means such as filtration. In this way, a solid lithium salt (lithium carbonate or the like) can be obtained from a raw material solution containing lithium ions (for example, a lithium hydroxide solution). Here, it is desirable if a lithium salt can be obtained (produced) more efficiently from the lithium component in the liquid to be treated.
[0005]
One object of the present invention is to provide a method for efficiently producing a lithium salt from a liquid to be treated (raw material liquid) containing a lithium component (lithium ions). Another object of the present invention is to provide an apparatus suitable for carrying out such a method. One related object is to provide a method for efficiently recovering a lithium component contained in a liquid to be treated and an apparatus suitable for carrying out the method.
[0006]
Means for Solving the Problem, Action and Effect The present inventor has developed a liquid to be treated containing lithium ions as CO. 2 After contacting with gas, CO dissolved in the liquid to be treated 2 It has been found that the above-mentioned problems can be solved by reducing the concentration of the above. Moreover, the apparatus suitable for implementing such a manufacturing method was created.
[0007]
One invention provided by this application relates to a method for producing a lithium salt from a liquid to be treated (raw material liquid) in which lithium ions are dissolved in an aqueous solvent. In that method, the liquid to be treated is treated with CO. 2 A step of contacting with a gas. The CO 2 Dissolved CO of liquid to be treated after contact process 2 A step of reducing the concentration. In addition, such CO 2 A step of separating a precipitate containing lithium carbonate from the liquid to be treated that has undergone the concentration reduction step can be included.
Liquid to be treated and CO 2 In order to promote the reaction with the gas, the liquid to be treated and CO 2 It is preferable to make the gas contact better (increase the contact efficiency). For example, the liquid to be treated and CO 2 Increase contact area with gas, increase contact time, contact CO 2 By applying one or more of the conditions such as increasing the gas density (pressure), the liquid to be treated and CO 2 Can promote reaction with. Here, the liquid to be treated and CO 2 When the contact efficiency with the gas is increased, dissolved CO 2 Concentration tends to be high. Dissolved CO of liquid to be treated 2 It is known that the solubility of lithium carbonate increases as the concentration increases. When the solubility of lithium carbonate increases, the amount of precipitation decreases, and the amount (yield) of lithium carbonate that can be recovered (separated from the solution) by a simple method such as filtration decreases. In the method of the present invention, the liquid to be treated and CO 2 After contacting the gas, the dissolved CO in the liquid to be treated 2 A step of reducing the concentration is performed. This CO 2 Since the solubility of lithium carbonate is reduced by the concentration reduction step, the lithium carbonate dissolved before the step can be precipitated (recrystallized) from the liquid to be treated. Therefore, such CO 2 A solid lithium salt (lithium carbonate or the like) can be efficiently produced from a lithium component contained in the treatment liquid by separating (filtering or the like) the precipitate from the liquid to be treated that has undergone the concentration reduction step.
[0008]
CO 2 Dissolved CO in the liquid to be treated in the concentration reduction process 2 As a method of reducing the concentration, the liquid to be treated is treated with CO. 2 CO rather than contact process 2 The method of contacting with the atmosphere with a low partial pressure is mentioned. For example, non-CO such as air atmosphere or nitrogen atmosphere 2 Atmosphere (CO 2 Means an atmosphere substantially free of. same as below. ) Method of stirring the liquid under treatment, non-CO 2 A method of spraying a liquid to be treated in an atmosphere, such non-CO 2 Gas (CO 2 Or a method of stirring the liquid to be treated under reduced pressure can be employed. Also, a method of boiling the liquid to be treated, dissolved CO in the liquid to be treated 2 A method of adding a liquid having a low concentration (for example, deionized water) may be used. These methods can be carried out alone or in appropriate combination.
[0009]
CO 2 The contacting step is preferably carried out under pressure (under a pressure exceeding normal pressure). As a result, the liquid to be treated and CO 2 Reaction efficiency with gas (typically production of lithium carbonate) can be promoted. In addition, the CO 2 The contact process is CO 2 Atmosphere (CO 2 An atmosphere mainly composed of gas, typically 50 mol% or more is CO. 2 Atmosphere, preferably 90 mol% or more of CO 2 Atmosphere, particularly preferably substantially CO 2 An atmosphere composed of ).
Where CO 2 Non-CO in atmosphere 2 It is known that the solubility of lithium carbonate increases as compared to that in an atmosphere. For example, atmospheric pressure (non-CO2) at normal pressure (about 100 kPa) 2 Atmosphere), the solubility of lithium carbonate in water at 60 ° C. is about 1 g / 100 g (solution). Meanwhile, atmospheric pressure CO 2 Under atmosphere, the solubility of lithium carbonate in water at the same temperature is about 4 g / 100 g (solution). Such an increase in solubility is caused by pressurized CO. 2 It becomes even more prominent in the atmosphere.
In the method of the present invention, CO 2 The contacting step under pressure and / or CO 2 Under atmosphere (preferably pressurized CO 2 Even if the solubility of lithium carbonate is increased by 2 Since the solubility of lithium carbonate is reduced in the concentration reduction step, the produced lithium carbonate can be precipitated with good efficiency (yield). That is, according to this method, CO 2 The contacting step under pressure and / or CO 2 It is possible to reconcile the conflicting problems of promoting the generation of lithium carbonate (improving the reaction efficiency) and improving the precipitation amount (recovery rate) of lithium carbonate by carrying out in an atmosphere.
