JP2005018815A - 記録装置、記録方法、ディスク記録媒体 - Google Patents

記録装置、記録方法、ディスク記録媒体 Download PDF

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由紀夫 宍戸
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Abstract

【課題】記録可能型の多層ディスクでの互換性確保と追記性確保の両立
【解決手段】複数の記録層を有するライトワンス型ディスク記録媒体において、第2記録層以降の各記録層の内周の所定領域を、所定タイミングでガードデータ記録を行ってガード領域とする。再生互換を得るためには、少なくとも第1記録層(レイヤ0)の内周側には管理情報(リードインデータ)が記録されるが、ガード領域の形成によって、第2記録層(レイヤ1)以降についても記録済となる。つまり再生専用装置がディスク判別処理を行うディスク内周側の所定領域において各記録層が記録済領域となるようにし、再生専用装置がディスクを誤認することはないようにする。またこれによって、ユーザーデータ記録可能な領域において未記録領域が残されていてもよいようにする。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の情報記録層を有するライトワンス型のディスク記録媒体に対応する記録装置、記録方法、及び新規なライトワンス型のディスク記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平11−167725
光学的に情報の記録または再生が可能な光記録媒体としては、光ディスク、光カード等が知られている。これらの光記録媒体に対しては、半導体レーザ等のレーザ光を光源として用い、レンズを介して微小に集光した光ビームを照射することで、情報の記録あるいは再生を行う。
【0003】
これら光記録媒体においては、さらに記録容量を高めるための技術開発が盛んに行われている。そして従来の光ディスクの情報記録の高密度化は、当該ディスク記録面における記録密度を上げることを主眼にしてきた。例えば記録ビームを発射する光源の短波長化や再生系の信号処理と組み合わせて、トラックピッチを詰めたり、記録及び読み取り走査における線速方向に記録密度を上げる試みがなされてきた。
【0004】
しかしながら、光源の短波長化にしても、紫外領域までが限界であることや、ピットサイズについてはカッティングの際にディスクに転写できるサイズまでにしか縮小することができないことなどから、記録密度向上のための試みは、ディスクの2次元の領域ではいずれ限界がくるものである。
そこで大容量化の手法を3次元的に考えることも行われている。すなわちディスクの厚さ方向へ記録情報の高密度化を進めるために情報記録層を積層して形成された多層ディスクが注目されている。
【0005】
記録層を積層した多層記録媒体は、記録層の数に応じて記録容量を倍増することが可能であり、さらに他の高密度記録技術と組み合わせることが容易であるという特徴を有する。多層記録媒体としては、すでに例えば再生専用光ディスクであるDVD(Digital Versatile Disc)−ROMなどにおいて実用化されている。
例えば上記特許文献1ではDVD−ROM等において2層の記録層とされた場合に適用できる技術が開示されている。
そして今後は、ROMタイプディスクだけではなく、相変化材料、光磁気材料、色素材料などの記録可能な記録層を積層した、記録可能な多層記録媒体の実用化が期待されている。例えばDVD方式のディスクで言えば、DVD−R、DVD+Rなどと呼ばれるライトワンス型のディスク、或いはDVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなどと呼ばれるリライタブル型のディスクなどでも、多層記録層の実現が想定されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところがライトワンス型の多層記録媒体の場合、次のような問題点が想定される。
【0007】
記録装置でデータ記録が行われたディスクについては、再生専用装置でデータ読出が可能であることが求められる。即ち互換性である。
再生専用装置ではディスク盤面に記録したピットを読むので、ピットの無い領域ではサーボもかからずデータを安定して読み出す事ができない。その為にガードとなる領域が必要になる。同様にリードイン/リードアウトと呼ばれる領域も必要である。
【0008】
再生専用装置において、ピットの無い領域でサーボがかからないのは次の理由による。
例えばDVD方式の再生専用ディスクであるDVD−ROMに対応する再生専用装置では、ディスク再生時に行われるトラックずれ検出方法として、DPD(位相差検出;Differential Phase Detection)法が用いられていることがほとんどである。
【0009】
一方、DVD−RやDVD+R等のディスクは、記録トラックを形成するためにプリグルーブ(Pregroove)と呼ばれる連続溝が形成され、データ未記録領域でのトラックずれ検出法としては、プッシュプル(Push−Pull)法によりプリグルーブに対するトラッキングずれを検出する方式が利用されている。
ここで、DVD−ROMの規格化と製品化の後でDVD−RやDVD+Rの規格化と製品化が行われたという事情がある。そしてDVD−R、DVD+Rに記録された情報は、既に先に製品化されたDVD−ROMディスクに対する再生専用装置で再生可能とする必要があった。
このため、DVD−RやDVD+Rにおける記録済領域では、DPD法でトラックずれ検出が可能にとされている。
従ってDVD−R、DVD+Rでは、記録済領域と未記録領域でトラックずれ検出方法が異なるものであり、記録装置では、記録済領域か未記録領域かによって、トラッキング方式を切換えるように設計される。
ところが、再生専用装置ではそのような設計がされていないため、DVD−R等における未記録領域ではサーボがかけられないものとなっている。
【0010】
このような状況下において、再生専用装置での安定したデータ読出を行うために、ユーザーデータに隣接してガードとなる領域が必要になる。
例えば再生専用装置によるDVD−R等の再生の際に、光学ヘッド全体を記録済領域に移動させてデータ再生を試みた際に、光学ヘッドが誤って未記録領域に移動してしまうと、トラッキングがかけられない状態となり、適切な位置への復帰もできない。これに対して、ユーザーデータ記録領域に隣接してダミーデータ等で記録済としたガード領域が形成されていれば、再生専用装置でユーザーデータ再生が行われる際に、トラッキングのかからない領域に光学ヘッドがアクセスしてしまうことが、なるべく起こらないようにできる。
さらに再生専用装置にとっては、ユーザーデータや必要な管理情報が記録された記録済領域以外で、未記録として残された領域の全てが、ダミーデータ記録によるガード領域とされると、トラッキングがかけられない未記録領域が存在しなくなるため、より好適となる。
【0011】
このため、記録装置では、ユーザーデータをディスクに記録した後、リードイン(管理情報)の記録を行い、またユーザーデータの記録が行われなかった領域(余った領域)については、例えばダミーデータ(リードアウト)で埋め尽くすようにすることが行われている。つまり再生専用装置がデータ読出の際にピットの無い領域にアクセスしてしまうことがないようにする。例えばDVD−R、DVD+Rなどにおいて、セッションクローズ、ディスククローズ(或いはファイナライズ)などと呼ばれている処理の際に、このような処理が行われる。
【0012】
また、2層のDVD−ROM等のディスクでは、第1記録層にピットデータが存在し、第2記録層にピットデータが存在しない、というようなことはない。
一方、DVD−R等のライトワンスディスクでは、例えば第1記録層にのみデータ書込を行った時点では、第2記録層はデータは未記録である。
DVD−ROMに対する再生専用装置では、このように2層ディスクであるにも関わらず、一方の記録層にしかデータ記録がなされていないディスクが装填されると、そのようなディスクは想定されていないため、何らかの不具合のあるディスクとして誤認識してしまい、正常な再生処理がなされない。
この点においても、上記のように未記録領域を全てダミーデータ書込によるガード領域とすることが適切となる。つまり、再生専用装置において不具合のあるディスクと誤認識することもなくなるため、互換性確保にとって好ましい。
【0013】
しかしながら、ライトワンスディスクにおいて、このようにダミーデータを記録してディスク盤面上に未記録領域が発生しない様に全面をピットで埋める処理を行うことは、その後、永久に、そのディスクは追加的なデータ記録ができなくなることを意味する。
ライトワンスディスクでは、ディスク全体でのクローズ以外に、セッション(ボーダーと呼ばれる場合もある)単位でクローズ処理を行うことができ、いわゆるマルチセッション記録では、セッションクローズ後も、未記録領域に新たなセッションでユーザーデータ記録が可能とされる。
さらには、インクリメンタルライトと呼ばれるように、ユーザーデータをシーケンシャルに追記していく記録方式も可能とされている。
【0014】
このように、ディスク上の未記録領域に対しては、その後追加的なデータ記録を行う方式が用意されているが、上記のようにセッションクローズ時などに未記録領域が消滅されてしまうと、このような方式での追加記録が不可能となる。これは、ディスクの記録可能な容量が有効に使用できないものとなる。