CO 2 The pressure (degree of pressurization) when the contact step is performed under pressure is not particularly limited. Liquid to be treated and CO 2 From the viewpoint of increasing the reaction efficiency with the above, it is preferable to increase the pressure. On the other hand, if the degree of pressurization is to be increased, the pressure resistance required for the reaction vessel or the like increases. For this reason, an apparatus etc. tends to enlarge. From these balances, a preferable degree of pressurization is, for example, about 100 to 1000 kPa (about 1 to 10 atm), and more preferably about 100 to 200 kPa (about 1 to 2 atm).
[0010]
CO 2 A preferred embodiment of the contacting step is that CO in the liquid to be treated. 2 Including a process of bubbling gas. Instead of such bubbling treatment or in addition to bubbling treatment, the liquid to be treated is
[0011]
In a preferred embodiment of the present invention, the CO 2 A step of separating a precipitate containing lithium carbonate from the liquid to be treated that has undergone the contact step. In order to produce a precipitate containing lithium carbonate from the liquid to be treated remaining after the separation, CO 2 A concentration reduction process is performed. And the CO 2 A precipitate newly generated in the concentration reduction step is separated from the liquid to be treated.
CO 2 The precipitate is separated from the liquid to be processed after the contact process, and the liquid to be processed after the separation process is CO. 2 By subjecting it to the concentration reduction step, the liquid to be treated (transfer, stirring, filtration, etc.) can be easily handled. CO 2 Without separating the precipitate from the liquid to be treated after the contact process 2 You may implement a density | concentration reduction process. Such an embodiment can be used in the case of producing a lithium salt from a liquid to be treated having a relatively low lithium ion concentration (lithium component content ratio). 2 The amount of precipitate generated in the contact process is relatively small (or CO 2 This is suitable in the case where a precipitate is not substantially formed in the contact step.
[0012]
In another preferred embodiment, the CO 2 And a step of supplying fluorine ions to the liquid to be processed after the concentration reduction step and the separation step. The supply of fluorine ions can be performed, for example, by adding hydrofluoric acid (HF), bubbling fluorine gas, or the like. In this fluorine salt generation step, a precipitate containing lithium fluoride (LiF) is generated from the lithium component remaining in the liquid to be treated. This lithium fluoride can be recovered by a method such as filtering the liquid to be treated to separate the precipitate. In this way, solid lithium fluoride (lithium salt) can be produced. According to this manufacturing method, the lithium component (typically lithium carbonate and lithium fluoride) is obtained from the liquid to be treated by effectively utilizing the lithium component contained in the original liquid to be treated (raw material liquid). It can be produced efficiently (yield).
[0013]
The liquid to be treated used in such a method for producing a lithium salt corresponds to a starting material for producing a lithium salt, and is a lithium solution in which lithium ions are dissolved in an aqueous solvent. Here, the “aqueous solvent” refers to water or a mixed solvent mainly composed of water. Examples of solvents other than water constituting the mixed solvent include organic solvents (such as lower alcohols) that can be uniformly mixed with water. An example of a preferable liquid to be treated is a lithium solution in which lithium hydroxide is dissolved in water.
This liquid to be treated (raw material liquid) may contain a metal component other than lithium. For example, when the liquid to be treated is derived from a lithium battery (obtained by treating a lithium battery), nickel (Ni), cobalt (Co), copper (Cu), iron (Fe) Etc., one or two or more metal components may be dissolved. The method of the present invention provides a useful lithium salt (for example, high purity) from a lithium solution (treatment liquid) in which such a metal component (for example, a metal component that tends to be contained in the treatment liquid derived from a lithium battery) coexists. It is suitable as a method for producing lithium carbonate. Moreover, it is preferable that the to-be-processed liquid (raw material liquid) to be used does not contain alkali metal components other than lithium substantially. By using such a liquid to be treated, a particularly useful (high purity) lithium salt can be produced.
[0014]
The lithium salt production method provided by this application can be carried out using a liquid to be treated obtained by treating a lithium battery. In the liquid to be treated derived from the lithium battery, in addition to the lithium component (typically lithium hydroxide), one or more metal components (typically, Ni, Co, Cu, Fe, etc.) Such metal hydroxides) may be dissolved. Such a transition metal (Ni, Co, Cu, Fe, etc.) hydroxide and lithium hydroxide are dissolved together in the liquid to be treated. 2 When gas is supplied, CO 2 Highly reactive ionic species will preferentially form carbonates. Here, when the production enthalpy when the carbonate is produced from the hydroxide of each metal is examined, the LiOH to the Li 2 CO 3 Is about -732 kJ / mol, whereas Co (OH) 2 To CoCO 3 Is about -174 kJ / mol, Cu (OH) 2 To CuCO 3 Is about −151 kJ / mol, Fe (OH) 2 To FeCO 3 Is about -166 kJ / mol in the reaction in which. It can be seen that lithium is more likely to produce carbonates than other metals (transition metals). From this, the liquid to be treated containing the lithium component is added to the CO 2 The manufacturing method including the step of supplying a gas can be preferably applied even when the liquid to be used includes other metals (Ni, Co, Cu, Fe, etc. derived from a lithium battery). Therefore, the method provided by this application is suitable as a method for producing a lithium salt from a liquid to be treated derived from a lithium battery. Moreover, it is suitable as a method for recovering a lithium component (lithium salt) from a liquid to be treated derived from a lithium battery. Moreover, it is suitable as a method for producing a lithium salt (such as lithium carbonate) from a lithium battery.