特に複数の記録層を有し、データ記録容量が大きくされたディスクになるほど、ダミーデータで埋められる未記録領域(ガード領域)が大きくなることが想定される。
即ち、再生互換のためには、ディスク上の未記録領域をすべて記録済のガード領域とすることが好ましいが、その一方で、それによってそのディスクを追加記録不能とし、ディスク上の記録領域を多大に無駄としてしまうという問題がある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明はこれらの事情を考慮し、複数の記録層を有するライトワンス型のディスクにおいて、追記を可能にしたまま再生互換性を得るようにすることを目的とする。
【0016】
本発明の記録装置は、データを1回書込可能な複数の記録層を有し、ユーザデータ書込には上記各記録層が、第1の記録層から順次使用されるとともに、少なくとも第1の記録層におけるディスク内周側の領域には、ユーザデータ書込に応じた管理情報が記録されるディスク記録媒体に対する記録装置である。
そして、上記各記録層に対してデータ記録を行う記録手段と、ディスク記録媒体の第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域がデータ記録済みであるか否かを判別する判別手段と、上記判別手段によりデータ記録済でないと判別されることに応じて、所定タイミングにおいて、上記記録手段により、上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域にデータ書込を行わせてガード領域を形成させるガード領域生成制御手段とを備える。
ここで、上記所定タイミングとは、上記ディスク記録媒体上でユーザーデータが書き込まれた領域について、再生互換のためのセッションクローズ処理を行うタイミング、或いは上記ディスク記録媒体の排出処理を行うタイミング、或いは上記ディスク記録媒体が装填された際のタイミングとする。
また、上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域は、ユーザーデータの記録に使用されないとされた領域とする。さらには、ユーザーデータの記録に使用可能な領域も含む。
【0017】
本発明の記録方法は、上記ディスク記録媒体に対する記録方法として、ディスク記録媒体の第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域がデータ記録済みであるか否かを判別する判別ステップと、上記判別ステップによりデータ記録済でないと判別されることに応じて、所定タイミングにおいて、上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域にデータ書込を行わってガード領域を形成するガード領域生成ステップとを備える。
【0018】
本発明のディスク記録媒体は、データを1回書込可能な複数の記録層を有し、ユーザデータ書込には上記各記録層が、第1の記録層から順次使用されるとともに、少なくとも第1の記録層におけるディスク内周側の領域には、ユーザデータ書込に応じた管理情報が記録されるものとされたディスク記録媒体において、第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域に、ガードデータが記録済とされたガード領域が、予め形成されていることを特徴とするディスク記録媒体である。
この場合、上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域は、ユーザーデータの記録に使用されないとされた領域である。さらには、ユーザーデータの記録に使用可能な領域も含む。
【0019】
上記本発明の記録装置、記録方法によれば、複数の記録層を有するライトワンス型ディスク記録媒体において、第2記録層以降の各記録層の内周の局所領域をピット(例えばダミーデータとしてのガードデータ)で埋め、ガード領域とする事で、未記録領域での記録を可能な状態にしたまま、再生装置での再生互換を確保する。
再生互換を得るためには、少なくとも第1記録層(レイヤ0)の内周側には管理情報(リードインデータ)が記録される。ここで、第2記録層(レイヤ1)についても、ガード領域として記録済とすれば、少なくとも当該内周側の領域においては、各記録層が記録済領域となる。再生専用装置においては、通常内周側でディスク判別処理を行うため、各層が記録済とされていればディスクを誤認することはない。
また、少なくとも内周側で各記録層を記録済としておけば、ユーザーデータを記録可能な領域において未記録領域が残されていても、ユーザーデータに隣接する必要最低限のガード領域が形成されていればよいものとなる。
【0020】
また上記本発明のディスク記録媒体は、上記技術思想をさらに進め、予め第2記録層(レイヤ1)以降の内周側にピットを形成しておくことで、記録装置において内周側の所定領域にガード領域を形成する場合と同様の作用効果を得るものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、次の順序で説明する。
1.ディスク構成
1−1 記録層のエリア構造
1−2 2層ディスク
1−3 再生専用装置及び記録再生装置でのディスク挿入時の処理
1−4 本例の記録動作方式
2.ディスクドライブ装置
2−1 装置構成
2−2 セッションクローズ時の処理
2−3 イジェクト時の処理
2−4 ディスク挿入時の処理
3.ガード領域が予め記録されたディスク
4.実施の形態の効果及び変形例
【0022】
1.ディスク
1−1 記録層のエリア構造
本実施の形態では、大容量ディスク記録媒体としてDVD(Digital Versatile Disc)を例に挙げ、また後述するディスクドライブ装置は、DVDとしてのディスクに対して記録再生を行う装置とする。
DVD方式のディスクにおいて、記録可能タイプとしては、DVD+R、DVD−R、DVD−RW、DVD−RW、DVD−RAMなどの複数の規格が存在する。ここでは、ライトワンスメディアであるDVD+Rを例に挙げて説明していく。
【0023】
例えば、DVD+Rとしてのディスクがディスクドライブ装置(記録装置)にローディングされた時には、記録面上のウォブリンググルーブに刻まれたADIP(Address in pre−groove)情報からディスクに固有な情報が読み出されて、DVD+Rディスクであることが認識される。認識されたディスクは記録され、やがて記録装置から排出され、再び記録装置に装填されることもある。この時、再び同じ記録装置に装填される事もあれば、データ交換の為に他の記録装置や再生装置に装填される事もある。
このような使用形態を考慮し、DVDの論理フォーマットは装置間の記録互換、再生互換を円滑にする為に策定されている。
【0024】
まず図1に、DVD+Rの記録層のレイアウトを示す。
図示するように、DVD+Rの記録層における論理的なデータレイアウトとしては、ディスク内周側から外周側にかけて、インフォメーションゾーン(Information Zone)が形成される。このインフォメーションゾーンは、データの記録互換、再生互換を確保するために必要な情報を全て含んでいる領域である。
インフォメーションゾーンは、1つ或いは複数のセッションを含むものとなる。
【0025】
インフォメーションゾーンは主に以下の5つの領域から構成される。
▲1▼インナードライブエリア
▲2▼リードインゾーン(リードインエリアともいう)
▲3▼データゾーン(データエリアともいう)
▲4▼リードアウトゾーン(リードアウトエリアともいう)
▲5▼アウタードライブエリア
【0026】
ここで、リードインゾーン、データゾーン、リードアウトゾーンは、再生専用装置でも支障なくアクセスできる領域にある。
インナードライブエリアとアウタードライブエリアは記録装置専用の領域である。情報の記録を行う時には、正しい記録マークが形成できるように記録時のレーザーパワーを調整しなくてはならない。このため、最適記録条件を求めるためのテスト記録に使用できるテストゾーンと記録条件にかかわる管理情報を記録できる領域が、インナードライブエリアとアウタードライブに形成される。そしてテストゾーンはテスト記録により記録状態が不均一になることから、再生専用装置で支障なくアクセスできる保障はないので、再生専用装置がアクセスできないところに配置されている。
【0027】
フィジカルセクターナンバ(PSN:物理セクターナンバ)は、ディスク上の絶対位置情報として付与されている。
図示するように、例えばディスク内周側から外周側に掛けてフィジカルセクターナンバの値は増加されていく。DVD+Rの場合、PSN=2FFFFh(hを付した数値は16進表現)がリードインゾーンの終端とされ、PSN=3000hからデータゾーンが開始される。
データゾーンは、基本的にはユーザーデータの書込が行われる領域であり、またリードインゾーンは、管理情報の書込が行われる。またリードアウトゾーンは例えば再生専用ディスクとの互換維持などの目的からダミーデータの書込が行われる。
【0028】
再生専用ディスクとの互換性を望む場合、リードインゾーン、未記録部分が残っていないデータゾーン、及びリードアウトゾーンから成るセッション構成(「セッション」は「ボーダー」といわれる場合もある)で記録を完結する必要がある。
ライトワンスメディアの場合は、従来の記録装置によっては上述したように、データゾーンへのユーザーデータの書込を行った後、セッション(或いはディスク全体)をクローズする際に、リードインゾーンに適切な管理情報を記録すること、及びデータゾーンにおいてユーザーデータの書込が行われなかった領域をダミーデータ(リードアウト)で埋め尽くすことで、当該メディアについて他の再生装置でも再生できるようにする。換言すれば、クローズしていない状態(オープン状態)では、リードインゾーンに適切な管理情報が未だ書かれていないため、その時点では再生互換性は無い。また、データエリアにおいてピットが形成されていない未記録領域があると、再生装置において適切なトレースができなくなることからダミーデータの書込が行われる。
つまり、必要なユーザーデータの書込を完了し、新たな書込を行わない時点でクローズ処理することで再生互換性が得られる。そしてその場合は、新たな書込はできないものとなる。一方、オープン状態は、再生互換性は得られていないものの、まだ新たなデータ書込が可能な状態にあるものである。
そして上記の、リードインゾーン、未記録部分が残っていないデータゾーン、及びリードアウトゾーンから成るセッション構成で記録を完結するということは、クローズ処理を行うことを意味する。
【0029】
ところでこのような事情は、一度DVD+Rとしてのディスクにセッション構成で記録を完結してしまうと、残りの部分が未記録であっても、その未記録部分を永久に利用できなくなってしまうという、ライトワンスディスク特有の問題を生じさせる。
そこで、未記録とされた残りの領域が無駄になるシングルセッションレイアウトの問題を補完し、再生専用装置を最小限に変更するだけで再生互換を確保するマルチセッションの概念が導入されている。
【0030】
DVD+Rの場合、マルチセッションディスクでは、最大191番目までの複数のセッションが存在できる。
各セッションは、
▲1▼イントロ(Intro)
▲2▼データゾーン
▲3▼クロージャ(Closure)
から構成される。
そして1つのセッションは、オープニング(オープン処理)によりデータ記録が可能になり、クロージング(クローズ処理)により完結する。
【0031】
ディスク上に未記録のデータゾーンが残っていれば、オープニングによりセッションを追加できる。その時、新しいセッションに内側のセッションのデータを論理的にインポートする事ができる。イントロとクロージャはそれぞれ、先に説明したリードインとリードアウトに類似した役割をする。この2つの領域は、次のセッションが完結して、リードインゾーンやリードインゾーンの情報が更新される間で、一時的に現状の情報を記憶し、属性としては通常のデータとして記録するものなので異なる名称が用いられている。
【0032】
図2にセッションレイアウトを示す。
図2(a)はシングルセッション構成を示す。
インフォメーションゾーンにおいて、リードインゾーンに続いてユーザーデータが記録されるユーザーデータエリアが形成され、ユーザーデータの後にリードアウトが形成される。
図2(b)はマルチセッション構成を示す。
インフォメーションゾーンにおいて、リードインゾーンからリードアウトゾーンまでの領域に、先頭から順に、セッション#1、セッション#2・・・セッション#Nが形成されていく。
最初のセッション#1は、リードインゾーン、ユーザーデータエリア、クロージャで形成される。
セッション#2は、イントロ、ユーザデータエリア、クロージャで形成される。
最後のセッション#Nは、イントロ、ユーザーデータエリア、リードアウトゾーンで形成される。
【0033】
上記図1と比較することで理解されるが、マルチセッションディスクの場合、先頭のセッション#1は図1のデータゾーンに先行するリードインゾーンを含むものとなる。
また最後のセッション#Nは、図1のデータゾーンに後続するリードアウトゾーンを含むものとなる。
そして、上記のように1つのセッションは、リードインゾーン、データゾーン、及びリードアウトゾーンにより完結する必要があるが、マルチセッションディスクの場合、全てのセッションが、リードインゾーン及びリードアウトゾーンを含むことはできなくなるため、イントロ及びクロージャとしての領域が形成されるものである。
例えばセッション#1ではリードアウトゾーンに換えてクロージャが形成され、またセッション#2では、リードインゾーンに代わるイントロ及びリードアウトゾーンに代わるクロージャが形成され、最後のセッション#Nではリードインゾーンに代わるイントロが設けられる。
そして、図2に示すセッション#1のユーザーデータエリアから、セッション#Nのユーザーデータエリアまでは、図1で言うデータゾーンに含まれることになる。つまりイントロ及びクロージャは図1で言うデータゾーン内であり、これが上記したように、イントロ及びクロージャが、属性として通常のデータとして記録される理由となる。
【0034】
1−2 2層ディスク
ここで、記録可能型のDVDにおいて、2つの記録層を有する2層DVDを考えると、色素変化記録膜もしくは相変化記録膜としての記録層を比較的小さな間隔を置いて2層積層した構造を有するものとなる。
図3には、ディスク1において、2つの記録層としてレイヤ0、レイヤ1を積層した状態を模式的に示している。
このような2層ディスクの記録時においては、ディスクドライブ装置の光ピックアップ3から対物レンズ3aを介して出射するレーザ光をいずれかの記録層に絞り込み、その記録層に信号を記録する。
対物レンズ3側から見て、レイヤ0が近い方の記録層、レイヤ1が遠い方の記録層となる。
【0035】
2層ディスクの場合、パラレルトラックパスとオポジットトラックパスという2つの記録方式が考えられる。
図4にパラレルトラックパスの場合を示す。
なお、上記したように物理セクターナンバPSN(Physical Sector Number)はディスク盤面上に記録されている実アドレスである。これに対して論理ブロックアドレスLBA(Logical Block Number)はコンピューターで扱う論理的なデータの並びに対して付けられるアドレスである。このPSNとLBAは一対一に対応される。
【0036】
図4(a)に示すパラレルトラックパスの場合、レイヤ0、1ともに、内周側から外周側にかけてリードインエリア、データエリア、リードアウトエリアが形成される。
そしてデータの記録はレイヤ0の内周のStart PSN(=30000h)から始まりレイヤ0のデータエリアの最終であるEnd PSN(0)まで記録される。その、続きはレイヤ1の内周側のStart PSN(=30000h)から外周側のEnd PSN(1)までという記録順序で記録が行われる。
論理ブロックアドレスLBAは、図4(b)に示すように、レイヤ0の内周側から外周側まで、さらにレイヤ1の内周側から外周側までという方向性で、順番に連続に割り振られる。
【0037】
オポジットトラックパスの場合は図5に示される。オポジットトラックパスとされるディスクでは、レイヤ0の内周から始まりレイヤ0の終わりまで記録した後に、レイヤ1の外周から内周へ向かう記録順序となる。
図5(a)に示すように、オポジットトラックパスの場合、レイヤ0では内周側から外周側にかけてリードインエリア、データエリア、ミドルエリアが形成される。またレイヤ1では外周側から内周側にかけて、ミドルエリア、データエリア、リードアウトエリアが形成される。
そしてデータの記録はレイヤ0の内周のStart PSN(=30000h)から始まりレイヤ0のデータエリアの最終であるEnd PSN(0)まで記録される。その続きはレイヤ1のデータエリアの外周側(反転End PSN(0))から内周側のEnd PSN(1)までという記録順序となる。
論理ブロックアドレスLBAは、図5(b)に示すように、レイヤ0の内周側から外周側まで連続に割り振られた後、レイヤ1では折り返すように外周側から内周側までという方向性で、順番に連続に割り振られる。
【0038】
このようにパラレルトラックパスとオポジットトラックパスでは、データの物理的な格納方法(順番)の違いがある。
また、オポジットトラックパスの場合、層間折り返し部分より外周にはミドルエリアが付加される。これは次の理由による。オポジットトラックパスの場合は、レイヤ0にリードインエリアが形成され、レイヤ1にリードアウトエリアが形成される。このためデータエリアの外周側には、リードインエリア/リードアウトエリアが形成されない。一方で、再生専用装置ではディスク盤面に記録したピットを読むので、ピットの無い領域ではサーボもかからずデータを安定して読み出す事ができない。その為にガードとなる領域が必要になる。この必要性から、外周側にミドルエリアが形成され、例えばダミーデータが記録されて、リードアウトエリアと同様の機能が持たされるものとしている。
【0039】
ところで、ディスクへのデータの記録方法には、SAO(セッション・アット・ワンス)やDAO(ディスク・アット・ワンス)の様な、リードインエリア→ユーザーデータ→ミドルエリア→ユーザーデータ→リードアウトエリアという様に一気に記録する方法があるが、これとは別に、インクリメンタルライト(Incremental Write)と呼ばれる、データをシーケンシャルに追記していく記録方法がある。
インクリメンタルライトの場合、ディスクに対してユーザーデータをどこまで記録していくかわからない。
【0040】
ここで図6で、ユーザデータをディスクに例えばインクリメンタルライトしていく場合を例に挙げて、ディスク上の状況を考える。図6はオポジットトラックパスの場合で示している。
図6において、「UA」はピットが存在しない領域(Unrecorded Area)、「DA1」〜「DA12」は記録されたユーザーデータ、「LI0」はレイヤ0のリードイン、「LO1」はレイヤ1のリードアウト、「MA0」はレイヤ0のミドルエリア、「MA1」はレイヤ1のミドルエリアを示している。