[0015]
Moreover, the lithium salt manufacturing method provided by this application can be implemented using the to-be-processed liquid obtained by processing the complex oxide containing lithium and 1 type, or 2 or more types of transition metal elements. As a method of obtaining a liquid to be processed from such a composite oxide, a material to be processed that is derived from a constituent material of a lithium battery and that includes the composite oxide is H. 2 A treatment method including a step of supplying O to generate lithium hydroxide from the composite oxide (lithium hydroxide generation step) and a step of eluting the lithium hydroxide into water can be suitably used. It is preferable to use the lithium solution obtained in the elution step after separating it from the insoluble matter of the material to be treated.
Preferable examples of the composite oxide to which the treatment method is applied include a composite oxide containing lithium and nickel. Here, “a composite oxide containing lithium and nickel” means an oxide containing lithium and nickel as constituent metal elements, and at least one other metal element in addition to lithium and nickel (that is, lithium and nickel). It is also meant to include composite oxides containing transition metal elements and / or typical metal elements. Such composite oxides are, for example, of the general formula LiNi 1-x A x O 2 Can be expressed as A in this formula corresponds to the above “other at least one metal element”. Further, x in the formula is a value satisfying 0 ≦ x <0.5, preferably 0.1 <x <0.3. Other suitable examples of the composite oxide include composite oxides containing lithium and cobalt (including those containing at least one metal element other than lithium and cobalt), composite oxides containing lithium and manganese. (Including those containing at least one metal element other than lithium and manganese).
[0016]
In the lithium hydroxide generation step, H is added to a composite oxide (hereinafter also referred to as “lithium / transition metal-containing composite oxide”) contained in the material to be treated. 2 O acts to produce lithium hydroxide. Lithium / transition metal-containing composite oxide is brought into contact with a gas phase containing water vapor and oxygen to form H 2 It is preferable to supply O. Thereby, the production | generation reaction of lithium hydroxide can be advanced efficiently. In order to further promote such reaction, H and H under heating and / or pressure conditions 2 It is also effective to supply O. Typically, in the lithium hydroxide generation step, a hydroxide of at least one transition metal element (eg, lithium nickel) of the one or more transition metal elements together with lithium hydroxide from the composite oxide. If it is a complex oxide, nickel hydroxide (Ni (OH)) 2 )) Occurs. Lithium hydroxide is water soluble. On the other hand, the lithium-transition metal-containing composite oxide before the treatment and the transition metal hydroxide generated by the treatment are substantially insoluble in water, and at least the solubility in water is significantly lower than that of lithium hydroxide. For example, the solubility of lithium hydroxide (LiOH) in water at 25 ° C. is about 12.5 g / 100 g (H 2 O), while Ni (OH) 2 Solubility of about 7.5 × 10 -4 g / 100 g (H 2 O), Fe (OH) 2 Solubility of about 4.8 × 10 -3 g / 100 g (H 2 O), Cu (OH) 2 Solubility of about 2.4 × 10 -3 g / 100 g (H 2 O), Co (OH) 2 Solubility of about 8-22 × 10 -4 g / 100 g (H 2 O). Therefore, H 2 When lithium hydroxide is eluted with water from the insoluble matter of the material treated with O, the transition metal hydroxide remains as an insoluble matter. Utilizing this difference in solubility in water, lithium hydroxide (lithium component) and transition metal hydroxide (transition metal component) can be easily separated. The lithium solution thus obtained (a solution in which lithium hydroxide is dissolved in water) can be preferably used as a liquid to be treated (raw material solution) used in the above-described lithium salt production method.
[0017]
Here, the material to be treated including the lithium / transition metal-containing composite oxide is preferably subjected to the lithium hydroxide generation step in a state where other battery constituent materials are removed (separated) as much as possible. By carrying out the method of the present invention using the liquid to be treated (raw material liquid) thus obtained, a more useful (reusable) lithium salt can be produced. For example, lithium carbonate with less mixing (good quality) of transition metal elements and other alkali metal elements (foreign metal elements) can be obtained. However, the separation of the material to be processed for the lithium hydroxide production process takes into consideration the cost and labor required for such separation and the magnitude of the effect (the quality of the resulting lithium salt, etc.). So that they are in an appropriate balance. For example, many common lithium batteries include a positive electrode having a configuration in which a positive electrode material including a lithium-transition metal-containing composite oxide as a positive electrode active material is attached to a current collector (metal foil or the like) having good conductivity. . This positive electrode material typically contains a binder (binder) such as polyvinylidene fluoride in addition to the positive electrode active material. Further, it may contain a conductive material such as carbon black. The positive electrode material containing these can be used as a material to be treated as it is (subject to the lithium hydroxide generation step). Alternatively, a positive electrode material from which at least a part (preferably substantially all) of the binder has been removed by a heat treatment or the like described below may be used as the material to be treated. In a lithium battery including a negative electrode having a configuration in which a negative electrode material including a negative electrode active material is attached to a current collector, a material to be processed including the negative electrode material and a positive electrode material (such as a positive electrode active material) is used. Alternatively, a material to be processed that contains substantially only a positive electrode material (such as a positive electrode active material) may be used.
[0018]
On the other hand, an example of a battery constituent material that is preferably separated from the material to be treated in advance is an electrolytic solution (particularly, an organic solvent constituting the electrolytic solution). Other examples include metal members such as battery containers and current collectors. In a preferred embodiment, an electrode material containing a lithium / transition metal-containing composite oxide is separated from the electrolyte solution and the metal member constituting the lithium battery, and the electrode material is subjected to the lithium hydroxide generation step. This electrode material may be in a state in which a positive electrode material and a negative electrode material are mixed, or may be in a state that does not substantially contain a negative electrode material.