【0041】
図6(a)は、オポジットトラックパスのディスクについて、ユーザーデータDA1〜DA12をインクリメンタルライトで順次記録した状態を示している。
この場合、レイヤ0から層間折り返し位置より外周側にはミドルエリアMA0が、またレイヤ1にはミドルエリアMA1が形成されている。
ところがこの状態は、まだリードインエリアとリードアウトエリアが付加されていない状態であり、つまり、まださらに記録可能な状態である。
【0042】
図6(b)は、図6(a)の状態からファイナライズ(クローズ処理)した場合のディスク状態を示している。
ファイナライズによって、ディスク盤面に記録したデータ領域(ユーザーデータDA1〜DA12)も確定し、リードインエリア、リードアウトエリアが付加される。この際に、再生互換を考慮してファイナライズ処理を行えば、図示するように未記録であった領域(ファイナライズ前にユーザーデータが記録可能とされていた領域)が全てリードアウトエリアとしてダミーデータが記録されたガード領域とされ、その領域は永久に利用できなくなってしまう。
【0043】
1−3 再生専用装置及び記録再生装置でのディスク挿入時の処理
ここで、再生互換の事情に関連するため、一般の再生専用装置及び記録再生装置でのディスク挿入時の処理を図7で説明しておく。
図7(a)は、再生専用装置においてディスクが挿入された際の処理を示している。
ディスクが装填されると、まずステップST1として、光学ヘッドがディスク内周側の位置に機械的に移送される。これは、ディスクのリードインエリア付近の内周位置を大まかに狙った移送であり、或るアドレスを目的とした正確なアクセスではない。
【0044】
次にステップST2では、ディスク内周位置において光学ヘッドからレーザ照射を行うとともに、対物レンズをフォーカス方向に強制的に移動させる。つまりフォーカスサーチと同様の動作を実行する。
公知の通り、対物レンズをフォーカス方向に強制的に移動させると、記録層に対する合焦点付近で、反射光情報として得られるフォーカスエラー信号には、S字カーブが観測される。これを利用すれば、S字カーブの観測によってディスクの記録層の数やディスク種別が判別できる。
例えば対物レンズをディスクから最も遠い位置から最も近い位置まで移動させた期間(或いはその逆方向に移動させた期間)において、S字カーブが1回観測されれば、1層ディスク、2回観測されれば2層ディスクと判断できる。
また、例えばCD、DVD、SACDなどの各種ディスクでは、ディスク厚み方向での記録層の位置や、複数記録層の間隔などがそれぞれことなるため、フォーカスサーチ動作中におけるS字カーブ観測タイミングや複数のS字カーブの発生間隔などから、ディスク種別が判別できる。
【0045】
このようにステップST2で、装填されたディスクの記録層数や種別を判別したら、ステップST3で、その判別結果に応じてリードインエリアに記録された管理情報の読出を行い、これによってディスクの物理情報や記録データの情報など、再生動作に必要な情報を取得するものである。
なお、このとき、1層ディスク、又は2層ディスクでオポジットトラックパスであることが判別されれば、レイヤ0のリードインエリアに記録された管理情報の読出を行う。また2層ディスクでパラレルトラックパスと判別された場合は、レイヤ0とレイヤ1の各リードインエリアの読出を行うことになる。
【0046】
以上の再生専用装置のディスク挿入時の処理は、基本的には再生専用ディスク(CD−DA、CD−ROM、DVD−ROMなど)を想定した処理となっている。
一方、記録可能型ディスク(DVD+Rなどのライトワンス型ディスクや、DVD+RWなどの書換可能型ディスク)も想定する記録再生装置のディスク挿入時の処理は、図7(b)のようになる。
【0047】
ディスクが装填されると、まずステップF1として、再生専用装置の場合に光学ヘッドがディスク内周側の位置に機械的に移送される。
次にステップF2では、ディスク内周位置において光学ヘッドからレーザ照射を行うとともに、対物レンズをフォーカス方向に強制的に移動させ、上記同様に記録層数やディスク種別を判別する。なお、記録可能ディスクを想定した記録再生装置では、記録済/未記録領域での反射率の違いも想定して観測を行うようにされており、反射率が低く、S字カーブが小振幅となった場合にも正確に観測できるように設計されている。また、このことから、グルーブディスクでのピットの有無(記録済/未記録)の判定も可能となる。
【0048】
ステップF2の判別処理によってグルーブディスク、つまり記録可能型のディスクであると判別された場合は、ステップF3からF4に進んで、まずリードインリアのウォブリンググルーブによって記録されている管理情報の読出を行う。
そして、上記ステップF2で、その記録可能型のディスクのリードインエリアが記録済であると判定されていた場合は、ステップF5からF6に進んで、リードインエリアにピットとして記録された管理情報の読出を行う。
なお、このとき、1層ディスク、又は2層ディスクでオポジットトラックパスであることが判別されれば、レイヤ0のリードインエリアに記録された管理情報の読出を行う。また2層ディスクでパラレルトラックパスと判別された場合は、レイヤ0とレイヤ1の各リードインエリアの読出を行うことになる。
【0049】
一方、未記録のディスク、或いはクローズ処理(ファイナライズ)がされていないディスクの場合は、リードインエリアにピットデータ記録は行われていないため、ステップF4でグルーブによる管理情報を読み込んだ時点で、ステップF5から処理を終える。
また、再生専用ディスクが装填された場合はステップF3でグルーブディスクではないと判定されてステップF6に進み、リードインエリアの管理情報読出を行うことになる。
【0050】
再生専用装置及び記録再生装置においては、例えばこのようにしてディスク挿入時にディスク判別や管理情報の読出が行われることになるが、上記図7(a)の再生専用装置の場合の処理によると、DVD+Rディスクなどで未記録領域があることで不都合が生じることがある。
そしてDVD+Rなどのディスクでは、上述の図6(b)の状態のようにファイナライズされた後は、再生専用装置において再生できるものとされる。
図6(b)のように残された未記録領域がリードアウトとしてダミーデータが記録されること、即ちガード領域とされることで、再生専用装置にとっては問題ない。
即ち、図7(a)のステップST2において内周側(リードインエリア)においてフォーカスサーチ動作でS字カーブを観測する際にも、レイヤ0,レイヤ1が共に記録済であるため、正確にS字カーブを観測でき、それによって2層ディスクと判別できる。そしてリードインエリアの管理情報を読み出すことで、ディスクの物理情報や記録されたデータの情報を得ることができ、2層ディスクとして正しく再生できる。
【0051】
ところが図6(b)の状態にすると、そのディスクはそれ以降、記録できないものになることは先に述べた。
ここで、もし未記録領域を残したいと考えると、図6(a)の状態からファイナライズする際に、図6(c)のように、リードインエリアを記録すると共に、リードアウトエリアLO1としては、ユーザーデータDA12に隣接して最小限だけ形成しておくということが考えられる。このようにすれば、未記録領域UAが残されるため、上述したマルチセッション方式などで追加記録が可能である。しかしながら、このようなディスクは再生専用装置において不都合なものとなる。
【0052】
仮にこの図6(c)の状態のディスクを再生専用装置に装填すると、図7(a)のステップST2で誤認識が生ずる。即ち、ディスク内周側においてレイヤ0ではリードインデータが記録されているが、レイヤ1は未記録である。そして記録済領域と未記録領域では反射率が異なるため、フォーカスサーチ動作を行っても、レイヤ1についてS字カーブが良好に観測できない。これは再生専用装置が未記録領域を考慮した設計となっていないことによる。
そしてその結果、例えば1層ディスクであると誤認する。
また、その後ステップST3で管理情報を読み込むが、その管理情報から2層ディスクと判断した場合は矛盾が生じてしまう。
また、管理情報によって2層ディスクと判断することで、レイヤ1の管理情報読出等を実行してみる場合もあり、その場合、レイヤ1が未記録であることでトラッキングがかけられない(上述の通り、再生専用装置ではトラッキング方式が未記録領域に対応していない)ため、正常な読出ができない。
【0053】
これらのことによる結果として装置がどのような動作を行うかは装置の処理設計によるが、矛盾状態によりディスクエラー(不適切なディスク)として再生不能としたり、他の種のディスクと誤認してしまって適切な再生ができないなどの状態を引き起こす。
即ち、図6(c)のような記録可能性を維持したファイナライズを行うことは、本来ファイナライズの目的の1つである互換性維持が実現できない。
【0054】
1−4 本例の記録動作方式
そこで本例では、以下のようにして、再生互換性と追加記録可能性を維持する。図8で説明する。
【0055】
図8(a)は、オポジットトラックパスの2層ディスクにおいてデータ記録前の状態(ブランクディスクの状態)を示している。図示する全ての領域は未記録領域UAとされている。
このディスクに対しては、リードイン、リードアウトやミドルエリアなどとして最低限必要な領域を除いて、レイヤ0ではSTR0〜END0の範囲、レイヤ1ではSTR1〜END1の範囲が、ユーザーデータの記録が可能である。
なお、LIMIT0、LIMIT1はリードアウトエリアやミドルエリアが記録される位置を示している。本例ではオポジットトラックパスを考えるのでLIMIT0、LIMIT1はミドルエリアの記録位置となる。
【0056】
このディスクに、まずユーザーデータDA1〜DA4を記録して、続いてユーザーデータDA5〜DA8までのデータを記録し、さらにユーザーデータDA9〜DA10まで記録したところで、ミドルエリア(MA0/MA1)を記録して、続いてデータDA11〜DA12を追記した様子を図8(b)に示している。
この図8(b)の状態では更なるデータ記録(追記)が可能となっている。
【0057】
ここで再生互換を考慮したファイナライズを行い、図6(b)で説明したように未記録領域UAをピットで埋める状態にしてしまうと、それ以降追記は不可能となることは先に述べた。
そこで本例では、まず、セッションをクローズするが次のセッションの追加を許可した状態にするセッションクローズを行う。
即ちまず、図8(c)に示すように、ユーザーデータDA1〜DA12を確定した状態でリードインエリアLI0での管理情報記録を行うと共に、ユーザーデータDA12に隣接した領域にリードアウトLO1を形成する。
この状態は、上記図6(c)で説明した状態であり、上述の通り、この状態のまま他の再生専用装置に装填すると再生できない恐れがある。
【0058】
そこでさらに本例では、図8(d)に示すように、レイヤ1の内周側にリードアウトLO1を形成する。即ちダミーデータを記録して内周側ガード領域GAを形成する。
このようにすると、ディスク内周側の所定領域では、レイヤ0,1ともに記録済となる。すると、このディスクが再生専用装置に装填された場合、内周側でフォーカスサーチ動作によって記録層数やディスク判別を行うときに、正しくS字カーブの観測ができ、2層ディスクであることが確認される。そしてリードインエリアの管理情報も記録されていることから、当該図8(d)の状態のディスクに対して、再生専用装置で正常に再生できるものとなる。つまり再生互換性が確保されている。
そして図8(d)からわかるように、ユーザーデータが記録可能な範囲(例えばSTR1〜END1の範囲)には、未記録領域UAが残されている。従って、その後、記録装置に装填すれば、例えばマルチセッション方式で新たなデータ記録が可能となる。
つまり、再生互換性と追加記録可能性の両方を実現できるものとなる。
【0059】
なお、図8(d)では、ユーザーデータを記録可能な領域(STR0〜END0 及び STR1〜END1)とは別の、レイヤ1の内周側領域にリードアウトLO1を付加した。即ち、いずれにしても最終的にはリードアウトLO1が記録されるべき領域にリードアウトLO1を記録するものである。
つまり図8(d)のようにリードアウトLO1としてのガード領域GAを記録するディスク内周側の所定領域は、もともとユーザーデータの記録に使用されないとされた領域である。
このようにすれば、ユーザーデータの記録可能領域は最大限、未記録領域UAのまま残されるものとなり、追加記録のための容量が減少せず好適である。
【0060】
一方、再生互換性維持をより確実にするためには、ディスク内周側の所定領域としてのガード領域GAを、さらにユーザーデータの記録に使用可能な領域も含むようにしてもよい。
その例を図9に示す。図9は、例えば図8(c)の状態からガード領域GAを形成した状態である。
この場合、END1で示されるユーザーデータの記録可能領域の一部を含めてリードアウトLO1としてのガード領域GAを形成する。即ちガード領域GAとしての範囲を外周側に広げたものとなる。
【0061】
上記図7で説明したように、ディスク装填時にはまず光学ヘッドをディスク内周側に押し付ける。この光学ヘッドの移動は、光学ヘッドがリードインエリアに入るように行われるが、その移動精度は機器毎にばらつく。特に再生専用装置がフォーカスサーチ動作で記録層判断をする場合、必ずしもリードインエリアでなくても良いため、移動精度はさほど高く設定されていない。
すると、場合によっては、或いは機器によっては、ディスク内周側ではあるが、ユーザーデータの記録可能領域においてフォーカスサーチ動作で記録層判断を行ってしまうこともあり得る。
このようなことを考慮すれば、或る程度ユーザーデータの記録可能領域を減少させてしまうことは避けられないが、図9のように、ガード領域GAを広めに形成しておくことで、再生互換性維持の点でより確実とすることができる。
なお、どの程度までユーザーデータの記録可能領域を使用してガード領域GAとするかは設計により決められればよいが、例えばディスクフォーマット上で規定されている最小記録範囲をカバーすれば確実とできる。
例えばDVD−ROM規格においては、少なくとも内周側から1Gbyte程度のデータ記録が行われていることが必要と規定されている。このため再生専用装置は、少なくとも内周側から1Gbyte程度の半径範囲で図7(a)の処理を行うように設計されている。従って、本例の場合、内周側から1Gbyte程度のデータ記録に相当する半径範囲を、内周側ガード領域GAとすれば、再生互換性は確実となる。
【0062】
2.ディスクドライブ装置
2−1 装置構成
上記のような2層ディスク(2層DVD+R等)に対応する本実施の形態のディスクドライブ装置を図10で説明する。
図10は本例のディスクドライブ装置の要部のブロック図である。
ディスク1は、図示しないターンテーブルに積載され、記録再生動作時においてスピンドルモータ2によって一定線速度(CLV)もしくは一定角速度(CAV)で回転駆動される。そしてピックアップ3によってディスク1にエンボスピット形態、色素変化ピット携帯、或いは相変化ピット形態などで記録されているデータの読み出しが行なわれることになる。
【0063】
ピックアップ3内には、レーザ光源となるレーザダイオードや、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を対物レンズを介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタに導く光学系、対物レンズをトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持しり二軸機構などが形成される。
またピックアップ3全体はスライド駆動部4によりディスク半径方向に移動可能とされている。
【0064】
ディスク1からの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてRFアンプ8に供給される。
RFアンプ8には、ピックアップ3内の複数のフォトディテクタからの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。例えば再生データであるRF信号、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEなどを生成する。
RFアンプ8から出力される再生RF信号は再生信号処理部9へ、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEはサーボ制御部10へ供給される。
【0065】
なお、上述したように記録可能型のディスクの記録済領域及びROMタイプディスクでは、トラッキングエラー信号はDPD方式で検出される。一方、記録可能型ディスクの未記録領域では、トラッキングエラー信号はプッシュプル方式で検出される。このためRFアンプ8におけるトラッキングエラー信号の生成方式は、ディスク種別やディスク上のエリア(記録済/未記録)に応じて切り換えられる。
【0066】
また記録可能型のディスクでは、ウォブリンググルーブによってトラックが形成されている。グルーブのウォブルによってはATIP情報が記録されている。ウォブル成分は例えばプッシュプル信号として得ることができ、このプッシュプル信号も、ATIP情報の検出のために再生信号処理部9に供給される。
【0067】
RFアンプ8で得られた再生RF信号は再生信号処理部9において、2値化、PLLクロック生成、EFM+信号(8−16変調信号)に対するデコード処理、エラー訂正処理等が行われる。
再生信号処理部9は、DRAM11を利用してデコード処理やエラー訂正処理を行う。なおDRAM11は、ホストインターフェース13から得られたデータを保存したり、ホストコンピューターに対してデータ転送する為のキャッシュとしても用いられる。
そして再生信号処理部9は、デコードしたデータをキャッシュメモリとしてのDRAM11に蓄積していく。
このディスクドライブ装置からの再生出力としては、DRAM11にバファリングされているデータが読み出されて転送出力されることになる。
【0068】
また再生信号処理部9では、RF信号に対するEFM+復調並びにエラー訂正により得られた情報の中から、サブコード情報やアドレス情報、さらには管理情報や付加情報を抜き出しており、これらの情報をコントローラ12に供給する。また、ウォブリンググルーブによるATIP情報(ディスク種別によってはLPP情報、ADIP情報、セクターID情報など)のデコードを行い、ウォブリンググルーブで記録されたアドレス情報や管理情報、付加情報をデコードしてコントローラ12に供給する。
【0069】
コントローラ12は、例えばマイクロコンピュータで形成され、装置全体の制御を行う。
ホストインターフェース13は、外部のパーソナルコンピュータ等のホスト機器と接続され、ホスト機器との間で再生データやリード/ライトコマンド等の通信を行う。