In general, a carbon material (carbon black or the like) capable of inserting / extracting lithium ions is used as the negative electrode active material of the lithium battery. In the lithium hydroxide generation step, lithium hydroxide can also be generated from lithium inserted into the negative electrode active material. By eluting this lithium hydroxide with water and separating it from the insoluble matter, the lithium component in the negative electrode active material can be easily taken out. Therefore, when the electrode material used for the lithium hydroxide generation step contains a positive electrode material and a negative electrode material, lithium hydroxide is produced from the lithium components contained in both electrode materials, and this is eluted with water. And can be recovered.
[0019]
In another preferred embodiment, the lithium battery is heated to remove volatile materials. Here, the “volatile material” refers to a material that can be removed in a gaseous state (regardless of the type of evaporation, sublimation, thermal decomposition, etc.) by heating. Examples of such a volatile material include one or more of organic solvents, electrolytes (lithium salts, etc.), separators, binders, insulating materials, exterior paints, and the like that constitute the electrolytic solution. It is preferable to remove most of organic substances (organic solvent, separator, binder, etc.) contained in the lithium battery, and it is more preferable to remove substantially all. An electrode material containing the composite oxide (a positive electrode material and a negative electrode material may be mixed) is separated from battery constituent members (for example, metal materials such as battery containers and current collectors) remaining after the heating. This separation can be performed, for example, by sieving. The electrode material thus separated is used as a material to be processed for the lithium hydroxide generation step. In addition, this to-be-processed material may also contain all or one part of the battery structural member which remained after the heating.
[0020]
Another invention provided by this application relates to an apparatus for producing a lithium salt from a liquid to be treated in which lithium ions are dissolved in an aqueous solvent. The lithium salt production equipment is CO 2 A contact part is provided. The CO 2 The contact portion includes a reaction chamber to which the liquid to be treated is supplied, and a
[0021]
In a preferred embodiment of such a manufacturing apparatus, the CO 2 A contact portion is provided in the reaction chamber (typically the CO 2 CO by supply means 2 The atmosphere. And a supply means for supplying the liquid to be processed. For example, spraying means (that is, spray supply means) configured to spray and supply liquid to be treated from the outside to the reaction chamber can be provided. Moreover, the spraying means (namely, spray circulation means) comprised so that the said to-be-processed liquid stored in the said reaction chamber may be sprayed in this reaction chamber can be provided. A manufacturing apparatus provided with at least one of these spraying means is preferable, and a manufacturing apparatus provided with both of these spraying means (spray supply means, spray circulation means) is more preferable. According to such a manufacturing apparatus, the liquid to be treated and CO 2 The gas can be efficiently contacted.
[0022]
The manufacturing apparatus provided by this application can include a recovery chamber that is connected to the reaction chamber and configured to be able to separate precipitates from the liquid to be treated transferred from the reaction chamber. This collection chamber is CO 2 It can also be used as a recovery chamber for separating precipitates from the liquid to be processed after passing through the concentration adjusting chamber. A first recovery chamber for separating precipitates from the liquid to be treated transferred from the reaction chamber; 2 It is good also as a structure separately provided with the 2nd collection | recovery chamber which isolate | separates a deposit from the to-be-processed liquid which passed the density | concentration adjustment chamber. Alternatively, the liquid to be treated that has passed through the reaction chamber can be converted to CO without passing through the recovery chamber. 2 It can also be set as the structure which is transferred to a density | concentration adjustment chamber and the to-be-processed liquid which passed through this adjustment chamber is transferred to a collection | recovery chamber. This manufacturing apparatus uses the CO 2 The liquid to be treated can be circulated between the concentration adjusting chamber and the recovery chamber. Thereby, the production efficiency (yield) of the lithium salt (mainly lithium carbonate) can be further improved.
[0023]
The manufacturing apparatus provided by this application is the CO 2 The apparatus may further include a fluorine salt generation unit having a second reaction chamber to which the liquid to be processed that has passed through the concentration adjustment chamber is supplied, and a fluorine ion supply unit that supplies fluorine ions to the reaction chamber. Moreover, it can be further provided with a second recovery chamber connected to the second reaction chamber and configured to be able to separate precipitates from the liquid to be treated transferred from the reaction chamber. According to the manufacturing apparatus having such a configuration, the CO 2 A solid fluorine salt (mainly lithium fluoride) can be produced from the lithium component contained in the liquid to be treated that has passed through the concentration adjusting chamber. This production apparatus can be suitably used as an apparatus for producing lithium carbonate and / or lithium fluoride from a liquid to be treated (raw material liquid).
[0024]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION The present invention can also be carried out in the following forms.
(Form 1)
A method for producing a lithium salt from a lithium battery having a lithium-transition metal-containing composite oxide. In the method, the lithium battery is subjected to predetermined treatment (for example, treatment including the above-described lithium hydroxide generation step and elution step), and a lithium solution (typically, lithium hydroxide in water). A lithium aqueous solution in which is dissolved. And the process of performing one of the lithium salt manufacturing methods mentioned above using the to-be-processed liquid (raw material liquid) is included.
The method for producing a lithium salt in this form is, for example, a method for recovering a lithium component from a waste lithium battery (such as a used lithium battery) using a lithium / transition metal-containing composite oxide (that is, a lithium provided by this application). It can be applied to a battery recycling method.