即ちDRAM11に格納された再生データは、ホストインターフェース13を介してホスト機器に転送出力される。
またホスト機器からのリード/ライトコマンドや記録データ、その他の信号はホストインターフェース13を介してDRAM11にバッファリングされたり、コントローラ12に供給される。
【0070】
ホスト機器からライトコマンド及び記録データが供給されることでディスク1に対する記録が行われる。
データの記録時においては、DRAM11にバッファリングされた記録データは、変調部14において記録のための処理が施される。即ちエラー訂正コード付加、EFM+変調などの処理が施される。
そしてこのように変調された記録データがレーザ変調回路15に供給される。レーザ変調回路15は、記録データに応じてピックアップ3内の半導体レーザを駆動し、記録データに応じたレーザ出力を実行させ、ディスク1にデータ書込を行う。
【0071】
この記録動作時においては、コントローラ12は、ディスク1の記録領域に対してピックアップ3から記録パワーでレーザー光を照射するように制御される。ディスク1が色素変化膜を記録層としたライトワンス型のものである場合は、記録パワーのレーザ照射により、色素変化によるピットが形成されていく。
またディスク1が相変化記録層のリライタブルディスクは、レーザー光の加熱によって記録層の結晶構造が変化し、相変化ピットが形成されていく。つまりピットの有無と長さを変えて各種のデータが記録される。また、ピットを形成した部分に再度レーザー光を照射すると、データの記録時に変化した結晶状態が加熱によって元に戻り、ピットが無くなってデータが消去される。
【0072】
サーボ制御部10は、RFアンプ8からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEや、再生信号処理部9もしくはコントローラ12からのスピンドルエラー信号SPE等から、フォーカス、トラッキング、スレッド、スピンドルの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、フォーカス/トラッキング駆動回路6に供給する。フォーカス/トラッキング駆動回路6は、ピックアップ3における二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ3、RFアンプ8、サーボ制御部10、フォーカス/トラッキング駆動回路6、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0073】
なおフォーカスサーボをオンとする際には、まずフォーカスサーチ動作を実行しなければならない。フォーカスサーチ動作とは、フォーカスサーボオフの状態で対物レンズを強制的に移動させながらフォーカスエラー信号FEのS字カーブが得られる位置を検出するものである。公知の通り、フォーカスエラー信号のS字カーブのうちのリニア領域は、フォーカスサーボループを閉じることで対物レンズの位置を合焦位置に引き込むことのできる範囲である。従ってフォーカスサーチ動作として対物レンズを強制的に移動させながら、上記の引込可能な範囲を検出し、そのタイミングでフォーカスサーボをオンとすることで、以降、レーザースポットが合焦状態に保持されるフォーカスサーボ動作が実現されるものである。
【0074】
また本例の場合、ディスク1は、上述のようにレイヤ0,レイヤ1としての2層構造となっている場合がある。
当然ながら、レイヤ0に対して記録再生を行う場合はレーザ光はレイヤ0に対して合焦状態となっていなければならない。またレイヤ1に対して記録再生を行う場合はレーザ光はレイヤ1に対して合焦状態となっていなければならない。
このようなレイヤ0,1間でのフォーカス位置の移動はフォーカスジャンプ動作により行われる。
フォーカスジャンプ動作は、一方のレイヤで合焦状態にあるときに、フォーカスサーボをオフとして対物レンズを強制的に移動させ、他方のレイヤに対するフォーカス引込範囲内に到達した時点(S字カーブが観測される時点)でフォーカスサーボをオンとすることで実行される。
【0075】
サーボ制御部10はさらに、スピンドルモータ駆動回路7に対してスピンドルエラー信号SPEに応じて生成したスピンドルドライブ信号を供給する。スピンドルモータ駆動回路7はスピンドルドライブ信号に応じて例えば3相駆動信号をスピンドルモータ2に印加し、スピンドルモータ2の回転を実行させる。またサーボ制御部10はコントローラ12からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ駆動回路7によるスピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0076】
またサーボ制御部10は、例えばトラッキングエラー信号TEの低域成分として得られるスライドエラー信号や、コントローラ12からのアクセス実行制御などに基づいてスライドドライブ信号を生成し、スライド駆動回路5に供給する。
スライド駆動回路5はスライドドライブ信号に応じてスライド駆動部4を駆動する。スライド駆動部4には図示しないが、ピックアップ3を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スライド駆動回路5がスライドドライブ信号に応じてスライド駆動部4を駆動することで、ピックアップ3の所要のスライド移動が行なわれる。
【0077】
レーザー変調回路15は、上述のように記録時には記録データに応じたレーザ光がピックアップ3内のレーザダイオードから出力されるように駆動を行うが、記録時にはハイレベルのレーザパワーにおいて、記録レーザによって変調されたレーザ出力を実行させ、再生時にはローレベルのレーザパワーで継続的なレーザ出力を実行させる。
このためレーザ変調回路15内は、記録データに応じてレーザ変調信号や波形整形を行うライトストラテジ回路と、レーザダイオードを駆動するレーザ駆動回路と、さらにレーザパワーを一定に制御するパワーコントロール回路を有する。
【0078】
再生時及び記録時のレーザパワーとしては、所定の再生レーザパワー及び記録レーザパワーが安定して出力されるようにレーザパワー制御が行われる。即ち図示していないが、ピックアップ内のモニタディテクタからはレーザ変調回路15内のパワーコントロール回路にはレーザパワーのモニタ信号が供給され、パワーコントロール回路は、モニタ信号を基準レベル(再生レーザパワー或いは記録レーザパワーとしての設定レベル)と比較することでレーザ駆動回路の出力を制御し、レーザダイオードから出力されるレーザパワーを安定化する。
また、再生レーザパワー及び記録レーザパワーはディスク1に応じて最適値に設定されなければならない。このためコントローラ12は、例えばディスク1が装填された際などには、ディスク1に対して試し書き記録/再生を行い、レーザパワー最適値を探索する処理を実行させる。例えばレーザパワーを段階的に変化させながらジッターやエラーレートを調べ、最適なレーザパワーを探索する。そして探索された最適値としての記録レーザパワー、再生レーザパワーを、レーザ変調回路15内のパワーコントロール回路に、上記の基準レベルとしてセットする。これによって記録時及び再生時において、最適なレーザパワー制御が行われる。
なお、2層ディスクにおいては、最適なレーザパワーは記録層毎に設定される。従って、最適なレーザパワー設定のための処理は、各記録層毎に行われる。
【0079】
2−2 セッションクローズ時の処理
本例のディスクドライブ装置では、上記図8、図9によって説明したように、2層ディスクのレイヤ1における内周側所定領域にガード領域GAとなるリードアウトを形成することで、ユーザーデータの記録可能領域において未記録領域を残したまま再生互換性を実現する。
ガード領域GAの記録は、例えばセッションクローズ時の処理として図11のように実行する。
【0080】
図11にはセッションクローズ処理としてのコントローラ10が実行する処理を示している。
例えば上記図8(b)のようにユーザーデータを記録した後、ホスト機器からの指示に応じてセッションクローズを行う場合の処理となる。
【0081】
ホスト機器からセッションクローズが指示(セッションクローズコマンドの発行)されると、コントローラ12の処理は図11のステップF101でセッションクローズのためのデータ書き込みを実行する。
即ち、図8(c)に示すように、リードインエリアLI0の書込、及びユーザーデータDA12に隣接する所定範囲でリードアウトエリアLO0を形成する。なお、マルチセッション記録における或るセッションがクローズされる場合、このときのリードインエリアLI0の書込は、イントロ(図2参照)の書込とされる場合があり、また、ここでいうリードアウトエリアLO0の書込は、後の記録を許す状態とする(未記録領域UAを残す)ことを考えれば、図2で言うクロージャの書込に相当するものとなる。
【0082】
次にステップF102では、レイヤ1の内周側所定領域がピット記録済となっているか否かを判断する。なお例えば図7(b)のようなディスク装填時の処理で未記録/記録済の別がわかっていれば、その情報を参照すればよい。もちろんこの時点でレイヤ1の内周側所定領域の再生を行って未記録/記録済を判断しても良い。
そして未記録であったら、ステップF103で、レイヤ1の内周側所定領域にリードアウトLO1を形成する。即ち図8(d)又は図9のように、ダミーデータによる内周側ガード領域を形成する。