[0025]
(Form 2)
A lithium battery having a lithium / nickel composite oxide is subjected to a treatment including the lithium hydroxide generation step and the elution step to obtain a lithium solution (typically, an aqueous lithium solution in which lithium hydroxide is dissolved in water). Any one of the lithium salt production methods described above is carried out using this lithium solution as a liquid to be treated (raw material liquid).
Lithium / transition metal-containing composite oxide is H 2 The reaction that produces lithium hydroxide and transition metal hydroxide upon contact with O can be regarded as a hydrolysis reaction of the composite oxide. Lithium / nickel-containing composite oxides are more susceptible to hydrolysis (lower hydrolysis resistance) than composite oxides of lithium and other transition metal elements (for example, lithium / cobalt-containing composite oxides). Therefore, a lithium battery using a lithium / nickel-containing composite oxide is suitable for obtaining a liquid to be treated (raw material liquid) by the treatment method including the lithium hydroxide generation step. As an example of such a lithium-nickel-containing composite oxide, a general formula LiNiO 2 The thing represented by is mentioned. As another example, the general formula LiNi 1-x Co x O 2 The thing represented by is mentioned. Here, 0 <x <0.5, preferably 0.1 <x <0.3. A composite oxide containing Al, Mn, Cr, Fe or V instead of Co may be used. Yet another example is the general formula LiNi 1-yz Co y Al z O 2 The thing represented by is mentioned. Here, 0 ≦ y <0.5 (preferably 0 <y <0.2), 0 <z <0.5 (preferably 0 <z <0.1), and 0 <(y + z ) <0.5 (preferably 0.1 <(y + z) <0.3). A kind selected from the group consisting of Mn, Cr, Fe, V, Mg, Ti, Zr, Nb, Mo, W, Cu, Zn, Ga, In, Sn, La, and Ce instead of or together with Al Alternatively, a composite oxide having two or more metal elements may be used.
[0026]
EXAMPLES Specific examples relating to the present invention will be described below, but the present invention is not intended to be limited to those shown in the examples. In addition, technical matters other than the contents specifically mentioned in the present specification and necessary for the implementation of the present invention can be understood as design matters for those skilled in the art based on the prior art. The present invention can be carried out based on the technical contents disclosed in the present specification and the common general technical knowledge in the field.
[0027]
<Example 1: Production of lithium salt using lithium ion secondary battery>
Example 1 is an example in which a lithium battery using a lithium / nickel composite oxide as a positive electrode active material is treated by a predetermined treatment method to obtain a lithium solution, and a lithium salt is produced using the lithium solution (raw material solution). It is.
First, the configuration of a lithium battery (herein, a used lithium ion secondary battery for a vehicle) that is a processing target for obtaining a liquid to be processed will be described. FIG. 2 is a schematic cross-sectional view showing the lithium ion secondary battery according to this example. As shown in this figure, the
[0028]
The state before winding of the
The
[0029]
The positive
[0030]
The
[0031]
The
[0032]
Next, a procedure for separating an electrode material as a material to be treated from the lithium ion
First, the used lithium ion
[0033]
FIG. 4 schematically shows a schematic configuration example of an apparatus used for recovering such volatile components. In FIG. 4, the reduced
A primary cooling device 67 is provided below the processing chamber 64. The gas in the processing chamber 64 (for example, an organic solvent volatilized from the lithium ion secondary battery) is introduced into the primary cooling device 67 through the
[0034]
Using the apparatus having such a configuration, for example, the organic solvent is volatilized and removed from the
While maintaining the reduced pressure state, the
[0035]
In this embodiment, as shown in the temperature chart of FIG. 5, the furnace temperature is gradually raised from room temperature and maintained at about 85 ° C. for 30 minutes (the stage indicated by arrow a in the figure). Thereby, DMC volatilizes (gasifies) preferentially among the said organic solvents. The generated gas is introduced into the
Thus, in this embodiment, an organic solvent (mixed solvent) containing two components having different boiling points is volatilized by two-stage heating. That is, most of the relatively low boiling point DMC is volatilized in the step a, and then the heating temperature is further increased to volatilize the remaining organic solvent (mainly EMC). In this way, by gradually changing the heating temperature and sequentially extracting from the low-boiling solvent to the high-boiling solvent, it is possible to efficiently volatilize and recover the organic solvent while suppressing alteration (decomposition, etc.) due to heating.
The vapor pressure of DMC at 24 ° C. is about 2.4 kPa, and the vapor pressure of EMC at 25 ° C. is about 3.3 kPa. For this reason, DMC and EMC volatilized in the ab steps are typically recovered as a mixed solvent. As will be described later, the recovered mixed solvent has a low content ratio of impurities (such as a thermal decomposition product of DMC and / or EMC) and has good reusability. For example, it can be used (reused) as an electrolytic solution for a lithium ion secondary battery.