ステップF102で記録済と判断されるのは、過去にそのディスクは1回以上セッションクローズが行われており、既に内周側ガード領域GAが形成されているディスクであることになる。従ってステップF103の処理は不要となる。
【0083】
以上のように、セッションクローズ時に内周側ガード領域GAの記録が行われることで、再生互換に好適であり、かつ追加的な記録が可能なディスクとすることができる。
【0084】
2−3 イジェクト時の処理
次にイジェクト時の処理を図12で説明する。
これは、例えばユーザーがディスクドライブ装置のイジェクト操作を行ったり、或いはホストからのイジェクト指示があることに応じて、ディスク1を排出させる場合の処理となる。なお、セッションクローズを行わないままディスク排出が行われる場合を含む。
【0085】
ディスクがイジェクトされるということは、そのディスクが再生専用装置に装填される可能性が発生したということになる。
そこで、イジェクトの際にも、再生互換性を実現するように、内周側ガード領域GAの記録を行うことが好適となる。
【0086】
コントローラ12の処理としては、ディスク排出の要求があった場合にステップF201進む。
ディスクの排出要求とは、ホスト機器からイジェクトコマンドがディスクドライブ装置に発行されるものでも良いし、ディスクドライブ装置に設けられたイジェクトボタンがユーザーによって押されるものでも良い。
ディスク排出要求によりステップF201に進んだ場合、コントローラ12は、ディスク上に記録されたユーザーデータが存在するか否かを確認する。
もし、未だ何もユーザーデータが記録されていないディスクであれば、特に互換性維持を考慮する必要もないため、そのままステップF204に進んでディスク排出処理を行う。
【0087】
一方、ディスクにユーザーデーターが存在していると判断したら、ステップF201からF202に進んで、レイヤ1の内周側所定領域がピット記録済となっているか否かを判断する。
そして未記録であったら、ステップF203で、レイヤ1の内周側所定領域にリードアウトLO1を形成する。即ち図8(d)又は図9のように、ダミーデータによる内周側ガード領域を形成する。
またステップF202で記録済と判断されるのは、過去にそのディスクは1回以上セッションクローズが行われており、既に内周側ガード領域GAが形成されているディスクであるか、或いは既にディスク全体がファイナライズされているディスクの場合などであり、ステップF203の処理は不要となる。
【0088】
以上のようにディスクイジェクト時に内周側ガード領域GAの記録が行われることも、実用上好適である。
例えば、他の記録装置においてマルチセッション方式で記録が行われ、少なくともクローズされたセッションが1つ以上存在するとする。そのようなディスクは、リードアウトエリアは記録済であるが、レイヤ1の内周側所定領域は未記録領域となっている可能性がある。そのような場合、上記のようにイジェクト時の処理としてレイヤ1の内周側所定領域にガード領域を追加することで、好適な再生互換性を実現できる。
【0089】
また、仮にセッションクローズ時に上記図11のように内周側ガード領域GAの記録が記録される処理が行われないとした場合は、セッションクローズ時の処理に代えて、イジェクト時に内周側ガード領域GAの記録が行われるようにすればよい。
【0090】
なお、ユーザーデータが存在するが、1つのセッションもクローズされていないディスクがイジェクトされる場合は、リードインエリアが形成されていないため、もともと再生互換性はない。そのような場合でも、レイヤ1の内周側所定領域にガード領域を形成しておいても問題なく、またそれによって本例以外の記録装置(つまり内周側ガード領域GAの記録機能のない装置)でセッションクローズが行われた場合に、図8(d)又は図9の状態とすることができる。
【0091】
2−4 ディスク挿入時の処理
ところで、内周側ガード領域GAは、最終的には必ずリードアウトエリアとされる領域において、リードアウトを形成する処理であることを考えれば、どの時点で内周側ガード領域GAの記録を行っても良いと言える。例えばセッションクローズやディスクイジェクトなどの機会を待たずに、内周側ガード領域GAの記録を行ってしまうということも考えられる。
そこで、例えばディスクがディスクドライブ装置に挿入された時に内周側ガード領域GAの記録を行う例も考えられる。
【0092】
図13はディスク挿入時の処理を示している。なお、ステップF1〜F6は上記図7(b)で説明したとおりであるため重複説明を避ける。
この図13の例では、ディスク挿入時の処理として、記録層数、ディスク種別等の判別や管理情報の読出が終わった後、ステップF7としてレイヤ1の内周側所定領域がピット記録済となっているか否かを判断する。
そして未記録であったら、ステップF8で、レイヤ1の内周側所定領域にリードアウトLO1を形成する。即ち図8(d)又は図9のように、ダミーデータによる内周側ガード領域を形成する。
またステップF7で記録済と判断された場合は、過去にそのディスクは1回以上セッションクローズが行われており、既に内周側ガード領域GAが形成されているディスクであるか、或いは既にディスク全体がファイナライズされているディスクの場合などであり、ステップF8の処理は不要となる。
【0093】
3.ガード領域が予め記録されたディスク
以上の説明ではディスクドライブ装置によって所定タイミング(セッションクローズ時、イジェクト時、ディスク挿入時など)にレイヤ1の内周側所定領域に内周側ガード領域GAの記録を行うことを述べた。
ここで、内周側ガード領域GAは、最終的には必ずリードアウトエリアとされる領域において、リードアウトを形成する処理であることをさらに押し進めて考えると、ディスクに予め内周側ガード領域GAの記録が行われていても良いといえる。
【0094】
例えば2層ディスクとしてDVD+Rディスクを製造する際に、その製造工程の最終段階で内周側ガード領域GAの記録を行ったり、さらにディスクマスタリングでディスク原盤を製造する際に、レイヤ1の内周側所定領域にエンボスピットが形成されるようにすることが考えられる。
即ち、ブランクディスクの状態で、既にレイヤ1の内周側所定領域にガード領域GAが記録されているディスクを製造する。
【0095】
図14にこのようなディスクの状態を示す。
図14(a)は、ディスクはブランクディスクの状態であり、ユーザーデータ記録は行われていないが、レイヤ1の内周側所定領域には、予め内周側ガード領域GAとしてのピットデータ(相変化ピット又はエンボスピット)が記録されているものである。
図14(b)は、上記図9の例のように、内周側ガード領域GAをユーザーデータの記録可能領域に食い込むように広げたれいであり、この内周側ガード領域GAとして、予めピットデータ(相変化ピット又はエンボスピット)が形成されているものである。
【0096】
このようなディスクによれば、上述した本例のディスクドライブ装置のように内周側ガード領域GAを記録する機能のない記録装置であっても、マルチセッション記録にかける1つのセッションのクローズ時に例えば図8(d)のような状態となり、互換性維持と追記可能性を両立したものとできる。
【0097】
4.実施の形態の効果及び変形例
以上のように本実施の形態の、内周側ガード領域GAの記録機能を備えたディスクドライブ装置、又は内周側ガード領域GAがあらかじめ形成されたディスクによっては、互換性維持と追記可能性維持を両立できる。
これによって、再生専用装置での再生に好適であると共に、ディスク上のユーザーデータの記録可能領域を無駄にすることなく、有効利用できる。
またユーザーサイドから見れば、従来は再生互換性を得るためにファイナライズ処理を行って、残ったユーザーデータ記録可能領域をあきらめるか、或いは再生互換を得るのは後にして、まだユーザーデータの追記可能な状態にしておくかを迷ってしまうということが、実使用上おこっていたが、そのような考慮も必要なくなる。このため、使用性は著しく向上される。
【0098】
本発明としての変形例や適用例は、各種考えられる。
まずDVD方式の2層の記録可能タイプのディスクとしてDVD+Rを挙げて述べたが、もちろん同様にDVD−R、DVD+RW、DVD−RW、DVD−RAMなどとしての2層ディスクについても、適用できる。
また、DVD方式のディスクに限らず、CD方式、ブルーレイディスク方式など、他の種のディスク、さらにはディスク以外のメディアでも、複数記録層の記録媒体として、本発明は有用である。
【0099】
また記録装置において内周側ガード領域GAを記録するタイミングは、さらに各種考えられる。例えばユーザー操作やホストの指示によって、内周側ガード領域GAを記録するという処理例も考えられる。
【0100】
さらに、実施の形態では2層ディスクとしたが、3層以上の記録層を有する記録媒体においても、本発明が好適であることは言うまでもない。3層以上のディスクであれば、第2層目以降(レイヤ1,レイヤ2・・)において、内周側所定領域に内周側ガード領域GAが形成されるようにすればよい。
【0101】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明の記録装置、記録方法によれば、複数の記録層を有するライトワンス型ディスク記録媒体において、第2記録層以降の各記録層の内周の所定領域を、所定タイミングでガードデータ記録を行ってガード領域とする。再生互換を得るためには、少なくとも第1記録層(レイヤ0)の内周側には管理情報(リードインデータ)が記録されるが、上記ガード領域の形成によって、第2記録層(レイヤ1)以降についても記録済となる。つまり少なくとも、再生専用装置がディスク判別処理を行うディスク内周側の所定領域においては、各記録層が記録済領域となるため、再生専用装置がディスクを誤認することはない。このため、適切な再生動作が行われる状態とできる。