[0036]
Next, from the battery constituent material remaining after the heating, an electrolyte (here, LiPF 6 ) Is removed by volatilization (mainly thermal decomposition), and the volatiles are recovered (step 224). For example, as in the temperature chart shown in FIG. 5, the furnace temperature is about 160 to 180 ° C. (LiPF 6 (Corresponding to the thermal decomposition temperature range) (indicated by arrow c in the figure). This makes LiPF 6 Is thermally decomposed into lithium fluoride (LiF) and phosphorus fluoride (PF) 5 ) Occurs. The phosphorus fluoride is introduced into the
[0037]
The separator is volatilized (mainly thermally decomposed) and removed from the battery constituent material remaining after the heating, and the volatiles are recovered (step 226). That is, as in the temperature chart shown in FIG. 5, the furnace temperature is maintained at about 300 ° C. (step shown by arrow d in the figure). Thereby, the separator 16 (porous polyethylene sheet) which comprises the
[0038]
Further, the binder constituting the electrode material is removed by volatilization (mainly thermal decomposition) from the battery constituent material remaining after the heating, and the volatile matter is recovered (step 228). That is, as in the temperature chart shown in FIG. 5, the furnace temperature is maintained at about 550 ° C. (step shown by arrow e in the figure). Thereby, the binder (polytetrafluoroethylene) constituting the electrode material is thermally decomposed to generate gases such as lower hydrocarbons and fluorides. The generated gas can be recovered (collected) as a liquid or a solid at one or more of the primary cooling device 67, the
[0039]
In the above process (step 220), the heating temperature is raised in stages, and volatiles are recovered at each stage. In this way, by sequentially extracting the constituent materials from the secondary battery from a material having a low volatility temperature to a material having a high volatility, a reusable recovered material (valuable material) can be obtained. In addition, it is preferable to first extract (remove) the organic solvent from the battery in this way because the internal resistance of the battery is increased, and the handleability of the battery in subsequent steps is improved. Further, by removing the organic solvent (step 222) under reduced pressure, (1). Prevent deterioration of the organic solvent due to excessive heating, (2). Shortening the time required to remove the organic solvent, (3). At least one of the effects of saving energy for heating can be obtained.
[0040]
The battery constituent material (heating residue) from which the organic substances have been removed through the above-described process (Step 220) includes a container, positive and negative terminals, positive and negative current collectors, and positive and negative electrode materials ( (Excluding binders). In
That is, in
[0041]
The
[0042]
Step 240 shown in FIG. 1 uses electrode materials (mixtures of positive electrode materials and negative electrode materials) separated from various battery constituent members by the above-described processes as materials to be treated. 2 This is a step of supplying O (performing hydrolysis). A schematic configuration example of the apparatus used in this step is schematically shown in FIG.
The
[0043]
A
At this time, in the pressure vessel, for example, it is considered that a phenomenon represented by the following reaction formula occurs.
[0044]
3LiNiO 2 + 2H 2 O → 3NiOOH + Li 2 O + LiOH (1)
2NiOOH + H 2 O → 2Ni (OH) 2 + 1 / 2O 2 ... (2)
Li 2 O + H 2 O → 2LiOH (3)
C / Li + H 2 O → C + LiOH + 1 / 2H 2 ... (4)
[0045]
The above reaction formulas (1) to (3) are reactions related to the positive electrode active material. Reaction formula (1) produces nickel oxyhydroxide (NiOOH). This nickel oxyhydroxide is decomposed by the reaction formula (2) to produce nickel hydroxide (Ni (OH) 2 ) On the other hand, lithium oxide (Li 2 O) becomes lithium hydroxide (LiOH) according to the reaction formula (3). The oxygen gas generated in the reaction formula (2) escapes into the gas phase, and eventually, lithium hydroxide and nickel hydroxide are generated from lithium nickelate by these reaction formulas. The cobalt component contained in the positive electrode active material can similarly produce cobalt hydroxide.
[0046]
The reaction formula (4) is a reaction related to lithium inserted in the negative electrode active material. Further, “C / Li” in the formula represents that this lithium is inserted in a carbon material (here, carbon black). In the reaction formula (4), lithium in the negative electrode active material generates lithium hydroxide (LiOH) and hydrogen gas is generated. This hydrogen gas is stabilized by generating water by the oxygen gas filled in the
[0047]
While stirring the
[0048]
Note that the
[0049]
The lithium component (lithium hydroxide) is eluted from the electrode material that has been subjected to the processing of step 240 (step 242). That is, the treated electrode material is put into a container filled with pure water and dispersed by stirring. Here, the solubility of LiOH in water at 25 ° C. is about 12.5 g / 100 g (H 2 O). In contrast, nickel hydroxide (Ni (OH) 2 ) Has a solubility of about 7.5 × 10 5 at 25 ° C. -4 g / 100 g (H 2 O)). Cobalt hydroxide (Co (OH) 2 ) Has a solubility of about 8-22 × 10 at 25 ° C. -4 g / 100 g (H 2 O). Due to the remarkable difference in solubility, the lithium component (lithium hydroxide) is eluted from the electrode material put into pure water, while the transition metal components (nickel hydroxide and cobalt hydroxide) are not substantially eluted. Carbon black is substantially insoluble in water. Therefore, by filtering the electrode material dispersed in water (step 244), the solution containing lithium hydroxide and the insoluble matter containing transition metal hydroxide such as nickel hydroxide and carbon black are easily separated. be able to. The filtrate thus obtained is a lithium solution (solution in which lithium hydroxide is dissolved in water) that does not substantially contain metal components other than lithium.