また、少なくとも内周側で各記録層を記録済としておけば、ユーザーデータを記録可能な領域において未記録領域が残されていても、ユーザーデータに隣接する必要最低限のガード領域が形成されていればよいものとなる。
これらのことから、本発明の記録装置、記録方法によれば、未記録領域での記録を可能な状態にしたまま、再生専用装置での再生互換を確保することができるという効果があり、ディスクの有効利用や使用性の向上を実現できる。
【0102】
また、ガード領域を形成するタイミングとして、ディスク記録媒体上でユーザーデータが書き込まれた領域について、再生互換のためのセッションクローズ処理を行うタイミング、或いはディスク記録媒体の排出処理を行うタイミングが好適である。セッションクローズは、互換性確保のために行われるものであるため、その際にガード領域の形成(未記録領域を残したままでの内周側局所領域でのガード領域の形成)が本発明の目的に即している。
またディスクを排出する際は、そのディスクが再生専用装置に装填される可能性が発生する時点であるため、この場合も、内周側局所領域でのガード領域の形成)が本発明の目的に即している。
また、ガード領域は、最終的にはリードアウトなどダミーデータとして記録される領域であるとすれば、ユーザーデータ記録やクローズ処理に関わらずガード領域を形成しておいても良い。この点を考えれば、ディスク装填時にガード領域を形成することも有効である。
【0103】
また、ガード領域を形成する、第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域は、ユーザーデータの記録に使用されないとされた領域とする。
これは、もともとリードアウトなどダミーデータが記録される領域であること、及びディスク判別処理が行われる領域であることから適切であり、またユーザデータを記録可能な領域を最大限残すことができる。
また、さらには、ユーザーデータの記録に使用可能な領域も含むようにする、つまりガード領域とする範囲をユーザーデータ領域側に広げることは、再生専用装置でのディスク判別時の誤認の可能性をより小さくできる。
【0104】
本発明のディスク記録媒体は、予め第2記録層(レイヤ1)以降の内周側にピットを形成しておくものである。このようなディスク記録媒体によれば、例えば上記本発明の記録装置、記録方法によらずとも、第1記録層(レイヤ0)にリードインデータが記録された時点で、各記録層が記録済となる。従って、未記録領域での記録を可能な状態にしたまま、再生専用装置での再生互換を確保可能なディスクとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスクのエリア構造及びPSNの説明図である。
【図2】ディスクのセッション構造の説明図である。
【図3】2層ディスクの説明図である。
【図4】パラレルトラックパスの説明図である。
【図5】オポジットトラックパスの説明図である。
【図6】2層ディスクのオポジットトラックパスの場合の記録動作の説明図である。
【図7】再生専用装置及び記録再生装置でのディスク挿入時の処理のフローチャートである。
【図8】実施の形態の記録動作の説明図である。
【図9】実施の形態の記録動作の際のガード領域の他の例の説明図である。
【図10】実施の形態の記録再生装置のブロック図である。
【図11】実施の形態のセッションクローズ処理のフローチャートである。
【図12】実施の形態のディスク排出処理のフローチャートである。
【図13】実施の形態のディスク挿入時の処理のフローチャートである。
【図14】実施の形態のディスクの説明図である。
【符号の説明】
1 ディスク、2 スピンドルモータ、3 光ピックアップ、8 RFアンプ、9 再生信号処理部、10 サーボ制御部、11 DRAM、12 コントローラ、13 ホストインターフェース、14 変調部、15 レーザ変調回路

Claims (15)

  1. データを1回書込可能な複数の記録層を有し、ユーザデータ書込には上記各記録層が、第1の記録層から順次使用されるとともに、少なくとも第1の記録層におけるディスク内周側の領域には、ユーザデータ書込に応じた管理情報が記録されるディスク記録媒体に対する記録装置において、
    上記各記録層に対してデータ記録を行う記録手段と、
    ディスク記録媒体の第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域がデータ記録済みであるか否かを判別する判別手段と、
    上記判別手段によりデータ記録済でないと判別されることに応じて、所定タイミングにおいて、上記記録手段により、上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域にデータ書込を行わせてガード領域を形成させるガード領域生成制御手段と、を備えたことを特徴とする記録装置。
  2. 上記所定タイミングとは、上記ディスク記録媒体上でユーザーデータが書き込まれた領域について、再生互換のためのセッションクローズ処理を行うタイミングであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 上記所定タイミングとは、上記ディスク記録媒体の排出処理を行うタイミングであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  4. 上記所定タイミングとは、上記ディスク記録媒体が装填された際のタイミングであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  5. 上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域は、ユーザーデータの記録に使用されないとされた領域であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  6. 上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域とは、さらにユーザーデータの記録に使用可能な領域も含むことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
  7. データを1回書込可能な複数の記録層を有し、ユーザデータ書込には上記各記録層が、第1の記録層から順次使用されるとともに、少なくとも第1の記録層におけるディスク内周側の領域には、ユーザデータ書込に応じた管理情報が記録されるディスク記録媒体に対する記録方法として、
    ディスク記録媒体の第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域がデータ記録済みであるか否かを判別する判別ステップと、
    上記判別ステップによりデータ記録済でないと判別されることに応じて、所定タイミングにおいて、上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域にデータ書込を行わってガード領域を形成するガード領域生成ステップと、を備えたことを特徴とする記録方法。
  8. 上記所定タイミングとは、上記ディスク記録媒体上でユーザーデータが書き込まれた領域について、再生互換のためのセッションクローズ処理を行うタイミングであることを特徴とする請求項7に記載の記録方法。
  9. 上記所定タイミングとは、上記ディスク記録媒体の排出処理を行うタイミングであることを特徴とする請求項7に記載の記録方法。
  10. 上記所定タイミングとは、上記ディスク記録媒体が装填された際のタイミングであることを特徴とする請求項7に記載の記録方法。
  11. 上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域は、ユーザーデータの記録に使用されないとされた領域であることを特徴とする請求項7に記載の記録方法。
  12. 上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域とは、さらにユーザーデータの記録に使用可能な領域も含むことを特徴とする請求項11に記載の記録方法。
  13. データを1回書込可能な複数の記録層を有し、ユーザデータ書込には上記各記録層が、第1の記録層から順次使用されるとともに、少なくとも第1の記録層におけるディスク内周側の領域には、ユーザデータ書込に応じた管理情報が記録されるものとされたディスク記録媒体において、
    第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域に、ガードデータが記録済とされたガード領域が、予め形成されていることを特徴とするディスク記録媒体。
  14. 上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域は、ユーザーデータの記録に使用されないとされた領域であることを特徴とする請求項13に記載のディスク記録媒体。
  15. 上記第2の記録層以降の記録層におけるディスク内周側の所定領域とは、さらにユーザーデータの記録に使用可能な領域も含むことを特徴とする請求項14に記載のディスク記録媒体。
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