[0050]
A solid lithium salt is produced using the lithium solution (liquid to be treated (raw material solution)) obtained through the above steps (
[0051]
CO 2 The
The raw
[0052]
CO 2 The gas supply means 333 is a CO (not shown) 2 CO2 gas from the source (in this example substantially CO2 2 A gas consisting of ) Into the reaction vessel 330 2 A gas supply pipe 333a is provided. A
The
[0053]
The
[0054]
One end of a
The
[0055]
One end of a
[0056]
The
The liquid to be treated in the
[0057]
The fluorine
[0058]
One end of a
[0059]
With reference to the flowchart shown in FIG. 1, an example of a method for producing a lithium salt (recovering a lithium component) from the filtrate (raw material solution) obtained in
First, in the
[0060]
While stirring the liquid to be treated in the
[0061]
This CO 2 In the contacting step, the
[0062]
Liquid to be treated and CO 2 As the reaction proceeds with the amount of the reaction product exceeding the solubility in the liquid to be treated, the product (mainly lithium carbonate) precipitates from the liquid to be treated. Further, as the reaction proceeds, the pH of the liquid to be treated gradually decreases. By detecting this pH change with the
As described above, CO in the liquid to be treated 2 Gas bubbling and CO 2 By performing the process of spraying the liquid to be processed in the packed
[0063]
CO 2 The liquid to be treated that has undergone the contact process is transferred from the
The precipitate separated in
[0064]
Next, the
[0065]
CO 2 The liquid to be processed that has undergone the concentration reduction process is transferred from the
The precipitate separated in
[0066]
Furthermore, the CO 2 The to-be-processed liquid which passed through the density | concentration reduction process and the isolation | separation process is used for a fluorine salt production | generation process. That is, the cock 372 of the
The precipitate separated in
[0067]
Most of the lithium component is removed from the liquid to be treated (filtrate) that has passed through the
[0068]
The lithium carbonate separated in
[0069]
The purity of lithium carbonate suitable for use as it is in the production of the positive electrode active material as described above is exemplified for each evaluation item (type of element) as follows. Cl content: less than 0.002% by mass. S content: less than 0.02 mass%. Ca content: less than 0.001% by mass. Mg content: less than 0.0003 mass%. K content: less than 0.0015% by mass. Na content: less than 0.0045% by mass. Ni content: less than 0.002 mass%. Co content: less than 0.002 mass%. Al content: less than 0.02% by mass. Cu content: less than 0.002 mass%. C content: less than 0.002 mass%. Moreover, it is preferable that a heating loss (150 degreeC) is less than 0.15 mass%.
[0070]
According to the lithium salt production method and production apparatus of this example, the liquid to be treated and the CO obtained from the lithium battery 2 Can be contacted efficiently. This improves the efficiency of the reaction to produce lithium carbonate, so that CO 2 The time required for the contact process (for example, grasped as the time until the pH of the liquid to be treated falls within a predetermined range) can be shortened. This CO 2 The contact process is performed at a relatively low pressure, for example, about 100 to 200 kPa. 2 Good reaction efficiency can also be obtained when carried out in an atmosphere. As a result, the pressure resistance required for the
[0071]
In addition, according to the manufacturing method of this example, high-purity lithium carbonate (for example, low contamination with other alkali metal components and transition metal components) is manufactured from a lithium ion secondary battery containing a lithium / nickel composite oxide. can do. Such lithium carbonate is excellent in reusability for various uses. For example, it is suitable as a material for a lithium battery (a raw material for producing a positive electrode active material). In this embodiment, in producing such high purity lithium carbonate, after eluting the lithium component from the electrode material, a special purification step for separating the lithium component from other alkali metal components, transition metal components, etc. (for example, , A step of separating lithium ions from other metal ions using an ion exchange resin, a thin film separator, or the like is not required. Therefore, part of the lithium component is not lost during such purification, and high-purity lithium carbonate can be produced in high yield (high efficiency). According to the present embodiment, one or more of the effects described above can be realized.
[0072]
<Example 2: Evaluation of the obtained lithium salt>
In the lithium salt production method of Example 1, CO solution is added to the lithium solution (liquid to be treated). 2 Supply gas to lithium carbonate (Li 2 CO 3 ) Is generated. Thus, a material not containing an alkali metal component (here, CO 2 Gas) is used to deposit lithium carbonate, whereby lithium carbonate with less contamination of alkali metal elements other than lithium can be obtained. For example, CO 2 Compared with the case where sodium carbonate is used instead of gas, the amount of sodium component mixed in the obtained lithium carbonate can be significantly reduced. Although it is generally difficult to separate the sodium component once mixed from the lithium component, according to the production method of Example 1, carbonic acid having a high purity (especially, a small amount of alkali metal elements other than lithium is mixed) by a simple operation. Lithium can be obtained.
[0073]
Table 1 shows the results of the purity analysis of lithium carbonate (sample 1) produced in Example 1. Moreover, the result of having measured the loss on heating (mass change rate before and behind heating a sample at 150 degreeC for 60 minute (s)) is combined with Table 1, and is shown.
Further, lithium carbonate was produced by changing the processing method after
[0074]
[Table 1]
[0075]
As can be seen from Table 1, the lithium carbonate of
[0076]
Specific examples of the present invention have been described in detail above, but these are merely examples and do not limit the scope of the claims. The technology described in the claims includes various modifications and changes of the specific examples illustrated above.
The technical elements described in this specification or the drawings exhibit technical usefulness alone or in various combinations, and are not limited to the combinations described in the claims at the time of filing. In addition, the technology illustrated in the present specification or the drawings achieves a plurality of objects at the same time, and has technical utility by achieving one of the objects.
[Brief description of the drawings]
1 is a flowchart showing an outline of a procedure for producing a lithium salt from a lithium ion secondary battery in Example 1. FIG.
FIG. 2 is a cross-sectional view schematically showing a configuration of a lithium ion secondary battery.
FIG. 3 is a plan view showing a positive electrode sheet (expanded state) used in a lithium ion secondary battery.
FIG. 4 is a schematic diagram illustrating a schematic configuration example of an apparatus used for recovery of a volatile component.
FIG. 5 is an explanatory diagram showing a transition of the furnace temperature.
[Fig. 6] H as electrode material 2 It is a schematic diagram which shows the schematic structural example of the apparatus which makes O act. is there.
FIG. 7 is a schematic diagram showing a schematic configuration example of an apparatus for producing a lithium salt from a liquid to be treated.
[Explanation of symbols]
1: Lithium ion secondary battery (lithium battery)
10: Electrode body
122: Positive electrode current collector (metal member)
124: Positive electrode material layer
142: Negative electrode current collector (metal member)
144: Negative electrode material layer
16: Separator sheet
20: Container (metal member)
30: Positive terminal (metal member)
40: Negative electrode terminal (metal member)
80: Hydrolysis device
81: Pressure vessel
85: Electrode material (material to be treated)
87: Stirrer
88: H 2 O supply pipe
89: Oxygen supply pipe
300: Lithium salt production device
320: CO 2 Contact area
321: Raw material liquid (liquid to be treated)
326: Nebulizer (spray supply means)
330: First reaction tank (reaction chamber)
333: CO 2 Gas supply means
333b: Fine bubbler
336: circulation spray device (spray circulation means)
350: First filtration device
352: Filtration container (collection chamber)
360: CO 2 Density adjustment unit
362: Recrystallization tank (CO 2 (Density adjustment room)
363: Non-CO 2 Gas introduction pipe (CO 2 Density adjustment means)
380: Fluorine salt generator
382: Second reaction tank (second reaction chamber)
390: Second filtration device
392: Filtration container (second recovery chamber)
Claims (13)
前記被処理液をCO2ガスと接触させる工程と、
前記CO2接触工程を経た被処理液の溶存CO2濃度を低減する工程と、
前記CO2濃度低減工程を経た被処理液から炭酸リチウムを含む析出物を分離する工程と、
を包含するリチウム塩の製造方法。A method for producing a lithium salt from a liquid to be treated in which lithium ions are dissolved in an aqueous solvent,
Contacting the liquid to be treated with CO 2 gas;
Reducing the dissolved CO 2 concentration of the liquid to be treated that has undergone the CO 2 contact step;
Separating the precipitate containing lithium carbonate from the liquid to be treated that has undergone the CO 2 concentration reduction step;
A process for producing a lithium salt comprising
前記CO2濃度低減工程は、その分離後に残った被処理液から炭酸リチウムを含む析出物が生じるように行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。Further comprising separating a precipitate containing lithium carbonate from the liquid to be treated that has undergone the CO 2 contact step,
The method according to any one of claims 1 to 3, wherein the CO 2 concentration reduction step is performed such that a precipitate containing lithium carbonate is generated from the liquid to be treated remaining after the separation.
前記被処理液は、前記複合酸化物を含む被処理材にH2Oを供給して該複合酸化物から水酸化リチウムを生じさせる工程と、その水酸化リチウムを水に溶出させる工程とを含む処理方法により得られたものである、請求項6に記載の方法。The lithium battery has a composite oxide containing lithium and one or more transition metal elements,
The liquid to be treated includes a step of supplying H 2 O to a material to be treated containing the complex oxide to generate lithium hydroxide from the complex oxide, and a step of eluting the lithium hydroxide into water. The method according to claim 6, which is obtained by a processing method.
前記被処理液が供給される反応室と、該反応室にCO2ガスを供給するCO2ガス供給手段とを有するCO2接触部;
前記反応室を経た被処理液が供給されるCO2濃度調整室と、該調整室内の被処理液のCO2濃度を調整するCO2濃度調整手段とを有するCO2濃度調整部;および、
前記CO2濃度調整室に接続されており、該調整室を経た被処理液から析出物を分離可能に構成されている回収室;
を備えるリチウム塩製造装置。An apparatus for producing a lithium salt from a liquid to be treated in which lithium ions are dissolved in an aqueous solvent, the following components:
Wherein a reaction chamber in which the processing liquid is supplied, CO 2 contact portion and a CO 2 gas supply means for supplying the CO 2 gas into the reaction chamber;
And CO 2 concentration adjusting room in which the processing liquid is supplied having passed through the reaction chamber, CO 2 concentration adjusting unit and a CO 2 concentration adjusting means for adjusting the CO 2 concentration of the treatment solution of the adjusting chamber; and,
A recovery chamber connected to the CO 2 concentration adjusting chamber and configured to be able to separate precipitates from the liquid to be treated that has passed through the adjusting chamber;
A lithium salt production apparatus comprising:
前記CO2濃度調整室を経た被処理液が供給される第二の反応室と、該反応室にフッ素イオンを供給するフッ素イオン供給手段とを有するフッ素塩生成部;および、
前記第二反応室に接続されており、該反応室から移送された被処理液から析出物を分離可能に構成されている第二の回収室;
をさらに備える、請求項8から12のいずれか一項に記載の装置。In addition, the following components:
A fluorine salt generation unit having a second reaction chamber to which a liquid to be treated having passed through the CO 2 concentration adjusting chamber is supplied, and fluorine ion supply means for supplying fluorine ions to the reaction chamber;
A second recovery chamber connected to the second reaction chamber and configured to be able to separate precipitates from the liquid to be treated transferred from the reaction chamber;
The apparatus according to any one of claims 8 to 12, further comprising:
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